JP2017148733A - 溶媒分離システム - Google Patents

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純一 金丸
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【課題】熱相分離物質を用いる溶媒の分離回収システムにおいて、溶媒リッチ層に含まれる熱相分離物質の量を低減させ、かつ熱相分離物質リッチ層の浸透圧を高くできる、効率的な溶媒の分離回収システムの提供。【解決手段】溶媒を含有する供給流を、半透膜を介して、浸透圧を有する熱相分離物質を含む第一浸透物質流と向流又は並流させて、前記溶媒を前記第一浸透物質流に移動せしめ前記溶媒リッチな第一浸透物質流としたものを、前記熱相分離物質の曇点以上の温度(初回温度)に加熱して、前記溶媒リッチ相(A1)と前記熱相分離物質リッチ相(B1)に分離して前記供給流から前記溶媒を取り出す方法であって、分離した前記溶媒リッチ相(A1)または前記熱相分離物質リッチ相(B1)の少なくともいずれかの相を、前記初回温度と同じ又は該温度より低い温度に加熱して、再度前記溶媒リッチ相(A2)相と前記熱相分離物質リッチ相(B2)とに分離して前記溶媒を取り出す方法。【選択図】図1

Description

本発明は、溶液から溶媒を分離するためのシステムに関するものである。本発明は、例えば溶液からの水の分離に有用であり、特に無機塩を含む溶液からの水の分離に適している。
溶質を含む溶液から溶媒を分離回収するプロセスは、工業的に広く実施されている。分離された、溶質を含まない高品位な溶媒は、例えば化学工業プロセス用途などに用いられる。溶媒の中でも、水は工業用途のみならず、農業用途や飲料物としても重要である。そのため、無機化合物や有機化合物、細菌等の不純物を含む水溶液から水を分離・精製するプロセスが必要とされている。水の分離精製方法としては、蒸留法や逆浸透法などがあるが、蒸留法は膨大な熱エネルギーを必要とし、逆浸透法は濃縮できる溶質濃度に限界があり、水の回収効率が十分ではない。そのため、水の分離回収を効率的に行うことのできるプロセスが望まれている。これに応えて、正浸透を利用した水の分離回収プロセスが検討されてきた。例えば、浸透圧により、溶液から膜を介して水を引く浸透物質として熱相分離物質を用い、熱により水を分離する正浸透プロセス(例えば、特許文献1)や、浸透物質として無機化合物を含む小分子を用い、その後の水の分離に熱相分離物質を用いる正浸透プロセス(例えば、特許文献2)がある。
米国特許出願公開第2012/0267308号明細書 米国特許第8852436号明細書
上述の通り、正浸透プロセスにおいて熱相分離物質を用いる溶媒の分離回収システムは既に知られている。一般に、熱相分離物質を用いる正浸透プロセスにおいては、熱相分離により溶媒リッチ相と熱相分離物質リッチ相に分離するが、このときに溶媒リッチ相に熱相分離物質が一部残る。溶媒リッチ相に残存した熱相分離物質は、例えば膜によって除去されるが、残存した熱相分離物質の濃度が高いと、熱相分離物質の除去に要するエネルギーも高くなり、かつ膜を透過して精製溶媒側へ混入し、失われる熱相分離物質の量も多くなる。よって、熱相分離物質を用いる正浸透プロセスにおいては、溶媒リッチ相に含まれる熱相分離物質の量を低減させることが必要となる。
また、正浸透プロセスにおいては、浸透物質の浸透圧の高さが重要であり、浸透圧の高い浸透物質を用いることができれば、水の透過速度の向上や溶液の濃縮倍率の向上が期待できる。そのため、熱相分離物質を用いる正浸透プロセスにおいては、熱相分離物質リッチ相の浸透圧を高くする必要がある。
本発明は、熱相分離物質を用いる溶媒の分離回収システムにおいて、溶媒リッチ相に含まれる熱相分離物質の量を低減させることと、熱相分離物質リッチ相の浸透圧を高くすることで、効率的な溶媒の分離回収システムを提供することを目的とする。
加えて、本発明者等の検討の中で、この溶媒リッチ相に溶け込んだ無機化合物は、特に溶媒が水の場合において配管の錆生成を促進する作用があることが判明し、錆生成をどのように抑制するかも化学工業プロセス上問題となることがわかってきた。
そこで、本発明は、熱相分離物質を用いる溶媒の分離回収システムにおいて、溶媒リッチ相に含まれる残存物質の量を低減させることを目的とし、加えて特に溶媒が水の場合の配管の錆を抑制する熱相分離物質含有水の提供を目的とする。
本発明者は、上述の問題を解決するため鋭意検討した結果、熱相分離物質を含む浸透物質を熱相分離した溶媒リッチ相を再び熱相分離させることで、さらに溶媒リッチな相を分離可能なことを見出した。加えて、熱相分離物質を含む浸透物質を熱相分離した熱相分離物質リッチ相を再び熱相分離させることで、さらに熱相分離物質リッチな相を分離可能なことを見出し、本発明に到達した。また、溶媒が水の場合、得られた生成水は配管の防錆効果を有することがわかり、加えて凍結に対しても効果がみられることがわかった。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 溶媒を含有する供給流を、半透膜を介して、浸透圧を有する熱相分離物質を含む第一浸透物質流と向流又は並流させて、前記溶媒を前記第一浸透物質流に移動せしめ前記溶媒リッチな第一浸透物質流としたものを、前記熱相分離物質の曇点以上の温度(初回温度)に加熱して、前記溶媒リッチ相(A1)と前記熱相分離物質リッチ相(B1)に分離して前記供給流から前記溶媒を取り出す方法であって、分離した前記溶媒リッチ相(A1)または前記熱相分離物質リッチ相(B1)の少なくともいずれかの相を、前記初回温度と同じ又は該温度より低い温度に加熱して、再度前記溶媒リッチ相(A2)相と前記熱相分離物質リッチ相(B2)とに分離して前記溶媒を取り出す方法。
