JP2017173578A - フォトマスク用基板のリサイクル方法、フォトマスク用基板の製造方法、フォトマスクブランクの製造方法、フォトマスクの製造方法、及びパターン転写方法 - Google Patents

フォトマスク用基板のリサイクル方法、フォトマスク用基板の製造方法、フォトマスクブランクの製造方法、フォトマスクの製造方法、及びパターン転写方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フォトマスク用基板の平坦度と平行度に関する要求仕様を満たすフォトマスク用基板のリサイクル方法を提供する。【解決手段】膜パターン除去工程と、基板板厚検査工程と、第1、第2の両主表面の表面傷欠陥検査工程と、前記両主表面の表面平坦度を算出する平坦度算出工程と、前記平坦度に基づいて局所ウェットエッチングを行うかを判断する局所ウェットエッチング選択工程と、その選択工程の結果、局所ウェットエッチングを行うと判断した前記第1主表面又は第2主表面の少なくとも一方の主表面における、少なくとも許容値を超えて相対的に凸部となっている領域に対して、局所ウェットエッチングを行う局所ウェットエッチング工程と、前記両主表面を研磨する研磨工程と、を有して、フォトマスク用基板をリサイクルする。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば液晶表示装置、FPD(Flat Panel Display)等の製造に用いられるフォトマスク用基板のリサイクル方法、フォトマスク用基板の製造方法、フォトマスクブランクの製造方法、フォトマスクの製造方法、及びパターン転写方法に関する。
近年、液晶表示装置製造用のフォトマスクは大型化が進んでいる。具体的には、一辺500mm以上の方形のものが多用されるようになり、特に最近は一辺1000mm以上の方形のものも使用されてきている。
これらのフォトマスクは、使用を繰り返すことで汚れたり、傷が生じたりして使用不可能になることがある。又、仕様変更に伴って不要になることがある。こうした場合、使用済みフォトマスクを廃棄して新たなフォトマスクを製造するよりも、使用済みフォトマスクを再利用してフォトマスクを製造(リサイクル)する方が、製造コストの低減や資源活用の観点から有効である。又、大きなサイズのフォトマスクでは、大型で高価な透明基板(ガラス基板)が用いられているが、このような透明基板を再利用することができれば、特に大きな効果が得られる。
使用済みフォトマスクの透明基板をフォトマスク用基板としてリサイクルするには、フォトマスクから膜パターンを除去するとともに、膜パターン除去後の透明基板表面の検査や研磨を通じて、透明基板がフォトマスク用基板としての品質基準を満たすようにする必要がある。使用済みフォトマスクは、その使用に起因して透明基板に傷がついていることがある。又、要求している平坦度が世代によって異なっており、現在の平坦度の仕様を満たさない場合があるからである。
このようなことから、使用済みフォトマスクを用いてフォトマスク用基板を製造(リサイクル)する試みがなされている。例えば、使用済みフォトマスクから遮光膜パターンを除去し、加工ツールとしてサンドブラストを用いて透明基板の表面を加工し、その後、再度研磨する大型フォトマスク用基板のリサイクル方法が、特許文献1に記載されている。
特開2008−151916号公報
使用済みフォトマスクをリサイクルする上での重要な課題は、小さな加工取り代という制約の下で、平坦度と平行度の要求仕様を満足するフォトマスク用基板を得ることである。
フォトマスク用基板では、板厚の仕様が決められている。リサイクルを行うときの加工取り代が大きいと、フォトマスク用基板の板厚仕様を満たさなくなることがあり、又、その板厚仕様を満たすため、リサイクルの回数が制限されることがある。
前述のように、使用済みフォトマスクのリサイクル方法として、透明基板の表面の加工にサンドブラストを用いた方法が知られている。このサンドブラストで使用する砥粒は、加工スループットを考慮して、#600から#3000の砥粒がよく用いられる。粒径が比較的大きいため、加工表面が粗面化され、加工表面に加工歪み層やクラックなどのダメージが入ることがある。このダメージを除去するために、両面研削(ラッピング)工程が必要となり、さらに、両面研削(ラッピング)工程により生じたクラックを除去するために、研磨工程の負荷が高くなりやすい。このようなことから、サンドブラストと両面研削(ラッピング)による従来の使用済みフォトマスクのリサイクル方法は、加工取り代が大きくなりがちで、且つ、平坦度と平行度の制御も難しかった。
尚、使用済みフォトマスクに形成された膜パターンは、大型フォトマスクの場合、通常、クロムを主成分とする薄膜で構成されている。クロムを主成分とする薄膜は、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸を含むクロム用エッチング液を用いて、透明基板(例えば、合成石英ガラス基板やソーダライムガラス基板)に殆どダメージを与えずに除去することができる。
本発明は、使用済みフォトマスクからフォトマスク用基板をリサイクル(再生)するに当たり、小さな加工取り代で、平坦度及び平行度の要求仕様を満たすフォトマスク用基板を、高い歩留まりで得ることができるフォトマスク用基板のリサイクル方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
透明基板の第1主表面上に転写用パターンを含む膜パターンが形成されたフォトマスクから前記膜パターンを除去する膜パターン除去工程と、
前記透明基板の板厚を測定し、測定した板厚をフォトマスク用基板の板厚仕様と対比し、要求される表面粗さを得るために必要な研磨取り代を前記測定した板厚が有しているか否かを検査する基板板厚検査工程と、
前記透明基板の前記第1主表面及び該第1主表面に対向して設けられた第2主表面の傷欠陥を検査する表面傷欠陥検査工程と、
前記第1主表面及び第2主表面の平坦度を算出する第1の表面平坦度算出工程と、
前記第1の表面平坦度算出工程によって得られた前記第1主表面又は第2主表面の平坦度に応じて、局所ウェットエッチングを行うか否かを決定する局所ウェットエッチング選択工程と、
前記局所ウェットエッチング選択工程において、局所ウェットエッチングを行うと決定した前記透明基板の前記第1主表面又は第2主表面の少なくとも一方の主表面における、少なくとも許容値を超えて相対的に凸部となっている領域に対して、局所ウェットエッチングを行う局所ウェットエッチング工程と、
前記第1主表面及び前記第2主表面を研磨する研磨工程と、
を有することを特徴とするフォトマスク用基板のリサイクル方法。
(構成2)
前記局所ウェットエッチング工程の後、前記第1主表面及び第2主表面の平坦度を算出し、要求される平坦度を満たすかを判定する第2の平坦度算出工程を有し、
前記第2の平坦度算出工程の結果、前記第1主表面又は第2主表面のいずれかの主表面が、要求される平坦度を満たさない場合には、該平坦度を満たさない主表面に対して表面研削を行う表面研削工程を有することを特徴とする構成1記載のフォトマスク用基板のリサイクル方法。
(構成3)
前記表面研削は、前記第1主表面又は第2主表面を基準プレートに載置し、前記基準プレートに接した面と反対側の前記第1主表面又は第2主表面に対して、回転砥石を接触させて表面研削を行うことを特徴とする構成2記載のフォトマスク用基板のリサイクル方法。
(構成4)
前記板厚検査工程において、要求される平坦度を得るために必要な研磨取り代を有していないとされた透明基板に対して、又は前記表面傷欠陥検査工程において、許容深さ以上の傷を有するとされた透明基板に対して、前記研磨取り代量、傷の深さに応じて前記透明基板の縮小サイズを決定する工程と、
前記縮小サイズに合わせて前記透明基板を切断し形状加工する工程と、
を有することを特徴とする構成1記載のフォトマスク用基板のリサイクル方法。
(構成5)
構成1乃至4の何れか一つに記載のフォトマスク用基板のリサイクル方法によって得られた透明基板に対して、前記第1主表面及び第2主表面の平坦度、平行度、及び欠陥を検査する検査工程を行うことを特徴とするフォトマスク用基板の製造方法。
(構成6)
構成5に記載のフォトマスク用基板の製造方法によって製造されたフォトマスク用基板の前記第1主表面上に、転写用パターンを形成するための薄膜を成膜することを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
(構成7)
