JP2017145883A - 軸受ハウジング、および、回転機械 - Google Patents

軸受ハウジング、および、回転機械 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明に係る軸受ハウジングは、軸受部にかかる面圧を分散させることができる。【解決手段】ハウジング23は、上部軸受32と、ハウジング本体33と、連結部34とを備える。上部軸受32は、軸方向に交差する径方向の荷重を受けるクランクシャフト17を支持する。連結部34は、第1端部35aにおいて、上部軸受32とハウジング本体33とを連結する。第1端部35aは、クランクシャフト17が荷重を受ける箇所から軸方向においてより遠い側に位置する上部軸受32の端部である。連結部34の軸方向の寸法は、連結部34の径方向の寸法の20%〜40%である。【選択図】図6

Description

本発明は、軸受ハウジング、および、回転機械に関する。
冷凍装置に用いられる圧縮機等は、回転するシャフトと連結される回転機械を備えている。シャフトは、軸受によって支持され、軸方向に交差する方向の荷重を回転機械から受ける。そのため、シャフト表面と接する軸受表面には面圧がかかる。軸受表面には、シャフトの撓みによって面圧分布の偏りが発生する場合がある。面圧分布が偏っているほど、軸受にかかるピーク面圧が大きくなるので、軸受の耐力が低下しやすい。軸受の耐力の低下は、回転機械の効率の低下につながる。そのため、軸受表面の面圧分布は、できるだけ偏っていないことが好ましい。
通常、シャフトが撓んで傾いている場合の面圧は、軸受の軸方向端部において最大となる。従来、特許文献1(特開2003−206873号公報)に開示されているように、面圧が最大となる端部を弾性変形させることで、当該端部の面圧を抑える方法が用いられている。しかし、この方法では、軸受表面全体でシャフトの荷重を均等に受けることができず、シャフトが傾いていない状態と同等の面圧分布を実現することができない。
本発明の課題は、軸受部にかかる面圧を分散させることができる軸受ハウジング、および、それを備える信頼性が高い回転機械を提供することにある。
本発明の第1観点に係る軸受ハウジングは、軸受部と、本体部と、連結部とを備える。軸受部は、軸方向に交差する径方向の荷重を受けるシャフトを支持する。連結部は、第1端部において、軸受部と本体部とを連結する。第1端部は、シャフトが荷重を受ける箇所から軸方向においてより遠い側に位置する軸受部の端部である。連結部の軸方向の寸法は、連結部の径方向の寸法の20%〜40%である。
第1観点に係る軸受ハウジングは、軸受部に支持されるシャフトが傾斜または湾曲しても、シャフトの形状に沿うように軸受部を傾斜または変形させることができる。これにより、シャフトから軸受部が受ける荷重によって軸受部にかかる面圧は、シャフトの軸方向において均等に分散される。従って、第1観点に係る軸受ハウジングは、軸受部にかかる面圧を分散させることができる。
本発明の第2観点に係る軸受ハウジングは、第1観点に係る軸受ハウジングであって、軸受部は、軸受部とシャフトとの間の第1隙間を形成する。
第2観点に係る軸受ハウジングは、軸受部に支持されるシャフトが傾斜または湾曲しても、シャフトの形状に沿うように軸受部を傾斜または変形させることができる。
本発明の第3観点に係る軸受ハウジングは、第1観点または第2観点に係る軸受ハウジングであって、軸受部は、円筒形状を有する。また、連結部は、軸受部と本体部との間に円筒形状の隙間である第2隙間を形成する。
第3観点に係る軸受ハウジングは、第2隙間の存在によって、軸受部に支持されるシャフトが傾斜しても、シャフトの形状に沿うように軸受部を傾斜させることができる。
本発明の第4観点に係る軸受ハウジングは、第1観点または第2観点に係る軸受ハウジングであって、連結部は、軸受部と本体部との間の隙間である第3隙間を形成する。第3隙間の寸法は、第1端部から第2端部に向かって大きくなっている。第2端部は、第1端部の反対側の軸受部の端部である。
第4観点に係る軸受ハウジングは、第1端部よりも薄く変形しやすい第2端部を有する軸受部を備える。そのため、この軸受ハウジングは、第3隙間の存在によって、軸受部に支持されるシャフトが湾曲しても、シャフトの形状に沿うように軸受部を変形させることができる。
本発明の第5観点に係る軸受ハウジングは、第1乃至第4観点のいずれか1つに係る軸受ハウジングであって、軸受部、本体部、および、連結部は、一体の部材である。
第5観点に係る軸受ハウジングは、鋳造等によって容易に製造可能である。
本発明の第6観点に係る軸受ハウジングは、第1乃至第4観点のいずれか1つに係る軸受ハウジングであって、連結部は、軸受部および本体部の少なくとも一方とは別の部材である。
第6観点に係る軸受ハウジングは、それぞれ異なる材質からなる軸受部、本体部および連結部を備えることができる。
本発明の第7観点に係る回転機械は、第1乃至第6観点のいずれか1つに係る軸受ハウジングと、回転機構と、シャフトとを備える。シャフトは、荷重を受ける側において回転機構と連結される。
第7観点に係る回転機械は、軸受部にかかる面圧を分散させることができる軸受ハウジングを備えるので、小型かつ低損失の軸受の設計が可能となる。従って、第7観点に係る回転機械は、信頼性を低下させることなく効率的な運転を行うことができる。
本発明の第1観点乃至第6観点に係る軸受ハウジングは、軸受部にかかる面圧を分散させることができる。
本発明の第7観点に係る回転機械は、信頼性を低下させることなく効率的な運転を行うことができる。
