以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。また、以下に参照する各図では、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。上下方向は鉛直方向であり、スピンベースに対して基板側が上である。
<実施形態について>
<1.基板処理装置1の構成>
基板処理装置1の構成について、図1〜図5を参照しながら説明する。図1は、基板処理装置1の構成を説明するための模式図である。図1では、遮断板90が待避位置P2に配置されている状態が示されている。また、処理位置P1に配置された遮断板90が仮想線で示されている。図2は、遮断板90が処理位置P1に配置された状態で、回転軸a1周りに回転する遮断板90とスピンベース21とを示す概略斜視図である。図3は、基板9を保持して回転軸a1周りに回転するスピンベース21を斜め上方からみた概略斜視図である。遮断板90の記載は省略されている。基板9の表面形状は略円形である。基板9の基板処理装置1への搬入搬出は、遮断板90が待避位置P2に配置された状態で、ロボット等により行われる。基板処理装置1に搬入された基板9は、スピンベース21により着脱自在に保持される。図4は、遮断板90を斜め下方から見た概略斜視図である。図5は、スピンベース21を斜め上方から見た概略斜視図である。
なお、以下の説明において、「処理液」には、薬液処理に用いられる「薬液」と、薬液をすすぎ流すリンス処理に用いられる「リンス液(「洗浄液」とも称される)」と、が含まれる。
基板処理装置1は、スピンチャック2、飛散防止部3、表面保護部4、処理部5、センサー(「検出部」)6、操作部120および制御部130を備える。これら各部2〜6は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130からの指示に応じて動作する。
制御部130としては、例えば、一般的なコンピュータと同様のものを採用できる。すなわち、制御部130は、例えば、各種演算処理を行うCPU10、記憶部110、および操作部120を主に備えて構成されている。記憶部110は、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROMおよび各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMなどにより構成され、プログラムPG1が記憶されている。操作部120は、操作ボタンなどにより構成され、コマンドや制御パラメータ等の各種の操作情報を受け付ける。受け付けられた操作情報は、CPU10へと供給される。CPU10は、記憶部110をワークメモリとして使用しつつプログラムPG1を実行することにより、基板処理装置1全体を統括的に制御する。また、CPU10は、プログラムPG1を実行することにより判定部12、不能化部14、および復帰処理部16の機能を実現する。また、基板処理装置1の状態を示すメッセージや操作部120から入力された操作情報などは、表示部(図示省略)に表示される。基板処理装置1の操作者は、表示部に表示された内容を確認しつつ操作部120から操作情報の入力および変更を行うことができる。
<スピンチャック2>
スピンチャック2は、基板9を、その一方の主面を上方に向けた状態で、略水平姿勢に保持する基板保持部であって、当該基板9を、主面の中心c1を通る鉛直な回転軸a1のまわりで回転させる。
スピンチャック2は、基板9より若干大きい円板状の部材であるスピンベース(「保持部材」)21を備える。スピンベース21は、その上面、下面の中央にそれぞれ開口する円筒状の貫通孔21aが、その中心軸が回転軸a1に一致するように形成されている。貫通孔21aの下側の開口には、円筒状の回転軸部22が連結されている。これにより貫通孔21aと回転軸部22の中空部とが連通する。回転軸部22は、その軸線を鉛直方向に沿わすような姿勢で配置される。また、回転軸部22には、回転駆動部(例えば、サーボモータ)23が接続される。回転駆動部23は、回転軸部22をその軸線まわりに回転駆動する。回転軸部22の軸線は、回転軸a1と一致する。従って、スピンベース21は、回転軸部22とともに回転軸a1を中心に回転可能である。回転軸部22および回転駆動部23は、筒状のケーシング24内に収容されている。
また、スピンベース21の上面の周縁部付近には、適当な間隔をおいて複数個(例えば6個)のチャックピン25が設けられている。各チャックピン25は、スピンベース21の上面に設けられた複数の開口21bにおいてスピンベース21に取り付けられている。チャックピン25は、基板9の端面と当接して基板9の水平方向の位置決めを行うとともに、スピンベース21の上面より僅かに高い位置で(すなわち、スピンベース21の上面から定められた間隔を隔てて)、基板9を略水平姿勢で保持する。すなわち、スピンベース21は、チャックピン25を介して基板9を下方から略水平に保持する。スピンベース21の上面は、基板9の下面と隙間を隔てて、例えば、略平行に対向する。スピンベース21の円筒状の側面部分には、2つの突出部26が周方向に沿って等間隔に設けられている。突出部26は、少なくとも1つ設けられればよく、多数の突出部26が設けられてもよい。
この構成において、スピンベース21がその上方でチャックピン25によって基板9を保持した状態で、回転駆動部23が回転軸部22を回転すると、スピンベース21が鉛直方向に沿った回転軸部22の軸心を中心に回転され、これによって、スピンベース21上に保持された基板9が、その面内の中心c1を通る鉛直な回転軸a1を中心に回転される。後述する表面保護部4には遮断板90が回転軸a1を中心とする周方向に回転可能に設けられている。当該周方向におけるスピンベース21と遮断板90との相対位置は、規制可能である。当該相対位置が規制された状態で、回転駆動部23が回転軸部22を回転させるとスピンベース21、基板9、および遮断板90が同じ回転方向に、同じ回転速度で回転する。回転駆動部23と、突出部26と、規制構造94とは、スピンベース21と遮断板90とを、回転軸a1を中心に互いに同じ方向に回転させる回転機構231である。回転機構231がスピンベース21と遮断板90とを同じ方向に同じ速度で回転させれば、基板9の上面と遮断板90の下面との間に、基板9の中心c1側に向かう気流が発生することを抑制できる。これにより、処理液の液滴が基板の上面に付着することを抑制できる。
チャックピン25および回転駆動部23は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130の制御下で動作する。つまり、スピンベース21上に基板9を保持するタイミング、保持された基板9を解放するタイミング、および、スピンベース21の回転態様(具体的には、回転開始タイミング、回転終了タイミング、回転数(すなわち、回転速度)、回転位置等)は、制御部130によって制御される。
<飛散防止部3>
飛散防止部3は、スピンベース21とともに回転される基板9から飛散する処理液等を受け止める。
飛散防止部3は、スプラッシュガード31を備える。スプラッシュガード31は、上端が開放された筒形状の部材であり、スピンチャック2を取り囲むように設けられる。この実施の形態では、スプラッシュガード31は、例えば、底部材311、内部材(「内側ガード」とも、単に「ガード」とも称する)312、および、外部材(「外側ガード」とも称する)313の3個の部材を含んで構成されている。外部材313が設けられていなくてもよいし、逆に、外部材313の外側に、スピンチャック2を取り囲むようにガードがさらに設けられてもよい。
底部材311は、上端が開放された筒形状の部材であり、円環状の底部と、底部の内側縁部から上方に延びる円筒状の内側壁部と、底部の外側縁部から上方に延びる円筒状の外側壁部と、を備える。内側壁部の少なくとも先端付近は、スピンチャック2のケーシング24に設けられた鍔状部材241の内側空間に収容される。
底部には、内側壁部と外側壁部との間の空間と連通する排液溝(図示省略)が形成される。この排液溝は、工場の排液ラインと接続される。また、この排液溝には、溝内を強制的に排気して、内側壁部と外側壁部との間の空間を負圧状態とする排気液機構が接続されている。内側壁部と外側壁部との間の空間は、基板9の処理に使用された処理液を集めて排液するための空間であり、この空間に集められた処理液は、排液溝から排液される。
内部材312は、上端が開放された筒形状の部材であり、内部材312の上部(「上端側部分」、「上端部分」)は内側上方に向かって延びている。すなわち、当該上部は、回転軸a1に向かって斜め上方に延びている。内部材312の下部には、上部の内周面に沿って下方に延びる筒状の内周壁部と、上部の外周面に沿って下方に延びる筒状の外周壁部とが形成される。底部材311と内部材312とが近接する状態(図1に示される状態)において、底部材311の外側壁部は、内部材312の内周壁部と外周壁部との間に収容される。内部材312の上部が受けた処理液等は、底部材311を介して排出される。
