JP2017174960A - インプリント方法、型の製造方法、光学部品の製造方法およびインプリント装置 - Google Patents

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俊明 吉川
順司 寺田
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順司 寺田
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Noriyuki Nakai
法行 中井
一浩 荒井
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一浩 荒井
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Abstract

【課題】被転写材に精度よく凹凸構造を転写する。
【解決手段】フィルム部材114の表面114Aに、被転写材M2が塗布された基材M1を対向して配置する。ヤング率が38[kPa]以上480[kPa]以下のゲル112の天面から第1圧力を付与して、変形するゲル112によりフィルム部材114を変形させ、フィルム部材114の表面114Aにおける凹凸構造パターン114Cの頂部を、被転写材M2に押圧する。ゲル112の天面から第1圧力よりも高い第2圧力を付与して、変形するゲル112によりフィルム部材114を変形させ、凹凸構造パターン114Cの全体を、被転写材M2に押圧する。その後、被転写材M2を硬化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、フィルム部材の凹凸構造パターンを基材表面の被転写材に転写するインプリントに関する。
近年、微細加工技術として、基材上に塗布した被転写材に型を押圧することで、所望の凹凸構造パターンを転写するインプリント(ナノインプリント)技術が提案されている(特許文献1参照)。
ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術は、光の波長以下の凹凸構造を加工する電子線露光技術等により凹凸構造パターンを成形した型を前もって用意し、被転写材を塗布した基材に型を押し当て、凹凸構造パターンを被転写材に転写する技術である。型さえあれば露光装置は必要無く、通常の印刷機レベルの装置で複製物を量産できるので、電子線露光技術により直接基材に凹凸構造パターンを形成する場合と比較して、スループットが飛躍的に向上し、製造コストも大幅に低減される。
NIL技術において、被転写材として熱可塑性樹脂(例えばPMMA)を使用する場合、その材料のガラス転移温度(Tg)近傍又はそれ以上の温度に上げて加圧して転写し、冷却して硬化させる。この方式は熱転写方式と呼ばれる。熱転写方式は熱可塑性の樹脂であれば汎用の樹脂を広範に使用できる利点がある。被転写材として光硬化性樹脂を使用する場合、型を光硬化性樹脂に押し付けて転写し、紫外線などの光を曝露することにより硬化させる。この方式は光転写方式と呼ばれる。
型を被転写材に転写する際、型の撓みや傾きに起因する押圧ムラが被転写材に発生しやすくなる。この現象を回避するため、フィルム状の型を空気圧で基材に押圧して転写する方法(特許文献2)や、凸状に湾曲させた型とシリコーンゲル等の押圧伝達部とを有するスタンプを用いて型を基材に転写する方法(特許文献3)が提案されている。
特許文献2では、空圧など流体の圧力で型を基材上の被転写材に押圧する。詳しくは、型と被転写材とが最初に複数の点で接触し、その後圧力の増加により型の微細凹凸を被転写材に転写する。
特許文献3では、凸状に湾曲させた凹凸転写面の頂部から被転写面に初期接触し、次いで、スタンパへの押圧により凹凸転写面が撓み変形しながら凹凸転写面全体が被転写面に接触する。また、スタンパへの押圧が除圧されると凹凸転写面の自己復元力により、接触端部側から徐々に加圧前の凸状態に凹凸転写面が復元する。
米国特許第5772905号公報 特許第5488766号公報 特開2012−230272号公報
しかしながら、特許文献2の方法では、型が剛体では無い場合、即ち型が可撓性を有するフィルム部材である場合、最初に型と基材とが接触するときには複数の点で接触し、接触した点と点との間に空間ができる。更に押圧力を増加させると点と点との間にできた空間を押し潰すように型が変形し、型が基材に圧接される。この空間が押し潰されたときに型にシワが発生することがあり、転写される凹凸構造の精度低下の原因となっていた。
また、特許文献3の方法では、凹凸転写面の頂部に作用する押圧力は、凹凸転写面の端部に作用する押圧力よりも高くなる傾向にあり、凹凸転写面の頂部と端部とで押圧力に差が生じてしまう。このような押圧力の差により、頂部において押圧が十分であっても、端部において押圧不足が生じて転写不良が生じることがあり、転写される凹凸構造の精度低下の原因となっていた。
そこで、本発明は、被転写材に精度よく凹凸構造を転写することを目的とする。
本発明のインプリント方法は、フィルム部材において凹凸構造パターンが形成された表面に、被転写材が塗布された基材を対向して配置する配置工程と、前記フィルム部材の裏面に接触して配置された、ヤング率が38[kPa]以上480[kPa]以下のゲルに対し、前記フィルム部材に接触する側とは反対側から第1圧力を付与して、変形する前記ゲルにより前記フィルム部材を変形させ、前記フィルム部材の表面における前記凹凸構造パターンの頂部を、前記被転写材に押圧する第1押圧工程と、前記ゲルに対し、前記フィルム部材に接触する側とは反対側から前記第1圧力よりも高い第2圧力を付与して、変形する前記ゲルにより前記フィルム部材を変形させ、前記フィルム部材の表面における前記凹凸構造パターンの全体を、前記被転写材に押圧する第2押圧工程と、前記第2押圧工程の後、前記被転写材を硬化させる硬化工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、被転写材に精度よく凹凸構造を転写することができる。