第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 固定スクロールの下面図である。 可動スクロールの上面図である。 可動スクロールの第2ラップおよび圧縮室が示された固定スクロールの下面図である。 ハウジングの斜視図である。 鉛直方向に切断されたハウジングの斜視図である。 図6に示されるハウジングの断面の一部の拡大図である。 クランクシャフトが圧縮荷重を受けていない状態における、ハウジングの断面を示す図である。 クランクシャフトが圧縮荷重を受けている状態における、ハウジングの断面を示す図である。 第2実施形態における、ハウジングの断面の一部の拡大図である。 第2実施形態における、クランクシャフトが圧縮荷重を受けている状態における、ハウジングの断面を示す図である。 第3実施形態における、ハウジングの断面の一部の拡大図である。 第3実施形態における、クランクシャフトが圧縮荷重を受けている状態における、ハウジングの断面を示す図である。 変形例Dにおける、鉛直方向に切断されたハウジングの斜視図である。 図14に示されるハウジングの断面の一部の拡大図である。 変形例Eにおける、鉛直方向に切断されたハウジングの斜視図である。 図16に示されるハウジングの断面の一部の拡大図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機101について、図面を参照しながら説明する。スクロール圧縮機101は、蒸発器、凝縮器および膨張機構と共に冷媒回路を構成する。スクロール圧縮機101は、冷媒回路を循環する冷媒を圧縮する。冷媒回路は、空気調和装置等の冷凍装置に備えられる。
スクロール圧縮機101は、互いに噛み合う渦巻状のラップを有する2つのスクロール部材を用いて冷媒を圧縮する圧縮機である。スクロール圧縮機101は、高低圧ドーム型のスクロール圧縮機である。
(1)スクロール圧縮機の構成
図1は、スクロール圧縮機101の縦断面図である。スクロール圧縮機101は、主として、ケーシング10と、圧縮機構15と、ハウジング23と、駆動モータ16と、下部軸受60と、クランクシャフト17と、吸入管19と、吐出管20とから構成される。スクロール圧縮機101は、本発明の回転機械に相当する。ハウジング23は、本発明の軸受ハウジングに相当する。
(1−1)ケーシング
ケーシング10は、略円筒状の胴部ケーシング部11と、胴部ケーシング部11の上端部に気密状に溶接される椀状の上壁部12と、胴部ケーシング部11の下端部に気密状に溶接される椀状の底壁部13とから構成される。ケーシング10は、ケーシング10の内部および外部において圧力および温度が変化した場合に、変形および破損が起こりにくい剛性部材で成型されている。ケーシング10は、胴部ケーシング部11の略円筒状の軸方向が鉛直方向に沿うように設置される。
ケーシング10の内部には、圧縮機構15と、圧縮機構15の下方に配置されるハウジング23と、ハウジング23の下方に配置される駆動モータ16と、鉛直方向に延びるように配置されるクランクシャフト17等が収容されている。ケーシング10の壁部には、吸入管19および吐出管20が気密状に溶接されている。
ケーシング10の底部には、潤滑油が貯留される油溜まり空間10aが形成されている。潤滑油は、スクロール圧縮機101の運転中において、圧縮機構15等の摺動部の潤滑性を良好に保つために使用される。
(1−2)圧縮機構
圧縮機構15は、ケーシング10の内部に収容され、低温低圧のガス冷媒を吸引および圧縮して、高温高圧のガス冷媒(以下、「圧縮冷媒」という。)を吐出する。圧縮機構15は、主に、固定スクロール24と、可動スクロール26とから構成される。固定スクロール24は、ケーシング10に対して固定されている。可動スクロール26は、固定スクロール24に対して公転運動を行う。図2は、鉛直方向下方から視た固定スクロール24の平面図である。図3は、鉛直方向上方から視た可動スクロール26の平面図である。
固定スクロール24は、第1鏡板24aと、第1鏡板24aに直立して形成されるインボリュート形状の第1ラップ24bとを有する。第1鏡板24aには、主吸入孔24cが形成されている。主吸入孔24cは、吸入管19と、後述する圧縮室40とを接続する空間である。主吸入孔24cは、低温低圧の冷媒を吸入管19から圧縮室40に導入するための吸入空間を形成する。第1鏡板24aの中央部には、吐出孔41が形成され、第1鏡板24aの上面には、吐出孔41と連通する拡大凹部42が形成されている。拡大凹部42は、第1鏡板24aの上面に凹設された空間である。固定スクロール24の上面には、拡大凹部42を塞ぐように蓋体44がボルト44aにより固定されている。固定スクロール24および蓋体44は、ガスケット(図示せず)を介して密着してシールされている。拡大凹部42に蓋体44が覆い被せられることにより、圧縮機構15の運転音を消音させるマフラー空間45が形成されている。固定スクロール24には、マフラー空間45と連通し、固定スクロール24の下面に開口する第1圧縮冷媒流路46が形成されている。第1鏡板24aの下面には、図2に示されるように、C字形状の油溝24eが形成されている。
可動スクロール26は、第2鏡板26aと、第2鏡板26aに直立して形成されるインボリュート形状の第2ラップ26bとを有する。第2鏡板26aの下面中央部には、上端軸受26cが形成されている。可動スクロール26には、給油細孔63が形成されている。給油細孔63は、第2鏡板26aの上面外周部と、上端軸受26cの内側の空間とを連通している。
固定スクロール24および可動スクロール26は、第1ラップ24bと第2ラップ26bとが噛み合うことにより、第1鏡板24aと、第1ラップ24bと、第2鏡板26aと、第2ラップ26bとによって囲まれる空間である圧縮室40を形成する。圧縮室40の容積は、可動スクロール26の公転運動によって徐々に減少する。可動スクロール26の公転中に、固定スクロール24の第1鏡板24aおよび第1ラップ24bの下面は、可動スクロール26の第2鏡板26aおよび第2ラップ26bの上面と摺動する。以下、可動スクロール26と摺動する固定スクロール24の面を、スラスト摺動面24dと呼ぶ。図4は、可動スクロール26の第2ラップ26bの位置および圧縮室40が示された固定スクロール24の下面図である。図4において、ハッチングされた領域は、固定スクロール24のスラスト摺動面24dを表す。図4において、スラスト摺動面24dの外縁は、公転する可動スクロール26の第2鏡板26aの外縁の軌跡を表す。図4に示されるように、固定スクロール24の油溝24eは、スラスト摺動面24dに納まるように第1鏡板24aの下面に形成されている。
