JP2017177053A - カーボンナノチューブ合成用触媒とその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ合成用触媒とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017177053A
JP2017177053A JP2016071583A JP2016071583A JP2017177053A JP 2017177053 A JP2017177053 A JP 2017177053A JP 2016071583 A JP2016071583 A JP 2016071583A JP 2016071583 A JP2016071583 A JP 2016071583A JP 2017177053 A JP2017177053 A JP 2017177053A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
carbon nanotube
reducing agent
carbon
nanotube synthesis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016071583A
Other languages
English (en)
Inventor
茂紀 井上
Shigenori Inoue
茂紀 井上
渡辺 克己
Katsumi Watanabe
克己 渡辺
雄 森田
Takeshi Morita
雄 森田
信之 名畑
Nobuyuki Nahata
信之 名畑
増田 幹
Miki Masuda
幹 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Artience Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Ink SC Holdings Co Ltd filed Critical Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority to JP2016071583A priority Critical patent/JP2017177053A/ja
Publication of JP2017177053A publication Critical patent/JP2017177053A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】漆黒性および/または導電性に優れるカーボンナノチューブを合成するための触媒およびその製造方法を提供すること。【解決手段】前記課題は、触媒活性種と、担持体と、粉末状の還元剤とを含有することを特徴とするカーボンナノチューブ合成用触媒、また、粉末状の還元剤が炭素を含有することを特徴とする前記カーボンナノチューブ合成用触媒、さらに、粉末状の還元剤がカーボンナノチューブを含有することを特徴とする前記カーボンナノチューブ合成用触媒により解決される。【選択図】図1

Description

本発明はカーボンナノチューブ合成用触媒に関する。更に詳しくは、カーボンナノチューブ合成用触媒と、それを用いて製造されるカーボンナノチューブに関する。
直径が1μm以下のカーボンナノチューブは、例えば樹脂へ配合され、導電性や強度等の特性を付与するフィラーとして、種々の検討がなされている。そして、このようなカーボンナノチューブは、従来、主にアーク放電法、レーザー蒸着法、気相成長法などで製造されていた。
その中でも、気相成長法は、アーク放電法やレーザー蒸着法に比べて効率良く不純物の少ないカーボンナノチューブが得られるという利点がある。また、気体状態の原料を使用することによって、連続反応が可能であり、更には原料ガスとなる炭化水素や一酸化炭素等の炭素を含むガスが安価に入手できるので、カーボンナノチューブの量産化に適した技術といえる。
カーボンナノチューブを得る際に使用される触媒(以下、カーボンナノチューブ合成用触媒と称する)は、例えばシリカ、アルミナ、マグネシア、ゼオライト等の担持成分(以下、担持体と称する)に、鉄、コバルト、ニッケル等の活性成分(以下、触媒活性種と称する)を担持させたもの等が提案されている(例えば特許文献1参照)。
触媒活性種が酸化された形態である場合、酸化された触媒活性種は、還元剤を用いて還元により活性化できる(即ち、カーボンナノチューブ形成反応の活性サイトを提供する形態に変換される)。この還元は、触媒とカーボンナノチューブ製造の炭素含有供給原料を接触させる前又は接触と並行して行われる。
