以下、本発明を実施する形態の第一例を図示例と共に説明する。
第一例の免震装置は、図1に示す如く複数の柱1を備える構造物(図4参照)に配置されるものであり、鉄骨の柱1に固定した上側拘束部材5及び下側拘束部材6と、上側拘束部材5と下側拘束部材6の間に配置される免震柱7と、上側拘束部材5に接続される第一連結部材8と、下側拘束部材6に接続される第二連結部材9とを備えている。
構造物の柱1は、中途位置で分割されるように、上側柱部(上部鉄骨)1aの下端に上側部材としての水平フランジ1Aを備えていると共に、下側柱部(下部鉄骨)1bの上端に下側部材としての水平フランジ1Bを備えている。
前記水平フランジ1Aには上側拘束部材5が備えられており、前記上側拘束部材5は、水平フランジ1Aに溶接またはボルト締結により固定される板状の取付部5aと、取付部5aの両端から下方へ延在する水平拘束部5bと、水平拘束部5bの先端から横方向内側に向かうストッパ部5cとを備えている。また前記上側拘束部材5は、免震柱7の上端が水平フランジ1Aに対して水平方向へ移動しないように拘束してあり、更に免震柱7が傾斜した際に該免震柱7が倒れずに自重で元の位置に復帰できるよう限界傾斜角度位置より傾斜角度が小さい位置で免震柱7を拘束してある。
前記水平フランジ1Bには下側拘束部材6が備えられており、前記下側拘束部材6は、水平フランジ1Bに溶接またはボルト締結により固定される板状の取付部6aと、取付部6aの両端から上方へ延在する水平拘束部6bと、水平拘束部6bの先端から横方向内側に向かうストッパ部6cとを備えている。また前記下側拘束部材6は、免震柱7の下端が水平フランジ1Bに対して水平方向へ移動しないように拘束するようになっており、更に免震柱7が傾斜した際に該免震柱7が倒れずに自重で元の位置に復帰できるよう限界傾斜角度位置より傾斜角度が小さい位置で免震柱7を拘束するようにしてある。
前記免震柱7は、水平フランジ1Aと水平フランジ1Bとの間に、上側拘束部材5と下側拘束部材6とを介して傾斜自在に配設されている。前記免震柱7の上端(一端)には、上側拘束部材5に対応するように板状の上側張出部としてのフランジ10を配している。また前記免震柱7の下端(他端)には、下側拘束部材6に対応するように板状の下側張出部としてのフランジ11を配している。上側張出部としてのフランジ10は、フランジ10の左右方向の端縁から免震柱7の傾斜を許容するように上方内側へ向けて上り勾配の上側テーパ面10bを設けることにより上側中央面10aを形成している。また下側張出部としてのフランジ11は、フランジ11の左右方向の端縁から免震柱7の傾斜を許容するように下方内側へ向けて下り勾配の下側テーパ面11bを設けることにより下側中央面11aを形成している。これにより、フランジ10,11には、フランジ10及びフランジ11全面よりも小さい面積で上側拘束部材5の取付部5a及び下側拘束部材6の取付部6aに当接する上側中央面10a及び下側中央面11aが形成されている。ここで、前記柱1及び免震柱7は、水平断面が矩形形状を有する中空の角型鋼材であるが、該角型鋼材に限定されるものではなく、H型鋼材、I型鋼材、Z型鋼材、円筒型鋼材であっても良いし、他の材質の部材であっても良い。
前記第一連結部材8は、隣り合う二つの免震構造を相互に連結するように横方向へ延在する横方向延在部であり、一つの柱1の上側拘束部材5と、横方向で隣接する他の柱1の上側拘束部材5とを、所定の距離を介して向かい合う上側拘束部材5の対向面と他の上側拘束部材5の対向面で連結している。また第一連結部材8は、両端部に接続フランジ8aを備えて上側拘束部材5の水平拘束部5b外面にボルト締結等により固定されている。更に第一連結部材8は、図2に示すごとく四本を用いることにより、上方から見て、隣り合う四つの免震構造を連結している。更にまた第一連結部材8は、スライド可能な構造を備え、柱1同士の間隔が異なる場合にも対応できるようにすることが好ましい。ここで、第一連結部材8は、接続フランジ8aを備えることなく、図3に示すごとく両端部を上側拘束部材5の水平拘束部5b外面に直接溶接しても良い。また第一連結部材8を構成する横方向延在部は、隣り合う二つの免震構造を連結するロッド状の部材で定義されるものであり、材質は、隣り合う二つの免震構造を連結して免震時の荷重に耐えるものならば特に制限されるものではない。
