JP2017156341A - ベルト検尺装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ボールネジ機構を用いて所定の動的軸荷重を従動軸に付与する過程において、ベルトに予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合でも、従動軸の移動量(移動距離)の細かい制御が容易であり、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸に付与することができる、ベルト検尺装置を提供する。【解決手段】主軸21に備わる駆動プーリ2と従動軸31に備わる従動プーリ3との間にベルト10を巻き掛け、従動軸31をベルトの張架方向に移動させて、従動軸31に対して所定の動的軸荷重を付与した状態で走行させたベルトの各部の寸法を測定するベルト検尺装置1に関して、従動軸31に設けられた移動部4と移動部4をベルトの張架方向に従動させるボールネジ機構5との連結部分に、ベルト10のばね定数よりも小さいばね定数を有し、移動部4の従動動作に反発付勢力を与える付勢手段6を設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、伝動用ベルトの各部寸法を測定するための検尺装置に関するものである。
伝動用ベルトの各部寸法を測定するための一般的な検尺装置は、固定側の駆動プーリと移動側の従動プーリとを備え、この1対のプーリ間に掛け渡された伝動用ベルト(無端状のベルト、以下ベルト)に、従動プーリを移動させて所定の張力を付与した後、ベルトを慣らし走行させた状態で、ベルトの各部寸法を測定するものである。
従来、ベルトに所定の張力を付与するベルト検尺装置としては、従動プーリが取付けられる軸(以下、従動軸)を介して重錘が吊下げられ、所定の検尺荷重がベルトに付与される方式(以下、デッドウェイト式)が代表的である(例えば、特許文献1)。
また、最近のベルト検尺装置にあっては、ベルトの長さの測定以外に、幅、厚み、反り、蛇行量、更には歯付ベルトの歯ピッチ、Vベルトのライドアウト等々、その測定項目およびその測定技術は多様化している。
また従来から、ローエッジコグタイプのVベルト(ダブルコグタイプも含む)であって、ベルト式無段変速機に使用される、所謂、変速ベルトが、小プーリ径の変速装置に積極的に使用されているが、変速操作に伴いミスアライメントが発生し、ベルトの側面に大きな圧縮力が付加されるため、一段と耐側圧性、耐屈曲疲労性を高めることが求められている。したがって、対象のベルトが変速ベルトである場合には、製品設計上、ベルトの曲げ剛性、横剛性、及びプーリとの摩擦係数等ベルト特性の相互関係を精度良く評価できることが重要となっている。そして、ベルトの横剛性は、その代用特性として、ライドアウトがベルト検尺装置等で測定される。
ライドアウト(RO)は、ベルトの背面(外周面)からプーリの外周面までの長さで定義される寸法値であり、プーリV溝部へのベルトの落込み量に直接関係する寸法値であるので、走行中のベルトに負荷される荷重(以下、負荷荷重)に大きく左右される。
ベルト走行中、ベルトには従動軸に接続された負荷の特性に応じた荷重が、常時、作用し、この荷重の変動は、ベルトのライドアウトの変動に直結する。このため、ライドアウト測定用のベルト検尺装置にあっては、負荷荷重の拠り所であって、走行中のベルト張力によって従動軸に作用する荷重(以下、動的軸荷重)を、ロードセル(荷重検出器)により精度良く検出して、その測定値を表示及びデータ出力する機能と、狙いの動的軸荷重に一致するように動的軸荷重を精度良く制御する機能を併せもつことが求められている。
この点、特許文献1に開示されるデッドウェイト式では、動的軸荷重の細かい制御、ならびに、場合によりユーザから要求され得る極めて大きい動的軸荷重(例えば、3000N)への対応が、装置構造的に困難とされており、サーボモータ等の原動機によりボールネジを回転させて従動軸を直線移動させ、ロードセルからの動的軸荷重の測定値に基づいて従動軸の移動距離(軸間距離)を調整することにより、狙いの動的軸荷重を従動軸に付与する方式(以下、ボールネジ式)が、ベルト検尺装置において検討されてきた。
特開2001−241922号公報
しかしながら、ボールネジ式の場合、ボールネジ機構を用いて所定の動的軸荷重を従動軸に付与する過程において、下記(1)〜(3)のいずれかに該当する場合には、ベルトに予張力を付与してからの軸間距離の増加量(ΔL)の値が小さくなる。(1)ばね定数(Kb)が高いベルト:ばね定数(Kb)が高いベルトほど、ばね定数(Kb)が低いベルトに比べて、同一負荷荷重(F)での軸間距離の増加量(ΔL)の値は小さくなる(Kb=F/ΔLより)。(2)周長の短いベルト:周長の短いベルトほど、周長の長いベルトに比べて、同一負荷荷重(F)での軸間距離の増加量(ΔL)の値は小さくなる。(3)負荷荷重(F)が小さい:負荷荷重(F)が小さいほど、負荷荷重(F)が大きい場合に比べて、軸間距離の増加量(ΔL)の値は小さくなる(Kb=F/ΔLより)。
つまり、ボールネジ機構を用いて所定の動的軸荷重を従動軸に付与する過程において、ベルトに予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合は、少し緩み方向に従動軸を動作させただけで負荷荷重Fが抜けてしまったり、少し張り方向に動作させただけで過剰に負荷荷重Fがかかってしまったりする。このため、狙いの動的軸荷重の範囲内に精度良く合致させるための従動軸の細かい移動制御が困難となり、ライドアウト等各部寸法の測定のために付与した負荷荷重およびベルト張力が狙いの範囲から外れてしまう場合があった。
このように、ボールネジ式のベルト検尺装置であっても、ボールネジ機構を用いて所定の動的軸荷重を従動軸に付与する過程において、ベルトに予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合は、従動軸の移動量(移動距離)の細かい制御が困難となるため、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸に付与することができない問題があった。このため、1回の操作で動的軸荷重を多段階に連続して変化させて、それに対応するベルトのライドアウト等各部寸法の変化を把握してベルトの横剛性等ベルト特性の評価に繋げることは、なおさら難しい問題であった。
そこで、本発明の目的は、ボールネジ機構を用いて所定の動的軸荷重を従動軸に付与する過程において、ベルトに予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合でも、従動軸の移動量(移動距離)の細かい制御が容易であり、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸に付与することができる、ベルト検尺装置を提供することにある。
本発明は、主軸に備わる駆動プーリと従動軸に備わる従動プーリとの間にベルトを巻き掛け、前記従動軸を前記ベルトの張架方向に移動させて、前記従動軸に対して所定の動的軸荷重を付与した状態で走行させた前記ベルトの各部の寸法を測定するベルト検尺装置であって、
前記従動軸に設けられた移動部と、
ボールネジに螺合されたボールネジナットの移動に応じて、前記移動部を前記ベルトの張架方向に従動させるボールネジ機構と、
前記移動部と前記ボールネジ機構との連結部分に設けられ、前記ベルトのばね定数よりも小さいばね定数を有し、前記移動部の従動動作に反発付勢力を与える付勢手段と、
前記移動部に介設され、前記従動軸に対する動的軸荷重を検出するロードセルと、
前記ロードセルからの電気信号に基づき、前記従動軸に対する動的軸荷重の測定値を演算する演算制御部と、
前記演算制御部で演算された、前記従動軸に対する動的軸荷重の測定値を数字表示する表示部と、を含むことを特徴とするベルト検尺装置である。
上記構成によれば、移動部の従動動作に反発付勢力を与える付勢手段は、張架されるベルトのばね定数より小さいばね定数を有するものであるので、従動軸の張架方向への移動動作を、付勢手段の反発付勢力が付加された移動動作にすることができる。これにより、ボールネジ機構におけるボールネジナットの移動距離を、従動軸(移動部)の移動距離よりも拡大させることができる。
このため、ボールネジ機構を用いて所定の動的軸荷重を従動軸に付与する過程において、移動部とボールネジ機構との連結部分に付勢手段を備えない構成(移動部とボールネジ機構とが直接連結されている構成)と比べて、ボールネジ機構におけるボールネジナットの移動距離に対する、従動軸(移動部)の移動距離を縮小することができる。
