以下に実施形態が図面を参照して記述される。以下の記述において、略同一の機能および構成を有する構成要素は同一符号を付され、繰り返しの説明は省略される場合がある。ある実施形態についての記述はすべて、明示的にまたは自明的に排除されない限り、別の実施形態の記述としても当てはまる。各機能ブロックは、ハードウェア、コンピュータソフトウェアのいずれかまたは両者を組み合わせたものとして実現することができる。各機能ブロックが、以下の例のように区別されていることは必須ではない。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックによって実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。
(第1実施形態)
(構成(構造))
図1に示されているように、第1実施形態のメモリシステム100は、半導体記憶装置1、およびメモリコントローラ2を含む。メモリシステム100は、ホスト装置200と通信する。記憶装置1は、例えばNAND型フラッシュメモリである。
メモリコントローラ2は、ホスト装置200から命令を受け取り、受け取られた命令に基づいて記憶装置1を制御する。メモリコントローラ2は、例えばCPU(central processing unit)等のプロセッサ210、ROM(read only memory)220、RAM(random access memory)230、メモリインターフェイス240、ホストインターフェイス250等の要素を含む。
ROM220に保持されているプログラムがプロセッサ210によって実行されることによって、メモリコントローラ2は種々の動作を行う。RAM230は、一時的なデータを保持する。メモリインターフェイス240は、記憶装置1と接続され、メモリコントローラ2と記憶装置1との通信を司る。ホストインターフェイス250は、バスを介してホスト装置200と接続され、メモリコントローラ2とホスト装置200との通信を司る。
メモリコントローラ2は、信号CLE、ALE、WEn、REn、RBn、I/Oを使用して、記憶装置1を制御し、記憶装置1の状態を知る。信号CLEおよびALEは、信号CLEおよびALEと並行して記憶装置1に流れる信号I/Oがそれぞれコマンドおよびアドレスであることを記憶装置1に通知する。信号WEnは、信号WEnと並行して記憶装置1に流れる信号I/Oを記憶装置1に取り込むことを指示する。信号の名称の末尾のnは、信号がローレベルの場合に有効であることを意味する。信号REnは、記憶装置1に信号I/Oを出力することを指示する。信号RBnは、記憶装置1がレディー状態(メモリコントローラ2からの命令を受け付ける状態)であるか、ビジー状態(メモリコントローラ2からの命令を受け付けない状態)であるかを示し、ローレベルによってビジー状態を示す。信号I/Oは、例えば8ビットの幅を有し、データの実体であり、コマンド(CMD)、書き込みデータまたは読み出しデータ(DAT)、およびアドレス信号(ADD)等を含む。
記憶装置1は、メモリセルアレイ11、シーケンサ(コントローラ)12、ドライバ13、ロウデコーダ14、センスアンプおよびデータラッチ15、ならびにカラムデコーダ16等の要素を含む。
セルアレイ11は、複数のブロックBLK(BLK0、BLK1、…)を含む。ブロックBLKは、例えばデータの消去単位であり、各ブロックBLK中のデータは一括して消去される。ただし、1つのブロックBLKより小さい単位(例えばブロックBLKの半分)でデータが消去されてもよい。
各ブロックBLKは、複数のストリングユニット(ストリング群)SU(SU0、SU1、…)を含む。各ストリングユニットSUは、複数のNANDストリングSTR(STR0、STR1、…)を含む。各ストリングSTRは複数のメモリセル(図示せず)を含む。セルアレイ11中には、ワード線WL、ビット線BL、ソース線SL、選択ゲート線(図示せず)等の要素も設けられている。ある複数のメモリセルによる記憶空間は、1または複数のページを構成する。
シーケンサ12は、コマンドを受け取り、コマンドに基づくシーケンスに従ってドライバ13、ならびにセンスアンプおよびデータラッチ15を制御する。ドライバ13は、アドレス信号ADD中のロウアドレス信号を受け取り、ロウアドレス信号に基づいて、ワード線WL、選択ゲート線、およびソース線SL等の配線に印加される種々の電位をロウデコーダ14に供給する。ドライバ13は、後述の複数のドライバを含む。
ロウデコーダ14は、ロウアドレス信号を受け取り、ロウアドレス信号に基づいて、ブロックBLKを選択する。選択されたブロックBLKに、ドライバ13からの電位が転送される。
センスアンプおよびデータラッチ15は、シーケンサ12の制御に従って、メモリセルからデータを読み出し、またデータをメモリセルに書き込む。センスアンプおよびデータラッチ15は、複数のデータラッチを含み、例えば4つのデータラッチDL0、DL1、DL2、およびDL3(図示せず)を含む。各データラッチは、1ページの大きさのデータを保持できる。データラッチDL0は、いわゆるページバッファとして機能する。記憶装置1へのデータは、ページバッファにより受け取られ、記憶装置1から送信されるデータはページバッファから送信される。
カラムデコーダ16は、アドレス信号ADD中のカラムアドレス信号を受け取り、カラムアドレス信号に基づいてカラムを選択してセンスアンプおよびデータラッチ15を制御する。
セルアレイの一部および関連する要素は、図2のように接続されている。各ブロックBLKは、ストリングユニットSU0〜SUkを含む。kは、自然数であり、以下の記述では例として3である。
ビット線BL0〜BLm(mは自然数)の各々は、各ブロックBLKにおいて、4つのストリングユニットSU0〜SU3の各々からの1つのストリングSTRと接続されている。
各ストリングSTRは、選択ゲートトランジスタSSTb(SSTb0〜SSTb3)、選択ゲートトランジスタSST(SST0〜SST3、)メモリセルトランジスタMT0〜MTn、および選択ゲートトランジスタSDT(SDT0〜SDT3)を含む。nは自然数である。トランジスタSSTb、SST、MT、SDTは、この順で、ソース線SLと1つのビット線BLとの間に直列に接続されている。セルトランジスタMTは、制御ゲート電極(ワード線WL)と、周囲から絶縁された電荷蓄積膜とを含み、電荷蓄積膜中の電荷の量に基づいてデータを不揮発に保持することができる。
相違する複数のビット線BLの各々と接続された1つのストリングSTRの組は1つのストリングユニットSUを構成する。各ストリングユニットSUにおいて、各x(xは0およびn以下の自然数のいずれか)について、セルトランジスタMTxのゲートは、ワード線WLxに接続されている。さらに、各ブロックBLKにおいて、相違するストリングユニットSU中のワード線WLxも相互に接続されている。1つのストリングユニットSU中でワード線WLを共有するセルトランジスタMTの組は、セルユニットCUと称される。
各y(yは0およびk(=3)以下の自然数のいずれか)について、トランジスタSDTy、SSTy、およびSSTbyは、ストリングユニットSUyに属する。
各yについて、ストリングユニットSUyの複数のストリングSTRの各々のトランジスタSDTyのゲートは選択ゲート線SGDLyに接続されている。各yについて、ストリングユニットSUyの複数のストリングSTRの各々のトランジスタSSTyのゲートは選択ゲート線SGSLyに接続されている。各yについて、ストリングユニットSUyの複数のストリングSTRの各々のトランジスタSSTbyのゲートは選択ゲート線SGSbLyに接続されている。
1つのブロックBLK中の複数のストリングユニットSUの選択ゲート線SGSLは相互に接続されていてもよい。また、1ブロックBLK中の複数のストリングユニットSUの選択ゲート線SGSbLは相互に接続されていてもよい。
各xおよびyについて、ロウデコーダ14は、選択された1つのブロックBLKでのみ、トランジスタXFRを介して選択ゲート線SGDLyをSG線SGDyに接続し、選択ゲート線SGSLyをSG線SGSyに接続し、選択ゲート線SGSbLyをSG線SGSbyに接続し、ワード線WLxをCG線xに接続する。そのために、ロウデコーダ14は、各ブロックBLKのための1つのブロックデコーダ14a(14a0)を含む。
