JP2017176818A - 超電導マグネット及びその製造方法 - Google Patents

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雄太 鈴木
修 尾崎
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Abstract

【課題】複雑な構造を要することなく小さなコイル重量で均一磁場を形成することが可能な超電導マグネット及びその製造方法を提供する。【解決手段】超電導マグネット2は、中心軸Xを有する円筒状の軸部12及び軸部の周囲の空間を軸方向に沿って並ぶ複数のコイル形成空間に仕切る仕切り壁14を有する巻枠と、各コイル形成空間内において同心円状にかつ径方向に積み重なるように巻き付けられることにより複数の単位コイル20を形成する超電導線材22と、単位コイルのコイル径を固定すべく単位コイルを径方向の外側から拘束するように単位コイルの径方向外側に配置される拘束部30と、を備える。各単位コイルのコイル径は、軸部の内側の空間に均一磁場を形成するための電流密度分布が得られるように単位コイルごとに設定される。【選択図】図1

Description

本発明は、均一性の高い磁場を形成するための超電導マグネット及びその製造のための方法に関する。
超電導マグネットの中には、例えばMRI(Magnetic Resonanse Imaging;磁気共鳴画像)装置やNMR(nuclear magnetic resonance;核磁気共鳴)装置に用いられる超電導マグネットのように、均一度の高い磁場空間の形成が要求されるものがある。
従来、このような超電導マグネットとして、特許文献1に記載されるものが知られている。この超電導マグネットは、中心軸に沿って配列される複数の超電導コイルを備え、各超電導コイルは、巻枠と、当該巻枠にソレノイド状に巻き付けられる超電導線材と、を有する。各超電導コイルは、低温容器内に収容されて超電導状態に至るまで冷却され、その状態で当該各コイルを構成する超電導線材に電流が流されることにより、強力な磁場が形成される。ここで、各超電導コイルの仕様(コイル径、巻数、軸長等)は、マグネット全体が均一な磁場空間を形成することが可能となるように設定されている。
特開2008−085376号公報
前記のような複数の超電導コイル(ソレノイドコイル)によって磁場を形成する超電導マグネットでは、構造が複雑である上、超電導線材に無駄が多いために総重量が大きく、また製造も容易でないという技術的課題がある。さらに、前記のように中心軸に沿って配列される複数のソレノイド式の超電導コイル(いわゆるメインコイル)のみで均一性の高い磁場を形成するための電流密度分布を高精度で実現することは事実上困難であり、実際には相当数の補正コイルを付加する必要がある。このことはマグネット全体の構造の複雑化及び重量の増大をより顕著にする。
マグネット重量の増大を抑える手段として、前記特許文献1は、少なくとも一部の超電導コイルの断面形状を矩形ではなく当該矩形の角部を削ったような被矩形形状とすることで不要な線材部分を削減する技術を開示するが、当該技術は抜本的な解決策とはなっていない。さらに、ソレノイド状の超電導コイルを前記のような被矩形形状にするためには、巻枠と超電導線材との間に変則的な形状のスペーサを逐次介在させながら当該超電導線材の巻き付け作業を進める必要があり、このことはむしろ、マグネットの構造の複雑化及びその製造の難易性を助長する結果を招く。
本発明は、このような事情に鑑み、複雑な構造を要することなく小さなコイル重量で均一磁場を形成することが可能な超電導マグネット、及び、当該超電導マグネットを容易に製造することが可能な方法を提供することを目的とする。
