JP2017147068A - 化学電池、化学電池に用いる活物質、活物質生成装置、及び活物質生成方法 - Google Patents

化学電池、化学電池に用いる活物質、活物質生成装置、及び活物質生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】化学電池用としてエネルギー密度の高める金属活物質を提供する。【解決手段】亜鉛空気電池210は、セル内に充填された電解液215に浸漬されるように離間して配置された空気極212及び燃料極213を備えている。燃料極213は、多孔質の亜鉛粒状体を活物質として前記電解液215に接した状態で支持する。【選択図】図3

Description

本発明は、少なくとも正極、負極の2つの電極を備えた一次、二次の化学電池に関し、さらに電池燃料としての活物質とその生成方法及び装置に関する。
近年、電極用金属の化学反応を用いた様々な化学電池が実用化されている。その中の1つに金属空気電池がある。金属空気電池は、空気極(正極)、燃料極(負極)、及び電解質(または電解液)等で構成されており、電気化学的な反応により、亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カルシウム、及びリチウム等の金属が金属酸化物に変化する過程で得られる電気エネルギーを取り出して利用する。
例えば、燃料極として亜鉛を用いた金属空気電池では、放電時に燃料極及び空気極において、以下のような反応が起こる。燃料極では、亜鉛と水酸化物イオンとが反応することで、水酸化亜鉛が生成されると共に、放出された電子が空気極へ流れる。生成された水酸化亜鉛は、酸化亜鉛と水とに分解されて、電解液内に水が戻る。一方、空気極では、空気中に含まれる酸素と、燃料極から流れてきた電子とが、空気極触媒によって水と反応し、水酸化物イオンに変化する。水酸化物イオンは、電解液中をイオン伝導し、燃料極へ到達する。このようなサイクルにより、金属空気電池は、空気極から取り込んだ酸素を利用し、燃料極の亜鉛を燃料として酸化亜鉛を形成しながら、連続的な電力の取り出しを実現している。一般的な電池は、反応に必要な正極、負極、及び電解質を電池(セル)に内蔵しており、内蔵した物質から電力を取り出している。これに対し、金属空気電池は、上述したように、セル内に正極の活物質である酸素を内蔵していないため、他の物質の割合を増やすなどして、エネルギー密度を高くすることができる。理論的なエネルギー密度は、リチウムイオン電池よりも高くできる可能性がある。現在、金属空気電池は、補聴器用のボタン電池(一次電池)等の用途で既に実用化されている。
一方、二次電池に関しては、様々な研究が取り組まれている。しかし、例えば、2極方式の場合、充電によって燃料極が再生されても、空気極が酸化消耗して、耐用期間が短くなるという問題があり、充放電反応に適した安価な空気極の実現が困難である等の課題からいまだ実用化されていない。
上述した充電の課題を解決するために、充電時に空気極を使わず、第3の電極を用いる3極方式の金属空気電池が検討されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の充電式空気電池は、空気極及び金属電極に加えて、補助電極を備えた3極方式とされている。具体的には、図17に示す要部断面図において、充電式空気電池910は、電解液916が入れられたケース913と、ケース913の側面に設けられた空気極911と、電解液916中に配置された金属電極912及び補助電極915とで電池部が構成され、電池部の外部に設けられた光電変換部918及び負荷917に接続されている。負荷917は、空気極911と金属電極912との間に接続されており、電池部での放電反応によって電力が供給される。光電変換部918は、金属電極912と補助電極915との間に接続されており、光電変換部918と補助電極915との間には、ダイオード914が設けられている。光電変換部918は、光が照射されると電圧を誘起して、金属電極912と補助電極915との間で充電反応を行わせ、金属電極912の充電を行う。
また、3極方式とは異なる方法として、燃料極を丸ごと交換するメカニカルチャージ(機械式充電)も検討されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の金属−空気電池用ケースは、空気を正極とし、かつ、負極となる金属部と、金属部が通過可能な出入口が形成された筐体と、筐体内に設けられ、金属部を収納する収納部とを備えている。さらに、3極方式において、3極目の補助極に、板状又はペレット状、ペースト状にされた亜鉛燃料を使用することで発電を可能にして、空気極と負極間での放電終了後も継続的に電源供給し得るハイブリッド型の化学電池が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−133328号公報 特開2004−362869号公報 特開2015−002040号公報
上述のように、金属空気電池をはじめ一般的な化学電池はセル内に電解質(電解液)を内蔵しているが、活物質の量に比べて電解質(電解液)の量が少ないと、電解質の量による律束によって、活物質が残っていても反応が停止し、電気エネルギーが取り出せなくなるといった課題があった。例えば、上述した金属空気電池の一種である亜鉛空気電池では、本発明者等が鋭意検討した結果、活物質として厚さ1mmの亜鉛平板を用いた場合、電解液量1ml(ミリリットル)当たり放電できる容量は、0.13Ah(アンペア・時)である。放電容量を増やそうとすると、電解液の量も多く必要となり、電池のエネルギー密度を向上するための大きな制約条件となっていた。また、特許文献3のハイブリッド型の化学電池は、補助極に板状等の亜鉛燃料を付加して電池容量の増大を実現にしているが、好ましくは電池容量をより増大させることが望まれる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、単位電解液量当たりの放電容量が大きく、エネルギー密度が向上可能な化学電池並びに化学電池用の活物質、さらにその生成装置及び生成方法を提供することを目的とする。