各yについて、SG線SGDyはドライバSGDdrvyにより駆動され、SG線SGSyはドライバSGSdrvyにより駆動され、SG線SGSbyはドライバSGSbdrvyにより駆動される。各xについて、CG線CGxはドライバCGdrvxにより駆動される。ソース線SLは、ドライバSLdrvにより駆動される。
ドライバSGDdrv、SGSdrv、SGSbdrv、CGdrv、およびSLdrvは、シーケンサ12の制御に従って、データの読み出し、書き込み、または消去の際に、接続された配線に種々の電圧を印加する。
セルアレイ11は、例えば図3および図4に示されている構造を有する。図3は、セルアレイ11を実現し得る構造の例を示しており、x軸に沿って4つのストリングユニットSUを示す。図4は、図3の一部を詳細に示す。図3および図4は、n=7の例を示す。
基板20の表面にp型のウェル領域pWが設けられており、ウェル領域pW上にD3軸に沿って半導体柱SPが設けられている。半導体柱SPの側面はトンネル絶縁膜TIにより覆われている。トンネル絶縁膜TIの側面は、電荷蓄積膜CIにより覆われている。電荷蓄積膜CIは、絶縁性または導電性であり、側面をブロック絶縁膜BIにより覆われている。半導体柱SPは、ストリングSTRの電流経路として機能し、セルトランジスタMTおよび選択ゲートトランジスタSDT、SST、およびSSTbのためのチャネルが形成される領域を提供する。トンネル絶縁膜TI、電荷蓄積膜CI、およびブロック絶縁膜BIは、図4にのみ示されている。
ウェル領域pWの上方において、導電性の選択ゲート線SGSbLおよびSGSL、導電性の複数のワード線WL(WL0〜WL7)、および導電性の複数の選択ゲート線SGDLがD12面に沿って広がっている。複数の選択ゲート線SGDLは、相互に接続されている(図示せず)。選択ゲート線SGSbLおよびSGSL、ワード線WL0〜WL7の組、および選択ゲート線SGDLの組は、この順にD3軸に沿って間隔を有して並んでいる。選択ゲート線SGSbLおよびSGSL、ワード線WL、および選択ゲート線SGDLは、ブロック絶縁膜BIと接している。
半導体柱SP、トンネル絶縁膜TI、電荷蓄積膜CI、およびブロック絶縁膜BIのうちの選択ゲート線SGSbLと交わる部分は選択ゲートトランジスタSSTbとして機能し、選択ゲート線SGSLと交わる部分は選択ゲートトランジスタSSTとして機能し、ワード線WLと交わる部分はセルトランジスタMTとして機能する。
D3軸に沿って並ぶトランジスタSSTb、SST、MT、SDTが1つのストリングSTRに含まれているトランジスタに相当する。
半導体柱SPのD3軸に沿って上方にビット線BLが設けられている。ビット線BLは、D1軸に沿って延び、D2軸に沿って間隔を有している。1つのビット線BLは、プラグVP1およびVP2を介して複数のストリングSTRの上端と接続されている。
複数のストリングSTRがD2軸上の異なる座標に設けられている。このようなD2軸上の異なる座標に設けられている複数のストリングSTRが、ストリングユニットSUに含まれるストリングSTRに相当する。
図3においてビット線BLと接続されていないストリングSTRは、図3の面と異なる面(D2軸上で図3と異なる座標上)に位置するが、便宜上、図3に描かれている。
各ストリングユニットSUにおいて、選択ゲート線SGDL、ワード線WL、および選択ゲート線SGSLならびにSGSbLは、このストリングユニットSU中の全ての半導体柱SPの側面上のブロック絶縁膜BIを囲んでいる。
ウェル領域pWの表面の領域内には、n+型不純物の拡散層ndがさらに設けられている。拡散層ndはコンタクトプラグCP1の下端と接続されている。コンタクトプラグCP1は、D2軸とD3軸とからなる面に沿って広がっている。コンタクトプラグCP1の上端はソース線SLと接続されている。ソース線SLは、図3では省略されている。
セルアレイ11の構造については、例えば、“三次元積層不揮発性半導体メモリ”という米国特許出願公開2009/0267128号公報に記載されている。また、“三次元積層不揮発性半導体メモリ”という米国特許出願公開2009/0268522号公報、“不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法”という米国特許出願公開2010/0207195号公報、“半導体メモリ及びその製造方法”という米国特許出願公開2011/0284946号公報に記載されている。これらの特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。
記憶装置1は、1つのセルトランジスタMTで1ビットのデータを保持することができる。図5は、1セルトランジスタ当たり1ビットのデータを書き込まれたセルトランジスタMTの閾値電圧の分布を示す。書き込みの結果、各セルトランジスタMTの閾値電圧は、保持されるデータに応じた値を有する。ある同じデータを保持する複数のセルトランジスタMTであっても、互いに相違する閾値電圧を有し得る。このため、ある同じデータを保持する複数のトランジスタMTの閾値電圧は1つの分布を形成する。“0”データを保持するセルトランジスタMTは、電荷蓄積膜CIに電子を注入されており、“1”データを保持するいずれのセルトランジスタMTの閾値電圧よりも高い閾値電圧を有する。“1”データを保持するセルトランジスタMTは、その電荷蓄積膜CIに電子を注入されておらず、消去状態にある。
セルトランジスタMTに保持されているデータの読み出しは、このセルトランジスタMTの閾値電圧がいずれの分布に属するかの割り出しを通じて行われる。分布の割り出しは、2つの分布の間の読み出し電圧VRを用いて行われる。読み出し電圧VR以上の閾値電圧を有するセルトランジスタMTは、読み出し電圧VRを受け取ってもオフを維持する。一方、読み出し電圧VR未満の閾値電圧を有するセルトランジスタMTは、読み出し電圧VRを受け取ると、オンする。電圧Vvfは、ベリファイにより使用され、読み出し電圧VRより高い。ベリファイは、書き込み対象のセルトランジスタMTの電荷蓄積膜CIへの電子の注入後に当該セルトランジスタMTが目標の閾値電圧を有するかの確認を指す。セルトランジスタMTは、電荷蓄積膜CIへの電子の注入後のベリファイによって電圧Vvfより高い閾値電圧を有すると判断されると、“0”データを保持する状態になったと判断される。
記憶装置1は、1つのセルトランジスタMTで2ビット以上のデータを保持することもできる。
(動作)
次に、図6を参照して、第1実施形態の記憶装置の書き込みについて記述される。図6は、記憶装置1での書き込みの間の、選択された1つのブロックBLKでのいくつかのノードの電位を時間に沿って示す。
ビット線BLの電位は、“0”データを書き込まれるセルトランジスタMTを含んだストリング(“0”書き込みストリング)STRと接続されたビット線BLと、“1”データを書き込まれるセルトランジスタMTを含んだストリング(“1”書き込みストリング)STRと接続されたビット線BLの両方を示す。書き込みでは、1つのセルトランジスタMTに1ビットのデータが書き込まれ、例えば1つのセルユニットCUに1ページのデータが書き込まれる。
図6に示されるように、書き込みの開始の時点で、シーケンサ12は、選択ブロックBLK中の全てのビット線BL、全ての選択ゲート線SGDL0〜SGDL3、および全てのワード線WLに、接地電位VSS(=0)を印加している。このため、全ての選択ゲートトランジスタSDT0〜SDT3はオフしている。また、シーケンサ12は、書き込みの間、全ての選択ゲート線SGSL0〜SGSL3、およびSGSbL0〜SGSbL3を電位VSSに維持しており、よって、選択ゲートトランジスタSST0〜SST3、およびSSTb0〜SSTb3はオフのままである。
時刻t1において、シーケンサ12は、全てのワード線(選択ワード線および全ての非選択ワード線)WLに電位VPASSを印加する。選択ワード線WLは書き込みのためにロウアドレス信号により特定されるワード線WLであり、非選択ワード線WLは選択ワード線WL以外のワード線WLである。電位VPASSは、“0”書き込みストリングSTRでは非選択ワード線WLと接続されたセルトランジスタ(選択セルトランジスタ)MTへの書き込みを抑制しつつ、“1”書き込みストリングSTRでは選択セルトランジスタMTでの閾値上昇を抑制できる程度にカップリングによりチャネルを上昇させることのできる大きさを有する。
