JP2017167543A - 合成ダイヤモンド光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】合成ダイヤモンド光学素子の代替物を提供する。【解決手段】光学素子であって、合成ダイヤモンド材料と、合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された反射防止表面パターンとを有し、光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で0.5cm-1以下の吸収係数を有し、光学素子は、少なくとも1つの表面のところに光学素子の動作周波数で2%以下の反射率を有し、光学素子は、次の特性のうちの一方又は両方を満たすレーザ誘導損傷しきい値を有し、これら特性は、レーザ誘導損傷しきい値がパルス持続時間を100ns、パルス繰り返し周波数を1〜10Hzの範囲として波長10.6μmのパルスレーザを用いて測定して少なくとも30Jcm-2であるという特性及びレーザ誘導損傷しきい値が波長10.6μmの連続波レーザを用いて測定して少なくとも1MW/cm2であるという特性であることを特徴とする光学素子。【選択図】図1

Description

本発明は、合成ダイヤモンド光学素子、特に、薄膜の反射防止膜を有する合成ダイヤモンド光学素子の代替物の提供に関する。特定の実施形態は、ハイパワー(high power)光学用途に適した光学特性、熱的特性、及び機械的特性を備えた合成ダイヤモンド光学素子に関するが、本明細書において説明する合成ダイヤモンド光学素子は、反射防止膜を設けることが機械的堅牢さ、化学的不活性、低吸光度、及び高い熱伝導率を含む要因に起因して望ましくない他の用途で使用できる。
合成ダイヤモンド光学素子に施される標準型の薄膜の反射防止膜は、反射を最小限に抑えるという面で優れた性能を有するが、ハイパワー光学系では、かかる反射防止膜が損傷を受けやすいのでこれらの使用が制限される。高い吸光度及び/又は貧弱な又は低い熱伝導率に起因して、反射防止膜は、どのような合成ダイヤモンド窓においても弱点になる傾向があり、その結果、低いレーザ誘導損傷しきい値(LIDT)の合成ダイヤモンド窓が生じる。さらに、薄膜反射防止膜の吸光レベルが比較的低い場合であっても、薄膜は、高パワー密度光学用途では依然として破損する場合がある。例えば、20kWレーザシステムの場合、薄膜反射防止膜の損傷は、問題であり、現行の技術的手段としての薄膜反射防止膜は、40kW以上で動作するレーザシステムと適合性のあることはまずない。かかるハイパワーレーザシステムは、集積回路加工を小さな寸法に合わせて行うためにレーザ誘導プラズマ(LPP)極紫外線(EUV)リソグラフィシステムを含む多くの用途にとって望ましい。かかる極端な光学用途は、極端に高いパワー密度を取り扱うことができる合成ダイヤモンド窓を必要とするが、これには、(1)所要の寸法及び低い光学反射率/吸収(吸光)度/散乱量を含む所望のバルク光学特性を備えた合成ダイヤモンド材料、及び(2)極端に高いパワー密度を取り扱うことができる反射防止表面仕上げの組み合わせが必要である。薄膜反射防止膜は、例えば引っ掻き又は研磨を受ける場合、これらの機械的健全性の面でも問題となる場合がある。
薄膜反射防止膜の代替手段として、反射防止表面パターン、例えばモスアイ(moth-eye)型構造体を光学窓材料の表面内に直接形成することが知られており、その目的は、被膜を必要としないで反射防止表面仕上げを提供することができるからである。かかる反射防止表面パターンが或る範囲の光学窓材料に首尾良く作製されたが、合成ダイヤモンド窓へのこの技術の利用は、課題となることが判明した。かかる表面仕上げの反射防止性能は、ダイヤモンド材料の極端に高い硬度及び低い靱性のために正確に規定された表面パターンをダイヤモンド材料中に加工する際の困難に起因して変化しやすかった。さらに、反射防止表面構造体をダイヤモンド材料中に形成するのに必要な処理方法の結果として、相当な表面及び表面下結晶損傷がダイヤモンド材料中に生じた。合成ダイヤモンド窓中のこの表面及び表面下損傷により、多くの相互に関連する悪影響が生じ、かかる悪影響としては、(1)合成ダイヤモンド窓のレーザ誘導損傷しきい値の減少、(2)合成ダイヤモンド窓の動作可能なパワーの減少、及び(3)表面及び表面下損傷により生じるビーム収差の結果として合成ダイヤモンド窓の光学性能の低下が挙げられる。したがって、表面及び表面下結晶損傷を生じさせることなく合成ダイヤモンド窓中に正確に規定された反射防止表面構造体を形成して低吸収度、低反射率、高いレーザ誘導損傷しきい値及び合成ダイヤモンド窓を通る透過の際のビーム収差を最小限に抑えた高い光学性能を有する合成ダイヤモンド窓を達成する方法を開発することが望ましい。加うるに、低コストであり、既存の材料加工と適合性があり、しかも広い面積にわたってスケール変更可能なプロセスを提供することが望ましい。
上述の説明と関連して、多くの先行技術文献が反射防止表面構造体を以下に説明するようにダイヤモンド窓材料中に作製する技術を開示している。しかしながら、上述した特徴の組み合わせを達成した先行技術は存在していないと思われる。
「マテリアルズ・フォア・インフラレッド・ウィンドウズ・アンド・ドームズ(Materials for Infrared Windows and Domes)」[(ダニエル・ハリス(Daniel Harris),ジ・インターナショナル・ソサエティ・フォア・オプティカル・エンジニアリング(The International Society for Optical Engineering),1999年]において、セクション6.1.1では、モスアイ型表面構造体をダイヤモンド材料中に直接形成して反射を減少させることができるということが開示されている。この場合、かかる表面構造体は、最初に逆モスアイ型構造体をリソグラフィ技術によりシリコン中にエッチングし、次に化学気相成長によりダイヤモンド材料をエッチングされた表面上に成長させることによって作製できることが開示されている。次に、シリコンを溶解させてモスアイ型構造体を備えたダイヤモンド材料を残す。平坦な外面を備えた外側ダイヤモンド層を含む多層構造体が10μmの波長で約18%の反射率を有することが記載されており、外側ダイヤモンド層の前側フェースからの単一表面反射率(15%)の方がこの反射率よりも勝っている。平坦なダイヤモンド外面に代えてモスアイ型構造体を用いた場合、反射率は、10μmの波長では7%に減少する。
この方式に関する1つの問題は、反射率が依然として比較的高いことであり、これは、逆モスアイ型構造体を基板中にエッチングし、次にダイヤモンド材料を化学気相成長によりエッチングされた表面上で成長させる技術によってはダイヤモンド材料中に正確に規定された反射防止構造体を容易には達成することができないことに起因している。さらに、パターン付けされた基板上でのダイヤモンド材料の成長により、ダイヤモンド材料内に結晶欠陥、例えば転位が増加する場合があり、かかる結晶欠陥は、ダイヤモンド材料の光学的性質に悪影響を及ぼす。この方式の更にもう1つの弱点は、最初の光学素子が熱コンダクタンスが減少すると共に光吸収度が増大した初期核生成ダイヤモンドを不可避的に含むことになるということにある。
米国特許第5,334,342号明細書は、逆モスアイ型構造体を基板中にパターン付けし、ダイヤモンド材料をパターン付けされた基板上で成長させ、次に基板を除去してモスアイ型表面構造体を備えたダイヤモンド材料を残すことによってダイヤモンド材料中にモスアイ型表面構造体を作製する同様な方法を開示している。
