JP2017171886A - マスターバッチ、樹脂成形品、マスターバッチの製造方法及び樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性に優れ、また、成形性等に優れることから、電子機器や精密機器の部品、大型機械の部品の樹脂成形品等の製造用原料樹脂として広く用いられている。さらに、透明性にも優れることから一般建築物の窓や自動車の窓等にも用いられている。また、ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂も、樹脂成形品の原料にされている。
このような樹脂成形品を装飾する目的で、樹脂を着色したり、樹脂に断熱性等の更なる機能を持たせる目的で、樹脂に機能性物質を加えることが従来より行われている。
通常、樹脂を着色する場合には染料、有機顔料、無機顔料を加えて加工することになるが、染料及び有機顔料は耐熱性及び耐気候性が低く、高温に加熱されると染料及び有機顔料の化学構造が変化し褪色する場合がある。そのため、熱可塑性樹脂の着色には、耐熱性及び耐気候性に優れた無機顔料(無機粒子)を用いられることになる。
また、機能性物質としても耐熱性が高い無機粒子が用いられることになる。
このような問題を解決するために、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂における無機粒子の凝集を防止し、無機粒子を分散させるためにエステル系添加剤を用いることが開示されている。
すなわち、特許文献1には、芳香族ポリカーボネート樹脂、顔料及びエステル系添加剤を含有する着色剤組成物であり、該エステル系添加剤が芳香族多価カルボン酸のアルキルエステルで、該アルキルエステルのアルキル鎖が炭素原子数16〜26の直鎖状のアルキル鎖である着色剤組成物が開示されている。
なお、本明細書において、「高耐熱性リン酸エステル化合物」とは、窒素雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの300℃到達時点における熱重量減量が5%未満であるリン酸エステル化合物を意味する。
さらに、高耐熱性リン酸エステル化合物は、耐熱性が高いため、樹脂の加工時に130〜300℃に加熱されたとしても、熱重量減量が少なく、分解されにくい。それゆえ、無機粒子を樹脂に分散させる機能が失われにくく、また、分解物が樹脂成形品の強度や外観に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
従って、本発明のマスターバッチでは、無機粒子が充分に分散されており、本発明のマスターバッチを用いて樹脂成形品を製造する際に、樹脂成形品に強度低下や外観不良やヘイズが生じにくい。
さらに、高耐熱性リン酸エステル化合物は、耐熱性が高いため、樹脂の加工時に130〜300℃に加熱されたとしても、熱重量減量が少なく、分解されにくい。それゆえ、無機粒子を樹脂に分散させる機能が失われにくく、また、分解物が樹脂成形品の強度や外観に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
従って、本発明のマスターバッチでは、無機粒子が充分に分散され、樹脂成形品に強度低下や外観不良やヘイズが生じにくい。
リン酸エステル化合物が、高耐熱性リン酸エステル化合物であるか否かは以下の熱重量減量測定試験において判定される。
まず、リン酸エステル化合物10mgを試料とし、示差熱、熱重量同時測定器(機種名:DTG−60、株式会社島津製作所製)の加熱炉にセットする。
次に、窒素雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱炉を昇温させる。
なお、300℃到達時点における熱重量減量とは、以下の式(1)により算出される値のことを意味する。
300℃到達時点における熱重量減量={1−(300℃到達時点の試料の重量)/(加熱炉にセット時の試料の重量)}×100・・・(1)
本発明のマスターバッチは、樹脂成形品の製造に用いられることになる。
樹脂成形品が熱可塑性樹脂からなる場合、マスターバッチを着色用樹脂に均一に分散させるため、これらは、240〜340℃で混練される。
また、樹脂成形品が熱硬化性樹脂からなる場合、熱硬化性樹脂を硬化させるため、これらは、20〜130℃で加熱される。
マスターバッチに含まれる高耐熱性リン酸エステル化合物の340℃到達時点における熱重量減量が15%未満であると、上記樹脂成形品を製造する際に高耐熱性リン酸エステル化合物が熱を受けたとしても分解しにくい。そのため、製造される樹脂成形品にヘイズ等が生じにくくなり外観が良好となる。
なお、340℃到達時点における熱重量減量とは、以下の式(2)により算出される値のことを意味する。
340℃到達時点における熱重量減量={1−(340℃到達時点の試料の重量)/(加熱炉にセット時の試料の重量)}×100・・・(2)
マスターバッチ用樹脂100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が、0.05重量部以上であると、マスターバッチ用樹脂と、無機粒子とがなじみやすくなり、充分に無機粒子をマスターバッチ用樹脂に分散させることができる。また、マスターバッチを用いて樹脂成形品を製造する際に、無機粒子を着色用樹脂に充分に分散させることができる。
マスターバッチ用樹脂100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が、120重量部以下であると、マスターバッチを用いて樹脂成形品を製造する際に、高耐熱性リン酸エステル化合物が樹脂成形品の透明性に影響を及ぼすことを抑制できる。
また、これら化合物は、単独で用いても併用してもよい。
無機粒子100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物を0.1重量部以上含むと、無機粒子をマスターバッチ用樹脂に均一により分散させることができる。
本発明のマスターバッチは、高耐熱性リン酸エステル化合物を含むので、このように無機粒子を多く含んだとしても、無機粒子が充分に分散させることができる。
マスターバッチ用樹脂100重量部に対し、無機粒子が0.01重量部以上であると、無機粒子の量が充分であるので、無機粒子が有する機能が発揮されやすくなる。すなわち、マスターバッチとしてより有効に使用しやすくなる。
マスターバッチ用樹脂100重量部に対し、無機粒子が250重量部を超えると、無機粒子の量が多すぎ、無機粒子がマスターバッチ用樹脂に充分に分散されにくくなり、無機粒子が凝集し粗大粒子が発生しやすくなる。このような粗大粒子が発生すると、マスターバッチを用いて樹脂成形品を製造した際に、樹脂成形品の表面に粗大粒子が発生することもあり、樹脂成形品表面の平滑性が失われ外観不良となる。また、樹脂成形品の強度が低下しやすくなり、ヘイズが増大しやすくなる。さらに、無機粒子が持つ機能の効率が低下しやすくなる。
しかし、マスターバッチ用樹脂100重量部に対し、無機粒子が250重量部以下であると、無機粒子が好適に分散する。その結果、粗大粒子が発生しにくくなり、樹脂成形品の強度が高く、外観も良好となる。
これらは、好適な熱線吸収性を有するので、当該マスターバッチを用いて樹脂成形品を製造すると、樹脂成形品の日射遮蔽性が向上する。
無機粒子の平均粒子径が、0.005μm以上であると、無機粒子の比表面積が大きくなりすぎず、粒子同士が接触しにくくなる。そのため、無機粒子が凝集することを防ぐことができる。
無機粒子の平均粒子径が、10μmを超えると、無機粒子間の隙間容積が大きくなる。そのため、マスターバッチを使用した際に、無機粒子が存在しない樹脂の割合が多くなる。
しかし、無機粒子の平均粒子径が10μm以下であると、無機粒子間の隙間容積が大きくなりにくい。そのため、マスターバッチを使用した際に、無機粒子が存在しない樹脂の割合が少なくなり、充分に無機粒子の機能が発揮される。
これらの熱可塑性樹脂は、樹脂成形品を製造するのに適した樹脂である。
本発明のマスターバッチにおけるマスターバッチ用樹脂がこれらの熱可塑性樹脂であると、これらの熱可塑性樹脂を着色用樹脂として用い、樹脂成形品を製造する際に、マスターバッチが着色用樹脂に混ざりやすくなる。
マスターバッチのメルトフローレート変動率が50%以下であるということは、マスターバッチの使用時にマスターバッチのメルトフローレートが変動しにくいことを意味する。