時刻t1において、全ての選択ゲートトランジスタSDT0〜SDT3はオフしている。このため、電位VPASSの印加により、選択ブロックBLK中の全てのストリングSTRのチャネルは、一様に、電位VPASSへと、または電位VPASSに近い大きさの電位へと上昇する(ブーストされる)。
シーケンサ12は、時刻t2から、ストリングユニットSU0の選択ワード線WLと接続されたセルユニット(選択セルユニット)CUに書き込まれるデータSU0_Dataに対応する電位をビット線BLに印加する。具体的には、“0”書き込みストリングと接続されたビット線(“0”書き込みビット線)BLは、電位VSSを印加される。一方、“1”書き込みストリングと接続されたビット線(“1”書き込みビット線)BLは、電位VINHを印加される。電位VINHは、電位VSSより高く、例えば電位VPASSの大きさに近い大きさを有する。
シーケンサ12は、時刻t3から時刻t4にわたって、選択ゲート線SGDL0に電位VSGDを印加する。電位VSGDは、電位VSSより高く、また、“0”書き込みビット線BLと接続された選択ゲートトランジスタSDT_0をオンに維持しつつ、“1”書き込みビット線BLと接続された選択ゲートトランジスタSDT_0をオフさせる大きさを有する。電圧VSGDの印加により、“0”書き込みビット線BLと接続された選択ゲートトランジスタSDT_0はオンする。この結果、“0”書き込みストリングSTR0のチャネルは、“0”書き込みビット線BLと接続され、電位VSSを印加されている状態になる。一方、電圧VSGDの印加によっても、“1”書き込みビット線BLと接続された選択ゲートトランジスタSDT_0はオフを維持する。この結果、“1”書き込みストリングSTR0のチャネルは、“1”書き込みビット線BLから切断されていて電気的に浮遊する。
時刻t5において、シーケンサ12は、時刻t2からのビット線BLへの電位の印加を停止する。このように、データSU0_Dataに対応する電位がビット線BLに印加されている間、対応するトランジスタSDT0のゲートに電位VSGDが印加されて、ストリングユニットSU0の“0”書き込みストリングSTRがビット線BLに接続され、“1”書き込みストリングはビット線BLから切断される。
シーケンサ12は、時刻t5から、ストリングユニットSU1〜SU3について、時刻t2から時刻t5でのストリングユニットSU0についてと同様に電位を印加する。すなわち、時刻t5から時刻t8にわたってストリングユニットSU1の選択セルユニットCUに書き込まれるデータSU1_Dataに対応する電位がビット線BLに印加され、時刻t6から時刻t7にわたって、選択ゲート線SGDL1に電位VSGDが印加される。また、時刻t8から時刻t11にわたってストリングユニットSU2の選択セルユニットCUに書き込まれるデータSU2_Dataに対応する電位がビット線BLに印加され、時刻t9から時刻t10にわたって、選択ゲート線SGDL2に電位VSGDが印加される。さらに、時刻t11から時刻t14にわたってストリングユニットSU3の選択セルユニットCUに書き込まれるデータSU3_Dataに対応する電位がビット線BLに印加され、時刻t12から時刻t13にわたって、選択ゲート線SGDL3に電位VSGDが印加される。
ストリングユニットSU0〜SU3は、図6の例と異なる順番で、書き込みデータに対応する電位をビット線BLに印加されるとともにビット線BLに接続されてもよい。また、1ブロックBLK中のいくつかのストリングユニットSUでのみ、書き込みデータに対応する電位がビット線BLに印加されるとともに“0”書き込みストリングSTRがビット線BLに接続されてもよい。
時刻t21において、シーケンサ12は、選択ワード線WLに電位VPGMを印加する。電位VPGMは、電位VPASSより高い。時刻t22において、シーケンサ12は、選択ワード線WLおよび非選択ワード線WLの電位を電位VSSに戻す。
次に、図7を参照して、図6の電位の印加によるストリングSTRの種々の状態について記述される。図7は、記憶装置1での書き込みの間のストリングSTRのいくつかの状態を順に示す。図7は、選択ゲート線SGSbLの表示を省略している。選択ゲート線SGSbLは、上記のように、書き込みの間、電位VSSを受け取っており、よって、トランジスタSSTbはオフしている。また、図7は、選択ワード線WL(Sel WL)と、2つの非選択ワード線(Unsel WL)のみを代表として示している。
図7の状態Aは、図6の時刻t1から時刻t2の間のストリングのSTRの状態を示す。全てのストリングユニットSUの全てのストリングSTRが、状態Aを有する。全てのストリングSTRにおいて、選択ゲート線SGDL(SGDL0〜SGDL3)、およびSGSL(SGSL0〜SGSL3)が電位VSSを有するので、全てのストリングSTRのチャネルが電気的に浮遊している。そして、全てのワード線WLが電位VPASSを有するので、いずれのストリングSTRのチャネルもカップリングによるブーストを受け取ってほぼ電位VPASSと同じ大きさの電位を有する。
状態Bおよび状態Cは、図6の時刻t3から時刻t4の間のストリングユニットSU0中のストリングSTRの状態を示す。状態Bは、“0”書き込みストリングSTRの状態を示し、状態Cは、“1”書き込みストリングSTRの状態を示す。
“0”書き込みストリングSTRと接続されたビット線(すなわち“0”書き込みビット線)BLは電位VSSを有し、“1”書き込みストリングSTRと接続されたビット線(“1”書き込みビット線)BLは電位VINHを有する。この状態で、選択ゲート線SGDL(SGDL0)への電位VSGDの印加により、“0”書き込みストリングSTRの選択ゲートトランジスタSDT(SDT0)はオンして、ストリングユニットSU(SU0)中の“0”書き込みストリングSTRは対応するビット線BLと電気的に接続される。この結果、“0”書き込みストリングSTRには、接続されたビット線BLから電子が流入し、チャネルの電位はビット線BLの電位VSSにほぼ等しくなる。一方、電位VSDGの印加によっても、ストリングユニットSU(SU0)中の“1”書き込みストリングSTRは対応するビット線BLから切断されている。この結果、“1”書き込みストリングSTRでは、チャネルのブーストが維持され、チャネルは電位VPASSを引き続き有する。このように、“0”書き込みストリングのチャネルではブーストが解除され、“1”書き込みストリングではブーストが維持される。
状態Bおよび状態Cは、図6の時刻t6から時刻t7の間のストリングユニットSU1中のストリングSTRの状態、時刻t9から時刻t10の間のストリングユニットSU2中のストリングSTRの状態、時刻t12から時刻t13の間のストリングユニットSU3中のストリングSTRの状態にも相当する。したがって、ストリングユニットSUごとに、“0”書き込みストリングではチャネルのブーストを解除され、“1”書き込みストリングではチャネルのブーストを維持される。
状態Dおよび状態Eは、図6の時刻t21から時刻t22の間の状態を示す。全てのストリングユニットSUにおいて、“0”書き込みストリングSTRは状態Dを有し、“1”書き込みストリングSTRは状態Eを有する。全てのストリングSTRにおいて選択ゲート線SGDL(SGDL0〜SGDL3)が電位VSSを有するため、トランジスタSDT(SDT0〜SDT3)はオフしている。よって、全てのストリングSTRのチャネルが電気的に浮遊している。そして、選択ワード線WLは電位VPGMを有し、非選択ワード線WLは電位VPASSを有する。このため、ストリングSTRのチャネルは、ワード線WLとの容量カップリングによりブーストされている。状態Dのチャネルの電位は、状態Bのチャネルの電位、および状態Bならびに状態Dの間のワード線WLの電位の違いに基づく。同様に、状態Eのチャネルの電位は、状態Cのチャネルの電位、および状態Cならびに状態Eの間のワード線WLの電位の違いに基づく。すなわち、状態Dのチャネルは状態Bのチャネルの状態から、状態Eのチャネルは状態Cのチャネルの状態から、選択ワード線WLの電位VPGMと電位VPASSとの差に基づく大きさ、ブーストされている。具体的には、選択ワード線WLの電位VPGMと電位VPASSとの差がセルトランジスタMTの数で除された大きさ((VPGM−VPASS)/(n+1))のブーストが、状態Bおよび状態Cのチャネルの電位に付加される。