ジェイ・エフ・デナターレ他(J. F. DeNatale et al.),[「ファブリケーション・アンド・キャラクタライゼイション・オブ・ダイアモンド・モス・アイ・アンチリフレクティブ・サーフェス・オン・ゲルマニウム(Fabrication and characterization of diamond moth eye antireflective surfaces on Germanium)」,ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス71(J. Appl. Phys. 71 ),1992年,p.1388]は、ゲルマニウム基板に表面レリーフ(モスアイ)構造体をパターン付けし、次に薄いダイヤモンド膜をパターン付けされた基板上で過剰に成長させて薄いダイヤモンド膜がパターン付けされた基板の下に位置する表面構造体を保持するようにすることによる同様な方式を開示している。空気と複合材基板との間の有効屈折率の漸次変化は、フレネル反射損失を1%未満まで減少させたことが記載されている。これは、多結晶ダイヤモンド薄膜の光学用途を制限する場合の多い高い屈折率及び表面粗さに関する課題を解決する手段となる。しかしながら、かかるモスアイ型構造体を自立型ダイヤモンド窓中にどのように作製するかについての開示はなく、反射損失を1%未満まで減少させたが、ダイヤモンド材料の品質に敏感であるダイヤモンド材料のレーザ誘導損傷しきい値についての開示は、存在しない。ダイヤモンド材料の品質は、この場合、品質が劣るようになる恐れがある。というのは、ダイヤモンド材料をパターン付けされたゲルマニウム基板上で成長させるからである。
ティー・ブイ・コノネンコ(T. V. Kononenko),[「フォーメイション・オブ・アンチリフレクティブ・サーフェス・ストラクチャーズ・オン・ダイアモンド・フィルムズ・バイ・レーザ・パターニング(Formation of antireflective surface structures on diamond films by laser patterning)」,アプライド・フィジックスA(Applied Physics A),1999年1月,第68巻,第1号,p.99〜102]は、上述した先行技術で開示されている基板パターン付け及びダイヤモンド過剰成長技術の代替手段を開示している。この論文は、レーザアブレーション技術によるダイヤモンド表面微細構造化を記載している。ダイヤモンド膜の光透過率は、レーザアブレーションにより微細構造化表面を形成することによって10.6μmの波長で70%から80%に増大することが判明した。
ダグラス・ホッブス(Douglas Hobbs),[「スタディ・オブ・ジ・エンバイロメンタル・アンド・オプティカル・デュラビリティ・オブ・AR・マイクロストラクチャーズ・イン・サファイア・ALON・アンド・ダイアモンド(Study of the Environmental and Optical Durability of AR Microstructures in Sapphire, ALON, and Diamond)」,www.telaztec.com]も又、ダイヤモンド材料中へのモスアイ型反射防止表面微細構造体の直接的な作製を報告している。未処理のダイヤモンド膜について約70%という値と比較して10μmの波長で約80%の透過率を有する反射防止表面構造体を備えたダイヤモンド窓が作製されたことが報告されている。これらの結果は、ダイヤモンド表面をパターン付けするためのレーザアブレーション技術を用いるコノネンコによって報告された結果とほぼ同じであるように思われる。
ホッブスは又、パルス長さが100nsでありパルス繰り返し周波数が4Hzの状態で9.56μmで動作するパルスCO2レーザを用いてレーザ誘導損傷しきい値について反射防止微細構造化ダイヤモンド窓について試験したことを開示している。試験結果は、ダイヤモンド材料の性状に起因して変化しやすく且つ一貫しなかったが、測定した損傷しきい値が50〜100J/cm2の範囲にあり、これが薄膜反射防止膜で達成できるレベルよりも非常に高いレベルであることが示されている。
2つの重要なポイントをホッブスの論文から注目することができる。第1に、80%という透過率の値は、依然としてかなり低く、このことは、ダイヤモンド材料の品質が比較的貧弱であり、ダイヤモンド窓内に作製された表面構造体が正確には規定されていないことを示しており、或いは、相当大きな表面又は表面下損傷が反射防止表面微細構造体を形成する際にダイヤモンド結晶構造体中にもたらされたことを示している。第2に、この論文は、反射防止表面構造体をダイヤモンド窓内にどのように作製したかを示していない。
反射防止表面構造体をダイヤモンド窓内に作製する上述の方法では、基板のパターン付け及びダイヤモンド過剰成長かレーザアブレーションによる直接パターン付けかのいずれかが行われる。別の技術は、反射防止表面構造体をダイヤモンド窓中に直接エッチングすることである。例えば、スウェーデン国のウプサラ大学から発行された種々の刊行物は、ダイヤモンド材料中への表面構造体の誘導結合プラズマエッチングに的を絞っており、かかる刊行物としては、エム・カールソン(M. Karlsson),ケイ・ヨルト(K. Hjort),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「トランスファ・オブ・コンティニュアス-レリーフ・ディフラクティブ・ストラクチャーズ・イントゥ・ダイアモンド・バイ・ユーズ・オブ・インダクティブリー・カップルド・プラズマ・ドライ・エッチング(Transfer of continuous-relief diffractive structures into diamond by use of inductively coupled plasma dry etching)」,オプティクス・レターズ26(Optics Letters 26 ),2001年,p.1752〜1754、エム・カールソン(M. Karlsson),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「ファブリケーション・アンド・エバリュエーション・オブ・ア・ダイアモンド・ディフラクテイブ・ファン-アウト・エレメント・フォア・ハイ・パワー・レーザーズ(Fabrication and evaluation of a diamond diffractive fan-out element for high power lasers )」,オプティクス・エクスプレス11(Opt. Express 11),2003年,p.191〜198、及びエム・カールソン(M. Karlsson),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「ダイアモンド・マイクロ-オプティクス:マイクロレンジズ・アンド・アンチリフレクション・ストラクチャード・サーフェス・フォア・ジ・インフラレッド・スペクトラル・リジョン(Diamond micro-optics: Microlenses and antireflection structured surfaces for the infrared spectral region)」,オプティクス・エクスプレス11(Opt. Express 11),2003年,p.502〜507が挙げられる。
ウプサラグループは、ダイヤモンドを利用したオプティクスが耐損傷性、熱的レンズ効果の減少及びUV領域から遠IRスペクトル領域までの透明性に起因してハイパワーレーザオプティクスに関して魅力的な代替手段を提供している。ウプサラグループは、ダイヤモンドを利用したオプティクスのための良好な表面パターン付けの必要性を強調すると共に誘導結合プラズマエッチング方式を提案しており、かかる誘導結合プラズマエッチング方式では、直接描画式電子ビームリソグラフィを用いてレジスト層を光学品質の合成ダイヤモンド上にパターン付けし、次に、誘導結合プラズマ(ICP)内でドライエッチングする。ダイヤモンドエッチングに用いられるガスは、O2及びArであり、典型的なICPエッチング方式が7sccm(毎分標準立方センチメートル)のO2及び8sccmのArのガス流量、2.5mTorrのチャンバ圧力、600WのICPパワー、−100〜−180Vの間で変化するバイアス電圧、2〜20分のサンプルエッチング時間を含むものとして開示されている。
