JP2017173056A - ハンセン溶解度パラメータの計算システムおよび計算方法 - Google Patents

ハンセン溶解度パラメータの計算システムおよび計算方法 Download PDF

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Masakazu Murase
雅和 村瀬
理一郎 太田
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理一郎 太田
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Abstract

【課題】固体のハンセン溶解度パラメータ(HSP)を精度良く計算し得る技術を提供する。【解決手段】固体の既知の表面自由エネルギーの各成分項とm種類(m≧3)のプローブ液の既知のハンセン溶解度パラメータおよび既知の表面自由エネルギーの各成分項を用いて検討対象である固体とプローブ液との界面自由エネルギーを計算する手段と、プローブ液を高親和性であると判定し、或いはプローブ液を検討対象である固体に対し低親和性であると判定する手段と、3軸の座標の次元が該ハンセン溶解度パラメータの各成分項であるハンセン空間において高親和性であると判定されたプローブ液の座標を含み、かつ、低親和性であると判定されたプローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標を計算して検討対象となる固体のハンセン溶解度パラメータとする。【選択図】図2

Description

本発明は固体のハンセン溶解度パラメータ(Hansen Solubility Parameter:以下、HSPと略称する場合がある。)を計算するシステムおよびその方法に関する。
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)は、物質の溶解性の予測に用いられる物性値であり、ポリマー等の溶媒への溶解性評価、プラスチック材料への溶媒の浸透性評価、材料の接着性評価、および顔料の溶媒への分散性制御等に利用されている。非特許文献1には、HSPが既知であるプローブ液を用いて固体表面のHSPを評価する方法が記載されている。具体的には、プローブ液を固体表面に滴下してぬれ性試験を行い、プローブ液の液滴が分断されることなく広がっている場合に高親和性であると判定する。そして、親和性を判断したプローブ液のHSPの分極項と水素結合項とを2軸として2次元プロットを行い、高親和性と判断されたプローブ液のプロット点を全て含む円の中心座標を固体表面のHSPとして計算する。
Hansen Solubility Parameters:A user’s handbook,2nd ed.,CRC Press.,page 113−123(2007)
固体表面のHSPを正確に計算する方法が求められている。非特許文献1のぬれ性試験による判定方法は、固体表面に滴下したプローブ液の広がり具合が測定毎に変わること、および、測定者が目視によって判断するために測定者の主観に影響され易いことから、親和性の判定に誤差が生じ易かった。また、固体表面のHSPの成分項のうち、一般に最も大きな値となる分散項を計算できないため、固体表面のHSPを正確に把握することは困難であった。
上記に鑑み、本発明者らは、親和性判定における測定誤差の影響を小さくし、固体のHSPの各成分項を計算とすることによって、固体のHSPをより精度良く計算し得る技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、検討対象となる固体とプローブ液との界面自由エネルギーが大きいほど、固液接触面を形成している状態が不安定であることに着目し、界面自由エネルギーの値を用いて検討対象となる固体とプローブ液との親和性を判定して固体のHSPを計算する技術を発明するに至った。
本発明は、下記(1a)〜(1c)式または(2a)〜(2c)式(以下、「計算式」という。)に含まれる検討対象である固体の既知の表面自由エネルギーの各成分項γ とm種類(m≧3)のプローブ液の既知のハンセン溶解度パラメータおよび既知の表面自由エネルギーの各成分項γ とを用いて、該検討対象である固体と該プローブ液の界面自由エネルギーγSLを計算する手段と、該界面自由エネルギーγSLが判定値J以下である場合に該プローブ液を該検討対象である固体に対し高親和性であると判定し、該界面自由エネルギーγSLが判定値Jを超える場合に該プローブ液を該検討対象である固体に対し低親和性であると判定する手段と、3軸の座標の次元が該ハンセン溶解度パラメータの各成分項であるδ/2、δ、δであるハンセン空間において該高親和性であると判定された該プローブ液の座標を含み、かつ、該低親和性であると判定された該プローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標を計算して該検討対象となる固体のハンセン溶解度パラメータとする手段と、を有するハンセン溶解度パラメータ計算システムを提供する。