第1実施形態に係るインプリント装置の概略構成を示す説明図である。 (a)〜(c)は、第1実施形態に係るインプリント方法を説明するための模式図である。 (a)及び(b)は、第1実施形態に係るインプリント方法を説明するための模式図である。 (a)及び(b)は、第1実施形態に係る光学部品の製造方法の一部を示す説明図である。 (a)は、インプリント装置で実験を行ったときの模式図である。(b)は、インプリント装置で実験を行ったときの実験結果を示す図である。 (a)〜(c)は、第2実施形態に係るインプリント装置によるインプリント方法を説明するための模式図である。 (a)〜(c)は、ヤング率が29[kPa]のゲルを用いた場合の模式図である。 (a)及び(b)は、ヤング率が1433[kPa]以上のゲルを用いた場合の模式図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るインプリント装置の概略構成を示す説明図である。第1実施形態ではインプリント装置100は、インプリントとしてナノインプリントを行うナノインプリント装置である。
インプリント装置100は、基材M1が搭載されるステージ101と、ステージ101に対向して配置されたモールドユニット102と、モールドユニット102に接続された加圧装置103と、を備えている。ステージ101は、不図示の駆動機構を有し、移動可能に構成されている。
ここで、ステージ101の搭載面に垂直な方向をZ方向、ステージ101の搭載面に平行な直交する2方向をX,Y方向とする。
基材M1の表面には、被転写材M2が塗布される。ステージ101上には、不図示の支持機構により基材M1が、被転写材M2をモールドユニット102にZ方向で対向させた状態で固定される。
モールドユニット102は、筒状(具体的には円筒形状)の中空の容器111と、容器111の内部に収容されたゲル112と、を有している。容器111は、Z方向に移動する不図示のステージに固定して設けられている。容器111の内部空間は、Z方向に延びる中心軸に対して回転対称の円柱形状である。なお、容器111の内部空間は、円柱形状が好ましいが、円柱形状に限定するものではない。例えば、内部空間が多角柱形状であってもよい。
容器111のZ方向の一方の端面を天面、他方の端面を底面とする。容器111の天面及び底面には、それぞれ開口部H1,H2が形成されている。開口部H1が第1開口部、開口部H2が第2開口部であり、開口部H1,H2同士がゲル112を介してZ方向で対向している。開口部H1は、容器111の天面の一部が開口するように形成されており、開口部H2は、容器111の底面の全部が開口するように形成されている。よって、開口部H1は、開口部H2よりも開口面積が小さい。また、開口部H1,H2は、容器111のZ方向の中心軸を中心点とする円形状に形成されている。つまり、開口部H1の中心点と開口部H2の中心点とが一致するように開口部H1,H2が形成されている。
更に、モールドユニット102は、容器111の天面に固定され、開口部H1を閉塞する隔膜113と、容器111の底面に固定され、開口部H2を閉塞するフィルム部材114と、を有する。
フィルム部材114は、可撓性を有する(撓み変形する)部材であり、凹凸構造パターン114Cが形成された表面114Aと、表面114Aの反対側の裏面114Bと、を有するフィルム状の型である。凹凸構造パターン114Cは、光の波長以下の微細凹凸構造からなり、例えば電子線露光により形成される。
フィルム部材114の表面114Aは、非変形状態で平面状に形成され、ステージ101に搭載された基材M1上の被転写材M2に間隔をあけて対向する。フィルム部材114の裏面114Bには、ゲル112が接触している。フィルム部材114と被転写材M2との間隔は、フィルム部材114が撓み変形により被転写材M2に接触するように設定されている。隔膜113は、弾性を有する部材であり、ゲル112に接触して配置されている。
隔膜113及びフィルム部材114は、不図示のシール材により容器111の内部を密閉するように容器111に固定されている。これら隔膜113及びフィルム部材114により密閉された容器111の内部には、ゲル112が隙間なく充填されている。よって、ゲル112は、非変形状態で容器111の内部の形状と同じ円柱形状である。
容器111の開口部H1、即ち隔膜113には、加圧装置103が配管104を通じて接続されている。加圧装置103は、ゲル112に対し、フィルム部材114に接触する側とは反対側から圧力を付与するものである。具体的には、加圧装置103は、配管104を通じて、ゲル112のZ方向の一対の端面のうち、フィルム部材114が接触する端面(底面)とは反対側の端面(天面)に圧力を付与する。ゲル112は、容器111に収容されているので、開口部H1から天面(の一部、具体的には中央部)に隔膜113を介して圧力が付与される。
第1実施形態では、加圧装置103は、ゲル112に流体の圧力(流体圧)を付与するものである。この圧力は、空気圧でも油圧でもよいが、温度変化に対し安定性に優れる油圧を用いるのが好ましい。即ち、隔膜113には、配管104を通じて加圧装置103からの油圧が付与される。
ここで、被転写材M2は、フィルム部材114の凹凸構造パターン114Cに対応して形成されていればよく、基材M1の表面の一部に塗布されていても、全面に塗布されていてもよい。また、凹凸構造パターン114Cは、フィルム部材114の表面114Aの一部に形成されていても、全面に形成されていてもよい。
基材M1の材料は、ナノインプリントに適用可能なものであればいかなる材料であってもよく、例えば、金属、シリコン、ガラス、その他の無機材料および有機材料を用いることができる。また、ディスプレイ製品や光学部材の製造においては、基材M1は、透明であることが好ましい。例えば、石英基板、ガラス基板などの透明無機基材、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン共重合体樹脂などの透明有機基材が好ましい。
