下記の実施形態等において説明する各図は、模式的な図であり、図中において各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施形態)
以下では、本実施形態の分離装置1について、図1A〜7に基づいて説明する。
分離装置1は、送風機能を有する空調設備40(図4参照)の上流側に設けられ、空気中の固体を分離する。
分離装置1は、ロータ2と、枠体3と、複数(例えば、2つ)の仕切板6と、複数(例えば、2つ)の流路8と、モータ7と、駆動回路171と、を備える。枠体3は、筒状であり、ロータ2を囲んでロータ2と同軸的に配置されている。複数の仕切板6は、ロータ2と枠体3との間の空間4に配置されて空間4を区分する。複数の流路8は、各々が複数の仕切板6のうち隣り合う2つの仕切板6とロータ2と枠体3とで規定される。モータ7は、ロータ2をロータ2の回転中心軸20のまわりで回転させる。駆動回路171は、モータ7を駆動する。複数の仕切板6の各々は、ロータ2に連結されており、かつ、ロータ2の回転中心軸20のまわりで螺旋状に形成されている。複数の流路8の各々は、ロータ2の回転中心軸20に沿った方向においてロータ2の第1端21側が上流側であり、かつ、ロータ2の第2端22側が下流側である。分離装置1は、モータ7の起電力の発生を検知する第1検知部11と、モータ7の消費電力の所定変化を検知する第2検知部12と、駆動回路171を制御する制御部5と、を更に備える。制御部5は、第1検知部11によりモータ7の起電力の発生が検知されたときに駆動回路171にモータ7の駆動を開始させ、第2検知部12によりモータ7の消費電力の所定変化が検知されたときにモータ7の回転数が所定回転数になるように駆動回路171を制御する。
以上の構成により、分離装置1は、送風機能を有する空調設備と連動させることが可能であり、かつ、空気から固体を効率良く分離することが可能となる。空調設備40は、所定風量の空気を送る送風機能を有する。空調設備40は、例えば、上流側から下流側へ空気を送風する送風装置であり、上流側に設けられた分離装置1におけるロータ2と枠体3との間の空間4に空気を流すことができる。ここにおける「上流側」は、空気の流れる方向でみたときの上流側(一次側)を意味する。また、ここにおける「下流側」は、空気の流れる方向でみたときの下流側(二次側)を意味する。
空気中の固体としては、例えば、微粒子、塵埃等が挙げられる。微粒子としては、例えば、粒子状物質等を挙げることができる。粒子状物質としては、微粒子として直接空気中に放出される一次生成粒子、気体として空気中に放出されたものが空気中で微粒子として生成される二次生成粒子等がある。一次生成粒子としては、例えば、土壌粒子(黄砂等)、粉塵、植物性粒子(花粉等)、動物性粒子(カビの胞子等)、煤等が挙げられる。粒子状物質は、大きさの分類として、例えば、PM2.5(微小粒子状物質)、PM10、SPM(浮遊粒子状物質)等を挙げることができる。PM2.5は、粒子径2.5μmで50%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子である。PM10は、粒子径10μmで50%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子である。SPMは、粒子径10μmで100%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子であり、PM6.5−7.0に相当し、PM10よりも少し小さな微粒子である。
分離装置1は、回転板9を更に備えるのが好ましい。回転板9は、環状であり、複数の仕切板6に連結されている。駆動回路171は、ロータ2を回転させる。複数の仕切板6の各々は、ロータ2に連結されている。回転板9は、複数の流路8の各々の下流側において複数の仕切板6に連結されている。分離装置1では、ロータ2と枠体3と複数の仕切板6と回転板9とを含む分離ユニット10が、中心側開口(中心出口)25と、外周側開口(外周出口)35と、を備えるのが好ましい。中心出口25は、複数の流路8それぞれの下流側において複数の仕切板6よりも回転中心軸20側にある。中心出口25は、複数の流路8のうち少なくとも1つの流路8に連通し回転中心軸20に直交する方向に開放されている。外周出口35は、複数の流路8それぞれの下流側において回転中心軸20に直交する方向で複数の仕切板6よりも外側にある。外周出口35は、複数の流路8のうち少なくとも1つの流路8に連通し回転中心軸20に直交する方向に開放されている。回転板9は、回転中心軸20に沿った方向から見て、複数の流路8それぞれの下流側において複数の仕切板6及び空間4を覆う大きさである。「複数の流路8それぞれの下流側において複数の仕切板6及び空間4を覆う大きさ」とは、複数の仕切板6と空間4との全体を覆う大きさだけに限らず、複数の流路8それぞれの流路の断面積を減少させることができる大きさであればよい。以上の構成により、分離装置1は、空気から固体を効率良く分離することが可能となる。空調設備40を構成する送風装置は、複数の流路8のうち少なくとも1つの流路8の下流側における空気の流れ方向を中心出口25に向かう方向に制御する。これにより、分離装置1は、空気から固体をより効率良く分離することが可能となる。
