以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の一例を詳細に説明する。本実施形態では、パイプ内の異常個所の検出及び検査を行う場合について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る撮像装置10は、パイプ30内を移動しながら、腐食による侵食などの異常個所32を検出し、異常個所32の深さをプロファイルするなどの検査を行う。
撮像装置10は、図1に示すように、第1撮像装置11と、第1照明装置12と、駆動部14と、第2撮像装置16と、第2照明装置17と、制御部20とを含む。
第1撮像装置11は、例えば、可視光カメラや赤外カメラなどであり、例えば、撮像装置10の進行方向斜め下方向の所定範囲を撮像範囲とするように、撮像装置10の前方に設置されている。
第1照明装置12は、第1撮像装置11の撮像範囲に光を照射するように、例えば、撮像装置10の前方に設置されている。
駆動部14は、撮像装置10全体を移動させる機構である。駆動部14は、例えば、モータと、車輪やキャタピラ等の回転機構とを含んで構成することができ、モータにより回転機構を駆動して、撮像装置10を前後左右の各方向に移動させる。
第2撮像装置16は、複数の焦点距離の画像を撮像し、合焦した際の焦点距離に基づいて、撮像画像の各画素に対応する撮像範囲の各位置までの距離を計測する、いわゆる合焦法を用いた3−dimensional(3D)カメラである。第2撮像装置16は、例えば、撮像装置10真下の所定範囲を撮像範囲とするように、撮像装置10の下面に設置される。
第2照明装置17は、第2撮像装置16の撮像範囲に光を照射するように、例えば、撮像装置10の下面に設置されている。より具体的には、第2照明装置17は、図2に示すように、第2撮像装置16装置を中心に配置可能なリング形状とすることができる。これにより、第2撮像装置16の撮像範囲に対する照明のムラを軽減することができる。また、第2照明装置17は、例えばLight Emitting Diode(LED)ライトのように調光機能を有する照明装置である。また、第2照明装置17として、複数の点光源を用い、点灯する点光源の数により調光可能な構成としてもよい。
なお、第1撮像装置11、第1照明装置12、第2撮像装置16、及び第2照明装置17の各々の設置位置は上記の例に限定されず、撮像範囲や撮像装置10の形態等に応じて適切な位置に設置すればよい。
制御部20は、撮像装置10全体の制御を行う。図3に、制御部20の機能ブロック図を示す。図3に示すように、制御部20は、第1撮像制御部21と、検出部22と、算出部23と、駆動制御部24と、第2撮像制御部25と、表示制御部26と、通信制御部27とを含む。
第1撮像制御部21は、第1撮像装置11による撮像、及び第1照明装置12による光の照射を制御する。具体的には、第1撮像制御部21は、第1撮像装置11による撮像を実行させ、撮像された第1撮像画像を取得する。第1撮像制御部21は、取得した第1撮像画像を、第1撮像画像が撮像された際の撮像装置10の位置の情報と共に、検出部22へ受け渡す。詳細は後述するが、撮像装置10の位置の情報は、駆動制御部24から受け渡される。また、第1撮像制御部21は、第1撮像画像を表示制御部26へも受け渡す。
また、第1撮像制御部21は、第1撮像装置11による撮像が行われる際に、第1撮像装置11の撮像範囲に光が照射されるように、第1照明装置12を制御する。
検出部22は、第1撮像制御部21から受け渡された第1撮像画像を画像解析することにより、撮像対象物であるパイプ30内における腐食による侵食等の異常個所32を示す領域を検出する。例えば、検出部22は、第1撮像画像から、予め定めた閾値以下の輝度値の画素群からなる領域であって、領域の面積が予め定めた所定範囲のサイズである領域を、異常個所32を示す領域として検出する。
図4に、第1撮像装置11により撮像された第1撮像画像34から検出された異常個所32を示す領域32Aの一例を示す。図4は、パイプ30内における腐食による侵食個所を、異常個所32を示す領域32Aとして検出した例である。検出部22は、第1撮像画像34内において検出した異常個所32を示す領域32Aの情報を、第1撮像画像34が撮像されたときの撮像装置10の位置の情報と共に算出部23へ受け渡す。領域32Aの情報は、第1撮像画像34上での領域32Aの位置及び面積を特定可能な情報であり、例えば、領域32Aに含まれる各画素の座標値や、領域32Aの輪郭を形成する各画素の座標値とすることができる。
