JP2017146415A - 生体モデルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】実際の生体に近い条件で訓練や試験を行うことが可能な生体モデルおよびその製造方法を提供する。【解決手段】医療器具の訓練または試験に用いられる生体を模擬する生体モデル10であって、水および水溶性有機溶媒の少なくとも一方並びにポリビニルアルコールを含み、ポリビニルアルコールの分子が水素結合してゲル状である第1の模擬部11および第2の模擬部12と、病変部から採取した組織または病変部を模擬できる材料を含み第1の模擬部11および第2の模擬部12と接触する病変模擬部14と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、医療用に生体を模擬した生体モデルおよびその製造方法に関する。
外科手術における生体組織の切開、縫合、剥離等の手技訓練や、各種医療器具の操作性、安全性および有効性の試験等は、従来はブタなどの動物を用いて行われていた。しかしながら、近年は、倫理的な観点から、生体組織を模擬して人工的に作製された生体モデルが使用されることがある。生体モデルは、手技の際に術者に伝わる感覚や、生体モデル自体の表面状態(例えば、濡れ性など)、挙動(例えば、切開時の広がり方など)が実際の生体組織に似ていることが要求され、様々な工夫がなされている。例えば特許文献1には、平均重合度およびケン化度を所定の範囲に設定したポリビニルアルコールからなる水溶性ゲルおよびシリカ粒子を含有する生体モデルが記載されている。この生体モデルは、上述のような構成であることで、切開時に切開部が生体臓器のように広がり、かつ切削感や感触が生体組織と似たものとなっている。
米国特許出願公開第2012−0045743号明細書
生体組織の内部には、がん細胞、血栓、プラークなどの病変部が存在する場合がある。したがって、実際の生体により近い条件で訓練や試験を行うために、病変部を模擬する部位が設けられた生体モデルが望まれる。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、実際の生体により近い条件で訓練や試験を行うことが可能な生体モデルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する生体モデルは、医療器具の訓練または試験に用いられる生体を模擬する生体モデルであって、水および水溶性有機溶媒の少なくとも一方並びにポリビニルアルコールを含み、前記ポリビニルアルコールの分子が水素結合してゲル状である模擬部と、病変部から採取した組織、シリコーン樹脂、カルシウム、ポリビニルアルコール及びグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み前記模擬部と接触する病変模擬部と、を有する。
上記目的を達成する生体モデルの製造方法は、医療器具の訓練または試験に用いられる生体を模擬する生体モデルの製造方法であって、水および水溶性有機溶媒の少なくとも一方並びにポリビニルアルコールが含まれる第1のポリビニルアルコール溶液を冷却してポリビニルアルコールを架橋させて模擬部を形成するステップと、病変部から採取した組織または病変部を模擬できる材料を含み前記模擬部と接触する病変模擬部を形成するステップと、を有する。
上記のように構成した生体モデルは、ポリビニルアルコールを含むゲル状の模擬部により正常な生体組織を模擬しつつ、病変部から採取した組織または病変部を模擬できる材料を含む病変模擬部により病変部を適切に模擬でき、実際の生体に近い条件で訓練や試験を行うことが可能である。
上記のように構成した生体モデルの製造方法は、ポリビニルアルコールを含むゲル状の模擬部に接触するように、病変部から採取した組織または病変部を模擬できる材料を含む病変模擬部を形成するため、実際の生体に近い生体モデルを製造できる。
第1実施形態に係る生体モデルを示す断面図である。 生体モデルを製造するための設備を示す概略図である。 成形型内に模擬部を形成した状態を示す断面図である。 模擬部内に病変模擬部を形成した状態を示す断面図である。 第1実施形態に係る生体モデルの製造工程の変形例を示す断面図である。 第1実施形態に係る生体モデルの変形例を示す断面図である。 第2実施形態に係る生体モデルを示す断面図である。 第2実施形態に係る生体モデルの第1の模擬部を形成した状態を示す断面図である。 第2実施形態に係る生体モデルの第2の模擬部を形成した状態を示す断面図である。 第2実施形態に係る生体モデルの病変模擬部を形成した状態を示す断面図である。 第3実施形態に係る生体モデルを示す断面図である。 第3実施形態に係る生体モデルの模擬部を形成した状態を示す断面図である。 第3実施形態に係る生体モデルの病変模擬部を形成した状態を示す断面図である。 第4実施形態に係る生体モデルを示す断面図である。 第5実施形態に係る生体モデルを示す断面図である。 第6実施形態に係る生体モデルの第1の模擬部および病変模擬部を形成した状態を示す断面図である。 第6実施形態に係る生体モデルの第2の模擬部を形成した状態を示す断面図である。 第7実施形態に係る生体モデルの第1の模擬部および第2の模擬部を形成した状態を示す断面図である。 第7実施形態に係る生体モデルの第2の模擬部の一部をくり抜いた状態を示す断面図である。 第7実施形態に係る生体モデルの病変模擬部を形成した状態を示す断面図である。 