JP2017170366A - 溶媒分離方法 - Google Patents

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純一 金丸
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Abstract

【課題】低温度で浸透圧の高い熱相分離物質を再生させることができ、かつ効率的な溶媒分離方法を提供すること。
【解決手段】溶媒と、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンとを含有する混合物を、上記曇点以上の温度に加熱した状態で、上記溶媒と上記ポリエーテル変性シリコーンとを分離することを含む、溶媒分離方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶媒分離方法に関する。本発明は、例えば溶液からの水の分離に有用であり、特に無機塩又は有機塩を含む溶液からの水の分離に適している。
溶質を含む溶液から溶媒を分離回収するプロセスは、工業的に広く実施されている。分離された、溶質を含まない高品位な溶媒は、例えば化学工業プロセス用途などに用いられる。溶媒の中でも、水は工業用途のみならず、農業用途や飲料用途としても重要である。そのため、無機化合物、有機化合物、細菌等の不純物を含む水溶液から、水を分離及び精製するプロセスが必要とされている。水の分離精製方法としては、蒸留法、逆浸透法などが挙げられる。しかしながら、蒸留法は膨大な熱エネルギーを必要とし、逆浸透法は濃縮できる溶質濃度に限界があり、水の回収効率が十分ではない。そのため、水の分離回収を効率的に行うことのできるプロセスが望まれている。
上記の事情に鑑み、正浸透を利用した水の分離回収プロセスが検討されてきた。例えば、浸透圧により、供給流を構成する溶液から膜を介して水を引き抜くための浸透物質として熱相分離物質を用い、引き抜かれた水と熱相分離物質との混合物を加熱することによって水を分離する正浸透プロセス(例えば、特許文献1)、及び浸透物質として無機化合物を含む小分子を用い、供給流を構成する溶液から膜を介して水を引き抜き、引き抜かれた水を分離するために熱相分離物質を用いる正浸透プロセス(例えば、特許文献2)が提案されている。
米国特許出願公開第2012/0267308号明細書 米国特許第8852436号明細書
特許文献1及び2のように、正浸透プロセスにおいて熱相分離物質を用いて溶媒を分離回収することは既に知られている。正浸透プロセスにおいては、浸透物質の浸透圧の高さが重要であり、浸透圧の高い浸透物質を用いることができれば、一般に、水の透過速度の向上や溶液の濃縮倍率の向上が期待できる。しかしながら、従来の熱相分離物質の浸透圧の高さは十分ではなく、高い浸透圧を得るためには、高温による再生プロセスが必要であった。
本発明は、熱相分離物質を用いた溶媒分離方法であって、低温度で浸透圧の高い熱相分離物質を再生させることができ、かつ効率的な溶媒分離方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述の問題を解決するため鋭意検討した結果、ポリエーテル変性シリコーンを熱相分離物質として用いることによって、熱相分離物質を低温度で高い浸透圧を示す状態に再生することができ、より効率的に溶媒を分離できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
溶媒と、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンとを含有する混合物を、上記曇点以上の温度に加熱した状態で、上記溶媒と上記ポリエーテル変性シリコーンとを分離することを含む、溶媒分離方法。
〔2〕
上記ポリエーテル変性シリコーンが下記式(1)で表される、請求項1に記載の溶媒分離方法。
Figure 2017170366
(式(1)中a及びbは、bの重量分率が上記ポリエーテル変性シリコーンの90質量%以下となる1以上の整数であり、式中n、m、l、zはそれぞれ独立して1〜4の整数であり、かつ式中x及びyは、xとyの合計が20以下となる1以上の整数である。)
〔3〕
上記溶媒が水である、請求項1又は2に記載の溶媒分離方法。
〔4〕
加熱する温度範囲が50℃以上175℃以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶媒分離方法。
〔5〕
式(1)中、R基の少なくとも一部がエチレングリコール部であり、上記エチレングリコール部が上記ポリエーテル変性シリコーンの50質量%以上90質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶媒分離方法。
〔6〕
上記ポリエーテル変性シリコーンの粘度が20mPa・s以上200mPa・s以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶媒分離方法。
〔7〕
溶媒を含有する供給流と、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンを含有する浸透物質流とを、半透膜を介して接触させ、上記溶媒の少なくとも一部を上記浸透物質流に移動させる工程;及び
上記溶媒が移動した上記浸透物質流を、上記曇点以上の温度に加熱した状態で、上記溶媒と上記ポリエーテル変性シリコーンとを分離する工程;を有する、溶媒分離方法。
〔8〕
上記ポリエーテル変性シリコーンが下記式(1)で表される、請求項7に記載の溶媒分離方法。
Figure 2017170366
(式(1)中a及びbは、bの重量分率が上記ポリエーテル変性シリコーンの90質量%以下となる1以上の整数であり、式中n、m、l、zはそれぞれ独立して1〜4の整数であり、かつ式中x及びyは、xとyの合計が20以下となる1以上の整数である。)
〔9〕
溶媒を含有する供給流と、無機塩又は有機塩を含む第一浸透物質流とを、半透膜を介して接触させ、上記溶媒を上記第一浸透物質流に移動させる工程;