また、被転写材M2は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂等の樹脂であることが好ましい。
被転写材M2に用いる樹脂は、圧力が加えられると変形する性質をもつ樹脂であって、ナノインプリントに適用可能なものであればよい。熱によって可塑化する熱可塑性樹脂の場合、その可塑化した状態で圧力をかけることにより変形可能な樹脂であればよい。第1実施形態においては、基材M1の材質の自由度が高いことから、加熱によって架橋反応を起こして硬化する熱硬化性樹脂であることが好ましい。また、被転写材M2が、光硬化性樹脂、例えば紫外線硬化性樹脂の場合、基材M1の材料は、例えば石英基板や環状オレフィン共重合体樹脂などの透明有機基材のように、紫外線透過性の材料を用いればよい。この場合、基材M1の下面側から紫外線を照射して被転写材M2を硬化させることもできる。
基材M1上に被転写材M2を塗布する方法は、滴下の他、インクジェット法、スピンコート法、ダイコート法などを用いることができる。
基材M1の形状は、特に限定されず、角板状、円板状の他に、巻取り可能なフィルム状であってもよい。ディスプレイ製品や光学部材の製造においては、大面積化や低コスト化に向く、ロール・ツー・ロール方式に適した巻取り可能なフィルム状であることが好ましい。
フィルム部材114の材料は、可撓性を有し、ナノインプリントに適用可能なものであれば用いることができる。例えば、環状オレフィン、アクリル、PP、その他の無機および有機材料を用いることができる。熱転写方式においては、被転写材M2の硬化温度以上まで安定なものであればよい。例えば、凹凸構造パターン114Cを安定して形成できる環状オレフィン共重合体樹脂などからなる材料を用いることが好ましい。
フィルム部材114の厚みは、転写面の口径に応じて、また、硬化した被転写材M2からフィルム部材114を引き剥がす際にフィルム部材114へ加わる応力によりフィルム部材114が破損しないよう、決定する必要がある。そのためフィルム部材114の厚みは、0.05[mm]以上1[mm]以下の範囲、特に0.1[mm]以上0.3[mm]以下の範囲であることが好ましい。0.05[mm]未満では加圧や剥離に耐える強度が不足するおそれがあり、1[mm]よりも厚いと転写時の加圧による変形安定性やコストの面で不利だからである。
ゲル112は、加圧による変形が可能で、被転写材M2の硬化温度以上まで安定なもので、フィルム部材114に対し化学的に安定な材料である必要がある。第1実施形態においては、加圧及び加熱に対し安定であり、フィルム部材114とも化学的に安定なシリコーン系の材料が好ましい。
隔膜113は、配管104を経て印加される流体圧Pをゲル112に転嫁するものである。流体圧Pが印加されないときは、ゲル112に力を及ぼさないことと、流体圧Pが印加されたときは、精度良く流体圧Pをゲル112に転嫁することが必要となる。このため、隔膜113は、弾力性に富むこと、ゲル112に対し化学的に安定なこと、被転写材M2の硬化温度以上まで安定なことが必要である。よって、隔膜113は、弾力性を有し、加圧及び加熱に対し安定であり、フィルム部材114とも化学的に安定なゴムとすることが好ましい。具体的には非ジエン系合成ゴムが好ましく、エチレンプロピレンゴムやシリコーンゴムが好適である。また、短期間の使用であればジエン系でも耐油性を持つニトリルゴムを使用してもよい。
また、隔膜113が設置される位置は、ゲル112の天面の中央部(中心軸)に圧力を転嫁するため、容器111の天面の中央部が好ましい。ゆえに、開口部H1は、容器111の中心軸を中心とする円形状に形成されている。
第1実施形態では、ゲル112は、ヤング率が38[kPa]以上480[kPa]以下である。
次に、インプリント装置100を用いたインプリント方法について説明する。第1実施形態では、インプリント方法により、基材として型本体の表面に、被転写材からなる膜を形成する型の製造方法について説明する。なお、第1実施形態の製造方法で製造する型は、光学部品(例えばレンズ)を製造する型である。第1実施形態では、光学部品の表面に反射防止機能を付与するために、型本体の表面に、微細凹凸構造を形成する。
図2(a)〜図2(c)は、第1実施形態に係るインプリント方法を説明するための模式図である。図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係るインプリント方法を説明するための模式図である。
まず、図2(a)に示すように、フィルム部材114において凹凸構造パターン114Cが形成された表面114Aに、被転写材M2が塗布された基材M1を対向して配置する(配置工程)。具体的には、基材M1に被転写材M2を塗布した後、ステージ101を移動させて、基材M1上の被転写材M2をフィルム部材114に対向させる。このとき、フィルム部材114の裏面114Bに接触して配置されたゲル112に対し、フィルム部材114に接触する側の端面(底面)とは反対側の端面(天面)には、圧力が付与されていない状態である。したがって、隔膜113、ゲル112、フィルム部材114は非変形状態である。
次に、図2(b)に示すように、ゲル112の天面から、加圧装置103(図1)により配管104を介して大気圧P0から第1圧力P1(>P0)に漸次上昇する流体圧(油圧)Pを付与する。隔膜113の端部が容器111に固定され、隔膜113に流体圧Pが付与されるので、隔膜113は、流体圧Pに応じて放物面状に容器111内部側に湾曲変形する。これにより、ゲル112の天面の中央部には流体圧Pが転嫁され、ゲル112が変形する。ゲル112の変形によりフィルム部材114には図2(b)に示すように圧力が転嫁される。
