JP2017171982A - 焼結原料用の造粒物 - Google Patents

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Abstract

【課題】造粒物の付着層内に転炉スラグと微粉原料を配置し、母材から生じる融液中に転炉スラグを取り込み、焼結成品への歩留が高い焼結原料用の造粒物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、粒径最大長さが1.0mmを超える核粒子2を有し、核粒子2の外周囲には母材4と転炉スラグ5からなる付着層3が形成され、母材4が、鉄鉱石、スケール、ダスト、石灰石,消石灰、硅石、ドロマイト、粉コークスの1種類以上含み且つ粒径の最大長さが500μm以下の粒子で構成された焼結原料用の造粒物1において、付着層3全体の最大厚みは1.0mm以上3.5mm以下、母材4の平均成分の比[CaO(wt%)/Fe2O3(wt%)]は0.15以上0.49以下、転炉スラグ5は粒子径の最大長さが1.0mm以下で且つ転炉スラグ5全体に対して粒径が0.5mm以上の割合が50%以上、付着層3全体における転炉スラグ5の体積率が0より大きく40vol%以下となるように付着層3内に転炉スラグ5が配置される。
【選択図】図14

Description

本発明は、焼結鉱の製造に用いられる焼結原料用の造粒物に関する。
焼結とは、カルシウムフェライト系の融液源となる石灰石をバインダ(糊)とし、粉コークスを燃焼させたときの燃焼熱で、粉鉱石同士を融液によるスラグ結合で塊成化して、焼結鉱を製造するプロセスである。
ところで近年では、焼結工場に対しては、製鉄所内の各プロセスで生じる発生品(副産物)を、有価な鉄源としてリサイクルする役割が期待されている。焼結工場でリサイクルされる対象となる発生品の一つとしては、例えば、路盤材などの原料として商品化されている製鋼スラグが挙げられる。
このような製鋼工程で発生する製鋼スラグ(例えば、脱珪スラグ、脱硫スラグ、脱燐スラグ、転炉スラグなど)には、精錬特性を発現させるため、CaO、MgOなどが多く含まれている。これらCaO、MgOなどは、焼結成品の強度や被還元性を発揮させるのに必要な要素であり、通常は焼結原料として石灰石やドロマイト等の鉱物により、添加されている。
そのため、製鋼スラグのなかでも、比較的P、Sの濃度が低い転炉スラグを、焼結原料としてリサイクル処理をすることで、副原料使用量の削減、及び、スラグ処理費用削減など、コストに対して多くのメリットが得られる。
転炉スラグを使用した焼結原料用の造粒物を用いて、焼結鉱を製造する技術としては、例えば、特許文献1〜4に開示されているものがある。
特許文献1は、製鋼スラグ中のCaOを最大限、同化反応に活用し、焼結歩留まりの向上を図ることを目的としている。
具体的には、同文献は、まず転炉スラグを粒径が1〜3mmの分級点で、粗粒と細粒に分ける。細粒とされた転炉スラグは遊離CaOが多いため、生石灰の代替材として使用する。その細粒転炉スラグと、その他配合原料と混合・造粒して、造粒物Aを製造する。また、粗粒とされた転炉スラグは核として使用する。その粗粒転炉スラグの外周囲に、石灰石と鉄鉱石の微粉からなる付着層を形成して、造粒物Bを製造する。これら造粒物AとBを混合し、焼結機のパレット上に供給して焼結鉱を製造する。
特許文献2は、脱硫スラグに含まれる遊離CaO、及び、金属鉄を有効に活用し、製鉄プロセスで再利用することを目的としている。
具体的には、同文献は、脱硫スラグを粒径が0.5mmから1.5mmの範囲内の分級点で篩分けし、篩上に残留した脱硫スラグを粉砕して分級点以下の粒度に調整し、その調整した脱硫スラグと、篩下の脱硫スラグを混合して破砕スラグとし、その破砕スラグを焼結原料として使用して、焼結鉱を製造する。
特許文献3は、低シリカ塊成鉱を製造するにあたり、投棄困難となった転炉スラグを、塊成鉱製造プロセスに利用することを目的としている。
具体的には、同文献は、転炉スラグを粒度が-3mm(3mmアンダー)となるように粉砕して、平均粒径が0.4〜0.6mmとなるように粒度調整し、塩基度CaO/SiO2を1.80〜2.20に維持するように、転炉スラグを石灰石または生石灰の代替として、フラックスとして使用して、塊成鉱を製造する。
特許文献4は、転炉スラグを塊成鉱製造プロセスにおいて、ゲーサイト鉱石を多量に使用することを目的としている。
具体的には、同文献は、粒度が10mm以下のゲーサイト粉鉱石に、予め粒度が-1mm(1mmアンダー)となるように粉砕し、粒度が-0.125mm(0.125mmアンダー)が30%以上になるように粒度調整した転炉スラグを添加・混合して、疑似粒子化させることで、ゲーサイト鉱石表面に転炉スラグを被覆する。
特開2015−183289号公報 特開2015−120963号公報 特開平5−51653号公報 特開平5−43953号公報
さて、焼結原料用の造粒物(疑似粒子)は、核粒子と、核粒子の外周囲に形成される付着層(被覆層)を有している。なお、ここでの付着層とは、リサイクルされた転炉スラグと、例えば、微粉鉱石や石灰石、製鉄所内で発生するダストなどで構成される母材を合わせた全体を指す。
転炉スラグは、含有する高融点のMgOや、微量の成分の影響により、高温になるまで溶融同化し難い特性を有している。
