以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明における建築物とは、木造住宅建築物、プレハブ住宅建築物、寺院建築物、神社建築物、高層建築物、超高層建築物などの構造物を有する建築物であり、橋梁、高架橋、トンネル、ダム、などの構造物なども含む。
建築構法として、軸組構法、枠組壁構法、木質パネル構法や丸太組構法などを利用した木構造又は木質構造、重量鉄骨構法や軽量鉄骨構法などを利用した鉄骨構造、鋼構造、鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造、コンクリート充填鋼管構造、補強コンクリート構造などを有する建築物の建築構法を挙げることができる。
本発明における基準点とは、新たに構造物を有する建築物を建築する際の敷地の地形測量、杭基礎の位置出しや水平性確認、基礎工事を実施する際の型枠の位置出し、基礎部の水平性や鉛直性の確認、基礎部上に構造物を建築する際の構造物の位置出し、水平性、鉛直性などを確認するために必要な測量の基準となるベンチマークのことである。新たに建築物を建築する場合は、基準点を任意に設定すれば良く、既に建築物が建築されている場合は、既設の基準点を、基準点が設定されていない場合は、任意に基準点を設定すれば良い。
基準点を設定する場所は、建築物及び/又は建築物の敷地内が好ましいが、敷地外であっても良い。基準点は、建築物本体、擁壁、塀、石垣、電柱、鉄塔などの工作物、敷地内外の道路、排水側溝、マンホール蓋などの任意の場所に設置することができる。また、本発明における基準点は、建築物の健全度や劣化度を判断するための基準となるので、簡単に動いたり、消失したり、設置場所が不明になったりすることがない不動の堅固な物体に一カ所以上を設定することが好ましい。
基準点の座標は、街区基準点や公共基準点さらには認定登記基準点などの座標を標準にして決定すればよい。基準点を2か所以上設置する場合、基準点の座標を街区基準点や公共基準点さらには認定登記基準点などの座標を標準にして決定しても良く、また、第一の基準点は街区基準点や公共基準点さらには認定登記基準点などの座標を標準にして決定し、第一の基準点以外は第一の基準点の座標を標準として決定しても良い。
基準点の座標の測量方法は、街区基準点や公共基準点さらには認定登記基準点などに設置した仮のセンサと第一の基準点に設置したセンサの情報から決定しても良く、測量が終了した後、仮のセンサを除去すれば良い。また、街区基準点や公共基準点さらには認定登記基準点などの座標を標準として、布巻き尺や鋼巻き尺を使用した測量、平板測量、トラバース測量、角度測量、トランシット測量、レベル測量などの様々な測量道具を使用して測量技術者によって測量を実施して決定しても良い。さらに、GPS受信装置を利用することもできる。
基準点センサは、基準点の座標、距離、変位、角度などの位置を示す情報(以下「基準点位置情報」と表す)及び/又は基準点に作用する力、圧力、応力、速度、加速度、角速度、角加速度、振動、歪などの物理的な情報(以下「基準点物理情報」と表す)などを検知することができるセンサを使用することができる。例えば、座標センサ、距離センサ、変位センサ、角度センサ、力センサ、圧力センサ、応力センサ、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、振動センサ、MASS(Multi−Axial−Sencing System)センサ、歪センサなど少なくとも一つ以上のセンサを使用することができる。
基準点に位置情報を検知することができるセンサと物理情報を検知することができるセンサを組み合わせて使用することによって、基準点の健全度や経年変化による劣化度などを瞬時に測量することが可能になるので好ましい。
上記のセンサ以外に、放射線センサ、電気センサ、磁気センサ、光センサ、温度センサ、湿度センサ、音センサなどの環境の情報を検知する環境センサ、さらには一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、シアン化水素、ホルマリン、アンモニア、塩素、塩化水素、メタン、ベンゼンなどの化学物質の情報を検知する化学センサ、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、フッ素イオン、塩素イオンなどの濃度を検知するイオンセンサなども使用することもできる。
基準点センサの出力信号の伝送経路は無線が好ましいが、有線も使用することができる。無線センサを使用すればセンサの設置工事が容易になり、設置する場所も自由に選択することができる。
基準点センサを取り付ける方法は、センサが脱落しなければどのような方法であっても良く、貼り付け方法や埋め込み方法などを採用することができる。建築物を建築する時に設置した基準点に基準点センサを設置する場合は、貼り付け方法や埋め込み方法などを採用すれば良く、建築物が既に建築されている場合は、任意に設置した基準点にセンサを取り付ければ良く、貼り付け方法を採用すれば基準点センサの設置工事が容易になる。
基準点センサを稼働する場合、基準点センサに電気を供給する必要があるが、電気を供給する方法としては、無線での供給が好ましいが、有線での供給も利用することができる。基準点センサの稼働方法としては、常時電気を供給してセンサを連続的に稼働する方法を採用しても良いし、間欠的に電気を供給してパルス的に稼働する方法を採用しても良いし、さらにセンサ情報を計測するときにのみに電気を供給して稼働する方法を採用しても良い。節電及び基準点センサの長寿命化のためには、パルス的に稼働する方法及び測量時に稼働する方法が好ましい。
基準点センサは、小型、高寿命、高感度であることが好ましい。基準点センサが小型であれば基準点への取り付ける部位の制限が少なくなり、高寿命であれば基点センサの取り換え頻度を少なくすることができ、高感度であれば基準点位置情報や基準点物理情報などを正確に測量することができる。基準点センサの精度は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.6%以下、さらに好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
本発明における基礎部とは、石、レンガ、木材、鋼材、金属、構造用新規建材、鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造などの構造材料を用いて、基礎部上に建築された構造物の荷重を支えるための重要な構造体であり、構造物の荷重を支えることのできる固い基盤上に設置される。例えば、独立基礎、布基礎、べた基礎などの直接基礎、木杭、コンクリート杭、鋼杭などを使用した杭基礎、連続壁基礎、ケーソン基礎などを挙げることができる。基礎部センサは、構造物の荷重がかかる独立基礎、布基礎の外隅部、内隅部、柱下部、杭基礎、更には免振装置や耐震装置などに取り付けることができる。固い基盤上に設置した基礎部にセンサを設置することにより、基礎部の変位が少なくなり好ましい。
なお、本明細書においては、建築物において、基礎工事時に使用する木杭、コンクリート杭、鋼杭、型枠、型枠を固定する金物類、型枠を支えるサポート類なども基礎部に含める。
基礎部センサは、基礎部の座標、距離、変位、角度などの位置を示す情報(以下「基礎部位置情報」と表す)及び/又は基礎部に作用する力、圧力、応力、速度、加速度、角速度、角加速度、振動、歪などの物理的な情報(以下「基礎部物理情報」と表す)などを検知することができるセンサを設置することができる。例えば、座標センサ、距離センサ、変位センサ、角度センサ、力センサ、圧力センサ、応力センサ、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、振動センサ、MASS(Multi−Axial−Sencing System)センサ、歪センサなど少なくとも一つ以上のセンサを使用することができる。
基礎部センサに基礎部位置情報を検知することができるセンサと基礎部物理情報を検知することができるセンサを組み合わせて使用することによって、基礎部の健全度や経年変化による劣化度などを瞬時に測量することが可能になるので好ましい。
