JP2017163899A - 植物ウイルスの接種方法、植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を付与された植物の生産方法、および植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物の検出方法 - Google Patents

植物ウイルスの接種方法、植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を付与された植物の生産方法、および植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物の検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 新たな植物ウイルスの接種方法、植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を付与された植物の生産方法、および植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物の検出方法を提供する。
【解決手段】 本発明の植物ウイルスの接種方法は、植物ウイルスを種子内に導入することにより、前記植物ウイルスを前記種子に接種する接種工程を含むことを特徴とする。本発明の接種方法は、例えば、前記植物ウイルスを含むウイルス液の存在下、前記種子内の空隙の空気を排出することにより、前記植物ウイルスを前記種子内に導入する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、植物ウイルスの接種方法、植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を付与された植物の生産方法、および植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物の検出方法に関する。
植物ウイルスを植物に接種することで、前記植物に前記植物ウイルスに対する抵抗性を付与できることが知られている。
前記植物ウイルスの接種方法として、特許文献1および3には、植物の苗を接種対象とし、前記植物の苗に対し、ウイルス液をローラまたはブラシで塗布することにより接種する方法が記載されている。また、特許文献2には、穂木または台木を接種対象とし、穂木または台木の切断面にウイルス液を接触させることにより接種する方法が記載されている。さらに、非特許文献1には、一般的な植物ウイルスの接種方法として、汁液接種法、保毒虫を用いた方法、接ぎ木による方法、およびアグロバクテリウムによる方法が記載されている。そして、非特許文献2には、トマト黄化葉巻病ウイルス(TYLCV)の接種方法として、トマト植物以外の他の植物で培養したTYLCVを含むウイルス液をトマト植物に塗布することにより接種する方法が記載されている。
特開2010−259410号公報 特開2005−237345号公報 特開2000−201535号公報
斉藤新、「トマト黄化葉巻病抵抗性育種の現状と問題点」、2006年、野菜茶業研究集報、第3巻、99−102頁 K. M. Makkouk et.al. "Tomato Yellow Leaf Curl: Incidence, Yield Losses and Transmission in Lebanon", 1979, Phytopath. Z., vol.96, pp.263-266
しかしながら、特許文献1−3および非特許文献1−2の方法においては、前記植物を生育させた上で、前記植物ウイルスを接種する必要があるため、作業煩雑という問題がある。
そこで、本発明は、新たな植物ウイルスの接種方法、植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を付与された植物の生産方法、および植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物の検出方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の植物ウイルスの接種方法(以下、「接種方法」ともいう。)は、植物ウイルスを種子内に導入することにより、前記植物ウイルスを前記種子に接種する接種工程を含むことを特徴とする。
本発明の植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を付与された植物の生産方法(以下、「生産方法」ともいう。)は、弱毒化植物ウイルスを種子に接種することにより、前記植物ウイルスの病害に対する抵抗性を前記種子に付与する付与工程を含み、
前記付与工程が、前記本発明の接種方法により実施されることを特徴とする。
本発明の植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物の検出方法(以下、「検出方法」ともいう。)は、植物ウイルスを対象種子に接種することにより、前記対象種子に前記植物ウイルスを感染させる感染工程、および
前記対象種子を生育させ、生育させた植物における前記植物ウイルスの感染を検出する検出工程を含み、
前記感染工程が、前記本発明の接種方法により実施されることを特徴とする。