ここで、図1に示すように、転炉スラグと石灰石を比較すると、石灰石が1250℃で溶融同化が完了するのに対し、転炉スラグは1300〜1350℃で溶融同化が完了する。このことより、転炉スラグは、焼結結合強度を高めるためのバインダ(糊)としての役割が弱いことが分かる。
そのため、転炉スラグは、焼結成品(焼結原料用の造粒物)へ溶融同化しにくく、焼結成品への転炉スラグ歩留は低くなる。
また、溶融同化性の悪い高粘性(低流動性)の融液は、焼結充填層の通気を阻害し、生産性低下の弊害が生じることが知られている。
ところで、特許文献1の造粒物は、同文献の図5に示すように、粒径が1〜3mm、特に好ましくは3mm以上の粗粒転炉スラグを核粒子と規定し、この核粒子の周囲に石灰石と鉄鉱石の微粉を付着させた層構成としている。
しかしながら、特許文献1には、造粒物の付着層に、粒径が1mm以下の中粒転炉スラグを配置した疑似粒子構造の規定に関する記載がされておらず、中粒転炉スラグを対象とした技術ではない。
特許文献2、3においては、造粒後の疑似粒子に形成されている被覆層の厚みに関する記載がされていないため、被覆層における中粒転炉スラグの配置状況が不明である。また、被覆層の組成に関しての明確な記載がないため、被覆層中の融液生成による転炉スラグを取り込む効果が不明である。
特許文献4においては、転炉スラグ以外の被覆層原料の粒度構成、及び、付着層の厚みなどの記載がされていないため、被覆層における中粒転炉スラグの配置状況が不明である。また、被覆層中にFe2O3が存在しないため、本願発明とは目的が異なる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、母材と転炉スラグからなる、造粒物の付着層において、転炉スラグと微粉原料を併用して、造粒物の付着層内に配置することで、溶融同化性の低い転炉スラグを、その外周囲に存在する母材から生成される融液で結合させ、転炉スラグを融液中に取り込んで、焼結成品への歩留を高めることが可能な、焼結原料用の造粒物を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる焼結原料用の造粒物は、粒径の最大長さが1.0mmを超える核粒子を有し、前記核粒子の外周囲には、母材と転炉スラグからなる付着層が形成されていて、前記母材が、鉄鉱石、スケール、製鉄所内で発生するダスト、石灰石及び/又は消石灰、硅石、ドロマイト、粉コークスのうち、少なくとも1種類以上含み、且つ粒子径の最大長さが500μm以下の粒子で構成されている焼結原料用の造粒物において、前記付着層全体の最大厚みは、1.0mm以上3.5mm以下とされており、前記母材の平均成分におけるFe2O3とCaOの比[CaO(wt%)/Fe2O3(wt%)]は、0.15以上0.49以下とされており、前記転炉スラグは、粒子径の最大長さが1.0mm以下であり、且つ、当該転炉スラグ全体に対して、粒子径が0.5mm以上の割合が50%以上とされており、前記付着層全体における前記転炉スラグの体積率が、0より大きく40vol%以下となるように、前記付着層内に当該転炉スラグが配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、母材と転炉スラグからなる、造粒物の付着層において、転炉スラグと微粉原料を併用して、造粒物の付着層内に配置することで、溶融同化性の低い転炉スラグを、その外周囲に存在する母材から生成される融液で結合させ、転炉スラグを融液中に取り込んで、焼結成品への歩留を高めることが可能となる。
石灰石と転炉スラグの溶融同化性を比較したものを模式的に示した図である。 焼結原料用の造粒物(疑似粒子)の断面を示した図である。 疑似粒子の付着層厚みの測定イメージを示した図である。 付着層の厚みによる疑似粒子の強度変化の概略を模式的に示した図である。 付着層厚みと落下抵抗の関係を示した図である。 CaO-Fe2O3系状態を示した図である。 疑似粒子タブレットの概略を模式的に示した図である。 縦型電気炉の概略を模式的に示した図である。 電気炉焼成試験の温度履歴を示した図である。 付着層を模擬したタブレット強度に及ぼすCaO/Fe2O3の影響を示した図である。 焼成時の通気性悪化メカニズムを模式的に示した図である。 転炉スラグ粒度の焼成速度に及ぼす影響を示した図である。 初期の融液生成温度での付着層の溶融同化状態を示した図である。 転炉スラグ/(母材+転炉スラグ)の体積比と、回転強度の関係を示した図である。 本発明の造粒物の概略を模式的に示した図である。 焼結鍋試験装置の概略を模式的に示した図である。 落下抵抗測定装置の概略を模式的に示した図である。 回転強度測定装置の概略を模式的に示した図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて、詳細に説明する。
まず、焼結鉱の製造方法の概略について、述べる。
焼結鉱とは、主たる高炉原料で粉状の鉄鉱石に、石灰石などの溶剤を添加して、焼結機にて、焼き固めたものである。
焼結機では、鉄鉱石を主とする焼結鉱の原料(焼結原料)をパレット台車上に充填し、
下方よりシンタリングファンで大気を吸引して、原料中の粉コークスを連続的に燃焼させて、焼結鉱を製造している(例えば、鉄鋼便覧(製銑 製鋼) 2 焼結,P83)。