本発明に係る活物質は、化学電池に供され、多孔質の金属粒状体からなるものである。活物質としては、亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カルシウム、及びリチウム等の金属が適用される。化学電池は、かかる金属が金属酸化物に変化する過程で得られる電気エネルギーを取り出すようにしたものである。多孔質(ポーラス)状の活物質は、従来の非多孔質(ポーラス)状の活物質に比べて比表面積が大きいため、電解液量当たりの発電量が大きくなる。その結果、化学電池用としてエネルギー密度の高い活物質が提供できる。
また、活物質は、亜鉛であることを特徴とする。活物質が亜鉛であれば、容易に多孔質(ポーラス)状の活物質を作製することが可能である。
また、前記粒状体は、粒子径をD(cm)、前記活物質の比重をρ(g/cm)としたとき、比表面積Sw(cm2/g)が、
Sw>4πD2/(ρV)
但し、V=4πD/3(cm
であり、より好ましくは、前記比表面積Sw(cm2/g)が、
Sw>8πD2/(ρV)
であることを特徴とする。これらの条件を満たす活物質を生成することで、比表面積の大きな活物質粒状体が得られる。
また、前記粒状体の円形度をφ、比表面積をSw、全粒子が球形であると仮定した場合の比表面積をScとしたとき、
(Sw/Sc)−1>399.14×{(1/φ)−1}3.0602
であり、より好ましくは、
(Sw/Sc)−1>2×399.14×{(1/φ)−1}3.0602
であることを特徴とする。これらの条件を満たす活物質を生成することで、比表面積の大きな活物質粒状体が得られる。
また、前記粒状体の粒子径の平均が150μm以上としたものである。活物質粒子径平均が150μm以上であっても、多孔質化によって十分大きな比表面積を確保し得ることから、化学電池用としてエネルギー密度の高い活物質が提供可能となる。
また、本発明に係る化学電池は、セル内の電解質に浸漬された正極及び負極を備え、前記負極は、前記した活物質を前記電解質に接した状態で支持することを特徴とするものである。この発明によれば、多孔質の活物質粒状体を電解質(電解液)に浸漬するように負極で収容する等して支持を行うことで、エネルギー密度の高い(放電容量の大きな)一次電池が得られる。
また、前記正極に空気極を採用すると、正極の活物質である酸素をセルに内蔵する必要がないため、他の物質の割合を増やすなどして、エネルギー密度を高くすることが可能となる。
また、前記負極は、前記セルに対して脱着可能に構成されていることを特徴とする。負極を、いわゆるメカニカルチャージ(機械式充電)式とすることで、繰り返し使用が可能となる。
また、前記電解質に浸漬された補助極を有することを特徴とする。補助極を利用して負極との間で充電動作を行うことで、充電に起因する正極の酸化劣化を阻止して、二次電池として長期に利用することが可能となる。
また、本発明に係る化学電池は、セル内の電解質に浸漬された正極、負極及び補助極を備え、前記補助極は、請求項1〜7のいずれかに記載の活物質を前記電解質に接した状態で収容する収容部を有することを特徴とするものである。本発明によれば、少なくとも放電モードと発電モードの機能を有する二次電池が構成できることから、放電が終了した後も、継続して発電モードで利用が可能となり、発電量(容量)を大きくすることが可能となる。また、充電モードも含めたハイブリッドタイプの二次電池として適用することも可能である。
また、前記補助極に前記活物質を搬入する供給部を備えたことを特徴とする。発電モードにおいて補助極の活物質が消費されても、供給部を用いて追加補充を行うことで、より長期に発電動作が継続され、発電量を大きくすることが可能となる。また、従来の非多孔質(ポーラス)状の活物質で発電量を大きくしようとした場合、活物質の粒径を小さくして比表面積を大きくする必要があるが、そうなると、補助極への活物質の供給(搬送)が困難となる。一方、本発明では活物質の粒径は維持したまま、比表面積を大きくすることができることから、活物質の供給性は阻害され難い。
また、前記収容部は、前記電解質と接する面がメッシュ形状であることを特徴とする。メッシュ形状にすることで、メッシュの間に容易に活物質を追加投入できる。従来の非多孔質(ポーラス)状の活物質で発電量を大きくするために微粒子化すると、メッシュの間から活物質がすり抜けてしまって発電効率が低下するといった課題があったが、本発明の多孔質(ポーラス)状活物質であれば、比表面積が大きく、かつ粒径も大きいので、発電量アップと補助極からのすり抜け防止を両立することができる。
また、本発明に係る活物質生成装置は、充填される酸化亜鉛を含む電解質によって浸漬される、互いに離間して配置された陽極と負極とを有する容器と、前記陽極と負極との間に電極投影面積に対する電流密度50mA/cm2以上の電流を供給する電源部とを備えた化学電池用の活物質を生成するものである。
また、本発明に係る活物質生成方法は、容器に充填された、酸化亜鉛を含む電解質に浸漬された陽極と負極間に、電源部から電極投影面積に対する電流密度50mA/cm2以上の電流を供給するものである。
これらの発明によれば、容易に多孔質(ポーラス)状の亜鉛活物質を作製することができ、また化学電池に適用した場合にエネルギー密度を高める、比表面積の大きな多孔質の亜鉛粒状体が得られる。
本発明によれば、化学電池用としてエネルギー密度の高い金属活物質が提供できる。