Figure 2017173056
なお、上記(1a)〜(1c)式および(2a)〜(2c)式において、γはプローブ液の液体の表面自由エネルギーを示し、γ はプローブ液の液体の表面自由エネルギーγの各成分項を示し、γは検討対象である固体の表面自由エネルギーを示し、γ は固体の表面自由エネルギーγの各成分項を示し、添え字iは、上記(1)式の場合はi=D,P+Hであり、上記(2)式の場合はi=D,P,Hであり、i=Dは分散項、i=Pは分極項、i=Hは水素結合項、i=P+Hは分極項を示す。上記式中の各自由エネルギーの単位は、例えば、mJ/mである。
本発明では、検討対象である固体とプローブ液との界面自由エネルギーγSLと判定値とを比較することによって、検討対象となる固体とプローブ液との親和性を判定する。この界面自由エネルギーγSLの値は、既知の液体の表面自由エネルギーγの各成分項と、既知の固体の表面自由エネルギーγの各成分項を上記式(1a)〜(1c)または(2a)〜(2c)に代入することによって計算できる。液体の表面自由エネルギーγの各成分項はその多くが既知であり、固体の表面自由エネルギーγの各成分項はプローブ液と検討対象である固体との接触角の測定値から計算する方法が確立されているため、いずれも信頼性の高い既知の値として利用できる。信頼性の高い既知の値を用いて計算できるため、従来のぬれ性試験を行う場合と比較して測定毎の誤差や測定者の主観に影響され難く、検討対象となる固体のHSPをより精度良く計算することができる。また、HSPの各成分項を計算することができるため、検討対象となる固体のHSPをより精度良く計算することができる。
本発明では、前記プローブ液は、10種類以上(m≧10)であることが好ましい。親和性の判定に用いる溶媒の種類が十分に多いことにより、検討対象となる固体のHSPの計算値の精度が向上する。
本発明では、上記計算式の各自由エネルギーの単位がmJ/mである場合に、前記判定値Jは、5≦J≦10の条件を満たすことが好ましい。検討対象となる固体に応じてこの範囲で判定値Jを調整することで、ハンセン溶解球を構成する高親和性と判定される溶媒の個数を調整できる。
本発明では、前記ハンセン溶解球の中心座標を計算して該検討対象となる固体のハンセン溶解度パラメータとする手段は、高親和性と判定されたプローブ液のハンセン溶解度パラメータの各成分項の座標からの距離の和が最小となる座標を最小二乗法を用いて計算してハンセン溶解球の中心座標としてもよい。
本発明は、 上記計算式に含まれる検討対象である固体の既知の表面自由エネルギーの各成分項γ とm種類(m≧3)のプローブ液の既知のハンセン溶解度パラメータおよび既知の表面自由エネルギーの各成分項γ とを用いて、該検討対象である固体と該プローブ液との界面自由エネルギーγSLを計算するステップと、該界面自由エネルギーγSLが判定値J以下である場合に該プローブ液を該検討対象である固体に対し高親和性であると判定し、該界面自由エネルギーγSLが判定値Jを超える場合に該プローブ液を該検討対象である固体に対し低親和性であると判定するステップと、3軸の座標の次元が該ハンセン溶解度パラメータの各成分項であるδ/2、δ、δであるハンセン空間において該高親和性であると判定された該プローブ液の座標を含み、かつ、該低親和性であると判定された該プローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標を計算して該検討対象となる固体のハンセン溶解度パラメータとするステップと、を有するハンセン溶解度パラメータ計算方法として提供することもできる。
実施例のハンセン溶解度パラメータ計算システムを概念的に示す図である。 実施例のハンセン溶解度パラメータ計算システムが実行するフローを示す図である。