触媒活性種の還元は、水素、アンモニアなどの還元ガス、又は還元ガスと窒素やアルゴン等の不活性ガスとの混合物を使用する方法が一般的である(例えば特許文献2、3参照)。しかし、ガスによる還元は触媒活性種の還元の進行度(以下、還元具合と称する)の調整が難しく、ガスという形態上反応器中でガス導入部に近い触媒活性種から順に還元が進行するため場所により還元具合に差が生じる。
また、触媒活性種の還元方法として、触媒活性種を液中に分散させヒドラジン等の還元剤を用いて還元させる方法がある(例えば特許文献4参照)。しかし、液中で行う還元は、還元後に溶液の濾過が必要な場合が多く、触媒合成の工程が複雑化し工程時間が長くなる。
特表2010−540220号公報 特表2003−535794号公報 特開2008‐100895号公報 特開2003−275594号公報
本発明が解決しようとする課題は、漆黒性および/または導電性に優れるカーボンナノチューブを合成するための触媒およびその製造方法を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、カーボンナノチューブ合成工程において還元ガスなしで触媒を活性化できるカーボンナノチューブ合成用触媒およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の実施態様は、触媒活性種と、担持体と、粉末状の還元剤とを含有することを特徴とするカーボンナノチューブ合成用触媒に関する。
また、本発明の実施態様は、粉末状の還元剤が炭素を含有することを特徴とする前記カーボンナノチューブ合成用触媒に関する。
また、本発明の実施態様は、粉末状の還元剤がカーボンナノチューブを含有することを特徴とする前記カーボンナノチューブ合成用触媒に関する。
また、本発明の実施態様は、触媒中のカーボンナノチューブ含有量が0.1〜50質量%である前記カーボンナノチューブ合成用触媒に関する。
また、本発明の実施態様は、触媒中のカーボンナノチューブのG/D比が0.1〜1である前記カーボンナノチューブ合成用触媒(ただし、G、Dは、それぞれ、カーボンナノチューブのラマンスペクトルにおいて、1590cm-1付近のGバンドの積分強度、1350cm-1付近のDバンドの積分強度である。)に関する。
また、本発明の実施態様は、さらに、助触媒を含有することを特徴とする前記カーボンナノチューブ合成用触媒に関する。
また、本発明の実施態様は、触媒活性種が酸化コバルトを含有することを特徴とする前記カーボンナノチューブ合成用触媒に関する。
また、本発明の実施態様は、担持体が酸化マグネシウムを含有することを特徴とする前記カーボンナノチューブ合成用触媒に関する。
また、本発明の実施態様は、助触媒が酸化マンガンを含有することを特徴とする前記カーボンナノチューブ合成用触媒に関する。
本発明のカーボンナノチューブ合成用触媒を用いることにより、漆黒性と導電性に優れたカーボンナノチューブを効率良く製造することができるようになった。よって、漆黒性・導電性の高い樹脂成形体を実現することができる。本発明のカーボンナノチューブは成形体以外にも、シート、テープ、透明フィルム、インキ、塗料などの樹脂組成物へ適用することができる。
また、本発明のカーボンナノチューブ合成用触媒を用いることにより、カーボンナノチューブ合成工程において還元ガスなしで触媒を活性化させることができた。
図1は、様々な酸化物について、各温度における標準生成ギブズエネルギーをプロットしたグラフであり、様々な無機物の酸化のしやすさを表すグラフである(金属物理化学、(社)日本金属学会編、平成4年、p.73.より引用)。
以下に本発明の実施の態様を詳細に説明する。
本発明で用いる触媒は、触媒活性種と担持体に加え、粉末状の還元剤を含有することを特徴とするカーボンナノチューブ合成用触媒であって、助触媒を含有しても良い。
ここで言うカーボンナノチューブ合成用触媒とは、カーボンナノチューブを得る際に使用される触媒の総称であり、特に限定がなければ還元剤を含有する触媒も含む。触媒活性種とは、カーボンナノチューブの合成に直接関与する触媒作用をもったものを指す。担持体とは、担持体表面に触媒金属を担持するものを指す。助触媒とは、触媒活性種の触媒作用を強化する働きを有するものを指す。
触媒活性種は、カーボンナノチューブの合成に直接関与する触媒作用をもったものであればどのようなものでもよいが、通常、遷移金属が用いられる。触媒金属としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、イットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、ランタン、セリウム、ルテニウム等が挙げられる。本発明において触媒活性種は還元剤により還元されるため、上記金属の酸化物である酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化イットリウム、酸化モリブデン、酸化ロジウム、酸化パラジウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ルテニウム等を含むことが好ましい。還元され易さと還元後の触媒活性の高さから、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケルがより好ましく、特に酸化コバルトが好ましい。本発明で用いる触媒活性種は、上記金属または上記金属酸化物を含む混合物であることができる。
