JP2017153011A - 固体撮像素子、画像読取装置、及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイナミックレンジが広い固体撮像素子を提供すること。
【解決手段】固体撮像素子100は、受光素子1と転送回路7と転送回路7から転送された信号を増幅する第1アンプ4とを含む光電変換部10と、第2アンプ11を含む列処理部20と、光電変換部10、及び列処理部20からなる一対の信号処理部25が、複数個、配置された基板と、列処理部20からの出力信号を増幅する第3アンプ31を含むプリアンプ部30と、を備え、第2アンプ11、及び第3アンプ31は反転増幅器であり、それぞれのしきい値電圧が略等しくなっている。ここで、第2アンプ11と、第3アンプ31とは隣り合って配置され、特性が揃っているため、両者のしきい値電圧が相殺されて、出力信号のダイナミックレンジを広げることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体撮像素子、及び当該固体撮像素子を備えた画像読取装置、及び当該画像読取装置を備えた電子機器に関する。
CMOS(Complementary MOS)プロセスは、論理回路やアナログ回路を同一ICチップ上に形成できることから、利便性が高く、近年では様々な技術が開発されている。イメージセンサーも例外ではなく、CCDイメージセンサーに代わりCMOSプロセスによるイメージセンサー(CMOSイメージセンサー)の開発が活発になっている。
従来、CMOSイメージセンサーの回路構成としては、受光素子を含む光電変換部から列方向に読み出す列出力回路(以降、列処理部という)が知られていた。この構成によれば、受光素子ごとに対となる複数の列処理部による並列処理が可能なため、各列処理部のデータレートを下げられることに加えて、ノイズレベルの低減が可能であった。さらに、各列処理部にはCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)回路が備えられており、光電変換部で発生するノイズをキャンセルすることも可能であった。またCDS回路の容量と帰還容量の比により、読み出し信号の出力倍率も任意に設定することが可能である。また、列処理部には、ソース接地型アンプが採用されることが多かった。これは、列処理部ごとにアンプが必要となるため、差動アンプに比べて小面積で実装可能なソース接地型アンプの方が小型化に適していたからである。
他方、ソース接地型アンプは、差動アンプに比べて、電源電圧変動に対する入力オフセット電圧が増減する割合PSRR(Power Supply Rejection Ratio)が劣っているという問題があった。この点に鑑み、例えば、特許文献1には、この問題を解決するための技術(固体撮像装置)が提案されている。詳しくは、列処理部におけるアンプの電流値を一定として、電源・グランドのレベルを常に一定に保つことで、PSRRを改善できるとしている。また、特許文献1の記載(例えば「0005」、図4など)によると、照度に対する出力電圧特性は略比例関係となっているものと推測される。
特開2005−252529号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来の固体撮像装置では、ダイナミックレンジが狭くなってしまうという課題があった。詳しくは、従来技術では、列処理部のソース接地アンプによるオフセット電圧を除去することが困難であるため、ダイナミックレンジが狭くなってしまっていたからである。
また、従来技術では、暗時の信号精度が劣化してしまうという課題もあった。詳しくは、低照度域において照度に対する出力電圧特性が略比例関係になっているものと推測されるため、信号レベルがノイズレベルと同等になってしまうからである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る固体撮像素子は、受光素子と、前記受光素子で光電変換された信号を転送する転送回路と、前記転送回路から転送された信号を増幅する第1アンプと、を含む光電変換部と、前記光電変換部からの出力信号を増幅する第2アンプを含む列処理部と、前記光電変換部、及び前記列処理部からなる一対の信号処理部が、複数個、配置された基板と、前記列処理部からの出力信号を増幅する第3アンプを含むプリアンプ部と、を備え、前記第2アンプ、及び前記第3アンプは反転増幅器であり、それぞれのしきい値電圧が略等しいことを特徴とする。