外部材313は、上端が開放された筒形状の部材であり、内部材312の外側に設けられている。外部材313の上部(「上端側部分」、「上端部分」)は内側上方に向かって延びている。すなわち、当該上部は、回転軸a1に向かって斜め上方に延びている。下部は、内部材312の外周壁部に沿って下方に延びている。外部材313の上部が受けた処理液等は、内部材312の外周壁部と外部材313の下部との隙間から排出される。
スプラッシュガード31には、これを昇降移動させるガード駆動機構(「昇降駆動部」)32が配設されている。ガード駆動機構32は、例えば、ステッピングモータにより構成される。この実施の形態では、ガード駆動機構32は、スプラッシュガード31が備える3個の部材311,312,313を、独立して昇降させる。
内部材312、および、外部材313の各々は、ガード駆動機構32の駆動を受けて、各々の上方位置と下方位置との間で移動される。ここで、各部材312,313の上方位置は、当該部材312,313の上端縁部が、スピンベース21上に保持された基板9の側方、かつ、上方に配置される位置である。一方、各部材312,313の下方位置は、当該部材312,313の上端縁部が、スピンベース21の上面よりも下方に配置される位置である。外部材313の上方位置(下方位置)は、内部材312の上方位置(下方位置)よりも若干上方に位置する。内部材312と外部材313とは、互いにぶつからないように同時に、若しくは順次に昇降される。底部材311は、その内側壁部が、ケーシング24に設けられた鍔状部材241の内側空間に収容される位置と、その下方の位置との間でガード駆動機構32によって駆動される。ただし、ガード駆動機構32は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130の制御下で動作する。つまり、スプラッシュガード31の位置(具体的には、底部材311、内部材312、および、外部材313各々の位置)は、制御部130によって制御される。3個の部材311,312,313のうち、底部材311が固定されており、各部材312、313が昇降するようにスプラッシュガード31が構成されてもよい。
<表面保護部4>
表面保護部4は、スピンベース21上に保持された基板9の上面の中央付近に対して、ガス(カバーガス)を供給して、基板9の上面を、下面に供給された処理液の雰囲気等から保護する。
表面保護部4は、スピンベース21上に保持される基板9の上面の中央付近に向けて、ガスを吐出する円筒状のカバーガスノズル41を備える。カバーガスノズル41は、水平に延在するアーム42の先端寄りの部分に取り付けられおり、アーム42を鉛直方向に貫通している。カバーガスノズル41の中心軸は、回転軸a1と一致している。カバーガスノズル41の下端部分は、アーム42の下端面からさらに下方に延設されている。カバーガスノズル41の下端部分には、円板状の回転部93がベアリングを介して取り付けられている。回転部93の中心軸は、回転軸a1と一致している。これにより、回転部93は、回転軸a1を中心としてカバーガスノズル41の周囲を周方向に回転可能となっている。回転部93の上面には、直線状の溝部93aが形成されている。溝部93aは、回転部93の上面の周縁がなす円周を2つの円弧に分割するように、回転部93の上面に沿って直線状に形成されている。すなわち、溝部93aは、当該2つの円弧に対する弦を成すように形成されている。溝部93aは、回転部93の上面から下方に凹んでいる。溝部93aの両端は、回転部93の側面の2箇所に開口している。遮断板90の回転位置、すなわち回転部93の回転位置が後述する初期回転位置である場合には、後述するセンサー6は、溝部93aを介して当該初期回転位置を検出する信号(電気信号)を出力する。
回転部93の下部には、円板状の遮断板(「対向部材」)90が回転部93と供に回転可能なように取り付けられている。遮断板90の上面は、略水平となるように設けられており、その形状は、スピンベース21よりも若干大きい円形であり、その中心を回転軸a1が通る。これにより、遮断板90は、回転軸a1を中心とする周方向に、回転部93と一体的に回転可能である。遮断板90は、回転軸a1を中心軸とする円板状の本体部91と、本体部91の周縁部に設けられた延設部92とを備えている。本体部91の中央部には、カバーガスノズル41と連通する貫通孔91aが設けられている。延設部92は、本体部91の周縁部から下方に延設された筒状壁部(環状壁部)であり、当該周縁部の周方向に沿って設けられている。延設部92は、本体部91の周縁部からスピンベース21側に延びる筒状の部材である。遮断板90が処理位置P1に配置されると、延設部92は、基板9を含む平面を、基板9の端面の外側において横切って基板9よりもスピンベース21側に突出し、基板9の端面を取り囲む。溝部93aが、例えば、遮断板90の上面に形成されてもよい。
アーム42の基端部は、アーム基台43に連結されている。アーム基台43は、その軸線を鉛直方向に沿わすような姿勢で配置されており、鉛直方向に沿って伸縮可能なように構成されている。アーム42の基端部はアーム基台43の上端に連結されている。アーム基台43には、アーム基台43をその軸線に沿って伸縮させる駆動部44が配設されている。駆動部44は、例えば、サーボモータ、若しくはステッピングモータなどを備えて構成される。
駆動部44は、アーム基台43を伸縮させることによって、処理位置P1(「第1位置」)と、処理位置P1の上方の待避位置P2(「第2位置」)との間で遮断板90を回転軸a1方向に沿ってスピンベース21に対して相対的に移動させる。駆動部44とアーム基台43とアーム42とは、遮断板90を昇降させることができる昇降機構441である。昇降機構441は、スピンベース21に保持された基板9の側面を遮断板90の延設部92が覆う処理位置P1と、処理位置P1から上方に離れた待避位置P2との間で、遮断板90を回転軸a1に沿ってスピンベース21に対して相対的に昇降させることができる。
遮断板90の処理位置P1は、スピンベース21上に保持される基板9の上方の位置であって、遮断板90の下面が基板9の上面と対向しつつ、当該上面と非接触状態で近接する位置である。遮断板90の待避位置P2は、遮断板90が基板9の搬送経路と干渉しない位置であり、例えば、スプラッシュガード31の上端縁部よりも上方の位置である。遮断板90が処理位置P1に配置されたときに、本体部91は、スピンベース21に保持された基板9の上面と隙間を隔てて、例えば、略平行に対向する。駆動部44は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130の制御下で動作する。つまり、遮断板90の昇降位置は、制御部130が昇降機構441を制御することによって制御される。
なお、駆動部44は、処理位置P1と待避位置P2との間の復帰用位置P3にも遮断板90を位置決めすることができる。復帰用位置P3は、スピンベース21が初期回転位置に位置するにもかかわらず、遮断板90が初期回転位置に位置しない場合に、遮断板90を初期回転位置に復帰させる復帰処理を行うための位置である。処理位置P1、待避位置P2、および復帰用位置P3は、回転軸a1上に設定されている。駆動部44(昇降機構441)が、遮断板90を処理位置P1、待避位置P2、および復帰用位置P3にそれぞれ位置決めするための制御情報(昇降位置情報)は、記憶部110に予め記憶されている。
延設部92の先端側部分には、2つの規制構造94が設けられている。規制構造94として、例えば、図4に示されるように、延設部92の先端面から、延設部92の内周面にかけて開口する凹み部が採用される。当該凹み部には、突出部26の少なくとも一部が収容される。
スピンベース21、遮断板90には、それぞれの周方向における初期位置(「初期回転位置」、「初期回転角度」)が予め設定されている。遮断板90が処理位置P1の上方の待避位置P2に配置されているときには、スピンベース21は、その初期回転位置(「基準回転位置」とも称される)に配置され、遮断板90も、その初期回転位置(「目標回転位置」とも称される)に配置されている。2つの規制構造94は、この状態で、遮断板90の上方から透視したときに、スピンベース21の側面部分に設けられた2つの突出部26とそれぞれ重なるように、延設部92の先端側部分にそれぞれ設けられている。回転駆動部23(回転機構231)がスピンベース21を基準回転位置に位置決めするための制御情報(回転位置情報)は、予め、記憶部110に記憶されている。
