JP2017176397A - 人工鼻 - Google Patents
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Abstract
【課題】多孔質体に形成されたスリットが呼気および吸気の流路としてはたらくとともに、前記流路が狭まりにくい構造である、圧力損失が少なく通気性の高い人工鼻を提供する。
【解決手段】長手方向に並ぶ複数のジグザグ形状のスリット2が形成された帯状の多孔質体を、スリット2を径方向外側に向けた渦巻状に巻回してなる湿熱交換材5と、湿熱交換材5を収容するハウジング8とからなる人工鼻であって、ハウジング8が、湿熱交換材5の軸方向一端側に一の開口部を、前記軸方向他端側に他の開口部をそれぞれ有し、スリット2が、前記長手方向と交差する形状であり、湿熱交換材5の前記一の開口部および前記他の開口部に面している部分におけるスリット2端部の前記長手方向に対する角度は、スリット2の70%以上の本数が、70°を超えて90°以下の範囲内にある。
【選択図】図3
【解決手段】長手方向に並ぶ複数のジグザグ形状のスリット2が形成された帯状の多孔質体を、スリット2を径方向外側に向けた渦巻状に巻回してなる湿熱交換材5と、湿熱交換材5を収容するハウジング8とからなる人工鼻であって、ハウジング8が、湿熱交換材5の軸方向一端側に一の開口部を、前記軸方向他端側に他の開口部をそれぞれ有し、スリット2が、前記長手方向と交差する形状であり、湿熱交換材5の前記一の開口部および前記他の開口部に面している部分におけるスリット2端部の前記長手方向に対する角度は、スリット2の70%以上の本数が、70°を超えて90°以下の範囲内にある。
【選択図】図3
Description
本発明は、人工呼吸器などの使用時に、吸気の温度および湿度を好適な状態に維持するための人工鼻に関する。
従来より、麻酔器や人工呼吸器などの使用時に、これらの機器から供給される乾燥した吸気を加湿するためのデバイスとして、患者の呼気に含まれる水蒸気を捕捉しつつ、その水蒸気によって吸気を加湿する湿熱交換材を備えた人工鼻が知られている。このような受動的なデバイスは、加湿器や熱源を備えた能動的なデバイスと比較して小型、軽量かつ安価であり、しかも、加湿器や熱源の操作ミスに起因する加湿不足などの医療事故につながる問題が少ないことから、医療現場で広く利用されている。
人工鼻においては、患者の負担軽減という観点から、吸気に十分な湿分を与えて吸気の湿度を維持すること、および圧力損失が小さく均一であることが要求される。また、外部から湿分を供給する仕組みを持たないため、呼気に含まれる湿分を捕捉する湿分保持性能も重要となる。そこで、例えば、呼気に含まれる湿分を確実に捕捉すべく、コルゲート紙片からなる補助湿熱蓄積体が患者側開口部側に配設された呼吸ガス用温湿度交換器であって、グリコール類や塩化カルシウムなどの吸湿性物質が補助湿熱蓄積体に含有されてなるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような呼吸ガス用温湿度交換器においては、補助湿熱蓄積体を設けることにより従来品と比べて圧力損失が増大するおそれがあり、湿分保持性能は向上しているものの、通気性の確保という点からは必ずしも十分とはいえなかった。また、補助湿熱蓄積体をハウジングに収容する工程や吸湿性物質を補助湿熱蓄積体に含有させる工程が必要となるため、製造コストの上昇を抑えることが難しかった。
そこで、比較的単純な構造にて圧力損失の低減および湿分保持性能の向上を実現することを目的として、長手方向に並ぶ複数のスリットが形成された帯状の多孔質体を、前記スリットを径方向外側に向けた渦巻状に巻回してなる湿熱交換材と、該多孔質フィルターを収容するハウジングとからなる人工鼻が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、帯状の多孔質体を巻回した際、あるいは使用中に、前記スリット間の多孔質体が倒れ、スリット部分に隙間ができずに空気流路が狭まってしまうことがある。