本適用例によれば、第2アンプで発生したしきい値電圧Vthは、プリアンプ部のCDS回路によって除去される。詳しくは、第2アンプと第3アンプは特性をそろえたトランジスターを使用しているため、第2アンプで発生したしきい値電圧Vthと、第3アンプで発生したしきい値電圧Vthとが、略等しい値となり、プリアンプ部によってそれぞれの差分を取るため、出力信号からしきい値電圧Vthを除去することができる。
従って、広いダイナミックレンジを持った出力を得ることができる。
[適用例2]本適用例に係る固体撮像素子は、前記基板上において、前記列処理部と、前記プリアンプ部とは、隣り合って配置されていることが好ましい。
本適用例によれば、第2アンプと第3アンプとの、トランジスターの製造ばらつきを抑えた固体撮像素子を提供することができる。
[適用例3]本適用例に係る固体撮像素子において、前記列処理部と、前記プリアンプ部とは、グランドラインを共通化していることが好ましい。
本適用例によれば、第2アンプと第3アンプとの、電源及びグランド電位レベルを合わせた固体撮像素子を提供することができる。
[適用例4]本適用例に係る固体撮像素子において、前記第2アンプ、及び前記第3アンプは、トランジスターによるソース接地型回路で構成され、前記トランジスターのオーバードライブ電圧が略等しいことが好ましい。
本適用例によれば、第2アンプのオフセット成分と第3アンプのオフセット成分とを略等しく設計した固体撮像素子を提供することができる。
[適用例5]本適用例に係る固体撮像素子は、前記プリアンプ部からの出力信号を増幅する出力アンプをさらに備え、前記プリアンプ部の出力は、前記出力アンプの非反転入力に接続されていることが好ましい。
本適用例によれば、出力アンプの入力容量が低減されるため、出力信号の劣化を低減できる。
[適用例6]本適用例に係る固体撮像素子において、前記第2アンプ、及び前記第3アンプのソース接地型回路は、前記トランジスターを含む複数のトランジスターがカスコード接続されて構成されていることが好ましい。
本適用例によれば、ソース接地型アンプの増幅率を増加し、ソース接地型アンプの性能を数百倍にすることができる。
[適用例7]本適用例に係る固体撮像素子において、前記プリアンプ部は、照度に対する出力電圧特性が略反比例となる前記出力信号特性を有していることが好ましい。
本適用例によれば、暗時の出力電圧が外部入力電圧となるため、ノイズレベルに対して十分高い値となり、暗時の信号精度が向上する。
[適用例8]本適用例に係る画像読取装置は、上記適用例に記載の固体撮像素子を備えたことを特徴とする。
[適用例9]本適用例に係る電子機器は、上記画像読取装置を備えたことを特徴とする。
実施形態1に係る固体撮像素子の回路ブロック図。 信号処理部、及びプリアンプ部のレイアウトの概略図。 図2のM部における拡大図。 CDS回路の回路図。 プリアンプ部の回路図。 実施形態2に係る固体撮像素子の照度/出力電圧特性を示すグラフ。 比較例の固体撮像素子の照度/出力電圧特性を示すグラフ。 変形例1に係るCDS回路の回路図。 センサーアレイの概略平面図。 画像読取装置の分解斜視図。 フラットベッド型スキャナーの概略図。 複合機の概略図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図は、基本的な回路構成や、配置態様を模式的に示したものであり、配置態様の尺度などは実際の設計態様とは異なる部分もある。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る固体撮像素子の回路ブロック図である。また、図10は、画像読取装置の分解斜視図であり、図11はフラットベッド型スキャナーの概略図である。
まず、実施形態1に係る固体撮像素子100の概略構成について、図10,11を交えて説明する。
≪個体撮像装置の概要≫
固体撮像素子100は、フラットベッド型のスキャナー200(図11)などに搭載される棒状のイメージセンサーである。固体撮像素子100は、スキャナー200のセンサー部分である画像読取装置150に複数個取り付けられている。詳しくは、図10に示すように、固体撮像素子100は、画像読取装置150のプリント基板110に、その長手方向に沿って縦列に配置されている。プリント基板110の長手方向の長さは、スキャナー200の最大読み取り幅(読取りサイズ)に基づいて決定されている。以下、この固体撮像素子100の構成について詳しく説明する。
≪個体撮像装置の詳細な構成≫
