JP2017149691A - ゲムシタビン液剤 - Google Patents

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智治 竹田
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茂範 金村
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Abstract

【課題】室温保存で長期的に安定であり、pHが中性付近であっても、析出を抑制できるゲムシタビン液剤を提供する。【解決手段】ゲムシタビン類に対して、ポリエチレングリコール(A)と、プロピレングリコール(B)とを組み合わせて液剤を形成する。このような液剤において、ゲムシタビン類の濃度は20mg/mL以上であってもよく、ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)との割合は、前者/後者(重量比)=1/0.05〜1/50程度であってもよい。また、上記液剤は、さらに、塩基性アミノ酸類(C1)(アルギニン類など)及びアルドン酸類(C2)(グルコン酸類など)から選択された少なくとも1以上の成分(C)を含んでいてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、ゲムシタビンを有効成分とする液剤に関するものである。
ゲムシタビン塩酸塩は、凍結乾燥製剤として、日本イーライリリー株式会社から、抗癌剤用途等として「ジェムザール注射用製剤」(200mg及び1g製剤)が市販されている。
ジェムザール注射用製剤は、使用に際して溶解操作を必要とするが、このような溶解操作は、医療従事者への抗がん剤暴露のリスクを高めることとなる。そのため、医療現場では、ゲムシタビン塩酸塩の液剤化が望まれていた。また、このような液剤では、無菌性の確保も容易になるため、薬液の菌による汚染も効率よく防ぐことができる。
しかしながら、ゲムシタビン塩酸塩を溶解すると、溶液は酸性になり、ゲムシタビンが加水分解を受け、安定性に問題が生じる。一方、溶液のpHを中性に近づけることで、加水分解は抑制できるものの、ゲムシタビンの析出が生じ、溶解性に問題が生じる。
このように、ゲムシタビン塩酸塩を液剤化する上で、溶液状態における、安定性と溶解性とを両立させることが課題であった。
このような中、ゲムシタビン液剤の開発が望まれており、いくつかの処方が報告されている。
例えば、特開2012−17308号公報(特許文献1)には、ゲムシタビン塩酸塩と、塩化マグネシウム及びマクロゴール400とを含有するゲムシタビン水溶液製剤が開示されている。この文献には、当該製剤が、さらに、アセチルトリプトファン、ニコチンアミドおよびアルギニンからなる群より選択される少なくとも1つを含有していてもよいことが記載されている。
また、WO2013/062050号公報(特許文献2)には、ゲムシタビン塩酸塩およびポリエチレングリコールを含有し、ゲムシタビンの濃度が20mg/mL以上であるゲムシタビン水溶液製剤が開示されている。この文献には、当該製剤が、さらに、リン酸水素二ナトリウム12水和物、ニコチンアミド、アルギニンならびにサリチル酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1つをさらに含有していてもよいことが記載されている。
しかしながら、これらの文献に記載の処方でも、十分に析出を抑制できない場合等があり、さらなる優れた処方の開発が望まれている。
特開2012−17308号公報(特許請求の範囲、実施例) WO2013/062050号公報(特許請求の範囲、実施例)
本発明の目的は、ゲムシタビン類の析出を効率よく抑制できる液剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、室温保存下であっても、優れた溶解性と安定性とを両立できるゲムシタビン液剤を提供することにある。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、ゲムシタビン類(ゲムシタビン塩酸塩など)に対し、ポリエチレングリコールとプロピレングリコールとを少なくとも組み合わせることで、中性付近の水溶液製剤のような析出しやすい条件下においても、ゲムシタビン類の溶解状態を長時間持続可能であり、その溶解状態を高いレベルで維持できること、さらには、室温保管時においても加水分解等による安定性を損なうことなく、析出を抑えることができ、ゲムシタビン製剤において、ゲムシタビン類の優れた溶解性と安定性とを両立できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の液剤(ゲムシタビン液剤、ゲムシタビン組成物、医薬組成物)は、ゲムシタビン類と、ポリエチレングリコール(A)と、プロピレングリコール(B)とを含む。
このような液剤において、ポリエチレングリコール(A)は、常温で液状であってもよい。また、ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)との割合は、前者/後者(重量比)=1/0.05〜1/50程度であってもよい。
特に、本発明の液剤は、溶媒成分として水を含む液剤(水溶液)であってもよく、ゲムシタビン類の濃度が高濃度(例えば、10mg/mL以上の高濃度)であってもよく、pHが弱酸〜弱アルカリ領域(例えば、4.5〜8.5)であってもよい。
代表的な本発明の液剤には、
ゲムシタビン類の濃度が20mg/mL以上であり、
ポリエチレングリコール(A)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して0.5〜50重量部であり、
プロピレングリコール(B)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して0.3〜30重量部であり、
ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.2〜1/5であり、
溶媒成分として水を含むpH5〜8の液剤が含まれる。
