JP2017152312A - 放電ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】電極棒に対するガラス管の軸方向移動を規制するコイル状ストッパを備えた放電ランプで、コイル状ストッパを起因とするガラス管の破損を防いで耐久性を向上させる。
【解決手段】ガラス製の放電容器内に配設される電極を一端に支持する電極棒と、電極棒を挿入する支持孔を有し、放電容器を構成する封止管内に固定されるガラス管と、金属製の線材からなり電極棒の外周面に装着され、ガラス管のうち電極側を向く電極側端面に対向するガラス管側端部を有するコイル状ストッパを備えた放電ランプにおいて、コイル状ストッパのガラス管側端部に平坦部を設けた。
【選択図】図3

Description

本発明は放電ランプに関する。
ショートアーク型の放電ランプは、発光管と該発光管に接続する封止管(側管)によって構成されるガラス製の放電容器を備え、電極(陰極、陽極)を支持する電極棒をガラス管内に挿通し、ガラス管の外周面に封止管を溶着させることによって電極が発光管内に保持される。
封止管に対してガラス管を溶着する際に、封止管全体を均等に加熱するために封止管をガラス管と共に回転させる。この回転動作に伴ってガラス管が軸方向に位置ずれしやすいという問題があった。電極棒にはガラス管を挟んで電極と反対側に位置する金属リングが装着されており、電極棒は金属リングがガラス管の端部に密着した状態で保持される。しかし、ガラス管が軸方向に位置ずれすると、ガラス管と金属リングの対向部分に隙間が形成されてしまう。仮にガラス管と金属リングの対向面に隙間が形成された状態で封止管をガラス管に対して溶着すると、放電ランプの点灯中に放電容器内が高圧になったときに、封止管のうち当該隙間と対向する部分にクラックが発生し、このクラックが原因で放電容器が破損するおそれがある。
こうした不具合を防ぐために、電極棒に対してコイル状のストッパを取り付けた構成が提案されている(特許文献1)。コイル状ストッパは、電極棒の外周面に巻き付けられると共に、軸方向の端部がガラス管の端面に当接しており、ガラス管が電極棒上を電極側へスライドすることを規制する。これにより、封止管による封止前にガラス管が軸方向に移動することを防いで、ガラス管と金属リングの対向部分に隙間のない状態を維持することができる。
特開2014−67516号公報
放電ランプに前記のようなコイル状ストッパを具備する場合、金属製の線材を巻回して構成されたコイル状ストッパがガラス管の端面に対して点接触や線接触のような狭い領域で接触していると、当該接触部分を起点としてガラス管にクラックが生じるおそれがある。特に、前述した封止管の封止(加熱)工程、ランプの点灯中、ランプの消灯直後などはガラス管とコイル状ストッパの間の温度差が大きく、狭い接触領域に負荷が集中してガラス管にクラックが生じやすい。
本発明は、電極棒に対するガラス管の軸方向移動をコイル状ストッパで規制する放電ランプで、コイル状ストッパを起因とするガラス管の破損を防いで耐久性を向上させることを目的とする。
本発明の放電ランプは、ガラス製の放電容器内に配設される電極を一端に支持する電極棒と、電極棒を挿入する支持孔を有し、放電容器を構成する封止管内に固定されるガラス管と、金属製の線材からなり電極棒の外周面に装着され、ガラス管のうち電極側を向く電極側端面に対向するガラス管側端部を有するコイル状ストッパを備え、コイル状ストッパのガラス管側端部に平坦部を設けたことを特徴とする。
ガラス管が電極側端面と支持孔の内周面とを接続するテーパ面を有する場合、ガラス管及びコイル状ストッパの中心軸からのテーパ面の半径をR0、コイル状ストッパのガラス管側端部における平坦部が中心軸を中心とする径方向に最大となる部分の中心軸からの半径をR11としたとき、R0<R11を満たすことで、コイル状ストッパの平坦部とテーパ面を有するガラス管の電極側端面を確実に当接させることができる。
また、コイル状ストッパの中心軸からの平均半径をR12とし、コイル状ストッパの中心軸からの半径をR13としたとき、R12≦R0≦R13を満たすことが望ましい。
