JP2017148972A - 樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出感度に優れた分析装置を実現するために有用な、低自家蛍光性という観点において優れた樹脂成形体の製造技術を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂組成物を射出成形して樹脂成形体を得る工程を有し、前記樹脂成形体を得る工程が、前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形機500に備わるシリンダー400の内部に供給する工程と、前記シリンダー400から前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形用金型内に注入する工程と、を含み、前記供給する工程の前に、前記熱可塑性樹脂組成物を導入するために前記射出成形機500に備わるホッパー200の内部に、不活性ガスを充満させる工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂成形体の製造方法に関する。
サンプルの分離システムや検出システムなどを小型のチップ上に集積したLab−on−a−chip(ラボ・オン・ア・チップ)に代表される半導体技術や微細加工技術を応用したマイクロ流路デバイス用の樹脂基板を製造する技術について、種々の報告がなされている。
たとえば、特許文献1には、成形金型によって形成されたキャビティ空間内に射出成形機に備わるゲート部を通して樹脂を射出した後、得られた射出成形品をランナーから切り離すことによりマイクロチップ用の樹脂製基板が得られる製造プロセスが記載されている。このように、マイクロ流路デバイス用の樹脂基板は、当該樹脂基板を射出成形して作製することが一般的であった。
特開2009−166416号公報
近年、マイクロ流路デバイスの高機能化について要求される技術水準は、ますます高くなってきている。こうした事情に鑑みて、本発明者は、従来の製造プロセスにより得られた樹脂成形体を基板として備えた蛍光検出型のマイクロ流路デバイスについて考察した結果、検出感度という観点において改善の余地があることを知見した。そこで、本発明者は、従来の製造プロセスにより得られた樹脂成形体を基板として備えた蛍光検出型のマイクロ流路デバイスにおいて検出感度が十分に向上しない要因について鋭意検討した結果、かかる樹脂成形体から放出される微量の自家蛍光が、検出感度を低減させている要因の1つとなっていることを見出した。また、本発明者は、樹脂成形体から放出される自家蛍光の量が、原料である樹脂組成物が酸化された量に応じて変動している可能性があることも見出した。なお、上記自家蛍光は、通常、目的の蛍光シグナルに重なるバックグラウンド蛍光として検出されることが知られている。
また、本発明者は、上述した不都合を解消した低自家蛍光性という観点において優れた樹脂成形体を実現できた場合、得られた樹脂成形体を、蛍光検出型のマイクロ流路デバイス用樹脂基板に限らず、構成部材の自家蛍光が検出感度に影響を及ぼす可能性を有した光導波路、細胞培養装置、蛍光顕微鏡、蛍光内視鏡およびイムノクロマト法用検出シート等を構成する部材としても利用できると考えた。
そこで、本発明は、検出感度に優れた分析装置を実現するために有用な、低自家蛍光性という観点において優れた樹脂成形体の製造技術を提供する。
本発明によれば、熱可塑性樹脂組成物を射出成形して樹脂成形体を得る工程を有し、
前記樹脂成形体を得る工程が、
前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形機に備わるシリンダーの内部に供給する工程と、
前記シリンダーから前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形用金型内に注入する工程と、
を含み、
前記供給する工程の前に、前記熱可塑性樹脂組成物を導入するために前記射出成形機に備わるホッパーの内部に、不活性ガスを充満させる工程を含む、樹脂成形体の製造方法が提供される。
本発明によれば、検出感度に優れた分析装置を実現するために有用な、低自家蛍光性という観点において優れた樹脂成形体の製造技術を提供できる。
本実施形態に係る製造方法に使用可能な射出成形機に備わる射出部の一例を示す概略図である。 本実施形態に係るマイクロ流路デバイスを、流体の流動方向に向かって垂直な方向から見た図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<樹脂成形体の製造方法>
