JP2017154064A - 硝化細菌が付着した生物活性炭の製造方法及び高度浄水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硝化細菌が付着した生物活性炭を製造する方法を提供する。【解決手段】本発明では、硝化細菌を含む硝化細菌源を活性炭に接触させて硝化細菌付着活性炭を製造し、その硝化細菌付着活性炭を、アンモニウム塩の存在下で培養するので、硝化細菌が活性炭に安定的に付着する、生物活性炭が保有する硝化細菌数も多くなる。従って、この生物活性炭を浄水処理設備の活性炭池に投入すると、従来技術と比較して極めて短時間で高度浄水処理の開始が可能となり、かつ、その浄水処理能力は高く、安定したものになる。【選択図】図1

Description

本発明は高度浄水処理と、それに使用する生物活性炭に関するものである。
製造事業所や水族館などの用水処理や上水道用の水処理には、その原水(被処理水)に含まれているアンモニア性窒素除去が重要であり、アンモニア性窒素を酸化する硝酸菌・亜硝酸菌などの硝化細菌を担体に付着させて、原水のアンモニア性窒素を生物学的に除去する生物膜処理方法が実用されている。
図3(a)は従来における水処理(例:高度浄水処理)の概略を示す図であり、図3(b)、図3(c)は、従来技術の水処理の具体例であって、図3(b)は担体(活性炭)で形成された充填層を内部に有する生物膜ろ過処理である。
図3(c)は水槽内でアンモニア性窒素を含む原水と、担体が流動状態で好気的に接触し、硝化細菌が付着した担体(生物活性炭)が原水に含まれているアンモニア性窒素を除去するもので、硝化細菌付着担体と、アンモニア性窒素が除去された原水(以下、処理水とも称する)を膜で分離するものである。
図3(a)〜(c)のいずれの場合も、生物活性炭には活性炭表面に硝酸菌・亜硝酸菌などの硝化細菌が付着しているため、原水中に含まれるアンモニアが分解・除去されるが、生物活性炭の硝化作用は、主に原水に含まれる硝化細菌が数カ月をかけて活性炭表面に自然付着することで形成される。
付着対象微生物は、硝化細菌に限らず、アナモックス細菌などの独立栄養細菌、バチルス属・シュードモナス属などの従属栄養細菌、カンジダ属(トルラ酵母)などの酵母、メタン菌などの古細菌、および糸状菌や放線菌などの水処理用微生物を適宜使用可能である。
また、微生物や自然界からの分離株に限らず、市販されている菌株も適宜使用可能である。市販の菌株とは、NBRC(NITE Biological Resource Center、日本の政府外郭団体)やATCC(American Type Culture Collection、アメリカの政府外郭団体)(生物資源バンク)などの微生物保存機関から分譲される菌株や、量販店などで容易に購入可能な納豆菌や水槽浄化用の硝酸菌・亜硝酸菌などが該当する。
図4(a)は、従来の生物活性炭(生物膜処理)を用いた浄水処理工程を説明するための模式図であり、図4(b)、(c)はその具体例を示している。
これら具体例のうち、図4(a)は担体(活性炭等)で形成された充填層を内部に有する生物ろ過槽を用いた生物膜ろ過処理で、浄水処理工程では生物ろ過槽を生物活性炭槽と呼ばれる。この生物膜ろ過槽に硝化細菌が存在する原水を供給し、その槽内の原水中に無機担体(活性炭等)を投入する。無機担体には原水中の硝化細菌が数カ月の時間をかけて付着し、硝化細菌が付着した無機担体(硝化細菌付着活性炭)により原水からアンモニア性窒素が除去され、処理水が得られる。
図4(b)は、無機担体に予め硝化細菌を付着させた硝化細菌付着担体(硝化細菌付着活性炭)で形成された充填層を内部に有する生物ろ過槽を用いた生物膜ろ過処理である。アンモニア性窒素を含む原水と、硝化細菌付着担体(硝化細菌付着活性炭)が好気的に接触すると、原水からアンモニア性窒素が除去され、処理水が得られる。
図4(c)は水槽内でアンモニア性窒素を含む原水と、無機担体(活性炭等)が流動状態で好気的に接触し、無機担体に硝化細菌が付着した硝化細菌付着担体(硝化細菌付着活性炭)が原水に含まれているアンモニア性窒素を除去するもので、硝化細菌付着担体と、アンモニア性窒素が除去された原水(以下、処理水)を膜で分離するものである。
従来におけるこの種の技術では、自然付着に頼らずとも意図する微生物を活性炭に付着させることや、硝化細菌の培養に適した培地組成、培養方法についても知られている。
特許文献1には、粘着物質を生成する能力を有する微生物およびその粘着物質と、必要によりその他の微生物とを活性炭に付着させ、菌体を固定化した活性炭が開示されている。
特許文献2は、超音波処理を用いて生物活性炭から微生物を脱離させて微生物懸濁液とし、この懸濁液を活性炭に接触させることで菌体を活性炭に付着させることが開示されている。
非特許文献1には、硝化細菌に適した培地成分として硫酸アンモニウム4g/L、リン酸二水素カリウム1g/L、HEPES{4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid}12g/L、炭酸水素ナトリウム1g/L、硫酸マグネシウム7水和物200mg/L、塩化カルシウム2水和物10mg/L、Fe(III)−EDTA(エチレンジアミン四酢酸)600mg/L、pH8.0を用い、30℃、100rpmで振盪培養する手法が開示されている。
特開平6−239608号公報 特開平7−275696号公報
Tokuyama et. al., Nitrosomonas communis Strain YNSRA, an Ammonia−Oxidizing Bacterium, Isolated from the Reed Rhizoplane in an Aquaponics Plant, Journal of bioscience and bioengineering 98(4), 309−312 (2004).
