JP6989009B2 - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、飛行時間型質量分析装置に関する。
飛行時間型質量分析計(以下、適宜TOF−MSと呼ぶ)では、パルス電圧および定電圧により生じた電場によりイオンが加速され、加速されたイオンがイオン検出器において検出されるまでの飛行時間に基づいて各イオンのm/z(質量電荷比)が測定される。上記パルス電圧や定電圧が測定条件により意図せず変化すると、飛行時間の測定精度が低下する。精密な質量分析においては、測定条件による飛行時間のばらつきを数ppm程度以下まで抑制することが求められるため、様々な原因で起こるばらつきをそれぞれ改善する必要がある。
このようなばらつきを抑制する方法として、例えば、特許文献1では、パルス電圧を印加する周期が変化した際に起こる、パルス電圧の電圧降下等による飛行時間のばらつきを、TOF−MSを構成する各電極に印加する電圧を変化させることで低減している。
国際公開第2017/068729号
フライトチューブにはTOF−MSのグランド(以下、単にグランドと呼ぶ)を基準とした定電圧が印加され、フライトチューブの内部を飛行したイオンを検出するイオン検出器にはフライトチューブに印加される定電圧を基準とした電圧が印加される。一方、イオン検出器からの検出信号は、カップリングコンデンサを介し、グランドを基準とした電圧が印加されるA/D変換器等に出力される。従って、イオン検出器から検出信号が出力される際、カップリングコンデンサに入出する電荷量に応じてフライトチューブの電圧が変動する。このフライトチューブの電圧変動により、イオンの飛行時間がばらついてしまうという問題があった。
本発明の第1の態様によると、飛行時間型質量分析装置は、フライトチューブと、前記フライトチューブに電圧を印加するフライトチューブ電源と、前記フライトチューブと前記フライトチューブ電源との間のフライトチューブ電圧部に接続されたノイズ除去回路と、を備え、前記ノイズ除去回路は、前記ノイズ除去回路の入力端からの入力電圧を反転増幅し、出力端を通じて前記フライトチューブ電圧部にフィードバックする。
本発明の第2の態様によると、第1の態様の飛行時間型質量分析装置において、前記ノイズ除去回路は、前記入力端および前記出力端のそれぞれに容量性を有する第1素子が接続されていることが好ましい。
本発明の第3の態様によると、第1または第2の態様の飛行時間型質量分析装置は、前記フライトチューブを飛行したイオンを検出するイオン検出器と、前記イオン検出器に、前記フライトチューブに印加する電圧を基準とした電圧を印加する検出器電源とを備えることが好ましい。
本発明の第4の態様によると、第3の態様の飛行時間型質量分析装置において、前記イオン検出器の出力端は、容量性を有する第2素子を介して信号処理回路に接続されていることが好ましい。
本発明によれば、イオン検出器から検出信号が出力されるときのフライトチューブの電圧変動を低減することができる。
図1は、一実施形態の飛行時間型質量分析装置の構成を示す概念図である。 図2は、飛行時間を測定するための回路の構成を示す概念図である。 図3は、ノイズ除去回路の構成を示す概念図である。 図4は、情報処理部の構成を示す概念図である。 図5(A)は、比較例1における、フライトチューブの電圧を示すグラフであり、図5(B)は、比較例2における、フライトチューブの電圧を示すグラフである。 図6は、実施例における、フライトチューブの電圧を示すグラフである。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
−第1実施形態−
図1は、本実施形態の飛行時間型質量分析装置を説明するための概念図である。飛行時間型質量分析装置1は、測定部100と、情報処理部40とを備える。測定部100は、液体クロマトグラフ10と、質量分析計20とを備える。
液体クロマトグラフ10は、移動相容器11a,11bと、送液ポンプ12a,12bと、試料導入部13と、分析カラム14とを備える。質量分析計20は、イオン化部211を備えるイオン化室21と、イオンレンズ221を備える第1真空室22aと、イオン化室21から第1真空室22aへイオンを導入する管212と、イオンガイド222を備える第2真空室22bと、第3真空室22cと、分析室30とを備える。第3真空室22cは、第1質量分離部23と、コリジョンセル24と、イオンガイド25とを備える。コリジョンセル24は、イオンガイド240とCIDガス導入口241とを備える。