マスターバッチのメルトフローレート変動率が50%以下である場合、当該マスターバッチを用いた樹脂成形品の成形時に、樹脂成形品の形状が崩れにくくなる。つまり、加工安定性が向上する。
滞留前メルトフローレート(g/10分)の測定は、JIS K 7210付属書B表1に準拠し、メルトインデクサを用い以下の条件で測定する。
なお、マスターバッチ用樹脂がポリカーボネート樹脂である場合の条件は以下の通りである。
シリンダ内の温度:300℃
荷重:1.2kg
シリンダにマスターバッチを充填した後の滞留時間:予熱5分のみ
滞留後メルトフローレート(g/10分)の測定は、JIS K 7210付属書B表1に準拠し、メルトインデクサを用い以下の条件で測定する。
なお、マスターバッチ用樹脂がポリカーボネート樹脂である場合の条件は以下の通りである。
シリンダ内の温度:300℃
荷重:1.2kg
シリンダにマスターバッチを充填した後の滞留時間:予熱5分+滞留5分
メルトフローレート変動率={(滞留後メルトフローレート)−(滞留前メルトフローレート)}の絶対値×100/(滞留前メルトフローレート)・・・(3)
これらの熱硬化性樹脂は、樹脂成形品を製造するのに適した樹脂である。
本発明のマスターバッチにおけるマスターバッチ用樹脂がこれらの熱硬化性樹脂であると、これらの熱硬化性樹脂を着色用樹脂として用い、樹脂成形品を製造する際に、マスターバッチが着色用樹脂に混ざりやすくなる。
この場合、本発明のマスターバッチは、ポリカーボネート樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを含むことになる。
さらに、高耐熱性リン酸エステル化合物は、耐熱性が高いため、ポリカーボネート樹脂の加工時に240〜300℃に加熱されたとしても、熱重量減量が少なく、分解されにくい。それゆえ、無機粒子をポリカーボネート樹脂に分散させる機能が失われにくく、また、分解物が樹脂成形品の強度や外観に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
従って、本発明のマスターバッチでは、無機粒子が充分に分散され、樹脂成形品に強度低下や外観不良やヘイズが生じにくい。
本発明のマスターバッチは、樹脂成形品の製造に用いられることになる。着色用樹脂としてポリカーボネート樹脂を用い樹脂成形品を製造する際、マスターバッチを着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂に均一に分散させるため、これらは、240〜340℃で混練される。
マスターバッチに含まれる高耐熱性リン酸エステル化合物の340℃到達時点における熱重量減量が15%未満であると、上記樹脂成形品を製造する際に高耐熱性リン酸エステル化合物が分解しにくい。そのため、製造される樹脂成形品にヘイズ等が生じにくくなり外観が良好となる。
ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が、0.05重量部以上であると、ポリカーボネート樹脂と、無機粒子とがなじみやすくなり、充分に無機粒子をポリカーボネート樹脂に分散させることができる。また、マスターバッチを用いて樹脂成形品を製造する際に、無機粒子を樹脂成形品に分散させることができる。
ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が、120重量部以下であると、相対的なポリカーボネート樹脂の量が充分となり、マスターバッチが充分な強度となる。また、マスターバッチを用いて樹脂成形品を製造する際に、高耐熱性リン酸エステル化合物が樹脂成形品の透明性に影響を及ぼすことを抑制できる。
本発明のマスターバッチは、高耐熱性リン酸エステル化合物を含むので、このように無機粒子を多く含んだとしても、無機粒子が充分に分散させることができる。
ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、無機粒子が0.01重量部以上であると、無機粒子の量が充分であるので、無機粒子が有する機能が発揮されやすくなる。すなわち、マスターバッチとしてより有効に使用しやすくなる。
ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、無機粒子が250重量部を超えると、無機粒子の量が多すぎ、無機粒子がポリカーボネート樹脂に充分に分散されにくくなり、無機粒子が凝集し粗大粒子が発生しやすくなる。このような粗大粒子が発生すると、マスターバッチを用いて樹脂成形品を製造した際に、樹脂成形品の表面に粗大粒子が発生することもあり、樹脂成形品表面の平滑性が失われ外観不良となる。また、樹脂成形品の強度が低下しやすくなり、ヘイズが増大しやすくなる。さらに、無機粒子が持つ機能の効率が低下しやすくなる。
しかし、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、無機粒子が250重量部以下であると、無機粒子が好適に分散する。その結果、ポリカーボネート樹脂の変質が生じにくくなり、樹脂成形品の強度が高く、外観も良好となる。
後述するように、マスターバッチ用樹脂が熱可塑性樹脂である場合、混練は、通常、130〜300℃で行われる。そのため、耐熱性の低い分散剤を用いると、分散剤が分解し、充分に無機粒子を分散させにくくなる。また、分散剤が分解すると、製造されるマスターバッチが変色したり、ヘイズが生じる原因となる。また、製造されるマスターバッチに炭化物等の異物が生じやすくなる。また、マスターバッチの成形時にドローダウンしたり、発泡しベントアップしたりするので、加工不良が生じやすくなる。
しかし、本発明のマスターバッチの製造方法では、高耐熱性リン酸エステル化合物を用いる。高耐熱性リン酸エステル化合物は、130〜300℃に加熱されたとしても分解されにくく、分散剤として機能する。従って、無機粒子を充分に分散させることができる。
本発明のマスターバッチの製造方法では、高耐熱性リン酸エステル化合物と共にマスターバッチ用樹脂及び無機粒子を混練するので、このように無機粒子を多く使用したとしても、無機粒子を充分に分散させることができる。
無機粒子100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物を0.1重量部以上混合すると、無機粒子をマスターバッチ用樹脂に均一に分散させることができる。
この場合、マスターバッチ用樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを混練し、樹脂混練物を作製する混練工程を行うことによりマスターバッチを製造することができる。すなわち、樹脂混練物がマスターバッチとなる。
130℃以上で混練すると、マスターバッチ用樹脂が充分に柔らかくなり、無機粒子が充分に分散しやすくなる。
300℃を超えて混練すると、マスターバッチ用樹脂が変性したり、高耐熱性リン酸エステル化合物が分解しやすくなる。
しかし、300℃以下で混練すると、マスターバッチ用樹脂が変性することや、高耐熱性リン酸エステル化合物が分解することを防ぐことができる。そのため、製造されるマスターバッチの強度が向上し、ヘイズが生じることを防ぐことができ、マスターバッチの物性を向上させることができる。
第1のマスターバッチの製造方法は、(1)無機粒子と高耐熱性リン酸エステル化合物とを混合し、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を作製する混合工程と、(2)マスターバッチ用樹脂と、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物とを混練することにより、マスターバッチ用樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを混練し、樹脂混練物を作製する混練工程と、(3)樹脂混練物を押出成形してペレット状にする押出成形工程からなる。
まず、無機粒子と高耐熱性リン酸エステル化合物とを混合し、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を作製する。
混合方法は、乾式混合であっても湿式混合であってもよく、例えば、ロールミル等を用いて混合してもよい。