(1−3)ハウジング
ハウジング23は、圧縮機構15の下方に配置されている。ハウジング23の外周面は、ケーシング10の内面に気密状に接合されている。これにより、ケーシング10の内部空間は、ハウジング23の下方の高圧空間S1と、ハウジング23の上方の空間である上部空間S2とに区画されている。
ハウジング23の上には、固定スクロール24が載せられている。ハウジング23は、オルダム継手39を介して、固定スクロール24と共に可動スクロール26を挟持している。オルダム継手39は、可動スクロール26の自転運動を防止するための環状部材である。ハウジング23の外周部には、第2圧縮冷媒流路48が鉛直方向に貫通して形成されている。第2圧縮冷媒流路48は、ハウジング23の上面において第1圧縮冷媒流路46と連通し、ハウジング23の下面において高圧空間S1と連通する。
ハウジング23の上面には、クランク室S3が凹設されている。ハウジング23には、円筒形状のハウジング貫通孔31が形成されている。ハウジング貫通孔31は、クランク室S3の底面中央部から、ハウジング23の下面中央部まで、ハウジング23を鉛直方向に貫通している。ハウジング23には、ケーシング10の内面近傍の高圧空間S1とクランク室S3とを連通する油戻し通路23aが形成されている。ハウジング23の詳細な構成については後述する。
(1−4)駆動モータ
駆動モータ16は、ハウジング23の下方に配置されるブラシレスDCモータである。駆動モータ16は、主に、ケーシング10の内面に固定されるステータ51と、ステータ51の内側にエアギャップを設けて配置されるロータ52とから構成される。
ステータ51の外周面には、ステータ51の上端面から下端面に亘り、かつ、周方向に所定間隔をおいて切欠形成されている複数のコアカット部が設けられている。コアカット部は、胴部ケーシング部11とステータ51との間を鉛直方向に延びるモータ冷却通路55を形成する。
ロータ52は、その回転中心を鉛直方向に貫通するクランクシャフト17に連結されている。ロータ52は、クランクシャフト17を介して、圧縮機構15に接続されている。
(1−5)下部軸受
下部軸受60は、駆動モータ16の下方に配置される。下部軸受60の外周面は、ケーシング10の内面に気密状に接合されている。下部軸受60は、クランクシャフト17を支持する。下部軸受60の上端には、油分離板73が取り付けられている。油分離板73は、ケーシング10の内部に収容される平板状の部材である。油分離板73は、下部軸受60の上端面に固定されている。
(1−6)クランクシャフト
クランクシャフト17は、ケーシング10の内部に収容される。クランクシャフト17の軸方向は、鉛直方向に沿っている。クランクシャフト17の上端部の軸心は、上端部を除く部分の軸心(クランクシャフト17の回転軸)に対してわずかに偏心している。クランクシャフト17は、バランスウェイト18を有する。バランスウェイト18は、ハウジング23の下方かつ駆動モータ16の上方の高さ位置において、クランクシャフト17に密着して固定されている。
クランクシャフト17は、ハウジング23のハウジング貫通孔31を通過する。クランクシャフト17は、ロータ52の回転中心を鉛直方向に貫通してロータ52に連結されている。クランクシャフト17の上端部は、可動スクロール26の上端軸受26cに嵌め込まれている。
クランクシャフト17は、その軸方向に延びている主給油路61を内部に有している。主給油路61の上端は、クランクシャフト17の上端面と第2鏡板26aの下面とによって形成される油室83と連通している。油室83は、第2鏡板26aの給油細孔63を介して、スラスト摺動面24dおよび油溝24eに連通し、圧縮室40を介して最終的に低圧空間S2に連通する。主給油路61の下端は、油溜まり空間10aに連通している。
クランクシャフト17は、主給油路61から分岐する第1副給油路61a、第2副給油路61bおよび第3副給油路61cを有している。第1副給油路61a、第2副給油路61bおよび第3副給油路61cは、水平方向に延びている。第1副給油路61aは、クランクシャフト17と可動スクロール26の上端軸受26cとの摺動面に開口している。第2副給油路61bは、クランクシャフト17とハウジング23との摺動面に開口している。第3副給油路61cは、クランクシャフト17と下部軸受60との摺動面に開口している。
クランクシャフト17は、スクロール圧縮機101の運転中に、回転軸周りに回転する。回転しているクランクシャフト17は、回転軸に対して偏心回転している上端部が受けるモーメント荷重である圧縮荷重を受ける。圧縮荷重は、クランクシャフト17の上端部に作用し、クランクシャフト17の軸方向(鉛直方向)に交差する径方向(水平方向)の荷重である。
(1−7)吸入管
吸入管19は、ケーシング10の外部から圧縮機構15へ、冷媒回路の冷媒を導入するための管である。吸入管19は、ケーシング10の上壁部12に気密状に嵌入されている。吸入管19は、上部空間S2を鉛直方向に貫通するとともに、内端部が固定スクロール24の主吸入孔24cに嵌入されている。
(1−8)吐出管
吐出管20は、高圧空間S1からケーシング10の外部へ、圧縮冷媒を吐出するための管である。吐出管20は、ケーシング10の胴部ケーシング部11に気密状に嵌入されている。吐出管20は、高圧空間S1を水平方向に貫通する。ケーシング10内にある吐出管20の開口部20aは、ハウジング23の近傍に位置している。
