JP2017174495A - 質量分析装置および質量分析方法 - Google Patents

質量分析装置および質量分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン化効率がより高い状態で質量分析を行い、適切な質量分析結果を得る。【解決手段】イオン化部3は、バリア電源8,9から供給される電圧によって試料をイオン化する。イオントラップ部4bは、イオン化部3によってイオン化された試料のイオンを捕捉する。検出部6cは、イオンを検出する。導入部6bは、イオントラップ部4bにより捕捉されたイオンを、導入電源11,12から供給される電圧によって、検出部6cに導入する。制御部16は、第1の期間において、イオン化部3に供給される電圧および導入部6bに供給される電圧の極性を切り替え、切り替えた極性におけるイオンの検出量に基づいて、第1の期間に続く第2の期間において、イオン化部3に供給される電圧および導入部6bに供給される電圧の極性を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、質量分析装置および質量分析方法に関するものである。
特許文献1には、従来よりもコストの低減が可能であって信頼性が高く、しかも出力電圧の極性の切り換えも比較的高速に行える高電圧電源装置と、こうした電源装置を用いた質量分析装置が開示されている。
国際公開番号WO2007/029327号
質量分析装置は、試料をイオン化して分析を行うが、試料がプラスにイオン化されるかマイナスにイオン化されるかは試料の種類により異なる。そのため、試料をイオン化する際、試料によってはイオン化効率が悪く、適切な質量分析結果を得られない場合がある。
なお、特許文献1では、分析対象が正イオンであるか負イオンであるかによって、印加する電圧を切替える。そのため、分析対象によっては、イオン化効率が悪く、適切な質量分析結果を得られない場合がある。例えば、正イオン化される分析対象には、正電圧を印加し、負イオン化される分析対象には、負電圧を印加するが、分析対象によっては、逆の電圧を印加した方が、イオン化効率がよい場合もある。
そこで本発明は、イオン化効率がより高い状態で質量分析を行い、適切な質量分析結果を得る技術を提供することを目的とする。
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。上記課題を解決すべく、本発明に係る質量分析装置は、第1の電源と、前記第1の電源から供給される電圧によって試料をイオン化するイオン化部と、前記イオン化部によってイオン化された前記試料のイオンを捕捉するイオントラップ部と、イオンを検出する検出部と、第2の電源と、前記イオントラップ部により捕捉されたイオンを、前記第2の電源から供給される電圧によって前記検出部に導入する導入部と、第1の期間において、前記イオン化部に供給される電圧および前記導入部に供給される電圧の極性を切り替え、切り替えた極性におけるイオンの検出量に基づいて、前記第1の期間に続く第2の期間において、前記イオン化部に供給される電圧および前記導入部に供給される電圧の極性を制御する制御部と、を有する。
本発明では、イオン化効率がより高い状態で質量分析を行い、適切な質量分析結果を得ることができる。上記した以外の課題、構成、および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
第1の実施の形態に係る質量分析装置のブロック構成例を示した図である。 質量分析装置の概略動作を説明するフローチャートである。 質量分析装置のタイミングチャートの例を示した図である。 イオン検出部から得られるイオン強度の例を示した図である。 質量分析装置の動作例を示したフローチャートである。 制御部のハードウェア構成例を示した図である。 第2の実施の形態に係るバリア電源の回路例を示した図である。 質量分析装置のタイミングチャートの例を示した図である。 質量分析装置の動作例を示したフローチャートである。 第3の実施の形態に係るバリア電源の回路例を示した図である。 バリア電源から出力されるパルス電圧の電圧波形を説明する図である。 質量分析装置のタイミングチャートの例を示した図である。 質量分析装置の動作例を示したフローチャートである。 第4の実施の形態に係る表示装置の画面例を示した図である。
試料中に含まれる微量物質の成分を判定する装置として質量分析装置がある。近年では、質量分析装置は、オンサイトでの違法薬物や爆発物の探知装置としての市場が拡大している。質量分析装置は、分析対象である試料中の分子をイオン化し、電場および磁場の一方または両方を利用して質量分離して、分離されたイオンを検出器で検出する。一般的に、違法薬物は正イオン化されやすく、爆発物などは負イオン化されやすい等、試料によってイオン化の極性が異なる。
質量分析装置には、定量分析を行うための据え置き型や、オンサイトで迅速測定を行うための可搬型など、用途に応じていくつかの種類がある。据え置き型は、LC(液体クロマトグラフ)部で分析対象物の成分を分離し、MS(質量分析)部で定性および定量分析を行う方式が一般的である。また、据え置き型は、イオン源にESI(エレクトロスプレー法)を用いる方式が主流である。
一方、可搬型では、小型高効率化に有利なイオン源であるバリア放電を用いる方式が近年検討され始めている。このバリア放電は、試料を導入した大気圧に近い気圧の放電部に、誘電体バリアを介してパルス状あるいは正弦波状の高電圧を印加して放電電流を流し、試料中の分子をイオン化する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る質量分析装置のブロック構成例を示した図である。図1に示すように、質量分析装置は、キャピラリ1と、バルブ2と、イオン化部3と、質量分析部4と、真空ポンプ5と、イオン検出部6と、圧力検出部7と、バリア電源8,9と、切替え部10,13と、導入電源11,12と、CD電源14と、シンチレータ電源15と、制御部16と、GUI(Graphical User Interface)17とを有している。図11に示す質量分析装置は、例えば、バリア放電によって試料をイオン化する、可搬型の装置である。
キャピラリ1には、大気および分析する試料が導入される。キャピラリ1に導入された大気および試料は、バルブ2を介してイオン化部3に送られる。
バルブ2は、開閉して、キャピラリ1に導入された大気および試料を間欠的にイオン化部3に送る。
イオン化部3は、誘電体容器3aと、電極3bとを有している。誘電体容器3aには、バルブ2を介して、キャピラリ1に導入された大気および試料が送られる。
電極3bは、誘電体容器3aの外側に設けられ、切替え部10から出力される電圧が供給される。電極3bは、切替え部10から供給される電圧によって、誘電体容器3a内に放電電流を流し、キャピラリ1から導入された試料をイオン化する。すなわち、イオン化部3は、バリア放電によって、キャピラリ1から導入された大気に放電電流を流し、試料を電離(反応イオン生成)する。
質量分析部4は、チャンバー4aと、イオントラップ部4bと、インキャップ電極4cと、エンドキャップ電極4dとを有している。チャンバー4aは、内部を真空にするための容器であり、内部にイオントラップ部4bと、インキャップ電極4cと、エンドキャップ電極4dとを有している。
イオントラップ部4bは、イオン化部3によってイオン化された試料のうち、所定の質量のイオンを補足する。イオントラップ部4bは、捕捉するイオンの所定の質量を、可変(掃引)することができる。
インキャップ電極4cおよびエンドキャップ電極4dは電界を形成し、イオントラップ部4b内にイオンを蓄積させる。