アンモニア性窒素を含む原水の処理にあたっては、その濃度変動や原水や処理水槽の季節ごとの液温の変化など硝化細菌が安定的に無機担体に付着できる環境にはない。
そのため、浄水場などの水処理施設では、無機担体(活性炭等)投入後、生物膜ろ過槽や生物膜処理槽(活性炭吸着池等)に硝化細菌が自然付着するまで数カ月もの期間を要するのが常で、その結果、生物膜ろ過槽で十分なアンモニア性窒素除去性能を得るのに長期間を要する。さらに、アンモニア性窒素除去の立ち上がりが遅いことに起因し、時として硝化細菌以外に大腸菌群やシュードモナス属などの有害微生物が付着する恐れも懸念される。
特許文献1では、菌体を固定化した活性炭は、粘着物質を生成する微生物はシュードモナス属など一部の属に限られており、硝化細菌など多くの属は該当しない。また、粘着物質を生成する微生物を利用して硝化細菌を付着させようとする場合においても、活性炭の周囲が粘着物質および粘着物質生成菌によって覆われてしまうため、硝化活性のみを得ようとする場合には菌の付着が効率的ではなかった。
特許文献2は、超音波処理を用いて付着担体活性炭から微生物を脱離させて微生物懸濁液とし、この懸濁液を活性炭に接触させることで菌体を活性炭に付着させるので、この場合、活性炭へ付着する菌体数は超音波処理により脱離した菌体数、もしくはそれ以下であり、菌体を増殖させることはできず、付着数は限定的になってしまう。また、浄水場等の大規模な水処理施設への導入を想定した場合、菌体離脱用の大規模な超音波処理装置が必要となるため導入コスト高となる問題があった。
本発明は、上記課題を鑑み成されたものであり、その目的は、硝化細菌を活性炭に迅速に効率良く付着させ、低コスト化が可能な硝化細菌の活性炭付着、培養方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の生物活性炭製造方法は以下の構成とすることができる。
(1)高度浄水処理用の生物活性炭を製造する方法は製造工程と培養工程とを少なくとも有し、製造工程では、粒状活性炭に硝化細菌源を接触させ、硝化細菌が付着した硝化細菌付着活性炭を製造し、培養工程では、前記硝化細菌付着活性炭を、アンモニウム塩の存在下で培養する。
(2)接触工程の一例では、前記硝化細菌源として、活性汚泥と、水処理に使用した生物活性炭池の洗浄排水と、硝化細菌を含む溶液のろ過膜濃縮液とからなる群より選択されるものを1種以上使用し、その硝化細菌源に乾燥した粒状活性炭を接触させる。
(3)前記硝化細菌源を含む水溶液またはスラリーと、粒状活性炭を接触させる接触工程と、硝化細菌源と接触した粒状活性炭の水切り工程と、水切りされた粒状活性炭と、アンモニウム塩を含む培養液で好気的な条件下で培養する。
(4)更には、粒状活性炭を使用して浄水処理を行い、当該浄水処理で使用後の粒状活性炭を硝化細菌付着活性炭としてもよい。この場合も、上記(1)〜(3)と同様に、硝化細菌付着活性炭をアンモニウム塩の存在下で、好ましくは好気的条件下で培養する。
(5)いずれの場合も、培養工程には、含水率30〜70質量%の硝化細菌付着活性炭を用いることが好ましい。
また、本発明の高度浄水処理方法は以下の構成とすることができる。
(6)生物活性炭池内部の活性炭に被処理水を接触させて浄水処理を行う高度浄水処理方法において、上記の方法で製造した生物活性炭を、活性炭の一部又は全部として生物活性炭池で使用する。
従来技術と比較して極めて短時間に生物活性炭の調整が可能になり、この生物活性炭を活性炭池に投入することで、試運転期間が短縮される。
また、微生物担体として、高分子化合物のゲルで包括された粘着物質や粘着物質生成能を有する水処理用微生物を一切使用しないため、低コスト化が可能である。
また更に、高分子化合物のゲル構成成分の有機物の溶出の可能性がないことや、粘着物質や粘着物質生成能を有する水処理用微生物が高度浄水処理水にリークする可能性がないことにより安全性がより向上する。
(a)、(b):本発明の製造方法及び浄水処理方法のフロー図である。 (a)〜(d):本発明の製造方法の第一、第二例を説明する断面図である。 図3(a)は水処理の概略を示す図であり、図3(b)は担体で形成された充填層を内部に有する生物膜処理の概略を示す図であり、図3(c)は硝化細菌が付着した担体の流動処理と膜分離の概略を示す図である。 図4(a)は、従来の生物膜処理を用いた浄水工程を説明するための模式図であり、図4(b)は予め担体に硝化細菌を付着させた硝化細菌付着担体で形成された充填層を内部に有する生物膜ろ過処理の概略を示す図であり、図4(c)は無機担体及び硝化細菌付着担体の生物膜処理と膜分離の概略を示す図である。 硝化細菌付着生物活性炭によるアンモニア性窒素除去効果を示すグラフである。 使用済活性炭の含水率とアンモニア性窒素除去効果との関係(通水日数5日)を示すグラフである。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は特定の具体例に限定されるものではない。