本発明の液剤は、さらに、塩基性アミノ酸類(C1)及びアルドン酸類(C2)から選択された少なくとも1以上の成分(C)を含んでいてもよい。
このような液剤において、成分(C)は、塩基性アミノ酸類(C1)及びアルドン酸類(C2)を含んでいてもよい。このように成分(C1)及び成分(C2)を含む場合、塩基性アミノ酸類(C1)とアルドン酸類(C2)との割合は、前者/後者(重量比)=1/0.01〜1/10程度であってもよい。
成分(C1)及び/又は成分(C2)を含む液剤において、塩基性アミノ酸類(C1)はアルギニン類であってもよく、アルドン酸類(C2)はグルコン酸類であってもよい。
また、このような液剤が、塩基性アミノ酸類(C1)を含む場合、塩基性アミノ酸類(C1)の割合は、ゲムシタビン類100重量部に対して、0.1〜200重量部程度であってもよく、
アルドン酸類(C2)を含む場合、アルドン酸類(C2)の割合は、ゲムシタビン類100重量部に対して、0.01〜100重量部程度であってもよい。
成分(C)を含む代表的な本発明の液剤には、
ゲムシタビン類と、ポリエチレングリコール(A)と、プロピレングリコール(B)と、塩基性アミノ酸類(C1)及びアルドン酸類(C2)から選択された少なくとも1以上の成分(C)とを含み、
ゲムシタビン類の濃度が20mg/mL以上であり、
ポリエチレングリコール(A)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して0.5〜50重量部であり、
プロピレングリコール(B)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して0.3〜30重量部であり、
ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.2〜1/5であり、
塩基性アミノ酸類(C1)を含む場合、塩基性アミノ酸類(C1)の割合が、ゲムシタビン類100重量部に対して0.3〜100重量部であり、
アルドン酸類(C2)を含む場合、アルドン酸類(C2)の割合が、ゲムシタビン類100重量部に対して0.1〜50重量部であり、
塩基性アミノ酸類(C1)とアルドン酸類(C2)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.03〜1/5であり、
溶媒成分として水を含むpH5〜8の液剤が含まれる。
特に、このような液剤は、
ゲムシタビン類と、常温で液状のポリエチレングリコール(A)と、プロピレングリコール(B)と、塩基性アミノ酸類(C1)と、アルドン酸類(C2)とを含み、
ゲムシタビン類の濃度が20mg/mL以上であり、
ポリエチレングリコール(A)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して1〜20重量部であり、
プロピレングリコール(B)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して0.7〜15重量部であり、
ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.3〜1/3であり、
塩基性アミノ酸類(C1)の割合が、ゲムシタビン類100重量部に対して1〜50重量部であり、
アルドン酸類(C2)の割合が、ゲムシタビン類100重量部に対して0.3〜20重量部であり、
塩基性アミノ酸類(C1)がアルギニン類であり、アルドン酸類(C2)がグルコン酸類であり、
溶媒成分として水を含むpH5.5〜7.5の液剤であってもよい。
上記のように、ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)[さらには、成分(C)]は、ゲムシタビン類の液剤中での溶解状態の持続性や安定性(例えば、室温保存下での安定性)での安定性を向上させる成分として有用である。
そのため、本発明には、ゲムシタビン類の液剤中における溶解状態の持続性および/または安定性(例えば、室温保存下での安定性)を向上又は改善させる剤であって、ポリエチレングリコール(A)及びプロピレングリコール(B)を含む安定剤(析出抑制剤、分解抑制剤)も含まれる。
このような剤は、成分(C)を含んでいてもよい。なお、本発明の剤において、成分(A)、(B)、(C)などの割合は、液剤における割合と同様の範囲から選択してもよい。
本発明によれば、ゲムシタビン類に、ポリエチレングリコールとプロピレングリコールを組み合わせることで、液剤におけるゲムシタビン類の析出を効率よく抑えることができる。特に、このような析出抑制効果は、さらに、塩基性アミノ酸類やアルドン酸類を組み合わせる(特にこれらの双方を組み合わせる)ことで、より一層向上できる。
このような本発明のゲムシタビン液剤は、ゲムシタビン類の析出が生じやすい中性付近のpHでも、析出を抑制できる。また、水を含む液剤においても、このような析出を抑制できる。とりわけ、溶媒成分として、アルコール(エタノールなど)のような非水溶媒を別途使用しなくても、高い析出抑制効果を有する。
そのため、本発明のゲムシタビン液剤は、患者に対する負担が少なく、安全性に優れるという点に鑑みても、極めて有用性が高い。
さらに、本発明のゲムシタビン液剤では、液剤(特に水溶液製剤)であるにもかかわらず、さらには室温保存下であっても、ゲムシタビン類の分解等が抑制されており、優れた溶解性と安定性とを両立できる。
このように、本発明によれば、保存に耐えうる、安定なレディトゥユースのゲムシタビン液剤を効率よく得ることができる。
本発明の液剤(組成物、医薬組成物、ゲムシタビン製剤)は、ゲムシタビン類と、ポリエチレングリコール(A)と、プロピレングリコール(B)とを少なくとも含む。
[ゲムシタビン類]
ゲムシタビン類としては、ゲムシタビン、ゲムシタビンの塩(特に、薬理学的に許容可能な塩)、これらの水和物などが含まれる。
なお、ゲムシタビンは、下記式
Figure 2017149691

で表される構造を有し、化学名は、4−アミノ−1−[3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル]−1H−ピリミジン−2−オン、又は(+)−2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジンである。
