JP7371355B2 - 固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法 - Google Patents

固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 URL:http://www3.scej.org/meeting/50f/pages/jp_allinformation.html ウェブサイトの掲載日 平成30年9月4日 化学工学会 第50回秋季大会 講演プログラム:SY-80 PA233
本開示は、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法に関する。
物質の凝集エネルギー密度は、物質-物質間の溶解性、相溶性、分散性、凝集性、膨潤性、ぬれ性、接着性等の指標として広く用いられており、例えば、溶質に対する最適溶媒の選択、混合溶媒の最適な組み合わせや最適混合比の選択、食品からの有効成分の抽出、ナノ粒子の分散性の評価、機能性炭素材料の分散性の評価、石油化学関連材料の凝集エネルギー密度の測定、ポリマーの相溶性や親和性の評価、医薬品の固液平衡および水素結合挙動の解明、ゴム類や樹脂類の膨潤性の評価、気体の凝集エネルギー密度の測定、界面活性剤の評価等、種々の分野において応用されている。
物質の凝集エネルギー密度に関するパラメータとしては、ヒルデブランドにより提案されたパラメータや、ハンセンにより提案されたパラメータが知られている。
ヒルデブランドにより提案された物質の凝集エネルギー密度に関するパラメータは、種々の物性値から計算することができる。この物性値としては、例えば、表面張力、溶解度、屈折率、界面活性剤のHLB値等が挙げられる。しかし、物質の種類によっては、物性値を入手することが困難な場合があり、上記パラメータを求めることができない。また、物質の分子構造から、ヒルデブランドの上記パラメータを推算する方法もある。しかし、物質の種類や計算方法によって値が大きく異なる場合があり、精度に問題がある。
例えば、非特許文献1には、接触角の値から目的物質のヒルデブランドの上記パラメータを推算する方法が提案されている。しかし、この方法も、精度が高いとはいえない。
ハンセンにより提案された物質の凝集エネルギー密度に関するパラメータは、凝集エネルギーを、分子間に働く相互作用エネルギーの種類(ロンドン分散力、双極子間力、水素結合力)によって分割し、ヒルデブランドの上記パラメータを、ロンドン分散力項、双極子間力項、水素結合力項として表したものである。そのため、精度を高めることができる。
例えば、特許文献1には、ハンセンの上記パラメータを用いて、インクに好ましい有機溶剤を選択することが開示されている。
また、近年、ハンセンらは、分子構造や物性値が明らかではない物質の凝集エネルギー密度を実験的に求める新しい手法を提案している。この方法は、これまで計算が困難であった物質の凝集エネルギー密度を比較的容易に決定することができ、その汎用性は広く、多くの注目を集めている。
特開2017-165961号公報
佐野太郎、香川慎二郎、松井利郎、「溶解度パラメータに基づくにおい成分異性体の収着挙動予測」、日本包装学会誌、Vol.20、No.3(2011)、p.189-195
上記のハンセンらの物質の凝集エネルギー密度を実験的に求める方法においては、目的物質について、凝集エネルギー密度が既知である種々の溶媒を用いて溶解試験を行う。溶解性の評価としては、溶解するかどうか、分散するかどうか、膨潤するかどうか等、多岐にわたっており、例えば、目視または顕微鏡観察や、溶解度、粒径、吸光度等の測定が挙げられる。しかし、物質の性状や形態等によっては、溶解性を評価することが困難な場合がある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、汎用性が高く、精度が高い固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態は、固体物質の凝集エネルギー密度を測定する固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法であって、
下記式(1):
c=(ΔE /V)+(ΔE /V)+(ΔE /V) (1)
(上記式(1)中、
c[J/cm]は凝集エネルギー密度、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される凝集エネルギー密度が既知である複数種の溶媒を準備する溶媒準備工程と、
上記固体物質に対する上記溶媒の接触角を測定する接触角測定工程と、
上記接触角の大きさによって上記溶媒を良溶媒および貧溶媒に分類する分類工程と、
下記式(4-1)~(4-3):
δ=(ΔE /V)1/2 (4-1)
δ=(ΔE /V)1/2 (4-2)
δ=(ΔE /V)1/2 (4-2)
(上記式(4-1)~(4-3)中、
δは凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
δは凝集エネルギー密度の双極子間力項、
δは凝集エネルギー密度の水素結合力項、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される上記溶媒の上記凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間にプロットし、上記良溶媒の座標を含み、上記貧溶媒の座標を含まない球を求める球決定工程と、
上記球の中心座標を上記固体物質の凝集エネルギー密度とする凝集エネルギー密度決定工程と、
を有する、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法を提供する。以下、本実施形態の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法を、第1の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法と称する場合がある。
