JP2017166978A - フローセル及びこれを備えたガス分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度の低下を抑えることができるとともに、応答性が高く、かつ、より正確な測定を行うことができるフローセル及びこれを備えたガス分析装置を提供する。【解決手段】フローセル1は、管状の本体11と、熱電対12とを備える。本体11には、内部空間111が形成されるとともに、内部空間111を外部に連通させる複数の開口部112が周壁に形成され、複数の開口部112の少なくとも1つから流入する試料ガスが内部空間111を通って他の前記開口部112から流出する。熱電対12は、本体11に対して一体的に取り付けられた2本の金属線121を含み、当該2本の金属線121の接合部122が、本体11の中心軸線Lよりも試料ガスの流通方向の上流側における開口部112の近傍に設けられている。【選択図】 図1

Description

本発明は、管状の本体内に形成された内部空間を試料ガスが通過するフローセル及びこれを備えたガス分析装置に関するものである。
試料ガス中における測定対象成分の濃度又は分圧を測定する方法の1つとして、吸収分光法が知られている。吸収分光法では、測定セル内に試料ガスが供給されるとともに、当該測定セル内に光が照射され、測定セル内からの透過光が分光されることにより得られたスペクトルに基づいて、測定対象成分の濃度又は分圧が測定される。
吸収分光法の中でも、とりわけ発振波長を変化させることができる半導体レーザ光源を用いた方法は、波長可変半導体レーザ分光法(TDLAS:Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy)と呼ばれている。TDLASでは、光源自体が単色光であるため、分光器が不要であり、装置構成を簡略化することができる。また、TDLASでは、直進性の高いレーザ光が用いられるため、狭い空間に光路の長い測定セルを配置することが可能である。
TDLASを用いて分析を行うガス分析装置では、例えば温度センサ及び圧力センサが測定セル内に設けられる(例えば、下記特許文献1参照)。試料ガス中における測定対象成分の濃度又は分圧を測定する際には、測定セル内の温度が温度センサで検出されるとともに、測定セル内の圧力が圧力センサで検出され、これらの検出値に基づいて演算が行われる。
特開2013−50403号公報
上記のようなガス分析装置に備えられた温度センサ及び圧力センサのうち、圧力センサについては、その設置位置に応じた検出値のばらつきが比較的小さい。一方、温度センサについては、検出値が温度分布の影響を受けやすいため、その設置位置に応じた検出値のばらつきが比較的大きくなる。したがって、より正確な測定を行うためには、温度センサの設置位置が重要となる。
また、レーザ光を用いた吸収分光法は、応答の速さに特長を有しているため、温度センサの応答性も重要となる。一般的に、高速応答性が求められる場合には、熱容量が比較的小さい熱電対が温度センサとして用いられる。しかしながら、例えば時定数が10msec程度となるような極めて高速の応答性が求められる場合には、極細の熱電対を用意する必要があるため、強度面で熱電対の取り扱いが難しくなるという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、強度の低下を抑えることができるとともに、応答性が高く、かつ、より正確な測定を行うことができるフローセル及びこれを備えたガス分析装置を提供することを目的とする。
本発明に係るフローセルは、管状の本体と、熱電対とを備える。前記本体には、内部空間が形成されるとともに、前記内部空間を外部に連通させる複数の開口部が周壁に形成され、前記複数の開口部の少なくとも1つから流入する試料ガスが前記内部空間を通って他の前記開口部から流出する。前記熱電対は、前記本体に対して一体的に取り付けられた2本の金属線を含み、当該2本の金属線の接合部が、前記本体の中心軸線よりも試料ガスの流通方向の上流側における前記開口部の近傍に設けられている。
このような構成によれば、熱電対が本体に対して一体的に取り付けられているため、極細の熱電対を用いた場合でも強度の低下を抑えることができる。また、熱容量が小さい極細の熱電対を用いれば、応答性を向上することができる。
さらに、熱電対を構成する2本の金属線の接合部が、本体の中心軸線よりも試料ガスの流通方向の上流側における開口部の近傍に設けられているため、開口部から内部空間に流入する試料ガスに対して、流入直前又は流入直後に接合部を直接接触させることができる。これにより、フローセルの本体に試料ガスの熱が奪われる前に、試料ガスの温度を直接検出することができるため、より正確な測定を行うことができる。