(2)ハウジングの詳細な構成
図5は、ハウジング23の外観図である。図6は、円筒形状のハウジング貫通孔31の中心軸、および、第2圧縮冷媒流路48を通るように鉛直方向に切断されたハウジング23の斜視図である。図6では、ハウジング23の断面はハッチング領域で示されている。図7は、図6に示されるハウジング23の断面の一部の拡大図である。図8は、クランクシャフト17が圧縮荷重を受けていない状態における、ハウジング23の断面の一部を示す図である。図9は、クランクシャフト17が圧縮荷重を受けている状態における、ハウジング23の断面の一部を示す図である。
ハウジング23は、主として、上部軸受32と、ハウジング本体33と、連結部34とから構成される。ハウジング23は、上部軸受32、ハウジング本体33および連結部34が一体となった部材である。図面では、上部軸受32と連結部34との境界、および、ハウジング本体33と連結部34との境界が実線で示されている。
上部軸受32は、ハウジング貫通孔31を通過するクランクシャフト17を支持する円筒形状の軸受部材である。上部軸受32は、すべり軸受である。すなわち、図8に示されるように、クランクシャフト17が圧縮荷重を受けていない場合、上部軸受32の内周面と、ハウジング貫通孔31を通過するクランクシャフト17の外周面との間には、円筒形状の軸受隙間である第1隙間36が形成される。
ハウジング本体33は、上部軸受32および連結部34を除く、ハウジング23の大部分を占める部材である。ハウジング本体33は、クランク室S3、第2圧縮冷媒流路48および油戻し通路23a等を有する。
連結部34は、上部軸受32とハウジング本体33とを連結する環状部材である。連結部34は、上部軸受32の下端部である第1端部35aと、ハウジング本体33の下端部とを連結する。連結部34によって、上部軸受32とハウジング本体33との間には、円筒形状の隙間である第2隙間37が形成される。
上部軸受32の第1端部35aは、上部軸受32の鉛直方向の両端部のうち、クランクシャフト17が圧縮荷重を受ける箇所である上端部から、鉛直方向においてより遠い側に位置する上部軸受32の端部である。クランクシャフト17は、ハウジング23の上方において圧縮荷重を受けるので、第1端部35aは、上部軸受32の下端部である。
上部軸受32および連結部34の寸法は、圧縮荷重を受けているクランクシャフト17から上部軸受32が荷重を受けた場合に、連結部34が弾性変形して、上部軸受32の円筒形状が維持された状態で上部軸受32が傾斜するように設定されている。具体的には、図7には、連結部34の水平方向の寸法L1、および、連結部34の鉛直方向の寸法L2が示されている。L2とL1との比は、0.2〜0.4である。
(3)スクロール圧縮機の動作
本実施形態に係るスクロール圧縮機101の動作について説明する。最初に、スクロール圧縮機101を備える冷媒回路を循環する冷媒の流れについて説明する。次に、スクロール圧縮機101内部における潤滑油の流れについて説明する。
(3−1)冷媒の流れ
最初に、駆動モータ16が駆動することによって、ロータ52が回転する。これにより、ロータ52に固定されているクランクシャフト17が回転する。クランクシャフト17の回転運動は、上端軸受26cを介して可動スクロール26に伝達される。クランクシャフト17の上端部の軸心は、クランクシャフト17の回転運動の軸心に対して偏心している。また、可動スクロール26は、オルダム継手39によって自転が防止される。これにより、可動スクロール26は、自転することなく、固定スクロール24に対して公転運動を行う。
圧縮される前の低温低圧の冷媒は、吸入管19から主吸入孔24cを経由して、圧縮機構15の圧縮室40に供給される。可動スクロール26の公転運動により、圧縮室40は容積を徐々に減少させながら固定スクロール24の外周部から中心部に向かって移動する。その結果、圧縮室40の冷媒は圧縮されて圧縮冷媒となる。圧縮冷媒は、吐出孔41からマフラー空間45へ吐出された後、第1圧縮冷媒流路46および第2圧縮冷媒流路48を経由して、高圧空間S1へ吐出される。そして、圧縮冷媒は、モータ冷却通路55を下降して、駆動モータ16の下方の高圧空間S1に到達する。そして、圧縮冷媒は、流れの向きを反転させて、他のモータ冷却通路55および駆動モータ16のエアギャップを上昇する。最終的に、圧縮冷媒は、吐出管20からスクロール圧縮機101の外部に吐出される。
(3−2)潤滑油の流れ
最初に、クランクシャフト17の回転によって圧縮機構15が駆動して、高圧空間S1に圧縮冷媒が吐出されると、高圧空間S1内の圧力が上昇する。主給油路61の下端は、高圧空間S1に連通している。主給油路61の上端は、油室83および給油細孔63を介して低圧空間S2に連通している。これにより、主給油路61の上端と下端との間に差圧が発生する。その結果、油溜まり空間10aに貯留されている潤滑油は、差圧によって、主給油路61の下端から吸引され、主給油路61内を油室83に向かって上昇する。
主給油路61を上昇する潤滑油のほとんどは、順に、第3副給油路61c、第2副給油路61bおよび第1副給油路61aに分流する。第3副給油路61cを流れる潤滑油は、クランクシャフト17と下部軸受60との摺動面を潤滑した後、高圧空間S1に供給されて油溜まり空間10aに戻される。第2副給油路61bを流れる潤滑油は、クランクシャフト17とハウジング23の上部軸受32との摺動面を潤滑した後、高圧空間S1およびクランク室S3に供給される。高圧空間S1に供給された潤滑油は、油溜まり空間10aに戻される。クランク室S3に供給された潤滑油は、ハウジング23の油戻し通路23aを経由して高圧空間S1に供給され、油溜まり空間10aに戻される。第1副給油路61aを流れる潤滑油は、クランクシャフト17と可動スクロール26の上端軸受26cとの摺動面を潤滑した後、クランク室S3に供給され、高圧空間S1を経由して、油溜まり空間10aに戻される。