図4は、分離装置1を備えた空気浄化システム300の概略構成図である。
空気浄化システム300では、分離装置1が、空調設備40の上流側に配置されている。言い換えれば、空調設備40は、複数の流路8の下流側に配置されている。
空調設備40を構成する送風装置は、所定風量の空気を送る送風機能を有する電動ファンである。空気浄化システム300では、空調設備40を動作させることにより、分離装置1の複数の流路8に空気を流すことが可能となる。電動ファンは、例えば、軸流ファンである。
空気浄化システム300は、空気を住戸400内へ流すための第1ダクト311を備え、第1ダクト311における下流側の端部に分離装置1を接続してある。分離装置1では、複数の流路8の各々が、第1ダクト311の内部空間と連通する。また、空気浄化システム300は、分離装置1と空調設備40との間に、分離装置1で清浄化された空気をより清浄化するためのフィルタ装置42を備えるのが好ましい。この場合、空気浄化システム300は、例えば、分離装置1とフィルタ装置42との間に介在する第2ダクト312と、フィルタ装置42と空調設備40との間に介在する第3ダクト313と、を備えるのが好ましい。フィルタ装置42は、例えば、HEPAフィルタ(high efficiency particulate air filter)等のエアフィルタである。「HEPAフィルタ」とは、定格流量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能をもつエアフィルタである。フィルタ装置42は、100%の粒子捕集効率を必須の条件とはしない。ただし、フィルタ装置42は、空気中に含まれている固体の捕集効率がより高いのが好ましい。図4では、空気の流れを白抜きの矢印で模式的に示してある。また、図4では、分離装置1によって空気から分離される微粒子161と、フィルタ装置42で捕集される超微粒子162と、を模式的に示してある。超微粒子162は、微粒子161よりも粒径が小さく、かつ、HEPAフィルタで除去できる粒径の微粒子である。
また、空気浄化システム300は、例えば、空調設備40の下流側に配置された分配器318と、空調設備40と分配器318との間に配置された第4ダクト314と、を備えるのが好ましい。分配器318には、住戸400内の複数の区画401(例えば、リビング、寝室等)それぞれへ空気を給気するための複数の第5ダクト315が接続されている。分配器318は、上流側から供給された空気を下流側の複数の第5ダクト315へ分配する。第1ダクト311、分離装置1、第2ダクト312、フィルタ装置42、第3ダクト313、空調設備40、第4ダクト314、分配器318及び第5ダクト315は、住戸400の天井裏に配置されるのが好ましい。
空気浄化システム300は、分離装置1を備えるので、PM2.5等の微粒子161がフィルタ装置42、空調設備40、住戸400内の複数の区画401等へ到達するのを抑制することが可能となる。また、空気浄化システム300は、分離装置1よりも下流側にあるフィルタ装置42、空調設備40等の長寿命化を図ることが可能となる。例えば、空気浄化システム300では、フィルタ装置42に捕集される微粒子等の総質量が増加することによる圧力損失の上昇を抑制することが可能となる。これにより、空気浄化システム300では、フィルタ装置42の交換頻度を少なくすることが可能となる。空気浄化システム300は、フィルタ装置42と空調設備40とが互いに異なる筐体に収納された構成に限らず、空調設備40の筐体内にフィルタ装置42を備えていてもよい。言い換えれば、空調設備40が、送風装置に加えてフィルタ装置42を備えていてもよい。
分離装置1の各構成要素については、以下に、より詳細に説明する。
上述のように、分離装置1は、ロータ2と、枠体3と、複数(例えば、2つ)の仕切板6と、複数(例えば、2つ)の流路8と、モータ7と、駆動回路171と、を備える。
ロータ2は、円柱状に形成されている。ロータ2は、空気と、空気に含まれている固体と、を通さないように構成されている。より詳細には、ロータ2は、非多孔質の構造体である。ロータ2の材料としては、例えば、金属、合成樹脂等を採用することができる。ロータ2は、導電性を有するのが好ましい。これにより、分離装置1では、ロータ2の帯電を抑制することが可能となる。