塩としては、特に限定されず、例えば、酸との塩[例えば、無機酸塩(塩酸塩など)など]が挙げられる。
代表的なゲムシタビン類には、ゲムシタビン、ゲムシタビン塩酸塩など挙げられる。
ゲムシタビン類は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
[ポリエチレングリコール(A)]
ポリエチレングリコール(A)(成分(A)、(A)、ポリエチレングリコール、PEGなどということがある)は、特に限定されず、常温で、固形状や半固形状のものを使用してもよいが、液状のポリエチレングリコールを好適に使用してもよい。
ポリエチレングリコールの平均分子量は、その性状などに応じて、100以上(例えば、100〜100000程度の範囲)の範囲から選択できるが、例えば、3000以下、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下であってもよく、特に500以下のものを使用してもよい。
具体的なポリエチレングリコールとしては、例えば、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール800、マクロゴール1000などが挙げられる。これらの中でも、低分子量のマクロゴール、例えば、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400などを好適に使用できる。
ポリエチレングリコールは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
[塩基性アミノ酸類(C1)]
本発明の液剤は、さらに、塩基性アミノ酸類(C1)を含んでいてもよい。
塩基性アミノ酸類(C1)としては、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸の塩(特に、薬理学的に許容可能な塩)、これらの水和物などが含まれる。
塩基性アミノ酸としては、例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、オルニチンなどが挙げられる。これらの塩基性アミノ酸は、L体及びD体のいずれであってもよく、これらの混合物であってもよい。
塩としては、特に限定されないが、例えば、酸との塩[例えば、無機酸塩(例えば、アルギニン塩酸塩などの塩酸塩)など]が挙げられる。
これらのうち、アルギニン類[例えば、アルギニン(L−アルギニンなど)、アルギニン塩(アルギニン塩酸塩など)、これらの水和物(アルギニン塩酸塩一水和物など)など]などが好ましい。そのため、塩基性アミノ酸類は、特に、少なくともアルギニン類で少なくとも構成してもよい。
[アルドン酸類(C2)]
本発明の液剤は、さらに、アルドン酸類(C2)を含んでいてもよい。
アルドン酸類(C2)としては、例えば、アルドン酸、アルドン酸の塩(特に、薬理学的に許容可能な塩)、これらの水和物などが挙げられる。
塩としては、例えば、金属塩[例えば、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩)、周期表第13族金属塩(例えば、アルミニウム塩)、遷移金属塩(例えば、亜鉛などの塩)など]、アンモニウム塩、アミン塩[例えば、アルキルアミン塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩のトリアルキルアミン塩)、アルカノールアミン塩(例えば、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩)、環式アミン塩(例えば、ピリジン塩)]などが挙げられる。なお、塩は、単塩であてもよく、複塩であってもよい。また、同一の又は異なる酸又は塩基と塩を形成していてもよい。
代表的なアルドン酸類としては、グルコン酸類{例えば、グルコン酸、グルコン酸塩[グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸カルシウムなどのグルコン酸アルカリ又はアルカリ土類金属塩;グルコン酸亜鉛、グルコン酸銅などのグルコン酸遷移金属塩)]、これらの水和物(グルコン酸カルシウム一水和物など)など}が挙げられる。
アルドン酸類は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、アルドン酸類(C2)は、塩基性アミノ酸(C1)と併用してもよい。併用することで、より一層、優れた析出抑制効果を得やすい。
[各成分の割合]
本発明の液剤において、ポリエチレングリコール(A)の割合は、ゲムシタビン類1重量部に対して、例えば、0.01〜200重量部(例えば、0.05〜150重量部)、好ましくは0.1〜100重量部(例えば、0.3〜80重量部)、さらに好ましくは0.5〜50重量部(例えば、0.7〜30重量部)、特に1〜20重量部(例えば、1.3〜15重量部)程度であってもよく、通常1.5〜10重量部(例えば、2〜5重量部)程度であってもよい。
なお、ゲムシタビン類が、ゲムシタビンの塩や水和物などである場合、上記割合は、ゲムシタビン換算の割合であってもよい(以下、割合の記載において同じ)。
プロピレングリコール(B)の割合は、ゲムシタビン類1重量部に対して、例えば、0.01〜200重量部(例えば、0.05〜150重量部)、好ましくは0.1〜100重量部(例えば、0.2〜50重量部)、さらに好ましくは0.3〜30重量部(例えば、0.5〜20重量部)、特に0.7〜15重量部(例えば、0.8〜10重量部)程度であってもよく、通常1〜8重量部(例えば、1.2〜5重量部)程度であってもよい。
また、ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)との割合は、前者/後者(重量比)=1/0.005〜1/100(例えば、1/0.01〜1/80)、好ましくは1/0.05〜1/50(例えば、1/0.07〜1/30)、さらに好ましくは1/0.1〜1/10(例えば、1/0.15〜1/8)、特に1/0.2〜1/5(例えば、1/0.3〜1/3)程度であってもよく、通常1/0.35〜1/2(例えば、1/0.4〜1/1)程度であってもよい。