構成5に記載のフォトマスク用基板の製造方法によって製造されたフォトマスク用基板の前記第1主表面上に、転写用パターンを含む膜パターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
(構成8)
構成7に記載のフォトマスクの製造方法によって製造されたフォトマスクを用い、露光光を、被転写体上に形成されているレジスト膜に照射し、現像を行うことによって、前記レジスト膜に前記転写用パターンを転写することを特徴とするパターン転写方法。
本発明に係るフォトマスク用基板のリサイクル方法によれば、膜パターン除去工程と、基板板厚検査工程と、第1主表面及び第2主表面の両主表面の表面傷欠陥検査工程と、前記両主表面の表面平坦度を算出する第1の平坦度算出工程と、前記第1の平坦度算出結果に基づいて局所ウェットエッチングを行うかを判断する局所ウェットエッチング選択工程と、その選択工程の結果、局所ウェットエッチングを行うと判断した前記第1主表面又は第2主表面の少なくとも一方の主表面における、少なくとも許容値を超えて相対的に凸部となっている領域に対して、局所ウェットエッチングを行う局所ウェットエッチング工程と、前記両主表面を研磨する研磨工程と、を有して、フォトマスク用基板をリサイクルする。ここで、局所エッチングは、機械的衝撃によるものではない化学的なメカニズムによるウェットエッチングであるため、少ない表面ダメージで平坦化を行え、加工取り代も小さくすることができる。以上のことから、小さな加工取り代で、平坦度及び平行度に関する要求仕様を満足するフォトマスク用基板を、リサイクルにより製造することができる。
本発明に係るフォトマスク用基板の製造方法によれば、構成1乃至4のいずれか一つに記載のリサイクル方法によって得られた透明基板に対して、第1主表面及び第2主表面の平坦度、平行度、及び欠陥を検査してフォトマスク用基板を製造している。これにより、平坦度と平行度に関する要求仕様を満足しているフォトマスク用基板を製造することができる。
本発明に係るフォトマスクブランクの製造方法によれば、構成5に記載のフォトマスク用基板の製造方法によって製造されたフォトマスク用基板の第1主表面に、例えば、遮光膜、又は露光光に対して略180度の位相差を生み、且つ所望の透過率を有する位相シフト膜(ハーフトーン膜)からなる転写用パターンを形成するための薄膜を形成してフォトマスクブランクを製造している。これにより、平坦度及び平行度に関する要求仕様を満足しているフォトマスクブランクを製造することができる。
本発明に係るフォトマスクの製造方法によれば、構成5に記載のフォトマスク用基板の製造方法によって製造されたフォトマスク用基板の第1主表面上に転写用パターンを含む膜パターンを形成している。これにより、平坦度及び平行度に関する要求仕様を満足しているフォトマスクを製造することができる。
本発明に係るパターン転写方法によれば、構成7に記載のフォトマスクの製造方法によって製造されたフォトマスクを用い、露光光を被転写体上に形成されているレジスト膜に照射し、現像を行うことによって、前記レジスト膜に所望の転写用パターンを転写している。平坦度及び平行度に関する要求仕様を満足しているフォトマスクを用いたパターン転写であるため、被転写体上に所望のパターン転写を行うことができる。
本発明の実施形態1におけるフォトマスク用基板リサイクルの工程を示すフローチャート図である。 両主表面の平坦度と平行度を説明するための概略断面図である。 局所ウェットエッチングを説明するための概略断面図である。 片面研磨装置の概略構成を示す要部断面図である。 局所エッチング前の透明基板の表面形状を示す三次元表面形状図である。 局所エッチング後の透明基板の表面形状を示す三次元表面形状図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。ここで、図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を簡略化ないし省略することがある。
実施形態1.
実施形態1では、フォトマスク用基板のリサイクル方法について、その工程を示すフローチャート図である図1を参照しながら説明する。
実施形態1のフォトマスク用基板のリサイクル方法は、膜パターン除去工程(ステップS1)と、基板板厚検査工程(ステップS2)と、第1主表面及び第2主表面の両主表面の表面傷欠陥検査工程(ステップS3)と、前記両主表面の表面平坦度を算出する第1の表面平坦度算出工程(ステップS4)と、前記第1の表面平坦度算出結果に基づいて局所ウェットエッチングを行うかを判断する局所ウェットエッチング選択工程(ステップS5)と、その選択工程の結果、局所ウェットエッチングを行うと判断した前記第1主表面又は第2主表面の少なくとも一方の主表面における、少なくとも許容値を超えて相対的に凸部となっている領域に対して、局所ウェットエッチングを行う局所ウェットエッチング工程(ステップS6)と、前記両主表面を研磨する研磨工程(ステップS7)を有する。
最初に、使用済みフォトマスク、例えば、縦×横×厚さが、800mm×920mm×10mmや1220mm×1400mm×13mmといった大型の使用済みフォトマスクを準備する。但し、大型のフォトマスクに限るものではなく、例えば、6025サイズのフォトマスクでも本発明を適用することができる。この使用済みフォトマスクの基板材料は、特に限定されないが、例えば、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどのガラスである。
そして、準備した使用済みフォトマスクから膜パターンを除去する(ステップS1)。フォトマスク用基板にダメージを与えないようにするため、この膜パターン除去は、フォトマスク用基板に対して十分なエッチングレート差が得られるウェットエッチング液を用いて行うことが望ましい。具体的には、膜パターンとして、クロム系の材料が用いられているときは、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸を含むクロム用エッチング液を用いるのが好ましい。又、膜パターンが、MoSi系材料からなる場合は、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素を含むエッチング液を用いるのが好ましい。
次に、基板板厚を基板板厚測定機(例えば、フラットネステスター(黒田精工(株)製))などを用いて測定し、十分な研磨取り代がある板厚か検査する(ステップS2)。その判断基準は、板厚下限の仕様に100μmを加えた板厚が目安となる。例えば、大きさが、800mm×920mm×10mmの透明基板の板厚の下限仕様が9.8mmの場合、9.9mm以上の板厚があるかを検査する。
板厚に十分な研磨取り代がある場合は、透明基板(ガラス基板)表面の傷欠陥検査(ステップS3)に進む。板厚が不十分な場合は、この透明基板から使用に耐える部分を求め、その部分から一部分を切り出してサイズダウン(縮小サイズ)したフォトマスク用基板を製造するか、この透明基板を廃棄する(ステップS8)。
傷欠陥検査(ステップS3)では、透明基板表面の傷欠陥の検査を目視検査などによって行う。この表面傷欠陥検査は第1主表面と第2主表面の両主表面に対して行う。無傷の場合(傷が見つからなかった場合)は、第1の平坦度算出工程(ステップS4)に進む。浅い傷が見つかった場合は、研磨取り代判定工程(ステップS9)に進む。深い傷が見つかった場合は、この透明基板から使用に耐える部分を求め、その部分から一部分を切り出して、サイズダウン(縮小サイズ)したフォトマスク用基板を製造するか、廃棄する(ステップS8)。ここで、浅い傷とは、例えば、40μm以下の研磨で消える傷のこととし、深い傷とは、40μm以下の研磨で消えない傷のこととすることができる。
尚、傷欠陥検査工程(ステップS3)は基板板厚検査工程(ステップS2)の前に実施しても、第1の平坦度算出工程(ステップS4)の後に実施してもよい。
第1の平坦度算出工程(ステップS4)では、まず、透明基板の第1主表面と第2主表面の両主表面の形状を表面形態情報測定装置で測定し、その後、その測定データを基にして平坦度を算出する。ここで、黒田精工(株)製フラットネステスターなど測定装置によっては、表面形態情報として、基板板厚と平坦度を一緒に求めることができる。
ここで、平坦度の定義について図2を用いて説明する。
