以下、本発明に係る現像剤補給容器を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置
図1は、本実施例の現像剤補給容器が着脱可能に装着される現像剤補給装置が搭載された画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いた複写機である。
画像形成装置100は、ドラム型の感光体(電子写真感光体)104を有する。感光体104は、図1中の矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。感光体104の周りには、帯電手段としての帯電器203、現像手段としての現像器201、クリーニング手段としてのクリーナ部202などの画像形成プロセス機器が配置されている。
また、画像形成装置100は、原稿台ガラス102を有し、この原稿台ガラス102上に原稿Gが置かれる。そして、原稿Gの画像情報に応じた光像が、光学部103の複数のミラーMとレンズLnとによって、予め帯電器203によって一様に帯電された感光体104上に結像されることにより、感光体104上に静電潜像(静電像)が形成される。感光体104上に形成された静電潜像は、乾式の現像器(1成分現像器)201により、現像剤(乾式粉体)としてのトナー(1成分磁性トナー)を用いて現像(可視化)され、感光体104上にトナー像(現像剤像)が形成される。
画像形成装置100には、記録媒体(以下、「シート」ともいう。)Pを収容するカセット105〜108が設けられている。これらカセット105〜108のうち、画像形成装置100に設けられた操作部(図示せず)などからユーザなどの操作者によって入力された情報や、原稿Gのサイズに基づいて選択されたカセットから、シートPが給送される。記録媒体としては、記録用紙、OHPシートなどが適宜使用される。給送分離装置105A〜108Aにより搬送された1枚のシートPが、搬送部109を経由してレジストローラ110まで搬送される。そして、このシートPが、感光体104の回転や光学部103のスキャンのタイミングと同期がとられて転写部に搬送される。
転写部では、転写帯電器111、分離帯電器112が感光体104に対向して配置されている。感光体104上に形成されたトナー像は、転写部において転写帯電器111によってシートPに静電的に転写される。転写後に感光体104上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーナ部202によって感光体104上から除去されて回収される。そして、トナー像の転写されたシートPは、分離帯電器112によって感光体104から分離される。感光体104から分離されたシートPは、搬送部113により定着部114へと搬送され、定着部114において熱及び圧によりトナー像が定着(溶融固着)される。
その後、片面コピーの場合には、シートPは、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により画像形成装置100の装置本体101の外部に設けられた排出トレイ117へ排出される。また、両面コピーの場合には、シートPは、排出反転部115を通り、一度排出ローラ116により一部が装置本体101の外部へ排出される。そして、このシートPは、その終端がフラッパ118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングで、フラッパ118が制御されると共に排出ローラ116が逆回転されることにより、再度装置本体101の内部へと搬送される。その後、このシートPは、再給送搬送部119、120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
2.現像器
次に、本実施例における現像器201について更に説明する。図2は、本実施例における現像器201の要部の概略断面図である。
図1及び図2に示すように、現像器201は、現像容器201a、現像ローラ201f、撹拌部材201c、及び送り部材201d、201eを有する。本実施例では、現像器201には、後述する現像剤補給容器(トナーカートリッジ)1が装着された現像剤補給装置20から、現像剤Tとして1成分磁性トナーが補給される。
現像器201に補給された現像剤Tは、撹拌部材201cにより撹拌され、送り部材201d、201eにより現像ローラ201fに送られて、現像ローラ201fにより感光体104に供給される。
また、現像器201には、現像ローラ201f上の現像剤Tのコート量を規制する現像ブレード201gが現像ローラ201fに接触して配置されている。また、現像器201には、現像ローラ201fと現像容器201aとの間からの現像剤Tの漏れを防止するために、漏れ防止シート201hが現像ローラ201fに接触して配置されている。
なお、本実施例では、現像器201は1成分現像器であり、現像剤補給容器1から現像器201に補給する現像剤Tは1成分磁性トナーであるが、これに限定されるものではない。具体的には、現像器201は、1成分非磁性トナーを用いて現像を行う1成分現像器であってもよく、この場合現像器201には現像剤Tとして1成分非磁性トナーを補給することになる。また、現像器201は、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した2成分現像剤を用いて現像を行う2成分現像器であってもよく、この場合現像器201には現像剤Tとして非磁性トナーを補給することになる。なお、この場合、現像剤Tとして非磁性トナーと共に磁性キャリアも併せて補給する構成としても構わない。
3.現像剤補給装置
次に、現像剤補給装置20について説明する。図3(a)は、現像剤補給容器1が装着される現像剤補給装置20の装着部20aの斜視図、図3(b)は、装着部20aの断面図である。また、図4は、駆動系及び制御系の模式図と共に示す、現像剤補給容器1が装着された現像剤補給装置20の部分断面図である。
現像剤補給装置20は、現像剤補給容器1が取り外し可能(着脱可能)に装着される装着部(装着スペース)20aと、現像剤補給容器1から排出された現像剤を一時的に貯留するホッパ20bと、を有する。