本発明により提供される超電導マグネットは、中心軸を有する円筒状の軸部及び当該軸部の周囲の空間を前記中心軸と平行な軸方向に沿って並ぶ複数のコイル形成空間に仕切るように互いに間隔をおいて配列される仕切り壁を有する巻枠と、前記各コイル形成空間内において同心円状にかつ径方向に積み重なるように巻き付けられることにより単位コイルを形成する超電導線材と、前記複数のコイル形成空間にそれぞれ形成される複数の前記単位コイルのコイル径をそれぞれ固定すべく当該単位コイルを径方向の外側から拘束するように当該単位コイルの径方向外側に配置される拘束部と、を備え、各単位コイルのコイル径が、前記軸部の内側の空間に均一磁場を形成するための電流密度分布が得られるように当該単位コイルごとに設定されたものである。
この超電導マグネットによれば、軸方向に配列された複数の単位コイルのそれぞれのコイル径を、均一磁場を形成するための目標電流密度分布に対応した径に個別に設定することにより、当該目標電流密度分布を高い精度で実現することが可能である。このことは、従来のように複数種のソレノイド状の超電導コイルが特殊な間隔で間欠的に並べられる構造に比べ、より簡素な構造で高い均一性をもつ磁場を形成することを可能にするとともに、当該磁場を形成するための補正コイルの追加の必要性をなくし、もしくは当該補正コイルを著しく簡素化することを可能にする。
前記各単位コイルを構成する前記超電導線材は、厚み方向に偏平な断面形状を有し、当該厚み方向が前記単位コイルの径方向と合致する状態で当該径方向に積み重なるように前記巻枠に巻き付けられるものが、好ましい。このように単位コイルの径方向に偏平な断面形状をもつ超電導線材は、例えば円形断面をもつ超電導線材に比べて高い充填率で巻枠に巻き付けられることが可能である。このことは、よりコンパクトかつ安定した構造で均一磁場を形成することを可能にする。
前記単位コイルは、例えば、シングルパンケーキコイルやダブルパンケーキコイルによって構成されることが可能である。このうち、ダブルパンケーキコイルは、前記単位コイルのうち互いに軸方向に隣り合う2つの単位コイルを含み、かつ、当該2つの単位コイルの内側端同士が連続しかつそれぞれの外側端がともに他の単位コイルと接続可能な接続端であるものを構成することが可能である。つまり、当該ダブルパンケーキコイルは、単位コイル同士の接続箇所の数を減らすのに加え、当該ダブルパンケーキコイルの両端である2つの接続端をともに径方向の外側に位置させて他の単位コイルとの接続を容易にすることができる利点がある。また、当該2つの単位コイルの外径を互いに異ならせることも可能である。
従って、前記超電導マグネットに含まれる単位コイルの総数が偶数である場合は、その全ての単位コイルが複数の前記ダブルパンケーキコイルにより構成されることが、好ましい。一方、前記超電導マグネットに含まれる単位コイルの総数が奇数である場合は、前記複数の単位コイルのうち軸方向の一方の端に位置する単位コイルがシングルパンケーキコイルにより構成され、残りの単位コイルが複数の前記ダブルパンケーキコイルにより構成されるのが、好ましい。いずれの場合も、最大数のダブルパンケーキコイルを用いて各単位コイルを構成することが可能である。
また本発明は、前記超電導マグネットを容易に製造することを可能にする方法を提供する。この方法は、複数の単位巻枠であって各単位巻枠が中心軸を囲む中空円筒状の単位軸部と当該単位軸部の軸方向の両端において当該軸部の外周面よりも外向きに突出する一対のフランジ部とを有するものを用意する工程と、前記複数の単位巻枠のそれぞれの単位軸部の周囲に超電導線材を同心円状にかつ径方向に積み重なるように巻き付けることにより複数の単位コイルを形成する工程と、各単位巻枠における前記一対のフランジ部同士の間の領域内で前記単位コイルの径方向の外側の領域に拘束部を配置して当該単位コイルのコイル径を固定する工程と、前記複数の単位巻枠の中心軸が互いに合致するように当該複数の単位巻枠を当該中心軸に沿って配列して相互に連結することにより、当該複数の単位巻枠の単位軸部が全体として単一の中空円筒状の軸部を構成しかつ互いに隣接するフランジ部が単位コイル同士の間を仕切る仕切り壁を構成する単一の巻枠を形成し、これにより超電導マグネットを形成する工程と、を含む。さらに、この方法では、前記複数の単位コイルを形成する工程において、それぞれの単位コイルのコイル径が均一磁場を形成するための目標電流密度分布に対応するように前記単位巻枠の単位軸部に対する前記超電導線材の巻き付けが行われる。
