JP2017158785A - 医療デバイスおよび処置方法 - Google Patents

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北岡 孝史
Takashi Kitaoka
孝史 北岡
正臣 今井
Masaomi Imai
正臣 今井
雄輝 増渕
Yuki MASUBUCHI
雄輝 増渕
高寛 千田
Takahiro CHIDA
高寛 千田
和明 金本
Kazuaki Kanamoto
和明 金本
幸俊 加藤
Yukitoshi Kato
幸俊 加藤
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Abstract

【課題】生体管腔に生じる物体をバランスよく効果的に破砕できる医療デバイス及びそれを使用した処置方法を提供する。
【解決手段】生体管腔に挿入されて当該生体管腔の物体を破砕するための医療デバイス150であって、長尺なシャフト部160と、シャフト部160の遠位部に連結され、複数の間隙を有するように複数の螺旋部61により全体として筒状に構成されてシャフト部160の径方向へ拡張可能な破砕部60と、破砕部60が拡張した状態で、破砕部60の一部の間隙を塞ぎ、間隙からシャフト部160の径方向内側へ向かって突出するように変形可能な膜体130と、を有する。
【選択図】図16

Description

本発明は、生体管腔の物体を破砕するために用いられる医療デバイス及びそれを使用した処置方法に関する。
生体管腔内に血栓が生じた場合には、血流が阻害されるため、これを速やかに除去する必要がある。このように生体管腔内に血栓が生じる症状としては、例えば、大腿静脈、膝窩静脈など、体の深部にある静脈に血栓が生じる深部静脈血栓症などが挙げられる。深部静脈血栓症の治療方法としては、血管内に医療デバイスの長尺な管体を挿入し、塞栓部に血栓溶解剤などの薬剤を注入し、血栓を溶解させることによって除去する方法などが知られている。
血栓を除去するために薬剤を注入する治療法では、出血等の副作用を伴うので、血管内に挿入したシャフトの先端部に設けられる線材からなる部材を回転させることで、この部材に接触する血栓を機械的に破砕して除去する治療法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
米国特許第8986241号明細書
血管内の血栓は、形状や硬さなどが様々である。したがって、物体の形状や硬さ等に応じて多様に設計でき、バランスよく効果的に破砕できることが望まれる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、生体管腔に生じる物体をバランスよく効果的に破砕できる医療デバイス及びそれを使用した処置方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る医療デバイスは、生体管腔に挿入されて当該生体管腔の物体を破砕するための医療デバイスであって、長尺なシャフト部と、前記シャフト部の遠位部に連結され、複数の間隙を有するように複数の線材により全体として筒状に構成されて前記シャフト部の径方向へ拡張可能な破砕部と、前記破砕部が拡張した状態で、前記破砕部の一部の前記間隙を塞ぎ、前記間隙から前記シャフト部の径方向内側へ向かって突出するように変形可能な膜体と、を有する。
上記目的を達成する本発明に係る処置方法は、上記の医療デバイスを使用して生体管腔の病変部に生じた物体を破砕するための処置方法であって、前記シャフト部を生体管腔内へ挿入するステップと、前記破砕部を前記膜体とともに拡張させるステップと、前記破砕部を前記膜体とともに移動させて、前記破砕部により前記物体を破砕するとともに、前記破砕部に支持された前記膜体により前記物体を破砕するステップと、を有する。
上記のように構成した医療デバイスおよび処置方法は、破砕部の一部の間隙を塞ぐ膜体がシャフト部の径方向内側へ向かって変形可能であるため、破砕部の膜体が設けられない部位により物体を破砕するとともに、破砕部に支持された膜体により物体を破砕できる。このため、破砕部により物体を切り取るように大きくかつ効率よく破砕できるとともに、膜体により物体を押し潰すように小さく破砕できる。このため、2種類の異なる破砕を組み合わせることができ、生体管腔の物体をバランスよく効果的に破砕できる。
第1実施形態に係る医療デバイスを示す平面図である。 第1実施形態に係る医療デバイスの遠位部を示す斜視図である。 第1実施形態に係る医療デバイスの遠位部を示す拡大斜視図である。 第1実施形態に係る医療デバイスの遠位部を示す断面図である。 第1実施形態に係る医療デバイスの使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は医療デバイスを血管内に挿入した状態、(B)は医療デバイスの破砕部を血管内に露出させた状態を示す。 第1実施形態に係る医療デバイスの使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は医療デバイスにより血栓を破砕した状態、(B)は医療デバイスをシースに回収した状態を示す。 破砕された血栓がシャフト外管の開口部に吸引された状態を示す医療デバイスの遠位部の拡大断面図である。 シャフト外管の開口部に吸引された血栓がシャフト内管により切り取られる過程を示す医療デバイスの遠位部の拡大断面図である。 シャフト内管により切り取られた血栓が切断部により切断された状態を示す医療デバイスの遠位部の拡大断面図である。 切断部により切断された血栓がシャフト内管の近位側に吸引される過程を示す医療デバイスの遠位部の拡大断面図である。 第2実施形態に係る医療デバイスを示す平面図である。 図11のA−A線に沿う断面図である。 第2実施形態に係る医療デバイスの使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は医療デバイスを血管内に挿入した状態、(B)は医療デバイスの破砕部および膜体を血管内に露出させた状態を示す。 第2実施形態に係る医療デバイスの使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は医療デバイスにより血栓を破砕した状態、(B)は破砕部および膜体をシースに回収した状態を示す。 膜体により血栓を破砕する状態を示す医療デバイスの断面図である。 第3実施形態に係る医療デバイスを示す平面図である。 保護器具を分解した状態を示す平面図である。 保護器具を組み立てた状態を示す平面図である。 第3実施形態に係る医療デバイスの使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は保護器具を血管内に挿入した状態、(B)は保護器具により血管を閉鎖した状態を示す。 第3実施形態に係る医療デバイスの使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は医療デバイスを血管内に挿入した状態、(B)は医療デバイスの破砕部および膜体を血管内に露出させた状態を示す。 第3実施形態に係る医療デバイスの使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は医療デバイスにより血栓を破砕した状態、(B)は血栓の破砕が完了した状態を示す。 血栓を破砕した状態を説明するための血管内の断面図であり、(A)は膜体により血栓を破砕した状態、(B)は破砕部により血栓を破砕した状態を示す。 第3実施形態に係る医療デバイスの使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は医療デバイスをシースに回収した状態、(B)は規制器具をシースに回収した状態を示す。 第3実施形態に係る医療デバイスの他の使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は医療デバイスを血管内に配置した状態、(B)は医療デバイスにより血栓を破砕する状態を示す。 第4実施形態に係る医療デバイスを示す平面図である。 第4実施形態に係る医療デバイスの使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は医療デバイスを血管内に配置した状態、(B)は医療デバイスにより血栓を破砕する状態を示す。 第4実施形態に係る医療デバイスの他の使用方法を説明するための血管内の断面図であり、(A)は医療デバイスを血管内に配置した状態、(B)は医療デバイスにより血栓を破砕する状態を示す。 医療デバイスの膜体の変形例を示す平面図であり、(A)は第1の変形例、(B)は第2の変形例を示す。 