(実施形態1)
以下では、本実施形態の分離装置1について、図1A〜9Bに基づいて説明する。
分離装置1は、例えば、送風機能を有する空調設備の上流側に設けられ、空気(気体)中の固体を分離する。空調設備は、例えば、上流側から下流側へ空気を送風する送風装置である。送風装置は、例えば、電動ファンである。空調設備は、送風装置に限らず、例えば、換気装置、エアコンディショナ、給気キャビネットファン、送風装置と熱交換器とを備える空気調和システム等でもよい。空調設備により分離装置1に流す空気の流量は、例えば、100m3/h〜300m3/hである。分離装置1に流れる空気の流量は、空調設備を流れる空気の流量と略同じである。
分離装置1は、図1A、1B、2、4〜7に示すように、外筒体2と、回転体3と、複数の羽根36と、モータ4と、排気ダクト5と、を備える。外筒体2は、第1端21に気体の流入口23を有し、第2端22に気体の流出口24を有する。回転体3は、外筒体2の内側に配置されている。複数の羽根36は、回転体3に連結されている。分離装置1では、図2及び4に示すように、外筒体2と回転体3との間に、流入口23から流出口24に向かう流路200が形成されている。モータ4は、回転体3を回転させる。ここにおいて、分離装置1は、回転体3とモータ4の回転軸42との両方に連結されたシャフト7を備える。また、分離装置1は、シャフト7とモータ4の回転軸42とを連結する軸継手(シャフトカップリング)8を備える(図2、4及び7参照)。また、排気ダクト5は、外筒体2の第2端22側に配置されている(図3A、4、6及び7参照)。
分離装置1は、上流側から流路200に流入した空気を、回転体3のまわりで螺旋状に回転させながら、流路200の下流側に流すことができる。ここにおける「上流側」は、空気の流れる方向でみたときの上流側(一次側)を意味する。また、「下流側」は、空気の流れる方向でみたときの下流側(二次側)を意味する。分離装置1の外筒体2は、空気に含まれている固体を外筒体2の外側に排出するために、外筒体2の内外を連通させる(繋ぐ)排出孔25(図2、5、7、9A及び9B参照)を有する。また、分離装置1は、外筒体2の内側から排出孔25を通って排出された固体が入る捕集器6を備える。分離装置1では、固体が分離された空気(清浄化された空気)の一部が、外筒体2の流出口24から排気ダクト5へと流れる。
空気中の固体としては、例えば、微粒子、塵埃等が挙げられる。微粒子としては、例えば、粒子状物質等を挙げることができる。粒子状物質としては、微粒子として直接空気中に放出される一次生成粒子、気体として空気中に放出されたものが空気中で微粒子として生成される二次生成粒子等がある。一次生成粒子としては、例えば、土壌粒子(黄砂等)、粉塵、植物性粒子(花粉等)、動物性粒子(カビの胞子等)、煤等が挙げられる。粒子状物質は、大きさの分類として、例えば、PM2.5(微小粒子状物質)、PM10、SPM(浮遊粒子状物質)等を挙げることができる。PM2.5は、粒子径2.5μmで50%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子である。PM10は、粒子径10μmで50%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子である。SPMは、粒子径10μmで100%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子であり、PM6.5−7.0に相当し、PM10よりも少し小さな微粒子である。
分離装置1の各構成要素については、以下に、より詳細に説明する。
上述のように、分離装置1は、外筒体2と、回転体3と、複数の羽根36と、モータ4と、シャフト7と、軸継手8と、捕集器6と、排気ダクト5と、を備える。
外筒体2は、円筒状に形成されており、第1端21に気体の流入口23を有し、第2端22に気体の流出口24を有する。外筒体2の材質は、例えば、ABS樹脂である。
回転体3は、図4及び5に示すように、外筒体2の内側で外筒体2と同軸的に配置されている。「外筒体2と同軸的に配置されている」とは、回転体3が、回転体3の回転中心軸30(図4参照)を外筒体2の中心軸20(図4及び9A参照)に揃えるように配置されていることを意味する。回転体3において、回転中心軸30に直交する断面(例えば、図5参照)における外周線は、円形状である。回転体3の材質は、例えば、ポリカーボネート樹脂である。
回転体3の回転中心軸30に沿った方向において、回転体3の長さは、外筒体2の長さよりも短い。回転体3は、図4に示すように、流入口23側の第1端31と、流出口24側の第2端32と、を有する。回転体3の第1端31は、外筒体2の中心軸20に沿った方向において、外筒体2の流入口23と流出口24との間で、流入口23の近くに配置されている。また、回転体3の第2端32は、外筒体2の中心軸20に沿った方向において、外筒体2の流入口23と流出口24との間で、流出口24の近くに配置されている。
外筒体2と回転体3との間には、回転体3に連結された複数(ここでは、24枚)の羽根36が配置されている。複数の羽根36の各々の材質は、例えば、ポリカーボネート樹脂である。
複数の羽根36の各々は、図4及び5に示すように、外筒体2の内周面27との間に隙間が形成されるように配置されている。言い換えれば、分離装置1は、複数の羽根36の各々と外筒体2の内周面27との間に隙間がある。すなわち、複数の羽根36の各々における回転体3の外周面37からの突出長さは、回転体3の径方向における回転体3の外周面37と外筒体2の内周面27との距離よりも短い。複数の羽根36の各々は、回転体3の外周面37と外筒体2の内周面27との間の空間(流路200)において回転体3の回転中心軸30と平行に配置されている。複数の羽根36の各々は、平板状である。複数の羽根36の各々は、回転体3の周方向に沿った方向に交差(本実施形態では、略直交)するように配置されている。複数の羽根36は、図5に示すように回転体3の周方向において略等間隔で離れて配置されている。
上述の回転体3は、図2、4及び7に示すように、外筒体2の中心軸20(図4及び9A参照)に沿った方向において並ぶ2つの回転部材3a、3bを備える。回転部材3a、3bは、図4に示すように、有底円筒状に形成されている。より詳細には、2つの回転部材3a、3bは、流入口23側の第1端31a、31bに底壁33a、33bを有し、流出口24側の第2端32a、32bに開口34a、34bを有する。以下では、説明の便宜上、2つの回転部材3a、3bのうち流入口23に近い位置(相対的に上流側)にある回転部材3aを上流側回転部材3aと称し、流出口24に近い位置(相対的に下流側)にある回転部材3bを下流側回転部材3bとも称することもある。有底円筒状の上流側回転部材3aでは、底壁33aが、流入口23側に膨らむ形状に形成されている。これにより、分離装置1では、外筒体2の流入口23から流入する気体の圧力損失を低減することが可能となる。また、上流側回転部材3aの内側には、上流側回転部材3aに一体の補強壁38が設けられている。これにより、分離装置1では、上流側回転部材3aの機械的強度をより向上させることが可能となる。また、有底円筒状の下流側回転部材3bの内側には、下流側回転部材3bの底壁33bの中央部から開口34b側へ突出する円筒状のリブ39が設けられている。外筒体2の中心軸20に沿った方向において、リブ39の長さは、下流側回転部材3bの長さよりも短い。
分離装置1では、複数の羽根36の各々が、上流側回転部材3aの外周面から突出している羽根片36aと、下流側回転部材3bの外周面から突出している羽根片36bと、で構成されている(図4参照)。言い換えれば、分離装置1では、上流側回転部材3aに連結された複数(24枚)の羽根片36aと、下流側回転部材3bに連結された複数(24枚)の羽根片36bと、が一対一で対応し、複数(24枚)の羽根36を構成している。以下では、説明の便宜上、羽根片36aを上流側羽根片36aと称し、羽根片36bを下流側羽根片36bと称することもある。
複数の上流側羽根片36aは、回転体3の周方向において略等間隔で離れて配置されている。また、複数の下流側羽根片36bは、回転体3の周方向において略等間隔で離れて配置されている。ここにおいて、一対一に対応する上流側羽根片36aと下流側羽根片36bとは、外筒体2の中心軸20に平行な方向において一直線上に並んでいる。
回転体3は、図2、4及び7に示すように、シャフト7及び軸継手8を介してモータ4の回転軸(シャフト)42と連結されている。より詳細には、分離装置1では、回転体3がシャフト7に連結され、シャフト7が軸継手8によってモータ4の回転軸42と連結されている。分離装置1では、回転軸42とシャフト7とが、一直線上に並ぶように配置されている。
モータ4は、回転体3を回転体3の回転中心軸30のまわりで回転させる。回転体3の回転数は、例えば、1500rpm〜3000rpmである。モータ4は、例えば、直流モータである。モータ4は、例えば、外部の駆動回路により駆動される。
モータ4は、図2及び4に示すように、モータ本体41と、モータ本体41から一部が突出している上述の回転軸42と、を備える。回転軸42は、円柱状である。モータ4は、回転体3の内側に配置されている。より詳細には、モータ4は、下流側回転部材3bの内側に配置されている。ここにおいて、分離装置1は、モータ4及び軸継手8を収容するモータハウジング9(図2、4及び7参照)を備える。モータハウジング9は、下流側回転部材3b内に収納される。モータハウジング9は、後述のリヤカバー12に対して複数のねじによって固定されている。
モータハウジング9の材質は、例えば、アルミニウムである。モータハウジング9は、図4に示すように、ハウジング本体部90と、フランジ部95と、を有する。ハウジング本体部90は、流入口23側の第1端91に底壁93を有し、流出口24側の第2端92に開口94を有する。ここにおいて、モータハウジング9では、ハウジング本体部90の底壁93に、軸継手8の通る円形状の孔931が形成されている。また、モータハウジング9は、底壁93における孔931の周縁から流入口23側に突出した有底円筒状の軸継手収納部98を有する。モータハウジング9では、軸継手収納部98の底壁983に、シャフト7の通る円形状の孔987が形成されている。フランジ部95は、ハウジング本体部90の第2端92からハウジング本体部90の径方向外向きに突出している。フランジ部95は、モータハウジング9をリヤカバー12に対して複数のねじによって固定するために設けられている。
シャフト7(図4、5及び7参照)は、丸棒状であり、長手方向の第1端71と、第1端71とは反対側の第2端72と、を有する。シャフト7の材質は、例えば、ステンレス鋼である。シャフト7は、その軸線が回転体3の回転中心軸30と一致するように配置される。言い換えれば、シャフト7は、その軸線が外筒体2の中心軸20と一致するように配置される。シャフト7は、その一部が、回転体3内に配置される。より詳細には、分離装置1では、シャフト7の第1端71が、外筒体2の中心軸20に沿った方向において外筒体2の第1端21よりも外側に配置され、シャフト7の第2端72が下流側回転部材3bの内側に配置される。ここにおいて、シャフト7は、図4に示すように、上流側回転部材3aの底壁33aにおける中央に形成された孔35aと、下流側回転部材3bの底壁33bにおける中央に形成された孔35bと、を通っている。また、回転体3は、シャフト7に対して2つのボルト78(図4参照)と、2つのボルト78に一対一に対応する2つのナットと、によって連結されている。2つのボルト78の各々は、シャフト7において径方向に貫通した孔を通っている。これにより、回転体3は、シャフト7と一緒に回転することができる。
分離装置1は、シャフト7を回転自在に支持するための第1軸受75及び第2軸受76(図4及び7参照)を備えている。これにより、分離装置1では、モータ4によって回転体3をより安定して回転させることが可能となる。分離装置1では、第1軸受75がシャフト7の第1端71を回転自在に支持する。また、分離装置1では、第2軸受76がシャフト7の第2端72の近くの部位を回転自在に支持する。第2軸受76は、軸継手収納部98の底壁983に2本のねじによって固定されている。シャフト7の第2端72は、軸継手8によってモータ4の回転軸42と連結されている。軸継手8は、下流側回転部材3bの内側に配置されている。
分離装置1は、図1A〜8に示すように、フロントカバー(第1カバー)11と、リヤカバー(第2カバー)12と、を更に備える。また、分離装置1は、図3A、4〜8に示すように、ボトムカバー(第3カバー)13を更に備える。
フロントカバー11は、外筒体2の第1端21から外方に突出した第1フランジ211(図1B及び2参照)に対して、複数(例えば、4本)のねじによって着脱可能に取り付けられる。リヤカバー12は、外筒体2の第2端22から外方に突出した第2フランジ221(図1A及び2参照)に対して、複数(例えば、4本)のねじによって着脱可能に取り付けられる。ボトムカバー13は、フロントカバー11及びリヤカバー12それぞれに対して、複数(例えば、2本)のねじによって着脱可能に取り付けられる。
