JP2017159764A - Twip鋼製自動車用構成部品及びtwip鋼製自動車用構成部品の製造方法 - Google Patents

Twip鋼製自動車用構成部品及びtwip鋼製自動車用構成部品の製造方法 Download PDF

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雅俊 萩田
Masatoshi Hagita
雅俊 萩田
松井 淳
Atsushi Matsui
淳 松井
山本 祐治
Yuji Yamamoto
祐治 山本
高橋 雅也
Masaya Takahashi
雅也 高橋
健貴 川村
Taketaka Kawamura
健貴 川村
直希 後藤
Naoki Goto
直希 後藤
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Abstract

【課題】少ない成形工程数により製造可能でありながら、隣接する他の金属製部品との摺接に対する耐摩耗性及び他の金属製部品との衝突に対する剛性を大きくすることが可能な自動車用構成部品を提供すること。
【解決手段】金属製の摺動部品27が摺動可能に接触する摺接面24を有するTWIP鋼製の自動車用の構成部品21であって、前記摺接面が塑性変形部により構成される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、TWIP鋼(Twinning Induced Plasticity鋼)を利用して製造されかつ他の金属製部品に対して摺動動作を行うTWIP鋼製自動車用構成部品及びTWIP鋼製自動車用構成部品の製造方法に関する。
特許文献1は車両用のシートリクライニング装置の従来技術を開示している。
このシートリクライニング装置は、シートクッション側フレームに固定されたベースプレート(第1ブラケット)と、シートバック側フレームに固定された、内周面に環状の内歯を有するラチェットプレート(第2ブラケット)と、ベースプレートとラチェットプレートの回転中心軸(ヒンジピン)と、ベースプレートに回転中心軸の半径方向にのみ相対移動可能として支持された3つのロック部材と、回転中心軸と一緒に回転する回転カム(カム部材)と、回転カムを回転付勢するロックスプリング(渦巻きばね)と、を具備している。
ベースプレート、ラチェットプレート、回転中心軸、及びロック部材、はいずれも金属製である。
ベースプレートのラチェットプレートとの対向面には、周方向に等角度間隔で3つの溝形成用突部が形成されている。そして、隣接する2つの溝形成用突部の間には、ベースプレートの中心側から外周側に向かって延びる3本の案内溝がそれぞれ形成されている。各溝形成用突部の両側面(各案内溝の内面)には、各案内溝の幅方向に互いに対向する一対の案内面が形成されている。
ラチェットプレートの内周面には内歯が形成されている。
各ロック部材の外周部には外歯が形成されている。各ロック部材は対応する案内溝にそれぞれ設けられている。各ロック部材は、外歯がラチェットプレートの内歯と噛合する噛合位置と、内歯から内周側に離間する非噛合位置との間を、ベースプレートの各案内溝に沿って相対移動可能である。換言すると、各ロック部材の両側面は、各溝形成用突部(案内溝)の一対の案内面に対して摺動可能である。
回転カムは、ロック部材を噛合位置に位置させるロック位置と非噛合位置に位置させるアンロック位置との間を回転可能である。
ロックスプリングは、回転カムをロック位置側に回転付勢している。
回転中心軸と連係する操作レバーを回転操作しないときは、ロックスプリングの回転付勢力によって回転カムがロック位置へ回転するので、各ロック部材が噛合位置へ移動する。従って、各ロック部材の外歯がラチェットプレートの内歯と噛合するので、シートリクライニング装置はロック状態となり、その結果、シートバック側フレーム(シートバック)がシートクッション側フレーム(シートクッション)に対して回転不能となる。
一方、ロックスプリングの回転付勢力に抗して操作レバーを回転操作すると、回転カムがアンロック位置に移動する。すると噛合位置に位置していた各ロック部材が非噛合位置側へ移動する。従って、各ロック部材の外歯がラチェットプレートの内歯から離間するので、シートリクライニング装置はアンロック状態となる。その結果、シートバック側フレーム(シートバック)がシートクッション側フレーム(シートクッション)に対して回転可能(角度調節可能)になる。
特許第5673571号公報
(発明が解決しようとする課題)
上記のように、各ロック部材の両側面は、ベースプレートの各溝形成用突部(案内溝)の一対の案内面に対して摺動する。そのため、ロック部材が噛合位置と非噛合位置との間を繰り返し移動すると、ロック部材の両側面によって各溝形成用突部の一対の案内面が大きく摩耗するおそれがある。仮に一対の案内面が大きく摩耗すると、一対の案内面とロック部材の両側面との間に過剰に大きな隙間が形成されるため、ロック部材がベースプレートに対してスライドするときにがたつくおそれがある。そのため、ベースプレートの各溝形成用突部の各案内面には、ある程度の大きさの耐摩耗性が要求される。