ここで、前記拘束部を配置する工程と前記単位巻枠同士を相互に連結する工程はいずれが先に実行されてもよい。すなわち、既に前記拘束部が配置された単位巻枠同士が相互に連結されてもよいし、単位巻枠同士が相互に連結された後に各単位巻枠に前記拘束部が配置されてもよい。
この方法によれば、前記複数の単位巻枠のそれぞれに対する超電導線材の巻き付けによる単位コイルの形成と、単位巻枠同士の連結と、によって、単一の巻枠と複数の単位コイルを具備する超電導マグネットを形成することが可能であり、しかも、各単位コイルのコイル径が目標電流密度分布に対応した径となるように前記超電導線材の巻き付けを行うことによって、形成される前記超電導マグネットに高い均一性をもつ磁場を形成する能力を付与することができる。
本発明の実施の形態に係る超電導マグネットを模式的に示した断面正面図である。 前記超電導マグネットにおいて互いに隣接する2つの単位コイルを構成するためのダブルパンケーキコイルの例を示す斜視図である。 前記超電導マグネットによって得られる、均一磁場を形成するための電流密度分布を示すグラフである。 本発明の実施の形態とは異なる参考形態を示す図であって前記電流密度分布を得るためのソレノイドコイルの配置を示す断面正面図である。 図1に示される超電導マグネットを構成する単位コイルを示す断面正面図である。 前記単位コイルの変形例を示す断面正面図である。 本発明の実施例に係る超電導マグネットを模式的に示した断面正面図である。 比較例に係る超電導マグネットを模式的に示した断面正面図である。 前記実施例に係る超電導マグネットにおける磁場均一度を示すグラフである。 前記比較例に係る超電導マグネットにおける磁場均一度を示すグラフである。 前記磁場均一度の特定の基準となる球を示す図である。
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る超電導マグネット2を模式的に示したものである。この超電導マグネット2は、中心軸Xを囲む円筒状をなす。当該超電導マグネット2は、同じく中心軸Xを囲む筒状の低温容器4内に収容され、冷媒(例えば液体ヘリウムや液体窒素)への浸漬または極低温冷凍機への熱的な接続により超電導状態に至るまで冷却された状態で通電されることにより、強力な磁場を形成する。図1では当該超電導マグネット2のうち前記中心軸Xよりも上側の部分すなわち上半部の断面のみが示され、下半部が省略されている。
前記超電導マグネット2は、巻枠10と、複数の単位コイル20をそれぞれ形成する超電導線材22と、拘束部30と、を備える。
前記巻枠10は、前記中心軸Xを囲む円筒状の軸部12と、複数の仕切り壁14と、を有する。当該複数の仕切り壁14は、前記軸部12の周囲の空間を前記中心軸Xと平行な軸方向に沿って並ぶ複数のコイル形成空間に仕切るように、当該軸方向に所定の間隔をおいて配列される。巻枠10を構成する材料は、特に限定されないが、各単位コイル20を保持するのに十分な強度を有する構造材料であって非磁性のもの、例えばステンレス鋼やFRP、が好ましい。
前記超電導線材22は、前記各コイル形成空間内において前記軸部の周囲に同心円状にかつ径方向に積み重なるように巻き付けられることにより前記複数の単位コイル20を形成する。このようにして形成される各単位コイル20は、いわゆるパンケーキコイルに相当する。図1に示される例では、各単位コイル20がいわゆるシングルパンケーキコイル、つまり径方向内側端から径方向外側端に至るまで同心円状に超電導線材22が巻かれたコイル、に相当している。しかし、本発明に係る単位コイルは、いわゆるダブルパンケーキコイル、すなわち、2つのシングルパンケーキコイルの径方向内側端同士が相互につながったコイル、によって構成されていてもよい。
