JP2017171972A - 塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法 - Google Patents

塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】澱物の濾過性を向上できる塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法を提供する。【解決手段】不純物を含む塩化ニッケル水溶液に酸化剤および中和剤を添加して、酸化中和反応により不純物を含む澱物を生成するにあたり、直列に接続された複数の反応槽に塩化ニッケル水溶液を流して段階的に酸化中和反応を行い、最終段の反応槽において塩化ニッケル水溶液に塩素ガスを添加し、中和剤を添加しない。粒径の小さい澱物が溶解するので、澱物の濾過性を向上できる。【選択図】図1

Description

本発明は、塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法に関する。さらに詳しくは、塩化ニッケル水溶液に含まれる鉛などの不純物を酸化中和法により除去する方法に関する。
ニッケルは、合金材料、めっき材料、二次電池材料など、日常生活や産業を支える重要な素材として広く用いられている。
鉱物資源や二次資源からニッケルを分離、濃縮するニッケル製錬法として、乾式製錬法と湿式製錬法とが知られている。乾式製錬法はニッケル鉱石やニッケル精鉱を溶鉱炉や電気炉などの乾式炉で溶解処理する方法である。湿式製錬法はニッケル鉱石やニッケル精鉱に含まれるニッケルを水溶液中に浸出し、不純物を除去してニッケルを回収する方法である。
ニッケルの湿式製錬法として、酸浸出法、アルカリ浸出法、塩素浸出法など、種々の方法が知られている。これらのうち塩素浸出法のプロセスとして、ニッケルマットおよびニッケル・コバルト混合硫化物を塩素ガスの酸化作用を利用して浸出し、得られた塩化ニッケル水溶液を用いて電解採取することにより電気ニッケルを得るプロセスが実用化されている(例えば、特許文献1)。
上記の湿式製錬プロセスには、塩化ニッケル水溶液から不純物である鉛を除去する脱鉛工程が含まれる(例えば、特許文献2)。脱鉛工程では酸化中和法により不純物を含む水酸化ニッケル沈殿物(脱鉛澱物)を生成する。そして、固液分離装置を用いて脱鉛澱物を含むスラリーの水分率を低減する。
ここで、固液分離装置における脱鉛澱物の濾過性が悪化することがある。脱鉛澱物の濾過性が悪化すると、固液分離装置の通液圧力が上昇し、通液流量が減少する。そうすると、脱鉛工程の処理効率が低下する。
特許文献3には、中和工程において、浸出液中に浸出残渣を添加し、かつ中和終液のpHが3.0〜3.5になるように調整するとともに、脱亜鉛工程に際して、中和終液中に、その濁度が100〜400NTUになるように、中和澱物および浸出残渣からなる懸濁物を残留させることが開示されている。亜鉛硫化物の濾過性を改善することにより、濾布の目詰まりを抑制し、濾布の洗浄作業および交換作業の頻度を低減するとともに、ニッケル回収率の低下を抑制することができる。しかし、この技術は硫酸酸性水溶液スラリーに含まれる亜鉛硫化物の濾過性を改善する技術であり、塩酸酸性水溶液スラリーに含まれる脱鉛澱物の濾過性を改善するのに適用できない。
特開2012−026027号公報 特開2015−209551号公報 特開2010−037626号公報
本発明は上記事情に鑑み、澱物の濾過性を向上できる塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法を提供することを目的とする。
第1発明の塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法は、不純物を含む塩化ニッケル水溶液に酸化剤および中和剤を添加して、酸化中和反応により前記不純物を含む澱物を生成するにあたり、直列に接続された複数の反応槽に塩化ニッケル水溶液を流して、段階的に酸化中和反応を行い、最終段の前記反応槽において、塩化ニッケル水溶液に前記酸化剤として塩素ガスを添加し、前記中和剤を添加しないことを特徴とする。
第2発明の塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法は、第1発明において、最終段の前記反応槽において、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を1,000mV以上、1,100mV以下に調整し、pHを4.3以上、4.7以下に調整することを特徴とする。
第3発明の塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法は、第1または第2発明において、最終段の前記反応槽から排出された前記澱物を含むスラリーを固液分離して得られた前記澱物の一部を第一段の前記反応槽に供給することを特徴とする。