サブ波長を反射防止構造体を正確に設計してこれらをダイヤモンド窓の両側上に作製することによって、10.6μmの波長での透過率を71%(非構造化ダイヤモンド)からほぼ97%(微細構造化ダイヤモンドの場合)に増大させることが可能であることが示された。透過率のこの向上は、散乱された高い光パワーの一部分であっても、これにより深刻な問題が生じる場合のあるハイパワーレーザにとっては極めて重要であることが示されている。この技術の用途は、ネオジムヤグ(neodymium-doped yttrium aluminum garnet)(Nd:YAG)又はCO2レーザのための取り出し窓、サテライト窓(satellite windows)を含むと共に、X線オプティクス内で用いられるものとして記載されている。これらの用途では、駆動要因が主として、高い熱伝導率、高いレーザ損傷しきい値、及び光学窓の高い耐摩耗性であることが示されている。
反射防止表面構造体をダイヤモンド窓中に作製する際の上述の技術的進歩にもかかわらず、反射防止表面構造体を改良する必要性が依然として存在する。表面及び表面下結晶損傷を生じさせないで正確に規定された反射防止表面構造体を合成ダイヤモンド窓中に形成して低い反射率、高いレーザ誘導損傷しきい値、及び合成ダイヤモンド窓の透過の際のビーム収差を最小限に抑えた状態の高い光学性能を有する合成ダイヤモンド窓を達成することが望ましい。この点に関し、多くの先行技術文献は、上述したように反射防止表面構造体をダイヤモンド窓材料中に作製する技術を開示しているが、特徴のこの望ましい組み合わせを達成した先行技術は存在していないと考えられる。さらに、エッチングに先立つレジストのパターン付けのための直接描画式電子ビームリソグラフィプロセスは、時間がかかりしかも費用が嵩むことも又注目された。
米国特許第5,334,342号明細書
ダニエル・ハリス(Daniel Harris),「マテリアルズ・フォア・インフラレッド・ウィンドウズ・アンド・ドームズ(Materials for Infrared Windows and Domes)」ジ・インターナショナル・ソサエティ・フォア・オプティカル・エンジニアリング(The International Society for Optical Engineering),1999年 ジェイ・エフ・デナターレ他(J. F. DeNatale et al.),「ファブリケーション・アンド・キャラクタライゼイション・オブ・ダイアモンド・モス・アイ・アンチリフレクティブ・サーフェス・オン・ゲルマニウム(Fabrication and characterization of diamond moth eye antireflective surfaces on Germanium)」,ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス71(J. Appl. Phys. 71 ),1992年,p.1388 ティー・ブイ・コノネンコ(T. V. Kononenko),「フォーメイション・オブ・アンチリフレクティブ・サーフェス・ストラクチャーズ・オン・ダイアモンド・フィルムズ・バイ・レーザ・パターニング(Formation of antireflective surface structures on diamond films by laser patterning)」,アプライド・フィジックスA(Applied Physics A ),1999年1月,第68巻,第1号,p.99〜102 ダグラス・ホッブス(Douglas Hobbs),「スタディ・オブ・ジ・エンバイロメンタル・アンド・オプティカル・デュラビリティ・オブ・AR・マイクロストラクチャーズ・イン・サファイア・ALON・アンド・ダイアモンド(Study of the Environmental and Optical Durability of AR Microstructures in Sapphire, ALON, and Diamond)」,www.telaztec.com エム・カールソン(M. Karlsson),ケイ・ヨルト(K. Hjort),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「トランスファ・オブ・コンティニュアス-レリーフ・ディフラクティブ・ストラクチャーズ・イントゥ・ダイアモンド・バイ・ユーズ・オブ・インダクティブリー・カップルド・プラズマ・ドライ・エッチング(Transfer of continuous-relief diffractive structures into diamond by use of inductively coupled plasma dry etching)」,オプティクス・レターズ26(Optics Letters 26 ),2001年,p.1752〜1754 エム・カールソン(M. Karlsson),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「ファブリケーション・アンド・エバリュエーション・オブ・ア・ダイアモンド・ディフラクテイブ・ファン-アウト・エレメント・フォア・ハイ・パワー・レーザーズ(Fabrication and evaluation of a diamond diffractive fan-out element for high power lasers)」,オプティクス・エクスプレス11(Opt. Express 11),2003年,p.191〜198 エム・カールソン(M. Karlsson),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「ダイアモンド・マイクロ-オプティクス:マイクロレンジズ・アンド・アンチリフレクション・ストラクチャード・サーフェス・フォア・ジ・インフラレッド・スペクトラル・リジョン(Diamond micro-optics: Microlenses and antireflection structured surfaces for the infrared spectral region)」,オプティクス・エクスプレス11(Opt. Express 11 ),2003年,p.502〜507
上述の内容に照らして、本発明の実施形態の目的は、合成ダイヤモンド材料の表面上に直接形成された反射防止表面パターンを有すると共に低吸光度及び低屈折率を有する一方で、僅かな表面及び表面下結晶損傷を有し、かくして高いレーザ誘導損傷しきい値を示す合成ダイヤモンド光学素子を提供することにある。もう1つの目的は、かかる反射防止表面パターンをダイヤモンド材料内に作製する技術であって、比較的迅速であり且つ低コストの技術を開発することにある。
本発明の第1の観点によれば、光学素子であって、
合成ダイヤモンド材料と、
合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された反射防止表面パターンとを有し、
光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で0.5cm-1以下の吸収係数を有し、
光学素子は、少なくとも1つの表面のところに光学素子の動作周波数で2%以下の反射率を有し、
光学素子は、次の特性のうちの一方又は両方を満たすレーザ誘導損傷しきい値を有し、特性は、
レーザ誘導損傷しきい値がパルス持続時間を100ns、パルス繰り返し周波数を1〜10Hzの範囲として波長10.6μmのパルスレーザを用いて測定して少なくとも30Jcm-2であるという特性、及び
レーザ誘導損傷しきい値が波長10.6μmの連続波レーザを用いて測定して少なくとも1MW/cm2であるという特性であることを特徴とする光学素子が提供される。
本発明の第2の観点によれば、光学系であって、
上述の光学素子と、
