JP2017164203A - ガイドワイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】先端側を適切な形状に形状付けできると共に、トルク伝達性が向上するガイドワイヤを提供する。
【解決手段】ガイドワイヤ10は、シャフト12と、シャフト12を囲み、シャフト12の先端部に固定されたコイル部材14と、コイル部材14の内側に配置される補強機構34と、を備える。補強機構34は、シャフト12に固定された第1補強体36と、第1補強体36と周方向の異なる位置に固定された第2補強体38と、第1補強体36及び第2補強体38を繋ぐリング部材40とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】ガイドワイヤ10は、シャフト12と、シャフト12を囲み、シャフト12の先端部に固定されたコイル部材14と、コイル部材14の内側に配置される補強機構34と、を備える。補強機構34は、シャフト12に固定された第1補強体36と、第1補強体36と周方向の異なる位置に固定された第2補強体38と、第1補強体36及び第2補強体38を繋ぐリング部材40とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、医療用デバイスを案内するガイドワイヤに関する。
血管等の生体管腔内に医療デバイスを挿入して病変部の治療や診断を行うインターベンション手技では、カテーテル等の医療デバイスを病変部に案内するためにガイドワイヤが使用される。ガイドワイヤの先端側は、複雑に蛇行又は分岐する生体管腔内に挿入されるため、生体管腔壁に追従するように柔軟に構成される。
例えば、ガイドワイヤは、先端方向に向かって細くなることで柔軟性が増すシャフトと、このシャフトの先端側の側方を螺旋状に囲うコイルとを有するように構成される(特許文献1参照)。特許文献1に開示のガイドワイヤは、コイルの内側に放射線不透過性のリング部材を備えることで、手技時にガイドワイヤの先端部を認識可能としつつ、コイルの急激な物性変化を防止している。
この種のガイドワイヤは、蛇行又は分岐する生体管腔内を選択的且つ円滑に移動させるため、柔軟性及びトルク伝達性が求められる。また、ガイドワイヤは、分岐する生体管腔内をより選択的に移動させるため、生体管腔内への挿入前にガイドワイヤの先端部を適切な形状に形状付けできることも求められる。
本発明は、上記のようなガイドワイヤの技術に関連してなされたものであり、ガイドワイヤの先端部に適切な形状付けが可能であると共に、ガイドワイヤのトルク伝達性を向上させることで、生体管腔内を一層容易に移動し得るガイドワイヤを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明のガイドワイヤは、シャフトと、前記シャフトを囲み、前記シャフトの先端部に固定されたコイル部材と、前記コイル部材の内側に配置される補強機構と、を有し、前記補強機構は、前記シャフトに固定された第1線材と、前記シャフトの前記第1線材と周方向の異なる位置に固定された第2線材と、前記第1線材及び前記第2線材を繋ぐリング部材と、を備えることを特徴とする。
上記によれば、本発明のガイドワイヤの補強機構は、シャフトに固定された第1線材及び第2線材と、第1線材及び第2線材を繋ぐリング部材を有するため、術者がガイドワイヤを回転操作した際、ガイドワイヤの先端部に回転トルクを円滑に伝達する。そのため、本発明のガイドワイヤは、シャフトの先端部の捻れを抑制することができる。従って、本発明のガイドワイヤは、術者がガイドワイヤの基端部を回転操作した際、ガイドワイヤの先端部へのトルク伝達性を向上することが可能となるため、生体管腔内を一層容易に移動することができる。また、本発明のガイドワイヤは、補強機構によりトルク伝達性を向上させるため、トルク伝達性を高めるためにシャフト自体の直径を大きくしたガイドワイヤと比較して、ガイドワイヤの先端部を柔軟に構成することができる。さらに、本発明のガイドワイヤは、第1線材及び第2線材をシャフトの周方向の異なる位置で固定し、且つ、第1線材及び第2線材をリング部材で繋げているため、補強機構の第1線材及び第2線材が配置されていない所定の方向のみに曲げやすくなる。具体的には、補強機構は、第1線材及び第2線材によりシャフトの軸線に対する湾曲に柔軟な領域が形成される。そのため、ガイドワイヤの第1線材及び第2線材が仮想的に形成する2次元平面は、補強機構の第1線材及び第2線材が配置されていない所定の方向のみに曲げやすくなる。従って、本発明のガイドワイヤは、術者のガイドワイヤの先端部に対する形状付けを適切な形状に誘導することができる。
また、本発明のガイドワイヤは、前記シャフトの先端部と前記コイル部材とを固定する先端固定部を有し、前記第1線材の先端部及び前記第2線材の先端部は、前記先端固定部に固定されていることが好ましい。
このように、第1線材の先端部及び第2線材の先端部は、シャフト及びコイル部材を固定する先端固定部に固定されている。これにより、本発明のガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端部にシャフトの基端部からの回転トルクを直接的に伝達することができる。そのため、ガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端部にシャフトの基端部からの回転トルクを安定的に伝達することができる。従って、術者のガイドワイヤの操作性がより一層向上する。
また、前記補強機構は、前記シャフトの軸心に沿って前記リング部材を複数有し、前記シャフトは、前記リング部材が形成する貫通孔を貫通するように配置されることが好ましい。
この場合、補強機構は、シャフトの軸心に沿ってシャフトを囲む複数のリング部材を有するため、シャフトと第1線材及び第2線材の位置関係をさらに安定させることができる。そのため、本発明のガイドワイヤは、形状付けや回転トルクの伝達をより容易化することができる。