本発明は上記課題を解決するものであり、患者の負担が低減された人工鼻を低コストで提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の人工鼻は、長手方向に並ぶ複数のジグザグ形状のスリットが形成された帯状の多孔質体を、前記スリットを径方向外側に向けた渦巻状に巻回してなる湿熱交換材と、前記湿熱交換材を収容するハウジングとからなる人工鼻であって、前記ハウジングが、前記湿熱交換材の軸方向一端側に一の開口部を、前記軸方向他端側に他の開口部をそれぞれ有し、前記スリットが、前記長手方向と交差する形状であり、前記湿熱交換材の前記一の開口部および前記他の開口部に面している部分における前記スリット端部の前記長手方向に対する角度は、前記スリットの70%以上の本数が、70°を超えて90°以下の範囲内にあることを特徴とする。
本発明の人工鼻において、前記スリットは、前記多孔質体の表面にスリット深さ率が40%以上95%以下で形成されていることが好ましい。
本発明の人工鼻において、前記スリットの前記スリット端部以外の部分は、前記長手方向と30°以上70°以下の交差角度をなして交差する形状に形成されていることが好ましい。
本発明の人工鼻において、前記多孔質体の吸水倍率が500%以上であることが好ましい。
本発明の人工鼻において、前記多孔質体がセルローススポンジからなることが好ましい。
本発明の人工鼻は、人工呼吸器に接続可能であることが好ましい。
本発明によれば、多孔質体に形成されたスリットが呼気および吸気の流路としてはたらくとともに、前記流路が狭まりにくい構造であるので、圧力損失が少なく通気性の高い人工鼻を提供することができる。また、圧力損失の大きさ、湿分保持性能および加湿性能をスリットの形状によってコントロールすることができるため、様々な性能要求に柔軟に対応することが可能となる。とくに、スリットの形状をコントロールすることにより、高い通気性を維持しつつ優れた加湿性能を発揮することが可能となり、患者の負担を軽減することができる。さらに、このような人工鼻は構造が比較的簡単であるため低コストで製造することができ、生産性に優れている。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定および制限されない。なお、以下で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。
図1に、本発明に係る人工鼻に用いられる多孔質体の一例を示す。図1(A)は多孔質体1の概略斜視図、図1(B)は多孔質体1の部分拡大斜視図、図1(C)は多孔質体1の部分拡大平面図である。また、図1(A)〜(C)に示す座標軸において、X軸は多孔質体1の長手方向を、Y軸は幅方向を、Z軸は厚さ方向を、それぞれ示している。図1(B)に示すように、厚さがTである帯状の多孔質体1の一方の表面には、深さがDであるスリット2が、多孔質体1の長手方向と交差する形状で、複数並んで形成されている。各スリット2は、複数の直線状部3が屈曲部4を介して連なるジグザグ形状に形成されている。
スリット2は、多孔質体1の表面にスリット深さ率40%〜95%で形成されていることが好ましい。ここで、スリット深さ率とは、多孔質体の厚さTに対するスリットの深さDの比率D/T(%)のことである。スリット深さ率が40%未満の場合、呼気および吸気の流路が細くなるため、圧力損失が増大しやすくなり、通気性の確保が難しくなる。また、スリット深さ率が95%を超える場合、多孔質体1の強度の確保が困難となり、多孔質体1が破損しやすくなるおそれがある。スリット深さ率を上述の範囲内とすることにより、多孔質体1の強度を維持しつつ十分な通気性を確保することが可能となる。
図2に、図1の帯状の多孔質体1を用いてなる湿熱交換材5の概略斜視図を示す。図2に示すように、湿熱交換材5は、多孔質体1を長手方向に渦巻状に巻回して形成されている。湿熱交換材5において、多孔質体1は、スリット2が形成されている側が径方向外側となるように巻回されている。
