JP2017002765A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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JP2017002765A JP2015115641A JP2015115641A JP2017002765A JP 2017002765 A JP2017002765 A JP 2017002765A JP 2015115641 A JP2015115641 A JP 2015115641A JP 2015115641 A JP2015115641 A JP 2015115641A JP 2017002765 A JP2017002765 A JP 2017002765A
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貴之 川本
Takayuki Kawamoto
貴之 川本
起尚 完山
Okihisa Sadayama
起尚 完山
義信 除補
Yoshinobu Yosuke
義信 除補
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【課題】本発明に係るスクロール圧縮機は、高い信頼性を有し、運転中の騒音を抑制することができる。【解決手段】スクロール圧縮機は、可動スクロール26と、ハウジング23と、オルダム継手39とを備える。可動スクロール26は、第1キー溝26dを有する。ハウジング23は、第2キー溝を有する。オルダム継手39は、環状本体部39aと、第1キー部39bと、第2キー部とを有する。環状本体部39aは、第1水平面39d1および第2水平面39d2を有する。第1キー部39bは、第1キー溝26dに嵌め込まれる。第2キー部は、第2キー溝に嵌め込まれる。第1断面形状ABCDは、環状本体部39aの周方向に沿って切断した場合における第1キー部39bの断面形状である。第1断面形状ABCDは、第1水平面39d1の側の底辺と、少なくとも一方の脚との間の角度が鋭角である台形形状である。【選択図】図9

Description

本発明は、オルダム継手を備えるスクロール圧縮機に関する。
冷凍装置等に用いられるスクロール圧縮機は、固定スクロールおよび可動スクロールを備えている。固定スクロールおよび可動スクロールは、それぞれ、渦巻き部を有する。可動スクロールの渦巻き部は、固定スクロールの渦巻き部と噛み合って、冷媒ガス等の流体が圧縮される圧縮室を形成する。スクロール圧縮機は、可動スクロールを公転させて圧縮室の容積を変化させることで流体を圧縮する。
通常、スクロール圧縮機は、運転中における可動スクロールの自転を防止するためのオルダム継手を備えている。オルダム継手は、可動スクロールとハウジングとの間に設置される。特許文献1(特開平3−67080号公報)に開示されているように、オルダム継手は、環状の本体部と、本体部から鉛直方向に突出しているキー部とを有している。キー部は、可動スクロールおよびハウジングに形成される溝に嵌め込まれている。
しかし、オルダム継手は、スクロール圧縮機の運転中にバタつくことがある。オルダム継手のバタつきは、キー部のこじり、および、可動スクロールおよびハウジングに対するキー部の局所的な接触を誘発し、オルダム継手の損傷の原因となる。オルダム継手の損傷は、スクロール圧縮機の信頼性の低下を引き起こす。また、オルダム継手のバタつきは、スクロール圧縮機の運転中の騒音の原因となる。
本発明の目的は、高い信頼性を有し、運転中の騒音を抑制することができるスクロール圧縮機を提供することである。