また、コイル状ストッパを構成する線材の、中心軸を中心とする径方向の幅をR14としたとき、2mm≦R12≦15mmを満たし、かつ0.5mm≦R14≦3mmを満たすことが望ましい。
コイル状ストッパのガラス管側端部における平坦部は、コイル状ストッパの中心軸に対して垂直な面であり、コイル状ストッパの周方向に沿って形成されていることが好ましい。このコイル状ストッパの平坦部の周方向角度θは、30°≦θ≦300°を満たすことが好ましい。
コイル状ストッパが装着される位置の電極棒の外周面を、ガラス管の支持孔の内周面と対向する位置の電極棒の外周面よりも粗くして、電極棒に対するコイル状ストッパの抜け止め効果を高めてもよい。
本発明の放電ランプは、コイル状ストッパのガラス管側端部に設けた平坦部がガラス管の電極側端面に対して当接するため、コイル状ストッパからガラス管に対して確実に押圧力を付与できると共に局所的な負荷が作用しにくい。そして、コイル状ストッパとガラス管の間の温度差が大きいなどの条件下でもガラス管の破損が起こりにくく、優れた耐久性を得ることができる。
本発明を適用した一実施形態の放電ランプの縦断側面図である。 図1の放電ランプの陽極側の半分を拡大した縦断側面図である。 図1の放電ランプの陽極側の電極棒に取り付けたコイル状ストッパとガラス管の接触部分付近を拡大した縦断側面図である。 第1の実施形態のコイル状ストッパの一部を断面とした側面図である。 第1の実施形態のコイル状ストッパのガラス管側端部の構成を概念的に示した図である。 第2の実施形態のコイル状ストッパの一部を断面とした側面図である。 第2の実施形態のコイル状ストッパのガラス管側端部の構成を概念的に示した図である。 第3の実施形態のコイル状ストッパの一部を断面とした側面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態である放電ランプ10について説明する。図1に示すように、本実施形態の放電ランプ10は、放電容器11内に陽極側マウントユニット15と陰極側マウントユニット50を配した構成である。放電容器11はガラス製であり、略球状の発光管12と、発光管12に接続する一対の円筒状の封止管13,14を有する。封止管13と封止管14は発光管12を挟んで同軸上に配置されており、各封止管13,14と発光管12の内部空間は連通している。封止管13の内径と封止管14の内径は略等しい。陽極側マウントユニット15と陰極側マウントユニット50は放電容器11内で同軸上に配置されており、陽極側マウントユニット15と陰極側マウントユニット50の中心軸Cを図中に一点鎖線で示している。以下の説明における「径方向」は、中心軸Cを通り該中心軸Cと垂直をなす方向を意味する。
図2に示すように、陽極側マウントユニット15は、陽極16(電極)、内部電極棒17(電極棒)、外部電極棒19、内部ガラス管21(ガラス管)、外部ガラス管25、内部金属リング28、外部金属リング31、ガラス棒34、金属箔38、コイル状ストッパ40を有している。以下、陽極側マウントユニット15については、中心軸Cに沿う方向(軸方向)における陽極16側(図1及び図2の右方)を「内方」、陽極16と反対側(図1及び図2の左方)を「外方」とする。
内部電極棒17と外部電極棒19はいずれも金属製の円柱部材であり、それぞれの中心軸が中心軸Cと一致する同軸配置となっている。内部電極棒17の内方側の端部には陽極16が支持されている。
内部ガラス管21と外部ガラス管25は、互いの外径が略等しい円管状体(中心軸Cを中心とする回転対称体)であり、内部ガラス管21と外部ガラス管25の外径は封止管13の内径より僅かに小径である。軸方向には外部ガラス管25より内部ガラス管21の方が長い。内部ガラス管21と外部ガラス管25の径方向の中心部には、中心軸Cに沿って延びる支持孔22と支持孔26がそれぞれ形成されている。内部ガラス管21と外部ガラス管25のそれぞれの軸方向の両端面は中心軸Cに対して略垂直な平面であり、内部ガラス管21の内方側の端面には凹部23が形成されている。図3に示すように、凹部23の底面24(電極側端面)は中心軸Cに対して略垂直な平面であり、凹部23のうち中心軸Cに近い内縁部にはテーパ面24aが形成されている。テーパ面24aは、支持孔22の内周面と底面24を接続する面取り部であり、中心軸Cに沿って内方から外方に進むにつれて中心軸Cに近づく傾斜を有している。図3に示すように、内部ガラス管21の支持孔22の内周面に沿って金属箔37が配置される。