図3に、図2の湿熱交換材5を用いてなる人工鼻9の一例の概略図を示す。図3(A)は人工鼻9の構造を示す模式図、図3(B)は人工鼻9の概略斜視図、図3(C)は人工鼻9の概略縦断面図である。図3(A)および(B)に示すように、人工鼻9は、蓋部材6および筐体部材7からなるハウジング8に湿熱交換材5が収容されてなる。ハウジング8は、湿熱交換材5の軸方向一端側に一の開口部を、前記軸方向他端側に他の開口部をそれぞれ有している。人工鼻9は、筐体部材7に湿熱交換材5を収容した後、蓋部材6を筐体部材7に固定することにより製造される。なお、蓋部材6を筐体部材7に固定する方法はとくに限定されるものではなく、例えば、両部材の接合部を超音波溶着法などにより熱溶着する方法や、両部材を接着する方法、ねじなどの固定部材を用いて固定する方法、一の部材に係合爪を、他の部材に係合溝を設け、係合爪を係合溝に係合させる方法、一の部材に雌ねじ部を、他の部材に雄ねじ部をそれぞれ設け、雌ねじ部を雄ねじ部に螺合する方法などを挙げることができる。これらの方法の中でも、密閉性の確保および取扱いの容易さの観点から、熱溶着または接着により両部材を固定する方法が好ましい。
湿熱交換材5がハウジング8の前記両開口部に面している部分において、スリット2の70%以上の本数は、スリット2端部の前記長手方向に対する角度が70°を超えて90°以下の範囲内にある。ここで、スリット2端部の前記長手方向に対する角度とは、図1(C)においてαで示す角度であり、多孔質体1の長手方向とスリット2端部とが交差する箇所における鋭角または直角の角度を指す。本発明において、スリット2端部は、多孔質体1を巻回してなる湿熱交換材5の軸方向両端を連通する流路入口となるため、前記角度が70°を超えるスリットの割合が70%以上と大きくなると、圧力損失を抑制し通気性を向上させることができる。前記両開口部に面している部分のスリット2の角度が所定範囲内にあり、さらに、スリット2はジグザグ形状であるので、多孔質体1を巻回した際、あるいは使用中に、スリット2間の多孔質体1が倒れにくく、空気流路を確保することができる。このような構造とすることで、湿熱交換材5は圧力損失の増大を最小限に抑えつつ、優れた湿分保持性能および加湿性能を発揮することが可能となる。
スリット2は、屈曲部または湾曲部を有するジグザグ形状に形成されているが、複数の屈曲部または湾曲部を有する形状にジグザグ形成されていることが好ましい。このようにスリットに屈曲部または湾曲部を設けることにより、直線状のスリットが形成された湿熱交換材を複数積層した場合とほぼ同等の効果を単一の湿熱交換材にて実現することができ、組立工程の複雑化や通気性の低下を最小限に抑えつつ、加湿性能および湿分保持性能の向上を図ることができる。なお、通気性の確保の観点から、上記屈曲部または湾曲部の角度は鈍角であることが好ましく、屈曲部または湾曲部によって区切られた、スリット端部以外の部分(区間)においては、当該区間と多孔質体の長手方向との交差角度(図1(C)においてβで示す角度)は30°以上70°以下であることが好ましい。前記範囲外の交差角度を有するスリットを含んでいないことが好ましいが、ばらつきを許容しないものではなく、スリットの70%以上の本数が前記交差角度の範囲内にあればよい。
図3(C)に示すとおり、人工鼻9においては、湿熱交換材5に形成されたスリット2が呼気および吸気の流路としてはたらくため、圧力損失が最小限に抑えられて通気性が確保される。また、スリット2には屈曲部が設けられているので、呼気がスリット2の屈曲部を通過する際に、呼気に含まれる水蒸気の一部が湿熱交換材5に吸収されることとなり、湿熱交換材5は優れた湿分保持性能を発揮する。
本発明の人工鼻9は、実質的に湿熱交換材5をハウジング8に収容するだけの単純な構造であるので、組立工程を簡素化でき、製造コストを低く抑えることができる。なお、人工鼻のハウジング8内には湿熱交換材5以外の部材を収容してもよい。湿熱交換材5以外の部材としては、例えば、バクテリアフィルター等があげられる。バクテリアフィルターを収容する場合、ハウジング内の人工呼吸器側に配置し、吸気の汚染を防止することが可能である。