外筒体2の中心軸20に沿った一方向から見て、フロントカバー11の外周形状は、正方形状である。フロントカバー11は、図1A及び2に示すように、第1フレーム部111と、軸受取付部112と、4つの第1梁部113と、を備える。第1フレーム部111は、第1フランジ211に重ねて配置される。第1フレーム部111の外周形状は、フロントカバー11の外周形状と同じある。第1フレーム部111の内周形状は、円形状である。第1フレーム部111の内径は、外筒体2の内径と略同じである。第1フレーム部111は、第1フランジ211に対して複数のねじによって固定される。軸受取付部112は、円環状であって、第1フレーム部111の内側に配置されている。軸受取付部112には、上述の第1軸受75が取り付けられる。4つの第1梁部113は、第1フレーム部111と軸受取付部112とを繋いでいる。4つの第1梁部113は、軸受取付部112の周方向において略等間隔で離れて配置されている。第1軸受75は、ブッシュ軸受であり、軸受取付部112に圧入されることで軸受取付部112に取り付けられている。フロントカバー11の材質は、例えば、アルミニウムである。
外筒体2の中心軸20に沿った一方向から見て、リヤカバー12の外周形状は、正方形状である。リヤカバー12は、図1B及び2に示すように、第2フレーム部121と、ハウジング取付部122と、4つの第2梁部123と、を備える。第2フレーム部121の外周形状は、リヤカバー12の外周形状と同じである。第2フレーム部121の内周形状は、円形状である。第2フレーム部121の内径は、外筒体2の内径と同じであるのが好ましい。第2フレーム部121は、第2フランジ221に重ねて配置される。第2フレーム部121は、第2フランジ221に対して複数のねじによって固定される。ハウジング取付部122は、円環状であって、第2フレーム部121の内側に配置されている。ハウジング取付部122には、モータハウジング9のフランジ部95が重ねて配置される。ハウジング取付部122には、モータハウジング9のフランジ部95が複数のねじによって固定される。4つの第2梁部123は、第2フレーム部121とハウジング取付部122とを繋いでいる。4つの第2梁部123は、ハウジング取付部122の周方向において略等間隔で離れて配置されている。リヤカバー12の材質は、例えば、アルミニウムである。
ボトムカバー13(図3A、4〜8参照)は、フロントカバー11及びリヤカバー12に結合されている。ボトムカバー13は、外筒体2の下方に配置される。ボトムカバー13は、外筒体2の中心軸20に沿った方向を長手方向とする矩形板であり、長手方向の一端がフロントカバー11に対して複数のねじによって固定され、長手方向の他端がリヤカバー12に対して複数のねじによって固定されている。ボトムカバー13の長手方向の長さは、外筒体2の長さよりも長く、ボトムカバー13の短手方向の長さは、外筒体2の外径よりも長い。ボトムカバー13の材質は、例えば、アルミニウムである。
分離装置1では、外筒体2は、フロントカバー11とリヤカバー12とボトムカバー13とを含む筐体100が、図3A及び8に示すように、外筒体2を三方から囲んでいる。筐体100は、フロントカバー11、リヤカバー12及びボトムカバー13の他に、外筒体2の上方に配置されるトップカバー、外筒体2の径方向において外筒体2の両側に配置される一対のサイドカバーを備えていてもよい。
分離装置1は、図3A、4、7及び8に示すように、フロントパネル16と、リヤパネル17と、通気パネル18と、を更に備える。
フロントパネル16の外周形状は、正方形状である。フロントパネル16には、その厚さ方向に貫通する通気孔161(図1A、4及び7参照)が形成されている。フロントパネル16は、フロントカバー11における外筒体2側とは反対側に重ねて配置される。フロントパネル16は、複数のねじによってフロントカバー11に固定される。通気孔161の開口形状は、円形状である。通気孔161の内径は、外筒体2の内径及び回転体3の外径よりも小さく、フロントカバー11の軸受取付部112の外径よりも大きい。通気孔161の内径は、流入口23の内径よりも小さい。したがって、外筒体2の流入口23のうちで気体が通る領域は、通気孔161によって制限される。外筒体2の第1端21側から見て(外筒体2の中心軸20に沿った方向から見て)、回転体3の回転中心軸30は、通気孔161の周縁の内側に位置している。すなわち、外筒体2の第1端21側から見て、回転体3の回転中心軸30は、外筒体2の流入口23の周縁の内側に位置している。「外筒体2の第1端21側から見て、回転体3の回転中心軸30が、流入口23の周縁の内側に位置している」とは、外筒体2の第1端21側から見て、シャフト7の軸線が流入口23の周縁の内側にあることを意味する。回転体3の回転中心軸30に沿った方向から見て、複数の羽根36の外側の端部の回転軌跡の範囲内に、通気孔161が位置している。本実施形態では、図4に示すように、通気孔161の内径は、回転体3の一径方向において回転体3を挟んで配置されている一対の羽根36の、この一径方向における両端間の距離よりも小さい。すなわち、外筒体2の第1端21側から見て、複数の羽根36の回転領域の内側に、通気孔161の全体(外筒体2の流入口23の全体)が位置する。フロントパネル16の材質は、例えば、アルミニウムである。
リヤパネル17の外周形状は、正方形状である。リヤパネル17には、その厚さ方向に貫通する通気孔171(図3B、4、7及び8参照)が形成されている。リヤパネル17は、リヤカバー12における外筒体2側とは反対側に重ねて配置される。リヤパネル17は、複数のねじによってリヤカバー12に固定される。通気孔171の開口形状は、円形状である。通気孔171の内径は、外筒体2の内径(流出口24の内径)と同じであり、回転体3の外径及びリヤカバー12のハウジング取付部122の外径よりも大きい。回転体3の回転中心軸30に沿った方向から見て、複数の羽根36の回転軌跡の全部が、通気孔171の内側に位置している。本実施形態では、図4に示すように、通気孔171の内径は、回転体3の一径方向において回転体3を挟んで配置されている一対の羽根36の、この一径方向における両端間の距離よりも大きい。すなわち、外筒体2の第2端22側から見て(外筒体2の中心軸20に沿った方向から見て)、複数の羽根36の回転領域の全体が、通気孔171の周縁の内側(外筒体2の流出口24の周縁の内側)に位置している。リヤパネル17の材質は、例えば、アルミニウムである。
通気パネル18の外周形状は、略円形状である。通気パネル18の外径は、リヤカバー12におけるハウジング取付部122の外径と同じである。通気パネル18の中央部には、メッシュ181(図3B及び4参照)が設けられている。通気パネル18は、リヤカバー12における外筒体2側とは反対側においてハウジング取付部122に重ねて配置される。通気パネル18は、複数のねじによってハウジング取付部122に固定される。
分離装置1では、シャフト7に連結されている回転体3の回転方向が、モータ4の回転軸42(図2及び4参照)の回転方向と同じとなる。回転体3の回転方向は、外筒体2の流入口23側から見て、時計回りの方向(図5における矢印A1の方向)である。回転体3の回転方向は、外筒体2の流出口24側から見て、反時計回りの方向である。回転体3の回転角速度は、モータ4の回転軸42の回転角速度と同じである。
分離装置1では、モータ4の回転軸42の回転により回転体3が回転すると、回転体3と複数の羽根36とが同じ方向に回転する。分離装置1は、回転体3が回転することで、流路200(図2、4〜6参照)に流入した空気に対して回転中心軸30のまわりの回転方向の力を与えることが可能となる。分離装置1では、回転体3が回転することにより、流路200を流れる空気の速度ベクトルが、回転中心軸30に平行な方向の速度成分と、回転中心軸30のまわりの回転方向の速度成分と、を有することになる。
分離装置1の分離特性に関しては、回転体3の回転速度が速くなるにつれて分離効率が高くなる傾向にある。また、分離装置1の分離特性に関しては、分粒径が大きくなるにつれて分離効率が高くなる傾向にある。分離装置1では、例えば、規定粒径以上の微粒子を分離するように回転体3の回転速度が設定されているのが好ましい。規定粒径の微粒子としては、例えば、空気動力学的粒子径が、0.3μm〜10μmの粒子を想定している。「空気動力学的粒子径」とは、空気動力学的挙動が、比重1.0の球形粒子と等価になるような粒子の直径を意味する。空気動力学的粒子径は、粒子の沈降速度から求められる粒径である。分離装置1で分離されずに空気中に残る固体としては、分離装置1で分離することを想定している微粒子よりも粒径の小さな微粒子(言い換えれば、質量が小さな微粒子)を挙げることができる。
一例において、流路200を流れる空気の速度ベクトルの、回転中心軸30に平行な方向の速度成分は、2m/s程度であり、流路200を流れる空気の速度ベクトルの、回転中心軸30のまわりの回転方向の速度成分は、20m/s程度である。
分離装置1では、外筒体2の流入口23から外筒体2内に流入した空気に含まれている固体を外筒体2の外側に排出するために、外筒体2に、外筒体2の内外を連通させる(繋ぐ)排出孔25(図2、5、7、9A及び9B参照)が形成されている。また、分離装置1は、外筒体2の内側から排出孔25を通って排出された固体が入る捕集器6を備える。分離装置1では、排出孔25から排出された固体が、例えば、重力沈降等により、捕集器6の底面に堆積する。
排出孔25は、外筒体2の第1端21と第2端22との間で、回転体3の回転中心軸30に沿った方向に細長いスリット状に形成されている。外筒体2の中心軸20に沿った方向において、排出孔25と流入口23との距離は、羽根36と流入口23との距離よりも短いが、あくまでも一例であり、これに限らない。また、外筒体2の中心軸20に沿った方向において、排出孔25と流出口24との距離は、羽根36と流出口24との距離よりも長いが、あくまでも一例であり、これに限らない。分離装置1では、外筒体2に流入した空気中の固体の大きさや外筒体2の中心軸20(図4及び9A参照)に沿った方向における位置に関係なく、外筒体2の内周面27付近を通っている固体を、排出孔25から排出することが可能となる。これにより、分離装置1は、外筒体2の内周面27に固体が付着して堆積するのを抑制することが可能となる。
捕集器6は、外筒体2における回転体3側とは反対側に設けられている。捕集器6は、外筒体2の外側において排出孔25を覆うように配置されている。これにより、捕集器6の内部空間は、外筒体2の内側の流路200と連通している。分離装置1では、外筒体2の内側から排出孔25を通って排出された固体が捕集器6に入る。捕集器6は、外筒体2に対して着脱可能に取り付けられている。
捕集器6は、蓋がない器である。捕集器6は、図9Aに示すように、底壁60と、周壁65と、取付フランジ66と、を備える。
底壁60は、外筒体2の中心軸20(図4及び9A参照)に平行な方向を長手方向とする長方形状に形成されている。底壁60の長手方向の長さは、外筒体2の中心軸20に平行な方向における排出孔25の長さよりも長い。底壁60は、図5に示すように、外筒体2の斜め下方に位置する。また、底壁60は、ボトムカバー13上に配置される。
周壁65は、底壁60の外周縁の全周から底壁60の厚さ方向に突出している。周壁65は、第1側壁61、第2側壁62、第3側壁63及び第4側壁64を備える。第1側壁61は、底壁60の長手方向において外筒体2の第1端21及び第2端22のうち第1端21に近い側の端縁から、底壁60の厚さ方向に突出している。第2側壁62は、底壁60の長手方向において外筒体2の第1端21及び第2端22のうち第2端22に近い側の端縁から、底壁60の厚さ方向に突出している。したがって、第1側壁61と第2側壁62とは、外筒体2の中心軸20に平行な方向において互いに対向する。第1側壁61の形状と第2側壁62の形状とは同じである。第1側壁61及び第2側壁62のそれぞれにおける底壁60側とは反対側の先端面611及び612は、外筒体2の外周面28に沿った形状に形成されている。
第3側壁63は、底壁60の短手方向において外筒体2に近い側の端縁から底壁60の厚さ方向に突出している。第4側壁64は、底壁60の短手方向において外筒体2から遠い側の端縁から底壁60の厚さ方向に突出している。したがって、第3側壁63と第4側壁64とは、外筒体2の一径方向に平行な方向において互いに対向する。第4側壁64の突出寸法は、第3側壁63の突出寸法よりも長い。第3側壁63の突出寸法は、第1側壁61及び第2側壁62の第3側壁63側の端における突出寸法と同じである。第4側壁64の突出寸法は、第1側壁61及び第2側壁62の第4側壁64側の端における突出寸法と同じである。捕集器6では、第1側壁61と第2側壁62と第3側壁63と第4側壁64とで、平面視形状が矩形枠状の周壁65を構成している。平面視において、排出孔25は、捕集器6の周壁65に囲まれている。
取付フランジ66は、第4側壁64の外周縁から第4側壁64と同一面内で外方に突出している。
