以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る車両の説明図である。図2−1および図2−2は、本実施形態に係る車両の他の例の説明図である。
図1に示す車両は、可搬車両としてのトレーラ51と、牽引車両であるトラクタ52とで構成される。図1に示すトレーラ51は、低床トレーラである。このトレーラ51は、トラクタ52が接続または引き離されるように構成されている。このトレーラ51は、前側にトラクタ接続部51Aを有し、後側に低床部51Bを有している。
トラクタ接続部51Aは、被搬送物101が積載されるもので、堅牢なフレーム51Aaを基部として構成されている。トラクタ接続部51Aは、トラクタ52が接続される部分であり、フレーム51Aaの底に接続ピン51Abが設けられている。トラクタ52は、接続ピン51Abに接続可能なカプラー52aが設けられている。また、トラクタ接続部51Aは、トラクタ52が接続されるため車輪を有さず、フレーム51Aaの後端部にアウトリガー51Adが設けられている。
低床部51Bは、被搬送物102が積載されるもので、堅牢なフレーム51Baを基部として構成されている。低床部51Bは、フレーム51Baの前端がトラクタ接続部51Aのフレーム51Aaよりも低い位置でフレーム51Aaの後端に接続されている。低床部51Bは、フレーム51Baの後端部に車輪(空気入りタイヤ)51Bbが設けられている。車輪51Bbは、例えば、図1に示すように前後に3つの車軸を有して3輪設けられ、かつ1つの車軸に左右で二重のダブルタイヤとして構成されている。この車輪51Bbは、車軸がサスペンション51Bcを介してフレーム51Baに接続されている。このサスペンション51Bcは、一般的なトレーラに設けられるものである。また、低床部51Bは、フレーム51Baの後端部にアウトリガー51Bdが設けられている。
低床部51Bに積載される被搬送物102は、トラクタ接続部51Aに積載される被搬送物101よりも高さが高いもので、道路交通法の規定に準じた積載高さとなるように、低床部51Bに積載される。被搬送物102は、例えば、プラントの緊急時の電源を得るため、発電機および発電用エンジンがあり、被搬送物101は、発電用エンジンの燃料タンクや、発電機の給油タンクや、発電した電気を送るための遮断器などがある。その他、被搬送物102は、例えば、プラントの緊急時の給水を得るため、水タンクがあり、被搬送物101は、水を送るポンプがある。被搬送物101,102は、この限りではない。
図2−1に示す車両は、図1に示す車両に対してトラクタ接続部51Aに被搬送物101が積載されないもので、他の構成は図1に示す可搬車両と同じである。
図2−2に示す車両は、可搬車両としてのトレーラ61と、牽引車両であるトラクタ62とで構成される。図2−2に示すトレーラ61は、平床トレーラである。このトレーラ61は、トラクタ62が接続または引き離されるように構成されている。このトレーラ61は、図1に示すトレーラ51のトラクタ接続部51Aと低床部51Bとがトラクタ接続部51Aの高さで一連に繋がったフレーム61aを有する。フレーム61aは、被搬送物103が積載される。
フレーム61aは、その前端部が、トレーラ51のトラクタ接続部51Aに相当する。すなわち、フレーム61aの前端部は、底に接続ピン61bが設けられている。トラクタ62は、接続ピン61bに接続可能なカプラー62aが設けられている。また、フレーム61aの前端部は、トラクタ62が接続されるため車輪を有さない。
フレーム61aは、その後端部が、床高さが高いことを除きトレーラ51の低床部51Bに相当する。すなわち、フレーム61aの後端部は、車輪61cが設けられている。車輪61cは、例えば、図2−2に示すように前後に3つの車軸を有して3輪設けられ、かつ1つの車軸に左右で二重のダブルタイヤとして構成されている。この車輪61cは、車軸がサスペンション61dを介してフレーム61aに接続されている。このサスペンション61dは、一般的なトレーラに設けられるものである。また、フレーム61aは、前端部および後端部にアウトリガー61eが設けられている。
フレーム61aに積載される被搬送物103は、例えば、プラントの緊急時の電源を得るため、発電機、発電用エンジン、発電用エンジンの燃料タンク、発電機の給油タンク、発電した電気を送るための遮断器などがある。その他、被搬送物103は、例えば、プラントの緊急時の給水を得るため、水タンク、水を送るポンプがある。被搬送物103は、この限りではない。
上述した図1や図2−1および図2−2に示すトレーラ51,61は、トラクタ52,62が接続された状態で、保管場所に保管される。保管場所は、例えば、地震および津波などの自然現象による災害が生じても、その災害の影響を受け難い場所に定められる。
