JP7401862B2 - 建築物の損傷レベル推定システム - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 1.学会(2019年度日本建築学会大会学術講演会)発表 公開日 令和元年9月3日(火) 展示会名、開催場所 2019年度日本建築学会大会学術講演会 金沢工業大学 扇が丘キャンパス(石川県野々市市扇が丘7-1) 公開者 陳威中、鳥谷尾駿佑、長江拓也、梶原浩一、太田匡信、神崎喜和、鍾育霖 2.学会(1999年集集大地震20周年記念国際会議)発表 公開日 令和元年9月18日(水) 展示会名、開催場所 1999年集集大地震20周年記念国際会議 公務人力發展學院福華國際文教會館(台湾台北市大安區新生南路三段30號) 公開者 鳥谷尾駿佑、長江拓也、陳威中、梶原浩一、神崎喜和、鍾育霖
本発明は、例えば地震などの災害時に被害を受けた建築物の損傷レベルを推定する、建築物の損傷レベル推定システムに関する。
地震などの大規模災害が発生した際には、被災した建築物について、その後に発生する余震などによる倒壊の危険性や、外壁などの落下などの危険度を判定することが、二次的災害を防止するために重要である。このため、現在は、建築士の資格を有する専門家が、建築物の外観を1棟ずつ目視して、その危険度を判定し、判定結果を建築物に掲示して、居住者などに知らせている。
特開2008-309784号公報 特開2016-18665号公報 特開2016-18666号公報
しかしながら、専門家による判定は建築物を1棟ずつ目視により確認して行うため、時間がかかり、その後の復旧作業の開始にも影響することから、建築物の危険度判定の自動化が望まれる。すなわち、センサなどにより得られる各種情報から建築物の損傷レベルを推定する技術の実現が望まれる。
特開2008-309784号公報には、人工構造物に設置された2点間の相対変位を計測することができる変状原位置表示装置が記載されている。そこで、このような変状原位置表示装置を、建築物の躯体(骨組み)を構成する柱や梁などの建材に取り付けて、災害時に、建材の2点間の相対変位を計測して該建材の変形を測定することにより、建築物の損傷レベルを推定することが考えられる。
ただし、特開2008-309784号公報に記載の変状原位置表示装置は、予め設置した2点間を結ぶ直線方向に関する相対変位のみしか計測することができない。したがって、地震などの災害時に、建築物の損傷レベルを推定すべく、建材の多方向の変形を測定するためには、建材に多数の点を設置し、これら各点同士の間にそれぞれ、2点間の相対変位を計測する計測部を設ける必要がある。実際の施工現場において、躯体を組み立てた後、建材の多方向の変形を精度良く計測するために、多数の点を建材に設置する作業は面倒であり、コストが嵩む可能性がある。
なお、本発明に関連する技術として、特開2016-18665号公報および特開2016-18666号公報には、カーテンウォールやサッシなどを構成する方立や無目などの建材に組み込んで使用される、照明装置が記載されている。
本発明は、上述のような事情を鑑みて、建築物の損傷レベルを速やかに推定することができる、建築物の損傷レベル推定システムを実現することを目的としている。
本発明の建築物の損傷レベル推定システムは、ジャイロセンサと、損傷推定手段と、外部出力装置と、照明装置とを備える。
前記ジャイロセンサは、カーテンウォールを構成する、方立や無目などの建材に取り付けられている。なお、前記ジャイロセンサは、前記建築物の屋外側と屋内側とのいずれに取り付けても良い。
前記損傷推定手段は、前記ジャイロセンサの出力信号を含む入力情報に基づいて、前記建築物の損傷レベルを推定する。
前記外部出力装置は、前記損傷推定手段による推定結果を出力する。
前記照明装置は、1乃至複数個の発光ダイオードを有し、かつ、前記建材に取り付けられている。
また、前記照明装置は、通常時には、前記建築物の屋内および/もしくは屋外の明るさを確保するため、並びに/または空間を演出するための発光を行い、災害発生時には、前記損傷推定手段による推定結果に応じた発光を行う。
前記建材を、方立とすることができる。
本発明の技術的範囲からは外れるが、前記建材を、サッシ、および、シャッター装置やドア装置、引き戸装置、間仕切り装置などの開口部を開閉可能に閉塞する閉塞装置などとすることができる。
