JP5745155B1 - 臓器組織質感モデル - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギーデバイスの切開時に体液(例えば、血)が滲む様子を再現できる性質を持ち、かつシールが不要である臓器モデルを提供する。【解決手段】常温でゲル状であり、かつ、エネルギーデバイスで切開した際に切開部分周辺が体液を模した色のゾル状になる体液層(例えば血液層110)を有し、前記体液層が、ハイドロゲル材料からなり、該ハイドロゲル材料がポリビニルアルコールを含有することを特徴とするエネルギーデバイス切開用臓器・組織・器官モデル。【選択図】図1

Description

本発明は、実体モデル(本物臓器モデル)と質感が同一視でき且つ生体反応がリアルに再現された臓器組織質感モデル(擬似臓器モデル)に関する。詳細には、本発明は、(1)手術、組織診(生検)、細胞診検査、病理解剖といった医療行為におけるシミュレーション(学習、訓練、修練、習熟、演習等)に活用できると共に、(2)医療機器開発にも有効な、特有の質感と性能を付与したことを特徴とする擬似(模擬)臓器モデル、擬似組織モデルあるいは擬似器官モデルに関する。
医療において切開や縫合を必要とする手術等の医療行為は高度な技術を必要とし、その技量は医療行為の質に直結し、場合によってはその成否にも関わる重要な要素である。技術の向上あるいは医療行為の質を上げるためには、できるだけ実態に近い状態で繰り返しシミュレーションできる環境を作ることが望ましい。
ここで、従来、医療行為のシミュレーションに際しては、動物の臓器や組織及びヒトの死体が使用されてきた。しかしながら、当該動物の臓器や組織等は、生きている実際の人間の臓器や組織とは形、大きさ、質感が多少異なる。更に、多忙な医師が空いた時間を利用して手術室以外で医療行為のシミュレーションを行う場合、動物の臓器等を用いることは衛生上及び室内環境上好ましくない。
よって、医療行為のシミュレーションに適した擬似臓器モデルが求められている。この際、実体モデル(本物臓器)と同一視できるバーチャルモデル(擬似臓器)であることが重要である。具体的には、実体モデルと同一視する重要ファクタは、質感及び生体反応である。ここで、同一視できる質感とは、例えば、一定の形状や構造が再現されている、軟質材で固有の柔らかさが再現できている、ウエットである、触った感触が似ている、等々である。また、同一視できる生体反応とは、例えば、切った感触、切り口の感じ、体液の漏出等々である。
更には、医療行為のシミュレーションの他、実際の臓器と質感や生体反応にて同一視できる擬似臓器モデルは、新規な医療機器の開発にも有用である。理想の擬似臓器モデルがあれば薬事法を回避して開発可能な機器もあるので、安全の確保や開発速度の向上に繋がるからである。
ここで、特許文献1及び特許文献2に、擬似臓器モデルが提案されている。まず、特許文献1には、管状に形成された樹脂製の外皮と、管状に形成され、撓み変形させた状態で前記外皮の内部に挿入され、両端部外側面が前記外皮の両端部内側面に固定されている内皮と、を備えたことを特徴とする管状擬似人体パーツが提案されている。また、特許文献2には、手術練習用または手術用切除具の切れ味の確認用の臓器モデル用成形材料であって、平均重合度が300〜3500であり、ケン化度が90モル%以上であるポリビニルアルコールからなり、ジメチルスルホキシドを用いて架橋されてなる架橋ゲルおよびシリカ粒子を含有することを特徴とする臓器モデル用成形材料が提案されている。
特開2012−237851号公報 特許第4993519号明細書
ここで、切開等に使用される切除具としては、手術用メス、手術用ナイフ、手術用エネルギーデバイス(例えば、電気メス、超音波メス、高周波ラジオ波メス等)を挙げることができる。これらの内、エネルギーデバイスは、切開のみならず体液を凝固できる点で多用されている。このように、エネルギーデバイスに適した擬似臓器モデルが求められるところ、特許文献1及び特許文献2の臓器モデルのいずれも、質感(例えば切開前の硬さ)及び生体反応の再現(特に、切断直後の体液の状態)という点で不十分であるという課題がある。具体的には、特許文献1では、擬似血液に液体が使用されている。したがって、切断後も、その出血具合は際限なく広がってしまい、凝固の特性を再現できない。また、特許文献2では、製造例1(段落0084〜段落0085)にてホウ砂水溶液及びホウ酸水溶液で架橋させたPVAゲルからなる擬似血液が使用されている(化学架橋)。したがって、切断後も、切断前と変わらず流動性に変化が起きない状態のままである。しかも、特許文献2では、手術用メスや手術用ナイフ等の使用を前提としているが、切開のシミュレーションしか想定していない臓器モデルである(段落0001、段落0051)。そこで、本発明は、エネルギーデバイスによる切開前には固体状(液体状であると当該液体を内包しておく素材が必要となるため)である一方、エネルギーデバイスによる切開後は一定の粘度を保ち流体状となり、更には時間経過と共に凝固していく様、即ち、エネルギーデバイスを用いた際の生体反応をリアルに再現可能な臓器モデルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、擬似体液(例えば血)として特定の素材を用いることにより、実際の臓器と類似した質感を実現できると共に、エネルギーデバイスの使用を用いた際の生体反応をリアルに再現できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、常温でゲル状であり、かつ、エネルギーデバイスで切開した際に切開部分周辺が体液を模した色のゾル状になる体液層を有し、
前記体液層が、ハイドロゲル材料からなり、該ハイドロゲル材料がポリビニルアルコールを含有することを特徴とするエネルギーデバイス切開用の、臓器及び/又は組織及び/又は器官モデル(臓器・組織・器官モデル、以下、単に「臓器モデル」という)である。尚、本明細書にいう「エネルギーデバイス」とは、エネルギーを用いて高温状態にしながら、対象部位を切開及び/又は剥離及び/又は凝固するデバイスを意味し、例えば、電気メス、超音波メス、高周波ラジオ波メス及びラジオ波焼灼術用デバイスが挙げられる。