主給油路61内を上端まで上昇して油室83に到達した潤滑油は、差圧によって、給油細孔63を流れて油溝24eに供給される。油溝24eに供給された潤滑油の一部は、スラスト摺動面24dをシールしながら、低圧空間S2および圧縮室40に漏れる。このとき、高温高圧である潤滑油は、低圧空間S2および圧縮室40に存在する圧縮前の冷媒を加熱する。また、圧縮室40に流入した潤滑油は、微小な油滴の状態で圧縮冷媒に混入される。圧縮冷媒に混入された潤滑油は、圧縮冷媒と同じ経路を通って、圧縮室40から高圧空間S1へ吐出される。その後、潤滑油は、圧縮冷媒と共にモータ冷却通路55を下降した後に、油分離板73に衝突する。油分離板73に付着した潤滑油は、高圧空間S1を落下して油溜まり空間10aに到達する。
(4)スクロール圧縮機の特徴
図8に示されるように、圧縮荷重を受けていないクランクシャフト17と上部軸受32との間には、第1隙間36が形成されている。スクロール圧縮機101の運転中、回転するクランクシャフト17は、ハウジング23の上方の上端部において、水平方向の圧縮荷重を受ける。クランクシャフト17の上端部が圧縮荷重を受けると、第1隙間36の存在によって、クランクシャフト17が傾斜する。傾斜するクランクシャフト17は、上部軸受32と接触して、ハウジング23の上部軸受32の内周面に圧力を加える。以下、回転するクランクシャフト17が上部軸受32の内周面に加える圧力を、面圧と呼ぶ。
スクロール圧縮機101では、上部軸受32とハウジング本体33との間には、第2隙間37が形成されている。上部軸受32の下端部である第1端部35aは、連結部34を介してハウジング本体33に連結されている。クランクシャフト17が圧縮荷重を受けて傾斜すると、図9に示されるように、連結部34が弾性変形して、上部軸受32の円筒形状が維持された状態で上部軸受32が傾斜する。このとき、上部軸受32の傾斜角度は、クランクシャフト17の傾斜角度と同じである。これにより、上部軸受32は、クランクシャフト17から受ける荷重によってかかる面圧を、上部軸受32の内周面全体で均等に受けることができる。すなわち、上部軸受32にかかる面圧は、クランクシャフト17の軸方向において均等に分散される。従って、ハウジング23の上部軸受32にかかる面圧が分散されるので、上部軸受32の耐力の低下が抑制される。
ここで、ハウジング23の上部軸受32にかかる面圧が偏っているほど、上部軸受32にかかるピーク面圧が大きくなり、上部軸受32の特定の部位においてクランクシャフト17から大きな力を集中的に受けるので、上部軸受32の耐力が低下しやすくなる。しかし、本実施形態のハウジング23は、傾斜可能な上部軸受32によって上部軸受32にかかる面圧を分散させて、上部軸受32の耐力の低下を抑制することができる。その結果、ハウジング23は、上部軸受32の信頼性を向上させ、上部軸受32の軸受としての能力を効果的に発揮させることができる。また、これにより、小型かつ低損失の上部軸受32を有するハウジング23の設計が可能となる。従って、ハウジング23を備えるスクロール圧縮機101は、小型化を実現でき、かつ、信頼性を低下させることなく効率的な運転を行うことができる。
なお、図7において、比L2/L1が小さいほど、連結部34の剛性が低下する傾向にある。すなわち、比L2/L1が小さいほど、クランクシャフト17から上部軸受32が受ける荷重によって連結部34が弾性変形しやすくなる。しかし、連結部34が弾性変形しすぎると、上部軸受32の下部に面圧が集中して、上部軸受32にかかる面圧が偏り、上部軸受32の耐力が低下しやすくなる。そのため、上述したように、比L2/L1の下限値が設定されている。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るスクロール圧縮機101について説明する。本実施形態の基本的な構成、動作および特徴は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機101と同一であるので、第1実施形態との相違点を主に説明する。
本実施形態のスクロール圧縮機101は、第1実施形態のハウジング23とは異なるハウジング123を備える。ハウジング123以外の構成要素は、第1実施形態と同じである。図10は、ハウジング123の断面の一部の拡大図である。図11は、クランクシャフト17が圧縮荷重を受けている状態における、ハウジング123の断面を示す図である。
ハウジング123は、主として、上部軸受132と、ハウジング本体133と、連結部134とから構成される。ハウジング123は、上部軸受132、ハウジング本体133および連結部134が一体となった部材である。上部軸受132とハウジング本体133との間には、第3隙間137が形成されている。
第3隙間137の寸法は、鉛直方向に沿って、上部軸受132の下端部である第1端部135aから、上部軸受132の上端部である第2端部135bに向かって、一定の割合で徐々に大きくなっている。図10において、上部軸受132の外周面である軸受外周面132aは、平面である。そのため、上部軸受132の水平方向の寸法は、鉛直方向下方から上方に向かって、一定の割合で徐々に小さくなっている。
図10には、連結部134の水平方向の寸法L3、連結部134の鉛直方向の寸法L4、上部軸受132の水平方向の寸法W1,W2が示されている。W1は、上部軸受132の水平方向の寸法の最大値である。W2は、上部軸受132の水平方向の寸法の最小値である。L4とL3との比は、第1実施形態と同様に、0.2〜0.4である。W2とW1との比は、0.6〜0.9である。
