JP2017150304A - 改良地盤構造体の製造方法、改良地盤構造体、地盤改良補助部材、地盤改良補助部材の作製キット - Google Patents

改良地盤構造体の製造方法、改良地盤構造体、地盤改良補助部材、地盤改良補助部材の作製キット Download PDF

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Abstract

【課題】従来の液状化対策技術が有する問題の少なくとも一部を軽減する。
【解決手段】地中に埋め込まれ、かつ、透水性を有するように開口を備え、かつ、複数を互いに取り外し可能に接続しうるように構成された板状部材を用意し、板状部材を互いに接続しながら配置することで、長さAで深さD1である直方体を含む細粒材収納部と、板状部材により細粒材収納部から仕切られかつ細粒材収納部に隣接しかつ幅Bで深さD2である直方体を含む溝状の粗粒材収納部と、を形成し、ここで、B<Aであり、かつ、D1<Aであり、かつ、D2<Aであり、細粒材収納部の底面および側面を非透水性シートで覆った後に細粒材収納部に細粒材を充填し、粗粒材収納部に粗粒材を充填する、改良地盤構造体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、改良地盤構造体の製造方法、改良地盤構造体、地盤改良補助部材、地盤改良補助部材の作製キットに関する。
液状化対策技術として、一般社団法人液状化対策軟弱地盤対策推進協議会のスーパージオ工法(特許文献1、特許文献2を参照)が知られている。
スーパージオ工法では、再生オレフィン系プラスチック(ポリプロピレン・ポリエチレン)を用いて製造された1個あたり約5kgのスーパージオ材と呼ばれる樹脂ブロックを
敷き詰め、その上に家屋を建造する。
特許第4210312号 特許第4967105号
上記従来の液状化対策技術は、特殊形状の樹脂ブロックを多数使用する。樹脂ブロック自体は軽量であるが、体積が大きいため、樹脂ブロックの運搬には大きなコストがかかる。また、樹脂ブロックは特殊部品であり、製造コストは高い。さらに、樹脂ブロックが配置される地下空間に従前存在した土砂は、敷地から運び出す必要があり、処分コストも高くなる。また、噴出した水により、建物のめり込み沈下が生じる可能性が高い。
本発明は、上記従来の液状化対策技術が有する問題の少なくとも一部を軽減することを課題とする。
第1の側面にかかる改良地盤構造体の製造方法は、地中に埋め込まれ、かつ、透水性を
有するように開口を備え、かつ、複数を互いに取り外し可能に接続しうるように構成された板状部材を用意し、前記板状部材を互いに接続しながら配置することで、長さAで深さD1である直方体を含む細粒材収納部と、前記板状部材により前記細粒材収納部から仕切られかつ前記細粒材収納部に隣接しかつ幅Bで深さD2である直方体を含む溝状の粗粒材収納部と、を形成し、ここで、B<Aであり、かつ、D1<Aであり、かつ、D2<Aであり、前記細粒材収納部の底面および側面を非透水性シートで覆った後に前記細粒材収納部に細粒材を充填し、前記粗粒材収納部に粗粒材を充填する。
第2の側面にかかる改良地盤構造体は、平面視において、細粒材が充填された細粒材収納部と、前記細粒材収納部に隣接して粗粒材が充填された溝状の粗粒材収納部と、を備え、前記細粒材収納部は、長さAで深さD1である直方体を含み、前記粗粒材収納部は、幅Bで深さD2である直方体を含み、B<Aであり、かつ、D1<Aであり、かつ、D2<Aであり、前記細粒材収納部と前記粗粒材収納部とが、板状部材によって仕切られており、前記板状部材は、地中に埋め込まれ、かつ、透水性を有するように開口を備え、かつ、複数の前記板状部材が、互いに取り外し可能に接続されており、前記細粒材収納部の底面および側面が非透水性シートで覆われている。
第3の側面にかかる地盤改良補助部材は、平面視において、細粒材収納部と、前記細粒材収納部に隣接する粗粒材収納部と、を備え、地中に埋め込まれて使用される地盤改良補助部材であって、第1壁と第2壁と接続部と非透水性シートとを備え、前記第1壁は、複数の板状部材を含み、前記第1壁に含まれる板状部材は、平面視において前記細粒材収納部に接すると共に前記細粒材収納部の周囲を取り囲み、かつ、透水性を有するように開口を備え、かつ、互いに取り外し可能に接続されており、前記第2壁は、平面視において前記粗粒材収納部を介して前記第1壁と対向するように配置された板状部材を含み、前記接続部は、前記第1壁に含まれる板状部材と前記第2壁に含まれる板状部材とを取り外し可能に接続し、前記非透水性シートは、前記細粒材収納部の底面および側面を覆う。
第4の側面にかかる地盤改良補助部材の作製キットは、少なくとも4個の板状部材と、少なくとも2個の接続部材と、非透水性シートと、を備え、前記板状部材は、互いに同じ長さAを有して互いに距離Dだけ離隔して互いに平行に延びる1対の細長形状を有する主軸と、前記主軸の延びる方向と交差する方向に延びて前記1対の主軸を連結する複数の副軸とを備え、かつ、前記1対の主軸と前記複数の副軸との間隙が透水性の開口をなし、前記接続部材は、平面視において1辺の長さがAより短いBである第1正方形をなす4個の帯状部と、前記第1正方形の頂点において前記頂点に隣接する2個の辺のそれぞれの延びる方向に突出して前記板状部材の主軸と連結される8個の連結部とを備え、前記板状部材の主軸と前記接続部材の連結部とを連結していくことで、幅Aで長さAで深さDであり、かつ、4個の前記板状部材で取り囲まれた、細粒材収納部を形成することができ、幅Bで長さAで深さDであり、かつ、1対の前記板状部材の間に挟まれた、粗粒材収納部を形成することができ、Dが0.8m以下であり、前記非透水性シートは、前記細粒材収納部の底面および側面を覆う大きさおよび形状を有する。
本発明は、上記従来の液状化対策技術が有する問題の少なくとも一部を軽減することができるという効果を奏する。
