JP2017153024A - 基準周波数発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基準周波数の位相がズレる原因を極力排除するとともに、リファレンス信号が供給されない場合でも、高精度な基準周波数を出力できる基準周波数発生装置を提供する。【解決手段】基準周波数発生装置10は、PLL回路50と、記憶部26と、制御部25と、を備える。PLL回路50は、基準周波数信号を出力するためにシステムクロックによって駆動されるNCO30を位相差信号によってデジタル制御する。位相差信号は、GNSS受信機20から供給されるリファレンス信号と、基準周波数信号を分周して得られる1PPS信号と、の間の位相差を示す信号である。記憶部26は、位相差信号を記憶する。制御部25は、PLL回路50にリファレンス信号が適切に供給されなくなると、記憶部26に記憶された位相差信号に基づいて推定した推定位相差信号によってNCO30を自走制御する。【選択図】図1
Description
本発明は基準周波数発生装置に関するものである。
従来から、出力する信号の周波数を変更可能な発振器として、電圧制御発振器が知られている。電圧制御発振器とは、入力される制御電圧に応じて出力周波数を変更可能な発振器であり、例えば水晶振動子を用いて構成されたもの(Voltage Controlled Crystal Osillator、VCXO)が知られている。一般に、電圧制御発振器は、温度の変化に従って制御電圧対発振周波数特性(以下、F−V特性と称する)が変化する。
この電圧制御発振器のF−V特性は温度以外の要因(例えば、時間の経過)によっても変化するため、電圧制御発振器単体では高精度の信号を出力することは困難である。無線通信システムの基地局等のように高精度な基準周波数が求められる場合には、このF−V特性の変化によって生じる周波数の位相のズレを修正する必要がある。そこで、GPS受信機等から得られる高精度なリファレンス信号と、電圧制御発振器が出力する信号(又はその信号を分周した信号)と、を同期させるように電圧制御発振器の制御を行うことで、出力される信号の精度を維持する方法をとることがある。具体的には、基準周波数発生器が備える同期回路に供給されるリファレンス信号と、電圧制御発振器が出力する信号と、の間の位相のズレがなくなるように、制御電圧によって電圧制御発振器をアナログ制御するのである。
しかし、リファレンス信号によって信号の精度を維持する方法において、GPS受信機からの信号を受信できなくなる場合がある。このような場合でも自走制御(ホールドオーバ制御)を行うことで、基準周波数信号の精度を維持する基準周波数発生器が従来から知られている。非特許文献1は、この種の自走制御機能を備えた基準周波数発生装置を開示する。
非特許文献1の基準周波数発生装置は、リファレンス信号に同期している間に、経過時間と、温度と、その状況下でのF−V特性と、を記憶しておく。そして、リファレンス信号が取得できなくなると、記憶した情報からF−V特性を推定して、電圧制御発振器を自走制御することで基準周波数信号を出力する。
HP SmartClock Technology−Application Note 1279, Hewlett−Packard Company, Copyright 1998 5966−0431E, p. 5−15.
上述したような基準周波数発生装置において、アナログ制御される電圧制御発振器以外の同期回路をデジタル回路として構成することがある。この構成の場合、同期回路で取得した位相のズレに基づいて電圧制御発振器を制御するためには、位相のズレを示す位相差信号(デジタル信号)をいったん制御電圧(アナログ信号)に変換する必要がある。より具体的には、デジタル回路と電圧制御発振器との間にD/Aコンバータ及びこのD/Aコンバータ用のリファレンス電源等のアナログ部品を備えなければならない。しかし、この種のアナログ部品は、温度変動や電圧変化の影響を受けて制御電圧の変動(ドリフト)を引き起こすことがあった。制御電圧がドリフトすれば、電圧制御発振器から出力される周波数の位相にズレが生じることになる。
制御電圧のドリフトによる周波数の位相のズレを抑制するために、補正回路等を配置するという考え方もある。しかし、補正回路を配置する場合、回路規模が大きくなって製造コストが高くなってしまう。更に、水晶振動子を備えた電圧制御発振器は使用できる温度範囲が十分に広いとは言いがたく、より過酷な環境でも使用できるような構成が求められていた。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基準周波数の位相がズレる原因を極力排除するとともに、リファレンス信号が供給されない場合でも、高精度な基準周波数を出力できる基準周波数発生装置を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下のように構成される基準周波数発生装置が提供される。即ち、基準周波数発生装置は、同期回路と、記憶部と、制御部と、を備える。前記同期回路は、基準周波数信号を出力するために駆動信号によって駆動されるデジタル制御発振器を、外部から供給されるリファレンス信号と前記基準周波数信号とに基づいて得られる位相差情報によってデジタル制御する。前記記憶部は、前記位相差情報を記憶する。前記制御部は、前記同期回路にリファレンス信号が適切に供給されなくなると、前記記憶部に記憶された位相差情報に基づいて推定した推定位相差情報によって前記デジタル制御発振器を自走制御する。