上記溶媒が移動した上記第一浸透物質流と、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンを含有する第二浸透物質流とを、相分離状態で接触させて、上記溶媒を第二浸透物質流に移動させる工程;及び
上記溶媒が移動した第二浸透物質流を上記曇点以上の温度に加熱した状態で、上記溶媒と上記ポリエーテル変性シリコーンとを分離する工程;を有する、溶媒分離方法。
〔10〕
上記ポリエーテル変性シリコーンが下記式(1)で表される、請求項9に記載の溶媒分離方法。
Figure 2017170366
(式(1)中a及びbは、bの重量分率が上記ポリエーテル変性シリコーンの90質量%以下となる1以上の整数であり、式中n、m、l、zはそれぞれ独立して1〜4の整数であり、かつ式中x及びyは、xとyの合計が20以下となる1以上の整数である。)
〔11〕
ポリエーテル変性シリコーンを200ppm以上40,000ppm以下、及び無機塩又は有機塩を0.1質量%以上6.0質量%以下含有する、精製溶媒。
〔12〕
上記ポリエーテル変性シリコーンが下記式(1)で表される、請求項11に記載の精製溶媒。
Figure 2017170366
(式(1)中a及びbは、bの重量分率が上記ポリエーテル変性シリコーンの90質量%以下となる1以上の整数であり、式中n、m、l、zはそれぞれ独立して1〜4の整数であり、かつ式中x及びyは、xとyの合計が20以下となる1以上の整数である。)
〔13〕
請求項9又は10に記載の溶媒分離方法を使用する工程を有する、請求項11又は12に記載の精製溶媒の製造方法。
本発明によれば、低温で高浸透圧の熱相分離物質を再生することができ、溶液からの溶媒の分離を効率的に行うことができる。
本発明の方法の第一の実施形態を説明するための概要図である。 本発明の方法の第二の実施形態を説明するための概要図である。
《用語の定義》
本発明において、「熱相分離物質」とは、溶媒に溶解した状態の熱相分離物質を含む溶液を加熱することにより、当該溶媒と相分離する性質(熱相分離性)を有する物質を指す。
本発明において、「曇点」とは、熱相分離物質を1質量%の水溶液としたときの曇点であり、ASTM D2024−65(2003)に準拠して決定することができる。
本発明において、「熱相分離温度」とは、分離すべき溶媒及び熱相分離物質を含む流れと同一の組成を有する溶液を加熱したときに相分離が起きる温度であり、実施形態によって様々である。
本発明において、「浸透圧」とは、以下(1)〜(4)のいずれかの意味として理解されるべきである。
(1)一実施形態において、「浸透圧」は、半透膜を介して存在する2つの溶液間で、一方の溶液から他方の溶液へ溶媒を移動させる駆動力という意味で用いる。例えば、図1において、供給流2から浸透物質流3へと、半透膜を介して溶媒を移動させる駆動力、及び図2において、供給流102から第一浸透物質流103へと、半透膜を介して溶媒を移動させる駆動力を指す。
(2)一実施形態において、「浸透圧」は、半透膜を介して存在する2つの溶液間で、溶媒の移動が平衡に達したときの、一方の溶液中の溶質濃度という意味で用いる。例えば、図1において、濃縮供給流13と平衡に達している浸透物質流3の溶質濃度を意味する。
(3)一実施形態において、「浸透圧」は、半透膜を介さず、2つの相溶しない溶液を接触させたとき、一方の溶液から他方の溶液へ溶媒を移動させる駆動力という意味で用いる。例えば、図2において、溶媒101と第一浸透物質流103からなる流れ105から、第二浸透物質流106へと溶媒を移動させる駆動力を意味する。
(4)一実施形態において、「浸透圧」は、半透膜を介さず、2つの相溶しない溶液を接触させたときに、2つの溶液間での溶媒の移動が平衡に達したときの、一方の溶液中の溶質濃度という意味で用いる。例えば、図2において、分離装置107から出てくる流れ108と平衡に達している第一浸透物質流103の溶質濃度を意味する。
上記(1)、(2)、(3)、及び(4)のいずれの意味においても、浸透圧が高い値を示す方が、溶媒分離方法の効率の観点から有利である。
本発明において、「粘度」とは、溶媒を含まないポリエーテル変性シリコーンを、粘度計TVL−33L(東機産業株式会社)において、1°34’xR24コーンを用いて、30℃で2.5rpmの回転数で測定した粘度(mPa・s)を意味する。
《溶媒分離方法》
以下、本発明の溶媒分離方法の実施形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の溶媒分離方法は、溶媒と、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンとを含有する混合物を、上記曇点以上の温度に加熱した状態で、上記溶媒と上記ポリエーテル変性シリコーンとを分離することを含む、溶媒分離方法である。
例えば、加熱する温度範囲は、用いられるポリエーテル変性シリコーンの曇点を基準として、曇点以上(曇点+100℃)以下とすることが好ましく、(曇点+20℃)以上(曇点+60℃)以下とすることがより好ましい。上記範囲内であれば、溶媒の分離効率及び少エネルギーのバランス等の観点から好ましい。
一実施形態において、溶媒分離方法は、溶媒を含有する供給流と、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンを含有する浸透物質流とを、半透膜を介して接触させ、上記溶媒の少なくとも一部を上記浸透物質流に移動させる工程;及び
上記溶媒が移動した上記浸透物質流を、上記曇点以上の温度に加熱した状態で、上記溶媒と上記ポリエーテル変性シリコーンとを分離する工程;を有する、溶媒分離方法であってもよい。
他の実施形態において、溶媒分離方法は、溶媒を含有する供給流と、無機塩又は有機塩を含む第一浸透物質流とを、半透膜を介して接触させ、上記溶媒を上記第一浸透物質流に移動させる工程;
上記溶媒が移動した上記第一浸透物質流と、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンを含有する第二浸透物質流とを、相分離状態で接触させて、上記溶媒を第二浸透物質流に移動させる工程;及び