活物質生成装置の一例を示す断面図である。 析出された亜鉛の表面形状が多孔質(ポーラス)状であることを示す図で、(a)は原寸大の外観図、(b)は(a)の一部をスケール1mmのオーダーに対応して拡大した、粒子状を示すための一部拡大図、(c)は(b)の一部をスケール10μmのオーダーに対応して拡大した、ポーラス状を示すための一部拡大図ある。 放電実験装置として用いた亜鉛空気電池の断面図である。 放電実験条件並びに放電実験結果を示した表である。 放電実験結果を示したDとQとの関係をプロットしたグラフである。 放電実験結果を示したSwとQとの関係をプロットしたグラフである。 5種類の非球形の粒子について、粒子の円形度をφ、BET法による比表面積の実測値をSw、全粒子が球形であると仮定した場合の比表面積の計算値をScとしたときの粒子の円形度φ、円形度の逆数−1(=1/φ−1)、Sw/Sc、(Sw/Sc)−1の各値を示した表である。 1/φ−1と(Sw/Sc)−1との関係をプロットしたグラフである。 亜鉛燃料の生成条件と生成結果を示す表である。 電流密度IとSw/Scとの関係をプロットしたグラフである。 各モードの切替を説明するための図で、(a)は切替装置の構成例を模式的に示すブロック図、(b)は充電モードにおける切替部の接続状態を示し、(c)は放電モードにおける切替部の接続状態を示し、(d)は発電モードにおける切替部の接続状態を示す図である。 亜鉛空気二次電池の構成を示す概略断面図である。 搬送部の構成の一例を示す概略断面図である。 亜鉛空気二次電池の補助極の収容体の壁部形状の一例を示す一部外観図である。 亜鉛活物質による発電実験結果を示した表である。 亜鉛活物質による発電実験結果から、比表面積Swと発電容量Q´との関係をプロットしたグラフである。 従来の金属空気電池を示す要部断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る活物質並びに活物質生成装置、生成方法、及び化学電池の実施形態について、図面を参照して説明する。
(活物質生成装置)
図1は、活物質生成装置の断面を示している。活物質生成装置100は、有底の筒体である電析槽110と、上部の閉塞部材111と、金属極である陽極112と、金属極である活物質析出電極113と、充填される電解液114と、セパレータ115と、電源120とを具備している。なお電析槽110は、横断面四角形の筒体の他、円筒形等のように種々の形状でもよい。
活物質析出電極113は、平板形状であり、陰極(負極)として使用される。なお、活物質析出電極113は、電析槽110の形状に適用可能であれば、円筒形状、又は籠型、多孔構造のように、多様な形状が採用可能である。また、活物質析出電極113の形状としては、平板形状の他、メッシュやエッチングパンチングメタル等の有孔金属であってもよい。好ましくは、活物質析出電極113の形状としては、発泡金属のような空隙率が高いものであってもよい。
活物質析出電極113の材料としては、例えば、亜鉛、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、マグネシウム、アルミニウム、リチウム等の金属が使用されるが、その種類は特に限定されるものではない。また、活物質析出電極113の材料としては、単体からなる構成に限定されるものではなく、めっきや合金等であってもよい。
なお、本実施形態においては、活物質析出電極113の材料としてニッケルを使用し、また活物質析出電極113の形状としては、メッシュ状(20mesh:1インチ当り20個の網目)のものを用いている。
陽極112は平板形状であり、材料としては、例えば、亜鉛、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、マグネシウム、アルミニウム、リチウム等の金属が使用されるが、その種類は特に限定されるものではない。また、陽極112の材料としては、単体からなる構成に限定されるものではなく、めっきや合金等であってもよい。陽極112の形状としてはメッシュやエッチングパンチングメタル等の有孔金属であってもよい。好ましくは、陽極112の形状としては、発泡金属のような空隙率が高いものであってもよい。なお、陽極112は、筒形状に限定されず、電析槽110の形状に適用可能であれば、多様な形状が採用可能である。
本実施形態においては、陽極112の材料としてはニッケルを使用し、また形状としては、メッシュ状(100mesh)のものを用いている。
電解液114は、活物質の元となる金属酸化物が溶け込んだ強アルカリ水溶液であり、電析槽110の中に所定の量が満たされている。本実施形態では、金属酸化物として酸化亜鉛を、強アルカリ水溶液として7M−KOH(水酸化カリウム)を用い、酸化亜鉛が水酸化カリウム水溶液に飽和状態まで溶け込んだ電解液を用いている。
陽極112及び活物質析出電極113は、電解液が満たされた電析槽110の内部に浸漬状態で配置されており、陽極112と活物質析出電極113との間にはセパレータ115が介設されている。本実施形態では、セパレータ115として、厚さ100μmのポリエステル製の不織布を用いている。
陽極112、活物質析出電極113及びセパレータ115の上端部は、電析槽110の上部に配置された閉塞部材111に固定されている。更に、陽極112及び活物質析出電極113の上端部は、閉塞部材111を経て接続端子112a、113aと接続されている。陽極112の接続端子112aが電源120のプラス極と、活物質析出電極113の接続端子113aが電源120のマイナス極と電気的に接続されている。
(活物質生成方法)
次に、上述の活物質生成装置100を用いた多孔質活物質(ここでは多孔質亜鉛)の生成方法について説明する。活物質生成装置100において活物質の生成が行われる場合、陽極112と活物質析出電極113とが電源120を介して電気的に接続され、電源120によって陽極112と活物質析出電極113との間に電圧が印加される。この時、電子は、陽極112から電源120を介して活物質析出電極113に供給される。活物質析出電極113では、活物質析出電極113に供給される電子によって、電解液中の金属酸化物から金属イオンが還元され、活物質析出電極113の表面に多孔質(ポーラス)状の活物質(この場合、亜鉛)が析出される。なお、多孔質活物質の生成条件については、後述する。