担持体は、担持体表面に触媒金属を担持できるものであればどのようなものでも良く、有機物でも無機物でも良いが、耐熱性の観点から無機物が好ましい。担持体としては、例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどが挙げられる。中でも酸化マグネシウムが好ましい。その理由として、カーボンナノチューブ合成後の残留触媒除去工程において、酸化マグネシウムは酸による除去が容易であることが挙げられる。
助触媒としては、モリブデン、バナジウム、タングステン、タンタル、マンガンなどを挙げることができ、触媒活性種の触媒作用を強化する働きを有するものであればどのようなものでも良い。本発明で用いる助触媒は、金属であることができる他、金属の化合物、例えば金属酸化物であることができ、安価な点から酸化マンガンが好ましい。
粉末状の還元剤としては、触媒活性種より酸化しやすいものであればどのようなものでも良い。還元剤が触媒活性種より酸化しやすいかを判断する一つの方法として、図1のエリンガム図を用いる方法が挙げられ、この図から、金属酸化物を金属に還元するためにどのような還元剤をどの程度の温度で作用させればよいかを知ることができる。つまり、ある温度において、触媒活性種の酸化物の標準生成ギブズエネルギーより、還元剤の酸化物の標準生成ギブズエネルギーの方が小さければ、還元剤の酸化反応が優先的に進行するということである。これは、触媒活性種の酸化物と、還元剤が共存する系において、還元剤が触媒活性種の酸素を奪い、酸化することを意味する。
このような粉末状の還元剤としては、酸化物の標準生成ギブズエネルギーの低さと耐熱性の観点から、スズ、鉄、炭素、クロム、マンガン、バナジウム、シリコン、チタン、アルミニウムなどを挙げることができる。中でも炭素が好ましく、カーボンナノチューブがより好ましい。その理由として、金属の還元剤はカーボンナノチューブ合成後に不純物として残留するのに対し、炭素は触媒活性種を還元すると二酸化炭素として気化し残留物が減ることが挙げられる。還元剤としてカーボンナノチューブを使用した場合、残留しても不純物として扱われないため、より好ましい。
ここで言う炭素とは、元素記号Cで構成されるすべての炭素材料を指し、特に限定がなければカーボンナノチューブも含む。
また、粉末状の還元剤である炭素の代わりに有機物を用いても良い。カーボンナノチューブの合成工程は、酸素濃度の非常に低い雰囲気において高温で行われることが多く、有機物の炭化が起こるためである。さらに、有機物の分解時に還元ガスが発生するものは、触媒活性種の還元により適している。また、粉末状の還元剤として、分解時に還元ガスが発生する無機化合物を用いても良い。
粉末状の還元剤の二次粒子径は小さいほどよく、1mm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。それらの理由として、触媒活性種と還元剤の接触面積が大きいほど酸化還元反応が進行しやすいことが挙げられる。また、還元剤の粒径が小さいほど、より多くの触媒活性種に接触するため、触媒活性種のシンタリングを抑制する効果があると推察される。
上記触媒中の粉末状の還元剤の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。これは還元剤が不純物として残るためである。ただし、還元剤にカーボンナノチューブを使用した場合に限り、上記触媒中の粉末状の還元剤の含有量は、50質量%以下が好ましい。その理由として、カーボンナノチューブは不純物ではないため過剰に添加しても問題なく、50質量%以下であればハンドリング性が良好であることが挙げられる。
粉末状の還元剤としてカーボンナノチューブ以外の炭素を使う場合、G/D比が低いほど好ましい。その理由として、Gバンドに現れる炭素原子は互いに結合して六員環ネットワークを形成しているため、アモルファスカーボンと比べて酸素と結合しにくく、還元能力が低いことが挙げられる。粉末状の還元剤としてカーボンナノチューブを使う場合、G/D比が0.5〜1.0であることが好ましい。カーボンナノチューブにおいては、他の炭素と同様G/D比が低ければ還元能力が高く、また、G/D比が高ければ導電性などが高いため、G/D比が0.5〜1.0であることが好ましい。カーボンナノチューブの導電性と還元能力を考慮すると、その含有量が多い場合はG/D比の高い、含有量が少ない場合はG/D比の低いものを使用するのが適していることは容易に推察できる。