また、基礎部に、放射線センサ、電気センサ、磁気センサ、光センサ、温度センサ、湿度センサ、音センサなどの環境の情報を検知する環境センサや、さらには一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、シアン化水素、ホルマリン、アンモニア、塩素、塩化水素、メタン、ベンゼンなどの化学物質の情報を検知する化学センサ、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、フッ素イオン、塩素イオンなどの濃度を検知するイオンセンサなど少なくとも1つ以上のセンサを設置すれば、基礎部のコンクリートの中性化度や鉄筋の錆による腐蝕度などを診断することが可能になるので好ましい。
基礎部センサの出力信号の伝送経路は無線センサが好ましいが、有線センサも使用することができる。無線センサを使用すればセンサの設置工事が容易になるし、設置する場所も自由に選択することができる。
基礎部センサを取り付ける方法は、センサが脱落しなければどのような方法であっても良く、貼り付け方法や埋め込み方法などを採用することができる。建築物を建築しながら基礎部センサを設置する場合、貼り付け方法や埋め込み方法を採用すれば良く、建築物が既に建築されている場合は、既にある基礎部にセンサを貼り付ける方法を採用すれば基礎部センサの設置工事が容易になる。
基礎部センサを稼働する場合、基礎部センサに電気を供給する必要があるが、基礎部センサに電気を供給する電気を供給する方法は、無線での供給が好ましいが、有線での供給も利用することができる。常時電気を供給してセンサを連続的に稼働する方法を採用しても良いし、間欠的に電気を供給してパルス的に稼働する方法を採用しても良いし、さらに基礎部センサ情報を計測するときにのみに電気を供給して稼働する方法を採用しても良い。節電及び基礎部センサの長寿命化のためには、パルス的に稼働する方法及び測量時に稼働する方法が好ましい。
基礎部センサは、小型、高寿命、高感度であることが好ましい。基礎部センサが小型であれば基礎部への取り付ける部位の制限が少なくなるし、高寿命であればセンサの取り換え頻度を少なくすることができるし、高感度であれば基礎部位置情報や基礎部物理情報などを瞬時に測量することができる。基礎部センサの精度は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.6%以下、さらに好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
本発明における接合部とは、基礎部と構造物の接合部、鋼構造建築物の鉄筋同士の接合部、柱同士の接合部、柱梁の接合部、ブレース接合部、柱脚部、少梁端合部、横補剛関連接合部、ファスナー関連接合部、水平ブレース接合部、その他の接合部、さらに木造建築物にあっては継手、仕口部などを挙げることができる。
建築物の接合は、基礎部と基礎部上に建築される構造物の接合、構造物の各階層の接合、壁、床、天井の接合など、建築物を建築する際に重要な操作である。
一般的に、木造建築物の主要構造材の接合は相欠き継ぎ、腰掛あり継ぎ、腰掛かま継ぎ、追掛け継ぎなどの継手、わたりあご、大入れ、かたぎ大入れ、ほぞなどの仕口を用いて実施され接合金具で補強される場合が多い。木造建築物は木材特有の暖かさや安らぎ感を味わうことができるが木材の腐食、虫害、乾燥による収縮、長期間の荷重による変形が避けられない。鋼材を用いた建築物の接合は、溶接接合(アーク、レーザー)、ボルト接合、高力ボルト接合現場固化接合、リベット接合、ねじ接合、篏合接合、機械式接合、ラッチ接合、かしめ接合、接着接合、テープ接合、磁力接合などの方法によって実施される。接合部材の形状や寸法精度の不良が接合の欠点となる。
本発明における接合部材とは、建築物の接合部に使用するアンカーボルト、ベースプレート、ブレース、ガセットプレート、固定用金具、固定用ボルト、固定用ナット、固定用座金、基礎パッキン、釘などの接合部材さらに接合部材を保護するための保護部材などを含む。
接合部材として、圧延製品、鋳造製品、鍛造製品などの鋼材、鉄筋コンクリートやALC版などのセメント系材料、CFRPや金属強化樹脂などの複合材料、樹脂系材料などを使用することができる。上記接合部材にもセンサを取り付けることが好ましい。
接合部材センサは、接合部の位置情報(以下「接合部位置情報」と表す)を検知することができるセンサ、例えば、座標センサ、距離センサ、変位センサ、角度センサなど、接合部に作用する物理的な情報(以下「接合部物理情報」と表す)を検知することができるセンサ、例えば、力センサ、圧力センサ、応力センサ、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、振動センサ、MASS(Multi−Axial−Sencing System)センサなど少なくとも一つ以上のセンサを搭載することができる。
接合部材に接合部位置情報と接合部物理情報を検知することができるセンサを組み合わせて使用することによって、接合部の健全度や劣化度の程度、さらには経年変化などを瞬時に測定することが可能になるので好ましい。
接合部材に、放射線センサ、電気センサ、磁気センサ、光センサ、温度センサ、湿度センサ、音センサなどの環境の情報を検知する環境センサ、さらには一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、シアン化水素、ホルマリン、アンモニア、塩素、塩化水素、メタン、ベンゼンなどの化学物質の情報を検知する化学センサ、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、フッ素イオン、塩素イオンなどの濃度を検知するイオンセンサなど少なくとも1つ以上のセンサを設置すれば、接合部材の破損や錆による腐蝕度などを診断することが可能になるので好ましい。
接合部材センサは、新たに建築する建築物及び/又は既に建築されている建築物にも設置することができる。新たに建築物を建築する場合は、接合部にセンサ接合部材を使用すれば良く、接合部位置情報や接合部物理情報を測定することによって歪、誤差、変位などを管理しながら建築物を建築することができる利点がある。既に建築されている建築物の場合は、接合部及び/又は接合部材にセンサを設置すれば良く、センサを設置した以降の接合部位置情報や接合部物理情報を測定することによって建築物の歪、誤差、変位などを管理することができる。
接合部材センサの出力信号の伝送経路は、無線センサが好ましいが、有線センサも使用することができる。無線センサを使用することによって設置工事が容易になり、センサを設置する場所も自由に選択することができる。
接合部材センサを取り付ける方法は、センサが脱落しなければどのような方法であっても良く、貼り付け方法や埋め込み方法などを採用することができる。建築物を建築しながら接合部材センサを設置する場合、貼り付け方法や埋め込み方法などを採用すれば良いし、既に建築されている建築物に接合部材にセンサを設置する場合、貼り付け方法を採用すれば設置工事が容易になる。
接合部材センサを稼働する場合、接合部材センサに電気を供給する必要があるが、接合部材センサに電気を供給する方法は、無線での供給が好ましいが、有線での供給も利用することもできる。
接合部材センサの稼働方法は、常時電気を供給して連続的に稼働する方法を採用しても良いし、間欠的に電気を供給してパルス的に稼働する方法を採用しても良いし、さらにセンサ情報を測定するときにのみに電気を供給して稼働する方法を採用しても良い。節電及びセンサの長寿命化のためには、パルス的に稼働する方法及び測定時に稼働する方法が好ましい。
接合部材センサは、小型、高寿命、高感度であることが好ましい。センサが小型であれば建築物及び構造体への取り付ける部位の制限が少なくなり、高寿命であればセンサの取り換え頻度を少なくすることができ、高性能であれば建築物の接合部位置情報や接合部物理情報などを正確に検知することができる。接合部材センサの精度は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.6%以下、さらに好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
本発明における構造物とは、基礎部などにより重量を支えられた構造を有し、構造材料として、石、レンガ、木構造、鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造などで建築されたものであり、具体的には、木造住宅建築物、プレハブ住宅建築物、寺院建築物、神社建築物、高層建築物、超高層建築物などにおける構造物、橋梁、高架橋、トンネル、ダム、などの構造物が挙げられる。上記構造物にもセンサを取り付けることが好ましい。
