JP2017172058A - 交編物及び交編手袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】異繊度のアラミド繊維で構成される紡績糸として、太繊度の紡績糸を用いることで、柔軟性を損なわず、かつ耐切創性を向上させることができる交編物及び交編手袋を提供する。
【解決手段】単繊維繊度が異なる2種以上のアラミド紡績糸の交編物であって、単繊維繊度が2.8〜8.0dtexのパラ系アラミド短繊維Aで構成される紡績糸Aから選ばれる少なくとも1種:90〜10質量%と、単繊維繊度が1.2〜2.7dtexのアラミド短繊維Bで構成される紡績糸Bから選ばれる少なくとも1種:10〜90質量%と、の引揃え紡績糸を用いて編成されてなることを特徴とする交編物及び交編手袋。
【選択図】図1

Description

本発明は、単繊維繊度が異なる2種以上のアラミド紡績糸を編成してなる、耐切創性かつ柔軟性に優れる交編物及び交編手袋に関する。
ナイロン、ポリエステル、アクリル繊維等の汎用熱可塑性合成繊維は、柔軟で快適な衣料用繊維であるが、刃物類や剪断応力によって切れ易く、摩耗して穴開きし易い。従ってこれらの汎用熱可塑性合成繊維は、身辺が危険に曝されるおそれの大きい場面で使用される衣料製品、例えば消防服、レーシングスーツ、製鉄用作業服または溶接用作業服、及び作業用手袋などの防護用の繊維素材として適しているとはいえない。
一方、硬い素材から得られるガラス繊維、セラミック繊維及び金属繊維は、耐切断性に優れた素材であるが、柔軟性が低く、軽量性にも欠ける。また、フィラメントの自由端が作業者や使用者の身体を刺す危険性があり、これまた防護用の繊維素材として適しているとはいえない。
ナイロンやポリエステル繊維等の汎用熱可塑性合成繊維は、250℃前後で溶融し、限界酸素指数が約20前後で、空気中で良く燃焼するのに対して、アラミド繊維等の高機能繊維は、250℃前後では溶融せず(約400〜500℃で分解する)、限界酸素指数が29〜30で空気中では炎を近づけると燃焼するが、炎を遠ざけると燃焼を続けることができない耐熱性と難燃性に優れた素材である。それ故、アラミド繊維は、炎や高熱に曝される危険性の高い場面で使用される衣料製品、例えば消防服、レーシングスーツ、製鉄用や溶接用の作業服、手袋などの防護衣料として好んで用いられている。中でも、耐熱性、高強度特性、耐創傷性を有するパラ系アラミド紡績糸は、切創防止のための作業用手袋などに利用されている。
しかし、アラミド紡績糸を用いて手袋を製造する場合、該繊維の剛性が高いため、紡績糸の切創力と引張強力あるいは柔軟性とは互いに取り合いの関係にあり、これらの特性バランスの良い紡績糸を得ることは極めて難しいという問題がある。即ち、切創力や引張強力を高めようとすると柔軟性が劣るものとなり、柔軟性を高めようとすると切創力や引張強力が低下する。
特許文献1及び特許文献2には、繊維強化樹脂複合体において、単繊維繊度1.9dtex以下のメタ系アラミド繊維と、1.3dtex以下のパラ系アラミド繊維を混紡した紡績糸を用いることが提案されている。かかる提案では、紡績糸織編布と樹脂との親和性や切削加工性を向上させるべく、メタ系/パラ系アラミド繊維を所定の比率で混紡し、かつ、混紡糸の強力を向上させるために、アラミド繊維の単繊維繊度を細くして混紡糸中の単繊維本数を増やしている。しかしながら、メタ系/パラ系アラミド繊維の混紡によって混紡糸の強力向上は認められるが、加工性はメタ系アラミド繊維単独の場合と同等であり、切創力に優れる紡績糸も得られていない。
一方、特許文献3には、手袋の表面に表れる糸条の単繊維繊度と、裏面に表れる糸条の単繊維繊度とを異ならせることで、長時間着用した時でも着用中に肌から発生した汗が手袋内に溜まることを防止し、肌に蒸れやベトツキを感じさせないようにしたアラミド手袋が提案されている。表面を単繊維繊度1.65dtexの紡績糸、裏面を単繊維繊度1.65dtexのフィラメント捲縮糸で構成することにより、着用快適性に優れる手袋が得られている。しかし、表裏面を共に単繊維繊度1.65dtexの紡績糸で構成した従来の手袋に比べて耐切創性が劣るものとなっている。