ここで言うG/D比とは、ラマンスペクトルにおける、Gバンドの積分強度÷Dバンドの積分強度を指す。なお、カーボンナノチューブのラマンスペクトルには、1590cm-1付近にグラファイト構造に由来のGバンド、1350cm-1付近に欠陥由来のDバンドのピークが現れることが知られている。
粉末状の還元剤は、還元剤を含まないカーボンナノチューブ合成用触媒に混合しても、還元剤を含まないカーボンナノチューブ合成用触媒の前駆体に混合しても良いが、好ましくはカーボンナノチューブ合成用触媒に混合するのが良い。その理由として、カーボンナノチューブ合成用触媒の前駆体に還元剤を混合し、空気中で焼成してカーボンナノチューブ合成用触媒を得た場合、還元剤の多くは酸化して還元能力を失うことが挙げられる。ただし、酸素濃度が低い雰囲気で焼成を行う場合または焼成を行わない場合は、前駆体に還元剤を混合するのも有効である。
上記混合は触媒と粉末状の還元剤が均一に混ざるまで十分に行った方が良いが、行わなくても良い。その理由として、均一に混ざっていなくても触媒活性種の還元は連鎖的に進むが、均一に混ざっていた方が、還元剤が触媒活性種と反応しやすく、触媒活性種のシンタリングを抑制する効果も大きくなることが挙げられる。ただし、混合により、触媒活性種などが破壊されたり、触媒活性種の担持に支障をきたしたり、触媒活性種の凝集が起こる場合はこの限りではない。
上記混合は、ミキサー等を使用して乾式で行ってもよく、湿式で行っても良い。湿式で混合する場合、還元剤およびカーボンナノチューブ合成用触媒または前駆体を、水等の溶媒に溶解および/または分散させてもよく、また、予め各々の触媒または前駆体を水等の溶媒に溶解させた後に混合してもよい。また、水等の溶媒に溶解させる場合には加熱してもよい。湿式で混合する場合、上記で得られる溶液および/または分散液は、乾燥させることによりカーボンナノチューブ合成用触媒前駆体を得ることができる。乾燥させる際の雰囲気は、空気あるいは、窒素、アルゴン等の不活性ガス下のいずれでもよい。また、乾燥温度は、特に限定されるものではないが、還元剤が酸化しにくい温度が好ましい。
上記の如く乾式または湿式の混合により得られるカーボンナノチューブ合成用触媒および/またはその前駆体は、さらに粉砕機等を用いて粉砕して微細化処理を行っても良い。微細化処理することにより、適度な空隙を含むことになるため、カーボンナノチューブ合成時および/または触媒前駆体の焼成時に、粒径を小さく均一に制御できるようになるためである。
(カーボンナノチューブとその製造方法)
次に、本発明のカーボンナノチューブ合成用触媒を用いたカーボンナノチューブの製造方法について説明する。
カーボンナノチューブを製造するためには、触媒として前記カーボンナノチューブ合成用触媒を用いて、炭素源としての原料ガスを加熱下、この触媒に接触反応させて、カーボンナノチューブを製造する。
上記の原料ガス導入前に、反応炉をアルゴンや窒素等の不活性ガスで置換する。この際、反応炉を加熱することにより、カーボンナノチューブ合成用触媒に還元剤が含まれる場合還元剤と触媒活性種を反応させることができる。
また、必要に応じて、追加で触媒活性種を還元しても良い。その際、還元雰囲気下で触媒活性種を活性化した後、又は還元性ガスと共にカーボンナノチューブ原料ガスと接触させて製造することができる。活性化時における還元性ガスは、水素、アンモニア等を用いることができるが、水素が好ましく、その濃度は、原料ガス濃度100体積%に対して0.1〜100体積%が好ましく、1〜100体積%であることがより好ましい。1〜100体積%の範囲であれば、還元性ガスとしての効果が期待でき、かつ原料ガスも適切な濃度となり、カーボンナノチューブが効率よく回収できるため好ましい。
炭素源である原料ガスとしては、従来公知の任意のものを使用でき、例えば、炭素を含むガスとしてメタンやエチレン、プロパン、ブタン、アセチレンなどの炭化水素や、一酸化炭素、アルコールなどを用いることが出来るが、特に使い易さの理由により、炭化水素および/またはアルコールが好ましい。
製造時の温度や原料ガスの供給量は、従来公知の任意の値から、適宜選択し決定すれば良いが、本発明の触媒においては、600〜850℃、特に650〜750℃が好ましく、反応圧力はゲージ圧が0kPa以上40kPa以下、特に0kPa以上30kPa以下とすることが好ましい。反応時間は反応温度や触媒と原料ガスとの触媒比率に応じて任意に設定されるが、通常0.5〜6時間程度である。本発明での反応速度は反応開始から約20分で最大となり、その後、徐々に失速して反応開始から5〜5.5時間で停止する。従って、反応時間は0.5〜6時間の範囲で管理することが好ましい。