構造物センサは、構造物の座標、距離、変位、角度などの位置を示す情報(以下「構造物位置情報」と表す)及び/又は構造物に作用する力、圧力、応力、速度、加速度、角速度、角加速度、振動、歪などの物理的な情報(以下「構造物物理情報」と表す)を検知することができるセンサを設置することができる。例えば、座標センサ、距離センサ、変位センサ、角度センサ、力センサ、圧力センサ、応力センサ、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、振動センサ、MASS(Multi−Axial−Sencing System)センサ、歪センサなど少なくとも一つ以上のセンサを使用することができる。
構造物センサに構造物位置情報を検知することができるセンサと構造物物理情報を検知することができるセンサを組み合わせて使用することによって、構造物の健全度や経年変化による劣化度などを瞬時に測量することが可能になるので好ましい。
構造物に、放射線センサ、電気センサ、磁気センサ、光センサ、温度センサ、湿度センサ、音センサなどの環境の情報を検知する環境センサ、さらには一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、シアン化水素、ホルマリン、アンモニア、塩素、塩化水素、メタン、ベンゼンなどの化学物質の情報を検知する化学センサ、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、フッ素イオン、塩素イオンなどの濃度を検知するイオンセンサなど少なくとも1つ以上のセンサを設置すれば、構造物のコンクリートの中性化度や錆による腐蝕度や、さらに建築物の省エネや騒音などの診断に役立てることが可能になるので好ましい。
構造物センサの出力信号の伝送経路は無線が好ましいが、有線も使用することができる。無線センサを使用すればセンサの設置工事が容易になるし、設置する場所も自由に選択することができる。
構造物センサを取り付ける方法は、センサが脱落しなければどのような方法であっても良く、貼り付け方法や埋め込み方法などを採用することができる。構造物を建築しながら構造物センサを設置する場合、貼り付け方法や埋め込み方法を採用すれば良く、構造物が既に建築されている場合は、既に建築されている構造物にセンサを設置する場合は、貼り付け方法を採用すれば構造物センサの設置工事が容易になる。
構造物センサを稼働する場合、構造物センサに電気を供給する必要があるが、構造物センサに電気を供給する電気を供給する方法は、無線での供給が好ましいが、有線での供給も利用することができる。構造物センサの稼働方法は、常時電気を供給してセンサを連続的に稼働する方法を採用しても良いし、間欠的に電気を供給してパルス的に稼働する方法を採用しても良いし、さらに構造物センサ情報を計測するときにのみに電気を供給して稼働する方法を採用しても良い。節電及び構造物センサの長寿命化のためには、パルス的に稼働する方法及び測量時に稼働する方法が好ましい。
構造物センサは、小型、高寿命、高感度であることが好ましい。センサが小型であれば構造物への取り付ける部位の制限が少なくなるし、高寿命であればセンサの取り換え頻度を少なくすることができるし、高感度であれば構造物位置情報や構造物に作用する物理的な情報などを正確に測量することができるため、歪、誤差、変位などが少ない建築物及び建築物の建築方法を提供することができる。構造物センサの精度は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.6%以下、さらに好ましくは0.3%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
本発明における建築物は、センサと検知装置と管理サーバーを有する。センサは、センサチップ上に位置情報、物理情報、さらには環境情報、化学情報などのデジタル信号を検知する。また、センサは通信制御部を有し、通信制御部はセンサによって検知されたデジタル信号を検知装置に送信する。
検知装置は、通信制御部、増幅回路、アナログ・デジタル変換回路を有する。通信制御部はセンサからのアナログ信号を受信する。もし、センサから受信したアナログ信号に無用の情報であるノイズが含まれる場合、アナログ信号を増幅回路によって増幅した後、時間的領域処理(以下「スムージング」と表す)及び/又は周波数領域処理(以下「フィルタリング」と表す)などの前処理を行いノイズの除去を行えば良い。管理サーバーでの処理を効率良く行うために、アナログ・デジタル変換回路を用いて上記のノイズを除去したアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号は通信制御部によって管理サーバーに送信される。
管理サーバーは、通信制御部、記録手段と記録プログラム、解析手段と解析プログラム、診断手段と診断プログラムを有し、通信制御部は検知装置からのデジタル信号を受信する。
記録手段は搭載された記録プログラムに従って、検知装置から受信したデジタル信号をセンサ情報として記録し記録結果を解析手段に送信する。記録結果は、モニター上に表示できるようにしても良い。
解析手段は搭載された解析プログラムに従って、記録手段から受信した記録結果から歪、誤差、変位などの位置情報の変化量、力、圧力、応力、速度、加速度、振動などの物理情報の変化量を解析し解析結果を診断手段に出力する。解析結果は、モニター上に表示できるようにしても良い。
例えば、基礎部に設置したセンサから得られる基礎部センサ位置情報を比較することによって基礎部の傾きを算出することができるので基礎部の水平性や垂直性を確認することができる。
診断手段は搭載された診断プログラムに従って、解析手段から受信した解析結果から建築物の健全度を診断し診断結果を出力する。診断結果は、モニター上に表示できるようにしても良い。
例えば、解析結果から基礎部の傾斜が3/1000未満であって建築物の構造耐力上主要な部分の瑕疵の存在する可能性が低く建築物の健全度に問題がないと判断される場合は健全度ランク(A)、傾斜が3/1000〜6/1000の範囲であって構造耐力上主要な部分の瑕疵が一定程度存在するが建築物の健全度に問題がないと判断される場合は健全度ランク(B)、傾斜が6/1000〜8/1000の範囲であって構造耐力上主要な部分の瑕疵が存在する可能性が高く建築物の健全度に問題があり補修工事が必要と判断される場合は健全度ランク(C)、さらに傾斜が8/1000を超え、健康障害の生じる恐れがあり建築物の健全度に大きな問題があり改修工事や解体が必要と判断される場合は健全度ランク(D)などに分類して診断結果を出力できるようにすれば良い。
以上のように、管理サーバーは、センサ情報、記録結果、解析結果、診断結果などを一括して保管し管理する。建築物の所有者、管理者、居住者などは、管理サーバーにパーソナルコンピューター、タブレットコンピューター、スマートフォンなどを接続して管理サーバーに保管されている記録結果、解析結果、診断結果をモニター上で確認することができる。
建築物は、以下の環境(1)〜環境(5)に示す様々な環境を取る。
環境(1)工事を実施する前
環境(2)工事中
環境(3)工事完工直後
環境(4)工事完工後長時間経過した後
環境(5)予期しない環境の変化が起こった場合
予期しない環境の変化とは、地震の揺れによる地盤の変化、火山活動による地盤の変化、地下水の増減による地盤の変化、高潮や津波などの水圧、台風や竜巻などの風圧などによる変化などが該当する。
新たに建築物を建築する場合、任意に決定した基準点に基準点センサを設置することによって、工事前、工事中、工事完工直後、完工後長時間経過した後、さらに予期しない環境の変化が起こった時までの基準点センサ情報を計測することができる。
既設の建築物に基準点が決定されている場合、既設の基準点に基準点センサを設置すればよい。既設の建築物に基準点が決定されていない場合、任意に設置した基準点に基準点センサを設置して基準点センサ情報を計測すれば良く、センサ設置以降の基準点位置情報及び/又は基準点物理情報から建築物の健全度を管理することができるようになる。
