JP2017154868A - 吊り荷の振れ角演算装置 - Google Patents
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Abstract
Description
吊り荷の振れ角を零にする振れ止め制御技術は、従来から種々提供されているが、特に近年では、コンピュータ制御による電気式振れ止め制御が注目されている。
これらのうち、フィードバック制御を行う場合には振れ角検出装置が必要になるが、速度パターンを用いた制御の場合にも、制御性能を保証するために振れ角検出装置を備えている場合が多い。なお、クレーンにおける吊り荷の振れ角は、主として、トロリーの横行方向に振れるスウェイ(Sway)振れ角、及び、鉛直軸回りに捻じれるスキュー(Skew)振れ角に大別することができる。
また、特許文献2に記載されているごとく、複数台のカメラを用いることによって誤検出や検出エラーをある程度防ぐことは可能であるが、複数台のカメラやその画像処理手段等が装置のコスト高を招いていた。
前記振れ角演算装置に入力された振れ角検出値の正常/異常を判定する検出値異常判定部と、
前回演算周期の前記振れ角推定値から振れ角速度を演算し、当該振れ角推定値及び振れ角速度を保存する前回推定値・角速度保存部と、
前記検出値異常判定部により正常と判定した時には、前記振れ角検出値を今回の振れ角推定値として生成する第1の処理を行い、前記検出値異常判定部により異常と判定した時には、前記前回推定値・角速度保存部に保存された前回演算周期の振れ角推定値及び振れ角速度に基づいて今回の振れ角推定値を演算する第2の処理を行う振れ角推定部と、
を備えたものである。
前記振れ角演算装置に入力された振れ角検出値の正常/異常を判定する検出値異常判定部と、
前記検出値異常判定部により正常と判定した時には、前記振れ角検出値と前記アクチュエータ位置指令またはアクチュエータ位置検出値と前回演算周期の振れ角推定値とから振れ角速度推定値を求め、かつ、当該振れ角速度推定値と前記振れ角検出値とから今回の振れ角推定値を生成する第1の処理を行い、前記検出値異常判定部により異常と判定した時には、前記アクチュエータ位置指令または前記アクチュエータ位置検出値と前回演算周期の振れ角推定値とから振れ角速度推定値を求め、かつ、当該振れ角速度推定値から今回の振れ角推定値を生成する第2の処理を行う振れ角推定部と、
を備えたものである。
図2において、1はトロリー、2はトロリー1が横行動作するガーター、5はトロリー1にロープ(ワイヤー)3及び滑車4を介して指示された吊り具、6は吊り具5に一体的に保持された吊り荷、7は吊り具5の上面に配置されたターゲット、8はトロリー1の下面に配置されてターゲット7を撮像するカメラである。
なお、吊り荷6は吊り具5に一体的に保持されているため、振れ角について考察する限り、吊り具5と吊り荷6とを同等の部材と考える。
前述した図2におけるθは、トロリー1の横行動作によって発生するスウェイ振れ角であり、吊り荷6が振れたときに、吊り荷6の重心と鉛直軸Xとの間に形成される角度である。
また、図4におけるφは、吊り荷6の重心が偏芯していること等に起因して、鉛直軸Xを中心に吊り荷6が旋回することにより形成されるスキュー振れ角を示している。
また、φ1,φ2は、XOY平面上で計測されるスキュー振れ角であり、φ1は0−E1によるXOY平面上の直交投影軸とX軸との間の角度、φ2は0−E2によるXOY平面上の直交投影軸とX軸との間の角度となる。
[数式1](スウェイ振れ角θ)
θ=(θ1+θ2)/2
[数式2](スキュー振れ角φ)
φ=tan−1[{tan(θ1)−tan(θ2)}/{tan(φ1)−tan(φ2)}]
図1は、産業用のPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)等の演算処理装置により実現される振れ角演算装置10の機能ブロック図である。この振れ角演算装置10において、11は検出値異常判定部、12は振れ角推定部、13は前回推定値・角速度保存部、10はスウェイ振れ角及びスキュー振れ角を演算する振れ角演算部である。
図2のカメラ8によるターゲットの撮像画像に基づいて検出した振れ角検出値θ1,θ2,φ1,φ2は、シリアル通信等の伝送手段を介して振れ角演算装置10に入力される。この振れ角演算装置10では、定周期にて演算が実行される。