図1(a)、(b)は本発明の製造方法及び浄水処理方法を説明するフロー図であり、本発明は生物活性炭を製造する製造方法(図1(a))と、その製造方法で得た生物活性炭を浄水処理で使用する方法(図1(b))に関する。生物活性炭の製造工程は、更に、生物活性炭に硝化細菌を接触、付着させて硝化細菌付着活性炭を得る工程と、その硝化細菌を培養する工程とを有する。
即ち、本発明に係る高度浄水処理用の生物活性炭の製造方法は、粒状活性炭に硝化細菌源を接触させて硝化細菌付着活性炭を製造する接触工程と、前記硝化細菌付着活性炭を、アンモニウム塩の存在下で培養する培養工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る高度浄水処理用の生物活性炭の製造方法は、粒状活性炭を使用して浄水処理を行う浄水処理工程と、前記浄水処理工程で使用した粒状活性炭を硝化細菌付着活性炭とし、当該硝化細菌付着活性炭をアンモニウム塩の存在下で培養する培養工程と、を有することを特徴とする。
先ず、本発明に用いる活性炭と、活性炭に付着させる硝化細菌の具体例を説明する。
[活性炭]
本発明に使用する硝化細菌要の担体は特に限定されず、無機担体として市販のろ過材や吸着材が使用できるが、硝化細菌の付着性や保持能力を考慮すると、粒状珪藻土や粒状ゼオライトや粒状活性炭が好ましい。なお、「粒状」とは、粒度表示が150μm以上のものを意味し(JIS K1474参照)、「紛体状」とは粒度表示が150μm未満のものを意味する。
これらの中でも、本発明では特に活性炭を好適に使用する。活性炭は粒状でも、破砕状でもハニカム状活性炭などの成形品、紛体状であってもよいが、粒状活性炭が最も好ましい。
活性炭の粒形状は特に限定されず、球状(水ing社製、エバダイヤLG−40Sなど)、破砕片状(水ing社製、エバダイヤLG−20Sなど)、円柱状など多様な形状とすることができるが、通水抵抗が小さいという点で球状又は円柱状が好ましく、均一充填が可能という点で特に球状が好ましい。なお、球状とは真球のみならず、楕円体(扁球体)、葉巻型を含む概念であり、表面に凹凸が形成されたものも含む。
粒状活性炭の大きさは特に限定されないが、好ましくは、有効径(10%通過径)が0.3mm〜1.3mm、均等係数が1.2〜2.0である。
活性炭の原料は特に限定されず、
‐ヤシ殻、木炭、オガ屑、松、竹、硬質木材チップ、草炭、セルロースなどの植物系
‐亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭などの石炭系、または、
‐オイルカーボン、フェノール樹脂、レーヨン、石炭ピッチ、石油ピッチなどの石油系など、多様な原料を1種類または2種類以上組み合わせて使用することができる。
活性炭は、加工していない原料(未加工原料)、または、未加工原料の破砕品をそのまま使用してもよいし、原料を成形加工した成形品であってもよい。成形加工方法は特に限定されないが、通常、活性炭原料を粉砕し、必要であれば結着剤(有機バインダー、無機結着剤)、水、その他添加剤等と混練し、造粒又はプレス成型後に焼成(炭化、賦活)して成形する。
なお、活性炭は、市販品や製造直後の未使用品(新品)でもよく、浄水処理、廃水処理、汚泥処理などに一度以上使用した使用済活性炭を賦活再生した再生炭でもよい。
本発明は上記のような活性炭に、少なくとも硝化細菌を含む微生物群を付着させ、生物活性炭として使用する。
[硝化細菌]
本発明で硝化細菌とは、アンモニア性窒素の分解、除去に有用な細菌類であって、特に、アンモニア性窒素の酸化並びに亜硝酸の酸化に寄与する細菌類、即ち、亜硝酸菌(アンモニア酸化細菌)と硝酸菌(亜硝酸酸化細菌)の少なくとも一方、好ましくは両方を使用可能であり、本願明細書ではこのような細菌類を硝化細菌と称する。例えば、アンモニアを亜硝酸イオンに酸化する亜硝酸菌としては、Nitrosomonas europaea、Nitrosomonas communis、Nitrosomonas nitrosa等があり、硝酸菌としてはNitrobacter winogradskyi等が公知であるが、これらに限定されない。更に、上記硝化細菌の他にも、他の微生物類(酵母、真菌、細菌類)が活性炭に付着してもよい。
上記のような硝化細菌を活性炭に付着させるため、硝化細菌を含む、或いは、硝化細菌を含む可能性がある流動性(液状)の硝化細菌源を活性炭に接触させる。
この接触工程は特に限定されないが、本発明は少なくとも2つの実施形態を有し、第一の実施形態では、高濃度の硝化細菌を含む硝化細菌源を乾燥活性炭に接触させ、第二の実施形態では、被処理水を生物活性炭池で浄水処理する間に、その被処理水を硝化細菌源として生物活性炭池内の活性炭に接触させる。
先ず、第一の実施形態について具体的に説明する。
[第一の実施形態]
第一の実施形態では、硝化細菌を多量に含む硝化細菌源を使用するため、第二の実施形態と比較して接触工程が短いという利点がある。
硝化細菌源は特に限定されないが、例えば、活性汚泥、水処理設備(装置)の洗浄排水、硝化細菌を含む溶液(生物処理液)の膜ろ過濃縮液、市販の硝化細菌製剤の希釈液などが使用可能であり、これらを1種又は2種以上混合して使用する。