本発明の液剤が、塩基性アミノ酸類(C1)を含む場合、塩基性アミノ酸類(C1)の割合は、ゲムシタビン類100重量部に対して、例えば、0.01〜500重量部(例えば、0.05〜300重量部)、好ましくは0.1〜200重量部(例えば、0.2〜150重量部)、さらに好ましくは0.3〜100重量部(例えば、0.5〜80重量部)、特に1〜50重量部(例えば、3〜40重量部)程度であってもよく、通常5〜30重量部(例えば、10〜25重量部)程度であってもよい。
なお、塩基性アミノ酸類が、塩基性アミノ酸の塩や水和物などである場合、上記割合は、塩基性アミノ酸(アルギニンなど)換算の割合であってもよい(以下、割合の記載において同じ)。
また、塩基性アミノ酸類(C1)の割合は、ポリエチレングリコール(A)100重量部に対して、例えば、0.01〜300重量部(例えば、0.03〜200重量部)、好ましくは0.05〜150重量部(例えば、0.1〜100重量部)、さらに好ましくは0.2〜80重量部(例えば、0.3〜50重量部)、特に0.5〜40重量部(例えば、1〜30重量部)程度であってもよく、通常2〜20重量部(例えば、3〜10重量部)程度であってもよい。
さらに、塩基性アミノ酸類(C1)の割合は、プロピレングリコール(B)100重量部に対して、例えば、0.01〜500重量部(例えば、0.05〜300重量部)、好ましくは0.1〜200重量部(例えば、0.2〜150重量部)、さらに好ましくは0.3〜100重量部(例えば、0.5〜80重量部)、特に1〜50重量部(例えば、2〜40重量部)程度であってもよく、通常3〜30重量部(例えば、5〜20重量部)程度であってもよい。
さらにまた、塩基性アミノ酸類(C1)の割合は、ポリエチレングリコール(A)及びプロピレングリコール(B)の総量100重量部に対して、例えば、0.01〜250重量部(例えば、0.02〜150重量部)、好ましくは0.03〜120重量部(例えば、0.05〜100重量部)、さらに好ましくは0.1〜50重量部(例えば、0.2〜40重量部)、特に0.3〜30重量部(例えば、0.5〜20重量部)程度であってもよく、通常1〜15重量部(例えば、2〜10重量部)程度であってもよい。
本発明の液剤が、アルドン酸類(C2)を含む場合、アルドン酸類(C2)の割合は、ゲムシタビン類100重量部に対して、例えば、0.001〜200重量部(例えば、0.005〜150重量部)、好ましくは0.01〜100重量部(例えば、0.05〜80重量部)、さらに好ましくは0.1〜50重量部(例えば、0.2〜30重量部)、特に0.3〜20重量部(例えば、0.5〜15重量部)程度であってもよく、通常1〜10重量部(例えば、1.5〜8重量部)程度であってもよい。
なお、アルドン酸類が、アルドン酸の塩や水和物などである場合、上記割合は、アルドン酸(グルコン酸など)換算の割合であってもよい(以下、割合の記載において同じ)。
また、アルドン酸類(C2)の割合は、ポリエチレングリコール(A)100重量部に対して、例えば、0.001〜200重量部(例えば、0.003〜150重量部)、好ましくは0.005〜80重量部(例えば、0.01〜50重量部)、さらに好ましくは0.05〜40重量部(例えば、0.1〜30重量部)、特に0.1〜20重量部(例えば、0.2〜15重量部)程度であってもよく、通常0.5〜10重量部(例えば、1〜8重量部)程度であってもよい。
さらに、アルドン酸類(C2)の割合は、プロピレングリコール(B)100重量部に対して、例えば、0.001〜300重量部(例えば、0.01〜200重量部)、好ましくは0.02〜150重量部(例えば、0.05〜100重量部)、さらに好ましくは0.1〜80重量部(例えば、0.2〜50重量部)、特に0.3〜30重量部(例えば、0.5〜25重量部)程度であってもよく、通常1〜20重量部(例えば、1.2〜10重量部)程度であってもよい。
さらにまた、アルドン酸類(C2)の割合は、ポリエチレングリコール(A)及びプロピレングリコール(B)の総量100重量部に対して、例えば、0.001〜100重量部(例えば、0.005〜50重量部)、好ましくは0.01〜30重量部(例えば、0.015〜20重量部)、さらに好ましくは0.02〜10重量部(例えば、0.05〜8重量部)、特に0.1〜5重量部(例えば、0.2〜4重量部)程度であってもよく、通常0.3〜3重量部(例えば、0.4〜2重量部)程度であってもよい。
塩基性アミノ酸類(C1)とアルドン酸類(C2)とを併用する場合、塩基性アミノ酸類(C1)とアルドン酸類(C2)との割合は、前者/後者(重量比)=1/0.001〜1/50(例えば、1/0.005〜1/30)、好ましくは1/0.01〜1/10(例えば、1/0.02〜1/8)、さらに好ましくは1/0.03〜1/5(例えば、1/0.04〜1/3)、特に1/0.05〜1/2(例えば、1/0.07〜1/1.5)程度であってもよく、通常1/0.1〜1/1(例えば、1/0.12〜1/0.5)程度であってもよい。
本発明の液剤において、ゲムシタビン類の濃度は、例えば、0.1〜500mg/mL(例えば、0.3〜400mg/mL)、好ましくは0.5〜300mg/mL(例えば、0.7〜200mg/mL)、さらに好ましくは1〜150mg/mL(例えば、3〜120mg/mL)、特に5〜100mg/mL(例えば、10〜80mg/mL)程度であってもよく、通常10mg/mL以上[例えば、10〜60mg/mL(例えば、15〜50mg/mL)]程度であってもよい。特に、本発明の液剤では、ゲムシタビン類の濃度が、20mg/mL以上[例えば、25〜200mg/mL、好ましくは25mg/mL以上(例えば、30〜150mg/mL)、さらに好ましくは30mg/mL以上(例えば、35〜100mg/mL)]の高濃度であっても、優れた溶解性を示す。
本発明の液剤において、ポリエチレングリコール(A)の濃度は、例えば、0.1〜700mg/mL(例えば、0.5〜650mg/mL)、好ましくは1〜600mg/mL(例えば、3〜550mg/mL)、さらに好ましくは5〜500mg/mL(例えば、10〜450mg/mL)、特に20〜400mg/mL(例えば、30〜350mg/mL)程度であってもよく、通常50〜300mg/mL(例えば、100〜250mg/mL)程度であってもよい。