例として、電位VPGMが20Vであり、電位VPASSが7Vであり、nが63であると、状態Dでのチャネルの電位は、VSS+約0.2Vであり、ほぼ電位VSSと等しい電位VSS´である。一方、状態Eでのチャネルの電位は、約VPASS+0.2Vであり、ほぼ電位VPASSと等しい電位VPASS´である。このように、“0”書き込みストリングSTRでは、選択ワード線WLとチャネルの間に大きな電位差が形成され、“1”書き込みストリングSTRでは、選択ワード線WLとチャネルの間には小さな電位差しか形成されない。よって、“0”書き込みストリングSTRでは書き込みが行われ(電子が注入され)、“1”書き込みストリングSTRでは書き込みが行われない。このような書き込みが、ストリングユニットSU0〜SU3の全てにおいて、同時に行われる。この結果、プログラム電位VPGMの印加によって、ストリングSUの数と同数(現行の例では4つ)のページの大きさのデータが同じアドレスのワード線WLのセルユニットCUに一括して書き込まれることが可能である。
記憶装置1は、図6のような複数のストリングユニットSUへの一括した書き込み(以下、一括書き込みと称される)とは別に、通常の書き込みも行うことができる。通常の書き込みは、ストリングユニットSUごとにプログラム電位VPGMを印加することを含む。一括書き込みは、通常の書き込みといくつかの点で相違する。以下、相違点について図8を参照して記述される。図8(a)は、第1実施形態の一括書き込みの間に選択ワード線に印加される電位の例を示す。図8(b)は、通常書き込みの間に選択ワード線に印加される電位の例を示す。比較の対象となる通常の書き込みが、まず、簡単に記述される。
通常書き込みでは、図8(b)に示されるように、記憶装置1は、複数のプログラム電位VPGMa1、VPGMa2、…を増加させながら選択ワード線WLに印加する。最初に印加される電位VPGMa1は、電位VPASSより高い。また、記憶装置1は、通常書き込みでは、プログラム電位VPGMa1、VPGMa2、…の各印加の後、ベリファイ電圧Vrfを選択ワード線WLに印加して、ベリファイを行う。具体的には、以下の通りである。記憶装置1は、“0”書き込みビット線BLおよび“1”書き込みビット線BLにそれぞれ電位VSSおよびVINHを印加し、選択セルユニットCUを含むストリングユニットSUの選択ゲートトランジスタSDTに電位VSGDを印加する。そして、このような電位が印加されている間に、シーケンサ12は、非選択ワード線WLに電位VPASSを印加し、選択ワード線WLに電位VPGMa1を印加する。さらに、電位Vvfの印加を含むベリファイが行われる。そして、電位VPGM1aより高い電位VPGMa2が印加される。以下、同様である。このような、ビット線BLに電位VSSおよびVINH印加されている間のプログラム電位VPGMa1、VPGMa2、…および電位VPASSの印加ならびにベリファイの組(ループ)が、ベリファイがパスするまで1つのセルユニットSUに対して繰り返される。以下、選択セルユニットごとの書き込みは、個別書き込みと称される。個別書き込みは、通常書き込みの特徴の1つである。
一方、一括書き込みは、図8(a)に示されるように、プログラム電位VPGMは、通常書き込みでの1回目の電位VPGMa1より大きい。さらに、プログラム電位VPGMは、“0”データを書き込まれるセルトランジスタMTが、1回のプログラム電位VPGMの印加により、ベリファイ電圧Vrfを高い確度で(例えば確実に)超えることを可能にする大きさを有する。このことが利用されて、一括書き込みではベリファイが省略される。
一括書き込みは、例えば、記憶装置1への書き込みが完了していないデータを有するホスト装置200が予期せずに電源の供給を停止された際に使用される。このような場合、ホスト装置200は、未書き込みのデータがホスト装置200中のRAMまたはバッファから消失することを回避するために、極短時間で未書き込みのデータを記憶装置1に書き込むことを望む。一括書き込みは、後に詳述されるように、プログラム電位の印加の回数が減る分、個別書き込みより短い時間で終了する。そこで、上記のように、ホスト装置200は、急に電源供給を停止された際に、緊急的な措置として、一括書き込みを行う。一方、ホスト装置200は、通常は、通常の書き込みを行う。
記憶装置1は、同時に書き込まれるデータ、現行の例では4ページ分のデータの各々を、書き込みのために関連する要素に電位を印加し始める前に、受け取り済みである必要がある。そのための動作について、次に、記述される。具体的には、図9を参照して、記憶装置1に図6および図7の動作を行わせるためのメモリコントローラ2の動作について記述される。図9は、第1実施形態の記憶装置1での書き込みの間にメモリコントローラ2から記憶装置1に送信される信号を時間に沿って示す。
図9に示されるように、メモリコントローラ2は、コマンドA2hおよび書き込みコマンド80hを記憶装置1に送信する。書き込みコマンド80hは、通常の書き込み、すなわちストリングユニットSUごとにプログラム電位を印加することを含む書き込みを指示する。コマンドA2hは、後続の書き込みコマンド80hと連続することによって、記憶装置1に一括書き込みを指示する。記憶装置1は、連続するコマンドA2hおよび80hが一括書き込みを指示することを認識する。
コマンド80hに続いて、メモリコントローラ2は、アドレス信号A00〜A04を記憶装置1に送信する。例えば、アドレス信号は例えば5サイクルで転送される。アドレス信号A00〜A04は、ストリングユニットSU0の選択ワード線WLi(iは0以上n以下の自然数)を指定する。5サイクルのアドレス信号A00〜A04が送信されるのは、コントローラ2および記憶装置1が8ビットの幅の信号I/Oを送受信する例に基づく。このような例に基づくアドレス信号の詳細の例が図10に示される。図10は、第1実施形態の記憶装置1のアドレス信号の詳細を示す。図中のI/O0〜I/O7の各々が1ビットのデータを転送する。よって、図10は、a0〜a39による計40ビットのアドレス信号の送信の例に基づく。
図10に示されるように、第1入力サイクルにおけるI/O0〜I/O7および第2入力サイクルにおけるI/O0〜I/O6(a0〜a14)は、カラムアドレス信号を伝送する。1つのカラムは15ビットに相当する。
第3入力サイクルのI/O0およびI/O1(a16〜a17)は、ストリングアドレス信号を伝送する。ストリングアドレス信号は、アクセス対象のストリング(ストリングユニットSU)を指定する。また、第3入力サイクルのI/O2〜I/O7(a18〜a23)は、ワード線アドレス信号を伝送する。ワード線アドレス信号は、アクセス対象のワード線WLを指定する。ストリングアドレス信号およびワード線アドレス信号はロウアドレス信号を構成する。
第4入力サイクルのI/O0(a24)は、プレーンアドレス信号を伝送する。プレーンアドレス信号は、記憶装置1が複数のプレーンを有する場合にアクセス対象のプレーンを指定する。1つのプレーンは、メモリセルアレイ11、センスアンプおよびデータラッチ15、カラムデコーダ16、およびロウデコーダ14の組を含む。
第4入力サイクルのI/O1〜I/O7および第5入力サイクルのI/O0〜I/O3(a25〜a35)は、ブロックアドレス信号を伝送する。ブロックアドレス信号は、アクセス対象のブロックBLKを指定する。第5入力サイクルのI/O4〜I/O6(a36〜a38)は、チップアドレス信号を伝送する。チップアドレス信号は、メモリシステム100が複数の記憶装置1を有する場合にアクセス対象の記憶装置1を指定する。
図9に戻る。アドレス信号A04に続いて、メモリコントローラ2は、ストリングユニットSU0の選択セルユニットCUiに書き込まれるデータD00〜D0N(Nは自然数)を、記憶装置1に送信する。次いで、メモリコントローラ2は、コマンドZZhを記憶装置1に送信する。コマンドZZhは、書き込みデータの送信が終了したが書き込みデータのメモリセルMTへの書き込みの保留を指示し、例えばさらなる書き込みコマンドが後続することを示す。コマンドZZhが記憶装置1により受け取られると、記憶装置1は、短時間に亘ってビジー状態になる。