図1Bでは、ロータ2の回転方向を太線の矢印で模式的に示してある。ロータ2の回転方向は、ロータ2を第1端21側から見て、時計回りの方向である。ロータ2の回転方向は、ロータ2を第2端22側から見て、反時計回りの方向である。分離装置1は、ロータ2が回転することで、複数の流路8それぞれに流入した空気に対して回転中心軸20のまわりの回転方向の力を与えることが可能となる。
枠体3は、円筒状に形成されている。枠体3の材料としては、例えば、金属、合成樹脂等を採用することができる。枠体3は、導電性を有するのが好ましい。これにより、分離装置1では、枠体3の帯電を抑制することが可能となる。
枠体3は、ロータ2を囲んでロータ2と同軸的に配置されている。「ロータ2と同軸的に配置された」とは、枠体3が、枠体3の中心線をロータ2の回転中心軸20に揃えるように配置されていることを意味する。
複数の仕切板6は、ロータ2と枠体3との間の空間4に配置されて空間4を区分する。複数の仕切板6の各々は、ロータ2の回転中心軸20のまわりで螺旋状に形成されている。「螺旋状」とは、左ねじ螺旋の少なくとも一部により形成された形状を意味する。「左ねじ螺旋の少なくとも一部」とは、左ねじ螺旋の回転数が1未満でもよいことを意味する。
ロータ2の所定の回転方向がロータ2を第1端21側から見て時計回り(右回り)の方向の場合、複数の仕切板6の各々は、第1端61から第2端62に向けて、ロータ2の所定の回転方向とは逆方向に沿った螺旋方向の螺旋状とみなすことができる。したがって、分離装置1は、分粒性能を向上させることが可能となる。
複数の仕切板6の各々の材料としては、例えば、金属、合成樹脂、ゴム等を採用することができる。複数の仕切板6は、導電性を有するのが好ましい。これにより、分離装置1は、複数の仕切板6の帯電を抑制することが可能となる。
複数の仕切板6は、上述のようにロータ2と枠体3とのうちロータ2のみと連結されている。「ロータ2のみと連結」とは、複数の仕切板6の各々が、ロータ2と別部材として形成されロータ2に固定されている場合に限らず、例えば、ロータ2と一体に形成されている場合も含む。分離装置1は、複数の仕切板6が枠体3に連結されていないので、複数の仕切板6がロータ2と枠体3との両方に固定され両方を回転させる場合に比べて、駆動回路171の負荷を軽減することが可能となり、低消費電力化を図ることが可能となる。
複数の仕切板6の各々は、枠体3の内周面33との間に隙間が形成されるように配置されているのが好ましい。言い換えれば、分離装置1は、複数の仕切板6の各々と枠体3の内周面33との間に隙間がある。これにより、分離装置1では、製造が容易になるという利点がある。
複数の仕切板6は、各々の一部が、ロータ2の回転中心軸20に沿った方向において、ロータ2よりも回転板9側へ位置するようにロータ2に連結されているのが好ましい。
分離装置1では、ロータ2が回転することで、複数の流路8それぞれに流入した空気に対して回転中心軸20のまわりの回転方向の力を与えることが可能となる。分離装置1は、上流側から複数の流路8それぞれに流入した空気を、ロータ2のまわりで螺旋状に回転させながら、複数の流路8それぞれの下流側に流すことができる。分離装置1では、ロータ2が回転することにより、複数の流路8の各々を流れる空気の速度ベクトルが、回転中心軸20に平行な方向の速度成分と、回転中心軸20のまわりの回転方向の速度成分と、を有することになる。よって、分離装置1は、小型化を図りながらも空気から固体を効率良く分離することが可能となる。
複数の流路8の各々は、流路8を規定する2つの仕切板6に沿った螺旋状である。複数の流路8の各々における空気の流入口は、ロータ2の第1端21側にある。複数の流路8の各々における空気の流出口は、ロータ2の第2端22側にある。
複数の仕切板6に連結された回転板9は、環状であり、開口部92を有している。回転板9は、一例として、円環状に形成されている。回転板9は、回転板9の厚さ方向をロータ2の回転中心軸20に沿った方向に揃えるように配置されている。回転板9の内径(回転板9の開口部92の直径)は、ロータ2の外径よりも大きい。回転板9の開口部92の半径は、ロータ2の半径とロータ2の半径方向に沿った仕切板6の長さとを合わせた寸法よりも小さい。回転板9の外径は、枠体3の外径よりも大きい。回転板9の材料としては、例えば、金属、合成樹脂等を採用することができる。回転板9は、導電性を有するのが好ましい。これにより、分離装置1は、回転板9の帯電を抑制することが可能となる。