分析室30は、イオン輸送電極301と、第1加速部310と、第2加速部320と、フライトチューブ330と、リフレクトロン電極340と、バックプレート350と、検出部360とを備える。第1加速部310は、押出電極311aと、引出電極311bとを備える。以下では、第1加速部310に含まれる電極(押出電極311aおよび引出電極311b)を第1加速電極311と呼び、第2加速部320に含まれる電極を第2加速電極321と呼ぶ。
なお、飛行時間型の質量分析を行うことができれば、飛行時間型質量分析装置1の各部の構成は特に限定されない。
液体クロマトグラフ(LC)10の種類は特に限定されない。移動相容器11aおよび11bは、バイアルやボトル等の液体を格納可能な容器を備え、それぞれ異なる組成の移動相を格納する。移動相容器11aおよび11bに格納されている移動相をそれぞれ移動相Aおよび移動相Bと呼ぶ。送液ポンプ12aおよび12bからそれぞれ出力された移動相Aおよび移動相Bは、流路の途中で混合され、試料導入部13へと導入される。送液ポンプ12aおよび12bは、それぞれ移動相Aおよび移動相Bの流量を変化させることにより、時間によって分析カラム14に導入される移動相の組成を変化させる。
試料導入部13は、オートサンプラー等の試料導入装置を備え、試料Sを移動相に導入する(矢印A1)。試料導入部13により導入された試料Sは、適宜不図示のガードカラムを通過して分析カラム14に導入される。
分析カラム14は、固定相を備え、導入された試料Sの各成分を、移動相と固定相とに対する当該成分の親和性の違いを利用して異なる保持時間で溶出させる。分析カラム14の種類や固定相は特に限定されない。分析カラム14から溶出された溶出試料は、質量分析計20のイオン化室21に導入される(矢印A2)。分析カラム14の溶出試料は、飛行時間型質量分析装置1のユーザー(以下、単に「ユーザー」と呼ぶ)による分注等の操作を必要とせず、オンライン制御により質量分析計20に入力されることが好ましい。
質量分析計20は、分析カラム14から導入された溶出試料に対してタンデム質量分析を行う直交加速型のTOF−MSである。イオン化された溶出試料Seの経路を、一点鎖線の矢印A3により模式的に示した。
質量分析計20のイオン化室21は、導入された溶出試料Seをイオン化する。イオン化の方法は特に限定されないが、本実施形態のように液体クロマトグラフィ/タンデム質量分析(LC/MS/MS)を行う場合にはエレクトロスプレー法(ESI)が好ましく、以下の実施形態でもESIを行うものとして説明する。イオン化部211から出射されイオン化された溶出試料Seは、イオン化室21と第1真空室22aの圧力差等により移動し、管212を通過して第1真空室22aに入射する。
第1真空室22a、第2真空室22b、第3真空室22cおよび分析室30は、この順に真空度が高くなっており、分析室30では例えば10−3Pa以下等の圧力まで排気されている。第1真空室22aに入射したイオンは、イオンレンズ221を通過して第2真空室22bに導入される。第2真空室22bに入射したイオンは、イオンガイド222を通過して第3真空室22cに導入される。第3真空室22cに導入されたイオンは、第1質量分離部23へと出射される。第1質量分離部23に入射するまでの間に、イオンレンズ221やイオンガイド222等は、通過するイオンを電磁気学的作用により収束させる。
第1質量分離部23は、四重極マスフィルタを備え、四重極マスフィルタに印加される電圧に基づく電磁気学的作用により、設定されたm/zを有するイオンをプリカーサーイオンとして選択的に通過させてコリジョンセル24に向けて出射する。