前記ダブルパンケーキコイルは、例えば図2に示すように、前記単位コイル20のうち互いに軸方向に隣り合う2つの単位コイル20を含み、かつ、当該2つの単位コイル20の内側端同士が連続しかつそれぞれの外側端が他の単位コイルと接続可能な接続端23であるものを構成することが可能である。換言すれば、前記ダブルパンケーキコイルは、単位コイル20同士の接続箇所の総数を減らすのに加え、当該ダブルパンケーキコイルの両端である2つの接続端23をともに径方向の外側に位置させて他の単位コイルとの接続を容易にすることができる利点がある。また、当該2つの単位コイル20の外径を互いに異ならせることも可能である。
従って、単位コイルの総数が偶数である超電導マグネット、例えば後に実施例として図7に示す超電導マグネット2A(単位コイルの総数が30)、では、その全ての単位コイルが複数の前記ダブルパンケーキコイルにより構成されることが、好ましい。一方、単位コイルの総数が奇数である超電導マグネット、例えば図1に示される超電導マグネット2(単位コイルの総数が29)、では、前記複数の単位コイルのうち軸方向の一方の端(例えば図1の左端または右端)に位置する単位コイルのみがシングルパンケーキコイルにより構成され、残りの単位コイルが複数の前記ダブルパンケーキコイルにより構成されるのが、好ましい。いずれの場合も、最大数のダブルパンケーキコイルを用いて各単位コイルを構成することが可能である。また、前記複数の単位コイル20のうち互いに隣接する単位コイル20のコイル端同士(径方向内側端同士または外側端同士は適当な接続部材を介して相互に接続されることにより、単一の超電導コイルが形成されることが可能である。
前記巻枠10の寸法は、前記各単位コイル20の寸法に合わせて設定されている。具体的に、互いに隣接する仕切り壁14同士の間隔つまり各コイル形成空間の幅寸法は、前記超電導線材22の幅寸法と略同等またはそれ以上に設定され、各仕切り壁14の外径は前記複数の単位コイル20のコイル径のうちの最大のコイル径よりも大きな径に設定されている。
前記超電導線材22は、この実施の形態では、テープ状、すなわち厚み方向に偏平な断面(図1に示す例では厚み方向に短辺をもつ略矩形)をもつ形状、をなし、その厚み方向が前記単位コイル20の径方向に合致する状態で当該径方向に積み重なるように前記巻枠10に巻付けられている。当該超電導線材22の具体的な材質は、特に限定されない。例えば、ビスマス系超電導線材(例えば住友電気工業(株)製BISCO Type−HiSSが好適である。
前記超電導マグネット2の特徴として、前記各単位コイル20の外径であるコイル径(図1では代表的に右端の単位コイル20のコイル径Dcが示される。)は、前記超電導マグネット2が全体として所定の目標電流密度分布をもつように、当該単位コイル20ごとに個別に設定されている。当該目標電流密度分布は、図1及び図3に実線L1で示されるような電流密度分布であって、前記中心軸X上での軸方向の中心点Oを中心にもつ所定径の球状空間内に均一の磁場を形成するための電流密度分布である。実際に超電導マグネット2により形成される電流密度分布は、前記実線L1で示される電流密度分布のうち電流の向きが負の部分を破線L2に示すように正に反転させた分布であるが、このような反転を含む分布によっても高い精度で均一磁場を形成することが可能である。
前記拘束部30は、前記各単位コイル20のコイル径を固定すべく当該単位コイル20を径方向の外側から拘束するように当該単位コイル20の径方向外側に配置される。具体的に、この実施の形態に係る拘束部30は、互いに隣り合う仕切り壁14同士の間にそれぞれ形成された前記コイル形成空間内において前記単位コイル20の径方向の外側の領域に充填され、当該単位コイル20が径方向の外側に膨らむことを阻止することにより当該単位コイル20のコイル径を安定させる。図1に示される例では、各拘束部30の外径がその内側の単位コイル20のコイル径にかかわらず一定に揃えられているが、当該拘束部30の外径は必ずしも統一されていなくてもよい。