内部金属リング28と外部金属リング31は、内部ガラス管21及び外部ガラス管25と略同じ外径の円環状体(中心軸Cを中心とする回転対称体)であり、内部金属リング28と外部金属リング31の径方向の中心部には、中心軸Cに沿って貫通する貫通孔29,32がそれぞれ形成されている。内部金属リング28と外部金属リング31のそれぞれの軸方向の両端面は中心軸Cに対して略垂直な平面である。内部金属リング28と外部金属リング31は金属箔38を介して電気的に導通する。金属箔38は極薄の帯状部材であり、陽極側マウントユニット15は複数枚の金属箔38を有している。
ガラス棒34は、内部ガラス管21、外部ガラス管25、内部金属リング28及び外部金属リング31と略同じ外径の円柱状体(中心軸Cを中心とする回転対称体)である。ガラス棒34の軸方向の両端面は中心軸Cに対して略垂直な平面であり、ガラス棒34の内方側の端部から外方側に向けて電極支持孔35が形成され、ガラス棒34の外方側の端部から内方側に向けて電極支持孔36が形成されている。電極支持孔35と電極支持孔36はそれぞれ中心軸Cに沿って延びる円形断面の孔である。
コイル状ストッパ40は金属製の線材を巻回して構成されている。図3と図4に示すように、コイル状ストッパ40を構成する線材は円形断面形状である。コイル状ストッパ40の材質は、強度や耐熱性などの条件を満たすことを前提として任意のものを採用可能であり、具体的にはタンタル、ニオブ、タングステン、モリブデンなどを含有する金属線材が好適である。図4に示すように、コイル状ストッパ40は、金属製の線材を一方向に向けて螺旋状に巻いたコイル部41を有している。コイル部41は一重巻きであり、軸方向に隣り合って位置する線材が互いに接触する密巻き構造になっている。自由状態にあるときのコイル部41の内径は、内部電極棒17の外径に対応している(内部電極棒17の外径よりも僅かに小さいか、内部電極棒17の外径と略同じに設定される)。コイル部41は自由状態から拡径方向に弾性変形可能であり、拡径方向に弾性変形することにより、内部電極棒17の外周面上に密着状態で取り付けることができる。なお、コイル状ストッパ40の内径や、コイル状ストッパ40を構成する線材及びその線径、線材の巻回密度といった要素は、後述する組み立て時にコイル状ストッパ40が内部電極棒17を確実に保持できるように、内部電極棒17とコイル状ストッパ40の温度による膨張(熱膨張)などを考慮して決定される。例えば、コイル部41を緊密に巻かず、自由状態にあるときコイル部41を構成する互いに隣り合う線材が互いに離れるようにしてもよい。
図4に示すように、コイル状ストッパ40のコイル部41のうち軸方向の外方を向くガラス管側端部41aには平坦部42が設けられている。平坦部42は中心軸Cに対して略垂直な平面であり、その具体的な構成については後述する。
図1に示すように、陰極側マウントユニット50は、発光管12を挟んで陽極側マウントユニット15と概ね対称となる構成を有しており、内部電極棒17の一方の端部に陰極51を支持した点を除いて、陽極側マウントユニット15と同じ構成である。陰極側マウントユニット50において陽極側マウントユニット15と共通する構成要素については図1に同じ符号で示しており、重複した説明を省略する。陰極側マウントユニット50については、中心軸Cに沿う方向(軸方向)における陰極51側(図1の左方)を「内方」、陰極51と反対側(図1の右方)を「外方」とする。
以上の構成部品を有する放電ランプ10は、次のように組み立てられる。まずは陽極側マウントユニット15と陰極側マウントユニット50をそれぞれ組み立てる。