医療デバイスの膜体の変形例を示す平面図であり、(A)は第3の変形例、(B)は第4の変形例を示す。 医療デバイスの膜体の変形例を示す平面図であり、(A)は第5の変形例、(B)は第6の変形例を示す。 医療デバイスの膜体の第7の変形例を示す平面図である。 医療デバイスの膜体の第8の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)はB−B線に沿う断面図である。 医療デバイスの膜体の第9の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)はC−C線に沿う断面図である。 医療デバイスの開口部の変形例を示す平面図である。 医療デバイスの開口部の他の変形例を示す平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。本明細書では、デバイスの血管に挿入する側を「遠位側」、操作する手元側を「近位側」と称することとする。また、本明細書では、血管内の血液の流れの源側を「上流側」と称し、血液の流れが向かう側を「下流側」と称する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る医療デバイス10は、深部静脈血栓症において、血管内に挿入され、血栓を破砕して除去する処置に用いられる。なお、除去する物体は、必ずしも血栓に限定されず、生体管腔内に存在し得る物体は、全て該当し得る。
医療デバイス10は、図1〜4に示すように、長尺であって回転駆動されるシャフト部20と、シャフト部20を収容できる外シース90と、シャフト部20に対してスライド可能なスライド部50と、シャフト部20によって回転する破砕部60とを備えている。医療デバイス10は、さらに、破砕部60の遠位部の外周を囲む膜体40と、シャフト部20を回転させる回転駆動部70と、シャフト部20の近位側端部に設けられるハブ80と、ハブ80の近位側に接続されるシリンジ100とを備えている。
シャフト部20は、それぞれ長尺中空状のシャフト外管21、シャフト内管30および先端チューブ25(凸部)を有する。
シャフト外管21は、遠位側端部がシャフト部20の遠位部であり、近位側端部が回転駆動部70に位置している。シャフト外管21は、回転駆動部70によって周方向に沿って往復動可能とされている。ただし、シャフト外管21は往復動するものに限られず、一方向に回転するものであってもよい。シャフト外管21は、内部にシャフト内管30を収容するルーメン24を有している。シャフト外管21の内径はシャフト内管30の外径よりも大きい。シャフト外管21は、拡張した状態の破砕部60に囲まれる範囲内の遠位部(スライド部50の近位側の部位)に、軸方向に沿って長孔状の2つの開口部22を有している。シャフト外管21は、開口部22により、シャフト外管21の内外が連通している。2つの開口部22は、シャフト外管21の周方向の対向する位置に設けられる。2つの開口部22は、先端チューブ25に干渉しないように、シャフト内管30の先端チューブ25が設けられる位置と異なる位置に配置される。開口部22は、破砕部60が拡張した状態においてシャフト部20の軸心と直交する断面で膜体40に囲まれる位置に設けられる。なお、開口部22は、破砕部60が収縮した状態においては、シャフト部20の軸心と直交する断面で膜体40に囲まれる位置に設けられなくてもよい。シャフト外管21の開口部22の遠位側には、ルーメン24を塞ぐ円筒状の当接部23が設けられている。当接部23の近位面は、シャフト内管30の遠位面と対向する当接面23Aとなっている。当接面23Aは、シャフト外管21の開口部22の遠位側端部よりも遠位側に位置している。当接部23はステンレス等によって構成される。
シャフト内管30は、シャフト外管21の中空内部に同軸的に納められる。シャフト内管30は、シャフト外管21に対して、軸方向に移動可能となっている。シャフト内管30の遠位側端部は、シャフト外管21の開口部22の近位側端部の位置またはそれよりも近位側に位置している。シャフト内管30の近位側端部は、シャフト外管21の近位側端部よりもさらに近位側まで伸びており、ハブ80に接続されている。ハブ80にシリンジ100を接続することによって、シャフト内管30の中空内部を吸引し、負圧状態とすることができる。シャフト内管30の遠位側端部には、中空内部に切断部31が設けられている。切断部31は、金属製の薄板で、シャフト内管30の直径に相当する幅を有し、遠位側に鋭利な刃部31Aを有している。
刃部31Aの遠位側端面とシャフト内管30の遠位側端面は、段差がないように配置されている。このため、シャフト内管30の遠位面が当接部23の当接面23Aに対して当接すると、刃部31Aも当接面23Aに対して当接する。シャフト内管30は、シャフト外管21に対し、少なくとも開口部22の基端よりも基部側(図4に示す位置)から当接部23の当接面23Aに対して当接する位置までを、軸方向に沿って往復動可能とされている。切断部31は、シャフト内管30の中空部分の断面形状を二分するように配置されている。
先端チューブ25は、シャフト外管21の遠位部の外表面に沿ってシャフト外管21に固着されて配置される。先端チューブ25は、シャフト外管21と平行である。先端チューブ25は、ガイドワイヤを挿入可能なガイドワイヤルーメン26を有している。
シャフト外管21は、柔軟で、かつ近位側から作用する回転の動力を遠位側に伝達可能であることが好ましい。シャフト内管30は、柔軟で、かつ近位側から作用する前後の往復運動の動力を遠位側に伝達可能であることが好ましい。先端チューブ25は、柔軟であることが好ましい。シャフト外管21、シャフト内管30および先端チューブ25の構成材料は、特に限定されないが、例えば、右左右と巻き方向を交互にしている3層コイルなどの多層コイル状の管体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、またはこれらの組み合わせに線材などの補強部材が埋設されたものが好適である。
外シース90は、シャフト部20を収容できるとともに、シャフト部20に連結された破砕部60および膜体40を縮径させつつ収容できる。外シース90は、シャフト部20に対して軸方向に摺動可能である。
外シース90の構成材料は、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK、ポリイミド、などが好適である。また、複数の材料によって構成されてもよく、線材などの補強部材が埋設されてもよい。
破砕部60は、シャフト外管21の遠位部に設けられている。破砕部60は、複数の螺旋部61を備えている。各々の螺旋部61(線材)は、シャフト外管21の軸方向に沿っていずれも同じ周方向に向かう捻りを施されている。各螺旋部61の近位側端部は、連結部62にてシャフト外管21に対して固定されている。各螺旋部61の遠位側端部は、シャフト部20に対してスライド可能なスライド部50に固定されている。各螺旋部61は、連結部62およびスライド部50に対する各螺旋部61の固定位置が周方向に異なる。各螺旋部61は湾曲する軸方向の中央部がシャフト外管21から径方向に離れた位置で、周方向に並んでいる。これにより、破砕部60は、全体としては周方向に均一な膨らみを有している。シャフト部20が回転すると、それに伴い破砕部60も回転し、血管内の血栓を破砕したり、あるいは破砕した血栓を撹拌したりすることができる。
破砕部60を構成する螺旋部61は、可撓性を有する金属製の細線によって構成されている。破砕部60は、シャフト部20を目的部位に挿入するまで、外シース90の内部に納められた状態となっている。螺旋部61を外シース90に収容する際には、螺旋部61の遠位部が連結されるスライド部50を、シャフト部20に沿って遠位側へ移動させる。これにより、螺旋部61は、軸方向に沿う中央部の膨らみを減少し、シャフト外管21の外周面に近づく。これにより、螺旋部61は、縮径されて外シース90の内部に収容される。シャフト部20を血管の目的部位まで挿入した後、外シース90をシャフト部20に対して近位側に摺動させることで、破砕部60が外シース90の外部に露出し、自己の弾性力により拡張する。このとき、スライド部50は、シャフト部20に沿って近位側へ移動する。このため、螺旋部61は、形状記憶性を有した材料で構成されることが望ましい。螺旋部61の構成材料は、例えば、熱処理により形状記憶効果や超弾性が付与される形状記憶合金、ステンレス、などが好適である。形状記憶合金としては、Ni−Ti系、Cu−Al−Ni系、Cu−Zn−Al系またはこれらの組み合わせなどが好適である。