本発明の液剤において、プロピレングリコール(A)の濃度は、例えば、0.1〜700mg/mL(例えば、0.3〜600mg/mL)、好ましくは0.5〜500mg/mL(例えば、1〜450mg/mL)、さらに好ましくは3〜400mg/mL(例えば、5〜350mg/mL)、特に10〜300mg/mL(例えば、20〜250mg/mL)程度であってもよく、通常30〜200mg/mL(例えば、40〜150mg/mL)程度であってもよい。
本発明の液剤が、塩基性アミノ酸類(C1)を含む場合、塩基性アミノ酸類(C1)の濃度は、例えば、0.01〜100mg/mL(例えば、0.03〜80mg/mL)、好ましくは0.05〜50mg/mL(例えば、0.1〜45mg/mL)、さらに好ましくは0.3〜40mg/mL(例えば、0.5〜35mg/mL)、特に1〜30mg/mL(例えば、2〜25mg/mL)程度であってもよく、通常3〜20mg/mL(例えば、4〜15mg/mL)程度であってもよい。
本発明の液剤が、アルドン酸類(C2)を含む場合、アルドン酸類(C2)の濃度は、例えば、0.001〜30mg/mL(例えば、0.005〜20mg/mL)、好ましくは0.01〜15mg/mL(例えば、0.02〜12mg/mL)、さらに好ましくは0.05〜10mg/mL(例えば、0.1〜8mg/mL)、特に0.2〜5mg/mL(例えば、0.3〜4mg/mL)程度であってもよく、通常0.5〜3mg/mL(例えば、0.7〜2mg/mL)程度であってもよい。
また、本発明の液剤は、塩基性アミノ酸(C1)及びアルドン酸類(C2)を含む場合、塩基性アミノ酸類(C1)及びアルドン酸類(C2)の総量の濃度は、例えば、0.01〜150mg/mL(例えば、0.05〜120mg/mL)、好ましくは0.07〜100mg/mL(例えば、0.1〜80mg/mL)、さらに好ましくは0.5〜60mg/mL(例えば、0.7〜50mg/mL)、特に1〜40mg/mL(例えば、3〜35mg/mL)程度であってもよく、通常4〜30mg/mL(例えば、5〜20mg/mL)程度であってもよい。
[pH調整剤]
本発明の組成物は、pH調整剤を含んでいてもよい。
pH調整剤としては、所望のpHに応じて適宜選択でき、特に限定されない。なお、pH調整剤は、緩衝作用を有して(又は緩衝剤として機能して)いてもよい。
pH調整剤としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、ホウ酸など)、有機酸[例えば、カルボン酸(クエン酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、酢酸、シュウ酸、アジピン酸、グルコン酸など)、スルホン酸(メタンスルホン酸など)など]、水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化アルカリ又はアルカリ土類金属塩など)、アミン類[例えば、アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタンなど)]、アミノ酸(例えば、グリシンなど)、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸など)、これらの塩などが挙げられる。
塩としては、前記例示の塩などが挙げられる。具体的な塩としては、例えば、無機酸塩[例えば、リン酸塩(リン酸二水素二ナトリウムなど)、炭酸又は炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸又は炭酸水素アルカリ又はアルカリ土類金属塩など)など]、カルボン酸塩[例えば、酢酸塩(酢酸ナトリウムなど)、クエン酸塩(クエン酸三ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)などの前記例示のカルボン酸の塩(アルカリ又はアルカリ土類金属塩など)など]、エチレンジアミン四酢酸塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)などが挙げられる。
なお、これらの化合物は、水和物や無水物であってもよい。
pH調整剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
pH調整剤の割合は、所望のpHに応じて適宜選択できる。
[他の成分]
本発明の液剤は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、必要に応じて、さらに、他の成分(成分(A)、(B)、(C1)及び(C2)の範疇に属さない他の成分)を含んでいてもよい。他の成分としては、特に限定されず、例えば、等張化剤{例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、臭化ナトリウム、臭化マグネシウムなどのハロゲン化アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩)、糖類(例えば、ブドウ糖、フルクトース、乳糖、ショ糖、マルトース、トレハロース)、糖アルコール(マンニトール、ソルビトールなど)、ピロリン酸塩(ピロリン酸ナトリウムなど)、炭酸又は炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウムなど)など}、可溶化剤、抗酸化剤[例えば、アスコルビン酸、アミノ酸(システイン、メチオニンなど)、キレート形成性化合物(クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ラクトビオン酸など)、これらの塩(例えば、塩酸システイン、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウムなど)]、安定化剤(アセチルトリプトファン、ニコチンアミド、サリチル酸ナトリウムなど)、界面活性剤、消泡剤、溶解剤、溶解補助剤、分散剤、防腐剤などが挙げられる。
