〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。まず、本実施形態に係る放送信号伝送システムの構成を図1に基づいて説明する。図1は、放送信号伝送システム5に含まれる送信機(送信装置、制御情報生成装置)1の要部構成の一例を示すブロック図である。
放送信号伝送システム5は、送信機1から受信機(受信装置)2に映像信号および音声信号等(以下、「映像信号等」と略称する)を伝送するシステムである。放送信号伝送システム5は、放送経路を介して伝送するコンテンツの音声に関する属性情報を、通信経路を介して受信機2に取得させる。なお、次世代の4K/8K放送では、MMT(MPEG Media Transport)フォーマットで信号が送信されることが検討されている。そこで、本実施形態では、MMTフォーマットにて映像信号を伝送する例を説明する。
送信機1は、映像信号等の形態でコンテンツを送信する。より詳細には、送信機1は、放送経路(放送伝送路)を介してコンテンツを構成する各パケット(MMTPパケット:MMT Protocol パケット)を送信する。一方の受信機2は、このコンテンツ(放送経路で配信されるコンテンツ)の受信機能を備えていると共に、例えばインターネット等の通信網を介して通信経路(通信伝送路)で配信されるコンテンツの受信機能も備えている。そして、受信機2は、これら2つの経路を介して受信した各コンテンツを組み合わせて再生することができる。なお、同図では、受信機2を1つのみ記載しているが、送信機1は複数の受信機2に対してコンテンツをブロードキャストする。
〔送信機の構成〕
送信機1は、図示のように、オーディオエンコーダ10、ビデオエンコーダ11、多重化部12、暗号化部13、送信部(制御情報送信手段)14、制御部15、および通信I/F16を備えている。また、制御部15には、エンコード制御部151、音声属性取得部(属性取得手段)152、音声属性通知部(属性情報送信手段)153、および制御情報生成部(制御情報生成手段)154が含まれている。
オーディオエンコーダ10は、送信機1が送信するコンテンツのオーディオ(音声)ストリームをエンコード(符号化)して多重化部12に出力する。同様に、ビデオエンコーダ11は、送信機1が送信するコンテンツのビデオ(映像)ストリームをエンコード(符号化)して多重化部12に出力する。
多重化部12は、オーディオエンコーダ10が出力したオーディオストリーム、ビデオエンコーダ11が出力したビデオストリーム、および制御部15が出力した制御情報を多重化して暗号化部13に出力する。
暗号化部13は、多重化部12が出力する多重化ストリームを暗号化して送信部14に出力する。そして、送信部14は、暗号化部13が出力する暗号化されたデータをパケットとして、デジタル放送信号の形態で放送経路にて受信機2に送信する。
制御部15は、送信機1の備える各部の制御等を行う。具体的には、制御部15に含まれるエンコード制御部151は、オーディオエンコーダ10およびビデオエンコーダ11を制御してエンコードを行わせる。
音声属性取得部152は、送信機1が送信するコンテンツの音声に関する属性情報である音声属性情報を取得する。音声属性取得部152は、取得した音声属性情報を音声属性通知部153に出力する。なお、音声属性情報の内容が変更されると、音声属性取得部152は、音声属性情報が変更されたことおよび音声属性情報を制御情報生成部154に出力してもよい。
音声属性情報の例としては、音声フォーマット、音声のチャンネル数、サブウーファ(SW)のチャンネル数、サイマル放送の形態およびチャンネル、サンプリングレート、量子化ビット数などが挙げられる。これらのうち、音声フォーマット、音声のチャンネル数、サブウーファ(SW)のチャンネル数、サンプリングレート、および量子化ビット数は、エンコード制御部151から取得することができる。一方、サイマル放送の形態およびチャンネルは、送信機1が送信(放送)するコンテンツ(番組)の詳細情報を提供する外部のサーバ(図示せず)などから取得することができる。なお、音声属性情報の詳細は後述する。
音声属性通知部153は、音声属性取得部152が取得した音声属性情報を受信機2に通知する。具体的には、音声属性通知部153は、受信機2からの要求に応じて、通信経路を用いる通信I/F16を介して音声属性情報を当該受信機2に送信する。
制御情報生成部154は、送信機1が送信するコンテンツを受信機2が再生するための制御情報を生成する。この制御情報は、MMTではMMT−SI(Service Information)と呼ばれるものであり、コンテンツに関する種々の情報が含まれるが、ここでは、MMT−SIのうち、コンテンツの映像の出力中に実行されるプログラム(ソフトウェア)に関する情報が記述されたAIT(Application Information Table)の生成に絞って説明する。
このように、送信機1では、音声属性取得部152が音声属性情報を取得する処理(音声属性取得ステップ)を実行する。また、制御情報生成部154が、多重化部12における上記オーディオストリームおよび上記ビデオストリームからMMTPパケットへの変換を参照して、上記音声属性情報を取得するための制御情報(AIT)を生成する処理(制御情報生成ステップ)を実行する。そして、送信部14が上記制御情報を放送経路を介して受信機2に送信(放送)する処理(制御情報送信ステップ)を実行する。該制御情報に従って音声属性情報の送信を要求する受信機2に対し、音声属性通知部153が音声属性情報を通信経路にて送信する処理(音声属性送信ステップ)を実行する。
したがって、このAITを受信した受信機2において、該AITと共に放送経路で受信したコンテンツをその音声属性情報に応じた適切な処理を行って音声出力させたり、受信機2が当該コンテンツの音声データに対応していない旨を示すコーションを報知させたりすることが可能になる。
なお、音声属性取得部152は、送信機1が送信するコンテンツが切り替わる場合、切り替え後のコンテンツの音声属性情報を取得し、音声属性通知部153は、新たに取得された音声属性情報を受信機2に送信する。このように、コンテンツの変化に追従して、異なる音声属性情報を送信することにより、常に最適な処理によってコンテンツを再生させることが可能になる。なお、上記の例のように、AITを書き換えることなく、通信経路を介して受信機2に送信する音声属性情報を切り替えてもよいし、送信する音声属性情報の変更に伴い、当該変更後の音声属性情報が受信機2によって取得されるようにAITを書き換えてもよい。
〔受信機の構成〕
続いて、受信機2の構成を図2に基づいて説明する。図2は、受信機2の要部構成の一例を示すブロック図である。受信機2は、図示のように、チューナ20、通信I/F21、復号部22、逆多重化部23、オーディオデコーダ(音声処理変更手段)24、ビデオデコーダ25、表示制御部27、ディスプレイ28、入力部29、制御部30、音声出力制御部31、およびスピーカ32を備えている。また、制御部30には、復号制御部301、逆多重化制御部302、制御情報取得部(制御情報取得手段)303、アプリ制御部304、音声属性情報取得部(判定手段)305、および選択部(音声処理変更手段、切替手段、選択手段)306が含まれている。