現像剤補給容器1は、装着部20aに対して図3(b)中の矢印M方向に装着される。つまり、現像剤補給容器1は、その長手方向(回転軸線方向)がほぼこの矢印M方向と一致するように装着部20aに装着される。なお、この矢印M方向は、後述する図8中の矢印X方向(現像剤搬送方向)と実質的に平行である。また、現像剤補給容器1の装着部20aからの取り出し方向は、この矢印M方向とは反対方向となる。
装着部20aは、現像剤補給容器1が装着された際に現像剤補給容器1のフランジ部4(図7(a)参照)と当接することでフランジ部4の回転方向への移動を規制するための回転方向規制部(保持機構)21を有する。また、装着部20aは、現像剤補給容器1が装着された際に、現像剤補給容器1に設けられた孔である排出口4a(図7(b)参照)と連通し、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受入れるための孔である現像剤受入れ口23を有する。現像剤補給容器1の排出口4aから排出された現像剤が、現像剤受入れ口23を通してホッパ20bへと供給される。本実施例では、現像剤受入れ口23の直径は、装着部20a内の現像剤による汚れを抑制するべく、現像剤受入れ口23を微細口(ピンホール)とするために、3.0mmに設定されている。なお、現像剤受入れ口23の直径は排出口4aから現像剤が排出できる直径であればよい。ホッパ20bは、図4に示すように、現像器201へ現像剤を搬送するための搬送スクリュー20b1と、現像器201と連通した開口20b2と、ホッパ20b内に収容されている現像剤の量を検出する残量センサ20b3と、を有する。
また、装着部20aは、図3(a)、(b)に示すように、駆動機構(駆動部)として機能する駆動ギア300を有する。この駆動ギア300は、図4に示すように駆動モータ500から駆動ギア列を介して回転駆動力が伝達され、装着部20aにセットされた状態の現像剤補給容器1に対し回転駆動力を付与する。また、駆動モータ500は、図4に示すように制御装置(CPU)600によりその動作を制御される。制御装置600は、図4に示すように、残量センサ20b3から入力された現像剤残量情報に基づき、駆動モータ500の動作を制御する。なお、本実施例では、駆動ギア300は、駆動モータ500の制御を簡易化するため、一方向にのみ回転するように設定されている。つまり、制御装置600は、駆動モータ500について、そのオン(作動)/オフ(非作動)のみを制御する。したがって、駆動モータ500(駆動ギア300)を正方向と逆方向とに周期的に反転させることで得られる反転駆動力を現像剤補給容器1に付与する構成と比べて、現像剤補給装置20の駆動機構の簡易化を図ることができる。
本実施例では、装着部20a、ホッパ20b、駆動モータ500、制御装置600などを有して現像剤補給装置20が構成され、その装着部20aに現像剤補給容器1が着脱可能に装着される。
4.現像剤補給容器の装着/取り出し方法
次に、現像剤補給容器1の装着/取り出し方法について説明する。
まず、操作者が、装置本体101に設けられた交換カバー(図示せず)を開き、現像剤補給容器1を現像剤補給装置20の装着部20aへ挿入して、装着する。この装着動作に伴い、現像剤補給容器1のフランジ部4が現像剤補給装置20に保持されて、固定される。その後、操作者が交換カバーを閉じることで、装着工程が終了する。その後、制御装置600が駆動モータ500を制御することにより、駆動ギア300を適宜のタイミングで回転させる。
一方、現像剤補給容器1内の現像剤が空になった場合には、操作者が交換カバーを開き、装着部20aから現像剤補給容器1を取り出す。そして、予め用意してある新しい現像剤補給容器1を装着部20aへと挿入して、装着し、交換カバーを閉じることにより、現像剤補給容器1の取り出しから再装着に至る交換作業が終了する。
5.現像剤補給制御
次に、現像剤補給装置20による現像剤補給制御について説明する。図5は、制御系による現像剤補給制御の流れを説明するフローチャート図である。この現像剤補給制御は、制御装置(CPU)600により各種機器を制御することにより実行される。
本実施例では、残量センサ20b3の出力に応じて制御装置600が駆動モータ500の作動/非作動の制御を行うことにより、ホッパ20b内に一定量以上の現像剤が収容されないようになっている。
具体的には、まず、残量センサ20b3がホッパ20b内の現像剤量(現像剤残量、現像剤収容量)をチェックする(S100)。そして、制御装置600は、残量センサ20b3により検出された現像剤量が所定量未満であると判定した場合、駆動モータ500を駆動し、一定時間、現像剤補給動作を実行させる(S101)。なお、制御装置600は、残量センサ20b3により現像剤が検出されなかった場合、残量センサ20b3により検出された現像剤量が所定量未満であると判定する。制御装置600は、この現像剤補給動作の結果、現像剤センサ20b3により検出された現像剤量が所定量に達したと判定した場合、駆動モータ500の駆動をオフし、現像剤補給動作を停止させる(S102)。なお、制御装置600は、現像剤センサ20b3により現像剤が検出された場合、現像剤センサ20b3により検出された現像剤量が所定量に達したと判定する。この補給動作の停止により、一連の現像剤補給制御が終了する。このような現像剤補給制御は、画像形成に伴い現像剤が消費されてホッパ20b内の現像剤量が所定量未満となると、繰り返し実行される。
なお、本実施例では、現像剤補給装置20は、現像剤補給容器1から排出された現像剤をホッパ20b内に一時的に貯留し、その後現像器201へ補給する。しかし、これに限定されるものではなく、次のような構成としても良い。具体的には、図6に示すように、上述したホッパ20bを省き、現像剤補給容器1から現像器へ直接的に現像剤Tを補給する構成である。図6に示す例は、現像器として2成分現像器800を用いた例である。この現像器800は、現像剤Tが補給される攪拌室と、現像スリーブ800aへ現像剤Tを供給する現像室と、を有しており、攪拌室と現像室とにはそれぞれ現像剤搬送方向が互いに逆向きとなる攪拌スクリュー800bが設置されている。そして、攪拌室と現像室とは長手方向の両端部において互いに連通しており、現像剤Tはこれらの2つの室を循環搬送される。また、攪拌室には現像剤T中のトナー濃度を検出する磁気センサ800cが設置されており、この磁気センサ800cの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の動作を制御する。この構成の場合、現像剤補給容器1から補給される現像剤Tは、非磁性トナー、又は非磁性トナー及び磁性キャリアとなる。