本発明では、このような他の成分(例えば、塩化マグネシウム、アセチルトリプトファン、ニコチンアミド、サリチル酸ナトリウムなど)を含んでいなくても、優れたゲムシタビン類の溶解性を実現できる。
これらの成分は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
[液剤の態様・性状]
本発明の液剤は、元来、液状の成分(プロピレングリコールなど)を含んでいるため、別途溶媒(溶媒成分)を含んでいなくてもよく、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、通常、水性溶媒[例えば、水、水に混和する溶媒(アルコールなど)、これらの混合溶媒]が挙げられ、溶媒は、特に水であってもよい。本発明では、アルコール(エタノールなど)などの非水溶媒を含まず、水を溶媒成分とする液剤(水溶液)においても、高い溶解性を備えているため、安全性や患者の負担が少ない液剤を効率よく提供できる。
液剤において、溶媒(特に水)の割合は、例えば、30重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上であってもよい。
本発明の液剤のpHは、酸性、中性及びアルカリ性のいずれからも選択できるが、例えば、3〜10(例えば、4〜9)、好ましくは4.5〜8.5、さらに好ましくは5〜8(例えば、5.3〜7.7)、特に5.5〜7.5(例えば、6〜7)程度であってもよい。
本発明の液剤は、弱酸〜弱アルカリ領域、特に、弱酸〜中性領域においても、優れた析出抑制効果(さらには安定性)を実現できる。
本発明の液剤は、投与方法に応じて選択できるが、特に、注射剤(又は点滴静注)の形態であってもよい。具体的な投与方法としては、静注(静脈注射)、筋肉注射、または皮下注射等が挙げられる。さらに具体的には、静注で動脈内、腹膜内、髄膜下、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内等に投与してもよく、点滴静注により投与してもよい。
本発明の液剤は、保存等に際し、通常、容器に封入されていてもよい。
そのため、本発明には、前記液剤を内部に含む容器も含まれる。このような容器は、通常、前記組成物が封入又は密閉されていてもよい。
容器としては、投与態様等に応じて適宜選択でき、例えば、瓶(バイアル瓶)、アンプル、注射器などが挙げられる。
なお、容器は、外部に包装(例えば、プラスチックフィルムによる包装)が施されていてもよい。
容器の内部は、前記液剤のみで構成してもよく、空隙(空間)を有していてもよい。このような空隙は、特に、不活性ガス(窒素ガスなど)で充填されて(又は置換されて)いてもよい。
本発明の液剤(又は容器内の液剤)は、析出が高いレベルで抑制されており、例えば、本発明の液剤を25℃で保存したとき、析出が生じるまでの日数は、2日以上(例えば、5日以上)、好ましくは10日以上(例えば、15日以上)、さらに好ましくは20日以上(例えば、25日以上)、特に30日以上(例えば、35日以上)程度であってもよく、40日以上[例えば、50日以上(例えば、60日以上)、好ましくは80日以上(例えば、100日以上)、さらに好ましくは150日以上(例えば、200日以上)、特に300日以上(例えば、350日以上)]とすることもできる。
なお、上記日数は、液剤のpHなどにも依存するが、本発明では、液剤のpHが中性付近(例えば、pH5〜8、好ましくは5.5〜7.5、さらに好ましくは6〜7)であっても、上記のような長期間析出を抑えることが可能である。
次に、実験例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
[析出の確認方法]
得られた液剤を、ガラスバイアルに入れて密封し、25℃60%RHにて保存した。析出有無の確認は、目視検査にて行った。
[熱安定性試験]
得られた液剤を、ガラスバイアルに入れて密封し、40℃75%RHにて保存した。
本品のゲムシタビン約40mgに対応する容量(本品1mLに相当)を正確に量り、水を加えて正確に20mLとした。この液5mLを正確に量り、水を加えて正確に100mLとし、試料溶液とした。
別にゲムシタビン塩酸塩約28.5mg(ゲムシタビン約25mgに相当)を精密に量り、水を加えて正確に250mLとし、標準溶液とした。
試料溶液及び標準溶液20μLずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行い、それぞれの液のゲムシタビンのピーク面積A及びAを測定した。
ゲムシタビン(C4353NO14)の量(mg)=M×0.8783×A/A×8/5/40×100
:ゲムシタビン塩酸塩の秤取量(mg)
0.8783:ゲムシタビンの分子量/ゲムシタビン塩酸塩の分子量
40:本品のゲムシタビン濃度(40mg/mL)
(試験条件)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:275nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cm(比較例10は25cm)のステンレス管に3μm(比較例10は5μm)の液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したものを用いた。
カラム温度:30℃付近(比較例10は40℃付近)の一定温度
流量:毎分1.2mL
移動相A:リン酸二水素ナトリウム二水和物15.6gを水1000mLに溶かし、リン酸を加えてpH2.5に調整
移動相B:液体クロマトグラフィー用メタノール
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて濃度勾配制御した。
Figure 2017149691
サンプルクーラー:10℃付近の一定温度
ニードル洗浄液:メタノール/水の混液(1:1)
(実施例1)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、プロピレングリコール300mgを、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、6.24であった。