基礎工事に使用する木杭、コンクリート杭、鋼杭などにセンサを設置すると、センサ位置情報から杭の垂直性が確認でき、センサ物理情報から杭が支持層に到達しているかなどを検知することができる。さらにアンカーボルト、アンカーボルトの保護キャップやコンクリート打設時のコンクリートの表面や内部に埋め込むなどしてセンサを取り付けると、基礎工事中、さらに完工後の杭、アンカーボルト、コンクリート基礎部の位置情報、例えば、座標、距離、変位、角度などの情報が正確に確認できるので、基礎部上に構造物を建築する際の構造物の位置出し、水平性、鉛直性などを確認するための指標とすることができる。
新たに基礎工事を実施する場合、基礎工事に使用する型枠、型枠を固定する金物類、型枠を支えるサポート類などに基礎部センサを設置して基礎工事を実施すると型枠などの位置情報が基礎部センサ情報として得られ、設計通りに型枠が作成されているかを確認しながら基礎工事を実施することができる。
既設の建築物の基礎部に基礎部センサが設置されていない場合、基礎部の任意の部位に基礎部センサを設置すれば良く、センサ設置以降の基礎部センサ情報を迅速にしかも高精度に計測することができるので、基礎部の健全度を確認することができる。
このように基礎部センサを設置することによって、基礎工事中から基礎工事完工直後、長時間経過した場合、さらに予期しない環境の変化が起こった場合までの基礎部位置情報及び/又は基礎部物理情報から建築物の健全度を管理することができる。
建築物の耐久性は接合の良否によって決まり、接合部の設計や施工は重要である。新たに接合工事を実施する場合、接合工事に使用するアンカーボルト、ベースプレート、ブレース、ガセットプレート、固定用金具、固定用ボルト、固定用ナット、固定用座金、基礎パッキン、釘などの接合部材さらに接合部材を保護するための保護部材などにセンサを設置すると、センサ位置情報から接合部の水平性、垂直性を確認することができる。
既設の建築物の接合部にセンサが設置されていない場合、接合部の任意の部位にセンサを設置すれば良く、センサ設置以降の接合部センサ情報を迅速にしかも高精度に計測することができるので、接合部の健全度を確認することができる。
このように接合部材センサを設置することによって、接合工事中から接合工事完工直後、長時間経過した場合、さらに予期しない環境の変化が起こった場合までの接合部位置情報及び/又は接合部物理情報から建築物の健全度を管理することができる。
新たに構造物工事を施工する場合、通常は、型枠、配筋、コンクリート打ち、養生、型枠除去の順に進められるが、構造物工事に使用される型枠や配筋などにセンサを設置すると、センサ位置情報から構造物の水平性、垂直性を確認することができる。
既設の建築物の構造物にセンサが設置されていない場合、構造物の任意の部位に構造物センサを搭載すれば良く、センサ搭載以降の構造物センサ情報を迅速にしかも高精度に計測することができるので、構造物の健全度を確認することができる。
このように構造物センサを設置することによって、構造物工事中から構造物工事完工直後、長時間経過した場合、さらに予期しない環境の変化が起こった場合までの構造物位置情報及び/又は構造物物理情報から建築物の健全度を管理することができる。
センサは仕上げ工事においても設置することができる。例えば、部屋の四隅に温度センサや湿度センサ、音センサを設置してエアコンや加湿器と連動させて部屋の温度や湿度を快適な状態に保つ、さらに光センサと照明器具やLEDライトと連動させて部屋の明るさを快適な状態に保つなどに利用することもできる。
実行例−1として、基準点の座標から建築物の健全度を診断する方法について説明する。建築物に基準点が一か所のみ設置されており、これを基準点−1とする。基準点−1は前記に示した環境(1)〜環境(5)を取ることができる。基準点−1の座標を三次元に分配して、XY水平面をX軸、Y軸とし、XY水平面に対して垂直方向をZ軸とし、センサはX軸、Y軸、Z軸の3方向に対して信号を出力できるように配置する。基準点−1の座標の記号は、例えば、環境(1)、基準点(Reference)、座標(Coordination)、X軸(X)、センサ番号−1の場合、基準点−1に1RCX1の記号を付与し、以下同様の手順で付与した。
環境(1)つまり、建築物を建築する際に設置した基準点−1の記号は、1RCX1、1RCY1、1RCZ1と表され、センサで測定した信号がそれぞれの記号上に振り分けられ基準点−1の座標の標準となる。環境(2)での記号は2RCX1、2RCY1、2RCZ1、環境(3)での記号は3RCX1、3RCY1、3RCZ1、環境(4)での記号は4RCX1、4RCY1、4RCZ1、環境(5)での記号は5RCX1、5RCY1、5RCZ1となる。
基準点センサに通電すると、基準点センサは基準点の座標の信号を出力し検知装置に送信される。検知装置は搭載された回路を利用して、必要であれば、増幅、スムージング、フィルタリングなどの前処理を行った後、センサ位置情報に変換して管理サーバーの記録手段に送信する。
記録手段は、記録プログラムに従って、受信した基準点センサ情報を記録し解析手段に送信する。
解析手段は、環境(2)において、搭載された解析プログラムに従って、基準点−1の1RCX1、1RCY1、1RCZ1の座標を標準として、1RCX1と2RCX1、1RCY1と2RCY1、1RCZ1と2RCZ1の座標を比較し、建設前に設置した基準点−1の座標を標準とした工事中の基準点−1の座標の変化量を解析する。
解析手段は、環境(3)において、搭載された解析プログラムに従って、基準点−1の1RCX1、1RCY1、1RCZ1の座標を標準として、1RCX1と3RCX1、1RCY1と3RCY1、1RCZ1と3RCZ1の座標を比較し、建設前の基準点−1の座標を標準とした工事完工直後の場合の基準点−1の座標の変化量を解析する。
解析手段は、環境(4)において、搭載された解析プログラムに従って、基準点−1の1RCX1、1RCY1、1RCZ1の座標を標準として、1RCX1と4RCX1、1RCY1と4RCY1、1RCZ1と4RCZ1の座標を比較し、建設前の基準点−1の座標を標準とした建設後長時間が経過した場合の基準点−1の座標の変化量を解析する。また、1RCX1と2RCX1と3RCX1と4RCX1の座標を比較すれば、基準点−1の座標の時間経過による変化量を解析することができ、将来の変化量の推移を予測することもできる。
さらに、解析手段は、環境(5)において、搭載された解析プログラムに従って、1RCX1、1RCY1、1RCZ1を標準として、1RCX1と5RCX1、1RCY1と5RCY1、1RCZ1と5RCZ1の座標を比較し、予期しない環境のあった場合の基準点−1の座標の変化量を解析する。また、4RCX1と5RCX1の座標を比較すれば、予期しない環境の変化後の基準点−1の変化量を測定することができ、建築物の被害の大きさなども測定することができる。
以上のように解析手段は、搭載された解析プログラムに従って、環境(1)における基準点−1のX軸、Y軸、Z軸の座標と環境(2)〜環境(5)の時間経過によるX軸、Y軸、Z軸の座標の変化量を解析して解析結果を診断手段に送信する。
診断手段は、搭載された診断プログラムに従って、解析手段から受信した基準点−1のX軸、Y軸、Z軸の解析結果から建築物の健全度を診断し診断結果を出力する。診断手段は基準点の座標のX軸、Y軸方向の移動量、Z軸方向の沈下量、隆起量などから総合的に判断して、
健全度ランク(A):基準点の座標の変化量は認められず建築物の健全度に問題がない場合
健全度ランク(B):基準点の座標の変化量は認められるが建築物の健全度に問題はない場合
健全度ランク(C):基準点の座標の変化量が大きく建築物の補修が必要な場合
健全度ランク(D):基準点の座標の変化量が深刻な状況で建築物の改修や解体が必要な場合
などのように指標を提示することができるようにすれば良い。
管理サーバーは、基準点の位置情報に関する基準点センサ情報、例えば、記録結果、解析結果、診断結果などのデータを保管しているが、建築物の所有者、管理者、居住者などが管理サーバーにパーソナルコンピューター、タブレットコンピューター、スマートフォンなどを接続すれば、管理サーバーに保管されている建築物の歪、誤差、変位などのデータをモニター上に確認して建築物を安全に利用することができる。
上記のように、基準点に位置情報を検出できるセンサを搭載することにより、基準点の位置情報、例えば、座標、距離、変位、角度などの変化量から、基準点がどの方向に移動したかを確認することができる。さらに、その変化量から基準点の健全度を診断することができる。基準点位置情報の変化量が観測されず建築物の健全度が維持されている場合や基準点位置情報の変化量が観測されるが、基準点の健全度には影響がなく建築物の安全度が保たれている場合は基準点の健全度を維持するための手段を講じれば良い。もし、基準点位置情報の変化量が大きく建築物の健全度が確保されていない、つまり劣化度が著しく建築物の危険度が予知される場合は、その危険度を解消するための手段を講じれば良い。