即ち、ベルトに予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合でも、従動軸の移動距離(軸間距離)の細かい制御が容易となる結果、動的軸荷重の細かい制御も容易となり、従動軸の移動動作で負荷荷重が抜けてしまったり、過剰に負荷荷重がかかってしまったりすることなく、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸に付与することができる。
また、数字表示された動的軸荷重の測定値に基づいて、狙いの動的軸荷重との差異を把握できる。これにより、上記差異に基づいて、ボールネジ機構による従動軸の移動距離(軸間距離)を細かく調整又は制御することにより、動的軸荷重の測定値を狙いの動的軸荷重の範囲内に収めることができる。
また、本発明は、上記ベルト検尺装置において、前記移動部材は、前記付勢手段の反発付勢力を受け止める一対の対向部材を有し、
前記付勢手段は、第1付勢手段及び第2付勢手段を有し、
前記第1付勢手段及び前記第2付勢手段は、前記一対の対向部材の間で、前記ボールネジ機構のボールネジナットに固定されたブラケット部を挟み前記張架方向に互いに離隔して配置され、かつ、前記第1付勢手段及び前記第2付勢手段の各両端部は自由状態で配置されており、
前記演算制御部は、前記第1付勢手段及び前記第2付勢手段が自由長の状態に設定されたときに、前記従動軸に対する動的軸荷重の測定値を前記移動部の重量と等しくする演算制御を実行することを特徴としたベルト検尺装置である。
上記構成によれば、以下に示す理由1)〜3)により、より広範囲の負荷荷重に対応させて、移動部の移動動作に反発付勢力を与えることができる。これにより、ボールネジ機構を用いて所定の動的軸荷重を従動軸に付与する過程において、ベルトに予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合でも、より広範囲の負荷荷重に対応させて、従動軸の移動距離(軸間距離)の細かい制御が容易となり、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸に付与することができる。
1)第1付勢手段及び第2付勢手段は、一対の対向部材の間で、ボールネジ機構のボールネジナットに固定されたブラケット部を挟み張架方向に互いに離隔して配置されているので、(A)動的軸荷重が、移動部の重量(ベルトに懸架された部分の全重量)未満のときは、少なくともベルトの張架方向(以下、単に、張架方向という)緩み側の付勢手段(第1付勢手段)が圧縮変形して、移動部の重量を支え、移動部の移動動作に反発付勢力を与えることができる。(B)動的軸荷重が、移動部の重量(ベルトに懸架された部分の全重量)を超えるときは、少なくとも張架方向張り側の付勢手段(第2付勢手段)が圧縮変形して、移動部の移動動作に反発付勢力を与えることができる。
一方、付勢手段が一対の対向部材の間で、ボールネジ機構のボールネジナットに固定されたブラケット部を挟み張架方向に互いに離隔して配置されない場合(張架方向どちらか一方のみの場合)に、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸に付与することができる効果は、付勢手段がブラケット部より張架方向緩み側だけに配設される場合は、移動部重量以下の動的軸荷重範囲に限定され、付勢手段がブラケット部より張架方向張り側だけに配設される場合は、移動部重量以上の動的軸荷重範囲に限定されてしまう。
2)第1付勢手段及び第2付勢手段の両端部が自由状態ではなく、第1付勢手段及び第2付勢手段の各両端部がブラケット部(張架方向両表面)及び/又は対向部材に固定されている場合は、張架方向一方の付勢手段が圧縮変形して従動軸の移動動作に反発付勢力を加えるときに、張架方向他方の付勢手段に引張応力が掛かり従動軸の移動方向に付勢力を加えてしまうため、従動軸の移動動作に加えるべき反発付勢力を弱めてしまう。従って、第1付勢手段及び第2付勢手段の両端部が自由状態である場合は、第1付勢手段及び第2付勢手段の両端部が自由状態でない場合に比べて、より確実に、移動部の移動動作に反発付勢力を与えることができる。
3)第1付勢手段及び第2付勢手段が自由長(反発付勢力が移動部の移動動作に及ばない付勢状態)に設定されたときに、動的軸荷重の測定値を移動部の重量と等しくする演算制御がなされる場合は、デッドウェイト式検尺機で公知のカウンターバランス機構(例えば特開2002−257501)の如く、確実に、上記移動部重量(バネ上重量、いわば風袋重量)のゼロ点リセットができる作用効果を有する。これにより、動的軸荷重の範囲をゼロから開始することができる。
また、本発明は、上記ベルト検尺装置において、前記第1付勢手段及び前記第2付勢手段は、コイルばねであり、
前記一対の対向部材の間にガイドシャフトが固定されており、
前記第1付勢手段のコイルばね及び前記第2付勢手段のコイルばねは、前記ブラケット部を挟み、前記ガイドシャフトに挿通されていることを特徴としたベルト検尺装置である。
上記構成によれば、コイルばねのコイル巻き内部に、一対の対向部材の間に固定されたガイドシャフトが通された構成であるため、コイルばねが抜け落ちることない装置構成を簡素に実現することができる。
また、本発明は、上記ベルト検尺装置において、前記第1付勢手段及び前記第2付勢手段は、自由長のときに各両端部が、前記ブラケット部及び前記対向部に略接触していることを特徴としたベルト検尺装置である。
上記構成によれば、第1付勢手段及び第2付勢手段の反発付勢力が移動部の移動動作に及ばない状態から、第1付勢手段及び第2付勢手段の反発付勢力が移動部の移動動作に及ぶ状態へほとんど途切れなく移行させることができる。つまり、ボールネジ機構を用いた従動軸(移動部)の移動動作を、ほとんど途切れなく、連続性をもって動作させることができる。
また、本発明は、上記ベルト検尺装置において、前記ボールネジ機構は、前記ボールネジに螺合された前記ボールネジナットの移動を制御する原動機を有し、
前記演算制御部は、前記動的軸荷重の測定値と予め入力した前記動的軸荷重の設定値との差異に基づいて、前記原動機による前記ボールネジに螺合された前記ボールネジナットの移動動作にフィードバックする制御を実行することを特徴としたベルト検尺装置である。
上記構成によれば、ボールネジ機構を用いて所定の動的軸荷重を従動軸に付与する過程において、ベルトに予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合でも、狙いの動的軸荷重の範囲内に収まるように、自動操作で従動軸の移動距離(軸間距離)を細かく制御して、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸に付与することができる。
更に、動的軸荷重及び他条件(駆動プーリ回転数、雰囲気温度)の組み合わせからなる複数の運転パターン及びステップ(順)を予め運転プログラムとして設定登録しておくことにより、1回の操作で動的軸荷重を(荷重小から荷重大側へ)多段階に連続して変化させる自動運転を実行しても、問題なく各ステップ間のベルトのライドアウト等各部寸法の変化を測定できるので、ベルトの横剛性等ベルト特性の評価に繋げることができる。
ボールネジ機構を用いて所定の動的軸荷重を従動軸に付与する過程において、ベルトに予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合でも、従動軸の移動量(移動距離)の細かい制御が容易であり、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸に付与することができる、ベルト検尺装置を提供することができる。
本実施形態に係るベルト検尺装置の正面図及び右側面図である。 本実施形態に係るベルト検尺装置の付勢手段を含むフレームの拡大図である。 本実施形態に係る駆動プーリ及び従動プーリの説明図である。 本実施形態に係るブラケット部の説明図である。 本実施形態に係るベルトの説明図である。 本実施形態に係る運転パターン1の運転条件の説明図である。 自動運転スタート後の動的軸荷重の付与及びライドアウトの測定に係る自動運転動作フローである。 軸荷重0Nにおける付勢手段の状態を示す説明図である。 動的軸荷重300Nにおける付勢手段の状態を示す説明図である。 動的軸荷重700Nにおける付勢手段の状態を示す説明図である。 動的軸荷重1000Nにおける付勢手段の状態を示す説明図である。 ベルトのライドアウト(RO)の測定位置を示す説明図である。 比較例に係るベルト検尺装置の概略図である。 実施例の軸荷重の表示値と検定値との差異(%)の水準と、比較例の軸荷重の表示値と検定値との差異(%)の水準とを示すグラフである。 その他の実施形態に係る付勢手段の概略図である。