これにより、発振器がデジタル制御されるので、D/Aコンバータ等のアナログ部品を備える必要がなくなる。従って、アナログ部品を介して発振器を制御することで生じる基準周波数の位相のズレを防止することができる。また、デジタル制御発振器を含めて同期回路をデジタル回路として構成することができるので、製造コストを効果的に低減することができる。また、リファレンス信号が供給されない場合でも、記憶部に記憶された位相差情報に基づいて推定された推定位相差情報によって、出力される基準周波数の経時変化を考慮して自走制御することで、出力される基準周波数の精度を良好に保つことができる。
前記の基準周波数発生装置においては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、基準周波数発生装置は、前記駆動信号を出力するための駆動信号出力用発振器と、前記駆動信号出力用発振器が使用される環境を示す環境値を検出するための環境値取得部と、を備える。前記制御部は、前記環境値を考慮して前記推定位相差情報を推定する。
これにより、発振器が使用される環境を考慮してデジタル制御発振器の制御が行われることになるので、環境の変化によって生じる駆動信号の変動を原因とする周波数の位相のズレを抑制できる。これによって、リファレンス信号が供給されないときにおいて、基準周波数をより高い精度で出力できる基準周波数発生装置を提供することができる。
前記の基準周波数発生装置においては、前記環境値取得部は、前記駆動信号出力用発振器が使用される環境の温度を環境値として取得することが好ましい。
これにより、駆動信号の変動原因になる温度変動を考慮してデジタル制御発振器が制御されるので、リファレンス信号が供給されないときの温度変動を原因とする基準周波数の位相のズレを効果的に防止できる。
前記の基準周波数発生装置においては、前記環境値取得部は、電源部から前記駆動信号出力用発振器に供給される電圧の大きさを環境値として取得することが好ましい。
これにより、駆動信号の変動原因になる電源部の電圧変動を考慮してデジタル制御発振器が制御されるので、リファレンス信号が供給されないときの電源部の電圧変動を原因とする基準周波数の位相のズレを効果的に防止できる。
前記の基準周波数発生装置においては、以下のように構成されることが好ましい。前記制御部は、リファレンス信号が供給されているときにおいて、前記位相差情報と、前記環境値取得部が取得する前記環境値と、に基づいて、経時変化を補正する補正量を算出する関数を決定する。リファレンス信号が供給されなくなると、前記関数によって算出した補正量を考慮して前記推定位相差情報を推定する。
これにより、環境値を考慮することで、環境変化を原因とする駆動信号の変動の影響を除外して、経時変化を原因とする駆動信号の変動のみに着目して、補正量を算出する関数を決定することができる。従って、駆動信号出力用発振器の経年劣化を原因とする駆動信号の経時変化を正確に予測することができる。
前記の基準周波数発生装置においては、前記デジタル制御発振器は数値制御発振器であることが好ましい。
これにより、周波数の変更及び位相の変更等をプログラムに反映することが容易な数値制御発振器によって同期回路を構成できるので、様々な要求や仕様に容易に対応できる基準周波数発生装置を提供することができる。
次に発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る基準周波数発生装置10を概略的に示したブロック図である。基準周波数発生装置10は、接続されるユーザ側の機器に基準周波数信号を提供するためのものである。基準周波数発生装置10が基準周波数信号を供給する対象としては、例えば、携帯電話の基地局、地上デジタル放送の送信局及びWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)通信設備等がある。
本実施形態の基準周波数発生装置10は、デジタル回路として構成される位相同期回路(Phase Locked Loop、PLL回路)50を備えている。このPLL回路50には、GNSS受信機20からリファレンス信号としての1PPS信号が供給されている。GNSS受信機20には、図略のGNSSアンテナが受信したGNSS衛星からの受信信号が入力されている。GNSS受信機20は、前記受信信号に含まれる測位用信号に基づいて、リファレンス信号としての1PPS信号(1秒周期信号)を生成し、PLL回路50に出力する。
図1に示すように、PLL回路50は、位相比較器12と、ループフィルタ13と、スイッチ回路14と、変換部21と、カウンタ23と、BPF22と、NCO30と、を備えている。また、基準周波数発生装置10は、NCO30を駆動するための発振器15を備えている。
まず、PLL回路50について説明する。図1に示すように、位相比較器12には、GNSS受信機20から供給された1PPS信号と、カウンタ23で生成された1PPS信号と、が入力されている。位相比較器12は、GNSS受信機20から供給された1PPS信号(リファレンス信号)と、カウンタ23で生成された1PPS信号(基準周波数信号に基づいて生成された信号)と、の位相差を示す位相差信号を生成する。位相比較器12で生成された位相差信号はループフィルタ13へ出力される。
ループフィルタ13は、位相比較器12から入力される信号の高周波成分の遮断及び雑音の除去を行うためのローパスフィルタとして構成されている。ループフィルタ13で高周波成分の遮断及び雑音の除去が行われた位相差信号は、NCO30へ出力される。
NCO(Numerically Controlled Oscillator、数値制御発振器)30は、基準周波数信号を出力するためのデジタル制御発振器であり、レジスタ31と、加算器32と、を備えている。図1に示すように、NCO30には、ループフィルタから位相差信号が入力されるとともに、発振器15からシステムクロックが入力されている。このNCO30の後段に配置される変換部21には、1周期分の矩形波の波形データがルックアップテーブル形式で記憶されている。