図1に示すように、固体撮像素子100は、複数の信号処理部25、プリアンプ部30、出力アンプ40などから構成されている。なお、固体撮像素子100を構成するこれらの部位は、シリコン基板(図1では図示省略)上に、フォトリソ法を含む半導体プロセスによって一体に形成されている。つまり、固体撮像素子100は、1つのIC(Integrated Circuit)チップとして構成されており、以下の説明におけるトランジスターは、MOSトランジスターを示す。
信号処理部25は、光電変換部10、列処理部20から構成されている。
光電変換部10は、受光素子としてのフォトダイオード1、転送回路7、第1アンプ4、スイッチ5などから構成されている。
転送回路7は、トランジスター2及びトランジスター3から構成されている。
フォトダイオード1のアノード端子は、グランド電位VSSに接続されており、カソード端子は、トランジスター2のソース端子に接続されている。
第1アンプ4は、トランジスターであり、そのゲート端子は、トランジスター2のドレイン端子及びトランジスター3のソース端子に接続されている。
トランジスター2及びトランジスター3のゲート端子には、それぞれの制御信号線(図示せず)が接続されている。トランジスター3及び第1アンプ4のドレイン端子は、電源電位VDDに接続されている。
スイッチ5は、第1アンプ4を駆動するための負荷電流を制御する役割を果たすスイッチであり、その一端は、第1アンプ4のソース端子と接続している。スイッチ5の他端は、グランド電位VSSに接続されている。
列処理部20は、CDS回路18、スイッチ15、コンデンサー16、スイッチ17などから構成されている。
CDS回路18は、コンデンサー14、第2アンプ11、コンデンサー12、スイッチ13などから構成されている。
コンデンサー14は、差分回路であり、その一端は、光電変換部10の出力(第1アンプ4のソース端子)に接続され、他端は第2アンプ11の入力に接続されている。
第2アンプ11は、ソース接地型のアンプであり、複数のトランジスターから構成されている。コンデンサー12は、第2アンプ11の帰還用コンデンサーである。
スイッチ13は、第2アンプ11の帰還用スイッチである。コンデンサー12とスイッチ13とは、第2アンプ11の帰還素子として第2アンプに並列に接続されている。
CDS回路18は、光電変換部10からの出力信号をコンデンサー14によってノイズキャンセルし、さらに信号を増幅する機能を果たしている。
第2アンプ11の出力端子は、スイッチ15の一端に接続されている。
スイッチ15の他端は、コンデンサー16及びスイッチ17の一端に接続されている。スイッチ17の他端は、プリアンプ部30に接続されている。
スイッチ17は、列選択スイッチであり、選択信号に従って、複数の信号処理部25の中から所定の信号処理部25の出力信号をプリアンプ部30に入力する。なお、信号処理部25は、解像度に応じて複数個存在し、それぞれの出力端子が並列に接続され、プリアンプ部30の入力端子に接続されている。
プリアンプ部30は、第3アンプ31、コンデンサー32、スイッチ33、スイッチ34、スイッチ35などから構成されている。
第3アンプ31は、ソース接地型のアンプであり、複数のトランジスターから構成されている。コンデンサー32は、第3アンプ31の帰還用コンデンサーである。
スイッチ33は、第3アンプ31の帰還用スイッチである。スイッチ34は、第3アンプ31の帰還信号制御スイッチである。スイッチ35は、第3アンプ31の外部入力信号制御スイッチである。
第3アンプ31の入力端子には、スイッチ33の一端、及びコンデンサー32の一端が接続されている。コンデンサー32の他端は、スイッチ34の一端と、スイッチ35の一端とに接続されている。
スイッチ33及びスイッチ34の他端は、第3アンプ31の出力端子に接続されている。スイッチ35の他端には、外部入力電圧である基準電圧VREFが印加されている。
第3アンプ31の出力端子は、出力アンプ40の非反転入力端子に接続されている。
出力アンプ40は、非反転アンプであり、その反転入力端子は出力アンプ40の出力端子に接続されている。出力アンプ40は、ボルテージフォロワーとしての役割を果たしている。
≪信号処理部、プリアンプ部のレイアウト≫
図2は、信号処理部、及びプリアンプ部のレイアウトの概略図である。
信号処理部25において、複数の光電変換部10(フォトダイオード1)は、等ピッチ(第1ピッチP1)で一列に配置されている。この光電変換部10(受光センサー)の配置ピッチは、画像読み取り時における解像度に応じて設定されている。