チューナ20は、放送経路にてデジタル放送信号として送信されるコンテンツ等を受信して復号部22に出力する。一方、通信I/F21は、通信経路にて送信されるコンテンツ等を受信して復号部22に出力する(図における矢印は省略)。つまり、受信機2は、放送経路と通信経路とを併用したハイブリッドキャストに対応した受信装置である。
また、通信I/F21は、通信経路にて送信される音声属性情報を受信して、音声属性情報を制御部30に出力する。
復号部22は、チューナ20および通信I/F21を介して受信したコンテンツが暗号化されていた場合、これを復号して逆多重化部23に出力する。
逆多重化部23は、復号部22が出力するデータ(暗号は復号されているが多重化されている)を逆多重化する。そして、逆多重化によって得られた当該コンテンツの各構成要素(コンポーネント)を、当該コンポーネントの種別に応じて処理する。具体的には、逆多重化部23は、オーディオのコンポーネントをオーディオデコーダ24に出力し、ビデオのコンポーネントをビデオデコーダ25に出力し、制御情報を制御情報取得部303に出力する。
オーディオデコーダ24は、制御部30から通知される音声属性情報に基づいて、デコードの設定を変更する。オーディオデコーダ24は、上記デコードの設定で、逆多重化部23が出力するオーディオコンポーネントを復号してオーディオデータを出力する。同様に、ビデオデコーダ25は、逆多重化部23が出力するビデオコンポーネントを復号してビデオデータを出力する。
表示制御部27は、ビデオデータをディスプレイ28に表示させる制御を行う。また、ディスプレイ28は、表示制御部27の制御に従ってビデオデータを表示する。一方、音声出力制御部31は、オーディオデータをスピーカ32に音声出力させる制御を行う。また、スピーカ32は、音声出力制御部31の制御に従ってオーディオデータを音声出力する。つまり、受信機2は、放送されるコンテンツの受信機能および再生(表示および音声出力)機能を備えたテレビジョン受像機である。なお、ディスプレイ28およびスピーカ32は、受信機2に外付けされた外部の装置であってもよい。
入力部29は、受信機2に対するユーザ操作を受け付けて制御部30に該操作の内容を通知する入力装置である。入力部29は、例えば赤外線等で送信される、ユーザ操作の内容を示す信号を受信する受信部であってもよい。
制御部30は、送信機1から受信した制御情報に従って受信機2が備える各部を制御する。具体的には、復号制御部301は、復号部22を制御してコンテンツの復号を行わせる。また、逆多重化制御部302は、逆多重化部23を制御してコンテンツの逆多重化を行わせる。
制御情報取得部303は、逆多重化部23が逆多重化することによって出力された制御情報を取得し、制御情報に含まれるAITをアプリ制御部304に出力する。そして、アプリ制御部304は、制御情報取得部303が出力するAITに従って各種アプリケーションソフトウェア(以下、アプリと呼ぶ)の動作を制御する。具体的には、アプリ制御部304は、音声属性情報取得部305と選択部306とを起動させ、また起動終了させる制御を行う。
音声属性情報取得部305および選択部306は、アプリによってその機能が実現されるものである。音声属性情報取得部305は、通信I/F21を介して送信機1から音声属性情報を取得して選択部306およびオーディオデコーダ24に送信する。選択部306は、音声データを切り替えるためのユーザ操作を受け付け、該ユーザ操作に応じた音声データの切り替えを行う。
〔AITと音声属性情報の取得〕
続いて、AITと音声属性情報の取得について、図3に基づいて説明する。図3は、放送信号(送信信号)と共に送信されるAITと該AITに従ったアプリの起動例を示す図である。
同図の(a)には、AITに従って1つのアプリ(音声属性情報取得部305)を起動する例を示している。図示のように、AITは放送信号と共に送信されており、同一サービスの選局が維持されている間は、そのサービスのAITが定期的に送信される。
ここで、送信機1が送信するAITには、音声属性情報取得部305を自動で起動することを示す記述が含まれており、このAITを受信した受信機2では、この記述に従って音声属性情報取得部305を起動する。起動した音声属性情報取得部305は、AITに基づいて送信機1に対して、通信I/F21および通信経路を介して音声属性情報の送信を要求する。送信機1の音声属性通知部153は、受信機2からの要求に応じて、音声属性情報を通信経路にて送信機1に送信する。音声属性情報取得部305は、通信I/F21を介して音声属性情報を受け取る。音声属性情報取得部305は、音声属性情報をオーディオデコーダ24に送信する。その後、音声属性情報取得部305の起動を終了する。なお、音声属性情報の取得先(送信機1)は、例えばURL(Uniform Resource Locator)等の形式でAITに記述されていてもよい。
本実施形態では、音声属性情報取得部305は、通信経路にて取得した音声属性情報に基づいて、放送経路にて受信される上記コンテンツのオーディオコンポーネントから音声を受信機2にて再生可能か否かを判定する。この判定は、オーディオデコーダ24が上記オーディオコンポーネントをデコードする前に行うことができるので、従来よりも迅速に行うことができる。
一方、同図の(b)には、AITに従って2つのアプリ(音声属性情報取得部305と選択部306)を起動する例を示している。この例においても、送信機1が送信するAITには、音声属性情報取得部305を自動で起動することを示す記述が含まれており、このAITを受信した受信機2では、この記述に従って音声属性情報取得部305を起動する。
また、この例では、起動した音声属性情報取得部305によって音声属性情報が取得されると、AITに従って選択部306を起動する。そして、起動した選択部306によって、音声データを切り替えるユーザ操作を受け付ける。該ユーザ操作が入力部29を介して入力されると、該ユーザ操作に応じて音声データの切り替えが実行される。その後、音声属性情報取得部305および選択部306の起動を終了する。
ここで、一般にテレビ放送では、放送される音声データの形式(フォーマットまたはチャンネル数等)が変化しうる。このようなケースに対応するため、送信機1の音声属性通知部153は、通知する音声属性情報を、新たな音声データに対応するものに更新する。また、制御情報生成部154は、生成するAITを更新すると共にAITのバージョン情報も更新する。そして、受信機2のアプリ制御部304は、定期的に(例えば新たなAITを受信したタイミングや、AITのバージョンが変わったタイミングで)音声属性情報取得部305を起動して、再度音声属性情報を取得させる。音声属性情報取得部305は、オーディオデコーダ24に新しい音声属性情報を伝達する。これにより、音声の変化に応じた適切な処理が可能となる。