本発明(2)は、前記ポリビニルアルコールの少なくとも一部が、物理架橋されたものであることを特徴とする、前記発明(1)に記載の臓器モデルである。
本発明(3)は、前記体液層の含水率Aが70%以上であることを特徴とする、前記発明(2)に記載の臓器モデルである。
本発明(4)は、前記体液層の前記ゾル状になる温度が190℃以下であることを特徴とする、前記発明(1)〜(3)のいずれかに記載の臓器モデルである。
本発明(5)は、前記体液層が、略円柱状であることを特徴とする、前記発明(1)〜(4)のいずれかに記載の臓器モデルである。
本発明(6)は、前記体液層上にハイドロゲル材料からなる組織層が少なくとも1以上積層した積層体であることを特徴とする、前記発明(1)〜(5)のいずれかに記載の臓器モデルである。
本発明(7)は、前記体液層及び/又は前記組織層の少なくとも1以上が、該層の内部であり且つ該層の平面方向に亘って繊維群が略連続的に偏在している繊維群含有層であることを特徴とする、前記発明(6)に記載の臓器モデルである。
本発明(8)は、前記エネルギーデバイスは、電気メス及び超音波メスから選択される、前記発明(1)〜(7)のいずれか一つの臓器モデルである。
ここで、本発明においてゾルとは、流動性を有する分散系溶液を指し、最も広義のゾルとして解されるべきものである。また、本明細書においてゲルとは、流動性を失った分散系溶液(ゾル)のことである。
また、本発明において体液を模した色とは、体液を模しているものと判断可能な程度の色を呈する色であることが好ましい(例えば、体液が血液である場合には、赤色であることが好ましい)。しかしながらこれには限定されず、その他の層、例えば、体液層の周りに配された皮膚や筋肉等を模した層と識別可能な色であれば、実際の体液とは異なる色としてもよい。
更に、本発明において体液層とは、臓器モデルにおいて、エネルギーデバイス切開の際に体液の流出の発生を再現することを目的とした層である。例えば、該体液層を血液層とした際には、該血液層は、略円柱状の擬似血液でもよいし、擬似血管及び擬似血液を含む層として特定の層に埋め込むように配する層であってもよいし、皮下組織層からの流血を再現したい場合には、擬似血液のみを有する(即ち、擬似血管を有しない)皮下組織層であってもよい。この場合、該血液層は、皮下組織層全体に渡り、何れの箇所をエネルギーデバイスで切開しても流血が再現され得る層として機能する。
本発明によれば、エネルギーデバイスによる切開前には固体状(液体状であると当該液体を内包しておく素材が必要となるため)である一方、エネルギーデバイスによる切開後は一定の粘度を保ち流体状となり、更には時間経過と共に凝固していく様、即ち、エネルギーデバイスを用いた際の、実際の臓器に似た質感(軟質且つウエッティ)と生体反応をリアルに再現可能な臓器モデルを提供することが可能となる。
加えて、本発明によれば、常態ではゲル状であるという特性により、輸送や保管が楽になる。更に、例えば本物の血管を傷つけると血が出続けるところ、医療行為のシミュレーション時においては傷つけてはいけない所へ達したかどうかの判定さえできればよい。即ち、当該シミュレーション時においては、固まらない液体が漏出し続けても、視界を奪いシミュレーションの邪魔になるだけである。この観点からも、本発明によれば、時間経過と共に凝固するため、当該問題は解消できる。
また、実際の臓器と質感や生体反応にて同一視できる本発明に係る擬似臓器モデルは、新規な医療機器の開発にも有用である。
総括すると、本発明は、当該臓器モデルを用いての医療機器の進歩や医療技術への貢献に繋がる。
図1は、第1実施形態に係る板状の血液層と該血液層上に積層させた組織層で構成される臓器モデルの模式図である。 図2は、第1実施形態に係る臓器モデルの製造方法を示す模式図である。 図3は、第2実施形態に係る略円柱状の血液層と該血液層を覆う管状の組織層で構成される臓器モデルの模式図である。 図4は、略円柱状の血液層と該血液層を覆う板状の組織層で構成される臓器モデルの模式図である。 図5は、第2実施形態に係る臓器モデルの製造方法を示す模式図である。 図6は、実施例1に係る臓器モデルの出来上がり後の写真である。 図7は、管状の臓器モデルの写真であり、右側が実施例2に係る臓器モデルの出来上がり後の写真である。 図8は、実施例1に係る臓器モデルの電気メスでの切開直後の写真である。 図9は、実施例1に係る臓器モデルの電気メスでの切開部を布で拭った後の写真である。
本発明に係る臓器モデルは、常温でゲル状であり、かつ、エネルギーデバイスで切開した際に切開部分周辺が体液を模した色の液状になる体液層を有し、前記体液層が、ハイドロゲル材料からなり、該ハイドロゲル材料がポリビニルアルコールを含有することを特徴とするエネルギーデバイス切開用臓器モデルである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造又は機能を有するものとする。
本発明に係る臓器モデルについては、以下の順序で説明する。
1 第1実施形態
1−1 第1実施形態に係る臓器モデルの構成
1−2 第1実施形態に係る臓器モデルの性質
1−3 第1実施形態に係る臓器モデルの用途・使用方法
1−4 第1実施形態に係る臓器モデルの製造方法
2 第2実施形態
2−1 第2実施形態に係る臓器モデルの構成
2−2 第2実施形態に係る臓器モデルの用途・使用方法
2−3 第2実施形態に係る臓器モデルの製造方法
ここで、以下の実施形態は、あくまで一例であり、各層の材質、製造方法等に関し、以下の態様に限定されるものではない。また、各実施形態は、特定のものに対して適用されると限定的に解すべきでなく、どのような組み合わせであってもよい。例えば、技術的に矛盾しない限り、ある実施形態についての記載は、別の実施形態についての記載でもあると理解すべきであり、また、ある記載と別の記載が独立して記載されていたとしても、当該ある記載と当該別の記載を組み合わせたものも記載されていると理解すべきである。更に、以下の実施形態において示す具体的一例としての数値等の情報は、あくまで一例であり、以下の実施形態や変更例の趣旨を大きく逸脱しない限りにおいては、適宜変更してもよいものであると理解すべきである。