また、特許文献3には、手袋の裏面糸条と表面糸条の単繊維繊度を異ならせ、繊度が小さい方の糸条と大きい方の糸条の繊度比を1:1.2〜6.0とすることが好ましく、汗の透水・拡散性を十分に発揮させ、かつ、風合いが粗硬になることを抑えるためには、表面糸条の単繊維繊度が約1.0dtex未満(具体的には0.67dtex)が好ましく、裏面糸条の単繊維繊度が約1.0〜2.0dtex程度(具体的には1.67dtex)にすることが、裏面における吸水能力や肌触りの観点から好ましいことが開示されている。
上記のように、異繊度のアラミド繊維を用いてアラミド紡績糸や編織物の特性を改善する提案が、幾つかなされている。しかし、いずれの提案も、アラミド繊維の標準的な単繊維繊度1.67dtexをベースにして、それよりも単繊維繊度が小さいアラミド繊維を併用し、糸本数を増やすことにより強力を向上させる、あるいは、繊維間の隙間を小さくして水分の吸収や移動・拡散機能を高めることを狙いとするものである。
特開2002−113788号公報 特開平8−174689号公報 再表2004−041011号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、異繊度のアラミド繊維で構成される紡績糸の一部に太繊度の紡績糸を用いることで、柔軟性を損なわず、かつ耐切創性を向上させることができる交編物及び交編手袋を提供せんとするものである。
上記課題を解決するため、本発明者等は、紡績糸を構成するアラミド繊維の単繊維繊度と、紡績糸の引張強力と、織編物の耐切創性や柔軟性との関係について鋭意検討を重ねて来た。そして、単繊維繊度が大きい、即ち太繊度のパラ系アラミド短繊維で構成される紡績糸を、該紡績糸より細繊度のアラミド短繊維で構成される紡績糸と引き揃え、該引揃え紡績糸を用いて交編して編物を作製した結果、手指の動作性(動かし易さ、曲げ易さ)が良好で、かつ編地の耐切創性が向上することを見出し、従来互いに取り合いの関係にあると考えられていた両特性を全て向上させ得る交編物に到達した。
即ち、本発明は、以下の通りである。
1)単繊維繊度が異なる2種以上のアラミド紡績糸の交編物であって、
単繊維繊度が2.8〜8.0dtexのパラ系アラミド短繊維Aで構成される紡績糸Aから選ばれる少なくとも1種:90〜10質量%と、
単繊維繊度が1.2〜2.7dtexのアラミド短繊維Bで構成される紡績糸Bから選ばれる少なくとも1種:10〜90質量%と、の引揃え紡績糸を用いて編成されてなることを特徴とする交編物。
2)引揃え紡績糸は、該引揃え紡績糸における短繊維Aの混率をY(質量%)、短繊維Bの混率を100−Y(質量%)としたとき、下記の式(1)を満たしている上記1)に記載の交編物。
AF×Y≧BF×(100−Y) (1)
(AF;短繊維Aの単繊維繊度(dtex)、BF;短繊維Bの単繊維繊度(dtex))
3)引揃え紡績糸を構成する紡績糸A及び紡績糸Bは、双糸であり、該双糸の撚り方向は単糸の撚り方向と逆であり、該双糸の下記の式(2)で算出される撚り係数Kが2.5〜6.0である上記1)または2)に記載の交編物。
撚係数 K=T/s1/2 (2)
T:撚数(回/25.4mm)
s:綿番手
4)引揃え紡績糸を構成する紡績糸A及び紡績糸Bは、双糸と単糸の混合であり、該双糸及び単糸の撚り係数Kが2.5〜6.0である上記1)〜3)のいずれかに記載の交編物。ただし、撚り係数Kの定義は前記式(2)と同一である。
5)短繊維Bがパラ系アラミド短繊維である上記1)〜4)のいずれかに記載の交編物。
6)上記1)〜5)のいずれかに記載の交編物で構成される交編手袋。
7)引揃え紡績糸を構成する紡績糸A及び紡績糸Bの合計本数(単糸換算)が、2〜15本である上記6)に記載の交編手袋。
本発明によれば、単繊維繊度が大きい太繊度パラ系アラミド短繊維で構成される紡績糸を、細繊度アラミド短繊維で構成される紡績糸と引き揃え、該引揃え紡績糸を用いることにより、柔軟性かつ耐切創性が向上した交編物を得ることができる。前記交編物を用いた手袋は、アラミド繊維の標準的な単繊維繊度1.67dtexの短繊維で構成される紡績糸のみで編成した手袋の1.2倍〜1.3倍の耐切創性を有しており、かつ手指の動作性(動かし易さ、曲げ易さ)が良好である。そのため、より高度の耐切創性が求められる用途へ適用することが可能である。