そのため、パレット台車上に充填された焼結原料の通気性は、パレット台車を通過する吸引大気量、すなわち酸素供給量に関係しており、粉コークスの燃焼速度、すなわち焼成速度(=生産性)に影響を及ぼす。
そこで焼結プロセスでは、一般的に焼結原料に水を添加し、造粒機(例、ドラムミキサ、パンペレタイザなど)にて疑似粒子にすることで、充填層内の空隙を閉塞させて、焼成時の通気性を悪化させる微粉鉱石を、核となる粗粒鉱石にまぶりつかせて、原料充填層(パレット台車上に充填された焼結原料)における通気性を確保している。
以下に、焼結原料用の造粒物1(疑似粒子)について、図を参照しながら説明する。なお、焼結原料用の造粒物1を疑似粒子と呼ぶこともある。
図2Aは、疑似粒子の一例を示した断面図である。
疑似粒子の断面の状態を顕微鏡で観察すると、粗粒原料である核粒子2の周囲(特に凹部)に微粉原料が付着し、1個の疑似粒子を構成している(参考文献:鉄鋼便覧(製銑 製鋼) 2 焼結,P84)。
核粒子2は、粒径が1mm以上の粒子であり、その外周囲に1mm未満の粒子が付着していることが知られている(参考文献:肥田ら:鉄と鋼,68(82)2166)。
なお、ここでの粒径は、篩分け法による測定値であり、篩の目開き寸法で定義されるものである。
また、粒径(mm)は、参考文献、粉体工学便覧(粉体工学会編,日刊工業新聞社,初版(昭和61年2月28日),P.1)によれば、「粉体は、色々な大きさを持つ多くの粒子からなるが、この構成粒子群の平均的な大きさの概念を粒度と呼び、個々の粒子の大きさの代表寸法を粒子径と呼ぶ。実際の粒子は複雑な形状を有するために、球や直方体などの単純なものに還元した代表寸法が用いられる。」と記されている。
このことから、粒径は粒子径とも表し、粒子の大きさを指す代表寸法である。
また粒子径測定方法の一つとして、「篩い分け法」が挙げられる。篩い分け法とは、篩の見開きの分かった、大小網目の異なる2種の篩いによって粉体を分け、細かい方の篩い網の上に残留した粒子群を、大小2つの目開きの間の粒子径の大きさを有するものとする。
なおここで、篩い目の上に残留した粒子を、篩目寸法を超える粒子径と定義し、通過した粒子を、篩目寸法以下の粒子径と定義する。
例えば、目開き1mmの篩を通過する粒子は1mm以下の粒子径と分類され、通過できない粒子(篩上に残留する粒子)は1mmを超える粒子径と分類される。
したがって、本発明においては、粒子径が1mmを超える粒子を、核粒子2として用いる。
また、核粒子2となる粒子は、一般的には粗粒の鉄鉱石であるが、返鉱(焼結鉱のうち、焼結成品と成らなかった篩下の微粉)、石灰石やドロマイト、硅石、粉コークスなど、粒子径が1mmを超えるものも、核粒子2として用いる。
したがって、本発明においては、粒子径最大長さが1.0mmを超えるものを、核粒子2として用いている。
なお、焼結プロセスで使用される焼結原料は、最大でも粒子径が10mm〜20mmの分級点で分けられた篩下の微粉を使用するため、核粒子2の粒子径最大長さは、大きくとも20mm以下である。
ところで、焼結原料には、鉄鉱石、副原料のみならず、製鉄所内で発生する微粉ダスト類も使用されている。
このような焼結用原料として使用される、製鉄所内で発生するダストには、以下に示すものが存在する。
ダストとしては、例えば、高炉排ガスの乾式・湿式集塵機の集塵ダスト、焼結工場内の篩で発生する返鉱、製鉄所内に配備されている集塵機又はシックナーで回収された集塵ダスト、ペレット工場に配備されているロータリーキルンから排出され脱落したキルンリング、高炉装入前に行われる篩にて発生する篩下、ヤードでの搬送中に落鉱、落骸したものを回収した雑鉱などが挙げられる。
それ故、本発明においては、付着層3を構成する母材4に、鉄鉱石、スケール、製鉄所内で発生するダスト、石灰石及び/又は消石灰、硅石、ドロマイト、粉コークスのうち1種類以上用いることとしている。言い換えれば、母材4は、鉄鉱石、スケール、ダスト、石灰石、消石灰、硅石、ドロマイト、粉コークスを1種類以上含むものである。
さて、先述したように、核粒子2は、粒子径が1mm以上の粒子であり、その外周囲に1mm未満の粒子が付着していることが知られている(参考文献:肥田ら:鉄と鋼,68(82)2166)。
さらに、付着粉(母材4)となりうる粒子径を有する粒子の中でも、特に粒子径が500μm以下の粒子が、核粒子2への付着率が良いとされている。(参考文献:鉄鋼便覧P85,図2-6)
ここでの付着層3を構成する母材4としては、後述する中粒の転炉スラグ5を疑似粒子内に取り込むバインダ(糊)の役割をさせるために、本発明においては、より付着粉として寄与し易い、粒子径が500μm以下の粒子を対象としている。
なお、ここでの母材4の粒子径は、篩分け法による測定値であり、篩の目開き寸法で定義されるものである。例えば、目開き0.5mmの篩を通過する粒子は粒子径が0.5mm以下と分類され、通過できない粒子は粒子径が0.5mmを超えるものと分類される。
したがって、本発明においては、粒子径の最大長さが500μm(0.5mm)以下の粒子を、付着層3を構成する母材4(付着粉)として用いることとしている。なおここでの付着層3(被覆層)とは、転炉スラグ5と母材4を合わせた全体のことを指す。