そして、図2(c)に示すように、ゲル112の天面から第1圧力P1に達した流体圧Pを付与する(第1押圧工程)。この第1圧力P1の流体圧Pを受けて隔膜113が弾性変形してゲル112の天面の中央部を押圧し、ゲル112が変形して、フィルム部材114が変形する。
具体的に説明すると、フィルム部材114の端部が容器111に固定されているため、圧力P1を受けて変形するゲル112により、フィルム部材114の中央部114D(凹凸構造パターン114Cの中央部)が基材M1側に突出するよう放物面状に変形する。このように湾曲変形した凹凸構造パターン114Cの中央部114Dが頂部である。そして、変形したフィルム部材114の表面114Aにおける凹凸構造パターン114Cの頂部114Dが、被転写材M2に接触し被転写材M2を押圧する。
これは後述するゲル112の特性により、印加された第1圧力P1が主にフィルム部材114の中央部114Dに転嫁されることと、フィルム部材114の端部が容器111に固定されているために生じた現象である。つまり、開口部H1のZ方向の延長上にあるフィルム部材114の部分が中央部114Dであり、その中央部114Dが圧力を集中的に受けて突出するよう変形する。
次に図3(a)に示すように流体圧Pをさらに増加し、第1圧力P1よりも高い圧力とする。圧力の増加分は、隔膜113を更に変形させ、ゲル112を中央部から押し出すように転嫁される。容器111が所定の固定位置に固定されているため、フィルム部材114の中央部114Dは、基材M1上の被転写材M2に接触した後は移動できない。このため増加分の圧力は、ゲル112内で拡散する。しかし、容器111は剛体のため、容器111に向かう圧力は反射され、最終的にフィルム部材114の変形移動によって相殺することになる。基材M1上の被転写材M2は、ステージ101により所定の固定位置に固定されているため、フィルム部材114の変形移動に反発する。これにより、圧力が、フィルム部材114の中央部114Dから端部114Eに向かうことでフィルム部材114全体に均一にかかり、フィルム部材114の表面114Aに形成された凹凸構造パターン114Cの全体が被転写材M2に接触する。これにより、フィルム部材114の表面114Aにおける凹凸構造パターン114Cの全体が被転写材M2に押圧される。図3(a)の状態で更に第2圧力P2まで流体圧Pを増加させると、フィルム部材114が既に被転写材M2に全面で接触しているため、凹凸構造パターン114Cの全体が、増加分の圧力で被転写材M2に押圧される(第2押圧工程)。このように増加分の圧力でフィルム部材114上の凹凸構造パターン114Cが被転写材M2に押し込まれ、確実な転写が実現される。
その後、この状態を保持したまま、図3(b)に示すように、加熱装置200により熱硬化性樹脂である被転写材M2の硬化温度まで昇温して、被転写材M2を硬化させる(硬化工程)。
被転写材M2が硬化した後、加熱装置200による加熱を停止し、冷却する。最後に、流体圧Pを大気圧P0にし、フィルム部材114に掛かっていた圧力を解放し、フィルム部材114を硬化した被転写材M2から外して、微細な凹凸構造が転写された型MAの製造が終了する。以上のインプリント方法により、反射防止機能を備えた光学部品を製造する型MAが形成される。
次に、上述した製造方法により製造された型MAを用いて光学部品を製造する。図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係る光学部品の製造方法の一部を示す説明図である。
図4(a)に示すように上下型(駒)MA,MBと、胴型MCとを用いて、例えば射出成型により型MA,MB,MCで囲まれた空間に光学基材W1を注入して冷却固化する。そして、離型することにより、図4(b)に示すような光学部品(中間生成体または最終生成体)WAが形成される。光学部品WAの表面には、反射防止機能を有する凹凸構造が形成されている。
次に、圧力の拡散を確認するための実験を行った。実験ではヤング率の異なるゲルを用意し、流体圧Pを変化させた時にゲルがフィルム部材114にどのような圧力を及ぼすかを調べた。
図5(a)は、インプリント装置で実験を行ったときの模式図である。基材M1の替わりに圧力検知シートS1をステージ101上に設置した。容器111には、第1実施形態のゲル112と、ゲル112よりもヤング率の低いゲル112Xと、ゲル112よりもヤング率の高いゲル112Yとをそれぞれ充填して実験を行った。このとき、ゲル112,112X,112Yがステージ101上に作用する圧力をより精密に測定するため、フィルム部材114を圧力検知シートS1に接触した状態とした。
図5(b)は、インプリント装置で実験を行ったときの実験結果を示す図である。なお、ヤング率が29[kPa]、38[kPa]、120[kPa]、480[kPa]、670[kPa]、1433[kPa]のゲル112X,112,112Yをそれぞれ容器111に充填して実験を行った。隔膜113に付与した圧力は、0.25[MPa]、0.5[MPa]、1[MPa]、2[MPa]、3[MPa]とした。
図5(b)中の記号「×」は、圧力検知シートS1の中央部のみが赤色に着色、つまり圧力がかかったことを示し、端部には圧力が殆どかからなかった場合を示す。図5(b)中の記号「△」は、圧力検知シートS1に同心円状の色ムラがあり、圧力にムラを確認されたことを示す。図5(b)中の記号「○」は、圧力検知シートS1が単色に染まり、均一な圧力を確認されたことを示す。
ヤング率が29[kPa]のゲル112Xを用いた場合、付与する流体圧Pが低い状態(0.25[MPa])であっても、圧力がフィルム部材114全体に広がってしまう。