引揃え紡績糸における太繊度アラミド短繊維の混率(質量%)と、編成した手袋(7ゲージ)の耐切創性との関係を示すグラフである。 引揃え紡績糸における太繊度アラミド短繊維の混率(質量%)と、編成した手袋(10ゲージ)の耐切創性との関係を示すグラフである。
以下、本発明の交編物について詳細を説明する。
本発明の交編物は、単繊維繊度が異なる2種以上のアラミド紡績糸の交編物であって、単繊維繊度が2.8〜8.0dtexのパラ系アラミド短繊維Aで構成される紡績糸Aから選ばれる少なくとも1種:90〜10質量%と、単繊維繊度が1.2〜2.7dtexのアラミド短繊維Bで構成される紡績糸Bから選ばれる少なくとも1種:10〜90質量%と、の引揃え紡績糸を用いて編成されてなることを特徴とする。
本発明の交編物では、紡績糸Aに用いられる短繊維Aの単繊維繊度が2.8〜8.0dtexと大きく、短繊維Aの単繊維繊度は、紡績糸Bに用いられる短繊維Bの単繊維繊度1.2〜2.7dtexと重ならない。これにより、主に紡績糸Aに起因する耐切創性と、主に紡績糸Bに起因する引張強力とを兼備する引揃え紡績糸が得られ、高度な耐切創性が求められる防護材用途等に好適な交編物を作製することが可能になる。
紡績糸Aに用いられる短繊維Aの単繊維繊度が2.8dtex以上であれば、交編物に対する耐切創性の向上効果が顕著になるが、より好ましくは3.0dtex以上、さらに好ましくは3.2dtex以上である。また、紡績糸Aに用いられる短繊維Aの単繊維繊度が8.0dtex以下であれば、手袋の手指の動作性が良好な柔軟性のある交編物を得ることができるが、より好ましくは5.0dtex以下、さらに好ましくは4.8dtex以下である。
一方、紡績糸Bに用いられる短繊維Bの単繊維繊度が1.2〜2.7dtexであれば、紡績糸Aとの引揃え紡績糸における引張強力が保持され、かつ柔軟性のある交編物が得られる。引張強力と柔軟性のさらなる効果が得られ易いという観点より、より好ましくは1.4〜2.6dtexである。
また、本発明で用いられる紡績糸Aと紡績糸Bの引揃え紡績糸においては、短繊維Aの混率Y(質量%)、短繊維Bの混率100−Y(質量%)としたとき、下記の式(1)を満たすことが好ましい。
AF×Y≧BF×(100−Y) (1)
(AF;短繊維Aの単繊維繊度(dtex)、BF;短繊維Bの単繊維繊度(dtex))
即ち、AF、Y、BF、100−Yの4要素が上記の式(1)を満たすことにより、短繊維Aにおける単繊維繊度AFと混率Yの積が、短繊維Bにおける単繊維繊度BFと混率(100−Y)の積と同等以上であれば、紡績糸の引張強力が単繊維本数に比例することとも合致するため、引張強力及び切創性を確保し易い引揃え紡績糸が得られやすくなるからである。かかる観点より、引揃え紡績糸における短繊維Aの混率(Y)が40〜90質量%であることがより好ましい。
本発明の引揃え紡績糸において、短繊維Bを構成するアラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維が、それぞれ単独で、または、組合せて用いられる。ここで、メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(デュポン社製、商品名「ノーメックス」)が挙げられ、パラ系アラミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン社製、商品名「ケブラー」)、コポリパラフェニレン−3,4'−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商品名「テクノーラ」)等が挙げられる。これらのアラミド繊維の中でも、特に、高弾性率で、引張強さ、切創力に優れている点より、パラ系アラミド繊維が好ましい。