本発明によれば、例えば、簡便且つ高い接種効率で、植物ウイルスを種子に接種できる。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、前記植物ウイルスを含むウイルス液の存在下、前記種子内の空隙の空気を排出することにより、前記植物ウイルスを前記種子内に導入する。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、前記種子および前記ウイルス液を含む導入系の圧力を、大気圧未満の圧力に減圧することにより、前記植物ウイルスを前記種子内に導入する。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、さらに、前記導入系の圧力を解放することにより、前記導入系の圧力を大気圧に戻す解放工程を含む。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、前記ウイルス液の温度が、前記減圧時の導入系の圧力において、水の沸点以上の温度である。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、前記種子内の空隙が、前記種子の種皮より内側の空隙である。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、前記種子が、被傷された種子である。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、前記種子が、乾燥種子、吸水種子、および発根種子からなる群から選択された少なくとも1つである。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、前記種子が、ナス科植物、ウリ科植物、アブラナ科植物、ヒユ科植物、セリ科植物、およびマメ科植物からなる群から選択された少なくとも1つの植物の種子である。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、前記植物ウイルスが、ジェミニウイルス科ウイルス、ブロモウイルス科ウイルス、ポティウイルス科ウイルス、およびヒルガウイルス科ウイルスからなる群から選択された少なくとも1つである。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、さらに、前記種子を生育させる生育工程を含む。
本発明の接種方法、生産方法および検出方法は、例えば、さらに、前記植物ウイルスを調製する調製工程を含む。
本発明の検出方法は、例えば、さらに、前記生育させた植物における感染の検出により、前記植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を判断する判断工程を含む。
本発明の検出方法は、例えば、さらに、前記植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物を選抜する選抜工程を含む。
<植物ウイルスの接種方法>
本発明の植物ウイルスの接種方法は、前述のように、植物ウイルスを種子内に導入することにより、前記植物ウイルスを前記種子に接種する接種工程を含むことを特徴とする。本発明の接種方法は、前記植物ウイルスを前記種子内に導入することにより、前記植物ウイルスを前記種子に接種する接種工程を含むことが特徴であり、その他の工程および条件は特に制限されない。
本発明者らは、鋭意研究の結果、前記植物ウイルスを前記種子内に導入することにより、前記植物ウイルスを、前記種子に効率良く接種できる、すなわち、例えば、前記種子を生長させることで得られる植物に効率良く感染させられることを見出した。これは、前記種子内にウイルスを導入することで、例えば、前記先行技術文献の方法と比較して、前記植物に生長する種子内の胚等と前記植物ウイルスとの接触効率を向上させることができることによると推定される。このため、本発明によれば、例えば、前記種子に対しても、高い接種効率で前記植物ウイルスを接種でき、また、前記先行技術文献では接種効率が低いTYLCV等の植物ウイルスについてもより高い接種効率で接種できる。なお、前記推定は、本発明を何ら制限しない。また、本発明の接種方法は、前記種子を植物ウイルスの接種対象とするため、例えば、一度に大量の種子に接種することができる。このため、先行技術文献の方法と比較して、例えば、前記植物ウイルスを簡便に接種でき、また、前記種子を生育させることで、前記植物ウイルスが接種された植物を、簡便且つ多量に取得することができる。さらに、前記植物ウイルスを前記植物に接種することにより、前記植物は、前記植物ウイルスに対する抵抗性を獲得することが知られている。このため、本発明の接種方法によれば、例えば、前記植物ウイルスが接種された種子を生長させることで、前記植物ウイルスに対する抵抗性が付与された植物を取得することができる。そして、本発明の接種方法は、前記植物ウイルスを接種できることから、例えば、前記植物ウイルスに対する抵抗性の植物品種の育種時に実施する、植物ウイルスに対する抵抗性の検定試験における接種方法として使用できる。
本発明において、「接種効率」とは、例えば、前記植物ウイルスの前記種子への導入効率、および前記植物ウイルスが接種された種子を生長させた植物における前記植物ウイルスの感染率のいずれの意味でもよい。本発明において、「植物ウイルスに対する抵抗性」は、例えば、「植物ウイルス耐性」ともいう。前記抵抗性は、例えば、植物ウイルスの感染による病害の発生および進行に対する阻害能または抑制能を意味し、具体的に、例えば、病害の未発生、発生した病害の進行の停止、および、発生した病害の進行の抑制(阻害ともいう)等のいずれでもよい。