加算器32は、ループフィルタ13から入力される位相差信号に基づくデータと、レジスタ31から入力される累積位相データと、を加算することで、アドレスデータを生成する。アドレスデータは、変換部21に記憶されている波形データの一群から位相に応じた波形データを決定するためのものである。このアドレスデータは、リファレンス信号の1PPSと、基準周波数信号をカウンタ23で分周することで得られる1PPSと、の間の位相差をなくすように設定される。加算器32で生成されたアドレスデータは、変換部21へ出力されるともに、レジスタ31へ出力される。
レジスタ31は、累積位相データを一時的に保持するアキュムレータとして機能する。このレジスタ31には発振器15のシステムクロックが入力されており、このシステムクロックのタイミングに同期して累積位相データが加算器32に出力される。
変換部21は、加算器32からアドレスデータが入力されると、当該アドレスデータに基づいて波形データを選択し、矩形波信号をBPF22に出力する。
アドレスデータが入力されたレジスタ31は、当該アドレスデータを前記累積位相データとして更新し、次のシステムクロックのタイミングでは、更新された累積位相データが加算器32に出力される。なお、レジスタ31は、入力されるアドレスデータが所定値を超えると、累積位相データを初期化するように構成されている。この所定値は、変換部21に記憶されている1周期分の波形データの標本数に応じて設定されている。
以上の動作を繰り返すことで、リファレンス信号に基づいた矩形波の波形データがBPF22に出力されることになる。
なお。駆動信号としてのシステムクロックを出力する発振器15は、水晶振動子を共振器として使用したTCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)であり、温度補償回路を備えた構成になっている。この発振器15が出力するシステムクロックは、GNSS受信機20、位相比較器12、ループフィルタ13、カウンタ23等にも入力されている。また、このシステムクロックによって、PLL回路50の各部が動作するタイミングが決定されている。
BPF(Band pass filter)23は、変換部21から入力された矩形波信号から正弦波を抽出するためのものである。このBPF22によって矩形波信号から整形された正弦波信号が基準周波数信号としてユーザ側の機器に供給される。なお、本実施形態の構成からBPF22を省略することもできる。この場合、矩形波信号が基準周波数信号としてユーザ側の機器に供給されることになる。
カウンタ23は、変換部21から出力された矩形波信号と、発振器15から入力されたシステムクロック信号と、に基づいて1PPS信号を生成する分周器として構成されている。上述したように、このカウンタ23によって生成された1PPS信号が位相比較器12に入力される。
以上に説明した構成によって、PLL回路50のループが構成される。例えば、経時変化や周囲の温度変化及び電源電圧等に起因して発振器15のシステムクロックが変動したとする。システムクロックが変動すれば、加算器32で位相が積算されるタイミングが変わってしまうため、基準周波数信号の位相が変化してしまうことになる。しかしながら、PLL回路50は、GNSS受信機20から入力される正確な1PPS信号に基づいて基準周波数の位相のズレがなくなるように、NCO30をデジタル制御する。従って、上記のようにシステムクロックが変動した場合であっても、基準周波数発生装置10から出力される基準周波数を高精度に保つことができる。即ち、GNSS受信機20から供給される1PPS信号をPLL回路50がロックしている限り、システムクロックが変動しても、基準周波数信号は自動的に修正されて、高精度な基準周波数信号の出力を維持することができるのである。
なお、以下の説明では、基準周波数発生装置10がGNSS受信機20から適切な1PPS信号を取得でき、それに基づいて基準周波数信号を出力している状態を「定常状態」と称することがある。
ところで、強い妨害波が存在するような状態や、GNSS衛星の位置がアンテナの死角に入っているような受信環境が悪い状態等では、GNSS受信機20からPLL回路50にリファレンス信号が適切に供給されないことがある。このような場合、基準周波数発生装置10は、NCO30を自走制御(ホールドオーバ制御)することで、正確な基準周波数の出力を維持する。
次に、基準周波数発生装置10が自走制御を行うための構成について説明する。図1に示すように、基準周波数発生装置10は、前記自走制御を行うための構成として、温度センサ17と、電源部18と、測定部19と、制御部25と、記憶部26と、を備えている。
温度センサ17は、発振器15が使用されている温度(環境値)を検出するためのものであり、発振器15の近傍に配置されている。この温度センサ17の検出信号は測定部19へ出力されている。
電源部18は、前記発振器15に電源電圧を供給するためのものである。電源部18によって供給される電源電圧の電圧値(環境値)は測定部19へ出力されている。
測定部(環境値取得部)19は、発振器15が使用される環境を示す環境値を取得するためのものである。測定部19は、温度センサ17から入力される温度情報と、電源部18から入力される電圧値情報と、を環境値として取得する。取得した環境値は適宜のタイミングで制御部25へ出力される。