陽極側マウントユニット15の組み立てに際しては、内部電極棒17を内部金属リング28の貫通孔29に挿入し、内部電極棒17の軸方向の中間位置で内部金属リング28を内部電極棒17に対して溶接により固定する。さらに内部電極棒17の内方の端部を内部ガラス管21の支持孔22に挿入して、内部ガラス管21の外方(凹部23と反対側)の端面を内部金属リング28の端面に面接触させる。図3に示すように、内部電極棒17の外周面と支持孔22の内周面の間に金属箔37を介在させる。内部ガラス管21にテーパ面24aを設けたことにより、支持孔22のエッジ部分に干渉することなく内部電極棒17を支持孔22内にスムーズに挿入することができる。
続いて、自由状態にあるコイル状ストッパ40のコイル部41を拡径方向に弾性変形させながら、ガラス管側端部41a(平坦部42)側からコイル部41内へ内部電極棒17の内方の端部を挿入する。内部電極棒17は、コイル状ストッパ40のガラス管側端部41aが内部ガラス管21の凹部23内に進入するまで挿入し、最終的にコイル状ストッパ40の平坦部42が内部ガラス管21の底面24に接触するようにする。なお、後の製造工程等で生じるコイル状ストッパ40(コイル状ストッパ40を構成する線材)の熱膨張を考慮して、コイル状ストッパ40が膨張したときに底面24と平坦部42が接触するように、この段階では底面24と平坦部42の間に隙間を空けてもよい。この隙間は、コイル状ストッパ40を構成する線材やその線径、温度によって変化するため、任意の長さとする。内部ガラス管21の底面24に対してコイル状ストッパ40の平坦部42が接触(または近接して対向)する状態では、内部電極棒17の内方の端部は、コイル状ストッパ40のコイル部41を貫通してガラス管側端部41aと反対側の端部から突出する。
図3に示すように、コイル状ストッパ40の平坦部42と内部ガラス管21の底面24はそれぞれ中心軸Cに対して略垂直な平面であるため、コイル状ストッパ40が内部ガラス管21に対して当接する際には、平坦部42と底面24が面接触する。なお、中心軸Cに沿う方向において平坦部42はテーパ面24aにも対向しているが、テーパ面24aは平坦部42から離れる方向に傾斜しているため、平坦部42とテーパ面24aは接触しない。内部電極棒17の挿入に際して拡径方向に弾性変形されたコイル部41は、縮径方向への弾性力(復元力)によって内部電極棒17の外周面に密着する。そのためコイル状ストッパ40は内部電極棒17に対して位置決めされ、平坦部42が内部ガラス管21の凹部23の底面24に対して面接触する状態を保持できる。その結果、内部ガラス管21と内部金属リング28の面接触状態が維持される。なお、内部電極棒17の外周面のうち、コイル部41が装着される位置(軸方向の範囲)を粗面とすることで、内部電極棒17とコイル部41の接触抵抗を増やし、コイル状ストッパ40の抜け止め効果を高めることができる。この内部電極棒17の外周面上の粗面は、内部ガラス管21の支持孔22に対向する位置(軸方向の範囲)の外周面よりも粗ければよく、粗面の形成の態様としては、ブラスト処理等の既知の加工が採用できる。ブラスト処理では、噴射したブラスト材料が内部電極棒17の外周面に突き刺さり、局所的に内部電極棒17の外径がコイル部41の内径よりも僅かに大きくなるため、コイル状ストッパ40の抜け止め効果が高い。内部電極棒17の外周面のうち、ブラスト処理等の粗面加工はコイル部41が装着される位置(軸方向の範囲)のみであり、内部電極棒17の外周面に突き刺さっている状態のブラスト材料は変形しやすい(潰れやすい)ため、コイル状ストッパ40の挿入作業を妨げることもない。その他粗面の形成態様として、コイル部41への内部電極棒17の挿入に伴う挿入跡として形成することもできる。より詳しくは、挿入跡として粗面を形成する場合には、中心軸Cを中心として内部電極棒17とコイル状ストッパ40を相対的に回転させながら軸方向に挿入する。すると、コイル部41の縮径方向への弾性力によって、コイル部41を構成する線材が内部電極棒17の外周面に押し付けられながら移動し、その移動の跡が内部電極棒17の外周面上に形成される。また、コイル状ストッパ40を内部電極棒17に挿入する前に、あらかじめ内部電極棒17のコイル部41の装着位置にけがき線を入れておくことで、挿入作業の効率を高めることができる。このけがき線も、コイル状ストッパ40の抜け止めという効果を奏する。以上のようにしてコイル状ストッパ40を内部電極棒17に装着したら、内部電極棒17の内方の端部に対して陽極16を固定状態で取り付ける。