上記溶媒が移動した第二浸透物質流を上記曇点以上の温度に加熱した状態で、上記溶媒と上記ポリエーテル変性シリコーンとを分離する工程;を有する、溶媒分離方法であってもよい。
供給流と、浸透物質流又は第一浸透物質流とを接触させる態様は限定されず、例えば、両物質流を、半透膜を介して向流させてもよく、並流させてもよい。
第一浸透物質流と、第二浸透物質流とを相分離状態で接触させる態様は限定されず、任意に混合、及び更に撹拌して、両物質流の接触を促進してもよい。
分離すべき溶媒は、有機溶媒又は無機溶媒であってよく、例えば水であってよい。
浸透物質流及び第一浸透物質流は、溶媒を含んでいてもよい。浸透物質流及び第一浸透物質流に含まれる溶媒は、有機溶媒又は無機溶媒であってよく、分離すべき溶媒と相溶であることが好ましく、分離すべき溶媒と同一の物質であることがより好ましい。
《ポリエーテル変性シリコーン》
本実施形態において、ポリエーテル変性シリコーンは、シロキサン結合による主骨格(以下、「シリコーン部」ともいう)を有し、ポリエーテル部を有する基(以下、「ポリエーテル含有基」ともいう。)で変性された、シリコーンである。ポリエーテル変性シリコーンのシリコーン部は、入手容易性の観点からポリジメチルシロキサンであることが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンの曇点は、30〜150℃であることが好ましく、30〜100℃であることがより好ましく、40〜80℃であることがさらに好ましい。ポリエーテル変性シリコーンの熱相分離温度は、外気温より十分に高いことが好ましいため、50℃以上であることが好ましい。一方、熱相分離温度が高すぎると、耐圧設備のための費用が高くなり、かつ熱源も高温のものに限定されてくることから、175℃以下であることが好ましい。よって、ポリエーテル変性シリコーンの熱相分離温度は50〜175℃であることが好ましく、熱交換器の伝熱面積の観点から50℃〜110℃であることがより好ましく、高い浸透圧をもつポリエーテル変性シリコーン溶液を得るため、70℃〜110℃であることが更に好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンは、シロキサン部以外に、親水性部を有するポリマーであることが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンは、シロキサン部以外に、疎水性部を有してもよい。親水性部としては、例えばエチレングリコール部が挙げられ、疎水性部としては、例えばプロピレングリコール部、及びブチレングリコール部が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンのポリエーテル含有基の末端は、熱相分離温度を低くする観点から、疎水基で修飾されていることが好ましい。ポリエーテル含有基は、その末端がアルキル基で修飾された、アルキルポリエーテル基であることがより好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が好ましく、溶解度の観点より、メチル基であることが更に好ましい。
ポリエーテル含有基がアルキルポリエーテル基である場合、ポリエーテルユニット数は、親水性を担保する観点から、アルキルポリエーテル基あたり5以上であることが好ましく、10以上であることが更に好ましい。一方で、ポリエーテル変性シリコーンの粘度を低く保つ観点から、ポリエーテルユニット数は、アルキルポリエーテル基あたり21以下であることが好ましく、15以下であることが更に好ましい。
ポリエーテル含有基は、親水性の観点から、アルキルポリエーテル基の一部がエチレングリコール部であることが好ましく、すなわち、(−O−CH−CH)構造を少なくとも1つ有することが好ましく、(−O−CH−CH)構造を少なくとも2つ連続して有することがより好ましい。
ポリエーテル含有基が、その一部にエチレングリコール部を有する場合、エチレングリコール部の含有量は、ポリエーテル変性シリコーンの質量を基準として、50質量%以上90質量%以下であることが好ましく、熱分離性の観点から50質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましく、浸透圧の観点から70質量%位以上80質量%以下であることが更に好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンのポリエーテル含有基におけるポリエーテル部の割合は、ポリエーテル変性シリコーンの質量のうち50質量%〜90質量%であることが好ましく、高い親水性を発揮する観点から70質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンの粘度は、分離効率及び取扱性等の観点から、20mPa・s以上200mPa・s以下であることが好ましく、30mPa・s以上160mPa・s以下であることがより好ましく、35mPa・s以上140mPa・s以下であることが更に好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンの構造は、例えば、ポリエーテル含有基がシリコーン部の両末端に結合した、直鎖型;ポリエーテル含有基がシリコーン部の両末端以外に結合した、側鎖型が挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンは、側鎖型であることが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンは、限定されないが、下記式(1)で表されるポリエーテル変性シリコーンであることが好ましい。
Figure 2017170366
式(1)中、R’基を含むR基がポリエーテル含有基であり、R基のうち、R’基を除いた部分がポリエーテル部であるとみなすことができる。式(1)において、R’基が水素(H)である場合、R基はポリエーテル基であり、R’基がアルキル基(−C2z+1)である場合、R基はアルキルポリエーテルである。式(1)において、主骨格はポリジメチルシロキサンである。