本発明に係る別のフローセルは、管状の本体と、複数の熱電対とを備える。前記本体には、内部空間が形成されるとともに、前記内部空間を外部に連通させる複数の開口部が周壁に形成され、前記複数の開口部の少なくとも1つから流入する試料ガスが前記内部空間を通って他の前記開口部から流出する。前記複数の熱電対は、それぞれ前記本体に対して一体的に取り付けられた2本の金属線を含み、当該2本の金属線の接合部が、前記本体の中心軸線に対して異なる角度位置における前記複数の開口部の近傍にそれぞれ設けられている。
このような構成によれば、複数の熱電対が本体に対して一体的に取り付けられているため、極細の熱電対を用いた場合でも強度の低下を抑えることができる。また、熱容量が小さい極細の熱電対を用いれば、応答性を向上することができる。
さらに、各熱電対を構成する2本の金属線の接合部が、本体の中心軸線に対して異なる角度位置における複数の開口部の近傍にそれぞれ設けられているため、いずれの開口部から内部空間に試料ガスが流入した場合であっても、その試料ガスに対して、流入直前又は流入直後に接合部を直接接触させることができる。これにより、フローセルの設置角度又は試料ガスの流通方向にかかわらず、フローセルの本体に試料ガスの熱が奪われる前に、試料ガスの温度を直接検出することができるため、より正確な測定を行うことができる。
本発明に係るガス分析装置は、前記フローセルと、光源部と、受光部と、制御部とを備える。前記光源部は、前記フローセルの内部空間に光を照射する。前記受光部は、前記フローセルの内部空間を通過した光を受光する。前記制御部は、前記受光部の受光強度及び前記熱電対の熱起電力に基づいて演算を行う。
本発明によれば、極細の熱電対を用いた場合でも強度の低下を抑えることができる。また、熱容量が小さい極細の熱電対を用いれば、応答性を向上することができる。さらに、フローセルの本体に試料ガスの熱が奪われる前に、試料ガスの温度を直接検出することができるため、より正確な測定を行うことができる。
本発明の第1実施形態に係るガス分析装置の構成例を示した概略側面図である。 図1のフローセルの本体における開口部の近傍の具体的構成を示した概略斜視図である。 図1のフローセルの本体における開口部の近傍の具体的構成を示した概略断面図である。 熱電対を用いて検出される試料ガスの温度の経時的変化の一例を示した図である。 本発明の第2実施形態に係るガス分析装置の構成例を示した概略側面図である。 図4のフローセルの本体における開口部の近傍の具体的構成を示した概略斜視図である。 図4のフローセルの本体における開口部の近傍の具体的構成を示した概略断面図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るガス分析装置の構成例を示した概略側面図である。本実施形態に係るガス分析装置は、フローセル1、光源部2、受光部3及び制御部4を備えており、例えばTDLASを用いて試料ガス中における測定対象成分の濃度又は分圧を測定することができる。このガス分析装置は、例えば自動車の吸気又は排気、煙道中のガス、プラント施設で生じるガス、真空中におけるガスなどの測定に適用することができる。
フローセル1は、管状の本体11と、1つの熱電対12とを備えている。この例では、本体11が円管状に形成されている。熱電対12は、円管状の本体11の周壁に直接固定されることにより、本体11に対して一体的に取り付けられている。
本体11は、中心軸線Lに沿って一直線上に延びている。本体11内は中空状に形成されることにより、中心軸線Lに沿って一直線上に延びる内部空間111が形成されている。本体11の周壁には、複数の開口部112が形成されており、これらの開口部112を介して内部空間111が本体11の外部に連通している。
熱電対12は、2本の金属線121を含む。2本の金属線121は、それぞれ異なる金属材料により形成された極細の線材であり、直径が例えば10〜50μm程度である。2本の金属線121は、中心軸線Lに沿って互いに略平行に延びており、それぞれの先端が接合されることにより接合部122が形成されている。
2本の金属線121の接合部122は、複数の開口部112のうち1つの開口部112の近傍に設けられている。この例では、1つの開口部112に対して本体11の外側から対向する位置に接合部122が設けられている。
図2A及び図2Bは、図1のフローセル1の本体11における開口部112の近傍の具体的構成を示した図であり、図2Aは概略斜視図、図2Bは概略断面図をそれぞれ示している。