本発明で用いられるプローブ液は、ハンセン溶解度パラメータが既知の溶媒であり、具体例を挙げると、水(HO)、グリセロール(GL)、ホルムアミド(FA)、チオジエチレングリコール(TDEG)、ジヨードメタン(DIM)、エチレングリコール(EG)、1,1,2,2−テトラブロモエタン(TBE)、ジエチレングリコール(DEG)、1−ブロモナフタレン(BN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリクロロエチレン(TCE)、ニトロメタン(NM)、トランス−デカヒドロナフタレン(TDHN)またはヘキサン(HX)が挙げられる。
本発明のハンセン溶解度パラメータの計算システムは、プローブ液と固体との接触角を測定する測定部から接触角の測定データまたは固体の表面自由エネルギーの計算値の入力を受けるものであってもよい。検討対象となる固体表面とプローブ液との接触角から固体の表面自由エネルギーを計算する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、具体例を挙げると、Kitazaki−Hata式等を用いて作成した連立方程式を解いて固体の表面自由エネルギーの各成分項を計算する方法が知られている。プローブ液と固体との接触角の測定には、従来公知の接触角測定器を使用することができる。また、本発明のハンセン溶解度パラメータの計算システムは、固体の表面自由エネルギー等の既知の値について予め測定したデータまたは文献等に記載されたデータが入力または記憶されているものであってもよい。
また、本発明のハンセン溶解度パラメータの計算システムでは、判定値Jは、5≦J≦10の条件を満たす範囲で測定条件に応じて変更してもよい。ハンセン溶解球を構成するプローブ液の個数を十分に確保することができる範囲で判定値Jを小さくすれば、測定対象となる固体に近いHSP値を有するプローブ液を用いて固体のHSP値を計算することができ、計算精度が向上する。HSP値によって検討対象となる固体を比較検討する場合には、比較する複数の検討対象となる固体について共通の判定値Jを用いることが好ましい。
検討対象である固体のHSPは、3軸の座標の次元が該ハンセン溶解度パラメータの各成分項であるδ/2、δ、δであるハンセン空間において、高親和性であると判定されたプローブ液の座標を含み、かつ、該低親和性であると判定されたプローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標を計算することによって求めることができる。ハンセン溶解球の中心座標は、例えば、最小二乗法等を用いて、高親和性と判定されたプローブ液のハンセン溶解度パラメータの各成分項の座標からの距離の和が最小となる座標を計算することによって求めることができる。ハンセン溶解球の半径は相互作用半径Roと呼ばれる。相互作用半径Roが大きいハンセン溶解球が描かれる固体ほど多くの溶媒に対して高い親和性を示す。
また、本発明のハンセン溶解度パラメータの計算システムは、最終的に計算された固体のハンセン溶解度パラメータの計算値を提供できるものであればよいが、さらに、計算の過程で得られる各プローブ液についての界面自由エネルギーγSL等を出力可能であってもよい。検討対象となる固体のハンセン溶解度パラメータを計算する際に、このような情報を出力可能にすることによって、例えば、検討対象となる固体の各プローブ液への溶解性等を把握することができる。
本実施例では、上記式(2a)〜(2c)を計算式として用いて検討対象となる固体とプローブ液との界面自由エネルギーγSLを計算する場合を例示して、ハンセン溶解度パラメータ計算システムおよび計算方法について説明する。
図1に示すように、本実施例に係る固体のハンセン溶解度パラメータ計算システム1は、計算部12と、出力部14とを備えている。本実施例では、プローブ液として、水(HO)、グリセロール(GL)、ホルムアミド(FA)、チオジエチレングリコール(TDEG)、ジヨードメタン(DIM)、エチレングリコール(EG)、1,1,2,2−テトラブロモエタン(TBE)、ジエチレングリコール(DEG)、1−ブロモナフタレン(BN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリクロロエチレン(TCE)、ニトロメタン(NM)、トランス−デカヒドロナフタレン(TDHN)およびヘキサン(HX)の14種類の液体を用いる。表1に示すように、各プローブ液の表面自由エネルギーγの値および各成分項γ およびハンセン溶解度パラメータδ(i=D,P,H)の値は、既知の値である。なお、添え字iについては、i=Dは分散項、i=Pは分極項、i=Hは水素結合項を示し、表面自由エネルギーγは、式(2c)に基づいて計算することができる。また、表1に示す表面自由エネルギーの数値データの単位はmJ//mであり、HSPの数値データの単位はMPa1/2である。