算出部23は、検出部22により検出された異常個所32のパイプ30内における位置を算出する。具体的には、算出部23は、検出部22から受け渡された領域32Aの情報に基づいて、第1撮像画像34上での領域32Aの位置(例えば、領域32Aの中心座標の座標値)を算出する。そして、算出部23は、第1撮像画像34内における異常個所32を示す領域32Aの位置(座標値)と、第1撮像装置11による撮像位置及び撮像条件と、パイプ30内における撮像装置10の位置とに基づいて、異常個所32の位置を算出する。
図5に、側面視における第1撮像装置11と第1撮像画像34と異常個所32との関係を概略的に示す。図5では、第1撮像画像34を第1撮像装置11の撮像範囲内に仮想的に配置した仮想撮像画像面34Aを示している。後述の図6についても同様である。例えば、図5に示すように、第1撮像装置11が、撮像装置10の接地面から高さH(mm)の位置に、俯角D(度)で取り付けられており、パイプ30の奥行き方向に対する第1撮像装置11の画角がVy(度)であるとする。また、第1撮像画像34(仮想撮像画像面34A)の奥行き方向の画素数をWy、第1撮像画像34(仮想撮像画像面34A)の中心から異常個所32を示す領域32Aの中心座標までの奥行き方向の画素数をpyとする。また、第1撮像装置11の光軸と、第1撮像装置11と異常個所32の位置を撮像範囲の幅方向の中心線に射影した位置32Yとを結ぶ線とのなす角をαとする。
この場合、算出部23は、撮像装置10(第1撮像装置11と異常個所32との奥行き方向の距離Lyを下記(1)式により算出する。
Ly=H×(1−tan(D)×tanα)
÷(tan(D)+tanα) ・・・(1)
なお、tanαは、下記(2)式で表される。
tanα=py×tan(Vy/2)÷(Wy/2) ・・・(2)
また、図6に、平面視における第1撮像装置11と第1撮像画像34と異常個所32との関係を概略的に示す。例えば、図6に示すように、パイプ30の水平方向(幅方向)に対する第1撮像装置11の画角がVx(度)、第1撮像画像34(仮想撮像画像面34A)の水平方向の画素数をWx、第1撮像画像34(仮想撮像画像面34A)の中心から異常個所32を示す領域32Aの中心座標までの水平方向の画素数をpxとする。
この場合、算出部23は、撮像装置10(第1撮像装置11)と異常個所32との水平方向の距離Lxを下記(3)式により算出する。
Lx=(x×px)÷Wx ・・・(3)
なお、xは、下記(4)式で表される。
x=2Ly×tan(Vx/2) ・・・(4)
算出部23は、上記(1)式及び(3)式により算出した撮像装置10から異常個所32までの距離と、パイプ30内における撮像装置10の位置とを合わせて、パイプ30内における異常個所32の位置を算出する。
また、算出部23は、検出部22から受け渡された領域32Aの情報に基づいて、異常個所32の面積を算出する。例えば、算出部23は、異常個所32を円形とみなし、上記の異常個所32の位置の算出と同様の方法で異常個所32の直径の両端に相当する2点の位置を求める。そして、算出部23は、求めた2点間の距離を直径とする円の面積を、異常個所32の面積として算出することができる。また、第1撮像装置11の画角や取り付け角度等に基づいて、第1撮像画像34上の各位置における画素数と実際の面積との対応関係を示すテーブルを用意しておく。そして、算出部23は、このテーブルを参照して、領域32Aが検出された位置及び領域の画素数に対応する異常個所32の実際の面積を算出するようにしてもよい。
算出部23は、算出した異常個所32の位置及び面積の情報を、例えば図7に示すようなリストとして、撮像装置10の所定の記憶領域に一旦記憶すると共に、異常個所32の位置の情報を表示制御部26へ受け渡す。また、算出部23は、パイプ30の全長分の異常個所32の検出が終了すると、記憶しておいた異常個所32の位置及び面積を示すリストと、予め用意されたパイプ30の形状データとに基づいて、異常個所32の位置を示すマップを作成してもよい。マップの一例を図8に示す。マップ内の異常個所32を示すマークには、そのマークが示す異常個所32の面積の情報も対応付けておく。算出部23は、異常個所32の位置及び面積を示すリスト又はマップを駆動制御部24へ受け渡す。
駆動制御部24は、検出部22による異常個所32の検出がパイプ30の全長にわたって行われるように、駆動部14を制御して撮像装置10を所定距離ずつ移動させる。具体的には、駆動制御部24は、第1撮像装置11による撮像範囲が、パイプ30内の所定位置(例えば、撮像装置10の進入入口付近の位置)に設定した基準位置からパイプ30内の奥側へ向けて順次変更されるように、撮像装置10をパイプ30内で前進させる。また、駆動制御部24は、モータや車輪の回転数などにより、基準位置からの撮像装置10の移動距離を算出し、算出した移動距離を、パイプ30内における撮像装置10の位置を示す情報として第1撮像制御部21へ受け渡す。