本発明の第1観点に係るスクロール圧縮機は、可動スクロールと、静止部材と、オルダム継手とを備える。可動スクロールは、第1キー溝を有する。静止部材は、第2キー溝を有する。オルダム継手は、可動スクロールと静止部材との間に設置される。オルダム継手は、可動スクロールの自転を防止するための部材である。オルダム継手は、環状本体部と、第1キー部と、第2キー部とを有する。環状本体部は、互いに対向する第1水平面および第2水平面を有する。第1キー部は、第1水平面から突出し、第1キー溝に嵌め込まれる。第2キー部は、第2水平面から突出し、第2キー溝に嵌め込まれる。第1断面形状は、環状本体部の周方向に沿って切断した場合における第1キー部の断面形状である。第1断面形状は、第1水平面の側の底辺と、少なくとも一方の脚との間の角度が鋭角である台形形状である。
このスクロール圧縮機では、オルダム継手の第1キー部は、第1水平面に対して傾斜している傾斜面を有している。第1キー部の傾斜面は、公転する可動スクロールから力を受ける面である。第1キー部の傾斜面によって、第1水平面と直交する鉛直方向に沿って、オルダム継手を静止部材に向かって押し付ける力が発生する。これにより、オルダム継手の鉛直方向のバタつきが抑制される。従って、このスクロール圧縮機は、高い信頼性を有し、運転中の騒音を抑制することができる。
本発明の第2観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点に係るスクロール圧縮機であって、第1断面形状は、等脚台形形状である。
このスクロール圧縮機では、オルダム継手の第1キー部は、第1水平面に対して傾斜している2つの傾斜面を有している。このオルダム継手は、固定スクロールの渦巻き部と可動スクロールの渦巻き部とが非対称であるスクロール圧縮機に用いられる。両スクロールの渦巻き部が非対称である場合、可動スクロールのトルクの正負が反転して、スクロール圧縮機の通常運転時における公転方向の逆方向に可動スクロールが公転することがある。この場合においても、第1キー部の傾斜面によって、オルダム継手を静止部材に向かって押し付ける力が発生するので、オルダム継手のバタつきが抑制される。
本発明の第3観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点に係るスクロール圧縮機であって、第1断面形状は、底辺と一方の脚との間の角度が鋭角であり、かつ、底辺と他方の脚との間の角度が直角である台形形状である。
このスクロール圧縮機では、オルダム継手の第1キー部は、第1水平面に対して傾斜している傾斜面を1つだけ有している。このオルダム継手は、固定スクロールの渦巻き部と可動スクロールの渦巻き部とが対称であるスクロール圧縮機に用いられる。両スクロールの渦巻き部が対称である場合、可動スクロールのトルクの正負が反転することはない。そのため、両スクロールの渦巻き部が対称であるスクロール圧縮機は、傾斜面を1つだけ有する第1キー部を有するオルダム継手を用いることができる。
本発明の第4観点に係るスクロール圧縮機は、第1乃至第3観点のいずれか1つに係るスクロール圧縮機であって、スラスト受け部をさらに備える。スラスト受け部は、環状本体部を挟んで第1キー部の反対側において第2水平面と対向するスラスト受け面を有する。
このスクロール圧縮機では、スラスト受け部は、例えば、静止部材の一部である。スラスト受け部は、オルダム継手を静止部材に向かって押し付ける力を主に受けて、オルダム継手のバタつきを抑制する。
本発明の第5観点に係るスクロール圧縮機は、可動スクロールと、静止部材と、オルダム継手とを備える。可動スクロールは、第1キー溝を有する。静止部材は、第2キー溝を有する。オルダム継手は、可動スクロールと静止部材との間に設置される。オルダム継手は、可動スクロールの自転を防止するための部材である。オルダム継手は、環状本体部と、第1キー部と、第2キー部とを有する。環状本体部は、互いに対向する第1水平面および第2水平面を有する。第1キー部は、第1水平面から突出し、第1キー溝に嵌め込まれる。第2キー部は、第2水平面から突出し、第2キー溝に嵌め込まれる。第2断面形状は、環状本体部の周方向に沿って切断した場合における第2キー部の断面形状である。第2断面形状は、第2水平面の側の底辺と、少なくとも一方の脚との間の角度が鋭角である台形形状である。