ここで、上述のように電析槽110内の陽極112と活物質析出電極113との間にセパレータ115が設けられているため、析出した活物質(ここでは多孔質亜鉛)によって陽極112と活物質析出電極113とが短絡することを防止できる。
(多孔質活物質)
上述の活物質生成方法を用いて、陽極112に対する活物質析出電極113の投影面積あたりの電流密度を180(mA/cm2)として通電したところ、図2、特に図2(c)に示すような多孔質(ポーラス)状の亜鉛が析出された。活物質は、図2(a)に示すように粒子群の塊状に析出され、析出された亜鉛を粒子状にばらして、粒度分布測定装置(株式会社セイシン企業製、製品名:レーザーマイクロンサイザー、型式:LEM−2000e―2000s)を用いて測定した結果、粒径分布は20(μm)〜300(μm)、平均粒径は200(μm)であった。また、比表面積は、比表面積・細孔分布測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製 NOVA4200e)を用いてBET法によって測定した結果、0.69(m/g)であった。
(化学電池による放電実験1)
次に、多孔質活物質を用いた放電実験について、図3〜図6を用いて説明する。ここで、図3は、放電実験装置として用いた、本発明の第1実施形態の化学電池である亜鉛空気電池(セル)の断面図、図4は、放電実験条件並びに放電実験結果を示した表、図5、図6は実験結果を示したグラフである。
放電実験1においては、図4に示すように、活物質として、図2に示すような多孔質亜鉛(実施例1−1)の他に、比較例として、平板状亜鉛(比較例1−1)、ペレット状亜鉛(粒径1mm)(比較例1−2)、微粒子亜鉛A(粒径100μm)(比較例1−3)、及び微粒子亜鉛B(粒径50μm(比較例1−4))の4種類、計5種類の亜鉛活物質について実験を行った。
次に、5種類の亜鉛活物質を用いた燃料極213(図3参照)の作製方法について説明する。まず、電解液(ここでは7M−KOH)にゲル化剤を入れて溶かし、更に亜鉛活物質を加えて混錬することでペースト状の燃料を作製した。このペースト状燃料を集電体2131(図3参照)(ここでは厚さ100μmのニッケル板をエッチングにより多孔構造としたもの)の両面に塗り付け、所定の圧力でプレスすることで燃料極213を作製した。なお、5種類の亜鉛活物質のうち、平板状亜鉛は、1mm厚の亜鉛の平板をそのまま燃料極として使用した。
次に、放電実験装置の構成について、図3を用いて説明する。放電実験装置200は亜鉛空気電池(セル)210及び電子負荷装置220を備えている。亜鉛空気電池210は、横断面四角形で有底の筒体であるベースフレーム211を有し、その内部に、空気極212、燃料極213、セパレータ214及び電解液215が収納され、その上面に蓋材としてのトッププレート216が配置された構成となっている。
ベースフレーム211は、アクリル、POM(ポリアセタール)、或いはABS等の耐アルカリ性を有する樹脂で形成されている。ベースフレーム211の両側面には、それぞれ矩形状の空気取込口2111,2111が内部を開口するように形成されており、それぞれの内面に沿って空気極212及びセパレータ214が配設されている。放電実験装置200(亜鉛空気電池210)は、空気取込口2111を介して内部に空気を取り込む。燃料極213は、ベースフレーム211の中央部に立直して配置され、一方の面(図中左側の面)が一方(図中左側)の空気極212と対向し、他方の面が他方の空気極212と対向している。
空気極212は、ベースフレーム211の両側面の内面に沿って設けられ、空気取込口2111を覆っている。空気極212は、例えば、基材として多孔質の炭素材料が使用され、表面をフッ素系撥水材でコーティングして形成されたものや、炭素材料と混合分散して形成されたものである。なお、本実施形態における空気極212は、ガス拡散層、撥水層、触媒層の順に積層された3層構造とされている。ガス拡散層は、外部に露出して空気に接する側に設けられている。触媒層は、セパレータ214に接する側に設けられている。ガス拡散層は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の不織布で形成され、厚さが100μmとされている。撥水層は、多孔質フッ素樹脂で形成され、厚さが3μmとされている。触媒層は、多孔質の炭素材料と、触媒である白金と、バインダー(接着剤)であるPTFEとを混合分散して形成され、厚さが0.4mmとされている。触媒層の内部には、金属メッシュ(本実施例ではNiメッシュ)で形成された集電体が埋め込まれており、空気極212によって発生した電流を流す。セパレータ214は、ポリエステル製の不織布で形成され、厚さが100μmとされており、燃料極213と空気極212とを電気的に絶縁する。
電解液215は、強アルカリ水溶液を用いることができ、本実施の形態では7M(pH14)の水酸化カリウム水溶液を用いており、ベースフレーム211の内部に充填されている。
亜鉛空気電池210は、さらに、空気極212の集電体2121に接続された空気極端子212a、燃料極213の集電体2131に接続された燃料極端子213aを備えている。空気極端子212a及び燃料極端子213aは、それぞれ亜鉛空気電池210の上面(トッププレート216)から上方へ突出して設けられている。