第1実施形態にかかる地盤改良補助部材およびこれを用いて形成された改良地盤構造体の概略構成の一例を示す平面図である。 第2実施形態にかかる地盤改良補助部材につき、その概略構成の一例を示す平面図である。 第3実施形態にかかる地盤改良補助部材の作製キットにつき、その概略構成の一例を示す平面図であって、図3(a)は板状部材を示す図であり、図3(b)は接続部材を示す図である。 第3実施形態にかかる地盤改良補助部材の作製キットを組み立てた場合における概略構成の一例を示す斜視図であって、図4(a)は単位ユニットを示す図であり、図4(b)は組み立てられた地盤改良補助部材の全体を示す図である。 実施例にかかる地盤改良補助部材およびこれを用いて形成された改良地盤構造体の概略構成の一例を示す平面図である。 実施例にかかる地盤改良補助部材およびこれを用いて形成された改良地盤構造体の概略構成の一例を示す部分断面図である。
発明者は、従来の液状化対策技術が有する問題を解決すべく、鋭意検討した。その結果、以下の知見を得た。なお、以下の知見はあくまで本発明をなすきっかけとなったものであり、本発明を限定するものではない。
すなわち、液状化とは、粒子径が比較的均一で、地下水が浅く、粒子と粒子との間の接点を介して緩やかに支持されている砂質層において、地震および振動等によるせん断力が働いたときに、粒子間の接点の配列が崩れ、間隙水圧が発生し、粒子間の空間が収縮することにより余剰水が発生する事象と考えられる。そこで、かかる余剰水を地中に保持できる量を増やすことができれば、液状化の現象を軽減することが可能と考えられる。
スーパージオ工法では、樹脂ブロックの内部および樹脂ブロックの間の空間に余剰水を収容することで、かかる機能を実現している。しかし、樹脂ブロック自体が高価である上、運搬に手間と費用がかかり、建設コストの上昇が深刻となる。
そこで、敷地内に溝状の空間を設け、該溝状の空間に、建設地点の土壌よりも大きな空隙を形成する粒子(グラベル)を充填することに想到した。かかる構成では、土壌中で発生した、あるいは地下から沸きあがった、余剰水を、溝状の空間に充填されたグラベルの間隙に収容することができる。よって、液状化の現象を軽減できる。
さらに発明者は、かかる溝状の空間を容易に形成する方法を鋭意検討した。その結果、以下の構成に想到した。すなわち、平面視(鉛直上方から見た場合を指す、以下同様)において、周辺土壌等の細粒材を収納する部分を細粒材収容部とし、細粒材収納部に隣接し、細粒材より粒径の大きな粗粒材を収納する部分を粗粒材収容部とする。平面視において、細粒材収納部の周囲を取り囲むように、互いに取り外し可能に接続された複数の板状部材を配置し、これにより第1壁を形成する。該板状部材は、透水性を有するように開口を備える。平面視において粗粒材収納部を介して第1壁と対向するように板状部材を配置し、これにより第2壁を形成する。さらに、接続部により、第1壁に含まれる板状部材と第2壁に含まれる板状部材とを取り外し可能に接続することで、地盤改良補助部材を構成する。
かかる構成によれば、例えば、以下の方法で改良地盤構造体を形成できる。すなわち、建物の床部分を含む領域について、地盤改良補助部材を十分に収容可能な深さまで土を掘り、得られた空間の内部に上記地盤改良補助部材を組み上げる。細粒材収納部には、例えば、土を土嚢に充填した上で埋め戻す。形成された溝状の空間、すなわち粗粒材収納部に、グラベルを充填する。かかる方法により、容易に、改良地盤構造体を形成できる。
地盤改良補助部材自体は、複数の取り外し可能な板状ないし棒状の部品で構成されうる。ばらした状態で設置場所まで運搬することができるため、運搬時の体積を縮小でき、運搬コストを飛躍的に低減できる。また、掘り出した土を細粒材収納部に埋め戻す場合には、土砂の処分コストを飛躍的に低減できる。さらに、汎用品を用いて上記板状部材を形成することとした場合には、製造コストも飛躍的に低減できる。
発明者は、さらに進んで、噴出泥水によるめり込み沈下を軽減する方法について鋭意検討した。
液状化により戸建て住宅が沈下するメカニズムでは、液状化が発生した後に間隙水が噴出することによって地盤全体が圧縮沈下し、建物はその中にさらにめり込んで沈下する。沈下量として、以下が区別される。すなわち、[1]地盤自体の圧縮沈下量、[2]建物の絶対沈下量、[3]建物のめり込み沈下量、である。
[1]地盤自体の圧縮沈下量に関しては、平面的に一様に沈下すれば建物の傾斜もあまり生じないので一般に建物に甚大な被害を与えない。これに対し、[3]建物のめり込み沈下量に関しては、もともと支持力がある地盤が急に泥水化し、支持力を失って沈下するため、沈下と同時に傾斜や家屋のゆがみなども生じ、建物にとって甚大な被害をもたらす
。[2]建物の絶対沈下量は、[1]と[3]の合計である。したがって、重要なのは[3]建物のめり込み沈下量ということになる。
めり込み沈下が発生するメカニズムの一つとして、建物が地盤内にめり込んでいくために、その下の土を横方向に押し出すことが考えられる。地表面に押し出されるため、建物近傍が盛り上がる。横方向に押し出すことを防げばめり込み沈下量も減ることになる。二つ目は、液状化した地盤から水が噴出することに伴う圧縮沈下も加わることである。したがって、めり込み沈下量は、建物の絶対沈下量から周囲の地盤の沈下量を差し引いた値となる。
液状化は地下水位以下の地層しか直接的には発生しないが、住宅地では地下水面は地表面にはなくある深さのところに分布する。地下水面直下の層でも全て液状化するとは限らないので、必ず非液状化層が表層に存在する。この非液状化層とその下の液状化層の特性や、建物の諸元、地震動特性に関する以下の要因が戸建て住宅の沈下量に影響するのではないかと考えられる。すなわち、[1]地盤に関する要因:非液状化層の厚さや硬さ、地下水位、液状化層の厚さや粒径・緩さ、[2]建物に関する要因:建物荷重、建物幅、基礎の根入れ深さ、[3]地震動:地震動の大きさ、振幅、継続時間、である。
東日本大震災後の浦安市での調査によると、被害の程度が大きいほど地下水位は浅い傾向にあった。地下水位が深くなると、液状化層での有効上載圧が大きくなるので液状化し難くなる。同時に住宅基礎下の非液状化層も厚くなり、その分だけ支持力(地耐力)も増えるため、沈下し難くなるのではないかと考えられる。
