JP2017155008A - 芳香族モノマーの製造方法 - Google Patents

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豊 塗木
Yutaka Nuriki
豊 塗木
良一 二之宮
Ryoichi Ninomiya
良一 二之宮
志穂 辻
Shiho Tsuji
志穂 辻
渡邊 誠幸
Masayuki Watanabe
誠幸 渡邊
宮脇 正一
Shoichi Miyawaki
正一 宮脇
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Abstract

【課題】本発明の課題は、木材を原料として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の原料として利用できるバニリン、バニリン酸等の芳香族モノマーを高収率で得られる簡便な製造方法を提供することである。【解決手段】木材をソーダ蒸解する工程において、酸素を添加し、キノン化合物を木材絶乾重量当たり0.001〜10質量%添加し、かつ液比を5.0以上としてソーダ蒸解する工程を含む方法により、芳香族モノマーを製造する。【選択図】 なし

Description

本発明は、木材をソーダ蒸解する工程から排出される黒液中のリグニン分解物より、芳香族モノマーを製造するものである。
近年、石油の代替としてリグニンを分解して、フェノール樹脂、エポキシ樹脂の原料となる芳香族モノマーを製造することが検討されている。リグニンは木材中に多量に存在するが、抽出するためには酸、アルカリ、あるいは有機溶媒を使用する化学処理、粉砕等の機械的処理が必要である。例えば、サルファイト蒸解法では、酸性亜硫酸塩と亜硫酸の混液を加えて、130〜145℃で蒸煮し木材中のリグニンをリグニンスルホン酸塩として溶出し(例えば、特許文献1)、クラフト蒸解法では、苛性ソーダ(NaOH)と硫化ソーダ(NaS)を主成分とする薬品を加えて、150〜160℃程度で蒸解して、クラフトリグニンとして溶出する。しかしながら、これらの方法にて得られるリグニンは化学的に変性されており、分子内に硫黄元素を含むため、樹脂用途としては好ましくない。そこで、苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を加えてリグニンを溶出することが検討されている(特許文献2)。
また、抽出されたリグニンを効率よく分離することも重要である。例えば、クラフト蒸解法等で得られる黒液を酸性化してリグニンを沈殿させて脱水し、リグニン濾過ケーキを洗浄してリグニンを得ることが開示されている(特許文献3)。
特開2001−89986号公報 特開2014−208803号公報 特表2008−513549号公報
しかしながら、上記の方法で得られるリグニンは分子量が高く、芳香族モノマーを得るためにはさらに分解処理を行う必要があり、工程が増加するためコストの面で不利であった。
本発明の課題は、木材から芳香族モノマーを高収率で、かつ簡便な製造方法により得ることである。
本発明者らは、木材をソーダ蒸解する工程において、酸素を添加し、キノン化合物を木材絶乾重量当たり0.001〜10質量%添加して、液比5.0以上でソーダ蒸解を行うことにより、芳香族モノマーを効率的に製造できることを見出した。
本発明によれば、木材を原料として、芳香族モノマーを効率的に製造することが可能となる。また、同時に低分子量のリグニン、及びパルプを製造することができる。
本発明は、木材をソーダ蒸解する工程において、酸素を添加し、キノン化合物を木材絶乾重量当たり0.001〜10質量%添加して、液比を5.0以上としてソーダ蒸解する工程を含む、芳香族モノマーの製造方法である。以下に、本発明を具体的に説明する。
ソーダ蒸解工程
原料の木材としては、広葉樹、針葉樹のいずれもが使用できる。具体的には、広葉樹としては、ブナ、シナ、シラカバ、ポプラ、ユーカリ、アカシア、ナラ、イタヤカエデ、センノキ、ニレ、キリ、ホオノキ、ヤナギ、セン、ウバメガシ、コナラ、クヌギ、トチノキ、ケヤキ、ミズメ、ミズキ、アオダモ等が例示される。針葉樹としては、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、イエローシーダー(ベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファー(ベイマツ)、シトカスプルース(ベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック等が例示される。
木材は、蒸解液と共に蒸解釜へ投入され、ソーダ蒸解に供する。また、1ベッセル液相型、1ベッセル気相/液相型、2ベッセル液相/気相型、2ベッセル液相型などの蒸解型式なども特に限定はない。すなわち、本願のアルカリ性水溶液を含浸し、これを保持する工程は、従来の蒸解液の浸透処理を目的とした装置や部位とは別個に設置してもよい。好ましくは、蒸解を終えた未晒パルプは蒸解液を抽出後、ディフュージョンウォッシャーなどの洗浄装置で洗浄する。木材の形態としては、チップ、紛体等、特に限定されない。