第7実施形態に係る生体モデルの第2の模擬部を補充した状態を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。以下の説明において、「上」および「下」の表現は、理解を容易にするために便宜的に使用するものであり、構成の位置関係や姿勢を限定するものではない。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る生体モデル10は、外科手術において生体組織の切開、縫合、剥離等をする器具(メス、針等)や生体内に挿入する器具(カテーテル、内視鏡等)などの各種医療器具の手技の訓練に用いられる。また、本実施形態に係る生体モデル10は、各種医療器具の操作性、安全性および有効性の試験等に用いることもできる。
生体モデル10は、図1に示すように、隣接する生体組織を模擬する第1の模擬部11(模擬部)および第2の模擬部12(模擬部)と、第1の模擬部11および第2の模擬部12の間に位置する病変模擬部14とを備えている。第1の模擬部11と第2の模擬部12の間には、互いの材料が混ざり合って結合される結合部13が形成されている。
第1の模擬部11および第2の模擬部12は、例えば、血管、脂肪、筋肉、皮膚、結合組織等を模擬する。第1の模擬部11および第2の模擬部12は、いずれもポリビニルアルコール、水および水溶性有機溶媒(本実施形態では、ジメチルスルホキシド(DMSO))を含むゲル状の柔軟な部材である。また、第1の模擬部11および第2の模擬部12は、各種添加剤を混合することができる。
病変模擬部14は、生体の病変部を模擬する部位であり、例えば、がん細胞、血栓、プラーク、石灰化病変、ポリープ等を模擬する。または、病変模擬部14は、血管内の狭窄や閉塞を模擬することもできる。または、血管内の狭窄や閉塞の硬さ、量、長さを模擬することができる。例えば、動脈の血栓は静脈の血栓よりも量が少なく、長さが短く、硬い。静脈の血栓は動脈の血栓よりも量が多く、長さが長く、柔らかい。病変模擬部14の構成材料は、動物やヒトから採取した病変部の組織(病変組織)、または病変部を模擬できる材料である。動物やヒトから採取できる病変部の組織は、例えば、がん細胞、血栓、プラーク、石灰化病変、ポリープ等である。病変部を模擬できる材料は、例えば、シリコーン樹脂、石灰化病変を模擬する貝殻、カルシウム、ポリビニルアルコール、グリセリン、油等である。また、病変模擬部14は、上述した病変部から採取した組織または病変部を模擬できる材料に、水素結合したポリビニルアルコール、水、水溶性有機溶媒等が含まれてもよい。なお、図1では、病変模擬部14は、結合部13の内部に位置しているが、第1の模擬部11と結合部13の間に位置してもよく、または第2の模擬部12と結合部13の間に位置してもよい。
第1の模擬部11および第2の模擬部12の各々は、ポリビニルアルコールを、水およびジメチルスルホキシド(水溶性有機溶媒)により溶解させたポリビニルアルコール溶液を冷却してポリビニルアルコール分子を架橋させた後に、常温に戻すことで水性ゲルとして形成される。
ポリビニルアルコールは、水およびジメチルスルホキシドに溶解させるために加熱されることが好ましい。加熱温度は、例えば80〜130℃の範囲内で設定される。なお、ポリビニルアルコールが溶解されたポリビニルアルコール溶液は、型に流し込まれる前に、温度を変化させてもよい。型に流し込まれるポリビニルアルコール溶液の温度を調節することで、結合部13の結合強度を制御できる。
ポリビニルアルコール溶液を冷却するための温度は、機械的強度を高めるために、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−30℃以下である。
ポリビニルアルコール溶液を冷却する時間は、ポリビニルアルコール分子を架橋させて機械的強度を得るために、24時間以上が好ましい。
第1の模擬部11および第2の模擬部12は、ポリビニルアルコールの濃度が高いほど機械的強度や弾性力が高くなる。したがって、模擬する生体組織に合わせて、ポリビニルアルコールの濃度を設定することが好ましい。ポリビニルアルコールの濃度は、機械的強度を得るために、好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上である。また、ポリビニルアルコールを水および水溶性有機溶媒に溶解させるために、ポリビニルアルコールの濃度は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下である。
ポリビニルアルコールの粘度法で求められる平均重合度は、第1の模擬部11および第2の模擬部12の機械的強度を高めるために、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、さらに好ましくは1000以上である。また、平均重合度は、生体組織に近似した適度な弾性を付与するために、好ましくは3500以下、より好ましくは3000以下、さらに好ましくは2500以下である。
ポリビニルアルコールのケン化度は、生体モデル10の材料の機械的強度および弾性率を高めるために、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコールのケン化度は、高いほど好ましい。