空気極端子212aが電子負荷装置220のプラス極と、燃料極端子213aが電子負荷装置220のマイナス極と電気的に接続されており、この状態で、電子負荷装置220によって定電流制御を行いながら、亜鉛空気電池210の放電特性を測定する。具体的には、電子負荷装置220で、1.5Aの一定電流で制御しながら亜鉛空気電池210の放電を行い、放電が停止するまでの時間とセル電圧を測定し、電流(1.5A)×放電時間(h)から放電容量(Ah)を求めた。なお、本実験においては電子負荷装置220として、菊水電子工業株式会社製のバッテリテストシステム PFX2011を使用した。
図4は、5種類の亜鉛活物質による放電実験結果を示した表である。図4中、Dは亜鉛活物質の平均粒径、SwはBET法で測定した亜鉛活物質の比表面積の実測値、Scは亜鉛活物質が完全球体と仮定したときの平均粒径から求めた比表面積の計算値、Qは放電容量を電解液量で割った値(単位電解液量当たりの放電容量)を示す。ここで、SwとScとの比Sw/Scが、数値1に近い程、亜鉛活物質の粒子形状としては完全な球形に近いということになる。
図4に示す実験結果より、比較例1−2〜比較例1−4では、Sw/Scが、数値1に近く、亜鉛活物質の粒子形状としては球形に近いことがわかる。一方、実施例1−1は、Sw/Scが、数値329とあるように、各比較例に比べて圧倒的に大きな数値となっている。この理由は、図1の活物質生成装置100で作製された亜鉛活物質が、図2に示すように、多孔質(ポーラス)状になっているためである。
図5は、図4に示す実験結果から、平均粒径Dと単位電解液量当たりの放電容量Qとの関係をプロットしたグラフであり、同様に、図6は、図4に示す実験結果から、比表面積Swと単位電解液量当たりの放電容量Qの関係をプロットしたグラフである。この結果から、図5から分かるように、QはDとの間に相関関係が認められない。一方、図6に示すように、QとSwとの間には強い相関関係がある(回帰直線のR=0.9963)ことがわかり、式(1)の関係が成り立つことがわかる。
Q=0.1172×ln(Sw)+1.1065 …(1)
この結果から、亜鉛活物質の比表面積Swを大きくする程、同じ電解液量であれば、放電量を大きくすることができる、あるいは同じ放電量であれば必要な電解液量が削減できることから、電池(セル)のエネルギー密度を高めることができることがわかる。なお、亜鉛活物質粒子の比表面積Swを大きくすることで、単位電解液量当たりの放電容量Qが大きくなる理由としては、活物質の表面活性が高く、かつ活物質の単位表面積当たりの電解液量が増加することにより、亜鉛イオンの拡散性が向上し、酸化亜鉛の付着が抑制されるため放電反応が進むものと考えられる。
ここで、亜鉛活物質粒子の比表面積Swを大きくする方法としては、粒子形状が同じ場合、
(1)粒子径を小さくする、
(2)粒子を多孔質(ポーラス)状とする、
の2つの方法が考えられる。(1)の粒子径を小さくする方法ではハンドリングが困難となったり、保管の際の粉じん対策が別途必要となる。一方、(2)の粒子を多孔質(ポーラス)状とする方法では、ハンドリングも容易で保管の際の粉じん対策も不要となる。
(多孔質状活物質の判別方法)
次に、生成した活物質が多孔質(ポーラス)状となっているかどうかの判別方法について説明する。簡易的には光学顕微鏡や電子顕微鏡(SEM)等を用いて拡大観察することにより判別可能であるが、より定量的に判別する方法については以下の通りである。
(I)多孔質状活物質の粒子がほぼ球形の場合
活物質の粒子形状がほぼ球形であり、粒子径をD(cm)、比表面積をSw(cm/g)、活物質材料の比重をρ(g/cm)としたとき、活物質が多孔質(ポーラス)でない場合の比表面積Swは式(2)で表される。
Sw=4πD/(ρV) …(2)
但し、V=4πD/3(cm
従って、比表面積Swが式(3)を満たせば、活物質粒子は多孔質(ポーラス)状になっているということがいえる。
Sw>4πD/(ρV) …(3)
なお、より確実に多孔質(ポーラス)状になっていると判定するには、確からしさを2倍として、式(4)を用いる方がより好ましい。
Sw≧8πD/(ρV) …(4)
(II)多孔質状活物質が非球形の場合
次に、活物質粒子が非球形の場合について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、5種類の非球形の粒子について、粒子の円形度をφ、BET法による比表面積の実測値をSw、全粒子が球形であると仮定したときの比表面積の計算値をScとしたときの粒子の円形度φ、円形度の逆数−1(=1/φ−1)、Sw/Sc、(Sw/Sc)−1の値を示した表である。また、図8は、1/φ−1と(Sw/Sc)−1との関係をプロットしたグラフである。
図8の結果から、1/φ−1と(Sw/Sc)−1との間には強い相関関係がある(回帰曲線のR=0.8224)ことがわかり、式(5)で示すことができることがわかる。
(Sw/Sc)−1=399.14×(1/φ−1)3.0602 …(5)
従って、活物質粒子が非球形の場合、Sw/Sc−1が式(6)を満たせば、活物質粒子は多孔質(ポーラス)状になっているということが言える。
(Sw/Sc)−1>399.14×(1/φ−1)3.0602 …(6)
なお、より確実に多孔質(ポーラス)状になっていると判定するには、確からしさを2倍として、式(7)を用いる方がより好ましい。
(Sw/Sc)−1>2×399.14×(1/φ−1)3.0602 …(7)
(多孔質(ポーラス)状亜鉛が生成される条件を見つけるための実験)
次に、前述の活物質生成装置100を用いて、多孔質(ポーラス)状亜鉛が生成される条件について実験により検討を行った。実験条件並びに結果を、図9及び図10に示す。
ここで、図9に示す実験結果より、活物質を生成する際の電流密度Iを大きくする程、Sw/Scの値が大きくなり、生成された活物質のポーラス度がより大きくなることがわかる。
図10は、図9の実験結果から、電流密度IとSw/Scとの関係をプロットしたグラフである。この結果から、IとSw/Scとの間には強い相関関係がある(回帰曲線のR=0.9822)ことがわかり、式(8)の関係が成り立つことがわかる。