スライド部50は、シャフト部20の軸心方向と直交する断面がC字形状である。スライド部50は、軸方向のスライド部50の第1の端部から第2の端部まで延びるスリット58を有している。スリット58には、先端チューブ25が収容される。これにより、螺旋部61の遠位部がスライド部50に固定されるとともに、スライド部50がシャフト外管21の外周面に対して、回転することなく軸心方向へ摺動可能となる。
スライド部50の構成材料は、形状を維持できれば、特に限定されないが、例えば、ステンレス、アルミニウム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK、ポリイミド、などが好適である。
膜体40は、破砕部60の遠位部に位置する螺旋部61の間隙を塞ぐように配置される柔軟なフィルム状の部材である。膜体40は、螺旋部61の外周面に接着剤等により固着され、螺旋部61とともに拡張および収縮が可能であり、かつ螺旋部61とともに回転可能である。膜体40は、破砕部60の最も外径が大きく拡張する大径部63から、破砕部60の遠位側に位置するスライド部50までを囲んでいる。膜体40の近位側の縁部41は、大径部63の位置と略一致する。なお、膜体40は、螺旋部61の間隙を塞ぐことが可能であれば、破砕部60の外面側ではなく、内面側に固定されてもよい。
膜体40の構成材料は、柔軟に変形可能であれば特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル等である。
回転駆動部70は、図1に示すように、駆動モータ71と、駆動モータ71をシャフト部20のシャフト外管21と連係させるギア部72とを有している。駆動モータ71を回転させることで、シャフト外管21が周方向に回転する。本実施形態では、シャフト外管21は周方向の正負二方向に向かって交互に回転するように、駆動モータ71によって駆動される。正負二方向に向かって交互に回転することで、血流が交互に反対方向を向くことができる。
次に、第1実施形態に係る医療デバイス10の使用方法を、血管内の血栓を破砕して吸引する場合を例として説明する。
まず、血管の血栓300よりも上流側において血管内へ経皮的にイントロデューサシース(図示せず)を挿入し、このイントロデューサシースを介して、ガイドワイヤ110を血管内へ挿入する。次に、ガイドワイヤ110を押し進め、血栓300の遠位側まで到達させる。
次に、破砕部60を含むシャフト部20の遠位部が、外シース90に納められた状態の医療デバイス10を準備する。次に、医療デバイス10のガイドワイヤルーメン26(図2を参照)に、ガイドワイヤ110の近位側端部を挿入する。この後、ガイドワイヤ110をガイドとして、図5(A)に示すように、医療デバイス10を血栓300の遠位側へ到達させる。なお、ガイドワイヤ110を血栓300の遠位側へ到達させるために、別途準備されるサポートカテーテルを使用することもできる。
次に、外シース90をシャフト部20に対して近位側へ移動させると、図5(B)に示すように、破砕部60が外シース90の外部に露出し、自己の弾性力(復元力)により拡張する。このとき、スライド部50は、シャフト部20に対して近位側へ移動する。破砕部60が拡張すると、破砕部60に固定された膜体40も拡張する。
次に、回転駆動部70(図1を参照)によりシャフト外管21を回転させると、破砕部60もそれに伴って回転する。この状態で、破砕部60を近位側へ移動させ、破砕部60を血管内で固着した状態の血栓300に接触させつつ、開口部22に吸引力を発生させるために、シリンジ100(図1を参照)の押し子を引く。シリンジ100の押し子を引くと、シャフト内管30の中空内部が負圧状態となる。シャフト内管30の遠位側端部はシャフト外管21の中空内部と連通し、さらにシャフト外管21は開口部22を通じてシャフト部20の外部と連通しているため、開口部22はシャフト部20の外部に対して吸引力を生じる。
破砕部60に接触した血栓300は、図6(A)に示すように、遠位側から徐々に破砕される。破砕された血栓301は、下流側へ流れようとするが、破砕部60の遠位部が膜体40により覆われているため、破砕された血栓301は、膜体40により効果的に捕集される。これにより血栓301は、膜体40よりも遠位側へ流れることが制限される。さらに、膜体40は、破砕部60の遠位部の大径部63までを囲んでいるため、破砕された血栓301が下流側へ流れることを効果的に抑制できる。破砕部60に固定される膜体40によって、血栓300の下流への流れを制限できるため、血栓300よりも下流側に、別途のフィルタやバルーン等の保護部材を配置することが不要である。なお、別途のフィルタやバルーン等の保護部材を配置してもよい。膜体40の近位側の縁部41が、破砕部60の大径部63の位置と略一致するため、膜体40が破砕された血栓301を効果的に捕集でき、かつ下流側へ血栓301が流れることを効果的に抑制できる。膜体40に捕集された血栓301は、吸引力が生じているシャフト外管21の開口部22に吸引される。このとき、開口部22が、拡張した状態の破砕部60に囲まれる範囲内のシャフト外管21の遠位部(スライド部50の近位側の部位)に位置しているため、破砕部60の近位側への移動および血液の遠位側の流れによって、血栓301が効率よく開口部22へ導かれて吸引される。破砕部60の大径部63から遠位側に向けて、破砕部60の径と膜体40の径は漸減する。そのため、膜体40の内周面と開口部22との距離が短くなるため、血栓301が効率よく開口部22へ導かれて吸引される。膜体40が膜体40の内部に破砕された血栓301を捕集すると、膜体40の螺旋部61で支持されない部位は螺旋部61の間の間隙から径方向外側へ膨らみ、膜体40の外周面は血管の内壁に接触する。そのとき、膜体40の内周面を移動する破砕された血栓301は、螺旋部61の間に入り込み、開口部22へ導かれて吸引される。また、膜体40の外周面は、螺旋部61に支持される部位が凸状となり、螺旋部61に支持されない部位が凹状となる。このため、膜体40の外周面の凸状の部位は血栓300(または血管)の内周面と接触しやすいが、凹状の部位は血栓300(または血管)と接触し難い。これにより、膜体40の外周面と血栓300(または血管)は、互いに接触する部位と接触しない部位を有し、フィルタと同様の構成を有する。したがって、膜体40の外周面と血栓300(または血管)の隙間は、血液の流通を許容しつつ、血栓301の流通を制限することができる。
破砕部60は、回転した際に、血栓300と接触すると、回転方向と逆方向の反力を受ける。破砕部60の近位部は、連結部62によってシャフト部20に固定されている。また、破砕部60の遠位部は、スライド部50に連結されている。スライド部50は、シャフト部20に対して相対的な回転が制限されている。このため、破砕部60は、近位側の端部および遠位側の端部の相対的な回転が制限され、捩れが抑制される。破砕部60は、近位側の端部と遠位側の端部が固定されて、同方向に回転される。
開口部22に引き寄せられた血栓301は、図7に示すように、一部がシャフト外管21の中空内部に侵入する。この後、シャフト内管30をシャフト外管21に対し軸方向に移動させる。シャフト内管30が開口部22よりも近位側にある状態から、シャフト内管30をシャフト外管21の遠位側、すなわち当接部23に近づく側に向かって移動させると、図8に示すように、開口部22からシャフト外管21の中空内部に侵入した血栓301の一部分は、シャフト内管30の遠位面によって圧縮されながら切り取られていく。
シャフト内管30の遠位面が当接部23の当接面23Aに当接するまで、シャフト内管30を移動させると、図9に示すように、切り取られた血栓302は、シャフト内管30の中空内部に納まる。このとき、シャフト内管30の遠位部に設けられた切断部31の刃部31Aによって、血栓302は2つに切断される。シャフト内管30が当接部23の当接面23Aに当接することで、刃部31Aも当接面23Aに当接し、シャフト外管21の中空内部で切り取られた血栓302は、当接部23に押し当てられながら刃部31Aによって切断される。このため、切り取られた血栓302を確実に切断し、シャフト内管30の内径よりも小さい大きさとすることができる。これによって、切り取られた血栓302がシャフト内管30の中空内部で詰まることを抑制できる。
シャフト内管30の中空内部は、シリンジ100によって引き続き負圧状態となっているので、図10に示すように、切り取られた血栓302は、シャフト内管30の中空内部を近位側に向かって移動する。また、シャフト内管30を当接部23から離れて近位側に移動させることにより、再び開口部22が開放され、血栓301が吸引されてシャフト外管21の中空内部に侵入してくる。したがって、シャフト内管30の軸方向への往復動を繰り返すことにより、血栓301を細かく切断しながら継続的に吸引できる。