また、駆動制御部24は、算出部23から異常個所32の位置及び面積を示すリスト又はマップを受け取ると、各異常個所32が第2撮像装置16の撮像範囲に含まれる位置になるように、駆動部14を制御して撮像装置10を移動させる。なお、駆動制御部24は、複数の異常個所32が所定距離以内に近接して検出されている場合には、それら複数の異常個所32が第2撮像装置16の撮像範囲に含まれる位置になるように撮像装置10を移動させる。
具体的には、駆動制御部24は、撮像装置10をパイプ30内の基準位置に移動させ、リスト又はマップを参照して異常個所32の位置を取得し、取得した位置に応じた移動距離分、撮像装置10を移動させる。なお、駆動制御部24は、撮像装置10を基準位置に移動させることなく、異常個所32の検出が終了した位置(パイプ30内の奥側の位置)から、撮像装置10を後進させて異常個所32の位置まで移動させてもよい。駆動制御部24は、異常個所32が第2撮像装置16の撮像範囲に含まれる位置に撮像装置10を移動させると、異常個所32の位置への撮像装置10の移動が完了したことを第2撮像制御部25に通知する。
なお、第2撮像装置16として合焦法による3Dカメラを適用する場合、図9に示すように、異常個所32の真上に第2撮像装置16が位置するように撮像装置10を移動させることが好ましい。異常個所32の真上から撮像を行うことにより、3Dカメラにより異常個所32の深さを精度良くプロファイルすることができるためである。
第2撮像制御部25は、第2撮像装置16による撮像、及び第2照明装置17による光の照射を制御する。具体的には、第2撮像制御部25は、異常個所32の位置への撮像装置10の移動が完了したことの通知を駆動制御部24から受け取ると、第2撮像装置16による撮像を実行させ、撮像された第2撮像画像を取得する。第2撮像装置16から取得される第2撮像画像の各画素は、第2撮像装置16からその画素に対応する撮像範囲の位置までの距離の情報を保持する。第2撮像制御部25は、第2撮像装置16から取得した第2撮像画像を通信制御部27へ受け渡す。
図10に、パイプ30内の異常個所32を第2撮像装置16で撮像した第2撮像画像36の一例を示す。また、図10の上段右図の3D表示、及び図10下段の高さ(深さ)プロファイル(第2撮像画像36内のX方向及びY方向の各位置における高さ(深さ)のプロファイル)の図は、第2撮像画像36の各画素が保持する距離の情報をグラフ化したものである。また、比較例として、異常個所32が検出されていない個所を第2撮像装置16で撮像した第2撮像画像36、距離情報の3D表示、及び高さ(深さ)プロファイルの一例を図11に示す。
また、第2撮像制御部25は、第2撮像装置16による撮像が行われる際に、第2撮像装置16の撮像範囲に光が照射されるように、第2照明装置17を制御する。
ここで、本実施形態のように、異常個所32の深さのプロファイルを検査する場合、異常個所32の面積及び第2照明装置17の照度に応じて、異常個所32への光の届き方が異なり、第2撮像装置16による深さの計測結果に変動が生じる。特に、異常個所32が、面積が小さく深さが深いピンホール状の場合、第2照明装置17による照明が異常個所32の底部まで届き難く、正確な計測を行うことができない。
図12に、直径1.0mm(面積1.00mm2)、かつ深さ1500mmの穴、及び直径0.5mm(面積0.25mm2)、かつ深さ約1500mmの穴についての深さプロファイルの一例を示す。図12に示すように、面積が0.25mm2の穴については、底部まで照明が届かず、正確な計測ができていないことがわかる。
そこで、第2撮像制御部25は、第2撮像装置16により撮像が行われる際に、撮像対象の異常個所32の面積に応じて、第2照明装置17の照度を調整する。具体的には、第2撮像制御部25は、異常個所32の面積が小さいほど第2照明装置17の照度を強くする。例えば、図13に示すように、異常個所32の面積と照度との関係を定めたテーブルを用意しておく。そして、第2撮像制御部25は、異常個所32の位置及び面積を示すリスト又はマップから撮像対象の異常個所32の面積を取得し、図13に示すようなテーブルを参照して、異常個所32の面積に応じた照度を取得する。そして、第2撮像制御部25は、取得した照度で第2撮像装置16の撮像範囲が照明されるように第2照明装置17を制御する。