Sw/Sc=0.0126×I1.9467 …(8)
この結果から、活物質を生成する際の電流密度Iを大きくする程、生成された活物質の多孔質化(ポーラス化)が促進され、比表面積が増加することから、同じ電解液量であれば、放電量を大きくすることができる、あるいは同じ放電量であれば必要な電解液量が削減できることから、電池(セル)のエネルギー密度を高めることができることがわかる。図9並びに図10の実験結果から、多孔質活物質を生成するための電流密度Iの条件としては、実施例2−1〜2−3に示すように、50mA/cm以上、より好ましくは100mA/cm以上、更に好ましくは180mA/cm以上となる。なお、生成時の電流密度Iを大きくすることで、生成された活物質の多孔質化(ポーラス化)が促進される理由としては、デンドライト(樹枝状結晶)の成長が促進され、より不均一に亜鉛が析出されるためと考えられる。また、活物質として亜鉛以外の金属である鉄、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カルシウム、及びリチウム等を用いる場合も同様に、電流密度を大きく設定する程、多孔質化(ポーラス化)が促進され、比表面積が増加する傾向にあることから、所要の電流密度を用いて好適な粒子径乃至は比表面積を有する多孔質活物質を生成すればよい。
以上説明したように、活物質が比表面積の大きい多孔質(ポーラス)の場合、電解液量当たりの発電量が大きくなるため、エネルギー密度の高い化学電池として、図3に示すような一次電池に適用することが可能となる。なお、図3に示す亜鉛空気電池210に適用する燃料極213の構成としては、図3で説明した構成の他に、後述する補助極317と同様の、例えば両面壁がメッシュ状に形成された収容部3171を設け、その内部に多孔質粒状体を収容するようにしたものでもよい。
(実施例2)
(化学電池による放電実験2)
次に、本発明の第2実施形態に係る亜鉛空気二次電池システムについて、図11及び図12を用いて説明する。なお、本実施例における亜鉛空気二次電池300は、図11で後述するように、充電モード、放電モードに加えて発電モードの3種類のモードを持つ金属空気二次電池(ハイブリッド電池)として適用される。
図12は、本発明の第2実施形態の化学電池である亜鉛空気二次電池のセル構成を示した概略断面図である。なお、第2実施形態の亜鉛空気二次電池300は、第1実施形態の亜鉛空気電池210に対し、第3電極としての補助極317と、この補助極317に多孔質亜鉛粒子400からなる燃料を追加供給するための燃料供給装置500とが更に付加された構成である。それ以外の構成については、第1実施形態の亜鉛空気電池210と同様であるので、ここでは対応する符号を付して、説明は省略する。なお、図12では外部電源、外部負荷を省略しているが、それらの詳細は図11で述べる。
補助極(第3電極)317は、空気極312と燃料極314との間に介設され、上端に投入開口を有する中空の板状をなす収容部を有し、上部で、トッププレート316に穿設された貫通孔316aを貫通して固定されている。また、補助極317は、上端が中空の補助極端子317aと連通した状態で取付けられている。さらに、補助極317と補助極端子317aとは電気的に接続されている。なお、補助極317の中空の収容部は、充電効率が高いニッケル、ニッケル合金等の金属製材料で形成されたメッシュ状の形状(図14参照)をなしている。
補助極端子317aの上端部には、上方に向けて漸次拡開している漏斗状の亜鉛粒子投入補助部511が亜鉛粒子の受口として配置されている。
次に、補助極317の収容部への亜鉛粒子400の充填について説明する。燃料供給装置500は、亜鉛空気二次電池300の上部に、一体あるいは着脱可能に支持されている。亜鉛粒子搬送部500の詳細は、図13に一例を示すように、円筒状の搬送路501内に設けられた搬送スクリュー部502及び搬送スクリュー部502を回転させるモータ503を有する粒子搬送手段が設けられており、搬送方向上流端に装着された亜鉛粒子カートリッジ600から、粒子搬送手段を介して亜鉛粒子400を順次下流側の亜鉛粒子投入口510に搬送する。そして、図12に戻って、補助極317の収容部に対し、上部の亜鉛粒子投入補助部511から多孔質亜鉛粒子400を投入することにより、多孔質亜鉛粒子400が補助極317の収容部に充填される。亜鉛粒子400の充填は、亜鉛粒子投入補助部511がガイドとなり、補助極317を取り外すことなく、亜鉛粒子400の投入操作のみによって実現することができる。亜鉛粒子400が充填された補助極317は、燃料極313に代替する代替燃料極として用いることができる。なお、燃料供給装置500は、亜鉛空気二次電池300のセルが複数積層して配置された場合の各セルに亜鉛粒子を供給可能な構造となっているが、1個の亜鉛空気二次電池300のセルへ供給を行う構造でもよい。
図14は、本発明に係る電池セルの補助極317の収容部3171の壁部構造の一例を示す部分外観図である。図14に例示する補助極317の収納部3171の壁部材は、電解液315と接し、これによって、亜鉛粒子400が収納部3171の壁部材を介して電解液315と接する。収納部3171の壁部材は、芯線としてニッケル線を平織りすることでメッシュ状に形成されている。また、芯線の間隙となる開き目は、一定の間隔δとなるように織られている。間隔δは、亜鉛粒子400がすり抜けない程度のサイズを考慮して0.1mm〜1mm程度が好ましく、本実施形態では、0.16〜0.50mmに形成されている。この場合、収容部3171の両面側の芯線の間隔を共通化することにより、両面壁部の部品の共通化が行えるので、製造コストを抑制するという効果を得ることができる。なお、メッシュの形成方法は特に限定するものではなく、他の織り方であってもよく、またニッケル板に多数のパンチングを施したパンチングメタル等の形状であってもよい。