記憶装置1がレディー状態に戻ると、メモリコントローラ2は、ストリングユニットSU0についての書き込みコマンド80hからコマンドZZhまでの組と同様の組のコマンドおよびデータを、ストリングユニットSU1について送信する。すなわち、メモリコントローラ2は、コマンド80h、アドレス信号A10〜A14、データD10〜D1N、およびコマンドZZhを送信する。アドレス信号A10〜A14は、選択ワード線WLiを指定する。
同様に、メモリコントローラ2は、ストリングユニットSU2について、ストリングユニットSU0およびSU1についてと同様のコマンドおよびデータの組を記憶装置1に送信する。ストリングユニットSU2のためのアドレス信号A20〜A24は選択ワード線WLiを指定する。さらにメモリコントローラ2は、ストリングユニットSU3について、コマンド80h、アドレス信号A30〜A34、およびデータD30〜D3Nを送信する。ストリングユニットSU3のためのアドレス信号A30〜A34は、選択ワード線WLiを指定する。一括して書き込まれる4ページ分のデータの転送が終わったので、メモリコントローラ2は、データD3Nに続いて、書き込み指示コマンド10hを記憶装置1に送信する。記憶装置1は、コマンド10hを受け取ると、図6および図7に示される動作を行う。
記憶装置1は、コマンド10hを受け取るまでに受け取られた、一括して書き込まれるデータを、データラッチに保持する。書き込みデータは、まず、ページバッファDL0により受け取られ、データラッチDL1、DL2、およびDL3のいずれかに転送される。次いで、データラッチDL1、DL2、またはDL3中のデータに基づいて、対応するストリングユニットSUのストリングSTRが、図7の状態Bおよび状態Cとされる。以下、状態Bおよび状態Cは、書き込み可能状態および書き込み禁止状態と称される。書き込みデータに応じて書き込み可能状態または書き込み禁止状態に設定された後は、書き込みデータはデータラッチDL1、DL2、およびDL3のいずれにおいても保持されていなくてもよい。上記のように、ベリファイが行われず、ベリファイの結果と比較される書き込みデータが保持されている必要がないからである。したがって、不要になったデータを保持するデータラッチDL1、DL2、およびDL3は、別の書き込みデータを保持してもよい。
こうして、3つのデータラッチDL1、DL2、およびDL3が使用されかつ不要になったデータを保持していたデータラッチが再利用されながら、一括して書き込まれるデータに基づく状態にストリングSTRの状態が設定される。具体的には、例えば、図11に示されるように、データData0〜Data2が順次ページバッファDL0から、データラッチDL1、DL2、およびDL3に転送される。データData0〜Data2は、例えばストリングユニットSU0〜SU2のためのデータであり、順次、セルアレイ11に転送される。(例えばストリングユニットSU3のための)データData3がページバッファDL0により受信された時点で、データData0が不要になっていれば、データData3はデータラッチDL1に保持される。そうでなければ、データData3は、データData0が不要になった時点でラッチDL1に保持される。
(利点(効果))
図12(a)は、通常の4ページの書き込みを時間に沿って示し、ベリファイを伴う4ページの個別書き込みを示す。記憶装置1による4つの書き込みコマンドの受信に基づいて、図12(a)に示されるように、各ページについて書き込み(W)とベリファイ(V)の組が行われる。書き込みは、例えば40μsを要し、ベリファイは例えば50μsを要する。この数値の例に基づくと、ベリファイを伴う4ページ個別書き込みの完了に、(40μs+50μs)×4=360μsを要する。
第1実施形態によれば、ストリングユニットSU0〜SU3の各々において順に、当該ストリングユニットSUのストリングSTRが書き込み可能状態または書き込み禁止状態に設定され、プログラム電位VPGMの印加により、状態を設定済みのストリングSTRを含んだストリングユニットSU0〜SU3に一括してデータが書き込まれる。上記のようにベリファイが省略され、この結果、書き込みに要する時間は以下の通りである。1つのストリングユニットSUのストリングSTRを書き込み可能状態と書き込み禁止状態にしかつプログラム電位VPGMを印加するのに40μsかかり、2つ目以降の各ストリングユニットSUのストリングSTRを書き込み可能状態と書き込み禁止状態にするのに10μsかかるとする。この数値の例に基づくと、図12(b)に示されるように、書き込みに要する時間は40μs+10μs×3=70μsである。一方、比較の目的で第1実施形態と条件を揃えるために、図12(a)の書き込みの時間のみが抽出されると、図12(c)に示されるように、40μs×4=160μsである。このため、第1実施形態の図12(b)は、図12(c)と比較されると、図12(c)で要する時間の70μs/160μs=44%の時間で、4ページのデータの書き込みを完了できる。
また、第1実施形態によれば、プログラム電位VPGMは、通常書き込みの1回目のプログラム電位VPGMa1よりも高く、例えば1回のプログラム電位VPGMの選択ワード線WLへの印加により、“0”データを書き込まれる全てのセルトランジスタMTがベリファイ電圧Vrfを超えることを可能にする大きさを有する。第1実施形態の書き込みは、上記のように1セルトランジスタMT当たり1ビットのデータが保持されるように書き込む。このため、書き込みにより電子を注入されたセルトランジスタMTの閾値分布は1つのみ存在する。よって、書き込みは、“0”データを書き込まれるセルトランジスタMTの閾値電圧がベリファイ電圧Vfを超えてさえすれば、書き込みは成功である。そこで、第1実施形態では、プログラム電位VPGMは、1回のプログラム電位VPGMの選択ワード線WLへの印加により、“0”データを書き込まれる全てのセルトランジスタMTがベリファイ電圧Vrfを超えることを可能にする大きさを有する。このため、多くの(例えば全ての)“0”データを書き込まれるセルトランジスタMTが、“0”データを保持する状態に至る。すなわち、ベリファイが省略されても、より多くの数のセルトランジスタMTに書き込みが行われることが可能である。
また、ベリファイの省略により、記憶装置1は、多数のデータラッチを有する必要を有さず、4つのストリングユニットSUへの一括書き込みのためには、ページバッファDL0に加えて、3つのラッチを有していれば良い。
(変形例)
記憶装置1は、図9に示されるコマンド、アドレス信号、およびデータの送信とは異なる送信によっても、一括書き込みを受け付ける。図13は、第1実施形態の記憶装置1での書き込みの間にコントローラ2から記憶装置1に送信される信号の別の例を時間に沿って示す。
図13に示されるように、メモリコントローラ2は、まず、コマンドXXhおよび書き込みコマンド80hを記憶装置1に送信する。この例では、コマンドXXhは、プリフィクスとして機能し、後続するコマンド80hと連続することによって、ストリングユニットSUごとのアドレス信号の送信が省略される(アドレス省略型)一括書き込みを指示する。記憶装置1は、連続するコマンドXXhおよび80hが、アドレス省略型の一括書き込みを指示することを認識する。
コマンド80hに続いて、メモリコントローラ2は、アドレス省略型一括書き込みの対象の複数ストリングユニットSUのうち、最も小さいアドレスのストリングユニットSU(例えばSU0)のアドレス信号A00〜A04、およびストリングユニットSU0の選択セルユニットCUiに書き込まれるデータD00〜D0Nを、記憶装置1に送信する。次いで、メモリコントローラ2は、コマンドXXhを記憶装置1に送信する。コマンドXXhは、単独で使用されると、あるストリングユニットSUのための書き込みデータの送信が終了し、次のストリングユニットSUのための書き込みデータの送信が後続することを示す。記憶装置1は、コマンドXXhを受け取ると、続くデータを1インクリメントされたアドレスを有するストリングユニットSU(例えばSU1)の選択セルユニットCUiに書き込むべきことを認識する。コマンドXXhが記憶装置1により受け取られると、記憶装置1は、短時間に亘ってビジー状態になる。