本発明において、前記種子の由来は、特に制限されず、任意の対象植物由来の種子を使用できる。前記種子は、例えば、ナス科植物、ウリ科植物、アブラナ科植物、ヒユ科植物、セリ科植物、マメ科植物等の種子があげられる。前記ナス科植物は、例えば、ナス、トマト等のナス属の植物、ピーマン、トウガラシ等トウガラシ属等があげられる。前記ウリ科植物は、例えば、キュウリ、メロン等のキュウリ属の植物、スイカ等のスイカ属の植物、カボチャ、ズッキーニ等のカボチャ属等があげられる。前記アブラナ科植物は、例えば、カブ、ダイコン等のダイコン属等があげられる。前記ヒユ科植物は、例えば、ホウレンソウ等のホウレンソウ属等があげられる。前記セリ科植物は、例えば、ニンジン等のニンジン属等があげられる。前記マメ科植物は、例えば、ダイズ等があげられる。前記種子は、例えば、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい(以下、同様)。
前記種子の種類は、特に制限されず、例えば、乾燥種子、吸水種子、発根種子等があげられる。前記乾燥種子は、例えば、未吸水の種子である。前記吸水種子は、例えば、前記乾燥種子に吸水させた種子である。前記発根種子は、例えば、前記吸水させた種子において、発根が生じた種子である。
前記種子は、例えば、前記植物ウイルスをより効率良く前記種子内に導入でき、前記種子由来の植物への感染効率を向上できることから、被傷された種子であることが好ましい。前記種子において、傷を付ける部位は、特に制限されず、例えば、種皮、根等があげられる。また、前記種子が発根種子の場合、前記傷を付ける部位は、例えば、種皮、根等があげられる。前記種子に傷を付ける方法としては、例えば、ナイフ等で切傷する方法、針等で刺傷する方法、サンドペーパー、やすり等で表面を削る方法、カーボランダム等微粉末を塗布する方法等があげられる。
本発明において、前記植物ウイルスは、特に制限されず、例えば、前記種子を生長させた植物に感染可能な植物ウイルスがあげられ、前記対象植物に応じて、適宜決定できる。前記植物ウイルスは、例えば、ジェミニウイルス科ウイルス、ブロモウイルス科ウイルス、ポティウイルス科ウイルス、およびヒルガウイルス科ウイルス等があげられる。前記ジェミニウイルス科ウイルスは、例えば、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)等のベゴモウイルス属ウイルス等があげられる。前記ブロモウイルス科ウイルスは、例えば、キュウリモザイクウイルス(CMV)等のククモウイルス属ウイルス等があげられる。前記ポティウイルス科ウイルスは、例えば、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)、スイカモザイクウイルス(WMV)、パパイア輪点ウイルス(PRSV)、カブモザイクウイルス(TuMV)等のポティウイルス属ウイルスがあげられる。前記ヒルガウイルス科ウイルスは、例えば、タバコモザイクウイルス(TMV)、トマトモザイクウイルス(ToMV)、トウガラシ微斑ウイルス(PMMoV)等のトバモウイルス属ウイルス等があげられる。具体例として、前記植物ウイルスと前記対象植物との組合せは、例えば、(1)〜(9)の組合せがあげられる。前記植物ウイルスは、例えば、無害化または病原性を低下させた弱毒化植物ウイルスでもよい。
(1)TYLCVと、ナス科植物(例えば、トマト)との組合せ
(2)CMVと、ナス科植物、ウリ科植物、アブラナ科植物、またはキク科植物との組合せ
(3)ZYMVと、ウリ科植物との組合せ
(4)WMVと、ウリ科植物またはマメ科植物との組合せ
(5)PRSVと、ウリ科植物との組合せ
(6)TuMVと、アブラナ科植物との組合せ
(7)TMVと、ナス科植物、マメ科植物、またはキク科植物との組合せ
(8)ToMVと、ナス科植物(トマト)との組合せ
(9)PMMoVと、ナス科植物(例えば、ピーマンまたはトウガラシ)との組合せ
前記植物ウイルスは、例えば、前記植物ウイルスを含む液体、すなわち、ウイルス液を使用してもよい。前記ウイルス液は、例えば、前記植物ウイルスを水、水溶液、緩衝液等の溶媒に懸濁した懸濁液でもよい。前記緩衝液は、特に制限されず、例えば、リン酸カリウム緩衝液、ヒスチジン緩衝液等があげられる。前記緩衝液の濃度は、例えば、0.001〜0.1mol/Lがあげられる。前記溶媒は、例えば、さらに、その他の成分を含んでもよい。前記その他の成分は、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等の金属キレート剤、亜硫酸ナトリウム、メルカプトエタノール、DIECA(ジエチルジチオカルバミン酸)等の酸化酵素阻害剤等があげられる。