開口部22から血栓301を吸引するだけでなく、同時に外シース90から血栓301を吸引することもできる。開口部22と外シース90は、血栓301を挟み、血栓301の両端から吸引することもできる。外シース90から血栓301を吸引する際には、外シース90のハブにシリンジを接続し、押し子を引く。血栓301を開口部22および外シース90の両方から吸引することで、血栓301をより効果的に除去できる。また、開口部22から生理食塩液を血管内に放出(フラッシュ)し、血栓301を外シース90から吸引して除去することもできる。
また、開口部22から血栓301を吸引しつつ、外シース90から血栓溶解剤を放出してもよい。これにより、血栓300を破砕しやすくなり、破砕された血栓301を開口部22から吸引して除去しやすくなる。また、外シース90から生理食塩水を流すこともできる。
本実施形態では、血栓301の吸引中に、シャフト外管21は回転動し、シャフト内管30はシャフト外管21に対して軸方向に往復動するものとしたが、これ以外の動作を加えてもよい。例えば、シャフト内管30がシャフト外管21に対して相対的に異なる回転動する動作(回転方向が逆方向、または回転方向は同一だが回転速度が異なる)を加えることで、開口部22に吸引された血栓301をより確実に切り取って、シャフト外管21の中空内部に導くことができる。また、シャフト外管21の往復動を加えることによって、より広い範囲の血栓300を破砕、撹拌、吸引できる。
血栓300の近位側まで破砕部60を移動させた後、血栓301の吸引を停止し、シャフト外管21とシャフト内管30の往復動や回転動を停止する。次に、図6(B)に示すように、破砕部60および膜体40を外シース90に収容し、医療デバイス10を血管から抜去して処置が完了する。なお、血栓300の除去が不十分である場合は、医療デバイス10を抜去する前に、破砕部60を再び血栓300よりも遠位側へ移動させ、前述と同様の方法で、血栓300を破砕して吸引することができる。血栓300の破砕は、必要に応じて、複数回繰り返すことができる。破砕部60を血栓300よりも遠位側へ移動させる際には、破砕部60および膜体40を一旦外シース90に収容して縮径させて移動させてもよい。または、破砕部60および膜体40を縮径させずに移動させてもよい。
以上のように、第1実施形態に係る医療デバイス10は、生体管腔に挿入されて当該生体管腔の物体を吸引して除去するためのデバイスであって、回転駆動される長尺なシャフト部20と、シャフト部20の遠位部に連結されてシャフト部20とともに回転可能であり、複数の間隙を有するように複数の螺旋部61(線材)により全体として筒状に構成されてシャフト部20の径方向へ拡張可能な破砕部60と、破砕部60が拡張した状態で、破砕部60の遠位部の間隙を塞ぐように配置され、近位側の縁部41が破砕部60の近位側端部よりも遠位側に位置する膜体40と、を有し、シャフト部20は、軸直交断面において破砕部60に囲まれる位置にシャフト部20の近位部に連通する開口部22が設けられている。このように構成した医療デバイス10は、破砕部60を回転させつつ近位側へ移動させることで、破砕部60の近位部により血栓300を破砕し、破砕された血栓300の拡散を、破砕部60の遠位部に設けられた膜体40により効果的に制限できる。これにより、シャフト部20の膜体40に囲まれた位置に設けられる開口部22により、破砕された血栓301を効率よく吸引して除去できる。また、血栓300を破砕する医療デバイス10自体が、血流を制限する機能を有するため、フィルタ等を別途設ける必要がなく、作業が容易となる。
また、開口部22は、破砕部60が拡張した状態においてシャフト部20の破砕部60に囲まれる範囲内の遠位部に設けられる。これにより、破砕部60により血栓300を破砕しながら近位側へ移動させることで、破砕された血栓301が自然と開口部22に導かれるため、破砕された血栓301を開口部22から効率よく吸引して除去できる。
また、開口部22は、破砕部60が拡張した状態においてシャフト部20の軸心と直交する断面で膜体40に囲まれる位置に設けられる。これにより、破砕部60により破砕された血栓301が、破砕部60の内部から外部へ流出することを抑制されて開口部22に導かれる。このため、破砕された血栓301を開口部22から効率よく吸引して除去できる。
また、開口部22は、破砕部60が拡張した状態においてシャフト部20の膜体40に囲まれる範囲内の遠位部に設けられ、シャフト部20と直交する方向において、膜体40と開口部22の距離は、膜体40の近位部とシャフト部20の距離よりも短い。これにより、近位側から膜体40の内側に入り込んだ血栓301が、膜体40に沿って遠位側へ移動するにしたがい、開口部22の近くへ効率よく導かれる。このため、破砕された血栓301を開口部22から効率よく吸引して除去できる。
また、開口部22は、破砕部60が拡張した状態においてシャフト部20の膜体40に囲まれる範囲内に設けられ、シャフト部20と直交する方向のシャフト部20と膜体40の距離は、シャフト部20の少なくとも開口部22が位置する範囲内において、遠位側へ漸減する。このため、近位側から膜体40の内側に入り込んだ血栓301が、膜体40に沿って遠位側へ移動するにしたがい、開口部22の近くへ効率よく導かれる。このため、破砕された血栓301を開口部22から効率よく吸引して除去できる。
また、医療デバイス10は、シャフト部20の外周面に当該シャフト部20の軸心方向に沿って設けられる先端チューブ25(凸部)に沿って軸心方向へスライド可能であって、破砕部60の螺旋部61(線材)の端部が固定されたスライド部50をさらに有し、開口部22は、シャフト部20の周方向において先端チューブ25が設けられる位置と異なる位置に設けられる。これにより、開口部22は、シャフト部20の先端チューブ25と異なる位置に配置され、先端チューブ25と干渉せず、構成することが容易である。
また、医療デバイス10は、シャフト部20の内部に配置されてシャフト部20に対し軸方向に移動でき、かつ、シャフト部20の内腔を径方向に横断するように配置される切断部31を備えるシャフト内管30を有する。これにより、開口部22からシャフト部20内へ吸引された血栓301が、切断部31により切断されるため、シャフト部20内での血栓302の円滑な移動が促される。したがって、開口部22における吸引力を良好に維持でき、破砕された血栓301を開口部22から効率よく吸引して除去できる。
また、医療デバイス10は、シャフト部20および破砕部60を収容可能な外シース90を有する。このため、拡張可能な破砕部60および膜体40を収縮させて外シース90に収容して、細い生体管腔の目的の位置へ到達させることができる。さらに、破砕された血栓301を外シース90からも吸引して除去することが可能となり、破砕された血栓301をより効率よく除去できる。また、外シース90から、血栓溶解剤を放出することで、破砕された血栓301を開口部22からさらに効率よく吸引して除去できる。
また、本発明は、上述した医療デバイス10を使用して生体管腔の病変部に生じた物体を吸引して除去するための処置方法をも含む。当該処置方法は、シャフト部20を病変部の上流側から生体管腔内へ挿入して破砕部60を病変部の下流側に到達させるステップと、破砕部60を膜体40とともに拡張させるステップと、シャフト部20により破砕部60を回転させるとともに、破砕部60を上流側へ移動させ、当該破砕部60により物体を破砕するステップと、破砕された物体の下流側への移動を膜体40により制限しつつ、当該物体を開口部22から吸引して除去するステップと、を有する。上記のように構成した処置方法は、遠位側が膜体40により覆われた破砕部60を回転させつつ近位側へ移動させることで、破砕部60の近位部により物体を破砕できる。このため、破砕された物体の拡散を、破砕部60に設けられた膜体40により効果的に制限しつつ、破砕部60に囲まれて位置するシャフト部20の開口部22により、破砕された物体を効率よく吸引して除去できる。
また、物体を破砕するステップの後に、膜体40に囲まれる範囲内に物体を収容するステップをさらに有する。これにより、膜体40に囲まれる範囲内に収容した物体を、膜体40に囲まれる範囲に位置する開口部22へ効果的に導くことができる。
また、物体を開口部22から吸引して除去するステップにおいて、シャフト部20内に吸引された物体を、当該シャフト部20を移動する切断部31により切断しつつ除去することができる。これにより、シャフト部20内での物体の円滑な移動が促され、開口部22における吸引力を良好に維持できる。