スクロール圧縮機101の運転中、ハウジング123の上部軸受132に支持されるクランクシャフト17は、ハウジング123の上方で受ける圧縮荷重、および、回転運動による自身の撓みによって、湾曲して変形することがある。しかし、本実施形態では、図11に示されるように、回転するクランクシャフト17が変形しても、上部軸受132は、クランクシャフト17の形状に合わせて弾性変形することができる。
上部軸受132の水平方向の寸法は、鉛直方向上方ほど小さくなっている。そのため、上部軸受132の上端部は、上部軸受132の下端部よりも、水平方向の力を受けて弾性変形しやすい。本実施形態では、上部軸受132の上端部を弾性変形しやすくすることで、スクロール圧縮機101の運転中、上部軸受132の形状を、クランクシャフト17の形状に合わせて変形させることができる。これにより、上部軸受132は、変形したクランクシャフト17から受ける荷重によってかかる面圧を、上部軸受132の内周面全体で均等に受けることができる。従って、ハウジング123の上部軸受132にかかる面圧が分散されるので、上部軸受132の耐力の低下が抑制される。
なお、図10において、比L4/L3が小さいほど、連結部134の剛性が低下する傾向にある。すなわち、比L4/L3が小さいほど、クランクシャフト17から上部軸受132が受ける荷重によって連結部134が弾性変形しやすくなる。しかし、連結部134が弾性変形しすぎると、上部軸受132の下部に面圧が集中して、上部軸受132にかかる面圧が偏り、上部軸受132の耐力が低下しやすくなる。そのため、上述したように、比L4/L3の下限値が設定されている。
また、図10において、比W2/W1が小さいほど、上部軸受132の剛性が低下する傾向にある。すなわち、比W2/W1が小さいほど、クランクシャフト17から上部軸受132が受ける荷重によって、上部軸受132の第1端部135aが弾性変形しやすくなる。しかし、第1端部135aが弾性変形しすぎると、上部軸受132の下部に面圧が集中して、上部軸受132にかかる面圧が偏り、上部軸受132の耐力が低下しやすくなる。そのため、上述したように、比W2/W1の下限値が設定されている。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係るスクロール圧縮機101について説明する。本実施形態の基本的な構成、動作および特徴は、第1実施形態に係るスクロール圧縮機101と同一であるので、第1実施形態との相違点を主に説明する。
本実施形態のスクロール圧縮機101は、第1実施形態のハウジング23とは異なるハウジング223を備える。ハウジング223以外の構成要素は、第1実施形態と同じである。図12は、ハウジング223の断面の一部の拡大図である。図13は、クランクシャフト17が圧縮荷重を受けている状態における、ハウジング223の断面を示す図である。
ハウジング223は、主として、上部軸受232と、ハウジング本体233と、連結部234とから構成される。ハウジング223は、上部軸受232、ハウジング本体233および連結部234が一体となった部材である。上部軸受232とハウジング本体233との間には、第3隙間237が形成されている。
第3隙間237の寸法は、鉛直方向に沿って、上部軸受232の下端部である第1端部235aから、上部軸受232の上端部である第2端部235bに向かって、段階的に大きくなっている。図12において、上部軸受232は、第1端部235aを有する上部軸受下部232aと、第2端部235bを有する上部軸受上部232bとから構成される。上部軸受上部232bの水平方向の寸法は、上部軸受下部232aの水平方向の寸法より小さい。そのため、上部軸受232の水平方向の寸法は、鉛直方向下方から上方に向かって、段階的に小さくなっている。
本実施形態では、第3隙間237の水平方向の寸法は、2種類ある。図12には、上部軸受下部232aの水平方向の寸法W11、上部軸受上部232bの水平方向の寸法W12、上部軸受上部232bの鉛直方向の寸法H11、および、上部軸受232全体の鉛直方向の寸法H12が示されている。W12とW11との比は、0.6〜0.9である。H11とH12との比は、0.2〜0.35である。
スクロール圧縮機101の運転中、ハウジング223の上部軸受232に支持されるクランクシャフト17は、ハウジング223の上方で受ける圧縮荷重、および、回転運動による自身の撓みによって、湾曲して変形することがある。しかし、本実施形態では、図13に示されるように、回転するクランクシャフト17が変形しても、上部軸受232は、クランクシャフト17の形状に合わせて弾性変形することができる。
上部軸受232の水平方向の寸法は、鉛直方向上方ほど小さくなっている。そのため、上部軸受232の上端部は、上部軸受232の下端部よりも、水平方向の力を受けて弾性変形しやすい。本実施形態では、上部軸受232の上端部を弾性変形しやすくすることで、スクロール圧縮機101の運転中、上部軸受232の形状を、クランクシャフト17の形状に合わせて変形させることができる。これにより、上部軸受232は、変形したクランクシャフト17から受ける荷重によってかかる面圧を、上部軸受232の内周面全体で均等に受けることができる。従って、ハウジング223の上部軸受232にかかる面圧が分散されるので、上部軸受232の耐力の低下が抑制される。
なお、図12において、比L12/L11が小さいほど、連結部234の剛性が低下する傾向にある。すなわち、比L12/L11が小さいほど、クランクシャフト17から上部軸受232が受ける荷重によって連結部234が弾性変形しやすくなる。しかし、連結部234が弾性変形しすぎると、上部軸受232の下部に面圧が集中して、上部軸受232にかかる面圧が偏り、上部軸受232の耐力が低下しやすくなる。そのため、上述したように、比L12/L11の下限値が設定されている。