また、本発明に係る「体液」としては特に限定されず、血液、リンパ液、組織液(組織間液、細胞間液、間質液)、体腔液{漿膜腔液(胸水、腹水、心嚢液)、脳脊髄液(髄液)、関節液(滑液)、眼房水(房水)}、消化液(唾液、胃液、胆汁、膵液、腸液)、汗、涙、鼻水、尿、精液、膣液、羊水、乳汁等を例示可能である。以下の実施形態においては、体液として血液を模した「血液層」を有する臓器モデルに関して詳述する。但し、以下の記載における「血液層」を「体液層」と読み替えたものも、そうでないことが明らかである場合を除き、実施形態として記載されているものとする。
『第1実施形態』
≪第1実施形態に係る臓器モデルの構成≫
<全体の構成>
本実施形態に係る臓器モデルは、目的に応じて、常温でゲル状であり、かつ、エネルギーデバイスで切開した際に切開部分周辺が血液を模した色の液状になる血液層を有し、前記血液層が、ハイドロゲル材料からなり、該ハイドロゲル材料がポリビニルアルコールを含有することを特徴とするエネルギーデバイス切開用臓器モデルであって、前記血液層上にハイドロゲル材料からなる組織層が少なくとも1以上積層した積層体であることを特徴としている。以下においては、血液層と、血液層上に1の組織層が積層した積層体であるエネルギーデバイス切開用臓器モデルに関して詳述する。すなわち、本実施形態においては、血液層と1の組織層の積層体に関して詳述するが、血液層のみからなるエネルギーデバイス切開用臓器モデルであってもよいし、組織層が複数あってもよい。また、積層体全体の厚みや、各層の厚みは、目的に応じて適宜変更すればよい。
すなわち、積層するハイドロゲル材料からなる層の数に制限はなく、使用目的により異なる。血液層又は組織層についても、層の数に制限はなく、使用目的により異なる。前記血液層、前記組織層、あるいは、それ以外の層の配置についても、使用目的により異なる。また、本実施形態に係る臓器モデルとして、ハイドロゲル材料からなる層のみを含む積層体を例示しているが、これには限定されず、ハイドロゲル材料からなる層以外の層(ハイドロゲル材料以外の軟質材料からなる層や、硬質材料を含む層)を含んでいてもよい。
図1を参照しながら、本実施形態に係る臓器モデルの構成について説明する。図1は、本実施形態に係る板状の血液層と該血液層上に積層させた組織層で構成される臓器モデルの模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る臓器モデルは、血液層110と1の組織層120を積層させた臓器モデルである。尚、本発明は、健常人の臓器・組織・器官モデルのみならず病巣を有する臓器・組織・器官モデルも包含する。ここで、「病巣」とは、異常な組織の領域を指し、例えば、病変には良性(非癌性)のものと、悪性(癌性)のものがある。具体的には、下記では臓器モデルに血管を埋め込む態様を例示したが、病巣(例えば癌組織)を埋め込む態様を挙げることができる。
[血液層]
本実施形態に係る臓器モデルにおける、血液層を詳述する。血液層は、常温でゲル状であり、かつ、エネルギーデバイスで切開した際に切開部分周辺が血液を模した色のゾル状になる。また、ハイドロゲル材料からなり、該ハイドロゲル材料がポリビニルアルコールを含有することを特徴とする。
(成分)
・ハイドロゲル材料
本実施形態に係る血液層のハイドロゲル材料は、ポリビニルアルコールを含有する。
ポリビニルアルコールの平均重合度は限定されないが、好適には1000〜3000、より好適には1500〜2000である。また、ポリビニルアルコールのけん化度は限定されないが、好適には90モル%以上、より好適には95モル%以上である。
本実施形態に係るポリビニルアルコールの少なくとも一部は、本発明に求められる性質を得るために、物理架橋されたものであることが好適である。
さらに、架橋ゲルは、所望の性質(例えば、適度な硬度)を得るために、ジメチルスルホキシドを溶媒に用いて架橋されていてもよい。
ジメチルスルホキシドを用いてポリビニルアルコールを架橋する場合、ポリビニルアルコール、ジメチルスルホキシド及び水の配合比は限定されないが、例えば、特開2007−316434号公報記載の配合比を用いることができる。エネルギーデバイスの切開時に血が滲む様子をより現実に近い状態に再現できるためには、ポリビニルアルコール、ジメチルスルホキシド及び水を含有する混合溶液の総重量を基準として、ポリビニルアルコールが2〜30重量%であることが好ましく、3〜20重量%であることがより好ましく、5〜15%であることがさらに好ましい。また、ジメチルスルホキシドと水との割合は限定されないが、ジメチルスルホキシド:水の重量比が0:1〜10:1であることが好ましい。
・着色剤
血液層は、エネルギーデバイスで切開した際に切開部分周辺が血液を模した色の液状になる。そのため、前記ハイドロゲル材料に、血液を模した色の着色剤を添加する。着色剤は公知のものを用いることができ、血液を模した色になれば特に限定されるものではない。前述のように、本発明において血液を模した色とは、血液を模しているものと判断可能な程度の赤色を呈する色であることが好ましいが、これには限定されず、その他の層、例えば、血液層の周りに配された皮膚や筋肉等を模した層と識別可能な色であれば、青色や紫色等の実際の血液とは異なる色としてもよい。
・その他の成分
前記ハイドロゲル材料には、その他の公知の添加剤(例えば、酸化防止剤等)を添加してもよい。また、溶媒に電解質を加える事によって、導電性を調整することが可能になる。
さらに、血液層は、繊維を含んでいてもよい。繊維を含むことにより、エネルギーデバイスの切開時に血が滲む様子を再現できる性質を保持したまま、他の質感を調整することが可能になる。このような、繊維は、限定されないが、例えば、綿、麻、毛等が挙げられる。
(含水率)