本実施形態では、ポリビニルアルコールは、水およびジメチルスルホキシドを含有する混合系に溶解させるが、水溶性有機溶媒を含まずに水に溶解されてもよく、または、水を含まずに水溶性有機溶媒に溶解されてもよい。また、ポリビニルアルコールを溶解させる水溶性有機溶媒は、ジメチルスルホキシドに限定されない。
ポリビニルアルコールが溶解可能な水溶性有機溶媒は、例えばジメチルスルホキシド、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、コンゴーレッド、グリセリン、エタノール、アセトン、エチレングリコール、およびこれらの1種以上の混合系を適用できる。水溶性有機溶媒が加えられた生体モデル10は、水のみを溶媒に使用した場合と比較して、生体組織に近似した粘りが付与され、挙動が生体組織に近似し、かつ壊れ難い。
また、ポリビニルアルコールは、添加物を含んでもよい。添加物は、例えば、ハイドロゲルの強度等を調整するための塩類(例えば、塩化ナトリウム)、シリカ粒子、乾燥を防止するための多糖類(例えば、キトサン)、実際の生体組織の外観に近似させるための色素、抗菌剤、防黴剤、香料、酸化防止剤などである。
次に、生体モデル10を製造するための設備について説明する。生体モデル10の製造設備は、図2に示すように、撹拌容器110と、撹拌機120と、加熱装置130と、脱気装置140と、成形型100(図3を参照)と、撹拌機120および撹拌容器110を支持する支持スタンド150と、冷凍装置(図示せず)とを備えている。
撹拌容器110は、ポリビニルアルコール、水溶性有機溶媒、水、添加剤等を収容してポリビニルアルコールを水および水溶性有機溶媒に溶解させるための容器である。撹拌容器110は、例えば丸底フラスコであり、支持スタンド150に取り付けて固定できる。
撹拌機120は、撹拌容器110内の材料を撹拌するための装置である。撹拌機120は、撹拌容器110内に挿入可能な撹拌棒121と、撹拌棒121に固定されて撹拌容器110内で回転可能な撹拌羽根122と、モータなどの駆動源を有して撹拌棒121を回転させる駆動部123とを備えている。撹拌機120は、耐熱性であり、支持スタンド150に駆動部123が固定されて、下方へ向かって撹拌棒121が延在する。撹拌機120は、撹拌羽根122の回転速度を調節可能である。
加熱装置130は、撹拌容器110内の材料を加熱するための装置である。加熱装置130は、撹拌容器110の一部を浸漬させることが可能なオイルバスである。加熱装置130は、内部のオイルを任意の温度に保持し、オイルに浸漬される撹拌容器110内のポリビニルアルコール、有機溶媒、水、添加剤等を加熱する。
脱気装置140は、ポリビニルアルコール溶液から気泡を取り除くための装置であり、例えばアスピレータである。脱気装置140は、吸引するための吸引管141を備えており、吸引管141は、撹拌容器110を封止できる栓242を貫通して撹拌容器110内に到達できる。脱気装置140を作動させることで、撹拌容器110内を減圧し、ポリビニルアルコール溶液から気泡を取り除くことができる。
冷凍装置は、ポリビニルアルコール溶液を注がれた成形型100を収容して冷却することができる。冷凍装置は、冷凍温度を調節できることが好ましい。
次に、上述の製造設備により生体モデル10を製造する方法の例を説明する。病変模擬部14は、例えばヒトから採取した病変組織(例えば、血栓)にポリビニルアルコールを混合した材料とする。生体モデル10の製造は、第1の模擬部11、第2の模擬部12、病変模擬部14の順番で形成される。
初めに、支持スタンド150に固定された撹拌機120の下方に加熱装置130(オイルバス)を設置し、加熱装置130の電源を入れ、設定温度を例えば100℃とする。
撹拌容器110の内部に、ポリビニルアルコール、塩化ナトリウム、ジメチルスルホキシド、水を測定して入れる。材料の配合は、例えば、ポリビニルアルコール80g、塩化ナトリウム20g、ジメチルスルホキシド800g、水200gである。次に、設定温度に到達した加熱装置130のオイルに撹拌容器110を浸漬させる。この後、撹拌容器110の開口部から撹拌羽根122を挿入し、撹拌羽根122を撹拌容器110の内部の材料に浸漬させる。このとき、撹拌容器110の開口部は、加熱装置130のオイルの上面よりも上方に位置し、オイルが撹拌容器110内に流入しない。
次に、撹拌容器110を支持スタンド150に固定し、撹拌機120を作動させて、撹拌羽根122により撹拌容器110内の材料を撹拌する。撹拌羽根122の回転速度は、特に限定されないが、例えば100〜600rpmである。撹拌羽根122の回転速度は、遅すぎると撹拌に時間がかかり、早すぎると材料内に空気が混入しやすくなるため、適宜設定されることが好ましい。
所定の時間(例えば、約2時間)材料を撹拌すると、ポリビニルアルコールが水およびジメチルスルホキシドに完全に溶解し、第1のポリビニルアルコール溶液となる。なお、撹拌時間は、ポリビニルアルコールが水およびジメチルスルホキシドに完全に溶解できるのであれば、特に限定されない。
次に、撹拌機120を停止させ、撹拌容器110を支持スタンド150から移動させて撹拌羽根122を撹拌容器110の開口部から引き抜く。次に、吸引管141が貫通する栓242を撹拌容器110の開口部に嵌合させ、撹拌容器110を密封する。
次に、脱気装置140を作動させると、撹拌容器110の内部の気体が吸引され、撹拌容器110の内部が減圧される。これにより、第1のポリビニルアルコール溶液の内部に入り込んだ空気が脱気される。