この際、トルエン等の溶剤を加えてもよい。
無機粒子100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物を0.1重量部以上混合すると、無機粒子をマスターバッチ用樹脂に均一に分散させることができる。
次に、マスターバッチ用樹脂に、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を加え混練し、樹脂混練物を作製する。
この際、マスターバッチ用樹脂100重量部に対し、無機粒子を0.01〜250重量部用いることが望ましく、0.05〜120重量部用いることがより望ましい。
また、混練工程における温度は130〜300℃であることが望ましく、240〜300℃であることがより望ましく、260〜280℃であることがさらに望ましい。
次に、得られた樹脂混練物を押出成形機で押出成形し、所定の大きさに切断してペレット状にすることによりマスターバッチを製造する。
製造するマスターバッチの大きさは、特に限定されないが、平均長軸径2.0〜4.0mm、平均短軸径2.0〜4.0mmであることが望ましい。
第2のマスターバッチの製造方法は、(1)マスターバッチ用樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを同時に混練して樹脂混練物を作製する混練工程と、(2)樹脂混練物を押出成形してペレット状にする押出成形工程からなる。
まず、マスターバッチ用樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを同時に混練して樹脂混練物を作製する。
混練方法は、特に限定されず、例えば、加圧ニーダーを用いることができる。また、酸化防止剤、滑剤等を加えてもよい。
この際、マスターバッチ用樹脂100重量部に対し、無機粒子を0.01〜250重量部用いることが望ましく、0.05〜120重量部用いることがより望ましい。
また、無機粒子100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物を0.1重量部以上混合することが望ましく、0.1〜200重量部混合することがより望ましい。
また、混練工程における温度は130〜300℃であることが望ましく、240〜300℃であることがより望ましく、260〜280℃であることがさらに望ましい。
次に、得られた樹脂混練物を押出成形機で押出成形し、所定の大きさに切断してペレット状にすることによりマスターバッチを製造する。
製造するマスターバッチの大きさは、特に限定されないが、平均長軸径2.0〜4.0mm、平均短軸径2.0〜4.0mmであることが望ましい。
ポリカーボネート樹脂を混練する際は、通常、240〜300℃に加熱されて加工される。そのため、耐熱性の低い分散剤を用いると、分散剤が分解し、充分に無機粒子を分散させにくくなる。また、分散剤が分解すると、製造されるマスターバッチが変色したり、ヘイズが生じる原因となる。また、製造されるマスターバッチに炭化物等の異物が生じやすくなる。また、マスターバッチの成形時にドローダウンしたり、発泡しベントアップしたりするので、加工不良が生じやすくなる。
しかし、マスターバッチ用樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合、高耐熱性リン酸エステル化合物を用いる。高耐熱性リン酸エステル化合物は、240〜300℃に加熱されたとしても分解されにくく、分散剤として機能する。従って、無機粒子を充分に分散させることができる。
マスターバッチ用樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合、高耐熱性リン酸エステル化合物と共にポリカーボネート樹脂及び無機粒子を混練するので、このように無機粒子を多く使用したとしても、無機粒子を充分に分散させることができる。
無機粒子100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物を0.1重量部以上混合すると、無機粒子をポリカーボネート樹脂に均一に分散させることができる。
240℃以上で混練すると、ポリカーボネート樹脂が充分に柔らかくなり、無機粒子が充分に分散しやすくなる。
300℃を超えて混練すると、ポリカーボネート樹脂が変性したり、高耐熱性リン酸エステル化合物が分解しやすくなる。
しかし、300℃以下で混練すると、ポリカーボネート樹脂が変性することや、高耐熱性リン酸エステル化合物が分解することを防ぐことができる。そのため、製造されるマスターバッチの強度が向上し、ヘイズが生じることを防ぐことができ、マスターバッチの物性を向上させることができる。
第1のマスターバッチの製造方法は、(1)無機粒子と高耐熱性リン酸エステル化合物とを混合し、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を作製する混合工程と、(2)ポリカーボネート樹脂と、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物とを混練することにより、ポリカーボネート樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを混練し、樹脂混練物を作製する混練工程と、(3)樹脂混練物を押出成形してペレット状にする押出成形工程からなる。
まず、無機粒子と高耐熱性リン酸エステル化合物とを混合し、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を作製する。
混合方法は、乾式混合であっても湿式混合であってもよく、例えば、ロールミル等を用いて混合してもよい。
この際、トルエン等の溶剤を加えてもよい。
無機粒子100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物を0.1重量部以上混合すると、無機粒子をポリカーボネート樹脂に均一に分散させることができる。
次に、ポリカーボネート樹脂に、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を加え混練し、樹脂混練物を作製する。
この際、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、無機粒子を0.01〜250重量部用いることが望ましく、0.05〜120重量部用いることがより望ましい。
また、混練工程における温度は240〜300℃であることが望ましく、260〜280℃であることがより望ましい。
次に、得られた樹脂混練物を押出成形機で押出成形し、所定の大きさに切断してペレット状にすることによりマスターバッチを製造する。
製造するマスターバッチの大きさは、特に限定されないが、平均長軸径2.0〜4.0mm、平均短軸径2.0〜4.0mmであることが望ましい。
第2のマスターバッチの製造方法は、(1)ポリカーボネート樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを同時に混練して樹脂混練物を作製する混練工程と、(2)樹脂混練物を押出成形してペレット状にする押出成形工程からなる。
まず、ポリカーボネート樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを同時に混練して樹脂混練物を作製する。
混練方法は、特に限定されず、例えば、加圧ニーダーを用いることができる。また、酸化防止剤、滑剤等を加えてもよい。
この際、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、無機粒子を0.01〜250重量部用いることが望ましく、0.05〜120重量部用いることがより望ましい。
また、無機粒子100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物を0.1重量部以上混合することが望ましく、0.1〜200重量部混合することがより望ましい。
また、混練工程における温度は240〜300℃であることが望ましく、260〜280℃であることがより望ましい。
次に、得られた樹脂混練物を押出成形機で押出成形し、所定の大きさに切断してペレット状にすることによりマスターバッチを製造する。