式(1)中a及びbは、bの重量分率が上記ポリエーテル変性シリコーンの90質量%以下、好ましくは80質量%以下となる1以上の整数であってよい。a及びbは、bの重量分率が上記ポリエーテル変性シリコーンの50質量%以上、好ましくは70質量%以上となる1以上の整数であってよい。a及びbが上記範囲であると、ポリエーテル変性シリコーンの浸透圧及び分離効率の観点から好ましい。
式(1)において、便宜上a部及びb部を並べて記載しているが、a部及びb部の分布は限定されず、任意の分布をとることができ、ランダムであってもよく、ブロックであってもよい。
式(1)中n、m、l、zは、それぞれ独立して1〜4の整数、nは好ましくは3であってよく、mは好ましくは2であってよく、lは好ましくは3〜4の整数であってよく、zは好ましくは1であってよい。n、m、l、zが上記範囲内であると、親水性と分離性の観点から好ましい。
式(1)中x及びyは、xとyの合計が20以下、好ましくは15以下、より好ましくは11以下となる1以上の整数であってよい。x及びyは、xとyの合計が5以上、好ましくは7以上、より好ましくは9以上となる1以上の整数であってよい。x及びyが上記範囲内であると、ポリエーテル変性シリコーンの粘度と親水性の観点から好ましい。
式(1)において、便宜上x部及びy部を並べて記載しているが、x部及びy部の分布は限定されず、任意の分布をとることができ、ランダムであってもよく、ブロックであってもよい。
式(1)のポリエーテル変性シリコーンを用いる場合、加熱する温度範囲は、例えば、50℃以上175℃以下であることが好ましく、50℃以上110℃以下であることがより好ましく、70℃以上110℃以下であることが更に好ましい。
以下、図1及び2を用いて、本実施形態の溶媒分離方法の実施形態を更に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
《第一の溶媒分離方法》
図1は、本発明の方法の第一の実施形態を説明するための概要図である。図1に記載の溶媒分離方法は、溶媒1を含有する供給流2と、熱相分離物質として曇点を有するポリエーテル変性シリコーンを含む浸透物質流3とを、半透膜4を介して流し、溶媒1の一部を浸透物質流3に移動させて、溶媒1及び浸透物質流3を含有する流れ5を得る。得られた流れ5を熱交換器6でポリエーテル変性シリコーンの曇点以上に加熱し、分離装置7において溶媒リッチ流8と熱相分離物質リッチ流9とに分離し、溶媒リッチ流8をろ過膜15によって精製して精製溶媒10と膜回収流11を得て、膜回収流11と熱相分離物質リッチ流9を混合して熱相分離物質流3を得る。
溶媒1は、無機溶媒又は有機溶媒であってよく、好ましくは水である。溶媒1と共に供給流2に含まれる溶質は、無機化合物、又は有機化合物であってよく、固体であっても、液体であってもよい。
供給流2としては、生活用、工業用、農業用、及び鉱業用等種々な用途の排水、海水、並びにオイル及び/又はガス等の生産に伴い副次的に生産される随伴水などを挙げることができる。例えば、シェールオイル及び/又はシェールガスの生産に伴う随伴水は、塩化ナトリウムを中心とする無機化合物を3〜20質量%の範囲で含有する。
浸透物質流3は、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンを含有する。ポリエーテル変性シリコーンについては上述したので、ここでは記載を省略する。
ポリエーテル変性シリコーンは、それ自体で浸透物質流3として使用することができるが、ポリエーテル変性シリコーンを適当な溶媒に溶解して浸透物質流3として使用することが好ましい。この場合、浸透物質流3に使用される溶媒は、溶媒1と相溶であることが好ましく、同一物質であることがさらに好ましい。浸透物質流3に使用される溶媒は、好ましくは水である。
浸透物質流3における浸透圧は、供給流2より高くなるように設定することができる。浸透物質流3の浸透圧は、高ければ高いほど、溶媒の分離効率が高くなる。しかしながら、浸透圧を過度に高くしようとすると、浸透物質流3の粘度が過度に高くなる、熱相分離しなくなる等の不都合が生じるおそれがある。
供給流の濃縮及び溶媒の精製に必要な浸透圧としては、本発明の方法を適用する具体的な場面によって少し異なる。例えば、供給流としての海水から水(精製水)を製造する場面では、供給流からの水の回収率を70%とすると、100atm以上の浸透圧が望ましい。油田又はガス田の随伴水のような、高い塩濃度(例えば8質量%)の供給流を処理する場面では、供給流からの水の回収率を50%とすると、145atm以上の浸透圧が望ましい。
これらを総合的に考慮すると、浸透物質流3の浸透圧は、100atm以上200atm以下に調整されることが好ましく、130atm以上180atm以下に調整されることがより好ましい。この範囲の浸透圧を与えるポリエーテル変性シリコーンの濃度は、概ね60質量%以上95質量%以下であり、好ましくは70質量%以上85質量%以下である。
浸透ユニット12の温度は、10℃以上50℃以下に調整されることが好ましく、15℃以上35℃以下に調整されることがより好ましい。熱交換器6によって流れ9が加熱される温度は、用いられる熱相分離物質の曇点を基準として、曇点以上(曇点+100℃)以下とすることが好ましく、(曇点+20℃)以上(曇点+60℃)以下とすることがより好ましい。
浸透ユニット12において、供給流2を浸透物質流3と接触させる方法としては、例えば、半透膜4を介して向流させる方法、及び並流させる方法が挙げられる。ここで、半透膜4は、溶媒1を透過させるが溶質を透過させないようなサイズの孔を有する半透膜であってよい。
浸透ユニット12において、供給流2に含まれる溶媒1を浸透物質流3に移動させる方法としては、例えば、正浸透法、精密ろ過法、限外ろ過法、ナノろ過法、浸透気化法、浸透蒸留法、膜蒸留法などを用いることができる。これらのうち、半透膜4を正浸透膜として用いた正浸透法は、より少ないエネルギーで溶媒を分離することができる点で好ましい。
半透膜4の材質は特に限定されないが、例えば、酢酸セルロース系、ポリアミド系、ポリベンゾイミダゾール系、ポリビニルアルコール系などが挙げられる。半透膜の形態は、平膜、中空糸膜などのいずれであってもよい。しかし、平膜を用いると溶液の片流れが生じるため、膜の有効利用の観点から、中空糸膜の方が好ましい。膜モジュールの形態も、プレートアンドフレーム型、中空糸型、スパイラル型などのいずれであってもよい。