なお、照度は、第2照明装置17を制御する際の制御パラメータの一例であり、照度に変えて、第2照明装置17への印加電圧の電圧値や、第2照明装置が複数の点光源の場合には、点灯する点光源の個数を、制御パラメータとして用いてもよい。
表示制御部26は、通信機能及び表示装置を備え、かつパイプ30の外に配置される情報処理装置の表示装置に表示するための表示画像の画像データを生成する。情報処理装置は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等である。具体的には、表示制御部26は、第1撮像制御部21から受け渡された第1撮像画像34上に、検出部22で検出された異常個所32を示す領域32Aを示すマークを重畳した表示画像を示す画像データを生成する。
さらに、表示制御部26は、表示画像に、撮像装置10からの奥行き方向の距離が等しい位置を示す複数の等距離線も重畳表示されるように画像データを生成する。等距離線を表示する表示画面上の位置は、上記(1)式及び(2)式において、Lyに等距離線を表示する撮像装置10からの距離を代入して、画像中心からの画素数pyとして求めればよい。表示制御部26は、生成した画像データを通信制御部27へ受け渡す。
図14に、表示画像37の一例を示す。図14は、図4に示す第1撮像画像34に異常個所32を示す領域32Aを示すマーク38と、等距離線39とを重畳した例である。また、図14の例では、各等距離線39が示す位置までの撮像装置10からの距離、及び検出された異常個所32の位置を示す数値も合わせて表示している。異常個所32の位置として、奥行き方向の位置は、撮像装置10からの距離で表しており、水平方向の位置は、画像中心からの距離で表している。なお、画像中心に対して左側(図14の表示画像37では下側)をプラスの距離で、右側(図14の表示画像37では上側)をマイナスの距離で表している。
通信制御部27は、表示制御部26から受け渡された表示画像37の画像データを、Wi−Fi(登録商標)などの通信インターフェース(I/F)により、パイプ30外部の情報処理装置へ送信するように制御する。これにより、情報処理装置の表示装置に、図14に示すような表示画像37を表示することができる。また、通信制御部27は、第2撮像制御部25から受け渡された第2撮像画像36もパイプ30外部の情報処理装置へ送信するように制御する。これにより、情報処理装置の表示装置に、図10に示すような異常個所の高さ(深さ)プロファイルや3D表示を表示することができる。
なお、通信制御部27は、第1撮像制御部21から取得した第1撮像画像34と算出部23による算出結果とを情報処理装置へ送信し、情報処理装置において、表示画像37の画像データを生成して表示装置に表示してもよい。この場合、表示制御部26は、制御部20の構成から省略してもよい。
また、異常個所32の検出及び検査の作業中には、画像データ等の情報処理装置への送信を行わず、画像データ等を撮像装置10に挿入されたメモリカード等に記憶しておく。そして、パイプ30全長の検査が終了した際に、メモリカードを取り出して、記憶しておいたデータを読み出すようにしてもよい。この場合、通信制御部27は、制御部20の構成から省略してもよい。
撮像装置10の制御部20は、例えば図15に示すコンピュータ40で実現することができる。コンピュータ40はCentral Processing Unit(CPU)41、一時記憶領域としてのメモリ42、及び不揮発性の記憶部43を備える。また、コンピュータ40は、第1撮像装置11、第1照明装置12、駆動部14、第2撮像装置16、第2照明装置17と接続される入出力I/F44を備える。また、コンピュータ40は、メモリカード等の記録媒体49に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部45、並びにWi−Fi(登録商標)などの通信I/F46を備える。CPU41、メモリ42、記憶部43、入出力I/F44、R/W部45、及び通信I/F46は、バス47を介して互いに接続される。
記憶部43はHard Disk Drive(HDD)、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部43には、コンピュータ40を制御部20として機能させるための制御プログラム50が記憶されている。制御プログラム50は、第1撮像制御プロセス51と、検出プロセス52と、算出プロセス53と、駆動制御プロセス54と、第2撮像制御プロセス55と、表示制御プロセス56と、通信制御プロセス57とを有する。