図7(a)〜図7(c)は、ヤング率が29[kPa]のゲルを用いた場合の模式図である。ゲル112Xは、ヤング率が低いため、水などの非圧縮性流体と置き換えると考えやすい。図7(a)に示すように、隔膜113を介して流体圧Pをゲル112Xに印加すると、圧力はゲル112X中で拡散する。そして、ゲル112Xは容器111及びフィルム部材114の内壁面に均等な密度で作用し、広がろうとする。流体圧Pが増加すると、フィルム部材114は、端部が容器111に固定されているため、図7(b)に示すように、中央部114Dを含む広い領域が凸状に膨らんで、圧力の増加分を吸収しようとする。その際に、フィルム部材114に歪みや撓みがあると、図7(c)に示すように、フィルム部材114が複数の点で被転写材M2に接触する。このため、複数の点の間に浮き(空間)Fが発生する。フィルム部材114と被転写材M2とが近接しているほど、この現象は発生しやすい。このまま圧力が増加すると、フィルム部材114において浮きFで余剰分となった部分が被転写材M2上でシワとなり、凹凸構造パターン114Cの転写不良の原因となる。
一方、ヤング率が670[kPa]以上のゲル112Yを用いた場合、付与する流体圧Pを高めても、圧力がフィルム部材114の一部分のみに掛り、フィルム部材114全体に均一に広がることがない。
図8(a)及び図8(b)は、ヤング率が670[kPa]以上のゲルを用いた場合の模式図である。隔膜113に流体圧Pを印加すると、図8(a)に示すように、ゲル112Yに転嫁された圧力がフィルム部材114の中央部を押圧するように作用する。更に圧力を増加させても、圧力の増加分はゲル112Y中で拡散せずに、フィルム部材114の中央部を押圧し続ける。したがって、局所的に押圧力が付与され、中央部と端部とで圧力差が生じてしまい、転写不良の原因となる。そして、更に圧力を増加させると、最終的にゲル112Yはフィルム部材114を突き破り、容器111から飛び出す。
この実験結果より、38[kPa]以上480[kPa]以下のヤング率を有するゲル112が圧力を効果的にフィルム部材114に作用させることがわかった。特に、ゲル112のヤング率が38[kPa]以上120[kPa]以下の場合、第1圧力P1として0.25[MPa]を付与し、第2圧力P2として1[MPa]以上の圧力を付与するのがよいことがわかった。また、ゲル112のヤング率が480[kPa]の場合、第1圧力P1として1[MPa]を付与し、第2圧力P2として3[MPa]を付与すればよいことがわかった。第1圧力P1を付与することで、フィルム部材114(凹凸構造パターン114C)の中央部114Dを被転写材M2に接触させることができる。次いで第2圧力P2を付与することで、均一な圧力でフィルム部材114の凹凸構造パターン114C全体を被転写材M2に接触させることができる。ゲル112のヤング率が38[kPa]以上120[kPa]以下の場合、第1圧力P1及び第2圧力P2を低くすることができるので好ましい。また、ゲル112のヤング率が120[kPa]の場合、より均一な圧力でフィルム部材114の凹凸構造パターン114C全体を被転写材M2に接触させることができるのでより好ましい。
以上、隔膜113を介して第1圧力P1をゲル112に印加すると、圧力は初めに隔膜113に対向するゲル112の中央部に主に作用する。したがって、フィルム部材114の中央部114Dが凸状に膨らみ、圧力の増加分を吸収しようとする。その際にフィルム部材114に歪みや撓みがあっても、ゲル112が中央部から膨らもうとするため、中央部の一点で被転写材M2に接触する。
更に流体圧Pが増加すると、ゲル112内の圧力はフィルム部材114からの反作用の力を受けて拡散し、容器111及びフィルム部材114の内壁面に作用し広がろうとする。その結果、フィルム部材114の中央部が被転写材M2に突き当り、その周囲が順次膨らみ、圧力増加分を吸収しようとする。そして、第2圧力P2でフィルム部材114の凹凸構造パターン114Cの全体が被転写材M2に接触する。
したがって、第1圧力P1から第2圧力P2に向かって流体圧Pを漸次上昇させると、凹凸構造パターン114Cが中央部114Dから端部114Eに向かって被転写材M2に均一な押圧力で順次垂直に侵入するので、ずれが生じるのを回避できる。そして、流体圧Pが第2圧力P2に到達したときには、凹凸構造パターン114Cの全体が被転写材M2に均一な圧力で押圧することになる。したがって、被転写材M2に精度よく凹凸構造を転写することができる。
(実施例1−1)
次に、基材M1として直径100[mm]、厚さ0.6[mm]のSiウェハを用いた。このSiウェハの表面全域に、被転写材(樹脂層)M2として膜厚500[nm]の紫外線硬化樹脂OFPR−800(東京応化製)をスピン塗布により形成した。
フィルム部材114として、ZEONOR Film ZF14(厚さ100[μm]のCOP樹脂フィルム、日本ゼオン製)を用い、微細凹凸構造を有する面の大きさが150[mm]丸を用意した。このフィルム部材114の接触面60[mm]角の領域には、凹凸構造パターン114Cとして、直径250[nm]、ピッチ250[nm]、深さ250[nm]のホール・パターンを形成した。
ゲルの収納用の円筒型の容器111として、天面の中央部に20[mm]の円形の開口部H1を形成し、この開口部H1に隔膜113としてエチレンプロピレンゴム(厚さ1[mm])で封止し、ゲル112で満たした。フィルム部材114は、容器111の底面の周端部に固定した。容器111内には、空気が残らないようにした。
モールドユニット102のフィルム面を下にして、上下駆動機構を備えた不図示のステージ上の支持機構に固定した。更に開口部H1に配置した隔膜113に、油圧機である加圧装置103を内径10[mm]の配管104で接続し、圧力を掛けられるようにした。
被転写材M2を形成した基材M1をステージ101に固定した。モールドユニット102の容器111を不図示のステージにより基材M1に近接させた状態で位置決め固定した。フィルム部材114と基材M1との距離は、1[mm]のドーナツ型のステンレス板をステージ101とフィルム部材114との間に挟むことで規定した。
実施例1−1では、ゲル112としてヤング率38[kPa](Taica製 θ−7)のゲルを用いた。