本実施例では、現像剤補給容器1内の現像剤は、排出口4aから重力作用のみではほとんど排出されず、後述するポンプ部6による吸排気動作によって排出口4aから排出されるため、現像剤の排出量のばらつきを抑えることができる。したがって、上述の図6の例のようにホッパ20bを省いた場合でも、現像器に現像剤を安定的に補給することが可能である。
6.現像剤補給容器の構成
次に、図7、図8を参照して、現像剤補給容器1の構成について説明する。図7(a)は、現像剤補給容器1の全体斜視図、図7(b)は、現像剤補給容器1の排出口4aの周辺の部分拡大図である。また、図8(a)は、現像剤補給容器1の部分断面斜視図、図8(b)は、図8(a)中の部分Aの拡大斜視図である。
現像剤補給容器1は、中空円筒状に形成され、内部に現像剤を収容する内部空間(現像剤収容空間)を備えた収容室(現像剤収容部)2を有している。つまり、収容室2は、後述する搬送突起2aや押圧部2cが形成された概略円筒状の円筒部2bで構成されている。また、現像剤補給容器1は、収容室2の長手方向(現像剤搬送方向)の一端側に非回転部であるフランジ部4を有する。収容室2は、フランジ部4に対して相対回転可能とされている。フランジ部4は、上述した排出口4a、後述するシャッタ4b、排出室4(現像剤排出部)c、往復部材5、ポンプ部6などを有して構成されている。
なお、収容室2の断面形状を、後述する現像剤補給工程における回転動作に影響を与えない範囲内において非円形状、例えば、楕円形状や多角形状としても構わない。
本実施例では、現像剤補給容器1は、これが現像剤補給装置20に装着された状態で収容室2と排出室4cとが現像剤搬送方向(図8中の矢印X方向)に並ぶように構成されている。つまり、収容室2は、現像剤搬送方向の長さが鉛直方向長さよりも充分に長く、その現像剤搬送方向下流側が排出室4cと接続されている。したがって、現像剤補給容器1が現像剤補給装置20に装着された状態で、排出室4cの鉛直上方に収容室2が位置するような構成と比べて、排出口4aの上に存在する現像剤の量を少なくすることができる。そのため、排出口4aの近傍の現像剤が圧密され難く、後述する吸排気動作を円滑に行うことが可能となる。
7.現像剤補給容器の材質
本実施例では、現像剤補給容器1は、ポンプ部6により現像剤補給容器1内の容積を変化させることにより、排出口4aから現像剤を排出させる構成となっている。そのため、現像剤補給容器1の材質としては、容積の変化に対して大きく潰れてしまったり、大きく膨らんでしまったりしない程度の剛性を有するのが好ましい。また、本実施例では、現像剤補給容器1は、外部とは実質的に排出口4aを通じてのみ連通しており、排出口4aを除き外部から密閉されている。つまり、本実施例では、ポンプ部6により現像剤補給容器1の容積を減少、増加させて排出口4aから現像剤を排出するので、現像剤補給容器1には安定した排出性能が保たれる程度の気密性が求められる。そこで、本実施例では、収容室2を構成する円筒部2bの材質をPET樹脂とし、排出室4cの材質をポリスチレン樹脂とし、ポンプ部6の材質をポリプロピレン樹脂としている。
なお、円筒部2b及び排出室4cの材質としては、容積変化に耐えうる素材であれば、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの他の樹脂を使用することも可能である。また、円筒部2b及び排出室4cは、金属製であっても構わない。また、ポンプ部6の材質としては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤補給容器1の容積を変化させることができる材料であれば良い。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレンなどを肉薄で形成したものでも構わない。また、ポンプ部6の材質としては、ゴムやその他の伸縮性材料などを使用することも可能である。
また、ポンプ部6、円筒部2b、排出室4cは、それぞれが上述した機能を満たすのであれば、樹脂材料の厚みを調整するなどしてそれぞれを同じ材質で、例えば、射出成形法やブロー成形法などを用いて一体的に成形しても構わない。
8.フランジ部
図8(a)に示すように、フランジ部4には、収容室2(円筒部2b)から搬送されてきた現像剤を一時的に収容するための中空の排出室4cが設けられている。この排出室4cの底部には、現像剤補給容器1の外への現像剤の排出を許容するための、つまり、排出室4cから現像剤補給装置20のホッパ20bへ現像剤を補給するための、小さな排出口4aが形成されている。排出口4aの上部には、排出前の現像剤を一定量貯留可能な現像剤貯留部4dが設けられている。
また、フランジ部4には、排出口4aを有するシャッタ4bが設けられている。このシャッタ4bは、現像剤補給容器1の装着部20aへの装着動作に伴い、装着部20aに設けられた突き当て部31(図3(a)参照)と突き当たる。したがって、シャッタ4bは、現像剤補給容器1の装着部20aへの装着動作に伴い、収容室2の回転軸線方向に沿って矢印X方向とは逆方向へ現像剤補給容器1に対して相対的にスライドする。なお、この一連の動作が終了したとき、シャッタ4bに設けられた排出口4aは現像剤貯留部4dの下部に移動されている。そして、この時点で、排出口4aは図3(b)に示す装着部20aの現像剤受入れ口23と位置が合致している。そのため、排出口4aと現像剤受入れ口23とが互いに連通した状態となり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置20のホッパ20bへの現像剤の補給が可能な状態となる。シャッタ4bと現像剤貯留部4dとの間には、開口シール7aが設けられている。