光を少なくとも20kWのパワーで発生させ、光学素子を通って光を透過させるよう構成された光源とを含むことを特徴とする光学系が提供される。
次に、本発明を一層良く理解するため、そして本発明をどのようにすれば実施することができるかを示すために、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、これは例示であるに過ぎない。
合成ダイヤモンド材料から成る光学素子を作製する方法の概略流れ図であり、反射防止表面仕上げパターンが合成ダイヤモンド材料の表面中に直接形成される状態を示す図である。 ハイパワーレーザ源及び合成ダイヤモンド材料で形成された光学素子を含むハイパワーレーザシステムの略図であり、反射防止表面パターンが合成ダイヤモンド材料の表面中に直接形成された状態を示す図である。
本発明者は、量子センシング及び量子情報処理の分野における高純度単結晶CVDダイヤモンド材料の処理における最近の開発を本明細書の背景技術の項において概要説明した課題を解決して低反射率及び高透過率を有する一方で更に表面及び表面下結晶損傷が僅かであり、かくして高いレーザ誘導損傷しきい値を示す合成ダイヤモンド光学素子の作製を達成するようハイパワー多結晶CVDダイヤモンドレーザオプティクスに転用することができるということを認識した。
量子センシング及び量子情報処理分野における高純度単結晶CVDダイヤモンド材料の使用に対する研究は、ダイヤモンド結晶格子内に見受けられる特定種類の点欠陥、即ち、負に帯電した窒素-空孔欠陥(NV-)に的が絞られている。NV-欠陥は、量子ビットとして又は別法として量子センシング素子として機能するよう操作できる電子スピンを有する。NV-欠陥は、マイクロ波を用いて光学的に励起され、操作されることが可能であり、かかるNV-欠陥は、その電子スピン状態に特有の蛍光を出す。
量子センシング及び量子情報処理用途に関する一要件は、NV-電子スピン欠陥が長い量子コヒーレンス時間を有することが必要であるということであり、このためには、NV-電子スピン欠陥を結晶欠陥の低い濃度を有すると共に小さい内部応力を有する非常に純粋なダイヤモンド格子環境内に配置することが必要であり、もしそうでなければ、かかる非常に純粋なダイヤモンド格子環境は、ダイヤモンド結晶格子内に設けられているNV-スピン欠陥の量子コヒーレンス時間を有害なほど減少させる場合がある。量子センシング及び量子情報処理用途に関するもう1つの要件は、NV-電子スピン欠陥から放出された蛍光がダイヤモンド材料から適当な構成のプロセッサ又は検出器に効率的に取り出される必要があるということにあり、この点に関し、ナノワイヤ、光導波路構造体、及びフォトニック共振器構造体をダイヤモンド材料中に作製してNV-電子スピン欠陥から放出された光量子を効果的に取り出すことが望ましい。誘導結合プラズマエッチング(ウプサラ・ユニバーシティ(Uppsala University)により用いられ、そして本明細書の背景技術の項で上述した誘導結合プラズマエッチングとほぼ同じである)がかかる光学構造体を作製するために用いられている。しかしながら、作製プロセスは、表面及び表面下損傷をダイヤモンド結晶構造中に生じさせ、かかる損傷が光学表面構造体に結合された表面近くのところのNV-電子スピン欠陥の量子コヒーレンス時間に悪影響を及ぼすことが判明した。さらに、望ましい表面構造体の品質及び所望の表面構造体相互間の望ましくないエッチンググラス(etch grass)の形成は、用いられるエッチングマスクのタイプ及びエッチング条件に敏感であることが判明した。したがって、ダイヤモンド量子デバイスのための構造体を開発するグループによる最近の研究は、相当な量の表面及び表面下損傷をダイヤモンド結晶構造体中にもたらさないで、表面近くのNV-電子スピン欠陥のための光学取り出し構造体の作製を可能にすると同時に光学構造体相互間に望ましくないエッチンググラスを生じさせないでダイヤモンド表面中に明確に規定された光学構造体を達成するために誘導結合(ICP)エッチングプロセスを改良することに的が絞られた。この研究は、多くの刊行物に記載されており、かかる刊行物としては、ビー・ハウスマン他(B. Hausmann et al.),「ファブリケーション・オブ・ダイアモンド・ナノワイヤズ・フォア・クアンタム・インフォメーション・プロセッシング・アプリケーション(Fabrication of diamond nanowires for quantum information processing applications)」,ダイアモンド・アンド・リレイティッド・マテリアルズ19(Diamond and Related Materials 19),2010年,p.621〜629、エム・ブレク他(M. Burek et al.),「フリー-スタンディング・メカニカル・アンド・フォトニック・ナノストラクチャーズ・イン・シングル・クリスタル・ダイアモンド(Free-standing mechanical and photonic nanostructures in single crystal diamond)」,ナノ・レターズ(Nano Lett.),2012年、及び米国特許出願公開第2001/0309265号明細書が挙げられる。
ダイヤモンド量子デバイスのための構造体を開発しているグループは、相当な量の表面及び表面下結晶損傷をダイヤモンド結晶構造体中にもたらすことなく光学取り出し構造体を単結晶CVDダイヤモンド材料内に作製するガス流量、ICPパワー、及び圧力の多種多様な組み合わせにより実験した。例えば、以下の誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP RIE)方式がこの目的に適しているものとして文献に報告されており、即ち、酸素エッチング剤が30〜50sccmO2の酸素ガス流量を有し、チャンバ圧力が約10mTorrであり、ICPパワーが約700Wであった。このエッチング方式は、極めて明確に規定された表面構造体の形成を可能にする一方で、所望の表面構造体相互間のエッチンググラスの形成を回避していることが報告されている。加うるに、ダイヤモンド表面中のエッチングされた光学構造体の形状及び量は、エッチングプロセス中、ICPパワーを変化させることによって制御できるということが報告されている。例えば、単結晶CVDダイヤモンド材料の表面中におけるナノワイヤの作製にあたり、700WのICPパワーを2分間かけ、600WのICPパワーを3分間かけ、そして1000WのICPパワーを5分間かけるマルチステップICP RIEプロセスが報告されている。さらに又、Al23粒子、Au粒子、SiO2粒子、蒸発AU及びFOx 電子ビームレジストを含む多種多様なエッチングマスクがダイヤモンド量子デバイス関連文献に報告されている。
上述の説明に照らして、ダイヤモンド格子中の欠陥を利用したダイヤモンド量子デバイス用の構造体を開発しているグループは、ダイヤモンド材料中に明確に規定された表面構造体を形成することができるICP RIEプロセスを首尾良く開発したことが明らかであり、その場合、かかる構造体相互間には望ましくないエッチンググラスが形成されることなく、しかも多量の表面及び表面下結晶損傷がもたらされることがなかった。この技術は、特に、NV-電子スピン欠陥から放出された光量子を効果的に取り出すことを目的としたダイヤモンド材料中へのナノワイヤ、光導波路構造体、及びフォトニック共振器構造体の形成を含む量子センシング及び量子情報処理用途においてNV-電子スピン欠陥から放出された蛍光を効果的に取り出すために開発された。