活性汚泥は、工場、外食産業、家庭、農場、畜産場等からの排水を生物処理する水処理設備や浄化槽で発生するスラリー状の懸濁物(スラッジ)であって、自然発生的に又は人為的に繁殖した微生物(細菌、真菌、原生動物、後生動物)を含み、これら微生物により排水中の汚濁物質を生物学的に分解、除去する。
一般的な活性汚泥は硝化細菌を高濃度に含むが、硝化細菌以外の微生物も共存し、その微生物が凝集状態にあることが多い。また、微生物以外にも繊維等の夾雑物をも含む。このような凝集塊や夾雑物は活性炭の細孔を塞ぎ、活性炭内部への硝化細菌の取り込みを妨害する原因となる。従って、硝化細菌源(特に活性汚泥)を活性炭と接触させる前に、前処理を行うことが好ましい。
前処理は特に限定されないが、スクリーン又は篩で夾雑物を分離する工程と、超音波振動又は撹拌で凝集物を破壊する細分化工程のいずれか1以上を有する。好ましくは、開口径が0.5mm以上のスクリーン又は篩で夾雑物を除去した後、超音波振動で凝集物を破壊し、必要であれば更に開口径の小さいスクリーン又は篩で微小夾雑物を除去する。この前処理により、硝化細菌源の硝化細菌数を高めることができる。
その他、硝化細菌源として、水処理設備の洗浄排水又は膜ろ過濃縮液は、上水道用、排水処理用(家庭排水、工場排水)、工場用水用、水族館用水用、養殖場用水用などの水処理設備に由来するものである。
洗浄排水は、水処理設備のろ過装置や活性炭吸着装置、生物活性炭槽(生物活性炭池)、生物膜処理槽、生物膜ろ過槽のろ過槽や、充填槽を洗浄したときに出る排水であり、水処理設備で製造される処理水、具体的には生物膜処理水やろ過装置や活性炭吸着装置の処理水などで洗浄したときに排出される洗浄排水が最も好ましい。
洗浄法は、特に限定されないが、生物活性炭池に洗浄水を通水するか、生物活性炭池から使用済みの生物活性炭を取出し、洗浄水で洗浄する。
このような洗浄排水は、高濃度に、かつ高活性の硝化細菌を含み、そのまま硝化細菌源として使用してもよいし、沈殿して得られる沈殿物(スラリー)として使用してもよい。
更に、洗浄排水をMF膜や、ろ布、ろ紙、フィルターなどでろ過し、そのろ過残留物や膜濃縮液を使用してもよい。
膜ろ過濃縮膜は、排水処理、工場用水処理、浄水処理等を目的とした水処理設備にろ過膜を設置し、そのろ過膜で被処理水をろ過したときに、ろ過膜を通過せず残る残留水である。
ろ過膜の設置場所は特に限定されないが、好ましくは、生物学的な硝化反応を行う生物活性炭池、又は生物活性炭池を含む装置等の水槽内部やその下流に設置し、硝化反応後の被処理水を固液分離する。
ろ過膜の種類は特に限定されず、硝化細菌の少なくとも一部を通さない程度の孔径を有するろ過膜(フィルター)を広く使用することができる。具体的には、ろ過膜は、MF膜(精密ろ過膜、孔径0.01μm〜1μm)、UF膜(限外ろ過膜、孔径0.001μm〜0.01μm)のいずれか1以上を使用することができる。浄水処理効率、濃縮効率の面ではMF膜が最も好ましい。
なお、上述した洗浄排水やその他硝化細菌源の水分量が多すぎると、活性炭への硝化細菌付着効率が劣るため、上記ろ過膜を使用して硝化細菌源を例えば、MF膜で濃縮し、その濃縮液を硝化細菌源として使用することも可能である。
更に、硝化細菌源には、必要であれば、pH緩衝剤、pH調整剤、分散剤、硝化細菌の栄養源、その他添加剤を添加することもできるし、活性炭に吸収させるには粘性が高すぎる場合は、残留塩素を含まない工程処理水(例:水処理設備で製造される処理水)や蒸留水、脱塩素水道水又は液体培地(後述する培地を含む)などで硝化細菌源を希釈することができる。
上記のような硝化細菌源を活性炭細孔に効率良く吸い込ませるために、第一の実施形態では、上述した活性炭の乾燥品(乾燥粒状活性炭)を使用する。
ここで「乾燥」とは、粒状活性炭の含水率が30質量%未満を意味する。他方、一般に活性炭の含水率は、限界値が5質量%と言われている。従って、本発明に使用する乾燥粒状活性炭は含水率が30質量%未満であり、好ましくは含水率が5質量%以上30質量%未満、より好ましくは5〜10質量%である。
なお、含水率は、JIS K1474の乾燥減量であって、下記式で算出される。
F=(S‐N)/S×100
上記式中、Fは活性炭の乾燥減量(含水率、質量分率%)、Sは乾燥前の活性炭の質量(g)、Nは乾燥後の活性炭の質量(g)をそれぞれ意味する。
上記のような乾燥状態の粒状活性炭であれば、自重の50質量%程度の水分を吸収し、細孔内部に保持可能なため、硝化細菌源の保持力が高い。
活性炭が保持する硝化細菌源量や硝化細菌数は、活性炭の乾燥状態(含水率)と、硝化細菌源濃度(例:活性汚泥濃度)と、活性炭と硝化細菌源との混合比率(重量比又は容積比)のうち、いずれか1以上の条件を調整して任意に設定することができる。
なお、浄水処理などで使用した使用済活性炭も使用可能ではあるが、第一の実施形態で使用済み活性炭を使用するときには、加熱、焼成を含む賦活処理を行い、活性炭の含水率を30質量%未満、好ましくは10質量%以下に低下させてから接触工程に用いる。
第一の実施形態では、上記乾燥粒状活性炭に硝化細菌源を接触させ、接触工程とは別の装置、又は接触工程と同じ装置で引き続き硝化細菌の培養工程を行う。