また、前記第1線材及び前記第2線材の先端側に配置された前記リング部材の前記貫通孔は、前記第1線材及び前記第2線材の基端側に配置された前記リング部材の前記貫通孔の直径と同一であるとよい。なお、複数の前記リング部材は、全ての前記リング部材の前記貫通孔の直径が同じであるとより好ましい。
このように、補強機構の先端側のリング部材の貫通孔の直径は、補強機構の基端側のリング部材の貫通孔の直径と同一である。これにより、補強機構の第1線材及び第2線材は、先端側のリング部材と基端側のリング部材との間において、シャフトの軸心に平行である。そのため、本発明のガイドワイヤは、第1線材及び第2線材が仮想的に形成する2次元平面を適切に形成できるため、簡便に形状付けを行うことができる。また、本発明のガイドワイヤは、第1線材及び第2線材がシャフトの軸心に平行であるため、プッシャビリティ及びトルク伝達性がより一層向上する。なお、複数のリング部材の貫通孔の直径が同じである場合、本発明のガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端部の形状付けがより適切に行えると共に、プッシャビリティ及びトルク伝達性をさらに向上することができる。
或いは、前記第1線材及び前記第2線材に配置された複数の前記リング部材は、前記シャフトの基端側から先端側に向かって、前記リング部材を構成する素線の直径が小さくなってもよい。
このように、リング部材を構成する素線の直径がシャフトの先端側に向かって小さくなることで、ガイドワイヤの先端部を徐々に柔軟に構成することができる。これにより、ガイドワイヤは、形状付けした先端部を複雑に蛇行や屈曲している生体管腔に対する通過性を向上させることができる。
また、前記第1線材及び前記第2線材は、前記シャフトの軸線に直交する断面において、円形又は楕円形の形状に形成されていることが好ましい。
この場合、円形又は楕円形の断面形状を有する第1線材及び第2線材は、第1線材及び第2線材の外周に角部を有さない。そのため、補強機構は、ガイドワイヤの捻れに対して強くなる。
また、前記補強機構は、前記シャフトの軸線に直交する断面において、前記第1線材と前記シャフトの軸心を結ぶ第1仮想線と、前記第2線材と前記シャフトの軸心を結ぶ第2仮想線とのなす角度が90°〜270°の範囲に設定されているとよい。
この場合、補強機構は、シャフトの軸線に直交する断面において、第1仮想線と第2仮想線とのなす角度が90°〜270°の範囲に設定される。そのため、第1線材及び第2線材は、互いに充分に離間した状態でシャフトに固定される。従って、本発明のガイドワイヤは、第1線材及び第2線材が仮想的に形成する2次元平面を適切に形成できるため、第1線材及び第2線材により形成される2次元平面を容易に曲げて形状付けすることができる。
また、前記第1線材及び前記第2線材を構成する素線の直径は、前記リング部材を構成する素線の直径以上であるとよい。
この場合、リング部材の素線は、第1線材及び第2線材を構成する素線よりも細くなる。そのため、本発明のガイドワイヤは、第1線材及び第2線材にリング部材を繋いだ状態において、補強機構の細径化を図ることができる。
さらに、前記第1線材は、前記第1線材の外周面を貫通する第1孔部を有し、前記第2線材は、前記第2線材の外周面を貫通する第2孔部を有し、前記リング部材は、前記第1孔部及び第2孔部を挿通するように配置されるとよい。
この場合、リング部材は、第1線材の第1孔部及び第2線材の第2孔部を挿通するように配置される。そのため、リング部材は、第1線材及び第2線材に確実に固定することができる。また、リング部材は、第1孔部及び第2孔部に挿通するように配置されるため、ガイドワイヤの先端部の柔軟性(補強機構の柔軟性)を高めることができる。
或いは、前記リング部材は、前記第1線材及び第2線材に外接又は内接されて固定されてもよい。
この場合、リング部材は、第1線材及び第2線材に外接又は内接して配置される。そのため、リング部材は、補強機構の強度を高めつつ、第1線材及び第2線材を固定することができる。従って、補強機構は、ガイドワイヤのプッシャビリティを向上させることができる。
また、前記リング部材は、前記第1線材の延在方向又は前記第2線材の延在方向と交差する方向に突出する突出領域を有し、前記突出領域と前記シャフトの軸心との間の距離は、前記シャフトの軸線に直交する断面において、前記第1線材と前記シャフトの軸心との間の距離及び前記第2線材と前記シャフトの軸心との間の距離よりも長いとよい。なお、前記リング部材は、2つの前記突出領域を有する楕円形状であるとより好ましい。
この場合、リング部材は、第1線材の延在方向又は第2線材の延在方向と交差する方向に突出した突出領域を有する。すなわち、リング部材の突出領域は、コイル部材と隣接する。そのため、リング部材の突出領域は、ガイドワイヤの先端部にトルクを伝達させる際、コイル部材と接触し、第1線材及び第2線材の捻れを抑制することができる。しがたって、本発明のガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端部へのトルク伝達性をさらに向上できる。
本発明によれば、ガイドワイヤは、その先端側の柔軟性を確保しつつ、トルク伝達性を向上することができるため、生体管腔内を一層容易に移動することができる。
以下、本発明に係るガイドワイヤについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係るガイドワイヤ10は、カテーテルや内視鏡等の医療デバイスを患者の生体管腔内に挿入及び送達する際に、生体管腔内を先行させて医療デバイスを案内するために使用される。生体管腔としては、例えば、血管、胆管、気管、食道、尿道、鼻腔、或いはその他の臓器等、種々の器官があげられる。
図1に示すように、ガイドワイヤ10は、シャフト12と、シャフト12を囲み、シャフト12の先端部に固定されたコイル部材14とを備える。ガイドワイヤ10の全長は、特に限定されないが、例えば200〜5000mm程度であるとよい。