第4発明の塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法は、第3発明において、前記澱物を含むスラリーを固液分離して得られた前記澱物の水分率は70重量%以上、80重量%以下であることを特徴とする。
第5発明の塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法は、第3または第4発明において、第一段の前記反応槽に供給する前記澱物の量を、第一段の前記反応槽に供給される塩化ニッケル水溶液から得られる澱物の量に対して、重量比で50%以上、100%以下とすることを特徴とする。
本発明によれば、最終段の反応槽において、塩化ニッケル水溶液に塩素ガスを添加し、中和剤を添加しないことで、粒径の小さい澱物が溶解するので、澱物の濾過性を向上できる。
脱鉛工程の詳細工程図である。 脱鉛澱物の粒度分布を示すグラフである。 湿式製錬プロセスの全体工程図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係る塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法は、ニッケルの湿式製錬プロセスの脱鉛工程に好適に適用される。なお、本実施形態の不純物除去方法は、不純物を含む塩化ニッケル水溶液に酸化剤および中和剤を添加して、酸化中和反応により不純物を含む澱物を生成する工程であれば、いかなるプロセスの工程にも適用し得る。以下、ニッケルの湿式製錬プロセスの脱鉛工程を例に説明する。
(湿式製錬プロセス)
まず、図3に基づき、ニッケルの湿式製錬プロセスを説明する。
湿式製錬プロセスでは、原料であるニッケル硫化物として、ニッケルマットとニッケル・コバルト混合硫化物(MS:ミックスドサルファイド)との2種類が用いられる。
ニッケルマットは乾式製錬により得られる。具体的には、ニッケルマットは硫鉄ニッケル鉱を熔錬することで得られる。
ニッケル・コバルト混合硫化物は湿式製錬により得られる。具体的には、低品位ラテライト鉱などのニッケル酸化鉱石を加圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leaching)し、浸出液から鉄などの不純物を除去した後、硫化水素ガスを浸出液に吹き込んで硫化反応を生じさせニッケル・コバルト混合硫化物を得る。
まず、ニッケル・コバルト混合硫化物と後述のセメンテーション残渣とからなるスラリーを塩素浸出工程に供給する。塩素浸出工程では、浸出槽に吹き込まれる塩素ガスの酸化力によって、スラリー中の固形物に含まれる金属が実質的に全て液中に浸出される。塩素浸出工程から排出されたスラリーは浸出液と浸出残渣とに固液分離される。
ニッケルマットは、粉砕工程において粉砕した後、レパルプしてマットスラリーとし、セメンテーション工程に供給する。セメンテーション工程には塩素浸出工程で得られた浸出液も供給されている。浸出液には目的金属であるニッケルやコバルトのほか、不純物として銅、鉄、鉛などが含まれている。
浸出液には2価の銅クロロ錯イオンが含まれている。ニッケルマットの主成分は二硫化三ニッケル(Ni32)と金属ニッケル(Ni0)である。セメンテーション工程では、浸出液とニッケルマットとを接触させて、銅とニッケルとの置換反応を行う。これにより、ニッケルマット中のニッケルが液に置換浸出され、浸出液中の銅イオンが硫化銅(Cu2S)または金属銅(Cu0)の形態で析出する。固液分離により得られたセメンテーション残渣は塩素浸出工程に供給される。
セメンテーション工程から得られたセメンテーション終液を脱鉄工程に供給し、不純物である鉄を除去する。脱鉄工程では、セメンテーション終液(塩化ニッケル水溶液)に酸化剤を作用させて酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を950〜1,100mVに調整しつつ、中和剤を添加してpHを1.5〜3に調整する。酸化中和反応により塩化ニッケル水溶液に含まれる鉄を水酸化鉄(III)の沈殿物とする。固液分離により沈殿物を除去することで、鉄を除去する。ここで、酸化剤として、例えば塩素ガスが用いられる。また、中和剤として、例えば炭酸ニッケルスラリーが用いられる。
脱鉄工程から得られた液を抽出始液として溶媒抽出工程に供給する。溶媒抽出工程では、抽出始液に含まれるコバルトを溶媒抽出により分離し、塩化ニッケル水溶液と塩化コバルト水溶液とを得る。
塩化コバルト水溶液は浄液工程を経てさらに不純物が除去されて高純度塩化コバルト水溶液となる。高純度塩化コバルト水溶液は電解給液としてコバルト電解工程に供給される。コバルト電解工程では電解採取により電気コバルトが製造される。