コリジョンセル24は、イオンガイド240によりイオンの移動を制御しながら、衝突誘起解離(Collision Induced Dissociation;CID)によりイオン化された溶出試料Seを解離させ、フラグメントイオンを生成する。CIDの際にイオンが衝突させられるアルゴンや窒素等を含むガス(以下、CIDガスと呼ぶ)は、コリジョンセル内で所定の圧力になるようにCIDガス導入口241から導入される(矢印A4)。生成されたフラグメントイオンを含むイオンは、イオンガイド25に向けて出射される。イオンガイド25を通過したイオンは、分析室30に入射する。
分析室30に入射したイオンは、イオン輸送電極301により移動を制御されつつイオン輸送電極301を通過し、第1加速部310に入射する。第1加速部310の押出電極311aは、検出するイオンの極性と同一の極性のパルス電圧が印加され、イオンを押出電極311aから遠ざかる向きに加速する加速電極である。第1加速部310の引出電極311bは、イオンがその内部を通過できるように格子状に形成されている。引出電極311bは、検出するイオンの極性と反対の極性のパルス電圧が印加され、押出電極311aと引出電極311bとの間に有るイオンを引出電極311bに近づくように加速する加速電極である。押出電極311aおよび引出電極311bに印加されるパルス電圧の波高の絶対値は数千V等である。押出電極311aおよび引出電極311bには、パルス電圧が印加されないときには、数十V等の電圧が適宜印加されている。第1加速部310において、押出電極311aおよび引出電極311bに印加されたパルス電圧により生じた電場により加速されたイオンは、第2加速部320に入射する。図1では、第1加速部310により加速されたイオンの経路を矢印A5で模式的に示した。
第2加速部320の第2加速電極321には、検出するイオンの極性と反対の極性の、例えば数千Vの大きさの電圧が印加される。第2加速部320を通過するイオンは、第2加速電極321に印加された電圧により生じた電場により加速され、フライトチューブ330に囲まれた空間に入射する。
フライトチューブ330は、フライトチューブ330に印加された電圧によりイオンの移動を制御し、イオンが飛行する空間を画定する。フライトチューブ330には、グランド80に接続されたフライトチューブ電源81が接続されている。フライトチューブ電源81は、検出するイオンの極性と反対の極性の、数千V等の大きさの電圧をフライトチューブ330に印加する。フライトチューブ電源81は、当該電圧を測定し、測定結果に基づいて調節するフィードバック制御により当該電圧を安定化している。
リフレクトロン電極340およびバックプレート350には、正イオン検出時にはフライトチューブ330に印加される電圧よりも高い電圧が印加され、この電圧により生じた電場によりイオンの進行方向を変化させる。進行方向が変化させられたイオンは、矢印A5により模式的に示した折り返し軌道に沿って移動し、検出部360に入射する。なお、負イオン検出時には、リフレクトロン電極340およびバックプレート350には、フライトチューブ330に印加される電圧よりも低い電圧が印加される。
検出部360は、マイクロチャンネルプレート等のイオン検出器を備え、入射したイオンに対応した二次電子を生成して増幅することにより電流信号を出力し、その電流信号を検出信号としてイオンを検出する。検出モードは正イオンを検出する正イオンモードと、負イオンを検出する負イオンモードとのいずれでもよい。イオンを検出して得られた検出信号は信号処理回路84(図2参照)によりA/D変換され、デジタル信号となって情報処理部40に入力される(矢印A6)。
(ノイズ除去回路7について)
ノイズ除去回路7は、フライトチューブ330の電圧変動を抑制する。ノイズ除去回路7は、フライトチューブ330とフライトチューブ電源81との間に接続されている。
図2は、飛行時間を測定するための回路の構成を模式的に示す図である。飛行時間型質量分析装置1は、分析室30の本体である真空容器300の外部に配置された、検出器電源82と、検出部360の出力側に配置された検出部側コンデンサ83と、検出部360から出力された検出信号を処理する信号処理回路84とを備える。
検出器電源82は、フライトチューブ330の電圧(以下、フライトチューブ電圧HV1と呼ぶ)を基準とした電圧を検出部360に印加する。検出部360に印加される電圧を検出器電圧HV2と呼ぶ。検出器電圧HV2は、フライトチューブ電圧HV1を基準に+数千V等の電圧が印加される。図2では、フライトチューブ電源81は、フライトチューブ330側が電圧が高くなるような記号で表されているが、この電源の電圧は検出するイオンの極性に応じて極性反転可能である。