前記第二連結部材9は、第一連結部材8と同様に、隣り合う二つの免震構造を相互に連結するように横方向へ延在すると共に前記第一連結部材8と並行になる横方向延在部であり、一つの柱1の下側拘束部材6と、横方向で隣接する他の柱1の下側拘束部材6とを、所定の距離を介して向かい合う下側拘束部材6の対向面と他の下側拘束部材6の対向面で連結している。また第二連結部材9は、前記第一連結部材8と同様に、両端部に接続フランジ9aを備えて下側拘束部材6の水平拘束部6b外面にボルト締結等により固定されている。更に第二連結部材9は、四本を用いることにより、上方から見て、隣り合う四つの免震構造を連結するようにしている(図2参照)。更にまた第二連結部材9は、スライド可能な構造を備え、柱1同士の間隔が異なる場合にも対応できるようにすることが好ましい。ここで、第二連結部材9は、第一連結部材8と同様に、接続フランジ9aを備えることなく、図3に示すごとく両端部を下側拘束部材6の水平拘束部6b外面に直接溶接しても良い。また第二連結部材9を構成する横方向延在部は、第一連結部材8と同様に、隣り合う二つの免震構造を連結するロッド状の部材で定義されるものであり、材質は、隣り合う二つの免震構造を連結して免震時の荷重に耐えるものならば特に制限されるものではない。
前記上側拘束部材5、前記下側拘束部材6、前記免震柱7、前記第一連結部材8、前記第二連結部材9は、免震構造を構成する一つのユニットUになっている。また前記上側拘束部材5、前記下側拘束部材6、前記免震柱7、前記第一連結部材8、前記第二連結部材9は、1つのユニットUとなった状態で運搬から柱1に組み付けるまでの間、免震柱7の傾斜を生じないように仮止具(図示せず)により固定されている。ここでユニットUは、少なくとも上側拘束部材5、下側拘束部材6、免震柱7、第一連結部材8、第二連結部材9を組み合わせ、一つの構成単位として定義されるものであり、ユニットUには他の部材を含んでも良い。また仮止具(図示せず)は、第一連結部材8と第二連結部材9を拘束するロッド等の固定部材やロープ等の紐状部材でも良いし、免震柱7と上側拘束部材5、免震柱7と下側拘束部材6をそれぞれ固定するフレーム状の固定部材でも良く、免震柱7の傾斜を生じないようにするならば他の構成でも良い。
次に、本発明の免震装置を適用する構造物の一例である立体倉庫を説明する。立体倉庫は、図4(a)及び図4(b)に示すごとく、複数の鋼鉄製の柱1と複数段の鋼鉄製の梁2を備えることにより複数のラック3(棚)が立体的に組み立てられた構成を有している。また立体倉庫100は、スタッカクレーン4を挟むように立設され、該スタッカクレーン4の走行方向に沿って延びる長さを有しており、スタッカクレーン4の走行方向と直交する方向には、格納される荷の大きさに対応した、前記長さと比較して短い幅を有している。前記立体倉庫100を構成する複数の柱1は、ラック3に格納される荷の重量を支持するために高い強度を有している。
そして、図4の立体倉庫100を構成する複数の柱1に、上側拘束部材5及び下側拘束部材6、免震柱7、第一連結部材8、第二連結部材9を備える免震構造を設け、それぞれの免震構造が、柱1の同一高さ位置になるようにしている。また前記免震構造は、上部の立体倉庫100全体がロッキングする挙動を発生させないために、上から1/3〜1/2程度の高さ位置に設置することが好ましい。このように、前記免震構造を立体倉庫100の中途位置に設置しても、免震の効果により、免震構造より上側の揺れが小さくなることで、結果的に免震構造より下側の構造物の揺れも小さくなることが本発明者等の研究により判明している。