(ベルト検尺装置1)
本発明に係るベルト検尺装置1について説明する。
ベルト検尺装置1は、図1及び図2に示すように、主軸21に備わる駆動プーリ2と従動軸31に備わる従動プーリ3との間にベルト10を巻き掛け、従動軸31をベルト10の張架方向に移動させて、従動軸31に対して所定の動的軸荷重を付与した状態で走行させたベルト10の各部の寸法を測定可能としている。
駆動プーリ2および従動プーリ3は、図3に示すように、上幅、外径、溝深さが各々異なる基本S,M,L3組の精密加工プーリの中からいずれか1組を選択可能としている。表1に本実施形態に係るSサイズの駆動プーリ2および従動プーリ3の各基本サイズを示す。
本実施形態のベルト検尺装置1は、図1に示すように、縦型のベルト検尺装置1であり、変速ベルトであるベルト10のライドアウトを測定する測定機である。特には、変速ベルトに求められる負荷荷重範囲内で負荷荷重を多段階に連続して変化させたときのライドアウトの変化量を精度良く把握して、変速ベルトの横剛性等ベルト特性の評価に繋げることができる測定機である。ここで、ライドアウト(RO)とは、ベルト10の背面(外周面)から駆動プーリ2の外周面(図12に示す基準点)までの長さ(ベルト厚み方向の距離)で定義される寸法値である。
本実施形態のベルト検尺装置1は、図1及び図2に示すように、筐体11に固定された主軸21と、主軸21に対して上下方向(ベルト10の張架方向)に移動自在な従動軸31と、従動軸31に設けられた移動部4と、ボールネジ機構5と、移動部4とボールネジ機構5との連結部分に設けられた付勢手段6と、移動部4に介設され、従動軸31に対する動的軸荷重を検出するロードセル43と、演算制御部171、及び、表示部172を備えたPC17とを備えた構成をしている。なお、主軸21は、駆動モータ32の回転駆動が伝動されて回転する。駆動モータ32は、電動ギヤードモータであり、50〜360rpmの回転数に対応して回転駆動されるようになっている。
(移動部4)
移動部4は、従動軸31に固定された従動ベース41(リニアガイドブロック49を含む)、荷重ベース42、従動ベース41と荷重ベース42との間に介設されたロードセル43、荷重ベース42に固定されたフレーム44を備えている。筐体11には、従動ベース41及び荷重ベース42を、上下方向(ベルトの張架方向)に摺動支持するリニアガイドレール19が2本並列に設けられている。これにより、従動プーリ3を含む従動軸31、及び、移動部4は、上下方向(ベルト10の張架方向)、具体的には、ベルト10の緩み側(上方向)及び、ベルト10の張り側(下方向)に移動自在に設けられている。
ロードセル43は、荷重検出器であり、本実施形態の場合、ロードセル43の表面に貼り付けられたひずみゲージにより、動的軸荷重または移動部重量を検出し、これを電気信号に変換する。ロードセル43には、ミネベア社製 圧縮引張両用ロードセル 型式U3B1−500K−Bを使用している。定格容量は4903N(500kgf)であり、広範囲の軸荷重範囲200N〜3000Nに対応できる。ここで、動的軸荷重とは、走行中のベルト10の張力によって従動軸31に作用する荷重であり、走行中のベルトに負荷される荷重である負荷荷重の指標とされる。また、移動部重量とは、ベルト10に懸架された構成部材の全重量であって、いわゆるバネ上重量に相当する部分を指すものとする。具体的には、移動部重量は、従動プーリ3、従動軸31、従動ベース41(リニアガイドブロック49を含む)、ロードセル43、荷重ベース42、フレーム44、付勢手段6等で構成される部材の合計重量である。
また、従動ベース41には、図1に示すように、ワイヤーエンコーダ16のワイヤーが取り付けられている。このワイヤーエンコーダ16のワイヤーの上下方向(張架方向)の引き出し量を計測することによって、移動部4の上下移動によって変化する主軸21と従動軸31軸との間の軸間距離が測定される。
(ボールネジ機構5)
ボールネジ機構5は、図1及び図2に示すように、主に、軸棒に螺旋状のねじ溝が形成されたボールネジ53、ボールネジ53に螺合されたボールネジナット51、ボールネジナット51に固定されたブラケット部52、ボールネジ53を軸回転させる原動機54、原動機54の駆動を制御する減速機55(タイミングベルト含む)で構成される。
ブラケット部52は、図4に示すように、外形形状は略直方体であり、平鋼(厚さ約30mm)から切削加工されたものである。また、ブラケット部52には、ボールネジナット51に固定するための、張架方向(上下方向)に貫通する穴部52c(内径50mm)と、後述する2本のガイドシャフト443a・443bを挿入するための2つのスライド軸受固定用穴部52a・52b(各々内径12mm)とが並列に設けられている。そして、穴部52cにはボールネジナット51(外径50mm)が圧入により固定され、2つのスライド軸受固定用穴部52a・52bにはそれぞれスライド軸受52d・52e(各々外径12mm)が圧入により固定されている。
なお、スライド軸受52d・52eには、ミスミ社製 無給油ブッシュ 型番MPBZ8−15を使用している。スライド軸受52d・52eは、内径8mm×外径12mmの円筒形状をしており、黄銅合金製のものに固体潤滑剤が埋め込まれている。これを、ブラケット部52に設けた2つのスライド軸受固定用穴部52a・52bに圧入により固定している。
ボールネジ機構5では、原動機54の回転運動によりボールネジ53を軸回転させて、ボールネジ53のねじ溝に螺合されたボールネジナット51に固定されたブラケット部52を上下に直線的に移動させることができる。
原動機54は、サーボモータを採用している。原動機54をサーボモータにすることによって、ロードセル43からの検知信号による動的軸荷重の測定値と予め入力した動的軸荷重の設定値との差異に基づいてフィードバック制御(回転ON、回転OFF、回転方向、等)を緻密に行なうことができる(詳細は後述)。また、原動機54は、フィードバック制御によらず、PC17の演算制御部171からのデジタル制御により作動するステッピングモータにしてもよい。
本実施形態では、原動機54に、三菱電機社製 型式HG−KR13の電動サーボモータを使用している。この電動サーボモータは、ボールネジ53を軸回転動作させ、ボールネジナット51を張架方向双方(上下)に移動させる。これにより、後述のブラケット部52および付勢手段6を介して従動軸31を張架方向双方(上下)に移動させることができる。電動サーボモータは、ロードセル43からの検知信号による動的軸荷重の測定値と予め入力した動的軸荷重の設定値との差異に基づいてフィードバック制御(回転ON、回転OFF、及び回転方向のフィードバック制御)される。なお、電動サーボモータの回転速度は、従動軸31の移動速度の目安(例えば、0.15〜0.5mm/秒、実施例の自動運転では0.5mm/秒)に対応して略一定な回転速度に制御される。また、減速機55の減速比は20であり、ボールネジ53のリードは6mmである。
(付勢手段6を含むフレーム44)
荷重ベース42に固定されたフレーム44は、図2に示すように、正面視で略コ字形状をしており、フレーム44の張架方向(上下方向)両端部に、張架方向に互いに対向する1対の上部対向部材441及び下部対向部材442(対向面)を有する。そして、上部対向部材441と下部対向部材442との間に、2本のガイドシャフト443a及びガイドシャフト443bが張架方向(上下方向)に平行になるように固定されている。また、2本のガイドシャフト443a及びガイドシャフト443bには、ブラケット部52のスライド軸受52d及びスライド軸受52eが挿通されている。これにより、ブラケット部52が、張架方向(上下方向)に移動自在とされる。
更に、2本のガイドシャフト443a及びガイドシャフト443bには、上部対向部材441とブラケット部52との間に、それぞれ上ばね61a及び上ばね61bが挿通され、下部対向部材442とブラケット部52との間に、それぞれ下ばね62a及び下ばね62bが挿通されている。即ち、上ばね61a(上ばね61b)及び下ばね62a(下ばね62b)は、上部対向部材441と下部対向部材442との間で、ボールネジ機構5のボールネジナット51に固定されたブラケット部52を挟み、張架方向(上下方向)に互いに離隔して配置されている。
