JP2017168378A - 非水電解質電池用電極活物質、非水電解質電池用電極、非水電解質電池及び電池パック - Google Patents

非水電解質電池用電極活物質、非水電解質電池用電極、非水電解質電池及び電池パック Download PDF

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Abstract

【課題】放電容量とサイクル特性に優れる非水電解質電池用電極活物質、非水電解質電池用電極、非水電解質電池及び電池パックを提供する。【解決手段】実施形態の非水電解質電池用電極活物質は、SiOx(1.8≦x≦2.2)で表されるケイ素酸化物粒子と、炭素材料とを持つ。ケイ素酸化物粒子は、全反射測定法により測定した赤外吸収スペクトルにおいて、800〜820cm−1の範囲に最大値を持つ第1のピーク、1030〜1050cm−1の範囲に最大値を持つ第2のピーク、1085〜1115cm−1の範囲に最大値を持つ第3のピーク、および1160〜1210cm−1の範囲に最大値を持つ第4のピークを有する。前記第2のピークの面積は、前記第1〜第4のピークの面積の合計に対して10%以上75%以下の範囲にある。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、非水電解質電池用電極活物質、非水電解質電池用電極、非水電解質電池及び電池パックに関する。
近年、スマートフォンやタブレットなどに代表される小型携帯端末の急速な普及により、それらを駆動させる小型でエネルギー密度の高い電池に対する要求が高まっている。一方、EVやPHEVなどに代表される電池搭載自動車も普及しつつあり、大型電池についてもエネルギー密度の向上が求められている。小型携帯端末搭載電池および自動車等の車両搭載電池など、いずれもリチウムイオン電池の適用が検討されている。一般に、リチウムイオン電池の負極には黒鉛系材料が用いられている。黒鉛系材料の理論容量は372mAh/g(LiC6)であり、現状、ほぼ限界にきている。さらなるエネルギー密度の向上には、新しい電極材の開発が必要である。特に、負極材として、炭素、リチウムに次いで電位が低く、電気化学当量の小さい、ケイ素、スズなどのリチウムと合金化する材料系が注目されている。
中でもケイ素はケイ素原子1に対して4.4の比率までリチウム原子を吸蔵することができ、理論的には黒鉛系炭素材料の約10倍の容量をもたせることができる。しかし、ケイ素粒子はリチウムを吸蔵すると体積がおよそ3〜4倍に膨張するため、充放電の繰り返しにより粒子自体が割れて微粉化したり、電極を構成する他の部材に影響を及ぼしたりするなどの問題を有している。そこでケイ素の周囲を導電性炭素質物で覆うことによりケイ素粒子の体積膨張を抑制試みや、ケイ素を単独ではなくケイ素化合物として用いることが提案されている。
例えば、ケイ素と酸素の化合物であるケイ素酸化物は、加熱による不均化処理、あるいは化学的・電気化学的還元反応により、ケイ素酸化物中および表面にナノサイズのケイ素粒子を析出させることができる。これにより、ケイ素粒子がケイ素酸化物に固定化され、ケイ素粒子の粒成長や脱落を防止することができる。さらに、ケイ素酸化物を炭素質物で被覆することにより、ケイ素酸化物に電子伝導性を賦与するとともに、ケイ素酸化物からケイ素粒子が脱落するのを抑制することができる。しかし、元来ケイ素酸化物は化学的に安定であり、ケイ素酸化物中よりケイ素粒子を析出する場合、十分な容量とサイクル寿命を得るのが困難である。
国際公開第2014/119238号
本発明が解決しようとする課題は、放電容量とサイクル特性に優れる非水電解質電池用電極活物質、非水電解質電池用電極、非水電解質電池及び電池パックを提供することである。
実施形態の非水電解質電池用電極活物質は、SiOx(1.8≦x≦2.2)で表されるケイ素酸化物粒子と、炭素材料とを持つ。ケイ素酸化物粒子は、全反射測定法(Attenuated Total Reflection:ATR)により測定した赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)において、800〜820cm−1の範囲に最大値を持つ第1のピーク、1030〜1050cm−1の範囲に最大値を持つ第2のピーク、1085〜1115cm−1の範囲に最大値を持つ第3のピーク、および1160〜1210cm−1の範囲に最大値を持つ第4のピークを有する。前記第2のピークの面積は、前記第1〜第4のピークの面積の合計に対して10%以上75%以下の範囲にある。
第2の実施形態に係る電極の概念図。 第3の実施形態に係る非水電解質電池の一例を示す断面図。 図2中に示したA部の拡大断面図。 第3の実施形態に係る非水電解質電池の他の例を示す部分切欠斜視図。 図4中に示したB部の拡大断面図。 第4の実施形態に係る電池パックの概念図。 第4の実施形態に係る電池パックの電気回路を示すブロック図。 ATR法により測定したIRスペクトルを示す図。
以下、実施形態の非水電解質電池用電極活物質、非水電解質電池用電極、非水電解質電池及び電池パックを、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、非水電解質電池用電極活物質が提供される。以下、本実施形態の非水電解質電池用電極活物質を、非水電解質電池の負極の活物質合剤層に用いる活物質として説明するが、本実施形態の活物質は正極の活物質合剤層に用いる活物質にも用いることができる。また、活物質を用いた電極は、非水電解質二次電池に用いるものとして説明するが、実施形態の活物質を用いる電極は、様々な電池に用いることができる。
第1の実施形態の非水電解質電池用電極活物質は、SiOx(1.8≦x≦2.2)で表されるケイ素酸化物粒子と炭素材料とを含む複合粒子である。
ケイ素酸化物中のSi−O結合は鎖状・環状構造を形成し、透過IRスペクトルにおいて特徴的な吸収を発現することが知られている。発明者は、各種ケイ素酸化物を検討するなかで、以下の特徴を有するケイ素酸化物粒子は非水電解質電池用電極活物質の材料として好ましいことを見出した。
すなわち、本実施形態で使用するケイ素酸化物粒子は、ATR法により測定したIRスペクトルにおいて、800〜820cm−1の範囲に最大値を持つ第1のピーク、1030〜1050cm−1の範囲に最大値を持つ第2のピーク、1085〜1115cm−1の範囲に最大値を持つ第3のピーク、および1160〜1210cm−1の範囲に最大値を持つ第4のピークを有し、前記第2のピークの面積は、前記第1〜第4のピークの面積の合計に対して10%以上75%以下の範囲である。この第1〜第4のピークの面積の合計に対する第2のピークの面積の割合は、好ましくは、20%以上65%以下の範囲であり、さらに好ましくは30%以上55%以下の範囲である。
ATR法により測定したケイ素酸化物粒子のIRスペクトルの一例について図8を用いて説明する。測定後のIRスペクトルは、第1〜4の4つのピークが重なり合っているが、このIRスペクトルから、縦軸吸光度、横軸波数(リニア)のチャートを描き、600〜1500cm−1の領域のスペクトルを抽出し、900cm−1および1300cm−1の吸光度をベースラインとして補正して基本となるIスペクトルを得る(図8において「IRスペクトル」と称して示す)。次に、このIRスペクトルをガウス関数でピーク分離することにより、800〜820cm−1、1030〜1050cm−1、1085〜1115cm−1、および1160〜1210cm−1のそれぞれの波長範囲に最大値を持つ4つのピークに分離することができる(それぞれ図8において「第1のピーク」、「第2のピーク」、「第3のピーク」、「第4のピーク」と称して示す)。第2のピーク面積は、第1のピークから第4のピークの4つのピーク面積の合計値に対する割合に換算される。