さらに、例えば、シートリクライニング装置がロック状態にある場合に、シートリクライニング装置を搭載した車両に対して別の車両が後方から衝突すると、シートバックが勢いよく後方へ回転しようとする。すると、シートバック側フレームに固定されたラチェットプレート、及び、外歯がラチェットプレートの内歯と噛合している各ロック部材が、ベースプレートに対して微小量だけ勢いよく相対回転する。その結果、各ロック部材の側面が対応する溝形成用突部の一方の案内面に対して勢いよく衝突し、各ロック部材と各溝形成用突部との間で衝突荷重が発生する。仮に各溝形成用突部(一対の案内面)の衝突荷重に対する剛性が低い場合は、溝形成用突部が大きく弾性変形し、シートに着座する乗員の負荷が大きくなるおそれがある。また、このような衝突によって溝形成用突部(案内面)が塑性変形を起こし、その結果、溝形成用突部とロック部材の両側面との間に過剰に大きな隙間が形成されるおそれがある。仮に、大きな隙間が形成されると、その後のシートリクライニング装置の動作が不円滑になってしまう。従って、ベースプレートの各溝形成用突部(案内溝)の案内面には、ある程度の大きさの剛性が要求される。
そのため金属によりベースプレートを成形する場合は、例えば金属板からベースプレートをプレス成形した後に、ベースプレートの表面に焼き入れを行い、各溝形成用突部の表面硬度を高める必要がある。
しかし焼き入れを行うとベースプレートが熱歪みを起こすため、隣接する溝形成用突部どうしの間隔(各案内溝の幅)がプレス成形直後の大きさである設計寸法よりも過剰に大きくなったり、過剰に小さくなったりする。仮に設計寸法より過剰に大きくなった場合は一対の案内面とロック部材の両側面との間に過剰に大きな隙間が形成されるため、ロック部材がベースプレートに対してスライドするときにがたつくおそれがある。一方、仮に設計寸法より過剰に小さくなった場合は、ロック部材が対応する案内溝内を移動不能になったり、ロック部材を案内溝に装着できなくなったりするおそれがある。
そのためベースプレートに対して焼き入れを行う場合は、その後に再度ベースプレートに対してプレス加工等を行うことにより隣接する溝形成用突部どうしの間隔(各案内溝の幅)を、所定の設計寸法公差内の形状に修正する必要がある。
しかし、このようにプレス成形した後に焼き入れ及び再度のプレス成形を行うと、ベースプレートの成形工程数が多くなる。そのため、ベースプレートの製造コストが高くなるおそれがある。
本発明は、少ない成形工程数により製造可能でありながら、隣接する他の金属製部品との摺接に対する耐摩耗性及び他の金属製部品との衝突に対する剛性を大きくすることが可能な自動車用構成部品を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、金属製の摺動部品が摺動可能に接触する摺接面を有するTWIP鋼製の自動車用の構成部品であって、前記摺接面が塑性変形部により構成されるのがよい。
本発明のTWIP鋼製自動車用構成部品は、TWIP鋼に対して塑性変形を伴った加工を施すことにより製造される。
TWIPの一部を塑性変形を伴いながら加工すると、当該一部に加工硬化が発生する。そのため、当該一部である塑性変形部(摺接面)の硬度が、TWIP鋼の加工前と比べて大幅に上昇する。
そのため、TWIP鋼製自動車用構成部品の塑性変形部(摺接面)は、隣接する他の金属製部品(摺動部品)との摺接に対する耐摩耗性及び他の金属製部品との衝突に対する剛性が大きい。
しかも、TWIP鋼製自動車用構成部品に対して焼き入れを行わなくても、塑性変形部(摺接面)の硬度は大きくなる。そのため、塑性変形部(摺接面)の加工後にTWIP鋼製自動車用構成部品に対して焼き入れを行う必要がない。従って、焼き入れに伴う熱歪みによって、TWIP鋼製自動車用構成部品の各部の寸法が設計寸法から大きくずれることがない。そのため、再度のプレス加工等によって、TWIP鋼製自動車用構成部品の一部(例えば、塑性変形部)の形状を微調整する必要がない。従って、本発明のTWIP鋼製自動車用構成部品は少ない成形工程数により製造可能である。
前記構成部品が、シートクッション側フレームとシートバック側フレームの一方の部材に固定されるベースプレートであり、前記摺動部品が、前記ベースプレートの径方向に延びるように該ベースプレートに形成された案内溝の内面である前記摺接面によって摺動可能に支持されかつ外周部に外歯を有するロック部材であり、前記シートクッション側フレームと前記シートバック側フレームの他方の部材に固定されかつ内周面に内歯を有するラチェットプレートを、前記ベースプレートに対して相対回転可能に対向させた場合に、前記ロック部材の前記外歯が前記ラチェットプレートの前記内歯と噛合したときに、前記ベースプレートと前記ラチェットプレートの相対回転が規制されてもよい。
前記構成部品が、シートを支持するアッパレール、及び、該アッパレールの一部がスライド自在に挿入されるロアレールの少なくとも一方であり、前記摺動部品が、前記ロアレールの内面に形成された前記摺接面及び/又は前記アッパレールの外面に形成された前記摺接面に対して回転可能かつ摺動可能に接触する金属製のボールであってもよい。
本発明は、金属製の摺動部品が摺動可能に接触する摺接面を有する自動車用の構成部品の製造方法であって、前記摺接面が塑性変形部により構成されるように、TWIP鋼を加工して前記構成部品を成形するステップを有するのがよい。
前記構成部品を成形するステップが、前記TWIP鋼をプレス成形又はロール成形するステップであってもよい。
前記構成部品をプレス成形するステップが、前記TWIP鋼をファインブランキングプレス成形するステップであってもよい。
本発明の一実施形態である車両用シートの側面図である。 リクライニング装置の側面図である。 リクライニング装置の分解斜視図である。 ロック状態にあるリクライニング装置の断面図である。 アンロック状態にあるリクライニング装置の断面図である。 図2のVI−VI矢線に沿う断面図である。 ベースプレートの一部の拡大断面図である。 ベースプレートを成形するためのプレス成形機の初期状態の断面図である。 図8の状態から母材固定部を下方へ移動させたときの図8と同様の断面図である。 図9の状態から上側可動型を下方へ移動させたときの図8と同様の断面図である。 スライドレールの断面図である。 図7に示すベースプレートの点A乃至Fの硬度を表したグラフである。 比較例のベースプレートの点A乃至Fに対応する各点の硬度を表したグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