付勢手段6としての、上ばね61a(上ばね61b)及び下ばね62a(下ばね62b)には、圧縮荷重を受けたときに弾性変形可能な圧縮コイルばねを使用している。上ばね61a(上ばね61b)及び下ばね62a(下ばね62b)は、材質はばね用オイルテンパー線である。また、上ばね61a(上ばね61b)及び下ばね62a(下ばね62b)の両端部には、中心軸と直角方向に略フラットにして据わりを良くする研削が施されている。具体的には、上ばね61a(上ばね61b)は、ミスミ社製 コイルばね(右巻き:線断面は角形)型式SWM20−50を使用している。上ばね61a(上ばね61b)の仕様としては、ばね外径20mm、ばね内径10mm、ばね自由長50mm、ばね定数49.0N/mm、許容たわみ率32%、最大荷重784N(80kgf)である。下ばね62a(下ばね62b)は、ミスミ社製 コイルばね(右巻き:線断面は角形)型式SWB20−150を使用している。下ばね62a(下ばね62b)の仕様としては、ばね外径20mm、ばね内径10mm、ばね自由長150mm、ばね定数52.3N/mm、許容たわみ率30%、最大荷重1568N(160kgf)である。上ばね61a及び上ばね61bと下ばね62a及び下ばね62bを使用することにより、最大荷重300kgf(設備要求)に対応可能としている。
ここで、付勢手段6(動的軸荷重700N未満で付与時に作用する上ばね61a・61b2本分で98N/mm、動的軸荷重700N超えで付与時に作用する下ばね62a・62b2本分で約105N/mm)は、ベルト10のばね定数(本実施形態では約200N/mm)より小さいばね定数を有している。
また、本実施形態では、上ばね61a(上ばね61b)の両端部は、上部対向部材441及びブラケット部52に固定されておらず、自由状態でガイドシャフト443a(ガイドシャフト443b)に挿通されている。同様に、下ばね62a(下ばね62b)の両端部は、ブラケット部52及び下部対向部材442に固定されておらず、自由状態でガイドシャフト443a(ガイドシャフト443b)に挿通されている。また、上ばね61a(上ばね61b)は、自由長のときに、上ばね61a(上ばね61b)の両端部が上部対向部材441及びブラケット部52に略接触する寸法である。同様に、下ばね62a(下ばね62b)は、自由長のときに、下ばね62a(下ばね62b)の両端部がブラケット部52及び下部対向部材442に略接触する寸法である。
(ライドアウト測定装置14)
ライドアウト測定装置14は、図1に示すように、駆動プーリ2に巻き掛けられたベルト10を、主軸21の直交方向に駆動プーリ2を両側から挟み込むように配置した1対の投受光部からなるレーザーマイクロメータ141(投受光器のレーザースキャンによる非接触精密測定装置)や、レーザーマーカー142を主体とする構成である。なお、構成及びライドアウト測定方法は特許文献1の開示内容と略同じである。ライドアウト測定装置14により、ベルト10のライドアウト(RO)が測定される。
レーザーマイクロメータ141には、オムロン社製 レーザーマイクロメータ 型式3Z4L−S506RV3を使用している。このレーザーマイクロメータ141と、目標とする測定点にレーザービームの照準を合わせるためのスポットレーザー照射用のレーザーマーカー142とが、駆動プーリ2の上部のフレーム構造に備わる1対のレールに吊り下げ状態に係止された移動台143に設けられている。この移動台143は、ベルト10の幅方向(駆動プーリ2の軸方向)に移動可能である。
(PC17)
PC17は、操作盤(タッチパネル、不図示)、演算制御部171、及び、表示部172を備えたパーソナルコンピュータである。演算制御部171は、ロードセル43で検出された動的軸荷重の電気信号を、動的軸荷重の測定値に演算し、デジタル表示可能な液晶画面などからなる表示部172に数字表示させる。なお、演算制御部171では、データの出力(デジタル)・記録・制御(フィードバック等)・監視(モニタリング)なども実行する。
(恒温槽部12)
恒温槽部12は、駆動プーリ2と従動プーリ3との間の断熱囲い(耐熱ガラス扉含む)、熱風ブロア121、温度センサー等からなる。PC17の操作盤で、例えば、恒温槽内雰囲気温度を25℃(室温)以上130℃以下の範囲内の任意な温度に設定登録すると、温度制御器により設定温度に昇温・維持される。
(ベルト10)
ベルト10は、図5に示すように、繊維コードからなる心線103が接着ゴム層102内に埋め込まれ、この接着ゴム層102の上部には補強布104を含む伸張層105が、下部には同様に補強布106を含む圧縮層107が配置されている。圧縮層107には、ベルト周長方向に沿って所定間隔でコグ谷部108とコグ山部109とが交互に形成されている。このベルト10は、ローエッジコグタイプのVベルトであって、変速ベルトである。また、補強布104の表面(外周面)には凸部(コグ部)を有さずフラット(平坦)である。また、ベルト10のばね定数は、約200N/mmのものを使用した。
(ベルトのライドアウト測定のための自動運転手順)
次に、ベルト検尺装置1を使用したベルト10のライドアウト測定のための自動運転手順について説明する。
(1)PC17の操作盤(タッチパネル、不図示)にて、荷重ステップ(最大ステップ数20)、回転数ステップ(最大ステップ数20)、温度ステップ(最大ステップ数2)ライドアウト測定ステップ(最大ステップ数20)からなる組み合わせである複数の運転パターンを登録した。
(2)PC17の操作盤にて、登録した複数の運転パターンのいずれか1つ(本実施形態では、運転パターン1)を選択し、運転条件(軸荷重、駆動軸回転数、雰囲気温度)、サイクル数(ライドアウト測定の繰返数)、対象ベルトの外周長(BOC)、荷重ステップ数、および、プーリサイズ(S,M,L)等を入力した(図6参照)。図6に示すように、運転条件としての軸荷重(動的軸荷重)は、200Nから1200Nまでステップ数10(10段階)にて付与した。ここで、最初にベルト10に付与した予張力は200Nである。また、目安として設定した従動軸31の移動速度は、0.5mm/秒とした。
(3)プーリの基本サイズ変更により、下記に示す移動部重量のゼロ点リセット操作を行った。移動部重量のゼロ点リセット操作とは、使用する従動プーリ3の基本サイズ(S,M,Lの3組)によって移動部重量が変化するため、通常は、従動プーリ3の基本サイズが変更された場合のみに実行される操作であり、予め、動的軸荷重の範囲をゼロから開始できるようにする操作である。
具体的には、下記の操作を、従動プーリ3が全く新規のサイズに変更されるなど、移動部4の実重量が変更した場合の初回1回だけの非定常作業として行う。従動プーリ3を他の基本サイズに変更する定常の作業としては、以下の移動部重量のゼロ点リセット操作だけを行えばよい。
まず、従動プーリ3を含む移動部重量を従動プーリ3のサイズ毎に計測する。そのために、主軸21と従動軸31との間に連結具を介して検定用ロードセル(島津製作所社製 型式SLBL−5KN 定格容量5KN)をセットし、付勢手段6による反発付勢力が移動部4の移動動作に影響しない状態(上ばね61a・61b、下ばね62a・62bとも自由長)になるように、ボールネジ機構5により調整する。なお、取り外した従動プーリ3は、移動部4の任意の部分に付帯させる。
この状態での移動部重量を、プーリサイズ毎に、上記検定用ロードセルにより計測する。移動部重量のゼロ点リセット操作は、従動軸31に操作盤で入力した従動軸31の基本サイズと同サイズの従動軸31を取付け、ベルト10が装着されていない無負荷状態で、操作盤上の「移動部重量ゼロ点リセットボタン」を押すことにより完了する。
移動部重量のゼロ点リセット操作は、例えば、従動プーリ3の基本サイズがSのときに、検定用ロードセルによる移動部重量の計測値が700Nだったとすると、従動軸31に操作盤で入力した従動プーリ3の基本サイズと同サイズの従動プーリ3を取付け、ベルト10が装着されていない無負荷状態で、ロードセル43からの電気信号に基づく値が−700Nのときに軸荷重の測定値(表示値)が0(ゼロ)Nとなるように演算制御部171によって演算処理を行わせる操作である。
この結果、付勢手段6による反発付勢力が移動部4の移動動作に及ばない状態(上ばね61a・61b、下ばね62a・62bとも自由長)のときに、動的軸荷重の測定値が移動部重量(700N)と等しくなる。
(4)次に、従動プーリ3を所定位置(軸間距離を短縮させた状態の位置)に移動後、ベルト10を、駆動プーリ2と従動プーリ3との間に掛け渡した。