本発明における平坦度は、第1主表面1aと第2主表面1bにおける表面形状の測定点の最大高さ(最高点)と最小高さ(最低点)の高さ差をいう。詳しく述べると、最小自乗法で算出される仮想絶対平面2a、2b(基準面=0)に対する各測定点の最大値(最高点)と最小値(最低点)の差(高さの差)をいう。基板1の主表面(例えば第1主表面1a)における平坦度の測定は、例えば、光の干渉を利用した平坦度測定装置や、基板形状検査装置などを用いて行うことができる。具体的には、これらの装置を用いて、上記第1主表面1a内の複数の測定点における仮想絶対平面2a(基準面=0)からの高さ情報を取得し、この高さ情報から最大値Lmax1と最小値Lmin1を求め、その最大値Lmax1と最小値Lmin1との差(Lmax1−Lmin1)を平坦度として算出する。同様に、第2主表面1bにおける平坦度は、Lmax2−Lmin2となる。
ここで、両主表面1a、1bの外周部の所定領域を除く中心部領域について、所定間隔(例えば、10mm間隔)で各測定点の高さ情報を測定するようにしてもよい。尚、平坦度の測定を高精度に行うためには、高さ情報を取得する測定点をなるべく多くすることが望ましい。但し、測定点をあまり多くすると、測定に要する時間がかかってしまうので、それとの兼ね合いで適宜設定すればよい。さらには、測定領域の表面形状を三次元的に測定したデータから前記高さ情報を取得するようにしてもよい。
又、平行度の定義についても説明する。本発明における平行度とは、透明基板1の一方の主表面(例えば第2主表面1b)側を基準面として、他方の主表面(例えば第1主表面1a)の面内における最大高さと最小高さの板厚差をいう。
例えば、図2を参照して説明すると、第1主表面1aと第2主表面1bが最も離れている位置での板厚がLmax3、第1主表面1aと第2主表面1bが最も近い位置での板厚がLmin3である場合、Lmax3−Lmin3が、透明基板1の平行度となる。
第1の平坦度算出工程(ステップS4)では、透明基板1における両主表面(1a、1b)の表面形態情報を取得する。例えば、第1主表面1aにおいて、最小自乗法で算出される仮想絶対平面2aに対する各測定点の高さ情報を得る。又、第2主表面1bにおいて、最小自乗法で算出される仮想絶対平面2bに対する各測定点の高さ情報を得る。透明基板1の両主表面1a、1bの表面形態情報の取得には、通常、レーザー変位計や光学干渉計が使用される。光学干渉計には、例えばフリンジ観察干渉計や位相シフト干渉計などがある。上記レーザー変位計や光学干渉計によって測定された結果は、コンピュータなどの記録媒体に保存される。なお、平坦度算出するための表面形態情報の取得は、上述の基板板厚を測定したフラットネステスターでも行うことができるので、ステップS1で透明基板1における両主表面(1a、1b)の表面形態情報を取得してもよい。
次に、両主表面1a、1bの表面形態情報から、両主表面1a、1bの平坦度を算出する。具体的には、コンピュータなどの演算処理手段によって、凹凸形状の測定結果と予め設定された仮想絶対平面2a、2bとが比較され、その差分が両主表面1a、1bの所定領域(例えば10mm角の領域)毎に算出される。
第1の表面平坦度算出工程(ステップS4)のあと、その結果に基づいて局所ウェットエッチングを行うかどうかを選択する局所ウェットエッチング選択工程(ステップS5)に進む。そこでは、基準の平坦度F1とF2を設定し、測定された透明基板1の平坦度Fと、基準の平坦度F1及びF2を比較してその後の処理を決定する。ここで、基準の平坦度F1は、透明基板1の表面研磨を行えば要求値を満たす平坦度が得られることが事前実験から確認された平坦度の値である。例えば、平坦度の要求値が7μmの場合、基準の平坦度F1として10μmが設定される。又、基準の平坦度F2は、透明基板1に対して局所ウェットエッチングと表面研磨を行えば、要求値を満たす平坦度が得られることが、事前実験から確認された平坦度の値である。例えば、平坦度の要求値が7μmの場合、基準の平坦度F2として25μmが設定される。
測定された透明基板1の平坦度Fの値が基準の平坦度F1以下の場合、研磨工程(ステップS7)へ進み、平坦度Fの値が基準の平坦度F1を超えてF2以下の場合は、局所ウェットエッチング工程(ステップS6)へ進む。そして、平坦度Fの値が基準の平坦度F2を超える場合は、研削・研磨取り代判定工程(ステップS9)へ進む。
局所ウェットエッチング工程(ステップS6)では、第1主表面1a又は第2主表面1bの少なくとも一方の主表面の、少なくとも許容値を超えて相対的に凸部となっている領域に対して、ウェットエッチング液を接触させて、局所エッチングを行う。具体的には、例えば、図3(a)に示すように、透明基板1とウェットエッチング液23間に働く界面張力を利用して、透明基板1の凸部22にウェットエッチング液23をパドル状に盛って、エッチングを行う。又は、図3(b)に示すように、ウェットエッチング液供給ノズル25とウェットエッチング液24間に働く界面張力を利用して、ウェットエッチング液供給ノズル25の先端部において、ウェットエッチング液24に凸のメニスカスを発生させる。そして、透明基板1の凸部22とウェットエッチング液24を接触させて、透明基板1を局所エッチングする。尚、この局所ウェットエッチングは、少なくとも平坦度が許容値以内になるまで行う。
局所ウェットエッチングは、化学的なエッチングであるため、透明基板表面へのダメージは小さく、その結果、加工取り代を少なくできる。
又、局所ウェットエッチングでは機械的な力を加える必要がないため、透明基板1を表面の平坦度が高い定盤(基準プレート)の上に乗せて支えるのではなく、透明基板1の外周部、或いは端部を支持して透明基板1を保持することができる。この保持によって、局所エッチングを行う面とは反対側の主表面の凹凸の影響を受けずに局所エッチングを行うことができる。このため、局所ウェットエッチングにより、平坦度の優れた加工を行うことができる。
局所ウェットエッチングを行うときの薬液(ウェットエッチング液)としては、フッ酸水溶液、KOHやNaOHなどのアルカリ水溶液、及び、りん酸などが挙げられる。エッチングレートは、例えば、20wt%濃度のフッ酸水溶液の場合、合成石英ガラスに対して約0.4μm/分である。尚、局所ウェットエッチングのエッチング量は、事前に調べたエッチングレートを基にして時間管理で制御するか、レーザー干渉計などの計測装置でモニターしながらエッチング量を制御する。
局所ウェットエッチング工程(ステップS6)を実施した後は、研磨工程(ステップS7)へ進む。
研削・研磨取り代判定工程(ステップS9)では、透明基板1上の傷と、算出された平坦度Fの値を考慮して研削や研磨の取り代を算出し、研磨が完了した状態での透明基板1の板厚が仕様を満たすか判定する。そして、透明基板1が板厚仕様を満たさないと判定した場合は、この透明基板1から一部を切り出して、サイズダウン(縮小サイズ)したフォトマスク用基板を製造するか、その透明基板1を廃棄する(ステップS8)。
一方、透明基板1が板厚仕様を満たすと判定した場合は、局所ウェットエッチング工程(ステップS10)に進む。そこでは、ステップS6の局所ウェットエッチング工程と同様の方法で、透明基板1の第1主表面1a又は第2主表面1bの少なくとも一方の主表面の、少なくとも許容値を超えて相対的に凸部22となっている領域に対して局所ウェットエッチングを行う。ここで重要なことは、第1主表面1a又は第2主表面1bの少なくとも一方については、許容値以内の平坦度にすることである。第1主表面1aと第2主表面1bの両面とも許容値を超えた平坦度である場合、この後行われる機械的手法による表面研削時に、研削面とは逆側の主表面の凹凸の影響を受けるので、高い平坦化加工を行うことが困難になる。
局所ウェットエッチング工程(ステップS10)を実施した後は、第2の表面平坦度算出工程(ステップS11)に進んで、第1の表面平坦度算出工程(ステップS3)と同様の方法で、透明基板1の第1主表面1a及び第2主表面1bの平坦度を算出する。
その結果、第1主表面1aも第2主表面1bも基準の平坦度F1を満たさない場合は、再度局所ウェットエッチング工程(ステップS10)に戻って局所ウェットエッチングを行う。この局所ウェットエッチング工程(ステップS10)と第2の表面平坦度算出工程(ステップS11)は、第1主表面1a又は第2主表面1bの少なくともどちらかの平坦度が基準の平坦度F1を満たすまで繰り返す。
第2の表面平坦度算出工程(ステップS11)において、第1主表面1a又は第2主表面1bのどちらかの平坦度が基準の平坦度F1を満たした場合は、表面研削工程(ステップS12)へ進む。又、第1主表面1aと第2主表面1bの両面とも基準の平坦度F1を満たした場合は、研磨工程(ステップS7)へ進む。