ここで、第一例の免震装置において、上側拘束部材5、下側拘束部材6、免震柱7を変更した場合を他の例として図5に示す。他の例では、上側拘束部材12、下側拘束部材13、免震柱14について説明する。
他の例の上側拘束部材12は、上側部材の水平フランジ1Aに溶接またはボルト締結により固定される板状の取付部12aと、取付部12aの両端で内側から下方外側へ向かって傾斜する水平拘束部12bとを備えている。また前記上側拘束部材12は、免震柱14の上端が上側部材の水平フランジ1Aに対して水平方向へ移動しないように拘束するようになっており、更に免震柱14が傾斜した際に該免震柱14が倒れずに自重で元の位置に復帰できるよう限界傾斜角度位置より傾斜角度が小さい位置で免震柱14を拘束するようにしてある。
他の例の下側拘束部材13は、下側部材の水平フランジ1Bに溶接またはボルト締結により固定される板状の取付部13aと、取付部13aの両端で内側から上方外側へ向かって傾斜する水平拘束部13bとを備えている。また前記下側拘束部材13は、免震柱14の下端が下側部材の水平フランジ1Bに対して水平方向へ移動しないように拘束するようになっており、更に免震柱14が傾斜した際に該免震柱14が倒れずに自重で元の位置に復帰できるよう限界傾斜角度位置より傾斜角度が小さい位置で免震柱14を拘束するようにしてある。
前記免震柱14は、上側部材の水平フランジ1Aと下側部材の水平フランジ1Bとの間に、前記上側拘束部材12と前記下側拘束部材13とを介して傾斜自在に配設されている。前記免震柱14の上端には、上側拘束部材12に対応するように板状の上側張出部としてのフランジ15を配している。また前記免震柱14の下端には、下側拘束部材13に対応するように板状の下側張出部としてのフランジ16を配している。更に上側張出部としてのフランジ15は、上側拘束部材12の取付部12aに当接する段差状の上側中央面部15aを備えている。また下側張出部としてのフランジ16は、下側拘束部材13の取付部13aに当接する段差状の下側中央面部16aを備えている。ここで、前記免震柱14は、水平断面が矩形形状を有する中空の角型鋼材であるが、該角型鋼材に限定されるものではなく、H型鋼材、I型鋼材、Z型鋼材、円筒型鋼材であっても良い。また取付部12aと上側中央面部15aとの間、及び、取付部13aと下側中央面部16aとの間にはシート状の弾性材17を配置しても良い。シート状の弾性材17としては、ゴム等の弾性材料や、シリコン製ラバー等の発泡材料のように、金属と比較して体積変化の少ない非圧縮性材料を用いることができる。
次に、第一例の免震装置において、上側拘束部材5、下側拘束部材6、免震柱7を更に変更した場合を別の例として図6に示す。別の例では、他の例と同様な上側拘束部材12、下側拘束部材13、免震柱14を備え、更にストッパ手段18を設けている。
別の例は、上側拘束部材12の取付部12aと免震柱14のフランジ15の間、下側拘束部材13の取付部13aと免震柱14のフランジ16の間に、それぞれストッパ手段18を配置している。ストッパ手段18は、フランジ15の端縁の近傍と取付部12aとの間、フランジ16の端縁の近傍と取付部13aとの間を、ボルトとナットにより所要の遊びを有して締結している。また取付部12aの上面、取付部13aの下面には、ボルトを設置するための座ぐり12c,13cが設けてあり、座ぐり12c,13cによってボルトが突出しないようにしている。そして免震柱14が所定の角度で傾いた際には、フランジ15、フランジ16がナットに衝突してそれ以上の傾斜は制限されるようになっている。ストッパ手段18は、免震柱14の傾きを制限することができれば他の構成で良い。