分離装置1では、分離ユニット10が、複数の流路8それぞれの下流側に形成されている中心出口25を備える。ここで、中心出口25は、複数の流路8それぞれの下流側において複数の仕切板6よりもロータ2の回転中心軸20側にある。分離装置1における中心出口25は、隣り合う2つの仕切板6とロータ2と回転板9とで規定される開口である。要するに、中心出口25は、ロータ2の回転中心軸20に直交する方向に開放されている。
また、分離装置1では、分離ユニット10が、複数の流路8それぞれの下流側に形成されている外周出口35を備える。ここで、外周出口35は、ロータ2の回転中心軸20に直交する方向において複数の仕切板6よりも外側にある。外周出口35は、複数の流路8のうち少なくとも1つの流路8に連通しロータ2の回転中心軸20に直交する方向に開放されている。外周出口35は、ロータ2の回転中心軸20に直交する方向において、中心出口25よりも回転中心軸20から離れている。言い換えれば、ロータ2の回転中心軸20に直交する方向において、外周出口35と回転中心軸20との距離は、中心出口25と回転中心軸20との距離よりも長い。これにより、分離装置1は、複数の流路8の各々において、より大きな遠心力が与えられた固体を、外周出口35を通して排出することが可能となる。分離装置1における外周出口35は、枠体3と回転板9との間の開口である。言い換えれば、分離装置1における外周出口35は、枠体3と回転板9との間の隙間である。外周出口35は、ロータ2の回転中心軸20に直交する方向に開放されている。
分離装置1は、回転板9の下流側において回転板9に連結された回転筒19を更に備えているのが好ましい。言い換えれば、分離ユニット10は、回転筒19を備えているのが好ましい。これにより、分離装置1は、外周出口35から排出された微粒子161が回転板9の開口部92を通った空気に戻るのを抑制することが可能となる。
ロータ2を回転させるモータ7は、例えば、直流モータである。モータ7は、モータ本体71と、モータ本体71から一部が突出している円柱状の回転軸(シャフト)72と、を備える。モータ7は、モータ本体71の外周形状が円形状であるのが好ましい。モータ本体71の外径は、枠体3及び回転板9それぞれの内径よりも小さいのが好ましい。モータ本体71の外径は、ロータ2の外径よりも小さいのが好ましい。分離装置1では、モータ7の回転軸72にロータ2が連結されている。分離装置1では、回転軸72の軸線とロータ2の回転中心軸20とが一直線上に揃うように、回転軸72とロータ2とが連結されている。これにより、モータ7は、ロータ2を回転させることができる。ロータ2の回転方向は、モータ7の回転軸72の回転方向と同じである。ロータ2の回転角速度は、モータ7の回転軸72の回転角速度と同じである。
分離装置1は、駆動回路171へ電力を供給する電源部17(図5参照)を備えているのが好ましい。電源部17は、例えば、外部の交流電源から供給される交流電圧から駆動回路171に適した電圧(例えば、100Vの直流電圧)を生成して出力する電源回路である。電源回路は、例えば、スイッチング電源回路である。
分離装置1は、電源部17、駆動回路171、第1検知部11、第2検知部12及び制御部5等を収納したケース170と、を備えている。モータ7は、ケース170から突出したパイプ18により支持されている。駆動回路171とモータ7とを電気的に接続している配線は、露出しないようにパイプ18内に収納されているのが好ましい。
分離装置1では、例えば、規定粒径の微粒子を分離できるように、枠体3、ロータ2及び複数の仕切板6それぞれの形状、ロータ2の回転速度が設定されている。規定粒径の微粒子としては、例えば、空気動力学的粒子径が、1.0μmの粒子を想定している。「空気動力学的粒子径」とは、空気動力学的挙動が、比重1.0の球形粒子と等価になるような粒子の直径を意味する。空気動力学的粒子径は、粒子の沈降速度から求められる粒径である。分離装置1で分離されずに空気中に残る固体としては、分離装置1で分離することを想定している微粒子よりも粒径の小さな微粒子(言い換えれば、質量が小さな微粒子)を挙げることができる。
分離装置1では、空調設備40による送風が開始されると、モータ7を回転させるように制御部5が駆動回路171を制御する。これにより、分離装置1では、複数の流路8の各々を通る空気に含まれている固体を外周出口35から外部へ排出でき、固体が分離された空気を中心出口25から下流側へ流すことができる。よって、分離装置1は、空気から固体を効率良く分離することが可能となる。図1A、1B及び2では、固体が分離される前の空気の流れを縁取り矢印(ドットのハッチングを付した矢印)で模式的に示し、固体が分離された空気の流れを白抜きの矢印で模式的に示してある。また、図1A、1B及び2では、外周出口35から排出された固体として微粒子161を模式的に記載してある。微粒子161は、上述の規定粒径の微粒子であり、空気動力学的粒子径が、1.0μmの粒子を想定している。