分離装置1では、外筒体2の外周面28に、捕集器6が着脱可能に取り付けられる取付部26(図9B参照)が設けられている。ここにおいて、取付部26には、捕集器6の取付フランジ66がねじによって取り付けられる。取付部26は、外筒体2の外周面28から突出している。取付部26は、取付フランジ66の第1側壁61、第2側壁62、第3側壁63及び第4側壁64それぞれに一対一に対応する第1側片261、第2側片262、第3側片263及び第4側片264を備える。
第1側片261と第2側片262とは、外筒体2の中心軸20に平行な方向において互いに対向する。外筒体2の中心軸20に平行な方向から見て、第1側片261及び第2側片262の形状は、捕集器6の第1側壁61及び第2側壁62の形状と同じである。第1側片261と第2側片262との互いの対向面間の距離は、捕集器6の第1側壁61と第2側壁62との互いの外面間の距離と略同じである。外筒体2の径方向に平行な一方向から見て、第3側片263の形状は、捕集器6の第3側壁63の形状と同じである。取付部26においては、第1側片261、第2側片262及び第4側片264に対して捕集器6の取付フランジ66がねじによって固定される。分離装置1では、取付部26に捕集器6を取り付けた状態において、捕集器6の周壁65の先端面が外筒体2の外周面28に接触或いは近接する。ここにおいて、捕集器6は、周壁65の先端面が全周に亘って外筒体2の外周面28に接触しているのが好ましい。
分離装置1は、捕集器6の内部空間を複数(本実施形態では、3つ)の空間に分ける複数(本実施形態では、2つ)の仕切壁10(図2、5及び9A参照)を更に備える。複数の仕切壁10は、捕集器6の内部空間に配置されている。複数の仕切壁10の各々は、回転体3の回転中心軸30(図4参照)に沿った方向(平行な方向)に交差(本実施形態では、直交)する。ここにおいて、複数の仕切壁10の各々は、回転体3の回転中心軸30に平行な方向に直交する(つまり、仕切壁10と回転中心軸30とのなす角度が90度である)場合に限らない。複数の仕切壁10の各々は、例えば、回転体3の回転中心軸30に平行な方向に30〜150度の範囲で交差してもよい。本実施形態の分離装置1では、複数の仕切壁10が、捕集器6内に配置され回転体3の回転中心軸30に沿った方向に並んでいる。これにより、分離装置1では、複数(2つ)の仕切壁10によって、捕集器6の内部空間が、回転中心軸30に沿った方向に並ぶ複数(3つ)の空間に分けられている。複数の仕切壁10は、一例として、回転体3の回転中心軸30に沿った方向において略等間隔で配置されている。複数の仕切壁10は、捕集器6の底壁60上に配置されている。複数の仕切壁10の各々の先端面10a(図9A参照)は、外筒体2の外周面28に沿った形状に形成されている。複数の仕切壁10の各々の先端面10aの曲率半径は、外筒体2の外周面28の曲率半径と同じであるのが好ましい。分離装置1では、仕切壁10が捕集器6と一体である。分離装置1では、捕集器6及び複数の仕切壁10の材質が合成樹脂であり、捕集器6と仕切壁10とが一体成形されている。
分離装置1では、回転体3の回転中、外筒体2の流入口23から流入した空気中の固体の一部が、流路200(図2参照)を通る途中でその遠心力等によって捕集器6に入る。
分離装置1では、外筒体2に対して捕集器6を着脱可能に取り付けてあることにより、例えば、人が捕集器6を外筒体2から取り外して捕集器6内の固体を廃棄し、その後、捕集器6を外筒体2に取り付けることができる。
分離装置1では、捕集器6に溜まった固体を廃棄する場合、例えば、ボトムカバー13をフロントカバー11及びリヤカバー12から取り外し、その後、捕集器6を外筒体2から取り外し、次に、捕集器6内の固体を廃棄し、その後、捕集器6を外筒体2に取り付け、続いて、ボトムカバー13をフロントカバー11及びリヤカバー12に取り付ける。分離装置1のメンテナンスでは、取り外した捕集器6の代わりに、交換用の捕集器6を外筒体2に取り付けてもよい。
分離装置1では、外筒体2の第2端22側に、排気ダクト5が配置されている。排気ダクト5の内部空間は、外筒体2の流出口24と繋がっている。排気ダクト5の材質は、例えば、ABS樹脂である。
図3A、4〜8に示すように、排気ダクト5は、導入ダクト部(導入筒部)51と導出ダクト部(導出筒部)52とを備える。
導入ダクト部51は、外筒体2側の第1端(一端)511が開口し外筒体2側とは反対側の第2端(他端)512が閉じた有底筒状であり、より詳細には有底円筒状である。導入ダクト部51は、外筒体2側の第1端511に気体の導入口(開口)513を有し、外筒体2側とは反対側の第2端512に底壁514を有する。導入ダクト部51は、中心軸510(図4参照)が外筒体2の中心軸20と揃うように配置されている。導入ダクト部51の導入口513は、外筒体2の流出口24と繋がっている。導入ダクト部51の導入口513は、外筒体2の流出口24の形状(通気孔171の形状)と同じく円形状である。導入口513の内径は、流出口24の内径(通気孔171の内径)と略同じである(本実施形態では、僅かに小さい)。
導入ダクト部51は、側壁515に流通孔516(図3B及び6参照)を有している。導入ダクト部51の周方向における流通孔516の開口範囲は、導入ダクト部51の中心軸510を中心として略90度である。言い換えれば、流通孔516は、導入ダクト部51の周方向において略1/4円弧状に開口している。また流通孔516は、側壁515の高さ方向(導入ダクト部51の中心軸510に沿った方向)において、側壁515の全範囲にわたって形成されている。また、導入ダクト部51の第1端511側において、側壁515における流通孔516から離れた部分には、導入ダクト部51の内外を繋ぐ孔517が設けられている。
すなわち、導入ダクト部51は、外筒体2側の第1端(一端)5151に開口を有する筒状の側壁(外側壁)515と、側壁515に設けられた流通孔516と、側壁515の外筒体2側とは反対側の第2端(他端)5152から内方に突出する底壁514と、を有する。側壁515の開口は円形状であり、導入ダクト部51の導入口(開口)513は円形状である。側壁515の内周面5150は、円柱面状である。底壁514は、側壁515の第2端5152側において、側壁515を閉じている。
導入ダクト部51は、側壁515と底壁514とで、有底筒状、より詳細には有底円筒状に構成されている。そして、導入ダクト部51は、外筒体2側の第1端(一端)511に気体の導入口(開口)513を有している。また、導入ダクト部51は、側壁515に設けられた流通孔516を有している。
導出ダクト部52は、両端が開口する筒状である。導出ダクト部52は、導入ダクト部51の流通孔516の縁部に繋がっている。導出ダクト部52は、導入ダクト部51に近い側から順に、第1部分521と第2部分522と第3部分523とを有する。第1部分521は、矩形枠状の断面を有する筒状であって、導入ダクト部51の流通孔516の縁部から、導入ダクト部51の中心軸510(図4参照)と交差(本実施形態では、直交)する方向に突出している。導出ダクト部52の第1部分521の複数(4つ)の側壁のうちの一側壁(第1側壁)5211(図3B及び8参照)は、流通孔516の縁部で導入ダクト部51の側壁515と繋がる。導入ダクト部51の中心軸510と直交し流通孔516を通る断面において(図3B参照)、第1側壁5211の内面は、導入ダクト部51の側壁515における流通孔516の端(縁部)の接線方向に沿っている。言い換えれば、第1側壁5211と導入ダクト部51の中心軸510との間の距離は、導入ダクト部51の側壁515の内半径に等しい。第1側壁5211の内面は、導入ダクト部51の側壁515の内周面と滑らかに(段差なく)繋がっている。導出ダクト部52の第1部分521の複数(4つ)の側壁のうちで第1側壁5211と対向する第2側壁5212(図3B及び7参照)は、流通孔516の縁部で導入ダクト部51の側壁515と繋がる。導入ダクト部51の中心軸510と直交し流通孔516を通る断面において、第2側壁5212は、導入ダクト部51の側壁515の厚さ方向に突出している。第1側壁5211と第2側壁5212との間隔は、導入ダクト部51の内径(側壁515における円柱面状の内周面5150の直径)よりも小さく、本実施形態では導入ダクト部51の内半径(側壁515の円柱面状の内側面の半径)以下である。第3部分523は、矩形枠状の断面を有する筒状であって、導入ダクト部51の中心軸510と平行な方向(すなわち、本実施形態では、第1部分521の突出方向と直交する方向)に延びている。第3部分523は、外筒体2から離れる向きに導入ダクト部51の中心軸510と平行な方向に延びている。第2部分522は、第1部分521と第3部分523とを繋ぐように湾曲した筒状である。
すなわち、導出ダクト部52は、第1流路部5201(第1部分521及び第2部分522)と、第2流路部5202(第3部分523)と、を備える(図4、6及び8参照)。第1流路部5201は、中空である。第1流路部5201は、第1側壁(一側壁)5211を有する。第1流路部5201は、導入ダクト部51の流通孔516の縁部から、導入ダクト部51の側壁515における流通孔516の縁部の接線方向に沿って、突出する。また、導入ダクト部51からの第1流路部5201の突出方向は、外筒体2の中心軸20の向きと交差(本実施形態では直交)している。第2流路部5202は、中空である。第2流路部5202は、第1流路部5201の突出先端(第2部分522の先端)から、外筒体2の中心軸20に沿った向きに延びている。第2流路部5202は、第1流路部5201の突出先端(第2部分522の先端)から、外筒体2の中心軸20に沿って外筒体2から離れる向きに延びている。
導出ダクト部52は、導入ダクト部51側とは反対側の端部(第3部分523の端部)に、導出口524を有する。
排気ダクト5では、導入ダクト部51の第1端511側が外筒体2と連結されている。より詳細には、排気ダクト5は、導入ダクト部51の第1端511から外方に突出した第1固定フランジ53を有する。排気ダクト5では、第1固定フランジ53が、リヤカバー12及びリヤパネル17に対して例えば複数のねじによって着脱可能に取り付けられる。
また、排気ダクト5は、導出口524のまわりに第2固定フランジ54を有する。第2固定フランジ54には、例えば複数のねじによって、外部のダクト等が取り付けられる。
分離装置1では、外部の空気がフロントパネル16の通気孔161(図1A、4及び7参照)及びフロントカバー11の第1フレーム部111(図1A及び2参照)の内側の空間を通して外筒体2の流入口23に流入する。外筒体2に流入した空気に含まれていた固体は、流路200(図2参照)において螺旋状に回転するときに回転体3の回転中心軸30(図4参照)から外筒体2の内周面27に向かう方向の遠心力を受ける。遠心力を受けた固体は、外筒体2の内周面27へ向かい、外筒体2の内周面27付近を内周面27に沿って螺旋状に回転する。そして、分離装置1では、空気中の固体の一部が、流路200を通過する途中で排出孔25(図2及び5参照)から排出され捕集器6に捕集される。
分離装置1では、外筒体2の内側において旋回流が発生するので、外筒体2の流入口23から外筒体2内に流入した空気中の固体(塵等)の一部が、排出孔25を通して捕集器6内に捕集される。そして分離装置1では、固体(塵等)が分離(除去)された空気(清浄化された空気)の一部が、外筒体2の流出口24から排気ダクト5へと流れ、排気ダクト5から外部(例えば、導出ダクト部52に取り付けられたダクト)へと流出する。
外筒体2内の流路200を流れる空気の速度ベクトルは、回転体3の回転中心軸30に平行な方向の速度成分と、回転中心軸30のまわりの回転方向の速度成分と、を有している。したがって、外筒体2の流出口24から導入ダクト部51へ入る空気の速度ベクトルは、導入ダクト部51の中心軸510に平行な方向の速度成分と、導入ダクト部51の中心軸510のまわりの回転方向の速度成分と、を有している。すなわち、外筒体2の流出口24から排気ダクト5に流入した空気は、導入ダクト部51の内側において、導入ダクト部51の中心軸510を中心とする螺旋状に旋回する。
本実施形態の分離装置1では、導入ダクト部51が筒状(より詳細には円筒状)であって、導入ダクト部51の側壁515に、導入ダクト部51内の空気を導入ダクト部51の外側(導出ダクト部52)へ流通させる流通孔516が設けられている。したがって、導入ダクト部51内に流入し導入ダクト部51内で旋回する空気は、導入ダクト部51の中心軸510のまわりの回転方向の速度成分によって、流通孔516を通って導入ダクト部51から導出ダクト部52に流れ出しやすくなる。すなわち、本実施形態の分離装置1では、外筒体2の流出口24から導入ダクト部51の内側に流入した空気が、導入ダクト部51の中心軸510のまわりの回転方向の速度成分によって、流通孔516から導出ダクト部52へと流れやすくなる。
これにより、本実施形態の分離装置1では、導入ダクト部の第2端側の底壁が開口し側壁に流通孔が形成されていない排気ダクト(両端が開口した筒状の排気ダクト)を備える比較例の分離装置に比べて、導入ダクト部51内での空気の流速の低下を抑制することが可能となり、圧力損失を低減することが可能となる。