疑似粒子は、転動造粒されることにより、核粒子2の周りに付着粉(母材4)が積層されるように付着して、付着層3が成長するように形成されてゆくため、最表面層は球形に近くなる(例、雪だるま式)。
図2Bは、球形の疑似粒子における付着層3の厚みの測定方法を示す断面図である。
以下に、疑似粒子における付着層3の厚みの測定方法を示す。
1)造粒した疑似粒子を任意に選び中央部を切断した断面写真を撮影する。
2)付着層3の外表面は、断面写真においておよそ円形であるので、円周上のある点から法線方向に伸ばした直線が核粒子2に接するまでの距離Xi(i=1・・・n)を付着層3の厚みと定義する。
3)付着層3の最大厚み(mm)は、10箇所以上測定したXiのうち、最大値を最大厚みと定義する。
なお、核粒子2は、図2Bに示すように、必ずしも疑似粒子の中央部に存在するわけでなく、形状も略球形とは限らず、歪んでいることもあるため、付着層3の厚みは一つの疑似粒子の中でも、場所によって異なる。
ところで、転炉スラグ5の粒子は、原料充填層(パレット台車上に充填された焼結原料)内に単独で存在すると、バインダ(糊)としての同化性が乏しく焼結成品に歩留にくい
。そのため、転炉スラグ5を付着層3内に配置して、付着層3中の母材4により生成される融液で、その転炉スラグ5を成品(疑似粒子)に取り込む必要がある。
図3中のAに示すように、搬送過程の衝撃などで、付着層3の表面から転炉スラグ5が突出すると、その突出した脆弱部から崩壊し始め、焼成時に転炉スラグ5を付着層3内に保持することができない。そのため、転炉スラグ5を付着層3の表面から突出することなく、疑似粒子内に配置しなければならない。
一方、図3中のCに示すように、疑似粒子の付着層3は、厚みが大きいほど粗大な転炉スラグ5を取り込むことが可能であるが、付着層3の強度は弱いため、厚みが大きくなり過ぎると搬送過程の衝撃で剥離してしまう。
すなわち、図3中のBに示すように、転炉スラグ5を内部で保持し、且つ成品(疑似粒子)へ歩留らせるためには、付着層3の厚みを、適正な範囲とする必要があることが分かる。
そこで、付着層3の厚みの強度を調査するため、落下抵抗測定装置12を用いて、疑似粒子の落下抵抗試験を行った。
図4は、疑似粒子の落下抵抗試験の測定結果を示した図である。
以下に、疑似粒子の落下抵抗試験の方法を示す(図16参照)。
1)1mm〜2mmの核粒子2(鉄鉱石)を篩で選別する。
2)タイヤ型の造粒機に、核粒子2と粒子径が500μm以下の付着層3の原料を装入して、疑似粒子を造粒する。
3)疑似粒子を粒子径ごとに篩分けて、核粒子2の平均粒子径との差から所定の付着層3厚みの粒子を選択する。
4)各付着層3の厚みごとに、12個の疑似粒子を選択し、50cmの高さから鉄板上に落とし割れるまでの回数を数える(割れた時の落下も回数に含む)。
5)疑似粒子、12個の測定結果のうち、最大値及び最小値を除いた10個の測定結果の平均値を、落下抵抗の代表値として採用する。
なお、転炉スラグ5は、粒子径の最大長さが1.0mm以下で且つ、粒子径が0.5mm以上の割合が、転炉スラグ5全体に対して、50%とされているものを使用した(詳細は後述)。
ところで、付着層3の厚みが増すと、疑似粒子の自重が増加して落下時の衝撃が増し、さらに核粒子2の骨材効果が弱くなる。
図4中のCを参照すると、付着層3の厚みが3.5mm以上となると、それを境に落下抵抗の回数が減少していることが確認できる。すなわち、付着層3の厚みが3.5mm以上となると、疑似粒子の強度が著しく低下する。
一方で、図4中のAに示すように、付着層3の厚みが1.0mmより薄くなると、それを境に落下抵抗の回数が減少していることが確認できる。すなわち、搬送過程の衝撃などで、付着層3の表面から転炉スラグ5が突出すると、その突出した脆弱部が崩壊の起点となり、疑似粒子の強度が低下する。
以上より、疑似粒子の付着層3は部分的に薄くても良いが、転炉スラグ5が存在する部位においては、中粒の転炉スラグ5の粒子が付着層3の表面から突出することが無いように、十分な厚みとしておくことが必要である。
したがって、本発明においては、図4中のBに示すように、付着層3(被覆層)の最大厚みを、1.0mm以上3.5mm以下としている。
さて、焼結鉱では、主として低融点のカルシウムフェライト融液を介したスラグ結合によって、鉄鉱石同士の結合強度が保たれている。カルシウムフェライトは、鉄鉱石中のFe
2O3と、石灰石などを由来とするCaOから生成される。
一方で、転炉スラグ5は溶融同化性に劣るため、石灰石と比較すると、バインダ(糊)となる融液発生源としてのCaOの役割を期待しにくい。
そのため、転炉スラグ5を除いた、付着層3中の母材4の低融点部位から発生した融液により、その付着層3中の転炉スラグ5を包み込んで、同化を進める必要がある。このとき、母材4の融液発生量は、付着層3中のCaO濃度が支配的であるため、CaO[wt%]/Fe2O3[wt%]で制御することができる。
なお、「CaO[wt%]/Fe2O3[wt%]」は、転炉スラグ5由来の粒子を除く、付着層3中における母材4の平均CaOとFe2O3の比である。
焼結鉱の焼成は、一般にカルシウムフェライト系の融液の生成が開始する1200℃以上で行われている。