また、フランジ部4は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置20の装着部20aに装着されると、実質的に不動となるように構成されている。具体的には、現像剤補給装置20には、フランジ部4が自ら収容室2の回転方向へ回転することがないように、図3(a)に示す回転方向規制部21が設けられている。したがって、現像剤補給容器1が現像剤補給装置20に装着された状態では、フランジ部4に設けられている排出室4cも、収容室2の回転方向へ回転することが実質的に阻止された状態となる(ガタ程度の移動は許容する)。一方、収容室2は、現像剤補給装置20により回転方向への規制は受けることなく、現像剤補給工程において回転する。
また、フランジ部4には、図8(a)に示すように、収容室2から後述するように螺旋状の凸部(搬送突起)2aにより搬送されてきた現像剤を排出室4cへと搬送するための、板状の搬送部材8が設けられている。この搬送部材8は、収容室2の一部の領域を略2分割するように設けられており、収容室2と共に一体的に回転する。そして、この搬送部材8には、その両面に収容室2の回転軸線方向に対し排出室4c側に傾斜した傾斜リブ8aが複数設けられている。この構成により、搬送突起2aにより搬送されてきた現像剤は、収容室2の回転に連動してこの板状の搬送部材8により鉛直方向下方から上方へと掻き上げられる。その後、現像剤は、収容室2の回転が進むに連れて重力によって搬送部材8の表面上を滑り落ち、やがて傾斜リブ8aによって排出室4c側へと受け渡される。本実施例では、この傾斜リブ8aは、収容室2が半周する毎に現像剤が排出室4cへと送り込まれるように、搬送部材8の両面に設けられている。
また、フランジ部4には、排出室4cと収容室2との間をシールするフランジシール7bの移動を規制する規制部9(図8(b)、図11参照)が設けられている。この規制部9の詳細については後述する。
9.収容室(円筒部)
図7(a)、図8(a)に示すように、収容室2(円筒部2b)には、そこに収容された現像剤を自らの回転に伴い排出室4c(排出口4a)に向けて搬送するための、螺旋状に突出した搬送突起2aが設けられている。本実施例では、収容室2は、上述した材質の樹脂を用いてブロー成型法により形成されている。
なお、現像剤補給容器1の容積を大きくし充填量を増やそうとした場合、現像剤収容空間としての排出室4cの容積を高さ方向に大きくする方法が考えられる。しかし、このような構成とすると、現像剤の自重により排出口4aの近傍の現像剤への重力作用がより増大してしまう。その結果、排出口4aの近傍の現像剤が圧密されやすくなり、排出口4aを介した吸気/排気の妨げとなる。この場合、排出口4aからの吸気で圧密された現像剤を解す、又は排気で現像剤を排出させるためには、ポンプ部6の容積変化量を更に大きくしなければならなくなる。しかし、その場合、ポンプ部6を駆動させるための駆動力も増加し、装置本体101への負荷が過大になるおそれがある。これに対し、本実施例では、収容室2を排出室4cに対し水平方向に並べて設置して、収容室2の容積により充填量を調整しているため、現像剤補給容器1内における排出口4a上の現像剤層の厚さを薄く設定することができる。これにより、重力作用により現像剤が圧密されにくくなるため、装置本体101の負荷を過大とすることなく、安定した現像剤の排出が可能になる。
また、図8(b)に示すように、排出室4cの矢印X方向上流側の端部に設けられた弾性部材設置面4eには、リング状の弾性部材であるフランジシール7bが、作業性を上げるために粘着材(本実施例では両面テープ)7cで固定されている。弾性部材設置面4eは、排出室4cの開口をリング状に取り囲んで配置されている。そして、収容室2は、矢印X方向下流側の先端に設けられた押圧部2cがフランジシール7bを圧縮した状態で、フランジ部4に対して相対回転可能に保持されている。押圧部2cは、収容室2の開口をリング状に取り囲んで配置されている。これにより、収容室2(押圧部2c)がフランジシール7bと摺動しながら回転するため、回転中において排出室4cと収容室2との相対回転部から現像剤が漏れることなく、また気密性が保たれる。つまり、排出口4aを介した空気の出入りが適切に行われるようになり、補給中における現像剤補給容器1の容積変化を所望の状態にすることができる。
10.ポンプ部
本実施例では、ポンプ部6は、排出口4aを介して吸気動作と排気動作とを交互に行わせる吸排気機構として機能する。言い換えると、ポンプ部6は、排出口4aを通して現像剤補給容器1の内部に向かう気流と現像剤補給容器1から外部に向かう気流とを交互に繰り返し発生させる気流発生機構として機能する。
ポンプ部6は、図8(a)に示すように、排出室4cの矢印X方向下流側に設けられている。そして、ポンプ部6は、排出室4cに固定されているため非回転である。また、ポンプ部6は、その内部に現像剤を収容可能な現像剤収容空間を有している。このポンプ部6内の現像剤収容空間は、後述する吸気動作時における現像剤の流動化に大きな役割を担っている。
本実施例では、ポンプ部6は、往復動に伴いその容積が可変な樹脂製の容積可変型ポンプ部(蛇腹状ポンプ)で構成されている。具体的には、ポンプ部6は、蛇腹状のポンプであり、「山折り」部と「谷折り」部とが周期的に交互に複数形成されている。したがって、このポンプ部6は、後述するように現像剤補給装置20から受けた駆動力により、圧縮、伸張を交互に繰り返し行うことができる。このポンプ部6により、現像剤補給容器1の容積を所定の周期で交互に繰り返し変化させることができる。その結果、小径(直径が約2.5mm)の排出口4aから排出室4c内にある現像剤を効率良く排出させることが可能となる。
11.駆動受け機構