真空ポンプ5は、イオン化部3の誘電体容器3a、質量分析部4のチャンバー4a、およびイオン検出部6のチャンバー6aの内部を排気する。
イオン検出部6は、チャンバー6aと、導入部6bと、検出部6cとを有している。検出部6cは、CD6caと、シンチレータ6cbと、光電子倍増管6ccとを有している。
チャンバー6aは、内部を真空にするための容器であり、内部に導入部6bと、検出部6cとを有している。
導入部6bは、例えば、メッシュ(電極)であり、切替え部13から電圧が供給される。導入部6bは、イオントラップ部4bによって捕捉されたイオンを、切替え部13から供給される電圧によって引き付け、検出部6cへ導入する。
検出部6cのCD6caは、導入部6bによって導入されたイオンのイオン量に応じた2次電子を放出する。シンチレータ6cbは、CD6caによって放出された2次電子を光に変換する。光電子倍増管6ccは、シンチレータ6cbによって変換された光を増幅し、電気信号に変換する。すなわち、イオントラップ部4bによってトラップ(捕捉)されたイオンは、導入部6bによって検出部6cに導入される。そして、検出部6cは、イオントラップ部4bによって捕捉されたイオンの量を検出する。検出部6cによって検出されたイオン量の電気信号は、制御部16へ出力される。
圧力検出部7は、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6a内の圧力を検出する。
バリア電源8,9は、誘電体容器3a内で放電を起こすためのパルス電圧を出力する。バリア電源8は、正のパルス電圧を出力し、例えば、「+3kV」のパルス電圧を出力する。バリア電源9は、負のパルス電圧を出力し、例えば、「−3kV」のパルス電圧を出力する。
切替え部10は、制御部16の制御に応じて、バリア電源8,9から出力されるパルス電圧の一方を電極3bに出力する。すなわち、イオン化部3の電極3bには、正負のどちらか一方のパルス電圧が供給される。
導入電源11,12は、イオントラップ部4bから検出部6cにイオンを導入するための電圧を出力する。導入電源11は、正の電圧を出力し、例えば、「+1kV」の電圧を出力する。導入電源12は、負の電圧を出力し、例えば、「−1kV」の電圧を出力する。
切替え部13は、制御部16の制御に応じて、導入電源11,12から出力される電圧の一方を導入部6bに出力する。すなわち、イオン検出部6の導入部6bには、正負のどちらか一方の電圧が供給される。
CD電源14は、CD6caに電圧を供給する。CD電源14は、例えば、「−5kV」の電圧をCD6caに供給する。
シンチレータ電源15は、シンチレータ6cbに電圧を供給する。シンチレータ電源15は、例えば、「+5kV」の電圧をシンチレータ6cbに供給する。
制御部16は、質量分析装置の全体の動作を制御する。例えば、制御部16は、検出部6cによって検出されたイオン量に基づいて、切替え部10,13の切替え動作を制御する。また、制御部16は、例えば、CD電源14およびシンチレータ電源15の電圧の出力タイミングを制御する。また、制御部16は、例えば、バルブ2、イオン化部3、質量分析部4、真空ポンプ5、イオン検出部6、および圧力検出部7の動作を制御する。
GUI17は、例えば、ユーザから操作を受付けたり、所定の情報を表示装置に表示したりする。
図2は、質量分析装置の概略動作を説明するフローチャートである。質量分析装置は、例えば、ユーザから試料の分析開始の指示があると、以下のフローチャートを実行する。キャピラリ1には、大気および試料が導入されているとする。
まず、制御部16は、バルブ2を閉じる(ステップS1)。
次に、制御部16は、真空ポンプ5によって、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6a内を排気し、低圧にする(ステップS2)。例えば、制御部16は、真空ポンプ5によって、誘電体容器3a内を「100Pa」にし、チャンバー4a,6a内を「0.1Pa」にする。
次に、制御部16は、バルブ2を開く(ステップS3)。これにより、誘電体容器3aには、キャピラリ1から、大気および試料が導入される。
次に、制御部16は、ステップS3においてバルブ2を開いた後、誘電体容器3a内が所定の気圧(例えば、1000Pa等の低圧)になると、バリア放電を行う(ステップS4)。例えば、制御部16は、切替え部10を制御して、バリア電源8,9の一方の電圧を電極3bに出力し、バリア放電を行う(電極3bに出力する電圧の極性制御については以下で説明する)。制御部16は、誘電体容器3a内でバリア放電を行うことで、導入された低圧の大気を電離(反応イオン生成)し、この反応イオンにより試料をイオン化する。
次に、制御部16は、バリア放電の開始後、バルブ2を閉じる(ステップS5)。これにより、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6a内は、真空ポンプ5によって、不要な大気が排出される。また、誘電体容器3aでイオン化された試料は、イオントラップ部4bに導入され、蓄積される。
次に、制御部16は、イオントラップ部4bで蓄積された試料のイオンを、導入部6bを介して検出部6cに導入し、イオンの質量を検出する(ステップS6)。例えば、制御部16は、切替え部13を制御して、導入電源11,12の一方の電圧を導入部6bに出力し、イオントラップ部4bで蓄積されたイオンを検出部6cに導入し、イオンの質量を検出する(導入部6bに出力する電圧の極性制御については以下で説明する)。これにより、制御部16は、試料に含まれる薬物等を検出できる。
なお、以下で説明するが、質量分析装置は、プリアンブル期間T1と測定期間T2との2つのフェーズを有する。質量分析装置は、2つのフェーズのそれぞれにおいて、上記の概略動作を1または2以上実行する。質量分析装置は、上記の概略動作を2以上実行する場合は、ステップS7の処理の後、ステップS3の処理へ移行する。
図3は、質量分析装置のタイミングチャートの例を示した図である。図3の一点鎖線に示すように、質量分析装置は、プリアンブル期間T1と測定期間T2との2つのフェーズを有する。質量分析装置は、プリアンブル期間T1において、バリア放電とイオン導入の電圧極性の組合せのうち(電極3bに印加する電圧極性と、導入部6bに印加する電圧極性の組合せのうち)、どの組合せにおいて、イオン化効率が最もよいかを判定する。質量分析装置は、プリアンブル期間T1において判定したバリア放電とイオン導入の電圧極性の組み合わせで、測定期間T2において、試料の質量を検出する。
図3に示す波形W1は、真空ポンプ5のオンおよびオフタイミングを示している。真空ポンプ5は、波形W1に示す「OFF」では排気を行わず、「ON」で排気を行う。
波形W2は、バルブ2の開閉タイミングを示している。バルブ2は、波形W2に示す「閉」で弁を閉じ、「開」で弁を開く。
波形W3は、切替え部10がイオン化部3の電極3bに出力するパルス電圧のタイミングを示している。切替え部10は、波形W3に示す「OFF」のとき、バリア電源8,9から出力される正負のパルス電圧を電極3bに出力しない。切替え部10は、波形W3に示す「正」のとき、バリア電源8から出力される正のパルス電圧を複数電極3bに出力する。切替え部10は、波形W3に示す「負」のとき、バリア電源8から出力される負のパルス電圧を複数電極3bに出力する。なお、波形W3の測定期間T2に示す「+3kV」は、切替え部10が正のパルス電圧を電極3bに出力していることを示し、具体値で示したものである。
波形W4は、CD電源14がCD6caに出力する電圧の印加タイミングを示している。CD電源14は、波形W4に示す「OFF」のとき、電圧をCD6caに出力せず、「−5kV」のとき、例えば、「−5kV」の電圧をCD6caに出力する。