このスクロール圧縮機では、オルダム継手の第2キー部は、第2水平面に対して傾斜している傾斜面を有している。第2キー部の傾斜面は、静止部材から力を受ける面である。第2キー部の傾斜面によって、第2水平面と直交する鉛直方向に沿って、オルダム継手を可動スクロールに向かって押し付ける力が発生する。これにより、オルダム継手の鉛直方向のバタつきが抑制される。従って、このスクロール圧縮機は、高い信頼性を有し、運転中の騒音を抑制することができる。
本発明の第6観点に係るスクロール圧縮機は、第5観点に係るスクロール圧縮機であって、第2断面形状は、等脚台形形状である。
このスクロール圧縮機では、オルダム継手の第2キー部は、第2水平面に対して傾斜している2つの傾斜面を有している。このオルダム継手は、固定スクロールの渦巻き部と可動スクロールの渦巻き部とが非対称であるスクロール圧縮機に用いられる。両スクロールの渦巻き部が非対称である場合、可動スクロールのトルクの正負が反転して、スクロール圧縮機の通常運転時における公転方向の逆方向に可動スクロールが公転することがある。この場合においても、第2キー部の傾斜面によって、オルダム継手を可動スクロールに向かって押し付ける力が発生するので、オルダム継手のバタつきが抑制される。
本発明の第7観点に係るスクロール圧縮機は、第5観点に係るスクロール圧縮機であって、第2断面形状は、底辺と一方の脚との間の角度が鋭角であり、かつ、底辺と他方の脚との間の角度が直角である台形形状である。
このスクロール圧縮機では、オルダム継手の第2キー部は、第2水平面に対して傾斜している傾斜面を1つだけ有している。このオルダム継手は、固定スクロールの渦巻き部と可動スクロールの渦巻き部とが対称であるスクロール圧縮機に用いられる。両スクロールの渦巻き部が対称である場合、可動スクロールのトルクの正負が反転することはない。そのため、両スクロールの渦巻き部が対称であるスクロール圧縮機は、傾斜面を1つだけ有する第2キー部を有するオルダム継手を用いることができる。
本発明の第8観点に係るスクロール圧縮機は、第5乃至第7観点のいずれか1つに係るスクロール圧縮機であって、スラスト受け部をさらに備える。スラスト受け部は、環状本体部を挟んで第2キー部の反対側において第1水平面と対向するスラスト受け面を有する。
このスクロール圧縮機では、スラスト受け部は、例えば、可動スクロールの一部である。スラスト受け部は、オルダム継手を可動スクロールに向かって押し付ける力を主に受けて、オルダム継手のバタつきを抑制する。
本発明に係るスクロール圧縮機は、高い信頼性を有し、運転中の騒音を抑制することができる。
第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 固定スクロールの下面図である。 可動スクロールの上面図である。 可動スクロールの第2ラップおよび圧縮室が示された固定スクロールの下面図である。 図1のオルダム継手近傍の拡大図である。 図5の線分VI−VIにおける断面図である。 上から下に向かって、第1実施形態のオルダム継手の上面図、側面図および下面図である。 上から下に向かって、図7の矢印VIIIから視た、オルダム継手の上面図、側面図および下面図である。 第1キー部の近傍において、環状本体部の周方向に沿って可動スクロール、ハウジングおよびオルダム継手を切断したときの断面図である。 第2実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図であって、オルダム継手近傍の拡大図である。 図10の線分XI−XIにおける断面図である。 上から下に向かって、第2実施形態のオルダム継手の上面図、側面図および下面図である。 上から下に向かって、図12の矢印XIIIから視た、オルダム継手の上面図、側面図および下面図である。 第2キー部の近傍において、環状本体部の周方向に沿って可動スクロール、ハウジングおよびオルダム継手を切断したときの断面図である。 上から下に向かって、変形例Aのオルダム継手の上面図、側面図および下面図である。 上から下に向かって、変形例Bのオルダム継手の上面図、側面図および下面図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機101について、図面を参照しながら説明する。スクロール圧縮機101は、空気調和装置等の冷凍装置に用いられる。スクロール圧縮機101は、冷凍装置の冷媒回路を循環する冷媒ガスを圧縮する。