本開示の一実施形態は、固体物質の凝集エネルギー密度を測定する固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法であって、
下記式(1):
c=(ΔE /V)+(ΔE /V)+(ΔE /V) (1)
(上記式(1)中、
c[J/cm]は凝集エネルギー密度、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される凝集エネルギー密度が既知である複数種の溶媒を準備する溶媒準備工程と、
上記固体物質に対する上記溶媒の接触角を測定する接触角測定工程と、
上記固体物質の凝集エネルギー密度を仮定し、下記式(5):
={4×(δd2-δd1+(δp2-δp1+(δh2-δh11/2 (5)
(上記式(5)中、
は、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間における、溶媒および固体物質間の距離、
δd1は固体物質の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
δp1は固体物質の凝集エネルギー密度の双極子間力項、
δh1は固体物質の凝集エネルギー密度の水素結合力項、
δd2は溶媒の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
δp2は溶媒の凝集エネルギー密度の双極子間力項、
δh2は溶媒の凝集エネルギー密度の水素結合力項
を示し、δd2、δp2およびδh2は下記式(6-1)~(6-2):
δd2=(ΔE /V)1/2 (6-1)
δp2=(ΔE /V)1/2 (6-2)
δh2=(ΔE /V)1/2 (6-2)
(上記式(6-1)~(6-3)中、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される。)
において、δd1、δp1およびδh1を変動させることにより、上記式(5)で表されるRと上記接触角との相関係数が最大になるようなδd1、δp1およびδh1を求める凝集エネルギー密度決定工程と、
を有する、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法を提供する。以下、本実施形態の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法を、第2の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法と称する場合がある。
本開示の一実施形態は、上述の第1の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法と、上述の第2の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法とを組み合わせる、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法を提供する。
本開示においては、汎用性が高く、精度が高い固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法を提供することができる。
凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間における、球の概念図である。 凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間における、Rの概念図である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、本開示の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法について、詳細に説明する。
本開示の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法は、3つの実施態様を有する。以下、各実施態様に分けて説明する。
I.第1実施態様
本開示の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法の第1実施態様は、固体物質の凝集エネルギー密度を測定する固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法であって、
下記式(1):
c=(ΔE /V)+(ΔE /V)+(ΔE /V) (1)
(上記式(1)中、
c[J/cm]は凝集エネルギー密度、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される凝集エネルギー密度が既知である複数種の溶媒を準備する溶媒準備工程と、
上記固体物質に対する上記溶媒の接触角を測定する接触角測定工程と、
上記接触角の大きさによって上記溶媒を良溶媒および貧溶媒に分類する分類工程と、
下記式(4-1)~(4-3):
δ=(ΔE /V)1/2 (4-1)
δ=(ΔE /V)1/2 (4-2)
δ=(ΔE /V)1/2 (4-2)
(上記式(4-1)~(4-3)中、
δは凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
δは凝集エネルギー密度の双極子間力項、
δは凝集エネルギー密度の水素結合力項、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される上記溶媒の上記凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間にプロットし、上記良溶媒の座標を含み、上記貧溶媒の座標を含まない球を求める球決定工程と、
上記球の中心座標を上記固体物質の凝集エネルギー密度とする凝集エネルギー密度決定工程と、
を有する、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法である。