図1に示す車両用シート10は車内に設けられた前側の座席(運転席又は助手席)を構成するものである。車両用シート10は、左右一対のスライドレール60を介して車両の車内床面Fに支持されるシートクッション11と、シートクッション11の後部に対して回転可能なシートバック12と、を備えている。シートクッション11の内部には左右一対の金属からなるシートクッションフレームが固定されている。このシートクッションフレームは前後方向に延びる板状部材である。シートバック12の内部には左右一対の金属からなるシートバック側フレームが設けられている。シートバック側フレームはシートバック12の長手方向に延びる板状部材である。
左右のシートクッションフレームの後部は、上方に向かって延びておりかつシートバック12の内部空間に進入している。左右のシートクッションフレームの後部の間に左右のシートバック側フレームが位置し、左右のシートクッションフレームの後部と左右のシートバック側フレームとがそれぞれ左右方向(車幅方向)に対向している。
車両用シート10の左右の一方(車内側)のシートクッションフレームの後部と左右の一方(車内側)のシートバック側フレームとは、図示を省略した回転接続軸によって回転可能に接続されている。
一方、左右の他方(車外側)のシートクッションフレームの後部と左右の他方(車外側)のシートバック側フレームとの間には、両者を左右方向の軸回りに回転可能に接続するリクライニング装置20が設けられている。
シートバック12(シートバック側フレーム)はシートクッション11(シートクッションフレーム)に対して、当該回転接続軸及びリクライニング装置20を中心に回転可能である。具体的には図1に示した初期位置より前方に位置する前傾位置(図示略)と、初期位置より後方に位置する後傾位置(図示略)と、の間を回転可能である。
続いてリクライニング装置20の詳しい構造について説明する。
図2乃至図7に示すように、リクライニング装置20は大きな構成要素としてベースプレート21、ロック部材27(ポール)、回転カム31、回転中心軸36、ラチェットプレート39、押えリング45、ロックスプリング49、及び、スプリングカバー51を具備している。
金属製の円盤部材であるベースプレート21はプレス成形品である。ベースプレート21を構成する金属はTWIP鋼である。ベースプレート21の中心部には断面円形の中央貫通孔22が貫通孔として形成されている。ベースプレート21の一方の側面には中央貫通孔22を中心とする周方向に120°間隔で並んだ3つの溝形成用突部23が突設されている。ベースプレート21の他方の側面には、各溝形成用突部23の裏側に位置する3つの対応凹部23aが設けられている。溝形成用突部23は、プレス成形時にベースプレート21の他方の側面を成形型によって一方の側面側に押圧することにより形成されたものである。各溝形成用突部23の周方向の両側面は平面からなる案内面24(摺接面)(塑性変形部)となっている。隣り合う溝形成用突部23の互いに平行をなす案内面24(対向面)の間には、ベースプレート21の径方向に延びる3つの案内溝25が形成されている。さらに各案内溝25の底面には略矩形の凹部26が形成されている。
ベースプレート21の各案内溝25にはロック部材27(摺動部品)がそれぞれ配設されている。
3つのロック部材27は金属製のプレス成形品であり、その厚みは案内溝25の深さと略同一である。ロック部材27は、摺接部27aと、摺接部27aとの間に段差を形成しかつ摺接部27aに接続する段差部27bと、を有している。各ロック部材27の段差部27bにはカム溝28が形成されている。さらにロック部材27の摺接部27aの円弧状をなす外周面には外歯29が形成されている。
ロック部材27は図4乃至図6に示した態様で各案内溝25に配設されている。ロック部材27の摺接部27aの一方の側面は、対応する案内溝25の平面からなる底面に対してスライド可能に接触している。
回転カム31は金属製のプレス成形品であり、その厚みは案内溝25の深さと略同一である。図3に示すように(図4、図5では図示略)回転カム31のベースプレート21と反対側面には、周方向に等角度間隔で3本のロック解除突起32が突設されている。3本のロック解除突起32は同一仕様の円柱形状である。回転カム31の中心部には円の対向する2カ所を直線的に切り落とした非円形形状の非円形孔33が貫通孔として形成されている。回転カム31の外周面には6つの押圧突部34が、周方向に等角度間隔で突設されている。
回転カム31は、各ロック解除突起32を各ロック部材27のカム溝28に相対移動可能に係合させながら、ベースプレート21の前記一方の側面の中央部と3つのロック部材27の段差部27bと間に形成された空間に配設されている。
金属製の回転中心軸36は車両の幅方向に直線的に延びている。回転中心軸36の一方の端部はカム接続部37により構成されている。カム接続部37は非円形孔33と同一の断面形状である。
回転中心軸36のカム接続部37は、ベースプレート21の前記他方の面側から中央貫通孔22へ挿入されかつ回転カム31の非円形孔33を貫通している。カム接続部37と非円形孔33の断面形状は共に非円形の同一形状であるため、両者の相対回転は規制されている。そのため回転中心軸36をベースプレート21(中央貫通孔22)に対して回転中心軸36の軸線回りに回転させると、回転カム31が回転中心軸36と一緒に回転する。