半透膜4は、単層構成を有していてもよいし、支持層上に活性層が形成された多層構造を有していてもよい。多層構造である場合、支持層の材質と活性層の材質とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。支持層の材質と活性層の材質とが同じである多層構造とは、例えば、同一素材から成るが緻密性において異なる2層を有する場合等が挙げられる。
半透膜4が多層構造を有する場合、浸透物質流3を流す面は、該半透膜4の活性層側の面でもよく、活性層の反対側であってもよい。しかしながら、内部濃度分極による溶媒の透過速度の低下を避けるため、浸透物質流3は活性層側の面に流すことが好ましい。
分離装置7としては、例えば、分離槽、コアレッサ、遠心分離機、ナノフィルター等を用いることができる。ろ過ユニット14中のろ過膜15としては、例えばナノフィルターを好適に使用することができる。ナノフィルターの孔径は例えば5〜50nmとすることが、良好な分離性能を得られる観点から好ましい。
《第二の溶媒分離方法》
図2は、本発明の方法の第二の実施形態を説明するための概要図である。図2に記載の溶媒分離方法は、溶媒101を含有する供給流102と、無機塩又は有機塩を含む第一浸透物質流103とを、半透膜104を介して流し、溶媒101の一部を第一浸透物質流103に移動させて、溶媒101及び第一浸透物質流103を含有する流れ105を得る。得られた流れ105と、熱相分離物質として曇点を有するポリエーテル変性シリコーンを含む第二浸透物質流106とを、相分離状態で接触させて、流れ105と第二浸透物質流106との混合流119を得る。得られた混合流119を、分離装置107において第一浸透物質流103と、溶媒101及び第二浸透物質流106を含有する流れ108とに分離し、流れ108を熱交換器109で加熱して、分離装置110において溶媒リッチ流111と熱相分離物質リッチ流112に分離する。得られた溶媒リッチ流111をろ過膜113によって精製して、精製溶媒114と膜回収流115を得て、膜回収流115と熱相分離物質リッチ流112を混合して第一浸透物質流103を得る。
溶媒101としては、溶媒1として上述したものと同様である。
供給流102としては、供給流2として上述したものと同様である。
浸透ユニット116において、供給流102を第一浸透物質流103と接触させる方法、及び半透膜104を介して溶媒101を第一浸透物質流103に移動させる方法については、第一実施形態において説明したものと同様である。
第一浸透物質流103における浸透圧は、供給流102より高くなるように設定することができる。第一浸透物質流103の浸透圧は、100atm以上200atm以下に調整されることが好ましく、130atm以上180atm以下に調整されることがより好ましい。この範囲の浸透圧を与える塩の濃度は、概ね12質量%以上45質量%以下であり、好ましくは16質量%以上42質量%以下である。
正浸透ユニット116の温度は、10℃以上50℃以下に調整されることが好ましく、15℃以上35℃以下に調整されることがより好ましい。
半透膜104としては、第一の溶媒分離方法における半透膜104として上述したものと同じ材質の膜を使用することができる。第二の溶媒分離方法における半透膜104が支持層上に活性層が形成された多層構造を有している場合には、第一浸透物質流103を流す面は、該半透膜104の活性層側の面でもよく、活性層の反対側であってもよい。しかしながら、供給流102に由来するファウリング(膜の詰まり)を避けるため、第一浸透物質流103は、活性層の反対側の面に流すことが好ましい。
熱交換器109、及び分離装置107については、第一の溶媒分離方法において上記に説明したものと同様である。
第一浸透物質流103に使用される無機塩又は有機塩としては限定されず、種々の化合物から選択することができ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。無機塩又は有機塩としては、例えばイオン性の塩、イオン性ポリマー、イオン液体、非イオン性ポリマー、及び有機化合物等が挙げられる。
イオン性の塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムシリケート、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、二ナトリウムリン酸一水素、一ナトリウムリン酸二水素、リン酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸マンガン、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのうち、硫酸アンモニウム又はチオ硫酸ナトリウムを使用することが、高い浸透圧の浸透物質流を容易に得られる点において有利である。
イオン性ポリマーの好適な例としては、例えば、ポリアクリル酸、低分子ポリエチレンスルフォン酸ナトリウム塩、ポリメチルアクリルナトリウム塩、各種コポリマーなどを挙げることができる。イオン液体としては、例えば、ヘキサンフルオロリン酸1−ブチルー3−メチルイミダゾリウム等が挙げられる。非イオン性ポリマーの好適な例としては、例えば、デキストランなどの多糖類などを挙げることができる。有機化合物の好適な例としては、例えばグリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン、エタノール、プロパノール、アセトン、ジエチルエーテル、糖類などを挙げることができる。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖が挙げられる。単糖類では例えばグルコース、二糖類では例えばスクロースが挙げられる。
無機塩又は有機塩は、それ自体を第一浸透物質流103として用いることができ、又は無機塩若しくは有機塩を適当な溶媒に溶解した溶液を、第一浸透物質流103として使用してもよい。