分離装置1は、外郭100を備えているのが好ましい。外郭100は、直方体状に形成されている。外郭100は、分離ユニット10、ケース170等を収納するように構成されている。外郭100は、例えば、金属により形成されている。
分離装置1は、外郭100を支持する複数の支持体(図示せず)を備えていてもよい。これにより、分離装置1では、外郭100と分離装置1の設置面との間に空間を設けることが可能となる。
外郭100には、空気の流入口101と、清浄化された空気の流出口103と、が形成されている。外郭100の流入口101には、第1のメッシュ111が配置されているのが好ましい。分離装置1では、枠体3が外郭100に固定されている。より詳細には、分離装置1では、外郭100の内壁面おける流入口101の周部に、枠体3が固定されている。
分離装置1は、外郭100における流出口103の内周面に保持された円筒状のダクト15を備えるのが好ましい。ダクト15は、外郭100に収納されているのが好ましい。ダクト15は、上流側の第1端151と、下流側の第2端152と、を備える。ダクト15の第1端151には、第1端151の内側に配置された軸受16が固定されている。軸受16は、分離ユニット10の回転筒19を回転自在に保持する。これにより、分離装置1は、分離ユニット10においてロータ2と複数の仕切板6と回転板9とを含む回転構造体を、より安定して回転させることが可能となる。
また、分離装置1は、モータ7の回転軸72の先端を回転自在に保持する軸受13を備えるのが好ましい。軸受13は、図3に示すように、外郭100に支持された複数の梁14によって保持されている。これにより、分離装置1は、ロータ2を、より安定して回転させることが可能となる。
分離装置1では、外郭100の外部から流入口101を通して外郭100の内部へ入った空気が複数の流路8の各々に流入する。外郭100の外部から内部に入る空気に含まれていた固体は、複数の流路8の各々において螺旋状に回転するときにロータ2の回転中心軸20から枠体3の内周面33に向かう方向の遠心力を受ける。遠心力を受けた固体は、枠体3の内周面33へ向かい、枠体3の内周面33付近を内周面33に沿って螺旋状に回転する。そして、分離装置1では、外周出口35付近を回転していた固体が、その固体に作用していた遠心力により、外周出口35を通して排出される。固体に作用する遠心力は、固体の質量と、固体の円運動の半径と、に比例する。円運動の半径は、ロータ2の回転中心軸20に直交する方向における回転中心軸20と固体との距離である。固体の質量をm、固体の速度をv、円運動の半径をrとすると、遠心力の大きさはmv2/rである。ここで、角速度をωとすると、v=rωなので、遠心力の大きさは、mω2rである。要するに、固体には、ωの二乗に比例した大きさの遠心力が作用する。
分離装置1は、複数の流路8の各々に流入する空気に含まれている固体を外周出口35から効率良く排出することが可能であり、かつ、固体が分離された空気を中心出口25から下流側へ流すことが可能なので、空気から固体を効率良く分離することが可能となる。要するに、分離装置1は、外周出口35を備えており、かつ、回転板9の大きさが、複数の流路8それぞれの下流側において複数の仕切板6及び空間4を覆う大きさなので、固体の遠心力が大きくなっても、固体が飛散して中心出口25を通過するのを抑制することが可能となる。これにより、分離装置1は、複数の仕切板6それぞれと枠体3との間に隙間が形成された構成を採用しながらも、隙間を通った固体が中心出口25を通るのを抑制することが可能となる。よって、分離装置1は、より清浄化された空気を下流側へ流すことが可能となる。
分離装置1は、外周出口35から排出された固体(図示例では、微粒子161)を捕集する容器120を備えるのが好ましい。容器120は、外郭100に収納されている。これにより、分離装置1は、外周出口35から外郭100内に排出された固体を容器120で捕集することが可能となり、固体が外郭100の外部へ飛散するのを抑制することが可能となる。
容器120は、分離ユニット10の下方に配置されている。容器120は、トレイ(蓋がない容器)である。分離装置1では、外周出口35から排出された固体が、重力沈降等により、分離ユニット10の下方の容器120に入る。これにより、分離装置1では、容器120に固体を捕集することができる。