エネルギーデバイスの切開時に血が滲む様子をより現実に近い状態に再現することができるために、物理架橋のゲルにおいては、血液層の含水率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。含水率が一定量を下回ると、エネルギーデバイスを当てた場所は急激に溶かされ、切開場所以上に開口してしまう。また溶けた素材が刃の部分に纏わりつき、作業性が落ちる。
含水率は、本明細書で示した冷凍法によって製造する場合には、架橋が難しく固まらないことから、98%以下であることが好ましく、エネルギーデバイスの切開時に血が滲む様子をより現実に近い状態に再現することができるために、95%以下であることがより好ましい。
含水率は、公知の方法である乾燥減量法によって、測定することができる。
(ゾル状になる温度)
エネルギーデバイスの切開時に血が滲む様子をより現実に近い状態に再現することができるためには、血液層のゾル状になる温度が190℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがよりいっそう好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。
血液層のゾル状になる温度は、保存や輸送中に溶け出さないよう、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。
ゾル状になる温度は、熱電対で監視したホットプレートを用意し、各温度時に臓器モデルの小片を触れさせる方法によって測定する。また、例えば、公知の方法である示差走査熱量測定法等によって測定することができる。
また、本発明に係る血液層は、形状保持性を有し、例えば、流動性ゲル等とは異なり、自立可能な程度の弾性を有する。その結果、シールを用いずとも、エネルギーデバイスを用いた切開において、流血状態をシミュレート可能な臓器モデルとすることができる。
[組織層]
本実施形態に係る臓器モデルにおける、ハイドロゲル材料からなる組織層を詳述する。
(成分)
・ハイドロゲル材料
本実施形態に係る組織層のハイドロゲル材料は限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド等の高分子ゲル材料、あるいはセルロース、デンプン、コラーゲン等の天然ゲル材料を用いることが可能である。本発明の課題においては、特に、ポリビニルアルコールからなる架橋ゲルを含有することが好ましい。
ポリビニルアルコールの平均重合度は限定されないが、好適には1000〜3000、より好適には1500〜2000である。また、ポリビニルアルコールのけん化度は限定されないが、好適には90モル%以上、より好適には95モル%以上である。
また、架橋ゲルは、所望の性質(例えば、適度な硬度)を得るために、ジメチルスルホキシドを溶媒に用いて架橋されていてもよい。
ジメチルスルホキシドを用いてポリビニルアルコールを架橋する場合、ポリビニルアルコール、ジメチルスルホキシド及び水の配合比は限定されないが、例えば、特開2007−316434号公報記載の配合比を用いることができる。ポリビニルアルコール、ジメチルスルホキシド及び水を含有する混合溶液の総重量を基準として、ポリビニルアルコールが2〜30重量%であることが好ましく、3〜20重量%であることがより好ましく、5〜15%であることがさらに好ましい。また、ジメチルスルホキシドと水との割合は限定されないが、ジメチルスルホキシド:水の重量比が0:1〜10:1であることが好ましい。
・その他の成分
前記ハイドロゲル材料には、使用目的に応じて、着色剤を添加することができる。着色剤で着色することによって、臓器モデルを人体の臓器に近い色にすることができる。
また、前記ハイドロゲル材料には、その他の公知の添加剤(例えば、酸化防止剤等)を添加してもよい。また、溶媒に電解質を加える事によって、導電性を調整することが可能になる。
さらに、組織層は、繊維を含んでいてもよい。繊維を含むことにより、他の質感を調整することが可能になる。このような、繊維は、限定されないが、例えば、綿、麻、毛等が挙げられる。
(含水率)
組織層及び血液層の含水率比は特に限定されない。但し、組織層及び血液層がいずれもポリビニルアルコールハイドロゲル(PVAハイドロゲル)である場合、エネルギーデバイスの切開時に血が滲む様子をより現実に近い状態に再現することができるためには、組織層の含水率(質量含水率)は、血液層の含水率以下であることが好ましい。すなわち、組織層の含水率Bと血液層の含水率Aの関係が、B<A、又は、B=Aであることが好ましく、その組織層の含水率は、本明細書で示した冷凍法によって製造する場合には、架橋が難しく固まらないことから、98%以下であることが好ましく、エネルギーデバイスの切開時に血が滲む様子をより現実に近い状態に再現することができるために、95%以下であることがより好ましい。本来の臓器の質感や生体反応の再現の観点から、組織層の含水率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
[繊維群含有層]
血液層及び/又は組織層は、該層の内部であり且つ該層の平面方向に亘って繊維群が略連続的に偏在している繊維群含有層であってもよい。
(繊維群)
繊維群の繊維群含有層内部での位置・状態は、該層の内部であり且つ該層の平面方向に亘って繊維群が略連続的に偏在していれば足り、制限はない。繊維群の状態は、繊維群をシート状の繊維シートとすることが好ましいが、これには限定されず、例えば、丸めて埋没している状態、蛇腹状に織り込ませている状態等でもよい。
(材料)