本実施形態では、2つの開口部112が本体11の周壁に形成されている。2つの開口部112は、例えば中心軸線Lに対して異なる角度位置に形成されることにより、周方向に互いに間隔を隔てて形成されている。この例では、2つの開口部112が中心軸線Lに対して180°異なる角度位置に形成されることにより、周方向に等間隔で形成されている。これにより、2つの開口部112は、中心軸線Lを挟んで互いに対向している。
図2A及び図2Bに白抜き矢印で示すように、試料ガスは、一方の開口部112から内部空間111に流入し、当該内部空間111を通って他方の開口部112から流出する。すなわち、一方の開口部112は、内部空間111に対する試料ガスの流入口131を構成しており、他方の開口部112は、内部空間111に対する試料ガスの流出口132を構成している。
熱電対12は、上記のようにして内部空間111を通過する試料ガスの温度を検出するためのものであり、流入口131の近傍に接合部122が設けられている。これにより、熱電対12の接合部122は、本体11の中心軸線Lよりも試料ガスの流通方向の上流側に設けられ、試料ガスの流れに対して正対している。
再び図1を参照すると、本体11の一方の端面には、透明な窓113が設けられている。光源部2及び受光部3は、中心軸線Lに沿って窓113に対向するように配置されている。本体11の他方の端面には、反射面を内部空間111側に向けた姿勢で反射鏡114が設けられている。反射鏡114の反射面は、例えば球面状の凹面により構成されている。
光源部2は、例えば半導体レーザダイオードにより構成されている。光源部2から照射される光(レーザ光)は、窓113からフローセル1の内部空間111に入射する。内部空間111に入射した光は、本体11の中心軸線Lに沿って内部空間111を一端側から他端側へと向かい、反射鏡114の反射面で反射した後、再び一端側に戻って窓113から本体11の外部に出射される。このようにして内部空間111を通過し、窓113から出射された光は、例えばフォトダイオードにより構成される受光部3において受光される。
本体11の内部空間111を通過する光は、流入口131から内部空間111に流入する試料ガスを透過する。この例では、内部空間111を光が通過する方向(中心軸線Lが延びる方向)に対して、内部空間111に対する試料ガスの流通方向が直交している。試料ガスを光が透過する際には、試料ガス中の測定対象となる成分(測定対象成分)に応じて特定の波長の光が吸収されるため、受光部3における各波長の受光強度(透過光強度)は測定対象成分に応じて変化することとなる。
制御部4は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む構成であり、光源部2の動作を制御するとともに、受光部3からの入力信号に基づいて演算を行う。制御部4が光源部2に対する電流制御及び温度制御を行うことにより、特定の波長域の光(例えば赤外光)が光源部2から照射される。
制御部4による演算は、受光部3における受光強度だけでなく、熱電対12の熱起電力や、圧力センサ(図示せず)により検出されるフローセル1内の圧力などに基づいて行われる。以下では、制御部4により行われる演算の態様について具体的に説明する。
受光部3における受光強度は、ランベルト・ベール(Lambert-Beer)の法則により、下記式(1)に示すような関係を有している。ここで、νはレーザ光の周波数、I(ν)は周波数νにおいて測定対象成分の吸収を受けなかった場合のレーザ光の受光強度、I(ν)は周波数νにおいて測定対象成分の吸収を受けた場合のレーザ光の受光強度、cは測定対象成分の分子数密度、lは試料ガスを通過するレーザ光の光路長、S(T)はガス温度Tにおける試料ガスの吸収線強度、K(ν)は吸収特性関数である。
Figure 2017166978
試料ガスが大気圧付近である場合、吸収特性関数K(ν)は下記式(2)に示すようなローレンツ(Lorentz)関数で表される。
Figure 2017166978
νは、吸収スペクトルの中心周波数である。γは、吸収スペクトルの半値幅、いわゆるローレンツ幅であり、下記式(3)のように近似される。ここで、pは試料ガスの圧力、Tは試料ガスの温度、γL0はp及びTのときの吸収の半値幅である。この式(3)から、吸収スペクトルが試料ガスの温度と圧力に依存することが分かる。試料ガスの温度は、熱電対12の熱起電力に基づいて検出することができる。また、試料ガスの圧力は、フローセル1内に設けられた圧力センサ(図示せず)により検出される。
Figure 2017166978
上記式(1)及び式(2)から、下記式(4)が成り立つ。吸収スペクトルの線幅よりも極めて狭いレーザ、例えばDFB(Distributed Feedback)型半導体レーザを用いれば、分光器を別途必要とすることなく、それぞれの周波数νにおける測定を行うことが可能である。