(1)スクロール圧縮機の構成
スクロール圧縮機101は、互いに噛み合う渦巻き形状のラップを有する2つのスクロール部材を用いて冷媒を圧縮する圧縮機である。スクロール圧縮機101は、高低圧ドーム型のスクロール圧縮機である。
図1は、スクロール圧縮機101の縦断面図である。図1において、矢印Uは、鉛直方向に沿って上方を指す。スクロール圧縮機101は、主として、ケーシング10と、圧縮機構15と、ハウジング23と、オルダム継手39と、駆動モータ16と、下部軸受60と、クランクシャフト17と、吸入管19と、吐出管20とから構成される。次に、スクロール圧縮機101の各構成要素について説明する。
(1−1)ケーシング
ケーシング10は、円筒状の胴部ケーシング部11と、胴部ケーシング部11の上端部に気密状に溶接される椀状の上壁部12と、胴部ケーシング部11の下端部に気密状に溶接される椀状の底壁部13とから構成される。ケーシング10は、ケーシング10の内部および外部において圧力や温度が変化した場合に、変形および破損が起こりにくい剛性部材で成型されている。ケーシング10は、胴部ケーシング部11の円筒状の軸方向が鉛直方向に沿うように設置される。
ケーシング10の内部には、圧縮機構15と、圧縮機構15の下方に配置されるハウジング23と、ハウジング23の下方に配置される駆動モータ16と、鉛直方向に延びるように配置されるクランクシャフト17等が収容されている。ケーシング10の壁部には、吸入管19および吐出管20が気密状に溶接されている。
ケーシング10の底部には、潤滑油が貯留される油溜まり空間10aが形成されている。潤滑油は、スクロール圧縮機101の運転中において、圧縮機構15等の摺動部の潤滑性を良好に保つために使用される。
(1−2)圧縮機構
圧縮機構15は、ケーシング10の内部に収容され、低温低圧の冷媒ガスを吸引および圧縮して、高温高圧の冷媒ガス(以下、「圧縮冷媒」という。)を吐出する。圧縮機構15は、主に、固定スクロール24と、可動スクロール26とから構成される。固定スクロール24は、ケーシング10に対して固定されている。可動スクロール26は、固定スクロール24に対して公転運動を行う。図2は、鉛直方向に沿って視た固定スクロール24の下面図である。図3は、鉛直方向に沿って視た可動スクロール26の上面図である。
(1−2−1)固定スクロール
固定スクロール24は、第1鏡板24aと、第1鏡板24aに直立して形成される渦巻き形状の第1ラップ24bとを有する。第1鏡板24aには、主吸入孔24cが形成されている。主吸入孔24cは、吸入管19と、後述する圧縮室40とを接続する空間である。主吸入孔24cは、低温低圧の冷媒ガスを吸入管19から圧縮室40に導入するための吸入空間を形成する。第1鏡板24aの中央部には、吐出孔41が形成され、第1鏡板24aの上面には、吐出孔41と連通する拡大凹部42が形成されている。拡大凹部42は、第1鏡板24aの上面に凹設された空間である。固定スクロール24の上面には、拡大凹部42を塞ぐように蓋体44がボルト44aにより固定されている。固定スクロール24および蓋体44は、ガスケット(図示せず)を介して密着してシールされている。拡大凹部42に蓋体44が覆い被せられることにより、圧縮機構15の運転音を消音させるマフラー空間45が形成されている。固定スクロール24には、マフラー空間45と連通し、固定スクロール24の下面に開口する第1圧縮冷媒流路46が形成されている。第1鏡板24aの下面には、図2に示されるように、C字形状の油溝24eが形成されている。
(1−2−2)可動スクロール