次に、金属空気二次電池における各モード(充電モード、放電モード、発電モード)の切替装置及びモード切替について、図11を用いて亜鉛空気二次電池300の例で説明する。
図11は、切替装置の構成例を模式的に示すブロック図である。図11(a)に示すように、亜鉛空気二次電池300は、切替装置10を介して外部負荷及び外部電源に接続されている。切替装置10は、亜鉛空気二次電池300の空気極312、燃料極313、及び補助極317に接続されており、また、外部負荷の正極及び負極並びに外部電源の正極及び負極に接続されている。切替装置10は、切替部11と電池制御部12とを備えている。切替部11は、外部負荷及び外部電源のそれぞれの電極に対する亜鉛空気二次電池300の接続状態を切り替える。電池制御部12は、切替部11の切り替えによる接続状態を制御する。電池制御部12は、人為的作業による手動切替操作及び自動判定による切替処理のいずれかの機能、あるいは双方の機能を有する。亜鉛空気二次電池300は、接続状態によって、充電モード、放電モード、発電モードの3種類のモードを切り替えて動作する。
図11(b)は、充電モードにおける切替部11の接続状態を示すブロック図である。充電モードでは、外部電源によって亜鉛空気二次電池300を充電する接続状態であって、外部電源の正極と補助極317とが接続され、外部電源の負極と燃料極313とが接続されている。亜鉛空気二次電池300は、外部電源から電圧を印加されることで、電気分解が発生し、燃料極313に亜鉛が析出する形で充電が行われる。
図11(c)は、放電モードにおける切替部の接続状態を示すブロック図である。放電モードは、亜鉛空気二次電池300から外部負荷に対して電力を供給する接続状態であって、外部負荷の正極と空気極312とが接続され、外部負荷の負極と燃料極313とが接続されている。燃料極313では、放電によって亜鉛の酸化反応が生じる。
図11(d)は、発電モードにおける切替部の接続状態を示すブロック図である。発電モードは、燃料極313の代わりに補助極317を用いて外部負荷に電力を供給する接続状態であって、外部負荷の正極と空気極312とが接続され、外部負荷の負極と補助極317とが接続されている。つまり、図11(c)に示す放電モードなどで、溜めていた電力を使いきった際、燃料極313から補助極317へ接続を切り替えることで、外部負荷への電力供給が可能になる。
(多孔質活物質を追加投入した時の発電実験)
次に、亜鉛空気二次電池300を用いて、多孔質活物質を追加投入した時の発電実験について図15、図16を用いて説明する。ここで、図15は実験条件並びに実験結果を示した表、図16は実験結果を示したグラフである。
本実験においては、図15に示すように追加投入する活物質として粒径の異なる2種類の多孔質亜鉛(多孔質亜鉛A(実施例3−1)、多孔質亜鉛B(実施例3−2))の他に、比較例として、実験例1と同じペレット状亜鉛(粒径1mm)(比較例3−1)、微粒子亜鉛A(粒径100μm)(比較例3−2)、及び微粒子亜鉛B(粒径50μm)(比較例3−3)の3種類、計5種類の亜鉛活物質について実験を行った。発電実験は、電子負荷装置220(菊水電子工業株式会社製のバッテリテストシステム PFX2011、図3参照)を用いて行った。そして、空気極端子312aを電子負荷装置220のプラス極と、補助極端子317aを電子負荷装置のマイナス極と電気的に接続し、補助極317の収納部3171に亜鉛活物質粒子を投入した後、電子負荷装置220で定電流制御を行いながら、亜鉛空気二次電池300の発電特性を測定した。具体的には、電子負荷装置220で、1.5Aの一定電流で制御しながら亜鉛空気二次電池300 の発電を行い、発電が停止するまでの時間とセル電圧を測定し、電流(1.5A)×発電時間(h)から放電容量Q´(Ah)を求めた。更に、亜鉛活物質粒子の燃料供給装置500における搬送性及び亜鉛活物質粒子の補助極317の収納部3171からのすり抜け量についても併せて評価を行った。
図15において、D、Sw、Scは、図3及び図4に示す放電実験1のものと同じであるので説明は省略する。また、Q´は、放電実験1とは異なり、正味の発電容量を示す。また、亜鉛活物質の搬送性については、搬送路501の途中で留まることなく、スムーズに搬送できたものを○、搬送路501の途中で亜鉛活物質の一部に滞留が生じたものを△、亜鉛活物質のほとんどが搬送路501の途中で滞留してしまい、ほとんど搬送できなかったものを×とした。更に、補助極317の収納部3171からの亜鉛活物質のすり抜け量については、亜鉛活物質粒子が収納部3171から全くすり抜けなかったものを○、一部(20%未満)すり抜けが生じたものを△、投入した亜鉛活物質のうち20%以上がすり抜けたものを×とした。ここで、図15より、比較例3−3の微粒子亜鉛Bについては亜鉛粒子搬送装置500でほとんど搬送することができなかったことから、微粒子亜鉛Bの発電実験については亜鉛粒子搬送装置500を用いずに、手動で収納部3171に活物質を投入することで行った。
図16は、図15の結果から、比表面積Swと発電容量Q´の関係をプロットしたグラフである。この結果から、放電実験1と同様、Q´とSwとの間には強い相関関係がある(回帰直線のR=0.9989)ことがわかり、式(9)の関係が成り立つことがわかる。
Q´=0.307×ln(Sw)+2.9167 …(9)
この結果から、追加投入する亜鉛活物質の比表面積Swを大きくする程、発電量を大きくすることができることがわかる。なお、亜鉛活物質粒子の比表面積Swを大きくすることで、Q´が大きくなる理由としては、放電実験1と同様に、活物質の表面活性が高く、かつ活物質の単位表面積当たりの電解液量が増加することにより、亜鉛イオンの拡散性が向上し、酸化亜鉛の付着が抑制されるため放電反応が進むものと考えられる。