図6に示されるように、遮断板90が処理位置P1に配置された状態において、突出部26の少なくとも一部が規制構造94に収容される。この場合、規制構造94は、回転軸a1を中心とする周方向の前後から突出部26に対向して配置されて突出部26の周方向への相対的な動きを規制する。また、遮断板90が処理位置P1に配置された状態では、延設部92は、本体部91の周縁部からスピンベース21の側方に延びている。そして、規制構造94は、好ましくは、スピンベース21の上面よりも下方に配置されている。すなわち、突出部26と規制構造94の双方が、好ましくは、スピンベース21の上面よりも下方に配置されている。スピンベース21と遮断板90とは、回転軸a1を中心とする周方向への相対的な動きを突出部26と規制構造94とを介して相互に規制される。すなわち、規制構造94と突出部26とは、スピンベース21と遮断板90との当該周方向に沿った相対的な動きを規制する規制部201である。換言すれば、規制部201は、回転軸a1を中心とする周方向において遮断板90のスピンベース21に対する相対位置を規制する。
図9に示されるように、遮断板90の昇降位置が復帰用位置P3に位置決めされると、遮断板90の当接部95が、スピンベース21の突出部26の上面に当接する。この状態で、回転駆動部23がスピンベース21を回転させれば、当接部95と突出部26との間の摩擦力によって遮断板90を回転させることができる。これにより、遮断板90の回転位置ずれを修正することができる。
遮断板90が待避位置P2に配置されているときには、回転軸a1を中心とする規制構造94と突出部26とのそれぞれの周方向の回転位置は、それぞれ初期位置に位置決めされている。規制構造94は、待避位置P2から処理位置P1への遮断板90の移動過程における突出部26の規制構造94に対する相対的な移動経路を避けて配置されている。これにより、当該移動過程における規制構造94と突出部26との衝突を回避することができる。遮断板90が処理位置P1に配置されると、規制構造94が回転軸a1を中心とする周方向の前後から突出部26に対向して配置される。より詳細には、規制構造94が処理位置P1に配置された直後で、スピンベース21が停止しているときは、規制構造94は、当該周方向の前後から、突出部26に接触することなく突出部26に対向して配置される。これにより、当該周方向において遮断板90のスピンベース21に対する相対位置が規制される。また、遮断板90が待避位置P2に配置されると、規制構造94は回転軸a1方向に沿って突出部26から相対的に離れて配置される。
遮断板90が処理位置P1に配置されて、規制部201によって、スピンベース21に対する遮断板90の周方向における相対位置が規制された状態で、回転駆動部23が回転軸部22を回転させると、スピンベース21が基板9とともに回転する。これにより、規制構造94のうち突出部26に対して回転方向下流側の部分に突出部26が当接する。その後、遮断板90がスピンベース21と同じ回転方向に、同じ回転速度で従動回転する。
図4、図5の例では、規制構造94が延設部92の先端側部分(下端側部分)に設けられるとともに、突出部26がスピンベース21の側面部分に設けられているが、規制構造94がスピンベース21の側面部分に設けられるとともに、突出部26が延設部92の先端側部分に設けられてもよい。すなわち、遮断板90の延設部92の先端側部分とスピンベース21の側面部分とのうち一方の部分に突出部26が設けられるとともに、他方の部分に規制構造94が設けられる。
規制構造94として、凹み部に代えて、例えば、回転軸a1を中心とする周方向の前後から突出部26に対向して配置される一対の突出部が採用されてもよい。この場合も、当該規制構造によって突出部26の周方向への相対的な動きを規制できるので、本発明の有用性を損なうものではない。図4に示されるように、突出部26の少なくとも一部を収容可能な凹み部が規制構造として採用される場合には、スピンベース21と遮断板90の延設部92との間隔をより狭くできるので、遮断板90をより小径にすることができる。
また、図4に示される延設部92は筒状部材であるが、延設部として、本体部91の周縁部において周方向に分散して配置され、周縁部から下方に延びる複数の壁部、あるいは柱部が用いられてもよい。この延設部は、本体部91の周縁部のうち少なくとも一部からスピンベース21の側方に延びる。延設部が筒状部材であれば、基板9に供給されて基板9から外部に排出される処理液の流れを横切らないので、延設部から基板9側に跳ね返る処理液を少なくすることができる。
カバーガスノズル41には、これにガス(ここでは、例えば、窒素(N2)ガス)を供給する配管系であるカバーガス供給部45が接続されている。カバーガス供給部45は、具体的には、例えば、窒素ガスを供給する供給源である窒素ガス供給源451が、開閉弁453が介挿された配管452を介して、カバーガスノズル41に接続された構成を備えている。この構成において、開閉弁453が開放されると、窒素ガス供給源451から供給される窒素ガスが、カバーガスノズル41を経て、遮断板90の中央部に設けられた貫通孔91aから吐出される。なお、カバーガスノズル41に供給されるガスは、窒素ガス以外の気体(例えば、窒素ガス以外の各種の不活性ガス、乾燥空気、等)であってもよい。
遮断板90が処理位置P1に配置されている状態において、カバーガス供給部45からカバーガスノズル41にガスが供給されると、カバーガスノズル41から、スピンベース21上に保持される基板9の上面の中央付近に向けて、ガス(カバーガス)が基板9の上面に向けて吐出される。ただし、カバーガス供給部45の開閉弁453は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130の制御下で開閉される。つまり、カバーガスノズル41からのガスの吐出態様(具体的には、吐出開始タイミング、吐出終了タイミング、吐出流量、等)は、制御部130によって制御される。
<処理部5>
処理部5は、スピンベース21上に保持された基板9の処理面(「処理対象面」)に対する処理を行う。具体的には、処理部5は、スピンベース21上に保持された基板9の処理面に処理液を供給する。図1の例では、基板9の処理面は、下面である。
図1に示されるように、処理部5は、例えば、スピンチャック2の回転軸部22の中空部に貫通して配置された供給管81を備える。供給管81の先端は、供給管81とスピンベース21の貫通孔21aとが連通するように、貫通孔21aの下側の開口に接続されている。貫通孔21aの上側(基板9側)の開口には、ノズル50が接続されている。ノズル50は、スピンベース21に保持されて回転している基板9の処理面に対向する吐出口を備えている。ノズル50は、供給管81を経て供給される処理液を当該吐出口から基板の下面に吐出する。なお、処理面である基板9の上面(全体または周縁部)に処理液を供給可能なノズルが採用されてもよい。このようなノズルは、例えば、遮断板90に設けられる。ノズル50として、基板9の処理面に処理液を吐出可能な種々のノズルが採用され得る。
供給管81には、これに処理液を供給する配管系である処理液供給部83が接続されている。処理液供給部83は、具体的には、SC−1供給源831a、DHF供給源831b、SC−2供給源831c、リンス液供給源831d、複数の配管832a,832b,832c,832d、および、複数の開閉弁833a,833b,833c,833dを、組み合わせて構成されている。
SC−1供給源831aは、SC−1を供給する供給源である。SC−1供給源831aは、開閉弁833aが介挿された配管832aを介して、供給管81に接続されている。したがって、開閉弁833aが開放されると、SC−1供給源831aから供給されるSC−1が、ノズル50から吐出される。
DHF供給源831bは、DHFを供給する供給源である。DHF供給源831bは、開閉弁833bが介挿された配管832bを介して、供給管81に接続されている。したがって、開閉弁833bが開放されると、DHF供給源831bから供給されるDHFが、ノズル50から吐出される。
SC−2供給源831cは、SC−2を供給する供給源である。SC−2供給源831cは、開閉弁833cが介挿された配管832cを介して、供給管81に接続されている。したがって、開閉弁833cが開放されると、SC−2供給源831cから供給されるSC−2が、ノズル50から吐出される。
リンス液供給源831dは、リンス液を供給する供給源である。ここでは、リンス液供給源831dは、例えば、純水を、リンス液として供給する。リンス液供給源831dは、開閉弁833dが介挿された配管832dを介して、供給管81に接続されている。したがって、開閉弁833dが開放されると、リンス液供給源831dから供給されるリンス液が、ノズル50から吐出される。なお、リンス液として、純水、温水、オゾン水、磁気水、還元水(水素水)、各種の有機溶剤(イオン水、IPA(イソプロピルアルコール)、機能水(CO2水など)、などが用いられてもよい。