また、導入ダクト部51の流通孔516から導出ダクト部52へ流入した空気は、第1部分521から第2部分522を通って第3部分523へと流れる。ここで、第1部分521は、導入ダクト部51の中心軸510の一径方向(導入ダクト部51の中心軸510のまわりの回転方向の一方向)に突出している。また、第3部分523は、導入ダクト部51の中心軸510に平行な方向に突出している。したがって、導入ダクト部51から導出ダクト部52に流入した空気は、流入時に持っていた速度成分によって、導出ダクト部52の導出口524へと導かれやすくなる。すなわち、本実施形態の分離装置1では、導入ダクト部51の流通孔516から導出ダクト部52に流入した空気が、その速度成分によって、導出口524から導出ダクト部52の外部へと流れやすくなる。これにより、本実施形態の分離装置1では、圧力損失を更に低減することが可能となる。
分離装置1は、例えば、住宅等に設置する空気浄化システムにおいて、空調設備の上流側に配置されたHEPAフィルタ(high efficiency particulate air filter)等のエアフィルタよりも上流側に配置して使用する。「HEPAフィルタ」とは、定格流量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能をもつエアフィルタである。エアフィルタは、100%の粒子捕集効率を必須の条件とはしない。空気浄化システムは、分離装置1を備えることにより、PM2.5等の微粒子がエアフィルタへ到達するのを抑制することが可能となる。よって、空気浄化システムでは、分離装置1よりも下流側にあるエアフィルタ等の長寿命化を図ることが可能となる。例えば、空気浄化システムでは、エアフィルタに捕集される微粒子等の総質量が増加することによる圧力損失の上昇を抑制することが可能となる。これにより、空気浄化システムでは、エアフィルタの交換頻度を少なくすることが可能となる。空気浄化システムは、エアフィルタと空調設備とが互いに異なる筐体に収納された構成に限らず、空調設備の筐体内にエアフィルタを備えていてもよい。言い換えれば、空調設備が、送風装置に加えてエアフィルタを備えていてもよい。
以下では、本実施形態の変形例の分離装置1Aについて、図10に基づいて説明する。図10は、分離装置1Aの一部分解斜視図である。
本変形例の分離装置1Aでは、排気ダクト5の導入ダクト部51の側壁515に、複数(本変形例では2つ;図10では、一つのみ図示)の流通孔516が設けられている。また、排気ダクト5は、複数(2つ)の流通孔516に一対一に対応する複数(2つ)の導出ダクト部52を備えている。複数の導出ダクト部52の導出口524には、複数の導出ダクト部52の導出口524を下流側で合流させるための合流管55が取り付けられることが好ましい。また、導入ダクト部51の周方向において、複数の流通孔516は等間隔で設けられていることが好ましい。例えば、導入ダクト部51の側壁515に2つの流通孔516が設けられている場合、図10に示すように、2つの流通孔516は、導入ダクト部51の中心軸510を挟んで反対側にあることが好ましい。
本変形例の分離装置1Aでも、圧力損失の低減を図ることが可能となる。また、本変形例の分離装置1Aでは、複数(2つ)の流通孔516から、清浄化された空気を効率良く取り出すことが可能となる。
(実施形態2)
以下では、本実施形態の分離装置1Bについて、図11に基づいて説明する。図11は、分離装置1Bの要部断面斜視図である。
本実施形態の分離装置1Bは、内筒体300を更に備えている。内筒体300は、円筒状である。内筒体300は、外筒体2と回転体3との間で、内筒体300の中心軸301が外筒体2の中心軸20と揃うように、外筒体2及び回転体3から離れて配置されている。内筒体300は、複数の羽根36に連結されている。外筒体2の中心軸20に平行な方向において、内筒体300の長さは外筒体2の長さよりも短い。より詳細には、外筒体2の中心軸20に平行な方向において、内筒体300の長さは外筒体2の長さの1/3程度である。図11に示すように、内筒体300は、外筒体2の内側で、回転体3の回転中心軸30に沿った方向において外筒体2の中央部分に対応する領域に配置されている。
また、本実施形態の分離装置1Bでは、外筒体2は、外筒体2の中心軸20と直交する方向から見て内筒体300と重ならない領域に、排出孔25の少なくとも一部が形成されている。より詳細には、外筒体2には、内筒体300よりも上流側の部分に第1排出孔25Aが形成されており、内筒体300よりも下流側の部分に第2排出孔25Bが形成されている。
これにより、本実施形態の分離装置1Bでは、内筒体300が位置する領域よりも上流側及び下流側で、外筒体2の内側を通る気体中の固体を排出孔25から排出することが可能となる。
(実施形態3)
以下では、本実施形態の分離装置1Cについて、図12に基づいて説明する。図12は、分離装置1Cの分解斜視図である。
図12に示すように、本実施形態の分離装置1Cでは、複数の羽根36の各々は、厚さ方向において互いに反対側にある第1面360a及び第2面360bを有するひねり羽根である。複数の羽根36の各々において、第1面360a及び第2面360bは、互いに異なる螺旋面の一部により構成されている。複数の羽根36の各々は、流入口23側の第1端361と、流出口24側の第2端362と、を有する。複数の羽根36の各々は、回転体3の回転中心軸30に平行な方向と回転体3の周方向との間の方向に沿って、第1端361と第2端362との間を繋ぐように連続的に形成されている。複数の羽根36の各々の第1面360aは、回転体3の回転方向(図11における矢印A1の方向)に沿った方向において後方に位置する。複数の羽根36の各々の第2面360bは、回転体3の回転方向に沿った方向において前方に位置する。分離装置1Cでは、外筒体2の中心軸20に沿った方向において、複数の羽根36の各々の第2面360bが流入口23側に位置し第1面360aが流出口24側に位置している。
言い換えれば、実施形態2の分離装置1Cでは、羽根36が螺旋状(螺旋の一部の形状)に形成されており、モータ4が(回転体3を回転させることで)羽根36を羽根36の螺旋方向とは逆方向に回転させている。
分離装置の分野では、圧力損失を低減しつつ、気体に含まれている固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが望まれている。しかし、一般に分離装置では、分離性能を向上させると圧力損失が増加してしまい、一方、圧力損失を低減すると分離性能が低下してしまうことが知られている。
例えば、本願発明者らは、回転体の回転中心軸と平行な羽根を備え、かつ、両端が開口した筒状の排気ダクトを備える、比較例1の分離装置を考えた。また、本願発明者らは、比較例1の分離装置において羽根を螺旋状に形成し、モータが螺旋方向と逆方向に羽根を回転させる比較例2の分離装置を考えた。そして、比較例1と比較例2の分離装置について、流体解析ソフトウェアを用いたシミュレーションで、その分離性能を比較した。流体解析ソフトウェアとしては、例えば、ANSYS(R) Fluent(R)等を採用することができる。ここにおいて、分離性能については、50%分粒径の値により評価した。一例として、比較例1の分離装置では、50%分粒径が4.07μm、圧力損失(流入口の圧力と流出口の圧力との差)が175Paであったのに対し、比較例2の分離装置では、50%分粒径が2.53μm、圧力損失が211Paであった。すなわち、比較例2の分離装置では、比較例1の分離装置に比べて分離性能が向上するものの圧力損失が増加していた。
そこで、本願発明者らは、比較例2の分離装置に対して、本実施形態の分離装置1Cの排気ダクト5と同様の排気ダクトを設けた参考例1の分離装置を考案した。そして、参考例1の分離装置についても、比較例1及び比較例2の分離装置と同様のシミュレーションを行った。その結果、参考例1の分離装置では、一例として、50%分粒径が2.43μm、圧力損失が46Paであった。すなわち、参考例1の分離装置では、50%分粒径が比較例2の分離装置(参考例1の分離装置と、排気ダクトのみが異なる分離装置)と同等であり、かつ、比較例1及び比較例2の分離装置よりも圧力損失が低減されていた。
本実施形態1の分離装置1Cでは、複数の羽根36の各々は、回転体3の回転方向に沿った方向において後方に位置し回転中心軸30に平行な方向に交差する第1面360aと、回転体3の回転方向に沿った方向において前方に位置し回転中心軸30に平行な方向に交差する第2面360bと、を有するひねり羽根である。さらに、分離装置1Cでは、外筒体2の中心軸20に沿った方向において、複数の羽根36の各々の第2面360bが流入口23側に位置し第1面360aが流出口24側に位置している。また、排気ダクト5が、導入ダクト部51と導出ダクト部52とを備えている。導入ダクト部51は、外筒体2側の第1端511が開口し外筒体2側とは反対側の第2端512が閉じており、側壁515に流通孔516を有する。導出ダクト部52は、両端が開口する筒状であって、導入ダクト部51の流通孔516の縁部に繋がる。これらにより、本実施形態1の分離装置1Cでは、比較例1、比較例2の分離装置と比べて、圧力損失の増加を抑制しつつ分離性能の向上を図ることが可能となる。
図13A及び13Bは、実施形態3の変形例1の分離装置の、回転体3、複数の羽根36及びシャフト7を示す斜視図及び右側面図である。変形例1の分離装置は、回転体3及び複数の羽根36が、実施形態3の分離装置1Cと相違する。変形例1の分離装置では、回転体3は、実施形態3の分離装置1Cの2つの回転部材3a,3bが一体に構成されている。また、変形例1の分離装置では、複数の羽根36の各々における第1端361側の端面、第2端362側の端面のそれぞれが、回転体3の互いに異なる一径方向に沿っている。回転体3からの複数の羽根36の各々の突出方向は、回転体3の回転中心軸30に直交する断面において回転体3の一径方向に沿っている。
ここにおいて、羽根36の単位長さ当たりのひねり量をαとし、羽根36の第1端361側の端面を起点としたときの回転体3の軸方向における羽根36の変位(言い換えれば、軸方向における羽根36の長さ)をΔz、回転体3の回転方向A1における羽根36の変位をΔωとするとき、α=Δω/Δzと定義する。このように定義されるひねり量αの好適な範囲は、例えば、4×10-5〜4×10-3〔回転/mm〕であり、ひねり量αは、例えば4×10-4〔回転/mm〕程度がより好ましい。ひねり量αの値が小さくなると、羽根36の形状が上述の実施形態1の分離装置1における羽根36(回転体3の回転中心軸30と平行な羽根36;ストレート羽根)の形状に近づき、羽根36がひねり羽根であることによる気流制御の効果が得られにくくなる傾向にある。また、ひねり量αの値が大きくなると、羽根36による気流の旋回速度が低下し、分粒効率が低下する傾向にある。しかし、ひねり量αが上記の範囲にあれば、気流制御、分粒効率等において高い効果が奏される。
図14A及び14Bは、実施形態3の変形例2の分離装置の、回転体3、複数の羽根36及びシャフト7を示す斜視図及び右側面図である。変形例2の分離装置は、回転体3及び複数の羽根36が、実施形態3の分離装置1Cと相違する。変形例2の分離装置では、回転体3は、実施形態3の分離装置1Cの2つの回転部材3a,3bが一体に構成されている。また、変形例2の分離装置では、複数の羽根36の各々における第1端361側の端面、第2端362側の端面が、回転体3の互いに異なる一径方向に対してそれぞれ傾いている。ここで、変形例2の分離装置では、複数の羽根36の各々は、回転体3の回転方向A1に沿った方向において前方へ突出している。言い換えれば、複数の羽根36の各々では、回転体3側の基端よりも外筒体2の内周面27側の先端が、回転体3の回転方向A1に沿った方向において前方に位置する。回転体3からの複数の羽根36の各々の突出方向は、回転体3の回転中心軸30に直交する断面において回転体3の一径方向に対して同じ角度で傾いている。変形例2の分離装置では、回転体3から外筒体2へ向かう複数の羽根36の各々の突出寸法をより大きくすることが可能となり、分離性能の更なる向上を図ることが可能となる。
また、実施形態3の変形例1及び変形例2の分離装置でも、実施形態3の分離装置1Cと同様に、圧力損失の増加を抑制しつつ分離性能の向上を図ることが可能となる。
(実施形態4)
以下では、本実施形態の分離装置1Dについて、図15〜17Bに基づいて説明する。図15は、分離装置1Dの断面斜視図である。図16は、分離装置1Dの一部分解斜視図である。図17Aは、分離装置1Dの排気ダクト5Dの平面図である。図17Bは、分離装置1Dの排気ダクト5Dの側面図である。
本実施形態の分離装置1Dは、実施形態1の分離装置1の排気ダクト5とは異なる形状の排気ダクト5Dを備えている。分離装置1Dでは、実施形態1の分離装置1と同様、外筒体2の第2端22側に排気ダクト5Dが配置されている。排気ダクト5Dの内部空間は、外筒体2の流出口24と繋がっている。
図15〜17Bに示すように、排気ダクト5Dは、導入ダクト部51と導出ダクト部52とを備えている。