表面研削工程(ステップS12)では、第1主表面1a又は第2主表面1bのうち平坦度の高い面が表面研削装置の定盤(基準プレート)に接するようにして、透明基板1を定盤の上に乗せる。そして、平坦度の低い方のガラス主表面を表面研削する。ここで、表面研削は、回転砥石を用いると、高加工能率、低欠陥発生率で表面欠陥を除去できるという効果があって好ましい。
表面研削工程(ステップS12)の後は、第3の表面平坦度・平行度測定算出工程(ステップS13)に進む。平坦度算出方法は、第1の表面平坦度算出工程(ステップS4)と同じでよい。尚、平行度は、表面平坦度を測定したときの各測定点での高さ情報(測定データ)を活用して算出すると、効率的に算出できるため好ましい。
第3の表面平坦度・平行度測定算出により、平坦度が基準の平坦度F1以下であり、且つ、平行度が基準の平坦度F1の値以下の場合は、研磨工程(ステップS7)へ進む。平坦度が基準の平坦度F1を超える、又は、平行度が基準の平坦度F1の値を超える、或いは平坦度が基準の平坦度F1を超え、且つ平行度も基準の平坦度F1の値を超える場合は、再度表面研削工程(ステップS12)に戻って表面研削を行う。この表面研削工程(ステップS12)と第3の表面平坦度・平行度測定算出工程(ステップS13)は、表面平坦度、平行度が基準値を満たすまで繰り返す。
研磨工程(ステップS7)では、透明基板1の第1主表面1aと第2主表面1bの両面を研磨して、平坦度、平行度をより高めるとともに、表面平滑度を向上させる。ここで、この研磨は、例えば、片面研磨装置を用いて片面ずつ両面を研磨する。
図4は研磨工程で用いられる片面研磨装置の例で、同図はその概略構成を装置断面図によって示したものである。
同図の片面研磨装置では、基準面である第2主表面1bを加工する場合、研磨パッド11が載せられている研磨定盤12の上に、第2主表面1bを下向きにして、透明基板1を載せる。その状態で、第1主表面1aに対向して設けられている複数のエアーシリンダ13(加圧手段)によって、透明基板1を研磨定盤12に押さえつける。そして、エアーシリンダ13を内蔵している基板保持プレート14と、研磨定盤12を逆方向に回転させることで、第2主表面1bの全体を研磨する装置である。この片面研磨装置は、複数のエアーシリンダ13の加圧量が調整可能な加圧調整手段を備えている。尚、図4において、11aは研磨用のスラリーである。
尚、この研磨は、片面研磨装置を用いて片面ずつ研磨するのではなく、両面研磨装置を用いて両面を同時に研磨してもよい。
研磨工程(ステップS7)は、平坦度や平行度の要求値などに応じて、1段階研磨から複数段階研磨まで選択される。複数段階の研磨では、最終研磨を透明基板表面の平滑化のために用い、それ以前の研磨で平坦度や平行度を高めるのが好ましい。そして、平坦度や平行度を高めるために、途中段階で表面形態情報を取得し、その情報を研磨条件にフィードバックすることが好ましい。
研磨工程(ステップS7)の完了により、フォトマスク用基板はリサイクルされる。
実施形態2.
実施形態2では、フォトマスク用基板の製造方法について説明する。
実施の形態1のリサイクル方法によって得られた透明基板1(ガラス基板)の第1主表面1a及び第2主表面1bの平坦度と平行度を、フラットネステスターなどを用いて測定するとともに、欠陥検査を行う(図1のステップS14)。そして、平坦度、平行度、及び欠陥が、要求仕様を満たすものをフォトマスク用基板とする。平坦度、平行度、及び欠陥の少なくともいずれか1つが要求仕様を満たさない場合は、満たさなかった主表面を再度研磨し、洗浄を行った後、再び平坦度、平行度の測定と欠陥検査を行う。以上の工程によって、フォトマスク用基板を製造する。この製造方法により、平坦度、平行度、及び欠陥に関する要求仕様を満足しているフォトマスク用基板を製造することができる。
実施形態3.
実施の形態3では、フォトマスクブランクの製造方法について説明する。
実施の形態2で製造したフォトマスク用基板上にパターン形成用薄膜を形成する。
このパターン形成用薄膜としては、マスクの種別、すなわち、バイナリマスク(フォトマスク用基板上に遮光膜パターンが形成された通常のフォトマスク)、ハーフトーン型位相シフトマスクなど毎に適したものを用いる。パターン形成用薄膜の形成法としては、スパッタリング法が好ましく用いられるが、スパッタリング法に限定されるものではない。
例えば、バイナリマスクに使用されるフォトマスクブランクでは、パターン形成用薄膜としては、主に、Cr、CrN、CrC、CrCNなどCrを主成分とする材料を好んで用いることができる。その薄膜の膜厚は、露光光を遮光する、光学濃度ODが2.0以上、好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.0以上となる膜厚に設定する。
また、ハーフトーン型位相シフトマスクに使用されるフォトマスクブランク(位相シフトマスクブランク)の場合は、パターン形成用薄膜を、露光光に対して所定の透過率と位相差を得るための位相シフト膜とする。この位相シフト膜は、露光光に対して略180°(例えば180°±10°)の位相差を生じさせる機能と、露光光の一部を透過させる機能を備える膜である。露光光の透過率は、パターン転写用途に応じて、1%以上25%以下、通常は4%以上12%以下の所定の値に設定される。位相シフト膜の材料としては、クロム酸化炭化物(CrOC)、クロム酸化窒化物(CrON)、クロム酸化炭化窒化物(CrOCN)、クロム窒化物(CrN)などのクロム化合物の材料、又はMoSiなどのモリブデンとケイ素の化合物を主成分としたモリブデンシリサイドに酸素や窒素などを含有したモリブデンシリサイド酸化物(MoSiO)、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)などの材料を好んで用いることができる。
ここで、位相シフト膜としては、基板側から位相シフト層、メタル層、反射低減層を有する積層構造とすることが好ましい。ここで、位相シフト層は、主に露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能を有するもので、クロムを用いた材料としては、クロム(Cr)と酸素(O)及び窒素(N)のうちの少なくとも一種を含むクロム化合物から形成される。上述の位相シフト層と後述する反射低減層との間に形成され、露光光に対する透過率を調整する機能を有するとともに、反射低減層と組み合わさって、位相シフト膜側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を有する。メタル層がクロムを用いた材料とする場合は、クロム(Cr)、またはクロム(Cr)と、炭素(C)及び窒素(N)の内の少なくとも一種とを含むクロム化合物から形成される。反射低減層は、位相シフト膜側より入射される光に対する反射率を低減させる機能を有する。反射低減層がクロムを用いた材料とする場合は、クロム(Cr)と酸素(O)とを含むクロム化合物から形成される。また、反射低減層は、クロム(Cr)と酸素(O)とを含み、さらに、窒素(N)、炭素(C)及びフッ素(F)のうちの少なくとも一種を含むクロム化合物であっても良い。
また、ハーフトーン型位相シフトマスクに使用されるフォトマスクブランク(位相シフトマスクブランク)の場合、位相シフト膜の他に、遮光膜を形成しても構わない。
また、フォトマスクブランクとして、パターン形成用薄膜をパターニングするためのマスクとなるエッチングマスク膜などを形成しても構わない。
上述のようにして、フォトマスク用基板上にパターン形成用薄膜を形成して、フォトマスクブランクとする。又は、このパターン形成用薄膜の上にさらにレジスト膜を形成したものをフォトマスクブランクとする。ここで、レジスト膜は、ポジ型フォトレジスト材料或いはネガ型フォトレジスト材料により構成され、例えば、スリットコータやスピンコータ等を用いて形成する。
実施の形態3によるフォトマスクブランクの製造方法によれば、実施の形態2によるフォトマスク用基板の製造方法によって製造されたフォトマスク用基板の第1主表面1aにパターン形成用薄膜である遮光膜を形成して、フォトマスクブランクを製造している。又は、フォトマスク用基板の第1主表面1aに露光光に対して略180度の位相差を生み、且つ所望の透過率を有するハーフトーン型位相シフト膜からなるパターン形成用薄膜である位相シフト膜を形成してフォトマスクブランク(位相シフトマスクブランク)を製造している。これにより、平坦度及び平行度に関する要求仕様を満足しているフォトマスクブランクを製造することができる。
実施形態4.