陽極側マウントユニット15ではさらに、外部電極棒19と外部ガラス管25と外部金属リング31を組み立てる。外部電極棒19を外部金属リング31の貫通孔32に挿入し、外部電極棒19の軸方向の中間位置で外部金属リング31を外部電極棒19に対して溶接により固定する。さらに外部電極棒19の外方の端部を外部ガラス管25の支持孔26に挿入して、外部ガラス管25の内方の端面を外部金属リング31の端面に面接触させる。
続いて、内部電極棒17の外方の端部をガラス棒34の電極支持孔35に挿入し、内部金属リング28の外方の端面がガラス棒34の端面に面接触するまで挿入する。また、外部電極棒19の内方の端部をガラス棒34の電極支持孔36に挿入し、外部金属リング31の内方の端面がガラス棒34の端面に面接触するまで挿入する。内部電極棒17と外部電極棒19はそれぞれガラス棒34の電極支持孔35と電極支持孔36に対して固定状態で嵌合される。
続いて、複数枚の金属箔38を内部電極棒17及び外部電極棒19と平行な方向に延ばした上で、各金属箔38をガラス棒34の外周面に接触させる。このとき各金属箔38の周方向間隔を等角度間隔にし、隣り合う金属箔38の間に形成される隙間からガラス棒34の外周面を露出させる。さらに各金属箔38の長手方向の両端部を内部金属リング28と外部金属リング31の外周面にそれぞれ接触させ、各金属箔38の両端部を内部金属リング28と外部金属リング31の外周面にそれぞれ溶接する。このようにして陽極側マウントユニット15を組み立てると、内部金属リング28と外部金属リング31と各金属箔38を介して内部電極棒17と外部電極棒19が電気的に導通可能になる。
陰極側マウントユニット50は、陽極16の代わりに陰極51を内部電極棒17の端部に取り付ける点を除いて、陽極側マウントユニット15と同じ要領により組み立てられる。なお、陰極側マウントユニット50では、コイル状ストッパ40の平坦部42が内部ガラス管21の底面24に対して面接触するように、コイル状ストッパ40は図4に示す状態とは軸方向の向きを逆にして組み付けられる。なお、陽極側マウントユニット15と同様に陰極側マウントユニット50においても、コイル状ストッパ40の熱膨張を考慮して、この段階では底面24と平坦部42の間に所定の隙間を空けてもよい。
陽極側マウントユニット15と陰極側マウントユニット50が完成したら、図1に示すように、発光管12と反対側の開口端部から封止管13の内部に陽極側マウントユニット15を挿入し、陽極16を発光管12内に位置させる。同様に、発光管12と反対側の開口端部から封止管14の内部に陰極側マウントユニット50を挿入し、陰極51を発光管12内に位置させる。そして発光管12に形成した貫通孔(図示略)を利用して放電容器11の内部を減圧し、この減圧状態において封止管13と封止管14を回転させながら外周面をバーナー等により加熱する。すると、封止管13と封止管14が縮径しながら、陽極側マウントユニット15と陰極側マウントユニット50のそれぞれの内部ガラス管21、外部ガラス管25、ガラス棒34(隣り合う金属箔38の間から露出する部位)の外周面に溶着する。封止管13と封止管14が縮径しながら対応する内部ガラス管21、外部ガラス管25、ガラス棒34の外周面に対して溶着するとき、コイル状ストッパ40が内部電極棒17に対する内部ガラス管21の軸方向の移動を規制して、内部ガラス管21と内部金属リング28の間を隙間のない状態に維持する。先に説明したように、この溶着の際の加熱によるコイル状ストッパ40の熱膨張を見込んで、内部ガラス管21の底面24とコイル状ストッパ40の平坦部42の間に隙間を空けておき、加熱でコイル状ストッパ40が熱膨張したときに平坦部42が底面24に当接するように設定してもよい。最後に、発光管12の前記貫通孔を利用して放電容器11内の空気を抜くと共に放電容器11内に水銀や希ガス等を注入し、注入後に該貫通孔を塞ぐ。