この場合、上記偏差が判定しきい値を超えた時に直ちに異常と判定し、上記偏差が判定しきい値以下である状態が一定時間継続した場合に正常と判定することが望ましい。
また、正常/異常判定信号aの論理が「0」であって検出値が異常と判定された場合は、前回推定値・角速度保存部13にて保存されている前回推定値θ1’,θ2’,φ1’,φ2’と前回角速度Δθ1’,Δθ2’,Δφ1’,Δφ2’とを加算した値を、今回の推定値θ1’,θ2’,φ1’,φ2’として出力する(請求項1における第2の処理)。
前回推定値・角速度保存部13では、推定値θ1’,θ2’,φ1’,φ2’を次回の演算まで保存すると共に、前回推定値と今回推定値との差分を求めて前回角速度Δθ1’,Δθ2’,Δφ1’,Δφ2’を演算し、これらを保存する。
上記の処理により演算されたスウェイ振れ角θ及びスキュー振れ角φは、いわゆる振れ止め制御を行うためのアクチュエータに与える位置指令の生成に用いられることになる。
本実施形態は、振れ角推定値を用いてアクチュエータを動作させることにより振れ止め制御を行う場合を想定したものである。
なお、以下ではスキュー振れ角の演算及び制御に関して説明するが、スウェイ振れ角の演算及び制御に関しても適用可能である。
振れ止め制御の具体的な方法としては、例えば、アクチュエータによりスキューシリンダの位置を制御することにより、吊り荷(吊り具)を複数箇所で支持する複数本のロープ(ワイヤー)の長さを調整してスキュー振れ角を減衰させる方段が知られているが、本発明において特に限定されるものではない。
すなわち、図7において、スキュー振れ角検出値φとスキュー振れ角推定値φ’との偏差を減算手段21aにより求め、偏差の絶対値を絶対値演算手段21bにより演算する。この絶対値を判定しきい値と共に比較手段21cに入力し、比較手段21cの出力をオンディレイ手段21dに入力して正常/異常判定信号aを得る。
スキュー振れ角推定部22は、スキュー振れ角検出値異常判定部21からの正常/異常判定信号aによって切替動作する第1,第2の切替手段22a,22bと、減算手段22cと、加算手段22d,22eと、第1,第2の積分手段22f,22gと、第1〜第4の比例係数K1,K2,K3,K4と、を備えている。
まず、アクチュエータの変位に対するスキュー振れ角速度変化率の関係を事前に取得しておき、この比を第1の比例係数K1に設定し、スキュー振れ角に対して生じるスキュー振れ角加速度の比を第2の比例係数K2に設定し、スキュー振れ角検出値φとスキュー振れ角推定値φ’との差に対して第3,第4の比例係数K3,K4をそれぞれ設定しておく。
これにより、アクチュエータ位置指令(または検出値)に第1の比例係数K1を乗算した結果と切替手段22aの出力との加算値から、スキュー振れ角推定値と第2の比例係数K2との乗算結果を減算した値を、第1の積分手段22fにより積分してスキュー振れ角速度推定値を更新する。更に、このスキュー振れ角速度推定値と切替手段22bの出力との加算値を、第2の積分手段22gにより積分してスキュー振れ角推定値を更新する(請求項2における第1の処理)。
なお、第3,第4の比例係数K3,K4を状態推定器設計法に基づいて与えれば、スキュー振れ角検出値に追従したスキュー振れ角推定値を得ることができる。
すなわち、アクチュエータ位置指令(または検出値)と第1の比例係数K1との乗算結果と、スキュー振れ角推定値と第2の比例係数K2との乗算結果と、の偏差を第1の積分手段22fにより積分してスキュー振れ角速度推定値を更新し、更に、このスキュー振れ角速度推定値をそのまま第2の積分手段22gにより積分してスキュー振れ角推定値を更新する(請求項2における第2の処理)。
また、光学的外乱等の影響によってスキュー振れ角検出値に異常が発生した場合には、スキュー振れ角検出値が正常に復帰するまで、スキュー振れ角推定値はスキュー運動モデルに基づいて更新される。従って、スキュー振れ角の変化を無視できない程度の期間にわたって検出値の異常が発生したとしても、真値に近いスキュー振れ角に推定値を更新可能であり、スキュー振れ角の制御ひいては振れ止め制御を支障なく継続することができる。
2:ガーター
3:ロープ(ワイヤー)