本実施形態に係る樹脂成形体の製造方法(以下、本製造方法とも示す。)は、熱可塑性樹脂組成物を射出成形して樹脂成形体を得る工程を有する。かかる樹脂成形体を得る工程は、熱可塑性樹脂組成物を射出成形機に備わるシリンダーの内部に供給する工程と、シリンダーから熱可塑性樹脂組成物を射出成形用金型内に注入する工程と、を含む。そして、本実施形態に係る樹脂成形体の製造方法においては、上記供給する工程の前に、熱可塑性樹脂組成物を導入するために射出成形機に備わるホッパーの内部に、不活性ガスを充満させる工程を含む。こうすることで、検出感度に優れた分析装置を実現するために有用な、低自家蛍光性という観点において優れた樹脂成形体を得ることができる。具体的には、本実施形態に係る製造方法によれば、ホッパーに対する不活性ガスの単位時間当たりのパージ量等を調整して、射出成形機に備わるシリンダー内部の酸素濃度を制御するため、所望の樹脂成形体を作製するために用いる熱可塑性樹脂組成物が射出成形機内で酸化されることを抑制することが可能となる。そのため、本実施形態に係る製造方法によれば、従来の製造プロセスと比べて、最終生成品である樹脂成形体から放出される自家蛍光量を低減することが可能となる。
以下、本製造方法により作製する樹脂成形体に関し、マイクロ流路デバイス用樹脂基板を例に挙げて説明するが、該樹脂成形体の用途についてはこれに限定されるものではない。かかる樹脂成形体の用途としては、蛍光検出型のマイクロ流路デバイス用樹脂基板の他に、構成部材の自家蛍光が検出感度に影響を及ぼす可能性を有する分析装置が挙げられ、具体的には、光導波路、細胞培養装置、蛍光顕微鏡、蛍光内視鏡およびイムノクロマト法用検出シート等を構成する部材等が挙げられる。
まず、本製造方法においては、熱可塑性樹脂組成物を準備する。かかる熱可塑性樹脂組成物は、その名の通り、熱可塑性樹脂を含む。かかる熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種環状ポリオレフィン、ポリメチルメタアクリレート、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。中でも、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、シクロオレフィンコポリマーやシクロオレフィンポリマー等のポリオレフィンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれか1種以上の熱可塑性樹脂を含むものが好適である。中でも、成形性や成形した樹脂基板の硬度、耐薬液性の観点から、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリオレフィンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれか1種以上の熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、シクロオレフィンポリマーおよびシクロオレフィンコポリマー等のポリオレフィンを含むものが特に好ましい。
また、本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物は、最終生成品である樹脂成形体から放出される自家蛍光量を高度に低減する観点から、酸化防止剤を含むことが好ましい。かかる酸化防止剤としては、アルキルフェノール、アルキレンビスフェノール、β,β'−チオプロピオン酸エステル、有機亜リン酸エステル、アルキルフェノールチオエーテル、芳香族アミン、フェノール・ニッケル複合体等が挙げられる。これらは、熱可塑性樹脂組成物中に、1種単独で配合してもよいし、2種以上を混合して配合してもよい。
また、上述した酸化防止剤の含有量は、最終生成品である樹脂成形体から放出される自家蛍光量を高度に低減する観点から、本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物全量に対して、好ましくは、0.01重量%以上1重量%以下であり、さらに好ましくは、0.05重量%以上0.5重量%以下であり、最も好ましくは、0.1重量%以上0.5重量%以下である。
また、本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲であれば、顔料、染料、難燃剤等の添加物をさらに含んでいてもよい。
次に、本製造方法におけるホッパーの内部に不活性ガスを充満させる工程について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る製造方法に使用可能な射出成形機に備わる射出部の一例を示す概略図である。