また、短繊維Aを構成するパラ系アラミド繊維は、上記のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン社製、商品名「ケブラー」)、コポリパラフェニレン−3,4'−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商品名「テクノーラ」)等のいずれであっても良い。
短繊維A及び短繊維Bの繊維長は、紡績糸A及びBの柔軟性や紡績工程等における加工性の観点から、25〜1000mmが好ましく、さらに好ましくは30〜100mm、特に好ましくは30〜65mmである。
本発明で用いる紡績糸A及びBは、捲縮を有する連続糸条または捲縮を有しない連続糸条を短くカットした後、既存の綿紡績、スフ紡績または梳毛紡績設備で製造することができる。紡績糸の太さは、用途にもよるが、通常40s〜5s番手の範囲で好ましく使われる。5s未満では紡績糸の加工性が劣り、40sを超えると引張強力に優れる紡績糸を得ることが難しくなる。織編物や手袋の編み立てに用いる紡績糸の好ましい形態は、紡績糸単糸、または、紡績糸単糸を2本引きそろえて紡績糸単糸と逆方向に撚糸した紡績糸双糸である。紡績糸双糸の番手は、40/2s〜5/2sが望ましく、前記範囲内であれば加工性が著しく損なわれることがない。
なお、英式綿番手は、453.6g(1ポンド)あたりの糸の長さが768.10m(840ヤード)のものを1番手といい、糸が細くなると番手数が大きくなる。
本発明の紡績糸A及びBを得るには、紡績糸単糸及び紡績糸双糸を、次の式(2)で求められる撚係数(K)が2.5〜6.0の範囲で加撚することが好ましい。撚係数(K)が2.5より小さいと、アラミド短繊維同士の絡みが弱くなりすぎ、該短繊維の端部が紡績糸からはみ出し、ちくちく感の多い織編物となり易い。一方、撚係数(K)が6.0より大きいと、強撚になりすぎて二重撚の発生が強くなって加工性が悪化し、紡績糸の引張強度も低下し、また風合いが悪化する傾向がある。より好ましい撚係数(K)は2.5〜3.5の範囲である。紡績糸単糸の撚方向は、S、Zのいずれでもよい。紡績糸双糸の撚り方向は単糸の撚り方向と逆が好ましい。
撚係数 K=T/s1/2 (2)
T:撚数(回/25.4mm)
s:綿番手
交編物作製用の引揃え紡績糸は、紡績糸Aと紡績糸Bの合計本数(単糸換算)2〜15本で構成することが好ましい。紡績糸A及び紡績糸Bは、ともに双糸であっても良いし、双糸と単糸の混合であっても良い。
また本発明の交編物は、本発明の引揃え紡績糸100%で構成することが、該引揃え紡績糸が有する高い切創力、引張強力と言った優れた特性が如何なく発揮される点で好ましいが、他の繊維や糸との併用でもよい。好ましくは、本発明の引揃え紡績糸が交編物製品全体の重量のうち、70〜100%の範囲とするのがよい。
交編手袋は、例えば、島精機製作所製の手袋編機によって作製することができる。紡績糸Aおよび紡績糸Bの引き揃え糸を、通常法にて手袋の外表面および内面にランダムに配置するように編み込むことができ、また、引き揃え糸のいずれかの紡績糸を主に手袋の外表面に配置し、引き揃え糸のもう一方の紡績糸を主に手袋の内面に配置する、プレーティング法も用いることができる。プレーティング法においては、目的に応じて、紡績糸Aおよび紡績糸Bの引き揃え糸を、手袋の外表面/内面に配置することができる。
さらに、本発明の交編物を用いた製品は、全てを、本発明の引揃え紡績糸で構成してもよく、またはそれらを部分的に使用することでもよい。例えば、作業用手袋では、作業内容により指先部分や掌部分だけのように、特定の部分に本発明の交編物等を使うことができる。交編物を用いた製品には、必要に応じ、樹脂コーティングを施すこともできる。