可動スクロール26は、円盤形状の第2鏡板26aと、第2鏡板26aに直立して形成される渦巻き形状の第2ラップ26bとを有する。圧縮機構15は、非対称形状のラップを有している。すなわち、固定スクロール24の第1ラップ24bと、可動スクロール26の第2ラップ26bとは、互いに非対称となるように形成されている。第2鏡板26aの下面中央部には、上端軸受26cが形成されている。可動スクロール26には、給油細孔63が形成されている。給油細孔63は、第2鏡板26aの上面外周部と、上端軸受26cの内側の空間とを連通している。
固定スクロール24および可動スクロール26は、第1ラップ24bと第2ラップ26bとが噛み合うことにより、第1鏡板24aと、第1ラップ24bと、第2鏡板26aと、第2ラップ26bとによって囲まれる空間である圧縮室40を形成する。圧縮室40の容積は、可動スクロール26の公転運動によって徐々に減少する。可動スクロール26の公転中に、固定スクロール24の第1鏡板24aおよび第1ラップ24bの下面は、可動スクロール26の第2鏡板26aおよび第2ラップ26bの上面と摺動する。以下、可動スクロール26と摺動する固定スクロール24の面を、スラスト摺動面24dと呼ぶ。図4は、可動スクロール26の第2ラップ26bの位置および圧縮室40が示された固定スクロール24の下面図である。図4において、ハッチングされた領域は、固定スクロール24のスラスト摺動面24dを表す。図4において、スラスト摺動面24dの外縁は、公転する可動スクロール26の第2鏡板26aの外縁の軌跡を表す。図4に示されるように、固定スクロール24の油溝24eは、スラスト摺動面24dに納まるように第1鏡板24aの下面に形成されている。
第2鏡板26aの下面には、後で説明する図5に示されるように、2つの第1キー溝26dが形成されている。可動スクロール26を鉛直方向に沿って視た場合、2つの第1キー溝26dは、第2鏡板26aの中心に対して点対称となる位置に形成されている。2つの第1キー溝26dは、オルダム継手39の第1キー部39bが嵌め込まれる溝である。
(1−3)ハウジング
ハウジング23は、圧縮機構15の下方に配置されている。ハウジング23の外周面は、胴部ケーシング部11の内周面に気密状に接合されている。これにより、ケーシング10の内部空間は、ハウジング23の下方の高圧空間S1と、ハウジング23の上方の空間である上部空間S2とに区画されている。ハウジング23は、固定スクロール24を載置し、固定スクロール24と共に可動スクロール26を挟持している。ハウジング23の外周部には、第2圧縮冷媒流路48が鉛直方向に貫通して形成されている。第2圧縮冷媒流路48は、ハウジング23の上面において第1圧縮冷媒流路46と連通し、ハウジング23の下面において高圧空間S1と連通する。
ハウジング23の上面には、クランク室S3が凹設されている。ハウジング23には、ハウジング貫通孔31が形成されている。ハウジング貫通孔31は、クランク室S3の底面中央部から、ハウジング23の下面中央部まで、ハウジング23を鉛直方向に貫通している。以下、ハウジング23の一部であり、かつ、ハウジング貫通孔31が形成されている部分を、上部軸受32という。ハウジング23には、ケーシング10の内面近傍の高圧空間S1とクランク室S3とを連通する油戻し通路23aが形成されている。
ハウジング23の上面には、後で説明する図6に示されるように、2つの第2キー溝23dが形成されている。ハウジング23を鉛直方向に沿って視た場合、2つの第2キー溝23dは、ハウジング貫通孔31の中心に対して点対称となる位置に形成されている。2つの第2キー溝23dは、オルダム継手39の第2キー部39cが嵌め込まれる溝である。
(1−4)オルダム継手
オルダム継手39は、公転している可動スクロール26の自転を防止するための部材である。図5は、図1のオルダム継手39近傍の拡大図である。図6は、図5の線分VI−VIにおける断面図である。図5,6に示されるように、オルダム継手39は、可動スクロール26とハウジング23との間に設置される。