多孔質体1の吸水倍率は500%以上であることが好ましく、1000%以上であることがより好ましい。ここで、吸水倍率とは、多孔質体を水に浸漬させ吸水させた際の重量の増加率のことを指し、乾燥時の重量W0に対する浸漬後の重量Wの比率W/W0(%)で表す。湿熱交換材5を構成する多孔質体1の吸水倍率が500%以上である場合、従来品よりも小型の湿熱交換材にて従来と同等かまたはそれ以上の湿分保持性能を発揮することができるため、湿熱交換材、ひいては人工鼻全体のコンパクト化を図ることができる。また、人工鼻の小型化により、取扱いの容易さが向上し、患者の負担の低減が図られる。さらに、多孔質体単体で十分な湿分保持性能を発揮することができるため、吸湿性材料(例えば、塩化カルシウム、グリコール類、アクリル酸化合物等)の量を削減したり、吸湿性材料の使用自体を廃止することができ、製造コストの低減を図ることができる。
上記多孔質体はセルローススポンジからなることが好ましい。セルローススポンジは、ウレタン樹脂等の他の樹脂と比較して耐熱性が高く、一般的な有機溶剤に対して安定であり、吸水性に優れているので、湿分保持性能が高く耐久性に優れた人工鼻を提供することができる。また、植物性繊維からなるセルローススポンジは生分解性を有しており、燃焼時に有毒ガスを放出することもないため、環境保護の観点からも好ましい。
本発明に係る人工鼻に用いられる湿熱交換材の製造方法の一例は次のとおりである。多孔質体であるセルローススポンジの原反を用意する。この原反をスライスするスライス工程により、厚さがT1であるセルローススポンジのシートを形成する。次に、このセルローススポンジのシートの表面にスリットを形成するスリット形成工程により、スライスされたシートの表面にスリットを形成する。続いて、スリットされたシートを乾燥する乾燥工程により、厚さがT2である乾燥収縮されたシートを形成する。なお、加工の容易さの観点から、シートの圧縮率T2/T1(%)は40%〜70%であることが好ましい。
乾燥後、乾燥収縮されたシートを裁断する裁断工程により、厚さがT3である乾燥収縮された多孔質体を形成する。そして、この多孔質体をスリットが径方向外側となるように巻回する巻回工程により、湿熱交換材が得られる。なお、シートの厚さT1に対する多孔質体の厚さT3の圧縮率T3/T1(%)は、40%〜60%であることが好ましい。
前記の製造方法によれば、加工工程数が少なく、原反から巻回工程までの加工が容易であり、かつ乾燥収縮前にスリット加工をすることで均一なスリットを精度良く形成することができる。その結果、圧力損失の変動が小さく患者の負担が少ない人工鼻を提供することが可能となる。例えば、本発明の実施例で用いられているセルローススポンジからなる湿熱交換材(多孔質体)は、この製造方法で製造されている。具体的な製造条件としては、シートの厚さT1が7.8〜8.2mm、乾燥収縮されたシートの厚さT2が3.6〜5.0mm、加湿工程後の多孔質体の厚さが3.6〜4.4mmであり、シートの圧縮率T2/T1は44%〜64%、多孔質体の厚さT3の圧縮率T3/T1は44%〜56%であった。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例及び比較例により限定および制限されない。
[実施例1〜7および比較例1〜11]
前述の製造方法により、表1および表2に示す多孔質体を用いた湿熱交換材を作製し、加湿性能評価試験および圧力損失性能(圧損性能)評価試験を、以下の方法により行った。
前述の製造方法により、表1および表2に示す多孔質体を用いた湿熱交換材を作製し、加湿性能評価試験および圧力損失性能(圧損性能)評価試験を、以下の方法により行った。
<加湿性能評価試験>
図4は、加湿性能評価試験装置10の概略回路図である。加湿性能評価試験装置10において、人工鼻9の一方の開口部は、圧力計を備えた人工呼吸器11に接続されている。また、人工鼻9の他方の開口部は、テスト肺12に接続されており、テスト肺12からの排気は加湿器13を通して人工鼻9へ戻される。人工鼻9とテスト肺12との間、および加湿器13と人工鼻9との間には一方弁(図示せず)が設けられ、気流の逆流が防止されている。テスト肺12と加湿器13とは、37℃に維持された恒温槽中にあり、これらで仮想患者を構成する。さらに、人工鼻9の人工呼吸器11側開口部には温度湿度計14aが、仮想患者側(テスト肺12側)には温度湿度計14bが、それぞれ設置されている。なお、図4における矢印は、回路内において気流の流れる方向であり、白矢印は吸気時、黒矢印は排気(呼気)時を示している。試験は、26℃の室温中で行った。