(5)操作盤のスタートボタンを押し、自動操作によって、装着したベルト10の弛みが無くなるように従動プーリ3が押し下げられて、駆動プーリ2は無回転状態のまま、ベルトに予張力(200N)を付与する。
(6)その後、駆動プーリ2を回転させ、ベルト10が駆動プーリ2と従動プーリ3との間で走行させる。
(7)上記(2)で入力された運転パターンにしたがって、多段階に連続して動的軸荷重等の条件を変化させる制御が働き、それぞれの動的軸荷重等の条件下でベルト10のライドアウトがライドアウト測定装置14によって自動測定され、運転終了後データを出力させる。
次に、図7を参照して、上記(7)の自動運転スタート後の動的軸荷重の付与及びライドアウトの測定に係る自動運転動作フローについて説明する。
まず、上記(2)で入力された運転パターンを呼び出す(S1)。本実施形態であれば、運転パターン1を読み出す。
次に、S1で呼出した運転パターンに基づくステップ動作を開始する(S2)。本実施形態では、図7に示す運転パターン1に基づくステップ動作を開始する。まずはステップ1(軸荷重200N)での動作が開始される。なお、その後は、後述するS9の処理に従い、ステップ動作が進行する。
ステップ動作開始後、PC17の演算制御部171は、ロードセル43によって測定した、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値と、運転パターン1の各ステップに対応する軸荷重の設定値(予め入力した動的軸荷重の設定値に相当)との差異が±3%以内であるか否かを判定する(S3)。例えば、運転パターン1のステップ1の段階で、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値が193Nであり、ステップ1に対応する軸荷重の設定値が200Nであれば、(193−200)/200=−0.035=−3.5%であり、差異が±3%以内ではないと判定される。一方、運転パターン1のステップ5の段階で、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値が606Nであり、ステップ5に対応する軸荷重の設定値が600Nであれば、(606−600)/600=0.01=1%であり、差異が±3%以内であると判定される。
S3の処理で差異が±3%以内でなければ(S3:NO)、次に、演算制御部171は、差異が+3%超えか否かを判定する(S4)。そして、差異が+3%超えであれば(S4:YES)、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値と、運転パターン1の各ステップに対応する軸荷重の設定値との差異を解消するように、ボールネジ機構5の原動機54(サーボモータ)の回転によりボールネジ53を軸回転(順方向の回転)させ、ボールネジナット51を上昇させる(S5)。その結果、ボールネジナット51に固定されたブラケット部52の上昇に伴い、付勢手段6の上ばね61a・61bが圧縮され、圧縮された上ばね61a・61bの反発付勢力が上部対向部材441(移動部4)を介して従動軸31に付加される。これにより、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値と、運転パターン1の各ステップに対応する軸荷重の設定値との+3%超えの差異を解消することができる。
一方、差異が+3%超えでなければ(S4:NO)、差異が−3%であると判定し、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値と、運転パターン1の各ステップに対応する軸荷重の設定値との差異を解消するように、ボールネジ機構5の原動機54(サーボモータ)の回転によりボールネジ53を軸回転(逆方向の回転)させ、ボールネジナット51を下降させる(S6)。その結果、ボールネジナット51に固定されたブラケット部52の下降に伴い、付勢手段6の下ばね62a・62bが圧縮され、圧縮された下ばね62a・62bの反発付勢力が下部対向部材442(移動部4)を介して従動軸31に付加される。これにより、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値と、運転パターン1の各ステップに対応する軸荷重の設定値との−3%超えの差異を解消することができる。
即ち、演算制御部171は、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値と、予め入力された運転パターン及びステップ(順)における動的軸荷重の設定値との差異に基づいて、原動機54の回転制御によるボールネジナット51の移動動作に反映させるフィードバック制御を実行する。
S5又はS6の処理後、再度S3の処理に移行する。S3の処理で差異が±3以内であれば(S3:YES)、ライドアウト測定装置14によってベルト10のライドアウトが自動測定される(S7)。このベルト10のライドアウト(R.O)の測定は、所定のサイクル数に到達するまで繰り返し測定される(S8)。なお、本実施形態のサイクル数は2回である。
S8の処理後、一つのステップ動作が終了し、次のステップ動作に移行する。例えば、現在ステップ1の段階であれば、ステップ2の動作へ移行する。そして、演算制御部171は、全てのステップ動作が終了しているか否かを判定する(S9)。全てのステップ動作が終了していない場合は(S9:NO)、S2の処理に戻る。一方、全てのステップ動作が終了している場合は(S9:YES)、本動作フローを終了する。本実施形態では、ステップ10での動作が終了した場合に、全てのステップ動作が終了していると判定される。
その後、データが出力される(S10)。本実施形態では、PC17の表示部172に測定したベルト10のライドアウト(R.O)の測定値等が表示される。
(ライドアウト測定装置14によるベルト10のライドアウトの測定)
上記S7、及び、S8の処理で実行される、ライドアウト測定装置14によるベルト10のライドアウト(RO)の自動測定は、恒温槽部12を形成する耐熱ガラス越しに設けたレーザーマイクロメータ141を用いて行う。レーザーマイクロメータ141の投受光器によりレーザースキャンされる測定物のベルト幅方向に関する位置は、図12に示すように、駆動プーリ2の外周面の略中央部(基準点)およびベルト10の背面(外周面)の中央部とした。ライドアウト測定方法は特許文献1の開示内容と略同じである。これにより、ベルト10のライドアウトの測定を非接触で行え、雰囲気温度を上昇させた時の測定も恒温槽部12外から行うことができる。また、ベルト10がダブルコグタイプのローエッジコグVベルトであっても、全く同様に自動測定できる。
(ベルト10のライドアウト測定に伴う付勢手段6の動作)
次に、ベルト検尺装置1の上記自動運転によるベルト10のライドアウトの自動測定に伴う、付勢手段6としての上ばね61a(上ばね61b)及び下ばね62a(下ばね62b)の状態について説明する。
(軸荷重0N)
ベルト検尺装置1の駆動プーリ2と従動プーリ3にベルト10を装着する前は(軸荷重0N:無負荷状態)、移動部重量(従動プーリ3、従動軸31、従動ベース41、ロードセル43、荷重ベース42、フレーム44、付勢手段6等で構成される部材の合計重量)により、図8(a)(b)に示すように、上ばね61a・61bが上部対向部材441とブラケット部52との間で圧縮された状態になる。一方、下ばね62a・62bは、自由長で、ブラケット部52には接触せずに、下部対向部材442にのみ接触した状態になる。
(動的軸荷重300N)
ロードセル43によって測定した、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値が300Nの時も、図9(a)(b)に示すように、上ばね61a・61bが上部対向部材441とブラケット部52との間で圧縮された状態になる。一方、下ばね62a・62bは、自由長で、ブラケット部52には接触せずに、下部対向部材442にのみ接触した状態になる。ロードセル43によって測定した、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値が700N(移動部重量に相当)に達するまでは、上ばね61a・61bは上部対向部材441とブラケット部52との間で圧縮され、圧縮された上ばね61a・61bの反発付勢力が上部対向部材441(移動部4)を介して従動軸31に付加される。一方、下ばね62a・62bは、ロードセル43によって測定した、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値が700N(移動部重量に相当)に達するまでは、自由長のままの状態である。