以上説明した超電導マグネット装置によれば、軸方向に配列された複数の単位コイル20のそれぞれのコイル径を、均一磁場を形成するための目標電流密度分布に対応した径に設定することにより、当該目標電流密度分布を高い精度で実現することが可能である。例えば、当該目標電流密度分布を従来と同様に参考形態として図4に示すような複数種のソレノイドコイル(円形断面の超電導線材がいわゆる俵積みで巻き付けられたコイル)C1〜C6の軸方向に沿った配列によって実現しようとすると、各ソレノイドコイルC1〜C6の構造及び配置の設計が非常に難しいのに加え、当該ソレノイドコイルC1〜C6のみで目標電流密度分布を高い精度で実現することは事実上困難であることから相当数の補正コイルを追加する必要がある。これに対し、図1に示される超電導マグネット2では、互いに径の異なる複数のパンケーキ状の単位コイル20が軸方向に積層されるという簡素な構造において、各単位コイル20のコイル径を設定するだけの簡単な設計で、高い均一性をもつ磁場を形成することが可能である。しかも、前記磁場を形成するための補正コイルを追加する必要がなく、また、当該補正コイルを追加する場合でも当該補正コイルの構造を著しく簡素化することが可能である。
このように複数の単位コイル20のコイル径の設定により得られる電流密度分布の精度は、各単位コイル20の幅寸法(中心軸Xと平行な方向の寸法)を小さくして当該単位コイル20の個数を増やすほど高くなる。換言すれば、前記各単位コイル20の幅寸法の設定により、電流密度分布の向上とコストとのバランスをその要求に応じて自由に設定すること、が可能である。
また、前記のように軸方向に並ぶ複数の単位コイル(パンケーキコイル)20を備えるものにおいて、それぞれの単位コイル20のコイル径を目標電流密度分布に対応させることは、当該電流密度分布の精度を高めるだけでなく、超電導線材22のうち当該電流密度分布の形成に寄与しない無駄な部分の存在を大幅に減らす。このことは、従来の超電導マグネットに比べて超電導マグネット2の著しい軽量化を可能にする。
さらに、前記超電導マグネット2は、以下の工程を含む方法によって容易に製造されることが可能である。
1)単位巻枠の用意
前記超電導マグネット2は、図1に示される軸部12と複数の仕切り壁14とを一体に有する巻枠10を予め用意することによっても製造されることが可能であるが、複数の単位巻枠、例えば図5に示されるような単位巻枠40を用意することが、超電導マグネット2の製造をより容易にする。前記単位巻枠40は、前記中心軸Xを囲む中空円筒状の単位軸部42と、当該単位軸部42の軸方向の両端において当該軸部42の外周面よりも外向きに突出する一対のフランジ部44と、を有し、当該一対のフランジ部44同士の間にコイル形成空間を画定する。各フランジ部44は、図1に示される複数の単位コイル20のコイル径のうちの最大のコイル径よりもさらに大きい外径を有する。
2)単位コイルの形成
前記複数の単位巻枠40のそれぞれの単位軸部42の周囲の空間(つまり一対のフランジ部44同士の間に画定されるコイル形成空間)において、当該単位軸部42に超電導線材22が同心円状にかつ径方向に積み重なるように巻き付けられ、これにより複数の単位コイル20が形成される。図1及び図5に示されるように厚み方向に偏平な断面をもつ形状(例えばテープ状)の超電導線材22が用いられる場合、当該超電導線材22はその厚み方向が前記単位コイル20の径方向に合致する状態で当該径方向に積み重なるように前記単位巻枠40に巻き付けられる。このことは、各単位コイル20がダブルパンケーキコイルにより構成される場合にも同様である。
本発明において用いられる超電導線材の断面形状は図1及び図5に示されるものに限定されない。例えば、図6に示されるような円形の断面をもつ超電導線材24が前記単位軸部42に巻き付けられることによっても、単位コイル20が形成されることが可能である。しかし、図1及び図5に示されるような断面をもつ超電導線材22は高い充填率で前記単位巻枠40に巻き付けられることが可能であり、このことはコンパクトかつ安定した構造の単位コイル20の形成を可能にする。
3)拘束部の形成