なお、図2を含む各図において、この配列方向をX軸、X軸と直交する方向をY軸としている。また、以下説明において、X軸(+)方向を右側、(−)方向を左側、Y軸(+)方向を上側、(−)方向を下側として説明する。
信号処理部25では、光電変換部10と、光電変換部10の下側に配置された列処理部20とが対となって、1つの信号処理部を形成している。従来技術では、列処理部が対となる光電変換部の真下(Y軸方向に引いた直線上)に配置され、光電変換部の配置ピッチ(例えば、第1ピッチP1)と等ピッチでレイアウトされていた。
これに対して、本実施形態では、列処理部20の配置ピッチ(第2ピッチP2)を光電変換部10の配置ピッチ(第1ピッチP1)よりも狭くすることにより、列処理部20の配列の中ほどに、プリアンプ部30を割り込ませたレイアウトを実現している。
詳しくは、列処理部20の配列の左側では、最も左側の光電変換部10を基準として、第1ピッチP1よりも狭い第2ピッチP2で列処理部20を配置している。同様に、列処理部20の配列の右側では、最も右側の光電変換部10を基準として、第2ピッチP2で列処理部20を配置している。これにより、図2に示すように、列処理部20の中ほどに、プリアンプ部30を配置するスペースを確保している。
図3は、図2のM部における拡大図であり、第2アンプ、第3アンプの具体的な配置事例を示す図である。
第2アンプ11は、トランジスター51、トランジスター52から構成されている。トランジスター51はPチャネルのトランジスターであり、トランジスター52はNチャネルのトランジスターである。
第3アンプ31は、複数のトランジスター61、複数のトランジスター62などから構成されている。トランジスター61はPチャネルのトランジスターであり、トランジスター62はNチャネルのトランジスターである。図3では、好適例として、10個のトランジスター61と、10個のトランジスター62とを用いて、第3アンプ31を構成している。
ここで、第2アンプ11のトランジスター51と、第3アンプ31のトランジスター61とは、隣り合って配置されている。同様に、トランジスター52と、トランジスター62も隣り合って配置されている。
また、Pチャネルのトランジスター51,61の下層(配線)には、共通の電源電位VDDの配線が一直線に引かれている。同様に、Nチャネルのトランジスター52,62の下層(配線)には、共通のグランド電位VSSの配線が一直線に引かれている。
≪CDS回路の詳細な説明≫
図4は、CDS回路の詳細な回路図である。
前述したように、列処理部20(図1)のCDS回路18は、コンデンサー14、第2アンプ11、コンデンサー12、スイッチ13などから構成されている。
そして、第2アンプ11は、トランジスター51と、トランジスター52とから構成されている。
トランジスター51のドレイン端子には、コンデンサー12、スイッチ13、及びトランジスター52のドレイン端子が接続されている。ソース端子には、電源電位であるVDDが接続されている。ゲート端子には、トランジスター51を電流源として駆動するためのバイアス電荷Vbpが与えられている。
トランジスター52のソース端子には、グランド電位VSSが接続されている。ゲート端子には、コンデンサー14が接続しており、差分回路からの出力が入力される。ドレイン端子には、コンデンサー12、スイッチ13、及びトランジスター51のドレイン端子が接続されている。
≪プリアンプ部の詳細な説明≫
図5は、プリアンプ部の詳細な回路図である。
前述したように、プリアンプ部30(図1)は、第3アンプ31、コンデンサー32、スイッチ33、スイッチ34、スイッチ35などから構成されている。そして、第3アンプ31は、トランジスター61と、トランジスター62とから構成されている。
トランジスター61のドレイン端子には、スイッチ33、スイッチ34、及びトランジスター62のドレイン端子が接続されている。ソース端子には、電源電位であるVDDが接続されている。ゲート端子には、トランジスター51を電流源として駆動するためのバイアス電荷Vbpが与えられている。
トランジスター62のソース端子には、グランド電位VSSが接続されている。ゲート端子には、信号処理部25からの出力が入力される。ドレイン端子には、スイッチ33、スイッチ34、及びトランジスター61のドレイン端子が接続されている。
≪理論式≫
図1に戻る。