本発明者は、例えば量子センシング及び量子情報処理用途においてナノワイヤ、光導波路構造体、及びフォトニック共振器構造体のような取り出し構造体に関する要件がハイパワーレーザ用途に適した透過型ダイヤモンド窓内への良好な反射防止表面パターンの作製に関する要件に非常に似ているということを認識した。即ち、量子センシング及び量子情報処理用途向きに開発されたエッチング技術を透過型オプティクスの分野に転用し、それにより合成ダイヤモンド窓の表面内に直接形成された反射防止表面パターン、例えばモスアイ型パターンを有し、低い反射率及び高い透過率を有する一方で更に、僅かな表面及び表面下結晶損傷を有し、かくして高いレーザ誘導損傷しきい値を示すハイパワーレーザ用途向けの合成ダイヤモンド窓を提供することができる。量子センシング及び量子情報処理用途向きに開発されたエッチング技術は、蛍光NV-欠陥を含む単結晶CVDダイヤモンド材料中にナノワイヤ、光導波路構造体、及びフォトニック共振器構造体をエッチングするために利用されるが、本発明の実施形態によれば、かかるエッチング技術を低吸収率光学的特性のダイヤモンド材料、例えば高品質多結晶CVDダイヤモンド材料に利用してかかるダイヤモンド材料内に表面損傷の少ない反射防止表面仕上げ、例えばモスアイ型構造体を作製し、かくして低吸収度と低反射率と高いレーザ誘導損傷しきい値の組み合わせを有する光学素子を製造する。
図1に示されているように、光学素子の作製方法が提供されており、この方法は、
パターン付けレジスト層2を合成ダイヤモンド材料4の少なくとも1つの表面上に形成するステップと、
パターン付けレジスト層2を介して合成ダイヤモンド材料4の少なくとも1つの表面をエッチングする(3)ステップと、
パターン付けレジスト層を除去して合成ダイヤモンド材料4の少なくとも1つの表面中に直接形成された反射防止表面パターン6を残すステップとを含み、
エッチングは、例えば、酸素ガス流量が20〜50sccmO2、チャンバ圧力が5〜20mTorr、ICPパワーが600〜1100Wの誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP RIE)プロセスから成る。
オプションとして、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングプロセスは、25〜35sccmO2の酸素流量、7〜15mTorrのチャンバ圧力、及び700〜1000WのICPパワーのうちの1つ又は2つ以上を含む。誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングプロセスは、反射防止表面パターンの表面プロフィールを制御するために種々のICPパワーを含む多数のステップを更に含むのが良い。さらに、パターン付けされたレジスト層は、Al23粒子、Au粒子、SiO2粒子、蒸発Au、及びFOx 電子ビームレジストのうちの1つで形成されるのが良い。実際には、レジストは、制御されたマクロエッチングに対して耐性があるよう選択される。例えば、レジストは、2μm以上、4μm以上、6μm以上、8μm以上、又は10μm以上の高さを備えた表面エッチング特徴部の形成と適合性があるよう選択されるのが良い。
上述した説明に加えて、背景技術の項で説明した或る特定の先行技術の方式は、エッチングに先立ってレジストのパターン付けのための直接描画式電子ビームリソグラフィプロセスを利用していることが注目された、この直接描画式電子ビームリソグラフィプロセスは、幾分時間がかかり、しかも費用が嵩む。したがって、レジスト層をパターン付けする迅速且つ費用効果の良い方式を提供することができる1つの別のオプションによれば、干渉リソグラフィ技術を用いてパターン付けされたレジスト層を形成することが提案される。当該技術分野においては、他の材料中にモスアイ(moth eye)型反射防止構造体を形成するための干渉リソグラフィ技術が既に知られている。例えば、Telaztec(商標)は、或る範囲の材料中にモスアイ型反射防止構造体を作製するためにこの方式を利用している。ここでは、レジスト層をパターン付けするかかる干渉リソグラフィ技術をハイパワーレーザ用途向きの低吸収度、低反射率、及び高いレーザ誘導損傷しきい値を備えたダイヤモンド光学窓を作製する商用的に有用な仕方を提供する方式として僅かな表面/表面下結晶損傷エッチング技術と組み合わせるのが良いことが提案される。
上述の方法論を適用すると、本発明の一観点は、光学素子であって、
合成ダイヤモンド材料と、
合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された反射防止表面パターンとを有し、
光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で0.5cm-1以下、0.4cm-1以下、0.3cm-1以下、0.2cm-1以下、0.1cm-1以下、0.07cm-1以下又は0.05cm-1以下の吸収係数を有し、
光学素子は、少なくとも1つの表面のところに光学素子の動作周波数で2%以下、1.5%以下、1%以下、又は0.5%以下の反射率を有し、
光学素子は、次の特性のうちの一方又は両方を満たすレーザ誘導損傷しきい値を有し、特性は、
レーザ誘導損傷しきい値がパルス持続時間を100ns、パルス繰り返し周波数を1〜10Hzの範囲として波長10.6μmのパルスレーザを用いて測定して少なくとも30Jcm-2、少なくとも50Jcm-2、少なくとも75Jcm-2、少なくとも100Jcm-2、少なくとも150Jcm-2、又は少なくとも200Jcm-2であるという特性、及び レーザ誘導損傷しきい値が波長10.6μmの連続波レーザを用いて測定して少なくとも1MW/cm2、少なくとも5MW/cm2、少なくとも10MW/cm2、少なくとも20MW/cm2、又は少なくとも50MW/cm2、であるという特性であることを特徴とする光学素子にある。
光学素子の吸光度、反射率、及びレーザ誘導損傷しきい値は、当業者によって容易に測定可能である(例えば、ISO21254-2:2011は、レーザ誘導損傷しきい値を測定する方法を記載しており、他方、サスマン他(Sussmann et al.),[ダイアモンド・アンド・リレイテッド・マテリアルズ(Diamond and Related Materials),1994年,3,1173〜117]は、CVDダイヤモンド窓へのレーザ損傷試験の特定の応用を記載している)。
注目されるべきこととして、光学素子に関する反射率は、動作波長で決まると共に反射防止表面パターンは、特定の動作波長について最適化されるよう設計されることになる。当該技術分野においては、特定の動作波長のための反射防止表面パターンの設計をどのように最適化するかは知られている。ここで新規であると考えられることは、合成ダイヤモンド材料内での低い吸光度、低い表面反射率、及び高いレーザ誘導損傷しきい値の組み合わせを提供することができるということにある。光学素子に関する動作波長が未知の場合、或る範囲の波長を試験して反射率が最小限になる波長を決定するのが良く、これは、本明細書の目的のために動作波長に対応することになる。とはいうものの、オプションとして、動作波長は、10.6μm、1.06μm、532nm、355nm、又は266nmのうちから選択された1つであり、10.6μmの動作波長が或る特定の商業的用途に好ましい。
僅かな表面損傷及び増大したレーザ誘導損傷しきい値と組み合わせて低い吸光度及び低い反射率を有する合成ダイヤモンド光学素子が提供される。これは、ハイパワーレーザ窓及び他のハイパワーレーザオプティクス、例えばプリズム及びレンズについてパラメータの重要な組み合わせであると考えられる。したがって、本発明は、ハイパワーレーザシステム用の実施可能な技術であると考えられる。さらに、本発明は、合成ダイヤモンド材料上に施される容易に損傷する場合のある薄膜としての被膜に関する要件を回避することによって、合成ダイヤモンド光学素子が引っ掻き又はアブレーションを受ける場合のある用途、例えば、時計皿用途に使用できる。
オプションとして、光学素子は、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を更に有するのが良く、かかる特徴は、
光学素子の動作周波数で少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の透過率、