図7,8は、上から下に向かって、オルダム継手39の上面図、側面図および下面図を表す。図8は、図7の矢印VIIIから視た図である。オルダム継手39は、主として、環状本体部39aと、2つの第1キー部39bと、2つの第2キー部39cとを有する環状部材である。環状本体部39aは、互いに対向する第1水平面39d1および第2水平面39d2を有する。第1水平面39d1および第2水平面39d2は、水平面に平行な面である。第1キー部39bは、第1水平面39d1から上方に向かって突出する凸部である。第2キー部39cは、第2水平面39d2から下方に向かって突出する凸部である。第1キー部39bは、可動スクロール26の第1キー溝26dに嵌め込まれる。第2キー部39cは、ハウジング23の第2キー溝23dに嵌め込まれる。オルダム継手39を鉛直方向に沿って視た場合、2つの第2キー部39cは、2つの第1キー部39bを、環状本体部39aの中心の周りに90度回転した位置に形成されている。
図9は、オルダム継手39の第1キー部39bの近傍において、環状本体部39aの周方向に沿って可動スクロール26、ハウジング23およびオルダム継手39を切断したときの断面図である。図9に示される白抜きの矢印については後述する。図9には、環状本体部39aの周方向に沿って切断した第1キー部39bの断面を、環状本体部39aの径方向に沿って視た第1断面形状ABCDが示されている。第1断面形状ABCDは、等脚台形である。等脚台形は、一対の平行な底辺および一対の脚を有し、一対の底辺の中点を結ぶ線分に対して線対称である台形である。第1断面形状ABCDでは、第1水平面39d1の側の底辺ABと脚BC,ADとの間の角度θが鋭角である。そのため、第1キー部39bは、第1水平面39d1に対して傾斜している一対の第1キー傾斜面39eを有している。第1キー傾斜面39eは、第1断面形状ABCDの脚BC,ADに相当する面である。また、第1キー傾斜面39eは、第1キー部39bの側面であり、かつ、第1水平面39d1との交線が環状本体部39aの径方向に沿っている面である。なお、図9に示される第1断面形状ABCDの角度θは、45°以上かつ90°未満が好ましい。
図9に示されるように、第1キー部39bが嵌め込まれる第1キー溝26dは、第1キー部39bに対応する形状を有している。具体的には、第1キー溝26dは、第1キー部39bの一対の第1キー傾斜面39eのそれぞれと平行な一対の第1溝傾斜面26eを有している。第1キー部39bおよび第1キー溝26dの寸法は、第1キー部39bが第1キー溝26d内をスムーズに摺動可能なように設定され、かつ、第1キー部39bが第1キー溝26dに嵌め込まれた場合に第1キー部39bと第1キー溝26dとの間の隙間ができるだけ小さくなるように設定されている。
オルダム継手39の第2キー部39cは、第1キー部39bの第1キー傾斜面39eに相当する傾斜面を有さない。第2キー部39cは、第2水平面39d2と直交する一対の第2キー直交面39fを有している。第2キー直交面39fは、第2キー部39cの側面であり、かつ、第2水平面39d2との交線が環状本体部39aの径方向に沿っている面である。
第2キー部39cが嵌め込まれる第2キー溝23dは、第2キー部39cに対応する形状を有している。具体的には、第2キー溝23dは、第2キー部39cの一対の第2キー直交面39fのそれぞれと平行な一対の面を有している。第2キー部39cおよび第2キー溝23dの寸法は、第2キー部39cが第2キー溝23d内をスムーズに摺動可能なように設定され、かつ、第2キー部39cが第2キー溝23dに嵌め込まれた場合に第2キー部39cと第2キー溝23dとの間の隙間ができるだけ小さくなるように設定されている。
(1−5)駆動モータ
駆動モータ16は、ハウジング23の下方に配置されるブラシレスDCモータである。駆動モータ16は、主に、ケーシング10の内面に固定されるステータ51と、ステータ51の内側にエアギャップを設けて配置されるロータ52とから構成される。