本発明の接種方法は、例えば、前記植物ウイルスを調製する調製工程を含んでもよい。調製する植物ウイルスは、例えば、前記植物ウイルスの粉末等の固体でもよいし、前記植物ウイルスを含むウイルス液等の液体でもよい。前記調製工程は、例えば、前記植物ウイルスが感染した植物体、前記植物ウイルスが感染した培養細胞等から調製できる。前者の場合、前記植物ウイルスは、例えば、前記植物体を前記溶媒中で破砕、摩砕等することで調製でき、さらに、得られたウイルス抽出液の溶媒画分を回収することにより調製してもよい。後者の場合、前記植物ウイルスは、例えば、前記培養細胞の培養液を回収することにより調製できる。前記植物体は、例えば、前記植物ウイルスが感染可能な植物個体またはその部分があげられ、具体例として、前述の植物ウイルスと対象植物との組合せにおける前記対象植物の植物個体またはその部分があげられる。前記植物体は、例えば、植物全体を示す植物個体および前記植物個体の部分のいずれの意味であってもよい。前記植物個体の部分は、例えば、器官、組織、細胞または栄養繁殖体等があげられ、いずれでもよい。前記器官は、例えば、花弁、花冠、花、葉、種子、果実、茎、根等があげられる。前記組織は、例えば、前記器官の部分である。前記植物体の部分は、例えば、一種類の器官、組織および/または細胞でもよいし、二種類以上の器官、組織および/または細胞でもよい。前記植物ウイルスを前記植物個体の部分から調製する場合、前記部分は、例えば、前記ウイルスが感染する部分があげられる。
前記ウイルス液は、例えば、前記ウイルス液を濃縮した濃縮ウイルス液でもよい。前記ウイルス液の濃縮方法は、特に制限されず、例えば、公知の液体の濃縮方法により実施できる。前記濃縮ウイルス液は、例えば、前記ウイルス液を15〜30倍に濃縮した、すなわち、前記ウイルス液の体積を、1/15〜1/30に減少させた濃縮ウイルス液があげられる。具体例として、前記濃縮ウイルス液は、例えば、前記植物ウイルスが感染した根または葉を摩砕することで得られたウイルス抽出液を15〜30倍に濃縮した濃縮ウイルス液があげられる。
前記接種工程では、前記植物ウイルスを前記種子内に導入することにより、前記植物ウイルスを前記種子に接種する。前記接種工程において、前記種子に導入する植物ウイルスの種類は、特に制限されず、例えば、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。後者の場合、前記接種工程において、2種類のウイルスを同時に導入してもよいし、別個に導入してもよい。前記接種工程に供する前記植物ウイルスの量は、特に制限されず、例えば、前記植物ウイルスを接種した種子から生育された植物に前記植物ウイルスが感染可能な量があげられる。
前記植物ウイルスを前記種子内に導入する導入方法は、特に制限されず、例えば、前記植物ウイルス(例えば、前記ウイルス液)の存在下、前記種子内の空隙の空気を排出することにより導入する方法があげられる。前記種子内の空隙は、特に制限されず、例えば、前記種子の種皮より内側の空隙であり、具体例として、種皮下の空隙、胚の空隙、胚乳の空隙等があげられる。
前記種子内の空隙の空気の排出方法は、特に制限されず、例えば、前記種子および前記ウイルス液を含む導入系の圧(P)を、陰圧とすることにより実施でき、より具体的には、前記導入系の圧(P)を大気圧(A)未満の圧力に減圧することにより実施できる。前記導入系において、前記ウイルス液と前記種子とは、例えば、接触している。このように、前記ウイルス液の存在下、前記種子内の空隙の空気を排出することで、例えば、前記空隙が陰圧になり、前記種子外に存在するウイルス液が前記種子内に導入される。すなわち、例えば、前記種子内の空隙の空気を前記ウイルス液に置換することができる。前記大気圧は、例えば、前記減圧を実施する場所における圧力である。
前記種子への前記植物ウイルスの接種効率をより向上できることから、前記排出(減圧)方法において、例えば、前記導入系の圧(P)は、0<P<A(MPa)、0<P≦A−0.09(MPa)、0<P≦A−0.1(MPa)、0.00001≦P≦A−0.09(MPa)、0.00001≦P≦A−0.1(MPa)、A−0.099≦P≦A−0.096(MPa)の圧力に減圧されることが好ましい。前記導入系の減圧方法は、特に制限されず、公知の減圧方法により実施でき、例えば、前記導入系をデシケーター等の容器内に配置し、前記容器内の空気を脱気することにより実施できる。前記導入系の圧力を減圧する時間(減圧時間)は、特に制限されず、前記減圧時の圧力に応じて、適宜決定でき、例えば、前記減圧時の圧力を前記大気圧により近い圧力とする場合、前記減圧する時間は、より長く設定でき、前記大気圧より、より低い圧力とする場合、前記減圧時間は、より短い時間に設定できる。具体例として、前記減圧時間は、例えば、5〜30分、10分前後(例えば、5〜15分)である。
また、前記導入系を減圧することにより、前記植物ウイルスを前記種子内に導入する場合、前記ウイルス液の温度は、例えば、前記減圧時の前記導入系の圧力(P)において、水の沸点以上の温度であることが好ましい。前記水の沸点は、例えば、水の蒸気圧が、前記導入系の圧力(P)と等しくなる温度である。このような温度に設定することで、本発明の接種方法は、例えば、前記種子への前記植物ウイルスの接種効率のぶれを抑制できる。これは、前記種子内の水の気泡化が促進されることで、前記種子内に空隙が生じ、この空隙に前記ウイルス液がさらに導入されることによると推定される。なお、上記推定は、本発明を何ら制限しない。前記ウイルス液の温度は、例えば、水の温度と圧力との関係に応じ、適宜設定できる。前記具体例として、前記減圧時の導入系の圧力(P)が、A−0.099≦P≦A−0.096(MPa)の場合、前記ウイルス液の温度は、例えば、10〜30℃である。
本発明の接種方法は、例えば、さらに、前記導入系の圧力を解放することにより、前記導入系の圧力を大気圧に戻す解放工程を含んでもよい。前記導入系の圧力を解放する方法は、特に制限されず、例えば、前記導入系および前記減圧方法に応じて、実施でき、具体例として、前記導入系を配置したデシケーター等の容器に、容器外の外気を導入することにより実施できる。