ケイ素酸化物粒子のIRスペクトルは、600〜1500cm−1の領域のスペクトルを抽出し、縦軸吸光度、横軸波数(リニア)のチャートを描いた際、最大ピークの吸光度を1とした場合の900cm−1および1300cm−1における吸光度は0.1以下であることが好ましい。最大ピークの吸光度を1とした場合の900cm−1および1300cm−1における吸光度が0.1を越える場合、第1〜第4のピークとは異なるピークが重なっていることを表しており、十分な特性を得ることができないおそれがある。最大ピークの吸光度を1とした場合の900cm−1および1300cm−1における吸光度のさらに好ましい値は、0.05以下である。
一般的なケイ素酸化物中のSi−O結合は、IRスペクトルにおいて、1010〜1020cm−1、1080〜1090cm−1、1050〜1080cm−1、1020〜1090cm−1の領域に最大値を有する4つのピークを有することが知られており、各々三員環状Si−O伸縮振動、四員環状Si−O伸縮振動、大環状Si−O伸縮振動、鎖状Si−O伸縮振動に帰属される。本実施形態で使用するケイ素酸化物粒子は一般的なケイ素酸化物と異なる位置にピークを有するものであり、各々のピークの由来は明確ではないが、環状Si−O伸縮振動および鎖状Si−O伸縮振動に由来するもと考えられる。
ケイ素酸化物粒子は、第1〜4のピーク形状が互いに異なる2種類以上のケイ素酸化物粒子の混合物であってもよい。
また、LiSiOなどのリチウムシリケートが、ケイ素酸化物の表面または内部に分散されていてもよい。
ケイ素酸化物、炭素材料とともに、リチウム化合物が添加されていてもよい。これらの物質を炭素材料中に加えることでケイ素酸化物と炭素材料との結合が強固になると共に、リチウムイオン導電性に優れるLiSiOが酸化ケイ素相中に生成する。リチウム化合物としては、炭酸リチウム、酸化リチウム、水酸化リチウム、シュウ酸リチウム、塩化リチウムなどが挙げられる。
ケイ素酸化物粒子は、リンやホウ素などの微量元素を含んでいても構わない。
ケイ素酸化物粒子は、組成がSiOx(1.8≦x≦2.2)で表される範囲において、内部にケイ素ナノ粒子が析出したものが好ましい。ケイ素ナノ粒子は、リチウムの吸蔵と放出を繰り返すたびに体積変化を生じる。この体積変化は活物質の崩壊を引き起こす恐れがある。そのため、できるだけ微細なサイズにすることが好ましい。ケイ素ナノ粒子の粒径は、2nm以上150nm以下にすることが好ましい。2nmより小さいものは実質的に製造が困難であり、150nmより大きいと充放電の繰り返しにより粒子そのものが微粉化してしまう恐れがあるからである。これらケイ素ナノ粒子は、周りをケイ素酸化物で被覆された構造をとる。
ケイ素酸化物粒子を構成するケイ素酸化物は、充電時のリチウム挿入にともなう体積膨張を緩和する能力を有し、また充放電サイクルにおけるケイ素ナノ粒子同士の成長および脱落を防ぐことができることから、非晶質であることが好ましい。
ケイ素酸化物粒子中には、結晶質のケイ素酸化物相が含まれていても構わない。
ケイ素酸化物粒子は、リチウムを吸蔵放出する際の膨張収縮が大きく、この応力を緩和するためにできるだけ微細化されて分散されていることが好ましい。具体的な一例としては、平均粒径が5nm以上600nm以下の粒子サイズにて分散されていることが好ましい。ケイ素酸化物粒子はまた、粒径が20nm以上100nm未満の範囲にある第1の領域、および粒径が100nm以上600nm以下の範囲にある第2の領域のそれぞれにピークを有する粒度分布を有することが好ましい。
サイクル特性を考慮した場合、平均粒径をこの範囲にしておくと大きな劣化がなく、安定した充放電特性が得られるからである。ここでいう平均粒径とは、電極断面をイオンミリング加工し、又は、ケイ素酸化物粒子の粉末を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)もしくは透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscopy)にて20000倍以上の倍率で観察した時に、視野の対角線上に存在する粒子を20個以上選択し、その平均径として求めることができる。粒子径とは二次元画像における一つの粒子の長径と短径の平均値をいう。ケイ素ナノ粒子の平均直径(粒子径)の測定方法は、ケイ素酸化物粒子の平均一次粒径の測定方法と同様である。
本実施形態の非水電解質電池用電極活物質は、ケイ素酸化物粒子を40質量%以上80質量%以下の範囲にて含むことが好ましい。非水電解質電池用活物質中のケイ素酸化物粒子が40質量%未満の場合、高容量化の効果が十分でないおそれがある。非水電解質電池用活物質中のケイ素酸化物粒子が80質量%を越える場合、導電性を賦与する炭素が不足し、ケイ素酸化物が十分に機能しないおそれがある。
本実施形態において用いる炭素材料としては、グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボン、アモルファス炭素またはアセチレンブラックなどの炭素質物のうちのいずれか1種以上を用いることが好ましい。グラファイトは活物質の導電性を高め、容量を向上させる点で、好ましい。炭素材料は、粉末X線回折法によって測定される結晶面間隔d002が、0.337nm以上0.430nm以下の範囲にあることが好ましい。炭素材料において、粉末X線回折法によって測定される結晶面間隔d002が0.337nm未満の場合、結晶性が高くなり、充放電に伴うケイ素酸化物の体積変化により、グラファイトの層構造が劈開し、非水電解質電池用活物質が塑性変形する可能性がある。結晶面間隔d002が0.430を越える場合、十分な導電性が得られず、容量が低下してしまうおそれがある。より好ましくは非晶質炭素である。非晶質炭素は、グラファイトの平面構造が発達しておらず、グラファイトと比較して層構造が劈開しにくい。また、グラファイトと比較して充放電時の体積変化が少ないため、非水電解質電池用活物質の体積変化を抑制することができる。
本実施形態の非水電解質電池用電極活物質は、SiOy(y≦0.2)で表される組成を有するケイ素粒子を含んでいてもよい。ケイ素酸化物粒子の平均粒径をD1、ケイ素粒子の平均粒径をD2としたとき、D2とD1との比であるD2/D1は0.5以上0.8以下の範囲にあることが好ましい。SiOy(y≦0.2)で表される組成を有するケイ素粒子は、初回充放電時の非可逆容量が少ないため好ましい。ケイ素粒子の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下の範囲にあることが好ましい。0.1質量%を下回ると容量増大の効果が十分でない場合がある。10質量%を上回ると、充放電時の体積変化により非水電解質電池用活物質が塑性変形する可能性がある。
本実施形態の非水電解質電池用電極活物質はまた、炭化ケイ素を含んでいてもよい。炭化ケイ素は、導電性を有し、劈開することがないため好ましい。炭化ケイ素の含有量は、1質量%以上5質量%以下の範囲にあることが好ましい。1質量%を下回ると導電性向上の効果が十分でない場合がある。5質量%を上回ると、相対的に炭素材料の含有量が減少し、導電性が低下してしまうおそれがある。
本実施形態の非水電解質電池用電極活物質はさらに、前記炭素材料とは異なる繊維状炭素質物や微細な空隙を含んでいてもよい。炭素材料とは異なる繊維状炭素質物としては、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどの炭素質物が挙げられる。繊維状炭素質物の直径は、平均直径が10nm以上1000nm以下であることが好ましい。繊維状炭素質物の含有量は0.1質量%以上8質量%以下の範囲であることが好ましい。8質量%を超えると、比表面積が大きいため、それを包む炭素材料相もより多く必要になり、結果としてケイ素酸化物含有量が減るおそれがある。より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。微細な空隙としては、直径が10nm以上10μm以下が好ましい。