しかし、焼成温度が高くなり過ぎると、付着層3だけでなく、核粒子2を含む原料充填層全体が溶融して岩盤状に凝固して、ガスの流れを阻害してしまう。そのため、最高温度が1400℃以下となるように、焼成の温度が調整されている。
また、図5のCaO-Fe2O3状態図で示すように、液相領域(図中のグレー色で囲んだ領域)は、母材4中のCaOの量により、大きく変化する。
そのため、付着層3中の母材4の組成に関しては、焼結焼成温度である1200℃〜1400℃(図5中の破線で囲んだ領域)と液相領域とが合わさる箇所が、母材4が完全に融液となりうる範囲である。
したがって、本発明においては、付着層3中の母材4より生成される融液により、反応し難い転炉スラグ5を包み込んで同化を促進させるため、母材4の平均成分のFe2O3とCaOの比[CaO(wt%)/Fe2O3(wt%)]を、0.15以上0.49以下としている。これにより、母材4は低温の1200℃から液相領域になる。
好ましくは、焼結層内の焼成温度は必ずしも均一ではないため、(CaO/Fe2O3)を低温の1200℃でも融液生成量の多い、0.25以上0.32以下とするとよい。
このとき、焼結プロセスでは、擬似粒子(造粒物)の強度を向上させるために、造粒時に生石灰CaOを使用することがあるが、母材4の成分を計算するにあたっては、造粒水添加により完全に水和して消石灰Ca(OH)2に変化しているものとして考慮している。
また、焼結プロセスでは、製鉄所内で発生する微粉ダストも使用しているが、母材4の平均成分を上記の範囲とすることで、鉄鉱石や石灰石と同様に、母材4における溶融挙動を制御することができる。
ここで、図6に示すように、母材4における(CaO/Fe2O3)の影響を調査するため、付着層3成分を模擬したタブレット(直径10mm, 高さ10mmの円柱状)を作成した。なお、タブレットの成分(CaO/Fe2O3)は、石灰石の配合比で調整した。
図7に示すように、作成したタブレットに対して、実際の焼結層内と同様の温度履歴を与えるため、縦型の電気炉6と昇降装置7を用いて焼成した後、回転強度測定装置13を用いて、I型タンブラー試験で強度測定を行った。
タブレット焼成試験の手順は、以下のとおりである。
1)電気炉6の均熱帯(最高温度となる領域)を、焼成時に初期の融液が生成される1250℃に設定する。
2)予め、電気炉6内の縦方向における温度分布を測定しておき、図8に示す焼結層内の温度履歴となるように、試料カゴ8の昇降速度を調整する。
3)試料カゴ8に作成したタブレット(試料)を1つ載置して、予め決めておいた昇降速度で炉内に装入し、所定の温度履歴を与える。
4)冷却後、タブレットを取り出し、I型タンブラー試験(回転強度試験)に移す。
続いて、I型タンブラー試験の手順は、以下のとおりである。
1)電気炉6で焼成したタブレット3個分の重量を測定する(W1)。
2)一方側は閉塞、他方側は開閉可能された、長さ300mm,直径25mmの筒状の鉄製シリンダに、試料であるタブレット3個を装入する(図17参照)。
3)筒状シリンダ14を回転機15に設置して、20rpmで300回転させ、タブレットに転動・落下の衝撃を与える。
4)試験後、試料(粉砕されたタブレット)を筒状シリンダ14から取り出し、710μmの篩で分けて、篩上に残留した試料を回収する。
5)タブレット3個分の篩上の重量を測定する(W2)。
6)(W1),(W2)を下式に代入して、回転強度を計算する。
TI=(W2/W1)×100
なお、回転強度とは、I型タンブラーを使用して、落下・転動の衝撃を与えた後の塊率を示す。
図9は、付着層3成分を模擬したタブレットにおける母材4の (CaO/Fe2O3)と、I型タンブラーで測定した回転強度の関係を示す図である。なお、図9において、実線のみのグラフは液相線温度を示し、実線とプロット点(■印)のグラフは回転強度を示す。
図9に示すように、低融点融液が生成され易い母材4の組成、(CaO/Fe2O3)を0.15以上0.49以下とすることで、付着層3中において、転炉スラグ5と母材4の同化が進行することとなり、付着層3を模擬したタブレットの強度が向上することが確認できる。
すなわち、溶融同化を促進させることで、転炉スラグ5が焼結成品(擬似粒子)内に取り込まれて歩留が向上する。
一方で、液相線温度が1400℃を超える領域になると、転炉スラグ5を同化させる強度を発現するために必要な、カルシウムフェライト融液の生成量が少なくなるので、付着層3を模擬したタブレットの強度は著しく低下する。
粒子径が1mm以上の粗粒転炉スラグは、付着粉(母材4)に用いることが難しく、疑似粒子の核粒子2、又は、単独で焼結原料層に存在する。
そのため、図10中のAに示すように、粗粒転炉スラグは、伝熱性及び溶融速度に劣り、未溶融部分が融液の構造粘性を上げてしまうため、原料充填層内の空隙を閉塞して、焼成時の通気性を悪化させてしまう。
さらに、転炉スラグ5に起因する結合状態の悪い、図10中のAに示すような部位は、結合強度が弱いため、焼結プロセスでは早くに破壊されてしまい、成品として歩留りにくい。
そこで、本発明では、粒子径が1mmよりは小さいが、単独では付着層3として用いることが難しい、粒子径が0.5mm以上の中粒の転炉スラグ5を対象としている。
また、図10中のBに示すように、中粒の転炉スラグ5を、粒子径が500μm以下の微粉と合わせて用いて付着層3内に取り込むことで、中粒転炉スラグ5の外周囲に存在する母材4から発生する初期の融液で、その中粒転炉スラグ5を包み込んで溶融同化を促進させる。