Figure 2017173056
ハンセン溶解度パラメータを測定する固体試料としては、PTFE板を準備した。PTFEの固体の表面自由エネルギーγ を表2に示す。なお、固体の表面自由エネルギー:γは、式(2b)によって計算することができる。表2に示す表面自由エネルギーの数値データの単位はmJ/mである。
Figure 2017173056
ステップS101に示すように、計算部12は、表1および表2に示す液体の表面自由エネルギーγおよびその各成分項γ と、固体の表面自由エネルギーγおよびその各成分項γ を上記式(2a)に代入することによって界面自由エネルギーγSLを計算する。計算したγSLを表3に示す。表3に示す表面自由エネルギーの数値データの単位はmJ/mである。
Figure 2017173056
次に、ステップS103に示すように、計算部12は、表3に示す界面自由エネルギーγSLと判定値Jとを比較する。計算部12は、界面自由エネルギーγSLが判定値J以下である場合にプローブ液を検討対象である固体に対し高親和性であると判定し、界面自由エネルギーγSLが判定値Jを超える場合にプローブ液を検討対象である固体に対し低親和性であると判定する。本実施例では、判定値J=10としてプローブ液の親和性を判定した。その結果、1,1,2,2−テトラブロモエタン(TBE)、1−ブロモナフタレン(BN)、トリクロロエチレン(TCE)、トランス−デカヒドロナフタレン(TDHN)およびヘキサン(HX)を高親和性と判定した。また、水(HO)、グリセロール(GL)、ホルムアミド(FA)、チオジエチレングリコール(TDEG)、ジヨードメタン(DIM)、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、ジメチルホルムアミド(DMF)およびニトロメタン(NM)を低親和性と判定した。
次に、ステップS105に示すように、計算部12は、3軸の座標の次元が該ハンセン溶解度パラメータの各成分項であるδ/2、δ、δである座標系(ハンセン空間)において、ステップS103で高親和性と判断されたプローブ液の座標を含み、かつ、ステップS103で低親和性であると判定されたプローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標δ(i=D,P,H)を計算した。具体的には、各プローブ液のハンセン溶解度パラメータδの座標からの距離の和が最小となる座標を最小二乗法を用いて計算し、これをハンセン溶解球の中心座標とした。ハンセン溶解球の中心座標δの計算結果を表4に示す。表4に示すHSPの数値データの単位はMPa1/2である。なお、添え字iについては、i=Dは分散項、i=Pは分極項、i=Hは水素結合項を示す。計算部12は、ハンセン溶解球の中心座標δの計算結果を検討対象の固体のハンセン溶解度パラメータの計算値として出力部14に出力する。
Figure 2017173056
ハンセン溶解度パラメータを測定する固体試料として、PFA板を用いたこと以外は、実施例1と同様のハンセン溶解度パラメータ計算システムを用いて、同様の測定方法で接触角θを測定し、同様の計算方法を実行した。なお、PFAの固体の表面自由エネルギーの値は、表2に示す既知の値を使用した。その結果、1,1,2,2−テトラブロモエタン(TBE)、1−ブロモナフタレン(BN)、トリクロロエチレン(TCE)、ジメチルホルムアミド(DMF)、トランス−デカヒドロナフタレン(TDHN)およびヘキサン(HX)を高親和性と判定し、その他のプローブ液を低親和性と判定した。また、ハンセン空間において、高親和性と判断されたプローブ液の座標を含み、かつ、低親和性であると判定されたプローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標δ(i=D,P,H)を計算して、PFA板のHSPを計算した。実施例1と同様に、実施例2における計算結果を表2〜4に示す。