外郭100には、容器120を出し入れするためのポート130(図3参照)が形成されている。容器120は、外郭100にスライド自在に保持されており、外郭100から取り外すことが可能となっている。これにより、分離装置1では、例えば、人が容器120を外郭100から取り外して容器120内の固体を廃棄し、その後、容器120を外郭100に取り付けることができる。
また、分離装置1は、外郭100の外壁面おける流入口101の周部に固定された筒体45を備えるのが好ましい。筒体45は、円筒状であるのが好ましい。
空気浄化システム300では、筒体45が、空気を住戸400内へ流すための第1ダクト311に接続されているが、これに限らず、筒体45が第1ダクト311を兼ねていてもよい。
駆動回路171は、例えば、定電流回路172と、レギュレータ173と、電圧制御部174と、を備えているのが好ましい。
定電流回路172は、モータ7に定電流を流す回路である。定電流回路172は、一例として、オペアンプ1721と、npn型のバイポーラトランジスタ1722と、第1抵抗1723と、第2抵抗(電流検出用抵抗)1724と、を含んでいる。定電流回路172では、バイポーラトランジスタ1722と第2抵抗1724との直列回路がモータ7に直列接続されている。ここで、バイポーラトランジスタ1722のコレクタ端子がモータ7に接続され、バイポーラトランジスタ1722のエミッタ端子が第2抵抗1724の一端に接続されている。第2抵抗1724の他端は、接地されている。定電流回路172では、オペアンプ1721の出力端子が、第1抵抗1723を介してバイポーラトランジスタ1722のベース端子と接続されている。オペアンプ1721の反転入力端子は、バイポーラトランジスタ1722と第2抵抗1724との接続点に接続されている。
レギュレータ173は、電源部17から電圧が供給されて所定の一定電圧を生成する。レギュレータ173は、例えば、3端子レギュレータであり、降圧回路を構成する。
電圧制御部174は、第2抵抗1724の両端電圧を一定に保つようにオペアンプ1721の非反転入力端子の電圧を制御する。定電流回路172は、オペアンプ1721の非反転入力端子の電圧の電圧値(「Vin」とする)と第2抵抗1724の抵抗値(「Rx」とする)とで決まる電流値(「Iin」とすると、Iin=Vin/Rx)の定電流をモータ7に流すことができる。
分離装置1は、定電流回路172からモータ7に流す電流の向きとは逆向きの極性となるようにモータ7に並列接続されたダイオードD1を備えるのが好ましい。これにより、分離装置1は、モータ7に逆起電力が発生したときにモータ7を保護することができる。
分離装置1は、上述のように第1検知部11と、第2検知部12と、制御部5と、を備える。第1検知部11と第2検知部12と制御部5とを含む制御装置190は、例えば、マイクロコンピュータに適宜のプログラムを実行させることにより実現できる。
分離装置1は、モータ7の入力電圧(モータ7の両端電圧)を計測する電圧計測部181を備えるのが好ましく、電圧計測部181から出力されるアナログの電圧値(電圧計測値)をディジタルの電圧値に変換して制御装置190へ出力するA/Dコンバータ182を備えるのが好ましい。
第1検知部11は、空調設備40の送風に起因するモータ7の起電力の発生を検知する。より詳細には、第1検知部11は、電圧計測部181から出力される電圧値に基づいてモータ7の起電力の発生の有無を検知する。ここでいう「モータ7の起電力」は、モータ7の駆動停止状態のときに、ロータ2と枠体3との間の空間4に流入した空気の流れ(風)の運動エネルギがロータ2の軸動力に変換されモータ7の回転軸72がロータ2と一緒に回転することによってモータ7に発生する電圧である。「モータ7の駆動停止状態」は、モータ7が駆動回路171により駆動されておらず、モータ7の回転数が0rpmの状態である。分離装置1では、モータ7の停止状態のときにモータ7の起電力が発生した場合、電圧計測部181の計測電圧値の符号がマイナスとなる。第1検知部11は、電圧計測部181の計測電圧値が第1閾値(例えば、−0.7〔V〕×係数)よりも変化すると、モータ7の起電力が発生したことを検知する。係数は、0.8である。係数は、0.8に限らないが、計測電圧値のばらつき等を考慮して、例えば、0.5〜0.9程度の範囲で設定するのが好ましい。
第2検知部12は、モータ7の消費電力の所定変化を検知する。より詳細には、第2検知部12は、電圧計測部181から出力される電圧値とモータ7に流れる電流とを用いた演算によりモータ7の消費電力を求め、モータ7の消費電力の所定変化を検知する。「所定変化を検知する」とは、前回求めた消費電力に対する今回求めた消費電力の変化量が閾値以上であることを検知することを意味する。ここにおいて、第2検知部12は、求めた消費電力を記憶する記憶部を備えている。駆動回路171が定電流回路172を含んでいる場合、第2検知部12は、計測電圧値の所定変化を検知することにより、消費電力の所定変化を検知するようにしてもよい。