本発明の交編物及び交編手袋は、耐切創性に優れていることから、とりわけ厳しい使用環境条件が要求される用途に特に適している。これには、直接防護目的として使用されるものは勿論、結果的に防護機能が果たされるものも含まれ、具体的には、作業用または工業用手袋の他、腕カバー、前掛け、足首カバー、作業靴、地下足袋、溶接用作業衣等の防護衣料;スポーツ用上着、同ズボン、同シューズ、野球やサッカー用のソックス、フェンシングユニフォーム等のスポーツ用衣料;消防服、溶接作業用カーテン;消防用ホース、タイヤコード、椅子張布、各種補強布等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、交編物の編地がよこ編地の場合は、伸縮性があるため、より高度の耐切創性が求められる衣服(レーシングスーツ、インナースーツ等)、破裂強力を必要とするホースの補強布等として使用することが可能である。交編物の編地がたて編地の場合は、編地が安定しているため、自動車・車輌・航空機用の椅子張り布、カーテン、シューズ等として使用することが可能である。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例における各特性値の測定方法は次の通りである。
[紡績糸の試験方法]
JIS L 1095:2010「一般紡績糸試験方法」9.5(単糸引張強さ及び伸び率)JIS法 a)標準時、9.8(引掛強さ)に準拠し、紡績糸単糸及び紡績糸双糸の引張強力を評価した。引張試験機にて、つかみ間隔250mm、引張速度300mm/minで試料が切断したときの荷重(N)を測定した。
[切創力及び耐切創性(切れ難さ:Cut resistance)]
JIS T 8052:2005「防護服−機械的特性−鋭利物に対する切創抵抗性試験方法」に準拠し、手袋の手の平部の切創力(N)を測定した。切創力(N)を織編物の目付(g/m)で除して100倍した、耐切創性を求めた。耐切創性の値が大きいほど切れ難いと判定した。
[柔軟性]
実施例及び比較例で作成した手袋を着用した際の装着感及び手指の動作性(動かし易さ、曲げ易さ)について判定し、柔らかくかつ手指の動作性が良いものを「○」、硬いものを「×」と判定した。
(実施例1〜3、比較例1〜2)
パラ系アラミド短繊維Aとして、東レ・デュポン社製パラ系アラミド繊維ステープル(商品名Kevlar(R)29、引張強度15.7cN/dtex、限界酸素指数29、単繊維繊度3.33dtex、繊維長51mm、捲縮数8山/2.54cm)を使用した。
パラ系アラミド短繊維Aを、常法により、打綿工程で混ぜ合わせた後、紡績工程の梳綿、練条、粗紡、リング精紡の各工程を通し、撚り数13.0(回/2.54cm)、撚り方向Zの紡績糸A単糸20s(綿番手)を作製した。撚り係数K=2.9である。
得られた紡績糸A単糸を2本引き揃え、撚り数8.4(回/2.54cm)で単糸と逆方向のS方向に撚糸して、紡績糸A双糸20/2s(綿番手)を得た。撚り係数K=2.7である。撚数比率(双糸撚数/単糸撚数)は65%とした。
パラ系アラミド短繊維Bとして、東レ・デュポン社製パラ系アラミド繊維ステープル(商品名Kevlar(R)29、引張強度17.6cN/dtex、限界酸素指数29、単繊維繊度1.67dtex、繊維長51mm、捲縮数8山/2.54cm)を使用した。
パラ系アラミド短繊維Bを、常法により、打綿工程で混ぜ合わせた後、紡績工程の梳綿、練条、粗紡、リング精紡の各工程を通し、撚り数13.0(回/2.54cm)、撚り方向Zの紡績糸B1の単糸20s(綿番手)を作製した。撚り係数K=2.9である。
得られた紡績糸B1単糸を2本引き揃え、撚り数8.4(回/2.54cm)で単糸と逆方向のS方向に撚糸して、紡績糸B1双糸20/2s(綿番手)を作製した。撚り係数K=2.7である。撚数比率(双糸撚数/単糸撚数)は65%とした。
次に、得られた紡績糸A双糸(20/2s)と紡績糸B1双糸(20/2s)を、計5本、表2に示す比率で引き揃えた糸を、7ゲージタイプの手袋編み機(株式会社島精機製作所)に供給して、表2に示す目付の手袋を編みあげた。
(実施例4〜5、比較例3〜4)
実施例1で作製した紡績糸Aの単糸と双糸、紡績糸B1の単糸と双糸を、単糸換算で計5本、表2に示す比率で引き揃えた糸を、10ゲージタイプの手袋編み機(株式会社島精機製作所)に供給して、表2に示す目付の交編手袋を編みあげた。
(実施例6)
アラミド短繊維Bとして、東レ・デュポン社製パラ系アラミド繊維ステープル(商品名Kevlar(R)29、引張強度16.8cN/dtex、限界酸素指数29、単繊維繊度2.5dtex、繊維長51mm、捲縮数8山/2.54cm)を使用した以外は、実施例1と同様にして紡績糸B2の単糸を作製した。