すなわち、地下水位が浅い場合には、基礎下の非液状化層が薄いので支持力不足ですぐ沈下するか、液状化層から絞り出された間隙水が上がってきて支持力不足になって沈下する。地下水位が少し深い場合には、液状化層から搾り出された間隙水が次第に上がってきて支持力不足になって沈下する。家屋周囲に地割れが生じ、そこから噴水が先に出ることもある。地下水位が深い場合には、液状化層から搾り出された間隙水が次第に上がってきても、基礎下付近まで達せず支持力は残ったままで沈下しない。噴水も地表に達しない。(以上、出展:地盤工学会関東支部『造成宅地の耐震対策に関する研究委員会報告書−液状化から戸建て住宅を守るための手引書−』平成25年3月)
特に、地下水位が1.3m程度の土地で、泥水噴出によるめり込み沈下の被害が多く発生する。地下水位が1.3m程度の土地が地震の振動を受けると、含水層内の砂粒子の支持点が崩れる。その結果、上部にある1.3m分の地層が重しとなり、その圧力により上部地層の軟弱箇所から水が噴出する。建物の下方から噴出した水は、建物周囲の一部の箇所に集中して流出ないし滞留し、その部分の地耐力が低下する。その結果、めり込み沈下が発生し、建物が傾く等の被害が発生すると考えられる。
以上に述べた、めり込み沈下のメカニズムを踏まえ、細粒材収納部の底面および側面を非透水性シート(例えば、ブルーシート)で覆うことに想到した。さらに、改良地盤構造体の外部と粗粒材収納部との間には非透水性シートを設けないようにしてもよい。建物地下から噴出した水は、非透水性シートに阻まれて細粒材収納部に浸入することができず、粗粒材収納部へと誘導される。水は、粗粒材収納部を通って、建物基礎の外部へと排出される。その結果、噴出水が建物下部の特定箇所から集中して流出することが低減され、また、噴出水が建物下部に偏って滞留しにくくなり、建物のめり込み沈下が軽減される。
スーパージオ工法の場合、噴出水は残土箇所に吸収された後、樹脂ブロックに吸収される。よって、軟弱化した残土箇所で変形が発生する恐れは免れない。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施
形態はあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。
以下で説明する実施形態は、いずれも本発明の望ましい一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、あくまで一例であり、本発明を限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より望ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、製造方法においては、必要に応じて、各工程の順序等を変更でき、かつ、他の公知の工程を追加できる。
(第1実施形態)
第1実施形態にかかる改良地盤構造体の製造方法は、地中に埋め込まれ、かつ、透水性を有するように開口を備え、かつ、複数を互いに取り外し可能に接続しうるように構成された板状部材を用意し、板状部材を互いに接続しながら配置することで、長さAで深さD1である直方体を含む細粒材収納部と、板状部材により細粒材収納部から仕切られかつ細粒材収納部に隣接しかつ幅Bで深さD2である直方体を含む溝状の粗粒材収納部と、を形成し、ここで、B<Aであり、かつ、D1<Aであり、かつ、D2<Aであり、細粒材収納部の底面および側面を非透水性シートで覆った後に細粒材収納部に細粒材を充填し、粗粒材収納部に粗粒材を充填するものである。
なお、それぞれのステップは適宜に順序が入れ替えられてもよい。
第1実施形態にかかる改良地盤構造体は、平面視において、細粒材が充填された細粒材収納部と、細粒材収納部に隣接して粗粒材が充填された溝状の粗粒材収納部と、を備え、細粒材収納部は、長さAで深さD1である直方体を含み、粗粒材収納部は、幅Bで深さD2である直方体を含み、B<Aであり、かつ、D1<Aであり、かつ、D2<Aであり、細粒材収納部と粗粒材収納部とが、板状部材によって仕切られており、板状部材は、地中に埋め込まれ、かつ、透水性を有するように開口を備え、かつ、複数の板状部材が、互いに取り外し可能に接続されており、細粒材収納部の底面および側面が非透水性シートで覆われている。
第1実施形態にかかる地盤改良補助部材は、平面視において、細粒材収納部と、細粒材収納部に隣接する粗粒材収納部と、を備え、地中に埋め込まれて使用される地盤改良補助部材であって、第1壁と第2壁と接続部と非透水性シートとを備え、第1壁は、複数の板状部材を含み、第1壁に含まれる板状部材は、平面視において細粒材収納部に接すると共に細粒材収納部の周囲を取り囲み、かつ、透水性を有するように開口を備え、かつ、互いに取り外し可能に接続されており、第2壁は、平面視において粗粒材収納部を介して第1壁と対向するように配置された板状部材を含み、接続部は、第1壁に含まれる板状部材と第2壁に含まれる板状部材とを取り外し可能に接続し、非透水性シートは、細粒材収納部の底面および側面を覆う。
図1は、第1実施形態にかかる地盤改良補助部材およびこれを用いて形成された改良地盤構造体の概略構成の一例を示す平面図である。以下、図1を参照しつつ、第1実施形態にかかる地盤改良補助部材100およびこれを用いて形成された改良地盤構造体150について説明する。
地盤改良補助部材100は、地中に埋め込まれて使用される。具体的には例えば、液状
化の危険性があると判定された土地の地中に埋め込まれて使用される。液状化の危険性があるか否かの判定方法は、当業者において信頼性のある方法として認定されたものであれば特に限定されないが、例えば、『建築基礎構造設計基準・同解説』(日本建築学会、1974年)、および、『建築基礎構造設計指針』(日本建築学会、1988年)等に記載された方法を用いることができる。
図1に例示されているように、地盤改良補助部材100および改良地盤構造体150は、細粒材収納部2と、粗粒材収納部4と、非透水性シート11とを備えている。