実施形態4では、フォトマスクの製造方法について説明する。
まず、実施の形態3で製造したフォトマスクブランクを準備する。このとき、そのフォトマスクブランクにレジスト膜が形成されていない場合は、フォトマスクブランク上にレジスト膜を形成する。ここで、レジスト膜は、ポジ型フォトレジスト材料、又はネガ型フォトレジスト材料により構成され、例えば、スリットコータやスピンコータ等を用いて形成する。
続いて、レジスト膜に対して、レーザー描画機等を用いて所望のパターンを描画露光し、スプレー方式等の手法により現像を行って、レジスト膜パターンを形成する。
そして、形成したレジスト膜パターンをマスクとして、転写パターン形成用薄膜をエッチングして膜パターンを形成する。転写パターン形成用薄膜のエッチングは、例えば、パターン形成用薄膜がCr系材料からなる場合は、硝酸セリウム第二アンモニウムと過塩素酸とを含むクロム用エッチング液を用いる。又、パターン形成用薄膜がMoSi系材料からなる場合は、フッ酸水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液を用いる。
その後、剥離液等を用いてレジスト膜パターンを除去し、フォトマスクを製造する。尚、製造した膜パターンの上面は、ペリクルで覆うことが好ましい。
実施の形態4によるフォトマスクの製造方法によれば、実施の形態2によるフォトマスク用基板の製造方法によって製造されたフォトマスク用基板の第1主表面1a上に転写用パターンを含む膜パターンを形成している。これにより、平坦度及び平行度に関する要求仕様を満足しているフォトマスクを製造することができる。
実施形態5.
実施形態5では、パターン転写方法について説明する。
実施の形態4で製造したフォトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、レジスト膜が形成された被転写試料に対してパターン露光を行う。そして、この露光済レジスト膜を現像することによって、被転写試料上にレジスト膜パターンを形成する。露光光は特に限定されない。例えば、波長365nmのi線、405nmのh線、及び436nmのg線を含む波長300nm以上500nm以下の多波長光、波長436nmの単色光、波長365nmの紫外線光、波長248nmのエキシマレーザー光等を用いることができる。
実施の形態5で製造したフォトマスクは、平坦度及び平行度に関する要求仕様を満足しているフォトマスクであるため、被転写試料上に所望のパターン転写を行うことができる。
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明によるフォトマスク用基板のリサイクル方法を活用して、遮光部、透光部、及び半透光部を有し、被転写体上に膜厚が段階的又は連続的に異なるレジスト膜パターンを形成する階調マスクとしてのフォトマスクを製造する場合についても、本発明は好適に適用可能である。
<実施例1>
以下、実施例1では、フォトマスク用基板のリサイクル方法、及びフォトマスク用基板の製造方法について説明する。
<<膜パターン除去工程(ステップS1)>>
最初に、800mm×920mmの8092サイズの合成石英ガラスからなる透明基板1上にクロム系の材料からなる遮光膜パターンが形成された使用済みのフォトマスクを準備した。
次に、遮光膜パターンを、硝酸第二セリウムアンモニウム及び過塩素酸と純水を含むクロム用エッチング液にて除去し、透明基板1を得た。
<<基板板厚検査工程(ステップS2)>>
遮光膜パターンをクロム用エッチング液で除去した後、洗浄処理した透明基板1の両主表面である第1主表面1a(表面)と第2主表面1b(裏面)をフラットネステスター(黒田精工(株)製)にて測定して表面形態情報を取得した。
この表面形態情報は、両主表面の凹凸を示す情報であり、両主表面の外周5mmを除く領域を10mm間隔で測定した、仮想絶対平面に対する両主表面の各測定点の高さ情報である。
得られた表面形態情報を基に、透明基板1の板厚を、その板厚のバラツキを含めて算出した。
8092サイズのフォトマスク用基板の板厚仕様は、10mm±0.2mmである。板厚仕様の下限値(9.8mm)と、その後に行われる研磨工程での研磨取り代を考慮し、この透明基板1の最小板厚が9.9mm以上を有しているかを検査した。
検査の結果、最小板厚は9.9mmを超えており、要求される表面粗さを得るために必要な研磨取り代を有していること確認した。
<<表面傷欠陥検査工程(ステップS3)>>
その後、透明基板1の両主表面における傷の有無の検査を、目視検査により行なった。経験的に深さ20μm以上の傷は、目視検査により検出(確認)することができる。得られた透明基板1を検査したところ、両主表面には、目視検査で検出できる傷は、確認できなかった。
<<表面平坦度算出工程(ステップS4)>>
上記得られた表面形態情報を基に両主表面の平坦度を算出した。ここで平坦度は、実施の形態1で説明したように、両主表面における、各測定点の最大値(最高点)と最小値(最低点)の差(高さの差)をいう。より詳しく述べると、両主表面から最小自乗法で算出される仮想絶対平面(基準面=0)に対する、各測定点の最大値(最高点)と最小値(最低点)の差(高さの差)をいう。
両主表面の平坦度を算出した結果、第1主表面1a(表面)は22.5μm、第2主表面1b(裏面)は8.5μmであった。
<<局所ウェットエッチング選択工程(ステップS5))
ここでは、局所ウェットエッチングの必要性を判断した。
事前の評価により、仕上がり平坦度7μm以下のフォトマスク用基板を得るための基準の平坦度F1を10μm、基準の平坦度F2を30μmと定めている。この透明基板1の平坦度は、前述のように、第1主表面1aが22.5μm、第2主表面1bが8.5μmである。第1主表面の平坦度は、基準の平坦度F1とF2の間にあり、第2主表面の平坦度は、基準の平坦度F1以下であることから、第1主表面に対して局所ウェットエッチングを行うことにした。
<<局所ウェットエッチング工程(ステップS6))
次に、先に取得した両主表面の表面形態情報(位置情報と基準面に対する高さ情報)を基に、少なくとも許容値を超えて相対的に凸部22となっている領域に対して、フッ酸による局所ウェットエッチングを行った。ここで、フッ酸濃度と透明基板1に対するウェットエッチングによるエッチング量(エッチング時間、エッチング量、温度)との関係を予め求め、その結果を反映させて局所ウェットエッチングのエッチング条件を決定した。
透明基板1への局所ウェットエッチングは、位置情報が投影されたプレート上に透明基板1を載置し、位置情報を参考に凸部22に対応するサイズのスポンジを用意して、それにフッ酸を含有させた上で、そのスポンジを透明基板1の主表面に接触させて行った。尚、使用したフッ酸は、20wt%濃度のものを使用した。
その結果、第1主表面1a(表面)の平坦度は5.4μmとなった。局所ウェットエッチング処理を施さいない第2主表面1b(裏面)側の平坦度は変わらず、8.5μmである。局所ウェットエッチング前後の平坦度を測定した結果を、図5と図6に示す。図6からわかるように、局所ウェットエッチングにより凸部22の高さが低下し、平坦度は22.5μmから5.4μmに改善されていることが確認できる。
尚、局所ウェットエッチングによる表面荒れは確認されなかった。
局所ウェットエッチングは、研磨取り代を抑えつつ、その後に行われる研磨工程の負荷を低減することができる。
<<研磨工程(ステップS7)>>
ここでの研磨工程(ステップS7)は、第1研磨工程、研磨後表面形態情報取得工程、研磨後平坦度算出工程、第2研磨工程、及び第3研磨工程からなる。