処理液供給部83から供給管81に処理液(SC−1、DHF、SC−2、あるいは、リンス液)が供給されると、ノズル50から、スピンベース21上に保持された基板9の処理面の中央付近に向けて、当該処理液が吐出されることになる。ただし、処理液供給部83が備える開閉弁833a,833b,833c,833dの各々は、制御部130と電気的に接続されており、制御部130の制御下で開閉される。つまり、ノズル50からの処理液の吐出態様(具体的には、吐出される処理液の種類、吐出開始タイミング、吐出終了タイミング、吐出流量、等)は、制御部130によって制御される。ノズル50と供給管81と処理液供給部83とは、制御部130の制御によって基板9の処理面に処理液を吐出する処理液吐出部83Aである。
<センサー6>
センサー(検出部)6は、遮断板90が回転軸a1を中心とする定められた目標回転位置に位置するか否かを検出可能である。センサー6は、例えば、レーザー光線などを射出可能なレーザーダイオードなどの投光素子61と、投光素子61が射出する光線を受光し、受光した光量に応じた大きさの信号を発生する受光素子62とを備えて構成される。受光素子62は、投光素子61が射出する光線の光路上に設けられている。受光素子62の受光面は、投光素子61に向けられている。センサー6、すなわち投光素子61、受光素子62は、取り付け用の部材を介してアーム42の先端側部分に固定されている。
投光素子61は、回転部93、すなわち遮断板90が初期回転位置に位置決めされている場合に、投光素子61が射出する光線の進行方向が溝部93aの延在方向に一致し、当該光線が溝部93aの一方の開口に入射して、他方の開口から射出するように設けられている。受光素子62は、溝部93aを通過して溝部93aの他方の開口から射出する光線を受光面で受光できる位置に設けられている。回転部93、すなわち遮断板90が初期回転位置に位置決めされていない場合には、投光素子61が射出する光線は、回転部93の側面に遮られて受光素子62に到達しない。
従って、回転部93の回転位置、すなわち遮断板90の回転位置が、初期回転位置であるときには、受光素子62は、投光素子61が射出した光線を受光して光量に応じた信号を出力する。回転部93の回転位置、すなわち遮断板90の回転位置が、初期回転位置からずれているときには、受光素子62は、信号を殆ど出力しない。受光素子62が出力する信号は、制御部130に伝えられる。制御部130は、受光素子62、すなわちセンサー6の出力信号(「検出結果」)に基づいて、遮断板90が初期回転位置(目標回転位置)に位置決めされているか否かを判定することができる。
回転している遮断板90が1回転する間に、投光素子61から射出される光が溝部93aを通過して受光素子62の受光面に入射する時間は、回転部93の回転速度が速くなるにつれて短くなる。このため、遮断板90を回転させながら遮断板90の初期回転位置を検出する際には、溝部93aを通過した光が受光素子62に入射する時間が、受光素子62が当該光を検出可能な時間となるように、遮断板90の回転速度が設定される。当該回転速度は、例えば、2〜10rpm等の低速である。なお、ノズル50から処理液を吐出して基板9の処理を行うときのスピンベース21および遮断板90の回転速度は、例えば、2000rpm程度の高速に設定される。また、遮断板90の初期回転位置は、例えば、4度以下の精度で検出できることが好ましい。
溝部93aを通過した光をセンサー6が検出可能な低速で遮断板90を回転させる場合には、遮断板90が初期回転位置以外の回転位置から初期回転位置に到達するまでの所要時間は、長くなる。このため、できるだけ短い時間で、遮断板90の初期回転位置を検出し、遮断板90を初期回転位置に位置決めする手法として、種々の手法が考えられる。
例えば、センサー6が初期回転位置を検出可能な上限の回転速度で、遮断板90を回転させつつ、センサー6が初期回転位置を検出した直後(センサー6が初期回転位置に応じた信号を出力した直後)に遮断板90の回転を停止させ、その後、さらに低速の回転速度で遮断板90を逆方向に微小角度回転させて遮断板90の回転を停止する手法が考えられる。センサー6が初期回転位置を検出した直後に遮断板90を停止させたとしても、多くの場合、遮断板90は、初期回転位置を若干行き過ぎる。しかし、センサー6が溝部93aを通過する光を検出可能な遮断板90回転角度(例えば、4度)の半分(例えば、2度)だけ逆方向に遮断板90を回転させて遮断板90を停止させれば、遮断板90の停止位置を初期回転位置にさらに近づけることができる。この手法によれば、1つのセンサー6を用いる場合でも、短時間で、高精度に、遮断板90の初期回転位置に位置決めすることができる。また、センサー6とは別のセンサーをさらに設ける手法も採用され得る。当該別のセンサーは、センサー6よりも高速の回転速度において、遮断板90の定められた回転位置を検出可能であることが好ましい。当該手法では、遮断板90の初期回転位置の近傍の回転位置を当該別のセンサーが受光を検出するまでは、遮断板90を高速で回転させ、その後、遮断板90を低速で回転させることによって、遮断板90の初期回転位置をセンサー6で検出して遮断板90を停止させる。
また、センサーとして、例えば、回転部93、若しくは、遮断板90の上面周縁部に、光を強く反射するマーカーを設け、当該マーカーの回転軌跡に向けて光を照射し、マーカーから反射した光を検出する一般的な反射式のセンサーが用いられてもよい。当該マーカーとして、例えば、回転位置確認用に回転部93等に固定されたボルトなどを使用することができる。また、例えば、遮断板90の周縁部の一部を回転軸a1に沿って貫通する孔を設け、当該貫通孔を通過する光を検出するように投光素子61、受光素子62を配置してもよい。
<2.遮断板とスピンベースの構成>
図6、図7は、遮断板90が処理位置P1に配置されているときの遮断板90とスピンベース21の周縁部の構成を示す縦断面図である。遮断板90、スピンベース21のそれぞれの回転位置の相対的な位置関係(「回転位置関係」とも称する)は、遮断板90がその初期回転位置(目標回転位置)に位置決めされるとともに、スピンベース21がその初期回転位置(基準回転位置)に位置決めされているときの位置関係(「基準の回転位置関係」)に設定されている。この状態で、スピンベース21が回転され、当該回転に従動して遮断板90が回転する場合には、スピンベース21と遮断板90とが初期回転位置からずれたとしても、スピンベース21と遮断板90との基準の回転位置関係は維持される。図6には、規制部201における断面が示され、図7には、規制部201以外の部分における断面が示されている。図6、図7、および後述の図9、図17の例では、スプラッシュガード31の外部材313が上方位置に配置され、内部材312が下方位置に配置されている。図8は、規制部201を示す横断面図である。
スピンベース21は、上面形状が円形である円板状の基部28と、基部28の周縁(側面)において、基部28の上面よりも若干下方の位置から径方向外側に突設する環状のフランジ部29とを備えている。基部28およびフランジ部29は、例えば、塩化ビニルによって、一体的に形成されている。フランジ部29の上面と下面(より詳細には、フランジ部29のうち基端部分以外の部分の下面、すなわちフランジ部29の先端側部分の下面)とは、水平面に沿って形成され、基部28の側面は、鉛直面である。フランジ部29の基端部分には、スピンベース21の周方向に沿う環状の曲面(「曲面部」)211が形成されている。曲面211は、例えば、回転軸a1に向かって斜め上方に凸の1/4円弧状の断面形状を有している。当該円弧の半径は、例えば、5mm〜10mmに設定される。フランジ部29の先端側部分の下面と、基部28の側面のうちフランジ部29よりも下側の部分とは、曲面211によってなだらかに接続されている。
フランジ部29の上面と、基部28の側面のうちフランジ部29の上側部分とによって環状の凹みが形成されている。この凹みには、環状の板状部材である水切り部27がボルトによって固定されている。水切り部27は、好ましくは、基部28よりも耐熱性の高い、例えば、フッ素樹脂などにより形成される。水切り部27の外周縁部は、基部28の径方向においてフランジ部29の外周縁よりも外側に延びている。水切り部27の外周縁の径、すなわちスピンベース21の外周縁の径は、基板9の径よりも大きい。水切り部27のうち外周縁部(「先端部分」)以外の部分の上面は、基部28の上面と同一の水平面をなしている。水切り部27の外周縁部の上面は、斜め上方外側に向けて張り出して湾曲した曲面である。当該外周縁部は、外周縁に近づくにつれて徐々に厚みが薄くなっている。上述した2つの突出部26は、水切り部27の外周縁部の先端(外縁)から遮断板90の径方向外側に向けてそれぞれ突設されている。突出部26は、例えば、図5、図6、図8に示されるように四角柱状の形状に形成される。この突出部26の上面261は、長方形状の水平面である。突出部26の先端面262は、上面261と直交し、その中心を通る法線が回転軸a1と交わる長方形状の鉛直面である。突出部26の側面263、264は、上面261、先端面262の双方と直交する長方形状の鉛直面である。上面261は、基部28の上面よりも下方に位置する。これにより突出部26全体が基部28の上面よりも下方に位置する。