現像剤補給容器1には、現像剤補給装置20の駆動機構(駆動部)として機能する駆動ギア300と係合(駆動連結)可能な、駆動受け機構(駆動入力部、駆動力受け部)として機能するギア部3aが設けられている。このギア部3aは、収容室2と一体的に回転可能なように収容室2に固定された駆動受け部材3に設けられている。したがって、駆動ギア300からギア部3aに入力された回転駆動力により、ギア部3aと収容室2とが一体的に回転することで、収容室2内に収容された現像剤を排出室4cに搬送することができる。
本実施例では、ギア部3aは、矢印X方向において収容室2の略中央より下流側に設けてられている。しかし、これに限定されるものではなく、例えば矢印X方向において収容室2の略中央より上流側の端部に設けられていても構わない。この場合、対応する位置に駆動ギア300が設置されることになる。
また、本実施例では、現像剤補給容器1の駆動入力部と現像剤補給装置20の駆動部との間の駆動連結機構としてギア機構を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば利用可能な任意のカップリング機構を用いるようにしても構わない。具体的には、現像剤補給容器1の駆動入力部として非円形状の凹部を設け、現像剤補給装置20の駆動部としてその凹部と対応した形状の凸部を設け、これらが互いに駆動連結する構成とすることができる。
12.駆動変換機構
次に、図9を参照して、現像剤補給容器1の駆動変換機構(駆動変換部)について説明する。図9(a)は、ポンプ部6が使用上最大限伸張された状態の部分側面図、図9(b)はポンプ部6が使用上最大限収縮された状態の部分側面図である。
現像剤補給容器1には、ギア部3aが受けた収容室2を回転させるための回転駆動力を、ポンプ部6を往復動させる方向の力へ変換する駆動変換機構として機能する、後述するカム溝3aと往復部材突起5aとで構成されるカム機構が設けられている。つまり、本実施例では、ギア部3aが受けた回転駆動力を、現像剤補給容器1側で往復動力へ変換することで、収容室2を回転させる駆動力とポンプ部6を往復動させる駆動力とを、1つの駆動入力部(ギア部3a)で受ける構成としている。これにより、現像剤補給容器1に駆動入力部を2つ別々に設ける場合と比べて、現像剤補給容器1の駆動入力機構の構成を簡易化することが可能となる。また、現像剤補給装置20の1つの駆動部(駆動ギア300)から駆動を受ける構成としているため、駆動部を2つ別々に設ける場合と比べて、現像剤補給装置20の駆動機構の構成を簡易化することが可能となる。
図9に示すように、本実施例では、現像剤補給容器1は、回転駆動力をポンプ部6の往復動力に変換するための部材としての往復部材5を有する。具体的には、現像剤補給容器1は、ギア部3aと一体となって回転する駆動受け部材3の全周に設けられたカム溝3bを有する。このカム溝3bについては後述する。また、現像剤補給容器1は、非回転かつ矢印X方向に沿ってスライド移動可能な往復部材5を有する。この往復部材5の腕部5bから一部が突出して形成された往復部材突起5aが、カム溝3bと係合している。そのため、収容室2が回転すると、カム溝3bに沿って矢印X方向又はその逆方向へ往復部材突起5aが往復動する。そして、この往復動は、ポンプ部6の係合部6aと往復部材5に設けられた係合部5cとが係合しているため、ポンプ部6の往復動力となる。なお、往復部材5は、収容室2の回転方向へ自らが回転することがないように(ガタ程度は許容する)規制されている。
つまり、駆動ギア300から入力された回転駆動力でカム溝3bが回転することで、カム溝3bに沿って往復部材突起5aが矢印X方向又はその逆方向に往復動作をする。そのため、ポンプ部6は、往復部材5と一体となって、伸張した状態(図9(a))と、収縮した状態(図9(b))と、を交互に繰り返し、現像剤補給容器1の容積を変化させることができる。
なお、往復部材突起5aは、少なくとも1つ設けられていればよい。ただし、ポンプ部6の伸縮時の抗力により駆動変換機構などにモーメントが発生し、スムーズな往復動が行われないおそれがあるため、後述するカム溝3bの形状との関係が破綻しないよう複数個設けるのが好ましい。本実施例では、2つの往復部材突起5aが現像剤補給容器1の周方向に約180°隔てて対向するように配置されており、これらの往復部材突起5aがカム溝3bと係合している。
13.駆動変換機構の配置位置
本実施例では、図9に示すように、駆動変換機構(往復部材突起5aとカム溝3bにより構成されるカム機構)を、収容室2の外部に設けている。つまり、駆動変換機構を、現像剤収容空間として機能する収容室2、排出室4c、ポンプ部6の内部に収容された現像剤と接触することが無いように、収容室2、排出室4c、ポンプ部6の内部空間から隔てられた位置に設けている。これにより、駆動変換機構を現像剤収容空間に設けた場合に想定される問題を解消することができる。つまり、駆動変換機構の摺擦箇所への現像剤の侵入により、現像剤の粒子に熱と圧が加わって軟化していくつかの粒子同士がくっついて大きな塊(粗粒)となることや、変換機構への現像剤の噛み込みによりトルクアップするのを防止することができる。
14.現像剤補給工程
次に、現像剤補給容器1から現像剤補給装置20への現像剤補給工程について説明する。
14−1.カム溝の設定条件
まず、図10を参照して、カム溝3bの設定条件について説明する。図10は、図9に示す駆動受け部材3のカム溝3bの展開図を示したものである。
図10において、矢印Aは収容室2の回転方向(カム溝3bの移動方向)、矢印Bはポンプ部6の伸張方向、矢印Cはポンプ部6の圧縮方向を示す。カム溝3bは、ポンプ部6を伸張させる際に使用する吸気カム溝3cと、ポンプ部6を圧縮させる際に使用される排気カム溝3dと、ポンプ部6を往復動作させない際に使用される停止カム溝3eと、が連続して形成された構成となっている。
14−2.現像剤補給工程の概要
次に、図9、図10を参照して、ポンプ部6による現像剤補給工程について説明する。本実施例では、ポンプ部6の動作による吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)及び排気工程(排出口4aを介した排気動作)と、ポンプ部6が非動作の動作停止工程(排出口4aを介した吸排気が行われない)と、が行われる。このとき、駆動変換機構が回転駆動力を往復動力へ変換する構成となっている。以下に、往復部材突起5aが上述の吸気カム溝3c、排気カム溝3d、停止カム溝3eにそれぞれ係合している状態の各現像剤補給工程を順次説明する。