次に、図3に示す成形型100に第1のポリビニルアルコール溶液を流し込む。成形型100に第1のポリビニルアルコール溶液を流し込んだ後、成形型100を冷凍庫に入れ、例えば−40℃以下に冷却する。所定の時間(例えば24時間)が経過後、型を冷凍庫から取り出し、常温へ戻す。第1のポリビニルアルコール溶液を冷凍し、解凍することで、ポリビニルアルコールの分子が架橋し、ハイドロゲルである第1の模擬部11が形成される。
次に、上述した製造設備(図2を参照)を用いて、同様の方法で第2の模擬部12の材料となる第2のポリビニルアルコール溶液を作製する。なお、撹拌容器110に入れられる材料の配合率は、第1の模擬部11の場合と同じであっても、異なってもよい。加熱温度、撹拌速度、撹拌時間等の条件は、材料に合わせて好ましい条件に適宜設定されることが好ましい。
次に、成形型100の内部に第2のポリビニルアルコール溶液を流し込む。このときの第1の模擬部11の温度は、例えば常温(約20℃)である。第2のポリビニルアルコール溶液の温度は、例えば約100℃である。なお、第1の模擬部11の温度は、水素結合が切れてゲルから溶液に戻る温度でなければ特に限定されず、例えば冷凍時の−40℃であっても60℃程度まで加熱されてもよい。また、第2のポリビニルアルコール溶液の温度は、溶液状態を維持できる温度であれば特に限定されず、例えば70℃程度まで下げてもよい。
成形型100の内部に第2のポリビニルアルコール溶液を流し込むと、高温の第2のポリビニルアルコール溶液と接触する第1の模擬部11の表面の水素結合が切れて部分的に溶解し、第2のポリビニルアルコール溶液と混ざり合う。
この後、成形型100を冷凍庫に入れ、例えば−30℃に冷却する。所定の時間(例えば24時間以上)冷却すると、成形型100内に流し込まれたポリビニルアルコールの分子間が水素結合(架橋)されて、ゲル状の第2の模擬部12が形成される。さらに、高温の第2のポリビニルアルコール溶液と接触して溶解した第1の模擬部11の表面は、冷凍されて分子間が再び架橋される。これにより、第1の模擬部11および第2の模擬部12が結合し、第1の模擬部11および第2の模擬部12の間に互いの材料が混ざり合った結合部13が形成される。
次に、上述した生体モデル10の製造設備(図2を参照)を再び用いて、病変模擬部14の材料となる第3のポリビニルアルコール溶液を作製する。なお、撹拌容器110に入れられる材料の配合率は、第1の模擬部11や第2の模擬部12の場合と同じであっても、異なってもよい。加熱温度、撹拌速度、撹拌時間等の条件は、材料に合わせて好ましい条件に適宜設定されることが好ましい。次に、完成した第3のポリビニルアルコール溶液に、生体から採取された病変組織または病変組織を模擬した材料を混入させる。
次に、第3のポリビニルアルコール溶液を病変組織または病変組織を模擬した材料とともにシリンジに収容する。次に、図4に示すように、シリンジの針170を第1の模擬部11(または第2の模擬部12)に突き刺し、針先を結合部13の近傍へ到達させる。なお、針先の位置は、結合部13から多少離れていても、剥離しやすい結合部13へ自然と流れるため、厳密に結合部13に位置決めしなくてもよく、作業が容易である。この後、針170から病変部を模擬する材料が混ざった第3のポリビニルアルコール溶液を注入すると、溶液の圧力により、第1の模擬部11と第2の模擬部12の間の結合が部分的に剥がれて空間が形成され、この空間に溶液が充填される。なお、注入時の第3のポリビニルアルコール溶液の温度は、例えば100℃であるが、溶液として維持される10℃程度まで下げることもできる。なお、第1の模擬部11と第2の模擬部12の間の剥離は、第3のポリビニルアルコール溶液の高い温度により、結合部13の近傍の水素結合が切れることによって、生じやすくなる。第3のポリビニルアルコール溶液が充填される空間は、第1の模擬部11と第2の模擬部12の間であれば特に限定されず、第1の模擬部11と結合部13の間、第2の模擬部12と結合部13の間、または結合部13の内部であり得る。
この後、成形型100を冷凍庫に入れ、例えば−30℃に冷却する。所定の時間(例えば24時間以上)が経過後、成形型100を冷凍庫から取り出し、常温へ戻す。これにより、図4に示すように、第3のポリビニルアルコール溶液に含まれるポリビニルアルコールの分子間が水素結合(架橋)されて、病変組織または病変組織を模擬した材料を含む病変模擬部14が形成される。さらに、高温の第3のポリビニルアルコール溶液と接触して温度が上昇し水素結合が切れた結合部13の表面は、部分的に溶解して第3のポリビニルアルコール溶液と混ざりあった後に冷凍され、分子間が再び架橋される。これにより、結合部13と病変模擬部14が結合される。
次に、成形型100を冷凍庫から取り出して常温に戻し、成形型100内から生体モデル10を取り出して、生体モデル10が完成する。
完成した生体モデル10は、結合部13にて第1の模擬部11と第2の模擬部12が結合されているが、ポリビニルアルコールを含むゲルポリビニルアルコール溶液を流し込み、冷凍して2つの材料を結合する際の結合強度は、接触する2つの材料の熱量(温度×体積)に依存し、熱量が大きいほど、広い範囲でハイドロゲルの水素結合が切れ、互いの材料が混ざり合う範囲が広くなる。互いに混ざり合った溶液は、再び冷凍されることで水素結合が再び作られることより、2つの材料が結合するが、混ざり合う範囲が広く結合範囲が広いほど、結合強度が高くなると考えられる。このため、一方の材料に対して他方の材料を重ねる際の熱量を調節することで、結合強度を制御することができる。すなわち、一旦冷却して架橋しても、加熱することで水素結合が切れ、再び冷却することで水素結合するポリビニルアルコールの性質を利用し、加熱温度(熱量)の調節によって、結合部13の結合強度を制御できる。