ここで、焼結鍋試験について、説明する。
焼結鍋試験は、以下に示す条件で実施した。
図15に示すように、角型の焼結鍋9(280mm角)を用いて試験を行った。鉱石層の厚さは、500mmとした。原料装入量は、80kgとした。焼成条件は、大気吸引(点火時=-1.0kPa(-1000mmAq), 焼成時=-1.6kPa(-1600mmAq))とした。点火時間は、90secとした。
焼成時間は、点火から排ガス中CO2濃度が0.2%以下となるまでの時間とした。焼成速度は、鉱石層(原料層)厚(mm)/焼成時間(min) とした。なお、焼結速度は、焼結鍋試験で点火から焼成完了するまでの、粉コークスの燃焼が伝播する平均速度である。
1)角型の焼結鍋9に、まずパレットの保護用床敷きとして、粒子径が10〜20mmの焼結鉱を装入し、その焼結鉱の上に鉄鉱石、石灰石等の副原料、及び、凝結材として粉コークスを疑似粒子化した原料を装入した。なお、配合条件としては、焼結後の成品SiO2が5.4質量%、塩基度(CaO/SiO2)が2.1となるよう調整した。
2)次いで、風箱10に接続された排風機11で吸引圧、-1.0kPaの一定条件で、点火バーナーで原料充填層の表面に着火した後、吸引圧、-1.6kPaの一定条件で、大気吸引して原料充填層中の粉コークスを燃焼させた。なお、焼成終了は、排ガス中CO2濃度が0.2%以下に到達した時刻とした。
3)上記の手順で焼成された焼結ケーキを、落下強度試験装置(JIS M8711:1993)を用いて、床敷きを除いた焼成物全体を2mの高さから4回落下させ、粒子径が4mm以上として残ったものを成品とした。
4)焼成時間と原料層厚を、下式に代入して焼成速度を求めた。
焼成速度(mm/min)=原料層厚(mm)/焼成時間(min)
ここで、焼結鍋試験の結果について、述べる。
図11は、焼結鍋試験の結果を示した図であり、転炉スラグ5を粒度ごと分けて示している。
図11に示す試験結果は、転炉スラグ6%配合時のものである。この結果を踏まえ、転炉スラグ配合比を増減させた場合、図10中のAに示すようなガス流れを阻害する領域が比例して増減するため、焼成速度に影響を及ぼす傾向は不変であった。
粒子径が1mm以上の粗粒転炉スラグを使用すると、先に述べたように、焼成時の通気性が悪化し、焼成速度が低下する(図11中の右側の2つの棒グラフ参照)。
一方で、粒子径が0.5mm以下の微粉転炉スラグを多量に使用すると、含有するMgOやAl2O3などが付着層3中の融液に溶け込み、融液の粘性を上げてしまい、焼成速度が低下する。その結果、融液の流動による凝集が鈍ることとなり、粗粒転炉スラグの使用時と同様に、焼成時の通気性悪化を招いてしまう(図11中の左側の2つの棒グラフ参照)。
したがって、本発明においては、図11中の中央の2つの棒グラフに示すように、付着層3内に配置する中粒の転炉スラグ5において、粒子径の最大長さが1.0mm以下で且つ、粒子径が0.5mm以上の割合を、転炉スラグ5全体に対して50%以上に粒度コントロールすることとしている。これにより、焼成速度の悪化を抑制することができる。
なおこのとき、使用する転炉スラグ5を、粒子径の最大長さが1mm以下で且つ、粒子径が0.5mm以上の割合が、転炉スラグ5全体に対して90%としても、同様の効果が得られることを知見した。
また前述の結果を受けて、使用する転炉スラグ5を、粒子径の最大長さが1mm以下で且つ、粒子径が0.5mm以上の割合が、転炉スラグ5全体に対して100%(すなわち、粒子径が0.5mm〜1.0mmのみ)としても同様の効果が得られることも知見した。
さて、転炉スラグ5は、融点が高い物質を含むため、付着層3に配置された場合、転炉スラグ5の外周囲に存在する母材4ともに、溶融同化が進みにくい。
特に、初期の融液が生成される、焼成温度が1250℃段階の焼成初期においては、転炉スラグ5の外周囲に存在する母材4は溶融が進行するが、転炉スラグ5自体は溶融せず、不活性な物質として存在することとなる。
そのため、付着層3中に存在する未溶融の転炉スラグ5は、発生した融液間のネットワークを遮断し、融液の凝集を妨げるものとなる。
ここで、付着層3中における転炉スラグ5の量の影響を調査するため、図6に示すような、付着層3の成分を模擬したタブレット(直径10mm、高さ10mmの円柱状)を作成した。また、作成したタブレットは、実際の焼結層内と同様の温度履歴を与えるため、先述した方法と同様に、図7に示す縦型の電気炉6と昇降装置7を用いて焼成した後、図17に示すI型タンブラー試験で強度測定を行った。
その後、1250℃で焼成したタブレットを樹脂に埋めた後、中央部を切断・研磨して、光学顕微鏡(×10倍)で断面観察した。その断面写真を図12に示す。
以下に、付着層3成分を模擬したタブレットの組成について、説明する。
図12に示すように、付着層3内の母材4から融液が生成されて溶融同化が進むほど、融液が凝集する。そして、融液が移動した跡には、大きな気孔が形成される。断面写真から定性的に見てとれるように、微粉転炉スラグ粒子が付着層3内に多数存在すると、融液の凝集が妨げられて、気孔が集合せずに分散していることが確認できる。
図13に、タブレット(試料)に対して、I型タンブラー試験を行ったときの結果を示す。