ソーダ蒸解工程は、木材をソーダ蒸解液とともに耐圧性容器に入れて行うことができるが、容器の形状や大きさは特に制限されない。木材チップと蒸解液の液比(薬液重量/木材チップ固形分重量)は、5.0以上とすることが必要で、7.0以上40以下が好ましく、10以上30以下がさらに好ましい。液比が5.0未満ではリグニンの分解が不十分で、得られる芳香族モノマーの収率が低くなる。また、液比が40を超えても得られる芳香族モノマーの収率の向上は頭打ちとなる。
また、本発明のソーダ蒸解においては、酸素を添加して行うことが必要である。酸素の添加は、密閉された蒸解釜中に酸素を吹き込んで加圧する方法が挙げられ、酸素圧としては0.1〜1MPaが好ましい。また、酸素は分割して添加してもよく、蒸解中に酸素圧が低下しないように適宜分割添加してもよい。
また、本発明のソーダ蒸解においては、キノン化合物を絶乾木材当たり0.001〜10質量%添加してもよく、0.01〜7質量%添加することが好ましい。キノン化合物の添加量が0.001質量%未満であると黒液中に得られる芳香族モノマーの収率が十分ではない。また、キノン化合物の添加量が10質量%を超えてもさらなる芳香族モノマーの収率の向上は認められない。
使用されるキノン化合物はいわゆる公知の蒸解助剤としてのキノン化合物、ヒドロキノン化合物又はこれらの前駆体であり、これらから選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することができる。これらの化合物としては、例えば、アントラキノン、ジヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロアントラキノン)、テトラヒドロアントラキノン(例えば、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラキノン)、メチルアントラキノン(例えば、1−メチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン)、メチルジヒドロアントラキノン(例えば、2−メチル−1,4−ジヒドロアントラキノン)、メチルテトラヒドロアントラキノン(例えば、1−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、2−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン)等のキノン化合物であり、アントラヒドロキノン(一般に、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、メチルアントラヒドロキノン(例えば、2−メチルアントラヒドロキノン)、ジヒドロアントラヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン)又はそのアルカリ金属塩等(例えば、アントラヒドロキノンのジナトリウム塩、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩)等のヒドロキノン化合物であり、アントロン、アントラノール、メチルアントロン、メチルアントラノール等の前駆体が挙げられる。これら前駆体は蒸解条件下ではキノン化合物又はヒドロキノン化合物に変換する可能性を有している。
ソーダ蒸解液は、木材絶乾重量当たりの水酸化ナトリウムの添加率を15〜200質量%とすることが好ましい。水酸化ナトリウムの添加率が15質量%未満であるとリグニンの分解が不十分で芳香族モノマーの収率が低下し、200質量%を超えても芳香族モノマーの収率のさらなる向上は期待できない。
ソーダ蒸解は、140〜180℃の温度範囲で行うことが好ましく、150〜170℃がより好ましい。温度が低過ぎると黒液中へのリグニン分解物の溶出が不十分であり、温度が高過ぎると溶出したリグニンが過度に分解し、後工程での回収が困難になる。また、本発明における蒸解時間とは、蒸解温度が最高温度に達してから温度が下降し始めるまでの時間であるが、蒸解時間は、60分以上600分以下が好ましく、120分以上360分以下がさらに好ましい。蒸解時間が60分未満ではリグニン分解物の溶出が不十分であり、600分を超えても溶出するリグニンの量は頭打ちとなる。
また、本発明におけるソーダ蒸解は、Hファクター(Hf)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。Hファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、下記の式によって表わされる。Hファクターは、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。本発明においては、Hファクターは250〜2500が好ましい。Hファクターが250未満では芳香族モノマーの収率が低下し、2500を超えても芳香族モノマーの収率は頭打ちとなる。
Hf=∫exp(43.20−16113/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]
得られた黒液中には芳香族モノマーが含有されており、例えば、バニリン、バニリン酸、シリンガアルデヒド、シリンガ酸、アセトバニロン、アセトシリンゴンが得られる。