接触工程に使用する装置や方法は特に限定されず、流動床法による接触(培養)、固定床法による接触(培養)など多様な方法で実施可能である。
図2(a)は流動床法による接触工程を、図2(b)は固定床法による接触工程をそれぞれ示す模式的断面図である。
流動床法は固定床法よりも簡易な方法であって、使用する装置の構造は特に限定されないが、例えば、水槽のような製造槽11を有している。硝化細菌源20と乾燥粒状活性炭(無機担体)9とを別々又は一緒に製造槽11に投入する。製造槽11には撹拌羽、攪拌ポンプなどから選択される1つ以上の撹拌手段15が設置されており、攪拌手段15で乾燥粒状活性炭9が添加された硝化細菌源20を撹拌する。
他方、固定床法は、限られた量の硝化細菌源で粒状乾燥活性炭を処理するのに適した方法である。固定床法で使用する装置の構造は特に限定されないが、例えば、充填塔32(カラム)と、循環水槽31とを有しており、充填塔32に乾燥粒状活性炭9を充填しておき、充填塔32の注入口から硝化細菌源20を供給すると、硝化細菌源20は乾燥粒状活性炭9の充填層39を通って充填塔32の排出口から循環水槽31に排出される。なお、循環水槽31と充填塔32の注入口との間を循環流路33(パイプ等)で結び、循環ポンプ35で循環水槽31の硝化細菌源20を充填塔32の注入口に送れば、充填塔32と循環水槽31との間で硝化細菌源20を循環させることができる。
このように、第一の実施形態では、攪拌、通水(通液)又は循環により硝化細菌源20が乾燥粒状活性炭9に接触し、硝化細菌が付着する。
乾燥粒状活性炭9は含水率が30%未満の乾燥状態にあるので、流動性のある硝化細菌源20は毛細管力により乾燥粒状活性炭9の内部に多量に引き込まれる。しかも、硝化細菌源20は硝化細菌を多量に含むので、活性炭9の表面のみならず内部にも多量の硝化細菌が存在するようになる。
このように、本発明では、従来のように粘着物質や粘着物質生成微生物(例:シュードモナス属)を用いて硝化細菌を固定しなくても、硝化細菌を多量に、かつ、効率良く活性炭に付着させることができる。
第一の実施形態では、接触工程で使用した装置で引き続き培養工程を行ってもよいし、図2(c)、(d)に示すように、スクリーン41等を使用して硝化細菌付着活性炭9aを過剰な硝化細菌源20から分離し(水切り工程)、必要であれば硝化細菌付着活性炭9aを洗浄してから、他の培養容器51へ移し、培養してもよい。
いずれの場合も、製造槽11、充填塔32または培養容器51には、培地(培養液52)を供給し、アンモニウム塩の存在下で培養を行う。
[培養工程]
ここで述べる培養工程は、第一の実施形態のみならず、後述する第二の実施形態にも適用可能である。
培養は接触工程で付着した硝化細菌を増殖又は維持する工程であって、この培養工程に使用する培地は液体培地(培養液)が好ましく、特に組成は限定されないが、通常水を主成分とし、アンモニウムイオン塩(アンモニウムイオン)を含む。アンモニウム塩は特に限定されないが、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等の一般的なアンモニウム塩を1種以上添加することができる。
アンモニウム塩の添加量は特に限定されないが、添加量が多すぎると高コストになる上、硝化細菌の生育に影響を及ぼすと考えられるpH9以上に上昇するおそれがあり、また、添加量が少なすぎると硝化細菌の活性が低下する。従って、アンモニウム塩は、培地のアンモニア性窒素濃度が10mg/L〜500mg/Lになるよう添加することが好ましい。なお、アンモニア性窒素濃度(アンモニア態窒素濃度)は、1‐ナフトールを用いた吸光光度法で測定することができる。
アンモニウム塩以外の成分としては、窒素源(硝酸塩等)、炭素源(炭酸塩、グルコース等)、無機栄養源(P、S、K、Ca、Mg、Fe、Na等)、微量元素(Co、Cu、Zn、Ni等)、緩衝剤、その他添加剤を1種以上添加することができる。
無機栄養源としてはリンが好ましく、より好ましくは、リン酸をリンとしての濃度が1−10mg/Lになるよう添加する。
緩衝剤は、硝化細菌の代謝産物による培地pHの変動防止のために使用され、HEPES(2‐[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルホン酸)、Tris(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)等を使用することができる。更に、アルカリ溶液を添加して培地のpHを調整することもできる。pH調整は培地作製時と、培地使用時(培養中、自動pH調整)の一方又は両方で行う。
培養条件は特に限定されず、静置、振とう、通気撹拌、嫌気条件などいずれの条件でもよい。通常、培養液52のpHは4〜10、好ましくは約4〜9、培養温度は5〜60℃、培養液52の溶存酸素量0.5〜8.1mg/L、培養期間は1〜180日、好ましくは約1〜30日間である。
培養は、図2(a)、(b)の接触工程で使用した装置に、そのまま上記培地を供給して行ってもよいし、或いは、上記接触工程とは別の装置に硝化細菌付着活性炭9aを移し、培養を行ってもよい。