<<<第1研磨工程>>>
第1研磨工程では、目視で確認が困難な微小傷を消すことを目的に、透明基板1の第1主表面1aと第2主表面1bの両主表面を、両面研磨装置を用いて研磨した。ここで、研磨条件は下記の通りとした。
研磨条件:
研磨液: 酸化セリウム(平均粒径:1μm)砥粒に水を加えた遊離砥粒
研磨布: 硬質ポリシャ
上定盤回転数:1〜30rpm(両面研磨装置上面から見て時計回りに回転)
下定盤回転数:1〜30rpm(両面研磨装置上面から見て反時計回りに回転)
圧力: 80〜100g/cm
第1研磨工程が終了したのち、低濃度のアルカリ水溶液を用いて、透明基板1を薬液洗浄し、その後、透明基板1を純水洗浄した。
<<<研磨後表面形態情報取得工程>>>
研磨後表面形態情報取得工程では、第1研磨工程後に薬液洗浄と純水洗浄が行われた透明基板1の第1主表面1aと第2主表面1bに対して、表面形態情報を取得した。
この表面形態情報は、第1主表面1aと第2主表面1bの両主表面の凹凸を示す情報であり、具体的には、第1主表面1a及び第2主表面1bの外周5mmを除く領域を、10mm間隔で測定した、仮想絶対平面に対する各測定点の高さ情報である。
尚、表面形態情報の取得に用いる測定器としては、黒田精工(株)製のフラットネステスターを用いた。
<<<研磨後平坦度算出工程>>>
研磨後平坦度算出工程では、コンピュータを用いて、研磨後表面形態情報取得工程で得られた第1主表面1aと第2主表面1bの両主表面の表面形態情報から、第1主表面1aと第2主表面1bの平坦度を算出するとともに、透明基板1の平行度も算出した。
その結果、第1主表面1aの平坦度は6.1μm、第2主表面1bの平坦度は9.4μm、そして透明基板1の平行度は10.8μmであった。
<<<第2研磨工程>>>
第2研磨工程では、第2主表面1bの平坦度が7μm以下で、且つ透明基板1の平行度が7μm以下になるように、第2主表面1bの面内で加工量の異なる片面研磨装置の加工条件を決定し、第2主表面1bに対して片面研磨を実施した。
第2研磨工程で、図4に示した片面研磨装置を用いて、第2主表面1b(裏面)を研磨した。片面研磨装置として、80個のエアーシリンダ13を8×10(合計80個)で2次元配置したものを用いた。
この研磨の条件は、下記の通りである。
研磨条件:
研磨液:酸化セリウム(平均粒径:1μm)砥粒に水を加えた遊離砥粒
研磨布:軟質ポリシャ
基板保持プレートの回転数:3〜20rpm(基板保持プレートの上面から見て反時計回りに回転)
研磨定盤12の回転数:3〜20rpm(基板保持プレートの上面から見て時計回りに回転)
第2研磨工程が終了したのち、低濃度のアルカリ水溶液を用いて、透明基板1を薬液洗浄し、その後、透明基板1を純水洗浄した。
<<<第3研磨工程>>>
第3研磨工程(精密研磨工程)では、第1主表面1aと第2主表面1bの両主表面の平滑度を高める目的で、透明基板1の両面を、両面研磨装置を用いて研磨した。その研磨条件は、下記の通りである。
研磨条件:
研磨液:コロイダルシリカ(平均粒径:50〜80nm)砥粒に水を加えた遊離砥粒
研磨布: 軟質ポリシャ
上定盤回転数:1〜30rpm(両面研磨装置上面から見て時計回りに回転)
下定盤回転数:1〜30rpm(両面研磨装置上面から見て反時計回りに回転)
圧力: 80〜100g/cm
第3研磨工程が終了したのち、透明基板1を、低濃度のアルカリ水溶液を用いて薬液洗浄し、その後、純水洗浄した。
<<表面平坦度・平行度、欠陥検査(ステップS14)>>
第3研磨工程後に薬液洗浄と純水洗浄が行われた後の透明基板1に対して、両主表面の表面形態情報を取得した。そして、得られた表面形態情報から両主表面の平坦度を算出するとともに、平行度を算出した。
その結果、第1主表面1aの平坦度が6.1μm、第2主表面1bの平坦度が5.8μm、平行度が6.7μmであった。又、透明基板1の両主表面の欠陥を欠陥検査装置(パルステック工業株式会社製)により検査したところ、欠陥は検出されなかった。
得られた透明基板1は、両主表面の平坦度、及び平行度が共に7μm以下であるため、高精細なパターンを形成するためのフォトマスクなどの製造に適するフォトマスク用基板の仕様を満たしていた。
次に、上記説明したフォトマスク用基板のリサイクル方法、フォトマスク用基板の製造方法による製造歩留まりを評価した。
使用済みのフォトマスクを準備し、その中から表面傷欠陥検査の目視検査により傷が確認されなかった50枚の透明基板1を選び出して、上記方法によって、フォトマスク用基板を作製した。
その結果、両主表面の平坦度と平行度が共に7μm以下のフォトマスク用基板は、50枚中50枚得られ、その製造歩留まりは100%であった。
<実施例2>
実施例2では、第2のフォトマスク用基板のリサイクル方法、及びフォトマスク用基板の製造方法について説明する。
上述の実施例1とは別の8092サイズの使用済みフォトマスクを準備し、実施例1と同様にして、膜パターンの除去と、基板板厚検査を行った。その結果、基板板厚は9.9mmを超えていた。次に、表面傷欠陥検査として目視検査を行い、目視で確認される傷が認められなかった透明基板1を選別した。その後、実施例1と同様にして、表面形態情報を基に両主表面の平坦度を算出した。
その結果、第1主表面1aは38μm、第2主表面1bは45μmであり、両主表面の平坦度は、基準の平坦度F2の30μmを超えていた。
<<研削・研磨取り代判定工程(ステップS9)>>
得られた透明基板1の平坦度が基準の平坦度F2である30μmを超えていたので、平坦度を整えるための表面研削が必要となる。表面研削による加工取り代、局所ウェットエッチングによる平坦度調整のためのエッチング量、及び研磨工程による研磨取り代と、8092サイズの板厚仕様の下限値とを比較し、表面研削、局所ウェットエッチング及び研磨工程を実施しても十分な板厚を有していることを確認した。
<<局所ウェットエッチング工程(ステップS10)>>
次に、表面研削工程で、表面研削装置の定盤に載置される透明基板1主表面の一方の面(例えば、第2主表面1b(裏面))について、先に取得した第2主表面1bの表面形態情報を基に、少なくとも許容値を超えて相対的に凸部22となっている領域に対して、フッ酸による局所ウェットエッチングを行い、実施例1と同様にして、平坦度の調整を行った。
<<第2の表面平坦度算出工程(ステップS11)>>
局所ウェットエッチングにより平坦度の調整を行った第2主表面1b(裏面)の平坦度を測定、算出したところ、その平坦度は、基準の平坦度F1の10μmを下回る8.6μmと良好な値であった。
<<表面研削工程(ステップS12)>>
次に、局所ウェットエッチングにより平坦度調整を行った第2主表面1b(裏面)が、表面研削装置(岡本工作機械社製)の定盤上に接するように透明基板1を載置して、それとは反対側の面(第1主表面1a(表面))に対して表面研削を実施した。ここで、この表面研削では、#2000の砥石を使用した。
このとき、一般的な表面研削機は、その定盤に設置した被加工物をその回転砥石で研削するが、その被加工物は、定盤と砥石間の隙間に倣った形状となる。一方、透明基板1(合成石英ガラス基板)は、硬いとはいえ定盤上に設置するとその形状は変化し、定盤上に設置した面は定盤に倣った形状となる。つまり、定盤が平らであれば、平坦度が悪い透明基板1でも、その定盤に設置した面は平らとなる。一方、定盤と接触していない面、つまり研削される面は、定盤側で変化した分、形状が変化する。従って、定盤側に設置した面の平坦度が悪い場合、その平坦度は研削後、研削面に反映される形となり、板厚バラツキは改善されるものの、平坦度を改善することは困難になる。