金属製の円盤部材であるラチェットプレート39はプレス成形品である。ラチェットプレート39のベースプレート21との対向面の外周部には円形の環状フランジ40が突設されており、環状フランジ40の内側には収納空間が形成されている。ラチェットプレート39の中心部には断面円形の軸支持孔41が貫通孔として形成されている。ラチェットプレート39のベースプレート21と反対側面の外周縁部には、環状フランジ40の裏側に位置する環状段部42が形成されている(図3及び図6参照)。また環状フランジ40の内周面には内歯43が形成されている。
ラチェットプレート39は、環状フランジ40をベースプレート21のラチェットプレート39との対向面の外周縁部と対向させながらベースプレート21に被せてある。
金属製の円環状部材である押えリング45の外径はベースプレート21よりやや大径である。押えリング45の車幅方向の一方の端部の周縁部全体には、内周側に向かって突出する環状対向部46が設けられている(図3及び図6参照)。
押えリング45は、環状対向部46を環状段部42と対向させた状態でベースプレート21及びラチェットプレート39の周縁部に被せてある。押えリング45の環状対向部46と反対側の端部の内周面は、ベースプレート21の外周面に対してレーザー溶接により固定されている。
ベースプレート21と押えリング45を一体化(固定)すると、ベースプレート21と押えリング45の間にラチェットプレート39が位置するので、ラチェットプレート39は、ベースプレート21及び押えリング45から脱落することなく回転中心軸36回りにベースプレート21及び押えリング45に対して相対回転可能である。
さらにベースプレート21の中央貫通孔22には、帯状の金属線材を渦巻き状に巻くことにより構成したロックスプリング49が設けられている。ロックスプリング49の内周側端部は、回転カム31に形成された被係止部(図示略)に係止されている。一方、ロックスプリング49の外周側端部49aは、中央貫通孔22の周面の一部に形成された係止溝22aに係止されている。
ベースプレート21の中央貫通孔22には、ロックスプリング49を覆うようにして金属製のスプリングカバー51が取り付けられている。スプリングカバー51の中央部には円形孔52が形成されている。スプリングカバー51は係止突起51aを有している。この係止突起51aが係止溝22aに係止されているので、スプリングカバー51がベースプレート21(中央貫通孔22)から脱落することはない。
このようにしてロックスプリング49をベースプレート21及び回転カム31に取り付けると、ロックスプリング49は僅かに弾性変形して回転カム31及び回転中心軸36を一方向に回転する付勢力を発生する。この付勢力は回転カム31及び回転中心軸36を図4及び図5の反時計方向に回転させる力であるため、回転中心軸36に対してロックスプリング49以外の外力を及ぼさないとき回転カム31は図4に示すロック位置に位置する。回転カム31がロック位置に位置するとき、回転カム31の各押圧突部34が対応するロック部材27をロック方向(外周側)に押圧する。そのため、各ロック部材27の外歯29がラチェットプレート39の内歯43と噛み合う噛合位置(図4の位置)まで移動する。従って、回転カム31がロック位置まで回転したときに、ベースプレート21とラチェットプレート39の相対回転が規制される。
一方、ロックスプリング49の回転付勢力に抗して回転中心軸36を図4及び図5の時計方向に回転させると、ロック位置に位置していた回転カム31が図5に示すアンロック位置まで回転する。すると回転カム31の各ロック解除突起32が対応するカム溝28の内面を押圧しながら、各カム溝28内を相対移動する。その結果、回転カム31がアンロック位置まで回転すると、各ロック部材27が図5に示す非噛合位置まで径方向内側に移動するので、ロック部材27の外歯29と内歯43の噛合が解除され、ベースプレート21とラチェットプレート39の相対回転が可能になる。
以上説明した構成のリクライニング装置20のベースプレート21は、左右の上記他方(車外側)のシートクッションフレームの後部に固定される。一方、ラチェットプレート39は、左右の上記他方(車外側)のシートバック側フレームに固定される。
このようにしてリクライニング装置20をシートクッションフレームの後部とシートバック側フレームとに取り付けたら、操作レバー(図示略)の先端部に一体的に設けられた車内側に向かって水平に延びる接続シャフト(図示略)を、スプリングカバー51の円形貫通孔52を通して回転中心軸36に対して固定する。
従って、操作レバーを接続シャフト回りに回転させると、回転中心軸36が操作レバーと一緒に回転する。
続いて、シートクッション11を車内床面Fに固定するためのスライドレール60の詳しい構造について説明する。
左右のスライドレール60は、図示を省略したブラケットを介して車内床面に対して固定されるロアレール61を有している。図11に示すように、ロアレール61は前後方向に延びかつ上面が開口した金属製のチャンネル材である。ロアレール61を構成する金属はTWIP鋼である。ロアレール61は、水平な底壁62と、底壁62の左右両側部から上方に延びる左右一対の外壁部63と、左右の外壁部63の上縁部から内側に向かって略水平に延びる左右一対の天井部64と、左右の天井部64の内側縁部から下方に延びる左右一対の内壁部65と、を具備している。左右のロアレール61の内壁部65には、前後方向に並べて多数のロック溝が形成されている。
左右のスライドレール60は、ロアレール61に対して前後方向にスライド可能なアッパレール68を有している。