固定床法で培養を行う場合、例えば、脱塩素した水道水にアンモニウム塩を添加してアンモニア性窒素濃度10−500mg/Lに調製した模擬原水に、リンとして1−10mg/L量のリン酸を栄養剤として添加し、液体培地とする。この液体培地を、硝化細菌付着活性炭9aを充填した充填層39に一過性または循環処理で連続的に通水し、充填塔32の下部から空気を注入しながら好気培養する。このとき培地には、pH調整液として5%重炭酸ナトリウム水溶液を添加し、充填層39を通過した処理水のpHが6.5−7.5になるよう調整する(循環処理の場合は、重炭酸ナトリウム水溶液の自動注入などにより、充填層39を通過した処理水のpHが6.5−7.5になるよう維持する)。
処理水のアンモニア性濃度を1−ナフトール法などで測定し、そのアンモニア性窒素濃度1mg/L以下、または培地に添加したアンモニア性窒素濃度の90%以上が除去され、そのアンモニア性濃度又は除去率が維持されれば、硝化細菌が十分量繁殖したことを意味し、生物活性炭としての硝化細菌の活性維持が期待できる。
流動床法で培養を行う場合、固定床法と同様の液体培地(培養液)を水槽(製造槽11)に収容し、液体培地の水量あたり容量20%を限度に硝化細菌付着活性炭9aを添加し、水槽下部から空気を注入して、硝化細菌付着活性炭9aを好気条件で流動させる。この場合も、水槽内の液体培地のアンモニア性窒素濃度を測定し、そのアンモニア性窒素濃度(1mg/L以下)またはアンモニア性窒素の除去率(90%以上)が一定した安定した状態になったら、硝化細菌が十分量は繁殖したことを意味する。
なお、流動床法、固定床法などいずれの場合、培養液のアンモニア性窒素が低下したときには、適宜アンモニウム塩を添加してアンモニア性窒素濃度を調整し、培養を継続することができる。
培養工程完了後、製造した生物活性炭は、必要であればスクリーン等で培養液52から分離する。
以上は、硝化細菌濃度が高い硝化細菌源を使用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。
[第二の実施形態]
第二の実施形態では、使用済活性炭、好ましくは含水率が30〜70質量%の使用済活性炭を硝化細菌付着活性炭9aとして培地で培養し、硝化細菌の硝化活性度を維持することを特徴とする。
ここで、使用済活性炭は、河川水、湖沼水、地下水、雨水、排水、養殖場用水、水族館用水などの被処理水の水処理に使用された活性炭であって、この被処理水が硝化細菌源となり、被処理水を処理する間に硝化細菌が付着する。
活性炭を使用する設備、装置は特に限定されないが、上水道用原水、工場用原水、養殖場用水、水族館用水などを浄化処理する浄水処理設備が好ましく、一例として、図3(a)〜(c)のような浄水処理設備の生物活性炭池で使用したものである。
このような浄水処理設備では、所定期間または所定量の浄水処理を行った後、使用済みの生物活性炭の一部又は全部が、未使用品(新炭)又は再生処理後の活性炭(再生炭)に交換される。
生物活性炭池から取り出した使用済み活性炭にはすでに硝化細菌が付着した硝化細菌付着活性炭9aである。
この活性炭9aの硝化細菌を更に増殖させるため、あるいは、十分量の硝化細菌がすでに付着している場合はその活性を維持するため、第一の実施形態のときと同様の培養工程を行う。なお、培養工程の前に、使用済み活性炭の分級操作を行い、その粒度を調整してもよい。
一般に、生物活性炭池から取り出した使用済み活性炭の含水率は、40−60%であり、その輸送方法や保管期間で水分量は減少する。活性炭を生物活性炭池から取り出してそのまま活性度維持(培養)に供してもよいが、硝化細菌以外の不活性な付着物(水酸化物等)を除去することがあるため、使用済みの活性炭を残留塩素のない工程処理水や蒸留水、脱塩素水などの洗浄液で洗浄をしてもよい。
生物活性炭硝化細菌付着活性炭9a(使用済活性炭)の含水率が低すぎると乾燥が進み、硝化細菌が死滅するおそれがあり、逆に含水率が高すぎると活性炭細孔に多量の水が保持されることになり、硝化細菌の栄養源を含む培地が使用済活性炭の細孔に入るのを妨害される上、硝化細菌が細孔内から流出するおそれがある。
従って、第一、第二の実施形態のいずれの場合も、接触工程後から培養工程の間、或いは培養工程後に水処理設備に投入するまで(輸送や保管の間)、硝化細菌付着活性炭9a(使用済活性炭)の含水率を30質量%〜70%質量%に維持することが好ましい。
第二の実施形態の培養工程は特に限定されず、例えば第一の実施形態と同様の方法で培養することができる。なお、第二の実施形態では、使用済活性炭の硝化細菌量が不十分と推測される場合、使用済活性炭を第一の実施形態の硝化細菌源に接触させることもできる。
培養工程後、得られた生物活性炭は下記のような高度浄水処理方法に用いる。
[高度浄水処理方法]
本発明に用いる浄水処理設備は特に限定されない。例えば、本発明で製造した生物活性炭は第二の実施形態の接触工程で使用した浄水処理設備と同じ設備で使用してもよいし、別の浄水処理設備で使用してもよい。