前方半球中に光学素子の動作周波数で2%以下、1%以下、0.5%以下、又は0.1%以下の積分全散乱量(total integrated scatter:TIS)、
室温で測定して145GHzにおいて2×10-4以下、10-4以下、5×10-5以下、10-5以下、5×10-6以下、又は10-6以下の誘電損失係数tanδ、
5mm-2以下、3mm-2以下、1mm-2以下、0.5mm-2以下又は0.1mm-2以下の平均ブラックスポット密度、
任意の3mm2領域内に5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下のブラックスポットが存在するようなブラックスポット分布、
2760cm-1〜3030cm-1の補正直線背景で測定したときに0.20cm-2以下、0.15cm-2以下、0.10cm-2以下、又は0.05cm-2以下の単位厚さ当たりの積分吸収能、
1800Wm-1-1以上、1900Wm-1-1以上、2000Wm-1-1以上、2100Wm-1-1以上、又は2200Wm-1-1以上の熱伝導率、及び
二次イオン質量分析計によって測定して1017cm-3以下、5×1016cm-3以下、1016cm-3以下、5×1015cm-3以下、又は1015cm-3以下のシリコンコンセントレーション、及び
酸素を末端基とする表面である。
かかる光学特性は、本明細書において説明したようなパターン付け技術を高品質光学等級合成ダイヤモンド材料、例えばエレメント・シックス・リミテッドから入手できる高品質光学等級多結晶CVDダイヤモンドに利用することによって達成できる。また、このパターン付け技術を或る特定の光学用途について、光学等級単結晶CVDダイヤモンド(これ又、エレメント・シックス・リミテッドから入手できる)に利用することができるということが想定される。有利には、光学要素は、反射防止回折表面仕上げが形成されているダイヤモンド光学素子の表面の面積の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%にわたり本明細書において説明した光学特性のうちの1つ又は2つ以上を満たす。この点に関し、ダイヤモンド光学素子は、比較的広い面積に合わせて作成されるのが良い。例えば、合成ダイヤモンドコンポーネントは、最も大きな直線寸法が少なくとも10mm、少なくとも20mm、少なくとも40mm、少なくとも60mm、少なくとも80mm、少なくとも100mm、少なくとも120mm、又は少なくとも140mmであるよう作成されるのが良い。かかる合成ダイヤモンドコンポーネントは、200μm以上、250μm以上、350μm以上、450μm以上、500μm以上、750μm以上、1000μm以上、1500μm以上、又は2000μm以上の厚さを備えた状態で作成されるのが良い。
有利には合成ダイヤモンド材料は、最終の光学素子に必要な厚さよりも大きな標的厚さまで成長させ、次にダイヤモンド材料の核生成フェースを処理して初期の核生成ダイヤモンドを除去することによって作製される。背景技術の項で示したように、先行技術の方式の一弱点は、初期の核生成ダイヤモンドが最終の光学素子に混入することにより、熱コンダクタンスの減少及び光吸収度の増大が起こる場合があるということにある。合成ダイヤモンド材料を最終の光学素子に必要な厚さよりも大きな標的厚さまで成長させることにより、初期の核生成ダイヤモンドを除去し、かくして高い熱コンダクタンス及び低い光吸収度を備えた光学素子を提供することが可能である。初期核生成ダイヤモンドの除去により、その結果として、不可避的に合成ダイヤモンド材料の強度の僅かな低下が起こる。しかしながら、製造業者、例えばエレメント・シックス・リミテッドは、初期核生成ダイヤモンドの除去を可能にする一方で最終用途に十分な機械的強度を保持する高い引張破壊強度を備えた合成ダイヤモンド材料の厚手のウェーハ、例えば多結晶CVDダイヤモンドウェーハを作製することができる。例えば、合成ダイヤモンド材料は、以下の構造特性のうちの1つ又は2つ以上を有するのが良く、これら特性は、
合成ダイヤモンド材料の核生成フェースが張力下にある状態で、200〜500μmの厚さの場合に760MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合に700MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合に650MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合に600MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合に550MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合に500MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合に450MPa×n以上、2000μm以上の厚さの場合に400MPa×n以上の引張破壊強度、乗率nは、1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2であり、
合成ダイヤモンド材料の成長フェースが張力下にある状態で、200〜500μmの厚さの場合に330MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合に300MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合に275MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合に250MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合に225MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合に200MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合に175MPa×n以上、2000μm以上の厚さの場合に150MPa×n以上の引張破壊強度、乗率nは、1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2である。
かかる合成ダイヤモンド材料は、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、0.5μm以下、0.2μm以下、又は0.1μm以下の表面平坦度及び/又は200nm以下、150nm以下、100nm以下、80nm以下、60nm以下、40nm以下、20nm以下、又は10nm以下の表面粗さRaまで加工されるのが良い。
合成ダイヤモンド材料の熱伝導率に対するそれ以上の改善は、材料の天然の1.1%13C含有量を減少させることによって行うことができる。したがって、合成ダイヤモンド材料は、1.0%未満、0.8%未満、0.6%未満、0.4%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は0.01%未満の13C含有量を有する少なくとも一部分を有するのが良い。この点に関し、注目されるべきこととして、同位体的に純化された炭素原料ガスは、高価である。光学素子全体を同位体的に純化されたダイヤモンド材料から作製するのではなく、光学素子の一部分だけを同位体的に純化されたダイヤモンド材料で作製することが有利であると言える。例えば、合成ダイヤモンド材料の1つ又は2つ以上の表面層は、内部バルクが高い13C含有量、好ましくは天然存在度を用いて作製された同位体的に純化されたダイヤモンド材料で作られるのが良い。特に有用な一実施形態では、反射防止表面パターンを有する表面層が反射防止表面パターンの熱伝導率を増大させ、かくして局所加熱を減少させると共に反射防止表面パターンのレーザ誘導損傷しきい値を増大させるよう同位体的に純化されたダイヤモンド材料で作られる。この場合、合成ダイヤモンド材料の下に位置する部分は、合成に要するコストを減少させるよう高い濃度、好ましくは、天然存在度の13Cを含むのが良い。