接触角法は、測定が簡単であり、汎用性の高い測定法の一つである。本実施態様においては、従来のように溶解試験を行うのではなく、固体物質に対する溶媒の接触角を測定するため、固体物質の性状や形態等によらず、固体物質と溶媒との親和性を評価することができる。したがって、汎用性が高い、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法とすることができる。
また、本実施態様においては、凝集エネルギーを、分子間に働く相互作用エネルギーの種類(ロンドン分散力、双極子間力、水素結合力)によって分割し、凝集エネルギー密度を、ロンドン分散力項、双極子間力項、水素結合力項として表すため、従来のハンセンにより提案された物質の凝集エネルギー密度に関するパラメータよりも、高い精度で固体物質の凝集エネルギー密度を求めることができる。
また、物質の凝集エネルギー密度は、材料の設計や評価に応用することができる。本実施態様においては、分子構造や物性値が明らかではなく、凝集エネルギー密度を求めることが困難であった固体物質の凝集エネルギー密度を、接触角法によって求めることが可能である。したがって、材料開発に広く活用することができる。
以下、本実施態様の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法における各工程について説明する。
1.溶媒準備工程
本実施態様における溶媒準備工程は、下記式(1):
c=(ΔE /V)+(ΔE /V)+(ΔE /V) (1)
(上記式(1)中、
c[J/cm]は凝集エネルギー密度、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される凝集エネルギー密度が既知である複数種の溶媒を準備する工程である。
複数種の溶媒はそれぞれ、純溶媒であってもよく、混合溶媒であってもよいが、中でも純溶媒であることが好ましい。
溶媒の数としては、固体物質の凝集エネルギー密度の測定精度や、後述する接触角測定工程での手間、時間、安全性や、固体物質の親水性および疎水性等に応じて適宜選択される。溶媒の数は、例えば10種類以上とすることができ、10種類以上30種類以下であってもよい。
溶媒としては、特に限定されるものではなく、種々の溶媒から適宜選択することができる。中でも、溶媒は、1,4-ジオキサン、1-ブタノール、2-フェノキシエタノール、アセトン、アセトニトリル、クロロホルム、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、DBE(ジベーシックエステル)、ジアセトンアルコール、ジエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジプロピレングリコール、エタノール、エチルアセテート、γブチロラクトン、MEK(メチルエチルケトン)、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチレンジクロライド、n-ブチルアセテート、N-メチルピロリドン、PM(プロピレングリコールモノメチルエステル)、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、プロピレンカーボネート、TCE(テトラクロロエチレン)、THF(テトラヒドロフラン)、およびトルエンからなる群から選択されることが好ましい。
一般的に使用される溶媒の凝集エネルギー密度は、データベースが構築されている。そのため、データベースに記載されている溶媒については文献値を用いることができる。また、データベースに記載されていない溶媒であっても、分子構造から凝集エネルギー密度を計算するコンピュータソフトウェアを利用することができる。このようなコンピュータソフトウェアとしては、例えば、Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)が挙げられる。
2.接触角測定工程
本実施態様における接触角測定工程は、上記固体物質に対する上記溶媒の接触角を測定する工程である。本工程においては、固体物質と溶媒との親和性の評価として、固体物質に対する溶媒のぬれ性、すなわち固体物質に対する溶媒の接触角を評価する。
固体物質に対する溶媒の接触角の測定方法としては、特に限定されず、一般的な接触角の測定方法を適用することができ、固体物質の性状や形態等に応じて適宜選択することができる。例えば、θ/2法、接線法、カーブフィッティング法、液滴法、拡張/収縮法、滑落法(転落法)、wilhelmy法(プレート法、垂直板法)、浸透速度法等が挙げられる。
中でも、固体物質が粒状物質である場合、浸透速度法が好ましく用いられる。粒状物質の凝集エネルギー密度の測定方法において、粒状物質と溶媒との親和性を評価する際に、従来のように粒状物質の粒径や凝集の程度を測定する場合、具体的には動的光散乱法や沈降法等を用いる場合には、測定可能な粒状物質が限られており、例えば高密度または低密度の粒状物質、非球形の粒状物質、粒径が大きい粒状物質等は測定が困難であった。これに対し、浸透速度法により粒状物質に対する溶媒の接触角を測定する場合には、例えば非球形の粒状物質や、粒径の大きな粒状物質であっても、密度の大小に関係なく、測定可能である。したがって、汎用性の高い、粒状物質の凝集エネルギー密度の測定方法とすることができる。
浸透速度法において、粒状物質への溶媒の浸透速度は下記式(2)で表される。
/t=(r×γcosθ)/2η (2)
(上記式(2)中、lは溶媒の浸透高さ、tは時間、rは充填された粒状物質の毛管半径、γは溶媒の表面張力、ηは溶媒の粘度、θは接触角を示す。)
具体的には、粒状物質をカラムに充填し、粒状物質が充填されたカラムを鉛直に保持した状態でカラムの下端を溶媒に浸漬させる。その結果、カラム内の粉体に対して、毛管現象によって溶媒が上方に浸透していく。このとき、経過時間tに対する溶媒の浸透重量Wを測定し、浸透速度を求める。より具体的には、カラムを溶媒に浸漬し、飽和状態に達するまで溶媒の浸透重量を1秒毎に測定する。浸透速度を測定することにより、接触角を算出することができる。
上記式(2)は、溶媒の浸透高さlを溶媒の浸透重量Wに変換することで、下記式(3)となる。