アッパレール68は前後方向に延びかつ下面が開口した金属製のチャンネル材である。アッパレール68を構成する金属はTWIP鋼である。アッパレール68は、断面形状が略下向きコ字形をなす基部69と、基部69の左右両側壁の下縁部から上方に延びる左右一対の立上り壁70と、を具備している。左右の立上り壁70の上部及び下部は、その断面形状が略円弧状をなす上側ボール支持部71と下側ボール支持部72により構成されている。
左右のアッパレール68はシートクッション11の下面に固定されている。さらに左右のアッパレール68には、図示を省略したロック手段(摺動部品)が設けられている。左右のロック手段は互いに連係しており、両ロック手段は互いに同期しながら動作する。
左右のスライドレール60は、それぞれ左右一対のボールユニット75を備えている。ボールユニット75は、前後方向に延びかつ可撓性を有する板状のリテーナ(図示略)と、複数の金属製のボール77、78(摺動部品)と、を有している。リテーナは、複数のボール77、78を回転可能に支持する複数の支持部を有している。
左右のボールユニット75は、ボール77とボール78が上側ボール支持部71の表面(摺接面)と下側ボール支持部72の表面(摺接面)によってそれぞれ支持された状態で、アッパレール68及びロック手段と一緒に、ロアレール61の前端開口又は後端開口からロアレール61の内部に挿入される。
このようにしてロアレール61、アッパレール68、ロック手段及びボールユニット75をアッセンブリすると、アッパレール68の立上り壁70及びボールユニット75が、ロアレール61の外壁部63とアッパレール68の立上り壁70との間に形成された空間に入り込む。さらに当該空間に配設されたリテーナによって回転可能に支持された複数のボール77、78が、外壁部63と天井部64との角部61a(摺接面)及び外壁部63と底壁62との間の角部61b(摺接面)にそれぞれ回転可能に接触する。
ロアレール61の左右の外壁部63の内面には、アッパレール68のロアレール61の前方への相対スライドと後方への相対スライドをそれぞれ所定位置で規制するための前端ストッパ(図示略)と後端ストッパ61aが設けられている。さらに、アッパレール68の左右の立上り壁70の外側部には、左右の前端ストッパ及び後端ストッパ61aとそれぞれ前後方向に対向する当接片71aがそれぞれ突設されている。
さらに左右のアッパレール68に設けられた各ロック手段は、ロアレール61のいずれか一つのロック溝の表面(摺接面)と係合するロック状態と、すべてのロック溝に対して非係合状態となるアンロック状態と、に移行可能である。
続いて車両用シート10の動作について説明する。
操作レバーに対して外力を付与しないとき、ロックスプリング49の回転付勢力によって操作レバーは非作動位置に位置する。さらに回転カム31がロック位置に位置しロック部材27が噛合位置に位置するので、リクライニング装置20はロック状態になる。そのためベースプレート21と一体化したシートクッション11(シートクッションフレームの後部)とラチェットプレート39と一体化したシートバック12(シートバック側フレーム)の相対回転(シートバック12の前傾)が規制される。
一方、ロックスプリング49の回転付勢力に抗して操作レバーを作動位置まで回転させると、回転カム31がアンロック位置まで回転しロック部材27が非噛合位置に移動するので、リクライニング装置20はアンロック状態になる。そのためベースプレート21と一体化したシートクッション11(シートクッションフレームの後部)とラチェットプレート39と一体化したシートバック12(シートバック側フレーム)の相対回転が可能になる。
また、左右のロック手段をアンロック状態にすると、左右のアッパレール68が左右のロアレール61に対してスライド可能となる。従って、この状態でシートクッション11、シートバック12及びアッパレール68に対して前後方向の力を及ぼすと、各ボール77、78が外壁部63と天井部64との角部61a及び外壁部63と底壁62との間の角部61bに対してそれぞれ接触しながら回転する。そのため、アッパレール68はロアレール61に対して円滑に前後方向にスライドする。
アッパレール68が所望の位置までスライドしたときにロック手段をロック状態に復帰させると、アッパレール68の前後位置が当該位置で保持される。
また、アッパレール68のロアレール61に対するスライド可能範囲は、左右の当接片71aが前端ストッパに当接する前端位置と、後端ストッパ61aに当接する後端位置と、の間の範囲に制限される。
続いて、ベースプレート21及びロアレール61の製造方法と、本実施形態のベースプレート21及びロアレール61が有する利点について説明する。
図8乃至図10はベースプレート21の製造方法の概要を示している。図示するように、ベースプレート21はファインブランキングプレス成形により製造される。
本実施形態のプレス成形機82は、下型83と上型87とを備えている。
下型83は略円柱形状の固定部84を備えている。固定部84は上下方向に移動不能である。固定部84の上面は水平面により構成されている。固定部84には3つの上下方向に延びるスライド支持孔84aが形成されている。各スライド支持孔84aは、平面視で周方向に等角度間隔で並んでいる。各固定部84の断面形状(平面形状)は溝形成用突部23と略同一である。各固定部84には、下側可動型85が上下方向に移動可能に配設されている。各下側可動型85の断面形状はスライド支持孔84aと略同一である。下側可動型85の上面は水平面により構成されている。下側可動型85には、下側可動型85を各スライド支持孔84aに沿って上下動させる下側アクチュエータが接続されている。