第一浸透物質流103に使用される溶媒は、溶媒101と相溶であることが好ましく、同一物質であることがさらに好ましい。第一浸透物質流103に使用される溶媒は、好ましくは水である。
第二浸透物質流106は、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンを含有する。ポリエーテル変性シリコーンについては上述したので、ここでは記載を省略する。
ポリエーテル変性シリコーンは、それ自体を第二浸透物質流106として用いることができ、又はポリエーテル変性シリコーンを適当な溶媒に溶解した溶液を、第二浸透物質流106として使用することもできる。第二浸透物質流106に使用される溶媒は、溶媒101と相溶であることが好ましく、同一物質であることがさらに好ましい。第二浸透物質流106に使用される溶媒は、好ましくは水である。
第二浸透物質流106における浸透圧は、供給流2及び流れ105より高くなるように設定することができる。第二浸透物質流106における浸透圧は、100atm以上200atm以下に調整されることが好ましく、130atm以上180atm以下に調整されることがより好ましい。この範囲の浸透圧を与えるポリエーテル変性シリコーンの濃度は、概ね60質量%以上95質量%以下であり、好ましくは70質量%以上85質量%以下である。
第一浸透物質流及び第二浸透物質流の両方を用いる溶媒分離方法においては、第一浸透物質流103と、第二浸透物質流106とを直接接触させることにより、溶媒101を第二浸透物質流106へ移動させることができる。このとき、溶媒101及び第一浸透物質流103を含有する流れ105と、第二浸透物質流106とが合一して、流れ119となる。流れ105と第二浸透物質流106とを合一させる際には、混合を行ってもよい。混合は、例えばライン混合であってもよく、混合器を用いた混合であってもよい。得られた流れ119を分離装置107に導入し、第一浸透物質流103と、溶媒101及び第二浸透物質流106を含有する流れ108とを得る。
溶媒101及び第二浸透物質流106を含有する流れ108は、熱交換器109で加熱され、分離装置110で、溶媒リッチ流111と、熱相分離物質リッチ流112とに分離される。得られた溶媒リッチ流111は、ろ過ユニット118の中のろ過膜113によって、精製溶媒114と、膜回収流115に分離される。このとき、膜回収流115は、熱相分離物質リッチ流112と合一し、第二浸透物質流106が得られる。
《精製溶媒》
本発明の溶媒分離方法によって得られる精製溶媒(例えば精製水)は、例えば、飲料水、工業用水、農業用水、各種化学合成における溶媒、シェールガス・オイル採掘時の注入水等として好適に使用することができる。
本発明の溶媒分離方法によって得られた精製溶媒は、例えば、上述のポリエーテル変性シリコーンを200ppm以上40,000ppm以下、及び無機塩又は有機塩を0.1質量%以上6.0質量%以下含有する、精製溶媒である。無機塩又は有機塩としては、硫酸アンモニウムが好ましい。
本発明の方法によると、精製溶媒中のポリエーテル変性シリコーンの濃度は、その上限値を40,000ppm以下とすることができ、好ましくは10,000ppm以下とすることができ、より好ましくは5,000ppm以下とすることができ、更に好ましくは4,000ppm以下とすることができ、特に2,500ppm以下とすることができる。
精製溶媒がポリエーテル変性シリコーンを含有することにより、後述するように、配管の錆抑制、凍結防止等の効果が発現する。特にポリエーテル変性シリコーン濃度が40,000ppm以下である場合には、精製溶媒の粘度が過度に高くならないから、さらに後続の精製工程(例えば、ナノフィルターによるろ過工程)が容易に行えることとなり、好ましい。
一方で、精製溶媒中のポリエーテル変性シリコーンの濃度の下限値は、200ppm以上であることが好ましく、500ppm以上がより好ましく、1,000ppm以上が特に好ましい。200ppm以上のポリエーテル変性シリコーンが精製溶媒中に存在することにより、配管の錆抑制、凍結防止等の効果が有効に発現することとなり、好ましい。
更に、本発明の方法によると、精製溶媒中の無機塩又は有機塩の濃度を、6.0質量%以下とすることができ、好ましくは3.0質量%以下とすることができ、特に1.5質量%以下とすることができる。一方、精製溶媒中の無機塩又は有機塩の濃度の下限値は、0.1質量%以上であり、好ましくは0.6質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上である。
このような精製溶媒は、適当量の塩及びポリエーテル変性シリコーンを含有していることから、凝固点が純溶媒の場合よりも低くなっており、凍結防止の効果を奏する。
一方、塩を含有する溶媒は、配管に錆を発生させる場合のあることが、本発明者らの検討によって明らかとなった。しかし、本発明の溶媒分離方法によって得られる精製溶媒は、配管の錆を防ぐことができることが見出された。該精製溶媒が、無機塩又は有機塩とともに適当量のポリエーテル変性シリコーンを含有することの効果であると考えられる。
従って、特に溶媒が水であるときには、シェールガス・オイル採掘時の注入水として好適に使用可能である。特に、凝固点が低くなっていることから、採掘場所が寒冷地であるときの凍結防止のメリットは大きく、配管の錆抑制も同時に達成することが可能である。
以下、本発明の実施例を具体的に記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
《側鎖型と直鎖型のポリエーテル変性シリコーンの比較》
溶媒1及び101として水を使用し、浸透物質流3及び第二浸透物質流106中の熱相分離物質として、側鎖型又は直鎖型ポリエーテル変性シリコーンを使用することを想定し、それぞれのポリエーテル変性シリコーンを水で60質量%に希釈し、溶解性の確認を行った。目視によって濁りの確認できるものは溶解しないとした(記号「×」で示す)。また、60質量%のポリエーテル変性シリコーン溶液を熱交換器で150℃までの任意の温度に加熱し、その温度に保った分離装置で分離するか検討した。3分以内に目視によって2層に分離したものについては、熱相分離可能とした(記号「○」で示す)。その結果を表1に示す。