さらに、前記建材を、鉛直方向に伸長して配置された部材とすることが好ましい。すなわち、前記建材を、サッシ、ドア装置、引き戸装置、間仕切り装置を構成する縦枠および/もしくは方立としたり、シャッター装置を構成するガイドレールや中柱としたりすることが好ましい。
記照明装置は、前記損傷推定手段による推定結果に応じて、前記発光ダイオードの発光色を変化させることができる
本発明は、地震などの災害時に、建築物に外力が加わった場合、建築物のカーテンウォールは、該カーテンウォールが取り付けられた躯体(骨組み)とほぼ同じ動きをするといった、本発明者らの研究により得られた知見に基づいてなされたものであり、本発明の建築物の損傷レベル推定システムによれば、建築物の損傷レベルを速やかに推定することができる。
図1は、本発明の実施の形態の1例に係る建築物の損傷レベル推定システムを構成するジャイロセンサおよび照明装置が取付けられた、カーテンウォールを示す略斜視図である。 図2は、図1のX-X断面図である。 図3は、照明装置を取り出して示す斜視図である。 図4は、照明装置を取り出して示す端面図である。 図5は、本発明の実施の形態の1例に係る建築物の損傷レベル推定システムを示すブロック図である。 図6(A)は、方立と無目との接合部をピン接合とした解析モデルMを示す模式図であり、図6(B)は、方立と無目との接合部に回転方向に関する剛性を付与した解析モデルMを示す模式図である。
図1~図6は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の建築物の損傷レベル推定システムは、カーテンウォール1を構成する、建材である方立11に、該方立11の変形や変位に伴って出力を変化させるジャイロセンサ2を取り付けて、地震などの災害発生時に、ジャイロセンサ2の出力信号に基づいて、損傷推定手段であるデータ処理装置3により建築物の損傷レベルを推定し、さらにその推定結果に応じて外部出力装置4の表示を変更する。なお、カーテンウォール1は、図1に示すように、それぞれが鉛直方向に配置された複数本の方立11と、隣り合う左右の方立11同士の間にそれぞれ水平方向に配置された複数本の無目12と、方立11と無目12とにより四辺を囲まれた開口部に取り付けられたパネル13とを備える。
本例では、ジャイロセンサ2として、互いに直交する3方向の軸周りの角速度を検出するものを使用している。ただし、ジャイロセンサ2としては、3方向の軸周りの角速度を検出するものに限らず、角度や角加速度を検出するものを使用することもできる。何れにしても、ジャイロセンサ2は、カーテンウォール1を構成する方立11のうち、少なくとも1本の方立11の側面に、少なくとも1個取り付けられている。したがって、ジャイロセンサ2は、地震などの災害の発生に伴って、方立11が変形したり変位したりすると、出力信号を変化させる。
なお、ジャイロセンサ2を方立11に取り付ける方法については、特に問わず、例えば、ねじ止めや溶接、接着により固定することができる。
また、図示の例では、ジャイロセンサ2を、カーテンウォール1を構成する方立11のうち、1本の方立11の面外方向に関する片側面(建築物に取り付けた状態での屋内側の側面)の上下方向に離隔した複数箇所(図示の例では3箇所)に取り付けている。ただし、ジャイロセンサ2の個数および取付位置については、後述するように、データ処理装置3が建築物の損傷レベルを推定するのに十分な情報を得ることができる限り、特に限定されない。すなわち、ジャイロセンサ2を、カーテンウォールを構成する方立11のうち、すべての方立11に取り付けることもできるし、一部の方立11にのみ取り付けることもできる。また、ジャイロセンサ2を、方立11の面外方向に関する他側面(建築物に取り付けた状態での屋外側の側面)に取り付けることもできるし、方立11の面内方向に関する側面に取り付けることもできる。さらに、ジャイロセンサ2を、方立11の上下方向1箇所にのみ取り付けることもできる。何れにしても、ジャイロセンサ2の取付位置や個数は、データ処理装置3が建築物の損傷レベルを推定するのに十分な情報を得ることができるように、理論計算やシミュレーションなどにより設計的に定めることが好ましい。
データ処理装置3は、ジャイロセンサ2の出力信号に基づいて、カーテンウォール1が取り付けられた建築物の損傷レベルを推定する。本例では、データ処理装置3は、データロガー31と、信号処理部32と、損傷レベル推定部33とを備える。なお、データ処理装置3の設置箇所については、特に問わない。