以下、トレーラ51,61を保管場所にて車両を保持する車両保持装置について図3〜図12を参照して説明する。本実施形態において、車両保持装置は、図3〜図6に示すトラクタ52(62)側の車両保持装置と、図7〜図10に示すトレーラ51(61)側の車両保持装置とがある。
図3は、本実施形態に係る車両保持装置の平面図である。図4は、本実施形態に係る車両保持装置の正面図である。図5は、本実施形態に係る車両保持装置の側面図である。図6は、本実施形態に係る車両保持装置の側面図である。
トラクタ52(62)側を保持する車両保持装置は、図3〜図6に示すように、ベース部11と、側部保持部12と、前後保持部13と、上部保持部14と、を備える。
ベース部11は、鋼板からなり、トレーラ51(61)およびトラクタ52(62)を含む車両を保管する保管場所の所定面(地面)G上に固定される。ベース部11の所定面Gへの固定は、例えば、所定面Gに基礎ボルトを設け、当該基礎ボルトをベース部11に貫通させてナットで締結して固定する。ベース部11は、車両を走向させてトラクタ52(62)の車輪52b(62b)が載せられる。また、ベース部11は、凹部11Aが設けられている。凹部11Aは、ベース部11の鋼板に貫通して設けられた穴であり、この穴に車輪52b(62b)の下部が嵌まることで、当該車輪52b(62b)の位置を位置決めすることができる。なお、本実施形態において、ベース部11は、トラクタ52(62)における左右の車輪52b(62b)にそれぞれ対応して左右に分割して形成されている。
側部保持部12は、ベース部11上に載せられたトラクタ52(62)における左右両側の車輪52b(62b)の車両装着外側に所定隙間を空けた位置でベース部11に固定される。車両装着外側とは、トラクタ52(62)に車輪52b(62b)を装着した状態でトラクタ52(62)の外に向く側である。この側部保持部12は、ベース部11に固定される固定部材12Aと、固定部材12Aに一体に設けられて車輪52b(62b)の車両装着外側に所定隙間を空けて配置される保持部材12Bと、を有する。
側部保持部12の固定部材12Aは、鋼板により構成され、例えば、ベース部11に設けられたボルトを貫通してナットで締結して固定される。すなわち、側部保持部12は、固定部材12Aを介してベース部11に対して着脱可能に設けられている。また、固定部材12Aは、ボルトを貫通させる貫通孔が長孔として設けられて、車輪52b(62b)に対して接近または離隔する微調整の移動が可能にベース部11に対して取り付けられる。従って、ナットの締結を緩めて固定部材12Aを移動させることにより、保持部材12Bにおける車輪52b(62b)の車両装着外側との所定隙間を調整することができる。
側部保持部12の保持部材12Bは、鋼板により構成され、固定部材12Aの鋼板の車輪52b(62b)に向く側縁に立設されて、固定部材12Aと共にL字形状に形成される。保持部材12Bは、その板面12Baが車輪52b(62b)の車両装着外側に向けて設けられている。また、保持部材12Bは、板面12Baにゴムなどの弾性材からなる緩衝部材12Cが設けられている。この緩衝部材12Cが設けられている場合に緩衝部材12Cが車輪52b(62b)の車両装着外側と所定隙間を空けて配置され、緩衝部材12Cが設けられていない場合は、板面12Baが車輪52b(62b)の車両装着外側と所定隙間を空けて配置される。また、緩衝部材12Cは、車輪52b(62b)の回転中心位置を含む範囲で車輪52b(62b)の車両装着外側に向けて設けられている。また、保持部材12Bは、鋼板のリブ12Dにより固定部材12Aと連結されて補強されている。
前後保持部13は、ベース部11上に載せられたトラクタ52(62)における左右両側の車輪52b(62b)の前側や後側のそれぞれに所定隙間を空けた位置でベース部11に固定される。この前後保持部13は、ベース部11に固定される固定部材13Aと、固定部材13Aに一体に設けられて車輪52b(62b)の前側や後側に所定隙間を空けて配置される保持部材13Bと、を有する。
前後保持部13の固定部材13Aは、鋼板により構成され、例えば、ベース部11に設けられたボルトを貫通してナットで締結して固定される。すなわち、前後保持部13は、固定部材13Aを介してベース部11に対して着脱可能に設けられている。また、固定部材13Aは、ボルトを貫通させる貫通孔が長孔として設けられて、車輪52b(62b)に対して接近または離隔する微調整の移動が可能にベース部11に対して取り付けられる。従って、ナットの締結を緩めて固定部材13Aを移動させることにより、保持部材13Bにおける車輪52b(62b)の前側や後側との所定隙間を調整することができる。