また、上記処置方法は、破砕された物体の下流側への移動を膜体40により制限しつつ、当該物体をシャフト部20および破砕部60を収容可能な外シース90により吸引して除去するステップをさらに有してもよい。これにより、破砕された物体を、開口部22および外シース90の両方から吸引して除去することが可能となり、破砕された物体をより効率よく除去できる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る医療デバイス120は、図11、12に示すように、膜体130の位置およびシャフト部140の開口部142の位置が、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位は、同一の符号を付し、説明を省略する。
シャフト部140のシャフト外管141は、破砕部60の近位部が連結される連結部62の近位側に位置している。シャフト外管141は、開口部142により、シャフト外管141の内外が連通している。シャフト外管141の開口部142の遠位側には、ルーメン24を塞ぐ円筒状の当接部23が設けられている。
膜体130は、破砕部60の近位部に位置する螺旋部61の間隙を塞ぐように配置される柔軟なフィルム状の部材である。膜体130は、螺旋部61の外周面に接着剤等により固着される。膜体130は、螺旋部61とともに拡張および収縮が可能であり、かつ膜体130は、螺旋部61とともに回転可能である。膜体130は、破砕部60の最も外径が大きく拡張する大径部63から、破砕部60の近位側に位置する連結部62までを囲んでいる。膜体130の近位側の縁部131は、大径部63の位置と略一致する。また、膜体130は、螺旋部61の間隙からシャフト部140の径方向内側へ向かって突出するように変形可能である(図12を参照)。螺旋部61の間隙に入り込む膜体40は、間隙を構成する隣接する2つの螺旋部61を結ぶ線よりも、シャフト部140の径方向内側に位置することができる。したがって、当該2つの螺旋部61の間の距離よりも、この2つの螺旋部61の間で延在する膜体40の長さの方が長い。なお、膜体130は、螺旋部61の間隙を塞ぐことが可能であれば、破砕部60の外面側ではなく、内面側に固定されてもよい。
次に、第2実施形態に係る医療デバイス120の使用方法を、血管内の血栓を破砕して吸引する場合を例として説明する。
まず、第1実施形態で説明した方法と同様に、血管の血栓300よりも上流側からガイドワイヤ110を血栓300の遠位側まで到達させる。
次に、破砕部60を含むシャフト部140の遠位部が、外シース90に納められた状態の医療デバイス120を準備する。次に、医療デバイス120のガイドワイヤルーメン26(図11を参照)に、ガイドワイヤ110の近位側端部を挿入する。次に、ガイドワイヤ110をガイドとして、図13(A)に示すように、医療デバイス120を血栓300の遠位側へ到達させる。
次に、外シース90をシャフト部140に対して近位側へ移動させると、図13(B)に示すように、破砕部60が外シース90の外部に露出し、自己の弾性力により拡張する。破砕部60が拡張すると、破砕部60に固定された膜体130も拡張する。
次に、回転駆動部70(図1を参照)によりシャフト外管141を回転させると、破砕部60もそれに伴って回転する。この状態で、破砕部60を近位側へ移動させ、破砕部60に固定された膜体130を血管内で固着した状態の血栓300に接触させる。さらに、シリンジ100の押し子(図1を参照)を引き、開口部142に吸引力を発生させる。
膜体130に接触した血栓300は、図14(A)、図15に示すように、膜体130と接触する遠位側から徐々に破砕される。膜体130により血栓300を破砕する際には、螺旋部61に支持される膜体130が血栓300に接触する。螺旋部61の間の間隙は、膜体130により塞がれているため、血栓300は膜体130よりも内側に入ることができない。このため、膜体130は、螺旋部61の間隙から径方向内側へ入り込むように変形し、螺旋部61に支持される部位によって血栓301を押し潰すように削り取る。削り取られた血栓301は、螺旋部61の間隙から径方向内側へ入り込むように変形した膜体130と血栓301(または血管)の間に滞留する。破砕された血栓300は、下流側へ流れようとするが、破砕部60の近位部が膜体130により覆われているため、血栓301は、膜体130よりも遠位側へ流れることが制限される。さらに、膜体130は、破砕部60の近位部の大径部63までを囲んでいるため、膜体130によって破砕された血栓301が下流側へ流れることを効果的に抑制できる。また、膜体130の外周面は、螺旋部61に支持される部位が凸状となり、螺旋部61に支持されない部位が凹状となる。このため、膜体130の外周面の凸状の部位は血栓300(または血管)の内周面と接触しやすいが、凹状の部位は血栓300(または血管)と接触し難い。これにより、膜体130の外周面と血栓300(または血管)は、互いに接触する部位と接触しない部位を有し、フィルタと同様の構成を有する。したがって、膜体130の外周面と血栓300(または血管)の隙間は、血液の流通を許容しつつ、血栓301の流通を制限することができる。膜体130の凹状の螺旋部61に支持されない部位は、軸方向において、膜体130と破砕部60の近位部から中央部(大径部63が位置する部位)に向けて、隣接する螺旋部61の間の距離が大きくなる。また、凹状の螺旋部61に支持されない部位は、軸方向に長さを有し、破砕部60の中心軸に対して角度を有している。凹状の螺旋部61に支持されない部位は、軸方向に螺旋形状である。凹状の螺旋部61に支持されない部位は、径方向において、膜体130と破砕部60の近位部から中央部に向けて距離が大きくなる。また、螺旋部61の間隙が周方向に小さい膜体130と破砕部60の近位部から接触した血栓300は、細かい血栓301に押し潰される。また、血栓301は、膜体130と破砕部60の近位部から膜体130と破砕部60の間隙が大きい中央部に、螺旋状に移動しながら押し潰される。
破砕部60に固定される膜体130によって、血栓300の下流への流れを制限できるため、血栓300よりも下流側に、別途のフィルタやバルーン等の保護部材を配置することが不要である。なお、別途のフィルタやバルーン等の保護部材を配置してもよい。破砕された血栓301は、吸引力を生じているシャフト外管141の開口部142に吸引される。このとき、開口部142が、膜体130よりも近位側に設けられているため、膜体130の近位側に滞留する血栓301を、開口部142から効率よく吸引できる。
また、開口部142から血栓301を吸引しつつ、外シース90から血栓溶解剤を放出してもよい。これにより、血栓300を破砕しやすくなり、破砕された血栓301を開口部142から吸引して除去しやすくなる。また、外シース90から血栓301を吸引してもよい。
血栓300の近位側まで破砕部60を移動させた後、血栓301の吸引を停止し、シャフト外管141とシャフト内管30の往復動や回転動を停止する。次に、図14(B)に示すように、破砕部60および膜体130を外シース90に収容し、医療デバイス120を血管から抜去し、処置が完了する。
以上のように、第2実施形態に係る医療デバイス120は、生体管腔に挿入されて当該生体管腔の物体を破砕するためのデバイスであって、長尺なシャフト部140と、シャフト部140の遠位部に連結され、複数の間隙を有するように複数の螺旋部61(線材)により全体として筒状に構成されてシャフト部140の径方向へ拡張可能な破砕部60と、破砕部60の一部の間隙を塞ぎ、間隙からシャフト部140の径方向内側へ向かって突出するように変形可能な膜体130と、を有する。このように構成した医療デバイス120は、破砕部60の間隙を塞ぐ膜体130がシャフト部140の径方向内側へむかって変形可能であるため、破砕部60に支持された膜体130により血栓300を破砕できる。このため、膜体130により血栓300を押し潰すように小さく破砕できる。このため、開口部142から破砕した血栓301を吸引することが容易となる。また、血栓300を破砕する医療デバイス120自体が、血流を制限する機能を有するため、フィルタ等を別途設ける必要がなく、作業が容易となる。
また、シャフト部140は回転可能であり、シャフト部140の回転によって当該シャフト部140に連結される破砕部60および膜体130が回転する。これにより、破砕部60および膜体130により血栓300を効率よく破砕できる。なお、破砕部60および膜体130を回転させずに、軸心方向へ移動させることで、血栓300を破砕することも可能である。