波形W5は、シンチレータ電源15がシンチレータ6cbに出力する電圧のタイミングを示している。シンチレータ電源15は、波形W5に示す「OFF」のとき、電圧をシンチレータ6cbに出力せず、「+5kV」のとき、例えば、「+5kV」の電圧をシンチレータ6cbに出力する。
波形W6は、切替え部13が導入部6bに出力する電圧のタイミングを示している。切替え部13は、波形W6に示す「OFF」のとき、導入電源11,12から出力される正負の電圧を導入部6bに出力しない。切替え部13は、波形W6に示す「正」のとき、導入電源11から出力される正の電圧を導入部6bに出力する。切替え部13は、波形W6に示す「負」のとき、導入電源11から出力される負の電圧を導入部6bに出力する。なお、波形W6の測定期間T2に示す「−1kV」は、切替え部13が負の電圧を導入部6bに出力していることを示し、具体値で示したものである。
波形W7は、光電子倍増管6ccの光を検出するタイミングを示している。光電子倍増管6ccは、波形W7に示す「OFF」のとき、光を検出せず、「ON」のとき、光を検出する。
波形W8は、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6a内の気圧の状態を示している。誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6a内の気圧は、波形W2に示すバルブ2の開閉に応じて、上がったり下がったりしている。
真空ポンプ5は、図3に示す時刻t1において、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6aの排気を開始する。真空ポンプ5は、波形W1の「ON」に示すように、排気開始後、質量分析が終了するまで、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6aの排気を行う。真空ポンプ5が排気を開始すると、波形W8に示すように、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6a内の気圧は低下する(真空度は高くなる)。
誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6aの真空度が、波形W8に示す閾値thに達すると、時刻t2,t3における波形W2に示すように、バルブ2が一定期間開く。バルブ2が開くことにより、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6aの真空度は低下する。そして、この期間において、キャピラリ1から誘電体容器3aに、大気および試料が導入される。
バルブ2は、時刻t3の後、閉じられ、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6aの内部は、真空ポンプ5によって再び排気される。これにより、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6aの真空度は、波形W8の時刻t3−時刻t6に示すように再び高くなる。
なお、バルブ2は、その後においても、波形W2,W8に示すように、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6aの真空度が閾値thに達すると、一定期間開き、その後閉じるという動作を繰り返す。そして、キャピラリ1から誘電体容器3aに大気および試料が導入される。
切替え部10は、プリアンブル期間T1の波形W3に示すように、バルブ2の「開」期間の後半から、「閉」期間の前半にかけて、パルス電圧を電極3bに出力する。これにより、イオン化部3の誘電体容器3a内では、バリア放電が行われる。バリア放電によってイオン化された試料のイオンは、イオントラップ部4bにトラップされる。
正および負の極性電圧によるバリア放電は、波形W3に示すように、プリアンブル期間T1において行われる。測定期間T2では、プリアンブル期間T1において判定された極性電圧でバリア放電が行われる。例えば、図3の測定期間T2では、正の極性電圧が判定された例(+3kV)を示している。
切替え部13は、時刻t4,t5における波形W6に示すように、バリア放電終了後(電極3bへの電圧印加の終了後)、一定期間電圧を導入部6bに出力する。これにより、イオントラップ部4bで捕捉されたイオンは、導入部6bによって、検出部6cに導入される。
正および負の極性電圧によるイオン導入は、波形W6に示すように、プリアンブル期間T1において行われる。測定期間T2では、プリアンブル期間T1において判定された極性電圧でイオン導入が行われる。例えば、図3の測定期間T2では、負の極性電圧が判定された例(−1kV)を示している。
CD電源14は、時刻t4,t5における波形W4に示すように、バリア放電の終了後、一定期間電圧をCD6caに出力する。同様に、シンチレータ電源15は、時刻t4,t5における波形W5に示すように、バリア放電の終了後、一定期間電圧をシンチレータ6cbに出力する。そして、光電子倍増管6ccは、時刻t4,t5における波形W7に示すように、バリア放電終了後、光を検出する。
質量分析装置は、時刻t6における波形W8に示すように、誘電体容器3aおよびチャンバー4a,6aの真空度が再び閾値thを超えると、上記で説明した動作を繰り返す。
イオントラップ部4bは、時刻t4から時刻t5の一定期間内に、捕捉するイオンの質量を掃引する。従って、光電子倍増管6ccからは、掃引した各質量に対するイオン量(イオン強度)の結果が得られる。
図4は、イオン検出部から得られるイオン強度の例を示した図である。イオントラップ部4bは、上記したように、捕捉するイオンの質量を掃引する。例えば、イオントラップ部4bは、捕捉するイオンの質量を、図4の横軸の左側(質量小)から右側(質量大)へ掃引する。
ここで、試料に物質A,B,Cが含まれているとする。この場合、図4に示すように、物質A,B,Cの質量におけるイオン強度は強くなる(イオン検出部6で検出されるイオン量は多くなる)。従って、制御部16は、イオントラップ部4bで捕捉された各質量に対するイオンのイオン強度を測定することにより、試料に含まれる物質を判定することができる。
図3の説明に戻る。制御部16は、プリアンブル期間T1において、切替え部10を制御し、バリア電源8,9から電極3bに出力するパルス電圧の極性を切替える。また、制御部16は、プリアンブル期間T1において、切替え部13を制御し、導入電源11,12から導入部6bに出力する電圧の極性を切替える。
例えば、制御部16は、図3の点線枠D1〜D4に示すように、プリアンブル期間T1において、バリア電源8,9および導入電源11,12から出力される電圧の極性を、正と負、負と負、正と正、負と正の4つの組み合わせで切り替える。
制御部16は、バリア電源8,9および導入電源11,12の電圧極性の全ての組み合わせを切替えると、切替えた各極性でのイオンの検出量(イオン強度)に基づき、プリアンブル期間T1に続く測定期間T2において、電極3bおよび導入部6bに出力する電圧の極性を判定する。
例えば、制御部16は、図3に示す点線枠D1〜D4のそれぞれの電圧極性の組み合わせにおいて、イオン検出部6から出力されるイオン強度を積分する。例えば、図3に示す点線枠D1〜D4のそれぞれの電圧極性の組み合わせにおいて、図4に示すようなイオン強度が得られ(電圧極性の組み合わせによっては、図4に示すようなピークが現れないものがある)、制御部16は、点線枠D1〜D4のそれぞれで得られるイオン強度を、それぞれ積分する。制御部16は、点線枠D1〜D4のそれぞれのイオン強度の積分値が、所定の閾値を超えたか否か判定し、所定の閾値を超えたイオン強度の電圧極性の組み合わせを判定する。そして、制御部16は、判定した電圧極性で、測定期間T2において試料の質量分析を行う。