上述した本実施形態の固体撮像素子100の働きを理論式で表すと以下の通りである。なお、下記数式において、電圧Vcds(以下、Vcds)は、CDS回路18の出力電圧、容量Ci1(以下、Ci1)は、コンデンサー14の容量値、容量Cf1(以下、Cf1)は、コンデンサー12の容量値、電圧Vpix(以下、Vpix)は、光電変換部10の出力電圧、電圧OS(以下、OS)は、出力アンプ40の出力電圧(≒プリアンプ部の出力電圧)、容量Cmem(以下、Cmem)は、コンデンサー16の容量値、容量Cf2(以下、Cf2)は、コンデンサー32の容量値、電圧VREF(以下、VREF)は、プリアンプ部に入力される基準電圧を示す。ただし、オフセット電圧Vtは、MOSのしきい値電圧Vth+オーバードライブ電圧Vovとする。
Vcds=Vt+Ci1/Cf1・ΔVpix …(数式1)
OS=VREF-Cmem/Cf2・(Vcds-Vt) …(数式2)
OS=VREF-Cmem/Cf2・Ci1/Cf1・ΔVpix …(数式3)
数式1は、信号処理部25から出力される電圧Vcdsを表す式であり、画素出力信号とリセット信号との差ΔVpixが、容量比Ci1/Cf1倍にされ、第2アンプ11のオフセット電圧Vtを足した電圧となることを表している。
数式2は、出力アンプの出力電圧OSを示したものであり、プリアンプ部30の出力電圧にボルテージフォロワーを通したものである。OSは、Vcdsと、第3アンプ31のオフセット電圧Vtとの差を、Cmem/Cf2倍した信号を、VREFから引いたものとなる。
数式3は、数式2を整えた数式である。
以上述べたように、本実施形態に係る固体撮像素子100によれば、以下の効果を得ることができる。
図3で説明したように、第2アンプ11と第3アンプ31とを構成する、それぞれのトランジスター51、52、61,62が1つのシリコン基板上における同一領域に配置されることで、製造ばらつきの傾向を揃えられる(均一化できる)ため、トランジスターのしきい値電圧Vthを略等しい値として製造することができる。
さらに、第2アンプ11と第3アンプ31とを構成する、それぞれのトランジスター51、52、61,62の、ゲート長とゲート幅との比を揃えた(同一サイズとする)構成としている。これにより、オーバードライブ電圧Vovを揃えることを実現している。
また、第2アンプ11と第3アンプ31とは、隣り合って配置されているため、共通のグランドライン上に設計し、電源及びグランド電位をそろえることが可能である。
従って、数式1及び数式2中のオフセット電圧Vtは、数式3に示されるように略等しい値となり、相殺されるため、ダイナミックレンジが広い固体撮像素子100を提供することができる。換言すれば、鮮明な撮像出力が可能な固体撮像素子100を提供することができる。
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る固体撮像素子の照度/出力電圧特性を示すグラフである。図7は、比較例(従来技術)における固体撮像素子の照度/出力電圧特性を示すグラフである。図6の横軸は照度、縦軸はプリアンプ部30の出力電圧を取っている。図7の横軸、縦軸の指標も同様である。以下、本実施形態に係る固体撮像素子の照度に対する出力電圧特性について、これらの図を参照して説明する。なお、実施形態1と同一の内容についての重複する説明は省略する。
実施形態2は、上記実施形態で説明したプリアンプ部30の駆動方法に関する内容である。図1で説明した通り、プリアンプ部30は、基準電圧であるVREFを入力する手段を持っている。
ここで、第3アンプ31は反転アンプであるため、基準電圧VREFを第3アンプ31の最大出力電位とすることにより、図6のグラフ70に示すような、反比例的な照度/出力電圧特性とすることができる。なお、最大出力電位に限定するものでなく、前述の数式3が負の値とならない範囲内の電位であれば良い。
これに対して、プリアンプが設けられていない従来の回路構成では、固体撮像素子からの出力は、図7のグラフ69に示すような、比例的な照度/出力電圧特性であったため、暗時はオフセット電圧Vtに依存した低い電位となってしまい、暗時の信号精度が劣化してしまっていた。
以上述べたように、本実施形態に係る固体撮像素子100によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
図6のグラフ70に示すように、プリアンプ部30の出力電圧は、暗時(照度低)にはVREFが出力され、照度が高くなるにつれて低い電位となり、明時の最大値(照度高)には0Vよりも高くトランジスターのオフセット成分Vtよりも低い値が出力される。