細粒材収納部2は、細粒材が充填される部分である。細粒材とは、粗粒材よりも空隙率(単位体積当たりの土に含まれる水や空気が占める割合)が低い材料である。細粒材としては、典型的には、改良地盤を形成する地点の土が用いられる。細粒材は、複数の土嚢に充填された上で細粒材収納部2に配置されてもよい。土嚢は、充填された細粒材が粗粒材収納部4へと流出する可能性を低減する。あるいは、細粒材収納部2と第1壁12との間に非透水性シート11を配置し、すなわち、細粒材収納部2の周囲を非透水性シート11で取り囲み、該取り囲まれた空間の内部に土をそのまま(土嚢に充填せずに)配置してもよい。かかる態様では、土を土嚢に充填する手間が省略でき、工事費用がさらに軽減される。
粗粒材収納部4は、細粒材収納部2に隣接する。粗粒材収納部4は、粗粒材が充填される部分である。粗粒材とは、細粒材よりも空隙率が高い材料である。粗粒材は、周辺土壌よりも空隙率が高い材料とすることができる。粗粒材としては、典型的には、砕石、生コン用骨材40洗い(40mmメッシュのふるいを通過した石を洗浄することで得られる、生コン用の骨材)等が用いられる。粗粒材収納部4は、細粒材収納部2の周囲を取り囲むように配置されてもよい。
非透水性シート11は、細粒材収納部2の底面および側面を覆う。非透水性シート11は、非透水面を形成しうる部材であれば特に限定されない。非透水面は、当該面を貫通する水の流れを少なくとも軽減できる面である。非透水面は、当該面を貫通する水の流れを遮断する面であってもよい。遮断とは、水を全く通さないことを必ずしも意味せず、細粒材収納部2への水の浸入を抑制して建物のめり込み沈下を軽減するという効果を実現可能な限りで、若干の水を通すものでありうることは言うまでもない。
非透水性シート11は、細粒材収納部2の側面および底面からの、細粒材収納部2への水の浸入を低減させる。非透水性シート11は、シートを貫通する水の流れを遮断する部材であってもよい。非透水性シート11は、細粒材収納部2の底面および側面の全部を隙間なく覆っていてもよい。
非透水性シート11は、1個の細粒材収納部2に対して一枚の、柔軟性と非透水性と耐候性とを有する合成樹脂製のシートであってもよい。かかる構成では、細粒材収納部2への水の浸入をより効果的に低減できる。非透水性シート11としては、具体的には例えば、ポリエチレンなどの合成樹脂製のシート(いわゆるブルーシート)等を用いることができる。
非透水性シート11は、板状の部材で形成されていてもよい。非透水性シート11は、1個の細粒材収納部2に対してそれぞれ1個ずつ備えられていてもよい。細粒材収納部2が複数存在する場合において、非透水性シート11が全ての細粒材収納部2に設けられていてもよい。細粒材収納部2が複数存在する場合において、非透水性シート11が一部の細粒材収納部2のみに設けられていてもよい。非透水性シート11は、1個の細粒材収納部2の中で分割されていてもよい。
地盤改良補助部材100は、さらに、第1壁12と、第2壁14と、接続部16とを備えている。非透水性シート11は、第1壁12の細粒材収納部2側の面に密着するように設けられていてもよい。非透水性シート11の一部は、第1壁12と、第1壁12が取り囲む細粒材収納部2との間に設けられてもよい。非透水性シート11の一部は、第1壁12と、粗粒材収納部4との間に設けられてもよい。第1壁12が板状部材を備える場合において、非透水性シート11の一部は、該板状部材のいずれの面に取り付けられてもよい。
第1壁12は、複数の板状部材を備える。図1に示す例においては、矩形の第1壁12が、4枚の板状部材により形成されている。該板状部材は、例えば、亜鉛めっきがされた鉄からなるレール状の軽天材を所望の長さに切断して溶接することにより構成されうる。
該複数の板状部材は、平面視において細粒材収納部2に接すると共に細粒材収納部2の周囲を取り囲んでいる。該複数の板状部材は、互いに取り外し可能に接続されている。「取り外し可能」とは、建設現場で組み立てることが可能であることを意味する(以下同様)。該複数の板状部材のそれぞれは、透水性を有するように開口を備える。
板状部材の接続方法は特に限定されないが、例えば、接続部16により互いに接続されうる。板状部材は、互いに直接接続されていてもよいし、何らかの部材を介して間接的に接続されていてもよい。板状部材は、平面形状であってもよいし、曲面形状であってもよい。開口の形状は特に限定されない。開口の最小幅は、例えば50mm以上とすることができる。
第2壁14は、板状部材を含む。図1に示す例においては、L字状の第2壁14が、2枚の板状部材により形成されている。該板状部材は、例えば、亜鉛めっきがされた鉄からなるレール状の軽天材を所望の長さに切断して溶接することにより構成されうる。
第2壁14に含まれる板状部材は、平面視において粗粒材収納部4を介して第1壁12と対向するように配置されている。第2壁14に含まれる板状部材は、透水性を有していてもよいし、透水性を有していなくてもよい。第2壁14のうち、外部の土壌と接する部分は透水性を有していてもよい。かかる構成では、粗粒材収納部4から外部の土壌への排水が容易となる。
第1壁12に含まれる板状部材と、第2壁14に含まれる板状部材とは、形状または大きさが異なっていてもよいが、同一の形状および大きさを有していてもよい。すなわち、同一の板状部材が、第1壁12および第2壁14のいずれにも使用可能であってもよい。
接続部16は、第1壁12と第2壁14とを取り外し可能に接続する。
図1に示す例において、改良地盤構造体150が備える細粒材収納部2は、長さAおよび深さD1の直方体を含む。図1に示す例において、改良地盤構造体150が備える粗粒材収納部4は、幅Bおよび深さD2の直方体を含む。なお、図1に示す例において、粗粒材収納部4は平面視においてL字状の形状を有しているが、図面において上側にある辺を除けば幅Bおよび深さD2の直方体となる。
ここで、B<Aであり、かつ、D1<Aであり、かつ、D2<Aである。すなわち平面視において、細粒材収納部2の一辺の長さは、粗粒材収納部4の幅(短辺の長さ)よりも大きい。平面視において、粗粒材収納部4の幅(短辺の長さ)が、細粒材収納部2のいずれの辺の長さよりも小さくてもよい。Aの取りうる範囲としては、例えば、1m≦A≦4