前後保持部13の保持部材13Bは、鋼板により構成され、固定部材13Aの鋼板の車輪52b(62b)に向く側縁に立設されて、固定部材13Aと共にL字形状に形成される。保持部材13Bは、その板面13Baが車輪52b(62b)の前側や後側に向けて設けられている。また、保持部材13Bは、板面13Baにゴムなどの弾性材からなる緩衝部材13Cが設けられている。この緩衝部材13Cが設けられている場合に緩衝部材13Cが車輪52b(62b)の前側や後側と所定隙間を空けて配置され、緩衝部材13Cが設けられていない場合は、板面13Baが車輪52b(62b)の前側や後側と所定隙間を空けて配置される。また、緩衝部材13Cは、車輪52b(62b)の回転中心位置を含む範囲で車輪52b(62b)の前側や後側に向けて設けられている。また、保持部材13Bは、鋼板のリブ13Dにより固定部材13Aと連結されて補強されている。
また、前後保持部13の保持部材13Bは、その上端に水平に配置された鋼板からなる連結部材13Eが設けられている。連結部材13Eは、上部保持部14を連結するためのものである。
なお、本実施形態において、車輪52b(62b)は、前後に複数(2つ)並んで設けられている。このため、前後保持部13は、前後に並ぶ車輪52b(62b)の間では省略され、前側の車輪52b(62b)の前と、後側の車輪52b(62b)の後に設けられている。前後保持部13は、1つの車輪52b(62b)に対しては、その前と後に設けられる。なお、前後に並ぶ車輪52b(62b)の間では、上部保持部14を支持する支持部15が設けられている。
支持部15は、ベース部11にボルトおよびナットで締結して固定される固定部材15Aと、固定部材15Aに一体に設けられて前後に並ぶ車輪52b(62b)の間に配置される保持部材15Bと、保持部材15Bの上端に水平に配置された鋼板からなる連結部材15Eと、を有する。連結部材15Eは、上部保持部14を連結するためのものである。
なお、本実施形態では、車輪52b(62b)は、車両の一側において車軸52c(62c)の延在方向に沿って複数(2つ)並んで設けられたダブルタイヤとして構成されている。この場合、前後保持部13および支持部15は、並んで設けられた全ての車輪52b(62b)の前後に配置されている。
上部保持部14は、前後保持部13(および本実施形態では支持部15)の上端に掛け渡されて固定され車輪52b(62b)の上部に所定隙間を空けて配置される。上部保持部14は、鋼板からなり、前後保持部13(および本実施形態では支持部15)の連結部材13E(15E)に対してボルトおよびナットで締結して固定される。この上部保持部14は、トラクタ52(62)におけるフレームなどの車両の構成部品に干渉しないように鋼板が折曲または湾曲して形成される。また、上部保持部14は、トラクタ52(62)におけるフレームなどの車両の構成部品に干渉しない範囲でリブ14Dが設けられて補強されている。なお、上部保持部14は、支持部15を配置せずに各前後保持部13の上端に掛け渡されて固定してもよい。
なお、図3〜図6に示す車両保持装置は、トラクタ52(62)における後輪側の車輪52b(62b)に適用した例を示している。これに限らず、図には明示しないが、図1に示すトラクタ52(62)における前輪側の操舵用の空気入りタイヤである車輪52c(62c)に対しても同様の構成の車両保持装置が適用できる。
図7は、本実施形態に係る車両保持装置の平面図である。図8は、本実施形態に係る車両保持装置の正面図である。図9は、本実施形態に係る車両保持装置の側面図である。図10は、本実施形態に係る車両保持装置の側面図である。
トレーラ51(61)側を保持する車両保持装置は、図7〜図10に示すように、ベース部21と、側部保持部22と、前後保持部23と、上部保持部24と、を備える。
ベース部21は、鋼板からなり、トレーラ51(61)およびトラクタ52(62)を含む車両を保管する保管場所の所定面(地面)G上に固定される。ベース部21の所定面Gへの固定は、例えば、所定面Gに基礎ボルトを設け、当該基礎ボルトをベース部21に貫通させてナットで締結して固定する。ベース部21は、車両を走向させてトレーラ51(61)の車輪51Bb(61c)が載せられる。また、ベース部21は、凹部21Aが設けられている。凹部21Aは、ベース部21の鋼板に貫通して設けられた穴であり、この穴に車輪51Bb(61c)の下部が嵌まることで、当該車輪51Bb(61c)の位置を位置決めすることができる。なお、本実施形態において、ベース部21は、トレーラ51(61)における左右の車輪51Bb(61c)にそれぞれ対応して左右に分割して形成されている。