/t=(S×ε×ρ )×(r×γ×cosθ)/2η (3)
(上記式(3)中、Wは溶媒の浸透重量、tは時間、Sはカラムの断面積、εは空隙率、ρは溶媒の密度、rは充填された粒状物質の毛管半径、γは溶媒の表面張力、ηは溶媒の粘度、θは接触角を示す。)
したがって、溶媒の浸透重量Wを測定することにより、接触角を算出することができる。
なお、毛管半径rは、粒状物質に対して最も親和性の高い溶媒との接触角を0°と仮定して求める。
また、浸透速度法における測定条件は、粒状物質に応じて適宜設定することができる。
溶媒の浸透速度が遅い、すなわち溶媒の浸透重量が少ないほど、接触角は大きくなり、粒状物質と溶媒との親和性が低いことを示す。一方、溶媒の浸透速度が速い、すなわち溶媒の浸透重量が多いほど、接触角は小さくなり、粒状物質と溶媒との親和性が高いことを示す。
また、固体物質がシート状やフィルム状の物質である場合、溶媒の接触角の測定方法としては液滴法が好ましい。市販の接触角測定装置を用いて測定することができ、操作が簡単であり、また、使用する溶媒量が1回1μl程度と少量で測定可能であるからである。
3.分類工程
本実施態様における分類工程は、上記接触角の大きさによって上記溶媒を良溶媒および貧溶媒に分類する工程である。
溶媒を良溶媒および貧溶媒に分類する際には、予め接触角の閾値を決定する。接触角の閾値は、目的に応じて適宜設定することができる。接触角の閾値が小さいほど、後述する球決定工程にて求められる球の半径が小さくなり、一方で、接触角の閾値が大きいほど、球決定工程にて求められる球の半径が大きくなる。
上述したように、接触角が小さいほど、固体物質と溶媒との親和性が高いことを示し、一方で、接触角が大きいほど、固体物質と溶媒との親和性が低いことを示すことから、例えば、上記接触角測定工程にて求めた接触角が接触角の閾値以下である場合は良溶媒に分類し、上記接触角測定工程にて求めた接触角が接触角の閾値超である場合は貧溶媒に分類することができる。
また、良溶媒および貧溶媒はスコア値として示すことができる。例えば、良溶媒は「1」、貧溶媒は「0」と示すことができる。
4.球決定工程
本実施態様における球決定工程は、下記式(4-1)~(4-3):
δ=(ΔE /V)1/2 (4-1)
δ=(ΔE /V)1/2 (4-2)
δ=(ΔE /V)1/2 (4-2)
(上記式(4-1)~(4-3)中、
δは凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
δは凝集エネルギー密度の双極子間力項、
δは凝集エネルギー密度の水素結合力項、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される上記溶媒の上記凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間にプロットし、上記良溶媒の座標を含み、上記貧溶媒の座標を含まない球を求める工程である。
本工程では、まず、上記溶媒準備工程にて準備した複数種の溶媒の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項をそれぞれ、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間にプロットする。溶媒の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項は、上記式(4-1)~(4-3)で示される。
一般的に使用される溶媒の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項は、上述した溶媒の凝集エネルギー密度と同様に、データベースが構築されている。そのため、データベースに記載されている溶媒については文献値を用いることができる。また、データベースに記載されていない溶媒であっても、分子構造から凝集エネルギー密度を計算するコンピュータソフトウェアを利用することができる。このようなコンピュータソフトウェアとしては、例えば、Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)が挙げられる。
本工程では、次いで、良溶媒の座標を含み、貧溶媒の座標を含まない球を求める。この際、すべての良溶媒の座標が球の内側に、すべての貧溶媒の座標が球の外側になるような最小の球を設定する。凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間における、球の概念図を図1に示す。球の作成には、コンピュータソフトウェアを利用することができる。このようなコンピュータソフトウェアとしては、例えば、Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)が挙げられる。
5.凝集エネルギー密度決定工程
本実施態様における凝集エネルギー密度決定工程は、上記球の中心座標を上記固体物質の凝集エネルギー密度とする工程である。
本工程では、上記球決定工程にて求めた球の中心座標を固体物質の凝集エネルギー密度として求める。具体的には、球の中心座標は、固体物質の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項として求められる。
II.第2実施態様
本開示の発明者らは、簡便な固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法について鋭意検討し、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間における、溶媒および固体物質間の距離Rと、固体物質に対する溶媒の接触角との間に相関性があることを初めて見出した。
すなわち、本開示の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法の第2実施態様は、固体物質の凝集エネルギー密度を測定する固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法であって、
下記式(1):