このようにして組み立てた放電ランプ10の陽極側マウントユニット15の外部電極棒19と陰極側マウントユニット50の外部電極棒19に対して、接続ケーブルやON/OFF制御スイッチ等を介して電源(図示略)の陽極と陰極をそれぞれ接続する。ON/OFF制御スイッチをON状態に切り換えて、陽極16と陰極51の間で絶縁破壊する電圧を印加することで放電が発生し放電ランプ10が点灯し、ON/OFF制御スイッチをOFF状態に切り換えれば放電ランプ10は消灯する。
前述のように、陽極側マウントユニット15と陰極側マウントユニット50のそれぞれで、内部電極棒17に対する内部ガラス管21の軸方向の移動を規制する際に、コイル状ストッパ40は平坦部42を内部ガラス管21の凹部23の底面24に面接触させている。このようにコイル状ストッパ40の平坦部42を内部ガラス管21に対して面接触させることで、コイル状ストッパ40から内部ガラス管21に対する押圧力を大きくして、内部ガラス管21と内部金属リング28の面接触状態を確実に維持させることができる。また、コイル状ストッパ40の平坦部42と内部ガラス管21の底面24の接触領域が広くなることで、内部ガラス管21に対して局所的に負荷が集中せず、内部ガラス管21の耐久性を向上させることができる。特に、前述した内部ガラス管21に対する封止管13(14)の溶着工程や、放電ランプ10の点灯中や、放電ランプ10の消灯直後のように、コイル状ストッパ40と内部ガラス管21の間の温度差が大きくなる状態において、コイル状ストッパ40との接触部分を起点とする内部ガラス管21のクラックの発生防止効果が高くなる。
コイル状ストッパ40のコイル部41を構成する線材は中心軸Cに対して螺旋状に巻回されているため、中心軸Cに対して垂直な平面である平坦部42をコイル部41の端部に形成すると、図5に示すように、平坦部42は周方向に進むにつれて径方向の幅を徐変させる形状になる。より詳しくは、平坦部42は周方向端部42aと周方向端部42bの範囲で形成されており、コイル部41の巻回の一方の始点である巻端部41bに周方向端部42aが位置している。周方向端部42aと周方向端部42bでは径方向における平坦部42の幅が狭く、周方向端部42aと周方向端部42bから離れて周方向の中間に進むにつれて径方向における平坦部42の幅が大きくなる。
図3と図5に示すように、完成状態にある放電ランプ10のコイル状ストッパ40と内部ガラス管21について、中心軸Cからテーパ面24aの外縁部(底面24との境界部)までの半径をR0、平坦部42が径方向に最大になる部分の中心軸Cからの半径をR11、コイル状ストッパ40のコイル部41の中心軸Cからの平均半径(中心軸Cからコイル部41の径方向の中央までの距離)をR12、コイル部41の中心軸Cからの半径(中心軸Cからコイル部41の径方向の最外縁部までの距離)をR13、コイル部41を構成する線材の径方向の最大幅をR14、平坦部42を設ける周方向角度をθとしたとき、以下の条件(1)ないし(5)を満たすように構成している。
(1)R0<R11
(2)R12≦R0<R13
(3)2mm≦R12≦15mm
(4)0.5mm≦R14≦3mm
(5)30°≦θ≦300°
条件(1)を満たすことで、内部ガラス管21がテーパ面24aを有する場合において、コイル状ストッパ40の平坦部42を、内部ガラス管21の凹部23の底面24に対して確実に当接させることができる。また、条件(2)を満たすコイル状ストッパ40にすることで、条件(1)を満たす平坦部42を無理なく形成して、底面24に対する十分な接触面積を確保することができる。