次に、第1の実施形態に係る非水電解質電池用電極活物質の製造方法について説明する。まず、ケイ素酸化物粒子を製造する方法について説明する。ケイ素酸化物粒子は様々な方法で得ることができる。中でも、沈殿法、ゲル法、ゾルゲル法、スプレードライ法など湿式法によりケイ素酸化物前駆体粒子を形成し、600℃以上1100℃以下で加熱することにより、IRスペクトルにおいて、800〜820cm−1、1030〜1050cm−1、1085〜1115cm−1、および1160〜1210cm−1の領域に4つのピークを有するケイ素酸化物粒子を得ることができる。
また、非晶質で、かつ上記の4つのピークの有するケイ素酸化物粒子は、アルコキシシランの加水分解などのゾルゲル法、アルカリ性ケイ酸水溶液からの酸中和沈殿/ゲル法、あるいは加熱溶融したケイ素酸化物を急冷することにより得ることができる。アルコキシシランとしては、テトラエトキシシランやテトライソプロポキシシランなどを、酸性〜中性の水に投入し、得られた沈殿物を800〜1100℃に加熱することにより得ることができる。アルカリ性ケイ酸としては、ケイ酸ナトリウムを水に溶解し、塩酸や硝酸を加え、得られた沈殿物を800〜1100℃に加熱することにより得ることができる。
次に、ケイ素酸化物粒子と炭素材料とを複合化する方法(複合化処理)について説明する。
複合化処理においては、ケイ素酸化物粒子と、黒鉛などの炭素材料および炭素材料前駆体からなる有機材料を混合し複合体を形成する。混合は、連続式ボールミルや遊星ボールミル等を用いて行うことができる。有機材料としては、グラファイト、コークス、低温焼成炭、ピッチなどの炭素材料および炭素材料前駆体のうち少なくとも一種を用いることができる。特に、ピッチなど加熱により溶融するものは力学的なミル処理中には溶融して複合化が良好に進まないため、コークス、グラファイトなど溶融しないものと混合して使用すると良い。
液相での混合攪拌により複合化を行う方法を以下に説明する。混合攪拌処理は例えば各種攪拌装置、ボールミル、ビーズミル装置およびこれらの組み合わせにより行うことができる。ケイ素酸化物粒子と炭素材料前駆体および炭素材料との複合化は分散媒を用いた液中で液相混合を行うと良い。より均一に分散させるためである。分散媒としては有機溶媒、水等を用いることができるが、ケイ素酸化物粒子と炭素材料前駆体および炭素材の双方と良好な親和性をもつ液体を用いることが好ましい。具体例として、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、N−メチルピロリドンなどを挙げることができる。
炭素材料前駆体はケイ素酸化物と均一に混合するために混合段階で液体あるいは分散媒に可溶であるものが好ましく、液体であり容易に重合可能なモノマーあるいはオリゴマーであると特に好ましい。例えば、フラン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、レゾール樹脂、スクロースなどの有機材料が挙げられる。液相で混合を行った材料は、固化あるいは乾燥工程を経て炭素被覆ケイ素酸化物粒子−有機材料複合化物を形成する。
有機材料として炭素材料前駆体を用いた場合は、炭素材料前駆体を炭化させる炭化焼成が必要である。炭化焼成は、Ar等の不活性雰囲気下にて行なわれる。炭化焼成においては、ケイ素酸化物粒子−有機材料複合化物中のポリマーまたはピッチ等の炭素材料前駆体が炭化される。この炭化焼成の温度は、使用する有機材料化合物の熱分解温度にもよって変動するが、適正な範囲として700℃以上1300℃以下であることが好ましい。ケイ素酸化物粒子の粒子径にもよるが、1300℃より高い温度では、炭化ケイ素の生成が過剰に進行し、容量が低下してしまうおそれがあるため、好ましくない。焼成時間は、焼成の温度にもよるが、10分から12時間の範囲であることが好ましい。
以上のような合成方法により本実施形態に係る非水電解質電池用電極活物質が得られる。炭化焼成後の生成物は各種ミル、粉砕装置、グラインダー等を用いて粒径、比表面積等を調製してもよい。
ケイ素酸化物粒子は、一部が結晶質であっても構わない。結晶質ケイ素酸化物は、複合化処理の際に、非晶質ケイ素酸化物とともに炭素材料と炭素材料前駆体とを複合化してもよいし、非晶質ケイ素酸化物を製造する際に、ケイ素酸化物前駆体とともに非晶質ケイ素酸化物製造工程に加えてもよい。
以上のようにして得られた本実施形態の非水電解質電池用電極活物質(複合粒子)は、一次粒子の平均粒径(平均一次粒子径)が0.1μm以上50μm以下の範囲にあることが好ましい。この平均粒径が0.1μmより小さいと、比表面積が大きくなり、その分だけ電極化する際に多くの結着剤が必要となってしまう。一方、この平均粒径が50μmより大きいと、電極化した時に意図しない空間が形成され易く、結果として体積あたりの容量の低下を引き起こす。また、粗大な粒子は塗工プロセスにおいて障害になる。より好ましくは0.2μm以上20μm以下の範囲である。この大きさの複合粒子は、たとえば、いったん複合化した粒子を粉砕・分級して得ることができる。方法はこれに限ったものではなく、スプレードライ法など最初から小さい粒子製造を狙って作製しても構わない。複合粒子の平均粒子径の測定方法は、ケイ素酸化物粒子の平均粒径の測定方法と同様である。
本実施形態の非水電解質電池用電極活物質の比表面積は0.5m/g以上100m/g以下の範囲であることが好ましい。粒径および比表面積は、リチウムの挿入脱離反応の速度に影響し、負極特性に大きな影響をもつと考えられるが、この範囲の値であれば安定して特性を発揮することができる。比表面積は、窒素ガス吸着によるBET法(Brunauer, Emmett, Teller)によって求められる。
本実施形態の水電解質電池用活物質中のケイ素酸化物相と炭素材料相の比率は、ケイ素酸化物と炭素材料の質量比で0.2≦ケイ素酸化物/炭素材料≦2の範囲にあるのが好ましい。この範囲であれば、活物質として大きな容量と良好なサイクル特性を得ることができるからである。
以上説明した本実施形態によれば、非水電解質電池用電極活物質を提供することができる。
本実施形態に係る非水電解質電池用電極活物質は、SiOx(1.8≦x≦2.2)で表されるケイ素酸化物粒子と、炭素材料とを含む複合粒子である。ケイ素酸化物粒子は、ATR法により測定したIRスペクトルにおいて、800〜820cm−1の範囲に最大値を持つ第1のピーク、1030〜1050cm−1の範囲に最大値を持つ第2のピーク、1085〜1115cm−1の範囲に最大値を持つ第3のピーク、および1160〜1210cm−1の範囲に最大値を持つ第4のピークを有し、第2のピークの面積は、第1〜第4のピークの面積の合計に対して10%以上75%以下の範囲にある。本実施形態に係る非水電解質電池用電極活物質は、ケイ素酸化物粒子が、上記のIRスペクトルを示す特徴的な表面構造を有するので、優れた放電容量とサイクル特性を示すと推察される。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、非水電解質電池用電極が提供される。
第2の実施形態に係る非水電解質電池用電極は、第1実施形態の非水電解質電池用電極活物質を用いる。具体的には、本実施形態に係る非水電解質電池用電極は、集電体と、集電体の片面あるいは両面に形成されている電極合剤層とを有する。電極合剤層は、第1実施形態の非水電解質電池用電極活物質、導電剤および結着剤を含有する。
