JP2017159214A - ガス中のアルシン除去方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、電解液の清浄工程で発生する排ガス中には、砒化水素(AsH3)を含むアルシンガス等が含まれており、アルシンは極めて有害性が高いことから確実に除く必要がある。
この一方で、粒径の大きな活性炭を使用した場合、上述したような閉塞による問題は生じにくいものの吸着効率が悪い。
この発明の一の実施形態に係るアルシン除去方法では、アルシンを含むガスを吸着塔に送り込み、前記吸着塔の、前記ガスを通過させるダクトに設けた活性炭収容部で、前記ガス中のアルシンを吸着して除去するに当り、前記活性炭収容部にて、前記ガスを、粒径の大きい活性炭を充填した大径活性炭層に通過させた後、大径活性炭層の活性炭よりも粒径の小さい活性炭を充填した小径活性炭層に通過させ、そして、前記活性炭収容部での破過吸着能力を、前記小径活性炭層の活性炭のみを充填した場合の活性炭収容部での破過吸着能力に対し、0.5〜0.8とする。
この発明では、標準的な活性炭を用いることも可能であるが、砒化水素の吸着能力を高めるために化学処理が施された活性炭、たとえば酸化剤が添着された活性炭を用いると優れた効果を発揮することができる。吸着対象とするアルシンは還元性が強く、これを確実に吸着するには物理吸着のみならず化学吸着することが好ましいためである。添着する酸化剤の中でもヨウ素、ヨウ素化合物は軟らかい酸として知られており、同じく軟らかい塩基であるアルシンとの反応性が高いため、これを添着した活性炭を使用すると特に効果が高い。
再生処理を繰り返すと活性炭の添着剤が剥離し、吸着能力の低下が生じることがある。吸着能力の低下した活性炭には再度ヨウ素等を吸着させて化学処理しても再生効果がみられる。場合によっては焼却処理してもよい。
上記の活性炭は、一般的な吸着塔におけるダクト内に設けた活性炭収容部に充填して用いることができる。
ここにおいて、この発明では、図1に例示するように、活性炭収容部1は、図1に矢印で示す向きのガス進行方向の後方側(図1では下方側)に、粒径の大きい活性炭を充填した大径活性炭層2aを設けるとともに、ガス進行方向の前方側(図1では上方側)に、それよりも粒径の小さい活性炭を充填した小径活性炭層2bを設けた少なくとも二層の構造のものを用いる。この場合、ダクトの活性炭収容部1に流れ込んだガスは、はじめに、粒径の大きい活性炭を充填した大径活性炭層2aを通過し、次いで、大径活性炭層2aの活性炭よりも粒径の小さい活性炭を充填した小径活性炭層2bを通過することになる。
すなわち、まず大径活性炭層2aで、水分、フュームその他の還元性ガスの大部分、夾雑妨害成分を大まかに除去する。これにより、後にガスが通過する小径活性炭層の負荷を減らすことができる。大径活性炭層の目詰まりは圧力損失で推定することができる。圧力損失が基準値に達した場合は収容体毎に活性炭層を交換もしくは再生処理を行う。そして、小径活性炭層2bで確実にアルシンを吸着除去する。予め破過する処理ガス量を調査しておき、破過前に交換する。
一般に粒径の小さい活性炭は破過吸着能力が大きいところ、これのみを充填すると圧力損失が増大して流速が低下し、ガス処理速度の低下を招くが、この発明では、大径活性炭層2aおよび小径活性炭層2bの二層以上の構造とし、活性炭収容部1での破過吸着能力を、小径活性炭層の活性炭のみを充填して充填密度および高さその他の条件を一致させた場合の活性炭収容部での破過吸着能力に対し、0.5〜0.8とすることにより、アルシンの所要の吸着量を確保することができる。
全圧使用率が高すぎると、圧力損失が大きいことによって、ガス処理速度の低下を招く。全圧使用率が低すぎると、圧力損失の観点からは問題はないが、粒径が小さく吸着能力の低い活性炭と考えられ、アルシンの吸着量の観点で懸念がある。