Figure 2017166978
上記式(4)から、中心周波数νにおけるレーザ光の受光強度I(ν)は下記式(5)を満たす。下記式(5)におけるS(T)や、上記式(3)における標準状態でのローレンツ幅γL0は、HITRANと呼ばれるデータベースを用いることにより、多くの分子について知ることができる。したがって、I(ν)及びI(ν)を測定することにより、測定対象成分の分子数密度cを求めることができる。
Figure 2017166978
本実施形態では、図1、図2A及び図2Bを用いて説明した通り、熱電対12が本体11に対して一体的に取り付けられているため、極細の熱電対12を用いた場合でも強度の低下を抑えることができる。また、熱容量が小さい極細の熱電対12を用いれば、応答性を向上することができる。
さらに、熱電対12を構成する2本の金属線121の接合部122が、本体11の中心軸線Lよりも試料ガスの流通方向の上流側における開口部112(流入口131)の近傍に設けられているため、開口部112から内部空間111に流入する試料ガスに対して、流入直前に接合部122を直接接触させることができる。これにより、フローセル1の本体11に試料ガスの熱が奪われる前に、試料ガスの温度を直接検出することができるため、より正確な測定を行うことができる。
図3は、熱電対12を用いて検出される試料ガスの温度の経時的変化の一例を示した図である。この図3では、熱電対12の接合部122を本体11の中心軸線Lよりも試料ガスの流通方向の上流側(流入口131側)に設けた場合が実線で示されており、熱電対12の接合部122を本体11の中心軸線Lよりも試料ガスの流通方向の下流側(流出口132側)に設けた場合が破線で示されている。
図3に示した測定結果から、高温の試料ガスが流入口131から内部空間111に流入するとき、熱電対12の接合部122が流入口131側に設けられている場合(図3における実線)の方が、流出口132側に設けられている場合(図3における破線)よりも、熱電対12による検出温度が上昇しやすいことが分かる。これは、熱電対12の接合部122を流入口131側に設けることにより、フローセル1の本体11に試料ガスの熱が奪われる前に試料ガスの温度を検出することができ、より正確な測定を行うことができることを示している。
本実施形態では、フローセル1の本体11に形成された開口部112の数が、流入口131及び流出口132の2つである場合について説明した。しかし、このような構成に限らず、流入口131及び流出口132以外にも、1つ又は複数の開口部112が本体11の周壁に形成されていてもよい。この場合、複数の開口部112から試料ガスが流入するような構成であってもよいし、複数の開口部112から試料ガスが流出するような構成であってもよい。
複数の開口部112は、周方向に互いに等間隔で形成された構成に限らず、周方向に互いに異なる間隔で形成された構成であってもよい。また、複数の開口部112は、中心軸線Lが延びる方向に沿って互いにずれた位置に形成されることにより、周方向に並ばないような構成であってもよい。
熱電対12の接合部122は、本体11の中心軸線Lよりも試料ガスの流通方向の上流側に設けられていれば、流入口131に対して本体11の外側から対向する位置に設けられた構成に限られない。例えば、流入口131に対して本体11の内側から対向する位置に接合部122が設けられることにより、流入口131から内部空間111に流入する試料ガスに対して、流入直後に接合部122を直接接触させてもよい。また、開口部112の近傍であれば、開口部112に対向する位置に限らず、開口部112の周縁部に対向する位置に接合部122が設けられていてもよい。
本実施形態では、フローセル1の本体11が円管状である場合について説明した。しかし、フローセル1の本体11は、内部空間111が形成された中空状の部材であれば、円管状に限られるものではなく、断面が楕円状又は矩形状などの他の形状であってもよい。また、フローセル1は、反射鏡114を備えた構成に限らず、例えば本体11の一端側に設けられた光源部2から内部空間111に照射された光が、当該内部空間111を通過して、本体11の他端側に設けられた受光部3で受光されるような構成であってもよい。
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係るガス分析装置の構成例を示した概略側面図である。本実施形態に係るガス分析装置は、第1実施形態と同様に、フローセル1、光源部2、受光部3及び制御部4を備えており、例えばTDLASを用いて試料ガス中における測定対象成分の濃度又は分圧を測定することができる。光源部2、受光部3及び制御部4の構成については第1実施形態と同様であるため、図4においては、これらの構成の図示を省略している。