ここで、他の例、別の例における前記上側拘束部材12、前記下側拘束部材13、前記免震柱14、前記第一連結部材8、前記第二連結部材9は、第一例と同様に、免震構造を構成する一つのユニットUになっている。
次に、第一例において立体倉庫に免震構造を配置する工程を説明する。
免震構造を立体倉庫100に組み付ける際には、立体倉庫100の構成と別に、第一例に示す免震構造を予め組み立てて準備する。具体的には、上側拘束部材5、下側拘束部材6、免震柱7、第一連結部材8、第二連結部材9を一つのユニットUにすると共に仮止具により固定し、運搬を可能にする。そして立体倉庫100を構成する際には、複数の柱1の部材を下部から順に積み上げて下側柱部1b(図1参照)を配置した後、免震柱7、第一連結部材8、第二連結部材9等のユニットUを下側柱部1bの上部に持ち上げて組み付け、更に上方へ複数の柱1の部材を順に積み上げて上側柱部1a(図1参照)を配置し、立体倉庫100を完成させる。また複数の柱1の部材を順に積み上げて下側柱部1bを配置した際に、各柱1の高さに製作精度の誤差等による段差を生じた場合には、免震柱7、第一連結部材8、第二連結部材9等のユニットUを組み付けると共に、図7に示すごとく、水平フランジ1Bと下側拘束部材6の間に位置するようにスペーサ(シム)S等の部材を配置して各柱の段差を調整する。そして立体倉庫100を完成させた後には、仮止具を取り外し、免震柱7の傾斜を可能にする。ここで、従来から存在する立体倉庫の場合には、上方の柱1と下方の柱1とを接続する水平フランジ1A,1Bを外し、水平フランジ1A,1Bの間に、免震柱7、第一連結部材8、第二連結部材9等のユニットUを組み付けることも可能となっている。またスペーサ(シム)S等の部材は、段差の隙間に対応するならば、板状やシート状の部材に限定されるものでなく、他の形状の構造物でも良い。更に各柱1の段差の状態によっては、スペーサ(シム)S等の部材を水平フランジ1Aと上側拘束部材5の間に配置しても良い。
続いて、第一例の作用を説明する。
地震が発生していない平常時には、図1に示す如く、免震柱7は鉛直に保持され、免震柱7の上側の柱1に掛かる荷重は、水平フランジ1A及び上側拘束部材5の取付部5aから、フランジ10及びフランジ11が設けられた免震柱7と、下側拘束部材6の取付部6a及び水平フランジ1Bとを介して下側の柱1に伝達される。
中小規模の地震の発生によって、柱1に水平方向の比較的小さい加速度の揺れが発生した場合には、柱1に掛る荷重によって、前記水平フランジ1A,1Bに対し免震柱7のフランジ10,11は上側拘束部材5及び下側拘束部材6を介して圧着され、免震柱7は鉛直に保持される。同時に、免震柱7のフランジ10,11の外周を取り囲む上側拘束部材5及び下側拘束部材6により、免震柱7が水平方向へ移動することは防止される。
大規模な地震の発生によって、水平方向へ大きな加速度の揺れが発生した場合には、上側の柱1が慣性によりその場にとどまろうとするのに対し、下側の柱1は水平方向へ相対移動した状態となる。このとき、免震柱7のフランジ11は、下側拘束部材6に当接して水平方向へ移動することができず、上側中央面10aと上側テーパ面10bとの境界となる部分の辺と、下側中央面11aと下側テーパ面11bとの境界となる部分の辺とを支点として傾きを開始する。そして、免震柱7のフランジ10,11がストッパ部5c,6cに接触し、免震柱7が倒れることなく、元の位置に復帰可能となる。ここで、免震柱7は、フランジ10,11がストッパ部5c,6cに接触するまでの範囲内ならば、元の位置に復帰可能であり、免震柱7が過大に傾斜しようとしても、前記ストッパ部5c,6cにより、免震柱7が限界傾斜角度位置を超えて傾斜することが阻止される。