データロガー31は、ジャイロセンサ2の出力信号を受信し、記録しておく機能を有する。なお、ジャイロセンサ2の出力信号をデータ処理装置3に伝送する手段については、特に限定されず、有線方式と無線方式との何れの方式を採用しても良い。
信号処理部32は、ジャイロセンサ2により検出し、データロガー31により受信した、方立11の角速度を表す信号を処理する。具体的には、例えば、信号処理部32は、方立11の傾斜角度を算出する。あるいは、信号処理部32は、方立11の角速度を表す信号に基づいて、カーテンウォール1の層間変位(=n階の床に対する(n+1)階の水平方向の変位)または層間変形角(=層間変位÷階高)を算出することもできる。この場合、例えば、カーテンウォール1をモデル化した解析モデルを用いて、カーテンウォール1の層間変位または層間変形角を算出する。すなわち、ジャイロセンサ2の出力信号を解析モデルに入力することで、カーテンウォール1の層間変位または層間変形角を算出する。
ただし、本発明を実施する場合、信号処理部32は、損傷レベル推定部33において建築物の損傷レベルの推定に用いることができる限り、方立11の傾斜角度、または、カーテンウォール1の層間変位若しくは層間変形角以外のパラメータを算出するように構成することもできる。
また、信号処理部32による方立11の傾斜角度、または、カーテンウォール1の層間変位若しくは層間変形角の算出には、ジャイロセンサ2の出力信号以外の情報を使用することもできる。具体的には、例えば、方立11に取り付けたひずみゲージ51や加速度センサ52、傾斜計56など、ジャイロセンサ以外のセンサの出力信号を、信号処理部32による方立11の傾斜角度、または、カーテンウォール1の層間変位若しくは層間変形角の算出に用いても良い。なお、図示の例では、ひずみゲージ51などからの信号を直接信号処理部32に入力しているが、一度データロガー31により受信、記録してから、信号処理部32に入力することもできる。
損傷レベル推定部33は、信号処理部32による算出結果に基づいて、建築物の損傷レベルを推定する。ただし、損傷レベル推定部33による建築物の損傷レベルの推定には、信号処理部32の算出結果以外の情報を使用することもできる。具体的には、例えば、方立11に取り付けたひずみゲージ51や加速度センサ52、傾斜計56など、ジャイロセンサ以外のセンサの出力信号、建築物の屋内や屋外の様子を撮影するカメラ53の映像もしくは画像、または/および、建築物もしくは近隣に設置された震度計54や風速計55などの出力信号などを、損傷レベル推定部33による建築物の損傷レベルの推定に用いることもできる。
何れにしても、損傷レベル推定部33は、予め理論計算やシミュレーションにより求めた、方立11の傾斜角度、または、カーテンウォール1の層間変位若しくは層間変形角などの信号処理部32による算出結果を含む入力情報と建築物の損傷レベルとの関係を表すマップや計算式を用いることにより、入力情報に基づいて建築物全体に関する損傷レベルを推定する。
外部出力装置4は、照明装置41と、該照明装置41の発光パターンを切り換える制御器42とを備える。
照明装置41は、方立11の長さ方向に伸長し、該方立11に沿って支持されて、方立11に沿って光を発する。なお、照明装置41の構造は、方立11に対する取付構造を含めて、特開2016-18665号公報および特開2016-18666号公報に記載の構造と同様であるから、以下、簡単に説明する。
本例の照明装置41は、長尺のプリント基板に、複数個の発光ダイオード(LED)を取り付けてなるLEDプレート41aを、断面H字形で、アルミニウム合金などの軽合金その他の材料による押出成形品である補強部材41bを介して、取付形材41cの保持部41c1に保持してなる。なお、LEDプレート41aから発せられた光は、取付形材41cの反射面41c2に反射されることにより、拡散されて柔らかな光となる。
本例では、方立11のうち、面外方向に関して屋内側に設けられた組込凹部11aの内側に取付形材41cを配置し、かつ、取付形材41cに設けられた1対の係合片41c3を、方立11に設けられた1対の係合受部11bに係合させることにより、照明装置41を方立11に支持している。照明装置41から発せられた光は、屋内側だけでなく、カーテンウォール1を構成する、ガラス製のパネル13を通して、屋外側(図2の上側)も照らす。換言すれば、照明装置41から発せられた光は、屋外側からも目視することができる。