側部保持部22は、ベース部21上に載せられたトレーラ51(61)における左右両側の車輪51Bb(61c)の車両装着外側に所定隙間を空けた位置でベース部21に固定される。車両装着外側とは、トレーラ51(61)に車輪51Bb(61c)を装着した状態でトレーラ51(61)の外に向く側である。この側部保持部22は、ベース部21に固定される固定部材22Aと、固定部材22Aに一体に設けられて車輪51Bb(61c)の車両装着外側に所定隙間を空けて配置される保持部材22Bと、を有する。
側部保持部22の固定部材22Aは、鋼板により構成され、例えば、ベース部21に設けられたボルトを貫通してナットで締結して固定される。すなわち、側部保持部22は、固定部材22Aを介してベース部21に対して着脱可能に設けられている。また、固定部材22Aは、ボルトを貫通させる貫通孔が長孔として設けられて、車輪51Bb(61c)に対して接近または離隔する微調整の移動が可能にベース部21に対して取り付けられる。従って、ナットの締結を緩めて固定部材22Aを移動させることにより、保持部材22Bにおける車輪51Bb(61c)の車両装着外側との所定隙間を調整することができる。
側部保持部22の保持部材22Bは、鋼板により構成され、固定部材22Aの鋼板の車輪51Bb(61c)に向く側縁に立設されて、固定部材22Aと共にL字形状に形成される。保持部材22Bは、その板面22Baが車輪51Bb(61c)の車両装着外側に向けて設けられている。また、保持部材22Bは、板面22Baにゴムなどの弾性材からなる緩衝部材22Cが設けられている。この緩衝部材22Cが設けられている場合に緩衝部材22Cが車輪51Bb(61c)の車両装着外側と所定隙間を空けて配置され、緩衝部材22Cが設けられていない場合は、板面22Baが車輪51Bb(61c)の車両装着外側と所定隙間を空けて配置される。また、緩衝部材22Cは、車輪51Bb(61c)の回転中心位置を含む範囲で車輪51Bb(61c)の車両装着外側に向けて設けられている。また、保持部材22Bは、鋼板のリブ22Dにより固定部材22Aと連結されて補強されている。
前後保持部23は、ベース部21上に載せられたトレーラ51(61)における左右両側の車輪51Bb(61c)の前側や後側のそれぞれに所定隙間を空けた位置でベース部21に固定される。この前後保持部23は、ベース部21に固定される固定部材23Aと、固定部材23Aに一体に設けられて車輪51Bb(61c)の前側や後側に所定隙間を空けて配置される保持部材23Bと、を有する。
前後保持部23の固定部材23Aは、鋼板により構成され、例えば、ベース部21に設けられたボルトを貫通してナットで締結して固定される。すなわち、前後保持部23は、固定部材23Aを介してベース部21に対して着脱可能に設けられている。また、固定部材23Aは、ボルトを貫通させる貫通孔が長孔として設けられて、車輪51Bb(61c)に対して接近または離隔する微調整の移動が可能にベース部21に対して取り付けられる。従って、ナットの締結を緩めて固定部材23Aを移動させることにより、保持部材23Bにおける車輪51Bb(61c)の前側や後側との所定隙間を調整することができる。
前後保持部23の保持部材23Bは、鋼板により構成され、固定部材23Aの鋼板の車輪51Bb(61c)に向く側縁に立設されて、固定部材23Aと共にL字形状に形成される。保持部材23Bは、その板面23Baが車輪51Bb(61c)の前側や後側に向けて設けられている。また、保持部材23Bは、板面23Baにゴムなどの弾性材からなる緩衝部材23Cが設けられている。この緩衝部材23Cが設けられている場合に緩衝部材23Cが車輪51Bb(61c)の前側や後側と所定隙間を空けて配置され、緩衝部材23Cが設けられていない場合は、板面23Baが車輪51Bb(61c)の前側や後側と所定隙間を空けて配置される。また、緩衝部材23Cは、車輪51Bb(61c)の回転中心位置を含む範囲で車輪51Bb(61c)の前側や後側に向けて設けられている。また、保持部材23Bは、鋼板のリブ23Dにより固定部材23Aと連結されて補強されている。
また、前後保持部23の保持部材23Bは、その上端に水平に配置された鋼板からなる連結部材23Eが設けられている。連結部材23Eは、上部保持部24を連結するためのものである。
なお、本実施形態において、車輪51Bb(61c)は、前後に複数(3つ)並んで設けられている。このため、前後保持部23は、前後に並ぶ車輪51Bb(61c)の間では省略され、前側の車輪51Bb(61c)の前と、後側の車輪51Bb(61c)の後に設けられている。前後保持部23は、1つの車輪51Bb(61c)に対しては、その前と後に設けられる。なお、前後に並ぶ車輪51Bb(61c)の間では、上部保持部24を支持する支持部25が設けられている。