[2] 溶媒を含有する供給流を、半透膜を介して、無機塩又は有機塩を含む第二浸透物質流と向流又は並流させて、前記溶媒を前記第二浸透物質流に移動せしめ前記溶媒リッチな前記第二浸透物質流としたものを、引き続き、熱相分離物資を含む第一浸透物質流と相溶しない状態で混合しつつ前記溶媒を前記第一浸透物質流に移動させて前記溶媒リッチな第一浸透物質流とし、該第一浸透物質流を前記熱相分離物質の曇点以上の温度(初回温度)に加熱して溶媒リッチ相(A1)と熱相分離物質リッチ相(B1)に分離して前記溶媒を取り出す方法であって、分離した前記溶媒リッチ相(A1)または前記熱相分離物質リッチ相(B1)の少なくともいずれかの相を、上記初回温度と同じ又は該温度より低い温度に加熱して、再度前記溶媒リッチ相(A2)と前記熱相分離物質リッチ相(B2)に分離して前記溶媒を取り出す方法。
[3] 前記溶媒が水である[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記第一浸透物質流が、ポリアルキレンポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、イオン液体ポリマー、ポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれるポリマーを一種以上含み、且つ、該ポリアルキレンポリマーがポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリエチレンオキシド・ポリブチレンオキシド共重合体、またはそれらの疎水基修飾物からなる群から選ばれる少なくとも一部にエチレンオキシドユニットを含むポリマーである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記第二浸透物質流が、金属塩及び/又はアンモニウム塩から選ばれる無機塩、又は有機塩を少なくとも含む、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記第二浸透流が水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムシリケート、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、二ナトリウムリン酸一水素、一ナトリウムリン酸二水素、リン酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸マンガン、クエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる無機塩又は有機塩を少なくとも含む、[5]に記載の方法。
[7] 前記第一浸透物質流の浸透圧が80atm以上、250atm以下である[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 少なくとも前記熱相分離物質を200ppm以上45,000ppm以下含有し、前記無機塩又は有機塩を1,000ppm以上60,000ppm以下含有する熱相分離物質含有水。
[9] 前記熱相分離物質が、ポリアルキレンポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、イオン液体ポリマー、ポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれるポリマーを少なくとも1種以上含み、且つ、該ポリアルキレンポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリエチレンオキシド・ポリブチレンオキシド共重合体、またはそれらの疎水基修飾物からなる群から選ばれる少なくとも一部にエチレンオキシドユニットを含むポリマーである[8]に記載の熱相分離物質含有水。
[10] 前記塩が、金属塩及び/又はアンモニウム塩から選ばれる無機塩、又は有機塩を少なくとも含む[8]又は[9]に記載の熱相分離物質含有水。
[11] 前記塩が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムシリケート、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、二ナトリウムリン酸一水素、一ナトリウムリン酸二水素、リン酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸マンガン、クエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる無機塩又は有機塩を少なくとも含む、[10]に記載の熱相分離物質含有水。
[12] [8]〜[11]のいずれかに記載の含有水の製造方法であって、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法を少なくとも利用する含有水の製造方法。
本発明によれば、溶媒リッチ相に含まれる熱相分離物質の量を低減させることができ、また、熱相分離物質リッチ相の熱相分離物質の量をさらに高めることができるため、溶液からの溶媒の分離回収を効率的に行うことができる。
本発明のシステムを説明するための概要図の一つである。 本発明のシステムを説明するための概要図の一つである。 本発明のシステムを説明するための概要図の一つである。 本発明のシステムを説明するための概要図の一つである。 本発明のシステムを説明するための概要図の一つである。 本発明のシステムを説明するための概要図の一つである。