例えば、図3に示す点線枠D1の電圧極性の組み合わせにおいて、積分したイオン強度が所定の閾値を超えたとする。この場合、制御部16は、図3の測定期間T2の点線枠D5,D6に示すように、バリア放電の電圧極性を「正」(図3中では「+3kV」と図示)に設定し、イオン導入の電圧極性を「負」(図3中では「−1kV」と図示)に設定して、測定期間T2において試料の質量分析を行う。
このように、バリア電源8,9および導入電源11,12から出力される電圧の極性を切替えるのは、バリア放電およびイオン導入の電圧極性の組み合わせにより、イオン化効率の異なる物質があるためである。例えば、電極3bに正の電圧を印加した場合でも、物質によっては、正イオンにイオン化される物質と、負イオンにイオン化される物質とがあるためである。より具体的には、バリア放電の電圧極性とイオン導入の電圧極性のある組み合わせでは、図4に示したようなイオン強度が得られるが、別の電圧極性の組み合わせでは、図4に示したようなイオン強度が得られない場合があるためである(図4のように物質A,B,Cのイオン強度が大きなピークを示さない場合があるためである)。
なお、測定期間T2における質量分析の動作は、プリアンブル期間T1で説明した動作と同様である。ただし、測定期間T2では、プリアンブル期間T1で判定した電圧極性のバリア放電およびイオン導入で試料の質量分析を行う。また、制御部16は、イオン検出部6から出力されるイオン量を、プリアンブル期間T1のように積分せず、各質量に対するイオン量を、例えば、メモリなどの記憶装置に記憶する。例えば、制御部16は、図4に示したようなデータを記憶装置に記憶する。そして、制御部16は、イオン量の多かった質量から、試料に含まれている物質を判定する。例えば、制御部16は、測定期間T2において、図4に示すようなデータが得られた場合、試料には、物質A,B,Cが含まれていると判定する。
また、質量分析装置は、適切な質量分析結果を得るため、測定期間T2において複数回質量分析を行ってよい。例えば、図3では、点線枠D5,D6に示すように、質量分析装置は、複数回質量分析を行っている。
また、プリアンブル期間T1で判定される電圧極性の組み合わせは、複数得られる場合もある。例えば、所定の閾値を超えるイオン強度の積分値は、複数存在する場合もある。例えば、図3に示す点線枠D1,D3でイオン強度の積分値が所定の閾値を超える場合もある。
この場合、制御部16は、得られた複数の電圧極性の組み合わせで、測定期間T2において試料の質量分析を行う。例えば、制御部16は、イオン検出された電圧極性の組み合わせが2通りあった場合(例えば、点線枠D1,D3の電圧極性があった場合)、測定期間T2では、2通りの電圧極性の組み合わせで質量分析を行う(例えば、点線枠D1,D3の2通りの電圧極性で質量分析を行う)。また、制御部16は、プリアンブル期間T1でイオンが検出されない場合は、プリアンブル期間T1を複数回実施するかまたはそのまま測定を終了してもよい。
また、制御部16は、イオン強度の積分値が所定の閾値を超えたか否かによって、電圧極性の組み合わせを判定するとしたが、これに限られない。例えば、制御部16は、図3に示す点線枠D1〜D4のそれぞれにおけるイオン強度の積分値のうち、イオン強度の積分値が最も大きかった電圧極性の組み合わせを判定する。そして、制御部16は、イオン強度の積分値の最も大きかった電圧極性の組み合わせで、測定期間T2において試料の質量分析を行ってもよい。この場合、判定される電圧極性の組み合わせは、1つとなる。
また、制御部16は、イオン強度を積分せずに、例えば、図3に示す点線枠D1〜D4のそれぞれの電圧極性の組み合わせにおいて、最も大きいイオン強度が所定の閾値を超えたか否かによって、電圧極性の組み合わせを判定してもよい。例えば、点線枠D1において、図4に示すイオン強度が得られたとする。図4の物質Bのイオン強度は、所定の閾値を超えているとする。この場合、制御部16は、点線枠D1の電圧極性(バリア放電「正」、イオン導入「負」の電圧極性)を判定する。
図5は、質量分析装置の動作例を示したフローチャートである。質量分析装置は、例えば、キャピラリ1に試料が導入され、ユーザからGUI17を介して、分析開始の指示があると、図5に示すフローチャートの処理を実行する。ステップS11〜S18は、例えば、プリアンブル期間T1での処理に対応し、ステップS22〜S29は、測定期間T2での処理に対応する。ステップS19〜S21は、プリアンブル期間T1の最後または測定期間T2の最初のどちらで処理を行ってもよい。
まず、制御部16は、イオン化部3の電極3bに正のパルス電圧を出力し(バリア放電+)、導入部6bに負の電圧を出力するように(イオン導入−)、切替え部10,13の切替えを制御する(ステップS11)。
次に、イオン検出部6は、ステップS11で印加された電圧において、各質量における(掃引した質量における)イオンを検出する(ステップS12)。制御部16は、イオン検出部6で検出される、各質量におけるイオン量を積分する。
次に、制御部16は、イオン化部3の電極3bに負のパルス電圧を出力し(バリア放電−)、導入部6bに負の電圧を出力(イオン導入−)するように、切替え部10,13の切替えを制御する(ステップS13)。
次に、イオン検出部6は、ステップS13で印加された電圧において、各質量におけるイオンを検出する(ステップS14)。制御部16は、イオン検出部6で検出される、各質量におけるイオン量を積分する。
次に、制御部16は、イオン化部3の電極3bに正のパルス電圧を出力し(バリア放電+)、導入部6bに正の電圧を出力(イオン導入+)するように、切替え部10,13の切替えを制御する(ステップS15)。
次に、イオン検出部6は、ステップS15で印加された電圧において、各質量におけるイオンを検出する(ステップS16)。制御部16は、イオン検出部6で検出される、各質量におけるイオン量を積分する。
次に、制御部16は、イオン化部3の電極3bに負のパルス電圧を出力し(バリア放電−)、導入部6bに正の電圧を出力(イオン導入+)するように、切替え部10,13の切替えを制御する(ステップS17)。
次に、イオン検出部6は、ステップS17で印加された電圧において、各質量におけるイオンを検出する(ステップS18)。制御部16は、イオン検出部6で検出される、各質量におけるイオン量を積分する。
次に、制御部16は、イオン検出部6によって、イオンが検出されたか否か判定する(ステップS19)。例えば、制御部16は、ステップS12,S14,S16,S18で積分したイオン量が、所定の閾値を超えたか否か判定する。制御部16は、イオンを検出できたと判定した場合(S19にて「Yes」の場合)、ステップS20の処理へ移行する。制御部16は、イオンを検出できなかったと判定した場合(S19にて「No」の場合)、ステップS21の処理へ移行する。なお、制御部16は、イオン検出ができたと判定した場合、イオン検出ができた電圧極性の組み合わせを取得する。
制御部16は、ステップS19において、イオンを検出できなかったと判定した場合(S19にて「No」の場合)、プリアンブル期間T1の処理を所定回数行ったか否か判定する(ステップS20)。すなわち、制御部16は、イオンを検出できなかった場合、予め決められた所定回数に達するまで、プリアンブル期間T1の処理を行う。制御部16は、プリアンブル期間T1の処理を所定回数行ったと判定した場合(S20にて「Yes」の場合)、質量分析処理を終了する。制御部16は、プリアンブル期間T1の処理を所定回数行っていないと判定した場合(S20にて「No」の場合)、ステップS11の処理へ移行する。