支持部25は、ベース部21にボルトおよびナットで締結して固定される固定部材25Aと、固定部材25Aに一体に設けられて前後に並ぶ車輪51Bb(61c)の間に配置される保持部材25Bと、保持部材25Bの上端に水平に配置された鋼板からなる連結部材25Eと、を有する。連結部材25Eは、上部保持部24を連結するためのものである。
なお、本実施形態では、車輪51Bb(61c)は、車両の一側において車軸51Bf(61f)の延在方向に沿って複数(2つ)並んで設けられたダブルタイヤとして構成されている。この場合、前後保持部23および支持部25は、並んで設けられた全ての車輪51Bb(61c)の前後に配置されている。
上部保持部24は、前後保持部23(および本実施形態では支持部25)の上端に掛け渡されて固定され車輪51Bb(61c)の上部に所定隙間を空けて配置される。上部保持部24は、鋼板からなり、前後保持部23(および本実施形態では支持部25)の連結部材23E(25E)に対してボルトおよびナットで締結して固定される。この上部保持部24は、トレーラ51(61)におけるフレームなどの車両の構成部品に干渉しないように鋼板が折曲または湾曲して形成される。なお、上部保持部24は、支持部25を配置せずに各前後保持部23の上端に掛け渡されて固定してもよい。
なお、本実施形態では、車輪51Bb(61c)は、車両の一側において車軸51Bf(61f)の延在方向に沿って複数(2つ)設けられたダブルタイヤとして構成されている。この場合、上部保持部24は、それぞれの車輪51Bb(61c)ごとに分割して形成されている。
このように、本実施形態の車両保持装置は、例えば、可搬車両としてのトレーラ51(61)と、牽引車両であるトラクタ52(62)とで構成される車両に対し、トラクタ62側の車輪52b(62b)および車輪52d(62d)や、トレーラ61側の車輪51Bb(61c)に適用される。
そして、本実施形態の車両保持装置は、所定面G上に固定されて車両の車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)を載せることのできるベース部11,21と、ベース部11,21に載せられた車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の車両装着外側に所定隙間を空けて配置されてベース部11,21に固定される側部保持部12,22と、ベース部11,21に載せられた車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の前後に所定隙間を空けて配置されてベース部11,21に固定される前後保持部13,23と、を備える。
この車両保持装置によれば、強風時および地震時において、ベース部11,21に載せられた車両の車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)が移動しようとした場合に、その車両装着外側をベース部11,21に固定された側部保持部12,22で保持し、その前後をベース部11,21に固定された前後保持部13,23で保持する。このため、車両は、前後左右に移動することを規制される。しかも、保持するのは弾性を有する車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)であるから、車両のサスペンションやフレームや可搬車両の場合に可搬される被搬送物101,102(103)に対して支障を来すことはない。この結果、強風および地震の影響を受けずに車両を支障なく保持することができる。
また、本実施形態の車両保持装置では、ベース部11,21は、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の下部を嵌める凹部が設けられていることが好ましい。
この車両保持装置によれば、車両をベース部11,21に載せる際、凹部11A,21Aに車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の下部を嵌めるように車両を走向移動させることで、ベース部11,21に固定される側部保持部12,22や前後保持部13,23の位置に対応して車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)を位置決めすることができる。
また、本実施形態の車両保持装置では、側部保持部12,22は、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)に向けて緩衝部材12C,22Cが設けられていることが好ましい。
この車両保持装置によれば、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の車両装着外側にあらわれるリムと側部保持部12,22が干渉してリムを傷つけたり、リムに荷重が掛かったりすることを緩衝部材12C,22Cの緩衝作用により防止できる。