(動的軸荷重700N)
ロードセル43によって測定した、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値が700Nの時(移動部重量と等しい時)は、図10(a)(b)に示すように、上ばね61a・61bは自由長の状態で、上ばね61a・61bの両端部が上部対向部材441及びブラケット部52に略接触した状態になる。一方、下ばね62a・62bも自由長の状態で、下ばね62a・62bの両端部がブラケット部52及び下部対向部材442に略接触した状態になる。
(動的軸荷重1000N)
ロードセル43によって測定した、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値が1000Nの時は、図11(a)(b)に示すように、上ばね61a・61bは、自由長で、上部対向部材441には接触せずに、ブラケット部52にのみ接触した状態になる。一方、下ばね62a・62bは、ブラケット部52と下部対向部材442との間で圧縮された状態になる。ロードセル43によって測定した、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値が700N(移動部重量に相当)を超えてからは、上ばね61a・61bは、自由長の状態である。一方、下ばね62a・62bはブラケット部52と下部対向部材442との間で圧縮され、圧縮された下ばね62a・62bの反発付勢力が下部対向部材442(移動部4)を介して従動軸31に付加される。
(効果)
上記構成によれば、移動部4の従動動作に反発付勢力を与える付勢手段6(上ばね61a・61b及び下ばね62a・62b)は、張架されるベルト10のばね定数より小さいばね定数を有するものであるので、従動軸31の張架方向への移動動作を、付勢手段6の反発付勢力が付加された移動動作にすることができる。これにより、ボールネジ機構5におけるボールネジナット51の移動距離を、従動軸31(移動部4)の移動距離よりも拡大させることができる。
このため、ボールネジ機構5を用いて所定の動的軸荷重を従動軸31に付与する過程において、移動部4とボールネジ機構5との連結部分に付勢手段6を備えない構成(移動部4とボールネジ機構5とが直接連結されている構成:後述するベルト検尺装置200参照)と比べて、ボールネジ機構5におけるボールネジナット51の移動距離に対する、従動軸31(移動部4)の移動距離を縮小することができる。
即ち、ベルト10に予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合でも、従動軸31の移動距離(軸間距離)の細かい制御が容易となる結果、動的軸荷重の細かい制御も容易となり、従動軸31の移動動作で負荷荷重が抜けてしまったり、過剰に負荷荷重がかかってしまったりすることなく、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸31に付与することができる。
また、数字表示された動的軸荷重の測定値に基づいて、狙いの動的軸荷重との差異を把握できる。これにより、上記差異に基づいて、ボールネジ機構5による従動軸31の移動距離(軸間距離)を細かく調整又は制御することにより、動的軸荷重の測定値を狙いの動的軸荷重の範囲内に収めることができる。
また、上記構成によれば、以下に示す理由1)〜3)により、より広範囲の負荷荷重に対応させて、移動部4の移動動作に反発付勢力を与えることができる。これにより、ボールネジ機構5を用いて所定の動的軸荷重を従動軸に付与する過程において、ベルト10に予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合でも、より広範囲の負荷荷重に対応させて、従動軸の移動距離(軸間距離)の細かい制御が容易となり、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸31に付与することができる。
1)上ばね61a・61b及び下ばね62a・62bは、上部対向部材441と下部対向部材442との間で、ボールネジ機構5のボールネジナット51に連結されたブラケット部52を挟み張架方向に互いに離隔して配置されているので、(A)動的軸荷重が、移動部重量(ベルト10に懸架された部分の全重量)未満のときは、少なくともベルト10の張架方向(以下、単に、張架方向という)緩み側の上ばね61a・61bが圧縮変形して、移動部重量を支え、移動部4の移動動作に反発付勢力を与えることができる。(B)動的軸荷重が、移動部重量を超えるときは、少なくとも張架方向張り側の下ばね62a・62bが圧縮変形して、移動部4の移動動作に反発付勢力を与えることができる。
一方、付勢手段6が上部対向部材441と下部対向部材442との間で、ボールネジ機構5のボールネジナット51に連結されたブラケット部52を挟み張架方向に互いに離隔して配置されない場合(張架方向どちらか一方のみの場合)に、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸31に付与することができる効果は、付勢手段6がブラケット部52より張架方向緩み側だけに配設される場合は、移動部重量以下の動的軸荷重範囲に限定され、付勢手段6がブラケット部52より張架方向張り側だけに配設される場合は、移動部重量以上の動的軸荷重範囲に限定されてしまう。
2)上ばね61a・61b及び下ばね62a・62bの両端部が自由状態ではなく、上ばね61a・61b及び下ばね62a・62bの各両端部がブラケット部52(張架方向両表面)及び/又は上部対向部材441・下部対向部材442に固定されている場合は、張架方向一方の付勢手段6が圧縮変形して従動軸31の移動動作に反発付勢力を加えるときに、張架方向他方の付勢手段6に引張応力が掛かり従動軸31の移動方向に付勢力を加えてしまうため、従動軸31の移動動作に加えるべき反発付勢力を弱めてしまう。従って、上ばね61a・61b及び下ばね62a・62bの両端部が自由状態である場合は、上ばね61a・61b及び下ばね62a・62bの両端部が自由状態でない場合に比べて、より確実に、移動部4の移動動作に反発付勢力を与えることができる。
3)上ばね61a・61b及び下ばね62a・62bが自由長(反発付勢力が移動部4の移動動作に及ばない付勢状態)に設定されたときに、動的軸荷重の測定値を移動部重量と等しくする演算制御がなされる場合は、デッドウェイト式検尺機で公知のカウンターバランス機構(例えば特開2002−257501)の如く、確実に、上記移動部重量(バネ上重量、いわば風袋重量)のゼロ点リセットができる作用効果を有する。これにより、動的軸荷重の範囲をゼロから開始することができる。
また、上記構成によれば、付勢手段6の上ばね61a・61b・下ばね62a・62bのコイル巻き内部に、上部対向部材441と下部対向部材442との間に固定されたガイドシャフト443a・443bが通された構成であるため、上ばね61a・61b・下ばね62a・62bが抜け落ちることない装置構成を簡素に実現することができる。
また、上記構成によれば、上ばね61a・61b及び下ばね62a・62は、自由長のときに各両端部が、ブラケット部52及び上部対向部材441・下部対向部材442に略接触している。このため、上ばね61a・61b及び下ばね62a・62bの反発付勢力が移動部4の移動動作に及ばない状態から、上ばね61a・61b及び下ばね62a・62bの反発付勢力が移動部4の移動動作に及ぶ状態へほとんど途切れなく移行させることができる。つまり、ボールネジ機構5を用いた従動軸31(移動部4)の移動動作を、ほとんど途切れなく、連続性をもって動作させることができる。
上記構成によれば、ボールネジ機構5を用いて所定の動的軸荷重を従動軸31に付与する過程において、ベルト10に予張力を付与してからの軸間距離の増加量が比較的小さい場合でも、狙いの動的軸荷重の範囲内に収まるように、自動操作で従動軸31の移動距離(軸間距離)を細かく制御して、狙いの動的軸荷重を精度良く従動軸に付与することができる。
更に、動的軸荷重及び他条件(駆動プーリ回転数、雰囲気温度)の組み合わせからなる複数の運転パターン及びステップ(順)を予め運転プログラムとして設定登録しておくことにより、1回の操作で動的軸荷重を(荷重小から荷重大側へ)多段階に連続して変化させる自動運転を実行しても、問題なく各ステップ間のベルトのライドアウト等各部寸法の変化を測定できるので、ベルト10の横剛性等ベルト特性の評価に繋げることができる。