実施例2では、定盤に接する面(第2主表面1b)の平坦度を、局所ウェットエッチングにより、8.6μmという良好な値にしているため、第1主表面1aに対して高精度の表面研削を行うことができる。
<<第3の主表面平坦度・平行度算出工程(ステップS13)>>
表面研削工程により得られた透明基板1の両主表面について、実施例1と同様にフラットネステスターにて測定して表面形態情報を取得し、両主表面の平坦度、及び平行度を算出した。
その結果、両主表面の平坦度は10μm以下、平行度は20μm以下であり、その後に行われる研磨工程により、両主表面の平坦度及び平行度を7μm以下に調整することが可能と判断した。
<<研磨工程(ステップS7)>>
研磨工程(ステップS7)以降の工程は、実施例1と同様の工程を経て、フォトマスク用基板を作製した。
作製したフォトマスク用基板は、両主表面の平坦度が7μm以下、平行度が7μm以下であった。
実施例1と同様に使用済みのフォトマスクを準備し、その中から表面傷欠陥検査の目視検査により傷が確認されなかった50枚の透明基板1を選び出して、フォトマスク用基板を作製した。その結果、両主表面の平坦度、及び平行度が共に7μm以下のフォトマスク用基板は、50枚中50枚であり、製造歩留まりは100%であった。
<実施例3>
この実施例3では、実施例1によって得られたフォトマスク用基板を用いて、以下の方法により、フォトマスクブランクである位相シフトマスクブランクを製造した。
まず、上記実施例1で得られたフォトマスク用基板(合成石英ガラス基板)の第1主表面1aを、スパッタリング装置内に設置されたスパッタターゲット面と対向するようにして、セットした。そして、スパッタリング法によって、フォトマスク用基板の第1主表面1a上に、位相シフト膜を成膜した。
具体的には、まず、クロムターゲットが配置されているスパッタリング装置のスパッタリング室内に、Arガス、Nガス及びCOガスからなる混合ガスを導入し、反応性スパッタリングによって、CrOCNからなる膜厚89nmの位相シフト層を成膜した。ここで、この混合ガスを構成する各成分の流量は、Arが35sccm、Nが35sccm、そしてCOが14.5sccmである。
次に、クロムターゲットが配置されているスパッタリング室内に、ArガスとCHガスとの混合ガスを導入し、反応性スパッタリングによって、CrCからなる膜厚10nmのメタル層を成膜した。ここで、この混合ガスは、Arガス中に8%の濃度のCHガスが含まれている混合ガスである。
最後に、クロムターゲットが配置されているスパッタリング室内に、Arガス、Nガス及びCOガスからなる混合ガスを導入し、反応性スパッタリングによって、CrOCNからなる膜厚30nmの反射低減層を成膜した。ここで、この混合ガスを構成する各成分の流量は、Arが35sccm、Nが35sccm、そしてCOが18.2sccmである。
これにより、基板上に、膜厚89nmのCrOCNからなる位相シフト層と、膜厚10nmのCrCからなるメタル層と、膜厚30nmのCrOCNからなる反射低減層からなる位相シフト膜が形成された位相シフトマスクブランクを得た。
上記のように形成された位相シフト膜は、位相シフト層とメタル層と反射低減層との3層構造により、365nmの光に対する透過率として5.98%、位相差として178.66°を有していた。ここで、透過率と位相差は、レーザーテック株式会社製のMPM−100(商品名)を用いて測定した。
又、得られた位相シフトマスクブランクの主表面の平坦度は、実施例1によって得られたマスクブランク用基板の主表面の平坦度に依存し、その値は7μm以下であった。
又、得られた位相シフトマスクブランクの平行度も実施例1によって得られたマスクブランク用基板平行度に依存し、その値は7μm以下であった。
上記の工程によって製造された位相シフトマスクブランクの平坦度、平行度は両方とも7μm以下であるため、高精細な位相シフトマスクなどの製造に適している。
特に、2.0μm以下(例えば、1.2μm〜2.0μm)のラインアンドスペースパターンや、2.0μm以下(例えば、1.5〜2.0μm)のホールパターンが形成される位相シフトマスクの製造に適している。
この位相シフトマスクは、解像度で500ppiを超える(例えば、600ppi以上)高解像度の表示パネル(液晶パネルや有機ELパネル)の製造に適用される。
<実施例4>
この実施例4では、実施例3で製造された位相シフトマスクブランクを用いて、以下の方法により、フォトマスク(位相シフトマスク)を製造した。
まず、実施例3で製造された位相シフトマスクブランクの位相シフト膜上に、ノボラック系のポジ型のフォトレジストからなるレジスト膜を形成した。その後、レーザー描画機により、波長413nmのレーザー光を用いて、そのレジスト膜に所定のパターンを描画した。その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、その位相シフト膜上にレジスト膜パターンを形成した。
その後、レジスト膜パターンをマスクにして、位相シフト膜をエッチングすることで、位相シフト膜パターンを形成した。
位相シフト膜を構成する位相シフト層、メタル層、及び反射低減層の各々は、クロム(Cr)を含むクロム系材料から形成される。このため、位相シフト層、メタル層、及び反射低減層は、同じエッチング溶液によってエッチングすることができる。
ここでは、位相シフト膜をエッチングするエッチング溶液として、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むクロム用エッチング液を用いた。
その後、レジスト剥離液を用いて、レジスト膜パターンを剥離することで、露光用マスクを得た。
平坦性の高い基板上でパターン描画が行われるため、位相シフト膜パターンのCD(Critical Dimension)ばらつきは、70nmと良好であった。ここで、CDばらつきは、目標とするラインアンドスペースパターン(ラインパターンの幅:2.0μm、スペースパターンの幅:2.0μm)からのずれ幅である。位相シフト膜パターンのCDばらつきは、セイコーインスツルメンツナノテクノロジー(株)製のSIR8000を用いて測定した。
上述した位相シフトマスクは、要求基準を満たす平坦度と平行度を備え、且つ優れたパターン断面形状及び優れたCD均一性を有しているので、上述した位相シフトマスクを用いて、高解像度、高精細の表示装置(有機ELパネル)を製造することができると言える。
<実施例5>
この実施例5では、実施例4で製造されたフォトマスクを用いて、以下の方法により、被転写試料に対してパターン転写を行った。尚、ここでの被転写試料は、表示装置の基板である。
実施例4で製造したフォトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置の基板上にレジスト膜が形成された試料に対してパターン露光を行った。そして、この露光済レジスト膜を現像することによって、表示装置基板上にレジスト膜パターンを形成した。露光光としては、波長365nmのi線、405nmのh線、及び436nmのg線を含む波長300nm以上500nm以下の光を用いた。
実施例4で製造したフォトマスクは、フォトマスク主表面の平坦度が0.7μm以下、平行度も0.7μm以下であり、上述のようにフォトマスク上にあるパターンのCDばらつきも少ないこともあり、表示装置基板上に精度の高いレジスト膜パターンを転写形成することができた。