なお、前後保持部13,23においても、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)に向けて緩衝部材13C,23Cが設けられていることが好ましいが、前後保持部13,23は、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の走向時に地面に接する踏面に向けてあるため、緩衝部材13C,23Cを設けなくても車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)自体の緩衝作用が得られる。
また、本実施形態の車両保持装置では、側部保持部12,22は、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)に対して接近または離隔する移動が可能にベース部11,21に対して取り付けられることが好ましい。
この車両保持装置によれば、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)に対する側部保持部12,22の位置を微調整することができ、車両や車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の種類に応じた汎用性を得ることができる。
また、本実施形態の車両保持装置では、前後保持部13,23は、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)に対して接近または離隔する移動が可能にベース部11,21に対して取り付けられることが好ましい。
この車両保持装置によれば、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)に対する前後保持部13,23の位置を微調整することができ、車両や車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の種類に応じた汎用性を得ることができる。
また、本実施形態の車両保持装置では、前後保持部13,23の上端に掛け渡されて固定され車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の上部に所定隙間を空けて配置される上部保持部14,24をさらに備えることが好ましい。
この車両保持装置によれば、強風時および地震時において、ベース部11,21に載せられた車両の車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)が上方に移動しようとすることを上部保持部14,24により防止できる。この結果、強風および地震の影響を受けずに車両を支障なく保持する効果をより顕著に得ることができる。なお、上部保持部14,24は、必ずしも設けなくてもよく、この場合は、本実施形態における支持部15,25も不要となる。
また、本実施形態の車両保持装置では、上部保持部14,24は、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)が車両の一側において車軸52c,52e,51Bf(62b,62e,61f)の延在方向に沿って複数設けられている場合、各車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)ごとに分割して形成されていることが好ましい。
車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)と、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)上方の車両のフレームとの間に挿入されるが、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)が車両の一側において車軸52c,52e,51Bf(62b,62e,61f)の延在方向に沿って複数設けられている場合は、上部保持部14,24が大型化し重くなるため設置や撤去の作業性が悪い。この車両保持装置によれば、上部保持部14,24を各車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)ごとに分割して形成することで、上部保持部14,24が小型化し軽くなるため設置や撤去の作業性を向上できる。
図11は、本実施形態に係る車両保持装置の他の例の正面図である。