遮断板90の本体部91は、例えば、塩化ビニルによって形成された円板状の部材である。本体部91の下面のうち周縁部以外の下面911は、スピンベース21のチャックピン25に保持された基板9の上面と、隙間を隔てて対向している。下面911と基板9の上面との間隔D2は、例えば、1mm程度である。本体部91の下面のうち周縁部には、周縁に沿う環状の凹みが形成されている。これにより、本体部91の周縁部の厚みは、他の部分の半分程度となっている。延設部92は、この凹みに嵌合可能な環状の形状を有する。延設部92は、この凹みに嵌合してボルトによって本体部91に固定されている。延設部92は、好ましくは、本体部91よりも耐熱性に優れた、例えば、フッ素樹脂などの材料により形成される。延設部92の環状の内周面921は、その下端から上方に向かって立設された後、回転軸a1側に向かって基板9の周縁部の上方まで延びている。内周面921のうち回転軸a1側の環状の周縁部は、本体部91の下面911になだらかに接続しており、下面911とともに、基板9の上面に対向する対向面をなしている。延設部92は、本体部91の周縁部から下方に延設された筒状壁部となっており、その先端側部分は、スピンベース21の側方部分に延びている。延設部92の内周面921のうち延設部92の先端側(下端側)の部分は、スピンベース21の側方部分に延びている。延設部92の外縁側の内周面921は、スピンベース21の上面に対して斜め上方外側に張り出すように湾曲した曲面である。これにより、遮断板90の径方向における延設部92の先端側部分の幅は、下方、すなわち、スピンベース21の側方部分に向かうにつれて徐々に細くなっている。このように、内周面921は、遮断板90の下面と連続するとともに、スピンベース21の上面に対して斜め上方外側に張り出すように膨らんで湾曲している。
延設部92の先端側部分には、規制構造94が形成されている。規制構造94は、例えば、図4、図6、図8に示されるように、延設部92の先端面から、延設部92の内周面にかけて開口する凹み部である。この規制構造94は、遮断板90が処理位置P1に配置されたときに、突出部26の少なくとも一部を収容可能なように形成されている。規制構造94の上面941は、長方形状の水平面である。規制構造94の底面942は、上面941と直交し、その中心を通る法線が回転軸a1と交わる長方形状の鉛直面である。規制構造94の側面943、944は、上面941、底面942の双方と直交する長方形状の鉛直面である。上面941は、基部28の上面よりも下方、かつ、突出部26の上面261よりも上方に位置する。これにより規制構造94全体が基部28の上面よりも下方に位置する。
遮断板90が処理位置P1に配置されたときに、2つの規制構造94の一方が、2つの突出部26の一方の少なくとも一部を収容し、他方の規制構造94が、他方の突出部26の少なくとも一部を収容する。
突出部26が規制構造94に収容された直後の状態において、スピンベース21が停止しているときは、規制構造94の上面941と、突出部26の上面261とが隙を隔てて互いに対向するとともに、規制構造94の底面942と、突出部26の先端面262とが隙間を隔てて互いに対向する。そして、規制構造94の側面943は、突出部26の側面263と対向し、規制構造94の側面944は、突出部26の側面264と対向する。これにより、規制構造94は、回転軸a1を中心とする周方向の前後から突出部26に対向して配置されて突出部26の周方向への相対的な動きを規制可能となる。規制構造94と、突出部26とは、回転軸a1を中心とする周方向に沿ったスピンベース21と遮断板90との相対的な動きを規制する規制部201である。
図7に示されるように、遮断板90が処理位置P1に配置された状態で、延設部92の先端側部分と、スピンベース21の側部、より具体的には、水切り部27の先端部分との間には、規制部201以外の部分において、隙間G1が形成される。隙間G1の幅D1は、例えば、1mm〜5mm程度である。処理部5のノズル50が基板9の処理面に吐出した処理液は、処理面に沿って、基板9の外部に排出され、さらにスピンベース21の周縁部から隙間G1を通って外部に排出される。延設部92の内周面921のうち延設部92の先端の部分と、水切り部27の先端部分の上面とが、上述のように、互いに湾曲していれば、処理液は、隙間G1からスムーズに外部へ排出される。なお、水切り部27の先端部分の上面が、曲面ではなく、例えば、鉛直面であるとしても本発明の有用性を損なうものではない。
延設部92の内周面921の上端部分は、遮断板90の下面のうち基板9に対向する対向面(より詳細には、当該対向面の周縁部)よりも上方、すなわちスピンベース21の上面に対して当該対向面よりも高い位置にある。これにより、内周面921の上端側部分に、環状の凹み部922が形成されている。凹み部922は、回転軸a1を中心とする周方向に沿って形成されている。凹み部922は、延設部92の先端側部分と、遮断板90のうち基板9に対向する部分との間に形成されている。すなわち、凹み部922は、遮断板90の内側面901のうち、延設部92の先端側部分と、基板9に対向する対向部分との間の部分に形成されている。内側面901は、基板9の上面及び端面を取り囲む面である。内側面901は、本体部91の下面911と延設部92の内周面921とを含んでいる。凹み部922は、遮断板90のうち基板9の上面に対向する対向部分の周縁部よりも上方にくぼんでいる。凹み部922と、スピンベース21の上面との間には、環状の膨んだ空間(「膨らみ空間」)923が形成される。空間923は、遮断板90のうち基板9に対向する対向面よりも上方に膨らんでいる。凹み部922の最もくぼんだ部分と基板9の上面との間隔D3は、間隔D2よりも長い。遮断板90の径方向における凹み部922の幅D4は、好ましくは、例えば、20mm以上に設定される。
遮断板90の内側面901(より詳細には、延設部92の内周面921)のうち、下面911に対して凹み部922よりも外側(遮断板90の径方向外側)の部分には、上述のように、スピンベース21の上面に対して斜め上方外側に膨らんで湾曲する湾曲面が形成されている。なお、図示の例では、下面911は、基板9の上面と平行である。しかし、例えば、下面911のうちその周縁部を除く部分が、下面911の中心に向かうにつれて基板9の上面から高くなるなど、下面911全体が基板9の上面と平行でなくてもよい。
隙間G1から排出される処理液は、処理液の量と、隙間G1の幅によっては、延設部92と水切り部27との間の空間に滞留する場合があるが、凹み部922により形成された空間923が、バッファとなる。これにより、滞留した処理液に起因して、処理液が基板9の非処理面に跳ね返って付着することを抑制できる。なお、延設部92の内周面921に凹み部922が形成されておらず、内周面921が本体部91の下面になだらかに接続していてもよい。
また、水切り部27の先端部分から排出される処理液の一部は、規制構造94、突出部26に当たって跳ね返る。しかしながら、遮断板90が処理位置P1に配置された状態で、遮断板90の規制構造94と、スピンベース21の突出部26との双方がスピンベース21の上面より下方にある場合には、跳ね返された処理液が、基板9の処理面以外の主面(「非処理面」)に付着することが抑制される。
延設部92、水切り部27が、耐熱性に優れたフッ素樹脂などにより形成されていれば、処理液が高温である場合でも、高温による遮断板90、スピンベース21の損傷を抑制することができる。しかしながら、例えば、フッ素樹脂は、塩化ビニルに比べて、耐熱性に優れるが、硬度が低い。遮断板90が処理位置P1に配置された状態で、回転駆動部23が回転軸部22を介してスピンベース21を回転させる場合、加速時、減速時には、突出部26と規制構造94とが互いに当接する。これにより、規制構造94と突出部26同士、すなわちフッ素樹脂製の部材同士が衝突し、塵が発生する場合がある。この塵が基板9に付着すると欠陥となる。なお、延設部92、スピンベース21がそれぞれ同じ材料で一体的に形成されていてもよい。
例えば、スピンベース21の突出部26は、その外周面のうち先端面262以外の面を、EPDMなどの弾性部材により形成されたOリングなどによって覆われていてもよい。この場合、規制構造94と突出部26とがスピンベース21の加速時などに互いに当接する場合でも、塵の発生を抑制できる。なお、突出部26と規制構造94とのうち少なくも一方が、他方と対向する部分を弾性部材に覆われていれば発塵を抑制できる。突出部26と規制構造94の何れもが、弾性部材によって覆われていないとしても本発明の有用性を損なうものではない。
ここで、例えば、遮断板90が待避位置P2に配置されて、基板処理装置1に対する各種の調整が行われる場合には、遮断板90とスピンベース21との回転位置関係が基準の回転位置関係からずれる場合がある。この場合には、処理部5による基板9の処理を行う前に、遮断板90とスピンベース21との回転位置関係を基準の回転位置関係に設定した後に、遮断板90を処理位置P1に移動させる必要が有る。遮断板90とスピンベース21との回転位置関係を基準の回転位置関係に復帰させる処理は、遮断板90とスピンベース21とをそれぞれの初期回転位置に復帰させることによって行われる。