制御部25は、推定位相差信号を生成してNCO30を自走制御するためのものであり、演算部としてのCPU等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。本実施形態の制御部25は、発振器15が使用される温度と、発振器15に供給される電源電圧値と、発振器15の経時変化と、に基づいて前記推定位相差信号を生成するように構成されている。
次に、図2から図4までを参照して、温度変動によるシステムクロックの変動が基準周波数信号の位相に与える影響について説明する。なお、以下の説明において、電源電圧の変動及び経時変化によるシステムクロックの変動は生じていないものとする。
図2は、温度を一定にしたときの位相と経過時間との関係を示したグラフである。図2のグラフでは、dφをシステムクロックのタイミングで積算していく様子が示されている。dφは自走制御が開始される直前の位相の微分値(位相変化量)である。図2のグラフに示した例の周波数fは式(1)のように表現することができる。
ただし、
N:クロックエッジ数
dφ:位相の微分値
T:実際の経過時間
Tclk:クロック時間
N:クロックエッジ数
dφ:位相の微分値
T:実際の経過時間
Tclk:クロック時間
上述したように、図2のグラフの例では、電源電圧の変動及び経時変化を原因とするシステムクロックの変動を考慮しない。従って、温度が一定であれば、システムクロックの変動要因がなくなることになり、所定時間T秒内におけるシステムクロックのエッジ数は正確な値(理想的な値)になる。これにより、システムクロックのタイミングで積算される累積位相φは、現実の時間を正確に反映したものとなる。
次に、温度変動が周波数の位相に与える影響について考える。図3は、温度が変動したときの周波数の位相と経過時間との関係を示したグラフである。図3のグラフに示した例の周波数fは、式(2)のように表現することができる。
ただし、
N:クロックエッジ数
dφ:位相の微分値
T:実際の経過時間
Tclk:クロック時間
t(Tem):システムクロックの温度変動分
Tem:発振器15が使用される環境の温度
tave:システムクロックの平均温度変動分
N:クロックエッジ数
dφ:位相の微分値
T:実際の経過時間
Tclk:クロック時間
t(Tem):システムクロックの温度変動分
Tem:発振器15が使用される環境の温度
tave:システムクロックの平均温度変動分
図3のグラフの例では、システムクロックのタイミングが温度変動によって変化しているので、T秒後の位相が図2のグラフに示される値(理想的な値)と異なっている。温度変動が生じていない図2のグラフでは、T秒後の累積位相はφであるのに対して、温度変動が生じている図3のグラフでは、T秒後の累積位相は(φ+dφ)となっている。これは、発振器15から出力されるシステムクロックの周波数が高くなると、dφが加算されるタイミングが早くなるため、T秒後の累積位相が、正確な累積位相よりdφだけ進んでしまったことを意味する。従って、この状態では位相がdφだけ進んだ周波数がNCO30から出力されることになってしまう。
PLL回路50がリファレンス信号をロックしているときは、上述した温度変動があった場合でも、出力される基準周波数をカウンタ23で分周した比較用信号と、リファレンス信号との位相差に基づいてNCO30が制御され、位相のズレが自動的に修正される。しかし、PLL回路50にリファレンス信号が適切に供給されていない場合は、温度変動によるシステムクロックの変動が、NCO30から出力される周波数の位相に影響を与えてしまうことになる。
次に、温度変動に対して修正を加えた場合について考える。図4は、温度変動に対して補正を行ったときの周波数の位相と経過時間との関係を示したグラフである。図4のグラフの例で示される周波数fは、式(3)のように表現することができる。
ただし、
N:クロックエッジ数
dφ:位相の微分値
T:実際の経過時間
Tclk:クロック時間
t(Tem):システムクロックの温度変動分
Tem:発振器15が使用される環境の温度
tave:システムクロックの平均温度変動分
dφTave:温度補正値による平均補正量
N:クロックエッジ数
dφ:位相の微分値
T:実際の経過時間
Tclk:クロック時間
t(Tem):システムクロックの温度変動分
Tem:発振器15が使用される環境の温度
tave:システムクロックの平均温度変動分
dφTave:温度補正値による平均補正量
図4のグラフの例においても、温度変動の影響によってシステムクロックが打たれるタイミングが変動してしまっている。これは、図3のグラフの例と同様である。図4のグラフの例では、このシステムクロックの変動によって生じる累積位相のズレを修正するために、温度補正値dφT(Tem)を、dφが加算されるタイミングで加算している。この温度補正値は、温度変動によって生じた位相のズレを修正するために予備測定等で予め求められたものである。図4のグラフの例では、位相を遅らすように温度補正値dφT(Tem)が設定されることになる。図3と図4を比較すると、温度補正値dφTが加算されることによって、T秒後の累積位相のズレを抑制していることがわかる(φ+dφ>φ+ΣdφTem(Tem)>φ)。
このように、温度補正値dφT(Tem)は、システムクロックの周波数が高い場合は、位相の進みを遅らせるように補正量が決められ、システムクロックの周波数が低い場合は、位相の進みを早めるように補正量が決められる。温度補正値を適切に設定した場合、式(1)と式(3)の関係から式(4)の関係が成立することになる。
次に、本実施形態の基準周波数発生装置10が行う位相の補正について具体的に説明する。本実施形態の基準周波数発生装置10は、記憶部26に記憶された温度補正テーブルに基づいて位相に加算する補正量(温度補正値)を決定し、発振器15の温度特性を原因とする基準周波数の位相のズレを抑制している。