mとしてもよい。Aの取りうる範囲としては、例えば、2m≦A≦3mとしてもよい。Bの取りうる範囲としては、例えば、0.3m≦B≦0.7mとしてもよい。Bの取りうる範囲としては、例えば、0.4m≦B≦0.6mとしてもよい。D1の取りうる範囲としては、例えば、0.2m≦D1≦1mとしてもよい。D1の取りうる範囲としては、例えば、0.3m≦D1≦0.8mとしてもよい。D2の取りうる範囲としては、例えば、0.2m≦D2≦1mとしてもよい。D2の取りうる範囲としては、例えば、0.3m≦D2≦0.8mとしてもよい。D1=D2=Dであってもよい。
細粒材収納部2が平面視において長方形である場合において、Aでない辺の長さの取りうる範囲も、Aと同様とすることができる。粗粒材収納部4は、幅Bの溝状の形状とすることができる。平面視における粗粒材収納部4の形状は特に限定されない。粗粒材収納部4は、細粒材収納部2の周囲を取り囲むように形成されうる。
細粒材収納部2と粗粒材収納部4とは、板状部材によって仕切られている。細粒材収納部2と粗粒材収納部4とを仕切る板状部材は、地中に埋め込まれ、かつ、透水性を有するように開口を備えている。細粒材収納部2と粗粒材収納部4とを仕切る板状部材は、その複数が、互いに取り外し可能に接続されている。
(第2実施形態)
第2実施形態にかかる改良地盤構造体の製造方法は、第1実施形態の改良地盤構造体の製造方法であって、D1≦0.8mであり、かつ、D2≦0.8mであり、板状部材は、互いに同じ長さで平行に延びる1対の細長形状を有する主軸と、主軸の延びる方向と交差する方向に延びて1対の主軸を連結する複数の副軸とを備え、開口は、1対の主軸と1対の副軸とがなす矩形形状を有し、板状部材の最も深い部分の地面からの深さdが1m以下である。
第2実施形態にかかる改良地盤構造体は、第1実施形態の改良地盤構造体であって、D1≦0.8mであり、かつ、D2≦0.8mであり、板状部材は、互いに同じ長さで平行に延びる1対の細長形状を有する主軸と、主軸の延びる方向と交差する方向に延びて1対の主軸を連結する複数の副軸とを備え、開口は、1対の主軸と1対の副軸とがなす矩形形状を有し、板状部材の最も深い部分の地面からの深さdが1m以下である。
第2実施形態にかかる地盤改良補助部材は、第1実施形態の地盤改良補助部材であって、平面視において、細粒材収納部は矩形であり、かつ、粗粒材収納部は帯状であり、第1壁および第2壁に含まれる板状部材は、いずれも、互いに同じ長さで平行に延びる1対の細長形状を有する主軸と、主軸の延びる方向と交差する方向に延びて1対の主軸を連結する複数の副軸とを備え、開口は、1対の主軸と1対の副軸とがなす矩形形状を有し、第1壁および第2壁に含まれる板状部材の高さDが0.8m以下である。
図2は、第2実施形態にかかる地盤改良補助部材につき、その概略構成の一例を示す平面図である。以下、図2を参照しつつ、第2実施形態にかかる地盤改良補助部材200について説明する。
図2に例示されているように、地盤改良補助部材200において、細粒材収納部2は平面視において矩形であり、粗粒材収納部4は平面視において帯状である。図2に示す例において、細粒材収納部2は平面視において正方形である。「帯状」とは、図2に示す例のように、平面視において所定の幅で延びつつ曲がっている形状を含む。「帯状」とは、必ずしも全ての部分において幅が同一であることが要求されるものではない。
地盤改良補助部材200は、第1壁を構成する第1板状部材22と、第2壁を構成する
第2板状部材24と、接続部材26とを備えている。
第1板状部材22および第2板状部材24は、それぞれ、1対の主軸23と、複数の副軸25とを備える。主軸23は、それぞれ、細長形状を有し、互いに同じ長さで平行に延びる。副軸25は、主軸23の延びる方向と交差する方向に延びて1対の主軸23を連結する。第1板状部材22および第2板状部材24は、それぞれ、長さA、高さDの長方形をなす。Dは0.8m以下である。第1板状部材22および第2板状部材24は、略鉛直面をなすように配置されうる。
第1板状部材22および第2板状部材24は、それぞれ、開口28を有する。開口28は、1対の主軸23と1対の副軸25とがなす。開口28は、矩形形状を有する。図2に示す例では、開口28は長方形である。
図2に示す例において、接続部材26は、平面視において一辺の長さがBである正方形をなす。接続部材26は、略水平面をなすように配置されうる。第1板状部材22と接続部材26とは取り外し可能に接続されている。第2板状部材24と接続部材26とは取り外し可能に接続されている。
細粒材収納部2の底面および側面は、非透水性シート11で覆われている。図2に示す例において、非透水性シート11は、例えば、一辺の長さがA+2Dである正方形のシートで構成することができる。非透水性シート11は、余裕を取って、さらに大きなシートで構成されてもよい。あるいは非透水性シート11が複数のシートに分割されており、各個のシートは上記正方形よりも小さくてもよい。
非透水性シート11については、その他、第1実施形態と同様の構成とすることができるので、詳細な説明を省略する。
第2実施形態の地盤改良補助部材200は、図2に示す構成を1ユニットとし、これを複数配置することで使用されうる。なお、上記ユニットに加えて、さらにユニットとは独立して、個々の接続部材26および板状部材等が使用されてもよい。
第2実施形態の改良地盤構造体の製造方法では、地盤改良補助部材200を用いて形成された細粒材収納部2(底面および側面は、非透水性シート11で覆われている)に細粒材を充填し、地盤改良補助部材200を用いて形成された粗粒材収納部4に粗粒材を充填するものである。第2実施形態の改良地盤構造体の製造方法において、地中に設置される第1板状部材22および第2板状部材24の最も深い部分の地面からの深さdは1m以下である。
(第3実施形態)