前記各単位巻枠40における前記一対のフランジ部44同士の間の領域内で前記単位コイル20の径方向の外側の領域に拘束部30が配置される。当該拘束部30は、例えば、前記領域に流動性を有する樹脂(例えばエポキシ樹脂)を充填してこれを固化することにより、形成されることが可能である。当該拘束部30は、前記単位コイル20を構成する前記超電導線材22が径方向外側に膨らむのを阻むように当該超電導線材22を拘束し、これにより当該単位コイル20のコイル径を安定させる。この拘束部30は、図6に示されるように円形断面をもつ超電導線材24が使用される場合にも、その径方向の外側の領域46に前記と同様に形成されることが可能である。
4)超電導マグネットの形成
前記のようにして単位コイル20が形成された複数の単位巻枠40の中心軸が互いに合致するように当該複数の単位巻枠40が当該中心軸に沿って配列され、相互に連結されることにより、超電導マグネット2が形成される。ここで、当該複数の単位巻枠40の単位軸部42が全体として単一の巻枠10における中空円筒状の軸部12を構成し、互いに隣接して相互に接合されるフランジ部44が、前記巻枠10において単位コイル20同士の間を仕切る仕切り壁14を構成する。
さらに、より好ましくは、互いに隣接する単位コイル20のコイル端(接続端すなわち径方向外側端または径方向内側端)同士が適当な接続部材を介して接続されることにより、複数の単位コイル20同士も相互に一体化されて単一の超電導コイルを構成する。当該接続部材による接続態様は限定されない。当該接続部材の具体的な態様としては、互いに隣接する単位コイル20同士の間に介在する仕切り壁14(すなわち互いに隣接するフランジ部44,44)を跨ぐようにして当該単位コイル20の径方向外側端同士を接続するものや、当該仕切り壁14に形成された貫通穴を通じて単位コイル20の径方向内側端同士を直接接続するもの、あるいは、超電導マグネット2から離れた低磁場領域で単位コイル20同士を接続するもの、などが挙げられる。また、前記複数の単位コイル20のうちの少なくとも一部が前記のダブルパンケーキコイルにより構成されることにより、単位コイル20同士の接続箇所の数が削減される。
前記拘束部30の形成と、前記複数の単位巻枠40同士の合体による超電導マグネット2の形成は、前後してもよい。例えば、当該複数の単位巻枠40が相互に合体して仕切り壁14が形成された後に、互いに隣接する仕切り壁14同士の間で各単位コイル20の径方向の外側の領域に拘束部30が一括して配置されてもよい。
実施例として、前記の方法により、図7に示されるような超電導マグネット2AであってMRI装置仕様のものが作製された。一方、比較例として、同じくMRI装置での使用を前提に、図8に示すような複数のソレノイドコイルC1〜C5が目標電流密度分布を形成するように配置されたMRI用超電導マグネット2Bが作製された。
前記実施例及び比較例に係る超電導マグネットのパラメータを図7,図8及び表1に示す。
Figure 2017176818
前記パラメータのうちの「磁場均一度」は、図7及び図8に示される中心軸X上での軸方向の中心点Oを中心にもつ直径450mmの球50における磁場の均一度を評価した値である。具体的には、図9及び図10にそれぞれ示すように、実施例及び比較例について前記球50の表面上における磁場の分布がppmで評価され、その最大値と最小値の差が「磁場均一度」として算定される。図9及び図10に示されるグラフの横軸は、図11に示されるように前記球50の表面上の各点Pの位置を前記中心軸Xを基準とした角度αで表したものであり、縦軸は前記中心点Oにおける磁束密度Boと各点Pにおける磁束密度Bとの差を当該中心点Oにおける磁束密度Boで除した値(=(B−Bo)/Bo)である(単位はppm)。
図7,図8及び表1に示されるように、実施例に係る超電導マグネット2Aによれば、比較例に係る超電導マグネット2Bと略同等の寸法で同等の強度をもつ磁場を形成することが可能であり、しかも、その形成される磁場の(直径450mmの球面上での)均一度を比較例と同等のレベルに維持しながら、当該超電導マグネットを構成する超電導線材の重量を大幅に減らすこと、つまり軽量化を達成すること、が可能である。
2,2A 超電導マグネット
10 巻枠
12 軸部
14 仕切り壁
20 単位コイル
22,24 超電導線材
23 接続端
30 拘束部