以下に、本発明の溶媒分離回収システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
以下、図1を用いて、本発明の溶媒分離回収システムの構成の一例を述べる。本発明では、溶媒1を含有する供給流2を、熱相分離物質を含む第一浸透物質流3に対して半透膜4を介して向流又は並流に流し、溶媒1を第一浸透物質流3に移動させて流れ5を得て、流れ5を熱交換器6で熱相分離物質が熱相分離する温度に加熱し、分離装置7において第一溶媒リッチ流8と第一熱相分離物質リッチ流9に分離する。このとき、第一溶媒リッチ流8を熱交換器10で再び1段目の熱相分離過程と同じ温度又はそれより低い温度に加熱し、分離装置11で、第二溶媒リッチ流12と第二熱相分離物質リッチ流13に分離し、第二溶媒リッチ流12は、ろ過膜14によって精製して精製溶媒15と膜回収流16を得る。また、第一熱相分離物質リッチ流9を熱交換器17で再び1段目の熱相分離過程と同じ温度又はそれより低い温度に加熱し、分離装置18で、第三溶媒リッチ流19と第三熱相分離物質リッチ流20に分離し、該第三熱相分離物質リッチ流20を第一浸透物質流として再利用する。このとき、膜回収流16は例えば流れ5と混合するが、第一溶媒リッチ流8と混合してもよく、第三熱相分離物質リッチ流20と混合してもよい。またこのとき、第三溶媒リッチ流19は、例えば第二熱相分離物質リッチ流13と混合するが、膜回収流16と混合してもよく、第一溶媒リッチ流8又は第二溶媒リッチ流12と混合してもよい。さらに、第二熱相分離リッチ流13は、例えば膜回収流15と混合するが、第一熱相分離物質リッチ流9と混合してもよく、第三熱相分離物質リッチ流20と混合してもよい。
図1では、第一溶媒リッチ流8と第一熱相分離物質リッチ流9をそれぞれ再び加熱分離する例を示したが、図2に示す通り、第一熱相分離物質リッチ流109のみを、再度加熱分離してもよい。すなわち、溶媒101を含有する供給流102を、熱相分離物質を含む第一浸透物質流103に対して半透膜104を介して向流又は並流に流し、溶媒101を第一浸透物質流103に移動させて流れ105を得て、流れ105を熱交換器106で熱相分離物質が熱相分離する温度に加熱して分離装置107において第一溶媒リッチ流108と第一熱相分離物質リッチ流109に分離し、第一溶媒リッチ流108は、ろ過膜110によって精製して精製溶媒111と膜回収流112を得る。このとき、第一熱相分離物質リッチ流109を、熱交換器113で再度1段目の熱相分離過程と同じ温度又はそれより低い温度に加熱し、分離装置114で第二溶媒リッチ流115と第二熱相分離物質リッチ流116を得て、第二熱相分離物質リッチ流116を第一浸透物質流103として再利用する。このときに、膜回収流112は例えば流れ105と混合するが、第一熱相分離物質リッチ流109と混合してもよく、第二熱相分離物質リッチ流116と混合してもよい。またこのとき、第二溶媒リッチ流115は例えば第一溶媒リッチ流108と混合するが、膜回収流112と混合してもよい。
図1では、第一溶媒リッチ流8と第一熱相分離物質リッチ流9をそれぞれ再び加熱分離する例を示したが、図3に示す通り、第一溶媒リッチ流208のみを、再度加熱分離してもよい。すなわち、溶媒201を含有する供給流202を、熱相分離物質を含む第一浸透物質流203に対して半透膜204を介して向流又は並流に流し、溶媒201を第一浸透物質流203に移動させて流れ205を得て、流れ205を熱交換器206で熱相分離物質が熱相分離する温度に加熱して分離装置207において第一溶媒リッチ流208と第一熱相分離物質リッチ流209に分離し、第一熱相分離物質リッチ流209を第一浸透物質流203として再利用する。このとき、第一溶媒リッチ流208を、熱交換器210で再び1段目の熱相分離過程と同じ温度又はそれより低い温度に加熱し、分離装置211で第二溶媒リッチ流212と第二熱相分離物質リッチ流213を得て、第二溶媒リッチ流212は、ろ過膜214によって精製して精製溶媒215と膜回収流216を得る。このときに、第二熱相分離物質リッチ流213は例えば膜回収流216と混合するが、第一熱相分離物質リッチ流209と混合してもよい。またこのとき、膜回収流216は例えば流れ205と混合するが、第一熱相分離物質リッチ流209と混合してもよく、第一溶媒リッチ流208と混合してもよい。
以下図4を用いて、本発明の溶媒分離回収システムの構成の一例を述べる。本発明では、溶媒301を含有する供給流302を塩を含む第二浸透物質流303に対して、半透膜304を介して向流又は並流に流し、溶媒301を第二浸透物質流303に移動させて流れ305を得て、流れ305と熱相分離物質を含む第一浸透物質流306を接触させて、分離装置307において第二浸透物質流303と、第一浸透物質流306と溶媒301からなる308に分離し、熱交換器309で熱相分離する温度に加熱し、分離装置310で第一溶媒リッチ流311と第一熱相分離物質リッチ流312に分離する。このとき、第一溶媒リッチ流311を熱交換器313で再び1段目の熱相分離過程と同じ温度又はそれより低い温度に加熱し、分離装置314で第二溶媒リッチ流315と第二熱相分離物質リッチ流316に分離して、第二溶媒リッチ流315は、ろ過膜317によって精製して精製溶媒318と膜回収流319を得る。さらに、第一熱相分離物質リッチ流312を熱交換器320で再び1段目の熱相分離過程と同じ温度又はそれより低い温度に加熱し、分離装置321で第三溶媒リッチ流322と第三熱相分離物質リッチ流323に分離し、第三熱相分離物質リッチ流323を第一浸透物質流306として再利用する。このとき、第二熱相分離物質リッチ流316は、例えば第三溶媒リッチ流322と混合し、その後流れ305と混合するが、直接流れ305と混合してもよく、また流れ308と混合してもよく、第二熱相分離物質リッチ流312と混合してもよい。また、膜回収流319は、例えば流れ305と混合するが、流れ308と混合してもよく、また第一溶媒リッチ流311又は第一熱相分離物質リッチ流312、あるいは第三熱相分離物質リッチ流323と混合してもよい。第三溶媒リッチ流322については、例えば第二熱相分離物質リッチ流316と混合し、その後流れ305と混合するが、直接流れ305と混合してもよく、また流れ308と混合してもよく、第一溶媒リッチ流311と混合してもよい。