ハンセン溶解度パラメータを測定する固体試料として、アクリル板を用いたこと以外は、実施例1と同様のハンセン溶解度パラメータ計算システムを用いて、同様の測定方法で接触角θを測定し、同様の計算方法を実行した。なお、アクリルの固体の表面自由エネルギーの値は、表2に示す既知の値を使用した。その結果、ホルムアミド(FA)、チオジエチレングリコール(TDEG)、ジヨードメタン(DIM)、1,1,2,2−テトラブロモエタン(TBE)、ジエチレングリコール(DEG)、1−ブロモナフタレン(BN)、ジメチルホルムアミド(DMF)およびトリクロロエチレン(TCE)を高親和性と判定し、その他のプローブ液を低親和性と判定した。また、ハンセン空間において、高親和性と判断されたプローブ液の座標を含み、かつ、低親和性であると判定されたプローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標δ(i=D,P,H)を計算して、アクリル板のHSPを計算した。実施例3における計算結果を表2〜4に示す。
ハンセン溶解度パラメータを測定する固体試料として、ステンレス板(SUS)を用いたこと以外は、実施例1と同様のハンセン溶解度パラメータ計算システムを用いて、同様の測定方法で接触角θを測定し、同様の計算方法を実行した。なお、ステンレスの固体の表面自由エネルギーの値は、表2に示す既知の値を使用した。その結果、チオジエチレングリコール(TDEG)、ジヨードメタン(DIM)、1,1,2,2−テトラブロモエタン(TBE)、1−ブロモナフタレン(BN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリクロロエチレン(TCE)、トランス−デカヒドロナフタレン(TDHN)およびヘキサン(HX)を高親和性と判定し、その他のプローブ液を低親和性と判定した。また、ハンセン空間において、高親和性と判断されたプローブ液の座標を含み、かつ、低親和性であると判定されたプローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標δ(i=D,P,H)を計算して、ステンレス板のHSPを計算した。実施例4における計算結果を表2〜4に示す。
ハンセン溶解度パラメータを測定する固体試料として、銅板(Cu)を用いたこと以外は、実施例1と同様のハンセン溶解度パラメータ計算システムを用いて、同様の測定方法で接触角θを測定し、同様の計算方法を実行した。なお、銅の固体の表面自由エネルギーの値は、表2に示す既知の値を使用した。その結果、チオジエチレングリコール(TDEG)、ジヨードメタン(DIM)、エチレングリコール(EG)、1,1,2,2−テトラブロモエタン(TBE)、ジエチレングリコール(DEG)、1−ブロモナフタレン(BN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリクロロエチレン(TCE)、トランス−デカヒドロナフタレン(TDHN)およびヘキサン(HX)を高親和性と判定し、その他のプローブ液を低親和性と判定した。また、ハンセン空間において、高親和性と判断されたプローブ液の座標を含み、かつ、低親和性であると判定されたプローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標δ(i=D,P,H)を計算して、銅板のHSPを計算した。実施例5における計算結果を表2〜4に示す。
ハンセン溶解度パラメータを測定する固体試料として、亜鉛板(Zn)を用いたこと以外は、実施例1と同様のハンセン溶解度パラメータ計算システムを用いて、同様の測定方法で接触角θを測定し、同様の計算方法を実行した。なお、亜鉛の固体の表面自由エネルギーの値は、表2に示す既知の値を使用した。その結果、チオジエチレングリコール(TDEG)、ジヨードメタン(DIM)、1,1,2,2−テトラブロモエタン(TBE)、ジエチレングリコール(DEG)、1−ブロモナフタレン(BN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリクロロエチレン(TCE)、トランス−デカヒドロナフタレン(TDHN)およびヘキサン(HX)を高親和性と判定し、その他のプローブ液を低親和性と判定した。また、ハンセン空間において、高親和性と判断されたプローブ液の座標を含み、かつ、低親和性であると判定されたプローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標δ(i=D,P,H)を計算して、亜鉛板のHSPを計算した。実施例6における計算結果を表2〜4に示す。