以下、本実施形態の非水電解質電池用電極を負極として説明するが、本実施形態の非水電極は正極として用いてもよい。また、以下の説明では、本実施形態に係る電極を非水電解質二次電池に用いるものとして説明するが、本実施形態に係る電極は、様々な電池に用いることができる。
図1を参照して、第2の実施形態に係る負極を具体的に説明する。図1は第2の実施形態に係る負極(非水電解質電池用電極)の概念図である。
図1の概念図に示すように、第2実施形態の負極100は、負極集電体101と負極合剤層102とを含む。負極合剤層102は負極集電体101上の表面に配置形成された活物質を含む合剤の層である。負極合剤層102は、負極活物質と、導電材と結着剤とを含む。結着剤は、負極合剤層102と集電体を接合する。
負極合剤層102の厚さは1.0μm以上150μm以下の範囲であることが望ましい。従って負極集電体101の両面に担持されている場合は負極合剤層102の合計の厚さは2.0μm以上300μm以下の範囲となる。片面の厚さのより好ましい範囲は30μm以上100μm以下である。この範囲であると大電流放電特性とサイクル寿命は大幅に向上する。
負極合剤層102を構成する導電材は、負極の導電性を高める効果があり、負極合剤層102中に分散して存在することが好ましい。導電材としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などを挙げることができる。これらの形状としては、鱗片上、破砕上、繊維状など各種用いられ、それらを1種でも、混合して使用しても何れでも良い。
負極合剤層102を構成する結着剤は、負極活物質同士の結着性に優れ、負極合剤層102と負極集電体101との結着性に優れた材料である。結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ弗化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸金属塩、アルギン酸やセルロースなどの多糖類およびその誘導体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド、ポリアラミド等を用いることができる。また、結着剤には2種またはそれ以上のものを組み合わせて用いてもよく、活物質同士の結着に優れた結着剤と活物質と集電体の結着に優れた結着剤の組み合わせや、硬度の高いものと柔軟性に優れるものを組み合わせて用いると、寿命特性に優れた負極を作製することができる。
実施形態の結着剤は、負極合剤層102と負極集電体101を接合しているが、アミノ基を置換基として有するアゾール化合物等によって負極合剤層102と負極集電体101を接合する形態でもよい。
負極活物質であるケイ素酸化物粒子と炭素材料とを含む複合粒子が、結着剤とともに集電体に一体化されている場合、負極合剤層102を負極集電体101から剥離し、さらに酸素含有雰囲気下で500〜1100℃で加熱することにより結着剤と炭素材料を分解し、残ったケイ素酸化物粒子についてIRスペクトルを取得することができる。
また、ケイ素酸化物粒子と炭素材料とを含む複合粒子を有する電極が、電池内に収納され、充電履歴がある場合、電極をリチウム電位比較で上限3.0〜4.5Vの条件で定電流・定電圧放電し、負極合剤層102を負極集電体101から剥離し、さらに酸素含有雰囲気下で500〜1100℃で加熱することにより結着剤と炭素質物を分解し、残ったケイ素酸化物粒子についてIRスペクトルを取得することができる。負極集電体101が銅箔である場合、3.0V以上の電圧で放電すると銅が溶出する可能性がある。このため、負極合剤層102を負極集電体101(銅箔)から剥離し、アルミニウムないしチタン箔に密着させて電極を作成し、得られた電極をリチウム電位比較で上限3.0〜4.5Vの条件で定電流・定電圧放電し、負極合剤層102をアルミニウムないしチタン箔から剥離し、さらに酸素含有雰囲気下で500〜1100℃で加熱することにより結着剤・炭素質物を分解し、残ったケイ素酸化物粒子についてIRスペクトルを取得することができる。
負極合剤層102の負極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、負極活物質が57質量%以上95質量%以下、導電剤が3質量%以上20質量%以下、結着剤が2質量%以上40質量%以下の範囲にすることが、良好な大電流放電特性とサイクル寿命を得られるために好ましい。
実施形態の負極集電体101は、負極合剤層102と結着する導電性の部材である。負極集電体101としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレスまたはニッケルから形成することができる。集電体の厚さは5μm以上20μm以下であることが望ましい。この範囲内であると電極強度と軽量化のバランスがとれるからである。
次に、実施形態の負極100の製造方法について説明する。
先ず、負極活物質、導電剤及び結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製する。スラリーを負極集電体101に塗布し、乾燥し、その後、プレスを施すことにより負極100が作製される。プレスの圧力によって、負極集電体101への負極活物質の埋め込みを調節することができる。0.2kNより低い圧力でのプレスでは、埋め込みが生じにくくなるおそれがあるため好ましくない。また、10kNより高い圧力でプレスを行うと、負極活物質や負極集電体101が割れる等の破損が生じるおそれがあるため好ましくない。従って、スラリーを乾燥させた層のプレス圧力は、0.5kN以上5kN以下が好ましい。
以上説明した本実施形態によれば、非水電解質電池用電極を提供することができる。
本実施形態に係る非水電解質電池用電極は、集電体と電極合剤層とを有する。電極合剤層は、上述の第1実施形態の非水電解質電池用電極活物質、導電剤および結着剤を含有する。このため、本実施形態に係る非水電解質電池用電極を適用した非水電解質電池は、高容量で優れたサイクル特性を示す。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、非水電解質電池が提供される。
第3の実施形態に係る非水電解質電池は、第2実施形態の非水電解質電池用電極を用いる。具体的には、本実施形態に係る非水電解質電池は、外装材と、外装材内に収納された正極と、外装材内に正極と空間的に離間して、例えばセパレータを介在して収納された負極と、外装材内に充填された非水電解質とを具備する。第2実施形態の非水電解質電池用電極は、負極として用いられる。
本実施形態に係る非水電解質電池200の一例を示した図2の概念図を参照してより詳細に説明する。図2は、袋状外装材202がラミネートフィルムからなる扁平型の非水電解質電池200の断面概念図である。
扁平状の捲回電極群201は、2枚の樹脂層の間にアルミニウム箔を介在したラミネートフィルムからなる袋状外装材202内に収納されている。扁平状の捲回電極群201は、一部を抜粋した概念図である図3に示すように、負極203、セパレータ204、正極205、セパレータ204の順で積層されている。そして積層物を渦巻状に捲回し、プレス成型することにより形成されたものである。袋状外装材202に最も近い電極は負極であり、この負極は、袋状外装材202側の負極集電体には、負極合剤が形成されておらず、負極集電体の電池内面側の片面のみに負極合剤を形成した構成を有する。その他の負極203は、負極集電体の両面に負極合剤を形成して構成されている。正極205は、正極集電体の両面に正極合剤を形成して構成されている。
捲回電極群201の外周端近傍において、負極端子は最外殻の負極203の負極集電体に電気的に接続され、正極端子は内側の正極205の正極集電体に電気的に接続されている。これらの負極端子206及び正極端子207は、袋状外装材202の開口部から外部に延出されている。例えば液状非水電解質は、袋状外装材202の開口部から注入されている。袋状外装材202の開口部を負極端子206及び正極端子207を挟んでヒートシールすることにより捲回電極群201及び液状非水電解質を完全密封している。