いずれの場合も、本発明に用いる浄水処理設備は、一般に高度浄水処理に使用される、上水道用、工場用水用、養殖や水族館用水の処理設備が好ましい。このような浄水処理設備は生物活性炭池(生物活性炭槽)を有し、必要に応じて、凝集沈殿、オゾン分解、砂ろ過などの手段(装置、槽)を一つ以上組み合わせて使用する(図3(a)〜(c))。
本発明で製造した生物活性炭は、この浄水処理設備の生物活性炭として、生物活性炭池(生物膜処理、生物処理槽)等に投入する。生物活性炭の投入量は特に限定されないが、生物活性炭池に投入する活性炭の少なくとも一部又は全部を本発明により製造した生物活性炭とする。
一般的な量の活性炭が既に投入された生物活性炭池(例:運転中)に、生物活性炭硝化細菌付着活性炭9aを追加投入する場合、投入量が多すぎると生物活性炭池の洗浄工程に不具合が生じるので、その投入量は投入後の活性炭容積を100とした場合に20未満(20容積%未満)が好ましい。なお、投入量を20容積%以上にする場合、好ましくは、追加投入ではなく、活性炭を交換(更新)する時に、本発明で製造した生物活性炭を投入する。
処理対象の原水(被処理水)のアンモニア性窒素濃度が0.5mg/L未満であれば、本発明で製造した生物活性炭の投入量が20容積%未満でも十分にアンモニア性窒素を除去できるが、原水のアンモニア性窒素の実測値又は予測値が0.5mg/L以上の場合、本発明で製造した生物活性炭の投入量を20〜50容積%にすることが好ましい。この投入量であれば、高濃度のアンモニア性窒素を十分に除去できる。
本発明で製造した生物活性炭には、表面のみならず内部にも十分量の硝化細菌が繁殖しているため、生物的アンモニア除去を短期間で開始することが可能である。また、ゲル担体の添加や、超音波処理装置などの設備が不要なため、製造コストも安価である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
‐栄養培地による培養法(三角フラスコ培養)
製造槽11に乾燥粒状活性炭(水ing社製、エバダイヤLG−40S)50gと活性汚泥(硝化細菌が生息していると推測)1000mlを投入後、攪拌機にて300rpm、1時間撹拌し、硝化細菌付着活性炭9aを得た。
硫酸アンモニウム4g/L、リン酸二水素カリウム1g/L、HEPES12g/L、炭酸水素ナトリウム1g/L、硫酸マグネシウム7水和物200mg/L、塩化カルシウム2水和物10mg/L、Fe(III)−EDTA600mg/Lの組成の液体培地を硝化細菌培養のための培地とした(pH8.0)。
容積300mlの三角フラスコに上記培地100mlを収容し、当該培地をオートクレーブにて高圧蒸気滅菌した。滅菌後の培地に5gの硝化細菌付着活性炭9aを植菌し、30℃、100rpmで振盪培養を行った。培養液は複数本準備し、経時的に回収を行った。得られた培養液は、まずデカンテーションにより培養液を捨て、滅菌水100mlで2回洗浄を行い培地成分の除去を行った。得られた活性炭に滅菌水100mlを加え、超音波洗浄機で処理して硝化細菌の剥離を行った。
この上澄液について、上記の硝化細菌培地にゲランガムを終濃度1%で添加した平板培地を使用し、段階希釈を行い30℃で2週間培養し、硝化細菌コロニーのカウントを行った。
表1に、培養日数と活性炭1gあたりの付着硝化細菌数を示す。培養日数の経過と共に硝化細菌が増殖し、活性炭への菌体付着数が増加したことが分かる。このように、硝化細菌の生育に適した培地に活性炭を投入し、栄養源が豊富な状態で硝化細菌を増殖させながら培養することにで、短期間で硝化細菌を活性炭付着させることに成功した。この理由として、培地成分が活性炭の隅々にまで浸透し、菌体付着が促進された可能性が考えられる。
Figure 2017154064
‐富栄養培地による培養法(ジャーファーメンター培養)
HEPESを添加しない以外は、実施例1と同様の組成の培地を作製した。
この培地10Lを20Lジャーファーメンターに収容し、高圧蒸気滅菌した。500gの硝化細菌付着活性炭9aを滅菌後の培地に植菌し、エアポンプにより曝気を行いつつ30℃、100rpmで培養を行った。経時的に培養液のサンプリングを行い、実施例1と同様の手法で硝化細菌コロニーのカウントを行った。
なお、実施例2では、高額なHEPESの代わりに、1N水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ溶液)をpH調整ポットよりジャーファーメンター内の培地に自動滴下した。アンモニア性窒素から亜硝酸への反応過程で培養液のpHが低下し、硝化細菌がダメージを受けることが知られているため、上記自動滴下により硝化細菌の至適pH(pH7.0〜8.5)に収まるよう維持した。
表2に、培養日数と活性炭1gあたりの付着硝化細菌数を示す。実施例1と同様、培養日数の経過と共に硝化細菌が増殖し、活性炭への菌体付着数が増加した。実施例1よりも付着硝化細菌数が多かった理由として、ジャーファーメンターならではの通気撹拌効率の良さ、pH調整ポットによる自動滴下の効果などが推測される。
Figure 2017154064
実施例1および実施例2で得られた生物活性炭による水族館用水処理を想定し、模擬原水のアンモニア性窒素の除去性能について調査を行った。