以下では、ガイドワイヤ10の方向を示す場合に、図1に記載の方向指示を基準に述べるものとする。すなわち、図1中において、紙面の上下方向をX方向(ガイドワイヤ10の幅方向)といい、紙面の左右方向をY方向(ガイドワイヤ10の軸方向)といい、紙面の手前及び奥方向をZ方向(ガイドワイヤ10の厚さ方向)という。なお、図1(図2A〜図5Cも同様)では、理解の容易化のため、ガイドワイヤ10の軸方向を短縮し、ガイドワイヤ10の太さを誇張して図示している。
シャフト12は、可撓性を有する中実状の素線により構成される。このシャフト12は、ガイドワイヤ10の全長の大部分を構成する基部16と、基部16より先端寄りでコイル部材14に囲われる被包囲部18とを有する。また、ガイドワイヤ10は、シャフト12の先端とコイル部材14の先端部を固定する先端固定部20を有する。先端固定部20は、被包囲部18に連なりガイドワイヤ10の最先端を形成する。シャフト12を構成する材料は、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、Ni−Ti系合金、Ni−Al系合金、Cu−Zn系合金等の超弾性合金等の種々の金属材料や、比較的高剛性の樹脂材料を適用することができる。なお、先端固定部20は、溶接や接着等の適宜の固着方法により、シャフト12の先端及びコイル部材14の先端部を固定することで形成される。
シャフト12は、例えばステンレス鋼の単一の材料で構成することもできるが、異なる材料を組み合わせて形成することもできる。例えば、シャフト12の基部16の大部分は、ステンレス鋼のような比較的高剛性の材料で構成し、シャフト12の基部16の先端側及び被包囲部18は、Ni−Ti系合金のようなステンレス鋼よりも剛性が小さい材料で構成してもよい。これにより、ガイドワイヤ10は、先端側において良好な柔軟性及び復元性を得られるため、血管への追従性が向上する。また、ガイドワイヤ10は、基端側において剛性を有するため、プッシャビリティやトルク伝達性も確保することができる。
シャフト12の基部16は、シャフトの軸線に直交する断面において円形状を呈し充分に長く形成されることで、弾力的に撓むことが可能である。基部16の外径は、特に限定されないが、例えば、0.2〜1.2mm程度であるとよい。基部16の外周面には、ガイドワイヤ10の移動性及び回転性の向上のため、摩擦力を低減する塗装(親水性潤滑コーティング、PTFEコーティング等)が施されていてもよい。
基部16の先端側は、ガイドワイヤ10の先端方向に向かって若干先細りになっている。そして、被包囲部18に繋がる境界付近には、コイル部材14の基端部をシャフト12の外表面に固定する基端固定部22が設けられている。例えば、図1では、基端固定部22は、基部16の先細り部分の外周面から径方向外側に突出し、コイル部材14の基端部をシャフト12に固定する。また、基端固定部22は、基部16の周方向を周回している。なお、基端固定部22は、溶接や接着等の適宜の固着方法により、コイル部材14の基端部をシャフト12に固定することで形成される。
一方、被包囲部18は、基部16の先端に連なり、ガイドワイヤ10の先端方向に向かって所定長さ延在する。図1及び図2Aに示すように、被包囲部18は、ガイドワイヤ10の基端から先端に向かって順に、第1丸棒部24、第1テーパ部26、第2丸棒部28、第2テーパ部30及び第3丸棒部32を有する。第1丸棒部24、第2丸棒部28、第3丸棒部32は、相互の軸心が一致しつつ、段階的に外径が細く形成されている。これにより、被包囲部18は、シャフト12の剛性がガイドワイヤ10の先端方向に向かって徐々に減少するため、基部16よりも柔軟性を有する。そのため、ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ10の先端側の形状付けが容易になり、且つ、血管への追従性が向上する。被包囲部18の全長は、ガイドワイヤ10の全長にもよるが、例えば、20〜500mm程度に設定される。なお、被包囲部18は、図1の形状に限定されず、シャフト12の剛性がガイドワイヤ10の先端方向に向かって徐々に減少する構成であればよい。例えば、被包囲部18は、第1丸棒部24、第1テーパ部26、第2丸棒部28から構成されていてもよい。
被包囲部18の第1丸棒部24は、ガイドワイヤ10の先端側を柔軟に構成するため、基部16よりも若干細く形成される円柱状の部位である。第1丸棒部24は、シャフト12の軸心に直交する断面において、円形状に形成される。また第1丸棒部24は、第1丸棒部24の外径を一定としたままコイル部材14の中心位置を通って直線状に延在している。つまり、第1丸棒部24(被包囲部18)とコイル部材14は同心円状に位置する。言い換えると、第1丸棒部24(被包囲部18)の軸心とコイル部材14の軸心は一致する。
第1テーパ部26は、第1丸棒部24の先端に連なり、ガイドワイヤ10の先端方向に向かって外径が小さくなる。第1テーパ部26は、ガイドワイヤ10の軸方向(Y方向)に比較的長く形成される(例えば、第1テーパ部26は、第2丸棒部28、第2テーパ部30及び第3丸棒部32よりも長い)。そのため、第1テーパ部26は、ガイドワイヤ10の剛性を緩やかに変化させる。第1テーパ部26の外周面には、後述する補強機構34の第1補強体36及び第2補強体38が溶接や接着等により固着される。
第2丸棒部28は、第1テーパ部26の先端に連なり、ガイドワイヤ10の先端方向に短く突出する円柱状の部位である。第2丸棒部28は、シャフト12の物性を大きく変動させずに、第3丸棒部32の基端を強固に支持する。また、第2丸棒部28の先端に連なる第2テーパ部30は、ガイドワイヤ10の先端方向に短く突出すると共に、外径が小さくなるように形成されている。
第3丸棒部32は、第2テーパ部30の先端に連なり、ガイドワイヤ10の先端方向に突出する円柱状の部位である。第3丸棒部32の軸方向長さは、第2丸棒部28よりも長く、第1丸棒部24よりも短く設定されている。また、第3丸棒部32は、第2丸棒部28よりも細く形成され、被包囲部18において最も柔軟に構成されている。第3丸棒部32の先端は、先端固定部20に強固に固定されている。