負極端子206は、例えばアルミニウムまたはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子206は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料であることが好ましい。
正極端子207は、リチウムイオン金属に対する電位が3〜4.25Vの範囲における電気的安定性と導電性とを備える材料を用いることができる。具体的には、アルミニウムまたはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子207は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料であることが好ましい。
以下、非水電解質電池200の構成部材である袋状外装材202、正極205、電解質、セパレータ204について詳細に説明する。
1)袋状外装材202
袋状外装材202は、厚さ0.5mm以下のラミネートフィルムから形成される。或いは、外装材は厚さ1.0mm以下の金属製容器が用いられる。金属製容器は、厚さ0.5mm以下であることがより好ましい。
袋状外装材202の形状は、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、及びボタン型から選択できる。外装材の例には、電池寸法に応じて、例えば携帯用電子機器等に積載される小型電池用外装材、二輪乃至四輪の自動車等に積載される大型電池用外装材などが含まれる。
ラミネートフィルムは、樹脂層間に金属層を介在した多層フィルムが用いられる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装材の形状に成形することができる。
金属製容器は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。合金中に鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属が含まれる場合、その量は100質量ppm以下にすることが好ましい。
2)正極205
正極205は、活物質を含む正極合剤が正極集電体の片面もしくは両面に担持された構造を有する。
前記正極合剤の片面の厚さは1.0μm〜150μmの範囲であることが電池の大電流放電特性とサイクル寿命の保持の点から望ましい。従って正極集電体の両面に担持されている場合は正極合剤の合計の厚さは20μm〜300μmの範囲となることが望ましい。片面のより好ましい範囲は30μm〜120μmである。この範囲であると大電流放電特性とサイクル寿命は向上する。
正極合剤は、正極活物質と正極活物質同士を結着する結着剤の他に導電剤を含んでいてもよい。
正極活物質としては、種々の酸化物、例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えばLiCOO)、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えばLiNi0.8CO0.2)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn、LiMnO)を用いると高電圧が得られるために好ましい。
導電剤としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などを挙げることができる。
結着材の具体例としては例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ弗化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、正極活物質80質量%以上95質量%以下、導電剤3質量%以上20質量%以下、結着剤2質量%以上7質量%以下の範囲にすることが、良好な大電流放電特性とサイクル寿命を得られるために好ましい。
集電体としては、多孔質構造の導電性基板かあるいは無孔の導電性基板を用いることができる。集電体の厚さは5μm以上20μm以下であることが望ましい。この範囲であると電極強度と軽量化のバランスがとれるからである。
正極205は、例えば活物質、導電剤及び結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体に塗布し、乾燥し、その後、プレスを施すことにより作製される。正極205はまた活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成して正極層とし、これを集電体上に形成することにより作製されてもよい。
3)負極203
負極203としては、第2の実施形態に記載した負極100を用いる。
4)電解質
電解質としては非水電解液、電解質含浸型ポリマー電解質、高分子電解質、あるいは無機固体電解質を用いることができる。
非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される液体状電解液で、電極群中の空隙に保持される。
非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)とPCやECより低粘度である非水溶媒(以下第2溶媒と称す)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが好ましい。
第2溶媒としては、例えば鎖状カーボンが好ましく、中でもジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン(BL)、アセトニトリル(AN)、酢酸エチル(EA)、トルエン、キシレンまたは、酢酸メチル(MA)等が挙げられる。これらの第2溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。特に、第2溶媒はドナー数が16.5以下であることがより好ましい。
第2溶媒の粘度は、25℃において2.8cmp以下であることが好ましい。混合溶媒中のエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は、体積比率で1.0%〜80%であることが好ましい。より好ましいエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は体積比率で20%〜75%である。
非水電解液に含まれる電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO)、六弗化リン酸リチウム(LiPF)、ホウ弗化リチウム(LiBF)、六弗化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CFSO]等のリチウム塩(電解質)が挙げられる。中でもLiPF、LiBFを用いるのが好ましい。
電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5mol/L以上2.0mol/L以下とすることが望ましい。
5)セパレータ204
非水電解液を用いる場合、および電解質含浸型ポリマー電解質を用いる場合においてはセパレータ204を用いることができる。セパレータ204は多孔質セパレータを用いる。セパレータ204の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリ弗化ビニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を用いることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため好ましい。