次に、加圧装置103により隔膜113に流体圧(油圧)Pを加えた。流体圧Pは加圧装置103の油圧調節器を用いて0.1[MPa/sec]の速度で第2圧力P2として30[MPa]まで連続的に増加させた。30[MPa]到達後に加熱装置200で120[℃]に昇温(基材温度を測定)し、120[℃]で5[分]保持した後、加熱を停止した。基材温度が室温になった後、隔膜113に加えていた油圧を解除し、モールドユニット102を上昇させて離型した。離型後の基材表面には柱状の樹脂パターンがフィルム部材114の凹凸構造パターン114Cに対応した位置に形成されていた。
FE−SEM(FEI製XL30)で基材表面を観察したところ、凹凸構造の中央部で直径247[nm]から249[nm]、高さ220[nm]から230[nm]の柱状パターンが形成されていた。凹凸構造の端部も観察したが同様の結果であった。このように、中央部と端部とで均一な凹凸構造が形成されていることが確認された。
なお、柱状パターンの高さがフィルム部材114上のホール・パターン深さより低いのは、ホール内に残留した大気によるものと考えられる。また、柱状パターンの肩の部分にダレが生じていたことからも、残留した大気の影響と考えられる。
(実施例1−2)
実施例1−2において、実施例1−1と同じ条件で、ゲル112としてヤング率120[kPa]のゲルを用いて凹凸構造パターン114Cの転写を行った。転写後の基材表面の凹凸構造を実施例1−1と同じくFE−SEMで観察したところ、実施例1−1とほとんど同じ形状が観察された。
(比較例1)
比較例1において、実施例1−1,1−2と同じ条件でゲル112Yとしてヤング率1433[kPa]のゲルを用いて凹凸構造パターン114Cの転写を行った。転写後の基材表面の凹凸構造を実施例1−1,1−2と同じくFE−SEMで観察したところ、凹凸構造の中央部では、同じ形状が観察された。しかし、凹凸構造の端部では直径247[nm]から249[nm]、高さ30[nm]から50[nm]の柱状パターンであった。このことからゲル112Yに転嫁された圧力が分散されず、端部ではフィルム部材114の押圧不足が確認された。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るインプリント装置について説明する。図6(a)〜図6(c)は、第2実施形態に係るインプリント装置によるインプリント方法を説明するための模式図である。なお、第2実施形態では、モールドユニット202の構成が第1実施形態の構成と異なり、それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。また、ステージ101上には、凹形状の曲面である凹面部が形成された型本体である基材M3が載置されている。基材M3の凹面部には、被転写材M4が塗布されている。
モールドユニット202は、第1実施形態と同様、容器111と、隔膜113と、を有する。また、モールドユニット202は、第1実施形態と異なる形状のフィルム部材214と、容器111の内部に収容(充填)されたゲル212と、を有している。
フィルム部材214は、非加圧状態で表面214Aが基材M3上に塗布した被転写材M4に向かって突出する凸形状となるように形成されている。表面214Aには、凹凸構造パターン214Cが形成されており、裏面214Bには、ゲル212が接触している。
基材M3の材料は、ナノインプリントに適用可能なものであれば用いることができる。但し、凹凸構造が形成される転写面が曲面形状をしているため、金属、ガラス、セラミックスなど剛性の高いものが好ましい。また、ディスプレイ製品や光学部材の製造においては、透明な基材であることが好ましい。例えば、ガラスなどの透明無機基材、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン共重合体樹脂などの透明有機基材が好ましい。但し、剛性が足りない場合、凹凸構造の転写時に圧力で破損する可能性がある。この場合には剛性を補強する構成が必要になる。基材M3の形状は微細凹凸構造の転写面に影響しなければ特に限定しない。
フィルム部材214の曲率は、基材M3の凹面部の曲率に応じて設定される。仮にフィルム部材214の曲率が基材M3の曲率よりも小さい場合、フィルム部材214が基材M3の側壁に接触してしまい、フィルム部材214を基材M3に近接することができない。また、仮にフィルム部材214の曲率が大きすぎる場合、ゲル212に圧力をかけフィルム部材214を基材M3に接触させる際の引き伸ばし量が大きく、フィルム部材214上の凹凸構造パターン214Cが変形してしまう。したがって、フィルム部材214は、基材M3の凹面部の曲率よりも少し大きい曲率に成形してある。
レンズなど光学部品WA(図4(b))の曲面へ微細な凹凸構造を形成する場合、微細凹凸構造の変化は光学特性に影響を及ぼす。光学部品WAに反射防止機能を付与する場合、10[%]以下の歪みにすることが求められ、好適には6[%]以下の歪みにするのがよい。
ゲル212は、第1実施形態と同様、ヤング率が38[kPa]以上480[kPa]以下である。
以下、第2実施形態のインプリント方法について説明する。第2実施形態では、インプリント方法により、基材M3として型本体の表面に、被転写材M4からなる膜を形成して型MBを製造する製造方法について説明する。第2実施形態の製造方法で製造する型MBは、光学部品WA(図4(b))を製造する型である。第2実施形態では、光学部品WAの表面に反射防止機能を付与するために、型本体の表面に、微細な凹凸構造を形成する。
まず、図6(a)に示すように、フィルム部材214において凹凸構造パターン214Cが形成された表面214Aに、被転写材M4が塗布された基材M3を対向して配置する(配置工程)。具体的には、基材M3に被転写材M4を塗布した後、ステージ101を移動させて、基材M3上の被転写材M4をフィルム部材214に対向させる。このとき、フィルム部材214の裏面214Bに接触して配置されたゲル212に対し、フィルム部材214に接触する側の端面(底面)とは反対側の端面(天面)には、圧力が付与されていない状態である。したがって、隔膜113、ゲル212、フィルム部材214は非変形状態である。