記憶装置1がレディー状態に戻ると、メモリコントローラ2は、ストリングユニットSU1についてのアドレス信号A10〜A1Nを送信せずに、ストリングユニットSU1に書き込まれるデータD10〜D1Nを記憶装置1に送信する。このように、メモリコントローラ2は、2つ目以降のストリングユニットSUのためのデータの送信に先立って、アドレス信号を送信しない。一括書き込み(アドレス省略型も含む)では、相違するストリングユニットSUに対して同じアドレスのワード線WLが指定されるので、ワード線WLの指定が省略されることが可能であることが利用されている。一方、アドレス信号の送信の省略により、2つ目以降の全てのストリングユニットSUにおいて、カラムアドレス0が指定される。
次いで、メモリコントローラ2は、コマンドXXhおよびストリングユニットSU2についてのデータD20〜D2Nを送信し、さらに、コマンドXXhおよびストリングユニットSU3についてのデータD30〜D3Nを送信する。一括して書き込まれる4ページ分のデータの転送が終わったので、メモリコントローラ2は、データD3Nに続いて、書き込み指示コマンド10hを記憶装置1に送信する。記憶装置1は、コマンド10hを受け取ると、図6および図7に示される動作を行う。
変形例によっても、第1実施形態の利点が得られる。さらに、変形例によれば、2つ目以降のストリングユニットSUのためのアドレス信号の送信が省略されるため、アドレス省略型でない一括書き込みでの場合よりも書き込み時間はさらに短い。
(第2実施形態)
第2実施形態では、ベリファイが行われる。
ベリファイが行われるためには、データは、セルアレイ11に書き込まれた後もベリファイがパスするまでデータラッチDL1、DL2、およびDL3のいずれかに保持されている必要がある。このため、第2実施形態では、第1実施形態での数より少ない数のストリングユニットSUにデータが一括して書き込まれる。第1実施形態のようにページバッファDL1、およびデータラッチDL2、DL3、ならびにDL3が計4つの例に基づくと、2つのストリングSUにデータが一括して書き込まれることが可能である。
図14および図15は、第2実施形態の記憶装置1での書き込みの間のいくつかのノードの電位を時間に沿って示す。図14に示されるように、時刻t8の後、時刻t21において、シーケンサ12は、選択ワード線WLに電位VPGM2を印加する。時刻t22において、シーケンサ12は、選択ワード線WLおよび非選択ワード線WLの電位を電位VSSに戻す。書き込みの間、非選択のストリングユニットSU2およびSU3の選択ゲート線SGDL2およびSGDL3は、電位VSSに留まる。電位VPGM2は、第1実施形態の電位VPGMと同じでもよいし、または電位VPGMより小さくてもよく、例えば通常書き込みのプログラム電位(図8(b)のプログラム電位VPGMa1、VPGMa2、VPGMa3…のいずれか)と同じでもよい。
次いで、図15に示されるように、時刻t24から、シーケンサ12は、書き込まれたストリングユニットSU0、SU1に対するベリファイを順に行う。例えばシーケンサ12は、まずストリングユニットSU0のベリファイを行う。そのために、シーケンサ12は、例えば、時刻t24から、選択ゲート線SGDL0、SGSL0、SGSbL0に電位VSGを印加する。電位VSGは、電位VSGDより高く、トランジスタSST、SSTb、およびSDTをオンさせる大きさを有する。また、シーケンサ12は、時刻t25から非選択ワード線WLに電位VREADを印加し、時刻t26から選択ワード線WLにベリファイ電位Vvfを印加する。電位VREADは、セルトランジスタMTを、その閾値電圧によらずにオンさせる大きさを有し、すなわち“0”データを保持するいずれのセルトランジスタMTの閾値電圧よりも大きい。電位Vvfは、図5に示されるように、読み出し電位VRより高い。シーケンサ12は、時刻t27からビット線BLに電位VBLを印加する。電位VBLは、電位VSSより高い。なお、ベリファイの間、ソース線SLは、電位VSSを印加されている。
このような電位の印加の結果、センスアンプおよびデータラッチ15において、センスアンプからストリングユニットSU0の選択セルユニットCUに保持されているデータが読み出される。また、センスアンプおよびデータラッチ15は、シーケンサ12の指示に従って、読み出されたデータと対応する書き込みデータとを比較し、比較の結果をデータラッチDL1、DL2、およびDL3のうち、空いているものに保持する。
同様にして、時刻t28から、シーケンサ12は、ストリングユニットSU1の選択セルユニットCUに書き込まれたデータと、対応する書き込みデータを比較する。このとき、例えばベリファイ済みのストリングユニットSU0への書き込みデータを保持していたデータラッチDL1、DL2、またはDL3に、ストリングユニットSU1の選択セルユニットCUから読み出されたデータと、対応する書き込みデータの比較の結果が保持される。
非選択ワード線WLに印加される電位は、図16に示されるように、時刻t27と時刻t32に亘って、電位VSSに戻されることなく電位VREADに維持されてもよい。こうすることにより、選択ワード線WLが充放電されず、記憶装置1の消費電流は図15の例より少ない。
ベリファイがパスしない場合、一括書き込みおよび後続の各ストリングユニットSUのベリファイの組(ループ)は繰り返され得る。図17は、第2実施形態のベリファイを伴う一括書き込みの間に選択ワード線WLに印加される電位の例を示す。図17に示されるように、電位VPGM2の印加の後、各ストリングユニットSUについてのベリファイ電位Vrfの印加が行われる。全てのストリングユニットSUについてのベリファイ電位Vrfの印加が終わり、かつ全てのストリングユニットSUについてのベリファイがパスしていないと、ループが繰り返される。すなわち、電位VPGM2の印加およびベリファイ電位Vrfの複数回の印加が行われる。2回目以降のループにおいて、電位VPGM2は、1つ前のループでのものと同じであってもよいし、1つ前のループでのものより高くてもよい。例えば、電位VPGM2が電位VPGMより低い場合、ループ数の増加の度に、プログラム電位VPGM2が増加される。
図14の書き込みのために、メモリコントローラ2は、図18に示されるようにコマンド、アドレス信号、およびデータを記憶装置1に送信する。データD1Nの送信までは、第1実施形態(図9)と同じである。シーケンサ12は、データD1Nの送信後、コマンド10hを送信する。
または、記憶装置1は、図19に示されるように、より多くのデータラッチを含む。5以上のデータラッチが設けられることにより、記憶装置1は3つ以上のストリングユニットSUに一括してデータを書き込むことができる。例えば、記憶装置1は、第1実施形態と同じく、4つのストリングユニットSU(4つのセルユニットCU)に一括して書き込むことを可能にする数のデータラッチを有する。ベリファイを伴う4ストリングユニットSUへの一括書き込みの場合も、各ストリングユニットSUについてのベリファイが順に行われる。すなわち、図14の時刻t32から、ストリングユニットSU2、およびそれ以降のストリングユニットについてのベリファイが行われる。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同じく、複数のストリングユニットSUの各々において順に、当該ストリングユニットSUのストリングSTRが書き込み可能状態または書き込み禁止状態に設定され、プログラム電位VPGMの印加により、状態を設定済みのストリングSTRを含んだ複数のストリングユニットSUに一括してデータが書き込まれる。このため、第1実施形態と同じ利点を得られる。ベリファイに要する時間を例えば50μsとすると、第2実施形態によってベリファイを伴う4ページ一括書き込みに要する時間は、図20(a)に示されるように、40μs+10μs×3+50μs×4=270μsである。これは、図20(b)((図11(a)と同じものである)に示されるように、従来から、270μs/360μs=25%短い。
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態に基づいており、セルアレイの構造の点で第1実施形態と異なる。
第3実施形態のセルアレイ11aは、第1実施形態の図1および図2に示される構造に代えて、図21に示される要素および接続を有する。図21は、第3実施形態の記憶装置のセルアレイの要素および接続ならびに関連する要素を示す。セルアレイ11aは、複数のブロックBLKを含み、各ブロックBLKは複数のメモリユニットMU(MU0、MU1、…)を含む。図21は、2つのメモリユニットMUを示す。各メモリユニットMUは、複数のストリングユニットGR(GR0〜GRk(GR3))を含む。