セパレータ204の厚さは、30μm以下にすることが好ましい。厚さが30μmを越えると、正負極間の距離が大きくなって内部抵抗が大きくなる恐れがある。また、厚さの下限値は、5μmにすることが好ましい。厚さを5μm未満にすると、セパレータ204の強度が著しく低下して内部ショートが生じやすくなる恐れがある。厚さの上限値は、25μmにすることがより好ましく、また、下限値は1.0μmにすることがより好ましい。
セパレータ204は、120℃の条件で1時間おいたときの熱収縮率が20%以下であることが好ましい。熱収縮率が20%を超えると、加熱により短絡が起こる可能性が大きくなる。熱収縮率は、15%以下にすることがより好ましい。
セパレータ204は、多孔度が30〜70%の範囲であることが好ましい。これは次のような理由によるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータ204において高い電解質保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が60%を超えると十分なセパレータ204強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35〜70%である。
セパレータ204は、空気透過率が500秒/1.00cm以下であると好ましい。空気透過率が500秒/1.00cmを超えると、セパレータ204において高いリチウムイオン移動度を得ることが困難になる恐れがある。また、空気透過率の下限値は、30秒/1.00cmである。空気透過率を30秒/1.00cm未満にすると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがあるからである。
空気透過率の上限値は300秒/1.00cmにすることがより好ましく、また、下限値は50秒/1.00cmにするとより好ましい。
第3の実施形態に係る非水電解質電池は、前述した図2および図3に示す構成のものに限らず、例えば、図4および図5に示す構成の電池であってもよい。図4は、第3の実施形態に係る別の扁平型非水電解質電池を模式的に示す部分切欠斜視図であり、図5は図4中に示したB部の拡大断面図である。
図4および図5に示す非水電解質電池300は、積層型電極群301が外装材302内に収納されて構成されている。積層型電極群301は、図5に示すように正極303と負極304とを、その間にセパレータ305を介在させながら交互に積層した構造を有する。
正極303は複数枚存在し、それぞれが正極集電体303aと、正極集電体303aの両面に担持された正極合剤層303bとを備える。正極合剤層303bには正極活物質が含有される。
負極304は複数枚存在し、それぞれが負極集電体304aと、負極集電体304aの両面に担持された負極合剤層304bとを備える。負極合剤層304bには負極活物質が含有される。各負極304の負極集電体304aは、一辺が負極304から突出している。突出した負極集電体304aは、帯状の負極端子306に電気的に接続されている。帯状の負極端子306の先端は、外装材302から外部に引き出されている。また、図示しないが、正極303の正極集電体303aは、負極集電体304aの突出辺と反対側に位置する辺が正極303から突出している。正極303から突出した正極集電体303aは、帯状の正極端子307に電気的に接続されている。帯状の正極端子307の先端は、負極端子306とは反対側に位置し、外装材302の辺から外部に引き出されている。
図4および図5に示す非水電解質電池300を構成する各部材の材質、配合比、寸法等は、図2および図3において説明した非水電解質電池200の各構成部材と同様の構成である。
以上説明した本実施形態によれば、非水電解質電池を提供することができる。
本実施形態に係る非水電解質電池は、負極と、正極と、非水電解質と、セパレータと、外装材と、を具備する。負極は、上述の第2の実施形態に係る非水電解質電池用電極活物質を用いて形成されている。このため、本実施形態に係る非水電解質電池は、高容量で優れたサイクル特性を示す。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る電池パックを説明する。
第4の実施形態に係る電池パックは、上記第3の実施形態に係る非水電解質電池(即ち、単電池)を1つ以上有する。電池パックに複数の単電池が含まれる場合、各単電池は、電気的に直列、並列、或いは、直列と並列に接続して配置される。
第4の実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、非水電解質電池の充放電を制御するものである。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用することもできる。
また、第4の実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、非水電解質電池からの電流を外部に出力するため、及び非水電解質電池に電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車の動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
図6および図7を参照して、第4の実施形態に係る電池パックを具体的に説明する。図6は第4の実施形態に係る電池パックの概念図であり、図7は第4の実施形態に係る電池パックの電気回路を示すブロック図である。図6に示す電池パック400においては、単電池401として図2に示す扁平型の非水電解質電池200を使用している。
複数の単電池401は、外部に延出した負極端子206及び正極端子207が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ402で締結することにより組電池403を構成している。これらの単電池401は、図6および図7に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板404は、負極端子206及び正極端子207が延出する単電池401側面と対向して配置されている。プリント配線基板404には、図7に示すようにサーミスタ405、保護回路406及び外部機器への通電用端子407が搭載されている。なお、組電池403と対向するプリント配線基板404の面には組電池403の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
正極側リード408は、組電池403の最下層に位置する正極端子207に接続され、その先端はプリント配線基板404の正極側コネクタ409に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード410は、組電池403の最上層に位置する負極端子206に接続され、その先端はプリント配線基板404の負極側コネクタ411に挿入されて電気的に接続されている。これらの正極側コネクタ409、負極側コネクタ411は、プリント配線基板404に形成された配線412、413を通して保護回路406に接続されている。