ステータ51の外周面には、ステータ51の上端面から下端面に亘り、かつ、周方向に所定間隔をおいて切欠形成されている複数のコアカット部が設けられている。コアカット部は、胴部ケーシング部11とステータ51との間を鉛直方向に延びるモータ冷却通路55を形成する。
ロータ52は、その回転中心を鉛直方向に貫通するクランクシャフト17に連結されている。ロータ52は、クランクシャフト17を介して、圧縮機構15に接続されている。
(1−6)下部軸受
下部軸受60は、駆動モータ16の下方に配置される。下部軸受60の外周面は、ケーシング10の内面に気密状に接合されている。下部軸受60は、クランクシャフト17を支持する。下部軸受60の上端には、油分離板73が取り付けられている。油分離板73は、ケーシング10の内部に収容される平板状の部材である。油分離板73は、下部軸受60の上端面に固定されている。
(1−7)クランクシャフト
クランクシャフト17は、ケーシング10の内部に収容される。クランクシャフト17は、その軸方向が鉛直方向に沿うように配置されている。クランクシャフト17は、その上端部の軸心が上端部を除く部分の軸心に対してわずかに偏心している形状を有している。クランクシャフト17は、バランスウェイト18を有する。バランスウェイト18は、ハウジング23の下方かつ駆動モータ16の上方の高さ位置において、クランクシャフト17に密着して固定されている。
クランクシャフト17は、ロータ52の回転中心を鉛直方向に貫通してロータ52に連結されている。クランクシャフト17は、その上端部が上端軸受26cに嵌入することで、可動スクロール26に接続されている。クランクシャフト17は、上部軸受32および下部軸受60によって支持されている。
クランクシャフト17は、その軸方向に延びている主給油路61を内部に有している。主給油路61の上端は、クランクシャフト17の上端面と第2鏡板26aの下面とによって形成される油室83と連通している。油室83は、第2鏡板26aの給油細孔63を介して、スラスト摺動面24dおよび油溝24eに連通し、圧縮室40を介して最終的に低圧空間S2に連通する。主給油路61の下端は、油溜まり空間10aの潤滑油中に浸漬している。
クランクシャフト17は、主給油路61から分岐する第1副給油路61a、第2副給油路61bおよび第3副給油路61cを有している。第1副給油路61a、第2副給油路61bおよび第3副給油路61cは、水平方向に延びている。第1副給油路61aは、クランクシャフト17と可動スクロール26の上端軸受26cとの摺動面に開口している。第2副給油路61bは、クランクシャフト17とハウジング23の上部軸受32との摺動面に開口している。第3副給油路61cは、クランクシャフト17と下部軸受60との摺動面に開口している。
(1−8)吸入管
吸入管19は、ケーシング10の外部から圧縮機構15へ、冷媒回路の冷媒を導入するための管である。吸入管19は、ケーシング10の上壁部12に気密状に嵌入されている。吸入管19は、上部空間S2を鉛直方向に貫通するとともに、内端部が固定スクロール24の主吸入孔24cに嵌入されている。
(1−9)吐出管
吐出管20は、高圧空間S1からケーシング10の外部へ、圧縮冷媒を吐出するための管である。吐出管20は、ケーシング10の胴部ケーシング部11に気密状に嵌入されている。吐出管20は、高圧空間S1を水平方向に貫通する。ケーシング10内にある吐出管20の開口部20aは、ハウジング23の近傍に位置している。
(2)スクロール圧縮機の動作
本実施形態に係るスクロール圧縮機101の動作について説明する。最初に、スクロール圧縮機101を備える冷媒回路を循環する冷媒の流れについて説明する。次に、スクロール圧縮機101内部における潤滑油の流れについて説明する。
(2−1)冷媒の流れ
最初に、駆動モータ16が駆動することによって、ロータ52が回転する。これにより、ロータ52に固定されているクランクシャフト17が軸回転する。クランクシャフト17の軸回転運動は、上端軸受26cを介して可動スクロール26に伝達される。クランクシャフト17の上端部の軸心は、クランクシャフト17の軸回転運動の軸心に対して偏心している。