フローセル1は、管状の本体11と、複数の熱電対12とを備えている。この例では、本体11が円管状に形成されている。複数の熱電対12は、それぞれ円管状の本体11の周壁に直接固定されることにより、本体11に対して一体的に取り付けられている。
本体11は、中心軸線Lに沿って一直線上に延びている。本体11内は中空状に形成されることにより、中心軸線Lに沿って一直線上に延びる内部空間111が形成されている。本体11の周壁には、複数の開口部112が形成されており、これらの開口部112を介して内部空間111が本体11の外部に連通している。
複数の熱電対12は、それぞれ2本の金属線121を含む。2本の金属線121は、それぞれ異なる金属材料により形成された極細の線材であり、直径が例えば10〜50μm程度である。2本の金属線121は、中心軸線Lに沿って互いに略平行に延びており、それぞれの先端が接合されることにより接合部122が形成されている。
各熱電対12における2本の金属線121の接合部122は、それぞれ異なる開口部112の近傍に設けられている。この例では、各開口部112に対して本体11の外側から対向する位置に、それぞれ異なる熱電対12の接合部122が設けられている。
図5A及び図5Bは、図4のフローセル1の本体11における開口部112の近傍の具体的構成を示した図であり、図5Aは概略斜視図、図5Bは概略断面図をそれぞれ示している。
本実施形態では、4つの開口部112が本体11の周壁に形成されている。4つの開口部112は、例えば中心軸線Lに対して異なる角度位置に形成されることにより、周方向に互いに間隔を隔てて形成されている。この例では、4つの開口部112が中心軸線Lに対して90°ずつ異なる角度位置に形成されることにより、周方向に等間隔で形成されている。これにより、4つの開口部112のうちの2つが中心軸線Lを挟んで互いに対向し、残りの2つも中心軸線Lを挟んで互いに対向している。
このような構成を有するフローセル1においては、いずれの開口部112からでも内部空間111に試料ガスを流入させることができる。例えば図5Bに実線の白抜き矢印で示すように、いずれか1つの開口部112から内部空間111に試料ガスを流入させれば、その開口部112に対して中心軸線Lを挟んで対向する開口部112から試料ガスが主に流出する。また、図5Bに破線の白抜き矢印で示すように、他の開口部112から内部空間111に試料ガスを流入させれば、その開口部112に対して中心軸線Lを挟んで対向する開口部112から試料ガスが主に流出する。すなわち、複数の開口部112のうち任意の開口部112を流入口又は流出口とすることができる。
各熱電対12は、上記のようにして内部空間111を通過する試料ガスの温度を検出するためのものであり、各熱電対12の接合部122が複数の開口部112の近傍にそれぞれ設けられている。これにより、各熱電対12の接合部122は、本体11の中心軸線Lに対して異なる角度位置に設けられている。
再び図4を参照すると、本体11の一方の端面には、透明な窓113が設けられている。また、本体11の他方の端面には、反射面を内部空間111側に向けた姿勢で反射鏡114が設けられている。反射鏡114の反射面は、例えば球面状の凹面により構成されている。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、光源部2から照射される光(レーザ光)が、窓113からフローセル1の内部空間111に入射し、本体11の中心軸線Lに沿って内部空間111を一端側から他端側へと向かう。そして、反射鏡114の反射面で反射した光が、再び一端側に戻って窓113から本体11の外部に出射され、受光部3において受光される。
本体11の内部空間111を通過する光は、いずれかの開口部112から内部空間111に流入する試料ガスを透過する。この例では、内部空間111を光が通過する方向(中心軸線Lが延びる方向)に対して、内部空間111に対する試料ガスの流通方向が直交している。試料ガスを光が透過する際には、試料ガス中の測定対象となる成分(測定対象成分)に応じて特定の波長の光が吸収されるため、受光部3における各波長の受光強度(透過光強度)は測定対象成分に応じて変化することとなる。
本実施形態では、図4、図5A及び図5Bを用いて説明した通り、複数の熱電対12が本体11に対して一体的に取り付けられているため、極細の熱電対12を用いた場合でも強度の低下を抑えることができる。また、熱容量が小さい極細の熱電対12を用いれば、応答性を向上することができる。