本発明の反射防止表面仕上げは、合成ダイヤモンド材料の表面の大部分にわたり、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は表面全体にわたり形成されるのが良い。したがって、反射防止回折表面仕上げは、少なくとも50mm2、少なくとも100mm2、少なくとも200mm2、少なくとも300mm2、少なくとも500mm2、少なくとも700mm2、少なくとも1000mm2、少なくとも1500mm2、少なくとも2000mm2、少なくとも3000mm2、少なくとも5000mm2、少なくとも7000mm2、少なくとも10000mm2、少なくとも15000mm2、又は20000mm2の領域にわたって形成されるのが良い。
反射防止表面仕上げでパターン付けされた表面は、例えば、ダイヤモンド窓、レンズ又はプリズムの主要な光学出口及び/又は入口フェースを形成することができ、光学素子の光学出口及び/又は入口フェースの大部分又は全体は、反射防止回折表面仕上げでパターン付けされている。幾つかの用途では、透過型光学素子の取り付けのために透過型光学素子の周辺領域の周りに非パターン付け部分を残すことが望ましい場合がある。オプションとして、反射防止表面パターンは、合成ダイヤモンド材料の少なくとも2つの表面上に形成される。例えば、反射防止回折表面仕上げは、光学素子の光学入口フェース及び光学出口フェースの両方上、例えば、ダイヤモンド窓の互いに反対側の主要なフェース上に形成されるのが良い。変形例として、或る特定の光学素子に関し、低い反射率は、光学素子、例えば、部分反射が一方の表面上で必要なビームスプリッタの一方の表面上しか必要とされない。
高品質光学等級合成ダイヤモンド材料で作製されていて本明細書において説明した反射防止表面パターンを有する光学素子は、これらの反射率が低く且つレーザ誘導損傷しきい値が高いのでハイパワー光学系に用いるのに適している。したがって、本発明のもう1つの観点によれば、図2に示されている光学系であって、
本明細書において説明したような反射防止表面パターンを有する合成ダイヤモンド光学素子10と、
光14を少なくとも20kW、少なくとも25kW、少なくとも30kW、少なくとも35kW、少なくとも40kW、少なくとも45kW、又は少なくとも50kWのパワーで発生させ、そして合成ダイヤモンド光学素子10を通ってこの光を透過させるよう構成された光源12(例えば、レーザ)を有する光学系が提供される。
上述した内容に関し、注目されるように、上述の光学系の動作パワーは、1MW/cm2という従来規定された連続波レーザ誘導損傷しきい値よりも著しく低い。しかしながら、注目されるべきこととして、長い動作寿命を有する光学素子を提供するためには、合成ダイヤモンド光学素子のレーザ誘導損傷しきい値は、光学系の動作パワーよりも著しく高いことが必要である。
図2の例示の実施形態では、光学素子10は、透過型ダイヤモンド窓の形態をしており、反射防止表面パターン16がこの窓の両方の主要なフェース内に作製されている。注目されるべきこととして、図1及び図2に示されている反射防止表面パターンは、長方形の形を有しているが、これは、例示目的であるに過ぎない。本明細書において説明したようなエッチング技術は、ある範囲の断面形状を作ることができ、かくして、特定の用途に関する要件向きに透過率、反射率、及びレーザ誘導損傷しきい値パラメータを最適にするために反射防止表面構造体のプロフィールを自由に設定することが可能である。
オプションとして、上述の光学系は、合成ダイヤモンド光学素子を冷却するための冷却系を更に含むのが良い。この点に関し、本発明者は、エレメント・シックス・リミテッドの光学等級合成ダイヤモンド材料が低温において光吸収度の大幅な減少を示すことに注目した。この作用効果は、或る特定の他のダイヤモンド材料については同じ程度までは見受けられない。
要約すると、本明細書において説明した光学素子は、ハイパワーレーザ窓のためのパラメータの重要な組み合わせを有することが考えられる。したがって、本発明は、ハイパワーレーザシステムのための実施可能な技術であると考えられる。また、更に、本明細書において説明した光学素子を反射防止表面仕上げがこれらの機械的堅牢さの故に薄膜被膜に対して提供できる広帯域可視波長用途(例えば、ウォッチフェース(watch face))に使用できることが想定される。
実施形態を参照して本発明を具体的に図示すると共に説明したが、当業者には理解されるように、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び細部における種々の変更を行うことができる。
また、好ましい構成態様として、本発明を次のように構成することもできる。
1. 光学素子であって、
合成ダイヤモンド材料と、
前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された反射防止表面パターンとを有し、
前記光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で0.5cm-1以下の吸収係数を有し、
前記光学素子は、前記少なくとも1つの表面のところに前記光学素子の動作周波数で2%以下の反射率を有し、
前記光学素子は、次の特性のうちの一方又は両方を満たすレーザ誘導損傷しきい値を有し、前記特性は、
前記レーザ誘導損傷しきい値がパルス持続時間を100ns、パルス繰り返し周波数を1〜10Hzの範囲として波長10.6μmのパルスレーザを用いて測定して少なくとも30Jcm-2であるという特性、及び
前記レーザ誘導損傷しきい値が波長10.6μmの連続波レーザを用いて測定して少なくとも1MW/cm2であるという特性である、光学素子。
2. 前記動作周波数は、10.6μm、1.06μm、532nm、355nm、又は266nmの中から選択された1つである、上記1記載の光学素子。
3. 前記動作周波数は、10.6μmである、上記1又は2記載の光学素子。
4. 前記レーザ誘導損傷しきい値は、前記パルスレーザを用いて測定して少なくとも50Jcm-2、少なくとも75Jcm-2、少なくとも100Jcm-2、少なくとも150Jcm-2、又は少なくとも200Jcm-2である、上記1〜3のうちいずれか一に記載の光学素子。
5. 前記レーザ誘導損傷しきい値は、前記連続波レーザを用いて測定して少なくとも5MW/cm2、少なくとも10MW/cm2、少なくとも20MW/cm2、又は少なくとも50MW/cm2である、上記1〜4のうちいずれか一に記載の光学素子。
6. 前記少なくとも1つの表面のところの前記反射率は、前記光学素子の前記動作周波数で1.5%以下、1%以下、又は0.5%以下である、上記1〜5のうちいずれか一に記載の光学素子。
7. 前記光学素子は、前記光学素子の前記動作周波数で少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の透過率を有する、上記1〜6のうちいずれか一に記載の光学素子。
8. 前記光学素子は、前方半球中に前記光学素子の前記動作波長で2%以下、1%以下、0.5%以下、又は0.1%以下の積分全散乱量(total integrated scatter:TIS)を有する、上記1〜7のうちいずれか一に記載の光学素子。
9. 前記光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で0.4cm-1以下、0.3cm-1以下、0.2cm-1以下、0.1cm-1以下、0.07cm-1以下、又は0.05cm-1以下の吸収係数を有する、上記1〜8のうちいずれか一に記載の光学素子。
10. 前記光学素子は、室温で測定して145GHzにおいて2×10-4以下、10-4以下、5×10-5以下、10-5以下、5×10-6以下、又は10-6以下の誘電損失係数tanδを有する、上記1〜9のうちいずれか一に記載の光学素子。