図4は、音声属性情報の具体例を表形式で示す図である。音声属性情報には、音声のチャンネル数(CH1)、サブウーファ(SW)のチャンネル数(CH2)、音声フォーマット(Format)、音声のサンプリング周波数(Sampl_freq)、音声の量子化ビット数(Bit_rate)、ならびに、サイマル放送の形態(Simul)およびチャンネル(Simul_CH)が、それぞれコード化されて順番に格納される。
本実施形態の放送信号伝送システム5は、超高詳細度テレビジョン放送システムに対応するものである。このため、図4の例では、音声フォーマット(Format)には、PCM(Pulse Code Modulation)、MPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)−AAC(Advanced Audio Coding)、MPEG4−AAC、MPEG2−AC3(Audio Code number 3)等があり、それぞれが4ビットコードに割り当てられている。また、22.2chの3次元音響に対応するため、音声のチャンネル数(CH1)は、0〜24の範囲内であり、それぞれが5ビットコードに割り当てられ、また、SWのチャンネル数(CH2)は、0〜2の範囲内であり、それぞれが2ビットコードに割り当てられている。さらに、音声のサンプリング周波数(kHz)は、16、22.05、24、32、44.1、48、96、192等があり、それぞれが4ビットコードに割り当てられている。また、音声の量子化ビット数(bit)は、8、10、16、24、32等があり、それぞれが3ビットコードに割り当てられている。これらは送信機1から放送される音声データについての属性情報を示す。
ところで、サイマル放送とは、1つの放送局が同じ時間帯に同じ番組を、異なるチャンネル(周波数帯)、異なる放送方式、または異なる放送媒体で放送することをいう。図4の例では、サイマル放送の形態(Simul)には、地上デジタル放送、BS(Broadcasting Satellite)デジタル放送、CS(Communications Satellite)デジタル放送、インターネット等があり、それぞれが4ビットのコードに割り当てられている。また、サイマル放送のチャンネル(Simul_CH)には、1ch〜1000chがあり、それぞれが12ビットコードに割り当てられている。サイマル放送の形態(Simul)およびサイマル放送のチャンネル(Simul_CH)は、送信機1の放送に関連するサイマル放送についての形態およびチャンネルを示す。また、図示はしないが、音声属性情報は、サイマル放送についての、音声のチャンネル数(CH1)、サブウーファ(SW)のチャンネル数(CH2)、音声フォーマット(Format)、音声のサンプリング周波数(Sampl_freq)、および音声の量子化ビット数(Bit_rate)等を含んでもよい。なお、送信機1の放送に関連するサイマル放送が複数ある場合、音声属性情報は、複数のサイマル放送についての上記属性情報を含んでもよい。インターネット等の通信経路にて音声属性情報を受信機2に送信する場合、大容量のデータを送ることができる。そのため、例えば、送信機1の放送だけでなく、サイマル放送の音声フォーマット等の再生に必要な属性情報も、音声属性情報に含めることができる。また、送信機1は、通信経路にて音声属性情報と共に、放送される音声データとは音声フォーマット等の属性が異なる音声データ自体を受信機2に送信してもよい。受信機2は、通信経路にて送信された音声データを選択的に再生することができる。なお、サイマル放送としては、ワンセグ放送、ラジオ放送などを利用してもよい。
〔音声属性情報に関する受信機の処理〕
次に、音声属性情報に関する受信機2の処理について図5に基づいて説明する。図5は、音声属性情報に関して受信機2の制御部30で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部30の音声属性情報取得部305は、AITで指定された送信機1から、通信経路にて音声属性情報を取得する(S1)。取得された音声属性情報には、送信機1が放送する音声データに関する属性情報の他に、他の送信機によってサイマル放送されている音声データに関する属性情報も含みうる。
次に、音声属性情報取得部305は、取得した音声属性情報から送信機1が放送する音声データの音声フォーマットを抽出し、抽出した音声フォーマットが、受信機2のオーディオデコーダ24にてデコード可能なものであるか否かを判断する(S2)。デコード可能である場合(S2にてYES)、音声属性情報取得部305は、上記音声属性情報から送信機1が放送する音声データの音声のチャンネル数を抽出し、抽出した音声のチャンネル数がオーディオデコーダ24にてデコード可能なものであるか否かを判断する(S3)。デコード可能である場合(S3にてYES)、音声属性情報取得部305は、上記音声属性情報をオーディオデコーダ24に送信して、当該音声属性情報に基づいて音声データのデコードを行うようにオーディオデコーダ24に指示して(S4)、処理を終了する。
一方、上記音声フォーマットがオーディオデコーダ24にてデコード不能である場合(S2にてNO)、または、上記音声のチャンネル数がオーディオデコーダ24にてデコード不能である場合(S3にてNO)、音声属性情報取得部305は、取得した音声属性情報からサイマル放送の形態、チャンネル、音声フォーマット、および音声のチャンネル数を取得する(S5)。音声属性情報取得部305は、受信機2のオーディオデコーダ24にてデコード可能なサイマル放送が存在するか否かを判断する(S6)。受信機2のオーディオデコーダ24にてデコード可能なサイマル放送が存在する場合(S6にてYES)、音声属性情報取得部305は、該サイマル放送に切り替えて受信するようにチューナ20を制御する(S7)。音声属性情報取得部305は、切り替えたサイマル放送の音声属性情報に基づいて音声データのデコードを行うようにオーディオデコーダ24に指示して(S4)、処理を終了する。
一方、受信機2のオーディオデコーダ24にてデコード可能なサイマル放送が存在しない場合(S6にてNO)、音声属性情報取得部305は、音声データが非対応である旨のコーションをディスプレイ28に表示するように、表示制御部27に指示して(S8)、処理を終了する。
なお、受信機2がチューナ20、復号部22、逆多重化部23を2つずつ備える場合、送信機1が放送するビデオコンポーネントをビデオデコーダ25でデコードし、サイマル放送のオーディオコンポーネントをオーディオデコーダ24でデコードしてもよい。このようにして音声だけをサイマル放送に切り替えることができる。受信機2が複数の放送を同時再生することができない場合、受信機2は、音声と共に映像についても、送信機1の放送からサイマル放送に切り替える。