CPU41は、制御プログラム50を記憶部43から読み出してメモリ42に展開し、制御プログラム50が有するプロセスを順次実行する。CPU41は、第1撮像制御プロセス51を実行することで、図3に示す第1撮像制御部21として動作する。また、CPU41は、検出プロセス52を実行することで、図3に示す検出部22として動作する。また、CPU41は、算出プロセス53を実行することで、図3に示す算出部23として動作する。また、CPU41は、駆動制御プロセス54を実行することで、図3に示す駆動制御部24として動作する。また、CPU41は、第2撮像制御プロセス55を実行することで、図3に示す第2撮像制御部25として動作する。また、CPU41は、表示制御プロセス56を実行することで、図3に示す表示制御部26として動作する。また、CPU41は、通信制御プロセス57を実行することで、図3に示す通信制御部27として動作する。これにより、制御プログラム50を実行したコンピュータ40が、撮像装置10の制御部20として機能することになる。
なお、制御プログラム50により実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等で実現することも可能である。
次に、第1実施形態に係る撮像装置10の作用について説明する。撮像装置10がパイプ30内の一端に設定した基準位置に配置され、作業開始の指示が撮像装置10に入力されると、制御部20において、図16に示す制御処理が実行される。
図16に示す制御処理のステップS11で、第1撮像制御部21が、第1照明装置12により第1撮像装置11の撮像範囲に光を照射させ、第1撮像装置11による撮像を実行させ、撮像された第1撮像画像34を取得する。第1撮像制御部21は、取得した第1撮像画像34を、第1撮像画像34が撮像された際の撮像装置10の位置の情報と共に、検出部22へ受け渡す。また、第1撮像制御部21は、第1撮像画像34を表示制御部26へも受け渡す。
次に、ステップS12で、検出部22が、第1撮像制御部21から受け渡された第1撮像画像34を画像解析することにより、撮像対象物であるパイプ30内における腐食による侵食等の異常個所32を示す領域32Aを検出する。検出部22は、第1撮像画像34内において検出した異常個所32を示す領域32Aの情報を、第1撮像画像34が撮像されたときの撮像装置10の位置の情報と共に算出部23へ受け渡す。
次に、ステップS13で、算出部23が、撮像装置10から異常個所32までの距離を、例えば、上記(1)式及び(3)式により算出する。そして、算出部23は、撮像装置10から異常個所32までの距離と、パイプ30内における撮像装置10の位置とを合わせて、パイプ30内における異常個所32の位置を算出する。また、算出部23は、領域32Aの情報に基づいて、異常個所32の実際の面積を算出する。そして、算出部23は、算出した異常個所32の位置及び面積の情報を、例えば図7に示すようなリストとして、撮像装置10の所定の記憶領域に一旦記憶すると共に、異常個所32の位置の情報を表示制御部26へ受け渡す。なお、上記ステップS12で異常個所32が検出されなかった場合には、本ステップの処理はスキップする。
次に、ステップS14で、表示制御部26が、第1撮像制御部21から受け渡された第1撮像画像34上に、異常個所32を示す領域32Aを示すマーク38と、撮像装置10からの等距離線39とを重畳した表示画像37の画像データを生成する。表示制御部26は、生成した表示画像37の画像データを通信制御部27へ受け渡す。通信制御部27は、表示画像37の画像データを通信I/F46を介して、パイプ30の外に配置された情報処理装置に送信する。これにより、情報処理装置の表示装置に、例えば図14に示すような表示画像37が表示され、パイプ30内で検出された異常個所32の画像をリアルタイムで確認することもできる。なお、画像データの生成及び情報処理装置への送信を行うことなく、撮像装置10に挿入されたメモリカード等に第1撮像画像34を記憶しておいて、検査終了後に取り出すようにしてもよい。
次に、ステップS15で、駆動制御部24が、撮像装置10がパイプ30の他端に到達したか否かを判定する。この判定は、撮像装置10の移動距離とパイプ30の全長距離とを比較したり、パイプ30の他端に設けられた終端を示す標識を、撮像装置10に設けたセンサ(図示省略)で検出したりすることにより行うことができる。撮像装置10がパイプ30の他端に到達した場合には、処理はステップS17へ移行し、撮像装置10がパイプ30の他端に到達していない場合には、処理はステップS16へ移行する。