実行例−2として、基準点に作用する応力から建築物の健全度を診断する方法について説明する。
実行例−1と同様に、基準点が一カ所のみ設置されていて、これを基準点−1とする。基準点−1は環境(1)〜環境(5)を取るものとする。基準点−1に作用する応力を三次元に分配して、XY水平面をX軸、Y軸として、XY水平面に対して垂直方向のZ軸とし、センサはX軸、Y軸、Z軸の3方向に対して信号を出力できるように配置する。基準点−1に作用する応力の記号は、例えば、環境(1)、基準点(Reference)、応力(Stress)、X軸(X)、センサ番号−1の場合、1RSX1の記号を付与し、以下、同様の手順で付与した。
環境(1)つまり建築物を建築する際に設置した基準点−1の記号は、1RSX1、1RSY1、1RSZ1と表され、センサで測定した信号がそれぞれの記号に振り分けられ基準点に作用する応力の標準となる。環境(2)での記号は2RSX1、2RSY1、2RSZ1、環境(3)での記号は3RSX1、3RSY1、3RSZ1、環境(4)での記号は4RSX1、4RSY1、4RSZ1、環境(5)での記号は5RSX1、5RSY1、5RSZ1となる。
基準点センサに通電すると、基準点センサは基準点の応力の信号を出力し検知装置に送信される。検知装置は搭載された回路を利用して、必要であれば、増幅、スムージング、フィルタリングなどの前処理を行った後、センサ位置情報に変換して管理サーバーの記録手段に送信する。記録手段は、受信した基準点センサ情報を記録し解析手段に送信する。
解析手段は、環境(2)において、搭載された解析プログラムに従って、基準点−1の1RSX1、1RSY1、1RSZ1の応力を標準として、1RSX1と2RSX1、1RSY1と2RSY1、1RSZ1と2RSZ1の応力を比較し、建築前に設置した基準点の応力を標準とした建築中の基準点−1の応力の変化量を解析する。
解析手段は、環境(3)において、搭載された解析プログラムに従って、基準点−1の1RSX1、1RSY1、1RSZ1の応力を標準として、1RSX1と3RSX1、1RSY1と3RSY1、1RSZ1と3RSZ1の応力を比較し、建設前の基準点−1の応力を標準とした完工直後の場合の基準点−1の応力の変化量を解析する。
解析手段は、環境(4)において、搭載された解析プログラムに従って、基準点−1の1RSX1、1RSY1、1RSZ1の応力を標準として、1RSX1と4RSX1、1RSY1と4RSY1、1RSZ1と4RSZ1の応力を比較し、建設前の基準点−1の応力を標準とした建設後長時間が経過した場合の基準点−1の応力の変化量を解析する。また、1RSX1と2RSX1と3RSX1と4RSX1、1RSY1と2RSY1と3RSY1と4RSY1、1RSZ1と2RSZ1と3RSZ1と4RSZ1、を比較すれば、基準点−1の応力の時間経過による変化量を解析することができ、将来の変化量の推移を予測することもできる。
さらに、解析手段は、環境(5)において、搭載された解析プログラムに従って、1RSX1、1RSY1、1RSZ1を標準として、1RSX1と5RSX1、1RSY1と5RSY1、1RSZ1と5RSZ1の応力を比較し、予期しない環境のあった場合の基準点−1の応力の変化量を解析する。また、4RSX1と5RSX1、4RSY1と5RSY1、4RSZ1と5RSZ1の応力を比較すれば、予期しない環境の変化後の基準点−1の変化量を測定することができ、建築物の被害の大きさなども測定することができる。
以上のように解析手段は、搭載された解析プログラムに従って、環境(1)における基準点−1のX軸、Y軸、Z軸の応力と環境(2)〜環境(5)の時間経過によるX軸、Y軸、Z軸の応力の変化量を解析して解析結果を診断手段に送信する。
診断手段は、搭載された診断プログラムに従って、解析手段から受信した基準点−1のX軸、Y軸、Z軸の解析結果から基準点−1の健全度を診断し診断結果を出力する。診断手段は診断結果から
健全度ランク(A):基準点の応力の変化量は認められず建築物の健全度に問題がない場合
健全度ランク(B):基準点の応力の変化量は認められるが建築物の健全度に問題はない場合
健全度ランク(C):基準点の応力の変化量が大きく建築物の補修が必要な場合
健全度ランク(D):基準点の応力の変化量が深刻な状況で建築物の改修や解体が必要な場合
などのように指標を提示することができるようにすれば良い。
管理サーバーは、基準点の物理情報に関する基準点センサ情報、例えば、記録結果、解析結果、診断結果などのデータを保管しているが、建築物の所有者、管理人、居住者などが管理サーバーにパーソナルコンピューター、タブレットコンピューター、スマートフォンなどを接続し管理サーバーに保管されている建築物に作用する力、応力などのデータをモニター上に確認できるようにしておけば、建築物を安全に利用することができる。
上記のように、基準点に物理情報を検出できるセンサを搭載することにより、基準点の物理情報、例えば、力、圧力、応力、速度、加速度、角速度、角加速度、振動などの変化量から基準点に外力がどの方向から作用しているかを確認することができる。さらに、その変化量から基準点の健全度を診断することができる。基準点物理情報の変化量が観測されず基準点の健全度が維持されている場合や基準点物理情報の変化量が観測されるが、基準点の健全度には影響がなく建築物の安全度が保たれている場合は基準点の健全度を維持するための手段を講じれば良い。もし、基準点物理情報の変化量が大きく基準点の健全度が確保されていない、つまり劣化度が著しく建築物の危険度が予知される場合は、その危険度を解消するための手段を講じれば良い。
一般的に、新たに基礎工事を実施する場合、基準点に対する基礎部の歪、誤差、位置出し、水平性、鉛直性などを確定するためにトランシットなどを用いて測量し、基礎工事が設計通り実施できているか確認して進めるが、測量技術者の力量によって測量に時間がかかり、さらに測量精度が不十分であるなどの問題がある。
本発明の方法によると、センサを設置した部位の位置情報や物理情報が瞬時に得られるのでトランシットなどを用いた手間のかかる測量は不要になり測量時間が短縮できる、さらに、測量技術者の力量に関係なく測量精度が担保できるなどの長所がある。
実行例−3として、基礎部の座標から建築物の健全度を診断する方法について説明する。
新たに基礎工事をする場合は、基礎部に基礎部センサを設置すれば良く、基礎工事が完了している場合は、既設の基礎部にセンサを設置すれば良い。基礎部の座標は、前記の基準点−1の座標を標準にして決定すれば良い。
基礎部に基礎部センサが一か所のみ設置されておりこれを基礎部−1とする。基礎部−1は前記に示した環境(1)〜環境(5)を取ることができる。基礎部−1の座標を三次元に分配して、XY水平面をX軸、Y軸とし、XY水平面に対して垂直方向をZ軸とし、センサはX軸、Y軸、Z軸の3方向に対して信号を出力できるように配置する。基礎部−1の座標の記号は、環境(1)、基礎部(Junction)、座標(Coordination)、X軸(X)、センサ番号−1の場合、基礎部−1に1JCX1の記号を付与し、以下同様の手順で付与した。
環境(1)つまり、基礎工事を実施する際に設置した基礎部−1の記号は、1JCX1、1JCY1、1JCZ1と表され、センサで測定した信号が上記の記号上に振り分けられ基礎部−1の座標の標準となる。環境(2)での記号は2JCX1、2JCY1、2JCZ1、環境(3)での記号は3JCX1、3JCY1、3JCZ1、環境(4)での記号は4JCX1、4JCY1、4JCZ1、環境(5)での記号は5JCX1、5JCY1、5JCZ1となる。
基礎部センサに通電すると、基礎部センサは、基礎部の座標の信号を出力し検知装置に送信する。検知装置は搭載された回路を利用して、必要であれば、増幅、スムージング、フィルタリングなどの前処理を行った後、センサ情報を変換して管理サーバーの記録手段に送信する。記録手段は受信した基礎部センサ情報を記録し解析手段に送信する。