なお、図5に示すフローチャートでは、音声属性情報における音声フォーマットおよび音声のチャンネル数について、それぞれデコード可能か否かを判断しているが、SWのチャンネル数、サンプリング周波数、量子化ビット数など、音声の再生に必要なその他の情報についても、それぞれデコード可能か否かを判断してもよい。この場合、図5に示すステップS2およびS3を、下記の処理に変更すればよい。
すなわち、音声属性情報取得部305は、取得した音声属性情報から、受信した音声の再生に必要な各種情報を抽出し、抽出した情報の全てが、受信機2のオーディオデコーダ24にてデコード可能なものであるか否かを判断する(S2’)。デコード可能なものである場合(S2’にてYES)、ステップS4に進む。一方、デコード不能なものである場合(S2’にてNO)、ステップS5に進む。
〔コンテンツとの同期〕
上述のように、送信機1は、放送経路にてコンテンツを送信すると共に、通信経路にてそのコンテンツの音声属性情報を送信する。そして、受信機2は、通信経路にて受信した音声属性情報に基づいて放送経路にて送信される上記コンテンツの音声データを再生する。このように、コンテンツとは異なる経路で音声属性情報を送信する場合、コンテンツの音声の属性の切り替わりと高精度に同期させて、適用する音声属性情報も変化させるための仕組みが必要となる。
例えば、図6に示すように、音声の属性が変化するタイミングをクロック(PCR:Program Clock Reference)で規定したタイミング指定情報を送信機1から通信経路にて受信機2に送信することにより、コンテンツの音声の属性が切り替わるタイミングで、適用する音声属性情報を変化させることができる。図6は、タイミング指定情報と、該タイミング指定情報に応じた音声の属性の変化の例を示す図である。なお、PCRは、ハイブリッドキャスト放送において、放送コンテンツと通信コンテンツとを同期させるために使用される時刻情報である。
図6の例では、PCR(1)となったタイミングにおけるコンテンツの音声の属性は音声(1)であり、これがPCR(2)となると音声(2)に、PCR(3)となると音声(3)に切り替わっている。このような音声の属性の変化は、例えば同図の左上に示すように、PCRとそのときの音声の属性(音声属性情報)とを対応付けたタイミング指定情報として表すことができる。
なお、このようなタイミング指定情報は、コンテンツの放送スケジュールや、コンテンツの途中に放送される広告コンテンツ等に基づいて、音声の属性が変化するタイミングおよび変化後にどのような音声の属性となるかを送信機1において予め取得しておくことによって生成することができる。
そして、このようなタイミング指定情報を受信した受信機2では、音声属性情報取得部305が、該タイミング指定情報の示すタイミングに、該タイミングに対応付けられた音声属性情報をオーディオデコーダ24に通知する。これにより、タイミング指定情報の示すタイミングで属性が異なる音声の処理を行うことが可能になる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図7〜図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。放送信号伝送システム5、送信機1、および受信機2のブロック構成は図1〜図2に示すものと同じである。
本実施形態では、送信機1の放送およびサイマル放送に含まれる複数の音声から、再生する音声をユーザに選択させる形態について説明する。例えば、送信機1の放送に含まれる音声コンポーネントは、音声のチャンネル数が22.1chであり、音声フォーマットがMPEG2−AC3である。サイマル放送に含まれる音声コンポーネントは、音声のチャンネル数が5.1chであり、音声フォーマットがLPCM(Linear PCM)である。
一方、受信機2は、複数セットの音声フォーマットおよび上記チャンネル数に対応可能である。本実施形態では、送信機1の放送およびサイマル放送に含まれる複数の音声コンポーネントのうち、オーディオデコーダ24にて対応可能なものの情報をディスプレイ28にて表示し、ユーザが選択した音声コンポーネントに対しオーディオデコーダ24がデコードを行う。これにより、ユーザの所望する音声コンポーネントから音声を再生することができ、その結果、ユーザの利便性が向上する。
ユーザが音声の属性の選択を行う場合、音声属性情報取得部305に加え、選択部306を起動し、この選択部306によってユーザ操作を受け付ける。このため、音声の属性の選択のためのユーザ操作を受け付ける場合には、選択部306を起動させるための記述をAITに含めておく。
まず、制御情報取得部303は、逆多重化部23が出力する信号からAITを抽出してアプリ制御部304に出力し、アプリ制御部304はこのAITに従って音声属性情報取得部305を起動する。音声属性情報取得部305は、ユーザに音声の属性を選択させる場合、アプリ制御部304に選択部306を起動させる。
音声属性情報取得部305は、取得した音声属性情報に含まれる送信機1の放送およびサイマル放送の音声の属性情報から、それら複数の音声コンポーネントをオーディオデコーダ24にてデコード可能か否かを判断する機能を有する。また、選択部306は、デコード可能と判断された音声コンポーネントに関する音声のチャンネル数および音声フォーマットを表示するための選択用画像データを作成する。選択部306は、選択用画像データを表示制御部27に出力する。表示制御部27は、ビデオデコーダ25からのビデオデータに対し、選択用画像データを重畳してディスプレイ28に表示させる。
図7は、上記デコード選択用画像データがディスプレイ28に表示された画面の一例を示す図である。図示の表示画面では、下部に、デコード可能な音声コンポーネントに関する音声のチャンネル数および音声フォーマットのセットが表示され、残りの領域に、例えば映像コンポーネントの映像など、その他の各種情報が表示されている。なお、現在受信している音声のチャンネル数および音声フォーマットのセットを矢印または太枠等で強調表示してもよい。
選択部306は、入力部29を介してユーザによる音声属性(音声のチャンネル数および音声フォーマットのセット)の選択を受け付ける。ユーザが、下部に表示されているセットの何れかを選択すると、選択部306は、選択されたセットの音声コンポーネントを含む放送を受信するように、受信する放送を切り替えるようチューナ20に指示する。そして、選択部306は、映像コンポーネントの映像のみを表示する通常の表示画面に戻すよう表示制御部27に指示する。
次に、本実施形態において、音声属性情報に関する受信機2の処理について図8に基づいて説明する。図8は、音声属性情報に関して受信機2で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す処理は、図5に示す処理に比べて、ステップS21〜S23の処理が追加されており、その他の処理は同様である。