分離装置1では、分離装置1の上流側からロータ2と枠体3との間の空間4に流れる空気の流量が増加すると、モータ7のトルクが増加する。ここで、モータ7には定電流回路172から定電流が供給されている(つまり、モータ7が定電流制御されている)ので、モータ7の回転数は殆ど変化しないが、モータ7の入力電圧が増加するので、モータ7の消費電力が増加する。また、分離装置1では、分離装置1の上流側からロータ2と枠体3との間の空間4に流れる空気の流量が減少すると、モータ7のトルクが減少する。ここで、モータ7には定電流回路172から定電流が供給されている(つまり、モータ7が定電流制御されている)ので、モータ7の回転数は殆ど変化しないが、モータ7の入力電圧が減少するので、モータ7の消費電力が減少する。したがって、第2検知部12は、モータ7の消費電力の所定変化を検知することができる。
制御部5は、第1検知部11によりモータ7の起電力の発生が検知されたときに駆動回路171にモータ7の駆動を開始させ、第2検知部12によりモータ7の消費電力の所定変化が検知されたときにモータ7の回転数が所定回転数(以下、「設定回転数」ともいう)になるように駆動回路171を制御する。
ところで、空気浄化システム300における空調設備40は、例えば、所定風量(以下、「設定流量」ともいう)を段階的に切り替えることが可能な送風装置である。設定流量は、例えば、0m3/h、150m3/h及び250m3/hである。空気浄化システム300では、空調設備40が設定流量の空気を下流側(分配器318側)へ送風する。これにより、分離装置1には、空調設備40の設定流量と略同じ流量の空気が流れる。
これに対し、分離装置1は、制御部5が駆動回路171を制御することにより、モータ7の所定回転数を段階的に切り替えることができる。より詳細には、制御部5は、モータ7の回転数が所定回転数となるように、駆動回路171の電圧制御部174を制御する。設定流量が0m3/h、150m3/h及び250m3/hの場合、所定回転数は、例えば、それぞれ、0rpm、2000rpm及び2500rpmである。要するに、分離装置1は、空調設備40の複数(3つ)の設定流量に対して複数(3つ)の所定回転数を一対一で対応させることができる。
図6は、空調設備40の設定流量が0m3/h、150m3/h、250m3/h、0m3/hの順に変化したときのモータ7の設定回転数及び電圧計測部181の計測電圧値それぞれの変化を示している。モータ7の消費電力は、計測電圧値の変化と同様の傾向で変化する。
モータ7が駆動停止状態のときに空調設備40の設定流量が0m3/hから150m3/hに増加すると、モータ7に起電力が発生する。図6では、このときの電圧計測部181の計測電圧値をVr(例えば、−0.7V)として記載してある。この場合、電圧計測部181の計測電圧値が第1閾値(例えば、−0.7〔V〕×係数)よりも変化するので、第1検知部11が、モータ7の起電力が発生したことを検知する。よって、制御部5が、駆動回路171にモータ7の駆動を開始させる。このとき、設定回転数が0rpmから2000rpmに増加し、かつ、計測電圧値がVrから15Vに増加する。
その後、モータ7が2000rpmで回転している状態で空調設備40の設定流量が150m3/hから250m3/hに増加すると、モータ7のトルクが増加し、電圧計測部181の計測電圧値が15Vから18Vに増加する(つまり、消費電力が、Iin×15からIin×18に増加する)。言い換えれば、電圧計測部181の計測電圧値がΔV2だけ増加する(つまり、消費電力がIin×ΔV2だけ増加する)。したがって、第2検知部12は、例えば、消費電力がIin×ΔV2×係数だけ増加する所定変化を検知する。よって、制御部5が、駆動回路171を制御することにより設定回転数が2000rpmから2500rpmに増加し、かつ、計測電圧値が18Vから20Vに増加する。分離装置1は、設定回転数が2000rpmから2500rpmに増加することにより、分粒特性を維持することが可能となる。
その後、モータ7が2500rpmで回転している状態で空調設備40の設定流量が250m3/hから0m3/hに減少すると、モータ7のトルクが減少し、電圧計測部181の計測電圧値が20Vから16Vに減少する(つまり、消費電力が、Iin×20からIin×16に減少する)。言い換えれば、電圧計測部181の計測電圧値がΔV3だけ減少する(つまり、消費電力がIin×ΔV3だけ減少する)。したがって、第2検知部12は、例えば、消費電力がIin×ΔV3×係数だけ減少する所定変化を検知する。よって、制御部5が、駆動回路171を制御することにより設定回転数が2500rpmから0rpmに減少し、かつ、計測電圧値が16Vから0Vに減少する。