解析手段は、環境(2)において、搭載された解析プログラムに従って、基準点−1の1RCX1、1RCY1、1RCZ1を標準として、1RCX1と2JCX1、1RCY1と2JCY1、1RCZ1と2JCZ1の座標を比較、解析して、基礎部−1の座標を決定する。基礎部にn個のセンサを設置した場合、基準点−1の座標と基礎部のn個の座標が瞬時に確認することができるので、煩雑な測量そのものが不要になり、測量の精度が担保できるので、建築物の歪や傾きなどの不具合を防止することができる。
解析手段は、環境(3)において、搭載された解析プログラムに従って、基礎部−1の環境(2)の2JCX1、2JCY1、2JCZ1を標準として、2JCX1と3JCX1、2JCY1と3JCY1、2JCZ1と3JCZ1の座標を比較し、基礎工事中と基礎工事完工後の基礎部の座標の変化量を解析する。
解析手段は、環境(4)において、搭載された解析プログラムに従って、基礎部−1の環境(2)での座標である2JCX1、2JCY1、2JCZ1を標準として、2JCX1と4JCX1、2JCY1と4JCY1、2JCZ1と4JCX1の座標を比較し、基礎工事中と建築後長時間が経過した後の基礎部−1の座標の変化量を解析する。
さらに、解析手段は、環境(5)において、搭載された解析プログラムに従って、基礎部−1の環境(2)での座標である2JCX1、2JCY1、2JCZ1を標準として、2JCX1と5JCX1、2JCY1と5JCY1、2JCZ1と5JCZ1の座標を比較し、予期しない環境のあった場合の基礎部−1の座標の変化量を解析する。また、4JCX1と5JCX1、4JCY1と5JCY1、4JCZ1と5JCZ1の座標を比較すれば、予期しない環境の変化後の基礎部−1の座標の変化量を測定することができ、建築物の被害の大きさなども測定することができる。
以上のように解析手段は、搭載された解析プログラムに従って、基礎部−1のX軸、Y軸、Z軸の座標の変化量を比較することによって、環境(2)〜環境(5)の時間経過によるX軸、Y軸、Z軸の座標の変化量を解析して解析結果を診断手段に送信する。
診断手段は、搭載された診断プログラムに従って、解析手段から受信した基礎部−1のX軸、Y軸、Z軸の解析結果から基礎部−1の健全度を診断し診断結果出力する。診断手段は基礎部の座標のX軸、Y軸方向の移動量、Z軸方向の沈下量、隆起量などから、建築物の健全度を診断する。
健全度ランク(A):基礎部の座標の変化量は認められず建築物の健全度に問題がない場合
健全度ランク(B):基礎部の座標の変化量は認められるが建築物の健全度に問題はない場合
健全度ランク(C):基礎部の座標の変化量が大きく建築物の補強が必要な場合
健全度ランク(D):基礎部の座標の変化量が深刻な状況で建築物の改修や解体が必要な場合
などのように指標を提示することができるようにすれば良い。
管理サーバーは、基礎部の位置情報に関する基礎部センサ情報、例えば、記録結果、解析結果、診断結果などのデータを保管しているが、建築物の所有者、管理人、居住者などが管理サーバーにパーソナルコンピューター、タブレットコンピューター、スマートフォンなどを接続すれば、管理サーバーに保管されている建築物の歪、誤差、変位などのデータをモニター上に確認して建築物を安全に利用することができる。
上記のように、基礎部に位置情報を検出できるセンサを搭載することにより、基礎部の位置情報、例えば、座標、距離、変位、角度などの変化量から、基礎部がどの方向に移動したかを確認することができる。さらに、その変化量から基礎部の健全度を診断することができる。基礎部位置情報の変化量が観測されず基礎部の健全度が維持されている場合や基礎部位置情報の変化量が観測されるが、基礎部の健全度には影響がなく建築物の安全度が保たれている場合は基礎部の健全度を維持するための手段を講じれば良い。もし、基礎部位置情報の変化量が大きく基礎部の健全度が確保されていない、つまり劣化度が著しく建築物の危険度が予知される場合は、その危険度を解消するための手段を講じれば良い。
例えば、基礎部にa個の座標を検知できるセンサを設置した場合、基準点−1の座標と基礎部のa個の座標が瞬時に確認することができるので、煩雑な測量そのものが不要になり、さらに、測量の精度が担保できるので、建築物の歪や傾きなどの不具合を防止することができる。
基礎部に位置情報を検知することができるセンサと物理情報を検知することができるセンサを組み合わせて用いると、基礎部の位置情報の変化の方向性と物理情報の変化の方向性の関連性が確認できるので基礎部の健全度がより正確に診断できる。
実行例−4として、接合部の座標から建築物の健全度を診断する方法について説明する。
新たに接合工事をする場合は、接合部にセンサを設置すれば良く、接合工事が完了している場合は、既設の接合部材あるいは接合部にセンサを設置すれば良い。接合部の座標は、前記の方法で設置した基準点−1の座標を標準にして決定すれば良い。
接合部にセンサ接合部材が一か所のみ設置されておりこれを接合部−1とする。接合部−1は前記に示した環境(2)〜環境(5)を取ることができる。接合部−1の座標を三次元に分配して、XY水平面をX軸、Y軸とし、XY水平面に対して垂直方向をZ軸とし、センサはX軸、Y軸、Z軸の3方向に対して信号を出力できるように配置する。接合部−1の座標の記号は、環境(2)、接合部(Junction)、座標(Coordination)、X軸(X)、センサ番号−1の場合、接合部−1に2JCX1の記号を付与し、以下同様の手順で付与した。
環境(2)つまり、接合工事を実施する際に設置した接合部−1の記号は、2JCX1、2JCY1、2JCZ1と表され、センサで測定した信号が上記の記号上に振り分けられ接合部−1の座標の標準となる。環境(3)での記号は3JCX1、3JCY1、3JCZ1、環境(4)での記号は4JCX1、4JCY1、4JCZ1、環境(5)での記号は5JCX1、5JCY1、5JCZ1となる。
接合部センサに通電すると、接合部センサは、接合部の座標の信号を出力し検知装置に送信する。検知装置は搭載された回路を利用して、必要であれば、増幅、スムージング、フィルタリングなどの前処理を行った後、センサ情報を変換して管理サーバーの記録手段に送信する。記録手段は受信した接合部センサ情報を記録し解析手段に送信する。
解析手段は、環境(2)において、搭載された解析プログラムに従って、基準点−1の1RCX1、1RCY1、1RCZ1を標準として、1RCX1と2JCX1、1RCY1と2JCY1、1RCZ1と2JCZ1の座標を比較、解析して、接合部−1の座標を決定する。
解析手段は、環境(3)において、搭載された解析プログラムに従って、接合部−1の環境(2)の2JCX1、2JCY1、2JCZ1を標準として、2JCX1と3JCX1、2JCY1と3JCY1、2JCZ1と3JCZ1の座標を比較し、接合工事中と接合工事完工後の接合部の座標の変化量を解析する。
解析手段は、環境(4)において、搭載された解析プログラムに従って、接合部−1の環境(2)での座標である2JCX1、2JCY1、2JCZ1を標準として、2JCX1と4JCX1、2JCY1と4JCY1、2JCZ1と4JCX1の座標を比較し、接合工事中と建築後長時間が経過した後の接合部−1の座標の変化量を解析する。
さらに、解析手段は、環境(5)において、搭載された解析プログラムに従って、接合部−1の環境(2)での座標である2JCX1、2JCY1、2JCZ1を標準として、2JCX1と5JCX1、2JCY1と5JCY1、2JCZ1と5JCZ1の座標を比較し、予期しない環境のあった場合の接合部−1の座標の変化量を解析する。また、4JCX1と5JCX1、4JCY1と5JCY1、4JCZ1と5JCZ1の座標を比較すれば、予期しない環境の変化後の接合部−1の座標の変化量を測定することができ、建築物の被害の大きさなども測定することができる。
以上のように解析手段は、搭載された解析プログラムに従って、接合部−1のX軸、Y軸、Z軸の座標の変化量を比較することによって、環境(2)〜環境(5)の時間経過によるX軸、Y軸、Z軸の座標の変化量を解析して解析結果を診断手段に送信する。
診断手段は、搭載された診断プログラムに従って、解析手段から受信した接合部−1のX軸、Y軸、Z軸の解析結果から接合部−1の健全度を診断し診断結果出力する。診断手段は診断結果から
健全度ランク(A):接合部の座標の変化量は認められず建築物の健全度に問題がない場合
健全度ランク(B):接合部の座標の変化量は認められるが建築物の健全度に問題はない場合
健全度ランク(C):接合部の座標の変化量が大きく建築物の補強が必要な場合
健全度ランク(D):接合部の座標の変化量が深刻な状況で建築物の改修や解体が必要な場合
などのように指標を提示することができるようにすれば良い。