製造するマスターバッチの大きさは、特に限定されないが、平均長軸径2.0〜4.0mm、平均短軸径2.0〜4.0mmであることが望ましい。
まず、マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、無機粒子が0.001〜200重量部となるように、着色用樹脂に本発明のマスターバッチを加え、着色用樹脂とマスターバッチとの混合物を作製する。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、無機粒子が0.001重量部以上であると、無機粒子の量が充分に多くなるので、製造される樹脂成形品において、無機粒子が有する機能が発揮されやすくなる。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、無機粒子が200重量部を超えると、製造される樹脂成形品において、樹脂成分の量が相対的に少なくなる。そのため、製造される樹脂成形品の強度が弱くなりやすく、外観不良が生じやすくなる。しかし、マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、無機粒子が200重量部以下であると、製造される樹脂成形品の強度が充分に強く、外観も良好になる。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が0.005重量部以上であると、樹脂と、無機粒子とがなじみやすくなり、充分に無機粒子を樹脂に分散させることができる。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が100重量部以下であると、高耐熱性リン酸エステル化合物が樹脂成形品の透明性に影響を及ぼすことを抑制できる。
この混練の温度は、130〜340℃であることが望ましく、240〜340℃であることがより望ましく、270〜320℃であることがさらに望ましい。
混練する際の温度が、130℃以上であると、着色用樹脂及びマスターバッチが充分に溶融し、高分子特有の粘度を低下させることができる。そのため、着色用樹脂と、マスターバッチとが充分に混ざり合い、マスターバッチに含まれる無機粒子を、着色用樹脂に均一に分散させることができる。さらに、後の成形工程において、成形不良が生じにくくなる。
混練する際の温度が、340℃を超えると、着色用樹脂や、マスターバッチに含まれる高耐熱性リン酸エステル化合物が分解しやすくなるが、340℃以下であれば、このような分解は生じにくい。そのため、製造される樹脂成形品の強度が充分に強くなり、外観も良好になる。
次に、成形品原料樹脂を所定の形状に成形する。
成形の方法は特に限定されず、射出成形、押出成形、圧縮成形、回転成形等を採用することができる。
これらの中では、効率的に所望の形状に成形できる射出成形又は押出成形を採用することが望ましい。
また、同じ機械を用いて連続的にこれら工程を行う場合は、着色用樹脂にマスターバッチを加えて混練して成形品原料樹脂を作製しながら、成形を行ってもよい。
また、別々の機械を用いて分けてこれら工程を行う場合には、着色用樹脂とマスターバッチとの混練物を押出成形してコンパウンドとし、そのコンパウンドを、射出成形機を用いて射出成形してもよい。この場合、コンパウンドが成形品原料樹脂である。
また、このようにして製造された樹脂成形品は、本発明の樹脂成形品である。
すなわち、上記方法により製造された樹脂成形品は、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを含み、上記樹脂成形品は、上記マスターバッチ用樹脂及び上記着色用樹脂由来の樹脂の合計100重量部に対し、上記無機粒子を0.001〜200重量部含むことになる。
なお、上記樹脂成形品において、着色用樹脂由来の樹脂を、以下、「マスターバッチにより着色された樹脂」とも記載する。
さらに、本発明の樹脂成形品では、マスターバッチ用樹脂及びマスターバッチにより着色された樹脂の合計100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物を0.005〜100重量部含むことが望ましく、0.01〜50重量部含むことがより望ましい。
熱線吸収性を有する無機粒子としては、金属酸化物及びホウ化物があげられる。これらの中では、アンチモン添加酸化錫、インジウム添加酸化錫、六ホウ化ランタンであることが望ましい。
なお、「カーボンブラックの凝集物」とは、複数のカーボンブラックの一次粒子が互いに接触し、10μm以上の粗大粒子となっている状態のもののことを意味する。
上記プレート成形品におけるカーボンブラックの凝集物の数が、5個/2.2mm視野未満であると、カーボンブラックの凝集が抑制され、色斑が生じることを抑制することができる。
当該プレート成形品のL*値が2以下であると、漆黒性がより向上する。
なお、「L*値」とは、JIS Z 8722:2009及びJIS Z 8730:2009の方法に従って測定される値である。
当該プレート成形品の白色度が85以上であると、鮮やかな白色となる。
なお、「白色度」とは、JIS Z 8722:2009及びJIS Z 8715:1999の方法に従って測定される白色度の値である。
また、本発明の樹脂成形品の製造方法で用いるマスターバッチに含まれる無機粒子が六ホウ化ランタンである場合、上記(1)成形品原料樹脂作製工程において、成形品原料樹脂中のマスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、六ホウ化ランタンが0.001〜0.1重量部含まれるように、着色用樹脂とマスターバッチとを混練することが望ましい。
なお、「日射透過率」とは、JIS R 3106:1998の方法に従って測定される値である。
また、当該成形品原料樹脂を射出成形し、厚さ1mmのプレート成形品を作製した際に、当該プレート成形品のヘイズは、0.5〜5%であることが望ましい。
なお、「ヘイズ」とは、JIS K 7136:2000の方法に従って測定される値である。
以下、各工程について詳述する。
まず、マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、無機粒子が0.001〜200重量部となるように、着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂に本発明のマスターバッチを加え、着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂とマスターバッチとの混合物を作製する。
無機粒子の量は、上記範囲であれば特に限定されないが、マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.005〜100重量部加えることがより望ましい。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、無機粒子が0.001重量部以上であると、無機粒子の量が充分に多くなるので、製造されるポリカーボネート樹脂成形品において、無機粒子が有する機能が発揮されやすくなる。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、無機粒子が200重量部を超えると、製造されるポリカーボネート樹脂成形品において、ポリカーボネート樹脂成分の量が相対的に少なくなる。そのため、製造されるポリカーボネート樹脂成形品の強度が弱くなりやすく、外観不良が生じやすくなる。しかし、マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、無機粒子が200重量部以下であると、製造されるポリカーボネート樹脂成形品の強度が充分に強く、外観も良好になる。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が0.005重量部以上であると、着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂と、マスターバッチに含まれる無機粒子とがなじみやすくなり、充分に無機粒子をポリカーボネート樹脂に分散させることができる。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が100重量部以下であると、高耐熱性リン酸エステル化合物がポリカーボネート樹脂成形品の透明性に影響を及ぼすことを抑制できる。