以上の説明から分かるように、分離装置1は、別途に流量センサを設けることなく、所定風量の空気を送る送風機能を有する空調設備40と連動させることが可能であり、かつ、空気から固体を効率良く分離することが可能となる。要するに、分離装置1は、空調設備40、流量センサ等からの信号を取得することなく、空調設備40と連動させることが可能であり、かつ、空気から固体を効率良く分離することが可能となる。
ロータ2の所定の回転方向は、ロータ2を第1端21側から見て時計回りの方向に限らず、反時計回り(左回り)の方向でもよい。この場合、複数の仕切板6の各々は、第1端61から第2端62に向けて、ロータ2の所定の回転方向に沿った螺旋方向の螺旋状とみなすことができる。この場合、分離装置1は、圧力損失を低減することが可能となり、低消費電力化を図ることが可能となる。この場合において、空調設備40の設定流量が0m3/h、250m3/h、0m3/hの順に変化したときの電圧計測部181の計測電圧値の変化を図7に基づいて簡単に説明する。
モータ7が駆動停止状態のときに空調設備40の設定流量が0m3/hから250m3/hに増加すると、モータ7に起電力が発生する。この場合、電圧計測部181の計測電圧値が第1閾値よりも変化するので、第1検知部11が、モータ7の起電力が発生したことを検知する。よって、制御部5が、駆動回路171にモータ7の駆動を開始させる。このとき、設定回転数が0rpmから2500rpmに増加し、かつ、計測電圧値が0VからV1に増加する。
その後、モータ7が2500rpmで回転している状態で空調設備40の設定流量が250m3/hから0m3/hに減少すると、電圧計測部181の計測電圧値がV1からV2に増加する(つまり、消費電力が、Iin×V1からIin×V2に増加する)。言い換えれば、電圧計測部181の計測電圧値がΔV3だけ増加する(つまり、消費電力がIin×ΔV3だけ増加する)。したがって、第2検知部12は、例えば、消費電力がIin×ΔV3×係数だけ増加する所定変化を検知する。よって、制御部5が、駆動回路171を制御することにより設定回転数が2500rpmから0rpmに減少し、かつ、計測電圧値がV2から0Vに減少する。
次に、実施形態の変形例の分離装置の動作例について、図8に示すトルク−回転数特性に基づいて説明する。実施形態の分離装置1では、駆動回路171がモータ7へ定電流を流す定電流回路172を備えていたのに対し、変形例の分離装置では、駆動回路がモータ7へ定電圧を供給する定電圧回路を備えている点が相違する。変形例の分離装置の他の構成は、実施形態の分離装置1と同様なので図示及び説明を省略する。
変形例の分離装置では、分離装置の上流側からロータ2と枠体3との間の空間4に流れる空気の流量が増加すると、モータ7のトルクが増加する。ここで、モータ7には駆動回路から定電圧(電圧値を「Ea」とする)が印加されている(つまり、モータ7が定電圧制御されている)ので、モータ7の回転数、モータ7に流れる電流それぞれが減少し、モータ7の消費電力が減少する。したがって、第2検知部12は、モータ7の消費電力の所定変化を検知することができる。制御部5は、第2検知部12によりモータ7の消費電力の所定変化が検知されたときにモータ7の回転数が所定回転数になるように駆動回路を制御する。
変形例の分離装置は、実施形態の分離装置1と同様、所定風量の空気を送る送風機能を有する空調設備と連動させることが可能であり、かつ、空気から固体を効率良く分離することが可能となる。
実施形態に記載した材料、数値等は、好ましい例を示しているだけであり、それに限定する主旨ではない。更に、本願発明は、その技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、構成及び形状それぞれに適宜変更を加えることが可能である。
例えば、分離装置1は、所定風量の空気を送る送風機能を有する空調設備の下流側に設けられて空気中の固体を分離する分離装置でもよい。
空調設備40は、送風装置に限らず、例えば、換気装置、エアコンディショナ、給気キャビネットファン、送風装置と熱交換器と備える空気調和システム等でもよい。
分離装置1の下流側又は上流側にある空調設備40は、住宅に設けられる設備に限らず、例えば、住宅以外の建物、車両等に設けられる設備でもよい。
また、分離装置1において、外周出口35は、枠体3に直接形成されていてもよい。
また、回転板9は、環状であればよく、円環状に限らず、例えば、歯車状でもよい。ここにおける「環状」とは、完全に閉じた形状に限らず、一部にスリットが形成された形状(例えば、C字状)も含む。