ステップS21では、上記音声フォーマットがオーディオデコーダ24にてデコード可能であり(S2にてYES)、かつ、上記音声のチャンネル数がオーディオデコーダ24にてデコード可能である場合(S3にてYES)、音声属性情報取得部305は、受信可能かつデコード可能な音声コンポーネントが複数あるか否かを判断する。受信可能かつデコード可能な音声コンポーネントが1つである場合(S21にてNO)、ステップS4に進む。
一方、受信可能かつデコード可能な音声コンポーネントが複数ある場合(S21にてYES)、音声属性情報取得部305は、音声属性情報を選択部306に出力する。選択部306は、上記選択用画像データを表示制御部27に出力することにより、上記音声コンポーネントの音声のチャンネル数と音声フォーマットとのセットを、上記音声コンポーネントごとに表示する(S22)。そして、選択部306は、複数の音声コンポーネントのうち、ユーザに選択されたセットの音声コンポーネントに切り替える(S23)。すなわち、選択部306は、ユーザに選択されたセットの音声コンポーネントを含む放送を受信するように、受信する放送を切り替えるようチューナ20に指示して、処理を終了する。
なお、図8に示すフローチャートにおいても、ステップS2およびS3の処理を、上述のようにステップS2’の処理に変更してもよい。この場合、デコード可能なものである場合(S2’にてYES)、ステップS4の代わりにステップS21に進めばよい。
〔変形例〕
なお、本実施形態は、同じコンテンツの複数の放送において、デコード可能な音声コンポーネントが複数存在する場合に関するものである。一方、オーディオデコーダ24の中には、22.2chの音声コンポーネントを、例えば5.1ch、2chなどの音声データにダウンコンバート可能なものが存在する。
そこで、本実施形態を、オーディオデコーダ24がダウンコンバート可能な音声コンポーネントが存在する場合に適用することもできる。この場合、選択部306は、図7に示す表示画面において、ユーザが選択可能な音声のチャンネル数(例えば、22.2ch、5.1ch、2chなど)を下部に表示するような画像データを表示制御部27に出力し、ユーザが選択した音声のチャンネル数の音声データを出力するように、オーディオデコーダ24に指示すればよい。
なお、デコード可能なサイマル放送が複数ある場合(S6でYES)、追加的にステップS22、S23の処理を行い、受信するサイマル放送をユーザに選択させてもよい。
〔実施形態3〕
本発明の別の実施形態について、図9および図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
ところで、受信機2では対応できない音声データであっても、受信機2に接続された外部の音声出力装置にて当該音声データに対応できる場合がある。そこで、本実施形態では、受信機2は、取得した音声属性情報に基づき上記の場合に該当すると判定すると、当該音声データに対しデコードは行わず、当該音声データをそのままの形式で音声出力装置(音声再生装置)6に転送している。これにより、上記音声データが自装置にて再生不能であっても、外部の音声出力装置6にて迅速に再生して出力することができる。
図9は、本実施形態に係る放送信号伝送システム5の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る放送信号伝送システム5は、図1に示す放送信号伝送システム5に比べて、受信機2と通信可能に接続された音声出力装置6が追加されている点が異なる。なお、送信機1の図示は省略している。また、図9に示す受信機2は、図2に示す受信機2に比べて、切替部(転送手段)33および音声出力用通信I/F(外部属性取得手段、転送手段)34が追加されている点と、制御部30において音声属性情報取得部305に代えて、音声属性情報取得部(制御情報取得手段、判定手段、外部属性取得手段、転送手段)305aが設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。図9において、一部の機能ブロックは図示を省略している。
音声出力装置6は、外部から受信した音声データに基づき音声を出力するものである。音声出力装置6は、受信機2におけるオーディオデコーダ24、音声出力制御部31、スピーカ32、および音声出力用通信I/F34と同様の機能ブロックを備えている。
切替部33は、逆多重化部23とオーディオデコーダ24との間に設けられ、逆多重化部23からのオーディオコンポーネントの出力先を、オーディオデコーダ24および音声出力用通信I/F34の何れかに、制御部30からの指示に基づき切り替えるものである。
音声出力用通信I/F34は、外部の音声出力装置6とデータ通信を行うためのものである。本実施形態では、音声出力装置6および音声出力用通信I/F34は、例えば、SPDIF(Sony Philips Digital InterFace)、ARC(Audio Return Channel)などのように、デジタルオーディオ信号を、そのままの形式で出力するビットストリーム出力に対応可能なものである。なお、音声出力装置6および音声出力用通信I/F34間の通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
音声属性情報取得部305aは、図2に示す音声属性情報取得部305に比べて、以下の機能が追加されており、その他の機能は同様である。すなわち、音声属性情報取得部305aは、音声出力装置6が対応(再生)可能な音声の属性(音声のチャンネル数、SWのチャンネル数、音声フォーマットなど)を、外部属性情報として音声出力用通信I/F34を介して取得する機能を有する。
また、音声属性情報取得部305aは、送信機1から通信経路で取得した音声属性情報と、音声出力用通信I/F34からの外部属性情報とに基づき、切替部33に切替指示を行う機能を有する。具体的には、音声属性情報取得部305aは、逆多重化部23からの音声データが、自機のオーディオデコーダ24では対応できないものではあるが、音声出力装置6で対応可能なものである場合、上記音声データを、音声出力用通信I/F34に出力するように、切替部33に切替指示を行う。これにより、上記音声データは、音声出力用通信I/F34を介して音声出力装置6にそのままの形式で出力する。なお、音声属性情報取得部305aは、上記の場合以外の場合、上記音声データを、オーディオデコーダ24に出力するように、切替部33に切替指示を行う。
次に、本実施形態において、音声属性情報に関する受信機2の処理について図10に基づいて説明する。図10は、音声属性情報に関して受信機2で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図10に示す処理は、図5に示す処理に比べて、ステップS11・S12の処理が追加されており、その他の処理は同様である。