ステップS16では、駆動制御部24が、撮像装置10をパイプ30内で所定距離前進させるように、駆動部14を制御する。また、駆動制御部24は、基準位置からの撮像装置10の移動距離を算出し、算出した移動距離を、パイプ30内における撮像装置10の位置を示す情報として第1撮像制御部21へ受け渡す。そして、処理はステップS11に戻る。これにより、第1撮像装置11による撮像範囲が変更され、新たな撮像範囲から異常個所32の検出が行われる。なお、取得済みの第1撮像画像34から既に検出済みの異常個所32については、次に取得される第1撮像画像34からは、画像内での対象物の追跡技術を用いて検出することができる。
一方、ステップS17では、算出部23により算出され、所定の記憶領域に記憶された異常個所32の位置及び面積を示すリストが駆動制御部24に受け渡される。なお、算出部23は、異常個所32の位置及び面積を示すリストに基づいて、異常個所32の位置を示すマップを生成して、駆動制御部24に受け渡してもよい。駆動制御部24は、異常個所32の位置及び面積を示すリスト又はマップを受け取ると、撮像装置10をパイプ30内の基準位置に移動させる。なお、異常個所32の検出が終了した位置(パイプ30の他端)から、異常個所の検査を開始する場合には、本ステップの処理はスキップする。
次に、ステップS18で、駆動制御部24が、リスト又はマップを参照して異常個所32の位置を取得し、取得した位置までの移動距離を算出する。そして、駆動制御部24は、異常個所32が第2撮像装置16の撮像範囲に含まれる位置になるように、駆動部14を制御して算出した移動距離分撮像装置10を移動させる。
次に、ステップS19で、第2撮像制御部25が、異常個所32の位置及び面積を示すリスト又はマップから撮像対象の異常個所32の面積を取得し、例えば図13に示すようなテーブルを参照して、異常個所32の面積に応じた照度を取得する。そして、第2撮像制御部25は、取得した照度で第2撮像装置16の撮像範囲が照明されるように第2照明装置17を制御する。
次に、ステップS20で、第2撮像制御部25が、第2撮像装置16による撮像を実行させ、撮像された第2撮像画像36を取得する。
次に、ステップS21で、第2撮像制御部25が、第2撮像装置16から取得した第2撮像画像36を通信制御部27へ受け渡す。そして、通信制御部27は、第2撮像装置16の撮像画像を通信I/F46を介して、パイプ30の外に配置された情報処理装置に送信する。なお、第2撮像画像36を情報処理装置へ送信することなく、撮像装置10に挿入されたメモリカード等に記憶しておいて、検査終了後に取り出すようにしてもよい。また、第2撮像画像36自体をメモリカード等に記憶する場合に限らず、第2撮像画像36に基づいて計測された深さの計測結果のみをメモリカード等に記憶するようにしてもよい。
次に、ステップS22で、第2撮像制御部25が、異常個所32の位置及び面積を示すリスト又はマップに含まれる全ての異常個所32を、第2撮像装置16により撮像したか否かを判定する。まだ撮像していない異常個所32が存在する場合には、処理はステップS17に戻り、全ての異常個所32の撮像が終了している場合には、制御処理は終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る撮像装置10は、第2撮像装置で異常個所を撮像する際に、異常個所の面積が小さいほど第2照明装置の照度が強くなるように制御する。これにより、面積が小さく深さが深いピンホール状の異常個所の底部まで光が届く可能性が高まり、第2撮像装置による異常個所の撮像の精度が向上する。
また、本実施形態では、第1撮像装置により撮像した第1撮像画像から異常個所を検出し、検出した異常個所の位置を算出する。そして、算出した異常個所の位置まで撮像装置10を移動させ、第2撮像装置により異常個所を撮像し、異常個所の検査を行う。したがって、本実施形態に係る撮像装置10によれば、パイプ内のような閉鎖された空間内の異常個所の検出及び検査を効率良く行うことができる。
また、本実施形態に係る撮像装置10は、第1撮像画像に、検出された異常個所を示すマークと、撮像装置10からの距離が等しい位置を示す等距離線とを重畳表示する。これにより、撮像画像を目視することにより異常個所32の状態を確認する場合の支援を行うこともできる。
なお、上記実施形態では、パイプ30の全長にわたって異常個所32を検出した後に、検出した異常個所の各々を検査する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、異常個所32を検出しながら、異常個所32の検査も行うようにしてもよい。この場合、撮像装置10を所定距離ずつ移動させながら第1撮像装置11で撮像を行っている際に、撮像装置10が既に検出されている異常個所の位置に到達したか否かを判定し、到達している場合には、第2撮像装置16による撮像を行うようにすればよい。