条件(3)と条件(4)は、コイル状ストッパ40のコイル部41の平均半径と線材の径方向幅の関係を示したものであり、内部電極棒17とコイル状ストッパ40の温度や、コイル状ストッパ40から内部ガラス管21に対する押圧力の確保を考慮し、これらを同時に満たすように適宜選択することが好ましい。
条件(5)の下限値以上に設定することで、コイル状ストッパ40の平坦部42を無理なく形成できると共に、内部ガラス管21の底面24に対する平坦部42の周方向の接触領域が十分に確保され、底面24への周方向の局所的な負荷の集中や、中心軸Cに対するコイル状ストッパ40の傾きを抑えて、安定した抜け止め効果を実現できる。また、条件(5)の上限値以下に設定することで、螺旋状をなすコイル部41に対する平坦部42の加工性を良くすることができる。例えば、中心軸Cに対して垂直な方向に切削動作を行うシンプルな切削機械を用いて、簡単かつ低コストに平坦部42を形成しやすくなる。本実施形態のコイル状ストッパ40の平坦部42は、周方向端部42aから周方向端部42bまでの周方向角度θが約300°となっており、条件(5)の上限に近い構成である。
図6と図7に異なる形態のコイル状ストッパ140を示す。先の実施形態のコイル状ストッパ40と同様に、コイル状ストッパ140のコイル部141のガラス管側端部141aに、中心軸Cに対して垂直な平坦部142が形成されている。平坦部142は、コイル部141の巻端部141bから周方向に進むにつれて徐々に径方向の幅を狭くする形状をなし、巻端部141bに位置する一方の周方向端部142aから他方の周方向端部142bまでの平坦部142の周方向角度θが90°強となっている。先の実施形態におけるコイル状ストッパ40の平坦部42は、周方向で巻端部41b(周方向端部42a)に近づくにつれて、径方向の幅が狭くなると共に軸方向に薄肉になっている(図4と図5を参照)。図6と図7に示すコイル状ストッパ140では、このような径方向に幅狭かつ軸方向に薄肉となるコイル部141の端末部分を切除して巻端部141bを構成することで、平坦部142の周方向端部142aの径方向幅を大きくさせている。なお、コイル状ストッパ140は、前記の条件(1)から条件(5)を全て満たしている。
さらに異なる形態のコイル状ストッパ240を図8に示す。先に説明した各形態のコイル状ストッパ40,140は円形断面の金属製線材を螺旋状に巻回して構成されているのに対して、図8のコイル状ストッパ240は、四角形断面の金属製線材を螺旋状に巻回して構成されている。コイル状ストッパ240のコイル部241のガラス管側端部241aに、中心軸Cに対して垂直な平坦部242を設けている。四角形断面の線材からなるコイル状ストッパ240は、コイル部241のうち軸方向を向く面が元々平面に近い形状を有しているが、中心軸Cに対して垂直な平坦部242をさらに形成することにより、先の各実施形態と同様に、内部ガラス管21の凹部23の底面24に対する平坦度を高めて接触面積を広くすることができる。つまり、本発明は円形以外の断面形状の線材で形成したコイル状ストッパにも有効である。コイル状ストッパ240は、前記の条件(1)から条件(5)を全て満たすように構成されている。
以上、図示の各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、図示実施形態のコイル状ストッパ40,140,240の平坦部42,142,242はいずれも中心軸Cに対して垂直な平面であるが、本発明のコイル状ストッパに設ける平坦部は、中心軸Cに対して垂直な平面には限定されない。本発明における「平坦部」とは、コイル状ストッパの材料である線材(金属素線)の元々の外面形状に比して、ガラス管の電極側端面(内部ガラス管21の底面24)に対する平坦度(平行度)が高い形状であることを意味している。例えば、内部ガラス管21の底面24が、図示した実施形態とは異なり中心軸Cと垂直な平面に対して僅かに傾きを有する面である場合には、これに対応してコイル状ストッパ40,140,240の平坦部42,142,242にも同様の傾きを持たせることが好ましい。また、コイル状ストッパ40,140のように円形断面の線材で構成されている場合には、平坦部42,142に相当する部分を、当該線材の外周面よりも曲率の小さい湾曲形状にすることで内部ガラス管21の底面24に対する平坦度が向上し、所要の効果を得ることができる。