11. 前記光学素子は、以下の特性のうちの1つ又は2つ以上を有し、前記特性は、
5mm-2以下、3mm-2以下、1mm-2以下、0.5mm-2以下又は0.1mm-2以下の平均ブラックスポット密度、
任意の3mm2領域内に5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下のブラックスポットが存在するようなブラックスポット分布、
2760cm-1〜3030cm-1の補正直線背景で測定したときに0.20cm-2以下、0.15cm-2以下、0.10cm-2以下、又は0.05cm-2以下の単位厚さ当たりの積分吸収能、
1800Wm-1-1以上、1900Wm-1-1以上、2000Wm-1-1以上、2100Wm-1-1以上、又は2200Wm-1-1以上の熱伝導率、及び
二次イオン質量分析計によって測定して1017cm-3以下、5×1016cm-3以下、1016cm-3以下、5×1015cm-3以下、又は1015cm-3以下のシリコンコンセントレーションである、上記1〜10のうちいずれか一に記載の光学素子。
12. 前記光学素子は、以下の特性のうちの1つ又は2つ以上を有し、前記特性は、
前記合成ダイヤモンド材料の核生成フェースが張力下にある状態で、200〜500μmの厚さの場合に760MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合に700MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合に650MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合に600MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合に550MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合に500MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合に450MPa×n以上、2000μm以上の厚さの場合に400MPa×n以上の引張破壊強度、乗率nは、1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2であり、
前記合成ダイヤモンド材料の成長フェースが張力下にある状態で、200〜500μmの厚さの場合に330MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合に300MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合に275MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合に250MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合に225MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合に200MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合に175MPa×n以上、2000μm以上の厚さの場合に150MPa×n以上の引張破壊強度、乗率nは、1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2である、上記1〜11のうちいずれか一に記載の光学素子。
13. 前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも一部分は、13C含有量が1.0%未満、0.8%未満、0.6%未満、0.4%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は0.01%未満の同位体的に純化された合成ダイヤモンド材料で作られている、上記1〜12のうちいずれか一に記載の光学素子。
14. 前記反射防止表面パターンを有する表面層は、前記同位体的に純化された合成ダイヤモンド材料で作られ、合成ダイヤモンド材料の下に位置する部分は、13Cについて高いコンセントレーションを有する、上記13記載の光学素子。
15. 前記反射防止表面パターンは、前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面に、少なくとも50mm2、少なくとも100mm2、少なくとも200mm2、少なくとも300mm2、少なくとも500mm2、少なくとも700mm2、少なくとも1000mm2、少なくとも1500mm2、少なくとも2000mm2、少なくとも3000mm2、少なくとも5000mm2、少なくとも7000mm2、少なくとも10000mm2、少なくとも15000mm2、又は20000mm2の領域にわたって形成されている、上記1〜14のうちいずれか一に記載の光学素子。
16. 前記光学素子は、前記領域の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%にわたって上記1〜14のうちいずれか一に記載の要件を満たす、上記15記載の光学素子。
17. 前記反射防止表面パターンは、前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも2つの表面内に形成される、上記1〜16のうちいずれか一に記載の光学素子。
18. 前記合成ダイヤモンド材料は、単結晶CVDダイヤモンド又は多結晶CVDダイヤモンドである、上記1〜17のうちいずれか一に記載の光学素子。
19. 前記合成ダイヤモンド材料は、200μm以上、250μm以上、350μm以上、450μm以上、500μm以上、750μm以上、1000μm以上、1500μm以上、又は2000μm以上の厚さを有する、上記1〜18のうちいずれか一に記載の光学素子。
20. 前記合成ダイヤモンド材料は、酸素を末端基とする表面を有する、上記1〜19のうちいずれか一に記載の光学素子。
21. 光学系であって、
上記1〜20のうちいずれか一に記載の光学素子と、
光を少なくとも20kWのパワーで発生させ、前記光学素子を通って前記光を透過させるよう構成された光源とを含む、光学系。
22. 前記光源は、光を少なくとも25kW、少なくとも30kW、少なくとも35kW、少なくとも40kW、少なくとも45kW、又は少なくとも50kWのパワーで発生させるよう構成されている、上記21記載の光学系。
23. 前記光学素子を冷却する冷却系を更に含む、上記21又は22記載の光学系。

Claims (1)

  1. 光学素子であって、
    合成ダイヤモンド材料と、
    前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された反射防止表面パターンとを有し、
    前記光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で0.5cm-1以下の吸収係数を有し、
    前記光学素子は、前記少なくとも1つの表面のところに前記光学素子の動作周波数で2%以下の反射率を有し、
    前記光学素子は、次の特性のうちの一方又は両方を満たすレーザ誘導損傷しきい値を有し、前記特性は、
    前記レーザ誘導損傷しきい値がパルス持続時間を100ns、パルス繰り返し周波数を1〜10Hzの範囲として波長10.6μmのパルスレーザを用いて測定して少なくとも30Jcm-2であるという特性、及び
    前記レーザ誘導損傷しきい値が波長10.6μmの連続波レーザを用いて測定して少なくとも1MW/cm2であるという特性である、光学素子。
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