本発明においては、蒸解後に得られた未漂白(未晒)パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。例えば、蒸解後に得られた未漂白パルプに対して、漂白処理を行うことができる。また、得られたパルプは製紙用途に使用することが可能であり、これを原料として糖類を製造することも可能である。
黒液中には、芳香族モノマーの他に溶解したリグニン分解物も含まれているので、例えば、下記の方法にてリグニン分解物を分離することができる。本発明にて、得られるリグニン分解物は分子量が800〜2500程度であり、熱硬化性樹脂、分散剤、接着剤として利用できる。また、さらに低分子化することによりフェノール樹脂原料やエポキシ樹脂原料として利用することができる。
黒液に酸及び/又は二酸化炭素を添加して、リグニン分解物を沈殿させる工程
ソーダ蒸解後に得られる黒液に酸及び/又は二酸化炭素を添加して、黒液のpHを1〜9、好ましくは2〜8に調整することにより、黒液中に溶解しているリグニン分解物を沈殿させることが可能となる。この工程は2回以上繰り返して行ってもよい。pH9を超えた場合、リグニン分解物の沈殿物が十分に生成せず、pH1未満ではリグニン分解物が分解してしまい沈殿物の回収率が低下する。使用する酸は無機酸でも有機酸でもよい。無機酸としては、硫酸、亜硫酸、塩酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、炭酸等が挙げられ、硫酸が好ましい。また、二酸化塩素発生装置から排出される残留酸を使用してもよい。有機酸としては、酢酸、乳酸、蓚酸、クエン酸、ギ酸等が挙げられる。なお、黒液はpHを調整する前に、エバポレーターなどを用いて濃縮することができ、固形分は10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
黒液のpHを1〜9に調整する際の温度は室温〜100℃が好ましい。100℃を超えるとリグニンが縮合するので、リグニン分解物の分子量が高くなる。
また、前述のpHを1〜9に調整する工程に先立って、二酸化炭素を添加してpHを7〜9に調整する工程を設けることが好ましい。処理温度としては、特に限定されないが、80℃程度が好ましい。二酸化炭素を加える方法は特に限定されないが、大気圧下で吹き込む方法、あるいは密閉容器中で二酸化炭素を吹き込んで加圧(0.1〜1MPa)する方法がある。二酸化炭素としては、純粋な二酸化炭素ガスでもよいが、焼却炉、ボイラーなどから排出される燃焼排ガス、石灰焼成工程などから発生する二酸化炭素を含むガスを用いることもできる。
また、必要に応じて凝集剤を添加して、リグニン分解物の沈殿を促進させてもよい。凝集剤としては、硫酸バンド、塩化アルミ、ポリ塩化アルミ、ポリアミン、DADMAC、メラミン酸コロイド、ジンアンジアジド等が挙げられる。
生成した沈殿物を脱水・洗浄して分取する工程
酸及び/又は二酸化炭素を添加してpHを1〜9に調整する工程にて得られたリグニン分解物の沈殿物は脱水し、水で洗浄する。沈殿物を脱水・洗浄するための装置としては、フィルタープレス、ドラムプレス、遠心脱水装置、吸引濾過装置等を使用することができる。洗浄する際に使用する水のpHは1〜9、温度は室温〜80℃が好ましい。
また、前述の二酸化炭素を添加してpHを1〜9に調整する工程後においても、沈殿物を同様に脱水・洗浄する。
沈殿物に有機溶媒を添加して懸濁液とし、懸濁液中の溶解したリグン分解物を固液分離して分取する工程
脱水・洗浄したリグニン分解物の沈殿物に有機溶媒を添加して懸濁液とする。添加する有機溶媒としては、糖類の非溶媒または貧溶媒であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−メトキシルエタノール、ブタノールなどを含むアルコール類、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどを含むエーテル類、アセトンやメチルエチルケトンなどを含むケトン類、アセトニトリルなどを含むニトリル類、ピリジンなどを含むアミン類、ホルムアミドなどを含むアミド類、酢酸エチル、酢酸メチルなどを含むエステル類、ヘキサンなどを含む脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等を含む芳香族炭化水素などのうち、一種類または複数を混合したもの、若しくは一種類または複数を混合し、水を加えたものを用いることができる。特に、アセトンが好ましい。有機溶媒を添加することにより、リグニン分解物を溶解させることが可能となる。懸濁液中の不溶物を固液分離する方法としては、フィルタープレス、ドラムプレス、遠心脱水装置、吸引濾過装置等を使用することができる。このようにして、有機溶媒中に溶解したリグニン分解物を得ることができる。
なお、広葉樹を原料とした場合には、有機溶媒中の不溶物にはキシランが多量に含まれているので、キシランを同時に分取することも可能である。