さらに、各熱電対12を構成する2本の金属線121の接合部122が、本体11の中心軸線Lに対して異なる角度位置における複数の開口部112の近傍にそれぞれ設けられているため、いずれの開口部112から内部空間111に試料ガスが流入した場合であっても、その試料ガスに対して、流入直前に接合部122を直接接触させることができる。これにより、フローセル1の設置角度又は試料ガスの流通方向にかかわらず、フローセル1の本体11に試料ガスの熱が奪われる前に、試料ガスの温度を直接検出することができるため、より正確な測定を行うことができる。
制御部4は、各熱電対12により検出される試料ガスの温度の中から最適な温度を選択して演算を行う。具体的には、試料ガスの温度が上昇している場合には、各熱電対12により検出される試料ガスの温度のうち、最も高い温度が選択される。一方、試料ガスの温度が下降している場合には、各熱電対12により検出される試料ガスの温度のうち、最も低い温度が選択される。これにより、フローセル1の設置角度又は試料ガスの流通方向が分からない場合であっても、試料ガスの流通方向の最も上流側における開口部112の近傍に接合部122が設けられた熱電対12の検出値を用いて、試料ガスの測定を行うことができる。
本実施形態では、フローセル1の本体11に形成された開口部112の数が、4つである場合について説明した。しかし、開口部112が本体11の中心軸線Lに対して異なる位置に複数設けられた構成であれば、4つに限らず、3つ以下又は5つ以上の開口部112が設けられた構成であってもよい。この場合、複数の開口部112から試料ガスが流入するような構成であってもよいし、複数の開口部112から試料ガスが流出するような構成であってもよい。
複数の開口部112は、周方向に互いに等間隔で形成された構成に限らず、周方向に互いに異なる間隔で形成された構成であってもよい。また、複数の開口部112は、中心軸線Lが延びる方向に沿って互いにずれた位置に形成されることにより、周方向に並ばないような構成であってもよい。
各熱電対12の接合部122は、開口部112の近傍に設けられていれば、開口部112に対して本体11の外側から対向する位置に設けられた構成に限られない。例えば、開口部112に対して本体11の内側から対向する位置に接合部122が設けられることにより、開口部112から内部空間111に流入する試料ガスに対して、流入直後に接合部122を直接接触させてもよい。また、開口部112に対向する位置に限らず、開口部112の周縁部に対向する位置に接合部122が設けられていてもよい。
本実施形態では、フローセル1の本体11が円管状である場合について説明した。しかし、フローセル1の本体11は、内部空間111が形成された中空状の部材であれば、円管状に限られるものではなく、断面が楕円状又は矩形状などの他の形状であってもよい。また、フローセル1は、反射鏡114を備えた構成に限らず、例えば本体11の一端側に設けられた光源部2から内部空間111に照射された光が、当該内部空間111を通過して、本体11の他端側に設けられた受光部3で受光されるような構成であってもよい。
1 フローセル
2 光源部
3 受光部
4 制御部
11 本体
12 熱電対
111 内部空間
112 開口部
113 窓
114 反射鏡
121 金属線
122 接合部
131 流入口
132 流出口

Claims (3)

  1. 内部空間が形成されるとともに、前記内部空間を外部に連通させる複数の開口部が周壁に形成され、前記複数の開口部の少なくとも1つから流入する試料ガスが前記内部空間を通って他の前記開口部から流出する管状の本体と、
    前記本体に対して一体的に取り付けられた2本の金属線を含み、当該2本の金属線の接合部が、前記本体の中心軸線よりも試料ガスの流通方向の上流側における前記開口部の近傍に設けられた熱電対とを備えたことを特徴とするフローセル。
  2. 内部空間が形成されるとともに、前記内部空間を外部に連通させる複数の開口部が周壁に形成され、前記複数の開口部の少なくとも1つから流入する試料ガスが前記内部空間を通って他の前記開口部から流出する管状の本体と、
    それぞれ前記本体に対して一体的に取り付けられた2本の金属線を含み、当該2本の金属線の接合部が、前記本体の中心軸線に対して異なる角度位置における前記複数の開口部の近傍にそれぞれ設けられた複数の熱電対とを備えたことを特徴とするフローセル。
  3. 請求項1又は2に記載のフローセルと、
    前記フローセルの内部空間に光を照射する光源部と、
    前記フローセルの内部空間を通過した光を受光する受光部と、
    前記受光部の受光強度及び前記熱電対の熱起電力に基づいて演算を行う制御部とを備えたことを特徴とするガス分析装置。
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