図11に示す車両保持装置では、側部保持部12は、ベース部11に固定される固定部材12Aと、車輪52b,52d(62b,62d)の装着外側に向く板面12Baを有する保持部材12Bと、を有しており、保持部材12Bの上端側が車輪52b(62b)から遠ざかる態様で板面12Baが傾斜して形成されている。なお、図には明示しないが、側部保持部22についても、ベース部21に固定される固定部材22Aと、車輪51Bb(61c)の装着外側に向く板面22Baを有する保持部材22Bと、を有しており、保持部材22Bの上端側が車輪51Bb(61c)から遠ざかる態様で板面22Baが傾斜して形成されている。これら、側部保持部12における保持部材12Bの板面12Baの鉛直(車輪52b,52d(62b,62d)の側面)に対する角度、および側部保持部22における保持部材22Bの板面22Baの鉛直(車輪51Bb(61c))に対する角度は、10°以上40°以下の範囲とする。この範囲は、出願人知見に基づく。
この図11に示す車両保持装置によれば、側部保持部12,22の保持部材12B,22Bの上端側が車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)から遠ざかるように板面12Ba,22Baが傾斜して形成されているため、強風時および地震時において、ベース部11,21に載せられた車両の車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)が移動しようとした場合に、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の車両装着外側にあらわれるリムと側部保持部12,22が干渉してリムを傷つけたり、リムに荷重が掛かったりすることを防止できる。
図12は、本実施形態に係る車両保持装置の他の例の平面図である。
図12に示す車両保持装置では、前後保持部13は、車輪52b,52d(62b,62d)の前後から退避する位置に至り車両における車軸52c,52e(62c,62e)の延在方向に移動が可能にベース部11に対して取り付けられている。なお、図には明示しないが、前後保持部23についても、車輪51Bb(61c)の前後から退避する位置に至り車両における車軸51Bf(61f)の延在方向に移動が可能にベース部21に対して取り付けられている。
具体的に、図12に示すように、ベース部11の上面に、車軸52c,52e(62c,62e)の延在方向に沿ってレール16が設けられている。そして、前後保持部13は、レール16に沿って車軸52c,52e(62c,62e)の延在方向に移動可能に設けられている。前後保持部13は、レール16に沿って車輪52b,52d(62b,62d)の前後の位置に移動した場合、ベース部11に固定される。また、支持部15(25)についても同様にレール16により車輪51Bb(61c)の前後から退避する位置に至り移動可能に設けられている。また、図12に示す車両保持装置では、前後保持部13や支持部15の移動に際して側部保持部12(22)が干渉しないように、側部保持部12(22)の前後方向の寸法が、個々の車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の前後寸法の範囲となるように短く形成されている。
この図12に示す車両保持装置によれば、側部保持部12,22および支持部15,25を車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の前後位置から退避するように移動可能にしたことにより、ベース部11,21上への車両の走行時に側部保持部12,22を退避しておき、車両がベース部11,21上に載置されたら、側部保持部12,22および支持部15,25を車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の前後位置に移動させてベース部11,22に固定する。このようにすることで、側部保持部12,22および支持部15,25の設置および撤去の作業性を向上することができる。
なお、上述した実施形態において、所定隙間は、側部保持部12,22について、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の車両装着外側と0mm以上50mm以下の範囲とする。この範囲は、出願人知見に基づく。また、上述した所定隙間は、前後保持部13,23について、車輪52b,52d,51Bb(62b,62d,61c)の前側や後側と50mm以上100mm以下の範囲とする。この範囲は、出願人知見に基づく。
ところで、上述した図1や図2−1および図2−2に示すトレーラ51,61は、トラクタ52,62が引き離された形態で、可搬車両用架台を用いて保管場所に保管されることもある。以下、可搬車両用架台について図13〜図16を参照して説明する。
図13は、可搬車両用架台の側面図である。図14は、可搬車両用架台の平面図である。図15は、可搬車両用架台の正面図である。図16は、可搬車両用架台の使用状態の説明図である。