本製造方法においては、樹脂成形体を作製するために用いる射出成形機500の内部環境条件を制御することが重要である。具体的には、準備した熱可塑性樹脂組成物を導入するために射出成形機に設けられた部材、すなわち、射出成形機500に備わるホッパー200と、シリンダー部材(シリンダー400)との接合箇所に設けられたガス導入孔300から、ホッパー200内に不活性ガスを充満させる(不活性ガスをパージする。)。こうすることによって、ホッパー200内の酸素を予め外部に追い出すことが可能となるため、結果として、準備した熱可塑性樹脂組成物をシリンダー400の内部に供給する際に、熱可塑性樹脂組成物とともに酸素ガスが導入されてしまうことを防ぐことができる。具体的には、本製造方法においては、シリンダー400の内部に、準備した熱可塑性樹脂組成物を供給する際における、シリンダー400内の酸素濃度が0.1体積%以下となるように、上述した不活性ガスをホッパー200内に充満させておくことが好ましい。こうすることで、シリンダー400の内部に、準備した熱可塑性樹脂組成物を供給する前段階において、シリンダー400内部のガス組成を調整することが可能となり、該熱可塑性樹脂組成物が酸化されてしまうことを抑制することができる。また、かかる不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス等を好適に使用することができる。
また、上述した不活性ガスは、熱可塑性樹脂組成物を射出成形機500に備わるシリンダー400の内部に供給する際においても、ホッパー200内に導入し続けることが好ましい。
本製造方法においては、上述のように、準備した熱可塑性樹脂組成物をシリンダー400の内部に供給する工程の前段階において、シリンダー400内の酸素濃度が大気中濃度よりも低くなるように、シリンダー400内部のガス組成を調整する。ここで、シリンダー400の内部に対して準備した熱可塑性樹脂組成物を供給する際における、シリンダー400内の酸素濃度は、最終生成品である樹脂成形体から放出される自家蛍光量を高度に低減する観点から、好ましくは、0.1体積%以下であり、さらに好ましくは、0.07体積%以下であり、最も好ましくは、0.05体積%以下である。なお、シリンダー400内の酸素濃度の下限値は、0体積%に近ければ近いほど好ましい。ここで、シリンダー400内の酸素濃度を制御するためには、ホッパー200に対する不活性ガスの単位時間当たりのパージ量等を調整することが重要である。
次に、準備した熱可塑性樹脂組成物を射出成形機500に備わるシリンダー400の内部に供給する。このとき、シリンダー400の内部の温度は、かかる熱可塑性樹脂組成物の配合組成に応じて変動するものではあるが、たとえば、導入した樹脂組成物を溶融させる観点から、好ましくは、180℃以上320℃以下であり、さらに好ましくは、200℃以上300℃以下である。
その後、シリンダー400から、溶融した熱可塑性樹脂組成物を射出成形用金型内に射出(注入)し、金型内で流動状態にある熱可塑性樹脂組成物を固化させてから、射出成形用金型に備わるゲートに沿って射出成形品を分断する。このとき、射出成形品の分断面には、樹脂残りが発生する可能性がある。そのため、かかる樹脂残りを除去すべく、射出成形品の分断面については溶融加工して滑らかな形状に成形しなおすことが好ましい。
また、本製造方法において射出成形用金型は、樹脂成形品自体を加工することなく所望の用途で使用するために、凸部加工が施されたものであってもよいし、かかる凸部加工が施されていないものであってもよい。ただし、本製造方法により得られた樹脂成形品として、マイクロ流路デバイス用樹脂基板を凸部加工が施されていない射出成形用金型で作製する場合には、流路溝を形成するために、射出成形品に対して切削加工などの加工処理を施してもよい。
本製造方法においては、上述した方法で所望の樹脂成形体を作製することができる。かかる樹脂成形体は、当該樹脂成形体に対して波長532nmの励起光を照射した場合における、当該樹脂成形体の波長570nmでの蛍光発光強度(波長570nmでのバックグラウンド蛍光の発光強度)は、好ましくは13000以下であり、さらに好ましくは、11000以下であり、よりさらに好ましくは、10500以下である。こうすることで、樹脂成形体から放出される自家蛍光による影響を無視できる程度に優れた検出感度を実現することができる。なお、上記波長570nmでのバックグラウンド蛍光の発光強度は、0に近い値を示すほど好ましい。
以下、本実施形態の製造方法により得られる樹脂成形体をマイクロ流路デバイス用樹脂基板として用いたマイクロ流路デバイスの構成例について図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係るマイクロ流路デバイス100を、流体の流動方向に向かって垂直な方向から見た図である。ここで、図2に示すマイクロ流路デバイス100は、2種の流体試料を供給することを前提に2つの流路を備えたものである。ただし、本実施形態に係るマイクロ流路デバイス100は2種以上の流体を供給可能なものとする観点から、2以上の流路を備えたものであってもよい。