本発明で得られる芳香族モノマーは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、分散剤、接着剤の原料として利用できる。
以下に実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の%は特に断らない限り質量%を示す。
[実施例1]
4L容の回転型オートクレーブにスギのチップ絶乾量200gを入れ、酸素圧0.8MPaとなるように酸素を添加し、水酸化ナトリウムを60%(対チップ絶乾重量)、テトラヒドロアントラキノン(1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンジナトリウム、川崎化成工業株式会社製、商品名:SAQ)を0.02%(対チップ重量)、液比10となるように蒸解薬液を添加して、170℃、Hファクター=2000でソーダ・AQ蒸解を行い、パルプと黒液を得た。得られた黒液中の芳香族モノマーの収率を下記の方法にて測定した。また、パルプのカッパー価をJIS P 8221に従って測定した。
<芳香族モノマーの測定>
・分析装置:高速液体クロマトグラフ LcSolution Multi-PDA
・使用カラム:Shim-pack VP-ODS 150mm(長さ)×4.6mm(直径)
・溶離液:0.1%ギ酸:アセトニトリル=9:1の混合溶液
・流速:0.1%ギ酸が0.9ml/min、アセトニトリルが0.1ml/min
・検出:UV検出器(280nm)
標品(バニリン、バニリン酸)を用いて各濃度の標準液を作製し、上記条件で測定し得られたピーク面積と濃度から検量線を作製した。次に、溶離液を用いて適宜希釈した黒液を、上記条件で測定した。得られたバニリン及びバニリン酸に該当するピーク面積と上記検量線から得られた濃度を、黒液中の芳香族モノマー濃度とした。芳香族モノマー濃度と蒸解の際の液比から芳香族モノマー収率を計算した。
<リグニン分解物の分子量の測定>
〇リグニン分子量の分析条件(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC))
・分析装置:高速液体クロマトグラフ LcSolution Multi-PDA(島津製作所)
・使用カラム:HW-55F特注カラム(東ソー)7.8mm(直径)×30cm(長さ)
・溶離液:0.5M NaOH
・流速:1.0ml/min
・検出:UV検出器(280nm)
・分子量マーカー:分子量の異なる8種類のポリエチレングリコール(PEG)、PEGはRI検出器で検出。
RI検出器で検出した分子量マーカーPEG(ポリエチレングリコール)の各ピーク時間、及び、RI検出器とUV検出器の流路差と流速から計算される時間から、UV検出器での分子量の検量線を作成した。次に、溶離液を用いて10倍希釈した黒液を、上記条件のGPCにて測定した。UV280nmの吸収スペクトルのピークトップ時間と上記検量線から得られた分子量を、黒液中のリグニンの分子量とした。
[実施例2]
4L容の回転型オートクレーブにスギのチップ絶乾量100gを入れ、酸素圧0.8MPaとなるように酸素を添加し、水酸化ナトリウムを120%(対チップ絶乾重量)、テトラヒドロアントラキノン(1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンジナトリウム、川崎化成工業株式会社製、商品名:SAQ)を0.02%(対チップ重量)、液比20となるように蒸解薬液を添加して、170℃、Hファクター=2000でソーダ・AQ蒸解を行い、パルプと黒液を得た。実施例1と同様にして、黒液中の芳香族モノマー、リグニン分解物の分子量を測定した。また、パルプのカッパー価を実施例1と同様にして測定した。
[実施例3]
4L容の回転型オートクレーブにスギのチップ絶乾量66.7gを入れ、酸素圧0.8MPaとなるように酸素を添加し、水酸化ナトリウムを180%(対チップ絶乾重量)、テトラヒドロアントラキノン(1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンジナトリウム、川崎化成工業株式会社製、商品名:SAQ)を0.02%(対チップ重量)、液比30となるように蒸解薬液を添加して、170℃、Hファクター=2000でソーダ・AQ蒸解を行い、パルプと黒液を得た。実施例1と同様にして、黒液中の芳香族モノマー、リグニン分解物の分子量を測定した。また、パルプのカッパー価を実施例1と同様にして測定した。
[実施例4]
4L容の回転型オートクレーブにスギのチップ絶乾量200gを入れ、圧力0.8MPa、温度170℃に達してから酸素圧0.18MPaを維持するように酸素を添加し、水酸化ナトリウムを60%(対チップ絶乾重量)、テトラヒドロアントラキノン(1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンジナトリウム、川崎化成工業株式会社製、商品名:SAQ)を0.02%(対チップ重量)、液比10となるように蒸解薬液を添加して、170℃、Hファクター=2000でソーダ・AQ蒸解を行い、パルプと黒液を得た。実施例1と同様にして、黒液中の芳香族モノマー、リグニン分解物の分子量を測定した。また、パルプのカッパー価を実施例1と同様にして測定した。