この混練の温度は、240〜340℃であることが望ましく、270〜320℃であることがより望ましい。
混練する際の温度が、240℃以上であると、着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂及びマスターバッチが充分に溶融し、高分子特有の粘度を低下させることができる。そのため、マスターバッチと着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂とが充分に混ざり合い、マスターバッチに含まれる無機粒子を、着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂に均一に分散させることができる。さらに、後の成形工程において、成形不良が生じにくくなる。
混練する際の温度が、340℃を超えると、着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂や、マスターバッチに含まれる高耐熱性リン酸エステル化合物が分解しやすくなるが、340℃以下であれば、このような分解は生じにくい。そのため、製造されるポリカーボネート樹脂成形品の強度が充分に強くなり、外観も良好になる。
次に、成形品原料樹脂を所定の形状に成形する。
成形の方法は特に限定されず、射出成形、押出成形、圧縮成形、回転成形等を採用することができる。
これらの中では、効率的に所望の形状に成形できる射出成形又は押出成形を採用することが望ましい。
また、同じ機械を用いて連続的にこれら工程を行う場合は、着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂にマスターバッチを加えて混練して成形品原料樹脂を作製しながら、成形を行ってもよい。
また、別々の機械を用いて分けてこれら工程を行う場合には、着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂とマスターバッチとの混練物を押出成形してコンパウンドとし、そのコンパウンドを、射出成形機を用いて射出成形してもよい。この場合、コンパウンドが成形品原料樹脂である。
また、このようにして製造されたポリカーボネート樹脂成形品は、本発明の樹脂成形品である。
すなわち、上記方法により製造された樹脂成形品は、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを含み、上記樹脂成形品は、上記ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、上記無機粒子を0.001〜200重量部含むことになる。
また、本発明の樹脂成形品では、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、無機粒子を0.005〜100重量部含むことが望ましい。
さらに、本発明の樹脂成形品では、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物を0.005〜100重量部含むことが望ましく、0.01〜50重量部含むことがより望ましい。
まず、マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、無機粒子が0.001〜200重量部となるように、着色用樹脂に本発明のマスターバッチを加え、着色用樹脂とマスターバッチとの混合物を作製する。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、無機粒子が0.001重量部以上であると、無機粒子の量が充分に多くなるので、製造される樹脂成形品において、無機粒子が有する機能が発揮されやすくなる。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、無機粒子が200重量部を超えると、製造される樹脂成形品において、樹脂成分の量が相対的に少なくなる。そのため、製造される樹脂成形品の強度が弱くなりやすく、外観不良が生じやすくなる。しかし、マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、無機粒子が200重量部以下であると、製造される樹脂成形品の強度が充分に強く、外観も良好になる。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が0.005重量部以上であると、樹脂と、無機粒子とがなじみやすくなり、充分に無機粒子を樹脂に分散させることができる。
マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が100重量部以下であると、高耐熱性リン酸エステル化合物が樹脂成形品の透明性に影響を及ぼすことを抑制できる。
硬化剤としては、メチルエチルケトンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等を用いることができる。
硬化促進剤としては、ナフテン酸コバルト、オクトエ酸コバルト、アセト酢酸エチルエステル等を用いることができる。
次に、成形品原料樹脂を所定の形状に成形する。
成形品原料樹脂の成形の方法は特に限定されず、熱硬化性樹脂を成形する際の通常の方法を採用することができる。
上記成形工程の後、成形品原料樹脂を20〜130℃に加熱し硬化させる。
加熱温度は、マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の熱硬化温度に合わせて調節することが望ましい。
また、このようにして製造された樹脂成形品は、本発明の樹脂成形品である。
すなわち、上記方法により製造された樹脂成形品は、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを含み、上記樹脂成形品は、上記マスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、上記無機粒子を0.001〜200重量部含むことになる。
さらに、本発明の樹脂成形品では、マスターバッチ用樹脂及びマスターバッチにより着色された樹脂の合計100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物を0.005〜100重量部含むことが望ましく、0.01〜50重量部含むことがより望ましい。
熱線吸収性を有する無機粒子としては、金属酸化物及びホウ化物があげられる。これらの中では、アンチモン添加酸化錫、インジウム添加酸化錫、六ホウ化ランタンであることが望ましい。
なお、「カーボンブラックの凝集物」とは、複数のカーボンブラックの一次粒子が互いに接触し、10μm以上の粗大粒子となっている状態のもののことを意味する。
上記プレート成形品におけるカーボンブラックの凝集物の数が、5個/2.2mm視野未満であると、カーボンブラックの凝集が抑制され、色斑が生じることを抑制することができる。
当該プレート成形品のL*値が2以下であると、漆黒性がより向上する。
なお、「L*値」とは、JIS Z 8722:2009及びJIS Z 8730:2009の方法に従って測定される値である。
当該プレート成形品の白色度が85以上であると、鮮やかな白色となる。
なお、「白色度」とは、JIS Z 8722:2009及びJIS Z 8715:1999の方法に従って測定される白色度の値である。
また、本発明の樹脂成形品の製造方法で用いるマスターバッチに含まれる無機粒子が六ホウ化ランタンである場合、上記(1)成形品原料樹脂作製工程において、成形品原料樹脂中のマスターバッチ用樹脂及び着色用樹脂の合計100重量部に対し、六ホウ化ランタンが0.001〜0.1重量部含まれるように、着色用樹脂とマスターバッチとを混練することが望ましい。
なお、「日射透過率」とは、JIS R 3106:1998の方法に従って測定される値である。
また、当該成形品原料樹脂を射出成形し、厚さ1mmのプレート成形品を作製した際に、当該プレート成形品のヘイズは、0.5〜5%であることが望ましい。
なお、「ヘイズ」とは、JIS K 7136:2000の方法に従って測定される値である。