排気ダクト5Dの導入ダクト部51は、実施形態1の分離装置1の導入ダクト部51と同様に、外筒体2側の第1端(一端)511が開口し外筒体2側とは反対側の第2端(他端)512が閉じた有底筒状であり、より詳細には有底円筒状である。導入ダクト部51は、外筒体2側の第1端511に気体の導入口(開口)513を有し、外筒体2側とは反対側の第2端512に底壁514を有する。導入ダクト部51は、中心軸が外筒体2の中心軸20(図4参照)と揃うように配置されている。導入ダクト部51の導入口513は、外筒体2の流出口24と繋がっている。
排気ダクト5Dの導入ダクト部51は、側壁(外側壁)515に流通孔516(図15参照)を有している。流通孔516は、導入ダクト部51の周方向における流通孔516の開口範囲が、導入ダクト部51の中心軸を中心として90度以下(本実施形態では、90度未満)となるように、形成されている。また、導入ダクト部51の側壁515の高さ方向(導入ダクト部51の中心軸に沿った方向)において、流通孔516の開口範囲は、側壁515の高さよりも小さい(図15参照)。
すなわち、排気ダクト5Dの導入ダクト部51は、外筒体2側の第1端(一端)5151(図16参照)に開口を有する筒状の側壁(外側壁)515と、側壁515に設けられた流通孔516と、側壁515の外筒体2側とは反対側の第2端(他端)5152(図16参照)から内方に突出する底壁514と、を有する。側壁515の開口は円形状であり、導入ダクト部51の導入口(開口)513は円形状である。側壁515の内周面5150は、円柱面状である。底壁514は、側壁515の第2端5152側において、側壁515を閉じている。
図15に示すように、排気ダクト5Dの導出ダクト部52は、両端が開口する筒状である。導出ダクト部52は、導入ダクト部51の流通孔516の縁部に繋がっている。
より詳細には、導出ダクト部52は、導入ダクト部51に近い側から順に、第1部分521と、第2部分522と、第3部分523と、を備える。
第1部分521は、矩形枠状の断面を有する筒状であって、導入ダクト部51の流通孔516の縁部から、導入ダクト部51の中心軸と交差(本実施形態では、直交)する方向に突出している。第1部分521の複数(4つ)の側壁のうちの一側壁(第1側壁)5211(図16参照)は、流通孔516の縁部で導入ダクト部51の外側壁515と繋がっている。第1側壁5211の内面は、導入ダクト部51の外側壁515の内周面と滑らかに(段差なく)繋がっている。導入ダクト部51の中心軸と直交し流通孔516を通る断面において、第1側壁5211の内面は、導入ダクト部51の側壁515における流通孔516の縁部の接線方向に沿っている。本実施形態では、第1部分521は、導入ダクト部51の流通孔516の縁部から、上記の接線方向に沿って突出している。
排気ダクト5Dの導出ダクト部52の第1部分521の複数(4つ)の側壁のうちで、第1側壁5211と対向する第2側壁5212(図15参照)は、流通孔516の縁部で導入ダクト部51の外側壁515と繋がる。導入ダクト部51の中心軸と直交し流通孔516を通る断面において、第2側壁5212は、導入ダクト部51の側壁515の厚さ方向に突出している。第2側壁5212は、第1側壁5211と平行である。第1側壁5211Dと第2側壁5212Dとの間隔は、導入ダクト部51の内径φ(図17A参照)よりも小さい。すなわち、第1側壁5211Dと第2側壁5212Dとの間隔は、側壁515の円柱面状の内周面5150の直径よりも小さい。本実施形態では、第1側壁5211Dと第2側壁5212Dとの間隔は、導入ダクト部51の内半径(φ/2)以下、すなわち、側壁515の内側面の半径以下である。
第3部分523は、矩形枠状の断面を有する筒状であって、導入ダクト部51の中心軸と平行な方向(すなわち、本実施形態では、第1部分521の突出方向と直交する方向)に延びている。第3部分523は、外筒体2から離れる向きに導入ダクト部51の中心軸510と平行な方向に延びている。
第2部分522は、第1部分521と第3部分523とを繋ぐように湾曲した筒状である。本実施形態では、第2部分522は、第1部分521と第3部分523とを繋ぐように、平面視(図17Aの紙面に垂直な方向から見たとき)90度湾曲した筒状である。
すなわち、導出ダクト部52は、第1流路部5201(第1部分521及び第2部分522)と、第2流路部5202(第3部分523)と、を備える(図15及び16参照)。第1流路部5201は、中空である。第1流路部5201は、第1側壁(一側壁)5211を有する。第1流路部5201は、導入ダクト部51の流通孔516の縁部から、導入ダクト部51の側壁515における流通孔516の縁部の接線方向に沿って、突出する。また、導入ダクト部51からの第1流路部5201の突出方向は、外筒体2の中心軸20の向きと交差(本実施形態では直交)している。第2流路部5202は、中空である。第2流路部5202は、第1流路部5201の突出先端(第2部分522の先端)から、外筒体2の中心軸20に沿った向きに延びている。第2流路部5202は、第1流路部5201の突出先端(第2部分522の先端)から、外筒体2の中心軸20に沿って外筒体2から離れる向きに延びている。
導出ダクト部52は、第1流路部5201と第2流路部5202とによって、平面視略L字状に形成されている。
また、導出ダクト部52は、導入ダクト部51側とは反対側の端部(第3部分523の端部)に、導出口524を有している。
排気ダクト5Dでは、導入ダクト部51の第1端511側が外筒体2と連結されている。排気ダクト5Dは、導入ダクト部51の第1端511から外方に突出した第1固定フランジ53を有しており、第1固定フランジ53が、リヤカバー12及びリヤパネル17に対して例えば複数のねじによって着脱可能に取り付けられる。また、排気ダクト5Dは、導出口524のまわりに第2固定フランジ54を有する。
第1側壁5211と第2側壁5212との対向方向における、第2部分522の一対の側壁間の間隔は、第1側壁5211と第2側壁5212との間の間隔と等しい。また、第1側壁5211と第2側壁5212との対向方向における、第3部分523の一対の側壁間の間隔は、第1側壁5211と第2側壁5212との間の間隔と等しい。すなわち、導出ダクト部52において、第1側壁5211と第2側壁5212との対向方向における側壁間の間隔は、導出ダクト部52の全長にわたって一定である。以下では、この第1側壁5211と第2側壁5212との間隔を「流路幅t」と呼ぶこともある。
ところで、本願発明者らは、排気ダクト5Dを備えた分離装置1Dにおいて、排気ダクト5Dの形状が排気ダクト5D内の気流(流体の流れ)に及ぼす影響について検討した。本願発明者らは、まず、分離装置1Dと同様の構造を有する参考例2の分離装置に関し、排気ダクト5D内の気流についての検討を行った。参考例2における排気ダクト5D内の気流については、例えば、流体解析ソフトウェアを用いたシミュレーションの結果により推測することが可能である。流体解析ソフトウェアとしては、例えば、ANSYS(R) Fluent(R)等を採用することができる。参考例2の分離装置については、以下の構造パラメータの値を、基本値として設定した。
・外筒体2の流入口23に導入される空気の流量:250m3/h
・流入口23における圧力:大気圧(1013hPa)
・回転体3の直径:160mm
・回転体3の回転数:1900rpm
・羽根36の形状:平板状
・回転体3の軸方向における羽根36の長さ:200mm
・羽根36の枚数:24枚
・回転体3の一径方向において、回転体3を挟んで配置されている一対の羽根36の、この一径方向における両端間の距離(羽根36の回転軌跡の直径、外筒体の内径):230mm
・導入ダクト部51における、側壁515の内周面5150の径(直径)φ(図17A参照):230mm
・第1部分521のダクト幅L(導入ダクト部51の中心軸と平行な方向における、第1部分521の側壁間の間隔;図17A参照):120mm
・第1部分521の突出方向と平行な方向における、導入ダクト部51の中心軸と第3部分523(第2流路部5202)の中心との間の間隔W(図17A参照):215mm
・流路幅t(図17B参照):100mm
・第1部分521の突出方向と平行な方向における、第3部分523(第2流路部5202)の側壁間の間隔:150mm
そして、本願発明者らは、種々の構造パラメータの値を基本値から変化させたときに、分離装置の全圧効率がどのように変化するかについて、上述の流体解析ソフトウェアを用いてシミュレーションを行った。
その結果、本願発明者らは、第1部分521のダクト幅Lとして適切な値を設定する(すなわち、第1部分521の断面積を適切な値に設定する)と、全圧効率が極大となることを見出した。
図18に、参考例2の構造において、第1部分521のダクト幅Lと全圧効率との関係をシミュレーションした結果を示す。
図18に示したシミュレーション結果から、第1部分521のダクト幅Lが80mmのとき、すなわち、第1部分521の断面積が、第3部分523の断面積の約0.5倍(≒80/150)のとき、全圧効率が極大(約13%)となることがわかる。また、図18に示したシミュレーション結果から、第1部分521の断面積が、第3部分523の断面積の0.4〜0.8倍(第1部分521のダクト幅Lが、60〜120mm)の範囲内であれば、高い(10%以上の)全圧効率が得られることがわかる。
また、本願発明者らは、参考例2の分離装置について、上述の流体解析ソフトウェアを用いたシミュレーション結果に対して、粒子軌跡解析ソフトウェアを用いたシミュレーションを行った。粒子軌跡解析手法としては、例えば、DPM(Discrete Phase Model)を採用することができる。図19Aに、第1部分521のダクト幅Lが80mmのときの粒子軌道のシミュレーション結果の一例を、図19Bに、第1部分521のダクト幅Lが20mmのときの粒子軌道のシミュレーション結果の一例を、それぞれ示す。図19A、19Bにおいて、各点線矢印は、排気ダクト5D内での一つの粒子の軌跡を示す。図19Bに示したシミュレーション結果によれば、第3部分523内で粒子の渦状の移動が見られ、第3部分523内で渦状の気流が形成されていることがわかる。この渦状の気流の発生が、第1部分521のダクト幅Lが小さくなると全圧効率が低下する一因であると推考される。
また、詳しい説明は省略するが、流体解析ソフトウェアを用いた粒子軌道についてのシミュレーション結果によれば、第1部分521のダクト幅Lが80mmを超えると、第2部分522内で乱流の発生が確認された。この乱流の発生が、第1部分521のダクト幅Lが大きくなると全圧効率が低下する一因であると推考される。
すなわち、第1部分521の断面積と第3部分523の断面積との比が、一定範囲内に収まって入れば、分離装置1Dの全圧効率を向上させることが可能となる。
また、本実施形態の分離装置1Dでは、排気ダクト5Dが、第1流路部5201と第2流路部5202とでL字状に形成されている。そして、第1流路部5201は、導入ダクト部51の外側壁515における流通孔516の縁部の接線方向に突出している。また、第2流路部5202は、導入ダクト部51の中心軸に沿った向きに突出している。したがって、導入ダクト部51から導出ダクト部52に流入した空気は、流入時に持っていた速度成分(上記接線方向の速度成分と、上記中心軸に沿った方向の速度成分)によって、導出ダクト部52の導出口524へと導かれやすくなる。これにより、本実施形態の分離装置1Dでは、圧力損失を更に低減することが可能となる。
(実施形態5)
以下では、本実施形態の分離装置1Eについて、図20〜22Bに基づいて説明する。図20は、分離装置1Eの断面図である。図21は、分離装置1Eの一部分解斜視図である。図22Aは、分離装置1Eの排気ダクト5Eの平面図である。図22Bは、分離装置1Eの排気ダクト5Eの側面図である。
本実施形態の分離装置1Eは、実施形態4の分離装置1Dの排気ダクト5Dとは異なる形状の排気ダクト5Eを備えている。分離装置1Eでは、実施形態4の分離装置1Dと同様、外筒体2の第2端22側に排気ダクト5Eが配置されている。排気ダクト5Eの内部空間は、外筒体2の流出口24と繋がっている。
図20〜22Bに示すように、排気ダクト5Eは、導入ダクト部51と導出ダクト部52とを備えている。
排気ダクト5Eの導入ダクト部51は、外筒体2側の第1端(一端)511に気体の導入口(開口)513を有し、外筒体2側とは反対側の第2端(他端)512に底壁514を有する。導入ダクト部51の導入口(開口)513は、円環状である。
より詳細には、排気ダクト5Eの導入ダクト部51は、外筒体2側の第1端(一端)5151に開口を有する筒状の外側壁515と、外側壁515の外筒体2側とは反対側の第2端(他端)5152から内方に突出する底壁514と、外側壁515の内側に設けられた内側壁518と、を備えている。外側壁515の開口は、円形状である。外側壁515の内周面5150は、円柱面状である。内側壁518は、筒状であって、その外周面5180が外側壁515の内周面5150と同心状の円柱面状である。内側壁518の外周面5180は、外側壁515の径方向において、外側壁515の内周面5150と間隔D(図20参照)だけ離れている。