よって、暗時の信号についても、ノイズレベルに対して非常に高い値を取れるため、暗時の信号精度を向上することができる。従って、より鮮明な撮像出力が可能な固体撮像素子100を提供することができる。
(変形例1)
図8は、変形例1に係るCDS回路の回路図を示す図であり、図4に対応している。
以下、変形例1に係るCDS回路の第2アンプ22について説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
上記実施形態1では、図4のように、第2アンプ11は、2つのトランジスターから構成されていると説明したが、この構成に限定するものではなく、ソース接地型アンプであれば良い。例えば、複数のトランジスターをカスコード型に接続した構成であっても良い。
図8に示すように、本変形例のCDS回路21を構成する第2アンプ22は、Pチャネル型の2つのトランジスター52,54と、Nチャネル型の2つのトランジスター51,53とによる4つのトランジスターから構成されたソース接地型アンプである。詳しくは、トランジスター52のソース端子は電源電位であるVDDに接続されており、ドレイン端子はトランジスター54のソース端子に接続されている。つまり、2つのトランジスター52,54がカスコード型に接続されている。
同様に、トランジスター51のソース端子はグランド電位VSSに接続されており、ドレイン端子はトランジスター53のソース端子が接続されている。つまり、2つのトランジスター51,53がカスコード型に接続されている。
なお、第2アンプ22以外のCDS回路21の構成は、実施形態1での説明と同様である。
以上述べたように、本変形例に係る第2アンプ22を備えた固体撮像素子によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
カスコード型のソース接地型アンプは、通常のソース接地型アンプに比べてゲインが100倍ほど高くなるため、より精度の高い信号が得られる。なお、同様に、第3アンプ31についても、カスコード型のソース接地型アンプ構成としてもよく、同様の作用効果を得ることができる。
(変形例2)
上記実施形態1及び変形例1では、第2アンプ11及び第3アンプ31の構成は、Nチャネルのトランジスターのソース接地型アンプであるものとして説明したが、もちろん、Pチャネルのトランジスターのソース接地型アンプ(図示省略)であっても良い。この構成であっても、同様の作用効果を得ることができる。
(変形例3)
上記実施形態1及び変形例1では、第3アンプ31のトランジスターのサイズは、第2アンプのトランジスターのサイズと同一であると記述したが、トランジスターのゲート長と、ゲート幅との比が等しくあれば、オーバードライブ電圧Vovは変わらないため、第3アンプのトランジスターは、ゲート長と、ゲート幅との比が変わらない範囲での、トランジスターサイズの変更があってもよい。
(画像読取装置)
図9は、センサーアレイの概略平面図である。
センサーアレイ110は、プリント基板109、複数の固体撮像素子100などから構成されている。
プリント基板109は、好適例としてガラエボ基板を用いており、細長い棒状の形状をしている。プリント基板109の長手方向の長さは、スキャナーの読取幅に基づいて決定されている。プリント基板109には、その長手方向に沿って複数の固体撮像素子100が真っ直ぐ一列に、等ピッチで配置されている。
図10は、画像読取装置の分解斜視図である。
画像読取装置150は、センサーアレイ110、レンズアレイ120、光源130、ケース140などから構成されている。
レンズアレイ120は、好適例としてロッドレンズアレイを用いており、原稿(図示省略)からの反射光を固体撮像素子100に結像するための役割を果たしている。
光源130は、原稿を読み取る際に発光する装置であり、好適例として白色のLEDアレイを用いている。
ケース140は、センサーアレイ110、レンズアレイ120、光源130を収納する筐体である。
画像読取装置150によれば、光源130により発光した光が原稿に照射され、原稿からの反射光がレンズアレイ120により、センサーアレイ110の固体撮像素子100に結像される。
以上述べたように、画像読取装置150は、前述の固体撮像素子100を複数搭載したセンサーアレイ110を備えている。よって、ダイナミックレンジが広く、鮮明な撮像出力が可能な画像読取装置150を提供することができる。