14−3.吸気工程
まず、吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)について説明する。
上述した駆動変換機構(カム機構)により、ポンプ部6が最も縮んだ状態(図9(b))からポンプ部6が最も伸びた状態(図9(a))になることで、吸気動作が行われる。この吸気動作に伴い、現像剤収容空間として機能する現像剤補給容器1の内部(収容室2、排出室4c、ポンプ部6)の容積が増大する。
その際、現像剤補給容器1の内部は排出口4aを除き実質的に密閉された状態となっており、また排出口4aが現像剤で実質的に塞がれた状態となっている。そのため、現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位の容積の増加に伴い、現像剤補給容器1の内圧が減少する。このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも低くなる。そのため、現像剤補給容器1外のエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aを通って現像剤補給容器1内へと移動する。その際、排出口4aを通して現像剤補給容器1外からエアーが取り込まれるため、排出口4aの近傍に位置する現像剤を解す(流動化させる)ことができる。具体的には、排出口4aの近傍に位置する現像剤にエアーを含ませることで嵩密を低下させ、現像剤を適切に流動化させることができる。また、この際、エアーが排出口4aを介して現像剤補給容器1内に取り込まれるため、現像剤補給容器1の容積が増加しているにもかかわらず、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)近傍を推移することになる。
このように、現像剤を流動化させておくことにより、後述する排気動作時に、現像剤が排出口4aに詰まってしまうことなく、排出口4aから現像剤をスムーズに排出させることが可能となる。したがって、排出口4aから排出される現像剤の量(単位時間当たり)を、長期に亘り、ほぼ一定とすることが可能となる。
なお、吸気動作は、ポンプ部6が最も縮んだ状態から最も伸びた状態になることで行われることに限定されるものではない。例えば、ポンプ部6が最も縮んだ状態から最も伸びた状態になる途中で停止したとしても、現像剤補給容器1の内圧変化が行われれば吸気動作は行われる。つまり、吸気工程とは、往復部材突起5aが図10に示す吸気カム溝3cに係合している状態のことである。
14−4.排気工程
次に、排気工程(排出口4aを介した排気動作)について説明する。
上述した駆動変換機構(カム機構)により、ポンプ部6が最も伸びた状態(図9(a))からポンプ部6が最も縮んだ状態(図9(b))になることで、排気動作が行われる。この排気動作に伴い、現像剤収容空間として機能する現像剤補給容器1の内部(収容室2、排出室4c、ポンプ部6)の容積が減少する。その際、現像剤補給容器1の内部は排出口4aを除き実質的に密閉されており、現像剤が排出されるまでは、排出口4aが現像剤で実質的に塞がれた状態となっている。したがって、現像剤補給容器1の内部の容積が減少していくことで現像剤補給容器1の内圧が上昇する。このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも高くなるため、現像剤は現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aから押し出される。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置20へ現像剤が排出される。現像剤とともに現像剤補給容器1内のエアーも排出されていくため、現像剤補給容器1の内圧は低下する。
以上のように、本実施例では、1つの往復動式のポンプ部6を用いて現像剤の排出を効率良く行うことができるので、現像剤の排出に要する機構を簡易化することができる。
なお、排気動作は、ポンプ部6が最も伸びた状態から最も縮んだ状態になることで行われることに限定されるものではない。例えば、ポンプ部6が最も伸びた状態から最も縮んだ状態になる途中で停止したとしても、現像剤補給容器1の内圧変化が行われれば排気動作は行われる。つまり、排気工程とは、往復部材突起5aが図10に示す排気カム溝3dに係合している状態のことである。
14−5.動作停止工程
次に、ポンプ部6が往復動作しない動作停止工程について説明する。
現像剤補給装置20は、現像器が必要とする量の現像剤を現像剤補給容器1から現像器に補給する必要がある。このとき、現像剤補給容器1から排出される現像剤量を安定させるために、毎回決まった容積変化量とすることが望ましい。例えば、前述したホッパ20bを省いた構成(図6)を採用する場合、現像剤補給容器1から排出される現像剤の量が、現像器内の現像剤中のトナー濃度に直接影響を与えるため、このことは特に重要となる。
例えば、排気工程及び吸気工程のみで構成されたカム溝3bにすると、排気工程又は吸気工程の途中で駆動モータ500の駆動を停止させることになる。その際、駆動モータ500の回転が停止した後も惰性で収容室2が回転し、収容室2が停止するまでポンプ部6も連動して往復動作し続け、排気工程又は吸気工程が行われることが考えられる。惰性で収容室2が回転する距離は、収容室2の回転速度に依存する。また、収容室2の回転速度は、駆動モータ500に与えられるトルクに依存する。そして、現像剤補給容器1内の現像剤量によってモータに与えられるトルクは変化する。そのため、収容室2の速度も変化する可能性があり、ポンプ部6の停止位置を毎回同じにすることが難しくなる。
そこで、ポンプ部6を毎回決まった位置で停止させるためには、カム溝3bに、収容室2が回転動作中でもポンプ部6が往復動しない領域を設けることが好ましい。本実施例では、ポンプ部6を往復動させないために、図10に示す停止カム溝3eを設けている。停止カム溝3eは、収容室2の回転方向に沿って形成されており、収容室2が回転しても往復部材5が動かないストレート形状である。つまり、動作停止工程とは、往復部材突起5aが停止カム溝3eに係合している状態のことである。