(比較例1)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、塩化マグネシウム(ナカライテスク(株)製)15mgを、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、6.58であった。
(比較例2)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、ニコチン酸アミド(ナカライテスク(株)製)20mgを、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、7.02であった。
(比較例3)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、トレハロース(ナカライテスク(株)製)20mgを、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、5.97であった。
(比較例4)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、トロメタモール(ナカライテスク(株)製)13.3mgを、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、5.87であった。
(比較例5)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、リン酸水素2ナトリウム(ナカライテスク(株)製)40mgを、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、6.05であった。
(比較例6)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)500mg、塩化マグネシウム(ナカライテスク(株)製)15mg、トレハロース(ナカライテスク(株)製)20mg、リン酸水素2ナトリウム(ナカライテスク(株)製)18mg、適量のpH調整剤(塩酸及び/又は水酸化ナトリウム)を、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、5.18であった。
(比較例7)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、塩化マグネシウム(ナカライテスク(株)製)15mg、トレハロース(ナカライテスク(株)製)20mg、リン酸水素2ナトリウム(ナカライテスク(株)製)18mg、適量のpH調整剤(塩酸及び/又は水酸化ナトリウム)を、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、5.20であった。
(比較例8)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)500mg、ニコチン酸アミド(ナカライテスク(株)製)20mg、トレハロース(ナカライテスク(株)製)20mg、リン酸水素2ナトリウム(ナカライテスク(株)製)18mg、適量のpH調整剤(塩酸及び/又は水酸化ナトリウム)を、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、5.41であった。
(比較例9)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、ニコチン酸アミド(ナカライテスク(株)製)20mg、トレハロース(ナカライテスク(株)製)20mg、リン酸水素2ナトリウム(ナカライテスク(株)製)18mg、適量のpH調整剤(塩酸及び/又は水酸化ナトリウム)を、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、5.27であった。
実施例1、比較例1〜9で得られた各液剤について、析出が生じるまでの期間を観察又は測定した。結果を下記表に示す。
Figure 2017149691
上記表から明らかなように、ゲムシタビン類に対して、ポリエチレングリコールとプロピレングリコールとを組み合わせることで、40mg/mLという高濃度で、しかも、pH中性付近であるにもかかわらず、析出までの日数が長く、溶解性に優れた液剤が得られた。一方、ポリエチレングリコールと、特許文献1や2で使用された成分を含めた種々の成分とを組み合わせても、析出までの日数を長期にすることができなかった。
(実施例2)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、プロピレングリコール300mg、L−アルギニン(ナカライテスク(株)製)30mgを、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、6.58であった。
(実施例3)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、プロピレングリコール300mg、グルコン酸ナトリウム(ナカライテスク(株)製)5mgを、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、6.24であった。
(実施例4)
ゲムシタビン塩酸塩(Sun Pharmaceutical Industries Ltd製)228mg(ゲムシタビン換算で200.0mg)、マクロゴール300(ナカライテスク(株)製)700mg、プロピレングリコール300mg、L−アルギニン(ナカライテスク(株)製)30mg、グルコン酸ナトリウム(ナカライテスク(株)製)5mgを、注射用水に溶解し、5mLの液剤を得た。なお、得られた液剤のpHは、6.24であった。
実施例2〜4で得られた各液剤について、析出が生じるまでの期間を観察又は測定した。結果を下記表に示す。
Figure 2017149691
上記表から明らかなように、ゲムシタビン類に対して、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールに加えて、塩基性アミノ酸類やアルドン酸類を組み合わせることで、さらに、析出までの日数を大きく延長できた。このような効果は、塩基性アミノ酸類とアルドン酸類を組み合わせることで、より顕著であった。