ステップS11では、上記音声フォーマットがオーディオデコーダ24にてデコード不能である場合(S2にてNO)、または、上記音声のチャンネル数がオーディオデコーダ24にてデコード不能である場合(S3にてNO)、音声属性情報取得部305aは、音声出力装置6から音声出力用通信I/F34を介しての外部属性情報を参照して、上記音声フォーマットおよび上記音声のチャンネル数は音声出力装置6にて対応可能かを判断する。上記音声フォーマットおよび上記音声のチャンネル数は音声出力装置6にて対応不能である場合(S11にてNO)、ステップS5に進む。
一方、上記音声フォーマットおよび上記音声のチャンネル数は音声出力装置6にて対応可能である場合(S11にてYES)、音声属性情報取得部305aは、切替部33に切替指示を行って、逆多重化部23からの音声データをそのままの形式で、音声出力用通信I/F34を介して外部の音声出力装置6に転送して(S12)、処理を終了する。
なお、図10に示すフローチャートにおいても、ステップS2およびS3の処理を、上述のようにステップS2’の処理に変更してもよい。この場合、デコード不能なものである場合(S2’にてNO)、ステップS5の代わりにステップS11に進めばよい。
〔実施形態4〕
本発明の別の実施形態について、図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
実施形態3においては、受信機2のスピーカ32、または、受信機2に接続された音声出力装置6の何れかから音声を出力する構成としているが、スピーカ32及び音声出力装置6の両方から音声を出力するように構成してもよい。
図13は、本実施形態に係る放送信号伝送システム5の受信機2の要部構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る放送信号伝送システム5は、図9に示す放送信号伝送システム5に比べて、2つの逆多重化部23aおよび23bを備えている点と、切替部33に代えてセレクタ35が設けられている点とが異なり、その他の構成は同様である。
図示の受信機2は、2つのチューナ(不図示)および2つの復号部(不図示)を備えている。受信機2は、一方のチューナによりデジタル放送信号として送信されるコンテンツを受信し、当該コンテンツを一方の復号部により復号し、逆多重化部23aに出力する。また、受信機2は、他方のチューナにより、一方のチューナにより受信されたコンテンツのサイマル放送のコンテンツを受信し、当該コンテンツを他方の復号部により復号し、逆多重化部23bに出力する。逆多重化部23a及び23bの各々の機能については、図9に示す受信機2の逆多重化部23と同様である。
セレクタ35は、オーディオデコーダ24および音声出力用通信I/F34に出力するオーディオコンポーネントを、逆多重化部23aから出力されるオーディオコンポーネント、または、逆多重化部23bから出力されるオーディオコンポーネントの何れかに、制御部30からの指示に基づき切り替えるものである。すなわち、本実施形態においては、オーディオデコーダ24および音声出力用通信I/F34の両方に対して、オーディオコンポーネントが出力されるように構成されている。
制御情報取得部303は、逆多重化部23aおよび/または23bからの制御情報から抽出したAITをアプリ制御部304に出力する。音声属性情報取得部305aは、AITに従って、逆多重化部23aが出力する音声データの音声属性情報、および逆多重化部23bが出力する音声データの音声属性情報を通信経路で取得する。音声属性情報取得部305aは、通信経路で取得した音声属性情報と、音声出力用通信I/F34からの外部属性情報とに基づき、セレクタ35に切替指示を行う機能を有する。
音声属性情報取得部305aからセレクタ35に対して行う具体的な切替指示は以下の通りである。
(ケース1)
逆多重化部23aからの音声データが、オーディオデコーダ24および音声出力装置6で対応可能である場合、オーディオデコーダ24および音声出力用通信I/F34に、上記音声データを出力するようにセレクタ35に切替指示を行う。
(ケース2)
逆多重化部23aからの音声データが、オーディオデコーダ24では対応できないものであり、かつ、音声出力装置6では対応可能である場合、オーディオデコーダ24に対して逆多重化部23bからの音声データを出力し、かつ、音声出力用通信I/F34に対して逆多重化部23aからの音声データを出力するように、セレクタ35に切替指示を行う。
(ケース3)
逆多重化部23aからの音声データが、オーディオデコーダ24では対応可能であり、かつ、音声出力装置6では対応できないものである場合、オーディオデコーダ24に対して逆多重化部23aからの音声データを出力し、かつ、音声出力用通信I/F34に対して逆多重化部23bからの音声データを出力するように、セレクタ35に切替指示を行う。
これにより、受信機2は、スピーカ32及び音声出力装置6の両方から音声を出力することができる。
〔実施形態5〕
本発明の別の実施形態について、図11〜図12に基づいて説明する。なお、上記実施形態と同様の構成には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。まず、本実施形態の放送信号伝送システム500の概要を図11に基づいて説明する。図11は、放送信号伝送システム500の概略構成を示す図である。
図示のように、放送信号伝送システム500には、送信機100、受信機200、音声属性情報管理サーバ300、および端末装置(送信装置)400が含まれている。放送信号伝送システム500は、上記実施形態の放送信号伝送システム5と同様に、送信機100から受信機200に映像信号等を伝送するシステムである。送信機100および音声属性情報管理サーバ300は、同じ放送局に対応する。
放送信号伝送システム500では、端末装置400にて音声属性情報管理サーバ300から音声属性情報を取得し、取得した音声属性情報を受信機200に送信する。なお、音声属性情報管理サーバ300は、放送される各コンテンツの音声属性情報を管理するサーバであり、該サーバにアクセスしてコンテンツを通知することにより、そのコンテンツ対応する音声属性情報を取得することができる。放送信号伝送システム500は、このような処理により、コンテンツに対してその音声属性情報に応じた適切な処理を行うことを可能にしている。
〔受信機および端末装置の構成〕
続いて、受信機200および端末装置400構成を図12に基づいて説明する。図12は、受信機200および端末装置400の要部構成の一例を示すブロック図である。受信機200は、図2の受信機2と概ね同様の構成であるが、AITに従って音声属性情報を取得する機能を備えておらず、音声属性情報取得部305が端末装置400から音声属性情報を取得する点で異なっている。なお、図12では、制御部30内のブロックとして音声属性情報取得部305のみを記載しているが、図2の復号制御部301、逆多重化制御部302等も制御部30に含まれる。