塩化ニッケル水溶液は脱鉛工程に供給され、不純物である鉛が除去される。脱鉛工程の詳細は後に説明する。
脱鉛工程から得られた脱鉛終液を脱亜鉛工程に供給する。脱亜鉛工程では、脱鉛終液に残留した微量の亜鉛を陰イオン交換樹脂に吸着させることで除去する。
脱亜鉛工程から得られた高純度塩化ニッケル水溶液は電解給液としてニッケル電解工程に供給される。ニッケル電解工程では電解採取により電気ニッケルが製造される。
(脱鉛工程)
つぎに、図1に基づき、脱鉛工程を説明する。
脱鉛工程は酸化中和工程と、固液分離工程とからなる。
酸化中和工程に供給される塩化ニッケル水溶液は溶媒抽出工程から得られる。溶媒抽出工程ではコバルトのほか、鉄、銅、亜鉛などの不純物が分離される。しかし、塩化ニッケル水溶液には、鉛、コバルト、鉄、銅、亜鉛などの不純物が微量に含まれている。
酸化中和工程では、塩化ニッケル水溶液に酸化剤を添加して酸化還元電位を所定の管理範囲に調整しつつ、中和剤を添加してpHを所定の管理範囲に調整して、酸化中和反応を生じさせる。ここで、酸化還元電位の管理範囲は900〜1,100mV(Ag/AgCl電極基準)であり、pHの管理範囲は4.3〜5.5である。酸化中和反応により塩化ニッケル水溶液に含まれる不純物を水酸化ニッケル(III)沈殿物と共沈させる。不純物を含む水酸化ニッケル(III)沈殿物を脱鉛澱物と称する。また、脱鉛澱物を含むスラリーを澱物スラリーと称する。
なお、水酸化ニッケル(III)沈殿物と共沈する不純物は鉛、コバルト、鉄、銅などであり、亜鉛は共沈しない。塩化ニッケル水溶液に残存する亜鉛は脱亜鉛工程で除去される。
酸化中和工程で用いられる酸化剤としては、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位を上昇させることができるものであれば特に限定されないが、不純物を増加させることがない塩素ガスが好ましい。また、中和剤としては、特に限定されないが、不純物を増加させることがない炭酸ニッケルまたは水酸化ニッケルが好ましい。
酸化中和工程から得られた澱物スラリーには約99重量%の液相分が含まれている。澱物スラリーは固液分離工程で脱鉛澱物と脱鉛終液とに固液分離される。固液分離により脱鉛澱物の水分率は70〜80重量%まで低減される。
固液分離工程で用いられる固液分離装置は、澱物スラリーの水分率を約99重量%から70〜80重量%まで低減できるものであれば特に限定されない。例えば、固液分離装置としてチューブフィルターを採用できる。
脱鉛澱物は硫酸ニッケル製造用の原料として利用される。脱鉛終液は脱亜鉛工程に供給される(図3参照)。
固液分離装置における脱鉛澱物の濾過性が悪化すると、固液分離装置の通液圧力が上昇し、通液流量が減少する。そうすると、脱鉛工程の処理効率が低下する。そこで、脱鉛工程を以下のように操業することで脱鉛澱物の濾過性を向上させる。
酸化中和工程において複数の反応槽を直列に接続した設備を用いる。各反応槽には塩化ニッケル水溶液と酸化剤および中和剤とを撹拌するための撹拌機が備えられている。直列に接続された複数の反応槽に塩化ニッケル水溶液を流して、段階的に酸化中和反応を行う。すなわち、直列に接続された複数の反応槽のうち第一段の反応槽に新規の塩化ニッケル水溶液を供給し、最終段の反応槽から酸化中和反応後の澱物スラリーを排出する。反応槽の数は特に限定されないが、例えば4槽である。
大容量の反応槽1槽で酸化中和反応を行うと、塩化ニッケル水溶液と酸化剤および中和剤との混合が不均一となりやすい。これに対して、複数の反応槽を用いて段階的に酸化中和反応を行えば、塩化ニッケル水溶液と酸化剤および中和剤との混合が均一となり、接触効率を向上させることができる。
最終段の反応槽を除くその他の反応槽では、塩化ニッケル水溶液に酸化剤および中和剤を添加する。ここで、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)は900mV以上、1,100mV以下に調整し、pHは4.3以上、5.5以下に調整する。
最終段の反応槽では、塩化ニッケル水溶液に酸化剤を添加し、中和剤を添加しない。ここで、酸化剤として塩素ガスを用いる。このようにすることで、脱鉛澱物の濾過性を向上できる。その結果、脱鉛工程の処理効率を維持できる。
脱鉛澱物の濾過性を向上できる理由は以下のとおりと考えられる。塩化ニッケル水溶液に塩素ガスを吹き込むと、塩素ガスと水との反応により塩酸および次亜塩素酸が生成される。最終段の反応槽内では塩酸および次亜塩素酸により脱鉛澱物が溶解する。個々の粒子でみると、溶解量が同じでも、粒径の大きい脱鉛澱物に比べて、粒径の小さい脱鉛澱物の方が、さらに粒径が小さくなる効果が大きい。そのため、粒径の小さい脱鉛澱物が消失し、粒径の大きい澱物が溶け残る。すなわち、粒径の小さい脱鉛澱物が優先的に溶解する。その結果、脱鉛澱物の粒度分布は粒径が大きい方にシフトする。粒径の小さい脱鉛澱物は濾布を目詰りさせやすく、濾過性を悪化させる原因となる。粒径の小さい脱鉛澱物が溶解するので、脱鉛澱物の濾過性を向上できる。