制御部16は、ステップS19において、イオンを検出できたと判定した場合(S19にて「Yes」の場合)、イオン検出できた電圧極性の組み合わせが1つであるか否か判定する(ステップS21)。制御部16は、イオン検出できた電圧極性の組み合わせが1つであると判定した場合(S21にて「Yes」)、ステップS22の処理へ移行する。制御部16は、イオン検出できた電圧極性の組み合わせが1つでない(複数である)と判定した場合(S21にて「No」)、ステップS26の処理へ移行する。
制御部16は、ステップS21おいて、イオン検出ができた電圧極性の組み合わせが1つであると判定した場合(S21にて「Yes」の場合)、ステップS19にて取得した1つの電圧極性の組み合わせが、測定期間T2において、切替え部10,13から出力されるように設定する(ステップS22)。
次に、イオン検出部6は、各質量におけるイオンを検出する(ステップS23)。イオン検出部6によって検出された、各質量におけるイオンのイオン量(例えば、図4に示すようなデータ)は、制御部16によって、例えば、メモリなどの記憶装置に記憶される。
次に、制御部16は、所定回数、質量分析を行ったか否か判定する(ステップS24)。制御部16は、所定回数、質量分析を行ったと判定した場合(S24にて「Yes」)、ステップS25の処理へ移行する。制御部16は、所定回数、質量分析を行っていないと判定した場合(S24にて「No」)、ステップS22の処理へ移行する。
制御部16は、ステップS24において、所定回数、質量分析を行ったと判定した場合(S24にて「Yes」の場合)、ステップS23において記憶装置に記憶したイオン量を出力する(ステップS25)。例えば、制御部16は、各質量におけるイオン量(例えば、図4に示したようなグラフ)を表示装置に出力する。
制御部16は、ステップS21おいて、イオン検出ができた電圧極性の組み合わせが複数であると判定した場合(S21にて「No」の場合)、ステップS19にて取得した複数の電圧極性の組み合わせが、測定期間T2において、切替え部10,13から出力されるように設定する(ステップS26)。
次に、イオン検出部6は、複数の電圧極性のそれぞれの組み合わせにおいて、各質量におけるイオンを検出する(ステップS27)。イオン検出部6によって検出された、各質量におけるイオンのイオン量(例えば、図4に示すようなデータ)は、制御部16によって、例えば、メモリなどの記憶装置に記憶される。
次に、制御部16は、所定回数、質量分析を行ったか否か判定する(ステップS28)。制御部16は、所定回数、質量分析を行ったと判定した場合(S28にて「Yes」)、ステップS29の処理へ移行する。制御部16は、所定回数、質量分析を行っていないと判定した場合(S28にて「No」)、ステップS26の処理へ移行する。
制御部16は、ステップS28において、所定回数、質量分析を行ったと判定した場合(S28にて「Yes」の場合)、ステップS27において記憶装置に記憶したイオン量を出力する(ステップS29)。例えば、制御部16は、各質量におけるイオン量(例えば、図4に示したようなグラフ)を表示装置に出力する。
図6は、制御部のハードウェア構成例を示した図である。制御部16およびGUI17は、例えば、図6に示すような、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置21と、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置22と、HDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置23と、有線又は無線により通信ネットワークと接続するための通信インターフェイス(I/F)24と、マウス、キーボード、タッチセンサーやタッチパネルなどの入力装置25と、液晶ディスプレイなどの表示装置26と、DVD(Digital Versatile Disk)などの持ち運び可能な記憶媒体に対する情報の読み書きを行う読み書き装置27と、を備えるコンピュータ20によって実現することができる。
例えば、制御部16の機能は、補助記憶装置23などから主記憶装置22にロードされた所定のプログラムを演算装置21が実行することで実現される。GUI17は、例えば、演算装置21が入力装置25を利用することで実現される。また、GUI17は、例えば、演算装置21が表示装置26を利用することで実現される。制御部16と、その他の機器との通信は、例えば、演算装置21が通信I/F24を利用することで実現される。
なお、上記の所定のプログラムは、例えば、読み書き装置27により読み取られた記憶媒体からインストールされてもよいし、通信I/F24を介してネットワークからインストールされてもよい。
また、制御部16およびGUI17の一部またはすべての機能は、例えば、演算装置、記憶装置、駆動回路などを備えるASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により実現してもよい。
このように、質量分析装置の制御部16は、プリアンブル期間T1において、バリア電源8,9および導入電源11,12から出力される電圧の極性を切り替え、切り替えた極性におけるイオンの検出量に基づいて、プリアンブル期間T1に続く測定期間T2において、バリア電源8,9および導入電源11,12から出力される電圧の極性を制御する。これにより、制御部16は、イオン化効率のより高い電圧極性の組み合わせを判定でき、判定した電圧極性で質量分析を行い、適切な質量分析結果を得ることができる。
また、制御部16は、プリアンブル期間T1で判定した電圧極性の組み合わせで、測定期間T2においてイオン検出することで、測定期間T2の短縮や測定の安定化を実現できる。
また、制御部16は、プリアンブル期間T1において、バリア電源8,9および導入電源11,12から出力される電圧の極性を、正と負、負と負、正と正、負と正の4つの組み合わせで切り替えることで、例えば、薬物や爆発物、化学物質などの様々な種類の試料を検出することが可能である。
また、質量分析装置は、バリア放電によって試料をイオン化するので、オンサイトにおいてもイオン化効率がより高い状態で質量分析を行い、適切な質量分析結果を得ることができる。
なお、上記では、プリアンブル期間T1において、電極3bの電圧極性と導入部6bの電圧極性との組み合わせをステップS11,S13,S15,S17の順で行ったが、これに限るものではなく、他の順で行っても同様の効果が得られる。
また、制御部16は、CD6caに供給する電圧の極性を切替えるようにしてもよい。例えば、制御部16は、導入部6bに供給する電圧の極性と同じ極性の電圧をCD6caに供給するようにしてもよい。これによっても、同様の効果が得られる。
また、質量分析する試料の対象が、例えば、予め決まっている場合には、4通りの電圧極性ではなく、これより少ない予め決められた電圧極性でイオン検出を行ってもよい。例えば、違法薬物は正イオン化するものが多い。この場合、例えば、バリア放電を「正」、イオン導入を「負」とした電圧極性と、バリア放電を「負」、イオン導入を「負」とした電圧極性との2通りの電圧極性で、イオン検出を行ってもよい。
また、上記では、イオン検出を行うのに、プリアンブル期間T1と測定期間T2とに分けているが、これに限るものではない。例えば、プリアンブル期間T1の4通りの電圧極性の組み合わせを、測定期間T2においてもそのまま継続しても、同様の効果が得られる。より具体的には、質量分析装置は、図3に示したプリアンブル期間T1の処理のみを、所定回数繰り返すようにしてもよい。