反応終了後の原料ガス置換には、アルゴンガスや窒素等の不活性ガスを用いることが好ましい。
上記のカーボンナノチューブの合成は、気相成長法によるものであるが、本発明はその還元メカニズムを外れない限り、気相成長法に限定されるものではない。
このように、本発明の還元剤を含むカーボンナノチューブ合成用触媒を用いれば、還元ガスによる触媒の活性化がなくても、触媒を活性化させ、カーボンナノチューブを得ることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。例中、「カーボンナノチューブ」を「CNT」と略記することがある。
なお、以下の実施例および比較例で用いた還元剤を含まないカーボンナノチューブ合成用触媒は、次のように製造した。
還元剤を含まないカーボンナノチューブ合成用触媒(a):
水酸化コバルト(II)30gを耐熱性容器に秤取り、電気オーブンを用いて、雰囲気温度170±5℃の温度で2時間乾燥させCoHO2を含むコバルト組成物(A)を得た。酢酸マグネシウム・4水和物69g、酢酸マンガン・4水和物8.1gを耐熱性容器に秤取り、電気オーブンを用いて、雰囲気温度170±5℃の温度で2時間乾燥させた後、CoHO2を含むコバルト組成物(A)29gと混合して還元剤を含まないカーボンナノチューブ合成用触媒の前駆体を得た。得られた前駆体を耐熱容器に取り、マッフル炉にて、空気中450±5℃雰囲気下で30分焼成した後、乳鉢で粉砕して還元剤を含まないカーボンナノチューブ合成用触媒(a)を得た。カーボンナノチューブ合成用触媒(a)のXRD測定(理学電気工業社製、Ultima2100)を行ったところ、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化マンガンのピークが観察された。本触媒では、酸化コバルトが触媒活性種、酸化マグネシウムが担持体、酸化マンガンが助触媒に該当する。
なお、以下の実施例で用いた還元剤の一つは、次のものを使用した。
カーボンブラック(b):三菱化学(株)製、MA100
なお、以下の実施例で用いた還元剤の一つは、次の方法で製造した。
カーボンナノチューブ(c):
加圧可能で、外部ヒーターで加熱可能な、内容積が10リットルの横型反応管の中央部 に、還元剤を含まないカーボンナノチューブ合成用触媒(a)2.0gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置 した。窒素ガスを注入しながら排気を行い、反応管内の空気を窒素ガスで置換し、横型反応管中の雰囲気を酸素濃度1体積%以下とした。次いで、外部ヒーターにて加熱し、横型反応管内の中心部温度が700℃になるまで加熱した。700℃に到達した後、炭素源としてプロパンガスを毎分2リットルの流速で反応管内に導入し、2時間接触反応させた。反応終了後、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管内の温度を100℃以下になるまで冷却し、得られたカーボンナノチューブを採取した。得られたカーボンナノチューブを20メッシュの金網で粉砕ろ過し、実施例に使用したカーボンナノチューブ(c)を得た。カーボンナノチューブ(c)のラマン分光測定(堀場製作所社製、XploRA)を行ったところ、G/D比は0.82であった。
(実施例1)[還元剤を含むカーボンナノチューブ合成用触媒(d)の製造]
還元剤を含まないカーボンナノチューブ合成用触媒(a)11g、カーボンブラック(b)0.44gを袋(大倉工業(株)製、OK袋 No.11)に入れ、2分間上下に振り混合し、還元剤を含むカーボンナノチューブ合成用触媒(d)を得た。
(実施例2)[還元剤を含むカーボンナノチューブ合成用触媒(e)の製造]
表1に記載した原料と仕込み量に変更した以外は、実施例1と同様にして触媒(e)を得た。
(実施例3)[還元剤を含むカーボンナノチューブ合成用触媒(f)の製造]
表1に記載した原料と仕込み量に変更した以外は、実施例1と同様にして触媒(f)を得た。
Figure 2017177053
(実施例4)[カーボンナノチューブ(g)の製造]
加圧可能で、外部ヒーターで加熱可能な、内容積が10リットルの横型反応管の中央部 に、還元剤を含むカーボンナノチューブ合成用触媒(d)2.08gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。窒素ガスを注入しながら排気を行い、反応管内の空気を窒素ガスで置換し、横型反応管中の雰囲気を酸素濃度1体積%以下とした。次いで、外部ヒーターにて加熱し、横型反応管内の中心部温度が700℃になるまで加熱した。700℃に到達した後、炭素源としてプロパンガスを毎分2リットルの流速で反応管内に導入し、1時間接触反応させた。反応終了後、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管内の温度を100℃以下になるまで冷却し取り出すことで、カーボンナノチューブ(g)を得た。