先端固定部20は、ガイドワイヤ10の先端側において、先端面が半球状を呈している。第3丸棒部32及びコイル部材14は、溶接や半田付け等により、先端固定部20の基端面に固定される。また、補強機構34の第1補強体36及び第2補強体38(第1線材及び第2線材)は、先端固定部20の基端面の第3丸棒部32及びコイル部材14との間に固定される。先端固定部20は、各部材を埋め込むように溶着することで、部材同士を強固に一体化させる。
コイル部材14は、シャフト12の先端側の柔軟性を確保しつつ、生体管腔内を安定的に進行可能とするために設けられる。コイル部材14は、先端固定部20及び基端固定部22でシャフト12に固定される。コイル部材14は、ガイドワイヤ10の先端側が直線状に延びている状態で、各素線が隙間なく密に配置されて、シャフト12の被包囲部18を概ね非露出状態とする。なお、コイル部材14の内側において、コイル部材14とシャフト12との間には中空部14aが形成される。また、被包囲部18は、ガイドワイヤ10の直線状態で、被包囲部18の軸心と中空部14a(コイル部材14)の軸心が一致するように配置されることが好ましい。
コイル部材14の内径(中空部14aの直径)は、例えば、0.1〜0.5mm程度であるとよい。また、コイル部材14を構成する素線の外径は、例えば、0.01〜0.15mm程度であるとよい。なお、本実施形態の場合、コイル部材14は、素線の断面が円形のものを用いているが、これに限らず、素線の断面が例えば楕円形又は四角形(特に長方形)等の多角形構造であってもよい。
コイル部材14を構成する金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、Ni−Ti系合金のような超弾性合金、形状記憶合金、コバルト系合金、金、白金のような貴金属、タングステン系合金等があげられる。特に、貴金属、タングステン系合金のようなX線不透過材料を用いることにより、ガイドワイヤ10にX線造影性が得られ、X線透視下で先端部の位置を確認しつつ生体内に挿入することが可能となる。
そして、本実施形態に係るガイドワイヤ10は、シャフト12(被包囲部18)とコイル部材14の間にガイドワイヤ10のトルク伝達性を向上させる補強機構34を備える。補強機構34は、先端固定部20に固定された一対の補強体(第1補強体36、第2補強体38)と、シャフト12を囲み、第1補強体36及び第2補強体38を繋ぐリング部材40とを含んで構成される。
第1補強体36の基端部及び第2補強体38の基端部は、シャフト12に固定される。具体的には、第1補強体36の基端部及び第2補強体38の基端部は、被包囲部18(図示例では第1テーパ部26)の外周面に固定される。第1補強体36及び第2補強体38と被包囲部18(第1テーパ部26)の固着部42は、例えば、振動溶着や高周波溶着、溶接、接着、半田付け等の適宜の固着方法によって形成される。第1補強体36及び第2補強体38は、被包囲部18(第1テーパ部26)の外周面に固定されることで、シャフト12から回転トルクが円滑に伝達される。
第1補強体36の先端部及び第2補強体38の先端部は、先端固定部20に固定されている。これにより、第1補強体36及び第2補強体38は、先端固定部20とシャフト12とを連結する。そのため、ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ10の手元からの回転トルクをガイドワイヤ10の先端部にさらに円滑に伝達することができる。また、ガイドワイヤ10は、第1補強体36及び第2補強体38により先端固定部20とシャフト12が連結されるため、プッシャビリティも向上する。なお、第1補強体36及び第2補強体38は、先端固定部20に固定されず、フリー状態でもよい。
図2Aのように、第1補強体36の軸心及び第2補強体38の軸心は、シャフト12の軸心と平行に延在している。なお、補強機構34は、第1補強体36、第2補強体38、及びシャフト12が同一平面上にあるように配置することが好ましい。これにより、ガイドワイヤ10の先端部の形状付けが容易になると共に、トルク伝達性が向上する。また、第1補強体36と第2補強体38は、図2Aのように、第1補強体36、第2補強体38、シャフト12が同一平面上に配置される(言い換えると、第1補強体36及び第2補強体38は、シャフト12と第1補強体36とを結ぶ仮想線とシャフト12と第2補強体38とを結ぶ仮想線とがなす角度が180°の位置に配置される)。なお、第1補強体36及び第2補強体38は、互いに平行に設置されなくてもよい。例えば、第1補強体36及び第2補強体38は、ガイドワイヤ10の先端方向に向かって、互いにシャフト12に対して徐々に離間するように配置されていてもよい(例えば、第1補強体36及び第2補強体38は、ガイドワイヤ10の先端方向に向かって、第1補強体36及び第2補強体38の離間距離が広がる)。
第1補強体36及び第2補強体38は、シャフト12の軸方向に沿って延在する素線である。例えば、第1補強体36は、円筒状の素線で、第1補強体36の外径が第1補強体36の軸方向に沿って一定に形成される。また、第2補強体38は、円筒状の素線で、第2補強体38の外径が第2補強体38の軸方向に沿って一定に形成される。第1補強体36及び第2補強体38を構成する素線の外径は、ガイドワイヤ10の先端部の形状付けを適切に行えるようにするため、同一であることが好ましい。なお、第1補強体36及び第2補強体38を構成する素線の外径及び形状は、特に限定されない。例えば、第1補強体36及び第2補強体38を構成する素線は平板形状にしてもよい。また、第1補強体36及び第2補強体38の素線は、ガイドワイヤ10の先端方向に向かって徐々に細くなるテーパ状に形成されてもよい。これにより、ガイドワイヤ10の先端部は、ガイドワイヤ10の先端方向に向かって徐々に柔軟に構成することができる。
そして、第1補強体36は、第1補強体36の外表面を貫通する第1孔部36aが複数(図1及び図2A中では6個)設けられている。複数の第1孔部36aは、第1補強体36の軸方向に沿って等間隔に設けられる。また、リング部材40は、第1孔部36aを挿通するように配置される。第1孔部36aは、図2Bに示すように、第1補強体36の軸方向に対して直交方向に形成されている。なお、第1孔部36aは、第1補強体36の軸方向に対して直交方向に形成されていなくてもよい。また、複数の第1孔部36aは、第1補強体36の軸方向に沿って等間隔に設けられていなくてもよい。