また、排気ダクト5Eの導入ダクト部51は、外側壁515の第1端5151側に、外側壁515の開口と同心の円板状の底壁(第2の底壁)519を更に備えている。底壁519は、内側壁518における外筒体2側の第1端(一端)5181を閉じている。外側壁515の開口と底壁519とで、導入ダクト部51における円環状の開口513が規定される。
底壁514は、外側壁515の第2端5152側において、外側壁515の第2端5152と内側壁518の第2端5182とを繋いでいる。これにより、底壁514は、外側壁515の第2端5152側において、内側壁518と外側壁515との間を閉じている。
すなわち、排気ダクト5Eの導入ダクト部51は、外側壁515と内側壁518との間に規定される内部空間を有している。導入ダクト部51の中心軸(外側壁515の中心軸)510と直交する面内において、導入ダクト部51の内部空間は円環状である。そして、導入ダクト部51の内部空間は、導入ダクト部51の第1端511側においては、開口513を介して外部空間に繋がっており、導入ダクト部51の第2端512側においては、底壁514によって外部空間と隔離されている。
排気ダクト5Eの導入ダクト部51は、中心軸510(図20参照)が外筒体2の中心軸20と揃うように配置されている。導入ダクト部51の導入口513は、外筒体2の流出口24と繋がっている。導入口513の内径(内側壁518の外周面の径)は、回転体3の外径と略同じである。導入口513の外径(外側壁515の内周面の径)は、外筒体2の内径と略同じである。
また、排気ダクト5Eの導入ダクト部51は、外側壁515に設けられた流通孔516を有している。流通孔516は、導入ダクト部51の外側壁515の周方向における流通孔516の開口範囲が、導入ダクト部51の中心軸510を中心として90度以下(本実施形態では、90度未満)となるように、形成されている。また、導入ダクト部51の外側壁515の高さ方向において、流通孔516の開口範囲は、外側壁515の高さよりも小さい。
排気ダクト5Eの導出ダクト部52は、両端が開口する筒状である。導出ダクト部52は、導入ダクト部51の流通孔516の縁部に繋がっている。
排気ダクト5Eの導出ダクト部52は、実施形態4の排気ダクト5Dの導出ダクト部52と同様、導入ダクト部51に近い側から順に、第1部分521と、第2部分522と、第3部分523と、を備える。排気ダクト5Eの導出ダクト部52については、以下の流路幅t以外の構成は実施形態4の排気ダクト5Dの導出ダクト部52と同様なので、詳しい説明は省略する。
ここで、排気ダクト5Eの導出ダクト部52は、その全長にわたって、流路幅tが一定である。導出ダクト部52の流路幅tは、外側壁515の径方向における外側壁515の内周面5150と内側壁518の外周面5180との間隔Dと、同程度であることが好ましい。
排気ダクト5Eでは、導入ダクト部51の第1端511側が外筒体2と連結されている。排気ダクト5Eは、導入ダクト部51の第1端511から外方に突出した第1固定フランジ53を有しており、第1固定フランジ53が、リヤカバー12及びリヤパネル17に対して例えば複数のねじによって着脱可能に取り付けられる。また、排気ダクト5Eは、導出口524のまわりに第2固定フランジ54を有する。
ところで、本願発明者らは、排気ダクトを備えた分離装置において、排気ダクトの形状が排気ダクト内の気流(流体の流れ)に及ぼす影響について、検討した。本願発明者らは、特に、排気ダクトを備えた分離装置において、導入ダクト部の形状が排気ダクト内の気流に及ぼす影響について、詳細に検討した。分離装置における排気ダクト内での気流については、例えば、流体解析ソフトウェアを用いたシミュレーションの結果により推測することが可能である。流体解析ソフトウェアとしては、例えば、ANSYS(R) Fluent(R)等を採用することができる。
本願発明者らは、まず、上記の参考例2の分離装置について、構造パラメータの値を上記の基本値とした場合(ただし、第1部分521のダクト幅Lを、80mmに変更した)の排気ダクト内の気流について、上述の流体解析ソフトウェアを用いて気流のシミュレーションを行った。気流のシミュレーションの結果、参考例2の分離装置では、導入ダクト部51と導出ダクト部52との境界付近で、導入ダクト部51から導出ダクト部52に入った後に導入ダクト部51に戻る気流(戻り気流)があることが、確認された。シミュレーション結果の一例について、参考例2の分離装置における領域B1(図23A参照)での気流を図23Bに示す。この場合の分離装置の全圧効率は、13.0%であった。
そこで、本願発明者らは、参考例2の分離装置に対して、本実施形態の分離装置1Eと同様の排気ダクト5Eを設けた参考例3の分離装置を考案した。そして、参考例3の分離装置における気流についても、上述の流体解析ソフトウェアを用いて気流のシミュレーションを行った。ここで、参考例3の分離装置において、各構造パラメータの値としては参考例2の分離装置の基本値を用いた。ただし、第1部分521のダクト幅Lを80mmに変更し、流路幅t(図22B参照)を50mmに変更し、導入ダクト部51における内側壁518の、円柱面状の外周面5180の径を160mmとした。気流のシミュレーションの結果、参考例3の分離装置では、戻り気流の発生が低減されていることが確認された。シミュレーション結果の一例について、参考例3の分離装置における領域B2(図24A参照)での気流を図24Bに示す。この場合の分離装置の全圧効率は、14.8%であった。
このように、参考例3の分離装置では、参考例2の分離装置に比べて全圧効率が向上していた。
参考例3の分離装置の方が、参考例2の分離装置よりも全圧効率が向上する理由は、以下のように推考される。
すなわち、参考例2の分離装置では、導入ダクト部51が中空円筒状である。このため、参考例2の分離装置では、導入ダクト部51内に流入し導入ダクト部51内で旋回する空気は、特に導入ダクト部51の中心軸510付近において、旋回方向と異なる方向の成分の力を受ける可能性がある。このため、参考例2の分離装置では、例えば導入ダクト部51と導出ダクト部52との境界付近で乱流が発生しやすくなり、全圧効率が低下する可能性があると推考される。
一方、参考例3の分離装置では、導入ダクト部51の内部空間の形状が、断面円環状である。このため、参考例3の分離装置では、導入ダクト部51内に流入し導入ダクト部51内で旋回する空気は導入ダクト部51の中心軸510付近には移動できず、旋回方向と異なる方向の成分の力をうけにくくなる。このため、参考例3の分離装置では、参考例2の分離装置よりも全圧効率が向上すると推考される。
さらに、参考例3の分離装置では、流路幅t(50mm)を、外側壁515の径方向における外側壁515の内周面5150と内側壁518の外周面5180との間隔D((230−160)/2=35mm)と、同程度としている。これにより、導入ダクト部51内で旋回して導出ダクト部52内に流入した空気は、導出ダクト部52内に流入後は導入ダクト部51内に戻ることなく導出ダクト部52内を導出口524に向かって進みやすくなる。したがって、全圧効率が更に向上していると推考される。
本実施形態の分離装置1Eでは、排気ダクト5Eの導入ダクト部51は、円柱面状の内周面5150を有する外側壁515の内側に設けられた内側壁518を更に備えている。内側壁518の外周面5180は、外側壁515の内周面5150と同心状の円柱面状である。また、底壁514が、内側壁518と外側壁515との間を閉じている。これにより、例えば中空円筒状の導入ダクト部51を備えた参考例2の分離装置に比べて、分圧効率を更に向上させることが可能となる。
(実施形態6)
以下では、本実施形態の分離装置1Fについて、図25に基づいて説明する。図25は、分離装置1Fの一部分解斜視図である。
本実施形態の分離装置1Fは、実施形態1の分離装置1の排気ダクト5とは異なる形状の排気ダクト5Fを備えている。分離装置1Fでは、実施形態1の分離装置1と同様、外筒体2の第2端22側に排気ダクト5Fが配置されている。排気ダクト5Fの内部空間は、外筒体2の流出口24と繋がっている。
本実施形態の排気ダクト5Fは、導入ダクト部51と、M個(Mは2以上の整数;ここでは2個)の導出ダクト部52とを備えている。
排気ダクト5Fの導入ダクト部51は、側壁(外側壁)515に、N個(Nは2以上であってMと等しい整数;ここでは2個)の流通孔516を有している。各流通孔516は、導入ダクト部51の周方向における流通孔516の開口範囲が、導入ダクト部51の中心軸510を中心として90度以下(本実施形態では、90度未満)となるように、形成されている。本実施形態では、N個(ここでは2個)の流通孔516は、外側壁515において、導入ダクト部51の中心軸510の周りでN回対称(ここでは2回対称)となる位置に設けられている。
M個(ここでは2個)の導出ダクト部52は、N個(N=M)の流通孔516と一対一に対応して設けられている。各導出ダクト部52は、対応する流通孔516の縁部に繋がっている。M個(ここでは2個)の導出ダクト部52は、導入ダクト部51の中心軸510を中心としてM回対称(ここでは2回対称)となるように、形成されている。
各導出ダクト部52は、対応する流通孔516の縁部で導入ダクト部51の外側壁515と繋がる一側壁(第1側壁)5211を有している。第1側壁5211の内面は、導入ダクト部51の外側壁515の内周面と滑らかに(段差なく)繋がっている。導入ダクト部51の中心軸510と直交し流通孔516を通る断面において、第1側壁5211の内面は、導入ダクト部51の側壁515における流通孔516の縁部の接線方向に沿っている。本実施形態では、2個の導出ダクト部52の第1側壁5211の内面同士は、互いに平行である。
排気ダクト5Fは、導入ダクト部51の中心軸510の周りで、N(N=M)回対称となるように形成されている。本実施形態の分離装置1Fでは、排気ダクト5Fは、外筒体2の中心軸20(図4及び9A参照)の周りで、N(N=M)回対称となるように形成されている。
各導出ダクト部52における流通孔516とは反対側の端部に、各導出ダクト部52の内部空間を流れる流体を合流させるための合流管55が接続されている。合流管55は、導出ダクト部52に一対一に接続されるL個(Lは2以上であってMと等しい整数;ここでは2個)の第1管部551と、各第1管部551における導出ダクト部52とは反対側の端部に繋がる第2管部552とを備えている。合流管55は、ここでは、2個の第1管部551と第2管部552とで、略Y字状に形成されている。
各第1管部551は、対応する導出ダクト部52の導出口524から、導入ダクト部51から離れる向きであって第1管部551同士が互いに近づく向きに、延びている。各第1管部551は、導入ダクト部51の軸方向において導入ダクト部51から離れるにつれて、導入ダクト部51の径方向において第1管部551同士が互いに近づくように、延びている。
第2管部552は、導入ダクト部51の中心軸510と平行に延びている。第2管部552の中心(第2管部552の延長方向と直交する断面の中心)は、導入ダクト部51の中心軸510を通っている。
合流管55は、第1管部551から第2管部552内に入った流体が互いにぶつからないように、第1管部551を流れる流体を合流させる。合流管55は、導入ダクト部551の中心軸510の周りで、L(L=N=M)回対称となるように形成されている。合流管55は、外筒体2の中心軸20の周りで、L(L=N=M)回対称となるように形成されている。
ところで、本願発明者らは、実施形態4の分離装置1Dと同様の基本構造を有し、羽根36が、回転体3の外周面から回転体3の径方向と交差する向きに突出した参考例4の分離装置の気流について、検討を行った。本願発明者らは特に、参考例4の分離装置と、導入ダクト部の第2端側の底壁が開口し側壁に流通孔が形成されていない排気ダクトを備える比較例3の分離装置と、を比較した場合の、参考例4の分離装置の気流について、検討を行った。参考例4及び比較例3における気流については、上述の流体解析ソフトウェアANSYS(R)Fluent(R)を用いたシミュレーションによって検討した。シミュレーションにおいて、参考例4及び比較例3の分離装置の構造パラメータの値については、上記の参考例2の分離装置における基本値を用いた。また、本願発明者らは、参考例4及び比較例3の分離装置のそれぞれについて、上述の流体解析ソフトウェアを用いたシミュレーション結果に対して、粒子軌跡解析ソフトウェアを用いたシミュレーションを行った。粒子軌跡解析手法としては、例えば、DPM(Discrete Phase Model)を採用することができる。
シミュレーションの結果、本願発明者らは、参考例4の分離装置は、比較例3の分離装置に対して圧力損失を低減する効果が認められるが、分離特性については更に改善の余地があるという結論に至った。
また、本願発明者らは、参考例4の分離装置における、外筒体2の内側の流路200での流体の速度分布について、流体解析ソフトウェアを用いたシミュレーションによって、詳細に検討した。その結果、本願発明者らは、参考例4の分離装置では、排気ダクトが導出ダクト部52を1個だけ備えていることで、流路200内での流体の速度分布が、外筒体2の中心軸20の周方向において不均一になる可能性があるという知見を得た。