結合部13におけるポリビニルアルコールの濃度は、第1の模擬部11におけるポリビニルアルコールの濃度と、第2の模擬部12におけるポリビニルアルコールの濃度の間であり、第1の模擬部11から第2の模擬部12に向かって濃度が徐々に変化する。第1の摸擬部11と第2の摸擬部12の熱量が大きいほど、第1の模擬部11と第2の模擬部12が広い範囲で混ざり合い、結合部13におけるポリビニルアルコールの濃度変化の勾配が小さくなり、強度が向上する。なお、結合部13の強度は、初めから一体的に形成される部位である第1の模擬部11自体や第2の模擬部12自体の強度よりも低い。したがって、針170を結合部13の近傍に突き刺して溶液を注入するだけで、結合部13において剥離を生じさせることができる。
以上のように、第1実施形態に係る生体モデル10は、医療器具の訓練または試験に用いられる生体を模擬する生体モデル10であって、水および水溶性有機溶媒の少なくとも一方並びにポリビニルアルコールを含み、前記ポリビニルアルコールの分子が水素結合してゲル状である第1の模擬部11および第2の模擬部12と、病変部から採取した組織、シリコーン樹脂、カルシウム、ポリビニルアルコール及びグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み第1の模擬部11および第2の模擬部12と接触する病変模擬部14とを有する。上記のように構成した生体モデル10は、ポリビニルアルコールを含むゲル状の第1の模擬部11および第2の模擬部12により正常な生体組織を模擬しつつ、病変模擬部14により病変部を適切に模擬して、実際の生体により近い条件で訓練や試験を行うことが可能である。
また、病変模擬部14は、第1の模擬部11および第2の模擬部12の内部に埋設されている。これにより、正常な生体組織の内部に存在する病変部を病変模擬部14により模擬し、実際の生体により近い条件で訓練や試験を行うことが可能である。
また、模擬部は、互いに接する第1の模擬部11と第2の模擬部12を有し、病変模擬部14は、第1の模擬部11と第2の模擬部12の間に位置する。これにより、隣接する正常な2つの生体組織の間に存在する病変部を病変模擬部14により模擬し、実際の生体により近い条件で訓練や試験を行うことが可能である。
また、病変模擬部14は、水および水溶性有機溶媒の少なくとも一方並びにポリビニルアルコールを含み、ポリビニルアルコールの分子が水素結合してゲル状である。これにより、水素結合を利用して病変模擬部14を第1の模擬部11および第2の模擬部12に対して結合させることができ、正常な生体組織に結合する病変部を模擬することができる。
また、本実施形態に係る生体モデル10の製造方法は、医療器具の訓練または試験に用いられる生体を模擬する生体モデル10の製造方法であって、水および水溶性有機溶媒の少なくとも一方並びにポリビニルアルコールが含まれる第1のポリビニルアルコール溶液を冷却してポリビニルアルコールを架橋させて第1の模擬部11と第2の模擬部12を形成するステップと、病変部から採取した組織または病変部を模擬できる材料を含み第1の模擬部11および第2の模擬部12と接触する病変模擬部14を形成するステップと、を有する。上記のように構成した生体モデル10の製造方法は、ポリビニルアルコールを含むゲル状の第1の模擬部11および第2の模擬部12に接触する病変模擬部14を形成するため、実際の生体により近い生体モデル10を製造できる。
また、上記製造方法は、病変模擬部14を形成するステップにおいて、第1の模擬部11および第2の模擬部12の内部に病変模擬部14を埋設する。これにより、正常な生体組織の内部に存在する病変部を病変模擬部14により模擬でき、実際の生体により近い生体モデル10を製造できる。
また、上記製造方法は、模擬部を形成するステップにおいて、互いに接する第1の模擬部11と第2の模擬部12を形成し、病変模擬部14を形成するステップにおいて、病変模擬部14を第1の模擬部11と第2の模擬部12の間に配置する。これにより、隣接する正常な2つの生体組織の間に存在する病変部を病変模擬部14により模擬でき、実際の生体により近い生体モデル10を製造できる。
また、上記製造方法は、第1の模擬部11と第2の模擬部12の境界の近傍に病変模擬部14の材料を注入して病変模擬部14を形成する。これにより、病変模擬部14の材料を注入するだけで、第1の模擬部11と第2の模擬部12の間に病変模擬部14を形成でき、病変模擬部14を形成するための別途の成形型が不要であり、製造が容易である。また、病変模擬部14の位置や大きさを、注入量や注入位置を調節することで多様に設定可能である。
また、上記製造方法は、病変模擬部14を形成するステップにおいて、水および水溶性有機溶媒の少なくとも一方並びにポリビニルアルコールが含まれるポリビニルアルコール溶液を病変部から採取した組織または病変部を模擬できる材料と混合して第1の模擬部11および第2の模擬部12に接触させた後に冷却することで、ポリビニルアルコールの分子を水素結合させて病変模擬部14を形成する。これにより、水素結合を利用して病変模擬部14を第1の模擬部11および第2の模擬部12に対して結合させることができ、正常な組織に結合する病変部を模擬できる。なお、病変模擬部14は、ポリビニルアルコールを含まなくてもよい。