図4では、第一溶媒リッチ流311と第一熱相分離物質リッチ流312をそれぞれ再び加熱分離する例を示したが、図5に示す通り、第一溶媒リッチ流411のみを、再度加熱分離してもよい。すなわち、溶媒401を含有する供給流402を塩を含む第二浸透物質流403に対して、半透膜404を介して向流又は並流に流し、溶媒401を第二浸透物質流403に移動させて流れ405を得て、流れ405と、熱相分離物質を含む第一浸透物質流406を接触させて、分離装置407において第二浸透物質流403と、第一浸透物質流406と溶媒401からなる流れ408に分離し、熱交換器409で熱相分離する温度に加熱し、分離装置410で第一溶媒リッチ流411と第一熱相分離物質リッチ流412に分離し、第一熱相分離物質リッチ流412を第一浸透物質流406として再利用する。さらに第一溶媒リッチ流411を熱交換器413で再び1段目の熱相分離過程と同じ温度又はそれより低い温度に加熱し、分離装置414で第二溶媒リッチ流415と第二熱相分離物質リッチ流416に分離し、第二溶媒リッチ流415をろ過膜417によって精製して精製溶媒418と膜回収流419を得る。このとき、膜回収流419は例えば流れ405と混合するが、流れ408に混合してもよく、第一溶媒リッチ流411に混合してもよい。さらに、第二熱相分離物質リッチ流416は、例えば流れ405と混合するが、第一熱相分離リッチ流412と混合してもよく、膜回収流419と混合後、流れ405と混合してもよい。
図4では、第一溶媒リッチ流311と第一熱相分離物質リッチ流312をそれぞれ再び加熱分離する例を示したが、図6に示す通り、第一熱相分離リッチ流512のみを、再度加熱分離してもよい。すなわち、溶媒501を含有する供給流502を塩を含む第二浸透物質流503に対して、浸透膜504を介して向流又は並流に流し、溶媒501を第二浸透物質流503に移動させ、流れ505を得て流れ505と、熱相分離物質を含む第一浸透物質流506を接触させて、分離装置507おいて第二浸透物質流503と、第一浸透物質流506と溶媒501からなる流れ508に分離し、熱交換器509で熱相分離する温度に加熱し、分離装置510で第一溶媒リッチ流511と第一熱相分離物質流512に分離し、第一溶媒リッチ流511を膜ろ過513によって精製して精製溶媒514と膜回収流515に分離する。さらに、第一熱相分離物質流512は熱交換器516で再度1段目の熱相分離過程と同じ温度又はそれより低い温度に加熱し、分離装置517で第二溶媒リッチ流518と第二熱相分離物質リッチ流519に分離し、第二熱相分離物質リッチ流519を第一浸透物質流506として再利用する。このとき、膜回収流515は例えば流れ505と混合するが、第二熱相分離物質リッチ流519又は流れ508と混合してもよい、さらには、第二溶媒リッチ流518と混合したのちに流れ505と混合してもよい。またこのとき、第二溶媒リッチ流518は流れ505と混合するが、第一溶媒リッチ流511と混合してもよく、膜回収流515と混合したのち流れ505と混合してもよい。
本発明における溶媒は、無機溶媒または有機溶媒であり、好ましくは水である。溶媒と共に供給流を構成する溶質は、無機化合物及び有機化合物から選択され、液体であってもよい。液体である供給流としては、生活、工業、農業、鉱業等種々の排水、海水、オイルやガスの生産に伴い副次的に生産される随伴水などを挙げることができる。
半透膜は、溶媒を通過させるが、溶質を通過させないようなサイズの孔を有している。逆浸透膜も使用できるが、正浸透膜であることが好ましい。膜の材質は特に限定されないが、例えば酢酸セルロース系、ポリアミド系、ポリベンゾイミダゾール系、ポリビニルアルコール系などが挙げられる。半透膜の形態や膜モジュールの形態も特に限定されず、半透膜の形態においては、平膜、中空糸膜などのいずれであってもよいが、平膜は溶液の片流れが生じるため、膜の有効利用の観点から中空糸膜の方が好ましい。膜モジュールの形態においては、プレートアンドフレーム型、中空糸型、スパイラル型などのいずれであってもよい。溶媒を透過させる方法としては、正浸透プロセスを採用する。浸透物質流を流す膜面は、活性層側であってもよいし、活性層の反対側であってもよい。
溶質の主成分として塩を含む浸透物質流については、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムシリケート、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、二ナトリウムリン酸一水素、一ナトリウムリン酸二水素、リン酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸マンガン、クエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどを使うことができる。これらの浸透物質は、単独あるいは混合して用いることが可能である。
本発明における熱相分離物質とは、溶媒に溶解した状態の溶液を加熱することで、該溶媒と相分離する物質を指す。また、本発明における溶媒リッチとは、熱相分離した2相の溶液のうち、溶質の濃度が低い方の溶液を指し、溶質の濃度が高い方の溶液を熱相分離物質リッチという。