本例では、LEDプレート41aに組み込む発光ダイオードとして、赤色、緑色および青色の発光素子(チップ)を搭載したマルチチップ方式のものを使用している。マルチチップ方式の発光ダイオードは、それぞれの色の発光素子の調合比率を変えることで、様々な発光色を表現することができ、赤色、緑色および青色の3色すべての発光素子を発光させることにより、白色光を得ることもできる。
制御器42は、照明装置41を、災害が発生する以前の通常時に、建築物の屋内および/もしくは屋外の明るさを確保するため、並びに/または空間を演出するため(イルミネーションのため)の発光を行う通常モードと、災害発生時に、データ処理装置3の損傷レベル推定部33から受信した、建築物の損傷レベルの推定結果に応じた発光を行う損傷レベル表示モードとを切り換える機能を有する。
通常モードでは、制御器42は、ユーザによるスイッチの操作に基づいて、照明装置41のオン/オフや、照明装置41が発する光の強さ(明るさ)を調整したり、管理者により予め設定されたプログラムなどに従って、照明装置41が発する光の色や点滅タイミングなどの発光パターンを切り換えて空間演出を行ったりする。
損傷レベル表示モードでは、制御器42は、データ処理装置3の損傷レベル推定部33から受信した、建築物の損傷レベルの推定結果に応じて、照明装置41の発光パターンを切り換える。本例では、制御器42は、建築物の損傷レベルの推定結果に応じて、照明装置41が発する光の色を切り換える。具体的には、例えば、建築物の損傷レベルの推定結果が、建築物に立ち入ることが危険であると判断されるレベルの場合には、制御器42は照明装置41に、赤色の光を発するよう指示する。これに対し、建築物の損傷レベルの推定結果が、建築物に立ち入る場合は十分注意が必要であると判断されるレベルの場合には、制御器42は照明装置41に、黄色の光を発するよう指示する。また、建築物の損傷レベルの推定結果が、建築物の被災程度が小さいと判断されるレベルの場合には、制御器42は照明装置41に、緑色の光を発するよう指示する。
なお、データ処理装置3の損傷レベル推定部33による建築物の損傷レベルの推定結果を、外部出力装置4の制御器42に伝送する手段については、特に限定されず、有線方式と無線方式との何れの方式を採用しても良い。あるいは、データ処理装置3の信号処理部32および損傷レベル推定部33と、外部出力装置4の制御器42とを、1つの演算器内に実装することもできる。
通常モードから損傷レベル表示モードへの切り換え、すなわち災害が発生したか否かの判定方法については、特に問わず、例えば、ひずみゲージ51や震度計54などの各種センサの出力信号、または、損傷レベル推定部33による建築物の損傷レベルの推定結果などに基づいて行うことができる。すなわち、例えば、制御器42は、ひずみゲージ51の出力信号が予め設定した閾値を超えた場合や、震度計54により観測された震度が予め設定した震度を超えた場合に、災害が発生したと判断して、照明装置41を通常モードから損傷レベル表示モードに切り換えるように構成することができる。または、制御器42は、損傷レベル推定部33による建築物の損傷レベルの推定結果が予め設定したレベルを超えた場合に、災害が発生したと判断して、照明装置41を通常モードから損傷レベル表示モードに切り換えるように構成しても良い。あるいは、災害が発生したか否かの判断をデータ処理装置3で行い、該データ処理装置3は、災害が発生したと判断した場合にのみ、建築物の損傷レベルの推定結果を外部出力装置4の制御器42に送信するように構成することもできる。この場合、制御器42は、建築物の損傷レベルの推定結果を受信したときは、速やかに照明装置41を通常モードから損傷レベル表示モードに切り換える。
なお、損傷レベル表示モードから通常モードへの切り換え(復旧)は、管理者によるリセット操作(制御器42へのリセット指示)などに基づいて行われる。