検出部側コンデンサ83は、検出部360の出力端と、信号処理回路84との間に接続されているカップリングコンデンサである。信号処理回路84は、不図示のA/D変換器を備え、検出部360からの検出信号をデジタル信号に変換して情報処理部40の制御部50等に出力する。
検出部360がフライトチューブ330を飛行したイオンを検出し、パルス状等の検出信号を出力すると、検出部側コンデンサ83の電荷量が変化する。検出部360が検出器電源82を介してフライトチューブ電源81のフライトチューブ側の端子に接続されているため、この電荷量の変化により、フライトチューブ電圧HV1が変動する。フライトチューブ電圧HV1は、上述のようにフィードバック制御されているが、検出信号に伴う電圧変動に対する応答は低速でこの電圧変動を十分に低減することができない。フライトチューブ電圧HV1の電圧変動は、検出されたイオンの量が多い程大きくなる。ノイズ除去回路7は、この電圧変動を低減するためにフライトチューブ電圧HV1が印加されている配線に接続されている。
図3は、ノイズ除去回路7の回路構成を示す図である。ノイズ除去回路7は、フライトチューブ電圧HV1が印加された配線85に接続される入力端71aおよび出力端71bと、入力側コンデンサ72aと、出力側コンデンサ72bと、入力抵抗73と、フィードバック抵抗74と、増幅部75と、グランド76とを備える。配線85は、例えばフライトチューブ330とフライトチューブ電源81とを直接接続する配線であるが、特にこれに限定されない。
入力側コンデンサ72aおよび出力側コンデンサ72bは、それぞれ入力端71aおよび出力端72bに接続され、フライトチューブ電圧HV1から非直流成分を取り出して、配線85(フライトチューブ電圧部)にフィードバックするために配置されている。ノイズ除去回路7に非直流成分が入力される構成にすることにより、増幅部75に入力される電圧を低減することができる。このため、高電圧を出力するために増幅部75の構成を複雑にしたり、コストが高い等の理由で入手しづらい高電圧アンプを用いる必要が無い。
増幅部75は、オペアンプOAを備える。オペアンプOAの反転入力端子(−)は、入力抵抗73、入力側コンデンサ72aを介して入力端71aに接続されている。オペアンプOAの非反転入力端子(+)はグランド76に接続されている。オペアンプOAの出力端は、出力側コンデンサ72bに接続され、また、フィードバック抵抗74を介して反転入力端子(−)に接続されている。
このように、ノイズ除去回路7では、オペアンプOAの出力の負帰還により、入力電圧が反転増幅され逆位相に出力する構成になっている。この反転増幅のゲインは、フィードバック抵抗74の抵抗値を入力抵抗73の抵抗値で割って得られた比率に基づいて定まる。この比率が高い程、フライトチューブの電圧変動が低減されるため、この比率は2以上が好ましく、10以上がより好ましい。この比率が高すぎると、フィードバック抵抗74の抵抗値が高くなって周波数特性が低下したり、入力抵抗73の抵抗値が低くなって仮想接地への影響が出るため、10000以下が好ましい。ノイズ除去回路7は、周波数帯域に基づいて電圧成分を反転増幅するためフィルタ回路として機能する。なお、ノイズ除去回路7の周波数特性は、抵抗73や抵抗74に対して並列に接続されたコンデンサ(不図示)やオペアンプ75の発振を防ぐ(位相余裕を確保する)ためのコンデンサ(不図示)と、抵抗73や抵抗74の抵抗値とで決定されるカットオフ周波数によって制限される。従って、抵抗73や抵抗74の抵抗値および比率は、ノイズ除去回路が除去したいノイズの周波数成分に対応して選定されたコンデンサの容量値、および必要なノイズ低減の度合いに応じて適切に設定すればよい。