[比較例1]
4L容の回転型オートクレーブにスギのチップ絶乾量200gを入れ、酸素圧0.8MPaとなるように酸素を添加し、水酸化ナトリウムを60%(対チップ絶乾重量)、テトラヒドロアントラキノンは添加せず、液比10となるように蒸解薬液を添加して、170℃、Hファクター=2000でソーダ・AQ蒸解を行い、パルプと黒液を得た。実施例1と同様にして、黒液中の芳香族モノマー、リグニン分解物の分子量を測定した。また、パルプのカッパー価を実施例1と同様にして測定した。
[比較例2]
4L容の回転型オートクレーブにスギのチップ絶乾量200gを入れ、圧力0.8MPa、温度170℃に達してから酸素圧0.18MPaを維持するように酸素を添加し、水酸化ナトリウムを60%(対チップ絶乾重量)、テトラヒドロアントラキノンは添加せず、液比10となるように蒸解薬液を添加して、170℃、Hファクター=2000でソーダ・AQ蒸解を行い、パルプと黒液を得た。実施例1と同様にして、黒液中の芳香族モノマー、リグニン分解物の分子量を測定した。また、パルプのカッパー価を実施例1と同様にして測定した。
[比較例3]
4L容の回転型オートクレーブにスギのチップ絶乾量200gを入れ、酸素を添加せず、水酸化ナトリウム60%(対チップ絶乾重量)、テトラヒドロアントラキノン(1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンジナトリウム、川崎化成工業株式会社製、商品名:SAQ)を0.02%(対チップ重量)、液比10となるように水酸化ナトリウムを水に混合した蒸解薬液を添加して、170℃、Hファクター=2000でソーダ・AQ蒸解を行い、パルプと黒液を得た。実施例1と同様にして、黒液中の芳香族モノマー、リグニン分解物の分子量を測定した。また、パルプのカッパー価を実施例1と同様にして測定した。
[比較例4]
4L容の回転型オートクレーブにスギのチップ絶乾量200gを入れ、酸素圧0.8MPaとなるように酸素を添加し、水酸化ナトリウム40%(対チップ絶乾重量)、テトラヒドロアントラキノン(1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンジナトリウム、川崎化成工業株式会社製、商品名:SAQ)を0.02%(対チップ重量)、液比3となるように水酸化ナトリウムを水に混合した蒸解薬液を添加して、170℃、Hファクター=2000でソーダ・AQ蒸解を行い、パルプと黒液を得た。実施例1と同様にして、黒液中の芳香族モノマー、リグニン分解物の分子量を測定した。また、パルプのカッパー価を実施例1と同様にして測定した。
[比較例5]
4L容の回転型オートクレーブにスギのチップ絶乾量200gを入れ、圧力0.8MPa、温度170℃に達してから酸素圧0.18MPaを維持するように酸素を添加し、水酸化ナトリウムを60%(対チップ絶乾重量)、テトラヒドロアントラキノン(1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンジナトリウム、川崎化成工業株式会社製、商品名:SAQ)を0.02%(対チップ重量)、液比3となるように蒸解薬液を添加して、170℃、Hファクター=2000でソーダ・AQ蒸解を行い、パルプと黒液を得た。実施例1と同様にして、黒液中の芳香族モノマー、リグニン分解物の分子量を測定した。また、パルプのカッパー価を実施例1と同様にして測定した。
実施例、比較例にて得られた芳香族モノマーの収率、リグニン分解物の分子量、パルプのカッパー価を表1に示した。
Figure 2017155008
表1に示されるように、実施例1〜4は比較例1〜5に比べて、黒液中に得られる芳香族モノマーの収率は高く、リグニンの分子量も低かった。パルプのカッパー価も低くなっていることから、黒液中に溶出したリグニンの量が多いと推察される。また、実施例4のように酸素を分割添加する方法においても芳香族モノマーを高収率で製造することが可能であった。これに対して、SAQを添加しない比較例1、2では、芳香族モノマーの収率は低く、パルプのカッパー価が高く黒液中に溶出したリグニンの量が少ないと推察される。酸素を添加しない比較例3では、芳香族モノマーの収率は低く、リグニンの分子量は高かった。液比が3である比較例4、5では、芳香族モノマーの収率は低く、パルプのカッパー価が高く黒液中に溶出したリグニンの量が少ないと推察される。

Claims (2)

  1. 木材をソーダ蒸解する工程において、酸素を添加し、キノン化合物を木材絶乾重量当たり0.001〜10質量%添加し、かつ液比を5.0以上としてソーダ蒸解する工程を含む、芳香族モノマーの製造方法。
  2. 木材をソーダ蒸解する工程において、酸素を2回以上に分割して添加する、請求項1記載の芳香族モノマーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022519088A (ja) * 2019-02-01 2022-03-18 アンドリッツ オサケ ユキチュア クラフトパルプ工場における酸化リグニンの製造方法

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