40 単位巻枠
42 単位軸部
44 フランジ部

Claims (5)

  1. 超電導マグネットであって、
    中心軸を有する円筒状の軸部及び当該軸部の周囲の空間を前記中心軸と平行な軸方向に沿って並ぶ複数のコイル形成空間に仕切るように互いに間隔をおいて配列される仕切り壁を有する巻枠と、
    前記各コイル形成空間内において同心円状にかつ径方向に積み重なるように巻き付けられることにより単位コイルを形成する超電導線材と、
    前記単位コイルのコイル径を固定すべく当該単位コイルを径方向の外側から拘束するように当該単位コイルの径方向外側に配置される拘束部と、を備え、
    前記各単位コイルのコイル径が、前記軸部の内側の空間に均一磁場を形成するための電流密度分布が得られるように当該単位コイルごとに設定されている、超電導マグネット。
  2. 請求項1記載の超電導マグネットであって、前記超電導線材は、厚み方向に偏平な断面形状を有し、当該厚み方向が当該単位コイルの径方向と合致する状態で当該径方向に積み重なるように前記巻枠に巻き付けられる、超電導マグネット。
  3. 請求項2記載の超電導マグネットであって、当該超電導マグネットに含まれる前記単位コイルの総数が偶数であり、その全ての単位コイルが複数のダブルパンケーキコイルにより構成され、当該複数のダブルパンケーキコイルのそれぞれは、前記単位コイルのうち互いに軸方向に隣り合う2つの単位コイルを含み、かつ、当該2つの単位コイルの内側端同士が連続しかつそれぞれの外側端がともに他の単位コイルと接続可能な接続端であるものを構成する、超電導マグネット。
  4. 請求項2記載の超電導マグネットであって、当該超電導マグネットに含まれる単位コイルの総数が奇数であり、前記複数の単位コイルのうち軸方向の一方の端に位置する単位コイルがシングルパンケーキコイルにより構成され、残りの単位コイルが複数のダブルパンケーキコイルにより構成され、当該複数のダブルパンケーキコイルのそれぞれは、前記単位コイルのうち互いに軸方向に隣り合う2つの単位コイルを含み、かつ、当該2つの単位コイルの内側端同士が連続しかつそれぞれの外側端がともに他の単位コイルと接続可能な接続端であるものを構成する、超電導マグネット。
  5. 超電導マグネットを製造するための方法であって、
    複数の単位巻枠であって各単位巻枠が中心軸を囲む中空円筒状の単位軸部と当該単位軸部の軸方向の両端において当該軸部の外周面よりも外向きに突出する一対のフランジ部とを有するものを用意する工程と、
    前記複数の単位巻枠のそれぞれの単位軸部の周囲に超電導線材を同心円状にかつ径方向に積み重なるように巻き付けることにより複数の単位コイルを形成する工程と、
    前記各単位巻枠における前記一対のフランジ部同士の間の領域内で前記単位コイルの径方向の外側の領域に拘束部を配置して当該単位コイルのコイル径を固定する工程と、
    前記複数の単位巻枠の中心軸が互いに合致するように当該複数の単位巻枠を当該中心軸に沿って配列して相互に連結することにより、当該複数の単位巻枠の単位軸部が全体として単一の中空円筒状の軸部を構成しかつ互いに隣接するフランジ部が単位コイル同士の間を仕切る仕切り壁を構成する単一の巻枠を形成し、これにより超電導マグネットを形成する工程と、を含み、
    前記複数の単位コイルを形成する工程では、それぞれの単位コイルのコイル径が均一磁場を形成するための目標電流密度分布に対応するように前記単位巻枠の単位軸部に対する前記超電導線材の巻き付けが行われる、超電導マグネットの製造方法。
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US11218993B2 (en) * 2018-06-29 2022-01-04 Qualcomm Incorporated Service request prioritization for intra-UE service multiplexing

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