また、制御部16は、導入部6bの電圧を、正負の電圧のどちらか一方に固定し、CD6caの電圧極性を変えるようにしてもよい。または、導入部6b、導入電源11,12、および切替え部13を省略して、制御部16は、CD6caの電圧極性を変えるようにしてもよい。これによっても、同様の効果が得られる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、イオン化部3の電極3bに出力するパルス電圧の周波数を変更する。以下では、第1の実施の形態と異なる部分について説明し、第1の実施の形態と同じ部分については、第1の実施の形態の符号を用いて説明する。
図7は、第2の実施の形態に係るバリア電源の回路例を示した図である。図7に示すように、バリア電源8は、駆動部31と、スイッチング部32と、高圧モジュール33と、コンデンサC3とを有している。
駆動部31は、増幅器A1と、抵抗R1〜R3と、トランジスタTr1と、コンデンサC1とを有している。駆動部31は、増幅器A1の非反転入力端子に入力される電圧によって、高圧モジュール33のトランスT1の1次側端子(トランジスタTr1のエミッタと接続されている端子)の電圧を変え、高圧モジュール33の出力電圧の振幅を制御する。
スイッチング部32は、コンデンサC2と、トランジスタTr2とを有している。トランジスタTr2のゲートには、コンデンサC2を介して、クロックが入力される。クロックは、矩形波の繰り返しパルスであり、図7に示すように、ハイレベル期間(Ton)とローレベル期間(Toff)とを有する。クロックの周波数fは、「Ton」と「Toff」を用いると、次の式(1)で示される。
f=1/(Ton/Toff) …(1)
クロックは、例えば、制御部16から出力される。制御部16は、バリア電源8に出力するクロックの「Ton」および「Toff」を変えることにより、バリア電源8から出力されるパルス電圧の周波数を可変する。なお、クロックのデューティ比Dは、次の式(2)で示される。
D={Ton/(Ton+Toff)}×100 …(2)
フライバック方式高圧回路では、「Ton」期間において、トランスT1の1次側端子tp1から、トランジスタTr2に電流が流れ、共振用のコンデンサC3に電荷がチャージされる。「Toff」期間になると、コンデンサC3にチャージされた電荷が、トランスT1の1次側端子tp1に向かって流れる。
高圧モジュール33は、トランスT1と、抵抗R4,R5とを有している。トランスT1の1次側の電圧は、「Ton」期間および「Toff」期間に流れる電流変化によって、電圧が変化する。トランスT1の1次側の電圧は、トランスT1の2次側に伝達される。トランスT2の2次側からは、巻線比に応じたパルス電圧が出力される。
すなわち、バリア電源8は、駆動部31に入力される電圧によって、出力するパルス電圧の振幅を可変することができる。また、バリア電源8は、スイッチング部32に入力されるクロックの周波数によって、出力するパルス電圧の周波数を可変することができる。なお、バリア電源9も、図7と同様の回路を有するが、負のパルス電圧を出力する部分が異なる。
物質によっては、電極3bに供給されるパルス電圧の周波数によって、イオン化効率が異なってくる。すなわち、試料によっては、最適なパルス周波数が異なってくる。このため、試料にどのような成分が含まれているか分からない場合は、複数のパルス周波数でイオン化を行うことが、イオン化効率の高効率化やイオン検出感度の向上の点で有利である。
図8は、質量分析装置のタイミングチャートの例を示した図である。図8では、図3と異なる部分について説明する。
バリア電源8,9は、制御部16から出力されるクロックの周波数に応じて、切替え部10に出力するパルス電圧の周波数を可変する。例えば、バリア電源8,9は、「10kHz」、「20kHz」、および「5kHz」の3種類の周波数のパルス電圧を出力する。
図8に示す波形W11は、切替え部10から電極3bに出力される正のパルス電圧の波形を示している。波形11に示すように、電極3bには、3種類の周波数のパルス電圧が供給される。
図8に示す波形W12は、切替え部10から電極3bに出力される負のパルス電圧の波形を示している。波形12に示すように、電極3bには、3種類の周波数のパルス電圧が供給される。
なお、イオントラップ部4bは、パルス電圧の各周波数において、質量を掃引する。また、制御部16は、測定期間2においても、各バリア放電において、複数の周波数のパルス電圧を出力する。例えば、図8の例の場合、制御部16は、測定期間2の各バリア放電においても、3種類の周波数のパルス電圧を出力する。また、制御部16は、測定期間2において、例えば、各周波数で得られたイオン量のうち、最もイオン化効率のよかった周波数のイオン量を記憶装置に記憶するようにする。
図9は、質量分析装置の動作例を示したフローチャートである。図9において、図5と同じ処理には同じ符号が付してある。図9では、図5と異なる処理について説明する。
制御部16は、ステップS11において、イオン化部3の電極3bに正のパルス電圧を出力し(バリア放電+)、導入部6bに負の電圧を出力するように(イオン導入−)、切替え部10,13の切替えを制御した後、ステップS11aにおいて、バリア電源8から、異なる周波数のパルス電圧が出力されるように制御する。これにより、例えば、図8に示す点線枠D1のバリア放電では、波形W11に示すような異なる周波数のパルス電圧が電極3bに出力される。
制御部16は、ステップS13a,15a,17aにおいても上記と同様に、異なる周波数のパルス電圧が電極3bに出力されるようにバリア電源8,9を制御する。
制御部16は、ステップS22a,S26aにおいて、異なる周波数のパルス電圧が電極3bに出力されるようにバリア電源8,9を制御する。すなわち、制御部16は、測定期間T2においても、異なる周波数のパルス電圧が電極3bに出力されるようにバリア電源8,9を制御する。
イオン検出部6は、ステップS23a,S27aにおいて、各周波数での各質量(掃引した質量)におけるイオンを検出する。制御部16は、例えば、イオン検出部6によって検出された各周波数での各質量におけるイオン量のうち、イオン化効率の最もよかった周波数のイオン量を記憶装置に記憶する。
このように、制御部16は、イオン化部3の電極3bに出力されるパルス電圧の周波数を変更する。これにより、質量分析装置は、例えば、薬物や爆発物、化学物質などの様々な種類の試料を適切に検出することが可能となる。
なお、上記では、パルス電圧の周波数を10kHz、20kHz、および5kHzで切り替えるとしたが、これに限るものではなく、他の周波数を用いることもできる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、イオン化部3の電極3bに出力するパルス電圧の波形を変更する。以下では、第1、第2の実施の形態と異なる部分について説明し、第1、第2の実施の形態と同じ部分については、第1、第2の実施の形態の符号を用いて説明する。
図10は、第3の実施の形態に係るバリア電源の回路例を示した図である。図10において、図7と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図7と異なる部分について説明する。
図10に示すように、バリア電源8は、容量を可変することができる可変容量コンデンサVC1を有している。可変容量コンデンサVC1の容量は、例えば、制御部16によって可変される。
バリア電源8は、スイッチング部32に入力されるクロックのデューティ比と、可変容量コンデンサVC1の容量(共振容量)とによって、出力するパルス電圧の電圧波形を変えることができる。制御部16は、バリア電源8に出力するクロックの「Ton」および「Toff」を変えることにより、クロックのデューティ比を可変することができる。
図11は、バリア電源から出力されるパルス電圧の電圧波形を説明する図である。図11(A)には、単峰パルス波形の例が示してある。図11(B)には、双峰パルス波形の例が示してある。図11(C)には、振動パルス波形の例が示してある。