温度補正テーブルは、発振器15の温度特性を予備測定し、その測定結果に基づいて温度ごとに補正量を設定したものである。本実施形態の基準周波数発生器は、PLL回路のロック時に、制御部25に入力される温度情報と、電圧値情報と、位相差信号と、に基づいて適宜のタイミングで温度補正テーブルを更新するように構成されている。これにより、使用中の発振器15の温度特性をより正確に反映した確度の高い補正を行うことができるようになっている。自走制御時の制御部25は、測定部19から温度情報が入力されると、温度補正テーブルを参照して、その温度に対する温度補正値を決定する。
なお、出荷時点で記憶部26に記憶される温度補正テーブルは、任意の方法で設定することができる。例えば、出荷前に基準周波数発生装置10の予備測定を行って、温度補正テーブルを個体ごとに設定したり、発振器15等のスペックシートのTYP値(代表値)に基づいて温度補正テーブルを決定したりする等、適宜の方法を採用できる。
また、温度補正値を決定する方法は、事情に応じて適宜変更することができる。例えば、温度補正値を求めるための適宜の関数を設定して記憶部26に記憶させる構成とすることもできる。この場合、記憶部26に記憶された関数を用いて温度補正値を適宜のタイミングで算出して温度補正値を決定することになる。この構成において、制御部25に入力される環境値に基づいて前記関数の係数を適宜のタイミングで更新するように構成することもできる。
また、制御部25は、電源部18から発振器15に供給される供給電圧値(電源電圧値)の影響を考慮して自走制御を行うように構成されている。発振器15は、温度変動だけではなく、電源電圧の変動によってもシステムクロックが変動する。システムクロックが変動すると、温度変動のときと同様に、累積位相の進みが早くなったり、遅くなったりして基準周波数信号のズレの原因になる。制御部25は、電源電圧に応じて予め設定された電圧補正値を位相に加算することで、発振器15の電源電圧の変動を原因とするシステムクロックの変動によって生じる位相のズレを防止している。
より具体的には、自走制御時の制御部25は、測定部19から電圧値を取得すると、記憶部26に記憶されている電圧補正テーブルを参照し、電圧補正値を決定する。電圧補正テーブルは、予備測定によって求められたものである。例えば、以下のような予備測定によって電圧補正テーブルが求められる。即ち、温度一定の状態で発振器15に供給する電源電圧を変化させて、電源電圧の変動に対するシステムクロックの変動を測定する。そして、この測定結果に基づいて、システムクロックのズレによって生じる累積位相のズレを補正する補正量を設定する。
なお、電圧補正値を決定する方法は、事情に応じて適宜変更することができる。例えば、電圧補正値を算出するための適宜の関数を記憶部26に記憶させる構成とすることもできる。この場合、記憶部26に記憶された関数を用いて電圧補正値を適宜のタイミングで算出して電圧補正値を決定することになる。この構成においても、制御部25に入力される環境値に基づいて前記関数の係数を適宜のタイミングで更新するように構成することができる。
ところで、システムクロックは、発振器15の経年劣化によって変動する。温度変動及び電源電圧の変動と同様に、システムクロックの変動は、出力される基準周波数信号の位相がズレる原因となる。そのため、本実施形態の制御部25は、発振器15の経年劣化を原因としたシステムクロックの変動を考慮した経時変化補正値をdφに加算することで、基準周波数信号の位相のズレを防止している。なお、経時変化補正値の決定方法は後述する。
本実施形態の制御部25は、以上に説明してきた温度補正値と、電圧補正値と、経時変化補正値と、を加算することで推定位相差信号を生成する。推定位相差信号をdφ(k)とすると、推定位相差信号dφ(k)を求めるための関数は、式(5)のように表現することができる。
ただし、
dφ:自走制御開始直前の位相の微分値
dφ(k):NCOを制御するための推定位相差信号
dφT(Tem):温度補正値
dφV(V):電圧補正値
dφA(k):経時変化補正値
dφ:自走制御開始直前の位相の微分値
dφ(k):NCOを制御するための推定位相差信号
dφT(Tem):温度補正値
dφV(V):電圧補正値
dφA(k):経時変化補正値
次に、経時変化補正値dφA(k)の決定方法について説明する。本実施形態において、経時変化補正値dφA(k)は、PLL回路50のロック時に制御部25が決定する関数によって算出するように構成される。
図1に示すように、制御部25は、ループフィルタ13から位相差信号(位相差情報)を適宜のタイミングで取得して記憶部26に記憶する。次に、制御部25は位相差信号から位相の微分値(変化量)を取得し、この位相の微分値から温度変動及び電源電圧変動の影響を取り除くために以下の処理を行う。即ち、制御部25は、前記位相差信号を取得したときの温度情報に基づいて温度補正値dφT(Tem)を取得するとともに、前記位相差信号を取得したときの電圧情報に基づいて電圧補正値dφV(V)を取得する。そして、位相の微分値から温度補正値dφT(Tem)と電圧補正値dφV(V)を減算する。これによって、温度変動及び電源電圧変動の影響を除外した経時変化の影響のみを受けた経時変化位相情報を取得することができる。
制御部25は、GNSS受信機20から1PPS信号が得られている状態(前記定常状態)では、前記位相差信号を所定の時間間隔をおいて反復して取得する。そして、取得した位相差信号から温度変動と電源電圧変動の影響を除去した経時変化位相情報を記憶部26に時系列で記憶していく。経時変化位相情報は、温度変動及び電源電圧変動の影響が除外されており、経時変化がシステムクロックに与えた影響を正確に示す情報である。