上型87は略円柱形状の母材固定部88を備えている。母材固定部88は固定部84と同軸をなしており、さらに上下方向に移動可能である。母材固定部88の下面は水平面により構成されている。母材固定部88には3つの上下方向に延びるスライド支持孔88aが形成されている。各スライド支持孔88aの断面形状はスライド支持孔84aと同一である。各スライド支持孔88aは、平面視で周方向に等角度間隔で並んでいる。さらに母材固定部88の底面には、複数の食い込み突起88bが下向きに突設されている。各スライド支持孔88aには、上側可動型89が上下方向に移動可能に配設されている。各上側可動型89の断面形状は、スライド支持孔88a及び下側可動型85と略同一である。上側可動型89の下面は水平面により構成されている。さらに3つの上側可動型89は、3つの下側可動型85とそれぞれ上下方向に対向している。上型87には、母材固定部88及び上側可動型89を一緒に上下動させる上側第一アクチュエータと、上側可動型89を母材固定部88に対して上下方向に相対移動させる上側第二アクチュエータと、が接続されている。
プレス成形機82を用いてベースプレート21を成形するには、まず図8に示すように各下側可動型85の上面を固定部84の上面と同じ高さに位置させた上で、平板状のTWIP鋼からなる母材80を固定部84及び下側可動型85の上面に載せる。
このとき上型87は(食い込み突起88bを除く)母材固定部88と上側可動型89の下面どうしが連続しており、かつ下型83の上面より上方に位置している。
図8の状態から、上側第一アクチュエータの駆動力を利用して母材固定部88を下方へ移動させると、図9に示すように、母材固定部88と上側可動型89の下面(食い込み突起88bを除く)が母材80の上面に圧接し、かつ、各食い込み突起88bが母材80の上面に食い込む。そのため、母材80は上型87に対して水平方向に移動不能となる。
母材固定部88の上下方向位置を図9の状態に維持したまま、上側第二アクチュエータの駆動力を利用して上側可動型89を母材固定部88に対して下方へ所定量だけ相対移動させかつ下側アクチュエータの駆動力を利用して下側可動型85を上側可動型89と同じだけ下方へ移動させる。すると、図10に示すように、各上側可動型89の下端部が母材80の上面に対して所定量だけ食い込み、上面の3か所に凹部が形成される。その結果、母材80の下面の各下側可動型85と対応する部位が下方へ突出(塑性変形)する。
図10の加工が完了した後に、下側アクチュエータ、上側第一アクチュエータ及び上側第二アクチュエータの駆動力を利用してプレス成形機82を図8に示す初期状態へ復帰させ、その後に母材80に対してさらに別のプレス加工(図示略)を施すことによりベースプレート21が完成する。
このファインブランキングプレス成形時に母材80の下面に形成される3つの上記突出部(変形部)が溝形成用突部23である。また母材80の上面に形成される3つの上記凹部が対応凹部23aである。そして、固定部84、下側可動型85及び上側可動型89によって溝形成用突部23が塑性変形しながら成形されるときに、各溝形成用突部23の外周面(スライド支持孔84aの内周面との接触面)にせん断力が及ぶ。その結果、各溝形成用突部23に加工硬化が発生する。即ち、各溝形成用突部23は固定部84、下側可動型85及び上側可動型89によってプレス加工される前(母材80の一部であった状態)と比べて硬度が大幅に上昇する。特に強いせん断力を受けた溝形成用突部23の外周面(例えば案内面24)は、硬度の上昇幅が特に大きくなる。
図12は、図7に示すベースプレート21の各部位(点A乃至F)の硬度を表したグラフである。このグラフは、試験力が0.2kgの条件で行ったビッカース硬度試験によって得られたものである。
一方、図13のグラフは比較例のベースプレート(ベースプレート21と同形状のプレート。590MPa級熱間圧延鋼鈑のプレス成形品)に関する図12と同様のグラフである。即ち、比較例のベースプレートに対して試験力が0.2kgの条件でビッカース硬度試験を行ったときのベースプレートの各部位(点A乃至Fに対応する各点)の硬度を表すグラフである。
図12と図13の比較から明らかなように、本実施形態のベースプレート21の溝形成用突部23の硬度は比較例のベースプレートと比べて明らかに高い。
このようにしてファインブランキングプレス成形によりベースプレート21に3つの溝形成用突部23を形成すると、隣接する溝形成用突部23の案内面24どうしの間隔、換言すると各案内溝25の幅は設計寸法に近い大きさとなる。
そして上記したように、各溝形成用突部23(特に案内面24を含む外周面)の硬度が大幅に上昇するので、ファインブランキングプレス成形後にベースプレート21に焼き入れを行う必要がない。そのため、焼き入れに伴う熱歪みによって、溝形成用突部23の案内面24どうしの間隔(各案内溝25の幅)が設計寸法から大きくずれることがない。従って、再度のプレス加工等によって溝形成用突部23の案内面24どうしの間隔(各案内溝25の幅)を微調整する必要もない。
リクライニング装置20の各ロック部材27が噛合位置と非噛合位置との間を移動するとき、各ロック部材27の両側面は各溝形成用突部23の案内面24に対して摺動する。
しかし、各溝形成用突部23(案内面24)の硬度が大きい(耐摩耗性が高い)ので、ロック部材27が噛合位置と非噛合位置との間を繰り返し移動しても、ロック部材27の両側面によって各溝形成用突部23の案内面24が大きく摩耗するおそれは小さい。
そのため、ロック部材27が噛合位置と非噛合位置との間を繰り返し移動した後においても、各ロック部材27を各溝形成用突部23(ベースプレート21)に対してがたつくことなくスライドさせることが可能である。