最終段の反応槽において、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を1,000mV以上、1,100mV以下に調整し、pHを4.3以上、4.7以下に調整する。すなわち、酸化還元電位を管理範囲の中で高く維持しつつ、pHを管理範囲の下限付近に設定する。酸化剤の添加量を調整することで、酸化還元電位およびpHの調整が可能である。
塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を1,000mV未満にすると不純物が共沈せず、不純物の除去が不十分となる。塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を1,000mV以上とすることで、酸化中和反応により脱鉛澱物を生成することができる。塩化ニッケル水溶液のpHを4.3未満にすると不純物が共沈せず、不純物の除去が不十分となる。塩化ニッケル水溶液のpHが4.7を超えると脱鉛澱物が溶解しない。塩化ニッケル水溶液のpHを4.3〜4.7とすることで、酸化中和反応により脱鉛澱物を生成しつつ、粒径の小さい脱鉛澱物を溶解することができる。すなわち、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位およびpHを上記の範囲に調整することで、不純物を含む脱鉛澱物を生成しつつ、粒径の小さい脱鉛澱物を溶解することができる。
また、澱物スラリーを固液分離して得られた脱鉛澱物の一部を第一段の反応槽に供給する。脱鉛澱物を第一段の反応槽に戻し入れることで、その脱鉛澱物が沈殿物を生成する際の核として働き、沈殿物の粒径を大きくすることができる。そのため、脱鉛澱物の濾過性を向上できる。
ここで、第一段の反応槽に供給する脱鉛澱物の量を、第一段の反応槽に供給される新規の塩化ニッケル水溶液から得られる脱鉛澱物の量に対して、重量比で50%以上100%以下とすることが好ましい。第一段の反応槽に供給する脱鉛澱物の量が少ないと沈殿物の粒径を大きくする効果が十分に得られず、逆に多いと脱鉛工程の操業コストが高くなる。第一段の反応槽に供給する脱鉛澱物の量を上記の範囲とすることで、十分な量の脱鉛澱物を反応槽に供給でき沈殿物の粒径を大きくする効果を得ることができるとともに、操業コストの上昇を抑えることができる。
澱物スラリーを固液分離して得られた脱鉛澱物の水分率は70重量%以上、80重量%以下である。脱鉛澱物はスラリー状であるため、通常のポンプおよび配管を用いて脱鉛澱物を移送することが可能である。脱鉛澱物の水分率が70重量%以上であるので、脱鉛澱物を反応槽に戻し入れた際に、固相分が多すぎて混合不良を起こすことがない。すなわち、脱鉛澱物が反応槽の液相中に均一に分散される。脱鉛澱物の一部が反応槽の側壁に付着したり、底に滞留したりすることがない。また、脱鉛澱物の水分率が80重量%以下であるので、固相分が少なすぎて反応槽への供給量が多くなり、反応槽の容量が不足することがない。
さらに、脱鉛澱物の水分率が70〜80重量%であれば、反応槽に備えられている撹拌機で脱鉛澱物を十分に分散できる。そのため、脱鉛澱物を分散させるために新たな装置を設ける必要がない。固液分離装置から得られた脱鉛澱物をそのまま反応槽に供給すればよいので、濃度調整や供給量調整のための特別な設備は不要である。
つぎに、実施例を説明する。
実施例1および比較例1、2の共通の条件は以下の通りである。
ニッケルの湿式製錬プロセスの脱鉛工程を以下の条件で操業した。
塩化ニッケル水溶液の組成:ニッケルが165〜175g/L、鉛が1〜3mg/L、コバルトが5〜10mg/L、亜鉛が0.05〜0.1mg/Lである。
塩化ニッケル水溶液の供給量:2,000〜3,000L/分
酸化剤:純度100体積%の塩素ガス
中和剤:固形分濃度が約200g/Lの炭酸ニッケルスラリー
固液分離装置:チューブフィルター28基
酸化中和工程から得られる澱物スラリーの水分率:99重量%
固液分離工程から得られる脱鉛澱物の水分率:70〜80重量%
固液分離工程から得られた脱鉛澱物の粒度分布をレーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置(日機装株式会社製 型番:HRA9320−X100)で測定した。
(実施例1)