同様に、第2補強体38は、第2補強体38の外周面を貫通する第2孔部38aが複数(図1及び図2A中では6個)設けられている。そして、リング部材40は、第2補強体38の第2孔部38aに挿通するように配置される。複数の第2孔部38aは、第2補強体38の軸方向に沿って設けられる。また、第2孔部38aは、第1孔部36aと同じ間隔で(すなわちガイドワイヤ10のX方向に並ぶように)配置されている。第2孔部38aも、第2補強体38の軸方向に対して直交方向に形成されている。なお、第2孔部38aは、第2補強体38の軸方向に対して直交方向に形成されていなくてもよい。また、複数の第2孔部38aは、第2補強体38の軸方向に沿って等間隔に設けられていなくてもよい。
さらに、第1補強体36及び第2補強体38は、正面断面視(図3A参照;シャフト12の軸心に直交する断面)で、円形状に形成されている。なお、第1補強体36及び第2補強体38の断面形状は、特に限定されるものではなく、楕円形状に形成されてもよく、3以上の角部を有する多角形状に形成されていてもよい。さらに、第1補強体36及び第2補強体38は、構成する素線を軸回りに捻ることで、強度を向上させた撚り線としてもよい。或いは、第1補強体36及び第2補強体38は、中実状に形成されるだけでなく、中空状に形成されてもよい。
一方、補強機構34のリング部材40は、第1補強体36の第1孔部36aと第2補強体38の第2孔部38aとを挿通し、且つ、被包囲部18からある程度離間した位置を周回している。すなわち図3Aに示すように、リング部材40は、正面断面視(シャフト12の軸心に直交する断面)で、第1補強体36及び第2補強体38の外周面から突出する。リング部材40は、リング部材40の内側に貫通孔40aを形成する。そして、シャフト12(被包囲部18)は、リング部材40の貫通孔40aの中心を通るように配置される。
リング部材40は、第1孔部36a及び第2孔部38aの形成数に応じて設けられる(図1及び図2Aでは、リング部材40は6個)。例えば、複数のリング部材40は、第1孔部36a及び第2孔部38aに応じて等間隔に並設される。
また、第1補強体36及び第2補強体38の先端側に配置されたリング部材40の貫通孔40aは、第1補強体36及び第2補強体38の基端側に配置されたリング部材40の貫通孔40aの直径と同一であるとよい。特に、複数のリング部材40は、全てのリング部材40の貫通孔40aの直径が同じであるとより好ましい。これにより、ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ10の先端部の剛性がある程度均一になるため、ガイドワイヤ10の先端部の適切な形状付けを容易に行うことができる。なお、リング部材40の貫通孔40aの直径は、相互に異なってもよい。例えば、複数のリング部材40は、基端側のリング部材40の貫通孔40aの直径を大きくし、シャフト12の先端側に向かって段々とリング部材40の貫通孔40aの直径を小さく変化させてもよい。
なお、第1補強体36及び第2補強体38に配置された複数のリング部材40は、ガイドワイヤ10の基端側から先端側に向かってリング部材40を形成する素線の直径が小さくなるように構成してもよい。このように構成することで、ガイドワイヤ10の先端部は、ガイドワイヤ10の基端側からガイドワイヤ10の先端側に向かって徐々に軟らかくなる。これにより、ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ10の先端部が柔軟であるため、湾曲部を有する複雑な血管等に対する通過性を向上させることができる。
リング部材40は、第1補強体36の軸心及び第2補強体38の軸心が通る平面において、第1補強体36及び第2補強体38の軸方向に対する傾斜角度θ(図2B参照)が70°〜110°の範囲である。なお、リング部材40は、第1補強体36の軸心及び第2補強体38の軸心が通る平面において、第1補強体36及び第2補強体38の軸方向に対する傾斜角度θが90°前後に設定されるとより好ましい。これにより、ガイドワイヤ10は、補強機構34のリング部材40による剛性の偏りを抑制できるため、ガイドワイヤ10の先端部に対する形状付けを簡便に適切な形状に誘導することができる。
リング部材40は、第1孔部36a及び第2孔部38aの挿入された状態で、振動溶着や高周波溶着、溶接、接着、半田付け等の固着方法を用いることにより、第1補強体36及び第2補強体38に固定される。すなわち、補強機構34は、第1補強体36、第2補強体38及びリング部材40が相互に硬く連結された構造体となっている。なお、ガイドワイヤ10は、第1補強体36及び第2補強体38とリング部材40を特に固着しなくてもよい。例えば、ガイドワイヤ10は、リング部材40の外径と、第1孔部36a及び第2孔部38aの直径とを概ね一致させることで、リング部材40を嵌合固定する構成としてもよい。
図1では、リング部材40は、第1孔部36a及び第2孔部38aに挿入するため、リング部材40の外径を第1補強体36の外径及び第2補強体38の外径よりも小さく設定している。例えば、リング部材40の外径は、第1補強体36の外径及び第2補強体38の外径に対して80%以下に設定されるとよい。これにより、リング部材40は、第1孔部36a及び第2孔部38aに容易に挿入することができる。一例としては、リング部材40の外径は、0.1〜0.4μm程度に設定するとよい。なお、第1補強体36の外径及び第2補強体38の外径とリング部材40の外径の関係は、逆であってもよい。例えば、補強機構34は、外径の大きなリング部材40の素線に孔部を設けて、リング部材40の孔部に第1補強体36及び第2補強体38を貫通するように挿入してもよい。
リング部材40を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス(SUS304,SUS316等)、Ni−Ti系合金等の超弾性金属材料、或いは比較的高剛性の樹脂材料を適用するとよい。