本実施形態に係るマイクロ流路デバイス100は、一方の面に2種以上の流体をそれぞれ供給するための複数の流路が設けられた樹脂基板60と、樹脂基板60における溝が設けられている側の面に接合された樹脂フィルム(図示せず)と、を備えたものである。そして、かかるマイクロ流路デバイス100は、樹脂基板60に設けられた複数の流路が、1の流体を供給するための第1の流路20と、上記1の流体とは異なる他の流体を供給するための第2の流路40とを含む。
また、本実施形態に係るマイクロ流路デバイス100における樹脂基板60に設けられた各流路(第1の流路20および第2の流路40)の最上流部には、分析試料である流体を供給するための供給孔10および30が設けられている。さらに、かかる樹脂基板60に設けられた各流路(第1の流路20および第2の流路40)の最下流部には、分析試料である流体を回収するための排出孔70が設けられている。そして、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100においては、第1の流路20と第2の流路40とが、第1の流路20および第2の流路40のそれぞれに設けられている供給孔10および30よりも下流側の位置において、互いに連通する交差部50を形成している。
ここで、上記樹脂基板の平面形状は、分析手法や分析装置に適した形状であれば、どのような形状であってもよいが、たとえば、正方形状、矩形状、円形状などの形状とすることができる。また、その大きさは、ハンドリング性や分析容易性の観点から、好ましくは、10mm×10mm以上200mm×200mm以下であり、より好ましくは、10mm×10mm以上100mm×100mm以下である。
そして、樹脂基板の表面に形成されている溝の断面形状は、どのような形状であってもよいが、流体を効率よく送液する観点から、半円形状であることが好ましい。
また、本実施形態に係るマイクロ流路デバイス100において、樹脂基板に設けられた複数の流路(第1の流路20および第2の流路40)の表面、すなわち、樹脂基板に設けられた溝を覆う樹脂フィルムの表面の、水に対する接触角は、好ましくは、20°以上90°以下であり、さらに好ましくは、25°以上60°以下である。こうすることで、流路内に気泡が残留してしまうことや、流体が接触する流路の側壁部材の親水性(濡れ性)により、流体と上記側壁部材との間に発生する表面張力が増大することを効果的に抑制することができる。そのため、結果として、スムーズな試料の送液が可能になる。
また、本実施形態に係るマイクロ流路デバイス100は、液状試料の処理又は分析に用いられる。ここで液状試料としては、液体であれば特に限定されないが、たとえば汗、血液、浸出液、間質液、尿、組織抽出液、液状試薬等が挙げられる。また、液状試料の処理としては、たとえば液状試料内の特定物質の検出、定量や、液状試料の分離、混合等が挙げられる。
また、本実施形態に係るマイクロ流路デバイス100は、具体的には、微細な流路、反応層、電気誘導カラム、膜分離機構などの構造が形成された構造体である。具体的には、マイクロ流路デバイス10としては、化学、生化学等に広く利用される微細反応デバイス(マイクロリアクター);集積型DNA分析デバイス、微小電気泳動デバイス、微小クロマトグラフィーデバイス等の微小分析デバイス;質量スペクトルや液体クロマトグラフィーなどの分析試料調整用微小デバイス;抽出、膜分離、透析などの物理化学的処理デバイス等が挙げられる。
このようなデバイスを用いる利点としては、(1)化学反応や抗原抗体反応で使用するサンプルや試薬の使用量、排気量を低減できること、(2)プロセスに必要な動力の低減ができること、(3)体積に対する表面積の比率が向上することにより、熱移動・物質移動の高速化が実現でき、その結果、反応や分離の精密な制御、高速・高効率化、副反応の抑制ができること、(4)同一基板上で多くのサンプルを同時に取り扱うことができること、(5)サンプリングから検出までを同一基板上で実施できること、(6)省スペースで持ち運び可能な安価なシステムが実現できること等が挙げられる。これらの利点を更に増強すべく、より微細な構造を形成することが求められている。一方、流体の流れや動きは流路構造に強く依存することから、所望の微細構造を高い精度で形成することが重要となっている。
くわえて、本実施形態にかかるマイクロ流路デバイス100には、流体の送液特性を向上させたり、分析試料の反応特性などを向上させる観点から、膜、バルブ、センサー、モーター、ミキサー、ギア、クラッチ、マイクロレンズ、電気回路等を装備させたり、複数本のマイクロチャネルを同一基板上に加工することにより複合化して用いてもよい。
次に、マイクロ流路デバイスの製造方法について説明する。
まず、上述した方法で得られた樹脂成形体からなる樹脂基板60を準備する。