サーミスタ405は、単電池401の温度を検出するために用いられ、図6においては図示を省略しているが、単電池401の近傍に設けられると共に、その検出信号は保護回路406に送信される。保護回路406は、電池パック保護するために単電池401の充放電を制御するものである。所定の条件で保護回路406と外部機器への通電用端子407との間のプラス側配線414a及びマイナス側配線414bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ405の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単電池401の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池401もしくは単電池401全体について行われる。個々の単電池401を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池401中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図8及び図9の場合、単電池401それぞれに電圧検出のための配線415を接続し、これら配線415を通して検出信号が保護回路406に送信される。
図6に示すように、正極端子207及び負極端子206が突出する側面を除く組電池403の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート416がそれぞれ配置されている。
組電池403は、各保護シート416及びプリント配線基板404と共に収納容器417内に収納される。すなわち、収納容器417の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート416が配置され、短辺方向の保護シート416とは反対側の内側面にプリント配線基板404が配置される。組電池403は、保護シート416及びプリント配線基板404で囲まれた空間内に位置する。蓋418は、収納容器417の上面に取り付けられている。
なお、組電池403の固定には粘着テープ402に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
図6、図7においては単電池401を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには、単電池401を並列に接続しても、または直列接続と並列接続を組み合わせてもよい。組み上がった電池パックをさらに直列、並列に接続することもできる。
なお、電池パックの態様は用途により適宜変更される。電池パックの用途は、大電流を取り出したときに優れたサイクル特性を示すものが好ましい。具体的には、デジタルカメラの電源用や、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車等の車両に用いられる車載用が挙げられる。特に、高温特性の優れた非水電解質二次電池を用いた電池パックは車載用に好適に用いられる。電池パックを搭載した車両において、電池パックは、例えば、自動車の動力の回生エネルギーを回収するものである。
以上説明した本実施形態によれば、電池パックを提供することができる。
本実施形態に係る電池パックは、上記第3の実施形態に係る非水電解質電池を少なくとも1つ具備する。このため、本実施形態に係る電池パックは、高容量で優れたサイクル特性を示す。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、非水電解質電池用電極活物質は、SiOx(1.8≦x≦2.2)で表されるケイ素酸化物粒子と、炭素材料とを含む複合粒子である。ケイ素酸化物粒子は、ATR法により測定したIRスペクトルにおいて、800〜820cm−1の範囲に最大値を持つ第1のピーク、1030〜1050cm−1の範囲に最大値を持つ第2のピーク、1085〜1115cm−1の範囲に最大値を持つ第3のピーク、および1160〜1210cm−1の範囲に最大値を持つ第4のピークを有し、第2のピークの面積は、第1〜第4のピークの面積の合計に対して10%以上75%以下の範囲にある。本実施形態においては、ケイ素酸化物粒子が、上記のIRスペクトルを示す特徴的な表面構造を有することにより、放電容量とサイクル特性とに優れる非水電解質電池用電極活物質、非水電解質電池用電極、非水電解質電池及び電池パックを実現できる。
以下に具体的な実施例を挙げ、その効果について述べる。但し、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
テトラエトキシシランを水と混合し、生じた白色沈殿をろ過して、乾燥した後、1000℃で焼成して、ケイ素酸化物粉末を得た。得られたケイ素酸化物粉末は、SiOの組成を有するケイ素酸化物粉末であった。また、SEM観察によれば、得られたケイ素酸化物粉末の粒度分布計による平均粒径は120nmであった。
得られたケイ素酸化物粉末1.2g、黒鉛粉末0.3g、フルフリルアルコール2.4g、エタノール20gを混練してスラリー状とし、さらに希塩酸0.5gを加え、室温で放置した。得られた塊状物を加熱乾燥後、さらにAr雰囲気下1100℃で1時間焼成、冷却後に粉砕し、直径10μm径以下に分級することにより、電極活物質を得た。
得られた電極活物質を、空気下600℃5時間加熱することにより、白色のケイ素酸化物粉末を得た。得られた白色のケイ素酸化物粉末について、ATR法によりIRスペクトルを測定した。ATR法により得たIRスペクトルを横軸リニア波数としてOrigin(登録商標)で処理し、900cm−1および1300cm−1の吸光度をベースラインとして補正し、ガウス関数でピーク分離することにより、809cm−1(第1のピーク)、1048cm−1(第2のピーク)、1101cm−1(第3のピーク)、および1166cm−1(第4のピーク)に最大値を持つ4つのピークに分離した。第2のピーク面積を、4つのピーク面積の合算値に対する割合に換算したところ、55%であった。ベースライン補正前の600〜1500cm−1の領域における最大ピークの吸光度を1とした場合の900cm−1および1300cm−1における吸光度は0.02であった。
また、白色のケイ素酸化物粉末の粒度分布計による平均粒径は120nmであった。
得られた電極活物質0.6gを平均粒径3μmの黒鉛0.1gと混合し、ポリイミドを16質量%となるようにN−メチルピロリドン分散媒に溶解した溶液に混ぜ、自転・公転ミキサーを用いて混合した。得られたペースト状のスラリーを厚さ12μmの銅箔上に塗布して圧延した後、400℃で2時間、Arガス中にて熱処理し、電極を得た。
前記電極を20mm×20mmサイズに裁断した後、100℃で12時間、真空乾燥し、試験電極とした。対極および参照極を金属Li、電解液をLiN(CFSO(1M)のEC・DEC(体積比EC:DEC=1:2)溶液とした電池をアルゴン雰囲気中で作製し充放電試験を行った。
充放電試験の条件は、参照極と試験電極間の電位差0.01Vまで1mAの定電流で充電し、その後定電圧での充電を行った(CC/CV充電)。放電は、1mAの定電流で1.5Vまで行った(CC放電)。さらにその後、参照極と試験電極間の電位差0.01Vまで6mAの定電流で充電、その後定電圧で充電し、6mAの定電流で1.5Vまで放電するというサイクルを100回繰り返し、この6mAでの充放電の1回目の放電容量に対する100回目の放電容量の比を放電容量維持率とした。得られた電池の放電容量維持率は、94%であった。なお、放電容量維持率は、下記の式より算出した。
放電容量維持率(%)=(100回目の放電容量)/(1回目の放電容量)×100
以下の実施例および比較例については実施例1と異なる部分のみ説明し、その他の合成および評価手順については実施例1と同様に行ったので説明を省略する。
(実施例2)
ケイ酸ナトリウムを水に溶解し、塩酸を加えて生じた白色沈殿をろ過・乾燥・1000℃焼成し、ケイ素酸化物粉末を得た。得られたケイ素酸化物粉末は、SiOの組成を有するケイ素酸化物粉末であった。また、SEM観察によれば、得られたケイ素酸化物粉末の粒径は30nmであった。
得られたケイ素酸化物粉末から、実施例1と同様の手法により電極活物質・電池を作成した。得られた電池の放電容量維持率は、96%であった。