さらに、例えばリクライニング装置20がロック状態にある場合に車両に対して別の車両が後方から衝突すると、シートバック12がリクライニング装置20回りに勢いよく後方へ回転しようとする。すると、シートバック側フレームに固定されたラチェットプレート39、及び、外歯29がラチェットプレート39の内歯43と噛合している各ロック部材27が、ベースプレート21に対して微小量だけ(各ロック部材27と対応する案内面24との微小クリアランス分だけ)勢いよく相対回転する。その結果、各ロック部材27が対応する溝形成用突部23の一方の案内面24に対して勢いよく衝突し、ロック部材27と溝形成用突部23との間で衝突荷重が発生する。
しかし、各溝形成用突部23(案内面24)の硬度が大きい(衝突荷重に対する剛性が高い)ので、このような衝突が生じても溝形成用突部23(一対の案内面24)が弾性変形を起こすおそれは小さい。そのため、溝形成用突部23が大きく弾性変形し、その結果、車両用シート10に着座する乗員の負荷が大きくなるおそれは小さい。さらに溝形成用突部23(一対の案内面24)が塑性変形を起こすおそれも小さい。そのため、溝形成用突部23とロック部材27の両側面との間に過剰に大きな隙間が形成されてしまうおそれは小さい。
従って、このような衝突が生じた後にリクライニング装置20の動作が不円滑になるおそれは小さい。
図1及び図11に示すロアレール61は、TWIP鋼板をプレス成形(図示略)して得られたものである。
プレス成形によりロアレール61を形成すると、外壁部63と天井部64との間の角部61a内面の曲率、底壁62と外壁部63との間の角部61b内面の曲率、左右の外壁部63どうしの左右間隔、及び左右の天井部64と底壁62との間の上下間隔が、それぞれの設計寸法に近い大きさとなる。
そして上記したように、外壁部63と天井部64との間の角部61a(塑性変形部)、底壁62と外壁部63との間の角部61b(塑性変形部)、及びロック溝(塑性変形部)はプレス成形時に塑性変形する。塑性変形時にこれら角部61a、61b及びロック溝の表面に曲げによる歪みが生じるので、これらの角部61a、61b及びロック溝の表面に加工硬化が発生し、これらの角部61a、61bの表面の硬度が大幅に上昇する。そのため、プレス成形後にロアレール61に焼き入れを行う必要がない。そのため、焼き入れに伴う熱歪みによって、ロアレール61のこれらの角部61a、61bの曲率や、左右の外壁部63どうしの左右間隔、及び左右の天井部64と底壁62との間の上下間隔が、それぞれの設計寸法から大きくずれることがない。同様に、各ロック溝の前後幅が設計寸法から大きくずれることはない。従って、再度のプレス加工等によってロアレール61の各部を微調整する必要もない。
また図示は省略してあるが、アッパレール68もプレス成形によりTWIP鋼板から成形することが可能である。そして、上側ボール支持部71(塑性変形部)及び下側ボール支持部72(塑性変形部)はプレス成形時に塑性変形する。塑性変形時に上側ボール支持部71及び下側ボール支持部72の表面に曲げによる歪みが生じるので、上側ボール支持部71及び下側ボール支持部72に加工硬化が発生し、上側ボール支持部71及び下側ボール支持部72の硬度が大幅に上昇する。そのため、プレス成形後にアッパレール68に焼き入れを行う必要がない。そのため、焼き入れに伴う熱歪みによって、アッパレール68の上側ボール支持部71及び下側ボール支持部72等の形状が設計形状から大きくずれることがない。従って、再度のプレス加工等によってアッパレール68の各部を微調整する必要もない。
アッパレール68がロアレール61に対して前後方向にスライドするとき、各ボール77、78はロアレール61に対して前後方向にスライドしながら外壁部63と天井部64との角部61a及び外壁部63と底壁62との間の角部61bに対してそれぞれ回転しながら接触する。同様に、各ボール77、78はアッパレール68に対して(僅かに)前後方向にスライドしながら上側ボール支持部71及び下側ボール支持部72に対してそれぞれ回転しながら接触する。そのため、アッパレール68はロアレール61に対して円滑に前後方向にスライドする。
しかも、ロアレール61の外壁部63と天井部64との間の角部61a、及び、底壁62と外壁部63との間の角部61bの硬度が大きい(耐摩耗性が高い)ので、アッパレール68がロアレール61に対して繰り返しスライド動作を行っても、各ボール77、78によってこれらの角部61a、61bの内面が大きく摩耗するおそれは小さい。同様に、各ボール77、78によってアッパレール68の上側ボール支持部71及び下側ボール支持部72が大きく摩耗するおそれも小さい。
そのため、アッパレール68がロアレール61に対して繰り返しスライド動作を行った後においても、アッパレール68をロアレール61に対してがたつくことなく円滑にスライドさせることが可能である。
また、アッパレール68に設けたロック手段をアンロック状態とロック状態とに切り替えるときに、ロック手段がロック溝の表面に対してスライドする。しかし、ロアレール61のロック溝の表面の硬度が大きい(耐摩耗性が高い)ので、ロック手段をアンロック状態とロック状態とに繰り返し切り替えても、ロック手段によって各ロック溝の表面が大きく摩耗するおそれは小さい。
そのため、ロック手段をアンロック状態とロック状態とに繰り返し切り替えた後においても、ロック手段によってアッパレール68をロアレール61に対して確実にロックできる。