管理サーバーは、接合部の位置情報に関する接合部センサ情報、例えば、記録結果、解析結果、診断結果などのデータを保管しているが、建築物の所有者、管理者、居住者などが管理サーバーにパーソナルコンピューター、タブレットコンピューター、スマートフォンなどを接続すれば、管理サーバーに保管されている建築物の歪、誤差、変位などのデータをモニター上に確認して建築物を安全に利用することができる。
上記のように、接合部に位置情報を検出できるセンサを搭載することにより、接合部の位置情報、例えば、座標、距離、変位、角度などの変化量から、接合部がどの方向に移動したかを確認することができる。さらに、その変化量から接合部の健全度を診断することができる。接合部位置情報の変化量が観測されず接合部の健全度が維持されている場合や接合部位置情報の変化量が観測されるが、接合部の健全度には影響がなく建築物の安全度が保たれている場合は接合部の健全度を維持するための手段を講じれば良い。もし、接合部位置情報の変化量が大きく接合部の健全度が確保されていない、つまり劣化度が著しく建築物の危険度が予知される場合は、その危険度を解消するための手段を講じれば良い。
接合部にb個の座標を検知できるセンサを設置した場合、基準点−1の座標と接合部のb個の座標が瞬時に確認することができるので、煩雑な測量そのものが不要になり、さらに、測量の精度が担保できるので、接合工事が建築物の歪や傾きなどの不具合を防止することができる。
実行例−5として、接合部の応力から建築物の健全度を診断する方法について説明する。
接合部にセンサ接合部材が一か所のみ設置されておりこれを接合部−1とする。接合部−1は前記に示した環境(2)〜環境(5)を取ることができる。接合部−1に作用する応力を三次元に分配して、XY水平面をX軸、Y軸とし、XY水平面に対して垂直方向をZ軸とし、センサはX軸、Y軸、Z軸の3方向に対信号を出力できるように配置する。接合部−1の応力の記号は、環境(2)、接合部(Junction)、応力(Stress)、X軸(X)、センサ番号−1の場合、接合部−1に2JSX1の記号を付与し、以下同様の手順で付与した。
環境(2)つまり、接合工事を実施する際に設置した接合部−1の記号は、2JSX1、2JSY1、2JSZ1と表され、センサで測定した信号が上記の記号上に振り分けられ接合部−1の応力の標準となる。環境(3)での記号は3JSX1、3JSY1、3JSZ1、環境(4)での記号は4JSX1、4JSY1、4JSZ1、環境(5)での記号は5JSX1、5JSY1、5JSZ1となる。
接合部材センサに通電すると、接合部材センサは、接合部に作用する応力の信号を出力し検知装置に送信する。検知装置は搭載された回路を利用して、必要であれば、増幅、スムージング、フィルタリングなどの前処理を行った後、センサ情報と変換して管理サーバーの記録手段に送信する。記録手段は受信した接合部センサ情報を記録し解析手段に送信する。
解析手段は、環境(2)において、搭載された解析プログラムに従って、基準点−1の1RSX1、1RSY1、1RSZ1を標準として、1RSX1と2JSX1、1RSY1と2JSY1、1RSZ1と2JSZ1の応力を比較、解析して、基準点の応力を標準として接合部−1の応力を決定する。
解析手段は、環境(3)において、搭載された解析プログラムに従って、接合部−1の環境(2)の2JSX1、2JSY1、2JSZ1を標準として、2JSX1と3JSX1、2JSY1と3JSY1、2JSZ1と3JSZ1の応力を比較して、接合工事中と接合工事完工後の接合部の応力の変化量を解析する。
解析手段は、環境(4)において、搭載された解析プログラムに従って、接合部−1の環境(2)での応力である2JSX1、2JSY1、2JSZ1を標準として、2JSX1と4JSX1、2JSY1と4JSY1、2JSZ1と4JSX1の応力を比較し、接合工事中と建築後長時間が経過した後の接合部−1の応力の変化量を解析する。
さらに、解析手段は、環境(5)において、搭載された解析プログラムに従って、接合部−1の環境(2)での応力である2JSX1、2JSY1、2JSZ1を標準として、2JSX1と5JSX1、2JSY1と5JSY1、2JSZ1と5JSZ1の応力を比較し、予期しない環境のあった場合の接合部−1の応力の変化量を解析する。また、4JSX1と5JSX1、4JSY1と5JSY1、4JSZ1と5JSZ1の応力を比較すれば、予期しない環境の変化後の接合部−1の応力の変化量を測定することができ、建築物の被害の大きさなども測定することができる。
以上のように解析手段は、搭載された解析プログラムに従って、接合部−1のX軸、Y軸、Z軸の応力の変化量を比較することによって、環境(2)〜環境(5)の時間経過によるX軸、Y軸、Z軸の応力の変化量を解析して解析結果を診断手段に送信する。
診断手段は、搭載された診断プログラムに従って、解析手段から受信した接合部−1のX軸、Y軸、Z軸の解析結果から接合部−1の健全度を診断し診断結果出力する。診断手段は診断結果から
健全度ランク(A):接合部に作用する応力の変化量は認められず建築物の健全度に問題がない場合
健全度ランク(B):接合部に作用する応力の変化量は認められるが建築物の健全度に問題はない場合
健全度ランク(C):接合部に作用する応力の変化量が大きく建築物の補強が必要な場合
健全度ランク(D):接合部に作用する応力の変化量が深刻な状況で建築物の改修や解体が必要な場合
などのように指標を提示することができるようにすれば良い。
管理サーバーは、接合部の物理情報に関する接合部センサ情報、例えば、記録結果、解析結果、診断結果などのデータを保管しているが、建築物の所有者、住居人、管理者などが管理サーバーにパーソナルコンピューター、タブレットコンピューター、スマートフォンなどを接続し管理サーバーに保管されている建築物に作用する力、応力などのデータをモニター上に確認できるようにしておけば、建築物を安全に利用することができる。
上記のように、接合部に物理情報を検出できるセンサを搭載することにより、接合部の物理情報、例えば、力、圧力、応力、速度、加速度、角速度、角加速度、振動などの変化量から接合部に外力がどの方向から作用しているかを確認することができる。さらに、その変化量から接合部の健全度を診断することができる。接合部物理情報の変化量が観測されず接合部の健全度が維持されている場合や接合部物理情報の変化量が観測されるが、接合部の健全度には影響がなく建築物の安全度が保たれている場合は接合部の健全度を維持するための手段を講じれば良い。もし、接合部物理情報の変化量が大きく接合部の健全度が確保されていない、つまり劣化度が著しく建築物の危険度が予知される場合は、その危険度を解消するための手段を講じれば良い。
例えば、接合工事中に、c個の接合部材センサを設置した場合、基準点−1の応力を標準とした接合部のc個の応力が瞬時に確認することができるので、煩雑な測量そのものが不要になり、測量技術者の力量不足によって生じる測定の長時間化による建設工事の遅れや測量の精度が十分でないために起こる建築物の歪や傾きなどの不具合を防止することができる。以下、接合工事が完了した場合、建築後長時間が経過した場合、さらに前記の予期しない環境の変化があった場合も同様に適用することができる。
位置情報を検知することができる接合部材センサb個と物理情報を検知することができる接合部材センサc個を組み合わせて用いると、接合部の位置情報の変化量b個と接合部に作用する物理情報の変化量c個が瞬時に確認することができ接合部の健全度がより正確に診断できる。
本発明の方法によると、構造物の任意の部位、特に主要構造物に構造物センサを設置すると、構造物センサによって得られる構造物センサ情報から位置情報及び/又は物理情報などを瞬時に得られるので、トランシットなどを用いた手間のかかる測量は不要になり測量時間が短縮でき、さらに、測量技術者の力量に関係なく測量精度が担保できるなどの長所がある。
実行例−6として、構造物の座標を測定できるセンサを設置した場合の建築物の健全度を診断する診断システムについて説明する。
新たに構造物工事をする場合は、構造物の任意の部位にセンサを設置すれば良く、構造物工事が完了している場合は、既設の構造物の任意の部位にセンサを設置すれば良い。構造物の座標は、前記の方法で設置した基準点−1の座標を標準にして決定すれば良い。