次に、図6(b)に示すように、ゲル212の天面から、配管104を介して大気圧P0から第1圧力P1に漸次上昇する流体圧(油圧)Pを付与する。隔膜113の端部が容器111に固定され、隔膜113に流体圧Pが付与されるので、隔膜113は、流体圧Pに応じて放物面状に容器111内部側に湾曲変形する。これにより、ゲル212の天面の中央部には流体圧Pが転嫁され、ゲル212が変形する。ゲル212の変形によりフィルム部材214には圧力が転嫁される。そして、ゲル212の天面から第1圧力P1に達した流体圧Pを付与する(第1押圧工程)。この第1圧力P1の流体圧Pを受けて隔膜113が弾性変形してゲル212の天面の中央部を押圧し、ゲル212が変形して、フィルム部材214が変形する。
具体的に説明すると、フィルム部材214の端部が容器111に固定されているため、第1圧力P1を受けて変形するゲル212により、フィルム部材214の中央部214D(凹凸構造パターン214Cの中央部)が基材M3側に突出するよう変形する。このように湾曲変形した凹凸構造パターン214Cの中央部214Dが頂部である。そして、変形したフィルム部材214の表面214Aにおける凹凸構造パターン214Cの頂部214Dが、被転写材M4に接触し被転写材M4を押圧する。
次に図6(c)に示すように流体圧Pをさらに増加し、第1圧力P1よりも高い第2圧力P2とする(第2押圧工程)。圧力の増加分は、隔膜113を更に変形させ、ゲル212を中央部から押し出すように転嫁される。容器111が所定の固定位置に固定されているため、フィルム部材214の中央部214Dは、基材M3上の被転写材M4に接触した後は移動できない。このため増加分の圧力は、ゲル212内で拡散する。しかし、容器111は剛体のため、容器111に向かう圧力は反射され、最終的にフィルム部材214の変形移動によって相殺することになる。基材M3上の被転写材M4は、ステージ101により所定の固定位置に固定されているため、フィルム部材214の変形移動に反発する。これにより、圧力が、フィルム部材214の中央部214Dから端部214Eに向かうことでフィルム部材214全体に均一にかかり、フィルム部材214の表面214Aに形成された凹凸構造パターン214Cの全体が被転写材M4に接触する。これにより、フィルム部材214の表面214Aにおける凹凸構造パターン214Cの全体が被転写材M4に押圧されて押し込まれ、転写が実現される。
その後、この状態を保持したまま、加熱装置200により熱硬化性樹脂である被転写材M4の硬化温度まで昇温して、被転写材M4を硬化させる(硬化工程)。
被転写材M4が硬化した後、加熱装置200による加熱を停止し、冷却する。最後に、流体圧Pを大気圧P0にし、フィルム部材214に掛かっていた圧力を解放し、フィルム部材214を硬化した被転写材M4から外して、微細な凹凸構造が転写された型MBの製造が終了する。以上のインプリント方法により、反射防止機能を備えた光学部品を製造する型MBが形成される。
次に、第1実施形態と同様、上述した製造方法により製造された型MBを用いて光学部品WAを製造する(図4(a)及び図4(b))。
以上、隔膜113を介して第1圧力P1をゲル212に印加すると、圧力は初めに隔膜113に対向するゲル212の中央部に主に作用する。したがって、フィルム部材214の中央部214Dが凸状に膨らみ、圧力の増加分を吸収しようとする。その際にフィルム部材214に歪みや撓みがあっても、ゲル212が中央部から膨らもうとするため、中央部の一点で被転写材M4に接触する。
更に流体圧Pが増加すると、ゲル212内の圧力はフィルム部材214からの反作用の力を受けて拡散し、容器111及びフィルム部材214の内壁面に作用し広がろうとする。その結果、フィルム部材214の中央部が被転写材M4に突き当り、その周囲が順次膨らみ、圧力増加分を吸収しようとする。そして、第2圧力P2でフィルム部材214の凹凸構造パターン214Cの全体が被転写材M4に接触する。
したがって、第1圧力P1から第2圧力P2に向かって流体圧Pを漸次上昇させると、凹凸構造パターン214Cが中央部214Dから端部214Eに向かって被転写材M4に均一な押圧力で順次垂直に侵入するので、ずれが生じるのを回避できる。そして、流体圧Pが第2圧力P2に到達したときには、凹凸構造パターン214Cの全体が被転写材M4に均一な圧力で押圧することになる。したがって、被転写材M4に精度よく凹凸構造を転写することができる。
(実施例2)
次に、基材M3として、直径40[mm]、半開角30[度]の光学レンズ射出成型用のステンレス製の凹面部を有する面型を用いた。基材M3の表面全域に、被転写材(樹脂層)M4として膜厚500[nm]の紫外線硬化樹脂OFPR−800(東京応化製)をスピン塗布により形成した。
フィルム部材214として、ZEONOR Film ZF14(厚さ100[μm]の環状オレフィン樹脂フィルム、日本ゼオン製)を用い、微細凹凸構造を有する面の大きさが100[mm]丸を用意した。このフィルム部材214の接触面には、実施例1と同様に、凹凸構造パターン214Cとして、直径250[nm]、ピッチ250[nm]、深さ250[nm]のホール・パターンを形成した。
次にフィルム部材214をフリーブロー成型法でおおよそ30[度]の半開角を持つ凸形状に成形した。このとき、凹凸構造パターン214Cが凸側の面上となるようにした。同じものを複数製作し、その中から基材M3に押圧される面の端部で外周が6[%]小さく成形されたものを用いた。フィルム部材214は、容器111の底面の周端部に固定した。容器111の天面中央部に形成された開口部からゲル212を注ぎ、空気が容器111内に残留しないようにエチレンプロピレンゴムの隔膜113で封止した。
モールドユニット202のフィルム面を下にして、上下駆動機構を備えた不図示のステージ上の支持機構に固定した。更に隔膜113に油圧機である加圧装置103を内径10[mm]の配管104で接続し、圧力を掛けられるようにした。