このように、第一例では、各柱1の高さに段差を生じる場合であっても、免震柱7、第一連結部材8、第二連結部材9等を組み付けると共に、段差の隙間に対応するスペーサ(シム)S等の部材を配置するので、柱1の段差を簡易に調整することができる。また第一例では、免震構造を、第一連結部材8及び第二連結部材9により一体化するので、段差の調整作業や免震構造の組付作業を高所で行う場合であっても、手間と時間を抑制し、設備コストを低減することができる。更に免震構造は、中小規模の地震や大規模の地震であっても、構造物に作用する揺れを適切に吸収することができる。ここで他の例、別の例であっても第一例と同様な作用効果を得ることができる。
第一例において、第一連結部材8と第二連結部材9の少なくとも一つは、横方向延在部で形成されると、隣り合う上側拘束部材5と他の上側拘束部材5、隣り合う下側拘束部材6と他の下側拘束部材6の少なくとも一つを一体化し得るので、段差の隙間に対応するスペーサ(シム)S等の部材を容易に配置し、柱1の段差を適切に調整することができる。また第一例において、隣り合う上側拘束部材5と他の上側拘束部材5、隣り合う下側拘束部材6と他の下側拘束部材6を簡易に連結して複数の免震構造を一体化するので、段差の調整作業や免震構造の組付作業を高所で行う場合であっても、手間と時間を抑制し、設備コストを低減することができる。なお他の例、別の例であっても第一例と同様な作用効果を得ることができる。
第一例において、上側拘束部材5、下側拘束部材6、免震柱7、第一連結部材8、第二連結部材9により一つのユニットUが構成されると、柱1に組み付ける免震構造として汎用化し得ると共に上側拘束部材5、下側拘束部材6、免震柱7等を一体化し得るので、段差の隙間に対応するスペーサ(シム)S等の部材を容易に配置し、柱1の段差を一層適切に調整することができる。また第一例において、上側拘束部材5、下側拘束部材6、免震柱7、第一連結部材8、第二連結部材9によりユニットUが構成される場合には、段差の調整作業や免震構造の組付作業を高所で行う場合であっても、手間と時間を抑制し、設備コストを低減することができる。なお他の例、別の例であっても第一例と同様な作用効果を得ることができる。
以下、本発明を実施する形態の第二例を図示例と共に説明する。
第二例の免震装置は、第一例の第一連結部材8、第二連結部材9を変更したものであり、他の部分は、第一例と同じである。
図8に示すごとく第二例の第一連結部材19は、隣り合う二つの免震構造を相互に連結するように横方向へ延在する縦板の横方向延在部であり、一つの柱1の上側拘束部材5(図1参照)と、水平方向で隣接する他の柱1の上側拘束部材5とを、上側拘束部材5の外側面と他の上側拘束部材5の外側面で相互に連結している。また第一連結部材19は、両端部の面を上側拘束部材5の水平拘束部5b外面にボルト締結や溶接等により固定されている。更に第一連結部材19は、図9に示すごとく四枚を組み合わせることにより、上方から見て、隣り合う四つの免震構造を連結するようにしている。更にまた第一連結部材19は、スライド可能な構造を備え、柱1同士の間隔が異なる場合にも対応できるようにすることが好ましい。ここで、第一連結部材19を構成する横方向延在部は、隣り合う二つの免震構造を連結する板状の部材で定義されるものであり、断面が上下方向に長い長方形になっている。また第一連結部材19を構成する横方向延在部の材質は、隣り合う二つの免震構造を連結して免震時の荷重に耐えるものならば特に制限されるものではない。
第二例の第二連結部材20は、第一連結部材19と同様に、隣り合う二つの免震構造を相互に連結するように横方向へ延在すると共に第一連結部材19と平行である縦板の横方向延在部であり、一つの柱1の下側拘束部材6(図1参照)と、水平方向で隣接する他の柱1の下側拘束部材6とを、下側拘束部材6の外側面と他の下側拘束部材6の外側面で相互に連結している。また第二連結部材20は、両端部の面を下側拘束部材6の水平拘束部6b外面にボルト締結や溶接等により固定されている。更に第二連結部材20は、四枚を組み合わせることにより、上方から見て、隣り合う四つの免震構造を連結するようにしている(図9参照)。