また、第1の模擬部11と第2の模擬部12の間に、第3のポリビニルアルコール溶液を注入しやすいように、剥離しやすい部位を設けてもよい。このために、例えば図5に示すように、第1の模擬部11の表面の結合力を高めたい部分に、第1の模擬部11よりも温度の高い部材15を接触させて加熱する。この後、この部材15を取り除き、第2のポリビニルアルコール溶液を注ぐと、部材15と接触して温度が高い部位は溶融して第2のポリビニルアルコール溶液と混ざりやすくなり、架橋して結合部13を構成した際の結合力が高くなる。したがって、部材15が接触しなかった部位は、想定的に結合力が低く剥離が生じやすくなり、病変模擬部14が配置される位置を正確に設定できる。
また、図6に示す変形例のように、1つの模擬部16の内部に、病変模擬部17を注入して形成してもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る生体モデル20は、病変部として血栓やプラークが形成された血管を模擬するモデルである。
生体モデル20は、図7に示すように、血管の内膜を模擬する第1の模擬部21と、血管の外膜を模擬する第2の模擬部22と、中膜を模擬する結合部23と、結合部23の内部に配置される病変模擬部24とを備えている。なお、図7では、病変模擬部24は、結合部23の内部に位置しているが、第1の模擬部21と結合部23の間に位置してもよく、または第2の模擬部22と結合部23の間に位置してもよい。第1の模擬部21は、図8に示すように、第1のポリビニルアルコール溶液を円管25および芯材26からなる成形型27に流し込み、冷凍および解凍することで、ポリビニルアルコールが架橋されてゲル状に形成される。
この後、図9に示すように、他の円管28および芯材26からなる成形型29に、第2のポリビニルアルコールを流し込んで冷凍することで、ポリビニルアルコールが架橋されてゲル状の第2の模擬部22が形成される。第1の模擬部21と第2の模擬部22の間には、第2のポリビニルアルコールの高い温度によって互いの材料が混ざり合って結合される結合部23が形成される。
次に、ゲル状となった部材を成形型29から取り外して解凍する。次に、第3のポリビニルアルコール溶液および病変部を模擬する材料を収容したシリンジを準備し、図10に示すように、シリンジの針170を第1の模擬部21(または第2の模擬部22)に突き刺して、針先を結合部23の近傍へ到達させる。なお、針先の位置は、厳密に結合部23に位置しなくてもよい。この後、針170から病変部を模擬する材料が混ざった第3のポリビニルアルコール溶液を注入すると、溶液の圧力により、第1の模擬部21と第2の模擬部22の間の結合が部分的に剥がれて空間が形成され、この空間に溶液が充填される。なお、第1の模擬部21と第2の模擬部22の間の剥離は、第3のポリビニルアルコール溶液の高い温度により、結合部23の近傍の水素結合が切れることによって生じやすくなる。第3のポリビニルアルコール溶液が充填される空間は、第1の模擬部21と第2の模擬部22の間であれば特に限定されず、第1の模擬部21と結合部23の間、第2の模擬部22と結合部23の間、または結合部23の内部であり得る。この後、第3のポリビニルアルコール溶液を注入した部材を冷凍した後に解凍すると、ポリビニルアルコールが架橋されて、図7に示すように、病変模擬部24を有する生体モデル20が完成する。病変模擬部24は、結合部23と材料が混ざり合って結合部23と結合して形成される。このように、血管内に偏って配置される病変部であっても、病変模擬部24の材料の注入量や注入部位によって、病変模擬部24用の成形型を必要とせずに容易に模擬できる。また、病変模擬部24の材料の注入量や注入部位によって、第1の模擬部21が血管の内腔に押され、血管の内腔に突き出るため、血管の内腔が減少するような生体組織をも、良好に再現できる。また、病変模擬部24の材料の注入量や注入部位によって、第2の模擬部22が血管の径方向外側に押され、血管の外側に突き出るため、血管の外径が一部増加するような生体組織をも、良好に再現できる。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る生体モデルは、石灰化した病変部が内部に形成された血管を模擬するモデルである。
生体モデル30は、図11に示すように、血管を模擬する模擬部31と、模擬部31の内側に配置される病変模擬部32とを備えている。模擬部31は、図12に示すように、第1のポリビニルアルコール溶液を円管33および芯材34からなる成形型35に流し込み、冷凍および解凍することで、ポリビニルアルコールが架橋されてゲル状に形成される。
この後、図13に示すように、他の円管36および芯材34からなる成形型37に、病変組織を模擬する石灰を含む第3のポリビニルアルコールを流し込み、冷凍および解凍することで、ポリビニルアルコールが架橋されて病変模擬部32が形成される。模擬部31と病変模擬部32の間には、第3のポリビニルアルコールの高い温度によって互いの材料が混ざり合って結合される。この後、成形型37を取り外して、生体モデル30が完成する。