被転写材M4を形成した基材M3をステージ101に固定した。モールドユニット202の容器111を不図示のステージにより基材M3に近接させた状態で位置決め固定した。フィルム部材214と基材M3との距離は、0.35[mm]のドーナツ型のステンレス板を基材M3の縁とフィルム部材214との間に挟むことで規定した。
実施例2では、ゲル212としてヤング率38[kPa](Taica製 θ−7)のゲルを用いた。インプリント方法の各工程は実施例1−1と同じである。
次に凹面部に凹凸構造が形成されたステンレス製の型を、実施例1−1と同様にFE−SEMで観察した。凹面部の中央部で直径247[nm]から249[nm]、高さ220[nm]から230[nm]の柱状パターンが形成されていた。凹面部の端部でも観察したが同様の結果であった。なお、柱状パターンの肩の部分にダレが生じていた。このように、中央部と端部とで均一な凹凸構造が形成されていることが確認された。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、上述の実施例において、具体例を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
上述した実施形態では、インプリント方法により光学部品を製造する型を製造する場合について説明したが、これに限定するものではない。上述したインプリント方法により、基材として光学部品本体の表面に、凹凸構造が転写された被転写材からなる膜(例えば反射防止膜)を形成する場合であってもよい。
100…インプリント装置、103…加圧装置、111…容器、112…ゲル、114…フィルム部材、114C…凹凸構造パターン、H1…開口部(第1開口部)、H2…開口部(第2開口部)、M1…基材、M2…被転写材

Claims (11)

  1. フィルム部材において凹凸構造パターンが形成された表面に、被転写材が塗布された基材を対向して配置する配置工程と、
    前記フィルム部材の裏面に接触して配置された、ヤング率が38[kPa]以上480[kPa]以下のゲルに対し、前記フィルム部材に接触する側とは反対側から第1圧力を付与して、変形する前記ゲルにより前記フィルム部材を変形させ、前記フィルム部材の表面における前記凹凸構造パターンの頂部を、前記被転写材に押圧する第1押圧工程と、
    前記ゲルに対し、前記フィルム部材に接触する側とは反対側から前記第1圧力よりも高い第2圧力を付与して、変形する前記ゲルにより前記フィルム部材を変形させ、前記フィルム部材の表面における前記凹凸構造パターンの全体を、前記被転写材に押圧する第2押圧工程と、
    前記第2押圧工程の後、前記被転写材を硬化させる硬化工程と、を備えたことを特徴とするインプリント方法。
  2. 前記ゲルが、第1開口部と前記第1開口部に対向する第2開口部とが形成された容器に収容され、
    前記第1開口部には、流体圧により前記ゲルに前記第1圧力および前記第2圧力を付与する加圧装置が接続されており、
    前記第2開口部には前記フィルム部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインプリント方法。
  3. 前記流体圧が油圧であることを特徴とする請求項2に記載のインプリント方法。
  4. 前記第1開口部には、弾性を有する隔膜が前記ゲルに接触して設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載のインプリント方法。
  5. 前記第1開口部は前記第2開口部よりも開口面積が小さいことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のインプリント方法。
  6. 前記フィルム部材は、非加圧状態で表面が凸形状となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインプリント方法。
  7. 前記被転写材は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインプリント方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインプリント方法により、前記基材として型本体の表面に、前記被転写材からなる膜を形成する型の製造方法。
  9. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインプリント方法により型を形成する工程と、
    前記型を用いて光学部品を成形する工程と、を備えた光学部品の製造方法。
  10. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインプリント方法により、前記基材として光学部品本体の表面に、前記被転写材からなる膜を形成する光学部品の製造方法。
  11. 被転写材が塗布された基材に対向させる凹凸構造パターンが成形された表面を有するフィルム部材と、
    前記フィルム部材の裏面に接触して配置された、ヤング率が38[kPa]以上480[kPa]以下のゲルと、
    前記ゲルに対し、前記フィルム部材に接触する側とは反対側から第1圧力を付与して、変形する前記ゲルにより前記フィルム部材を変形させ、前記フィルム部材の表面における前記凹凸構造パターンの頂部を、前記被転写材に押圧し、次いで、前記ゲルに対し、前記フィルム部材に接触する側とは反対側から前記第1圧力よりも高い第2圧力を付与して、変形する前記ゲルにより前記フィルム部材を変形させ、前記フィルム部材の表面における前記凹凸構造パターンの全体を、前記被転写材に押圧する加圧装置と、を備えたことを特徴とするインプリント装置。
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