ここで、補強機構34は、図3Aに示す正面断面視(シャフト12の軸線に直交する断面)で、第1補強体36とシャフト12の軸心を結ぶ第1仮想線L1と、第2補強体38とシャフト12の軸心を結ぶ第2仮想線L2とのなす角度Dを180°に設定している。このように、角度Dが180°に設定されていると、シャフト12、第1補強体36及び第2補強体38は、相互に並ぶ方向に仮想的な2次元平面S(X−Y平面)を容易に形成することができる(図1も参照)。
この状態では、術者がガイドワイヤ10の先端側を形状付けする際に、上記の2次元平面S上で、且つシャフト12の軸方向に直交する方向(Z方向)のみに曲げさせることができる。そのため、補強機構34は、仮にZ方向以外の方向に曲げ力がかかっても、第1補強体36及び第2補強体38が相互に連動して、ガイドワイヤ10の先端部の直線状態を維持するように働く。従って、ガイドワイヤ10の先端部は、シャフト12が捻れるように曲がった3次元形状となることを抑制することができ、術者の形状付けを良好に維持することができる。
なお、補強機構34は、図3Bに示すように、第1仮想線L1と第2仮想線L2のなす角度Dは、180°でなくてもよい。具体的には、第1補強体36と第2補強体38は、角度Dが90°〜270°の範囲に収まるように設けるとよい。なお、図3Bに示す図示例では、角度Dが135°となっている。この場合、シャフト12と第1補強体36及び第2補強体38は、正面断面視(シャフト12の軸心に直交する断面)で、互いに充分に離間して浅い底角を有する2等辺三角形を形成することができる。そのため、術者による形状付けの際に、術者は、ガイドワイヤ10の先端部を2等辺三角形の底辺側を折り曲げるように誘導することが可能となる。
本実施形態に係るガイドワイヤ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下その作用効果について説明する。
ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ10の先端部を直線状に延在した状態で提供される場合がある。この場合、上述したように、術者は、患者の生体管腔に挿入される前に、ガイドワイヤ10の先端部を所望の形状に変形する形状付けを行う。上述の形状付けにおいて、ガイドワイヤ10の先端部は、シャフト12の周囲に設けた補強機構34により、シャフト12を所定方向のみに曲げさせる。
具体的には、補強機構34は、図1及び図3Aに示すように、第1補強体36、第2補強体38により2次元平面Sを構成している。補強機構34は、2次元平面Sに直交する方向且つシャフト12の軸方向(Y方向)と直交する方向に柔軟性をもたらす一方で、他の方向には強い剛性を発揮する。従って、術者がガイドワイヤ10の先端部の形状付けを行う際、補強機構34は、シャフト12の基部16の軸線から被包囲部18(第3丸棒部32)を離間するように湾曲させる。同時に、第1補強体36及び第2補強体38は、シャフト12の軸方向(Y方向)の同じ箇所で曲がり、2次元平面Sを湾曲させる。その結果、ガイドワイヤ10は、術者の曲げ操作力に応じた所望の曲率で塑性変形することになり、その湾曲形状を良好に維持することができる。
そして、ガイドワイヤ10は、上記のとおり形状付けされた状態で、術者により血管(生体管腔)に挿入される。術者は、ガイドワイヤ10の進出操作において、血管が蛇行や分岐している部分において向きを変えるため、ガイドワイヤ10の基部16を回転操作する。
この回転トルクは、基部16から被包囲部18に伝達され、第1丸棒部24、第1テーパ部26、第2丸棒部28、第2テーパ部30、第3丸棒部32をガイドワイヤ10の軸心回りに回転させる。また、第3丸棒部32の先端は、先端固定部20に固定されている。そのため、第3丸棒部32が回転トルクにより回転する際、先端固定部20及び先端固定部20に固定されたコイル部材14も回転する。また同様に、シャフト12(第1テーパ部26)と先端固定部20に固定された第1補強体36及び第2補強体38は、回転トルクを受けることになり、シャフト12、先端固定部20及びコイル部材14と一体的に回転する。
本実施形態に係るガイドワイヤ10は、補強機構34がシャフト12と共に回転するため、ガイドワイヤ10の先端部にシャフト12の回転トルクを伝達する。そのため、ガイドワイヤ10は、先端固定部20及びコイル部材14に回転トルクを円滑に伝達する。つまり、ガイドワイヤ10は、術者がガイドワイヤ10の基端部を回転操作した際、シャフト12に固定された第1補強体36と第2補強体38により、ガイドワイヤ10の先端部に回転トルクを伝達する。従って、ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ10の先端固定部20まで円滑に回転トルクを伝達できるため、シャフト12の先端部の捻れを抑制することができる。この際、第1補強体36及び第2補強体38は、リング部材40に連結されている。そのため、第1補強体36及び第2補強体38は、ガイドワイヤ10を生体管腔で移動させる際、第1補強体36及び第2補強体38の延在状態を強固に維持する(つまり、第1補強体36及び第2補強体38の相互の延在状態の捻れを抑制する)。
以上のように、本実施形態に係るガイドワイヤ10は、第1補強体36と、第2補強体38と、リング部材40とを備える補強機構34により、ガイドワイヤ10の先端部を所定の方向のみに曲げられるように補強し、所定の方向以外の他方向への曲げを抑制することができる。すなわち、第1補強体36と第2補強体38は、シャフト12の周方向の異なる位置に固定される。そして、ガイドワイヤ10の第1補強体36及び第2補強体38が仮想的に形成する2次元平面Sは、補強機構34の第1補強体36及び第2補強体38が配置されていない所定の方向のみに曲げやすくなる。また、ガイドワイヤ10は、術者がガイドワイヤ10に回転操作をした際、リング部材40により連結された第1補強体36及び第2補強体38を介してガイドワイヤ10の先端部に回転トルクを円滑に伝達する。そのため、ガイドワイヤ10は、補強機構34の第1補強体36及び第2補強体38の延在状態の捻れを抑えることができる。従って、ガイドワイヤ10は、術者が回転操作した際、ガイドワイヤ10の先端部へのトルク伝達性を向上することが可能となり、生体管腔内を一層容易に移動することができる。