なお、本実施例ではポンプ部6が往復動しない期間を設けたが、この期間は排出口4aから現像剤が排出されない(収容室2の回転時振動などで排出口4aから落ちてしまう現像剤は許容する)期間であればよい。したがって、停止カム溝3eは、排出口4aを通じた排気工程、吸気工程が行われなければ、回転方向に対して回転軸線方向に傾斜していても構わない。この場合、カム溝3eが傾斜していることから、ポンプ部6の傾斜分の往復動作は許容できる。
15.規制部
次に、図8、図11を参照して、本実施例における規制部9について説明する。図11(a)は、現像剤補給容器1の収容室2とフランジ部4の部分断面図、図11(b)は図11(a)中の部分Bの拡大断面図である。
図8(b)、図11(b)に示すように、排出室4cの弾性部材設置面4eに、規制部9が、収容室2の回転軸線方向に収容室2側に突出して設けられている。本実施例では、規制部9は、リング状の弾性部材であるフランジシール7bの内周面側に設けられた内周規制部9aと、フランジシール7bの外周面側に設けられた外周規制部9bと、により構成されている。
本実施例では、内周規制部9a及び外周規制部9bは、それぞれフランジシール7bの周方向に連続したリング状の突起(壁部)である。前述したように、収容室2の押圧部2cがフランジシール7bを押圧している。そのため、収容室2の回転軸線方向の面に対し規制部9(内周規制部9a、外周規制部9b)と押圧部2cを投影した場合、押圧部2cは規制部9(内周規制部9a、外周規制部9b)に挟み込まれる構成となっている。詳しくは後述するが、概略、内周規制部9aはフランジシール7bの外周側から内周側への移動を規制することができ、外周規制部9bはフランジシール7bの内周側から外周側への移動を規制することができる。なお、内周規制部9aは、フランジシール7bと対向する内壁の部分であり、外周規制部9bはフランジシール7bと対向する外壁の部分である。
本実施例では、内周規制部9a及び外周規制部9bは、それぞれフランジシール7bの内周面及び外周面と接触しない構成とされている。本実施例では、フランジシール7bが押圧部2cと接触していない状態において、内周規制部9a及び外周規制部9bのそれぞれに対して0.5mmの間隔(S1、S2)を有するように、フランジシール7bが取り付けられている。この場合、フランジシール7bと規制部9との距離(クリアランス)を、フランジシール7bが移動した(ずれた)としても押圧部2cがフランジシール7bを押圧できる距離に設定する。ただし、内周規制部9a又は外周規制部9bの少なくとも一方が、フランジシール7bの内周面又は外周面のうち対応する方と接触しても構わない。
ここで、本実施例では、規制部9はリング状のフランジシール7bの内周面及び外周面の全てを囲っているが、フランジシール7bの内周面及び外周面全てを囲わなくても構わない。つまり、フランジシール7b及び粘着材7cが移動する(ずれる)ことを抑制できる程度の凸部が排出室4cから突出していればよい。そのため、規制部9は、本実施例のようなフランジシール7bの周方向にリング状に連続して設けられたものに限定されるものではなく、フランジシール7bの周方向に一部切欠きを有して断続的に設けられたものであっても同様の効果が得られる。
次に、規制部9の高さについて説明する。図11(b)において、T1は、規制部9の高さ、すなわち、弾性部材設置面4eから規制部9の頂部までの収容室2の回転軸線方向の長さである。本実施例では、内周規制部9a及び外周規制部9bの高さT1はそれぞれ1.5mmである。また、T2は、弾性部材設置面4eから収容室2の押圧部2cの端面(フランジシール7bを最も圧縮した時の位置)までの収容室2の回転軸線方向の距離である。本実施例では、距離T2は2.0mmである。この距離T2は、弾性部材設置面4eから押圧部2cによって最も圧縮されたフランジシール7bの頂部までの高さに相当する。また、T3は、収容室2の回転軸線方向における粘着材7c及びフランジシール7bの自然長の厚さである。本実施例では、厚さT3は3.0mmである。
規制部9の高さT1が、弾性部材設置面4eから収容室2の押圧部2cの端面までの距離T2より高い場合、次のことが懸念される。前述したように、フランジ部4に対し収容室2は相対回転するため、通常、フランジ部4と収容室2との間には部品公差上のクリアランスがある。そのため、収容室2の押圧部2cは、図11(b)中の矢印Z方向(収容室2の外周側から内周側に向かう方向)及びその反対方向へ部品公差分移動する可能性がある。したがって、高さT1が距離T2より高い場合には、押圧部2cと規制部9との間の矢印Z方向及びその反対方向のクリアランスが狭くなり、押圧部2cと規制部9とが摺擦してトルクが増加する可能性がある。あるいは、押圧部2cと規制部9との間に現像剤が挟まれて、これが凝集塊となる可能性がある。そこで、高さT1は距離T2より低く設定することが好ましい。つまり、規制部9の高さT1は、フランジシール7bの押圧部2cによって最も圧縮された際の高さT2より低いことが好ましい。
次に、内周規制部9a、外周規制部9bの必要性の違いについて説明する。本実施例では、規制部9は、内周規制部9aと外周規制部9bとを有しているが、規制部9は少なくとも内周規制部9aを有していればよい。本実施例では、フランジシール7bはリング状の弾性部材であるため、フランジシール7bの内周面側と内周規制部9aとが接触することで、フランジシール7bの全方向へのズレを規制することができる。