このレジスト膜パターンをエッチングにより被加工膜に転写し、又、絶縁膜、導電膜の形成、ドーパントの導入、及びアニールなど種々の工程を経ることで、所望の特性を有する高精細な表示装置を高い歩留まりで製造することができた。
<比較例1>
比較例1は、実施例1の局所ウェットエッチング工程に代えて、サンドブラスト法とラッピングを用いてフォトマスク用基板を作製した例である。
最初に、上述の実施例1とは別の8092サイズの使用済みフォトマスクを準備し、実施例1と同様にして、膜パターンを除去と基板板厚検査を行った。その結果、基板板厚は9.9mmを超えていた。次に、表面傷欠陥検査として目視検査を行い、目視で確認される傷が認められなかった透明基板を選び出した。その後、実施例1と同様にして、主表面の平坦度を算出した結果、第1主表面(表面)は25.5μm、第2主表面(裏面)は10.4μmであった。
次に、平坦度が25μm超の第1主表面に対して、#800の酸化ケイ素砥粒を使用したサンドブラストを実施して、平坦度の調整を行った。ここで、サンドブラストの条件を下記に示す。
砥粒: #800(酸化ケイ素)
エア圧力: 0.1MPa
掃引速度: 10〜30mm/秒
サンドブラスト加工した透明基板の主表面は、加工による加工歪み層やクラックが生じるため、両面研削(ラッピング)を実施した。この研削(ラッピング)は両面研削装置を用いて行ったが、その研削条件は下記の通りとした。
砥粒: #1000(酸化アルミニウム)
上定盤回転数:1〜30rpm(両面研磨装置上面から見て時計回りに回転)
下定盤回転数:1〜30rpm(両面研磨装置上面から見て反時計回りに回転)
圧力: 100〜150g/cm
両面研削(ラッピング)工程が終了したのち、低濃度のアルカリ水溶液を用いて、透明基板を薬液洗浄し、その後、透明基板を純水洗浄した。
その後の研磨工程以降の工程は、実施例1と同様にして、フォトマスク用基板を作製した。その結果、第1主表面の平坦度は11.5μm、第2主表面の平坦度は9.5μm、そして透明基板の平行度は14.5μmであった。両主表面の平坦度及び平行度が共に7μm以下のフォトマスク用基板を得ることはできなかった。
これは、サンドブラスト加工により生じた加工歪み層やクラックを除去するために両面研削(ラッピング)工程が必要となり、さらに、両面研削(ラッピング)工程により生じたクラックを除去するために研磨工程の負荷が高くなり、両主表面の平坦度、平行度の制御が十分にできなかったことが理由と考える。
比較例1による方法の製造歩留まりを調べるため、使用済みのフォトマスクを準備した。そして、その中から目視検査により表面に傷が確認されなかった50枚の透明基板を選び出して、上述の比較例1の方法でフォトマスク用基板を作製した。
その結果、両主表面の平坦度、及び平行度が共に7μm以下のフォトマスク用基板は、50枚中14枚であり、この仕様を満足するフォトマスク用基板の製造歩留まりは28%となった。
この低い歩留まりの原因の1つは、両面研削(ラッピング)により生じたクラックを除去するために、研磨工程の負荷により平坦度、平行度の制御が十分にできなかったことである。又、サンドブラストと両面研削(ラッピング)による加工取り代、及び研磨工程負荷による研磨取り代が、上記実施例と比較して多くなることにより、8092サイズの板厚仕様から逸脱したことも、製造歩留まりが低下した理由である。
1…透明基板、1a…第1主表面、1b…第2主表面、2a、2b…仮想絶対平面、11…研磨パッド、11a…研磨用スラリー、12…研磨定盤、13…エアーシリンダ(加圧手段)、14…基板保持プレート、22…凸部、23、24…ウェットエッチング液、25…ウェットエッチング液供給ノズル。

Claims (8)

  1. 透明基板の第1主表面上に転写用パターンを含む膜パターンが形成されたフォトマスクから前記膜パターンを除去する膜パターン除去工程と、
    前記透明基板の板厚を測定し、測定した板厚をフォトマスク用基板の板厚仕様と対比し、要求される表面粗さを得るために必要な研磨取り代を前記測定した板厚が有しているか否かを検査する基板板厚検査工程と、
    前記透明基板の前記第1主表面及び該第1主表面に対向して設けられた第2主表面の傷欠陥を検査する表面傷欠陥検査工程と、
    前記第1主表面及び第2主表面の平坦度を算出する第1の表面平坦度算出工程と、
    前記第1の表面平坦度算出工程によって得られた前記第1主表面又は第2主表面の平坦度に応じて、局所ウェットエッチングを行うか否かを決定する局所ウェットエッチング選択工程と、
    前記局所ウェットエッチング選択工程において、局所ウェットエッチングを行うと決定した前記透明基板の前記第1主表面又は第2主表面の少なくとも一方の主表面における、少なくとも許容値を超えて相対的に凸部となっている領域に対して、局所ウェットエッチングを行う局所ウェットエッチング工程と、
    前記第1主表面及び前記第2主表面を研磨する研磨工程と、
    を有することを特徴とするフォトマスク用基板のリサイクル方法。
  2. 前記局所ウェットエッチング工程の後、前記第1主表面及び第2主表面の平坦度を算出し、要求される平坦度を満たすかを判定する第2の平坦度算出工程を有し、
    前記第2の平坦度算出工程の結果、前記第1主表面又は第2主表面のいずれかの主表面が、要求される平坦度を満たさない場合には、該平坦度を満たさない主表面に対して表面研削を行う表面研削工程を有することを特徴とする請求項1記載のフォトマスク用基板のリサイクル方法。
  3. 前記表面研削は、前記第1主表面又は第2主表面を基準プレートに載置し、前記基準プレートに接した面と反対側の前記第1主表面又は第2主表面に対して、回転砥石を接触させて表面研削を行うことを特徴とする請求項2記載のフォトマスク用基板のリサイクル方法。
  4. 前記板厚検査工程において、要求される平坦度を得るために必要な研磨取り代を有していないとされた透明基板に対して、又は前記表面傷欠陥検査工程において、許容深さ以上の傷を有するとされた透明基板に対して、前記研磨取り代量、傷の深さに応じて前記透明基板の縮小サイズを決定する工程と、
    前記縮小サイズに合わせて前記透明基板を切断し形状加工する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1記載のフォトマスク用基板のリサイクル方法。
  5. 請求項1乃至4の何れか一つに記載のフォトマスク用基板のリサイクル方法によって得られた透明基板に対して、前記第1主表面及び第2主表面の平坦度、平行度、及び欠陥を検査する検査工程を行うことを特徴とするフォトマスク用基板の製造方法。
  6. 請求項5に記載のフォトマスク用基板の製造方法によって製造されたフォトマスク用基板の前記第1主表面上に、転写用パターンを形成するための薄膜を成膜することを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
  7. 請求項5に記載のフォトマスク用基板の製造方法によって製造されたフォトマスク用基板の前記第1主表面上に、転写用パターンを含む膜パターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
  8. 請求項7に記載のフォトマスクの製造方法によって製造されたフォトマスクを用い、露光光を、被転写体上に形成されているレジスト膜に照射し、現像を行うことによって、前記レジスト膜に前記転写用パターンを転写することを特徴とするパターン転写方法。
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