本発明の接種方法は、例えば、さらに、前記種子を生育させる生育工程を含んでもよい。前記種子の生育方法は、特に制限されず、例えば、前記種子の由来する植物に応じて、適宜決定できる。具体例として、前記種子の生育方法は、例えば、水耕栽培でもよいし、土壌栽培でもよい。
<植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を付与された植物の生産方法>
本発明の植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を付与された植物の生産方法は、前述のように、弱毒化植物ウイルスを種子に接種することにより、前記植物ウイルスの病害に対する抵抗性を前記種子に付与する付与工程を含み、前記付与工程が、前記本発明の接種方法により実施されることを特徴とする。本発明の生産方法は、前記付与工程が、前記本発明の接種方法により実施されることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の生産方法によれば、例えば、簡便に植物に植物ウイルスに対する抵抗性を付与できる。このため、本発明の生産方法によれば、例えば、前記植物ウイルスに対する抵抗性により、前記植物ウイルスによる病害が防除された種子等の植物を生産できる。本発明の生産方法は、例えば、前記本発明の接種方法の説明を援用できる。前記弱毒化植物ウイルスは、例えば、前記植物ウイルスでもよい。
本発明の生産方法は、例えば、さらに、前記種子を生育させる生育工程を含んでもよい。また、本発明の生産方法は、例えば、さらに、前記植物ウイルスを調製する調製工程を含んでもよい。
<植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物の検出方法>
本発明の植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物の検出方法は、前述のように、植物ウイルスを対象種子に接種することにより、前記対象種子に前記植物ウイルスを感染させる感染工程、および前記対象種子を生育させ、生育させた植物における前記植物ウイルスの感染を検出する検出工程を含み、前記感染工程が、前記本発明の接種方法により実施されることを特徴とする。本発明の検出方法は、前記感染工程が、前記本発明の接種方法により実施されることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の検出方法によれば、例えば、簡便に植物に植物ウイルスに対する抵抗性の植物を検出できる。このため、本発明の検出方法によれば、例えば、前記対象種子から生育させた植物の前記植物ウイルスに対する抵抗性の有無または程度を簡便に検出できる。また、本発明の検出方法によれば、例えば、前記植物ウイルスに対する抵抗性の有無または程度を簡便に検出できるため、例えば、前記植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物をスクリーニングできる。このため、本発明の検出方法は、例えば、植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物のスクリーニング方法ということもできる。本発明の検出方法は、例えば、前記本発明の接種方法の説明を援用できる。
本発明の検出方法は、例えば、さらに、前記種子を生育させる生育工程を含んでもよい。また、本発明の検出方法は、例えば、さらに、前記植物ウイルスを調製する調製工程を含んでもよい。
前記対象種子は、特に制限されず、任意の種子とでき、例えば、接種する植物ウイルスに抵抗性の植物の種子でもよいし、罹病性の植物の種子でもよいし、抵抗性か罹病性か不明の植物の種子でもよい。前記対象種子の由来は、例えば、前記種子の由来の説明を援用できる。
前記感染工程は、前記本発明の接種方法における接種工程の説明を援用できる。
前記検出工程は、前記対象種子を生育させ、生育させた植物における前記植物ウイルスの感染を検出する工程である。前記感染の検出は、例えば、前記植物ウイルスの感染の有無の検出でもよいし、前記植物ウイルスの感染の程度の検出でもよい。具体例として、前記感染の検出は、例えば、前記植物ウイルスによる病害の検出、前記植物ウイルスの核酸の検出等があげられる。
前記植物ウイルスによる病害の検出の場合、前記感染の検出は、例えば、前記対象種子を生育させた植物における、前記植物ウイルスによる病害を発病度により評価することにより、検出できる。前記発病度は、例えば、前記植物ウイルスの種類に応じて、公知の評価方法により決定できる。前記植物ウイルスの核酸の検出の場合、前記感染の検出は、例えば、前記対象種子を生育させた植物における、前記植物ウイルスの核酸の有無または量を分析することにより検出できる。前記核酸は、例えば、DNAでもよいし、RNAでもよいし、両者でもよい。前記核酸の分析は、例えば、PCR、RT−PCR等の公知の核酸の分析方法により分析できる。