また、上記実施形態では、面積が小さく深さが深いピンホール状の異常個所を想定して、異常個所の面積が小さいほど第2照明装置の照度が強くなるように制御する場合を説明したが、面積が小さく深さが浅い異常個所が存在することも想定される。この場合、異常個所の面積が小さいことに応じて、第2照明装置の照度は強くなるように制御されるため、第2撮像装置で撮像される撮像画像は、輝度が飽和したものになる可能性もある。このような場合を考慮して、第2撮像装置による撮像画像の輝度が飽和している場合、第2照明装置の照度を弱くして、再度、第2撮像装置による撮像を行うようにしてもよい。撮像画像の輝度が飽和しているか否かは、撮像画像に含まれる画素のうち、輝度値が最大値(例えば、明るさを0〜255の階調で表す場合、最大値は255)の画素の割合が予め定めた閾値以上か否かにより判定することができる。
また、上記実施形態では、第2撮像制御部25が、リストやマップと図13に示すようなテーブルとを参照して、異常個所の面積に応じた照度などの制御パラメータを取得する場合について説明したが、これに限定されない。算出部23が、異常個所の面積を算出した際に、図13に示すようなテーブルを参照して、異常個所の面積に応じた照度などの制御パラメータを取得し、算出した異常個所の位置に対応付けてリストやマップに制御パラメータを記憶するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、撮像装置10により異常個所の検出も行う場合について説明したが、異常個所の検出は、例えばパイプ30内を撮像した映像から人手で検出するなど、他の手法を用いてもよい。すなわち、異常個所の位置及び面積のリスト又はマップを外部装置などから取得して、異常個所の位置に移動して検査(第2撮像装置による撮像)を行う際に、異常個所の面積に応じて照度の調整を行うものであってもよい。
また、上記実施形態では、第2撮像装置として合焦法による測距を行う3Dカメラを用いて異常個所のプロファイルを得る場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第2撮像装置として、ステレオカメラを用いてもよい。この場合も上記各実施形態と同様に、各画素がその画素に対応する位置までの距離の情報を保持した画像が第2撮像装置により得られる。
また、上記実施形態では、パイプ内の腐食による侵食個所を異常個所として検出する場合を例に説明したが、これに限定されない。本発明は、例えば、構造上設けられたピンホール状の穴の点検の際にも適用可能である。この場合、検査対象個所は撮像装置の下面に生じるとは限らない。また、パイプ内の腐食による侵食個所を異常個所として検出する場合でも、検査対象のパイプを流通する物質の種類によっては、侵食個所は撮像装置の下面に限らない可能性がある。そこで、第1撮像装置及び第2撮像装置の各々による撮像範囲が、パイプ内の全周をカバーできるように、複数の第1撮像装置及び複数の第2撮像装置を設けたり、第1撮像装置及び第2撮像装置の各々を可動式としたりしてもよい。
また、上記各実施形態では、パイプの全長にわたって異常個所の検出及び検査を行う場合について説明したが、これに限定されない。予め定めた範囲、例えば、腐食による侵食が生じやすいパイプの屈曲部分を検査するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、撮像対象物をパイプ内部とする場合について説明したが、本発明は、撮像装置が移動可能な空間であれば、パイプに限らず、例えばタンクなどの他の閉空間を撮像対象物とする場合にも適用可能である。
また、上記では、制御プログラム50が記憶部43に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、CD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。
以上の上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
駆動制御に応じて移動可能な撮像装置において、
撮像部と、
撮像対象物の異常個所の位置と、前記異常個所の面積又は前記異常個所の面積に応じて算出された照明の制御パラメータとが記憶された記憶部を参照し、前記撮像部により前記異常個所の位置において前記異常個所を含む撮像画像を撮像する際に、前記異常個所の面積又は照明の制御パラメータに基づいて、照明を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする移動可能な撮像装置。
(付記2)