また、得られた電極活物質を、実施例1と同様の手法で酸化することにより、ケイ素酸化物粉末を得、IRスペクトルから算出した第2のピーク面積を、4つのピーク面積の合算値に対する割合に換算したところ、11%であった。ベースライン補正前の600〜1500cm−1の領域における最大ピークの吸光度を1とした場合の900cm−1および1300cm−1における吸光度は0.07であった。また、粒度分布計による平均粒径は30nmであった。
(実施例3)
ケイ酸ナトリウムを水に溶解し、塩酸を加えて生じた白色沈殿をろ過・乾燥・1000℃焼成し、第1のケイ素酸化物粉末を得た。得られた第1のケイ素酸化物粉末は、SiO2.1の組成を有するケイ素酸化物粉末であった。また、SEM観察によれば、得られた第1のケイ素酸化物の粒径は30nmであった。
テトラエトキシシランを水と混合し、生じた白色沈殿をろ過・乾燥・1000℃焼成し、第2のケイ素酸化物粉末を得た。得られた第2のケイ素酸化物粉末は、SiOの組成を有するケイ素酸化物粉末であった。また、SEM観察によれば、得られた第2のケイ素酸化物の粒径は120nmであった。
第1のケイ素酸化物と、第2のケイ素酸化物を、同一重量混合し、実施例1と同様の手法により電極活物質・電池を作成した。得られた電池の放電容量維持率は、95%であった。
得られた電極活物質を、実施例1と同様の手法で酸化することにより、ケイ素酸化物粉末を得、IRスペクトルから算出した第2のピーク面積を、4つのピーク面積の合算値に対する割合に換算したところ、26%であった。ベースライン補正前の600〜1500cm−1の領域における最大ピークの吸光度を1とした場合の900cm−1および1300cm−1における吸光度は0.04であった。また、粒度分布計によると、粒径30nmおよび120nmに二つのピークを有した。
(実施例4)
塩化ケイ素を水素炎中に噴射し、ケイ素酸化物粉末を得た。得られたケイ素酸化物粉末は、SiOの組成を有するケイ素酸化物粉末であった。また、SEM観察によれば、得られたケイ素酸化物粉末の粒径は20nmであった。
得られたケイ素酸化物粉末から、実施例1と同様の手法により電極活物質・電池を作成した。得られた電池の放電容量維持率は、90%であった。
得られた電極活物質を、実施例1と同様の手法で酸化することにより、ケイ素酸化物粉末を得、IRスペクトルから算出した第2のピーク面積を、4つのピーク面積の合算値に対する割合に換算したところ、11%であった。ベースライン補正前の600〜1500cm−1の領域における最大ピークの吸光度を1とした場合の900cm−1および1300cm−1における吸光度は0.07であった。また、粒度分布計による平均粒径は20nmであった。
(比較例1)
ケイ酸ナトリウムを水に溶解し、塩酸を加えて生じた白色沈殿をろ過・乾燥・1400℃焼成した後、粉砕することによりケイ素酸化物粉末を得た。得られたケイ素酸化物粉末は、SiOの組成を有するケイ素酸化物粉末であった。また、SEM観察によれば、ケイ素酸化物の粒径は200nmであった。
得られたケイ素酸化物から、実施例1と同様の手法により電極活物質・電池を作成した。得られた電池の放電容量維持率は、81%であった。
得られた電極活物質を、実施例1と同様の手法で酸化することにより、ケイ素酸化物粉末を得た。IRスペクトルを測定し、Origin(登録商標)で処理、900cm−1および1300cm−1の吸光度をベースラインとして補正し、ガウス関数でピーク分離したところ、800〜820cm−1の範囲にピーク(第1のピーク)が存在しなかった。ベースライン補正前の600〜1500cm−1の領域における最大ピークの吸光度を1とした場合の900cm−1の吸光度は0.3、1300cm−1における吸光度は0.05であり、800〜820cm−1の吸光度はベースラインよりマイナスの値を示した。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
100…負極、101…負極集電体、102…負極合剤層、200…非水電解質電池、201…捲回電極群、202…袋状外装材、203…負極、203a…負極集電体、203b…負極合剤層、204…セパレータ、205…正極、205a…正極集電体、205b…正極合剤層、206…負極端子、207…正極端子、300…非水電解質電池、301…積層型電極群、302…外装材、303…正極、303a…正極集電体、303b…正極合剤層、304…負極、304a…負極集電体、304b…負極合剤層、305…セパレータ、306…負極端子、307…正極端子、400…電池パック、401…単電池、402…粘着テープ、403…組電池、404…プリント配線基板、405…サーミスタ、406…保護回路、407…通電用端子、408…正極側リード、409…正極側コネクタ、410…負極側リード、411…負極側コネクタ、412…配線、413…配線、414a…プラス側配線、414b…マイナス側配線、415…配線、416…保護シート、417…収納容器、418…蓋

Claims (9)

  1. SiOx(1.8≦x≦2.2)で表されるケイ素酸化物粒子と、炭素材料とを含み、
    前記ケイ素酸化物粒子は、全反射測定法により測定した赤外吸収スペクトルにおいて、
    800〜820cm−1の範囲に最大値を持つ第1のピーク、1030〜1050cm−1の範囲に最大値を持つ第2のピーク、1085〜1115cm−1の範囲に最大値を持つ第3のピーク、および1160〜1210cm−1の範囲に最大値を持つ第4のピークを有し、
    前記第2のピークの面積が、前記第1〜第4のピークの面積の合計に対して10%以上75%以下の範囲にある非水電解質電池用電極活物質。
  2. 前記ケイ素酸化物粒子は、
    粒径が20nm以上100nm未満の範囲にある第1の領域、および粒径が100nm以上600nm以下の範囲にある第2の領域のそれぞれにピークを有する粒度分布を有することを特徴とする、請求項1に記載の非水電解質電池用電極活物質。
  3. 前記炭素材料は、
    粉末X線回折法によって測定される結晶面間隔d002が、0.337nm以上0.430nm以下の範囲にある請求項1または2に記載の非水電解質電池用電極活物質。
  4. さらに、SiOy(y≦0.2)で表されるケイ素粒子を含み、
    前記ケイ素酸化物粒子の平均粒径をD1、前記ケイ素粒子の平均粒径をD2としたとき、D2とD1との比であるD2/D1が0.5以上0.8以下の範囲にある請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非水電解質電池用電極活物質。
  5. さらに、炭化ケイ素を含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非水電解質電池用電極活物質。
  6. 集電体と、前記集電体の片面あるいは両面に形成されている電極合剤層と、を備え、
    前記電極合剤層が請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非水電解質電池用電極活物質、導電剤および結着剤を含有する非水電解質電池用電極。
  7. 外装材と、前記外装材内に収納された正極と、前記外装材内において、前記正極と空間的に離間して、セパレータを介して収納された負極と、前記外装材内に充填された非水電解質と、を具備し、
    前記負極は、請求項6に記載の非水電解質電池用電極からなる非水電解質電池。
  8. 請求項7に記載の非水電解質電池を具備する電池パック。
  9. 通電用の外部端子と、保護回路とをさらに含む請求項8に記載の電池パック。
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