試験に供する生物活性炭は、一定数の硝化細菌(1,000〜10,000cfu/g)が付着している培養日数6日目のものをそれぞれ用いた。培養後に得られた活性炭を水道水で洗浄して培地成分を除去したのち、カラム(直径20mm)に生物活性炭70mlを充填し、塩化アンモニウム1.95mg/L(アンモニア性窒素0.5mg/L相当)、炭酸水素ナトリウム5.86mg/L、リン酸水素二ナトリウム・12水和物0.58mg/Lを含む模擬原水(pH無調整)を通水した。通水量は、空間速度SV=5h-1(流速5.8ml/min.相当)とし、室温にて通水した。
また、実施例1と同じ乾燥粒状活性炭の新炭を対照区とした。模擬原水および各試験区の処理水のアンモニア性窒素濃度を1−ナフトール法で測定した。
測定結果を図5に示す。実施例1および実施例2で得られた生物活性炭による処理水の試験区では、通水初日より0.5mg/L相当のアンモニア性窒素が0.1mg/L程度まで減少していることが確認され、それ以降も0.2mg/Lを上回ることはなかった。
他方、対照区では、新炭への硝化細菌の自然付着により通水120日目で0.2mg/Lを下回った。このことから、本発明により得られた生物活性炭を使用することで、試運転期間を100日以上短縮できた。
‐使用済活性炭を用いた固定床法培養法
脱塩素した水道水に、アンモニウム塩でアンモニア性窒素濃度を10mg/L〜500mg/Lに調製した模擬原水に、栄養剤としてリン酸をリンとして1mg/L〜10mg/Lを添加し、硝化細菌培養のための培地(模擬原水)とした。水族館用水処理施設のろ過槽から採取した活性炭(使用済活性炭)には硝化細菌が付着しているであろうと推測される。この活性炭を図2(b)に示すような生物膜ろ過槽(充填塔)32に充填し、この充填塔32に上記培地を連続的に10日間循環通水した。このとき、充填塔32下部から空気を注入すると共に、pH調整液として5%重炭酸ナトリウム水溶液を模擬原水に添加し、充填層39を通過した処理水のpHが6.5−7.5になるよう調整し、更に、水槽31の模擬原水のアンモニア性窒素濃度を1mg/L以下に維持した。
実施例4の培養試験では、水族館用水処理施設のろ過槽から採取した上記使用済活性炭として、含水率を20、30、40、50、60、70、80質量%に調製したものを用意し、それぞれの試験区について培養を実施した。培養後の活性炭を回収し、実施例3と同様の手法にてカラムに通水し、アンモニア性窒素の測定を行った(通水日数5日)。
図6に示す通り、使用済活性炭の含水率が20質量%および80質量%の試験区では、アンモニア性窒素が模擬原水とほぼ同等の0.5mg/L程度であり、硝化活性はほとんど確認されなかった。
一方、含水率30−70%の範囲ではアンモニア性窒素が0.2mg/L以下まで低下しており、硝化活性の活性度が高度に維持されていることが示された。
9 乾燥粒状活性炭(乾燥無機担体)
9a 硝化細菌付着活性炭(硝化細菌付着担体)
11 製造槽
15 撹拌手段
20 硝化細菌源
31 水槽(循環水槽)
32 充填塔(生物膜ろ過槽)
35 充填層
51 培養容器
52 培養液(培地)

Claims (6)

  1. 粒状活性炭に硝化細菌源を接触させて硝化細菌付着活性炭を製造する接触工程と、
    前記硝化細菌付着活性炭を、アンモニウム塩の存在下で培養する培養工程と、
    を有することを特徴とする、高度浄水処理用の生物活性炭の製造方法。
  2. 前記硝化細菌源は、活性汚泥と、水処理に使用した生物活性炭池の洗浄排水と、硝化細菌を含む溶液のろ過膜濃縮液とからなる群より選択され、
    前記接触工程は、前記硝化細菌源を乾燥した前記粒状活性炭に接触させる請求項1に記載の生物活性炭の製造方法。
  3. 前記硝化細菌源を含む水溶液またはスラリーと、粒状活性炭とを接触させる前記接触工程と、
    硝化細菌源と接触した粒状活性炭の水切り工程と、
    前記水切り工程で水切りされた粒状活性炭と、アンモニウム塩を含む培養液とにより好気的な条件下で培養する培養工程と、
    を行う請求項1又は請求項2に記載の生物活性炭の製造方法。
  4. 粒状活性炭を使用して浄水処理を行う浄水処理工程と、
    前記浄水処理工程で使用した粒状活性炭を硝化細菌付着活性炭とし、当該硝化細菌付着活性炭をアンモニウム塩の存在下で培養する培養工程と、
    を有することを特徴とする、高度浄水処理用の生物活性炭の製造方法。
  5. 含水率が30〜70質量%の前記硝化細菌付着活性炭を培養工程に用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載の生物活性炭の製造方法。
  6. 生物活性炭池内部の活性炭に被処理水を接触させて浄水処理を行う高度浄水処理方法であって、
    前記活性炭の一部又は全部として、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で製造された生物活性炭を用いる高度浄水処理方法。
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