また、膜体130の螺旋部61(線材)に支持されない部位は、シャフト部140の軸方向に沿って螺旋状であり、膜体130および螺旋部61の近位部または遠位部よりも、破砕部60の径が大きくなる中央部において、隣接する螺旋部61の間の距離が大きい。このため、膜体130および破砕部60を軸方向に沿って移動させると、径方向に小さい膜体130および螺旋部61の近位部または遠位部から血栓300に接触し、細かい血栓301に押し潰すことができる。また、血栓301は、膜体130と破砕部60の近位部から、膜体130と破砕部60の間隙が大きい中央部に、螺旋状に移動しながら押し潰される。
また、膜体130により血栓300(物体)を破砕することは、膜体130の外表面の外側に血栓300を維持しつつ、膜体130と血管壁の間で血栓300を押し潰すことである。これにより、血栓301を細かく破砕することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る医療デバイス150は、図16に示すように、シャフト部160の開口部162の位置のみが、第2実施形態と異なる。なお、第1、第2実施形態と同様の機能を有する部位は、同一の符号を付し、説明を省略する。
シャフト部160のシャフト外管161は、遠位側端部の近傍に、開口部162が設けられている。開口部162は、スライド部50よりも遠位側に位置している。シャフト外管161の開口部162の遠位側には、ルーメン24を塞ぐ円筒状の当接部23が設けられている。
第3実施形態に係る医療デバイス150は、血管内で血栓301が下流へ流れることを制限する保護器具170とともに使用される。一例として、保護器具170は、図17に示すように、血液の流れを規制する規制器具171と、規制器具171を収納可能なシース172と、規制器具171をシース172から押し出すための押圧シャフト173とを備えている。
規制器具171は、線材が管状に編組された弾性的に変形可能な拡張部174と、拡張部174の外周を囲むカバー部175と、拡張部174を貫通するとともにガイドワイヤルーメンが設けられるガイドワイヤ用管体176と、ガイドワイヤ用管体176から近位側へ延びるワイヤ部177とを備えている。
拡張部174は、外力が作用しない自然状態において、線材の自己の弾性力(復元力)により拡径した状態となる。カバー部175は、拡張部174の全体の外周を覆うように薄いフィルムからなる管状の部材である。
シース172は、規制器具171を収容可能なルーメン178を備えている。押圧シャフト173は、シース172のルーメン178内に収容可能な管体であり、内部に規制器具171のワイヤ部177を挿入可能な押し出し用ルーメン179を有する。
保護器具170を使用する際には、図18に示すように、拡張部174およびカバー部175を収縮させた規制器具171を、シース172の内部に収容する。さらに、押圧シャフト173をシース172の近位側からルーメン178内に挿入し、規制器具171のワイヤ部177を、押し出し用ルーメン179内に収容する。
なお、保護器具は、上述の構造に限定されず、例えば流体を流入させて拡張可能なバルーンや、血液を流通させつつ血栓を濾し取ることができるフィルターであってもよい。
次に、第3実施形態に係る医療デバイス120の使用方法を、血管内の血栓を破砕して吸引する場合を例として説明する。
まず、第1実施形態で説明した方法と同様に、血管の血栓300よりも上流側からガイドワイヤ110を血栓300の遠位側まで到達させる。次に、規制器具171および押圧シャフト173をシース172に収容した保護器具170を準備し、ガイドワイヤ用管体176のガイドワイヤルーメンにガイドワイヤ110を挿入する。この後、図19(A)に示すように、ガイドワイヤ110に沿って、保護器具170を血栓300の遠位側まで到達させる。なお、ガイドワイヤ110を血栓300の遠位側へ到達させるために、別途準備されるサポートカテーテルを使用することもできる。
次に、押圧シャフト173の移動を手で規制しつつ、シース172を近位側へ移動させる。このとき、押圧シャフト173の遠位側端部が、ガイドワイヤ用管体176の近位側端部に接触し、拡張部174およびカバー部175の移動が規制されるため、拡張部174およびカバー部175が、シース172から放出される。これにより、図19(B)に示すように、拡張部174が自己の復元力により最適な大きさに拡張し、カバー部175が拡張部174によって血管の内壁面に押し付けられて固定される。これにより、カバー部175によって血液の流れを抑制できる。この後、規制器具171を残して、ガイドワイヤ110、シース172および押圧シャフト173を体外へ抜去する。
次に、破砕部60を含むシャフト部160の遠位部が、外シース90に納められた状態の医療デバイス150を準備する。次に、医療デバイス150のガイドワイヤルーメン26に、ガイドワイヤ110の近位側端部を挿入する。次に、ガイドワイヤ110をガイドとして、図20(A)に示すように、医療デバイス150を血栓300の遠位側へ到達させる。
次に、外シース90をシャフト部160に対して近位側へ移動させると、図20(B)に示すように、破砕部60が外シース90の外部に露出し、自己の弾性力により拡張する。破砕部60が拡張すると、破砕部60に固定された膜体130も拡張する。
次に、回転駆動部70(図1を参照)によりシャフト外管161を回転させると、破砕部60もそれに伴って回転する。この状態で、破砕部60を近位側へ移動させ、破砕部60に固定された膜体130を血管内で固着した状態の血栓300に接触させる。さらに、シリンジ100の押し子(図1を参照)を引き、開口部162に吸引力を発生させる。
膜体130に接触した血栓300は、図21(A)、図22(A)に示すように、膜体130と接触する遠位側から徐々に破砕される。膜体130により血栓300を破砕する際には、螺旋部61に支持される膜体130が血栓300に接触する。螺旋部61の間の間隙は、膜体130により塞がれているため、血栓300は膜体130よりも内側に入ることができない。このため、膜体130は、螺旋部61の間隙から径方向内側へ入り込むように変形し、螺旋部61に支持される部位によって血栓301を押し潰すように削り取る。膜体130に削り取られた血栓301は、下流側へ流れる。
また、血栓300は、膜体130に覆われていない螺旋部61によっても破砕される。螺旋部61により血栓300を破砕する際には、図21(A)、図22(B)に示すように、膜体130よりも遠位側で露出する螺旋部61が血栓300に直接的に接触する。螺旋部61の間の間隙が膜体130により塞がれていないため、螺旋部61は、血栓300に対して大きく食い込み、血栓300を大きく切り取るように破砕する。したがって、螺旋部61により破砕される血栓301は、膜体130により破砕される血栓301よりも大きい。螺旋部61により破砕された血栓301は、下流側へ流れる。
膜体130および螺旋部61により破砕された血栓301は、下流側へ流れると、シャフト外管161の遠位部に位置する開口部162の近傍に到達する。破砕された血栓301の一部は、吸引力が生じているシャフト外管161の開口部162に吸引されて除去される。また、開口部162に吸引されなかった血栓301は、血管を塞いでいるカバー部175の近位側に保たれる。
破砕部60の回転を継続すると、血液の流れが保護器具170により規制されているため、図21(B)に示すように、血管内で固着していた血栓300全体が破砕されて、破砕された血栓301は、滞留している血管内で沈殿等することなく、浮遊した状態となる。
また、開口部162から血栓301を吸引しつつ、外シース90から血栓溶解剤を放出してもよい。これにより、血栓300を破砕しやすくなり、破砕された血栓301を開口部162から吸引して除去しやすくなる。
血栓300の近位側まで破砕部60を移動させた後、シャフト外管161をカバー部175に近づける。これにより、カバー部175によって血管内で滞留する血栓301を開口部162から吸引して除去できる。次に、血栓301の吸引を停止し、シャフト外管161とシャフト内管30の往復動や回転動を停止する。
次に、図23(A)に示すように、破砕部60および膜体130を外シース90に収容し、医療デバイス150を血管から抜去する。この後、ワイヤ部177の近位側端部をシース172に挿入し、拡張部174およびカバー部175を縮径させながらシース172に収容する。この後、シース172を血管から抜去し、処置が完了する。
次に、第3実施形態に係る医療デバイス120の使用方法の他の例を説明する。ここでは、他の血管が合流する分岐部に位置する血栓300を、上流側から破砕して吸引する場合を説明する。