繊維群の材料としては限定されず、目的に応じて一般的な繊維を適宜用いればよく、例えば、セルロース又はセルロースを主成分とする繊維(例えば、麻、紙、綿等)、毛、レーヨン等の他にも、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等の化学繊維、あるいは炭素繊維等を用いればよい。また、繊維群の形状も限定されず、目的に応じて異なり、例えば、織布や不織布等のシート状、立体網目状(例えば、綿状)、起泡体状等が挙げられる。中でも、実際の臓器の層厚が薄いこと、面方向の張りを維持できるために引き剥がし面を容易に設定できることから、シート状が好適である。このようなシート状の繊維群を用いることにより、例えば、当該繊維群が芯材となることで伸縮方向への強度(特には引っ張り強度)を向上させることが可能となる。また、繊維が結合された状態であるため、引き裂き面を容易に設定可能となる。更に、薄い層とすることも可能となる。
(厚さ、目付)
繊維群の厚さは目的に応じて異なり、限定されないが、例えば0.01〜10mm程度である。繊維群の目付は限定されないが、例えば5〜300g/m等とすればよい。
このような繊維群含有層を設けることにより、例えば、層の引き剥がし性を付与することが可能となるが、繊維群を含有させることにより、当該繊維群が芯材となることで伸縮方向への強度(特には引っ張り強度)を向上させることが可能となり、更には、薄い造形とすることも可能となる。また、繊維群の材質(材料)や厚さ・目付、繊維群の配置方法等を変更することにより、所望の強度を得ることが可能となる。
以上、本実施形態に係る板状の臓器モデルに関して説明したが、袋状や筒状、管状等の、臓器モデルとしてもよい。
≪第1実施形態に係る臓器モデルの性質≫
第1実施形態に係る臓器モデル(特に、血液層)は、常温でゲル状である。エネルギーデバイスで切開した際に血液層の切開部分周辺が血液を模した色の液状になる。
第1実施形態に係る臓器モデルの血液層は、前述のように、ポリビニルアルコールを含有する物理架橋のハイドロゲル材料からなるため、エネルギーデバイスでの切開時に熱によってゾル状に変化し、切開部分周辺が血液を模した色の液状になる。
これに対して、化学架橋のゲルを用いた場合、エネルギーデバイスで切開しても、ゾル状にはならない。これは、エネルギーデバイス切開時の熱では、化学架橋のゲルがゾルにならないためである。
さらに、第1実施形態に係る臓器モデルの血液層は、時間が経つと、冷えて、ゾル状となった血液層の流動性が低下する。このため、時間経過とともに凝固する血液の様子を再現することができ、現実に近い形で訓練することが可能になる。
≪第1実施形態に係る臓器モデルの用途・使用方法≫
本実施形態に係る臓器モデルは、エネルギーデバイスで切開する練習のための臓器モデルとして使用することができる。
本実施形態に係る臓器モデルの具体的な用途は限定されないが、例えば、前記臓器が肺、心臓、胸壁、腹壁、横隔膜、胆嚢、胃、肝臓、腎臓、膀胱、又は皮膚等の臓器モデルとして使用できる。
本実施形態に係る臓器モデルを皮膚の臓器モデルとする場合、血液層が皮下組織層であり、該血液層の上に積層させた組織層は、例えば表皮層である。
≪第1実施形態に係る臓器モデルの製造方法≫
次に、本実施形態に係る臓器モデルの製造方法として、板状の臓器モデル(例えば、皮膚の臓器モデル)の製造方法を例に説明するが、臓器モデルの製造方法は公知の方法を用いることができ、限定されない。本実施形態に係る製造方法は一例である。尚、当該臓器モデルの製造方法は、例えば、(1)CADで対象臓器(実際の臓器)の形状の3Dデータを構築する工程、(2)実際の対象臓器の質感や生体反応を踏まえ、素材及び色を選択し、且つ、物性を調整する等の工程と、を含む。以下、原料を中心として製造方法例を詳述する。
図2を参照しながら、本実施形態に係る臓器モデルの作製方法を説明する。本実施形態に係る臓器モデルは、皮膚の臓器モデルであり、血液層と、該血液層上の組織層と、を有する2層構造となっている。組織層が表皮層であり、血液層が皮下組織層である。
(組織層の作製)
・組織層用混合液の作製
ポリビニルアルコールとジメチルスルホキシドと純水とを混合した溶液をビーカーに入れ、配合させ、ビーカーをマントルヒーターにて加熱しながら、攪拌溶解させ、組織層用混合液を得る。加熱温度は限定されないが、60〜100℃が好適である。加熱攪拌時間は限定されないが、好適には1時間以上、より好適には3時間以上を目安とする。必要に応じて着色剤等を加えて、混ざる程度に再攪拌する。
・混合液投入
図2Aに示すように、金属製のバット130に前記組織層用混合液121を、均一な厚さになるまで流し込む。
・冷凍
このバットを、冷凍庫に入れ、冷凍(例えば、16時間)する。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置し、バットから取り出す。再びバットから取り出した組織層用層状物を冷凍庫に入れ、冷凍(例えば、7日間)する。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置する。冷凍温度は限定されないが、−5℃以下が好適である。徐々に温度を下げる場合もある。冷凍時間は限定されないが、0.5時間以上が好適である。
(血液層の作製)
・血液層用混合液の作製
ポリビニルアルコールとジメチルスルホキシドと純水とを混合した溶液をビーカーに入れ、配合させ、ビーカーをマントルヒーターにて加熱しながら、攪拌溶解させ、混合液を得る。加熱温度は限定されないが、60〜100℃が好適である。加熱攪拌時間は限定されないが、好適には1時間以上、より好適には3時間以上を目安とする。当該混合液に赤色の水性着色剤を加え、攪拌機にて混合させ、血液層用混合液を得る。混合させる時間は特に限定されない。
・繊維含浸と積層
前記バットと同サイズである別のバットを2個用意する。一方のバットに前記血液層用混合液を流し込み、その中に例えば綿繊維を投入し、綿繊維が血液層用混合液を飽和するまで吸水し、厚さや密度が均一になるよう、繊維を解しながらバット内に広げる。図2Bに示すように、もう一方のバット132に作製済みの組織層用層状物120を入れ、更にその上に綿繊維に含浸させた血液層用混合液111を移し替えて、積層させる。
・冷凍
このバットを、冷凍庫に入れ、冷凍する。冷凍温度は限定されないが、−5℃以下が好適である。徐々に温度を下げる場合もある。冷凍時間は限定されないが、0.5時間以上が好適である。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置する。