端末装置400は、受信機200のユーザが使用するものであり、受信機200および音声属性情報管理サーバ300との通信機能を備えた端末装置である。端末装置400は、例えばスマートフォンやタブレット端末のような汎用の端末装置であってもよい。図示のように、端末装置400は、通信I/F40、制御部41、表示部42、および入力部43を備えている。
通信I/F40は、端末装置400が外部の装置、具体的には受信機200および音声属性情報管理サーバ300と通信経路にて通信するためのものである。通信I/F40は、例えばインターネットのような通信網を介して通信を行う装置であってもよい。なお、受信機200と通信を行うための通信I/Fと、音声属性情報管理サーバ300と通信を行うための通信I/Fとが個別に設けられていてもよい。
制御部41は、端末装置400の各部を統括して制御するものであり、音声属性取得部(音声属性取得手段)411、音声属性通知部(音声属性送信手段)412、および選択部(選択手段)413を含む。
音声属性取得部411は、音声属性情報を取得する。具体的には、音声属性取得部411は、ユーザの指定したコンテンツ(放送されており、受信機200で受信されているコンテンツ)の音声属性情報を、音声属性情報管理サーバ300から取得する。そして、音声属性取得部411は、取得した音声属性情報を選択部413に送信する。なお、端末装置400では音声の選択を行わない構成とすることも可能であり、この場合には、選択部413は、取得した音声属性情報を音声属性通知部412に送信し、音声属性通知部412はこの音声属性情報を受信機200に送信する。
音声属性通知部412は、選択部413が決定した音声の属性および音声属性情報を通信経路で(通信I/F40を介して)受信機200に通知する。なお、上記の通り、端末装置400で音声の選択を行わない場合には、音声属性通知部412は、音声属性取得部411が取得した音声属性情報を通信I/F40を介して受信機200に通知する。
選択部413は、音声属性取得部411が取得した音声属性情報に基づき、選択用画像データを表示部42に表示させる。選択用画像データは、受信機2でデコード可能な音声コンポーネントの音声のチャンネル数と音声フォーマットとのセットを示す画像のデータである。そして、ユーザ操作に従って選択された音声に対応するサイマル放送を決定し、決定したサイマル放送を音声属性通知部412に送信する。これにより、当該サイマル放送が受信機200に通知される。
なお、端末装置400の制御部41は、受信機2でデコード可能な属性(音声のチャンネル数と音声フォーマット)の情報を予め受信機2から取得しておいてもよいし、ユーザに入力させてもよい。なお、選択部413における、音声の属性の選択方法は、実施形態2で説明したものと同様のものとすることができる。
表示部42は、制御部41の制御に従って画像を表示する表示装置であり、入力部43は端末装置400に対するユーザの入力操作を受け付けて制御部41に該操作の内容を通知する入力装置である。ここでは、表示部42の表示面と入力部43の入力面とが一体に構成されたタッチパネルである例を説明するが、表示部42と入力部43とは独立した別個の装置であってもよい。
受信機200の音声属性情報取得部305は、音声属性情報および選択された音声の属性の情報を通信I/F21を介して受信する。音声属性情報取得部305は、音声属性情報をオーディオデコーダ24に出力する、または、選択された音声の属性に対応するサイマル放送に切り替えるよう、チューナ20に指示する。
音声属性取得部411、音声属性通知部412、および選択部413の機能は、放送されているコンテンツの関連情報を表示させるアプリの機能として提供されてもよい。端末装置400において、上記アプリを起動させ、ユーザが受信機200にて視聴するコンテンツを選択すると、音声属性取得部411、音声属性通知部412、および選択部413が上記の動作を行う。
以上のように、本実施形態の放送信号伝送システム500によれば、ユーザは端末装置400にて、受信機200で再生される音声の属性を選択することができる。そして、この放送信号伝送システム500では、送信機100は、音声属性情報の取得や送信等のための処理を行う必要がなく、このため、従来の放送局で使用されているような一般的な送信機をそのまま適用することも可能である。
また、この放送信号伝送システム500では、受信機200に音声の属性を選択するユーザ操作を受け付けるための構成を設ける必要がなく、端末装置400にアプリをインストールするだけで音声の属性を選択するユーザ操作を受け付けることができる。よって、受信機200の製造コストを増加させることなく、ユーザによる音声の属性の選択を簡易に実現することができる。
〔変形例〕
上記実施形態の送信機1は、音声属性情報を通信経路で受信機2に送信する送信装置としての機能と、音声属性情報を取得するためのAITを生成する制御情報生成装置としての機能と、デジタル放送信号を放送経路で送信する放送信号送信装置としての機能とを備えていた。しかしながら、互いに独立した送信装置と制御情報生成装置と放送信号送信装置との組み合わせによっても、上記送信機1と同様の機能を実現することができる。例えば、音声属性情報を送信する送信装置と、上記AITを生成する制御情報生成装置と、放送信号を送信する放送信号送信装置とを含む放送信号伝送システムであっても、上記送信機1と同様の機能を実現できる。また、例えば、音声属性情報を送信する送信装置と、上記AITを生成する機能と放送信号を送信する機能とを備えた装置との組み合わせによっても、上記送信機1と同様の機能を実現できる。
そして、上記各実施形態では、コンテンツを放送経路で送信する例を説明したが、コンテンツは通信経路で送信してもよい。また、放送経路で送信されるコンテンツと通信経路で送信されるコンテンツを組み合わせて再生してもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
送信機1、受信機2、受信機200、および端末装置400の制御ブロック(特に制御部15、多重化部12、暗号化部13、送信部14、復号部22、逆多重化部23、表示制御部27、音声出力制御部31、制御部30、制御部41)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、送信機1、受信機2、受信機200、および端末装置400は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る送信装置は、放送経路と通信経路とを併用したハイブリッドキャストに対応した受信装置(受信機2)に情報を送信する送信装置(送信機1、端末装置400)であって、上記受信装置に上記放送経路にて送信されるコンテンツの音声に関する属性情報を取得する属性取得手段(音声属性取得部152、411)と、上記属性情報を上記通信経路にて上記受信装置に送信する属性情報送信手段(音声属性通知部153、412)とを備えている。