実施例1〜6に示すハンセン溶解度パラメータ計算システムおよび計算方法によれば、検討対象である固体とプローブ液との界面自由エネルギーγSL を用いて検討対象である固体とプローブ液との親和性を判定することができる。この界面自由エネルギーγSL は、液体の表面自由エネルギーγおよびその各成分項と、固体の表面自由エネルギーγおよびその各成分項から計算することができる。液体の表面自由エネルギーγの各成分項はその多くが既知であり、固体の表面自由エネルギーγの各成分項はプローブ液と検討対象である固体との接触角の測定値から計算する方法が確立されているため、いずれも信頼性の高い既知の値として利用できる。信頼性の高い既知の値を用いて計算できるため、従来のぬれ性試験を行う場合と比較して測定毎の誤差や測定者の主観に影響され難く、検討対象となる固体のHSPをより精度良く計算することができる。また、HSPの各成分項を計算することができるため、検討対象となる固体のHSPをより精度良く計算することができる。本発明によれば、固体表面のHSPを精度良く計算することができる計算システムまたは計算方法を提供することができる。
1 ハンセン溶解度パラメータ計算システム
12 計算部
14 出力部

Claims (5)

  1. 下記(1a)〜(1c)式または(2a)〜(2c)式(以下、「計算式」という。)に含まれる検討対象である固体の既知の表面自由エネルギーの各成分項γ とm種類(m≧3)のプローブ液の既知のハンセン溶解度パラメータおよび既知の表面自由エネルギーの各成分項γ とを用いて、該検討対象である固体と該プローブ液の界面自由エネルギーγSLを計算する手段と、
    該界面自由エネルギーγSLが判定値J以下である場合に該プローブ液を該検討対象である固体に対し高親和性であると判定し、該界面自由エネルギーγSLが判定値Jを超える場合に該プローブ液を該検討対象である固体に対し低親和性であると判定する手段と、
    3軸の座標の次元が該ハンセン溶解度パラメータの各成分項であるδ/2、δ、δであるハンセン空間において該高親和性であると判定された該プローブ液の座標を含み、かつ、該低親和性であると判定された該プローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標を計算して該検討対象となる固体のハンセン溶解度パラメータとする手段と、
    を有するハンセン溶解度パラメータ計算システム。
    Figure 2017173056
    (上記(1a)〜(1c)式および(2a)〜(2c)式において、γはプローブ液の液体の表面自由エネルギーを示し、γ はプローブ液の液体の表面自由エネルギーγの各成分項を示し、γは検討対象である固体の表面自由エネルギーを示し、γ は固体の表面自由エネルギーγの各成分項を示し、添え字iは、上記(1)式の場合はi=D,P+Hであり、上記(2)式の場合はi=D,P,Hであり、i=Dは分散項、i=Pは分極項、i=Hは水素結合項、i=P+Hは分極項を示す。)
  2. 前記プローブ液は、10種類以上(m≧10)である請求項1に記載のハンセン溶解度パラメータ計算システム。
  3. 上記計算式の各自由エネルギーの単位がmJ/mである場合に、前記判定値Jは、5≦J≦10の条件を満たす請求項1または2に記載のハンセン溶解度パラメータ計算システム。
  4. 前記ハンセン溶解球の中心座標を計算して該検討対象となる固体のハンセン溶解度パラメータとする手段は、高親和性と判定されたプローブ液のハンセン溶解度パラメータの各成分項の座標からの距離の和が最小となる座標を最小二乗法を用いて計算してハンセン溶解球の中心座標とする請求項1〜3のいずれかに記載のハンセン溶解度パラメータ計算システム。
  5. 上記計算式に含まれる検討対象である固体の既知の表面自由エネルギーの各成分項γ とm種類(m≧3)のプローブ液の既知のハンセン溶解度パラメータおよび既知の表面自由エネルギーの各成分項γ とを用いて、該検討対象である固体と該プローブ液との界面自由エネルギーγSLを計算するステップと、
    該界面自由エネルギーγSLが判定値J以下である場合に該プローブ液を該検討対象である固体に対し高親和性であると判定し、該界面自由エネルギーγSLが判定値Jを超える場合に該プローブ液を該検討対象である固体に対し低親和性であると判定するステップと、
    3軸の座標の次元が該ハンセン溶解度パラメータの各成分項であるδ/2、δ、δであるハンセン空間において該高親和性であると判定された該プローブ液の座標を含み、かつ、該低親和性であると判定された該プローブ液の座標を含まないハンセン溶解球の中心座標を計算して該検討対象となる固体のハンセン溶解度パラメータとするステップと、
    を有するハンセン溶解度パラメータ計算方法。
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