・成型
バットより取り出し、純水に浸漬させて常温で放置する。放置時間は特に限定されないが、0.5時間以上が好適である。そして、外周をトリミングし、第1実施形態に係る皮膚の擬似モデルが完成する。
『第2実施形態』
≪第2実施形態に係る臓器モデルの構成≫
次に、第2実施形態に係る臓器モデルに関して説明する。第2実施形態においては、血液層の構成や、臓器モデルの性質等に関しては、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
<全体の構成>
本実施形態に係る臓器モデルは、目的に応じて、常温でゲル状であり、かつ、エネルギーデバイスで切開した際に切開部分周辺が血液を模した色の液状になる血液層を有し、管状のエネルギーデバイス切開用臓器モデルである。以下においては、略円柱状の血液層と血液層の表面を1の組織層が覆うエネルギーデバイス切開用臓器モデルに関して詳述する。すなわち、本実施形態においては、略円柱状の血液層と血液層を覆う組織層に関して詳述するが、略円柱状の血液層のみからなるエネルギーデバイス切開用臓器モデルであってもよいし、血液層を覆う組織層が管状でなくてもよい。また、全体の厚みや、各層の厚みは目的に応じて適宜変更すればよい。
図3を参照しながら、本実施形態に係る臓器モデルの構成について説明する。図3は、第2実施形態に係る略円柱状の血液層と該血液層を覆う管状の組織層で構成される臓器モデルの模式図である。図3に示すように、本実施形態に係る臓器モデルは、略円柱状の血液層110と該血液層を覆う管状の組織層120で構成される臓器モデルである。
図4は、略円柱状の血液層を覆う組織層が管状ではない場合の例であり、略円柱状の血液層と該血液層を覆う板状の組織層で構成される臓器モデルの模式図である。図4に示すように、この臓器モデルは、略円柱状の血液層110と該血液層を覆う板状の組織層120で構成される。
[血液層]
本実施形態に係る血液層について詳述する。本実施形態に係る血液層は、略円柱状である。成分や含水率等については前述のとおりである。
(略円柱状)
本実施形態に係る血液層は略円柱状である。略円柱状であることによって、血管モデルとして用いることができる。本実施形態に係る臓器モデルは、組織層を有するため、血管と血管内の血液を再現することができる。ただし、組織層がない場合にも、血液を含んだ血管を再現することができる。
[組織層]
本実施形態に係る組織層について詳述する。本実施形態に係る組織層は、管状である。前述のように、組織層が管状である場合には、例えば、血管と内部の血液を再現することができる。組織層が管状ではない場合、臓器と臓器内の血管を再現することができる。成分や含水率等については前述のとおりである。
≪第2実施形態に係る臓器モデルの用途・使用方法≫
本実施形態に係る臓器モデルの用途は限定されないが、組織層が管状である場合には、例えば、血管、食道、胃、小腸、大腸、胆管、膵管、膀胱、尿管、尿道、膣、肛門又は門脈等がある。
本実施形態に係る臓器モデルが血管の臓器モデルである場合、血液層が擬似血液であり、組織層が擬似血管である。
≪第2実施形態に係る臓器モデルの製造方法≫
次に、本実施形態に係る臓器モデルの製造方法を、管状の臓器モデル(例えば、血管の臓器モデル)の製造方法を例に説明する。本実施形態に係る製造方法は一例である。
図5を参照しながら、本実施形態に係る臓器モデルの作製方法を説明する。本実施形態に係る血管の臓器モデルは、略円柱状の血液層と該血液層を覆う管状の組織層から構成される。
(組織層の作製)
・組織層用混合液の作製
ポリビニルアルコールとジメチルスルホキシドと純水とを混合した溶液をビーカーに入れ、配合させ、ビーカーをマントルヒーターにて加熱しながら、攪拌溶解させ、混合液を得る。加熱温度は限定されないが、60〜100℃が好適である。加熱攪拌時間は限定されないが、好適には1時間以上、より好適には3時間以上を目安とする。当該混合液に必要に応じて着色剤を加え、攪拌機にて混合させ、組織層用混合液221を得る。
・混合液投入
図5Aに示すように、型の内面が臓器モデル(本実施形態では血管)の形状である臓器モデル(血管)成形用樹脂型(上面樹脂型231と下面樹脂型232に2分割され、その両端に中子とする為の金属棒240を型の中心に位置決めできる構造を持つ)を準備する。前記組織層用混合液221をこれら2つの臓器モデル(血管)成形用樹脂型それぞれに流し込む。
・型締め
図5Bに示すように、組織層用混合液が流し込まれた臓器モデル(血管)成形用樹脂型の中に金属棒240をセットし、臓器モデル(血管)成形用樹脂型を素早く嵌合させ、型締めする。
・冷凍
この臓器モデル(血管)成形用樹脂型を、冷凍庫に入れ、冷凍する。冷凍温度は限定されないが、−5℃以下が好適である。徐々に温度を下げる場合もある。冷凍時間は限定されないが、0.5時間以上が好適である。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置し、臓器モデル(血管)成形用樹脂型と金属棒から組織層(本実施形態では擬似血管)を取り出す。再び型から取り出した組織層(擬似血管)を庫内に入れ、冷凍する。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置する。
(血液層の作製)
・血液層用混合液の作製
ポリビニルアルコールとジメチルスルホキシドと純水とを混合した溶液をビーカーに入れ、配合させ、ビーカーをマントルヒーターにて加熱しながら、攪拌溶解させ、血液層用混合液を得る。加熱温度は限定されないが、60〜100℃が好適である。加熱攪拌時間は限定されないが、好適には1時間以上、より好適には3時間以上を目安とする。当該混合液に着色剤を加え、攪拌機にて混合させ、血液層用混合液を得る。混合させる時間は特に限定されない。
・血液層の積層
組織層(擬似血管)を立てて、下端をクリップで封印する。スポイトを使い、組織層(擬似血管)の上端から血液層用混合液を流し込む。
・冷凍