なお、入力側コンデンサ72aおよび出力側コンデンサ72bの静電容量、ならびに入力抵抗73およびフィードバック抵抗74の抵抗値は、電圧変動を低減したい周波数の範囲等に応じて、適宜設定される。この範囲は、第1加速電圧に印加されるパルス電圧の周波数等に基づいて設定されることが好ましい。また、入力端71aからの入力電圧を反転増幅して出力端72aにフィードバックする回路であれば、ノイズ除去回路7の回路構成は特に限定されない。例えば、入力側コンデンサ72aおよび出力側コンデンサ72bをそれぞれ並列に複数配置したり、オペアンプOAを複数配置したりすることができる。
フライトチューブの電圧変動を抑制するためにフライトチューブとグランドとの間にコンデンサを接続することが考えられる。しかし、この方法では、接続されるコンデンサの容量が大きくなり、極性の異なるイオンを検出するためフライトチューブの電圧を反転させる際に切替時間が長くなったり、この切替時間が長くならないようにフライトチューブ電源の出力電流容量を増大させる必要があった。また、フライトチューブを格納する真空容器の真空度が悪化してフライトチューブとグランドとの間で放電が発生した場合、この方法で接続されるコンデンサの容量を原因として過大なサージ電流が発生し、イオン検出器やA/D変換器等が破損するリスクが高まるという問題点があった。しかし、イオン除去回路7を用いた本実施形態の方法ではこのような問題点が生じない。
図4は、飛行時間型質量分析装置1の情報処理部40の構成を示す概念図である。情報処理部40は、入力部41と、通信部42と、記憶部43と、出力部44と、制御部50とを備える。制御部50は、装置制御部51と、解析部52と、出力制御部53とを備える。
情報処理部40は、電子計算機等の情報処理装置を備え、適宜ユーザーとのインターフェースとなる他、様々なデータに関する通信、記憶、演算等の処理を行う。情報処理部40は、測定部100の制御や、解析、表示の処理を行う処理装置となる。
なお、情報処理部40は、液体クロマトグラフ10および/または質量分析計20と一体になった一つの装置として構成してもよい。また、飛行時間型質量分析装置1が用いるデータの一部は遠隔のサーバ等に保存してもよく、飛行時間型質量分析装置1で行う演算処理の一部は遠隔のサーバ等で行ってもよい。測定部100の各部の動作の制御は、情報処理部40が行ってもよいし、各部を構成する装置がそれぞれ行ってもよい。
情報処理部40の入力部41は、マウス、キーボード、各種ボタンおよび/またはタッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部41は、測定部100が行う測定や制御部50が行う処理に必要な情報等を、ユーザーから受け付ける。
情報処理部40の通信部42は、インターネット等のネットワークを介して無線や有線の接続により通信可能な通信装置を含んで構成される。通信部42は、測定部100の測定に必要なデータを受信したり、解析部52の解析結果等の制御部50が処理したデータを送信したり、適宜必要なデータを送受信する。
情報処理部40の記憶部43は、不揮発性の記憶媒体を備える。記憶部43は、検出部360から出力された検出信号に基づく測定データ、および制御部50が処理を実行するためのプログラム等を記憶する。
情報処理部40の出力部44は、液晶モニタ等の表示装置および/またはプリンターを備える。出力部44は、出力制御部53により制御され、測定部100の測定に関する情報や、解析部52の解析結果等を、表示装置に表示したり印刷媒体に印刷して出力する。
情報処理部40の制御部50は、CPU等のプロセッサを含んで構成される。制御部50は、測定部100の制御や、測定データの解析等、記憶部43等に記憶されたプログラムを実行することにより各種処理を行う。
制御部50の装置制御部51は、入力部41を介した入力等に応じて設定された測定条件等に基づいて、測定部100の測定動作を制御する。装置制御部51は、第1加速電極311、第2加速電極321およびフライトチューブ330に印加される電圧を制御し、例えば検出するイオンの極性に応じて第2加速電極321およびフライトチューブ330に印加される電圧を反転させる。
解析部52は、測定データの解析を行う。解析部52は、検出部360から出力され、信号処理回路84でA/D変換された検出信号から、飛行時間を予め取得した較正データに基づいてm/zに変換し、検出されたイオンのm/zと検出強度とを対応させる。解析部52は、保持時間と検出強度とを対応させたマスクロマトグラムに対応するデータを作成したり、m/zと検出強度とを対応させたマススペクトルに対応するデータを作成したりする。解析部52の行う解析方法は特に限定されない。