さらに、例えばアッパレール68に搭載した上記ロック手段がロアレール61のいずれか一つのロック溝と係合するロック状態にある場合に車両に対して別の車両が衝突すると、ロック手段とロアレール61(ロック溝の内面)との間で衝突荷重が発生する。
しかし、ロアレール61の(ロック溝の内面の)硬度が大きい(衝突荷重に対する剛性が高い)ので、このような衝突が生じてもロアレール61のロック溝の周辺部が塑性変形を起こすおそれは小さい。換言すると、ロアレール61のロック溝の周辺部が塑性変形を起こすことにより、ロック手段によるロック状態が不意に解除されるおそれは小さい。
また、車両に対して別の車両が衝突したときに、各ボール77、78が、ロアレール61の外壁部63と天井部64との間の角部61a、底壁62と外壁部63との間の角部61b、並びにアッパレール68の上側ボール支持部71及び下側ボール支持部72に対して衝突し、これらの部位に衝突荷重が発生する。しかしロアレール61の外壁部63と天井部64との間の角部61a、底壁62と外壁部63との間の角部61b、並びにアッパレール68の上側ボール支持部71及び下側ボール支持部72の硬度が大きい(衝突荷重に対する剛性が高い)ので、このような衝突が生じてもこれらの部位が塑性変形を起こすおそれは小さい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。
例えば、リクライニング装置20及びスライドレール60とは異なる自動車用の構成部品であって、金属製の摺動部品が摺動可能に接触する摺接面を有する部品に対して、本発明を適用してもよい。
例えば、車両の側部に設けられるスライドドアを車両前後方向に摺動可能に支持し且つ車体に設けられるガイドレールや、前後方向に移動することにより車両の天井開口を開閉するスライドルーフを摺動可能に支持し且つ車体に設けられるブラケット等に、本発明を適用してもよい。また、例えば、車両の前部や後部に設けられ且つ車両の外側に展開及び車両内部に収納されるフロントスポイラ及びリアスポイラを支持しかつ車体に設けられるリンク機構(このリンク機構は、リンク機構が伸縮するときに自身の周辺に位置するリンク機構の構成部材に対して摺動する摺動部品を備えている)に本発明を適用してもよい。
またTWIP鋼鈑をプレス成形以外の加工方法(例えばロール成形)により加工して自動車用の構成部品を製造してもよい。
但し、この場合もTWIP鋼鈑の加工時に塑性変形部を形成し、この塑性変形部を金属製の摺動部品が摺動可能に接触する摺接面とする。
ラチェットプレート39をシートクッションフレームに固定し、ベースプレート21をシートバック側フレームに固定してもよい。
10・・・車両用シート、20・・・リクライニング装置、21・・・ベースプレート、23・・・溝形成用突部、24・・・案内面(摺接面)(塑性変形部)、25・・・案内溝、27・・・ロック部材(摺動部品)、39・・・ラチェットプレート、60・・・スライドレール、61・・・ロアレール、61a、61b・・・角部(摺接面)(塑性変形部)、68・・・アッパレール、71・・・上側ボール支持部(摺接面)(塑性変形部)、72・・・下側ボール支持部(摺接面)(塑性変形部)、77、78・・・ボール(摺動部品)、82、90・・・プレス成形機。

Claims (6)

  1. 金属製の摺動部品が摺動可能に接触する摺接面を有するTWIP鋼製の自動車用の構成部品であって、
    前記摺接面が塑性変形部により構成された、TWIP鋼製自動車用構成部品。
  2. 請求項1に記載のTWIP鋼製自動車用構成部品において、
    前記構成部品が、シートクッション側フレームとシートバック側フレームの一方の部材に固定されるベースプレートであり、
    前記摺動部品が、前記ベースプレートの径方向に延びるように該ベースプレートに形成された案内溝の内面である前記摺接面によって摺動可能に支持されかつ外周部に外歯を有するロック部材であり、
    前記シートクッション側フレームと前記シートバック側フレームの他方の部材に固定されかつ内周面に内歯を有するラチェットプレートを、前記ベースプレートに対して相対回転可能に対向させた場合に、前記ロック部材の前記外歯が前記ラチェットプレートの前記内歯と噛合したときに、前記ベースプレートと前記ラチェットプレートの相対回転が規制される、TWIP鋼製自動車用構成部品。
  3. 請求項1に記載のTWIP鋼製自動車用構成部品において、
    前記構成部品が、シートを支持するアッパレール、及び、該アッパレールの一部がスライド自在に挿入されるロアレールの少なくとも一方であり、
    前記摺動部品が、前記ロアレールの内面に形成された前記摺接面及び/又は前記アッパレールの外面に形成された前記摺接面に対して回転可能かつ摺動可能に接触する金属製のボールである、TWIP鋼製自動車用構成部品。
  4. 金属製の摺動部品が摺動可能に接触する摺接面を有する自動車用の構成部品の製造方法であって、
    前記摺接面が塑性変形部により構成されるように、TWIP鋼を加工して前記構成部品を成形するステップを有する、TWIP鋼製自動車用構成部品の製造方法。
  5. 請求項4に記載のTWIP鋼製自動車用構成部品の製造方法において、
    前記構成部品を成形するステップが、前記TWIP鋼をプレス成形又はロール成形するステップである、TWIP鋼製自動車用構成部品の製造方法。
  6. 請求項5に記載のTWIP鋼製自動車用構成部品の製造方法において、
    前記構成部品をプレス成形するステップが、前記TWIP鋼をファインブランキングプレス成形するステップである、TWIP鋼製自動車用構成部品の製造方法。
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