本例の建築物の損傷レベル推定システムが組み込まれた建築物が被災すると、カーテンウォール1の方立11が変形および/または変位することに伴って、ジャイロセンサ2の出力信号が変化する。データ処理装置3は、ジャイロセンサ2の出力信号に基づいて、カーテンウォール1の層間変位または層間変形角を算出し、さらに建築物の損傷レベルを推定する。外部出力装置4の制御器42は、照明装置41を通常モードから損傷レベル表示モードに切り換えて、データ処理装置3により推定された建築物の損傷レベルに応じて、照明装置41の発光色を切り換える。
本例の建築物の損傷レベル推定システムは、カーテンウォール1の方立11に取り付けたジャイロセンサ2の出力信号に基づいて、方立11の傾斜角度、または、カーテンウォール1の層間変位若しくは層間変形角を算出し、該方立11の傾斜角度、または、カーテンウォール1の層間変位若しくは層間変形角に基づいて、カーテンウォール1が取り付けられた建築物の損傷レベルを推定するようにしている。したがって、災害時に、建築物の損傷レベルを速やかに推定することができ、被災者が避難する際の目安としたり、復旧作業を速やかに開始したりすることができる。
特に本例では、方立11の変形や変位を測定するためのセンサとして、センサ設置箇所の互いに直交する3方向の軸回りの角速度を検出可能なジャイロセンサ2を使用している。このため、前述したように、2点間の相対変位を計測部により計測する特開2008-309784号公報に記載の変状原位置表示装置を使用して、建材の変形を測定して建築物の損傷レベルを推定する場合と比較して、センサの数を抑えることができ、コストを抑えることができる。
さらに、本例では、建築物の損傷レベルの推定に用いる入力情報を得るためのジャイロセンサ2を、建築物の躯体ではなく、カーテンウォール1の方立11に取り付けている。そして、ジャイロセンサ2の出力信号に基づいて方立11の傾斜角度、または、カーテンウォール1の層間変位若しくは層間変形角を算出し、さらに方立11の傾斜角度、または、カーテンウォール1の層間変位若しくは層間変形角に基づいて、建築物の損傷レベルを推定するようにしている。したがって、例えば、ジャイロセンサ2を方立11に予め取り付けておき、その後、カーテンウォール1を建築物の躯体に取り付けることができる。このように、ジャイロセンサ2の設置作業を容易化することができ、この面からもコストを抑えることができる。ただし、カーテンウォール1を建築物の躯体に取り付けた後で、ジャイロセンサ2を方立11に取り付けることもできる。
なお、信号処理部32によりカーテンウォール1の層間変位または層間変形角を求める場合、例えば、図6(A)に示すように、方立11と無目12との接合部をピン接合とみなした解析モデルMを用いて、ジャイロセンサ2の出力信号から、カーテンウォール1の層間変位または層間変形角を算出することができる。すなわち、カーテンウォール1では、方立11の傾倒による無目12の変形を抑制するため、方立11と無目12とは相対回転可能に接合される。このため、カーテンウォール1を設計する際には、計算を簡単にするため、図6(A)に示すように、方立11と無目12との接合部をピン接合とみなして設計を行う。このように、カーテンウォール1の設計に用いる解析モデルMを使用して、カーテンウォール1の層間変位または層間変形角を算出することができる。
あるいは、図6(B)に示すように、方立11と無目12との接合部に、回転方向に関する剛性を付与した(半剛接合とした)解析モデルMを用いて、カーテンウォール1の層間変位または層間変形角を求めることもできる。このような解析モデルMを用いることにより、カーテンウォール1の層間変位または層間変形角を、解析モデルMを使用した場合に比べてより精度良く求めることができる。なお、方立11と無目12との接合部に付与する回転方向に関する剛性kは、実験や計算により求めることができる。
また、本例の建築物の損傷レベル推定システムは、データ処理装置3による建築物の損傷レベルの推定結果に応じて、方立11に支持された照明装置41が発する光の色を切り換えるように構成されている。このため、建築物の屋外および屋内から、該建築物の損傷レベルを容易に確認することができて、被災者が避難する際の目安としたり、復旧作業を速やかに開始したりすることができる。