本実施形態の記憶部26には、経時変化を推定するためのエージング推定関数FA(k)が記憶されている。基準周波数発生装置10の起動当初は、このエージング推定関数FA(k)の係数は未定の状態になっている。制御部25は、記憶部26に記憶されている一連の経時変化位相情報に基づいて、経時変化を推定するためのエージング推定関数FA(k)の係数を決定する。より具体的には、一連の経時変化位相情報に対してエージング推定関数FA(k)をフィッティングさせて係数を決定する。自走制御時は、このようにして係数が決定したエージング推定関数FA(k)に基づいて経時変化補正値を算出する。なお、エージング推定関数FA(k)の係数は記憶部26に記憶されており、制御部25が適宜のタイミングで当該係数を更新するようになっている。これによって、発振器15の状態を正確に反映することができ、発振器15の経年劣化を正確に予想することが可能になっている。
なお、エージング推定関数としては、例えば2次関数や対数関数等の適宜の関数(発振器15の動作開始からの経過時間の関数)を採用することができる。このように、エージング推定関数FA(k)は、発振器15の経時変化を実質的に表現することができれば形式は任意である。
以上の処理によって、制御部25は、経時変化補正値を算出するためのエージング推定関数FA(k)を決定する。このエージング推定関数FA(k)は、式(5)を変形することで、式(6)のように表現することもできる。
式(6)からもわかるように、温度変動及び電源電圧変動によるシステムクロックの変動の影響を除外することで、現実の経年劣化を反映した経時変化補正値dφA(k)を正確に算出することができるのである。
以上のようにして取得した温度補正値dφT(T)、電圧補正値dφV(V)、経時変化補正値dφA(k)、及びdφを式(5)に代入することによって、推定位相差信号(推定位相変化量)dφ(k)を取得することができる。なお、dφは、適宜の時間で区切った位相変化量を平均化したもの(位相の微分値)であり、制御部25が計算によって算出する。また、ここでのdφT(Tem)は、自走制御時に、温度センサ17が検出した温度(Tem)に基づいて取得する。また、ここでのdφV(V)は、自走制御時に測定部19が測定した電圧値(V)に基づいて取得する。経時変化補正値dφA(k)は、係数が決定しているエージング推定関数FA(k)に基づいて制御部25が算出する。
以上に説明してきたように、本実施形態の制御部25は、システムクロックを出力するための発振器15の温度変動、電源電圧変動及び経時変化を考慮して推定位相差信号を推定する。そして、制御部25は、この推定位相差信号に基づいてNCO30をデジタル制御する。
なお、本実施形態の基準周波数発生装置10において、自走制御への移行は、GNSS受信機20によって行われる。より具体的には、GNSS受信機20は、基準周波数発生装置10にリファレンス信号(1PPS)を安定的に供給できないと判定すると、スイッチ回路14に切換制御信号を送信し、制御部25とNCO30を接続させる。これによって、基準周波数発生装置10は、制御部25によってNCO30が制御される自走制御に移行するのである。
以上に示したように、本実施形態の基準周波数発生装置10は、以下のように構成される。即ち、基準周波数発生装置10は、PLL回路50と、記憶部26と、制御部25と、を備える。PLL回路50は、基準周波数信号を出力するためにシステムクロックによって駆動されるNCO30を位相差信号(位相差情報)に基づいてデジタル制御する。位相差信号は、GNSS受信機20から供給されるリファレンス信号と、基準周波数信号を分周して得られる1PPS信号と、の間の位相差を示す信号である。記憶部26は、位相差信号を記憶する。制御部25は、PLL回路50にリファレンス信号が適切に供給されなくなると、記憶部26に記憶された位相差信号に基づいて推定した推定位相差信号(推定位相差情報)によってNCO30を自走制御(デジタル制御)する。
これにより、NCO30がデジタル制御されるので、従来の電圧制御発振器のように発振器を電圧制御するためのD/Aコンバータ等のアナログ部品を備える必要がなくなる。これによって、アナログ部品を介して発振器を制御することで生じる制御電圧の変動の影響を受けなくなるので、NCO30によって出力される基準周波数を正確に制御することができる。また、NCO30を含めてPLL回路50をデジタル回路として構成することができるので、製造コストを効果的に低減することができる。また、リファレンス信号が供給されない場合でも、記憶部26に記憶された位相差信号に基づいて推定された推定位相差信号によって、出力される基準周波数の経時変化を考慮して自走制御することで、出力される基準周波数の精度を良好に保つことができる。
また、本実施形態の基準周波数発生装置10においては、以下のように構成される。即ち、基準周波数発生装置10は、システムクロックを出力するための発振器15と、発振器15が使用される環境を示す環境値を検出するための測定部19と、を備える。制御部25は、環境値を考慮して推定位相差信号を推定する。
これにより、発振器15が使用される環境を考慮してNCO30の制御が行われることになるので、環境の変化によって生じるシステムクロックの変動を原因とする周波数の位相のズレを抑制できる。これによって、リファレンス信号が供給されていないときにおいて、基準周波数発生装置10は基準周波数をより高い精度で出力することができる。