本発明における熱相分離物質としては、ポリアルキレンポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、イオン液体ポリマー、ポリエーテル変性シリコーンなどを使うことができる。ポリアルキレンポリマーとしては、少なくとも一部にエチレンオキシドユニットを含むポリマーであり、例えばポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリエチレンオキシド・ポリブチレンオキシド共重合体、またはそれらの疎水基修飾物が挙げられる。疎水基としては、炭化水素基が挙げられる。これらの熱相分離物質は、単独または混合して用いることができる。
熱相分離物質と溶媒を含む第一浸透物質流を加熱によって溶媒リッチ相と熱相分離物質リッチ相に分離する際の熱相分離温度は、外気温の影響を受けないよう、外気温より十分に高いことが好ましい。一方、設備の耐圧性能の観点から、水の蒸気圧が1MPaを下回る温度であることが好ましい。したがって、本発明における熱相分離温度は60℃以上175℃以下であることが好ましく、70℃以上150℃以下であることが更に好ましい。
本発明では半透膜を利用する工程は正浸透プロセスを利用したので、正浸透プロセスを例に説明する。
正浸透プロセスにおいては、供給流より高い浸透圧をもつ浸透物質流を、半透膜を介して流す必要がある。このとき、浸透圧が高ければ、供給流を高濃度に濃縮することができる。供給流を高濃度に濃縮することで、排出される濃縮供給流の量を低減できるため、供給流の濃縮倍率は高い方が好ましく、少なくとも2倍濃縮されることが好ましい。また、供給流と浸透物質流の浸透圧差が大きければ、膜を透過する溶媒の透過速度が高くなるため、膜面積を低減させることができ、設備費用を抑えることができる。以上の理由から、浸透物質流の浸透圧は高い方が良い。
海水から水を回収する場合、供給流の濃縮倍率を2倍とすると、濃縮供給流の浸透圧は60atm程度になるが、半透膜を介して水を移動させるための駆動力や第二浸透物質流から第一浸透物質流に水を移動させるための駆動力を担保するため、第一浸透物質流の浸透圧は80atm以上であることが好ましい。油田やガス田の随伴水のような高い塩濃度を含む供給流、例えば塩濃度が8wt%の供給流を処理するとき、供給流の濃縮倍率を2倍とし、水を移動させるための駆動力を確保すると、第一浸透物質流の浸透圧は145atm以上であることが好ましい。以上のように、第一浸透物質流の浸透圧は高い方が好ましいが、一方、浸透圧の高い第一浸透物質流を再生させるためには、高いエネルギーを要するため、第一浸透物質流の浸透圧は250atm以下であることが好ましく、200atm以下であることがより好ましく、175atm以下であることが更に好ましい。
熱相分離物質の粘度は、溶液分離を行うときの分離性の観点から、250mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以下であることが更に好ましい。本発明における粘度とは、90wt%の熱相分離物質水溶液を、粘度計TVL−33L(東機産業株式会社)において、角度1°34’のR24コーンを用いて、30℃で測定した値を意味する。
浸透物質は、そのままで浸透物質流として用いることも可能であるが、適当な溶媒に溶解した溶液を浸透物質流とすることも可能である。ここで使用される溶媒は、分離回収する溶媒と相溶であることが好ましく、同一物質であることがさらに好ましい。浸透物質流の浸透圧は、供給流より高くなるように設定される。
塩を含む第二浸透物質流と、熱相分離物質を含む第一浸透物質流を直接接触させて、溶媒を移動させる際には、混合を行ってもよい。例えばライン混合を行ってもよいし、混合器であってもよい。接触後、分離を行うが、例えば重力沈降であってもよいし、遠心分離であってもよい。向流抽出によって、接触と分離を同時に行ってもよく、接触又は混合と分離のプロセスは複数回行ってもよい。
熱相分離後の溶媒リッチ流の膜ろ過では、例えば限外ろ過を行っても良く、精密ろ過又はナノろ過又は逆浸透ろ過であっても良い。ただし、精製溶媒の品質の観点から、供給される熱相分離物質が90%以上膜ろ過で阻止されることが好ましい。
熱相分離による溶媒リッチ流と熱相分離物質リッチ流への分離は、2段であってもよいし、3段あるいはそれ以上であってもよいが、設備規模の観点から2段であることが好ましい。
第一浸透物質流を、曇点以上の温度に加熱して溶媒リッチ相と熱相分離物質リッチ相に分離する際、溶媒リッチ相と熱相分離物質リッチ相の濃度は、一般にその温度により決まると考えられており、温度を縦軸、熱相分離物質濃度を横軸に取ったときに、下に凸の曲線を示す。この理解に基づけば、初回温度で分離した溶媒リッチ相、熱相分離物質リッチ相のいずれにおいても、初回温度と同じか該温度以下の温度では熱相分離しない。つまり、従来の考えに従えば、(1)溶媒リッチ相中の熱相分離物質濃度を低減させて、後段の膜処理等による熱相分離物質除去の負荷を小さくすること(2)熱相分離物質リッチ相の熱相分離物質濃度を高くして、より高い浸透圧をもつ浸透物質流を得ることを達成するためには、より高い熱源を用いて、熱相分離物質溶液をより高い温度に加熱することが必要不可欠である。