ベルト検尺装置1(実施例)を使用したベルト10のライドアウトの測定、従来のベルト検尺装置200(比較例)との比較検証、ベルト検尺装置1の荷重精度の評価を行った。
下記実施例、及び、比較例に使用するベルト10は、上述したローエッジコグタイプのVベルトであって、表2に示す仕様の変速ベルトである。
なお、心線103には、ポリエステルコードの撚糸ロープを用いている。また、BOCは、ベルト10の外周長である。
実施例、及び、比較例に使用するベルト10のばね定数を下記方法にて測定した。
(1)ベルト10の外周側と内周側をひっくり返して、内周面を平坦面(補強布104)にした。
(2)オートグラフを用いて、外周面が平坦な1対の管状治具をベルト10の内周面に当接させ、かつ互いにベルト長手方向に離隔しつつ対向する態様にて、引張モードにて所定の速度で管状治具を離隔させてベルト10に強伸度を与える試験(引張試験)を行った。
(3)この結果、ベルト10に掛かる荷重(N)とベルト長さ当たりのベルト10の伸度(%)との関係なるグラフ、所謂、ベルトのS−Sカーブ(Strain−StressCurve)(不図示)を得た。
(4)このグラフの直線部分の傾き(ベルト長さ当たりのベルトの伸度1%で荷重約1600N)から、実施例、及び、比較例に使用するベルト10のばね定数は、約200N/mmであった。
(自動運転によるベルト10のライドアウトの測定結果)
上記ベルト検尺装置1の自動運転によってベルト10のライドアウトを測定した。ベルト10のライドアウトの測定結果を表3に示す。
(動的軸荷重付与時の要部移動距離)
本実施形態に係るベルト検尺装置1(実施例)と従来のベルト検尺装置200(比較例)について、動的軸荷重付与時の要部移動距離について測定し、比較検討する。
従来のベルト検尺装置200(比較例)は、図13に示すように、移動部4とボールネジ機構5との連結部分に付勢手段6を備えない構成にしたボールネジ式である。即ち、実施例に係るベルト検尺装置1は付勢手段6を備えているが、比較例に係るベルト検尺装置200は付勢手段6を備えていない。ベルト検尺装置200は、付勢手段6を備えない以外の構成は、実施例に係るベルト検尺装置1と同様である。
具体的には、ボールネジ機構5のボールネジナット51に固定されたブラケット部52が、フレーム44に直接固定された構成である(図13のハッチング部分参照)。比較例に係るベルト検尺装置200は、ボールネジナット51で移動部4の自重を支え、移動部4が懸架されないので、実施例に係るベルト検尺装置1で必要となる移動部重量のゼロ点リセット操作は不要である。
本実施形態に係るベルト検尺装置1(実施例)と従来のベルト検尺装置200(比較例)について、動的軸荷重300N及び1000N付与時の要部移動距離を、表4及び表5に示す。具体的には、ボールネジ機構5のボールネジナット51の移動距離(a)と従動軸31(移動部4)の移動距離(b)とを比較した。
ここで、ボールネジナット51の移動距離(a)及び従動軸31(移動部4)の移動距離(b)は、ともに、ベルトに予張力(実施例、及び、比較例ともに200N)を付与した時点を起点(移動距離ゼロ)とした。従動軸31(移動部4)の移動距離(b)は、主軸21が固定軸のため、軸間距離の変化量(増加量ΔL)に等しい。なお、従動軸31(移動部4)の移動距離(b)の値には、ベルト10に予張力を付与してからのベルト10の伸び量と、ベルト10に予張力を付与してからのライドアウト(ベルト10の背面の位置)の変化に伴う軸間距離の変化量(増加量ΔL)と、を含む値である。
(動的軸荷重300N付与時の各部移動距離(mm))
(動的軸荷重1000N付与時の各部移動距離(mm))
(比較例)
比較例に係るベルト検尺装置200の場合、ボールネジナット51の移動距離(a)は、従動軸31(移動部4)の移動距離(b)と等しくなった。これは、移動部4とボールネジ機構5との間に、付勢手段6を備えていないためである。
(実施例)
一方、実施例に係るベルト検尺装置1の場合、ボールネジナット51の移動距離(a)は、従動軸31(移動部4)の移動距離(b)よりも顕著に拡大した(動的軸荷重300N付与時は約7倍、動的軸荷重1000N付与時は約3倍)。これは、移動部4とボールネジ機構5との連結部分に、張架されるベルト10のばね定数(約200N/mm)よりも小さいばね定数を有する付勢手段6(動的軸荷重300N付与時に作用する上ばね61a・61b2本分で98N/mm、動的軸荷重1000N付与時に作用する下ばね62a・62b2本分で約105N/mm)を備えているので、ボールネジナット51の移動距離(a)を従動軸31(移動部4)の移動距離(b)よりも拡大させることができたことを示すものである。換言すれば、従動軸31の移動動作を反発付勢力が移動部4の移動動作に加わった付勢移動とすることができたことを示すものである。
なお、ボールネジナット51の移動距離(a)を従動軸31(移動部4)の移動距離(b)よりも顕著に拡大させる効果は、低荷重領域(300N)の場合の方が中荷重領域(1000N)の場合よりも大となった。これは、対象のベルト10が同一のもとでは、前述の、負荷荷重(F)が小さいほどベルト10に予張力を付与してからの軸間距離の変化量(増加量ΔL)が小さくなることの要因と、付勢手段6による反発付勢力の設定にかかる要因とが合わさって現れたものと考えられる。つまり、構成上は、後者の要因が関係し、具体的には、付勢手段6(上ばね61a・61b、下ばね62a・62b)のばね定数の設定(並列配置数含む)に依るものであると考えられる。
(荷重精度評価試験)
次に、荷重精度の評価として、軸荷重の表示値と検定値との差異(%)を、実施例に係るベルト検尺装置1と比較例に係るベルト検尺装置200との間で比較評価した。
評価項目としては、軸荷重の表示値と検定値との差異(%)を、荷重精度の指標とした。この荷重精度の値は、小さい値ほど好ましい。
評価方法としては、(1)実施例に係るベルト検尺装置1及び比較例に係るベルト検尺装置200における、駆動プーリ2及び従動プーリ3を外し、主軸21と従動軸31との間に連結具を介して検定用ロードセルを直結させる。なお、実施例のベルト検尺装置1においては、取り外した従動プーリ3は、移動部4の任意の部分に付帯させる。(2)手動運転にて、従動軸31を引張側(下方)へ移動速度0.15mm/秒程度で、実施例に係るベルト検尺装置1及び比較例に係るベルト検尺装置200の許容軸荷重範囲(200N〜3000N)の下限付近から上限付近まで移動させる。(3)実施例のベルト検尺装置1においては、従動軸31の移動途中、逐次任意に、軸荷重読み取りのため一時停止させて、実施例のベルト検尺装置1内のロードセル43で検知した軸荷重(本試験ではベルト走行なしのため、動的ではなく静的軸荷重)の表示値と、検定用ロードセルで検知した軸荷重の検定値とを同時に読み取り、軸荷重の表示値と検定値との差異(%)の水準を測定した。同様に、比較例のベルト検尺装置200においては、従動軸31の移動途中、逐次任意に、軸荷重読み取りのため一時停止させて、比較例のベルト検尺装置200内のロードセル43で検知した軸荷重の表示値と、検定用ロードセルで検知した軸荷重の検定値とを同時に読み取り、軸荷重の表示値と検定値との差異(%)の水準を測定した。そして、実施例に係るベルト検尺装置1(付勢手段6有り)の軸荷重の表示値と検定値との差異(%)の水準と、比較例に係るベルト検尺装置200(付勢手段6無し)の軸荷重の表示値と検定値との差異(%)の水準とで比較評価した。実施例の軸荷重の表示値と検定値との差異(%)の水準と、比較例の軸荷重の表示値と検定値との差異(%)の水準とを図14のグラフに示す。
評価基準(目標)としては、(1)軸荷重の表示値と検定値との差異(荷重精度)は3%以内であること(絶対的評価)。かつ、(2)実施例に係るベルト検尺装置1の軸荷重の表示値と検定値との差異(%)の水準は、比較例に係るベルト検尺装置200の軸荷重の表示値と検定値との差異(%)の水準よりも顕著に小さいこと(相対的評価)。この2つの評価を満足すれば、荷重精度の評価が高い(○)とする。
(絶対的評価)
図14に示す通り、実施例のベルト検尺装置1、及び、比較例のベルト検尺装置200ともに、軸荷重の表示値と検定値との差異(荷重精度)は3%以内であり、絶対的評価としての目標は満足している。なお、軸荷重の表示値と検定値との差異(荷重精度)(%)の平均値は、実施例のベルト検尺装置1が0.49%、比較例のベルト検尺装置200が1.22%であった。