(実施例5)[カーボンナノチューブ(h)の製造]
表2に記載した原料に変更した以外は、カーボンナノチューブ(g)と同様にしてカーボンナノチューブ(h)を得た。
(実施例6)[カーボンナノチューブ(i)の製造]
表2に記載した原料と仕込み量に変更した以外は、カーボンナノチューブ(g)と同様にしてカーボンナノチューブ(i)を得た。
(比較例1)[カーボンナノチューブ(j)の製造]
表2に記載した原料と仕込み量に変更した以外は、カーボンナノチューブ(g)と同様にしてカーボンナノチューブ(j)を得た。
Figure 2017177053
<物性の測定方法>
カーボンナノチューブ合成用触媒およびカーボンナノチューブの物性は、以下の方法により測定した。
<XRD測定>
加圧可能で、外部ヒーターで加熱可能な、内容積が10リットルの横型反応管の中央部 に、表2のカーボンナノチューブ合成用触媒を表2の仕込み量で散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。窒素ガスを注入しながら排気を行い、反応管内の空気を窒素ガスで置換し、横型反応管中の雰囲気を酸素濃度1体積%以下とした。次いで、外部ヒーターにて加熱し、横型反応管内の中心部温度が700℃になるまで加熱した。700℃に到達した後、反応管内のガスを窒素ガスで置換し、反応管内の温度を100℃以下になるまで冷却し取り出した物についてXRD測定(理学電気工業社製、Ultima2100)を行った。Co34由来のピークのみが観察される64.8°付近に着目し、その積分強度の比較によって、触媒活性種であるコバルト酸化物の還元具合を評価した。すなわち、還元によりCo34(II、III)がCoO(II)またはCoになると64.8°付近の積分強度が小さくなるため、64.8°付近の積分強度が小さいほど還元が進んでいるということである。結果を表3に示す。
カーボンナノチューブ合成用触媒の還元具合の評価基準は、64.8°付近にピークが現れないかもしくは64.8°付近の積分強度が50(cps・deg)以下の場合を◎(優)、64.8°付近の積分強度が、50(cps・deg)を超えて75(cps・deg)以下の場合を○(良)、75(cps・deg)を超えて100(cps・deg)以下の場合を△(可)、100(cps・deg)を超える場合を×(不可)とした。
<カーボンナノチューブ含有塗膜の漆黒性評価>
カーボンナノチューブの漆黒性を評価するために、カーボンナノチューブを分散した塗膜を作成し、L*を測定することにより漆黒性評価を行った。
三菱化学社製エポキシ樹脂グレード1256を、ブチルカルビトールアセテートに溶解して、固形分40%のエポキシ樹脂溶液を作製し、エポキシ樹脂溶液の固形分15gに対して、評価用のカーボンナノチューブ0.789gを混合し、フーバーマーラーで150lb、100回転の条件でそれぞれ3回練り、評価用のカーボンナノチューブ分散体(B)を得た。その後、ガラス基板上に、アプリケーターを用いて、乾燥後の塗膜厚さが20±1μmとなるように塗工後、電気オーブン中で150±5℃にて30分間乾燥させて、カーボンナノチューブを含有する塗膜を得た。多角度分光測色計(エックスライト社製、MA68II)を用いて、上記塗膜のL*を測定し、下記の基準で漆黒性を評価した。結果を表3に示す。
カーボンナノチューブの漆黒性の評価基準は、上記3回練りの塗膜のL*が、0.80以下の場合を◎(優)、0.80を超えて0.90以下の場合を○(良)、0.90を超えて1.00以下の場合を△(可)、1.00を超える場合を×(不可)とした。
<カーボンナノチューブ含有塗膜の体積抵抗率とカーボンナノチューブの導電性評価>
カーボンナノチューブ分散体(B)を、東洋紡績社製ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、アプリケーターを用いて、乾燥後の塗膜厚さが20±1μmとなるように塗工後、電気オーブン中で150±5℃にて30分間乾燥させて、カーボンナノチューブを含有する塗膜を得た。(株)三菱化学アナリテック社製:ロレスターGP粉体抵抗率測定システムMCP−PD−51を用いて、上記塗膜の体積抵抗率(Ω・cm)を測定し、下記の基準で導電性を評価した。結果を表3に示す。
カーボンナノチューブの導電性の評価基準は、上記3回練りの塗膜の体積抵抗率が、1.5×100(Ω・cm)以下の場合を◎(優)、1.5×100(Ω・cm)を超えて2.0×100(Ω・cm)以下の場合を○(良)、2.0×100(Ω・cm)を超えて3.0×100(Ω・cm)以下の場合を△(可)、3.0×100(Ω・cm)を超える場合を×(不可)とした。