本発明の検出方法は、例えば、さらに、前記生育させた植物における感染の検出により、前記植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を判断する判断工程を含む。前記検出工程において、前記植物ウイルスによる病害の検出により前記感染を検出している場合、前記判断工程は、例えば、前記発病度を、発病度の基準値と比較することにより、前記植物ウイルスに対する抵抗性を判断できる。前記発病度の基準値は、例えば、前記植物ウイルスに抵抗性の植物の種子を用いた場合の発病度、前記植物ウイルスを接種しない対象種子を用いた場合の発病度等があげられる。前記検出工程において、前記植物ウイルスの核酸の検出により前記感染を検出している場合、前記判断工程は、例えば、前記植物ウイルスの核酸の有無、または前記植物ウイルスの核酸量を、核酸量の基準値と比較することにより、前記植物ウイルスに対する抵抗性を判断できる。前記核酸量の基準値は、例えば、前記植物ウイルスに抵抗性の植物の種子を用いた場合の核酸量、前記植物ウイルスを接種しない対象種子を用いた場合の核酸量等があげられる。
本発明の検出方法は、例えば、さらに、前記植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物を選抜する選抜工程を含む。前記選抜工程は、例えば、前記植物ウイルスの感染が検出されない、または植物の感染の程度が低減されている前記対象種子から生育させた植物を、前記植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物として、選抜できる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に記載された態様に限定されるものではない。
[実施例1]
本発明の接種方法により、植物ウイルスを種子に導入できることを確認した。
(1)ウイルス液の調製
ポリエチレン製磨砕袋(高尾製作所社製)に、1重量部の凍結保存したTYLCV感染トマトの根と、2重量部0.1mol/L リン酸カリウム緩衝液とを添加後、磨砕した。得られた磨砕液を15mLマイクロチューブに移し、遠心分離機(MX−160、TOMY社製)を用い、20631gの条件下で遠心した。前記遠心後、上清をウイルス液として回収し、他のマイクロチューブに移した。
(2)発根種子の調製
シャーレ(Φ9cm)に滅菌水で湿らせた濾紙(定性濾紙No.2、ADVANTEC社製)を配置し、市販のトマトの乾燥種子(ハウス桃太郎、タキイ種苗社製)をシャーレあたり40粒、濾紙上に播種した。前記播種後、恒温器を用い、24℃、暗黒条件下で3日保温し、前記トマト種子を発根させた。つぎに、昆虫微針(志賀昆虫普及社製)を用い、各発根種子について、幼根を2〜3カ所刺傷した。
(3)植物ウイルスの導入
前記ウイルス液を有するマイクロチューブに、前記刺傷後の発根種子を導入後、遠心式濃縮機(DNA mini、Heto社製)を用い、陰圧(約0.001MPa(デフォルトの設定:大気圧から0.1MPa減圧))条件下で10分遠心することにより、前記ウイルス液を前記種子内に導入した。
(4)感染(接種)効率の確認
ニッピ(日本肥料社製)およびナウエル(イセキ社製)を等量混合した育苗培土に、前記導入後の種子を播種し、前記恒温器を用い、25℃の条件下で育苗した。前記播種後、14〜30日目に上位葉の葉片を採取した。そして、前記葉片について、下記参考文献の方法に準じて、全DNAを抽出し、PCRを実施した。得られた増幅断片について、2%アガロースゲルを用い電気泳動後、Sybr(登録商標)Safe(Thermo Fisher Scientific社製)で染色し、イルミネーター下で観察することで、TYLCVの感染の有無を確認した(n=13)。また、同様の接種を再度行い、TYLCVの感染の有無を確認した(n=13)。これらの結果を表1に示す。
参考文献:Gian Paolo Accotto et.al., “Typing of tomato yellow leaf curl viruses in Europe”, European Journal of Plant Pathology, 2000, vol.106, pages.179-186
Figure 2017163899
前記表1に示すように、平均して96.2%という極めて高い感染効率で、TYLCVをトマトに接種できた。
(5)低濃度のウイルス液を用いた際の感染(接種)効率の確認
つぎに、1重量部の凍結保存したTYLCV感染トマトの根と、10重量部0.1mol/L リン酸カリウム緩衝液とを添加することでウイルス液を調製した以外は、前記(1)〜(4)と同様にして、TYLCVの感染の有無を確認した(n=21)。また、同様の接種を2回行い、TYLCVの感染の有無を確認した(n=24または20)。これらの結果を表2に示す。
Figure 2017163899
前記表2に示すように、TYLCVの濃度が低いウイルス液を用いた場合においても、平均して84.6%と極めて高い効率で、TYLCVをトマトに接種できた。
(6)異なる溶液で調製したウイルス液を用いた際の感染(接種)効率の確認
つぎに、1重量部の凍結保存したTYLCV感染トマトの根と、10重量部0.06mol/L ヒスチジン緩衝液とを添加することでウイルス液を調製した以外は、前記(1)〜(4)と同様にして、TYLCVの感染の有無を確認した(n=15)。また、同様の接種を2回行い、TYLCVの感染の有無を確認した(n=10または14)。これらの結果を表3に示す。
Figure 2017163899
前記表3に示すように、ヒスチジン緩衝液で調製したウイルス液を用いた場合においても、平均して79.5%と極めて高い効率で、TYLCVをトマトに接種できた。
(7)異なる感染部位からウイルス液を用いた際の感染(接種)効率の確認