図26A〜26Cに、参考例4の分離装置における、外筒体2の流路200内での流体の速度分布のシミュレーション結果の一例を示す。図26Aは、外筒体2の流入口23近傍(回転体3の軸方向における全長が200mmである羽根36の、流入口23側の端部から20mmでの位置)における、流路200内での流体の速度分布を示す。図26Bは、外筒体2の軸方向における中心付近(回転体3の軸方向における全長が200mmである羽根36の、流入口23側の端部から100mmでの位置)における、流路200内での流体の速度分布を示す。図26Cは、外筒体2の流出口24近傍(回転体3の軸方向における全長が200mmである羽根36の、流入口23側の端部から180mmでの位置)における、流路200内での流体の速度分布を示す。図26A〜26Cにおいて、回転体3の回転方向は、各図の時計回り方向である。図26A〜26Cに示されるように、流路200内において、流体の速度が相対的に大きくなる領域(図26A〜26Cの右下の領域)が認められる。
本願発明者らは、流路200内に、流体の速度が相対的に大きくなる領域が存在すると、流体内の固体が分離装置で分離されることなく外筒体2の流出口24に達しやすくなる可能性があると考えた。
そこで、本願発明者らは、参考例4の分離装置と同様の基本構造を有し、さらに、本実施形態の分離装置1Fと同様に、排気ダクトが2個の導出ダクト部52を備えている参考例5の分離装置を考案した。そして、参考例5の分離装置についても、上述の流体解析ソフトウェア及び粒子軌跡解析ソフトウェアを用いて、流路200内での流体の速度分布、及び分離装置の分離特性についてのシミュレーションを行った。
図27A〜27Cに、参考例5の分離装置における、外筒体2の流路200内での流体の速度分布のシミュレーション結果の一例を示す。図27A〜27Cは、それぞれ、図26A〜26Cと同じ位置での、参考例5の分離装置における、外筒体2の流路200内での流体の速度分布を示す。図27A〜27Cに示されるように、参考例5の分装置では、外筒体2の中心軸20の周方向において、流体の速度分布がほぼ均一となっていることが認められる。
図28に、シミュレーション結果に基づいて得られた、比較例3の分離装置の分粒率A1(△で示す)、参考例4の分離装置の分粒率A2(□で示す)、参考例5の分離装置の分粒率A3(○で示す)を示す。分粒率は、所定の粒径[μm]を有する粒子を含む流体を分離装置の流入口に導入したときに、全ての粒子のうちで分離装置によって流体から分離される(排出孔から排出される)粒子の割合で表される。図28に示されるように、粒径が3μm以上の範囲においては、同一の粒径の粒子で見ると、比較例3の分離装置(直線)の方が参考例4の分離装置(導出ダクト部1個)よりも分粒率が高く、参考例5の分離装置(導出ダクト部2個)の方が比較例3の分離装置よりも分粒率が高くなっている。すなわち、参考例5の分離装置では、排気ダクトが、導入ダクト部51の中心軸510に対して回転対称な位置に導出ダクト部52を備えることで、参考例4の分離装置及び比較例3の分離装置よりも、分離特性の向上を図ることが可能である。
本実施形態の分離装置1Fでは、排気ダクト5Fが複数の導出ダクト部52を備えている。複数の導出ダクト部52は、導入ダクト部51の外側壁515において、導入ダクト部51の中心軸510の周りで回転対称となる位置に設けられている。これにより、実施形態1〜実施形態5の分離装置1〜1Eと同様に、圧力損失の低減を図ることが可能である。また、本実施形態の分離装置1Fでは、分離特性を向上させることが可能となる。
上記の実施形態及び変形例は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態及び変形例は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(変形例)
例えば、外筒体2の材質は、ABS等の合成樹脂に限らず、金属等でもよい。また、回転体3及び複数の羽根36の材質は、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂に限らず、例えば、金属等でもよい。また、回転体3の材質と複数の羽根36の材質とは互いに異なっていてもよい。また、排気ダクト5の材質は、ABS等の合成樹脂に限らず、例えば金属等でもよい。
複数の羽根36の各々は、回転体3と別部材として形成され回転体3に固定されることで回転体3に連結されていてもよい。
回転体3は、外筒体2の中心軸20に沿った方向において並ぶ2つの回転部材3a、3bを備える構成に限らず、例えば、2つの回転部材3a、3bのうちの1つのみを備える構成でもよい。また、回転体3は、2つの回転部材3a、3bの間に、少なくとも1つの回転部材(回転部材3bと同様の形状の回転部材)を備えていてもよい。この場合、2つの回転部材3a、3bの間にある回転部材にも、複数の羽根36の各々の一部を構成する羽根片が連結されているのが好ましい。
排出孔25の形状は、細長いスリット状に限られず、任意の形状(丸孔等)であってもよい。
分離装置1、1A、1C、1D、1E、1Fでは、外筒体2に排出孔25が1つだけ形成されているが、これに限らず、排出孔25が複数形成されていてもよい。この場合、複数の排出孔25は、外筒体2の周方向において離れて配置されているのが好ましい。また、この場合、分離装置1、1A、1B、1C、1D、1E、1Fに捕集器6を複数設け、複数の捕集器6が複数の排出孔25と一対一で対応するように配置されていてもよい。
分離装置1、1A、1B、1C、1D、1E、1Fでは、捕集器6の取付フランジ66をねじにより取付部26に取り付けてあるが、これに限らない。要するに、分離装置1では、取付フランジ66及びねじは必須の構成要素ではない。また、捕集器6は外筒体2に固定されていてもよい。
また、捕集器6及び複数の仕切壁10の材質は、合成樹脂に限らず、金属等でもよい。また、捕集器6と複数の仕切壁10とは互いに異なる材質でもよい。分離装置1では、捕集器6と複数の仕切壁10とが別部材で形成されて接着、溶着、嵌合、ねじ固定等によって一体化されていてもよい。
分離装置1、1A、1B、1C、1D、1E、1Fにおいて、捕集器6は必須の構成要素ではない。言い換えれば、分離装置1、1A、1B、1C、1D、1E、1Fは、外筒体2の内側から排出孔25を通して外筒体2の外側へ固体を排出できるように構成されていれば、捕集器6を備えていない構成でもよい。
導入ダクト部51の周方向における流通孔516の開口範囲は、導入ダクト部51の中心軸510を中心として90度以下に限られない。導入ダクト部51の周方向における流通孔516の開口範囲は、導入ダクト部51の中心軸510を中心として45〜90度の範囲であるのが好ましい。また、実施形態4、5の分離装置1D、1Eに示しているように、流通孔516は、側壁(外側壁)515の高さ方向において、側壁515の全範囲にわたって形成されていなくてもよい。
導入ダクト部51の側壁(外側壁)515は、円柱面状の内周面5150を有する構成に限られず、例えば断面が正多角形状の内周面を有する構成であってもよい。この場合、導入ダクト部51の側壁515の内周面5150の断面は、8以上の頂点を有する正多角形であることが好ましい。同様に、分離装置1Eにおいて、内側壁518の外周面5180の形状は、円柱面状に限られない。
また、側壁(外側壁)515の内周面5150の形状は、円柱面状であることが好ましいが、この場合においても、側壁(外側壁)515の外周面の形状は円柱面状以外の任意の形状であってよい。同様に、内側壁518の外周面5180の形状は、円柱面状であることが好ましいが、この場合においても、内側壁518の内周面の形状は円柱面状以外の任意の形状であってよい。さらに、内側壁518は、外周面5180を有していれば筒状でなくてもよく、例えば、底壁519を底面とし外周面5180を側面とする円柱状等の柱状であってもよい。
実施形態2の分離装置1Bにおいて、回転体3の長さ(外筒体2の中心軸20に沿った方向の長さ)が、内筒体300の長さと同じであってもよい。すなわち、回転体3は、図10に示す内筒体300の長さ程度に短くてもよい。また、実施形態2の分離装置1Bにおいて、外筒体2には、第1排出孔25A及び第2排出孔25Bに変えて、内筒体300の長さよりも長い一つの排出孔25が形成されていてもよい。
実施形態5の分離装置1Eにおいて、モータ4(及びモータハウジング9)は、回転体3(下流側回転部材3b)内に収納されているが、これに限られず、排気ダクト5Eにおける内側壁518の、円柱面状の内周面で囲まれた空間内に収納されてもよい。この場合、導入ダクト部51では、底壁519が省略されてもよいし、シャフト7の通る円形状の孔が底壁519に設けられてもよい。
実施形態6の分離装置1Fにおいて、N個の流通孔516は、導入ダクト部51の中心軸510の周りでN回対称となる位置に設けられていなくてもよい。すなわち、N個の流通孔は、外側壁515において、導入ダクト部51の中心軸510の周りで導入ダクト部51を(360/N)度だけ回転させたときに別の流通孔516の少なくとも一部と重複する位置に、設けられていればよい。また、M個(M=N)の導出ダクト部52、L個(L=M=N)個の第1管部551の形状も、N個の流通孔516の形成位置に応じて適宜変更されてもよい。
(態様)
上述の実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)は、外筒体(2)と、回転体(3)と、複数の羽根(36)と、モータ(4)と、排気ダクト(5、5D、5E、5F)と、を備える。外筒体(2)は、第1端(21)に気体の流入口(23)を有し、第2端(22)に気体の流出口(24)を有する。回転体(3)は、外筒体(2)の内側において、回転中心軸(30)が外筒体(2)の中心軸(20)と揃うように配置されている。複数の羽根(36)は、回転体(3)と外筒体(2)との間で回転体(3)の外周方向において離れて配置され、回転体(3)に連結されている。モータ(4)は、回転体(3)を回転中心軸(30)のまわりで回転させる。排気ダクト(5、5D、5E、5F)は、外筒体(2)の第2端(22)側に配置され、内部空間が外筒体(2)の流出口(24)と繋がっている。外筒体(2)は、第1端(21)と第2端(22)との間において外筒体(2)の内外を繋ぐ排出孔(25)を有する。排気ダクト(5、5D、5E、5F)は、導入ダクト部(51)と導出ダクト部(52)とを備える。導入ダクト部(51)は、(外)側壁(515)と、流通孔(516)と、底壁(514)と、を有する。外側壁(515)は、外筒体(2)側の一端(第1端5151)に開口を有する筒状である。流通孔(516)は、外側壁(515)に設けられている。底壁(514)は、外側壁(515)の外筒体(2)側とは反対側の他端(第2端5152)から内方に突出する。導出ダクト部(52)は、両端が開口する筒状である。導出ダクト部(52)は、導入ダクト部(51)の流通孔(516)の縁部に繋がる。
以上の構成により、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)は、圧力損失の低減を図ることが可能となる。
第2の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1F)では、第1の態様において、導入ダクト部(51)は、外側壁(515)の内周面(5150)が円柱面状であり、底壁(514)が、外側壁(515)を閉じている。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C,1D、1F)では、簡単な構造で、圧力損失の低減を図ることが可能となる。
第3の態様に係る分離装置(1E)では、第1の態様において、外側壁(515)の内周面(5150)が円柱面状である。導入ダクト部(51)は、外側壁(515)の内側に設けられた内側壁(518)を更に備える。内側壁(518)は、その外周面(5180)が外側壁(515)の内周面(5150)と同心状の円柱面状である。底壁(514)が、内側壁(518)と外側壁(515)との間を閉じている。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C)では、圧力損失の低減を図り、全圧効率の向上を図ることが可能となる。
第4の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、第2又は第3の態様において、排気ダクト(5、5D,5E、5F)は、導入ダクト部(51)の中心軸(510)が外筒体(2)の中心軸(20)と揃うように配置される。導出ダクト部(52)は、流通孔(516)の縁部で導入ダクト部(51)の側壁(515)と繋がる一側壁(第1側壁5211)を有する。導入ダクト部(51)の中心軸(510)と直交し流通孔(516)を通る断面において、一側壁(5211)の内面は、導入ダクト部(51)の側壁(515)における流通孔(516)の縁部の接線方向に沿っている。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、外筒体(2)の流出口(24)から導入ダクト部(51)の内部に入った気体が流通孔(516)を通りやすくなり、圧力損失の更なる低減を図ることが可能となる。