また、基板処理装置1が基板を回転させつつ処理している最中に、緊急停止動作が行われた場合には、基板処理装置1は、例えば、先ず、遮断板90を待避位置P2に移動させた後に、遮断板90とスピンベース21との回転位置関係を基準の回転位置関係に復帰させる処理を行ってもよい。
スピンベース21は回転駆動部23に駆動されることにより回転可能である一方、遮断板90はスピンベース21の回転に従動回転する。そのため、制御部130は、遮断板90とスピンベース21とを基準の回転位置関係に復帰させるために、駆動部44を制御して、遮断板90を復帰用位置P3に移動させる。復帰用位置P3は、遮断板90とスピンベース21とが僅かに接触する昇降位置である。その後、制御部130は、回転駆動部23を制御して、スピンベース21を低速で回転させることにより、遮断板90を、回転軸a1を中心とする周方向に回転させる。制御部130は、センサー6の出力信号に基づいて、遮断板90が初期回転位置(目標回転位置)に到達した時点で回転駆動部23を制御して遮断板90の回転を停止させる。
制御部130は、その後、遮断板90を上方の待避位置P2に、一旦、移動させた後に、回転駆動部23を制御して、スピンベース21を初期回転位置(基準回転位置)に回転させる。これにより、遮断板90が待避位置P2に配置された状態で、遮断板90とスピンベース21とはそれぞれの初期回転位置に配置される。遮断板90が待避位置P2と処理位置P1との間で、スピンベース21に対して相対的に移動する際に、遮断板90が初期回転位置からずれないようすることが好ましい。このため、表面保護部4は、好ましくは、遮断板90が初期回転位置に配置された状態で、アーム42に対する回転部93および遮断板90の回転位置を固定するロック機構を備える。遮断板90が処理位置P1に配置されているときには、当該ロック機構は解放される。
図9は、遮断板90が復帰用位置P3に配置されているときの遮断板90とスピンベース21の周縁部の構成を示す縦断面図である。遮断板90とスピンベース21の回転位置関係は、基準の回転位置関係からずれている。遮断板90とスピンベース21との回転位置関係が、基準の回転位置関係からずれている状態で、遮断板90が復帰用位置P3に配置されている場合には、延設部92の当接部95が、突出部26の上面261に当接する。当接部95は、本体部91から延設された延設部92の先端である。当接部95は、遮断板90が復帰用位置P3に配置されたときに突出部26に当接可能に設けられている。
当接部95が突出部26に当接した状態で、回転機構231がスピンベース21を回転させると、当接部95と突出部26との間に作用する摩擦力によって遮断板90を回転させることができる。遮断板90が処理位置P1に配置されている場合には、規制構造94の側面943、944が突出部26の回転経路を遮るように配置されることによって規制構造94が遮断板90の周方向への動きを規制する。このため、スピンベース21を高速で回転させたとしても遮断板90は、スピンベース21と一体的に回転する。しかし、遮断板90が復帰用位置P3に配置されている場合には、当接部95は、突出部26の回転経路を横切っておらず、当接部95は、突出部26の上面に僅かに接触した状態となっている。このため、当接部95と突出部26との間の摩擦力(より詳細には、静止摩擦力)によって遮断板90がスピンベース21と一体的に回転できるように、スピンベース21の回転速度、すなわち遮断板90の回転速度は低速に設定される。これにより、遮断板90がスピンベース21に対して摺動しつつ回転して基板処理装置1が損傷することを抑制できる。
ここで、上述のように、センサー6によって遮断板90の初期回転位置を検出する必要もある。従って、スピンベース21の回転速度は、当該静止摩擦力によって遮断板90を回転できるとともに、センサー6によって遮断板90の初期回転位置を検出できる回転速度に設定される。センサー6によって遮断板90の初期回転位置を検出できる回転速度でスピンベース21を回転させた場合には、通常、当接部95と突出部26との間の摩擦力によって遮断板90をスピンベース21と一体的に回転させることができる。従って、スピンベース21の回転速度は、上述したように、例えば、2〜10rpmに設定される。制御部130は、スピンベース21を回転させて、当該摩擦力によって遮断板90を回転させ、遮断板90の初期回転位置を検出したときのセンサー6の出力信号に基づいて遮断板90を初期回転位置に位置決めすることができる。突出部26と、当接部95とは、補助規制部202を構成する。
なお、規制構造94がスピンベース21の側面部分に設けられるとともに、突出部26が延設部92の先端側部分に設けられている場合には、例えば、スピンベース21の側面部分の上端(先端)が当接部95となる。遮断板90が復帰用位置P3に位置決めされたときに、当該当接部95が延設部92に設けられた突出部26の下面に当接可能なように、当接部95と突出部26とがそれぞれ設けられる。
<3.基板処理装置の動作について>
図10は、基板処理装置1の動作を例示するフローチャートである。図11は、図10のステップS30の復帰処理を例示するフローチャートである。なお、スピンベース21もその初期回転位置に復帰させられる。従って、当該復帰処理の後に、スピンベース21と遮断板90との回転位置関係は、基準の回転位置関係に設定される。図12、図13は、図11の復帰処理のフローチャートに示される複数の処理ステップのうち一部のステップを説明する図である。図12、図13では、飛散防止部3、処理部5の記載は省略されている。
以下に、図10〜図13を参照しつつ、基板処理装置1の動作の一例を説明する。当該動作例は、スピンベース21と遮断板90との回転位置関係が基準の回転位置関係からずれている状態から、基板処理装置1がスピンベース21、遮断板90をそれぞれの初期位置に復帰させたのち、基板9の処理を行う動作である。
制御部130の判定部12は、例えば、基板処理装置1が基板9をスピンベース21に載置すべく基板9を搬入する前に、スピンベース21と遮断板90との回転位置関係が基準の回転位置関係からずれているか否かを判定する判定処理を行う。操作部120を介した操作者の指示によって判定処理が行われてもよい。より詳細には、判定部12は、スピンベース21が初期回転位置に配置されている状態において、遮断板90が初期回転位置に配置されていない場合には、スピンベース21と遮断板90との回転位置関係が基準の回転位置関係からずれていると判定する(ステップS10)。スピンベース21が初期回転位置に配置されているか否かの判定は、スピンベース21を回転させる回転機構231の制御情報(「回転位置情報」)に基づいて判定される。遮断板90が初期回転位置に配置されているか否かは、センサー6の出力信号に基づいて判定される。
ステップS10の処理を開始するときにスピンベース21がその初期回転位置に配置されていない場合には、制御部130は、回転機構231にスピンベース21を初期回転位置に配置させた後に、判定部12がステップS10の判定処理を開始する。判定部12は、遮断板90が初期回転位置に配置されている場合において、スピンベース21が初期回転位置に配置されていない場合に、スピンベース21と遮断板90との回転位置関係が基準の回転位置関係からずれていると判定してもよい。
ここでは、スピンベース21は、初期回転位置に配置されているが、遮断板90は、初期回転位置に配置されていない。このため、ステップS10の処理において、判定部12は、スピンベース21と遮断板90が基準の回転位置関係からずれていると判定する。
判定部12は、回転機構231がスピンベース21を回転させていない状態において、例えば、定められた周期でステップS10の判定処理を行う。また、遮断板90の初期回転位置をセンサー6が検出可能な回転速度でスピンベース21が回転している場合には、判定部12は、スピンベース21が初期回転位置に達したタイミングで当該判定処理を行うことができる。