図13より、微粉転炉スラグによる融液間のネットワークの遮断は、付着層3に存在する転炉スラグ5の体積割合によって、影響が決定されるものと考えられる。そこで、転炉スラグ5の配合量から体積割合(vol%)を、下式で求めた。
付着層中の転炉スラグ体積割合(vol%)=転炉スラグの配合体積(cm3)÷{転炉スラグの配合体積(cm3)+母材の配合体積(cm3)}×100
また、転炉スラグ5の配合体積は、下式のように、真比重により求めることができる。ここでは、付着層3になりうる微粉においては、かさ比重≒真比重と考える。
転炉スラグの配合体積(cm3)=転炉スラグの配合重量(g)÷転炉スラグ真比重(g/cm3)
母材の配合体積(cm3)=母材原料の配合重量(g)÷母材平均真比重(g/cm3)
なお、母材4の平均真比重は、実際の母材4の真比重を測定することが望ましいが、母材4を構成する材料、それぞれの真比重の荷重平均値で求めても良い。ここでの真比重は、(JIS Z 8807)に従いピクノメータを使用して測定した。
図13に示すように、タブレット焼成試験をした後、I型タンブラー試験を行って、強度測定を行った結果より、付着層3中における転炉スラグ5の体積割合が大きいタブレット(試料)ほど、回転強度の値が低く、強度が弱いことが確認できる。この強度が弱いということは、融液の凝集によるスラグ結合が妨げられたことを示している。
特に、付着層3中における転炉スラグ5の体積割合が40vol%を超過すると、急激に回転強度の値が低下しており、付着層3の強度が非常に弱いことが確認できる。
試料(擬似粒子)の強度が弱くなる原因は、転炉スラグ5と母材4の量の比が逆転する領域、つまり転炉スラグ5の量の方が多くなってゆく領域において、融液を介したスラグ結合から、各転炉スラグ5間における直接の結合へと、結合形態の支配因子が変化してゆくためと考えられる。
したがって、本発明においては、付着層3中における転炉スラグ5の体積率が、0より
大きく40vol%以下となるように、転炉スラグ5を付着層3中に配置することとしている。
以上述べたような特徴を有する疑似粒子、すなわち本発明の焼結原料用の造粒物1(擬似粒子)の概略を模式的に示すと、図14のようになる。
図14に示すように、本発明にかかる擬似粒子の構成は、以下のとおりである。
A)核粒子2は、粒子径の最大長さが1mmを超えるものである。
B)付着層3の最大厚みは、1.0mm以上3.5mm以下である。
C)付着層3を構成する母材4における、[CaO(wt%)/Fe2O3(wt%)]は、0.15以上0.49以下である。
D)付着層3を構成する転炉スラグ5は、粒子径の最大長さが1mm以下のもので構成され、そのうち粒子径が0.5mm以上の割合が、転炉スラグ5全体に対して50%以上である。
E)転炉スラグ5の体積比率が0より大きく40vol%以下となるように、付着層3中に転炉スラグ5を配置する。
なお、付着層3は、母材4と転炉スラグ5で構成される。母材4は、最大長さが500μm以下の粒子で構成されていて、鉄鉱石、スケール、製鉄所内で発生するダスト、石灰石及び/又は消石灰、硅石、ドロマイト、粉コークスのうち1種類以上含む。
[実施例]
図14に示す構成とされた疑似粒子を使用して、焼結鍋試験を行った。
本実施例の効果は、焼結鍋試験における焼成速度mm/min(すなわち生産性)と、以下のように定義する、CaO歩留(%)(=転炉スラグ歩留(%))で評価した。
この焼結鍋試験における成品の定義は、ここでは粒子径が4mmより大きな焼結鉱とする。 したがって、粒子径が4mm以下の焼結鉱は、返鉱として扱うこととしている。
焼結鉱の組織は、均一ではないため、付着層3における強度の弱い部位が早くに破壊され、粉化して返鉱となる。
このことからCaO歩留を下式で求めると、強度の弱いスラグ結合部が早くに破壊されるため、通常返鉱のCaO濃度は、成品のCaO濃度よりも1%程度高く、CaO歩留は90%程度となる。
CaO歩留(%)={1-(返鉱CaO(%)-成品CaO(%))/成品CaO(%)}×100
また、転炉スラグ5は、石灰石よりも溶融同化しにくいため、図10中Aに示すように、付着層3において、溶融が未完全な転炉スラグ5を主体とする結合部位は、成品として歩留らず返鉱となりやすい。
このとき転炉スラグ5は、CaOを多く含むので、返鉱となる量が増加すると、返鉱CaO(%)が上昇することとなり、その一方でCaO歩留は低下する。
すなわち、CaO歩留が高いほど、転炉スラグ歩留が向上し、成品への溶融同化が良く進んでいるといえる。
表1〜表3に、焼結鍋試験の条件、及び、その試験で得られた焼成結果を示す。
なお、焼結鍋試験の焼成結果の評価は、転炉スラグ5を含まない、通常の焼結原料用の造粒物1を使用した際における焼成速度、及び、CaO歩留まりを閾値とした。
すなわち、焼成速度が24.5mm/min以上、CaO歩留が95%以上となる造粒物1の条件を、焼成速度の悪化が無く、且つ転炉スラグ5の焼成鉱への歩留まりを高めることが可能な条件と定義した。
実施例2〜5及び比較例1,6〜8に関しては、付着層3の最大厚みを変化させたものを測定したときの結果を示している。