出力制御部53は、測定部100の測定条件または、マスクロマトグラム若しくはマススペクトル等の解析部52の解析結果についての情報等を含む出力画像を作成し、出力部44に出力させる。
上述の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)本実施形態の飛行時間型質量分析装置1は、フライトチューブ330と、検出部360と、フライトチューブ330に電圧を印加するフライトチューブ電源81と、フライトチューブ330とフライトチューブ電源81との間のフライトチューブ電圧部(配線85)に接続されたノイズ除去回路7と、を備え、ノイズ除去回路7は、ノイズ除去回路7の入力端71aからの入力電圧を反転増幅し、出力端71bを通じてフライトチューブ電圧部にフィードバックする。これにより、検出部360から検出信号が出力されるときに引き起こされるフライトチューブ電圧HV1の変動を抑制することができる。また、飛行時間型質量分析装置1では、接地したコンデンサとフライトチューブ330とを接続して電圧変動を抑える場合と比較すると、配置されたコンデンサの容量による影響を小さくすることができる。このため、検出するイオンの極性を変えるためフライトチューブ330の電圧を変化させる場合に切替時間を短くすることができる。さらに、フライトチューブ330を格納する真空容器300の真空度が悪化してフライトチューブ330とグランド80との間で放電が発生しても過大なサージ電流が発生せず、イオン検出器やA/D変換器等が破損するリスクを低減できる。
なお、ここで、「フライトチューブ330とフライトチューブ電源81との間のフライトチューブ電圧部に接続された」とは、必ずしもフライトチューブ330とフライトチューブ電源81との間を直接接続する配線に接続されているのみを指すものでは無く、ノイズ除去回路7によりフライトチューブ電圧HV1が制御できればよい。
(2)本実施形態に係る飛行時間型質量分析装置1において、ノイズ除去回路7は、入力端71aおよび出力端71bのそれぞれに容量性を有する素子である入力側コンデンサ72aおよび出力側コンデンサ72bが接続されている。これにより、フライトチューブ電圧HV1から非直流成分が取り出されてノイズ除去回路7に入力されるため、高電圧を出力するために増幅部75の構成を複雑にしたり、入手しづらい高電圧アンプを用いる必要が無い。
(3)本実施形態に係る飛行時間型質量分析装置1は、検出部360に、フライトチューブ330に印加する電圧を基準とした電圧を印加する検出器電源82を備える。フライトチューブ電源と検出器電源とが分離された回路に配置されていると、異なる極性のイオンを検出するためフライトチューブ電圧を反転させるときに、タイミングのずれにより不要な信号が検出されてしまうが、上記構成ではこれを防ぐことができる。
(4)本実施形態に係る飛行時間型質量分析装置1において、検出部360の出力端は、容量性を有する素子である検出部側コンデンサ83を介して信号処理回路84に接続されている。これにより、検出部側コンデンサ83により直流電流を遮断しつつ信号成分を通過させ、信号処理回路84が効率よく信号処理を行うことができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、上述の実施形態と組み合わせることが可能である。以下の変形例において、上述の実施形態と同様の構造、機能を示す部位に関しては、同一の符号で参照し、適宜説明を省略する。
(変形例1)
上述の実施形態の飛行時間型質量分析装置1は液体クロマトグラフ‐タンデム質量分析計としたが、液体クロマトグラフを備えなくてもよく、液体クロマトグラフ以外の分離分析装置を備えてもよい。質量分析計20をタンデム質量分析計でないTOF−MSにしてもよい。また、質量分析計20を図1に示すような直交加速型以外のTOF−MSとしてもよい。さらに、質量分析計20を図1に示すようなリフレクトロン型ではなく、リニア型やマルチターン型のTOF−MSとしてもよい。