以上のように、第3実施形態に係る生体モデル30は、病変模擬部32が模擬部31に埋設されずに模擬部31の外面に接触している。病変模擬部32は、模擬部31の外面一周に対して接触している。これにより、正常な生体組織の外部に存在する病変部を病変模擬部32により模擬することができ、実際の生体により近い条件で訓練や試験を行うことが可能である。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る生体モデル40は、病変部が生体組織の外部に形成された状態を模擬するモデルである。模擬する病変部は、例えばがん細胞、血栓、プラーク等である。
生体モデル40は、図14に示すように、正常な組織を模擬する模擬部41と、模擬部41の外側に配置される病変模擬部42とを備えている。模擬部41は、第1のポリビニルアルコール溶液を成形型100に流し込み、冷凍および解凍することで、ポリビニルアルコールが架橋されてゲル状に形成される。この後、病変組織を模擬する材料を模擬部41の上に配置し、病変模擬部42を形成する。この後、成形型100を取り外して、生体モデル40が完成する。
以上のように、第4実施形態に係る生体モデル40は、病変模擬部42を模擬部41の外部に配置することで、生体モデル40を構成することが可能である。なお、病変模擬部42は、模擬部41に対して、接着したり、突起等を設けて突き刺したりすることで固定することもできる。
<第5実施形態>
第5実施形態に係る生体モデル50は、病変部42が生体組織の内部に形成された状態を模擬するモデルである。模擬する病変部は、例えばがん細胞、血栓、プラーク等である。
生体モデル50は、図15に示すように、第4実施形態に係る生体モデル40と同様の模擬部41および病変模擬部42を形成し、これらを覆うように第2のポリビニルアルコール溶液を成形型100に流し込み、冷凍および解凍する。これにより、ポリビニルアルコールが架橋されて第2の模擬部51が形成される。病変模擬部42は、模擬部41と第2の模擬部51の間に配置される。この後、成形型100を取り外して、生体モデル50が完成する。
以上のように、第5実施形態に係る生体モデル50は、病変模擬部42を模擬部41の外部に配置した後、第2の模擬部51で覆うことで、病変模擬部42が模擬部41および第2の模擬部51の内部に埋設される。したがって、病変部を模擬する材料をシリンジ等で注入が困難な場合であっても、病変模擬部42を模擬部41および第2の模擬部51の内部に配置することが容易である。
<第6実施形態>
第6実施形態に係る生体モデル60は、病変部が生体組織の内部に形成された状態を模擬するモデルである。模擬する病変部は、例えばがん細胞、血栓、プラーク等である。
生体モデル60は、図17に示すように、正常な組織を模擬する第1の模擬部61および第2の模擬部62と、第1の模擬部61および第2の模擬部62の間に配置される病変模擬部63とを備えている。
第1の模擬部61は、第1のポリビニルアルコール溶液を成形型100に流し込み、冷凍および解凍することで、ポリビニルアルコールが架橋されてゲル状に形成される。次に、図16に示すように、病変模擬部63の形状を規定する病変部用成形型261を、第1の模擬部61の上面の所定の範囲を囲むように配置する。次に、病変部用成形型261の内部に、病変部を模擬する材料を含む第3のポリビニルアルコール溶液を流し込む。この後、冷凍および解凍することで、ポリビニルアルコールが架橋されて病変模擬部63が形成される。
次に、第1の模擬部61および病変模擬部63を覆うように第2のポリビニルアルコール溶液を成形型100に流し込み、冷凍および解凍する。これにより、図17に示すように、ポリビニルアルコールが架橋されて第2の模擬部62が形成される。病変模擬部63は、第1の模擬部61と第2の模擬部62の間に配置される。この後、成形型100を取り外して、生体モデル60が完成する。
以上のように、第6実施形態に係る生体モデル60の製造方法は、病変模擬部63を形成するステップにおいて、当該病変模擬部63の外側形状に対応する形状を備えた病変部用成形型261を第1の模擬部61に接触させ、病変部用成形型261に病変模擬部63の材料を供給して病変模擬部63を形成する。このように、病変部用成形型261を用いて病変模擬部63を形成するため、病変模擬部63を望ましい形状に形成できる。
<第7実施形態>
第7実施形態に係る生体モデル70は、病変部が生体組織の内部に形成された状態を模擬するモデルである。模擬する病変部は、例えばがん細胞、血栓、プラーク、石灰化病変、ポリープ等を模擬する。または、病変模擬部14は、血管内の狭窄や閉塞を模擬することもできる。または、血管内の狭窄や閉塞の硬さ、量、長さを模擬することができる。例えば、動脈の血栓は静脈の血栓よりも量が少なく、長さが短く、硬い。静脈の血栓は動脈の血栓よりも量が多く、長さが長く、柔らかい。
生体モデル70は、図21に示すように、正常な組織を模擬する第1の模擬部71および第2の模擬部72と、第1の模擬部71および第2の模擬部72の間に配置される病変模擬部73とを備えている。
第1の模擬部71は、図18に示すように、第1のポリビニルアルコール溶液を成形型に流し込み、冷凍および解凍することで、ポリビニルアルコールが架橋されてゲル状に形成される。次に、第2のポリビニルアルコール溶液を成形型に流し込み、冷凍および解凍することで、ポリビニルアルコールが架橋されて、第2の模擬部72がゲル状に形成される。第1の模擬部71と第2の模擬部72の間は、第2のポリビニルアルコールの高い温度によって互いの材料が混ざり合って結合される。