Figure 2017177053
表3の積分強度(cps・deg)が「-」のものは、64.8°付近にピークが現れなかったことを意味する。
表3より、比較例1に用いた触媒(a)を酸素濃度1体積%以下で700℃まで昇温させた物と比較して、実施例4、5、6に用いた実施例1、2、3の還元剤を含む触媒(d)〜(f)を酸素濃度1体積%以下で700℃まで昇温させた物の方が還元が進んでいた。
表3より、実施例1の還元剤にカーボンブラックを使用した触媒と、実施例2の還元剤にカーボンナノチューブを使用した触媒とを比較すると、実施例1の方が還元が進んでいた。カーボンナノチューブの炭素原子は互いに結合して六員環ネットワークを形成しているため、アモルファスカーボンと比べて酸素と結合しにくく、還元能力が低いと推測される。従って、還元剤としてカーボンナノチューブを使用した場合、カーボンナノチューブのG/D比が低いほど、還元能力は高いと推測される。
表3より、比較例1の還元剤を含まない触媒から製造されたカーボンナノチューブと比較して、実施例1、2、3の還元剤を含む触媒から製造された実施例4、5、6のカーボンナノチューブは優れた漆黒性を有していた。また、還元具合と漆黒性は強い相関があり、還元が進んでいるほど漆黒性が高かった。
表3より、比較例1のカーボンナノチューブと比較して、実施例4、5、6のカーボンナノチューブは塗膜の体積抵抗率が低かった。特に、還元性の高い実施例1、3の還元剤を含む触媒から製造された実施例4、6のカーボンナノチューブは導電性に優れていた。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。


Claims (9)

  1. 触媒活性種と、担持体と、粉末状の還元剤とを含有することを特徴とするカーボンナノチューブ合成用触媒。
  2. 粉末状の還元剤が炭素を含有することを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ合成用触媒。
  3. 粉末状の還元剤がカーボンナノチューブを含有することを特徴とする請求項1または2記載のカーボンナノチューブ合成用触媒。
  4. 触媒中のカーボンナノチューブ含有量が0.1〜50質量%である請求項3記載のカーボンナノチューブ合成用触媒。
  5. 触媒中のカーボンナノチューブのG/D比が0.1〜1である請求項4記載のカーボンナノチューブ合成用触媒。(ただし、G、Dは、それぞれ、カーボンナノチューブのラマンスペクトルにおいて、1590cm-1付近のGバンドの積分強度、1350cm-1付近のDバンドの積分強度である。)
  6. さらに、助触媒を含有することを特徴とする請求項1〜5記載のカーボンナノチューブ合成用触媒。
  7. 触媒活性種が酸化コバルトを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のカーボンナノチューブ合成用触媒。
  8. 担持体が酸化マグネシウムを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載のカーボンナノチューブ合成用触媒。
  9. 助触媒が酸化マンガンを含有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか記載のカーボンナノチューブ合成用触媒。
JP2016071583A 2016-03-31 2016-03-31 カーボンナノチューブ合成用触媒とその製造方法 Pending JP2017177053A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016071583A JP2017177053A (ja) 2016-03-31 2016-03-31 カーボンナノチューブ合成用触媒とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016071583A JP2017177053A (ja) 2016-03-31 2016-03-31 カーボンナノチューブ合成用触媒とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017177053A true JP2017177053A (ja) 2017-10-05

Family

ID=60009007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016071583A Pending JP2017177053A (ja) 2016-03-31 2016-03-31 カーボンナノチューブ合成用触媒とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017177053A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115069238A (zh) * 2022-07-19 2022-09-20 青岛科技大学 一种单一锰金属催化剂及其制备方法与应用