また、本実施形態の基準周波数発生装置10においては、測定部19は、発振器15が使用される環境の温度を環境値として、温度センサ17を介して取得するように構成されている。
これにより、発振器15のシステムクロックの変動原因になる温度変動を考慮してNCO30が制御されるので、リファレンス信号が供給されないときの温度変動を原因とする基準周波数の位相のズレを効果的に防止できる。
また、本実施形態の基準周波数発生装置10においては、測定部19は、電源部18から発振器15に供給される電圧の大きさを環境値として取得するように構成されている。
これにより、発振器15のシステムクロックの変動原因になる電源部18の電圧変動を考慮してNCO30が制御されるので、リファレンス信号が供給されないときの電源部18の電圧変動を原因とする基準周波数の位相のズレを効果的に防止できる。
また、本実施形態の基準周波数発生装置10においては、以下のように構成される。即ち、制御部25は、リファレンス信号が供給されているときにおいて、位相差信号と、測定部19が取得する環境値と、に基づいて経時変化を補正する補正量を算出するエージング推定関数を決定する。リファレンス信号が供給されなくなると、エージング推定関数によって算出した補正量を考慮して推定位相差信号を推定する。
これにより、環境値(温度、電圧値)を考慮することで、環境変化を原因とする駆動信号の変動の影響を除外し、経時変化を原因とするシステムクロックの変動のみに着目して、補正量を算出する関数を決定することができる。従って、駆動信号出力用発振器の経年劣化を原因とする駆動信号の経時変化を正確に予測することができる。
また、本実施形態の基準周波数発生装置10においては、NCO30は数値制御発振器であるように構成されている。
これにより、周波数の変更及び位相の変更等をプログラムに反映することが容易な数値制御発振器によってPLL回路50を構成できるので、様々な要求や仕様に容易に対応できる基準周波数発生装置10を提供することができる。
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。
上記実施形態では、発振器15としてTCXOを用いたが、他の形式の発振器を用いることができる。例えば、恒温槽付水晶発振器(Oven Controlled Crystal Oscillator、OCXO)を、システムクロックを出力するための発振器として採用することができる。OCXOは、水晶振動子と、加熱手段としてのパワートランジスタと、恒温槽内温度センサと、を恒温槽内に備える構成である。
前記OCXOは、恒温槽内温度センサの検出値に基づいて加熱手段を制御し、恒温槽内の温度を一定に保つように構成される発振器である。OCXOが使用される環境に温度変化があった場合、恒温槽内の温度を一定に保つように、パワートランジスタが制御される。これは、パワートランジスタに通電される電流量が恒温槽外の温度に依存することを意味している。また、消費電流の変化は、当該発振器に供給される電源電圧の変化にも結びつく。このことから、OCXOが使用される環境で温度変化があった場合に生じるシステムクロックの変動は、温度変動と、電源電圧の変動と、の2つの要素を含んでいるといえる。即ち、パワートランジスタに通電される電流量とシステムクロックの関係に基づいて補正量を算出することで、温度変動と電源電圧の変動との2つの変動要素を考慮した補正量を得ることができるのである。
なお、システムクロックを出力するための発振器としてOCXOを用いる場合において、以下のような測定を行うことで、温度変動の補正量と電源電圧の補正量とを別々に求めることもできる。即ち、外部電源からOCXOに電源電圧を供給できるように回路を構成する。そして、恒温槽内を一定温度に維持した状態で、供給される電源電圧を変化させる。これによって、電源電圧の補正量を求めることができる。次に、外部から供給される電源電圧を一定に維持し、恒温槽内の温度を変化させる。これによって、温度変動の補正量を求めることができる。なお、補正式は、X=温度、Y=電圧、Z=dφT(T)+dφV(V)で表現される面の関数として、V、Tを同時に変化させながら求めてもよい。
また、発振器15が有する温度ヒステリシス特性を考慮して温度補正を行うように構成することもできる。例えば、複数点の温度勾配を基準に補正することで、温度変動による位相のズレをより的確に修正することができる。この場合、温度と、温度変動と、位相増加量の微分値の3次元関数(面で表される)によって温度補正値を決定することになる。
また、基準周波数発生装置10は、上記実施形態の構成以外にも、以下のように構成することができる。
上記実施形態の基準周波数発生装置10の構成の後段に、高速デジタルフィルタ(又はアナログフィルタ)又はPLL回路を追加するように構成することもできる。これにより、NCO30の加算器32の段数を増やすことなく、ジッタを効果的に除去することができる。
また、本実施形態の基準周波数発生装置10の後段に、分周器とBPFを追加して、M/N倍の基準周波数を取り出すように構成することもできる。即ち、上記実施形態の基準周波数発生装置10から出力された基準周波数を分周器によって1/Nした周波数の逓倍波(M倍した周波数)をBPFで抽出するように基準周波数発生装置10を構成するのである。また、M/N倍の基準周波数を取り出すための分周器及びBPFをNCO30の後段に配置し、M/N倍した周波数を分周して位相比較器に入力するように構成することもできる。
また、上記実施形態のNCO30に代えて、デジタル回路で構成された正弦波発振回路を用いることもできる。正弦発振回路の伝達関数は、式(7)のように表現することができる。なお、以下の説明において、電源電圧の変動による補正については省略している。