第3実施形態にかかる地盤改良補助部材の作製キットは、地中に埋め込まれて使用される地盤改良補助部材の作製キットである。該キットは、少なくとも4個の板状部材と、少なくとも2個の接続部材と、非透水性シートと、を備える。板状部材は、互いに同じ長さAを有して互いに距離Dだけ離隔して互いに平行に延びる1対の細長形状を有する主軸と、主軸の延びる方向と交差する方向に延びて1対の主軸を連結する複数の副軸とを備え、かつ、1対の主軸と複数の副軸との間隙が透水性の開口をなす。接続部材は、平面視において1辺の長さがAより短いBである第1正方形をなす4個の帯状部と、第1正方形の頂点において頂点に隣接する2個の辺のそれぞれの延びる方向に突出して板状部材の主軸と連結される8個の連結部とを備える。板状部材の主軸と接続部材の連結部とを連結していくことで、幅Aで長さAで深さDであり、かつ、4個の板状部材で取り囲まれた、細粒材収納部を形成することができ、さらに、幅Bで長さAで深さDであり、かつ、1対の板状
部材の間に挟まれた、粗粒材収納部を形成することができる。Dは0.8m以下であり、非透水性シートは、細粒材収納部の底面および側面を覆う大きさおよび形状を有する。
第3実施形態にかかる地盤改良補助部材の作製キットにつき、その概略構成の一例を示す平面図であって、図3(a)は板状部材を示す図であり、図3(b)は接続部材を示す図である。以下、図3を参照しつつ、第3実施形態にかかる地盤改良補助部材の作製キットについて説明する。
図3(a)に示す例において、板状部材32は、1対の主軸33と、複数の副軸35とを備える。板状部材32は、1対の主軸33と複数の副軸35との間隙が透水性の開口38をなす。主軸33は、細長形状を有し、互いに同じ長さAを有して互いに距離Dだけ離隔して互いに平行に延びる。副軸35は、主軸33の延びる方向と交差する方向に延びて1対の主軸33を連結する。それぞれの主軸33の両端には、接続部材36と連結するための穴37が形成されていてもよい。板状部材32は、例えば、亜鉛めっきがされた鉄からなるレール状の軽天材を所望の長さに切断して溶接することにより構成されうる。
図3(b)に示す例において、接続部材36は、4個の帯状部39と、8個の連結部31とを備える。4個の帯状部39は、平面視において1辺の長さがAより短いBである第1正方形をなす。連結部31は、第1正方形の頂点において頂点に隣接する2個の辺のそれぞれの延びる方向(帯状部39の延びる方向)に突出して板状部材32の主軸33と連結される。1個の帯状部39が、1対の板状部材32を接続する。
図3(b)に示す例において、接続部材36は、例えば、4個の帯状の金属部材(材料例:亜鉛めっきがされた鉄)それぞれの両端を直角に折り曲げ、端部を外側に向けて正方形を作り、該正方形のそれぞれの頂点につき、内側からL字金具41を取り付け、ボルトとナット等の締結金具40で締結することで形成されうる。連結部31には、それぞれ、板状部材32と連結するための穴(図示せず)が形成されていてもよい。
細粒材収納部2の底面および側面は、非透水性シート11で覆われている。図3に示す例において、非透水性シート11は、例えば、一辺の長さがA+2Dである正方形のシートで構成することができる。非透水性シート11は、余裕を取って、さらに大きなシートで構成されてもよい。あるいは非透水性シート11が複数のシートに分割されており、各個のシートは上記正方形よりも小さくてもよい。
非透水性シート11については、その他、第1実施形態と同様の構成とすることができるので、詳細な説明を省略する。非透水性シート11の一部または全部が、板状部材32に予め取り付けられていてもよい。非透水性シート11は、板状部材32および接続部材とは独立した部材であってもよい。
図4は、第3実施形態にかかる地盤改良補助部材の作製キットを組み立てた場合における概略構成の一例を示す斜視図であって、図4(a)は単位ユニットを示す図であり、図4(b)は組み立てられた地盤改良補助部材の全体を示す図である。
図4に示すように、板状部材32と接続部材36とは、それぞれがなす平面が直交するように互いに連結される。すなわち、1個の板状部材32の一方の端部には、2個の接続部材36が連結される。また、1個の接続部材36の1個の帯状部39の両端に設けられた2個の連結部31には、それぞれ別個の板状部材32が連結される。
図4(a)に示すように、4個の板状部材と、2個の接続部材とから単位ユニットが構成される。該単位ユニットを並べることで、細粒材収納部2と、粗粒材収納部4とが交互
に並ぶように地盤改良補助部材が形成される。それぞれの細粒材収納部2の底面および側面は、非透水性シート11に覆われる。
1個の板状部材32が、細粒材収納部2の壁と、粗粒材収納部4の壁の両方として機能する。単位ユニットを並べただけでは不足する壁は、追加的に板状部材32および接続部材36を配置する。図4(b)に例示した地盤改良補助部材は、6個の単位ユニットを格子状に並べ、外周上に10個の板状部材32と、6個の接続部材36とが追加されている。すなわち、図4(b)に例示する地盤改良補助部材の製造キットは、34個の板状部材32と、12個の接続部材36とを含む。
板状部材32は、全てが同一の大きさおよび形状を有していてもよいし、一部が異なる大きさおよび形状を有していてもよい。例えば、後述する図5に例示した改良地盤構造体を形成するための製造キットは、8個の板状部材がその他の54個の板状部材よりも短くなっている。
(実施例)
[構成]
実施例の改良地盤構造体は、第1実施形態の改良地盤構造体であって、Dが0.8m以下である。板状部材は、互いに同じ長さで平行に延びる1対の細長形状を有する主軸と、主軸の延びる方向と交差する方向に延びて1対の主軸を連結する複数の副軸とを備える。開口は、1対の主軸と1対の副軸とがなす矩形形状を有する。板状部材の最も深い部分の地面からの深さdは1m以下である。
本実施例における板状部材および接続部材は、それぞれ、第3実施形態の板状部材32および接続部材36と同様の構成としうるので、同一の符号および名称を付して、詳細な説明を省略する。本実施例における非透水性シートは、第1実施形態の非透水性シート11と同様の構成としうるので、同一の符号および名称を付して、詳細な説明を省略する。
図5は、実施例にかかる地盤改良補助部材およびこれを用いて製造された改良地盤構造体の概略構成の一例を示す平面図である。
図5に示すように、本実施例の地盤改良補助部材は、62個の板状部材32と、20個の接続部材36と、12個の非透水性シート11とからなる。8個の板状部材32は、その他の54個の板状部材32よりも長さが短い。