得られた紡績糸B2の単糸1本と、実施例1で作製した紡績糸Aの双糸2本、単糸換算で計5本を引き揃えた糸を、10ゲージタイプの手袋編み機(株式会社島精機製作所)に供給して、目付け350g/mの交編手袋を編みあげた。
実施例及び比較例で得られた紡績糸の特性を表1に、また、引揃え紡績糸の構成、及びそれを用いて編み上げた手袋の特性を評価した結果を表2に示す。
また、実施例1〜3及び比較例1〜2における、太繊度短繊維Aの混率と手袋の耐切創性との関係を図1に、実施例4〜5及び比較例3〜4における、太繊度短繊維Aの混率と手袋の耐切創性との関係を図2に示す。
表2の結果より、7ゲージ手袋編機で作製した交編手袋(実施例1〜3)は、ソフトでボリューム感豊かな風合いを有しており、図1に示すように、紡績糸Aの混率が高くなるにしたがい手袋の耐切創性が向上した。紡績糸A/紡績糸Bを9/1〜1/9(質量比)の比率で引揃えた糸を用いることにより、目標値である10.5N以上の切創力を達成することができた。引揃え紡績糸における短繊維A、Bの比率が上記の式(1)を充足する場合は、より一層切創性が良好であった。
また、表2の結果より、10ゲージ手袋編機で作製した交編手袋(実施例4〜5)は、ソフトでボリューム感豊かな風合いを有しており、図2に示すように、紡績糸Aの混率が高くなるにしたがい手袋の耐切創性が向上した。紡績糸A/紡績糸Bを9/1〜1/9(質量比)の比率で引揃えた糸を用いることにより、目標値である8.0N以上の切創力を達成することができた。
また、紡績糸Aと引揃える紡績糸Bの単繊維繊度を変えた場合(実施例6)も、実施例5とほぼ同様の耐切創性を有する交編手袋が得られた。
本発明の交編物は、消防服、レーシングスーツ、製鉄・溶接用作業服、溶接用前掛け、耐熱作業用シート等として、また、本発明の交編手袋は、作業用手袋等として、高度な耐切創性が求められる用途に好適である。

Claims (7)

  1. 単繊維繊度が異なる2種以上のアラミド紡績糸の交編物であって、
    単繊維繊度が2.8〜8.0dtexのパラ系アラミド短繊維Aで構成される紡績糸Aから選ばれる少なくとも1種:90〜10質量%と、
    単繊維繊度が1.2〜2.7dtexのアラミド短繊維Bで構成される紡績糸Bから選ばれる少なくとも1種:10〜90質量%と、の引揃え紡績糸を用いて編成されてなることを特徴とする交編物。
  2. 引揃え紡績糸は、該引揃え紡績糸における短繊維Aの混率をY(質量%)、短繊維Bの混率を100−Y(質量%)としたとき、下記の式(1)を満たしている請求項1に記載の交編物。
    AF×Y≧BF×(100−Y) (1)
    (AF;短繊維Aの単繊維繊度(dtex)、BF;短繊維Bの単繊維繊度(dtex))
  3. 引揃え紡績糸を構成する紡績糸A及び紡績糸Bは、双糸であり、該双糸の撚り方向は単糸の撚り方向と逆であり、該双糸の下記の式(2)で算出される撚り係数Kが2.5〜6.0である請求項1または2に記載の交編物。
    撚係数 K=T/s1/2 (2)
    T:撚数(回/25.4mm)
    s:綿番手
  4. 引揃え紡績糸を構成する紡績糸A及び紡績糸Bは、双糸と単糸の混合であり、該双糸及び単糸の撚り係数Kが2.5〜6.0である請求項1〜3のいずれかに記載の交編物。ただし、撚り係数Kの定義は前記式(2)と同一である。
  5. 短繊維Bがパラ系アラミド短繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の交編物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の交編物で構成される交編手袋。
  7. 引揃え紡績糸を構成する紡績糸A及び紡績糸Bの合計本数(単糸換算)が、2〜15本である請求項6に記載の交編手袋。
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