本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
以下の実施例では、TOF−MSを用い、第1加速電極に印加するパルス電圧の周波数(以下、パルス周波数と呼ぶ)を2kHz、イオン化電圧を+4kV、フライトチューブ電圧および検出器電圧の大きさをそれぞれ7kVおよび2.5kVとしてm/zが既知の標準試料を検出し、検出の際のフライトチューブ電圧の変化を測定した。
なお、本発明は、以下の実施例に示された数値、条件に限定されない。
(比較例1)
ノイズ除去回路7が無い点を除き図2と同様の回路構成を有するTOF−MSを用い、標準試料の質量分析を行った。
図5(A)は、標準試料を検出しているときのフライトチューブ電圧の変化を示すグラフである。パルス周波数(2kHz)に基づき、約500μsごとにピークPが観察された。ピークPは、検出部360からの検出信号の出力に伴うフライトチューブ電圧HV1の変動に対応する。
(比較例2)
ノイズ除去回路7を除き、フライトチューブ電源81と並列に10nFの静電容量のコンデンサを接続し、これらの点を除き図2と同様の回路構成を有するTOF−MSを用い、標準試料の質量分析を行った。
図5(B)は、標準試料を検出しているときのフライトチューブ電圧の変化を示すグラフである。検出部360からの検出信号の出力に伴うフライトチューブ電圧HV1の変動に対応するピークPの大きさは、比較例1の場合よりも減少したが、なお顕著に観察された。
(実施例1)
図2および図3と同様の回路構成を有するTOF−MSを用い、標準試料の質量分析を行った。ノイズ除去回路7では、入力端71aに複数のコンデンサを全静電容量が2nFとなるように配置し、出力端71bに複数のコンデンサを全静電容量が8nFとなるように配置し、入力抵抗73を1kΩ、フィードバック抵抗74を390kΩとした。
図6は、実施例1において、標準試料を検出しているときのフライトチューブ電圧の変化を示すグラフである。検出部360からの検出信号の出力に伴うフライトチューブ電圧HV1の変動に対応するピークPの大きさは、比較例2の場合よりもさらに減少した。
1…飛行時間型質量分析装置、7…ノイズ除去回路、10…液体クロマトグラフ、14…分析カラム、20…質量分析計、21…イオン化室、23…第1質量分離部、24…コリジョンセル、30…分析室、40…情報処理部、50…制御部、71a…入力端、71b…出力端、72a…入力側コンデンサ、72b…出力側コンデンサ、73…入力抵抗、74…フィードバック抵抗、75…増幅部、76,80…グランド、81…フライトチューブ電源、82…検出器電源、83…検出部側コンデンサ、84…信号処理回路、100…測定部、300…真空容器、310…第1加速部、320…第2加速部、330…フライトチューブ、340…リフレクトロン電極、360…検出部、OA…オペアンプ、S…試料。

Claims (4)

  1. フライトチューブと、
    前記フライトチューブに電圧を印加するフライトチューブ電源と、
    前記フライトチューブと前記フライトチューブ電源との間のフライトチューブ電圧部に接続されたノイズ除去回路と、
    を備え、
    前記ノイズ除去回路は、前記ノイズ除去回路の入力端からの入力電圧を反転増幅し、出力端を通じて前記フライトチューブ電圧部にフィードバックする飛行時間型質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置において、
    前記ノイズ除去回路は、前記入力端および前記出力端のそれぞれに容量性を有する第1素子が接続されている飛行時間型質量分析装置。
  3. 請求項1または2に記載の飛行時間型質量分析装置において、
    前記フライトチューブを飛行したイオンを検出するイオン検出器と、
    前記イオン検出器に、前記フライトチューブに印加する電圧を基準とした電圧を印加する検出器電源とを備える飛行時間型質量分析装置。
  4. 請求項3に記載の飛行時間型質量分析装置において、
    前記イオン検出器の出力端は、容量性を有する第2素子を介して信号処理回路に接続されている飛行時間型質量分析装置。
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