また、第1補強体36の先端部及び第2補強体38の先端部は、シャフト12及びコイル部材14を固定する先端固定部20に固定されている。これにより、ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ10の先端部にシャフト12の基端部からの回転トルクを直接的に伝達することができる。そのため、ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ10の先端部にシャフト12の基端部からの回転トルクを安定的に伝達することができる。従って、術者のガイドワイヤ10の操作性は、より一層向上する。
さらに、補強機構34は、シャフト12の軸心に沿ってシャフト12を囲む複数のリング部材40を有するため、シャフト12と第1補強体36及び第2補強体38の位置関係をさらに安定させることができる。そのため、ガイドワイヤ10は、形状付けや回転トルクの伝達をより容易化することができる。
また、補強機構34の先端側のリング部材40の貫通孔40aの直径は、補強機構34の基端側のリング部材40の貫通孔40aの直径と同一である。これにより、補強機構34の第1補強体36及び第2補強体38は、先端側のリング部材40と基端側のリング部材40との間において、シャフト12の軸心に平行となる。そのため、ガイドワイヤ10は、第1補強体36及び第2補強体38が仮想的に形成する2次元平面Sを適切に形成できるため、簡便に形状付けを行うことができる。このガイドワイヤ10は、第1補強体36及び第2補強体38がシャフト12の軸心に平行であるため、プッシャビリティ及びトルク伝達性がより一層向上する。なお、複数のリング部材40の貫通孔40aの直径が同じである場合、ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ10の先端部の形状付けがより適切に行えると共に、プッシャビリティ及びトルク伝達性をさらに向上させることができる。
また、円形又は楕円形の断面形状を有する第1補強体36及び第2補強体38は、第1補強体36及び第2補強体38の外周に角部を有さない。そのため、補強機構34は、ガイドワイヤ10の捻れに対して強くなる。
また、補強機構34は、シャフト12の軸線に直交する断面において、第1仮想線L1と第2仮想線L2とのなす角度Dが90°〜270°に設定される。そのため、第1補強体36及び第2補強体38は、互いに充分に離間した状態でシャフト12に固定される。従って、ガイドワイヤ10は、第1補強体36及び第2補強体38が仮想的に形成する2次元平面Sを適切に形成できるため、第1補強体36及び第2補強体38により形成される2次元平面Sを容易に曲げて形状付けすることができる。
また、リング部材40の素線は、第1補強体36及び第2補強体38を構成する素線よりも細くなる。そのため、ガイドワイヤ10は、第1補強体36及び第2補強体38にリング部材40を繋いだ状態において、補強機構34の細径化を図ることができる。
さらに、リング部材40は、第1補強体36の第1孔部36a及び第2補強体38の第2孔部38aを挿通するように配置される。そのため、リング部材40は、第1補強体36及び第2補強体38に確実に固定することができる。また、リング部材40は、第1孔部36a及び第2孔部38aに挿通するように配置されるため、ガイドワイヤ10の先端部の柔軟性(補強機構34の柔軟性)を高めることができる。
なお、本実施形態に係るガイドワイヤ10は、上記の構成に限定されるものではなく、種々の変形例や応用例をとり得る。リング部材40の個数は、特に限定されない。例えば、リング部材40は、第1補強体36及び第2補強体38を繋ぐように少なくとも1つ設けられればよい。また、シャフト12の被包囲部18の形状は、特に限定されず、自由に設計することが可能である。例えば、シャフト12の被包囲部18の断面形状(シャフト12の軸心に直交する断面の形状)は、楕円形状や多角形状(平板形状を含む)としてもよい。
また、図4に示す第1変形例に係るガイドワイヤ10Aの補強機構34Aは、第1補強体36及び第2補強体38の基端側にインナーコイル50を設けた点で、ガイドワイヤ10と異なる。インナーコイル50は、第1補強体36の基端部分と第2補強体38の基端部分に外接し、シャフト12に第1補強体36及び第2補強体38を固定する。なお、インナーコイル50は、第1補強体36の基端部分と第2補強体38の基端部分に外接させた後、振動溶着や高周波溶着、溶接、接着、半田付け等の固着方法によりシャフト12に固定してもよい。インナーコイル50は、シャフト12の第1テーパ部26と、第1補強体36及び第2補強体38との固定を補強することができ、シャフト12から回転トルクをより円滑に受けることができる。このように、ガイドワイヤ10は、インナーコイル50を設けることで、シャフト12の側方を延在する第1補強体36及び第2補強体38をより一体化させることができる。
また、図5Aに示す第2変形例のように、ガイドワイヤ10Bの補強機構34Bは、第1補強体52及び第2補強体54をリング部材40の内周面に内接させる構成としてもよい。この場合、第1補強体52及び第2補強体54とリング部材40は、振動溶着や高周波溶着、溶接、接着、半田付け等の適宜の固着方法によって固定し得る。また、第1補強体52及び第2補強体54は、シャフト12(第3丸棒部32)よりも細く形成することができる。このように、第1補強体52及び第2補強体54をリング部材40の内側に固定しても、2次元平面Sを形成することができ、ガイドワイヤ10と同様の効果を得ることができる。
逆に、図5Bに示す第3変形例のように、ガイドワイヤ10Cの補強機構34Cは、第1補強体52及び第2補強体54をリング部材40の外周面に外接させる構成としてもよいことは勿論である。