更にまた第二連結部材20は、スライド可能な構造を備え、柱1同士の間隔が異なる場合にも対応できるようにすることが好ましい。ここで、第二連結部材20を構成する横方向延在部は、第一連結部材19と同様に、隣り合う二つの免震構造を連結する板状の部材で定義されるものであり、断面が上下方向に長い長方形になっている。また第二連結部材20を構成する横方向延在部の材質は、隣り合う二つの免震構造を連結して免震時の荷重に耐えるものならば材質は特に制限されるものではない。また第一連結部材19と第二連結部材20は、いずれか一方を横方向延在部とし、他の一方を異なる構成としても良い。更に免震構造は、第一例と同様に免震柱が傾斜して免震し得るならば特に制限されるものではない。
第二例においては、第一例と同様に、上側拘束部材5、下側拘束部材6、免震柱7、第一連結部材19、第二連結部材20によりユニットUを構成する。またユニットUを下側柱部1bと上側柱部1a(図1参照)の間に配置し、立体倉庫100(図4参照)を構成する。そして免震構造は、地震が発生していない平常時、中小規模の地震の発生時、大規模な地震の発生時に同じように作用する。そして第二例では、第一例と同様な作用効果を得ることができる。
以下、本発明を実施する形態の第三例を図示例と共に説明する。
第三例の免震装置は、第一例の第一連結部材8、第二連結部材9を変更したものであり、他の部分は、第一例と同じである。
図10、図11に示すごとく第三例の第一連結部材21は、隣り合う四つの免震構造を連結するように側方から見て横方向へ平面で延在する水平板の平面方向延在部であり、横方向で隣接する四つの柱1の上側拘束部材5を平面方向延在部の上面側で連結している。また第一連結部材21は、四隅をそれぞれ上側部材の水平フランジ1Aと上側拘束部材5の取付部5aで挟み込まれると共にボルト締結や溶接等により固定されている。ここで、第一連結部材21を構成する平面方向延在部は、少なくとも二つの免震構造を連結する水平板の部材で定義されるものであり、断面が横方向に長い長方形になっている。また第一連結部材21を構成する平面方向延在部の材質は、少なくとも二つの免震構造を連結して免震時の荷重に耐えるものならば材質は特に制限されるものではない。
第三例の第二連結部材22は、隣り合う四つの免震構造を連結するように側方から見て横方向へ平面で延在すると共に第一連結部材21と平行である水平板の平面方向延在部であり、横方向で隣接する四つの柱1の下側拘束部材6とを下面側で連結している。また第二連結部材22は、四隅をそれぞれ下側部材の水平フランジ1Bと下側拘束部材6の取付部6aで挟み込まれると共にボルト締結や溶接等により固定されている。ここで、第二連結部材22を構成する平面方向延在部は、少なくとも二つの免震構造を連結する水平板の部材で定義されるものであり、断面が横方向に長い長方形になっている。また第二連結部材22を構成する平面方向延在部の材質は、少なくとも二つの免震構造を連結して免震時の荷重に耐えるものならば材質は特に制限されるものではない。また第一連結部材21と第二連結部材22は、いずれか一方を平面方向延在部にし、他の一方を異なる構成としても良い。更に免震構造は、第一例と同様に免震柱が傾斜して免震し得るならば特に制限されるものではない。
第三例においては、第一例と同様に、上側拘束部材5、下側拘束部材6、免震柱7、第一連結部材21、第二連結部材22によりユニットUを構成する。またユニットUを下側柱部1bと上側柱部1a(図1参照)の間に配置し、立体倉庫100(図4参照)を構成する。そして免震構造は、地震が発生していない平常時、中小規模の地震の発生時、大規模な地震の発生時に同じように作用する。