(電子機器)
図11は、フラットベッド型スキャナーの概略図である。
電子機器としてのスキャナー200は、フラットベッド型のスキャナーであり、上述した画像読取装置150を搭載している。スキャナー200の原稿台160上に、読み取り面を伏せた原稿を載置した状態で、画像読取装置150がY軸方向に走査することで、原稿をスキャンすることができる。
スキャナー200は、前述の固体撮像素子100を複数搭載したセンサーアレイ110を備えている。よって、ダイナミックレンジが広く、鮮明な撮像出力が可能なスキャナー200を提供することができる。
図12は、複合機の概略図である。
電子機器としての複合機210は、フラットベッド型のスキャナーを備えた印字装置であり、上述した画像読取装置150を搭載している。詳しくは、インクジェット式のプリンターの上に、上述のスキャナー200を一体として搭載した複合プリンターである。
複合機210によれば、上部のスキャナーの原稿台161上に、読み取り面を伏せてスキャンした原稿を、下部のプリンターで印刷して、複写することなどができる。
複合機210は、前述の固体撮像素子100を複数搭載したセンサーアレイ110を備えている。よって、ダイナミックレンジが広く、鮮明な撮像出力が可能な複合機210を提供することができる。
なお、上述した電子機器は一例であり、機能や用途を限定するものではない。
1…フォトダイオード、4…第1アンプ、7…転送回路、10…光電変換部、11…第2アンプ、18…CDS回路、20…列処理部、25…信号処理部、30…プリアンプ部、31…第3アンプ、40…出力アンプ、100…固体撮像素子、110…プリント基板、120…レンズアレイ、130…光源、140…ケース、150…画像読取装置、200…フラットベッド型スキャナー、210…複合機。

Claims (9)

  1. 受光素子と、前記受光素子で光電変換された信号を転送する転送回路と、前記転送回路から転送された信号を増幅する第1アンプとを含む光電変換部と、
    前記光電変換部からの出力信号を増幅する第2アンプを含む列処理部と、
    前記光電変換部、及び前記列処理部からなる一対の信号処理部が、複数個、配置された基板と、
    前記列処理部からの出力信号を増幅する第3アンプを含むプリアンプ部と、を備え、
    前記第2アンプ、及び前記第3アンプは反転増幅器であり、それぞれのしきい値電圧が略等しいことを特徴とする固体撮像素子。
  2. 前記基板上において、前記列処理部と、前記プリアンプ部とは、隣り合って配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の固体撮像素子。
  3. 前記列処理部と、前記プリアンプ部とは、グランドラインを共通化していることを特徴とする、請求項1または2に記載の固体撮像素子。
  4. 前記第2アンプ、及び前記第3アンプは、トランジスターによるソース接地型回路で構成され、前記トランジスターのオーバードライブ電圧が略等しいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体撮像素子。
  5. 前記プリアンプ部からの出力信号を増幅する出力アンプをさらに備え、
    前記プリアンプ部の出力は、前記出力アンプの非反転入力に接続されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体撮像素子。
  6. 前記第2アンプ、及び前記第3アンプのソース接地型回路は、前記トランジスターを含む複数のトランジスターがカスコード接続されて構成されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の固体撮像素子。
  7. 前記プリアンプ部は、照度に対する出力電圧特性が略反比例となる前記出力信号特性を有していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体撮像素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の固体撮像素子を備えたことを特徴とする画像読取装置。
  9. 請求項8に記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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