c=(ΔE /V)+(ΔE /V)+(ΔE /V) (1)
(上記式(1)中、
c[J/cm]は凝集エネルギー密度、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される凝集エネルギー密度が既知である複数種の溶媒を準備する溶媒準備工程と、
上記固体物質に対する上記溶媒の接触角を測定する接触角測定工程と、
上記固体物質の凝集エネルギー密度を仮定し、下記式(5):
={4×(δd2-δd1+(δp2-δp1+(δh2-δh11/2 (5)
(上記式(5)中、
は、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間における、溶媒および固体物質間の距離、
δd1は固体物質の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
δp1は固体物質の凝集エネルギー密度の双極子間力項、
δh1は固体物質の凝集エネルギー密度の水素結合力項、
δd2は溶媒の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
δp2は溶媒の凝集エネルギー密度の双極子間力項、
δh2は溶媒の凝集エネルギー密度の水素結合力項
を示し、δd2、δp2およびδh2は下記式(6-1)~(6-2):
δd2=(ΔE /V)1/2 (6-1)
δp2=(ΔE /V)1/2 (6-2)
δh2=(ΔE /V)1/2 (6-2)
(上記式(6-1)~(6-3)中、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される。)
において、δd1、δp1およびδh1を変動させることにより、上記式(5)で表されるRと上記接触角との相関係数が最大になるようなδd1、δp1およびδh1を求める工程と、
を有する、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法である。
なお、本実施態様におきましては、上述しましたように「上記式(5)で表されるRと上記接触角との相関係数が最大になるようなδd1、δp1およびδh1を求める工程」としているが、上記式(5)で表されるRと接着仕事、もしくは界面張力との相関関係が最大になるようにδd1、δp1およびδh1を求める工程としてもよい。
本実施態様においては、上記第1実施態様と同様に、従来のように溶解試験を行うのではなく、固体物質に対する溶媒の接触角を測定するため、固体物質の性状や形態等によらず、固体物質と溶媒との親和性を評価することができる。したがって、汎用性が高い、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法とすることができる。
また、本実施態様においては、上記第1実施態様と同様に、凝集エネルギーを、分子間に働く相互作用エネルギーの種類(ロンドン分散力、双極子間力、水素結合力)によって分割し、凝集エネルギー密度を、ロンドン分散力項、双極子間力項、水素結合力項として表すため、従来のハンセンにより提案された物質の凝集エネルギー密度に関するパラメータよりも、高い精度で固体物質の凝集エネルギー密度を求めることができる。
また、本実施態様においては、上記第1実施態様と同様に、分子構造や物性値が明らかではなく、凝集エネルギー密度を求めることが困難であった固体物質の凝集エネルギー密度を、接触角法によって求めることが可能である。したがって、材料開発に広く活用することができる。
さらに、本実施態様においては、上記第1実施態様における分類工程および球決定工程を行う必要がないため、簡便に固体物質の凝集エネルギー密度を求めることができる。さらには、上記第1実施態様における分類工程のように接触角の大きさによって良溶媒および貧溶媒に分類する必要がなく、接触角の閾値を決定する必要もないため、精度を向上させることができる。
以下、本実施態様の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法における各工程について説明する。
1.溶媒準備工程
本実施態様における溶媒準備工程は、上記第1実施態様の溶媒準備工程と同様とすることができる。
2.接触角測定工程
本実施態様における接触角測定工程は、上記第1実施態様の接触角測定工程と同様とすることができる。
3.凝集エネルギー密度決定工程
本実施態様における凝集エネルギー密度決定工程は、上記固体物質の凝集エネルギー密度を仮定し、下記式(5):
={4×(δd2-δd1+(δp2-δp1+(δh2-δh11/2 (5)
(上記式(5)中、
は、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間における、溶媒および固体物質間の距離、
δd1は固体物質の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
δp1は固体物質の凝集エネルギー密度の双極子間力項、
δh1は固体物質の凝集エネルギー密度の水素結合力項、
δd2は溶媒の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
δp2は溶媒の凝集エネルギー密度の双極子間力項、
δh2は溶媒の凝集エネルギー密度の水素結合力項
を示し、δd2、δp2およびδh2は下記式(6-1)~(6-2):
δd2=(ΔE /V)1/2 (6-1)
δp2=(ΔE /V)1/2 (6-2)
δh2=(ΔE /V)1/2 (6-2)
(上記式(6-1)~(6-3)中、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
V[cm/mol]はモル体積を示す。)
で示される。)
において、δd1、δp1およびδh1を変動させることにより、上記式(5)で表されるRと上記接触角との相関係数が最大になるようなδd1、δp1およびδh1を求める工程である。