実施例にかかる地盤改良補助部材およびこれを用いて形成された改良地盤構造体は、12個の細粒材収納部2を備える。細粒材収納部2のうち、9個は平面視において大きさがA×Aの正方形であり、3個は平面視において大きさがA×Cの長方形である。粗粒材収納部4は、それぞれの細粒材収納部2の間を埋めるように、かつ、細粒材収納部2の外側部分の外周を取り囲むように形成される。
細粒材収納部2のうち、互いに水平方向に離間する2個の板状部材32の間に形成される、平面視において大きさA×Bの長方形の部分が27個、2個の板状部材32の間に形成される、平面視において大きさB×Cの長方形の部分が4個、互いに鉛直方向に離間する2個の接続部材36の間に形成される、平面視において大きさB×Bの正方形の部分が20個である。
図6は、実施例にかかる地盤改良補助部材およびこれを用いて形成された改良地盤構造体の概略構成の一例を示す部分断面図である。
図6に示すように、本実施例の地盤改良補助部材およびこれを用いて形成された改良地盤構造体において、細粒材収納部2および粗粒材収納部4の深さ(高さ)はいずれも等しく、Dである。また、板状部材32の最も深い部分の地面からの深さdは1m以下である。本実施例においては、A=2000mm、B=500mm、C=1500mm、D=400mm、d=750mmである。
図6に示すように、本実施例の改良地盤構造体は、最下層に、第1砂利層42が形成されている。第1砂利層42は、例えば、割栗石を敷き詰め、割栗石の隙間に目潰し砂利が配置された構成とすることができる。第1砂利層42の厚みは150mmである。
第1砂利層42の上には、板状部材32が接続部材36を介して、あるいは直接に、互いに連結された、地盤改良補助部材が形成されている。
地盤改良補助部材の最も外側の壁、すなわち、周辺土壌48と接触する部分(外周部)には、周辺土壌48に接するように押えラス(図示せず)が配置され、さらにその内側(粗粒材収納部側)に分離シートとしての透水シート(図示せず)が配置される。かかる構成により、周辺土壌48が粗粒材収納部4に侵入することが抑制される。板状部材32の外側に透水シートおよび押えラスを配置した後、土壌を埋め戻すことで、粗粒材収納部4の外周が土壌で覆われることになる。地下から噴出して粗粒材収納部4に侵入した水は、押えラスと透水シートとを通って、粗粒材収納部4から外部土壌へと排出される。
地盤改良補助部材のうち、細粒材収納部2には、側面(板状部材32がなす細粒材収納部2側の面)および底面(第1砂利層42の上面)に非透水性シート11としてのブルーシートが設置される。その後、地盤改良補助部材を設置するために掘り返された土壌が土嚢に充填された上で配置されてもよい。土嚢に充填せずに、土壌をそのまま細粒材収納部2に埋め戻してもよい。かかる態様では、土を土嚢に充填する手間が省略でき、工事費用がさらに軽減される。細粒材収納部2は、板状部材により粗粒材収納部4と仕切られており、板状部材が土壌を所望の形状に充填するためのガイドとして機能する。
地盤改良補助部材のうち、粗粒材収納部4(グラベルトレンチ)には、グラベルが充填される。本実施例では、グラベルとして生コン用骨材であって、40メッシュで水洗いしたものが用いられうる。粗粒材収納部4は、板状部材により細粒材収納部2と仕切られており、板状部材がグラベルを所望の形状に充填するためのガイドとして機能する。
地盤改良補助部材の上方には、第2砂利層44が形成される。第2砂利層44は、グラベルを敷き均すことで形成される。本実施例では、グラベルとして生コン用骨材であって、40メッシュで水洗いしたものが用いられうる。第2砂利層44の厚みは、周縁部(外周部の粗粒材収納部4上)で100mm、それ以外で120mmである。なお、図6では簡略化のため、周縁部もそれ以外も同じ厚みで図示している。
第2砂利層44の上には、コンクリートによるベタ基礎46が形成される。ベタ基礎46の厚みは、周縁部(外周部の粗粒材収納部4上)で170mm、それ以外で150mmである。ベタ基礎46の上面は周辺土壌48の上端面(地面)を基準として地上50mmとなる。
本実施例では、例えば、(1)建築予定地およびその周囲の土壌の掘り出し、(2)第1砂利層42の形成、(3)地盤改良補助部材の組み立てと配置、(4)透水シート、押えラスの配置、(5)細粒材収納部2の底面および側面へのブルーシートの配置、(6)押さえラスの外側の空間への土壌の埋め戻し、(7)細粒材収納部2への土の埋め戻し、(8)粗粒材収納部4へのグラベルの充填、(9)第2砂利層44の形成、(10)ベタ
基礎46の形成、の順で工事を進めることができる。
以上の基礎形状は、平12建告1347号に順ずる第3条4項ベタ基礎基準に基づくものであるが、適宜に変更されうることは勿論である。
[液状化発生時のシミュレーション]
実施例において、液状化が発生するような振動が改良地盤構造体の形成された土地に加えられた場合における、改良地盤構造体の持つ液状化軽減効果についてシミュレーションを行った。
容器は、容量1.9リットルのバケツを風袋引きして用いた。
容器に砂を充填したときの重量は2.83kg、密度は1.49となった。
容器に砂を充填して水を一杯に入れたときの重量は3.65kg、密度は1.92となった。
容器にグラベルを充填したときの重量は2.70kg、密度は1.42となった。
容器にグラベルを充填して水を一杯に入れたときの重量は3.7kg、密度は1.95となった。
以上の実験結果に基づき、周辺土壌48が砂であるとして、以下のようなシミュレーション結果が得られた。
改良地盤構造体の面積:7.78m×9.6m=74.688m2
改良地盤構造体の体積:74.688m2×0.4m=29.8752m3
液状化した場合には、砂の間隙全部に水が充満している状態になる。よって、
液状化水量:29.8752m3×(1.92−1.49)=12.846m3
粗粒材収納部の面積:74.688m2−41.038m2=33.65m3
粗粒材収納部の体積:33.65m3×0.4m=13.46m3
粗粒材収納部に収容できる水の容積:13.46m3×(1.95−1.42)=7.