各ストリングユニットGRは、複数のストリングSTR(STR0〜STRj)を含む。jは、自然数であり、以下の例では2である。各ストリングSTRは、選択ゲートトランジスタSDT、複数のセルトランジスタMT(MT0〜MT3)、選択ゲートトランジスタSSTを含む。トランジスタSDT、MT0〜MT3、SSTは、この順に直列に接続されている。
各ストリングユニットGRの3つのストリングSTRは、一端においてそれぞれの選択ゲートトランジスタCSG(CSG0〜CSG2)を介して3つのビット線BL(BL0、BL1、およびBL2)にそれぞれ接続され、かつ他端において1つのソース線SL(SL1またはSL2)に接続されている。具体的には、以下の通りである。
メモリユニットMU0のストリングユニットGR0のストリングSTR0は、選択ゲートトランジスタSDTの側において、カラム選択トランジスタCSG0を介してビット線BL0と接続されている。同様に、各z(zはk(=3)以下の自然数)および各v(vはj(=2)以下の自然数)について、メモリユニットMU0のストリングユニットGRzのストリングSTRvは、選択ゲートトランジスタSDTの側において、カラム選択トランジスタCSGzを介してビット線BLvと接続されている。このように、メモリユニットMU0に対して、メモリユニットMU0に含まれるストリングSTRと同じ数のビット線BLが対応付けられている。同様に、各w(wは自然数)、各z、および各vについて、メモリユニットMUwのストリングユニットGRzのストリングSTRvは、トランジスタSDTの側において、カラム選択トランジスタCSGvを介してビット線BL(v+3w)と接続されている。
各zについて、計3つのトランジスタCSGzは、ゲートにおいて制御信号線SSLzと接続されている。さらに、相違する複数のメモリユニットMUのそれぞれのカラム選択トランジスタCSGzも、ゲートにおいて制御信号線SSLzと接続されている。制御信号線SSL(SSL0〜SSL3)は、例えばカラムデコーダ16により制御される。
偶数のアドレスのストリングユニットGR0およびGR2は、選択ゲートトランジスタSSTの側において、ソース線SL1と接続されている。奇数のアドレスのストリングユニットGR1およびGR3は、選択ゲートトランジスタSSTの側において、ソース線SL2と接続されている。ソース線SL1およびSL2は、相互に接続されており(図示せず)、ドライバ13により制御される。
偶数のアドレスのストリングユニットGR0およびGR2の選択ゲートトランジスタSDT、および奇数のアドレスのストリングユニットGR1およびGR3の選択ゲートトランジスタSSTは、それぞれのゲートにおいて、選択ゲート線GSL1と接続されている。奇数のアドレスのストリングユニットGRGR1およびGR3の選択ゲートトランジスタSDT、および偶数のアドレスのストリングユニットGR0およびGR2の選択ゲートトランジスタSSTは、それぞれのゲートにおいて、選択ゲート線GSL2と接続されている。
偶数のアドレスのストリングユニットGR0およびGR2のセルトランジスタMT0のそれぞれのゲート、および奇数のアドレスのストリングユニットGR1および3のセルトランジスタMT3のそれぞれのゲートは、ワード線WL0に接続されている。同様に、各u(uは、n+1以下の自然数)について、偶数のアドレスのストリングユニットGR0およびGR2のセルトランジスタMTuのそれぞれのゲート、および奇数のアドレスのストリングユニットGR1およびGR3の複数のセルトランジスタMT(n−u)それぞれのゲートは、ワード線WLuに接続されている。
複数のメモリユニットMUの同じアドレスのストリングユニットGRの同じワード線WLに接続された複数のセルトランジスタMTは、セルユニットCUを構成する。
図22はメモリセルアレイ11aの一部の斜視図であり、メモリユニットMU0の構造を示す。メモリセルアレイ11aは、図22に示される半導体基板20上の絶縁体21上に設けられる。
絶縁体21上には、複数のフィン型構造24(24−0〜24−3)が設けられている。図22は、図21に対応しており、1つのメモリユニットMUが4つのストリングユニットGRを含むことに対応して、4つのフィン型構造24を例として示す。フィン型構造24は、D2軸に沿って延び、D1軸に沿って間隔を有して並ぶ。D1軸およびD2軸は、例えば基板20と平行であり、基板20に垂直なD3軸に直交する。D1軸およびD2軸は互いに直交する。
各フィン型構造24は、交互に積層された絶縁体22(22−0、22−1、22−2、および22−3)および半導体23(23−0、23−1、および23−2)を含む。図22は、図21の各ストリングユニットGRが3つのストリングSTRを含むことに対応して、3つの半導体23を例として示す。フィン型構造24−0〜24−3は、ストリングユニットGR0〜GR3のための電流経路(チャネル領域)を、それぞれ、提供する。最下の半導体23−0、半導体23−1、最上の半導体23−2は、それぞれ、ストリングSTR0〜SR2のためのチャネル領域を提供する。
各フィン型構造24の上面上および側面上には、導電性の選択ゲート線GSL1、導電性のワード線WL0〜WL3、および導電性の選択ゲート線GSL2が設けられる。選択ゲート線GSL1、ワード線WL0〜WL3、および選択ゲート線GSL2は、D1軸に沿って延びる帯状の形状を有し、フィン型構造24−0〜24−3に亘る。選択ゲート線GSL1、ワード線WL0〜WL3、および選択ゲート線GSL2は、D2軸に沿って奥からこの順に向かって間隔を有して並ぶ。選択ゲート線GSL1およびGSL2は、絶縁体を介してフィン型構造24を覆う。各ワード線WLは、フィン型構造24の表面からこの順に沿って積まれたトンネル絶縁体、絶縁性または導電性の電荷蓄積膜、ブロック絶縁体を介在してフィン型構造24を覆う。
選択ゲート線GSL1と各半導体23とに囲まれた領域は、選択ゲートトランジスタSDTまたはSSTとして機能する。選択ゲート線GSL2と1つの半導体23とに囲まれた領域は、選択ゲートトランジスタSDTまたはSSTとして機能する。ワード線WLと半導体23とに囲まれた領域はセルトランジスタMTとして機能する。
フィン型構造24−0は、D2軸に沿って選択ゲート線GSL1の奥の上面上および側面上を、絶縁体を介在して導電性の制御信号線SSL0により覆われている。フィン型構造24−1は、D2軸に沿って選択ゲート線GSL2の手前の上面上および側面上を、絶縁体を介在して導電性の制御信号線SSL1により覆われている。フィン型構造24−2は、D2軸に沿って選択ゲート線GSL1の奥の上面上および側面上を、絶縁体を介在して導電性の制御信号線SSL2により覆われている。フィン型構造24−3は、D2軸に沿って選択ゲート線GSL2の手前の上面上および側面上を、絶縁体を介在して導電性の制御信号線SSL3により覆われている。
制御信号線SSL0と各半導体23により囲まれた領域は、選択ゲートトランジスタCSG0として機能する。制御信号線SSL1と各半導体23により囲まれた領域は、選択ゲートトランジスタCSG1として機能する。制御信号線SSL2と各半導体23により囲まれた領域は、選択ゲートトランジスタCSG2として機能する。制御信号線SSL3と各半導体23により囲まれた領域は、選択ゲートトランジスタCSG3として機能する。
偶数のアドレスのストリングユニットGRのためのフィン型構造24−0および24−2は、D2軸に沿って制御信号線SSL0およびSSL2の奥において、D3軸に沿って延びる構造によって相互に接続されている。この相互接続する部分は、フィン型構造24と同じ積層構造を有する。同様に、奇数のアドレスのストリングユニットGRのためのフィン型構造24−1および24−3は、D2軸に沿って制御信号線SSL1およびSSL3の手前において、D3軸に沿って延びる構造によって相互に接続されている。この相互接続する部分は、フィン型構造24と同じ積層構造を有する。2つの接続部分の各々は、コンタクトプラグBC0、BC1、およびBC2を設けられている。