しかし、驚くべきことに、本実施例に示す通り、初回温度と同じか該温度より低い温度に再び加熱することで、溶媒リッチ相、熱相分離物質リッチ相のいずれにおいても、再び熱相分離することを見出し、より高い熱源を用いた加熱を行わずとも、上述の(1)と(2)の効果を達成できることを確認した。これは、熱相分離を行う際の系中の相平衡に基づく現象であると考えられる。すなわち、初回の熱相分離過程では、系中に含まれる熱相分離物質と溶媒分子の数に基づいた平衡状態によって各相に分配される熱相分離物質および溶媒分子の数が決まる。続いて、溶媒リッチ相を初回温度と同じか該温度より低い温度に再び加熱した場合、初回の熱相分離過程より溶媒分子の数が圧倒的に多くなるため、その状態に応じた相平衡が形成される。熱相分離物質リッチ相についても同様に、初回温度と同じか該温度より低い温度に加熱した場合、初回の熱相分離過程より熱相分離物質が多くなっており、異なる相平衡状態が形成される。
本発明で得られる溶媒リッチ流である熱相分離物質含有水の熱相分離物質濃度は、200ppm以上45,000ppm以下が好ましい。防錆、凍結防止の効果は、ポリマー(熱相分離物質)濃度の下限が、200ppm以上であることが好ましく、500ppm以上がより好ましく、1,000ppm以上が更に好ましく、2,500ppm以上が特に好ましい。
一方、ポリマー(熱相分離物質)の上限は、十分な防錆・凍結防止効果を発揮するとともに、濃度を維持するためのコストが高価にならない観点から、ポリマー(熱相分離物質)濃度は45,000ppm以下であることが好ましく、10,000ppm以下であることがより好ましく、5,000ppmであることが更に好ましく、4,000ppm以下であることが特に好ましい。45,000ppm以下である場合には、熱相分離物質含有水の粘度が過度に高くならないから、さらに後続で精製工程(例えばナノフィルターによるろ過工程)を行ったとしても容易に行えることとなり好ましい。
本発明における熱相分離物質含有水中の熱相分離物質としては、ポリアルキレンポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、イオン液体ポリマー、ポリエーテル変性シリコーンなどである。ポリアルキレンポリマーとしては、少なくとも一部にエチレンオキシドユニットを含むポリマーであり、例えばポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリエチレンオキシド・ポリブチレンオキシド共重合体、またはそれらの疎水基修飾物が挙げられる。疎水基としては、炭化水素基が挙げられる。これらの熱相分離物質の、単独または混合物である。
熱相分離物質含有水中の塩濃度は、0.1wt%以上が好ましく、より好ましくは0.6wt%以上、更に好ましくは1.0wt%以上である。0.1wt%以上の塩濃度であると、凍結防止効果を得ることができるが、塩濃度が高すぎると配管の錆発生の問題が生じることが本発明者らの検討により明らかになった。加えて、後段の分離工程でさらに精製する場合、ろ過圧を妥当な値とするためには塩濃度は、6.0wt%以下であることが好ましく、3.0wt%であることがより好ましく、1.5wt%以下であることが更に好ましい。
熱相分離物質含有水中の塩としては、金属塩及び/又はアンモニウム塩から選ばれる無機塩、又は有機塩を少なくとも含む塩であり、例えば、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムシリケート、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化マグネシウム、二ナトリウムリン酸一水素、一ナトリウムリン酸二水素、リン酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸マンガン、クエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる無機塩又は有機塩を少なくとも含む塩である。
以下、本発明の実施例を具体的に記入するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下の実施例においては、溶媒として水を使用し、熱相分離物質として青木油脂工業株式会社のAA−800を用いた。熱相分離物質を水で60wt%または40wt%に希釈し、2種類の第一浸透物質流とし、サンプル採取口のついた加圧加熱装置において熱相分離する温度に加熱し、目標温度到達後に10分間静置し、2相に分離した上相と下相を採取し、熱相分離物質の濃度を測定した。熱相分離物質の濃度は、アタゴ社製PAL−RIを用いて屈折率により測定した。
続いて、2相に分離した上相と下相と同濃度の熱相分離物質をさらに加圧加熱装置において1段目と同じ温度かそれ以下の温度で熱相分離させて上相と下相の濃度を測定した。
表1に実施例の一つを示す。第一浸透物質流である60wt%に調製したAA−800を加圧加熱装置において150℃に加熱し、熱相分離物質リッチ流を分取した。分取した熱相分離物質リッチ流を再度140℃もしくは150℃にそれぞれ加熱して、熱相分離物質リッチ流を分取した。分取したサンプルの濃度を比較すると、1段目の熱相分離過程では、熱相分離物質は69.8%にまで濃縮されたが、再度140℃もしくは150℃加熱した場合、それぞれ71.0%と71.9%に濃縮され、1段目の温度以下の加熱によりさらに熱相分離物質の濃縮が可能であることが示された。1段目の熱相分離物質の濃度と再度150℃に加熱した熱相分離物質の濃度における浸透圧の差は5atmという大きな差がある。
熱相分離物質の浸透圧は、熱相分離物質をこれと相溶しない無機塩溶液(濃度10wt%の硫酸アンモニウム水溶液)と直接(半透膜を介さずに)接触させ、溶媒(水)の移動が平衡に達したときの熱相分離物質濃度と塩濃度を測定して作成した相図より、熱相分離物質濃度を無機塩濃度に換算することで導いた。硫酸アンモニウム濃度の測定にはアリザリンレッド及び塩化バリウムを用いる硫酸イオンの滴定法によった。