それ故に、大径活性炭層2aの活性炭充填高さHa、大径活性炭層2aの活性炭充填高さHaと小径活性炭層2bの活性炭充填高さHbの合計(Ha+Hb)に対する比で表して、0.7〜0.9とすることが好ましい。この比が0.7未満である場合、大径活性炭層2aが小さくなるとともに小径活性炭層2bが大きくなって、圧力損失の増大のおそれがある。一方、この比が0.9より大きい場合、大径活性炭層2aが大きくなるとともに小径活性炭層2aが小さいことに起因して、アルシン吸着能力に懸念が残る。なおここでは、大径活性炭層2aと小径活性炭層2bにおける活性炭の充填密度を、0.470g/mL〜0.540g/mLの範囲内で一定とする。
またここでは、吸着塔内の一つの活性炭収容部1に二層の大径活性炭層2a及び小径活性炭層2bを配置しているが、複数層を複数の活性炭収容部に分けて配置することも可能である。この場合、活性炭の交換時に、個別に交換することができるという利点がある。
いずれの場合であっても、ガスは先に大径活性炭層を通過し、その後に小径活性炭層を通過するように配置する。
この発明では、アルシンを含む様々なガスを対象とすることができるが、たとえば、銅精錬の電解液の清浄工程で排出されるガスを対象とすることができる。
電解工程の排ガスは、アルシンの他にも電解還元により生成した還元性成分が存在することがある。具体的には、電解液によって異なるものの、亜硫酸ガスや水素化アンチモンを挙げることができる。先述したように、これらの成分はアルシンを効果的に吸着するヨウ素成分とも反応することから、活性炭の添着剤に別の酸化成分を含まれているならアルシンの吸着阻害が抑制される。
圧損の評価は、全圧使用率が95%未満であった場合は○、95%以上であった場合は×と判定することにより行った。
よって、この発明によれば、圧力損失の増大を有効に抑制しつつ、ガス中のアルシンを有効に除去できることが解かった。
2a 大径活性炭層
2b 小径活性炭層
Ha 大径活性炭層の活性炭充填高さ
Hb 小径活性炭層の活性炭充填高さ
Claims (7)
- アルシンを含むガスを吸着塔に送り込み、前記吸着塔の、前記ガスを通過させるダクトに設けた活性炭収容部で、前記ガス中のアルシンを吸着して除去する方法であって、
前記活性炭収容部にて、前記ガスを、粒径の大きい活性炭を充填した大径活性炭層に通過させた後、大径活性炭層の活性炭よりも粒径の小さい活性炭を充填した小径活性炭層に通過させ、
前記活性炭収容部での破過吸着能力を、前記小径活性炭層の活性炭のみを充填した場合の活性炭収容部での破過吸着能力に対し、0.5〜0.8とするアルシン除去方法。 - 大径活性炭層の活性炭の粒径を1.700mm〜4.750mmとし、小径活性炭層の活性炭の粒径を0.710mm〜2.360mmとする請求項1に記載のアルシン除去方法。
- 前記ダクトでの全圧使用率を、95%未満とする、請求項1又は2に記載のアルシン除去方法。
- 前記大径活性炭層の活性炭充填高さを、前記大径活性炭層の活性炭充填高さと前記小径活性炭層の活性炭充填高さの合計に対する比で表して、0.7〜0.9とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルシン除去方法。
- 吸着塔内の風量を、60m3/min〜100m3/minとする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルシン除去方法。
- 前記活性炭が、添着剤としてヨウ素もしくはヨウ素化合物を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のアルシン除去方法。
- アルシンを除去する対象である前記ガスが、銅製錬の電解液の清浄工程で排出されるガスであり、湿度が50%以下で、アルシンの他、硫黄酸化物、アンチモン化水素および硫化水素のうちの少なくとも一つを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のアルシン除去方法。
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