次に、本発明の液剤の熱安定性を評価した。評価に用いた液剤の処方を、下記表に示す。
Figure 2017149691
なお、実施例5〜7において、pH調整剤には、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムを用いた。また、比較例10には、ゲムシタビン液剤の市販品(サンド(株)製、ゲムシタビン点滴静注液200mg/5mL「サンド」)を用いた。
熱安定性を評価した結果を下記表に示す。
Figure 2017149691
上記表の結果から明らかなように、本発明の処方は、中性付近のpHであっても、長期に亘って安定であった。これに対して、市販のゲムシタビン液剤では、酸側のpHであるにもかかわらず、時間経過とともに含量が低下した。
本発明により、ゲムシタビン類の溶解性および/または安定性に優れた液剤を得ることができる。

Claims (12)

  1. ゲムシタビン類と、ポリエチレングリコール(A)と、プロピレングリコール(B)とを含む液剤。
  2. ポリエチレングリコール(A)が常温で液状である請求項1記載の液剤。
  3. ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.05〜1/50である請求項1又は2記載の液剤。
  4. 溶媒成分として水を含み、ゲムシタビン類の濃度が10mg/mL以上であり、pHが4.5〜8.5である請求項1〜3のいずれかに記載の液剤。
  5. ゲムシタビン類の濃度が20mg/mL以上であり、
    ポリエチレングリコール(A)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して0.5〜50重量部であり、
    プロピレングリコール(B)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して0.3〜30重量部であり、
    ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.2〜1/5であり、
    溶媒成分として水を含むpH5〜8の液剤である請求項1〜4のいずれかに記載の液剤。
  6. さらに、塩基性アミノ酸類(C1)及びアルドン酸類(C2)から選択された少なくとも1以上の成分(C)を含む請求項1〜5のいずれかに記載の液剤。
  7. 成分(C)が、塩基性アミノ酸類(C1)及びアルドン酸類(C2)を含む請求項6記載の液剤。
  8. 塩基性アミノ酸類(C1)とアルドン酸類(C2)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.01〜1/10である請求項7記載の液剤。
  9. 塩基性アミノ酸類(C1)がアルギニン類であり、アルドン酸類(C2)がグルコン酸類である請求項6〜8のいずれかに記載の液剤。
  10. 塩基性アミノ酸類(C1)を含む場合、塩基性アミノ酸類(C1)の割合が、ゲムシタビン類100重量部に対して、0.1〜200重量部であり、
    アルドン酸類(C2)を含む場合、アルドン酸類(C2)の割合が、ゲムシタビン類100重量部に対して、0.01〜100重量部である請求項6〜9のいずれかに記載の液剤。
  11. ゲムシタビン類と、ポリエチレングリコール(A)と、プロピレングリコール(B)と、塩基性アミノ酸類(C1)及びアルドン酸類(C2)から選択された少なくとも1以上の成分(C)とを含み、
    ゲムシタビン類の濃度が20mg/mL以上であり、
    ポリエチレングリコール(A)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して0.5〜50重量部であり、
    プロピレングリコール(B)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して0.3〜30重量部であり、
    ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.2〜1/5であり、
    塩基性アミノ酸類(C1)を含む場合、塩基性アミノ酸類(C1)の割合が、ゲムシタビン類100重量部に対して0.3〜100重量部であり、
    アルドン酸類(C2)を含む場合、アルドン酸類(C2)の割合が、ゲムシタビン類100重量部に対して0.1〜50重量部であり、
    塩基性アミノ酸類(C1)とアルドン酸類(C2)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.03〜1/5であり、
    溶媒成分として水を含むpH5〜8の液剤である請求項1〜10のいずれかに記載の液剤。
  12. ゲムシタビン類と、常温で液状のポリエチレングリコール(A)と、プロピレングリコール(B)と、塩基性アミノ酸類(C1)と、アルドン酸類(C2)とを含み、
    ゲムシタビン類の濃度が20mg/mL以上であり、
    ポリエチレングリコール(A)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して1〜20重量部であり、
    プロピレングリコール(B)の割合がゲムシタビン類1重量部に対して0.7〜15重量部であり、
    ポリエチレングリコール(A)とプロピレングリコール(B)との割合が、前者/後者(重量比)=1/0.3〜1/3であり、
    塩基性アミノ酸類(C1)の割合が、ゲムシタビン類100重量部に対して1〜50重量部であり、
    アルドン酸類(C2)の割合が、ゲムシタビン類100重量部に対して0.3〜20重量部であり、
    塩基性アミノ酸類(C1)がアルギニン類であり、アルドン酸類(C2)がグルコン酸類であり、
    溶媒成分として水を含むpH5.5〜7.5の液剤である請求項1〜10のいずれかに記載の液剤。
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