上記の構成によれば、音声に関する属性情報を通信経路にて受信装置に送信する。そのため、受信装置に、放送経路で受信したコンテンツの音声データをデコードする前に、迅速に該音声データの属性を取得させることができる。よって、上記の構成によれば、該属性情報を受信した受信装置に、該コンテンツを該属性情報に応じて適切な処理を行って音声出力させることができる。また、受信装置に、コンテンツの音声データをデコードするための設定を従来よりも迅速に行わせることができる。
本発明の態様2に係る送信装置では、上記態様1において、上記属性情報送信手段は、上記属性情報と共に上記通信経路にて、上記コンテンツの音声を、上記放送経路にて送信される上記コンテンツの音声とは異なる属性の音声データとして送信する構成であってもよい。
上記の構成によれば、受信装置は、再生する音声を、放送経路にて送信されるコンテンツの音声データと、通信経路にて送信される音声データとから選ぶことができる。2つの音声データは属性が異なるので、受信装置はいずれかの属性に対応していれば、当該コンテンツに関する音声を再生することができる。そのため、受信装置のオーディオデコーダが特定の属性に対応していない等の理由により音声が再生できないという状況を改善することができる。
本発明の態様3に係る送信装置では、上記態様1または2において、上記属性情報送信手段は、上記属性情報を適用すべきタイミングを示すタイミング指定情報を送信する構成であってもよい。
上記の構成によれば、音声の属性があるタイミングで変化する場合であっても、タイミング指定情報が示すタイミングで、上記属性情報に応じて音声データを処理することができる。
本発明の態様4に係る制御情報生成装置は、放送経路と通信経路とを併用したハイブリッドキャストに対応した受信装置に送信されるコンテンツの再生に関する制御情報を生成する制御情報生成装置(送信機1、100)であって、上記コンテンツの音声に関する属性情報を上記受信装置において取得するための制御情報(AIT)を生成する制御情報生成手段(制御情報生成部154)と、上記放送経路にて上記受信装置に上記制御情報を送信する制御情報送信手段(送信部14)とを備えている。
上記の構成によれば、音声に関する属性情報を取得するための制御情報を生成して受信装置に送信するので、該受信装置に該制御情報を用いて属性情報を迅速に取得させることができる。それゆえ、受信装置に、放送経路で受信したコンテンツの音声データをデコードする前に、該音声データの属性を取得させることができる。上記の構成によれば、受信装置に、コンテンツを該属性情報に応じて適切な処理を行って音声出力させることができる。また、受信装置に、コンテンツの音声データをデコードするための設定を従来よりも迅速に行わせることができる。
本発明の態様5に係る制御情報生成装置では、上記態様4において、上記制御情報送信手段は、上記制御情報を上記コンテンツと共にデジタル放送信号として上記受信装置に送信する構成であってもよい。
本発明の態様6に係る受信装置は、放送経路と通信経路とを併用したハイブリッドキャストに対応した受信装置であって、再生対象のコンテンツの音声に関する属性情報を取得するための制御情報を取得する制御情報取得手段と、上記制御情報に従って上記通信経路にて取得された上記属性情報に応じて、上記コンテンツの音声に関する処理を変更する音声処理変更手段とを備えている。
上記の構成によれば、受信装置は、音声に関する属性情報を通信経路にて取得する。受信装置は、放送経路で受信したコンテンツの音声データをデコードする前に、迅速に該音声データの属性を取得することができる。それゆえ、受信装置は、該コンテンツを該属性情報に応じて適切な処理を行って音声出力することができる。また、受信装置は、コンテンツの音声データをデコードするための設定を従来よりも迅速に行うことができる。
本発明の態様7に係る受信装置では、上記態様6において、上記属性情報に基づいて、上記コンテンツの音声を自装置にて再生可能かを判定する判定手段を備える構成であってもよい。
上記の構成によれば、受信装置は、コンテンツの音声データをデコードする前に、該音声データが自装置にて再生可能かを判定することができ、その結果、当該判定を従来よりも迅速に行うことができる。
本発明の態様8に係る受信装置では、上記態様7において、上記コンテンツの音声を自装置にて再生不可能と判定された場合、上記属性情報から、上記コンテンツのサイマル放送を特定し、自装置にて音声を再生可能な上記サイマル放送に切り替える切替手段を備える構成であってもよい。
上記の構成によれば、オーディオデコーダが送信装置から受信したコンテンツの音声の属性に対応していない場合であっても、サイマル放送に切り替えることによって、同じコンテンツの音声を再生することができるようになる。そのため、音声が再生できないという状況を改善することができる。
本発明の態様9に係る受信装置では、上記態様6から8において、上記属性情報は、上記コンテンツのサイマル放送の音声に関する属性の情報を含み、上記サイマル放送を含む複数の放送の中から、音声を再生する放送をユーザに選択させる選択手段を備える構成であってもよい。
上記の構成によれば、ユーザはサイマル放送を含む複数の放送の中から、所望の属性の音声の放送を選択することができる。
本発明の態様10に係るテレビジョン受像機は、上記態様6から9のいずれかの受信装置を含んでいる。
本発明の態様11に係る放送信号伝送システムは、放送経路と通信経路とを併用したハイブリッドキャストに対応した受信装置にコンテンツを送信する送信装置と該コンテンツを受信する受信装置とを含む放送信号伝送システムであって、上記送信装置は、上記コンテンツの音声に関する属性情報を上記受信装置において取得するための制御情報を上記コンテンツと共に上記放送経路にて上記受信装置に送信し、上記受信装置は、上記制御情報に従って上記属性情報を上記通信経路にて取得し、上記属性情報に応じて上記コンテンツの音声に関する処理を変更する。
本発明の態様12に係る放送信号伝送システムでは、上記態様11において、上記属性情報は、上記コンテンツの音声を再生するのに必要な情報を含む構成であってもよい。
本発明の態様13に係る放送信号伝送システムでは、上記態様11または12において、上記属性情報は、上記コンテンツのサイマル放送を特定するための情報を含む構成であってもよい。
本発明の各態様に係る送信装置、制御情報生成装置、および受信装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記送信装置、制御情報生成装置、または受信装置が備える各手段として動作させることにより上記送信装置、制御情報生成装置、または受信装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。