1338m3
仮に粗粒材収納部が存在せず、液状化が発生した場合には、砂の間隙全部に水が充満し、12.846m3の水が地中にあることになる。一方、本実施例では水の充満した砂に
代わり、グラベルの充填された粗粒材収納部が形成されている。この粗粒材収納部からは間隙水が発生せず、かつ、7.1338m3の水を収容できる。7.1338m3/12.846m3=0.5553・・・となるから、55%以上の間隙水を粗粒材収納部に収容
できる。以上により、液状化現象が軽減されることが分かる。
[実施例の効果]
地盤改良補助部材は分解して運搬でき、建設現場で組み立てることが可能である。よって、運搬コストが軽減される。板状部材および接続部材は、汎用品である軽天材や帯状の金属材料で簡単に製造できる。よって、製造コストも軽減される。さらに、掘り出した土砂は、細粒材収納部へ埋め戻すことが可能である。よって、土砂の処分コストも軽減される。また、掘削深度が1m以下と比較的浅いため、工事コストも軽減される。また、地震発生時に地下から水が噴出しても、噴出水は粗粒材収納部を通じて基礎の外部へと排出され、基礎の内部に滞留しにくい。よって、建物のめり込み沈下量を低減できる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである
。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
2 細粒材収納部
4 粗粒材収納部
11 非透水性シート
12 第1壁
14 第2壁
16 接続部
22 第1板状部材
23、33 主軸
24 第2板状部材
25、35 副軸
26、36 接続部材
28、38 開口
31 連結部
32 板状部材
37 穴
39 帯状部
40 締結金具
41 L字金具
42 第1砂利層
44 第2砂利層
46 ベタ基礎
48 周辺土壌
100、200 地盤改良補助部材
150 改良地盤構造体

Claims (7)

  1. 地中に埋め込まれ、かつ、透水性を有するように開口を備え、かつ、複数を互いに取り外し可能に接続しうるように構成された板状部材を用意し、
    前記板状部材を互いに接続しながら配置することで、長さAで深さD1である直方体を含む細粒材収納部と、前記板状部材により前記細粒材収納部から仕切られかつ前記細粒材収納部に隣接しかつ幅Bで深さD2である直方体を含む溝状の粗粒材収納部と、を形成し、ここで、B<Aであり、かつ、D1<Aであり、かつ、D2<Aであり、
    前記細粒材収納部の底面および側面を非透水性シートで覆った後に前記細粒材収納部に細粒材を充填し、
    前記粗粒材収納部に粗粒材を充填する、
    改良地盤構造体の製造方法。
  2. D1≦0.8mであり、かつ、
    D2≦0.8mであり、
    前記板状部材は、互いに同じ長さで平行に延びる1対の細長形状を有する主軸と、前記主軸の延びる方向と交差する方向に延びて前記1対の主軸を連結する複数の副軸とを備え、
    前記開口は、前記1対の主軸と1対の前記副軸とがなす矩形形状を有し、
    前記板状部材の最も深い部分の地面からの深さdが1m以下である、
    請求項1に記載の改良地盤構造体の製造方法。
  3. 平面視において、
    細粒材が充填された細粒材収納部と、
    前記細粒材収納部に隣接して粗粒材が充填された溝状の粗粒材収納部と、
    を備え、
    前記細粒材収納部は、長さAで深さD1である直方体を含み、
    前記粗粒材収納部は、幅Bで深さD2である直方体を含み、
    B<Aであり、かつ、
    D1<Aであり、かつ、
    D2<Aであり、
    前記細粒材収納部と前記粗粒材収納部とが、板状部材によって仕切られており、
    前記板状部材は、
    地中に埋め込まれ、かつ、
    透水性を有するように開口を備え、かつ、
    複数の前記板状部材が、互いに取り外し可能に接続されており、
    前記細粒材収納部の底面および側面が非透水性シートで覆われている、
    改良地盤構造体。
  4. D1≦0.8mであり、かつ、
    D2≦0.8mであり、
    前記板状部材は、互いに同じ長さで平行に延びる1対の細長形状を有する主軸と、前記主軸の延びる方向と交差する方向に延びて前記1対の主軸を連結する複数の副軸とを備え、
    前記開口は、前記1対の主軸と1対の前記副軸とがなす矩形形状を有し、
    前記板状部材の最も深い部分の地面からの深さdが1m以下である、
    請求項3に記載の改良地盤構造体。
  5. 平面視において、
    細粒材収納部と、
    前記細粒材収納部に隣接する粗粒材収納部と、
    を備え、地中に埋め込まれて使用される地盤改良補助部材であって、
    第1壁と第2壁と接続部と非透水性シートとを備え、
    前記第1壁は、複数の板状部材を含み、
    前記第1壁に含まれる板状部材は、
    平面視において前記細粒材収納部に接すると共に前記細粒材収納部の周囲を取り囲み、かつ、
    透水性を有するように開口を備え、かつ、
    互いに取り外し可能に接続されており、
    前記第2壁は、平面視において前記粗粒材収納部を介して前記第1壁と対向するように配置された板状部材を含み、
    前記接続部は、前記第1壁に含まれる板状部材と前記第2壁に含まれる板状部材とを取り外し可能に接続し、
    前記非透水性シートは、前記細粒材収納部の底面および側面を覆う、
    地盤改良補助部材。
  6. 平面視において、前記細粒材収納部は矩形であり、かつ、前記粗粒材収納部は帯状であり、
    前記第1壁および前記第2壁に含まれる板状部材は、いずれも、互いに同じ長さで平行に延びる1対の細長形状を有する主軸と、前記主軸の延びる方向と交差する方向に延びて前記1対の主軸を連結する複数の副軸とを備え、
    前記開口は、前記1対の主軸と1対の前記副軸とがなす矩形形状を有し、
    前記第1壁および前記第2壁に含まれる板状部材の高さDが0.8m以下である、
    請求項5に記載の地盤改良補助部材。
  7. 少なくとも4個の板状部材と、少なくとも2個の接続部材と、非透水性シートと、を備え、
    前記板状部材は、
    互いに同じ長さAを有して互いに距離Dだけ離隔して互いに平行に延びる1対の細長形状を有する主軸と、
    前記主軸の延びる方向と交差する方向に延びて前記1対の主軸を連結する複数の副軸とを備え、かつ、
    前記1対の主軸と前記複数の副軸との間隙が透水性の開口をなし、
    前記接続部材は、
    平面視において1辺の長さがAより短いBである第1正方形をなす4個の帯状部と、
    前記第1正方形の頂点において前記頂点に隣接する2個の辺のそれぞれの延びる方向に突出して前記板状部材の主軸と連結される8個の連結部とを備え、
    前記板状部材の主軸と前記接続部材の連結部とを連結していくことで、
    幅Aで長さAで深さDであり、かつ、4個の前記板状部材で取り囲まれた、細粒材収納部を形成することができ、
    幅Bで長さAで深さDであり、かつ、1対の前記板状部材の間に挟まれた、粗粒材収納部を形成することができ、
    Dが0.8m以下であり、
    前記非透水性シートは、前記細粒材収納部の底面および側面を覆う大きさおよび形状を有する、
    地中に埋め込まれて使用される地盤改良補助部材の作製キット。
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