Figure 2017170366
側鎖型と直鎖型のポリエーテル変性シリコーンについて検討を行った結果、側鎖型のポリエーテル変性シリコーンが全て60質量%で溶解したのに対し、直鎖型のポリエーテル変性シリコーン6〜9は、4つのうち3つが溶解しなかった。150℃まで加熱したときの熱相分離テストにおいても、側鎖型のポリエーテル変性シリコーン1〜4は、全て熱相分離したのに対し、直鎖型のポリエーテル変性シリコーン6は熱相分離しなかった。この結果から、熱相分離物質としては、側鎖型のポリエーテル変性シリコーンが、直鎖型のポリエーテル変性シリコーンより優れていることがわかった。
以下の例において、各種の評価は、それぞれ、以下のとおりに行った。
(1)濃度の評価
ポリエーテル変性シリコーンの濃度は、測定試料を耐圧容器に入れ、5〜6atmに加圧し、150℃に加熱した。150℃に到達後5分間静置してから、ポリマーが濃縮された層を取出し、アタゴ社製「PAL−RI」を用いて、屈折率により測定した。
(2)浸透圧の評価
溶媒を含まないポリマーのそれぞれを、これと相溶しない無機塩水溶液(濃度10質量%の硫酸アンモニウム水溶液)と直接(半透膜を介さずに)接触させ、溶媒(水)の移動が平衡に達するまで静置した。平衡時のポリマー溶液の濃度及び無機塩溶液の濃度から相図を作成した。この相図を用い、平衡時の各ポリマー溶液の濃度をこれと同じ浸透圧を示す無機塩溶液の濃度に変換し、該無機塩溶液の濃度から浸透圧を導いた。硫酸アンモニウム濃度の測定には、アリザリンレッド及び塩化バリウムを用いる硫酸イオンの滴定法によった。
《溶媒分離方法の例1》
図1に示すような溶媒分離装置を使用した。溶媒1として水を使用し、浸透物質流3の熱相分離物質として、ポリエーテル変性シリコーン1〜5を使用した。浸透ユニット12として正浸透膜ユニットを使用し、分離装置7として重力沈降分離槽を使用し、ろ過ユニット14として逆浸透膜ユニットをそれぞれ使用した。供給流2は、3.5質量%の塩化ナトリウム水溶液であった。溶媒1及び浸透物質流3を含有する流れ5は、溶媒が水であるため、希釈された浸透物質流3と言い換えることができる。ポリエーテル変性シリコーン60質量%に希釈された浸透物質流3(流れ5)を、熱交換器6で加熱し、110℃に保った分離装置7で、溶媒リッチ流8と熱相分離物質リッチ流9とに分離した。分離された熱相分離物質リッチ流9に含有されるポリエーテル変性シリコーンの濃度(質量%)を測定した。得られた結果とそのときのポリエーテル変性シリコーンの浸透圧を表2に示す。
Figure 2017170366
ポリエーテル変性シリコーン4については、150℃における熱相分離物質リッチ流と溶媒リッチ流の比重が近く、サンプルの採取ができなかった。ポリエーテル変性シリコーン5については、熱相分離物質リッチ流の濃度が100質量%のときでも、浸透圧が13.1質量%(NaCl濃度換算)と低い値を示した。表2の結果から、ポリエーテル変性シリコーン中に含まれるエチレングリコールユニットは、ポリエーテル変性シリコーンの70〜80質量%が好ましいことが示された。
《溶媒分離方法の例2》
図1に示すような溶媒分離装置を使用した。溶媒1として水を使用し、浸透物質流3の熱相分離物質として、ポリエーテル変性シリコーン1〜3を使用した。浸透ユニット12として正浸透膜ユニットを使用し、分離装置7として重力沈降分離槽を使用し、ろ過ユニット14として逆浸透膜ユニットをそれぞれ使用した。供給流2は、3.5質量%の塩化ナトリウム水溶液であった。溶媒1及び浸透物質流3を含有する流れ5は、溶媒が水であるため、希釈された浸透物質流3と言い換えることができる。ポリエーテル変性シリコーン60質量%に希釈された浸透物質流3(流れ5)を、熱交換器6で加熱し、110℃に保った分離装置7で、溶媒リッチ流8と熱相分離物質リッチ流9とに分離した。分離された熱相分離物質リッチ流9に含有されるポリエーテル変性シリコーンの濃度(質量%)を測定した。得られた結果とそのときのポリエーテル変性シリコーンの浸透圧を表3に示す。
Figure 2017170366
表3の結果から、構造およびポリマー中のエチレングリコール部の重量比が同等で、粘度の異なるポリマーを用いて分離した熱相分離物質リッチ流を比較すると、粘度によって浸透圧が異なることが分かった。このとき、例えばNaCl換算濃度としての浸透圧が16質量%を超えるような、極めて高い浸透圧を示すポリマーの粘度領域は、35mPa・s以上140mPa・s以下であることが分かった。
《溶媒分離方法の例3》
図1に示すような溶媒分離装置を使用した。溶媒1として水を使用し、浸透物質流3中の熱相分離物質として、溶媒分離方法の例2に記載のポリエーテル変性シリコーン1〜3、又はポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールのランダムコポリマー(PEG−PPGポリマー1〜3)を使用した。PEG−PPGポリマー1〜3は、ポリマー中に含まれるエチレングリコール鎖が、それぞれ70質量%、80質量%、及び90質量%であった。浸透ユニット12として正浸透膜ユニットを使用し、分離装置7として重力沈降分離槽を使用し、ろ過ユニット14として逆浸透膜ユニットをそれぞれ使用した。供給流2は、3.5質量%の塩化ナトリウム水溶液であった。溶媒1及び浸透物質流3を含有する流れ5は、溶媒が水であるため、希釈された浸透物質流3と言い換えることができる。熱相分離物質60質量%に希釈された浸透物質流3(流れ5)を、熱交換器6で加熱し、110℃に保った分離装置7で、溶媒リッチ流8と熱相分離物質リッチ流9とに分離した。分離された熱相分離物質リッチ流9に含有される熱相分離物質の濃度(質量%)を測定した。得られた結果とそのときの熱相分離物質の浸透圧を表4に示す。
Figure 2017170366