また、図12において、比W12/W11が小さいほど、および、比H11/H12が大きいほど、上部軸受上部232bの剛性が低下する傾向にある。すなわち、比W12/W11が小さいほど、および、比H11/H12が大きいほど、クランクシャフト17から上部軸受232が受ける荷重によって上部軸受上部232bが弾性変形しやすくなる。しかし、上部軸受上部232bが弾性変形しすぎると、上部軸受232の下部に面圧が集中して、上部軸受232にかかる面圧が偏り、上部軸受232の耐力が低下しやすくなる。そのため、上述したように、比W12/W11の下限値および比H11/H12の上限値が設定されている。
<変形例>
本発明の実施形態に対する適用可能な変形例について説明する。
(1)変形例A
第1実施形態では、上部軸受32を有するハウジング23は、スクロール圧縮機101に用いられる。しかし、上部軸受32は、回転するシャフトを支持するための軸受を有する任意の部材に採用されてもよい。本変形例は、第2実施形態および第3実施形態にも適用可能である。
(2)変形例B
第2実施形態において、図10に示される上部軸受132の軸受外周面132aは、平面である。しかし、第3隙間137の寸法が、鉛直方向に沿って、上部軸受132の第1端部135aから第2端部135bに向かって徐々に大きくなるのであれば、軸受外周面132aは湾曲面であってもよい。
(3)変形例C
第3実施形態において、図12に示されるように、上部軸受232は、水平方向の寸法が異なる2つの部分である、上部軸受下部232aおよび上部軸受上部232bから構成される。しかし、上部軸受232は、水平方向の寸法が異なる3つ以上の部分から構成されてもよい。すなわち、上部軸受232は、第1端部235aから第2端部235bに向かって水平方向の寸法が段階的に小さくなるような他の形状を有していてもよい。
(4)変形例D
第1実施形態では、ハウジング23は、上部軸受32、ハウジング本体33および連結部34が一体となった部材である。しかし、連結部34は、上部軸受32およびハウジング本体33の少なくとも一方と別部材であってもよい。例えば、上部軸受32は、連結部34であるボルト等によって、ハウジング本体33に固定されてもよい。
また、本変形例では、例えば、連結部34の材質として、上部軸受32およびハウジング本体33よりも剛性が低く弾性変形しやすい物質を用いてもよい。これにより、ハウジング本体33の強度を確保しつつ、圧縮荷重を受けて傾斜するクランクシャフト17を支持する際に、上部軸受32を変形しにくく、かつ、傾斜しやすくすることができる。そのため、上部軸受32にかかる面圧を効果的に分散させることができる。本変形例は、第2実施形態および第3実施形態にも適用可能である。
次に、本変形例を第3実施形態に適用したスクロール圧縮機101について説明する。このスクロール圧縮機101は、第3実施形態のハウジング223とは異なるハウジング323を備える。ハウジング323以外の構成要素は、第3実施形態と同じである。図14は、鉛直方向に切断されたハウジング323の斜視図である。図15は、ハウジング323の断面の一部の拡大図である。
ハウジング323は、主として、軸受部材332と、ハウジング本体333と、連結部材334とから構成される。軸受部材332、ハウジング本体333および連結部材334は、それぞれ、別の部材である。軸受部材332とハウジング本体333との間、および、連結部材334とハウジング本体333との間には、第3隙間337が形成されている。
軸受部材332は、軸受本体部332aと、軸受突起部332bとから構成される。軸受本体部332aは円筒形状を有する部分である。軸受突起部332bは、軸受本体部332aの外周面から突出している部分である。軸受突起部332bの外周面は、連結部材334と接触する面である。軸受部材332は、連結部材334に嵌め込まれて固定されている。
連結部材334は、内周部334aと、中間部334bと、外周部334cとから構成される。内周部334aの内周面は、軸受部材332の軸受突起部332bの外周面と接触する面である。中間部334bは、内周部334aと外周部334cとを連結する。中間部334bは、第3実施形態の連結部234に相当する。外周部334cは、ハウジング本体333に複数の締結ボルト339で固定される部分である。外周部334cおよびハウジング本体333は、それぞれ、締結ボルト339が嵌め込まれる複数の孔を有する。第3隙間337は、第3実施形態の第3隙間237に相当し、ハウジング本体333と、連結部材334の内周部334aとの間の隙間、および、ハウジング本体333と、軸受部材332の軸受本体部332aとの間の隙間である。第3隙間337の水平方向の寸法は、下方から上方に向かって段階的に大きくなっている。
図15には、軸受本体部332aの鉛直方向の寸法H21、軸受突起部332bの鉛直方向の寸法H22、軸受部材332の水平方向の寸法W21、軸受本体部332aの水平方向の寸法W22、中間部334bの水平方向の寸法L21、および、中間部334bの鉛直方向の寸法L22が示されている。H22とH21との比は、0.4〜0.7である。W22とW21との比は、0.6〜0.9である。L22とL21との比は、0.2〜0.4である。L21と、クランクシャフト17の直径との比は、0.1〜0.2である。
本変形例では、クランクシャフト17が圧縮荷重を受けて傾斜すると、連結部材334が弾性変形して、上部軸受332の軸受本体部332aの円筒形状が維持された状態で軸受本体部332aが傾斜する。このとき、軸受本体部332aの傾斜角度は、クランクシャフト17の傾斜角度と同じである。これにより、軸受本体部332aは、傾斜したクランクシャフト17から受ける荷重によってかかる面圧を、軸受本体部332aの内周面全体で均等に受けることができる。すなわち、軸受本体部332aにかかる面圧は、クランクシャフト17の軸方向において均等に分散される。従って、ハウジング323の軸受本体部332aにかかる面圧が分散されるので、軸受本体部332aの耐力の低下が抑制される。