次に、図19に示すように、病変模擬部73の外側形状に対応する形状を備えたくり抜き型75を第2の模擬部72に押し付け、第2の模擬部72をくり抜く。第1の模擬部71と第2の模擬部72の結合部の接合強度は、第1の模擬部71自体や第2の模擬部72自体の強度よりも低いため、くり抜き型75を第1の模擬部71と第2の模擬部72の結合部まで押し込むことで、第2の模擬部72をくり抜くことができる。なお、第2の模擬部72をくり抜きやすいように、第1の模擬部71と第2の模擬部72の間に、接合強度が低い部位を積極的に設けてもよい(図5を参照)。
次に、くり抜き型75を取り除き、図20に示すように、くり抜かれた部位に、病変部を模擬する材料を含む第3のポリビニルアルコール溶液を流し込む。この後、冷凍および解凍することで、ポリビニルアルコールが架橋されて病変模擬部73が形成される。
次に、病変模擬部73を覆うように第2のポリビニルアルコール溶液を注ぎ、第2の模擬部72のくり抜かれた部位を第2のポリビニルアルコール溶液で満たして、冷凍および解凍する。これにより、図21に示すように、ポリビニルアルコールが架橋されて第2の模擬部72のくり抜かれた部位がゲルにより埋められる。これにより、病変模擬部73は、第1の模擬部71と第2の模擬部72の間に配置される。この後、成形型100を取り外して、生体モデル70が完成する。
以上のように、第7実施形態に係る生体モデル70の製造方法は、第2の模擬部72をくり抜き、病変模擬部73を形成した後、くり抜いた部位を埋めるステップを有する。このような方法であっても、第1の模擬部71および第2の模擬部72の内部に病変模擬部73が埋設された生体モデル70を作製できる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、本実施形態に係る生体モデルの形状は、特に限定されない。また、生体モデルは、さらに他の模擬部が設けられて、より複雑な構成であってもよい。
10、20、30、40、50、60、70 生体モデル、
11、21、61、71 第1の模擬部(模擬部)、
12、22、51、62、72 第2の模擬部(模擬部)、
13、23 結合部、
14、17、24、32、42、63、73 病変模擬部、
16、31、41 模擬部、
261 病変部用成形型。

Claims (10)

  1. 医療器具の訓練または試験に用いられる生体を模擬する生体モデルであって、
    水および水溶性有機溶媒の少なくとも一方並びにポリビニルアルコールを含み、前記ポリビニルアルコールの分子が水素結合してゲル状である模擬部と、
    病変部から採取した組織、シリコーン樹脂、カルシウム、ポリビニルアルコール及びグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み前記模擬部と接触する病変模擬部と、を有する生体モデル。
  2. 前記病変模擬部は、前記模擬部の内部に埋設されている請求項1に記載の生体モデル。
  3. 前記病変模擬部は、前記模擬部の外面に接触する請求項1に記載の生体モデル。
  4. 前記模擬部は、互いに接する第1の模擬部と第2の模擬部を有し、
    前記病変模擬部は、前記第1の模擬部と第2の模擬部の間に位置する請求項1または2に記載の生体モデル。
  5. 前記模擬部は、管状であり、内腔に向かって突出している請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体モデル。
  6. 医療器具の訓練または試験に用いられる生体を模擬する生体モデルの製造方法であって、
    水および水溶性有機溶媒の少なくとも一方並びにポリビニルアルコールが含まれる第1のポリビニルアルコール溶液を冷却してポリビニルアルコールを架橋させて模擬部を形成するステップと、
    病変部から採取した組織または病変部を模擬できる材料を含み前記模擬部と接触する病変模擬部を形成するステップと、を有する生体モデルの製造方法。
  7. 前記病変模擬部を形成するステップにおいて、前記模擬部の内部に前記病変模擬部を配置する請求項6に記載の生体モデルの製造方法。
  8. 前記模擬部を形成するステップにおいて、互いに接する第1の模擬部と第2の模擬部を形成し、
    前記病変模擬部を形成するステップにおいて、前記病変模擬部を前記第1の模擬部と第2の模擬部の間に配置する請求項6または7に記載の生体モデルの製造方法。
  9. 前記模擬部を形成するステップにおいて、前記第1の模擬部と第2の模擬部の境界の近傍に前記病変模擬部の材料を注入して前記病変模擬部を形成する請求項8に記載の生体モデルの製造方法。
  10. 前記病変模擬部を形成するステップにおいて、水および水溶性有機溶媒の少なくとも一方並びにポリビニルアルコールが含まれるポリビニルアルコール溶液を病変部から採取した組織または病変部を模擬できる材料に混合して前記模擬部に接触させた後に冷却することで、前記ポリビニルアルコールの分子を水素結合させて前記病変模擬部を前記模擬部に結合する請求項6〜9のいずれか1項に記載の生体モデルの製造方法。
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