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115069238A (zh) * 2022-07-19 2022-09-20 青岛科技大学 一种单一锰金属催化剂及其制备方法与应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5223335B2 (ja) カーボンナノチューブの製造方法およびカーボンナノチューブ製造用触媒
JP6369048B2 (ja) カーボンナノチューブ合成用触媒の製造方法、及びカーボンナノチューブ集合体の製造方法
Lucentini et al. Ammonia decomposition over 3D-printed CeO2 structures loaded with Ni
EP3156125B1 (en) Method for manufacturing carbon nanotube agglomerate having controlled bulk density
Centeno et al. Catalytic combustion of volatile organic compounds on gold/titanium oxynitride catalysts
Dasireddy et al. Activation and decomposition of methane over cobalt‐, copper‐, and iron‐based heterogeneous catalysts for COx‐free hydrogen and multiwalled carbon nanotube production
JP2010137222A (ja) 金属ナノ触媒およびその製造方法、ならびにこれを用いて製造されたカーボンナノチューブの成長形態の調節方法
Kaur et al. Single-source-precursor synthesis of novel V8C7/SiC (O)-based ceramic nanocomposites
Xiong et al. CO selective methanation in hydrogen-rich gas mixtures over carbon nanotube supported Ru-based catalysts
JP6187282B2 (ja) 炭化水素改質触媒
CN102470351A (zh) 双层催化剂、其制备方法、以及在纳米管制造中的用途
JP6237225B2 (ja) カーボンナノチューブ合成用触媒
Zhao et al. Preparation of Ni/SiO2 catalyst via novel plasma-induced micro-combustion method
KR20160026784A (ko) 봉형 산화 몰리브덴의 제조방법 및 산화 몰리브덴 복합체의 제조방법
JP6237311B2 (ja) カーボンナノチューブ合成用触媒
Mondal et al. Carbon microsphere supported Pd catalysts for the hydrogenation of ethylene
JP2017177053A (ja) カーボンナノチューブ合成用触媒とその製造方法
JP6531560B2 (ja) カーボンナノチューブ合成用触媒
JP5845515B2 (ja) カーボンナノチューブ合成用触媒の製造方法、それを用いたカーボンナノチューブ集合体の製造方法、およびカーボンナノチューブ集合体
CN110882709A (zh) 碳化物基催化剂及其制备方法以及甘油氢解方法
Mishra et al. Catalytic conversion of methane into benzene over ceria–zirconia‐promoted molybdenum‐supported zeolite for methane dehydroaromatization
EP4157518A1 (en) Improved catalyst for mwcnt production
JP6650840B2 (ja) MgO担持触媒の製造方法
JP2009062230A (ja) 気相成長炭素繊維の製造方法および気相成長炭素繊維
JP5626446B2 (ja) 炭化水素の二酸化炭素改質用触媒および炭化水素の二酸化炭素改質方法