構造物センサが一か所のみ搭載されておりこれを構造物−1とする。構造物−1は、環境(2)〜環境(5)の環境を取ることができる。構造物−1の座標を三次元に分配して、XY水平面をX軸、Y軸とし、XY水平面に対して垂直方向をZ軸とする。センサはX軸、Y軸、Z軸に作用する座標の信号を同時に計測することができる。
構造物−1の座標は、環境(2)、構造物(Structure)、座標(Coordination)、X軸(X)、センサ番号−1の場合、2SCX1を付与し、以下、同様の手順で付与した。
環境(3)での座標を3SCX1、3SCY1、3SCZ1、環境(4)での座標を4SCX1、4SCY1、4SCZ1、環境(5)での座標を5SCX1、5SCY1、5SCZ1とする。
構造物センサに通電すると、構造物センサは、構造物の座標の信号を出力し検知装置に送信する。検知装置は搭載された回路を利用して、必要であれば、増幅、スムージング、フィルタリングなどの前処理を行った後、センサ情報を変換して管理サーバーの記録手段に送信する。記録手段は受信した構造物センサ情報を記録し解析手段に送信する。
解析手段は、環境(2)において、搭載された解析プログラムに従って、基準点−1の1RCX1、1RCY1、1RCZ1を標準として、1RCX1と2JCX1、1RCY1と2JCY1、1RCZ1と2JCZ1の座標を比較、解析して、構造物−1の座標を決定する。
解析手段は、環境(3)において、搭載された解析プログラムに従って、構造物−1の環境(2)の2JCX1、2JCY1、2JCZ1を標準として、2JCX1と3JCX1、2JCY1と3JCY1、2JCZ1と3JCZ1の座標を比較し、接合工事中と接合工事完工後の構造物の座標の変化量を解析する。
解析手段は、環境(4)において、搭載された解析プログラムに従って、構造物−1の環境(2)での座標である2JCX1、2JCY1、2JCZ1を標準として、2JCX1と4JCX1、2JCY1と4JCY1、2JCZ1と4JCX1の座標を比較し、接合工事中と建築後長時間が経過した後の構造物−1の座標の変化量を解析する。
さらに、解析手段は、環境(5)において、搭載された解析プログラムに従って、構造物−1の環境(2)での座標である2JCX1、2JCY1、2JCZ1を標準として、2JCX1と5JCX1、2JCY1と5JCY1、2JCZ1と5JCZ1の座標を比較し、予期しない環境のあった場合の構造物−1の座標の変化量を解析する。また、4JCX1と5JCX1、4JCY1と5JCY1、4JCZ1と5JCZ1の座標を比較すれば、予期しない環境の変化後の構造物−1の座標の変化量を測定することができ、建築物の被害の大きさなども測定することができる。
以上のように解析手段は、搭載された解析プログラムに従って、構造物−1のX軸、Y軸、Z軸の座標の変化量を比較することによって、環境(2)〜環境(5)の時間経過によるX軸、Y軸、Z軸の座標の変化量を解析して解析結果を診断手段に送信する。
診断手段は、搭載された診断プログラムに従って、解析手段から受信した構造物−1のX軸、Y軸、Z軸の解析結果から構造物−1の健全度を診断し診断結果出力する。診断手段は診断結果から
健全度ランク(A):構造物の座標の変化量は認められず建築物の健全度に問題がない場合
健全度ランク(B):構造物の座標の変化量は認められるが建築物の健全度に問題はない場合
健全度ランク(C):構造物の座標の変化量が大きく建築物の補強が必要な場合
健全度ランク(D):構造物の座標の変化量が深刻な状況で建築物の改修や解体が必要な場合
などのように指標を提示することができるようにすれば良い。
管理サーバーは、構造物の座標に関する構造物センサ情報、例えば、記録結果、解析結果、診断結果などのデータを保管しているが、建築物の所有者、管理者、居住者などが管理サーバーにパーソナルコンピューター、タブレットコンピューター、スマートフォンなどを接続すれば、管理サーバーに保管されている建築物に作用する座標のデータをモニター上に確認して建築物を安全に利用することができる。
本発明の方法において、構造物に位置情報を検出できるセンサを搭載することにより、構造物の位置情報、例えば、座標、距離、変位、角度などの変化量から、構造物がどの方向に移動したかを確認することができる。さらに、その変化量から構造物の健全度を診断することができる。構造物位置情報の変化量が観測されず構造物の健全度が維持されている場合や構造物位置情報の変化量が観測されるが、構造物の健全度には影響がなく建築物の安全度が保たれている場合は構造物の健全度を維持するための手段を講じれば良い。もし、構造物位置情報の変化量が大きく構造物の健全度が確保されていない、つまり劣化度が著しく建築物の危険度が予知される場合は、その危険度を解消するための手段を講じれば良い。
構造物にd個の座標を検知できるセンサを設置した場合、基準点−1の座標と構造物のd個の座標が瞬時に確認することができるので、煩雑な測量そのものが不要になり、さらに、測量の精度が担保できるので、接合工事が建築物の歪や傾きなどの不具合を防止することができる。
構造物に位置情報を検知することができるセンサと物理情報を検知することができるセンサを組み合わせて用いると、構造物の位置情報の変化の方向性と構造物に作用する物理情報の変化の方向性の関連性が確認できるので構造物の健全度がより正確に診断できる。
一般的に、新たに構造物工事を実施する場合、基礎工事の際に設置した構造物材に対して構造物の歪、誤差、位置、水平性、鉛直性などを確定するためにトランシットなどを用いて測量し、構造物工事が設計通り実施できているか確認して進める。
管理サーバーにパーソナルコンピューター、タブレットコンピューターやスマートフォンなどを有線あるいは無線で接続できるようにすれば、管理サーバーに管理・保管されている記録結果、解析結果、診断結果、さらには健全度の維持及び/又は劣化度の解消あるいは軽減するための手段等の情報を確認することができ、建築物の所有者、管理者が建築物も状況を把握することができる建築物の管理システムが構築できる。
管理サーバーに管理・保管されているデータは、インターネット回線を利用して建設会社のホストコンピュータに送信するネットワークシステムを構築することも可能であるが、広範囲にわたる予期しない環境の変化、例えば、地震の揺れによる地盤の変形、火山活動による地盤の変形、地下水の増減による地盤の変形、高潮や津波などの水圧、台風や竜巻などの風圧などの影響が起こった場合、ホストコンピュータの処理能力を超える情報が瞬時に送信されることになるので、管理サーバーには建築物毎に個別のパーソナルコンピューター、タブレットコンピューターやスマートフォンなどを有線あるいは無線で接続できるようにした方が好ましい。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参考にしながら説明する。
図1に本実施形態に係る建築物の診断システムの概念図を示した。
建築物1は、基準点2、基礎部3、接合部4、構造物5を有し、基準点センサ6、基礎部センサ7、接合部センサ8、構造物センサ9が設置される。センサによる測定の標準となる基準点2の位置情報は街区基準点、公共基準点、認定登録基準点10を標準として決定される。センサによって測定される基準点センサ情報11、基礎部センサ情報12、接合部センサ情報13、構造物センサ情報14は、各センサに搭載された基準点通信制御回路15、基礎部通信制御回路16、接合部通信制御回路17、構造物通信制御回路18により検知装置19に送信される。検知装置は、増幅回路20、アナログ/デジタル変換回路21、通信制御回路22を有し、各センサから受信したセンサ情報を増幅回路20、アナログ/デジタル変換回路21を利用して処理した後、処理後のセンサ情報を通信制御回路22によって管理サーバー23に送信する。管理サーバー23は記録手段24、解析手段25、診断手段26を有する。記録手段24は記録プログラム27と通信制御回路28を有し、記録プログラム27に従って検知装置から受信した各センサ情報を記録し記録結果29を出力し、通信制御回路28によって解析手段25に送信する。解析手段25は解析プログラム30と通信制御回路31を有し、解析プログラム30に従って記録手段24から受信した記録結果29を解析し解析結果32を通信制御回路31によって診断手段26に送信する。診断手段26は診断プログラム33と通信制御回路34を有し、診断プログラム33に従って解析手段25から受信した解析結果32を診断し診断結果35を通信制御回路34によってパーソナルコンピューター、タブレットコンピューターやスマートフォンなどの外部機器36に送信し外部機器の画面上に診断結果35を出力する。