第5の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、第4の態様において、導出ダクト部(52)は、第1流路部(5201)と、第2流路部(5202)と、を備える。第1流路部(5201)は、中空であり、上記一側壁(第1側壁5211)を有しており、導入ダクト部(51)の流通孔(516)の縁部から上記接線方向に沿って突出している。第2流路部(5202)は、中空であり、第1流路部(5201)の突出先端から外筒体(2)の中心軸(20)に沿った向きに延びている。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、圧力損失の低減を図ることが可能となる。
第6の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、第1〜第5の何れかの態様において、外筒体(2)の第2端(22)側から見て、複数の羽根(36)の回転領域の全体が、外筒体(2)の流出口(24)の周縁の内側に位置する。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、複数の羽根(36)によって旋回されて外筒体(2)の内部から外部に流れ出す気体が、外筒体(2)の流出口(24)の縁部で遮られにくくなるため、圧力損失の更なる低減を図ることが可能となる。
第7の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、第1〜第6の何れかの態様において、外筒体(2)の第1端(21)側から見て、回転体(3)の回転中心軸(30)が外筒体(2)の流入口(23)の周縁の内側に位置し、かつ、複数の羽根(36)の回転領域の内側に外筒体(2)の流入口(23)の全体が位置する。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、流入口(23)から外筒体(2)の内部に流れ込む空気は、外筒体(2)の第1端(21)側から見て必ず羽根(36)の回転領域を通ることになる。このため、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、気体に含まれる固体に遠心力を与えやすくなり、固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
第8の態様に係る分離装置(1B)は、第1〜第7の何れかの態様において、内筒体(300)を更に備える。内筒体(300)は、外筒体(2)と回転体(3)との間に配置されている。内筒体(300)は、中心軸(301)が外筒体(2)の中心軸(20)と揃うように配置されている。内筒体(300)は、外筒体(2)及び回転体(3)から離れて配置されている。内筒体(300)は、複数の羽根(36)に連結されている。外筒体(2)の中心軸(20)に平行な方向において、内筒体(300)の長さが外筒体(2)の長さよりも短い。外筒体(2)は、外筒体(2)の中心軸(20)と直交する方向から見て内筒体(300)と重ならない領域に、排出孔(25)の少なくとも一部が形成されている。これにより、分離装置(1B)では、固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
第9の態様に係る分離装置(1C)では、第1〜第8の何れかの態様において、モータ(4)は、回転体(3)を回転中心軸(30)のまわりで一方向に回転させる。複数の羽根(36)の各々は、第1面(360a)と第2面(360b)とを有するひねり羽根である。複数の羽根(36)の各々の第1面(360a)は、回転体(3)の回転方向に沿った方向において後方に位置する。複数の羽根(36)の各々の第2面(360b)は、回転体(3)の回転方向に沿った方向において前方に位置する。外筒体(2)の中心軸(20)に沿った方向において、複数の羽根(36)の各々の第2面(360b)が流入口(23)側に位置し第1面(360a)が流出口(24)側に位置している。これにより、分離装置(1C)では、圧力損失の増加を抑制しつつ分離性能の向上を図ることが可能となる。
第10の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)は、第1〜第9の何れかの態様において、捕集器(6)を更に備える。捕集器(6)は、外筒体(2)の外側において排出孔(25)を覆うように配置され、外筒体(2)の内側から排出孔(25)を通って排出された固体が入る。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、気体から分離された固体を捕集器(6)で収集することが可能となり、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)によって分離された固体が、外部に飛散されるのを抑制することが可能となる。
第11の態様に係る分離装置(1A、1F)は、第1〜第10の何れかの態様において、導入ダクト部(51)は、N個(Nは2以上の整数)の流通孔(516)が外側壁(515)に設けられている。排気ダクト(5F)は、M個(M=N)の導出ダクト部(52)を備えている。M個の導出ダクト部(52)は、N個の流通孔(516)それぞれの縁部に繋がっている。N個の流通孔(516)の各々は、外側壁(515)において、導入ダクト部(51)の中心軸(510)の周りで導入ダクト部(51)を(360/N)度だけ回転させたときに別の流通孔(516)の少なくとも一部と重複する位置に、設けられている。これにより、分離装置(1A、1F)では、分離特性を更に向上させることが可能となる。
第12の態様に係る分離装置(1A、1F)は、第11の態様において、N個の流通孔(516)は、外側壁(515)において、導入ダクト部(51)の中心軸(510)の周りでN回対称となる位置に設けられている。これにより、分離装置(1A、1F)では、分離特性を更に向上させることが可能となる。
第13の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)は、外筒体(2)と、回転体(3)と、複数の羽根(36)と、モータ(4)と、排気ダクト(5、5D、5E、5F)と、を備える。外筒体(2)は、第1端(21)に気体の流入口(23)を有し、第2端(22)に気体の流出口(24)を有する。回転体(3)は、外筒体(2)の内側において、回転中心軸(30)が外筒体(2)の中心軸(20)と揃うように配置されている。複数の羽根(36)は、回転体(3)と外筒体(2)との間で回転体(3)の外周方向において離れて配置され、回転体(3)に連結されている。モータ(4)は、回転体(3)を回転中心軸(30)のまわりで回転させる。排気ダクト(5、5D、5E、5F)は、外筒体(2)の第2端(22)側に配置され、内部空間が外筒体(2)の流出口(24)と繋がっている。外筒体(2)は、第1端(21)と第2端(22)との間において外筒体(2)の内外を繋ぐ排出孔(25)を有する。排気ダクト(5、5D、5E、5F)は、導入ダクト部(51)と導出ダクト部(52)とを備える。導入ダクト部(51)は、外筒体(2)側の一端(第1端511)が開口し外筒体(2)側とは反対側の他端(第2端512)が閉じた筒状である。導入ダクト部(51)は、側壁(515)に流通孔(516)を有する。導出ダクト部(52)は、両端が開口する筒状である。導出ダクト部(52)は、導入ダクト部(51)の流通孔(516)の縁部に繋がる。以上の構成により、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)は、圧力損失の低減を図ることが可能となる。
第14の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1F)では、第12の態様において、導入ダクト部(51)は円筒状である。排気ダクト(5、5D、5F)は、導入ダクト部(51)の中心軸(510)が外筒体(2)の中心軸(20)と揃うように配置される。導出ダクト部(52)は、流通孔(516)の縁部で導入ダクト部(51)の側壁(515)と繋がる一側壁(第1側壁5211)を有する。導入ダクト部(51)の中心軸(510)と直交し流通孔(516)を通る断面において、一側壁(5211)の内面は、導入ダクト部(51)の側壁(515)における流通孔(516)の端の接線方向に沿っている。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1F)では、外筒体(2)の流出口(24)から導入ダクト部(51)の内部に入った気体が流通孔(516)を通りやすくなり、圧力損失の更なる低減を図ることが可能となる。
第15の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、第13又は14の態様において、外筒体(2)の第2端(22)側から見て、複数の羽根(36)の回転領域の全体が、外筒体(2)の流出口(24)の周縁の内側に位置する。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、複数の羽根(36)によって旋回されて外筒体(2)の内部から外部に流れ出す気体が、外筒体(2)の流出口(24)の縁部で遮られにくくなるため、圧力損失の更なる低減を図ることが可能となる。
第16の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、第13〜第15の何れかの態様において、外筒体(2)の第1端(21)側から見て、回転体(3)の回転中心軸(30)が外筒体(2)の流入口(23)の周縁の内側に位置し、かつ、複数の羽根(36)の回転領域の内側に外筒体(2)の流入口(23)の全体が位置する。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、流入口(23)から外筒体(2)の内部に流れ込む空気は、外筒体(2)の第1端(21)側から見て必ず羽根(36)の回転領域を通ることになる。このため、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、気体に含まれる固体に遠心力を与えやすくなり、固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
第17の態様に係る分離装置(1B)は、第13〜第16の何れかの態様において、内筒体(300)を更に備える。内筒体(300)は、外筒体(2)と回転体(3)との間に配置されている。内筒体(300)は、中心軸(301)が外筒体(2)の中心軸(20)と揃うように配置されている。内筒体(300)は、外筒体(2)及び回転体(3)から離れて配置されている。内筒体(300)は、複数の羽根(36)に連結されている。外筒体(2)の中心軸(20)に平行な方向において、内筒体(300)の長さが外筒体(2)の長さよりも短い。外筒体(2)は、外筒体(2)の中心軸(20)と直交する方向から見て内筒体(300)と重ならない領域に、排出孔(25)の少なくとも一部が形成されている。これにより、分離装置(1B)では、固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
第18の態様に係る分離装置(1C)では、第13〜第17の何れかの態様において、モータ(4)は、回転体(3)を回転中心軸(30)のまわりで一方向に回転させる。複数の羽根(36)の各々は、第1面(360a)と第2面(360b)とを有するひねり羽根である。複数の羽根(36)の各々の第1面(360a)は、回転体(3)の回転方向に沿った方向において後方に位置する。複数の羽根(36)の各々の第2面(360b)は、回転体(3)の回転方向に沿った方向において前方に位置する。外筒体(2)の中心軸(20)に沿った方向において、複数の羽根(36)の各々の第2面(360b)が流入口(23)側に位置し第1面(360a)が流出口(24)側に位置している。これにより、分離装置(1C)では、圧力損失の増加を抑制しつつ分離性能の向上を図ることが可能となる。
第19の態様に係る分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)は、第13〜第18の何れかの態様において、捕集器(6)を更に備える。捕集器(6)は、外筒体(2)の外側において排出孔(25)を覆うように配置され、外筒体(2)の内側から排出孔(25)を通って排出された固体が入る。これにより、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)では、気体から分離された固体を捕集器(6)で収集することが可能となり、分離装置(1、1A、1B、1C、1D、1E、1F)によって分離された固体が、外部に飛散されるのを抑制することが可能となる。