コンタクトプラグBC0は、半導体23−0およびビット線BL0と接続され、半導体23−1および23−2からは絶縁されている。コンタクトプラグBC1は、半導体23−1およびビット線BL1と接続され、半導体層23−0および23−2からは絶縁されている。コンタクトプラグBC2は、半導体層23−2およびビット線BL2と接続され、半導体23−0および23−1からは絶縁されている。ビット線BL0、BL1、およびBL2は、フィン型構造24の上方に位置する。他のメモリユニットMUにおいては、ビット線BL0〜BL2は、対応する3つのビット線BLに置き換わっている。
フィン型構造24−0および24−2の上面は、選択ゲート線GSL2よりD2軸に沿って手前において、コンタクトプラグSCを介してソース線SL1と接続されている。フィン型構造24−1および24−3の上面は、選択ゲート線GSL1よりD2軸に沿って奥において、コンタクトプラグSCを介してソース線SL2と接続されている。
図23は、第3実施形態の記憶装置1での書き込みの間の、選択された1つのブロックでのいくつかのノードの電位を時間に沿って示す。図23は、図6(第1実施形態)に類似し、制御信号線SSL、ソース線CSL、および選択ゲート線GSL1ならびにGSL2の点で、図6と相違する。図23は、偶数のアドレスのストリングユニットGR(GR0、GR2、…、GR2j)への一括書き込みの例を示す。書き込み開始の時点で、いずれの制御信号線SSLも電位VSSを印加されている。
シーケンサ12は、書き込みの間、選択ゲート線GSL1の電位を高電位(例えば電源電位VCC)に維持する。電位VCCは電位VSSより高い。電位VCCの選択ゲート線GSL1により、偶数のアドレスのストリングユニットGRのトランジスタSDTはオンしている。このため、偶数のアドレスのストリングユニットGRは、対応する制御信号線SSLの制御により、ビット線BLへの接続を制御され得る状態を維持する。
また、シーケンサ12は、書き込みの間、ソース線CSLの電位を電位VCCに維持する。電位VCCは、電位VINHと同様に電位VCCを有する線と接続されたストリングSTRでの電位VPGMの印加による書き込みを阻止する大きさを有する。書き込み対象のストリングユニットGRがビット線BLに接続され得る状態に留まるために選択ゲート線GSL1が電位VCCとされることにより、非書き込み対象の奇数アドレスのストリングユニットGR(GR1、GR3、…、GR2j+1)のトランジスタSSTもオンする。しかしながら、電位VCCのソース線CSLは、ソース線CSLから奇数アドレスのストリングユニットGRへの電子の流入によって選択ワード線WLと接続されたセルトランジスタMTへの誤書き込みが抑制される。
また、シーケンサ12は、書き込みの間、選択ゲート線GSL2を電位VSSに維持する。電位VSSの選択ゲート線GSL2により、偶数アドレスのストリングユニットGRのトランジスタSSTはオフしており、偶数アドレスのストリングユニットGRは、ソース線SL1(CSL)から切断されている。
さらに、シーケンサ12は、書き込みの間、奇数アドレスのストリングユニットGRの制御信号線SSL1、SSL3、…、SSL2j+1を電位VSSに維持する。
このような状態において、シーケンサ12は、第1実施形態と同様にして、書き込みデータに基づいて、偶数アドレスの複数のストリングユニットGRのストリングSTRを、書き込み可能状態または書き込み禁止状態に設定する。すなわち、シーケンサ12は、時刻t1の後、時刻t31から時刻t34にわたってストリングユニットGR0の選択セルユニットCUに書き込まれるデータGR0_Dataに対応する電位をビット線BLを印加し、時刻t32から時刻t33にわたって、制御信号線SSL0に電位VSGDを印加する。同様にして、シーケンサ12は、残りの偶数アドレスのストリングユニットGRの各々に対して順に、そのストリングSTRを書き込み可能状態または書き込み禁止状態に設定する。
一括書き込みされる全てのストリングユニットGRにおいてストリングSTRの状態が設定されると、時刻T41において、シーケンサ12は、選択ワード線WLに電位VPGMを印加する。この印加により、一括書き込みされる全ての偶数アドレスのストリングユニットGRの全てのセルユニットCUに一括してデータが書き込まれる。
第3実施形態によれば、図21および図22の構造のセルアレイにおいても、第1実施形態と同じ利点を得られる。
その他、各実施形態において、以下の事項が適用されることが可能である。
多値レベルの読み出し動作(リード)において、Aレベルの読み出し動作に選択されたワード線に印加される電圧は、例えば0V〜0.55Vの間である。これに限定されることなく、0.1V〜0.24V、0.21V〜0.31V、0.31V〜0.4V、0.4V〜0.5V、および0.5V〜0.55Vのいずれかの間にしてもよい。
Bレベルの読み出し動作に選択されたワード線に印加される電圧は、例えば1.5V〜2.3Vの間である。これに限定されることなく、1.75V〜1.8V、1.8V〜1.95V、1.95V〜2.1V、および2.1V〜2.3Vのいずれかの間にしてもよい。
Cレベルの読み出し動作に選択されたワード線に印加される電圧は、例えば3.0V〜4.0Vの間である。これに限定されることなく、3.0V〜3.2V、3.2V〜3.4V、3.4V〜3.5V、3.5V〜3.7V、および3.7V〜4.0Vのいずれかの間にしてもよい。
読み出し動作の時間(tR)としては、例えば25μs〜38μs、38μs〜70μs、および70μs〜80μsのいずれかの間にしてもよい。
書き込み動作は、プログラム動作およびベリファイ動作を含む。書き込み動作では、プログラム動作時に選択されたワード線に最初に印加される電圧は、例えば13.7V〜14.3Vの間である。これに限定されることなく、例えば13.7V〜14.0V、および14.0V〜14.7Vのいずれかの間としてもよい。
奇数番目のワード線を書き込む際の、選択されたワード線に最初に印加される電圧と、偶数番目のワード線を書き込む際の、選択されたワード線に最初に印加される電圧とを変えてもよい。
プログラム動作をISPP(Incremental Step Pulse Program)方式としたとき、ステップアップの電圧として、例えば0.5V程度が挙げられる。
非選択のワード線に印加される電圧としては、例えば7.0V〜7.3Vの間としてもよい。この場合に限定されることなく、例えば7.3V〜8.4Vの間としてもよく、7.0V以下としてもよい。
非選択のワード線が奇数番目のワード線であるか、または偶数番目のワード線であるかによって印加するパス電圧を変えてもよい。
書き込み動作の時間(tProg)としては、例えば1700μs〜1800μs、1800μs〜1900μs、および1900μs〜2000μsのいずれかの間にしてもよい。
消去動作では、半導体基板上部に形成され、かつ、メモリセルが上方に配置されたウェルに最初に印加する電圧は、例えば12V〜13.7Vの間である。この場合に限定されることなく、例えば13.7V〜14.8V、14.8V〜19.0V, 19.0〜19.8V、および19.8V〜21Vのいずれかの間であってもよい。
消去動作の時間(tErase)としては、例えば3000μs〜4000μs、4000μs〜5000μs、および4000μs〜9000μsのいずれかの間にしてもよい。
メモリセルは、半導体基板(シリコン基板)上に膜厚が4〜10nmのトンネル絶縁膜を介して配置された電荷蓄積層を有する。この電荷蓄積層は、膜厚が2〜3nmのSiN、またはSiONなどの絶縁膜と膜厚が3〜8nmのポリシリコンとの積層構造であってもよい。また、ポリシリコンにはRuなどの金属が添加されていてもよい。電荷蓄積層上には、絶縁膜が形成される。この絶縁膜は、例えば、膜厚が3〜10nmの下層High−k膜と膜厚が3〜10nmの上層High−k膜とに挟まれた膜厚が4〜10nmのシリコン酸化膜を有する。High−k膜としては、HfOなどが挙げられる。また、シリコン酸化膜の膜厚は、High−k膜の膜厚よりも厚くしてもよい。絶縁膜上には膜厚が3〜10nmの仕事関数調整用の材料を介して膜厚が30nm〜70nmの制御電極が形成される。ここで、仕事関数調整用の材料は、TaOなどの金属酸化膜、またはTaNなどの金属窒化膜である。制御電極としては、Wなどを用いてもよい。
また、メモリセル間にはエアギャップを形成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。