図示実施形態のコイル状ストッパ40,140,240は、軸方向の一端のみに平坦部である平坦部42,142,242を設けているが、軸方向の両端に平坦部42,142,242のような平坦部を設けることも可能である。軸方向の両端に平坦部を設けることで、軸方向における組み付け方向を問わずにコイル状ストッパを用いることができ、特に組み立て時の作業性向上に寄与する。
なお、放電ランプ10は、上述の組立手順には限定されず、また、上述の形態に限定されるものではない。本発明は内部ガラス管21に挿入した内部電極棒17を備えた放電ランプ全般に適応可能である。
10 放電ランプ
11 放電容器
12 発光管
13 14 封止管
15 陽極側マウントユニット
16 陽極(電極)
17 内部電極棒(電極棒)
19 外部電極棒
21 内部ガラス管(ガラス管)
22 支持孔
23 凹部
24 底面(電極側端面)
24a テーパ面
25 外部ガラス管
26 支持孔
28 内部金属リング
29 貫通孔
31 外部金属リング
32 貫通孔
34 ガラス棒
35 36 電極支持孔
37 38 金属箔
40 140 240 コイル状ストッパ
41 141 241 コイル部
41a 141a 241a コイル部のガラス管側端部
41b 141b コイル部の巻端部
42 142 242 平坦部
42a 42b 142a 142b ガラス管側端面の周方向端部
50 陰極側マウントユニット
51 陰極(電極)
C 中心軸

Claims (7)

  1. ガラス製の放電容器内に配設される電極を一端に支持する電極棒と、
    前記電極棒を挿入する支持孔を有し、前記放電容器を構成する封止管内に固定されるガラス管と、
    金属製の線材からなり前記電極棒の外周面に装着され、前記ガラス管のうち前記電極側を向く電極側端面に対向するガラス管側端部を有するコイル状ストッパと、
    を備え、
    前記コイル状ストッパのガラス管側端部に平坦部を有することを特徴とする放電ランプ。
  2. 前記ガラス管は、前記電極側端面と前記支持孔の内周面とを接続するテーパ面を有し、
    前記ガラス管及び前記コイル状ストッパの中心軸からの前記テーパ面の半径をR0、前記平坦部が前記中心軸を中心とする径方向に最大となる部分の前記中心軸からの半径をR11としたとき、
    0<R11
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
  3. 前記コイル状ストッパの前記中心軸からの平均半径をR12、前記コイル状ストッパの前記中心軸からの半径をR13としたとき、
    12≦R0≦R13
    を満たすことを特徴とする請求項2に記載の放電ランプ。
  4. 前記コイル状ストッパを構成する前記線材の前記径方向の幅をR14としたとき、
    2mm≦R12≦15mm
    0.5mm≦R14≦3mm
    を満たすことを特徴とする請求項3に記載の放電ランプ。
  5. 前記平坦部は、前記中心軸に対して垂直な面であり、前記コイル状ストッパの周方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の放電ランプ。
  6. 前記平坦部の周方向角度θが、
    30°≦θ≦300°
    を満たすことを特徴とする請求項5に記載の放電ランプ。
  7. 前記コイル状ストッパが装着される位置の前記電極棒の外周面は、前記ガラス管の前記支持孔の内周面と対向する位置の前記電極棒の外周面よりも粗いことを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。
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