4:滑車
5:吊り具
6:吊り荷
7:ターゲット
8:カメラ
10,20:振れ角演算装置
11:検出値異常判定部
12:振れ角推定部
13:前回推定値・角速度保存部
14:振れ角演算部
21:スキュー振れ角検出値異常判定部
21a:減算手段
21b:絶対値演算手段
21c:比較手段
21d:オンディレイ手段
22:スキュー振れ角推定部
22a,22b:切替手段
22c:減算手段
22d,22e:加算手段
22f,22g:積分手段
30:スキュー振れ角制御部
Claims (7)
- 横行するトロリーから吊り下げされた吊り荷の振れ角検出値を所定周期により演算処理して振れ角推定値を生成する振れ角演算装置において、
前記振れ角演算装置に入力された振れ角検出値の正常/異常を判定する検出値異常判定部と、
前回演算周期の前記振れ角推定値から振れ角速度を演算し、当該振れ角推定値及び振れ角速度を保存する前回推定値・角速度保存部と、
前記検出値異常判定部により正常と判定した時には、前記振れ角検出値を今回の振れ角推定値として生成する第1の処理を行い、前記検出値異常判定部により異常と判定した時には、前記前回推定値・角速度保存部に保存された前回演算周期の振れ角推定値及び振れ角速度に基づいて今回の振れ角推定値を演算する第2の処理を行う振れ角推定部と、
を備えたことを特徴とする、吊り荷の振れ角演算装置。 - 横行するトロリーから吊り下げされた吊り荷の振れ角検出値を所定周期により演算処理して振れ角推定値を生成する振れ角演算装置であって、前記振れ角推定値が、振れ止め制御用のアクチュエータ位置指令を生成するために用いられる振れ角演算装置において、
前記振れ角演算装置に入力された振れ角検出値の正常/異常を判定する検出値異常判定部と、
前記検出値異常判定部により正常と判定した時には、前記振れ角検出値と前記アクチュエータ位置指令またはアクチュエータ位置検出値と前回演算周期の振れ角推定値とから振れ角速度推定値を求め、かつ、当該振れ角速度推定値と前記振れ角検出値とから今回の振れ角推定値を生成する第1の処理を行い、前記検出値異常判定部により異常と判定した時には、前記アクチュエータ位置指令または前記アクチュエータ位置検出値と前回演算周期の振れ角推定値とから振れ角速度推定値を求め、かつ、当該振れ角速度推定値から今回の振れ角推定値を生成する第2の処理を行う振れ角推定部と、
を備えたことを特徴とする、吊り荷の振れ角演算装置。 - 請求項1または2に記載した吊り荷の振れ角演算装置において、
前記振れ角推定部は、
前記振れ角検出値が複数種類存在する時に、複数の振れ角検出値のうち、前記検出値異常判定部により正常と判定された振れ角検出値に対して前記第1の処理を行い、かつ、異常と判定された残りの振れ角検出値に対して前記第2の処理を行うことを特徴とする、吊り荷の振れ角演算装置。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載した吊り荷の振れ角演算装置において、
前記検出値異常判定部は、
入力された今回の振れ角検出値と前回演算周期の振れ角推定値との偏差が所定の判定しきい値を超えた時に異常と判定することを特徴とする、吊り荷の振れ角演算装置。 - 請求項4に記載した吊り荷の振れ角演算装置において、
前記検出値異常判定部は、
入力された今回の振れ角検出値と前回演算周期の振れ角推定値との偏差が所定の判定しきい値以下である状態が一定時間継続した場合に正常と判定し、前記偏差が前記判定しきい値を超えた時に直ちに異常と判定することを特徴とする、吊り荷の振れ角演算装置。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載した吊り荷の振れ角演算装置において、
前記振れ角検出値が、スキュー振れ角検出値及びスウェイ振れ角検出値を含むことを特徴とする、吊り荷の振れ角演算装置。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載した吊り荷の振れ角演算装置において、
前記振れ角検出値を、前記吊り荷と一体的に移動するターゲットの撮像画像に基づいて得ることを特徴とする、吊り荷の振れ角演算装置。
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