芳香族縮合リン酸エステル(大八化学工業株式会社製、製品名:PX−200)、リン酸トリフェニル(大八化学工業株式会社製、製品名:TPP)、リン酸トリメチル(大八化学工業株式会社製、製品名:TMP)、アクリル系分散剤(ALANA社製、製品名:DISPER BYK−116)、及び、ポリエステル系分散剤(日本ルーブリゾール株式会社製、製品名:ソルスパース32000)を、それぞれ10mgを準備した。
その後、各分散剤を、示差熱、熱重量同時測定器(機種名:DTG−60、株式会社島津製作所製)の加熱炉にセットした。
次に、窒素雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱炉を昇温させ、300℃到達時点及び340℃到達時点の各分散剤の重量を測定し、各分散剤の300℃到達時点、及び、340℃到達時点の熱重量減量を算出した。
結果を表1に示す。
さらに、これら分散剤は、340℃到達時点の熱重量減量が15.0%未満であった。
(実施例1−1)
(1)混合工程
無機粒子としてカーボンブラックを10重量部及び高耐熱性リン酸エステル化合物として芳香族縮合リン酸エステルを15重量部準備し、これらをロールミルにより混合・分散し、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を作製した。
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、製品名:ユーピロンS3000)を100重量部準備し、これに無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を25重量部加え、押出成形機を用いて280℃で混練し、樹脂混練物を作製した。
樹脂混練物を押出成形し、平均長軸径3.0mm、平均短軸径3.0mmの実施例1−1に係るマスターバッチを製造した。
(1)混練工程
ポリカーボネート樹脂を100重量部、無機粒子としてカーボンブラックを95重量部、及び、高耐熱性リン酸エステル化合物として芳香族縮合リン酸エステルを42重量部準備し、これらを加圧ニーダーにより分散加工し、押出成形機を用いて280℃で混練し、樹脂混練物を作製した。
樹脂混練物を押出成形し、平均長軸径3.0mm、平均短軸径3.0mmの実施例1−2に係るマスターバッチを製造した。
(1)混練工程
ポリカーボネート樹脂を100重量部、及び、無機粒子としてカーボンブラックを67重量部準備し、これらを加圧ニーダーにより分散加工し、押出成形機を用いて280℃で混練し、樹脂混練物を作製した。
樹脂混練物を押出成形し、平均長軸径3.0mm、平均短軸径3.0mmの比較例1−1に係るマスターバッチを製造した。
上記実施例1−1の(1)混合工程において、芳香族縮合リン酸エステルの代わりにリン酸トリメチルを用いた以外は、実施例1−1と同様にして比較例1−2に係るマスターバッチを製造した。
上記実施例1−1の(1)混合工程において、芳香族縮合リン酸エステルの代わりにアクリル系分散剤(ALANA社製、製品名:DISPER BYK−116)を用いた以外は、実施例1−1と同様にして比較例1−3に係るマスターバッチを製造した。
上記実施例1−2の(1)混練工程において、芳香族縮合リン酸エステルの代わりにアクリル系分散剤(ALANA社製、製品名:DISPER BYK−116)を用いた以外は、実施例1−2と同様にして比較例1−4に係るマスターバッチを製造した。
実施例1−1、比較例1−2及び比較例1−3に係るマスターバッチについて、JIS K 7210付属書B表1に準拠し、メルトインデクサ(東洋精機製作所社製)を用い以下の条件で、滞留前メルトフローレート及び滞留後メルトフローレートを測定し、メルトフローレート変動率を算出した。結果を表2に示す。
シリンダ内の温度:300℃
荷重:1.2kg
シリンダにマスターバッチを充填した後の滞留時間:予熱5分のみ
シリンダ内の温度:300℃
荷重:1.2kg
シリンダにマスターバッチを充填した後の滞留時間:予熱5分+滞留5分
(実施例2−1)
(1)成形品原料樹脂作製工程
マスターバッチ由来のポリカーボネート樹脂及び着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、製品名:ユーピロンS3000)の合計100重量部に対し、無機粒子が0.02重量部となるように、ポリカーボネート樹脂と実施例1−1に係るマスターバッチとを混合した。
次に、ポリカーボネート樹脂とマスターバッチとの混合物を、射出成形機を用いて300℃で混練し、成形品原料樹脂を作製した。
次に、成形品原料樹脂を、長さ×幅×厚さ=50mm×60mm×1mmとなるように射出成形し、実施例2−1に係るプレート成形品を製造した。
上記実施例2−1の(1)成形品原料樹脂作製工程において、実施例1−1に係るマスターバッチを、表3に示すマスターバッチに変更した以外は、実施例2−1と同様に実施例2−2及び比較例2−1〜比較例2−4に係るプレート成形品を製造した。
実施例2−1及び実施例2−2、並びに、比較例2−1〜比較例2−4に係るプレート成形品について、顕微鏡(オリンパス製実体顕微鏡BX60)を用いて透過観察を行い、2.2mm視野におけるカーボンブラックの凝集物の数を測定した。
測定方法は以下の通りである。結果を表3に示す。
(実施例3−1)及び(実施例3−2)、並びに、(比較例3−1)〜(比較例3−4)
上記実施例2−1の(1)成形品原料樹脂作製工程において、実施例1−1に係るマスターバッチを表4に示すマスターバッチに変更し、上記実施例2−1に係るプレート成形品中のポリカーボネート樹脂と無機粒子との割合を表4に示す割合とした以外は、実施例2−1と同様に実施例3−1及び実施例3−2、並びに、比較例3−1〜比較例3−4に係るプレート成形品を製造した。
実施例3−1及び実施例3−2、並びに、比較例3−1〜比較例3−4に係るプレート成形品について分光測色器(機種名:CM−3700d、製造元:コニカミノルタ株式会社製)を用いて、L*値を測定した。測定条件はJIS Z 8722:2009及びJIS Z 8729:2013の方法に従った。結果を表4に示す。
(実施例4−1)
(1)混合工程
無機粒子としてアンチモン添加酸化錫を10重量部及び高耐熱性リン酸エステル化合物として芳香族縮合リン酸エステルを15重量部準備し、これらをロールミルにより混合・分散し、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を作製した。
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、製品名:ユーピロンS3000)を100重量部準備し、これに無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を25重量部加え、押出成形機を用いて280℃で混練し、樹脂混練物を作製した。
樹脂混練物を押出成形し、平均長軸径3.0mm、平均短軸径3.0mmの実施例4−1に係るマスターバッチを製造した。
(1)混練工程
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、製品名:ユーピロンS3000)を100重量部、無機粒子としてアンチモン添加酸化錫を95重量部、及び、高耐熱性リン酸エステル化合物として芳香族縮合リン酸エステルを42重量部準備し、これらを加圧ニーダーにより分散加工し、押出成形機を用いて280℃で混練し、樹脂混練物を作製した。
樹脂混練物を押出成形し、平均長軸径3.0mm、平均短軸径3.0mmの実施例4−2に係るマスターバッチを製造した。
(1)混合工程
無機粒子として六ホウ化ランタンを15重量部及び高耐熱性リン酸エステル化合物としてリン酸トリフェニルを5重量部、トルエンを80重量部準備し、ビーズミルにより混合・分散した。その後、40℃で加熱することによりトルエンを揮発させ無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を作製した。
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、製品名:ユーピロンS3000)を100重量部準備し、これに無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を2重量部加え、押出成形機を用いて280℃で混練し、樹脂混練物を作製した。