まず、前述した方法と同様に、血管の血栓300よりも上流側から保護器具170を挿入し、血栓300の遠位側でカバー部175および拡張部174を拡張させて固定する。この後、ワイヤ部177をガイドとして医療デバイス150を血栓300の上流側に到達させ、図24(A)に示すように、破砕部60および膜体130を拡張させる。
次に、回転駆動部70(図1を参照)によりシャフト外管161を回転させると、破砕部60もそれに伴って回転する。この状態で、破砕部60を遠位側へ移動させ、破砕部60を血管内で固着した状態の血栓300に接触させる。なお、破砕部60を近位側へ移動させて血栓300を破砕する際には、必要に応じて、破砕部60の進退を繰り返してもよい。さらに、シリンジ100の押し子(図1を参照)を引き、開口部162に吸引力を発生させる。
血栓300は、図24(B)に示すように、螺旋部61と接触する近位側から徐々に破砕される。さらに、血栓300は、膜体130によっても破砕される。膜体130によって破砕される血栓301は、螺旋部61により破砕される血栓301よりも小さい。破砕された血栓301は、開口部162に吸引されて除去される。開口部162は、膜体130の内部に位置するシャフト外管161に位置してもよい。そのため、破砕される血栓301は、医療デバイス150が上流から下流側へ移動しているので、膜体130へ捕集され、開口部162によって吸引される。
破砕部60および膜体130により血栓300を破砕する過程において、血管の分岐部よりも下流側に規制器具171を設置して血流を制限すると、血栓300を除去する際に、血管内を上流側から流れる血液が分岐部にて合流している他の血管400に流れ込む可能性がある。しかしながら、破砕部60の近位側が膜体130により覆われているため、血液の流れが制限される。このため、血栓301が他の血管400へ流れることを抑制でき、別の場所で血管の閉塞を生じる可能性を抑制できる。
血栓300の遠位側まで破砕部60を移動させた後、シャフト外管161をカバー部175に近づける。これにより、カバー部175によって血管内で滞留する血栓301を開口部162から吸引して除去できる。次に、血栓301の吸引を停止し、シャフト外管161とシャフト内管30の往復動や回転動を停止する。この後、医療デバイス150および規制器具171を血管から抜去し、処置が完了する。
以上のように、第3実施形態に係る医療デバイス150は、生体管腔に挿入されて当該生体管腔の物体を破砕するためのデバイスであって、長尺なシャフト部160と、シャフト部160の遠位部に連結され、複数の間隙を有するように複数の螺旋部61(線材)により全体として筒状に構成されてシャフト部160の径方向へ拡張可能な破砕部60と、破砕部60の一部の間隙を塞ぎ、間隙からシャフト部160の径方向内側へ向かって突出するように変形可能な膜体130と、を有する。このように構成した医療デバイス120は、破砕部60の間隙を塞ぐ膜体130がシャフト部160の径方向内側へむかって変形可能であるため、破砕部60の膜体130が設けられない部位により血栓300を大きく破砕できるとともに、破砕部60に支持された膜体130により血栓300を押し潰すように小さく破砕できる。このため、2種類の異なる破砕を組み合わせることができ、生体管腔に生じる血栓300をバランスよく効果的に破砕できる。また、膜体130により、血液の流れを抑制できるため、破砕した血栓301が他の血管へ流れることを抑制できる。
また、シャフト部160は回転可能であり、シャフト部160の回転によって当該シャフト部160に連結される破砕部60および膜体130が回転する。これにより、破砕部60および膜体130により血栓300を効率よく破砕できる。なお、破砕部60および膜体130を回転させずに、軸心方向へ移動させることで、血栓300を破砕することも可能である。
また、膜体130は、シャフト部160の軸方向に沿って破砕部60に対して部分的に設けられる。これにより、破砕部60および膜体130を軸方向へ移動させることで、血栓300に対して接触する位置が、破砕部60または膜体130に変化する。これにより、血栓300の同じ部位に、異なる破砕力を作用させることができ、バランスよく効果的に破砕を行うことができる。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る医療デバイス180は、図25に示すように、膜体190の位置のみが、第3実施形態と異なる。なお、第1〜第3実施形態と同様の機能を有する部位は、同一の符号を付し、説明を省略する。
膜体190は、破砕部60の遠位部に位置する螺旋部61の間隙を塞ぐように配置される。膜体190は、螺旋部61の外周面に接着剤等により固着され、螺旋部61とともに拡張および収縮が可能であり、かつ螺旋部61とともに回転可能である。膜体190は、破砕部60の最も外径が大きく拡張する大径部63から、破砕部60の遠位側に位置するスライド部50までを囲んでいる。膜体190の近位側の縁部191は、大径部63の位置と略一致する。また、膜体190は、螺旋部61の間隙からシャフト部160の径方向内側へ向かって突出するように変形可能である。なお、膜体190は、螺旋部61の間隙を塞ぐことが可能であれば、破砕部60の外面側ではなく、内面側に固定されてもよい。
次に、第4実施形態に係る医療デバイス180の使用方法を、血管内の血栓を破砕して吸引する場合を例として説明する。第4実施形態に係る医療デバイス180は、第3実施形態に係る医療デバイス150と同様に、保護器具170(図17を参照)とともに使用される。
まず、前述した方法と同様に、血管の血栓300よりも上流側から保護器具170を挿入し、血栓300の遠位側でカバー部175および拡張部174を拡張させて固定する。この後、ワイヤ部177をガイドとして医療デバイス180を血栓300の上流側に到達させ、図26(A)に示すように、破砕部60および膜体190を拡張させる。
次に、回転駆動部70(図1を参照)によりシャフト外管161を回転させると、破砕部60もそれに伴って回転する。この状態で、破砕部60を近位側へ移動させるようにシャフト部160を操作し、螺旋部61を血管内で固着した状態の血栓300に接触させる。さらに、シリンジ100の押し子(図1を参照)を引き、開口部162に吸引力を発生させる。
血栓300は、図26(B)に示すように、螺旋部61と接触する遠位側から徐々に破砕される。さらに、血栓300は、膜体190によっても破砕される。膜体190によって破砕される血栓301は、螺旋部61により破砕される血栓301よりも小さい。螺旋部61により大きく破砕された血栓301が、膜体190により押し潰されて細かく破砕される現象も生じ、破砕が効果的に行われる。破砕された血栓301は、開口部162に吸引されて除去される。
血栓300の近位側まで破砕部60を移動させた後、シャフト外管161をカバー部175に近づける。これにより、カバー部175によって血管内で滞留する血栓301を開口部162から吸引して除去できる。次に、血栓301の吸引を停止し、シャフト外管161とシャフト内管30の往復動や回転動を停止する。この後、医療デバイス180および規制器具171を血管から抜去し、処置が完了する。
次に、第4実施形態に係る医療デバイス180の使用方法の他の例を説明する。ここでは、血栓300を、上流側から破砕して吸引する場合を説明する。
まず、前述した方法と同様に、血管の血栓300よりも上流側から保護器具170を挿入し、血栓300の遠位側でカバー部175および拡張部174を拡張させて固定する。この後、ワイヤ部177をガイドとして医療デバイス180を血栓300の上流側に到達させ、図27(A)に示すように、破砕部60および膜体190を拡張させる。
次に、回転駆動部70(図1を参照)によりシャフト外管161を回転させると、破砕部60もそれに伴って回転する。この状態で、破砕部60を遠位側へ移動させ、破砕部60に固定された膜体190を血管内で固着した状態の血栓300に接触させる。なお、血栓300を破砕する際には、必要に応じて、破砕部60の進退を繰り返してもよい。さらに、シリンジ100の押し子(図1を参照)を引き、開口部162に吸引力を発生させる。
血栓300は、図27(B)に示すように、膜体190と接触する遠位側から徐々に破砕される。さらに、血栓300は、螺旋部61によっても破砕される。膜体190によって破砕される血栓301は、螺旋部61により破砕される血栓301よりも小さい。破砕された血栓301は、開口部162に吸引されて除去される。