この擬似血管を、冷凍庫に入れ、冷凍する。冷凍温度は限定されないが、−5℃以下が好適である。徐々に温度を下げる場合もある。冷凍時間は限定されないが、0.5時間以上が好適である。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置する。
・成型
クリップを外し、擬似血管の両端をトリミングする。純水に浸漬させて常温で24時間放置し、図5Cに示す本実施形態に係る血管の臓器モデルが完成する。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
≪実施例≫
<実施例1:皮膚モデルの作製>
実施例1に係る皮膚の臓器モデルの作製方法を説明する。実施例1に係る皮膚の臓器モデルは、板状のモデルであり、組織層である表皮層と、表皮層の内側の層であり、血液層である皮下組織層と、を有する2層構造となっている。
(表皮層の作製)
・表皮層用混合液の作製
ポリビニルアルコール(重合度1800、けん化度99%、15wt%)とジメチルスルホキシドと純水とを混合した溶液をビーカーに入れ、配合させ、ビーカーをマントルヒーターにて100℃に加熱しながら、4時間攪拌溶解させ、混合液を得た。当該混合液にペールオレンジ色の水性着色剤を3wt%の割合で加え、攪拌機にて40秒間混合させ、表皮層用混合液を得た。
・混合液投入
金属製のバットに前記表皮層用混合液を1.5mmの均一な厚さになるまで流し込んだ。
・冷凍
このバットを、庫内−20℃の冷凍庫に入れ、16時間冷凍した。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置し、バットから取り出した。再びバットから取り出した表皮用層状物(表皮擬似層)を庫内−20℃の冷凍庫に入れ、7日間冷凍した。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置した。
(皮下組織層の作製)
・皮下組織用混合液の作製
ポリビニルアルコール(重合度1800、けん化度99%、10wt%)とジメチルスルホキシドと純水とを混合した溶液をビーカーに入れ、配合させ、ビーカーをマントルヒーターにて100℃に加熱しながら、4時間攪拌溶解させ、混合液を得た。当該混合液に赤色の水性着色剤を3wt%の割合で加え、攪拌機にて40秒間混合させ、皮下組織用混合液を得た。
・繊維含浸と積層
前記バットと同サイズである別のバットを2個用意した。一方のバットに前記皮下組織用混合液を15mmの厚さまで流し込み、その中に混合液100gあたり10gの綿繊維を投入し、綿繊維が皮下組織用混合液を飽和するまで吸水し、厚さや密度が均一になるよう、繊維を解しながらバット内に広げた。もう一方のバットに作製済みの表皮用層状物(表皮擬似層)を入れ、更にその上に綿繊維に含浸させた皮下組織用混合液を全量移し替えて、積層させた。
・冷凍
このバットを、庫内−20℃の冷凍庫に入れ、16時間冷凍した。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置した。
・成型
バットより取り出し、純水に浸漬させて常温で24時間放置した。外周をトリミングし、実施例の皮膚の擬似モデルが完成した。写真を図6に示す。
<実施例2:血管モデルの作製>
次に、実施例2に係る血管の臓器モデルの作製方法を説明する。実施例2に係る血管の臓器モデルは、略円柱状の血液層である擬似血液と、血液層の表面を覆う組織層である擬似血管を有する2層構造となっている。
(擬似血管の作製)
・擬似血管用混合液の作製
ポリビニルアルコール(重合度1800、けん化度99%、15wt%)とジメチルスルホキシドと純水とを混合した溶液をビーカーに入れ、配合させ、ビーカーをマントルヒーターにて100℃に加熱しながら、4時間攪拌溶解させ、混合液を得た。当該混合液に白色の水性着色剤を3wt%の割合で加え、攪拌機にて40秒間混合させ、血管用混合液を得た。
・混合液投入
型の内面が血管の形状である血管成形用樹脂型(上面樹脂型と下面樹脂型に2分割され、その両端に中子とする為の金属棒を型の中心に位置決めできる構造を持つ)を準備した。各血管成形用樹脂型(上面樹脂型及び下面樹脂型)は、上下対称であり、嵌合時の型の内径は10mmである(上面樹脂型と下面樹脂型とを区別せずに、単に血管成形用樹脂型等とすることがある)。前記血管用混合液をこれら2つの血管成形用樹脂型それぞれに流し込んだ。
・型締め
血管用混合液が流し込まれた血管成形樹脂型の中に金属棒をセットし、血管成形樹脂型を素早く嵌合させ、型締めした。
・冷凍
この血管成形用樹脂型を、庫内−20℃の冷凍庫に入れ、16時間冷凍した。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置し、血管成形用樹脂型と金属棒から擬似血管を取り出した。再び型から取り出した擬似血管を庫内−20℃の冷凍庫に入れ、7日間冷凍した。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置した。
(擬似血液の作製)
・擬似血液用混合液の作製
ポリビニルアルコール(重合度1800、けん化度99%、10wt%)とジメチルスルホキシドと純水とを混合した溶液をビーカーに入れ、配合させ、ビーカーをマントルヒーターにて100℃に加熱しながら、4時間攪拌溶解させ、混合液を得た。当該混合液に赤色の水性着色剤を3wt%の割合で加え、攪拌機にて40秒間混合させ、血液用混合液を得た。
・擬似血液の積層
擬似血管を立てて、下端をクリップで封印した。スポイトを使い、擬似血管の上端から血液用混合液を流し込んだ。
・冷凍
この擬似血管を、立てたまま庫内−20℃の冷凍庫に入れ、16時間放置した。その後冷凍庫より取り出し、常温になるまで放置した。
・成型
クリップを外し、擬似血管の両端をトリミングした。純水に浸漬させて常温で24時間放置し、実施例の血管の臓器モデルが完成した。写真を図7(右側)に示す。
≪比較例≫
<比較例1>