樹脂混練物を押出成形し、平均長軸径3.0mm、平均短軸径3.0mmの実施例4−3に係るマスターバッチを製造した。
上記実施例4−1の(1)混合工程において、芳香族縮合リン酸エステルの代わりにアクリル系分散剤(ALANA社製、製品名:DISPER BYK−116)を用いた以外は、実施例4−1と同様にして比較例4−1に係るマスターバッチを製造した。
上記実施例4−2の(1)混練工程において、芳香族縮合リン酸エステルの代わりにアクリル系分散剤(ALANA社製、製品名:DISPER BYK−116)を用いた以外は、実施例4−2と同様にして比較例4−2に係るマスターバッチを製造した。
上記実施例4−3の(1)混合工程において、リン酸トリフェニルの代わりにアクリル系分散剤(ALANA社製、製品名:DISPER BYK−116)を用いた以外は、実施例3−3と同様にして比較例4−3に係るマスターバッチを製造した。
上記実施例4−3の(1)混合工程において、リン酸トリフェニルの代わりにポリエステル系分散剤(日本ルーブリゾール株式会社製、製品名:ソルスパース32000)を用いた以外は、実施例4−3と同様にして比較例4−4に係るマスターバッチを製造した。
実施例4−1及び実施例4−3、並びに、比較例4−1、比較例4−3及び比較例4−4に係るマスターバッチについて、JIS K 7210付属書B表1に準拠し、メルトインデクサ(東洋精機製作所社製)を用い以下の条件で、滞留前メルトフローレート及び滞留後メルトフローレートを測定し、メルトフローレート変動率を算出した。結果を表5に示す。
シリンダ内の温度:300℃
荷重:1.2kg
シリンダにマスターバッチを充填した後の滞留時間:予熱5分のみ
シリンダ内の温度:300℃
荷重:1.2kg
シリンダにマスターバッチを充填した後の滞留時間:予熱5分+滞留5分
(実施例5−1)
(1)成形品原料樹脂作製工程
マスターバッチ由来のポリカーボネート樹脂及び着色用樹脂であるポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、製品名:ユーピロンS3000)の合計100重量部に対し、無機粒子が0.2重量部となるように、ポリカーボネート樹脂と実施例4−1に係るマスターバッチとを混合した。
次に、ポリカーボネート樹脂とマスターバッチとの混合物を、射出成形機を用いて300℃で混練し、成形品原料樹脂を作製した。
次に、成形品原料樹脂を射出成形し、長さ×幅×厚さ=50mm×60mm×1mmのプレート成型品、及び、長さ×幅×厚さ=50mm×60mm×2mmのプレート成形品を製造した。
これら2種類の厚さのプレート成形品は、実施例5−1に係るプレート成形品である。
上記実施例5−1の(1)成形品原料樹脂作製工程において、実施例4−1に係るマスターバッチを、表6に示すマスターバッチに変更し、上記実施例5−1に係るプレート成形品中のポリカーボネート樹脂と無機粒子との割合を表6に示す割合とした以外は、実施例5−1と同様に2種類の厚さの実施例5−2及び実施例5−3、並びに、比較例5−1〜比較例5−4に係るプレート成形品を製造した。
実施例5−1〜実施例5−3、及び、比較例5−1〜比較例5−4に係るプレート成形品の内、厚さが2mmのプレート成形品を用いて、日射透過率を測定した。測定条件は、JIS R 3106:1998の方法に従った。結果を表6に示す。
実施例5−1〜実施例5−3、及び、比較例5−1〜比較例5−4に係るプレート成形品の内、厚さが1mmのプレート成形品を用いて、ヘイズを測定した。測定条件は、JIS K 7136:2000の方法に従った。結果を表6に示す。
実施例5−1〜実施例5−3に係るプレート成形品では、ヘイズが0.5〜5%の範囲に入っており良好であった。一方、比較例5−1〜比較例5−4に係るプレート成形品では、ヘイズが5%を超えており不充分であった。
(実施例6−1)
(1)混練工程
無機粒子としてアンチモン添加酸化錫を10重量部、高耐熱性リン酸エステル化合物として芳香族縮合リン酸エステルを15重量部、及び、不飽和ポリエステル樹脂(昭和電工株式会社製、製品名:リゴラック150HRBQTNW)を100重量部準備し、これらをロールミルにより混合・分散し、ペースト状の樹脂混練物を作製した。この樹脂混練物は、実施例6−1に係るマスターバッチである。
(1)混合工程
無機粒子として六ホウ化ランタンを15重量部及び高耐熱性リン酸エステル化合物としてリン酸トリフェニルを5重量部、トルエンを80重量部準備し、ビーズミルにより混合・分散し無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を作製した。
不飽和ポリエステル樹脂(昭和電工株式会社製、製品名:リゴラック150HRBQTNW)を100重量部準備し、これに無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を10重量部加え、ディスパーにより均一に混練し、ペースト状の樹脂混練物を作製した。この樹脂混練物は、実施例6−2に係るマスターバッチである。
上記実施例6−1の(1)混練工程において、芳香族縮合リン酸エステルの代わりにポリエステル系分散剤(日本ルーブリゾール株式会社製、製品名:ソルスパース32000)を用いた以外は、実施例6−1と同様にして比較例6−1に係るマスターバッチを製造した。
上記実施例6−2の(1)混合工程において、リン酸トリフェニルの代わりにポリエステル系分散剤(日本ルーブリゾール株式会社製、製品名:ソルスパース32000)を用いた以外は、実施例6−2と同様にして比較例6−2に係るマスターバッチを製造し
(実施例7−1)
(1)成形品原料樹脂作製工程
マスターバッチ由来の不飽和ポリエステル樹脂及び着色用樹脂である不飽和ポリエステル樹脂(昭和電工株式会社製、製品名:リゴラック150HRBQTNW)の合計100重量部に対し、無機粒子が0.2重量部となるように、不飽和ポリエステル樹脂と実施例6−1に係るマスターバッチとを混合した。
その後、ナフテン酸コバルト1.0重量部、及び、55質量%メチルエチルケトンパーオキシド2.0重量部を混合し、成形品原料樹脂を作製した。
次に、成形品原料樹脂を、長さ×幅×厚さ=50mm×60mm×1mm、及び、長さ×幅×厚さ=50mm×60mm×2mmの板状物が得られるような型に流し込み、25℃で16時間静置した。
次に、型に流し込んだ成形品原料樹脂を、120℃にて2時間加熱し硬化させ、厚さ1mmの板状のプレート成形品及び厚さ2mmのプレート成形品を製造した。
これら2種類の厚さのプレート成形品は、実施例7−1に係るプレート成形品である。
上記実施例7−1の(1)成形品原料樹脂作製工程において、実施例6−1に係るマスターバッチを、表7に示すマスターバッチに変更し、上記実施例7−1に係るプレート成形品中の不飽和ポリエステル樹脂と無機粒子との割合を表7に示す割合とした以外は、実施例7−1と同様に2種類の厚さの実施例7−2、比較例7−1及び比較例7−2に係るプレート成形品を作製した。
実施例7−1及び実施例7−2、並びに、比較例7−1及び比較例7−2に係るプレート成形品の内、厚さが2mmのプレート成形品を用いて、日射透過率を測定した。測定条件は、JIS R 3106:1998の方法に従った。結果を表7に示す。
実施例7−1及び実施例7−2、並びに、比較例7−1及び比較例7−2に係るプレート成形品の内、厚さが1mmのプレート成形品を用いて、ヘイズを測定した。測定条件は、JIS K 7136:2000の方法に従った。結果を表7に示す。
実施例7−1及び実施例7−2に係るプレート成形品では、ヘイズが0.5〜5%の範囲に入っており良好であった。一方、比較例7−1及び比較例7−2に係るプレート成形品では、ヘイズが5%を超えており不充分であった。
Claims (31)
- マスターバッチ用樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを含むことを特徴とするマスターバッチ。
- 前記マスターバッチ用樹脂100重量部に対し、前記無機粒子を0.01〜250重量部含むことを特徴とする請求項1に記載のマスターバッチ。
- 前記マスターバッチ用樹脂100重量部に対し、前記高耐熱性リン酸エステル化合物を0.05〜120重量部含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のマスターバッチ。