次いで、樹脂基板60における溝が設けられている側の面に対して接合させる樹脂フィルムを準備する。かかる樹脂フィルムは、樹脂基板60との密着性を良好なものとする観点から、上記樹脂基板60を形成する樹脂組成物と同じ材料で形成したものであることが好ましい。そのため、樹脂フィルムを形成する材料としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種環状ポリオレフィン、ポリメチルメタアクリレート、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等の樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を使用することができる。中でも、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマーおよびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれか1種以上の熱可塑性樹脂を含むものが好適である。特に、成形性、耐薬液性の観点から、シクロオレフィンポリマーまたはシクロオレフィンコポリマーを含むものが好ましい。また、上述した樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲であれば、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤等の添加物をさらに含んでいてもよい。
また、樹脂フィルムの厚さは、好ましくは、0.01mm以上1mm以下であり、さらに好ましくは、0.02mm以上0.8mm以下である。樹脂フィルムの厚さを上記上限値以下とすることで、光透過性や熱伝導性を良好なものに保持することができる。一方、樹脂フィルムの厚さを上記下限値以上とすることで、本マイクロ流路チップ100に分析試料である流体を供給した際に、かかる流体により当該樹脂フィルムが腐食されることを抑制することができる。また、樹脂基板に対して樹脂フィルムを貼り合わせる際に、当該樹脂フィルムにシワが発生することを抑制し、流路の表面を十分に密閉することが可能となる。
次に、上述した手法で作製した樹脂基板における溝が設けられている側の面に対して樹脂フィルムを接合させる。こうすることで、所望のマイクロ流路デバイス100を得ることができる。樹脂フィルムの接合手法としては、接着剤を用いる手法、熱圧着法、超音波接合法等が挙げられるが、流路の形状安定性を保持する観点から、熱圧着法が好ましい。
ここで、本実施形態にかかるマイクロ流路デバイス100に備わる樹脂基板に設けられた複数の表面、すなわち、樹脂基板に設けられた溝を覆う樹脂フィルムの表面は、親水化処理や表面処置官能基の形成処理等の表面処理が施されていてもよい。こうすることで、流体が接触する流路の側壁部材の親水性が向上するため、流体と上記側壁部材との間に発生する表面張力が増大することを効果的に抑制することができる。そのため、結果として、スムーズな試料の送液が可能になる。このような観点から、本製造方法においては、樹脂基板に対して樹脂フィルムを接合した後、樹脂基板における溝の表面を覆う樹脂フィルムに対して、含酸素官能基を導入するために、プラズマ処理、コロナ放電処理、エキシマレーザー処理、フレーム処理または親水性ポリマーによる表面コート処理を行うことが好ましい。中でも、安定的な送液を実現する観点から、プラズマ処理、コロナ放電処理、または親水性ポリマーによる表面コート処理を行うことが好ましい。また、上述した含酸素官能基としては、アルデヒド基やケトン基などのカルボニル基、カルボキシル基、水酸基、エーテル基、パーオキサイト基、エポキシ基などの極性を有した官能基群が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜4]
<マイクロ流路デバイス用溝付き樹脂基板の作製>
まず、図1に示す射出成形機500を準備し、かかる射出成形機500に備わるガス導入孔300から、ホッパー200内に窒素ガスをパージした。なお、ホッパー200内への窒素ガスパージは、後述する射出成形が完了するまで継続した。また、各実施例におけるホッパー200に対する単位時間当たりの窒素ガスパージ量は、シリンダー400内の酸素濃度が下記表1に示す条件を満たすように、適宜、調整した。
次に、ホッパー200内に対して、準備したポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製)を導入し、シリンダー400の内部に上記樹脂材料を供給した。その後、金型温度80℃、溶融温度280℃、射出速度100mm/sec、射出圧力700barの製造条件により作成した元基板を、切削加工により加工し、図2に示す構造の各実施例に係るマイクロ流路デバイス用溝付き樹脂基板60をそれぞれ作製した。得られた溝付き樹脂基板60に設けられた流路溝の深さは、いずれも、0.050mmであった。
<マイクロ流路デバイスの作製>