は、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間における、溶媒および固体物質間の距離である。凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間における、Rの概念図を図2に示す。良溶媒は、Rが小さくなり、貧溶媒は、Rが大きくなる傾向にある。
本工程においては、まず、固体物質の凝集エネルギー密度を仮定する。具体的には、固体物質の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項δd1、双極子間力項δp1および水素結合力項δh1を仮定する。そして、上記溶媒準備工程にて準備した溶媒とのRを求める。次いで、上記接触角測定工程にて測定した接触角とRとの相関係数を算出する。次に、δd1、δp1およびδh1を変動させて、算出される相関係数が最大になるような、δd1、δp1およびδh1の最適値を求める。これにより、固体物質の凝集エネルギー密度を決定することができる。
δd1、δp1およびδh1の最適値は、例えば表計算ソフトウェアを用いて求めることができる。例としてMicrosoft社 Office Excel(登録商標)のソルバー機能等を用いることができる(特開2018-106558号公報、特開2018-119905号公報参照)。
III.第3実施態様
本開示の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法の第3実施態様は、上記第1実施態様の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法と、上記第2実施態様の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法とを組み合わせる、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法である。
第1実施態様では、最低15種類の溶媒を使用する必要があるのに対して、第2実施態様では、最低3種類の溶媒で凝集エネルギー密度を求めることができる。そのため、上記第1実施態様の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法と、上記第2実施態様の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法とを組み合わせることにより、第1実施態様で評価困難な場合、例えば、固体物質の性状や形態等によって固体物質と溶媒の親和性評価が困難で、十分な数の溶媒を使用できない場合でも、第2実施態様の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法により、凝集エネルギー密度を求めることができる。
両方の態様で評価ができ、使用した溶媒の数が十分にある場合には、目的となる固体物質の凝集エネルギー密度を求めたいときは、第2実施態様の方が、溶媒と固体物質の相溶性に関する直線の傾きから評価しているため、より精度が高い。一方で、固体物質の相互作用半径も評価したい場合は、第1実施態様が適している。
そのため、上記第1実施態様の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法と、上記第2実施態様の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法とを組み合わせることにより、固体物質の相互作用半径を評価でき、かつ、より精度高く固体物質の凝集エネルギー密度を測定することが可能となる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
表1に示される、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項(δd2、δp2およびδh2)が既知である複数種の溶媒を準備した。次いで、ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製 コスモシャインA-4100、厚さ50μm)に対する各溶媒の接触角を、接触角測定装置(協和界面科学(株)製 DM700)を用い、液適法(解析方法:θ/2法)で液量3μLにて測定した。接触角の測定結果を表1に示す。
次いで、このポリエステルフィルムにかかる凝集エネルギー密度を、凝集エネルギー密度を計算するコンピュータソフトウェア HSPiP ver.3.1.19を用いて算出し、ポリエステルフィルムの凝集エネルギー密度と仮定した。算出したポリエステルフィルムの凝集エネルギー密度はδd1=16.40、δp1=9.20、δh1=9.70であった。
次に、上記算出した凝集エネルギー密度の仮定値に基づいて、各溶媒とのRaを算出した。測定で得た接触角とRaとの相関係数を算出し、ポリエステルフィルムの凝集エネルギー密度を変化させて、相関係数が最大となるような凝集エネルギー密度を求めたところ、δd1=16.33、δp1=9.29、δh1=9.81となり、相関係数は0.999であった。
(実施例2)
表2に示される、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項(δd2、δp2およびδh2)が既知である複数種の溶媒を準備した。次いで、実施例1におけるポリエステルフィルム(東洋紡(株)製 コスモシャインA-4100、厚さ50μm)をポリエチレンフィルム(東洋紡(株)製 リックス L6102、厚さ50μm)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエチレンフィルム表面に対する各溶媒の接触角を測定した。接触角の測定結果を表2に示す。
次いで、このポリエチレンフィルムムにかかる凝集エネルギー密度を、凝集エネルギー密度を計算するコンピュータソフトウェア HSPiP ver.3.1.19を用いて算出し、ポリエチレンフィルムの凝集エネルギー密度と仮定した。算出したポリエチレンフィルムの凝集エネルギー密度はδd1=18.10、δp1=3.20、δh1=2.00であった。