図11(A)に示す単峰パルス波形は、例えば、図10の回路において、駆動部31に入力されるクロックの周波数を「f」、駆動部31に入力されるクロックのデューティ比を「D」、および可変容量コンデンサVC1の容量を「C」とすると、「f=10kHz」、「D=55%」、および「C=1000pF」とすることにより得られる。
図11(B)に示す双峰パルス波形は、例えば、図10の回路において、「f=10kHz」、「D=75%」、および「C=4700pF」とすることにより得られる。
図11(C)に示す振動パルス波形は、例えば、図10の回路において、「f=10kHz」、「D=90」、および「C=1000pF」とすることにより得られる。
なお、「f」、「D」、および「C」の設定はこれに限るものではなく、その他適当な設定値により、上記した3種類の波形を生成することができる。
図12は、質量分析装置のタイミングチャートの例を示した図である。図12では、図3と異なる部分について説明する。
バリア電源8,9は、制御部16から出力されるデューティ比および共振容量に応じて、切替え部10に出力するパルス電圧の電圧波形を可変する。例えば、バリア電源8,9は、「単峰パルス波形」、「双峰パルス波形」、および「振動パルス波形」の3種類のパルス電圧を出力する。
図12に示す波形W21は、切替え部10から電極3bに出力される正のパルス電圧の波形を示している。波形21に示すように、電極3bには、3種類の電圧波形のパルス電圧が供給される。
図12に示す波形W22は、切替え部10から電極3bに出力される負のパルス電圧の波形を示している。波形22に示すように、電極3bには、3種類の電圧波形のパルス電圧が供給される。
なお、イオントラップ部4bは、パルス電圧の各電圧波形において、質量を掃引する。また、制御部16は、測定期間2においても、各バリア放電において、複数の電圧波形のパルス電圧を出力する。例えば、図12の例の場合、制御部16は、測定期間2の各バリア放電においても、3種類の電圧波形のパルス電圧を出力する。また、制御部16は、測定期間2において、例えば、各電圧波形で得られたイオン量のうち、最もイオン化効率のよかった電圧波形のイオン量を記憶装置に記憶するようにする。
図13は、質量分析装置の動作例を示したフローチャートである。図13において、図5と同じ処理には同じ符号が付してある。図13では、図5と異なる処理について説明する。
制御部16は、ステップS11において、イオン化部3の電極3bに正のパルス電圧を出力し(バリア放電+)、導入部6bに負の電圧を出力するように(イオン導入−)、切替え部10,13の切替えを制御した後、ステップS11bにおいて、バリア電源8から、異なる電圧波形のパルス電圧が出力されるように制御する。これにより、例えば、図12に示す点線枠D1のバリア放電では、波形W21に示すような異なる電圧波形のパルス電圧が電極3bに出力される。
制御部16は、ステップS13b,15b,17bにおいても上記と同様に、異なる電圧波形のパルス電圧が電極3bに出力されるようにバリア電源8,9を制御する。
制御部16は、ステップS22b,S26bにおいて、異なる電圧波形のパルス電圧が電極3bに出力されるようにバリア電源8,9を制御する。すなわち、制御部16は、測定期間T2においても、異なる電圧波形のパルス電圧が電極3bに出力されるようにバリア電源8,9を制御する。
イオン検出部6は、ステップS23b,S27bにおいて、各電圧波形での各質量(掃引した質量)におけるイオンを検出する。制御部16は、例えば、イオン検出部6によって検出された各電圧波形での各質量におけるイオン量のうち、イオン化効率の最もよかった電圧波形のイオン量を記憶装置に記憶する。
このように、制御部16は、イオン化部3の電極3bに出力されるパルス電圧の電圧波形を変更する。これにより、質量分析装置は、例えば、薬物や爆発物、化学物質などの様々な種類の試料を適切に検出することが可能となる。
なお、第2の実施の形態および第3の実施の形態のそれぞれで、パルス電圧の周波数および電圧波形を変更する例を説明したが、これらを組み合わせることもできる。例えば、制御部16は、図12に示す波形W21の3つ電圧波形のそれぞれにおいて、周波数を「10kHz」、「20kHz」、および「5kHz」と変えるようにしてもよい。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態では、バリア放電およびイオン導入の電圧極性を、ユーザによって設定できるようにする。また、バリア放電の周波数および電圧波形を、ユーザによって設定できるようにする。
図14は、第4の実施の形態に係る表示装置の画面例を示した図である。図14に示すように、質量分析装置の表示装置26には、設定部41〜44と、ボタン45とが表示される。図14に示す画面例は、例えば、質量分析装置の電源を投入すると表示装置26に表示される。
表示装置26は、例えば、画面上にタッチパネルが設けられている。ユーザは、画面上のタッチパネルをタップすることによって、設定部41〜44の設定内容を変更することができる。また、制御部16は、開始のボタン45がタップされると、設定部41〜44に設定された設定内容で質量分析を行う。
設定部41は、ユーザから、バリア放電の電圧極性の設定を受付ける。例えば、ユーザは、設定部41内に表示されている「+」または「−」の部分をタップすることにより、バリア放電の電圧極性を設定することができる。より具体的には、ユーザは、設定部41に示している最左の「+」部分をタップすると、「+」および「−」が表示され、その中から、設定する電圧極性を選択することができる。なお、設定部41の最左の「+」は、例えば、図3の点線枠D1のバリア放電の電圧極性を設定し、その右隣の「−」は、点線枠D2のバリア放電の電圧極性を設定し、その右隣の「+」は、点線枠D3のバリア放電の電圧極性を設定し、最右の「−」は、点線枠D4のバリア放電の電圧極性を設定する。
設定部42は、ユーザから、イオン導入の電圧極性の設定を受付ける。例えば、ユーザは、設定部42内に表示されている「+」または「−」の部分をタップすることにより、イオン導入の電圧極性を設定することができる。より具体的には、ユーザは、設定部42に示している最左の「−」部分をタップすると、「+」および「−」が表示され、その中から、設定する電圧極性を選択することができる。なお、設定部42の最左の「+」は、例えば、図3の点線枠D1のイオン導入の電圧極性を設定し、その右隣の「−」は、点線枠D2のイオン導入の電圧極性を設定し、その右隣の「+」は、点線枠D3のイオン導入の電圧極性を設定し、最右の「−」は、点線枠D4のイオン導入の電圧極性を設定する。
設定部43は、ユーザから、バリア放電のパルス電圧の周波数を受付ける。例えば、ユーザは、設定部43内に表示されている「10kHz」、「20kHz」、または「5kHz」の部分をタップすることにより、バリア放電のパルス電圧の周波数を設定することができる。より具体的には、ユーザは、設定部43に示している「10kHz」の部分をタップすると、「10kHz」、「20kHz」、および「5kHz」が表示され、その中から、設定するパルス電圧の周波数を選択できる。なお、設定部43の最左の「10kHz」は、図8の波形W11,W12の左側部分のパルス電圧の周波数を設定し、その右隣の「20kHz」は、波形W11,W12の真中部分のパルス電圧の周波数を設定し、最右の「5kHz」は、波形W11,W12の右側部分のパルス電圧の周波数を設定する。