図13〜図15に示すように、可搬車両用架台は、架台本体1と、脚部2と、懸架装置3と、を備える。
架台本体1は、トレーラ51(61)にトラクタ52(62)が接続されるトラクタ接続部51A(フレーム61aの前端部)の下方でトレーラ51(61)に対して着脱可能に取り付けられる。従って、架台本体1は、被搬送物101(103)およびトラクタ接続部51Aのフレーム51Aa(フレーム61aの前端部)の荷重を受けられるように堅牢に構成されている。具体的に、架台本体1は、図14に示すように、平面視で前後方向に延在する一対の鋼材(H型鋼)1aと左右方向に延在する一対の鋼材(H型鋼)1bとが矩形(ロ字形)の枠状に接続されている。また、架台本体1は、図14に示すように、前後方向に延在する一対の鋼材(H型鋼)1aの途中に、2本の鋼材(H型鋼)1cが掛け渡されて補強されている。
また、架台本体1は、トレーラ51(61)におけるトラクタ接続部51A(フレーム61aの前端部)の底に設けられた接続ピン51Ab(61b)に接続されるカプラー1dが設けられている。カプラー1dは、トラクタ52(62)に設けられた一般的なものである。従って、架台本体1は、カプラー1dにより接続ピン51Ab(61b)を介してトレーラ51(61)に接続したりトレーラ51(61)から引き離したりすることができる。
脚部2は、架台本体1の下方に設けられ所定面(地面)Gに載置される。脚部2は、車軸2aと、車軸2aに取り付けられた車輪(空気入りタイヤ)2bと、で構成されている。車軸2aは、筒状の外管に回転可能に挿通して設けられている。脚部2は、水平方向に沿って延在する一本の車軸2aの両端に、車輪2bが回転可能に取り付けられている。車輪2bは、リムが組み付けられた内部に空気が充填される。車輪2bは、車軸2aの一端に、車軸2aの延在方向でリムが結合されたダブルタイヤとして取り付けられている。そして、脚部2は、架台本体1の前側と後側にそれぞれ車軸2aが平行に設けられる。この脚部2は、後述するように、懸架装置3を介して架台本体1に接続される。
懸架装置3は、いわゆるサスペンションである。懸架装置3は、架台本体1における鋼材1aの底に前後方向に対向して固定された各支持部3aの間に掛け渡された板バネ部3bを有する。板バネ部3bは、複数の板バネが積層されたもので、中央部が下方に湾曲する形態で両端部が各支持部3aに取り付けられている。板バネ部3bは、中央部の下に脚部2の車軸2aの外管が支持されている。従って、板バネ部3bは、車軸2aの回転を阻害することなく架台本体1と脚部2との間に介在されている。また、懸架装置3は、一方の支持部3aから車軸2aの外管に接続されたダンパ3cを有する。従って、ダンパ3cは、車軸2aの回転を阻害することなく架台本体1と脚部2との間に介在されている。この懸架装置3は、架台本体1における鋼材1aの下方に配置され、板バネ部3bが脚部2の各車軸2aの両端部を支持して設けられ、ダンパ3cがリンク3caを介して各車軸2aの中央部の2箇所に接続されている。
このような可搬車両用架台は、アウトリガー51Ad,51Bd(61e)によりトレーラ51(61)が持ち上げられ、トラクタ52(62)が引き離された後、トレーラ51(61)の接続ピン51Ab(61b)に対してカプラー1dにより架台本体1が接続される。図16では、トレーラ51に架台本体1が接続されている例を示しているが、トレーラ61でも同様である。このようにして可搬車両用架台は、トラクタ接続部51Aのフレーム51Aa(フレーム61aの前端部)の底に接続される。トレーラ51(61)は、自身の車輪51Bb(61c)およびサスペンション51Bc(61d)と、可搬車両用架台の車輪2bおよび懸架装置3とを介して所定面Gに載置されることになる。従って、トレーラ51(61)は、サスペンション51Bc(61d)および懸架装置3により、トレーラ51(61)自体や被搬送物101,102(103)に地震の衝撃が作用することを抑制される。しかも、トレーラ51(61)は、車輪51Bb(61c)および車輪2bによっても、トレーラ51(61)自体や被搬送物101,102(103)に地震の衝撃が作用することを抑制される。この結果、可搬車両であるトレーラ51(61)に積載した被搬送物101,102(103)をトレーラ51(61)と共に支障なく保管することができる。
そして、本実施形態の車両保持装置は、このような可搬車両用架台が適用された場合に、当該可搬車両用架台に対して図3〜図6に示す上述した構成により車輪2bを保持する。従って、強風および地震の影響を受けずに車両を支障なく保持することができる。
なお、本実施形態の車両保持装置は、可搬車両としてのトレーラ51(61)と、牽引車両であるトラクタ52(62)とで構成される車両以外に、例えば、普通乗用車などの車両に適用してもよい。