血栓300の近位側まで破砕部60を移動させた後、シャフト外管161をカバー部175に近づける。これにより、カバー部175によって血管内で滞留する血栓301を開口部162から吸引して除去できる。次に、血栓301の吸引を停止し、シャフト外管161とシャフト内管30の往復動や回転動を停止する。この後、医療デバイス180および規制器具171を血管から抜去し、処置が完了する。
以上のように、第4実施形態に係る医療デバイス180は、破砕部60の膜体190が設けられない部位により血栓300を大きく破砕できるとともに、破砕部60に支持された膜体190により血栓300を押し潰すように小さく破砕できる。このため、2種類の異なる破砕を組み合わせることができ、生体管腔に生じる血栓300をバランスよく効果的に破砕できる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、膜体は、破砕部60の遠位部または近位部の略半分を覆っているが、膜体が破砕部60を覆う範囲は、限定されない。したがって、図28(A)に示す第1の変形例のように、膜体200は、破砕部60の大径部63よりも遠位側の部位のみを覆ってもよい。また、図28(B)に示す第2の変形例のように、膜体201は、破砕部60の遠位側端部から大径部63よりも近位側の位置までを覆ってもよい。また、図29(A)に示す第3の変形例のように、膜体202は、破砕部60の近位側端部から大径部63よりも遠位側の位置までを覆ってもよい。また、図29(B)に示す第4の変形例のように、膜体203は、破砕部60の大径部63よりも近位側の部位のみを覆ってもよい。
また、図30(A)に示す第5の変形例のように、膜体204は、破砕部60の大径部63よりも近位側の部位および遠位側の部位の2か所を覆ってもよい。また、図30(B)に示す第6の変形例のように、膜体205は、破砕部60の大径部63を含む略中央部を覆ってもよい。また、図31に示す第7の変形例のように、膜体207は、破砕部60の大径部63よりも近位側の部位および遠位側の部位の2か所を覆い、開口部22が破砕部60に囲まれる範囲の遠位部に位置してもよい。
また、図32に示す第8の変形例のように、膜体208は、破砕部60の周方向の一部(図では180度の範囲)のみを覆ってもよい。これにより、破砕部60および膜体208を回転させることで、物体に対して接触する位置が、破砕部60または膜体208に変化する。これにより、物体の同じ部位に、異なる破砕力を作用させることができ、バランスよく破砕を行うことができる。膜体208の凹状の螺旋部61に支持されない部位は、軸方向において、膜体208と破砕部60の近位部から大径部63に向けて隣接する螺旋部61の距離が大きくなる。また、凹状の螺旋部61に支持されない部位は、軸方向に長さを有し、破砕部60の中心軸に対して角度を有している。凹状の螺旋部61に支持されない部位は、軸方向に螺旋形状である。凹状の螺旋部61に支持されない部位は、径方向において、膜体208と破砕部60の近位部から大径部63に向けて距離が大きくなる。ただし、膜体208が、破砕部60の周方向の180度の範囲のみを覆っているため、凹状の螺旋部61に支持されない部位は、180度以下の螺旋形状である。したがって、凹状の螺旋部61に支持されない部位は、膜体208が設けられない位置において途切れる。螺旋部61の間隙が周方向に小さい膜体208と破砕部60の近位部(または遠位部)から接触した血栓300は、細かい血栓301に押し潰される。また、血栓301は膜体208と破砕部60の近位部から膜体208と破砕部60の間隙が大きい中央部に、螺旋状に移動しながら押し潰される。また、膜体208は、周方向の途中で途切れているため、膜体208の途切れた縁部が血栓300に接触して、血栓301を切断するように破砕できる。
また、図33に示す第9の変形例のように、膜体209は、破砕部60の周方向に複数に分かれる部位(図では3か所)を覆ってもよい。
また、血栓を吸引するための開口部の形状、数および位置も、特に限定されない。例えば、図34に示す変形例のように、シャフト外管の軸方向に沿って開口部210、211が複数設けられてもよい。開口部210、211の大きさは、同じであってもよいが、異なってもよい。例えば、膜体40に導かれて血栓がより多く流入する遠位側の開口部210を、近位側の開口部211よりも大きくしてもよい。また、図35に示す他の変形例のように、開口部212は、膜体40に導かれて血栓がより多く流入する遠位側で幅が大きくなってもよい。
また、上述した実施形態では、破砕部60の遠位側にスライド部50が設けられてシャフト部に対してスライド可能となっているが、破砕部の近位側にスライド部が設けられてもよい。
また、上述した各々の実施形態では、シャフト部の内部に、血栓301を切断しつつ吸引する切断部31が設けられているが、シャフト部の内部に血栓301を切断する切断部31が設けられなくてもよい。また、シャフト部は、血栓301を吸引する機能を有しなくてもよい。この場合、破砕された血栓301は、シャフト部を収容する外シース90または他のシースにより吸引され得る。また、シャフト外管の内部に、シャフト内管を設けずに、ガイドワイヤルーメンを配置することもできる。この場合、シャフト外管の遠位部の外周面に、ガイドワイヤルーメンを有する別途の先端チューブを設けなくてもよい。したがって、スライド部50のスリット58にスライド可能に嵌合する凸部は、中空の先端チューブではなく、軸心方向に延在する中実の部材であってもよい。凸部は、シャフト外管と一体的に構成されてもよい。
また、医療デバイス10が挿入される生体管腔は、血管に限定されず、例えば、脈管、尿管、胆管、卵管、肝管等であってもよい。
10、120、150、180 医療デバイス、
20、140、160 シャフト部、
22、142、162、210、211、212 開口部、
25 先端チューブ(凸部)、
30 シャフト内管、
31 切断部、
40、130、190、200、201、202、203、204、205、207、208、209 膜体、
41、131 縁部、
50 スライド部、
60 破砕部、
61 螺旋部(線材)、
63 大径部、
90 外シース(シース)、
300、301、302 血栓。

Claims (8)

  1. 生体管腔に挿入されて当該生体管腔の物体を破砕するための医療デバイスであって、
    長尺なシャフト部と、
    前記シャフト部の遠位部に連結され、複数の間隙を有するように複数の線材により全体として筒状に構成されて前記シャフト部の径方向へ拡張可能な破砕部と、
    前記破砕部が拡張した状態で、前記破砕部の一部の前記間隙を塞ぎ、前記間隙から前記シャフト部の径方向内側へ向かって突出するように変形可能な膜体と、を有する医療デバイス。
  2. 前記シャフト部は回転可能であり、前記シャフト部の回転によって当該シャフト部に連結される前記破砕部および膜体が回転する請求項1に記載の医療デバイス。
  3. 前記膜体の前記線材に支持されない部位は、前記シャフト部の軸方向に沿って螺旋状であり、前記膜体および前記線材の近位部または遠位部よりも、前記破砕部の径が大きくなる中央部において、隣接する前記線材の間の距離が大きい請求項1または2に記載の医療デバイス。
  4. 前記膜体は、前記シャフト部の軸方向に沿って前記破砕部に対して部分的に設けられる請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  5. 前記膜体は、前記シャフト部の周方向に沿って前記破砕部に対して部分的に設けられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  6. 請求項1に記載の医療デバイスを使用して生体管腔の病変部に生じた物体を破砕するための処置方法であって、
    前記シャフト部を生体管腔内へ挿入するステップと、
    前記破砕部を前記膜体とともに拡張させるステップと、
    前記破砕部を前記膜体とともに移動させて、前記破砕部により前記物体を破砕するとともに、前記破砕部に支持された前記膜体により前記物体を破砕するステップと、を有する処置方法。
  7. 前記物体を破砕するステップにおいて、前記シャフト部を回転させて前記破砕部および膜体を回転させつつ近位側または遠位側へ移動させ、前記破砕部または前記破砕部に支持された膜体により前記物体を破砕する請求項6に記載の処置方法。
  8. 前記膜体により前記物体を破砕することは、前記膜体の外表面の外側に前記物体を維持しつつ、前記膜体と血管壁の間で前記物体を押し潰すことである請求項6または7に記載の処置方法。
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