設定部44は、ユーザから、バリア放電のパルス電圧の電圧波形を受付ける。例えば、ユーザは、設定部44内に表示されている「単峰」、「双峰」、または「振動」の部分をタップすることにより、バリア放電のパルス電圧の電圧波形を設定することができる。より具体的には、ユーザは、設定部44に示している「単峰」の部分をタップすると、「単峰」、「双峰」、および「振動」が表示され、その中から、設定するパルス電圧の電圧波形を選択できる。なお、設定部44の最左の「単峰」は、図12の波形W21,W22の左側部分のパルス電圧の電圧波形を設定し、その右隣の「双峰」は、波形W21,W22の真中部分のパルス電圧の電圧波形を設定し、最右の「振動」は、波形W21,W22の右側部分のパルス電圧の電圧波形を設定する。
制御部16は、ユーザによってボタン45がタップされると、質量分析を開始するとともに、設定部41〜44に設定された設定内容で、質量分析を行う。制御部16は、例えば、GUI17を介して、設定部41〜44に入力された情報を受付ける。
このように、バリア放電およびイオン導入の電圧極性、バリア放電のパルス電圧の周波数、およびバリア放電のパルス電圧の電圧波形を切替え可能にすることにより、ユーザの使い勝手が向上する。
なお、バリア放電およびイオン導入の電圧極性の設定は、4組すべて設定しなくてもよい。例えば、質量分析する試料の対象が予め決まっている場合には、ユーザは、4通りの電圧極性ではなく、これより少ない組み合わせを設定するようにしてもよい。バリア放電の周波数および電圧波形についても同様である。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、質量分析装置の構成は、質量分析装置の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。質量分析装置の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
また、上述したフローチャートの各処理単位は、質量分析装置の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。質量分析装置の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
また、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、本発明は、質量分析装置による質量分析方法として提供することもできる。
1:キャピラリ
2:バルブ
3:イオン化部
3a:誘電体容器
3b:電極
4:質量分析部
4a:チャンバー
4b:イオントラップ部
4c:インキャップ電極
4d:エンドキャップ電極
5:真空ポンプ
6:イオン検出部
6a:チャンバー
6b:導入部
6c:検出部
6ca:CD
6cb:シンチレータ
6cc:光電子倍増管
7:圧力検出部
8,9:バリア電源
10:切替え部
11,12:導入電源
13:切替え部
14:CD電源
15:シンチレータ電源
16:制御部
17:GUI
T1:プリアンブル期間
T2:測定期間
31:駆動部
32:スイッチング部
33:高圧モジュール
C1:コンデンサ
VC1:可変容量コンデンサ

Claims (10)

  1. 第1の電源と、
    前記第1の電源から供給される電圧によって試料をイオン化するイオン化部と、
    前記イオン化部によってイオン化された前記試料のイオンを捕捉するイオントラップ部と、
    イオンを検出する検出部と、
    第2の電源と、
    前記イオントラップ部により捕捉されたイオンを、前記第2の電源から供給される電圧によって前記検出部に導入する導入部と、
    第1の期間において、前記イオン化部に供給される電圧および前記導入部に供給される電圧の極性を切り替え、切り替えた極性におけるイオンの検出量に基づいて、前記第1の期間に続く第2の期間において、前記イオン化部に供給される電圧および前記導入部に供給される電圧の極性を制御する制御部と、
    を有することを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析装置であって、
    前記制御部は、前記第1の期間において、前記第1の電源から前記イオン化部に供給される電圧および前記第2の電源から前記導入部に供給される電圧の極性を、正と負、負と負、正と正、負と正の4つの組み合わせで切り替える、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1に記載の質量分析装置であって、
    前記制御部は、前記イオン化部に供給される電圧および前記導入部に供給される電圧の極性を入力装置から受付ける、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項1に記載の質量分析装置であって、
    前記制御部は、前記第1の期間および前記第2の期間において、前記イオン化部に供給される電圧の周波数を変更する、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項4に記載の質量分析装置であって、
    前記制御部は、前記イオン化部に供給される電圧の周波数を入力装置から受付ける、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項1に記載の質量分析装置であって、
    前記制御部は、前記第1の期間および前記第2の期間において、前記イオン化部に供給される電圧の電圧波形を変更する、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  7. 請求項6に記載の質量分析装置であって、
    前記制御部は、前記イオン化部に供給される電圧の電圧波形を入力装置から受付ける、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  8. 請求項1に記載の質量分析装置であって、
    前記イオン化部は、バリア放電によって前記試料をイオン化する、
    ことを特徴とする質量分析装置。
  9. 第1の電源と、
    前記第1の電源から供給される電圧によって試料をイオン化するイオン化部と、
    前記イオン化部によってイオン化された前記試料のイオンを捕捉するイオントラップ部と、
    イオンを検出する検出部と、
    第2の電源と、
    前記イオントラップ部により捕捉されたイオンを、前記第2の電源から供給される電圧によって前記検出部に導入する導入部と、
    を有する質量分析装置の質量分析方法であって、
    制御部によって、第1の期間において、前記イオン化部に供給される電圧および前記導入部に供給される電圧の極性を切り替え、切り替えた極性におけるイオンの検出量に基づいて、前記第1の期間に続く第2の期間において、前記イオン化部に供給される電圧および前記導入部に供給される電圧の極性を制御する、
    ことを特徴とする質量分析方法。
  10. 第1の電源と、
    前記第1の電源から供給される電圧によって試料をイオン化するイオン化部と、
    前記イオン化部によってイオン化された前記試料のイオンを捕捉するイオントラップ部と、
    第2の電源と、
    前記第2の電源から供給される電圧が供給され、前記イオントラップ部により捕捉されたイオンのイオン量に応じた2次電子を放出する電子放出部と、
    第1の期間において、前記イオン化部に供給される電圧および前記電子放出部に供給される電圧の極性を切り替え、切り替えた極性におけるイオンの検出量に基づいて、前記第1の期間に続く第2の期間において、前記イオン化部に供給される電圧および前記電子放出部に供給される電圧の極性を制御する制御部と、
    を有することを特徴とする質量分析装置。
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