判定部12が、遮断板90とスピンベース21とが基準の回転位置関係からずれていると判定した場合、すなわち回転位置関係のずれを検出した場合には、制御部130の不能化部14は、昇降機構441による遮断板90の降下機能と、回転機構231によるスピンベース21の回転機能とを不能化する(ステップS20)。従って、スピンベース21と、遮断板90が、それぞれの初期回転位置に位置する場合にのみ、昇降機構441、すなわち駆動部44は、遮断板90を降下させることができる。不能化部14が行う当該不能化処理は、スピンベース21と遮断板90との回転位置関係がずれている状態で、遮断板90の降下、若しくはスピンベース21の回転を行った場合に、スピンベース21と遮断板90とが衝突して基板処理装置1が損傷することを抑制することなどを目的として行われる。当該不能化処理は、不能化部14が、昇降機構441による遮断板90の降下動作と、回転機構231による遮断板90の回転動作とを禁止するプログラムを実行することなどによって実現される。当該不能化処理において、不能化部14は、当該降下機能と当該回転機能とのうち当該降下機能のみを不能化してもよい。当該降下機能の不能化処理として、不能化部14は、例えば、処理位置P1と待避位置P2との全範囲において昇降機構441が遮断板90を降下させる機能を不能化してもよい。また、不能化部14は、例えば、昇降機構441が復帰用位置P3と同じ位置、若しくは、より下方の位置へ遮断板90を降下させる降下機能を不能化する一方、昇降機構441が遮断板90を上昇させる機能と、待避位置P2より上方の範囲内で遮断板90を降下させる機能とを可能としてもよい。また、不能化部14は、昇降機構441による遮断板90の降下機能と上昇機能との双方の機能、すなわち昇降機構441による遮断板90の昇降機能を不能化してもよい。従って、不能化部14は、ステップS20の処理において、復帰用位置P3と同じ、若しくは、より下方の位置に昇降機構441が遮断板90を降下させる降下機能を不能化する。また、不能化部14が基板処理装置1による処理の禁止、若しくはエラーメッセージの表示などを行ってもよい。
次に、制御部130は、遮断板90を初期回転位置に復帰させる復帰処理を行い(ステップS30)、処理は、図11のステップS310に移される。
制御部130のCPU10が、昇降機構441による遮断板90の降下動作と、回転機構231による遮断板90の回転動作との禁止を解除するプログラムを実行することなどによって、昇降機構441による当該降下機能と、回転機構231による当該回転機能とを能動化する(図11のステップS310)。なお、図10のステップS20において昇降機構441による遮断板90の昇降機能を不能化していた場合、制御部130は、ステップS310において当該昇降機能を能動化する。
遮断板90が待避位置P2に位置していない場合、制御部130は、昇降機構441を制御して、昇降機構441に遮断板90を待避位置P2に位置決めさせる(図11、図12のステップS320)。
制御部130は、昇降機構441に遮断板90を降下させて、遮断板90を復帰用位置P3に位置決めする位置決め処理(「昇降位置決め処理」、「昇降位置の設定処理」)を行う(図11、図12のステップS330)。遮断板90が復帰用位置P3に位置決めされると、遮断板90の当接部95が突出部26の上面に当接し、当接部95と突出部26との間に作用する摩擦力によって、遮断板90は、スピンベース21と一体的に回転可能となる。従って、当該位置決め処理は、遮断板90を復帰用位置P3に位置決めして当接部95を突出部26に当接させる処理である。
復帰用位置P3は、例えば、予め、操作者が、スピンベース21に対する遮断板90の昇降位置を少しずつ変更して、当接部95と突出部26とが僅かに接触しつつ、互いの間に作用する静止摩擦力によって、遮断板90がスピンベース21に従動回転できる昇降位置を操作者が探索することによって決定される。
当該探索処理は、制御部130が自動的に行ってもよい。この場合には、制御部130は、例えば、スピンベース21を一回転させて、その間にスピンベース21の初期回転位置を検出できるか否かによって、制御部130は、遮断板90がスピンベース21に従動回転できるか否かを判定できる。より具体的には、制御部130は、スピンベース21を一回転させて、その間にセンサー6から出力信号が出力されたか否かを確認する。出力信号が出力されなかった場合には、制御部130は、昇降機構441に遮断板90を定められた微小距離だけ降下させて、出力信号の有無を確認する処理を繰り返す。出力信号が確認された場合には、制御部130は、突出部26と当接部95との摩擦力を、少し増加させるために、遮断板90をさらに若干降下させる。制御部130は、降下後の位置を探索された復帰用位置P3として、昇降機構441の制御情報を記憶部110に記憶させる。
制御部130の復帰処理部16は、回転機構231にスピンベース21と遮断板90を、例えば、2rpm〜10rpmの低速で一体的に回転させことによって、遮断板90を初期回転位置に位置決めする位置決め処理(「回転位置決め処理」、「回転位置の設定処理」)を行う(図11、図12のステップS340)。当該回転位置決め処理は、当接部95が突出部26に当接している状態で、回転軸a1を中心にスピンベース21を回転させることによって突出部26と当接部95とを介して遮断板90を回転させて、センサー6の検出結果に基づいて遮断板90の回転位置を目標回転位置に位置決めする処理である。遮断板90の当該位置決めは、上述のように、センサー6の出力信号に基づいて行われる。なお、遮断板90の回転を禁止するためのロック機構が設けられている場合には、当該ロック機構は、ステップS340の開始前に解放され、遮断板90の初期回転位置への位置決めが完了した後にロックされる。遮断板90が初期回転位置に位置決めされると、スピンベース21は、初期回転位置からずれる。
制御部130は、昇降機構441に遮断板90を上昇させて、遮断板90を待避位置P2に位置決めする(図11、図13のステップS350)。これにより、スピンベース21を回転軸a1を中心に単独で回転させることができるようになる。
制御部130は、スピンベース21をその初期回転位置に回転させる制御を回転機構231に行わせて、スピンベース21を初期回転位置に位置決めする(図11、図13のステップS360)。この状態で、延設部92の規制構造94と、スピンベース21の突出部26とは、上方から見たときに互いに重なっている。すなわち、スピンベース21と遮断板90との回転位置関係は、基準の回転位置関係になっている。
制御部130は、昇降機構441に遮断板90を降下させて、遮断板90を処理位置P1に位置決めする(図11、図13のステップS370)。これにより、図6、図8に示されるように、規制構造94が、回転軸a1を中心とする周方向において、突出部26の前後から突出部26に対向するように配置され、突出部26の周方向への動きを規制する。アーム42に対する遮断板90の回転をロックするロック機構が設けられている場合には、ロック機構は解放される。ステップS370の処理が終了すると、図10の復帰処理(ステップS30)が終了し、処理は、図10のステップS40に移され、処理部5による基板9の処理が行われる。この際に、スピンベース21の回転速度は、例えば、2000rpmなどの高速に設定される。基板9の処理が完了すると、図10の動作フローに従った処理が完了する。
<4.他の実施形態について>
図14、図15は、実施形態に係る基板処理装置の遮断板、スピンベースの他の構成例として、遮断板90Aとスピンベース21Aとを示す斜視図である。図15は、遮断板90Aが処理位置P1に配置されたときの遮断板90Aとスピンベース21Aを示す斜視図である。スピンベース21と遮断板90とは、基準の回転位置関係に配置されている。
遮断板90Aは、遮断板90の延設部92に代えて、延設部92Aを備えることを除いて、遮断板90と同様に構成されている。延設部92Aは、延設部92と同様に、円板状の本体部91の周縁部からスピンベース21Aの側方に延設されており、回転軸a1を中心とする周方向に沿って環状に延在する筒状壁部である。延設部92Aと延設部92との差異は、遮断板90がその先端側部分に2つの規制構造94を備えていたことに対して、延設部92Aが、その先端側部分に2つの規制構造94Aを備えることである。
また、スピンベース21Aは、スピンベース21の水切り部27の先端部分に、突出部26に代えて、突出部26Aを備えることを除いてスピンベース21と同様に構成されている。規制構造94Aと突出部26Aとは、回転軸a1を中心とする周方向へのスピンベース21Aと遮断板90Aとの互いの相対的な動きを規制する規制部201Aである。
規制構造94Aは、突出部26Aの少なくとも一部を収容可能な形状に形成された凹み部である。規制構造94Aは、延設部92Aの先端部分を遮断板90Aの径方向に沿って貫通するとともに、当該先端部分の下方にも開口している。すなわち、規制構造94Aは、スピンベース21Aの側面部分から突出する突出部26Aへ回転軸a1方向に沿って向かう方向に開口している。なお、図6に示される規制構造94のように、規制構造94Aが、延設部92Aの先端部分を遮断板90Aの径方向に沿って貫通していないとしても、本発明の有用性を損なうものではない。この場合には、遮断板90Aによる基板9の密閉性を向上させることができる。
規制構造94Aのうち少なくとも下方側の開口部分の周方向に沿った幅W1は、当該開口に近づくにつれて広くなっている。具体的には、規制構造94Aは、回転軸a1を中心とする周方向に沿って互いに斜めに対向する側面(斜面)943A、944Aを備えている。側面943Aと、側面944Aとの当該周方向に沿った幅W1は、下方に近づくにつれて広くなっている。