特許第4993519号明細書の段落0084、0085の記載を参考にした方法によって、血液に近似した色に着色された粘性ゲルを得た。具体的には、25℃の10%ポリビニルアルコール〔ケン化度:99モル%、平均重合度:1700〕水溶液300mLを1L容のビーカー内に入れた後、このビーカー内に25℃の飽和ホウ砂水溶液300mLを添加し、攪拌することにより、ゲルを得た。得られたゲル約600mLを、あらかじめ25℃の飽和ホウ酸水溶液600mLを入れておいた2L容のビーカー内に添加し、十分に攪拌することにより、粘性ゲルを得た。得られた粘性ゲルに着色剤として水性着色剤を添加することにより、血液に近似した色に着色された粘性ゲルを得た。尚、当該粘性ゲルは、電気メスで切開しても流動性が見られず、電気メス切開時に血が滲む様子を再現できなかった。
<比較例2>
比較例1と同じポリビニルアルコール水溶液300mLに、25℃の飽和ホウ砂水溶液300mLを添加し、攪拌することにより、粘性ゲルを得た。得られた粘性ゲルに水性塗剤を添加することにより、血液に近似した色に着色された粘性ゲルを得た。
<比較例3>
比較例1と同じポリビニルアルコール水溶液300mLに、有機チタン化合物(マツモトファインケミカル製、商品名オルガチックスTC−310)を3mL添加し、攪拌することにより、粘性ゲルを得た。得られた粘性ゲルに水性塗剤を添加することにより、血液に近似した色に着色された粘性ゲルを得た。
≪試験≫
実施例及び比較例に対し、下記の各試験を行った。実施例1、2の血液層に当たる層の配合は同じであるから、含水率、ゾル状になる温度の試験については、実施例1と比較例1〜3について行った。試験の結果を以下に示す。
(含水率)
乾燥減量法によって、実施例1の血液層に当たる層(皮下組織層)及び比較例1〜3の含水率を測定した。実施例1の血液層に当たる層及び比較例1〜3の約100gを薄く広げた状態でパッドに乗せ、100℃の乾燥炉中で20時間乾燥させ、乾燥前、乾燥後の重量の測定を行った。測定には電子天秤(エー・アンド・デイ製、GF−3000)を使用した。結果を表1に示す。
(ゾル状になる温度)
前述のように、熱電対温度計(安立計器製、AM−7002)で監視したホットプレート(アズワン製、RSH−1AN)を用意し、各温度時に実施例1の血液層に当たる層(皮下組織層)及び比較例1〜3の小片を触れさせる方法によって、所定温度における状態の観測を行った。結果を表2に示す。表2にいう「溶ける」とは融解して流動性のある液状になるゾル状の意味であり、「糸を引く」とは流動性がなく粘性のみが現れた状態(例えば、接着剤に近い状態)であり、電気メスに接触させた際に、接触部にこびりつくような状態である。
(切開試験)
電気メス(オサダメディカル製、エレクトロサージェリーES−2)を用いて、実施例1、2及び比較例1〜3に係る臓器モデルの切開試験を行った。比較例については、実施例に係る表皮層と同じ製法により作製した膜を上から貼り付けて、切開試験を行った。表3に実施例及び比較例の官能評価を示した。官能評価基準は、実物の切開との比較において、電気メス切開時に血が滲む様子が、A:実物に近い、B:やや物足りない、C:実物とは異なる、D:切開不可である。また、図8に、実施例1に係る臓器モデルの電気メスでの切開直後の写真を、図9に、電気メスでの切開部を布で拭った後の写真を、各々示す。
表3に示すように、実施例1、2に係る臓器モデルの官能評価はAであり、電気メスの切開時に血が滲む様子を再現できる性質を持つ。これに対し、比較例に係る臓器モデルは、電気メスで切開すると、糸を引くものの、電気メスの刃がすぐに焦げ付く。これは、前述のように、比較例に係る臓器モデルが化学架橋であることから、電気メスで切開しても切開部分周辺がゾル状にならないためであると考えられる。また、前記は電気メスで行った結果であるが、超音波メスでも同様の結果であった。他方、手術用メスを用いた場合には、本来的には止血されないところ、切断と共に固化され止血されたため、実際の生体反応とは異なる結果となった。
110 血液層
111 血液層用混合液
120 組織層
121 組織層用混合液
130、132 バット
210 血液層
220 組織層
221 組織層用混合液
231 臓器モデル(血管)成型用上面樹脂型
232 臓器モデル(血管)成型用下面樹脂型
240 金属棒

Claims (8)

  1. 常温でゲル状であり、かつ、エネルギーデバイスで切開した際に切開部分周辺が体液を模した色のゾル状になる体液層を有し、
    前記体液層が、ハイドロゲル材料からなり、該ハイドロゲル材料がポリビニルアルコールを含有することを特徴とするエネルギーデバイス切開・剥離・凝固用の臓器・組織・器官モデル。
  2. 前記ポリビニルアルコールの少なくとも一部が、物理架橋されたものであることを特徴とする請求項1に記載の臓器・組織・器官モデル。
  3. 前記体液層の含水率Aが70%以上であることを特徴とする、請求項2に記載の臓器・組織・器官モデル。
  4. 前記体液層の前記ゾル状になる温度が190℃以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の臓器・組織・器官モデル。
  5. 前記体液層が、略円柱状であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の臓器・組織・器官モデル。
  6. 前記体液層上にハイドロゲル材料からなる組織層が少なくとも1以上積層した積層体であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の臓器・組織・器官モデル。
  7. 前記体液層及び/又は前記組織層の少なくとも1以上が、該層の内部であり且つ該層の平面方向に亘って繊維群が略連続的に偏在している繊維群含有層であることを特徴とする、請求項6に記載の臓器・組織・器官モデル。
  8. 前記エネルギーデバイスは、電気メス及び超音波メスから選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の臓器・組織・器官モデル。
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