TYLCV感染トマトの根に代えて、TYLCV感染トマトの葉を用い、1重量部のTYLCV感染トマトの葉と、10重量部0.1mol/L リン酸カリウム緩衝液とを添加することでウイルス液を調製した以外は、前記(1)〜(4)と同様にして、TYLCVの感染の有無を確認した(n=20)。また、同様の接種を2回行い、TYLCVの感染の有無を確認した(n=22または20)。これらの結果を表4に示す。
Figure 2017163899
前記表4に示すように、TYLCV感染トマトの葉を用い調製したウイルス液を用いた場合においても、平均して74.2%と極めて高い効率で、TYLCVをトマトに接種できた。
以上のことから、本発明の接種方法により、植物ウイルスを種子に導入できることがわかった。
[実施例2]
ウイルス液と種子とを含む導入系について減圧することにより、植物ウイルスを種子に導入できることを確認した。
(1)ウイルス液の調製
ウイルス液は、前記実施例1(1)と同様にして、調製した。
(2)吸水種子の調製
前記恒温器において、2日保温し、吸水させた以外は、前記実施例1(2)と同様にし、吸水種子を調製した。
(3)植物ウイルスの導入
前記ウイルス液を有するマイクロチューブに、前記吸水種子を導入後、前記マイクロチューブを真空ゲージ付きデシケーター内に配置した。そして、ダイヤフラム式真空ポンプ(DAH−60、ULVAC社製)を用いて脱気し、大気圧(A)から0.1MPaを減圧し、前記圧力条件(A−0.1MPa)で10分間処理することにより、前記ウイルス液を前記種子内に導入した。
(4)感染(接種)効率の確認
前記導入後の種子について、前記実施例1(4)と同様にして、TYLCVの感染の有無を確認した(n=20)。また、同様の接種を2回行い、TYLCVの感染の有無を確認した(n=20または19)。これらの結果を表5に示す。
Figure 2017163899
前記表5に示すように、減圧処理でウイルス液を種子内に導入した場合においても、平均して89.8%と極めて高い効率で、TYLCVをトマトに接種できた。これらのことから、ウイルス液と種子とを含む導入系について減圧することにより、植物ウイルスを種子に導入できることがわかった。
[実施例3]
ウイルス液の温度を、減圧時の導入系の圧力において、水の沸点以上の温度とすることにより、植物ウイルスを種子に導入する効率のばらつきが抑制されることを確認した。
前記吸水種子を導入したマイクロチューブについて、サーモブロックを用い、25−30℃で5分保温した後、前記植物ウイルスの導入を行った以外は、前記実施例2と同様にして、TYLCVの感染の有無を確認した(n=20)。また、同様の接種を再度行い、TYLCVの感染の有無を確認した(n=20)。これらの結果を表6に示す。
Figure 2017163899
前記表6に示すように、前記ウイルス液温度を、減圧時の導入系の圧力において、水の沸点以上の温度とすることにより、平均して90.0%と極めて高い効率で、TYLCVをトマトに接種できた。また、感染効率のぶれが低減されていた。これらのことから、ウイルス液の温度を、減圧時の導入系の圧力において、水の沸点以上の温度とすることにより、植物ウイルスを種子に導入する効率のばらつきが抑制されることがわかった。
[実施例4]
本発明の接種方法により、植物ウイルスを乾燥種子に導入できることを確認した。
(1)ウイルス液の調製
ウイルス液は、前記実施例1(1)と同様にして、調製した。
(2)植物ウイルスの導入
前記ウイルス液を有するマイクロチューブに、前記トマト種子を浸漬後、前記浸漬後の種子を回収し、他のマイクロチューブに導入した。そして、前記吸水種子を導入したマイクロチューブに代えて、前記浸漬後の種子を導入したマイクロチューブを用いた以外は、前記実施例2(3)と同様にして、TYLCVの感染の有無を確認した(n=17)。この結果を表7に示す。
Figure 2017163899
前記表7に示すように、乾燥種子を用いた場合においても、94.1%と極めて高い効率で、TYLCVをトマトに接種できた。このことから、本発明の接種方法により、植物ウイルスを乾燥種子に導入できることがわかった。
[実施例5]
本発明の接種方法により、異なる植物ウイルスを種子に導入できることを確認した。
(1)ウイルス液の調製
弱毒化CMVのウイルス液および弱毒化WMVのウイルス液は、それぞれ、弱毒化CMV感染を感染させたキュウリ(相模半白節成、タキイ種苗社製)の葉および弱毒化WMV感染キュウリの葉から調製したウイルス液を30倍に濃縮した濃縮ウイルス液から、調製した。具体的には、前記濃縮ウイルス液を、0.1mol/L リン酸カリウム緩衝液を10倍(容量比)に希釈することで調製した。また、弱毒化ZYMVのウイルス液は、弱毒化ZYMVの製剤(キュービオZY−02、微生物化学研究所社製)を、蒸留水で10倍(重量比)に希釈することで調製した。
(2)発根種子の調製および植物ウイルスの導入
前記トマト種子に代えて、キュウリ種子(相模半白節成、タキイ種苗社製)を用い、前記実施例1(1)のウイルス液に代えて、前記実施例5(1)のウイルス液をそれぞれ用いた以外は、前記実施例1(2)および(3)と同様にして、発根種子の調製および植物ウイルスの導入を実施した。
(3)感染(接種)効率の確認
前記導入後のトマト種子に代えて、前記導入後のキュウリ種子を用いた以外は、前記実施例1(4)と同様にして、前記播種後、14〜30日目に上位葉の葉片を採取した。そして、前記葉片について、CMV、WMVおよびZYMVのそれぞれに特異的な抗体を用いて、二重抗体サンドイッチ法(Das−ELISA法)により、CMV、WMVおよびZYMVを、それぞれ検出した(CMV:n=20、WMV:n=19、ZYMV:n=17)。なお、各ウイルスに対する精製抗体および酵素標識抗体は、各ウイルスの抗血清から自家調製したものを用いた。これらの結果を表8に示す。