Figure 2017148733
表2に比較例として、分離装置における静置時間を10分より長くした場合の濃度を示す。静置時間を60分まで長くしても熱相分離物質の濃度は高くならなかった。つまり、多段による分離再濃縮は、静置時間不足による分離不良とは別の現象であると言える。
Figure 2017148733
表3に実施例として、2つ目の第一浸透物質流である40wt%に調製したAA−800を加圧加熱装置において150℃に加熱し、溶媒リッチ流を分取した。分取した溶媒リッチ流を再度140℃もしくは150℃にそれぞれ加熱して、それぞれの溶媒リッチ流を分取した。分取したサンプルの濃度を比較すると、1段目の熱相分離過程では、溶媒リッチ流中の熱相分離物質は6.2wt%含まれていたが、再度140℃もしくは150℃にそれぞれ加熱した場合、それぞれ4.8wt%と4.2wt%になり、溶媒リッチ流中の熱相分離物質の量が大きく低減された。6.2wt%から4.2wt%では、実に30%以上の熱相分離物質が除かれたことになる。
Figure 2017148733
表4に比較例として、分離装置における静置時間を10分より長くした場合の濃度を示す、どの時間においても10分の場合と同等の濃度であり、静置時間は10分で十分であり、多段による再分離の効果は、上述の通り、静置時間不足による分離不良とは異なり、先述したような(相分離原理に基づく)現象によるものと推察される。
Figure 2017148733
熱相分離物質としてAA−800を42,000ppm、無機塩として硫酸アンモニウムを例えば13,000ppm含む熱相分離物質含有水を、SUS316製の配管に10日間暴露しても錆の発生は確認できなかった。
熱相分離物質としてAA―800を42,000ppm、無機塩として硫酸アンモニウムを例えば13,000ppm含む熱相分離物質含有水を、―0.1℃の環境で12時間以上静置しても、凝固しなかった。
本発明は、熱相分離物質を用いる溶媒の分離回収システムであって、後段の膜ろ過の負荷を小さくし、供給流の濃縮倍率を高くすることで、効率的な溶媒回収を提供するものである。本発明は、例えば海水の淡水化、生活排水の再生、工場排水の再生、油田・ガス田における随伴水からの水の回収などの分野に好適に用いることができる。
1 溶媒
2 供給流
3 熱相分離物質を含む第一浸透物質流
4 半透膜
5 溶媒1と第一浸透物質流3からなる流れ
6 熱交換器
7 分離装置
8 第一溶媒リッチ流
9 第一熱相分離物質リッチ流
10 熱交換器
11 分離装置
12 第二溶媒リッチ流
13 第二熱相分離物質リッチ流
14 ろ過膜
15 精製溶媒
16 膜回収流
17 熱交換器
18 分離装置
19 第三溶媒リッチ流
20 第三熱相分離物質リッチ流
21 濃縮供給流
101 溶媒
102 供給流
103 熱相分離物質を含む第一浸透物質流
104 半透膜
105 溶媒101と第一浸透物質流103からなる流れ
106 熱交換器
107 分離装置
108 第一溶媒リッチ流
109 第一熱相分離物質リッチ流
110 ろ過膜
111 精製溶媒
112 膜回収流
113 熱交換器
114 分離装置
115 第二溶媒リッチ流
116 第二熱相分離物質リッチ流
117 濃縮供給流
201 溶媒
202 供給流
203 熱相分離物質を含む第一浸透物質流
204 半透膜
205 溶媒201と第一浸透物質流203からなる流れ
206 熱交換器
207 分離装置
208 第一溶媒リッチ流
209 第一熱相分離物質リッチ流
210 熱交換器
211 分離装置
212 第二溶媒リッチ流
213 第二熱相分離物質リッチ流
214 ろ過膜
215 精製溶媒
216 膜回収流
217 濃縮供給流
301 溶媒
302 供給流
303 塩を含む第二浸透物質流
304 半透膜
305 溶媒301と第二浸透物質流303からなる流れ
306 熱相分離物質を含む第一浸透物質流
307 分離装置
308 第一浸透物質流306と溶媒301からなる流れ
309 熱交換器
310 分離装置
311 第一溶媒リッチ流
312 第一熱相分離物質リッチ流
313 熱交換器
314 分離装置
315 第二溶媒リッチ流
316 第二熱相分離物質リッチ流
317 ろ過膜
318 精製溶媒
319 膜回収流
320 熱交換器
321 分離装置
322 第三溶媒リッチ流
323 第三熱相分離物質リッチ流
324 濃縮供給流
401 溶媒
402 供給流
403 塩を含む第二浸透物質流
404 半透膜
405 溶媒401と第二浸透物質流403からなる流れ
406 熱相分離物質を含む第一浸透物質流
407 分離装置
408 第一浸透物質流406と溶媒401からなる流れ
409 熱交換器
410 分離装置
411 第一溶媒リッチ流
412 第一熱相分離物質リッチ流
413 熱交換器
414 分離装置
415 第二溶媒リッチ流
416 第二熱相分離物質リッチ流
417 ろ過膜
418 精製溶媒
419 膜回収流
420 濃縮供給流
501 溶媒
502 供給流
503 塩を含む第二浸透物質流
504 半透膜
505 溶媒501と第二浸透物質流503からなる流れ
506 熱相分離物質を含む第一浸透物質流
507 分離装置
508 第一浸透物質流406と溶媒401からなる流れ
509 熱交換器
510 分離装置
511 第一溶媒リッチ流
512 第一熱相分離物質リッチ流
513 ろ過膜
514 精製溶媒
515 膜回収流
516 熱交換器
517 分離装置
518 第二溶媒リッチ流
519 第二熱相分離物質リッチ流
520 濃縮供給流

Claims (12)