次に、上記算出した凝集エネルギー密度の仮定値に基づいて、各溶媒とのRaを算出した。測定で得た接触角とRaの相関係数を算出し、ポリエチレンフィルムの凝集エネルギー密度を変化させて、相関係数が最大となるようなポリエチレンフィルムの凝集エネルギー密度を求めたところ、δd1=18.26、δp1=3.20、δh1=2.00となり、相関係数は0.999であった。

Claims (2)

  1. 固体物質の凝集エネルギー密度を測定する固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法であって、
    下記式(1):
    c=(ΔE /V)+(ΔE /V)+(ΔE /V) (1)
    (上記式(1)中、
    c[J/cm]は凝集エネルギー密度、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
    V[cm/mol]はモル体積を示す。)
    で示される凝集エネルギー密度が既知である複数種の溶媒を準備する溶媒準備工程と、
    前記固体物質に対する前記溶媒の接触角を測定する接触角測定工程と、
    前記固体物質の凝集エネルギー密度を仮定し、下記式(5):
    ={4×(δd2-δd1+(δp2-δp1+(δh2-δh11/2 (5)
    (上記式(5)中、
    は、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間における、溶媒および固体物質間の距離、
    δd1は固体物質の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
    δp1は固体物質の凝集エネルギー密度の双極子間力項、
    δh1は固体物質の凝集エネルギー密度の水素結合力項、
    δd2は溶媒の凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
    δp2は溶媒の凝集エネルギー密度の双極子間力項、
    δh2は溶媒の凝集エネルギー密度の水素結合力項
    を示し、δd2、δp2およびδh2は下記式(6-1)~(6-3):
    δd2=(ΔE /V)1/2 (6-1)
    δp2=(ΔE /V)1/2 (6-2)
    δh2=(ΔE /V)1/2 (6-3)
    (上記式(6-1)~(6-3)中、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
    V[cm/mol]はモル体積を示す。)
    で示される。)
    において、δd1、δp1およびδh1を変動させることにより、上記式(5)で表されるRと前記接触角との相関係数が最大になるようなδd1、δp1およびδh1を求める凝集エネルギー密度決定工程と、
    を有する、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法。
  2. 第1の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法と、第2の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法とを組み合わせる、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法であって、
    前記第2の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法が、請求項に記載の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法であり、
    前記第1の固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法が、
    下記式(1):
    c=(ΔE /V)+(ΔE /V)+(ΔE /V) (1)
    (上記式(1)中、
    c[J/cm]は凝集エネルギー密度、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
    V[cm/mol]はモル体積を示す。)
    で示される凝集エネルギー密度が既知である複数種の溶媒を準備する溶媒準備工程と、
    前記固体物質に対する前記溶媒の接触角を測定する接触角測定工程と、
    前記接触角の大きさによって前記溶媒を良溶媒および貧溶媒に分類する分類工程と、
    下記式(4-1)~(4-3):
    δ=(ΔE /V)1/2 (4-1)
    δ=(ΔE /V)1/2 (4-2)
    δ=(ΔE /V)1/2 (4-3)
    (上記式(4-1)~(4-3)中、
    δは凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、
    δは凝集エネルギー密度の双極子間力項、
    δは凝集エネルギー密度の水素結合力項、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーのロンドン分散力成分、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの双極子間力成分、
    ΔE [J/mol]は凝集エネルギーの水素結合力成分、
    V[cm/mol]はモル体積を示す。)
    で示される前記溶媒の前記凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を、凝集エネルギー密度のロンドン分散力項、双極子間力項および水素結合力項を座標軸とする三次元空間にプロットし、前記良溶媒の座標を含み、前記貧溶媒の座標を含まない球を求める球決定工程と、
    前記球の中心座標を前記固体物質の凝集エネルギー密度とする凝集エネルギー密度決定工程と、
    を有する、固体物質の凝集エネルギー密度の測定方法。
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