Figure 2017163899
前記表8に示すように、90%以上という、極めて高い感染効率で、いずれのウイルスもキュウリに接種できた。これらの結果から、本発明の接種方法により、異なる植物ウイルスを種子に導入できることがわかった。
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
以上のように、本発明によれば、例えば、前記種子に対しても、高い接種効率で前記植物ウイルスを接種でき、また、前記先行技術文献では接種効率が低いTYLCV等の植物ウイルスについてもより高い接種効率で接種できる。また、本発明の接種方法は、前記種子を植物ウイルスの接種対象とするため、例えば、一度に大量の種子に接種することができる。このため、先行技術文献の方法と比較して、例えば、前記植物ウイルスを簡便に接種でき、また、前記種子を生育させることで、前記植物ウイルスが接種された植物を、簡便且つ多量に取得することができる。さらに、前記植物ウイルスを前記植物に接種することにより、前記植物は、前記植物ウイルスに対する抵抗性を獲得することが知られている。このため、本発明の接種方法によれば、例えば、前記植物ウイルスが接種された種子を生長させることで、前記植物ウイルスに対する抵抗性が付与された植物を取得することができる。そして、本発明の接種方法は、前記植物ウイルスを接種できることから、例えば、前記植物ウイルスに対する抵抗性の植物品種の育種時に実施する、植物ウイルスに対する抵抗性の検定試験における接種方法として使用できる。このため、本発明は、例えば、育種等の農業分野等において極めて有用である。

Claims (16)

  1. 植物ウイルスを種子内に導入することにより、前記植物ウイルスを前記種子に接種する接種工程を含むことを特徴とする、植物ウイルスの接種方法。
  2. 前記植物ウイルスを含むウイルス液の存在下、前記種子内の空隙の空気を排出することにより、前記植物ウイルスを前記種子内に導入する、請求項1記載の接種方法。
  3. 前記種子および前記ウイルス液を含む導入系の圧力を、大気圧未満の圧力に減圧することにより、前記植物ウイルスを前記種子内に導入する、請求項2記載の接種方法。
  4. さらに、前記導入系の圧力を解放することにより、前記導入系の圧力を大気圧に戻す解放工程を含む、請求項3記載の接種方法。
  5. 前記ウイルス液の温度が、前記減圧時の導入系の圧力において、水の沸点以上の温度である、請求項3または4記載の接種方法。
  6. 前記種子内の空隙が、前記種子の種皮より内側の空隙である、請求項2から5のいずれか一項に記載の接種方法。
  7. 前記種子が、被傷された種子である、請求項1から6のいずれか一項に記載の接種方法。
  8. 前記種子が、乾燥種子、吸水種子、および発根種子からなる群から選択された少なくとも1つである、請求項1から7のいずれか一項に記載の接種方法。
  9. 前記種子が、ナス科植物、ウリ科植物、アブラナ科植物、ヒユ科植物、セリ科植物、およびマメ科植物からなる群から選択された少なくとも1つの植物の種子である、請求項1から8のいずれか一項に記載の接種方法。
  10. 前記植物ウイルスが、ジェミニウイルス科ウイルス、ブロモウイルス科ウイルス、ポティウイルス科ウイルス、およびヒルガウイルス科ウイルスからなる群から選択された少なくとも1つである、請求項1から9のいずれか一項に記載の接種方法。
  11. さらに、前記種子を生育させる生育工程を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の接種方法。
  12. さらに、前記植物ウイルスを調製する調製工程を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の接種方法。
  13. 弱毒化植物ウイルスを種子に接種することにより、前記植物ウイルスの病害に対する抵抗性を前記種子に付与する付与工程を含み、
    前記付与工程が、請求項1から12のいずれか一項に記載の接種方法により実施されることを特徴とする、植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を付与された植物の生産方法。
  14. 植物ウイルスを対象種子に接種することにより、前記対象種子に前記植物ウイルスを感染させる感染工程、および
    前記対象種子を生育させ、生育させた植物における前記植物ウイルスの感染を検出する検出工程を含み、
    前記感染工程が、請求項1から12のいずれか一項に記載の接種方法により実施されることを特徴とする、植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物の検出方法。
  15. さらに、前記生育させた植物における感染の検出により、前記植物ウイルスによる病害に対する抵抗性を判断する判断工程を含む、請求項14記載の検出方法。
  16. さらに、前記植物ウイルスによる病害に抵抗性の植物を選抜する選抜工程を含む、請求項14または15記載の検出方法。
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