- 前記無機粒子100重量部に対し、前記高耐熱性リン酸エステル化合物を0.1重量部以上含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマスターバッチ。
- 前記無機粒子の平均粒子径は0.005〜10μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマスターバッチ。
- 前記マスターバッチ用樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、AS樹脂、PS樹脂、PMMA樹脂及びABS樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマスターバッチ。
- 前記マスターバッチ用樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマスターバッチ。
- 樹脂成形品であって、
前記樹脂成形品は、樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを含み、
前記樹脂成形品は、前記樹脂100重量部に対し、前記無機粒子を0.001〜200重量部含むことを特徴とする樹脂成形品。 - 前記樹脂成形品は、前記樹脂100重量部に対し、前記高耐熱性リン酸エステル化合物を0.005〜100重量部含むことを特徴とする請求項8に記載の樹脂成形品。
- 前記樹脂は、マスターバッチ由来のマスターバッチ用樹脂と、前記マスターバッチにより着色された樹脂とを含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の樹脂成形品。
- 前記マスターバッチ用樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、AS樹脂、PS樹脂、PMMA樹脂及びABS樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項10に記載の樹脂成形品。
- 前記マスターバッチにより着色された樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、AS樹脂、PS樹脂、PMMA樹脂及びABS樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項11に記載の樹脂成形品。
- 前記マスターバッチ用樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項10に記載の樹脂成形品。
- 前記マスターバッチにより着色された樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項13に記載の樹脂成形品。
- 前記マスターバッチは、請求項1〜7のいずれかに記載のマスターバッチであることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の樹脂成形品。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のマスターバッチの製造方法であって、
マスターバッチ用樹脂と、無機粒子と、高耐熱性リン酸エステル化合物とを混練し、樹脂混練物を作製する混練工程を含むことを特徴とするマスターバッチの製造方法。 - 前記混練工程では、前記マスターバッチ用樹脂100重量部に対し、前記無機粒子を0.01〜250重量部用いることを特徴とする請求項16に記載のマスターバッチの製造方法。
- 前記マスターバッチ用樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、AS樹脂、PS樹脂、PMMA樹脂及びABS樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項16又は17に記載のマスターバッチの製造方法。
- 前記無機粒子と前記高耐熱性リン酸エステル化合物とを混合し、無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物を作製する混合工程をさらに含み、
前記混練工程では、前記マスターバッチ用樹脂と、前記無機粒子−高耐熱性リン酸エステル化合物混合物とを混練することを特徴とする請求項18に記載のマスターバッチの製造方法。 - 前記混練工程では、前記マスターバッチ用樹脂と、前記無機粒子と、前記高耐熱性リン酸エステル化合物とを同時に混練することを特徴とする請求項18に記載のマスターバッチの製造方法。
- 前記混練工程では、130〜300℃で混練することを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載のマスターバッチの製造方法。
- 前記樹脂混練物を、押出成形してペレット状にする押出成形工程をさらに含むことを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載のマスターバッチの製造方法。
- 前記マスターバッチ用樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項16又は17に記載のマスターバッチの製造方法。
- 着色用樹脂に、マスターバッチを加えて樹脂成形品を製造する方法であって、
前記マスターバッチは、請求項1〜7のいずれかに記載のマスターバッチであり、
前記マスターバッチに含まれるマスターバッチ用樹脂及び前記着色用樹脂の合計100重量部に対し、前記マスターバッチに含まれる無機粒子が0.001〜200重量部となるように、前記着色用樹脂に前記マスターバッチを加えて混練し、成形品原料樹脂を作製する成形品原料樹脂作製工程と、
前記成形品原料樹脂を所定の形状に成形する成形工程とを含むことを特徴とする樹脂成形品の製造方法。 - 前記成形品原料樹脂作製工程では、前記マスターバッチ用樹脂及び前記着色用樹脂の合計100重量部に対し、高耐熱性リン酸エステル化合物が0.005〜100重量部となるように、前記着色用樹脂に前記マスターバッチを加えて混練することを特徴とする請求項24に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記マスターバッチ用樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、AS樹脂、PS樹脂、PMMA樹脂及びABS樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹を含むことを特徴とする請求項24又は25に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記着色用樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、AS樹脂、PS樹脂、PMMA樹脂及びABS樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項24〜26のいずれかに記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記成形品原料樹脂作製工程では、前記着色用樹脂に前記マスターバッチを加えて130〜340℃で混練することを特徴とする請求項26又は27に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記マスターバッチ用樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項24又は25に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記着色用樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項29に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記成形工程の後、前記成形品原料樹脂を20〜130℃に加熱し、硬化させる熱硬化工程をさらに含むことを特徴とする請求項29又は30に記載の樹脂成形品の製造方法。
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