前記制御部は、前記異常個所の面積が小さいほど、前記照明の強さを強くするように制御する付記1記載の撮像装置。
(付記3)
前記制御部は、前記異常個所の位置において、前記撮像部の焦点距離を変化させて複数の撮像画像を撮像するように制御することを特徴とする付記1又は付記2記載の撮像装置。
(付記4)
前記撮像部とは異なる検出用撮像部を備え、
前記制御部は、前記検出用撮像部により撮像した撮像画像に基づいて前記異常個所を検出すると、前記撮像画像に基づいて、検出した前記異常個所の位置を算出し、駆動部を制御して、算出した前記位置に移動するように制御する
付記1〜付記3のいずれか1項記載の撮像装置。
(付記5)
前記制御部は、前記検出用撮像部による撮像画像を該撮像画像中の前記異常個所を示すマークとともに表示する際に、前記検出用撮像部による撮像画像の撮像の際の撮像位置と撮像条件とに基づいて、前記検出用撮像部の撮像位置からの距離が等間隔となる位置に対応づけて、前記検出用撮像部による撮像画像上に複数のラインを表示するように制御する付記4記載の撮像装置。
(付記6)
第1の撮像装置により撮像された撮像画像に基づいて検出された撮像対象物の異常個所の位置情報と、検出された前記異常個所の面積情報とが記憶された記憶部を参照し、
第2の撮像装置により前記異常個所の位置において前記異常個所を含む撮像画像を撮像する際、前記異常個所の面積情報に基づいて照明の強さを調整し、撮像する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする撮像方法。
(付記7)
前記異常個所の面積が小さいほど、前記照明の強さを強くするように制御する付記6記載の撮像方法。
(付記8)
前記異常個所の位置における撮像は、前記第2の撮像装置の焦点距離を変化させて複数の撮像画像を撮像することを特徴とする付記6又は付記7記載の撮像方法。
(付記9)
前記第1の撮像装置により撮像した撮像画像に基づいて前記異常個所を検出すると、前記撮像画像に基づいて、検出した前記異常個所の位置を算出し、駆動部を制御して、算出した前記位置に移動するように制御する
付記6〜付記8のいずれか1項記載の撮像方法。
(付記10)
前記第1の撮像装置による撮像画像を該撮像画像中の前記異常個所を示すマークとともに表示する際に、前記第1の撮像装置による撮像画像の撮像の際の撮像位置と撮像条件とに基づいて、前記第1の撮像装置の撮像位置からの距離が等間隔となる位置に対応づけて、前記第1の撮像装置による撮像画像上に複数のラインを表示するように制御する付記9記載の撮像方法。
(付記11)
第1の撮像装置により撮像された撮像画像に基づいて検出された撮像対象物の異常個所の位置情報と、検出された前記異常個所の面積情報とが記憶された記憶部を参照し、
第2の撮像装置により前記異常個所の位置において前記異常個所を含む撮像画像を撮像する際、前記異常個所の面積情報に基づいて照明の強さを調整し、撮像する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする撮像プログラム。
(付記12)
前記異常個所の面積が小さいほど、前記照明の強さを強くするように制御する付記11記載の撮像プログラム。
(付記13)
前記異常個所の位置における撮像は、前記第2の撮像装置の焦点距離を変化させて複数の撮像画像を撮像することを特徴とする付記11又は付記12記載の撮像プログラム。
(付記14)
前記第1の撮像装置により撮像した撮像画像に基づいて前記異常個所を検出すると、前記撮像画像に基づいて、検出した前記異常個所の位置を算出し、駆動部を制御して、算出した前記位置に移動するように制御する
付記11〜付記13のいずれか1項記載の撮像プログラム。
(付記15)
前記第1の撮像装置による撮像画像を該撮像画像中の前記異常個所を示すマークとともに表示する際に、前記第1の撮像装置による撮像画像の撮像の際の撮像位置と撮像条件とに基づいて、前記第1の撮像装置の撮像位置からの距離が等間隔となる位置に対応づけて、前記第1の撮像装置による撮像画像上に複数のラインを表示するように制御する付記14記載の撮像プログラム。
(付記16)
第1の撮像装置により撮像された撮像画像に基づいて検出された撮像対象物の異常個所の位置情報と、検出された前記異常個所の面積情報とが記憶された記憶部を参照し、
第2の撮像装置により前記異常個所の位置において前記異常個所を含む撮像画像を撮像する際、前記異常個所の面積情報に基づいて照明の強さを調整し、撮像する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする撮像プログラムを記憶した記憶媒体。