なお、本例では、データ処理装置3による建築物の損傷レベルの推定結果に応じて、照明装置41が発する光の色を、赤色、黄色および緑色の3段階に切り換えるようにしているが、2段階に切り換えたり、4段階以上に切り換えたりするように構成することもできる。または/および、建築物の損傷レベルの推定結果に応じて、照明装置41の点滅間隔を切り換えるように構成しても良い。または/および、天井に取り付けられたシーリングライトや壁面に取り付けられたブラケットライトなどの照明装置の発光パターン(発光色や点滅間隔など)を、建築物の損傷レベルの推定結果に応じて切り換えることもできる。あるいは、建築物の屋内や屋外に設置されたディスプレイや、予め登録したり近隣に存在したりする携帯端末などに、建築物の損傷レベルの推定結果を表示するように構成することもできる。
また、本例では、ジャイロセンサ2を、カーテンウォール1の方立11に取り付け、該方立11の傾斜角度を算出するようにしているが、ジャイロセンサ2を、カーテンウォール1を構成する無目12やパネル13に取り付けることもできる。換言すれば、無目12やパネル13を、被測定部材とすることもできる。
また、本例では、損傷レベル推定部33により、建築物全体に関する損傷レベルを推定するようにしている。ただし、本発明を実施する場合、建築物の部屋ごと、またはフロアごとなど、所定の区画ごとに、それぞれの損傷レベルを推定することもできる。この場合には、例えば、それぞれの区画を構成する部材に取り付けられた照明装置の発光パターンを、当該区画の損傷レベルの推定結果に応じて切り換えることが好ましい。これにより、それぞれの区画ごとの損傷レベルを容易に確認することができる。
また、本例では、ジャイロセンサ2を、カーテンウォール1を構成する方立11に取り付けているが、本発明を実施する場合、ジャイロセンサを、カーテンウォールを構成する縦枠、上枠、下枠(巾木)、無目および/またはパネルに取り付けることもできる。また、本発明の技術的範囲からは外れるが、ジャイロセンサを、建築物を構成するその他の建材に取り付けることもできる。具体的には、例えば、ジャイロセンサを、サッシを構成する建材(縦枠、方立、上枠、下枠(巾木)、無目および/またはパネル)に取り付けることができる。あるいは、ジャイロセンサを、シャッター装置やドア装置、引き戸装置、間仕切り装置などの開口部を開閉可能に閉塞する閉塞装置を構成する建材に取り付けることができる。ただし、地震などの災害の発生に伴って建築物に加わる外力による建築物の損傷レベルを推定する面からは、ジャイロセンサを、サッシ、ドア装置、引き戸装置、間仕切り装置を構成する縦枠および/もしくは方立、あるいは、シャッター装置を構成するガイドレールや中柱など、鉛直方向に伸長して配置された部材に取り付けることが好ましい。なお、ジャイロセンサは、屋外側と屋内側とのいずれに取り付けても良い。
1 カーテンウォール
11 方立
11a 組込凹部
11b 係合受部
12 無目
13 パネル
2 ジャイロセンサ
3 データ処理装置
31 データロガー
32 信号処理部
33 損傷レベル推定部
4 外部出力装置
41 照明装置
41a LEDプレート
41b 補強部材
41c 取付形材
41c1 保持部
41c2 反射面
41c3 係合片
42 制御器
51 ひずみゲージ
52 加速度センサ
53 カメラ
54 震度計
55 風速計
56 傾斜計

Claims (3)

  1. カーテンウォールを構成する建材に取り付けられたジャイロセンサと、
    前記ジャイロセンサの出力信号を含む入力情報に基づいて、前記建材を含む建築物の損傷レベルを推定する損傷推定手段と、
    前記損傷推定手段による推定結果を出力する外部出力装置と
    1乃至複数個の発光ダイオードを有し、かつ、前記建材に取り付けられた照明装置と、
    を備え、
    前記照明装置は、通常時には、前記建築物の屋内および/もしくは屋外の明るさを確保するため、並びに/または空間を演出するための発光を行い、災害発生時には、前記損傷推定手段による推定結果に応じた発光を行う、
    建築物の損傷レベル推定システム。
  2. 前記建材が、方立である、
    請求項1に記載の建築物の損傷レベル推定システム。
  3. 前記照明装置が、前記損傷推定手段による推定結果に応じて、前記発光ダイオードの発光色を変化させる、
    請求項1または2に記載の建築物の損傷レベル推定システム。
JP2020010501A 2019-01-29 2020-01-27 建築物の損傷レベル推定システム Active JP7401862B2 (ja)

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