図4は、加湿性能評価試験装置10の概略回路図である。加湿性能評価試験装置10において、人工鼻9の一方の開口部は、圧力計を備えた人工呼吸器11に接続されている。また、人工鼻9の他方の開口部は、テスト肺12に接続されており、テスト肺12からの排気は加湿器13を通して人工鼻9へ戻される。人工鼻9とテスト肺12との間、および加湿器13と人工鼻9との間には一方弁(図示せず)が設けられ、気流の逆流が防止されている。テスト肺12と加湿器13とは、37℃に維持された恒温槽中にあり、これらで仮想患者を構成する。さらに、人工鼻9の人工呼吸器11側開口部には温度湿度計14aが、仮想患者側(テスト肺12側)には温度湿度計14bが、それぞれ設置されている。なお、図4における矢印は、回路内において気流の流れる方向であり、白矢印は吸気時、黒矢印は排気(呼気)時を示している。試験は、26℃の室温中で行った。
図4に示す加湿性能評価試験装置に、実施例および比較例の人工鼻を接続し、人工呼吸器稼働時の温度湿度計の絶対湿度を読み取った。一回換気量(人工呼吸器から一度に供給される空気量)は750mL、呼吸回数(人工呼吸器から空気が供給される回数)は、12回/1分とした。試験時間は10分として、試験開始9分後から試験開始10分後までの1分間に測定した絶対湿度の値の平均値を、加湿性能値として使用した。本測定においては、毎分190〜200回湿度値を読み取ることのできる温度湿度計を使用した。加湿性能値としては、患者側絶対湿度(mg/L)および呼吸器側絶対湿度(mg/L)の各々の値を記録した。ここで、患者側絶対湿度は高い値であるほど、呼吸器側絶対湿度は低い値であるほど、患者の肺から湿度が逃げていないことを示し、人工鼻の加湿性能が高いことを意味する。判定は、次の評価基準により行った。
評価基準
A 患者側絶対湿度が23.0mg/Lより大きい値(比較例1よりも性能が高い)
B 患者側絶対湿度が21.0 mg/L以上23.0 mg/L以下(比較例1とほぼ同等レベル)
C 患者側絶対湿度が21.0 mg/Lより下回る値(比較例1より性能が低い)
評価基準
A 患者側絶対湿度が23.0mg/Lより大きい値(比較例1よりも性能が高い)
B 患者側絶対湿度が21.0 mg/L以上23.0 mg/L以下(比較例1とほぼ同等レベル)
C 患者側絶対湿度が21.0 mg/Lより下回る値(比較例1より性能が低い)
<圧力損失性能評価試験>
流量60mL/分の空気を人工鼻に流し、人工鼻に対して上流側と下流側との差圧(hPa)を測定した。このとき人工鼻には、人工呼吸器使用時の排気(呼気)の向きと同じ向きに空気を流した。差圧(圧力損失)は、低いほど良い。判定は、次の評価基準により行った。
評価基準
A 3.5hPa未満(比較例1よりも低圧損)
B 3.5hPa以上4.0hPa以下(比較例1と同等あるいは許容できる圧損範囲)
C 4.0hPaより大きい値(比較例1よりも高圧損で許容できない圧損範囲)
流量60mL/分の空気を人工鼻に流し、人工鼻に対して上流側と下流側との差圧(hPa)を測定した。このとき人工鼻には、人工呼吸器使用時の排気(呼気)の向きと同じ向きに空気を流した。差圧(圧力損失)は、低いほど良い。判定は、次の評価基準により行った。
評価基準
A 3.5hPa未満(比較例1よりも低圧損)
B 3.5hPa以上4.0hPa以下(比較例1と同等あるいは許容できる圧損範囲)
C 4.0hPaより大きい値(比較例1よりも高圧損で許容できない圧損範囲)
表1に実施例1〜7、表2に比較例1〜11の人工鼻を評価した結果を示す。
表1に示すように、実施例1〜7の人工鼻については、いずれも良好な加湿性能および圧力損失性能を有していた。表2に示す比較例については、比較例2〜4の人工鼻は、上記評価においては良好な結果を示した。しかし、巻回した際にスリットの開き方にバラつきが生じ易く、スリットのわずかな開き具合の変化で性能が大きく低下する可能性があり、また、長時間の使用時においてはスリットに塞がる部分が発生するおそれがあると考えられる。実施例で用いた湿熱交換材では、前記スリットに開き方のバラつきが殆ど見られなかった。