表1〜表3に示す、実施例2〜5参照すると、付着層3の最大厚みを1.0mm以上3.5mm以下とすれば、落下抵抗を維持することができているので、強い強度であることが示されている。また、焼成速度が24.5mm/min以上となるとともに、CaO歩留が95%以上となり、焼成結果が良好であることも確認できる。
一方で、比較例1,6〜8参照すると、付着層の最大厚みが1.0mmより下回る、又は、3.5mmを超えると、焼結鍋試験の過程で、疑似粒子が崩壊することとなる。また、焼成速度(24.5mm/min)、CaO歩留(95%)ともに大きく下回ることとなり、焼成結果がよくないこととなった。
実施例10〜13及び比較例9,14に関しては、付着層3中の母材4の成分を変化させたものを測定したときの結果を示している。
実施例10〜13参照すると、付着層3中の母材4の成分を示す比[CaO(wt%)/Fe2O3(wt%)]を、0.15以上0.49以下とすれば、焼成速度が24.5mm/min以上となるとともに、CaO歩留が95%以上となり、焼成結果が良好であることが確認できる。
一方で、比較例9,14参照すると、[CaO(wt%)/Fe2O3(wt%)]が0.15より下回る、又は、0.49を超えると、付着層中の融液で転炉スラグ5の同化を進めることができないため、焼成速度(24.5mm/min)、CaO歩留(95%)ともに大きく下回ることとなり、焼成結果がよくないこととなった。
実施例17,18及び比較例15,16,19,20に関しては、転炉スラグ粒度を変化させたものを測定したときの結果を示している。
実施例17,18参照すると、転炉スラグ5において、粒子径の最大長さが1mm以下のもので構成され、そのうち粒子径が0.5mm以上の割合が、転炉スラグ5全体に対して50%以上とすれば、焼成速度が24.5mm/min以上となるとともに、CaO歩留が95%以上となり、焼成結果が良好であることが確認できる。
一方で、比較例15,16,19,20参照すると、粒子径が0.5mm以上の割合が転炉スラグ5全体に対して50%を下回る構成とされている、又は、粒子径の最大長さが1mmを超えるもので構成されていると、焼成速度(24.5mm/min)、CaO歩留(95%)ともに大きく下回ることとなり、焼成結果がよくないこととなった。
実施例21〜23及び比較例24,25に関しては、付着層3中における転炉スラグ5の体積比率を変化させたものを測定したときの結果を示している。
実施例21〜23参照すると、付着層3中における転炉スラグ5の体積比率を0より大きく40vol%以下とすれば、焼成速度が24.5mm/min以上となるとともに、CaO歩留が95%以上となり、焼成結果が良好であることが確認できる。
一方で、比較例24,25参照すると、付着層中における転炉スラグ5の体積比率が40vol%を超えると、融液同士の結合が著しく阻害され、その結果、成品への転炉スラグ5の同化が鈍ることとなり、焼成速度(24.5mm/min)、CaO歩留(95%)がともに大きく下回ることとなり、焼成結果がよくないこととなった。
したがって、成品への中粒の転炉スラグ5の同化を進めることができるように、上で詳細に述べた所定の疑似粒子構造とすることで、転炉スラグ5使用時の焼成速度を悪化させることなく、CaO歩留(成品への転炉スラグ歩留)を高めることができる。
以上述べたように、焼結プロセス(焼結工場)において、製鉄プロセスで発生する転炉スラグ5を使用するのに際し、溶融同化しにくい中粒の転炉スラグ5が付着層3内に、上で詳細に述べたように配置された疑似粒子を用いることで、付着層3内の母材4より生成された融液で、転炉スラグ5を包み込んで同化を促進させることができ、焼成速度の低下を抑制(生産性低下を回避)し且つ、多配合時における焼結成品(成品)への転炉スラグ歩留を向上させることが可能となる。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 造粒物(擬似粒子)
2 核粒子
3 付着層
4 母材
5 転炉スラグ
6 電気炉
7 昇降装置
8 カゴ
9 焼結鍋
10 風箱
11 排風機
12 落下抵抗測定装置
13 回転強度測定装置
14 筒状シリンダ
15 回転機

Claims (1)

  1. 粒径の最大長さが1.0mmを超える核粒子を有し、
    前記核粒子の外周囲には、母材と転炉スラグからなる付着層が形成されていて、
    前記母材が、鉄鉱石、スケール、製鉄所内で発生するダスト、石灰石及び/又は消石灰、硅石、ドロマイト、粉コークスのうち、少なくとも1種類以上含み、且つ粒子径の最大長さが500μm以下の粒子で構成されている焼結原料用の造粒物において、
    前記付着層全体の最大厚みは、1.0mm以上3.5mm以下とされており、
    前記母材の平均成分におけるFe2O3とCaOの比[CaO(wt%)/Fe2O3(wt%)]は、0.15以上0.49以下とされており、
    前記転炉スラグは、粒子径の最大長さが1.0mm以下であり、且つ、当該転炉スラグ全体に対して、粒子径が0.5mm以上の割合が50%以上とされており、
    前記付着層全体における前記転炉スラグの体積率が、0より大きく40vol%以下となるように、前記付着層内に当該転炉スラグが配置されている
    ことを特徴とする焼結原料用の造粒物。
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