ここで、正弦波の周波数FをF=θ/(2πT)と表現すると、デジタル回路である正弦波発信回路は式(8)のように表現することができる。
ただし、
θ:正規化角周波数
t:標本化間隔
Y[−1]=0、Y[−2]=0、
X[n]=1又は0(n=0のとき1、n≠0のとき0)
θ:正規化角周波数
t:標本化間隔
Y[−1]=0、Y[−2]=0、
X[n]=1又は0(n=0のとき1、n≠0のとき0)
式(8)においては、2πFtを調整することで出力される基準周波数が変化することになるので、2πFt=aとすると、補正値は式(9)のように表現することができる。
ただし、
FTem(Tem):温度の関数
FA(n):エージングの関数
FTem(Tem):温度の関数
FA(n):エージングの関数
式(9)から、温度と経時変化の関数で補正することで、周波数の位相のズレを抑制できることがわかる。なお、式(9)に電圧変動による位相のズレを補正するための項を追加することも可能である。
また、本実施形態の基準周波数発生装置10においては、GNSS受信機20は、発振器15のシステムクロックに基づいて1PPS信号を生成する構成である。このGNSS受信機20では、測位演算を行う際に、発振器15から入力されるシステムクロックのクロックドリフトが計算される。従って、測位演算の精度が一定以上であれば、測定部19が検出する情報と、GNSS受信機20で計算されるクロックドリフトと、の関係を調べることで、上記実施形態と同様に温度変動、電源電圧変動及び経時変化を考慮した推定位相差信号を推定することができることになる。このように、GNSS受信機20の計算結果に基づいて推定位相差信号を推定するように構成することもできる。この場合、GNSS受信機20を制御部として機能させてもよいし、GNSS受信機20の計算結果を制御部25に入力させるように構成してもよい。
また、上記実施形態においては、温度変動及び電源電圧変動が発振器15に与える影響を考慮して推定位相差信号を推定しているが、式(5)から温度補正値と電圧補正値のうち、何れか一方、又はその両方を省略することも可能である。また、経時変化補正値を決定する方法は、上記実施形態の方法に限定される訳ではない。発振器15の経時変化を推定できる方法であれば、事情に応じて適宜変更することができる。
10 基準周波数発生装置
15 発振器(駆動信号出力用発振器)
19 測定部(環境値取得部)
25 制御部
26 記憶部
30 NCO(デジタル制御発振器、数値制御発振器)
15 発振器(駆動信号出力用発振器)
19 測定部(環境値取得部)
25 制御部
26 記憶部
30 NCO(デジタル制御発振器、数値制御発振器)
Claims (6)
- 基準周波数信号を出力するために駆動信号によって駆動されるデジタル制御発振器を、外部から供給されるリファレンス信号と前記基準周波数信号とに基づいて得られる位相差情報によってデジタル制御する同期回路と、
前記位相差情報を記憶する記憶部と、
前記同期回路にリファレンス信号が適切に供給されなくなると、前記記憶部に記憶された位相差情報に基づいて推定した推定位相差情報によって前記デジタル制御発振器を自走制御する制御部と、
を備えることを特徴とする基準周波数発生装置。 - 請求項1に記載の基準周波数発生装置であって、
前記駆動信号を出力するための駆動信号出力用発振器と、
前記駆動信号出力用発振器が使用される環境を示す環境値を検出するための環境値取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記環境値を考慮して前記推定位相差情報を推定することを特徴とする基準周波数発生装置。 - 請求項2に記載の基準周波数発生装置であって、
前記環境値取得部は、前記駆動信号出力用発振器が使用される環境の温度を環境値として取得することを特徴とする基準周波数発生装置。 - 請求項2又は3に記載の基準周波数発生装置であって、
前記環境値取得部は、電源部から前記駆動信号出力用発振器に供給される電圧の大きさを環境値として取得することを特徴とする基準周波数発生装置。 - 請求項2から4までの何れか一項に記載の基準周波数発生装置であって、
前記制御部は、
リファレンス信号が供給されているときにおいて、前記位相差情報と、前記環境値取得部が取得する前記環境値と、に基づいて経時変化を補正する補正量を算出する関数を決定し、
リファレンス信号が供給されなくなると、前記関数によって算出した補正量を考慮して前記推定位相差情報を推定することを特徴とする基準周波数発生装置。 - 請求項1から5までの何れか一項に記載の基準周波数発生装置であって、
前記デジタル制御発振器は数値制御発振器であることを特徴とする基準周波数発生装置。
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WO2019188990A1 (ja) * | 2018-03-26 | 2019-10-03 | 日本電波工業株式会社 | 発振装置 |
JP2021526320A (ja) * | 2018-06-11 | 2021-09-30 | 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司Boe Technology Group Co.,Ltd. | 時間同期装置、電子機器、時間同期システム及び時間同期方法 |
-
2016
- 2016-02-26 JP JP2016035744A patent/JP2017153024A/ja active Pending
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