ここで、亜鉛活物質粒子の比表面積を大きくする手段としては、粒子形状が同じ場合、
(1)粒子径を小さくする、
(2)粒子を多孔質(ポーラス)状とする、
の2つの手段が考えられる。(1)の粒子径を小さくする方法(例えば100μm以下)では図15の比較例3−2や比較例3−3に示すように搬送装置500での搬送が困難となったり、収納部3171のメッシュの間から活物質粒子がすり抜けてしまい、発電効率が低下する。一方、(2)の粒子を多孔質(ポーラス)状とする方法では、図15の実施例3−1や実施例3−2に示すように、粒子径が150μm以上あるため、搬送装置による搬送も可能で、かつ補助極収納体のメッシュからすり抜ける心配もない。
以上説明したように、活物質が比表面積の大きい多孔質(ポーラス)の場合、電解液量当たりの発電量が大きくなるため、エネルギー密度の高い化学電池として、図3に示すような二次電池に適用することが可能となる。
なお、上述した実施形態では、2極方式である亜鉛空気(一次)電池、並びに3極方式で発電も可能な亜鉛空気二次電池(ハイブリッド電池)としたが、本発明はこれに限定されず、第3実施形態として2極方式の亜鉛空気二次電池や、第4実施形態としてメカニカルチャージ方式の亜鉛空気電池に適用したものでもよい。メカニカルチャージ方式の電池としては、例えば図3に示す亜鉛空気電池210では、トッププレート216をセルに対して着脱可能構造とし、かつ燃料極213がトッププレート216と一体で引き抜き可能とされることで燃料極213の交換が可能となる。また、図12に示す電池300では、トッププレート316をセルに対して着脱可能構造とし、かつ補助極317がトッププレート316と一体で引く抜き可能とされることで燃料極213の交換が可能となる。
また、亜鉛空気電池のみならず、リチウム空気電池やマグネシウム空気電池等、亜鉛以外の金属空気電池にも適用できる。更には金属空気電池のみならず、金属の活物質を用いた化学電池全て、或いは活物質そのものに適用できる。
また、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
100 活物質生成装置
110 電析槽
112 陽極
113 活物質析出電極(負極)
114 電解液
210 亜鉛空気電池(化学電池)
220 電子負荷装置
212,312 空気極(正極)
213,313 燃料極(負極)
215,315 電解液(電解質)
300 亜鉛空気二次電池(化学電池)
317 補助極
3171 収容部
400 多孔質亜鉛粒子
500 燃料供給装置(供給部)

Claims (16)

  1. 多孔質を有する金属粒状体からなる化学電池用の活物質。
  2. 前記活物質は、亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の活物質。
  3. 前記粒状体は、粒子径をD(cm)、前記活物質の比重をρ(g/cm)としたとき、比表面積Sw(cm2/g)が、
    Sw>4πD2/(ρV)
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の活物質。
    但し、V=4πD/3(cm
  4. 前記比表面積Sw(cm2/g)が、
    Sw>8πD2/(ρV)
    であることを特徴とする請求項3に記載の活物質。
  5. 前記粒状体の円形度をφ、比表面積をSw、全粒子が球形であると仮定した場合の比表面積をScとしたとき、
    (Sw/Sc)−1>399.14×{(1/φ)−1}3.0602
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の活物質。
  6. (Sw/Sc)−1>2×399.14×{(1/φ)−1}3.0602
    であることを特徴とする請求項5に記載の活物質。
  7. 前記粒状体の粒子径の平均は、150μm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の活物質。
  8. セル内の電解質に浸漬された正極及び負極を備え、前記負極は、請求項1〜7のいずれかに記載の活物質を前記電解質に接した状態で支持することを特徴とする化学電池。
  9. 前記正極は、空気極であることを特徴とする請求項8に記載の化学電池。
  10. 前記負極は、前記セルに対して脱着可能に構成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の化学電池。
  11. 前記電解質に浸漬された補助極を有することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の化学電池。
  12. セル内の電解質に浸漬された正極、負極及び補助極を備え、前記補助極は、請求項1〜7のいずれかに記載の活物質を前記電解質に接した状態で収容する収容部を有することを特徴とする化学電池。
  13. 前記補助極に前記活物質を搬入する供給部を備えたことを特徴とする請求項12に記載の化学電池。
  14. 前記収容部は、前記電解質と接する面がメッシュ形状であることを特徴とする請求項12又は13に記載の化学電池。
  15. 充填される酸化亜鉛を含む電解質によって浸漬される、互いに離間して配置された陽極と負極とを有する容器と、前記陽極と負極との間に電極投影面積に対する電流密度50mA/cm2以上の電流を供給する電源部とを備えた化学電池用の活物質を生成する活物質生成装置。
  16. 容器に充填された、酸化亜鉛を含む電解質に浸漬された陽極と負極間に、電源部から電極投影面積に対する電流密度50mA/cm2以上の電流を供給する活物質生成方法。
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