なお、規制部9が内周規制部9aを有しておらず、外周規制部9bのみを有している場合は、次のことが懸念される。つまり、リング状のフランジシール7bの一部が内周面側に変形する力を受けた場合は、フランジシール7bの全体が内周面側へずれる場合とは異なり、フランジシール7bの一部だけにずれが発生する。この場合、外周規制部9bのみが設けられた構成では、フランジシール7bの内周面側へのずれを規制できないので、ずれたフランジシール7bの一部を押圧部2cが押圧できなくなり、現像剤が飛散する可能性がある。反対に、フランジシール7bの一部が外周面側に変形する力を受けた場合、力を受けた以外の部分のフランジシール7bは内周面側へ変形しようとする。そのため、規制部9が少なくとも内周規制部9aを有していれば、内周面側へ変形するフランジシール7bが内周規制部9aと接触することで、フランジシール7bの一部が外周面側へ変形することを規制することができる。つまり、少なくとも内周規制部9aが設けられていれば、フランジシール7bの内周面側へのずれを規制できるだけでなく、フランジシール7bの一部が外周面側にずれた場合にもそのずれを規制することができる。
ただし、本実施例のように、規制部9が内周規制部9a及び外周規制部9bの両方を有している方が、フランジシール7bのずれをより確実に規制することができるので好ましい。
このように、本実施例では、現像剤補給装置20に着脱可能な現像剤補給容器1は、現像剤を排出する排出口4aを備え、現像剤補給装置20に対して非回転である排出室4cを有する。また、現像剤補給容器1は、排出室4cに対し相対回転可能に保持され、排出室4cに供給される現像剤を収容可能な収容室2を有する。また、現像剤補給容器1は、排出室4cに設けられ、収容室2に押圧されることで、排出室4cと収容室2との間をシールするフランジシール7bを有する。また、現像剤補給容器1は、排出室4cに設けられ、フランジシール7bの内周面側でフランジシール7bの移動を規制する内周規制部9aを有する。特に、本実施例では、フランジシール7bはリング状である。そして、内周規制部9aは、フランジシール7bの周方向にリング状に連続して設けられているか、又はフランジシール7bの周方向に一部切欠きを有して断続的に設けられている。また、典型的には、内周規制部9aは、フランジシール7bとの間にクリアランスを有し得るように設けられている。この場合、該クリアランスは、フランジシール7bの移動が内周規制部9aによって規制されている状態でフランジシール7bが収容室2に押圧されるように設定されている。ただし、内周規制部9aは、フランジシール7bと接触して設けられていてもよい。また、本実施例では、内周規制部9aは、排出室4cのフランジシール7bが設けられる面4eから収容室2の回転軸線方向に収容室側に突出して設けられている。そして、本実施例では、内周規制部9aの高さはフランジシール7bの収容室2によって最も圧縮された際の高さより低い。更に、本実施例では、現像剤補給容器1は、排出室4cに設けられ、フランジシール7bの外周面側でフランジシール7bの移動を規制する外周規制部9bを更に有する。この外周規制部9bも、上記内周規制部9aと同様の構成とすることができる。
以上のように、本実施例では、規制部9がフランジシール7bの周面と接触可能に配置されている。そのため、粘着材(両面テープ)7c及びフランジシール7bが移動したとしても、その移動をフランジシール7bと規制部9とのクリアランス分だけに規制することができる。したがって、フランジシール7bを常に押圧部2cで押圧することができるため、イレギュラーな物流や苛酷環境を現像剤補給容器1が受けた場合でも、現像剤補給容器1の外部に現像剤が漏れることを抑制することができる。
16.比較例
次に、図12を参照して、比較例としての特許文献2の記載に従う現像剤補給容器1の構成について説明する。図12(a)は、比較例の現像剤補給容器1の収容室とフランジ部4の部分断面図、図12(b)は図12(a)中の部分Cの拡大断面図である。
比較例の現像剤補給容器1は、フランジシール(弾性部材)7d、粘着材(両面テープ)7e、押圧部4f、弾性部材設置面2d、規制部9の構成が異なる。その他の構成は本実施例の構成と同様である。
つまり、比較例の現像剤補給容器1では、弾性部材設置面2d、フランジシール7d及び粘着材7eは、フランジ部4と相対回転する収容室2に設けられている。そして、フランジシール7dを押圧する押圧部4fは、フランジ部4の排出室4cから突出している。
比較例では、現像剤が充填される収容室2側にフランジシール7dが設けられているため、収容部2への現像剤の充填時に現像剤がフランジシール7dに付着しやすくなる。そのため、現像剤が付着したフランジシール7dを押圧部4fで押圧することで、現像剤の噛み込みによるトルクの増加や摺動による凝集塊発生などの可能性がある。
なお、充填時に現像剤がフランジシール7dに付着しないように収容室2の充填口を反対側に設けることが考えられる。その場合、収容室2にその充填口と、排出室4cへ現像剤を搬送するための開口とを設けることになるため、充填口を塞ぐ部材を新たに設ける必要があり、コストの増加に繋がってしまう。
また、比較例では、規制部9の高さT1が弾性部材設置面2dから排出室4cの押圧部4fの端面までの距離T2より高い。したがって、フランジ部4と収容室2とのクリアランス分をフランジ部4がずれた場合、押圧部4fと規制部9とのクリアランスが狭くなる。そのため、押圧部4fが規制部9と摺擦してトルクが増加する可能性がある。あるいは、押圧部4fと規制部9との間に現像剤が挟まれて、これが凝集塊となる可能性がある。
これに対し、本実施例では、排出室4c側に粘着材(両面テープ)7c及びフランジシール7bが設けられているため、比較例におけるような収容室2への現像剤の充填時のフランジシール7bへの現像剤の付着を抑制することができる。これにより、現像剤の噛み込みによるトルク増加や凝集塊の発生を抑制することができる。また、本実施例では、規制部9の高さが上述のように設定されているため、押圧部2cと規制部9とが摺擦してトルクが増加したり、押圧部2cと規制部9との間で現像剤が凝集塊になったりすることを抑制することができる。
以上のように、本実施例によれば、現像剤補給容器1がイレギュラーな物流などにおける振動や環境影響を受けた場合であっても、粘着材7cの粘着力を高めることなく、排出室4cと収容室2との相対回転部における現像剤の飛散を抑制することができる。また、本実施例によれば、収容室への現像剤の充填時におけるフランジシール7bへの現像剤の付着を抑制し、トルクの増加や現像剤の凝集塊の発生を抑制することができる。