酸化中和工程において4槽の反応槽を直列に接続した設備を用いた。第一段から第三段の反応槽には酸化剤および中和剤を添加し、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を980〜1,050mVに調整し、pHを4.3〜5.1に調整した。最終段の反応槽には酸化剤のみを添加し、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を1,000〜1,050mVに調整し、pHを4.3〜4.7に調整した。また、固液分離工程から得られた脱鉛澱物を流量50L/分で第一段の反応槽に供給した。
脱鉛澱物の粒度分布を図2に示す。脱鉛澱物の粒径(d10%)は6.70μmであった。なお、d10%とは個数基準の下側10%の粒径を意味する。濾過性を評価するための指標として、粒径の小さい脱鉛澱物の粒径(d10%)を採用した。また、脱鉛澱物の最小粒径は2.8μmであった。チューブフィルターの濾過能力は130L/分/基であった。
(比較例1)
酸化中和工程において3槽の反応槽を直列に接続した設備を用いた。第一段から第三段の反応槽には酸化剤および中和剤を添加し、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を980〜1,050mVに調整し、pHを4.3〜5.1に調整した。また、固液分離工程から得られた脱鉛澱物を流量50L/分で第一段の反応槽に供給した。
脱鉛澱物の粒度分布を図2に示す。脱鉛澱物の粒径(d10%)は6.50μmであった。脱鉛澱物の最小粒径は1.5μmであった。チューブフィルターの濾過能力は110L/分/基であった。
(比較例2)
酸化中和工程において3槽の反応槽を直列に接続した設備を用いた。第一段から第三段の反応槽には酸化剤および中和剤を添加し、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を980〜1,050mVに調整し、pHを4.3〜5.1に調整した。脱鉛澱物の第一段の反応槽への供給を行わなかった。
脱鉛澱物の粒度分布を図2に示す。脱鉛澱物の粒径(d10%)は3.71μmであった。また、チューブフィルターの濾過能力は100L/分/基であった。
以上より、実施例1は比較例1、2に比べてチューブフィルターの濾過能力が向上していることが分かる。具体的には、実施例1におけるチューブフィルターの濾過能力は比較例2における濾過能力の1.3倍となっている。これは、図2から分かるように、小さい粒径の脱鉛澱物が減少しているためと考えられる。
また、比較例1は比較例2に比べてチューブフィルターの濾過能力が向上している。具体的には、比較例1におけるチューブフィルターの濾過能力は比較例2における濾過能力の1.1倍となっている。脱鉛澱物を第一段の反応槽に供給することによっても、脱鉛澱物の濾過性を向上できることが確認できた。

Claims (5)

  1. 不純物を含む塩化ニッケル水溶液に酸化剤および中和剤を添加して、酸化中和反応により前記不純物を含む澱物を生成するにあたり、
    直列に接続された複数の反応槽に塩化ニッケル水溶液を流して、段階的に酸化中和反応を行い、
    最終段の前記反応槽において、塩化ニッケル水溶液に前記酸化剤として塩素ガスを添加し、前記中和剤を添加しない
    ことを特徴とする塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法。
  2. 最終段の前記反応槽において、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を1,000mV以上、1,100mV以下に調整し、pHを4.3以上、4.7以下に調整する
    ことを特徴とする請求項1記載の塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法。
  3. 最終段の前記反応槽から排出された前記澱物を含むスラリーを固液分離して得られた前記澱物の一部を第一段の前記反応槽に供給する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法。
  4. 前記澱物を含むスラリーを固液分離して得られた前記澱物の水分率は70重量%以上、80重量%以下である
    ことを特徴とする請求項3記載の塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法。
  5. 第一段の前記反応槽に供給する前記澱物の量を、第一段の前記反応槽に供給される塩化ニッケル水溶液から得られる澱物の量に対して、重量比で50%以上、100%以下とする
    ことを特徴とする請求項3または4記載の塩化ニッケル水溶液の不純物除去方法。
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