  1. 溶媒を含有する供給流を、半透膜を介して、浸透圧を有する熱相分離物質を含む第一浸透物質流と向流又は並流させて、前記溶媒を前記第一浸透物質流に移動せしめ前記溶媒リッチな第一浸透物質流としたものを、前記熱相分離物質の曇点以上の温度(初回温度)に加熱して、前記溶媒リッチ相(A1)と前記熱相分離物質リッチ相(B1)に分離して前記供給流から前記溶媒を取り出す方法であって、分離した前記溶媒リッチ相(A1)または前記熱相分離物質リッチ相(B1)の少なくともいずれかの相を、前記初回温度と同じ又は該温度より低い温度に加熱して、再度前記溶媒リッチ相(A2)相と前記熱相分離物質リッチ相(B2)とに分離して前記溶媒を取り出す方法。
  2. 溶媒を含有する供給流を、半透膜を介して、無機塩又は有機塩を含む第二浸透物質流と向流又は並流させて、前記溶媒を前記第二浸透物質流に移動せしめ前記溶媒リッチな前記第二浸透物質流としたものを、引き続き、熱相分離物資を含む第一浸透物質流と相溶しない状態で混合しつつ前記溶媒を前記第一浸透物質流に移動させて前記溶媒リッチな第一浸透物質流とし、該第一浸透物質流を前記熱相分離物質の曇点以上の温度(初回温度)に加熱して溶媒リッチ相(A1)と熱相分離物質リッチ相(B1)に分離して前記溶媒を取り出す方法であって、分離した前記溶媒リッチ相(A1)または前記熱相分離物質リッチ相(B1)の少なくともいずれかの相を、上記初回温度と同じ又は該温度より低い温度に加熱して、再度前記溶媒リッチ相(A2)と前記熱相分離物質リッチ相(B2)に分離して前記溶媒を取り出す方法。
  3. 前記溶媒が水である請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第一浸透物質流が、ポリアルキレンポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、イオン液体ポリマー、ポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれるポリマーを一種以上含み、且つ、該ポリアルキレンポリマーがポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリエチレンオキシド・ポリブチレンオキシド共重合体、またはそれらの疎水基修飾物からなる群から選ばれる少なくとも一部にエチレンオキシドユニットを含むポリマーである請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第二浸透物質流が、金属塩及び/又はアンモニウム塩から選ばれる無機塩又は有機塩を少なくとも含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記第二浸透流が水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムシリケート、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、二ナトリウムリン酸一水素、一ナトリウムリン酸二水素、リン酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸マンガン、クエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる無機塩又は有機塩を少なくとも含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記第一浸透物質流の浸透圧が80atm以上、250atm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 少なくとも前記熱相分離物質を200ppm以上45,000ppm以下含有し、前記無機塩又は有機塩を1,000ppm以上60,000ppm以下含有する熱相分離物質含有水。
  9. 前記熱相分離物質が、ポリアルキレンポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、イオン液体ポリマー、ポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれるポリマーを少なくとも1種以上含み、且つ、該ポリアルキレンポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリエチレンオキシド・ポリブチレンオキシド共重合体、またはそれらの疎水基修飾物からなる群から選ばれる少なくとも一部にエチレンオキシドユニットを含むポリマーである請求項8に記載の熱相分離物質含有水。
  10. 前記塩が、金属塩及び/又はアンモニウム塩から選ばれる無機塩、又は有機塩を少なくとも含む請求項8又は9に記載の熱相分離物質含有水。
  11. 前記塩が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムシリケート、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、二ナトリウムリン酸一水素、一ナトリウムリン酸二水素、リン酸カリウム、炭酸カリウム、硫酸マンガン、クエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる無機塩又は有機塩を少なくとも含む、請求項10に記載の熱相分離物質含有水。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載の含有水の製造方法であって、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法を少なくとも利用する含有水の製造方法。
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