なお、図15において、比L22/L21が小さいほど、連結部334の剛性が低下する傾向にある。すなわち、比L22/L21が小さいほど、クランクシャフト17から軸受部材332が受ける荷重によって連結部334が弾性変形しやすくなる。しかし、連結部334が弾性変形しすぎると、軸受部材332の下部に面圧が集中して、軸受部材332にかかる面圧が偏り、軸受部材332の耐力が低下しやすくなる。そのため、上述したように、比L22/L21の下限値が設定されている。
(5)変形例E
実施形態および変形例A〜Dでは、ハウジング23,123,223,323は、傾斜可能な上部軸受32,132,232,332を備えることで、上部軸受32,132,232,332にかかる面圧を分散させて、上部軸受32,132,232,332の耐力の低下を抑制することができる。しかし、上部軸受32,132,232,332の内側には、軸受メタルが嵌め込まれて固定されていてもよい。
次に、本変形例を変形例Dに適用したスクロール圧縮機101について説明する。このスクロール圧縮機101は、変形例Dのハウジング323の上部軸受332に軸受メタル338が取り付けられている構成を有する。ハウジング323自体の構成は、変形例Dと同じである。図16は、鉛直方向に切断された本変形例のハウジング323の斜視図である。図17は、図16に示されるハウジング323の断面の一部の拡大図である。図17に示される寸法H21,H22,W21,W22,L21,L22は、図15に示されるものと同じである。
本変形例では、ハウジング323は、軸受メタル338を備える。ハウジング323の上部軸受332の軸受本体部332aの内側には、軸受メタル338が嵌め込まれて固定されている。軸受メタル338は、クランクシャフト17と摺動する筒状部材である。軸受メタル338は、樹脂製または金属製の部材である。クランクシャフト17は、軸受メタル338の内側の空間を貫通する。
スクロール圧縮機101の運転中、軸受メタル338には、クランクシャフト17から受ける荷重によって面圧がかかる。しかし、クランクシャフト17が圧縮荷重を受けて傾斜すると、連結部材334が弾性変形して、上部軸受332の軸受本体部332aの円筒形状が維持された状態で軸受本体部332aが傾斜する。このとき、軸受本体部332aの傾斜角度は、クランクシャフト17の傾斜角度と同じである。これにより、軸受本体部332aの内側の軸受メタル338は、傾斜したクランクシャフト17から受ける荷重によってかかる面圧を、軸受メタル338の内周面全体で均等に受けることができる。すなわち、軸受メタル338にかかる面圧は、クランクシャフト17の軸方向において均等に分散される。従って、ハウジング323の軸受メタル338にかかる面圧が分散されるので、軸受メタル338の耐力の低下が抑制される。なお、図17において、比W22/W21および比H22/H21の下限値は、軸受メタル338の保持力の確保の観点から決定される。
本発明に係る軸受ハウジングは、軸受部にかかる面圧を分散させることができる。
15 圧縮機構(回転機構)
17 クランクシャフト(シャフト)
23 ハウジング(軸受ハウジング)
32 上部軸受(軸受部)
33 ハウジング本体(本体部)
34 連結部
35a 第1端部
36 第1隙間
37 第2隙間
101 スクロール圧縮機(回転機械)
132 軸受部
133 本体部
134 連結部
135a 第1端部
135b 第2端部
137 第3隙間
特開2003−206873号公報

Claims (7)

  1. 軸方向に交差する径方向の荷重を受けるシャフト(17)を支持する軸受部(32)と、
    本体部(33)と、
    前記シャフトが前記荷重を受ける箇所から前記軸方向においてより遠い側に位置する前記軸受部の端部である第1端部(35a)において、前記軸受部と前記本体部とを連結する連結部(34)と、
    を備え、
    前記連結部の前記軸方向の寸法は、前記連結部の前記径方向の寸法の20%〜40%である、
    軸受ハウジング(23)。
  2. 前記軸受部は、前記軸受部と前記シャフトとの間の第1隙間(36)を形成する、
    請求項1に記載の軸受ハウジング。
  3. 前記軸受部は、円筒形状を有し、
    前記連結部は、前記軸受部と前記本体部との間に円筒形状の隙間である第2隙間(37)を形成する、
    請求項1または2に記載の軸受ハウジング。
  4. 前記連結部(134)は、前記軸受部(132)と前記本体部(133)との間の隙間である第3隙間(137)を形成し、
    前記第3隙間の寸法は、前記第1端部(135a)から、前記第1端部の反対側の前記軸受部の端部である第2端部(135b)に向かって大きくなっている、
    請求項1または2に記載の軸受ハウジング。
  5. 前記軸受部、前記本体部、および、前記連結部は、一体の部材である、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の軸受ハウジング。
  6. 前記連結部は、前記軸受部および前記本体部の少なくとも一方とは別の部材である、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の軸受ハウジング。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の前記軸受ハウジングと、
    回転機構(15)と
    前記荷重を受ける側において前記回転機構と連結される前記シャフトと、
    を備える回転機械(101)。
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