さらに、図5Cに示す第4変形例のように、ガイドワイヤ10Dの補強機構34Dは、正面視(シャフト12の軸心に直交する断面)で、リング部材56を楕円形状に形成してもよい。例えば、リング部材56は、第1補強体36及び第2補強体38を結ぶ仮想線を短軸とし、シャフト12の軸心を通り、且つ、その短軸に対して直交する仮想線を長軸とする楕円形状である。この場合、リング部材56は、シャフト12の軸心からリング部材56の短軸の半径よりも径方向外側に離れた領域に突出領域(図5C中のクロスハッチ部分参照)を有する。
ここで、突出領域は、リング部材56の一部の領域であり、第1補強体36の延在方向又は第2補強体38の延在方向と交差する方向に突出する領域である。そして、突出領域とシャフト12の軸心との間の距離は、シャフト12の軸線に直交する断面において、第1補強体36とシャフト12の軸心との間の距離及び第2補強体38とシャフト12の軸心との間の距離よりも長くなる。よって、突出領域は、コイル部材14に隣接している。なお、突出領域の突出頂部56aは、コイル部材14の内面に接触していてもよい。これにより、ガイドワイヤ10は、術者がガイドワイヤ10を回転操作した際、第1補強体36及び第2補強体38の捻れを抑制することができる。また、ガイドワイヤ10は、第1補強体36及び第2補強体38に伝達されたシャフト12の回転トルクを、リング部材56を介してコイル部材14に良好に伝達できる。すなわちガイドワイヤ10のトルク伝達性をさらに向上できる。要するに、リング部材40、56も、トルクを伝達可能であれば、その形状について特に限定されるものではなく、突出領域の形状も、特に限定されるものではない。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10、10A〜10D…ガイドワイヤ 12…シャフト
14…コイル部材 18…被包囲部
20…先端固定部 32…第3丸棒部
34、34A〜34D…補強機構 36、52…第1補強体
36a…第1孔部 38、54…第2補強体
38a…第2孔部 40、56…リング部材
L1…第1仮想線 L2…第2仮想線
S…2次元平面
14…コイル部材 18…被包囲部
20…先端固定部 32…第3丸棒部
34、34A〜34D…補強機構 36、52…第1補強体
36a…第1孔部 38、54…第2補強体
38a…第2孔部 40、56…リング部材
L1…第1仮想線 L2…第2仮想線
S…2次元平面
Claims (11)
- シャフトと、
前記シャフトを囲み、前記シャフトの先端部に固定されたコイル部材と、
前記コイル部材の内側に配置される補強機構と、を有し、
前記補強機構は、
前記シャフトに固定された第1線材と、
前記シャフトの前記第1線材と周方向の異なる位置に固定された第2線材と、
前記第1線材及び前記第2線材を繋ぐリング部材と、を備える
ことを特徴とするガイドワイヤ。 - 請求項1記載のガイドワイヤにおいて、
前記シャフトの先端部と前記コイル部材とを固定する先端固定部を有し、
前記第1線材の先端部及び前記第2線材の先端部は、前記先端固定部に固定されている
ことを特徴とするガイドワイヤ。 - 請求項1又は2記載のガイドワイヤにおいて、
前記補強機構は、前記シャフトの軸心に沿って前記リング部材を複数有し、
前記シャフトは、前記リング部材が形成する貫通孔を貫通するように配置される
ことを特徴とするガイドワイヤ。 - 請求項3記載のガイドワイヤにおいて、
前記第1線材及び前記第2線材の先端側に配置された前記リング部材の前記貫通孔は、前記第1線材及び前記第2線材の基端側に配置された前記リング部材の前記貫通孔の直径と同一である
ことを特徴とするガイドワイヤ。 - 請求項3記載のガイドワイヤにおいて、
前記第1線材及び前記第2線材に配置された複数の前記リング部材は、前記シャフトの基端側から先端側に向かって、前記リング部材を構成する素線の直径が小さくなる
こと特徴とするガイドワイヤ。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のガイドワイヤにおいて、
前記第1線材及び前記第2線材は、前記シャフトの軸線に直交する断面において、円形又は楕円形の形状である
ことを特徴とするガイドワイヤ。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のガイドワイヤにおいて、
前記補強機構は、前記シャフトの軸線に直交する断面において、前記第1線材と前記シャフトの軸心を結ぶ第1仮想線と、前記第2線材と前記シャフトの軸心を結ぶ第2仮想線とのなす角度が90〜270°の範囲に設定されている
ことを特徴とするガイドワイヤ。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載のガイドワイヤにおいて、
前記第1線材及び前記第2線材を構成する素線の直径は、前記リング部材を構成する素線の直径以上である
ことを特徴とするガイドワイヤ。 - 請求項8記載のガイドワイヤにおいて、
前記第1線材は、前記第1線材の外周面を貫通する第1孔部を有し、
前記第2線材は、前記第2線材の外周面を貫通する第2孔部を有し、
前記リング部材は、前記第1孔部及び第2孔部を挿通するように配置される
ことを特徴とするガイドワイヤ。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載のガイドワイヤにおいて、
前記リング部材は、前記第1線材及び前記第2線材に外接又は内接されて固定される
ことを特徴とするガイドワイヤ。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載のガイドワイヤにおいて、
前記リング部材は、前記第1線材の延在方向又は前記第2線材の延在方向と交差する方向に突出する突出領域を有し、
前記突出領域と前記シャフトの軸心との間の距離は、前記シャフトの軸線に直交する断面において、前記第1線材と前記シャフトの軸心との間の距離及び前記第2線材と前記シャフトの軸心との間の距離よりも長くなる
ことを特徴とするガイドワイヤ。
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