エチレングリコール部の重量分率が70〜90質量%であり、親水性の高いPEG−PPGポリマーを用いた場合、110℃において熱相分離しなかった。一方、ポリエーテル変性シリコーン1〜3は、エチレングリコール部の重量分率が70〜80質量%であるにも関わらず、110℃で熱相分離した。このときの、ポリエーテル変性シリコーンの最大浸透圧はNaCl濃度換算で22.4質量%と非常に高いものであった。浸透圧が高いことは、供給流2又は流れ105から溶媒1又は101を浸透物質流に移動させる駆動力を高くすることができ、濃縮供給流13又は117の濃度を高くすることができることを意味する。表4の結果から、ポリエーテル変性シリコーンを用いた本発明による溶媒分離方法は、ポリエーテル変性シリコーンを用いない溶媒分離方法よりも効率的であることがわかった。
本発明は、無機溶液や有機溶液、細菌等の不純物を含む溶液から溶媒を分離回収することを目的とする分野において有用である。特に水の回収を行う分野において有効であり、例えば、海水の淡水化や生活排水の再生、工場排水の再生、オイル田・ガス田の随伴水からの水の回収などに利用できる。
1 溶媒
2 供給流
3 浸透物質流
4 半透膜
5 溶媒1及び浸透物質流3を含有する流れ
6 熱交換器
7 分離装置
8 溶媒リッチ流
9 熱相分離物質リッチ流
10 精製溶媒
11 膜回収流
12 浸透ユニット
13 濃縮供給流
14 ろ過ユニット
15 ろ過膜
101 溶媒
102 供給流
103 第一浸透物質流
104 半透膜
105 溶媒101及び第一浸透物質流103を含有する流れ
106 第二浸透物質流
107 分離装置
108 溶媒101及び第二浸透物質流106を含有する流れ
109 熱交換器
110 分離装置
111 溶媒リッチ流
112 熱相分離物質リッチ流
113 ろ過膜
114 精製溶媒
115 膜回収流
116 浸透ユニット
117 濃縮供給流
118 ろ過ユニット
119 流れ105と第二浸透物質流106との混合流

Claims (13)

  1. 溶媒と、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンとを含有する混合物を、前記曇点以上の温度に加熱した状態で、前記溶媒と前記ポリエーテル変性シリコーンとを分離することを含む、溶媒分離方法。
  2. 前記ポリエーテル変性シリコーンが下記式(1)で表される、請求項1に記載の溶媒分離方法。
    Figure 2017170366
    (式(1)中a及びbは、bの重量分率が前記ポリエーテル変性シリコーンの90質量%以下となる1以上の整数であり、式中n、m、l、zはそれぞれ独立して1〜4の整数であり、かつ式中x及びyは、xとyの合計が20以下となる1以上の整数である。)
  3. 前記溶媒が水である、請求項1又は2に記載の溶媒分離方法。
  4. 加熱する温度範囲が50℃以上175℃以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶媒分離方法。
  5. 式(1)中、R基の少なくとも一部がエチレングリコール部であり、前記エチレングリコール部が前記ポリエーテル変性シリコーンの50質量%以上90質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶媒分離方法。
  6. 前記ポリエーテル変性シリコーンの粘度が20mPa・s以上200mPa・s以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶媒分離方法。
  7. 溶媒を含有する供給流と、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンを含有する浸透物質流とを、半透膜を介して接触させ、前記溶媒の少なくとも一部を前記浸透物質流に移動させる工程;及び
    前記溶媒が移動した前記浸透物質流を、前記曇点以上の温度に加熱した状態で、前記溶媒と前記ポリエーテル変性シリコーンとを分離する工程;を有する、溶媒分離方法。
  8. 前記ポリエーテル変性シリコーンが下記式(1)で表される、請求項7に記載の溶媒分離方法。
    Figure 2017170366
    (式(1)中a及びbは、bの重量分率が前記ポリエーテル変性シリコーンの90質量%以下となる1以上の整数であり、式中n、m、l、zはそれぞれ独立して1〜4の整数であり、かつ式中x及びyは、xとyの合計が20以下となる1以上の整数である。)
  9. 溶媒を含有する供給流と、無機塩又は有機塩を含む第一浸透物質流とを、半透膜を介して接触させ、前記溶媒を前記第一浸透物質流に移動させる工程;
    前記溶媒が移動した前記第一浸透物質流と、曇点を有するポリエーテル変性シリコーンを含有する第二浸透物質流とを、相分離状態で接触させて、前記溶媒を第二浸透物質流に移動させる工程;及び
    前記溶媒が移動した第二浸透物質流を前記曇点以上の温度に加熱した状態で、前記溶媒と前記ポリエーテル変性シリコーンとを分離する工程;を有する、溶媒分離方法。
  10. 前記ポリエーテル変性シリコーンが下記式(1)で表される、請求項9に記載の溶媒分離方法。
    Figure 2017170366
    (式(1)中a及びbは、bの重量分率が前記ポリエーテル変性シリコーンの90質量%以下となる1以上の整数であり、式中n、m、l、zはそれぞれ独立して1〜4の整数であり、かつ式中x及びyは、xとyの合計が20以下となる1以上の整数である。)
  11. ポリエーテル変性シリコーンを200ppm以上40,000ppm以下、及び無機塩又は有機塩を0.1質量%以上6.0質量%以下含有する、精製溶媒。
  12. 前記ポリエーテル変性シリコーンが下記式(1)で表される、請求項11に記載の精製溶媒。
    Figure 2017170366
    (式(1)中a及びbは、bの重量分率が前記ポリエーテル変性シリコーンの90質量%以下となる1以上の整数であり、式中n、m、l、zはそれぞれ独立して1〜4の整数であり、かつ式中x及びyは、xとyの合計が20以下となる1以上の整数である。)
  13. 請求項9又は10に記載の溶媒分離方法を使用する工程を有する、請求項11又は12に記載の精製溶媒の製造方法。
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