上述した方法により得られた各実施例に係るマイクロ流路デバイス用溝付き樹脂基板60において流路溝が設けられている側の面に対し、ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製)を射出成形して得られた樹脂フィルムを積層し、ヒーターを用いて加熱圧着して接合することにより、各実施例に係るマイクロ流路デバイスを作製した。
[比較例1]
射出成形機500に備わるガス導入孔300から、ホッパー200内に窒素ガスをパージしなかった点以外は、実施例と同様の方法でマイクロ流路デバイスを作製した。
ここで、各実施例および比較例に関するシリンダー400内の酸素濃度は、ホッパー200内に対してポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製)を導入した状態(シリンダー400の内部には上記ポリオレフィン樹脂が供給されてない状態)で測定した。また、各実施例および比較例に関するシリンダー400内の酸素濃度に係る測定結果は、下記表1に示す。
ここで、各実施例に関するシリンダー400内の酸素濃度は、以下の手法で測定した。
ホッパー200内に対してポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製)を導入した状態(シリンダー400の内部には上記ポリオレフィン樹脂が供給されてない状態)で、該ホッパー200内にガス導入孔300から窒素ガスをパージし続けながら、シリンダー400の内部における酸素濃度を測定した。その後、シリンダー400の内部における酸素濃度が一定となった時点での数値を、各マイクロ流路デバイスの製造条件に係るシリンダー400内の酸素濃度として評価した。なお、ホッパー200に対する単位時間当たりの窒素ガスパージ量は、上述したマイクロ流路デバイス用溝付き樹脂基板の作製時と同じ条件となるように設定した。
実施例及び比較例で得られたマイクロ流路デバイスを用いて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<評価項目>
・マイクロ流路デバイスの波長570nmにおける蛍光発光強度:実施例及び比較例で得られたマイクロ流路デバイスの流路溝に対して、共焦点レーザースキャナ(日立ソフト社製、CRBIO−II)を用いて波長532nmの励起光を照射し、波長570nmにおけるバックグラウンド蛍光の発光強度を、該マイクロ流路デバイスの自家蛍光量として測定した。
Figure 2017148972
各実施例のマイクロ流路デバイスは、比較例1のマイクロ流路デバイスと比べて、バックグラウンド蛍光の発光強度が低いため、低自家蛍光性という観点において優れたものであるといえる。そのため、各実施例のマイクロ流路デバイスは、比較例1のマイクロ流路デバイスと比べて、検出感度に優れた蛍光検出型の分析装置を実現するために有効であるものと考えられる。
10 供給孔
20 第1の流路
30 供給孔
40 第2の流路
50 交差部
60 樹脂基板
70 排出孔
100 マイクロ流路デバイス
200 ホッパー
300 ガス導入孔
400 シリンダー
500 射出成形機

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂組成物を射出成形して樹脂成形体を得る工程を有し、
    前記樹脂成形体を得る工程が、
    前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形機に備わるシリンダーの内部に供給する工程と、
    前記シリンダーから前記熱可塑性樹脂組成物を射出成形用金型内に注入する工程と、
    を含み、
    前記供給する工程の前に、前記熱可塑性樹脂組成物を導入するために前記射出成形機に備わるホッパーの内部に、不活性ガスを充満させる工程を含む、樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記シリンダーの内部に供給する工程における前記シリンダー内の酸素濃度が0.1体積%以下となるように、前記不活性ガスを充満させる工程において前記不活性ガスを充満させる、請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂組成物が、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリオレフィンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択されるいずれか1種以上の熱可塑性樹脂を含む、請求項1または2に記載の樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記樹脂成形体が、マイクロ流路デバイス用樹脂基板である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂成形体の製造方法。
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