突出部26Aは、例えば、五角柱状に形成されており、その軸方向は、スピンベース21Aの径方向に沿っている。突出部26Aは、長方形状の水平な底面267Aと、スピンベース21Aの周方向における底面267Aの両端のそれぞれから上方、すなわち規制構造94Aの開口側に立設された長方形状の側面265A、266Aとを備える。側面265A、266Aは、鉛直面である。側面265A、266Aの上端部には、斜面263A、264Aが接続している。斜面263Aと斜面264Aとは、突出部26Aの先端部分(上端部分)を形成している。斜面263Aと、規制構造94Aの側面943Aとは互いに略平行であり、斜面264Aと側面944Aも互いに略平行である。斜面263Aと斜面264Aとの回転軸a1を中心とする周方向の幅W2は、上方に近づくにつれて狭くなっている。すなわち、突出部26Aのうち少なくとも先端部分は、延設部92Aの先端側部分の規制構造94Aに対向し、当該先端部分の回転軸a1を中心とする周方向に沿った幅W2は、規制構造94に近づくにつれて狭くなっている。また、規制構造94Aと突出部26Aとは、好ましくは、突出部26Aのうち少なくとも先端側部分が、規制構造94Aのうち少なくとも突出部26A側の開口部分に嵌合可能なようにそれぞれ形成される。
図15に示されるように、遮断板90Aが処理位置P1に配置されたときに、突出部26Aの先端側部分が、規制構造94Aに収容される。これにより、遮断板90Aは、スピンベース21Aに対する周方向への相対的な動きを規制される。
また、遮断板90Aが処理位置P1に配置されたときに、規制構造94Aの上端と、突出部26Aの上端とは、好ましくは、スピンベース21Aの上面よりも下方に設けられている。従って、基板9の処理面から排出される処理液が、規制部201Aに当たって跳ね返る場合でも、跳ね返った処理液の基板9の非処理面への付着を抑制できる。なお、規制構造94Aがスピンベース21Aの側面部分において周方向に沿って設けられ、突出部26Aが、延設部92Aの先端側部分に設けられてもよい。
図16は、実施形態に係る遮断板の他の構成例である遮断板90Bを示す斜視図である。図17は、復帰用位置に配置された図16の遮断板とスピンベースの周縁部を示す縦断面図である。
遮断板90Bは、延設部92の先端から下方に突出する当接部95A(図16の例では、2つの突出部)を備えることを除いて、遮断板90と同様に構成されている。当接部95Aは、遮断板90の延設部92から突出する突片である。当該突片は、遮断板90が復帰用位置P3に位置決めされたときにスピンベース21の突出部26の回転軌跡を横切るように、延設部92の先端よりも下方に突出している。当接部95Aは、延設部92の環状の先端において規制構造94とは異なる位置に設けられている。このため、回転機構231がスピンベース21を回転させ続けると、やがて、突出部26の側面が当接部95の側面に当接する。
当接部95Aが突出部26に当接した直後において、遮断板90とスピンベース21との回転位置関係は、基準の回転位置関係ではない。当接部95Aと突出部26Aの側面同士が当接した状態で、さらにスピンベース21を回転させると、遮断板90がスピンベース21と一体的に回転する。これにより、センサー6の出力信号に基づいて遮断板90を初期回転位置に位置決めすることができる。突出部26と、当接部95Aとは、補助規制部202Aを構成する。図17に示される例では、当接部95Aが復帰用位置P3に降下したときに、延設部92の先端は、突出部26の上面261に当接していない。この場合、スピンチャック21を回転させて突出部26の側面を当接部95Aの側面に当接させる際のスピンチャック21の回転速度は、低速に設定されることが好ましい。具体的には、当該低速の回転速度は、突出部26の側面が当接部95の側面に当たったときの衝撃によって当接部95Aが突出部26から離れることがない速度である。これにより、遮断板90Bの回転位置の制御が容易になる。また、当接部95Aが復帰用位置P3に降下したときに、延設部92の先端が突出部26の上面261に僅かに当接してもよい。この場合の当該当接の程度(延設部92の先端が突出部26の上面261を押圧する力)は、突出部26の上面261が延設部92の先端に当接して摺動しつつ、スピンチャック21が遮断板90Bに対して回転可能なように設定される。
基板処理装置1の規制構造94のうち突出部26に対して回転軸a1を中心とする周方向の前後に配置された側面943、944と、突出部26との各間隔を広げるように互いに磁気的な斥力を作用させる複数の磁石が規制構造94、突出部26の内部にそれぞれ設けられてもよい。当該磁気的な斥力によっても、規制構造94に対する突出部26の周方向への相対的な動きが規制される。
また、突出部26と規制構造94の双方が、スピンベース21の上面と同じ位置、若しくは、当該上面よりも上方に配置されていてもよい。また、遮断板90Aの延設部92Aの先端に当接部95Aとしての突片が設けられてもよい。
また、図10の動作フローでは、制御部130は、遮断板90とスピンベース21との回転位置関係のずれを検出すると、ステップS30の復帰処理を行っていたが、例えば、操作者が操作部120を介して復帰処理の実行を制御部130に指示した場合にも、制御部130は、当該復帰処理を行うことができる。
以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置、および以上のような本実施形態に係る基板処理方法の回転位置決め方法の何れによっても、遮断板90(90A)が復帰用位置に位置決めされて当接部95が突出部26(26A)に当接している状態で、スピンベース21(21A)が回転させられせることによって、突出部26(26A)と当接部95とを介して遮断板90(90A)が回転され、センサー6の検出結果に基づいて遮断板90(90A)が目標回転位置(初期回転位置)に位置決めされる。従って、遮断板90(90A)を、目標回転位置に容易に位置決めできる。
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、制御部130は、スピンベース21(21A)と遮断板90(90A)との相対的な回転位置関係が、基準の回転位置関係からずれているか否かを判定し、ずれていると判定した場合に、遮断板90(90A)の復帰用位置P3への昇降位置決め処理と、遮断板90(90A)の目標回転位置への回転位置決め処理とを順次に行う。従って、遮断板90(90A)の目標回転位置への位置決めが、人為的なミス等によってなされない事態の発生を抑制できる。
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、制御部130は、スピンベース21(21A)と遮断板90(90A)との相対的な回転位置関係が、基準の回転位置関係からずれているか否かを判定し、ずれていると判定した場合に、昇降機構441が遮断板90(90A)を降下させる降下機能を不能化する。従って、スピンベース21(21A)と遮断板90(90A)との相対的な回転位置関係が基準の回転位置関係からずれている状態で遮断板90(90A)が処理位置P1に向けて移動されてスピンベース21(21A)に衝突することによって基板処理装置が損傷することを抑制できる。
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、突出部26(26A)がスピンベース21(21A)の側面部分に設けられており、規制構造94(94A)が遮断板90(90A)の延設部92(92A)の先端側部分に設けられており、当接部95は、本体部91から延設された延設部92(92A)の先端である。従って、延設部92(92A)の先端とは別に当接部95を設ける必要がないので、装置構成を簡略化できる。
また、以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、突出部26(26A)がスピンベース21(21A)の側面部分に設けられており、規制構造94(94A)が遮断板90(90A)の延設部92(92A)の先端側部分に設けられている。当接部95Aは、本体部91から延設された延設部92(92A)から突出する突片であり、当接部95Aは、遮断板90(90A)が復帰用位置に位置決めされたときに突出部26(26A)の回転軌跡を横切るように、延設部92(92A)の先端よりも下方に突出している。従って、当接部95である当接部95Aが突出部26(26A)の周方向における一端に当接している状態で、遮断板90(90A)の目標回転位置への位置決めをより確実に行うことができる。これにより、遮断板90(90A)がスピンベース21(21A)と接触した状態でスピンベース21(21A)に対して滑りながら回転することをより確実に抑制できるので、基板処理装置の損傷を抑制できる。
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。