図5は、巻回後の多孔質体(湿熱交換材)の円形面の写真の例である。図5(A)は実施例1、図5(B)は比較例1で各々用いた湿熱交換材の写真であり、写真の右側は、各湿熱交換材のスリットの形状の模式図である。比較例1の人工鼻に用いた湿熱交換材は、スリットの形成位置にバラつきがあるため、スリット端部における角度αにもバラつきが生じており、角度αが70°を超えて90°以下の範囲内にあるスリット本数は、40〜60%に留まっていた。巻回後の多孔質体(湿熱交換材)の円形面を観察すると、スリット端部の多孔質体長手方向に対する角度が小さくなっているスリット部分で、スリット間の多孔質体が倒れているためにスリット部分に隙間ができず、空気流路が確保できていない状態となっていた。それに対して、実施例1の人工鼻に用いた湿熱交換材は、巻回後の多孔質体(湿熱交換材)において、スリットが開いており、空気流路が良好に確保できていることがわかる。
なお、実施例6、7、比較例8〜11については、多孔質体を巻回した際に歪みが生じた。これは、多孔質体の長手方向に対するスリットの角度が小さいためと考えられる。とくに、比較例10および11は、生じる歪みが大きくなり正しく巻回することができず、加湿性能および圧力損失性能を測定できる試料が得られなかった。
本発明に係る人工鼻は、とくに、優れた加湿性能および高い通気性が要求される人工呼吸器に接続されて用いられる人工鼻として好適なものである。
1 多孔質体
2 スリット
3 直線状部
4 屈曲部
5 湿熱交換材
6 蓋部材
7 筐体部材
8 ハウジング
9 人工鼻
10 加湿性能評価試験装置
11 人工呼吸器
12 テスト肺
13 加湿器
14a、14b 温度湿度計
2 スリット
3 直線状部
4 屈曲部
5 湿熱交換材
6 蓋部材
7 筐体部材
8 ハウジング
9 人工鼻
10 加湿性能評価試験装置
11 人工呼吸器
12 テスト肺
13 加湿器
14a、14b 温度湿度計
Claims (6)
- 長手方向に並ぶ複数のジグザグ形状のスリットが形成された帯状の多孔質体を、前記スリットを径方向外側に向けた渦巻状に巻回してなる湿熱交換材と、前記湿熱交換材を収容するハウジングとからなる人工鼻であって、
前記ハウジングが、前記湿熱交換材の軸方向一端側に一の開口部を、前記軸方向他端側に他の開口部をそれぞれ有し、
前記スリットが、前記長手方向と交差する形状であり、
前記湿熱交換材の前記一の開口部および前記他の開口部に面している部分における前記スリット端部の前記長手方向に対する角度は、前記スリットの70%以上の本数が、70°を超えて90°以下の範囲内にあることを特徴とする人工鼻。 - 前記スリットは、前記多孔質体の表面にスリット深さ率が40%以上95%以下で形成されている、請求項1記載の人工鼻。
- 前記スリットの前記スリット端部以外の部分は、前記長手方向と30°以上70°以下の交差角度をなして交差する形状に形成されている、請求項1または2記載の人工鼻。
- 前記多孔質体の吸水倍率が500%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の人工鼻。
- 前記多孔質体がセルローススポンジからなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の人工鼻。
- 人工呼吸器に接続可能な、請求項1〜5のいずれかに記載の人工鼻。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112312865A (zh) * | 2018-12-27 | 2021-02-02 | 小林制药株式会社 | 鼻通气改善器具 |
-
2016
- 2016-03-30 JP JP2016067121A patent/JP2017176397A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112312865A (zh) * | 2018-12-27 | 2021-02-02 | 小林制药株式会社 | 鼻通气改善器具 |
CN112312865B (zh) * | 2018-12-27 | 2023-12-05 | 小林制药株式会社 | 鼻通气改善器具 |
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