(相対的評価)
図14に示す通り、実施例のベルト検尺装置1は、比較例のベルト検尺装置200に比べ、軸荷重の表示値と検定値との差異(荷重精度)の水準がどの軸荷重領域(横軸)においても小さくなっており、好ましいことがわかる。即ち、実施例のベルト検尺装置1は、荷重精度の評価が高い(○)といえる。概ね、実施例のベルト検尺装置1は、全平均値で比較例の約1/2.5、300N程度の低荷重領域では同約1/3、1000N以上の中・高荷重領域では同約1/2となった。これは、移動部4とボールネジ機構5との連結部分に付勢手段6を備えることにより、ボールネジ機構5を有するが、移動部4とボールネジ機構5との連結部分に付勢手段6を備えない構成に比べて、概ね平均して約2.5倍(低荷重領域で3倍、中・高荷重領域で約2倍)の精度で細かく荷重制御できていることを表すものであると考えられる。
(ボールネジ機構5からの荷重精度に関する考察)
例えば、表5に記載の実施例の動的軸荷重1000N付与時のボールネジナット51の移動距離(a)14.3mmは、9.8mm(ばねの縮み量)と4.5mm(表3に記載の軸間距離の変化量:ベルトのライドアウト変化量とベルトの伸長量との合算)とに分解できる。・ベルト10のばね定数は、約200N/mm・下ばね62a・62bのばね定数=約105N/mm(並列2本配置時)
比較例のベルト検尺装置200で、荷重精度1000N±3%(30N)を実現するには、次式の関係が求められる。
{(30/200)/6}×20×360=180 ・・・(式1)
ここで、30:荷重精度範囲、200:ベルト10のばね定数、6:ボールネジ53のリード、20:減速機55の減速比とする。これより、比較例のベルト検尺装置200で、荷重精度1000N±3%(30N)を実現するには、原動機54のサーボモータで±180°の間で制御する必要があるといえる。
そこで、本構成の実施例にすると次式になる。
{(30/63)/6}×20×360=571.4 ・・・(式2)
ここで、30:荷重精度範囲、63:ベルト10と圧縮ばねとの複合系のばね定数(200×(4.5/14.3)=63)、6:ボールネジ53のリード、20:減速機55の減速比とする。これより、原動機54のサーボモータで±571.4°の間で制御することが可能となり、荷重精度の実現が約3倍容易になるといえる(式2/式1)。
上記のことから、実施例のベルト検尺装置1にすると、理屈上、同じサーボモータで約3倍の精度で細かく荷重制御ができる、とみなすことができると考えられるので、前述の荷重精度評価試験の評価結果に対する裏付けとなり得るものである。
(その他の実施形態)
本発明は上述の実施形態・実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
例えば、ベルト検尺装置1は、縦型に限定されず、横型であってもよい。この場合、ベルト10は、水平方向に配置された駆動プーリ2と従動プーリ3との間に巻き掛けられ、従動軸31は、水平方向に配置されたボールネジ53の回転により、水平方向に移動する。
また、ベルト検尺装置1を用いて測定可能なベルト10の各部寸法には、ライドアウトに限定されず、例えば、ベルト10の周長、幅、厚み、反り、蛇行量、更には歯付ベルトの歯ピッチ等が含まれる。
付勢手段6は、上記の上ばね61a・61b、及び、下ばね62a・62bのように、並列に2本配置した構成に限定されず、例えば1本だけ配置した構成でも、並列に3本以上配置した構成でもよい。
また、上記付勢手段6は、上ばね61a(上ばね61b)及び下ばね62a(下ばね62b)は、上部対向部材441と下部対向部材442との間で、ボールネジ機構5のボールネジナット51に固定されたブラケット部52を挟み、張架方向(上下方向)に互いに離隔して配置されている構成に限定されず、例えば、ベルトの張架方向のどちらか一方に限定して配置される構成であってもよい。具体的には、付勢手段6としての上ばね61a(上ばね61b)が上部対向部材441とブラケット部52との間にのみ配置された構成であってもよいし、付勢手段6としての下ばね62a(下ばね62b)がブラケット部52と下部対向部材442との間にのみ配置された構成であってもよい。
また、上記付勢手段6としての上ばね61a(上ばね61b)及び下ばね62a(下ばね62b)は、その両端部がフリー状態になっていなくてもよく、また、どちらか一方の端部のみがフリー状態になっていてもよい。
また、付勢手段6は、上記コイルばねに限定されず、例えば、図15に示すように、弓形状板ばね(上板ばね301a・301b及び下板ばね302a・302b)のような構成であってもよい。
また、ボールネジ機構5におけるサーボモータは、ロードセル43が検知した従動軸31に対する動的軸荷重の測定値と、予め入力された運転パターン及びステップ(順)における動的軸荷重の設定値との差異に基づいてフィードバック制御されることに限定されず、例えば、従動軸31に対する動的軸荷重の測定値と、予め入力された運転パターン及びステップ(順)における動的軸荷重の設定値との差異に基づいて、手動操作で回転ON、回転OFF、回転方向、等の回転動作がなされてもよい。
1 ベルト検尺装置
2 駆動プーリ
21 主軸
3 従動プーリ
31 従動軸
4 移動部
43 ロードセル
5 ボールネジ機構
51 ボールネジナット
52 ブラケット部
53 ボールネジ
54 原動機
55 減速機
6 付勢手段
61a・61b 上ばね
62a・62b 下ばね
10 ベルト
14 ライドアウト測定装置
17 PC
171 演算制御部
172 表示部

Claims (5)

  1. 主軸に備わる駆動プーリと従動軸に備わる従動プーリとの間にベルトを巻き掛け、前記従動軸を前記ベルトの張架方向に移動させて、前記従動軸に対して所定の動的軸荷重を付与した状態で走行させた前記ベルトの各部の寸法を測定するベルト検尺装置であって、
    前記従動軸に設けられた移動部と、
    ボールネジに螺合されたボールネジナットの移動に応じて、前記移動部を前記ベルトの張架方向に従動させるボールネジ機構と、
    前記移動部と前記ボールネジ機構との連結部分に設けられ、前記ベルトのばね定数よりも小さいばね定数を有し、前記移動部の従動動作に反発付勢力を与える付勢手段と、
    前記移動部に介設され、前記従動軸に対する動的軸荷重を検出するロードセルと、
    前記ロードセルからの電気信号に基づき、前記従動軸に対する動的軸荷重の測定値を演算する演算制御部と、
    前記演算制御部で演算された、前記従動軸に対する動的軸荷重の測定値を数字表示する表示部と、を含むことを特徴とするベルト検尺装置。
  2. 前記移動部材は、前記付勢手段の反発付勢力を受け止める一対の対向部材を有し、
    前記付勢手段は、第1付勢手段及び第2付勢手段を有し、
    前記第1付勢手段及び前記第2付勢手段は、前記一対の対向部材の間で、前記ボールネジ機構のボールネジナットに固定されたブラケット部を挟み前記張架方向に互いに離隔して配置され、かつ、前記第1付勢手段及び前記第2付勢手段の各両端部は自由状態で配置されており、
    前記演算制御部は、前記第1付勢手段及び前記第2付勢手段が自由長の状態に設定されたときに、前記従動軸に対する動的軸荷重の測定値を前記移動部の重量と等しくする演算制御を実行することを特徴とする、請求項1に記載のベルト検尺装置。
  3. 前記第1付勢手段及び前記第2付勢手段は、コイルばねであり、
    前記一対の対向部材の間にガイドシャフトが固定されており、
    前記第1付勢手段のコイルばね及び前記第2付勢手段のコイルばねは、前記ブラケット部を挟み、前記ガイドシャフトに挿通されていることを特徴とする、請求項2に記載のベルト検尺装置。
  4. 前記第1付勢手段及び前記第2付勢手段は、自由長のときに各両端部が、前記ブラケット部及び前記対向部に略接触していることを特徴とする、請求項2または3に記載のベルト検尺装置。
  5. 前記ボールネジ機構は、前記ボールネジに螺合された前記ボールネジナットの移動を制御する原動機を有し、
    前記演算制御部は、前記動的軸荷重の測定値と予め入力した前記動的軸荷重の設定値との差異に基づいて、前記原動機による前記ボールネジに螺合された前記ボールネジナットの移動動作にフィードバックする制御を実行することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のベルト検尺装置。
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