このように、第三例では、第一例と同様な作用効果を得ることができる。また第三例において、第一連結部材21と第二連結部材22の少なくとも一つは、平面方向延在部で形成されると、隣り合う四つの上側拘束部材5、隣り合う四つの下側拘束部材6の少なくとも一方を一体化し得るので、段差の隙間に対応するスペーサ(シム)S等の部材を容易に配置し、柱1の段差を適切に調整することができる。また第三例において、隣り合う四つの上側拘束部材5、隣り合う四つの下側拘束部材6の少なくとも一方を安定的に連結して一体化するので、段差の調整作業や免震構造の組付作業を高所で行う場合であっても、手間と時間を抑制し、設備コストを低減することができる。
以下、本発明を実施する形態の第四例を図示例と共に説明する。
第四例の免震装置は、第一例の第一連結部材8、第二連結部材9を変更したものであり、他の部分は、第一例と同じである。
図12に示すごとく第四例の第一連結部材23は、隣り合う二つの免震構造を連結するように側方から見て横方向へ平面で延在する水平板の平面方向延在部であり、一つの柱1の上側拘束部材5と、横方向で隣接する他の柱1の上側拘束部材5とを平面方向延在部の上面側で連結している。また第一連結部材23は、上方向から見て両端部を斜めに切り欠いた形状であり、外側が内側よりも長くなる台形となっている。更に、第一連結部材23は、四本を水平面で組み合わせて用いることにより、上方から見て、隣り合う四つの免震構造を連結するようにしている。更にまた、第一連結部材23は、上側部材の水平フランジ1Aと上側拘束部材5の取付部5a(図9参照)で挟み込まれると共にボルト締結や溶接等により固定されている。ここで、第一連結部材23を構成する平面方向延在部は、少なくとも二つの免震構造を連結する水平板の部材で定義されるものであり、断面が横方向に長い長方形になっている。また第一連結部材23を構成する平面方向延在部の材質は、少なくとも二つの免震構造を連結して免震時の荷重に耐えるものならば特に制限されるものではない。
また第四例の第二連結部材(図示せず)は、隣り合う免震構造を連結するように側方から見て横方向へ平面で延在すると共に第一連結部材23と平行である水平板の平面方向延在部であり、一つの柱1の前記下側拘束部材6と、水平方向で隣接する他の柱1の下側拘束部材6とを平面方向延在部の下面側で連結している(図10参照)。また第二連結部材は、第一連結部材23と同様に、上方向から見て両端部を斜めに切り欠いた形状であり、外側が内側よりも長くなる台形となっている。更に、第二連結部材は、四本を水平面で組み合わせて用いることにより、上から見て、隣り合う四つの免震構造を連結するようにしている。更にまた、第二連結部材は、下側部材の水平フランジ1Bと下側拘束部材6の取付部6aで挟み込まれると共にボルト締結や溶接等により固定されている。ここで、第四例の第二連結部材(図示せず)を構成する平面方向延在部は、少なくとも二つの免震構造を連結する水平板の部材で定義されるものであり、断面が横方向に長い長方形になっている。また第二連結部材(図示せず)を構成する平面方向延在部の材質は、少なくとも二つの免震構造を連結して免震時の荷重に耐えるものならば材質は特に制限されるものではない。また第一連結部材23と第二連結部材(図示せず)は、いずれか一方を平面方向延在部にし、他の一方を異なる構成としても良い。更に免震構造は、第一例と同様に免震柱が傾斜して免震し得るならば特に制限されるものではない。
第四例においては、第一例と同様に、上側拘束部材5、下側拘束部材6、免震柱7、第一連結部材23、第二連結部材(図示せず)によりユニットUを構成する。またユニットUを下側柱部1bと上側柱部1a(図1参照)の間に配置し、立体倉庫100(図4参照)を構成する。そして免震構造は、地震が発生していない平常時、中小規模の地震の発生時、大規模な地震の発生時に同じように作用する。そして第四例では、第三例と同様な作用効果を得ることができる。
尚、本発明の免震装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。