可動スクロール26は、オルダム継手39を介してハウジング23に係合されている。クランクシャフト17が回転すると、オルダム継手39の第1キー部39bは、可動スクロール26の第1キー溝26d内を摺動し、オルダム継手39の第2キー部39cは、ハウジング23の第2キー溝23d内を摺動する。これにより、可動スクロール26は、自転することなく、固定スクロール24に対して公転運動を行う。
圧縮される前の低温低圧の冷媒は、吸入管19から主吸入孔24cを経由して、圧縮機構15の圧縮室40に供給される。可動スクロール26の公転運動により、圧縮室40は容積を徐々に減少させながら固定スクロール24の外周部から中心部に向かって移動する。その結果、圧縮室40の冷媒は圧縮されて圧縮冷媒となる。圧縮冷媒は、吐出孔41からマフラー空間45へ吐出された後、第1圧縮冷媒流路46および第2圧縮冷媒流路48を経由して、高圧空間S1へ吐出される。そして、圧縮冷媒は、モータ冷却通路55を下降して、駆動モータ16の下方の高圧空間S1に到達する。そして、圧縮冷媒は、流れの向きを反転させて、他のモータ冷却通路55および駆動モータ16のエアギャップを上昇する。最終的に、圧縮冷媒は、吐出管20からスクロール圧縮機101の外部に吐出される。
(2−2)潤滑油の流れ
最初に、モータ16が駆動することによってロータ52が回転し、これにより、クランクシャフト17が軸回転する。クランクシャフト17の軸回転によって圧縮機構15が駆動し、高圧空間S1に圧縮冷媒が吐出されると、高圧空間S1内の圧力が上昇する。また、主給油路61の上端は、油室83および給油細孔63を介して低圧空間S2に連通している。これにより、主給油路61の上端と下端との間に差圧が発生する。その結果、油溜まり空間10aに貯留されている潤滑油は、差圧によって、主給油路61の下端から吸引され、主給油路61内を油室83に向かって上昇する。
主給油路61を上昇する潤滑油のほとんどは、順に、第3副給油路61c、第2副給油路61bおよび第1副給油路61aに分流する。第3副給油路61cを流れる潤滑油は、クランクシャフト17と下部軸受60との摺動面を潤滑した後、高圧空間S1に供給されて油溜まり空間10aに戻される。第2副給油路61bを流れる潤滑油は、クランクシャフト17とハウジング23の上部軸受32との摺動面を潤滑した後、高圧空間S1およびクランク室S3に供給される。高圧空間S1に供給された潤滑油は、油溜まり空間10aに戻される。クランク室S3に供給された潤滑油は、ハウジング23の油戻し通路23aを経由して高圧空間S1に供給され、油溜まり空間10aに戻される。第1副給油路61aを流れる潤滑油は、クランクシャフト17と可動スクロール26の上端軸受26cとの摺動面を潤滑した後、クランク室S3に供給され、高圧空間S1を経由して、油溜まり空間10aに戻される。
主給油路61内を上端まで上昇して油室83に到達した潤滑油は、差圧によって、給油細孔63を流れて油溝24eに供給される。油溝24eに供給された潤滑油の一部は、スラスト摺動面24dをシールしながら、低圧空間S2および圧縮室40に漏れ出す。このとき、もともと高温高圧である潤滑油は、低圧空間S2および圧縮室40に存在する圧縮前の冷媒ガスを加熱する。また、圧縮室40に流入した潤滑油は、微小な油滴の状態で圧縮冷媒に混入される。圧縮冷媒に混入された潤滑油は、圧縮冷媒と同じ経路を通って、圧縮室40から高圧空間S1へ吐出される。その後、潤滑油は、圧縮冷媒と共にモータ冷却通路55を下降した後に、油分離板73に衝突する。油分離板73に付着した潤滑油は、高圧空間S1を落下して油溜まり空間10aに戻される。
(3)スクロール圧縮機の特徴
スクロール圧縮機101では、図9に示されるように、オルダム継手39の第1キー部39bは、第1水平面39d1に対して傾斜している一対の第1キー傾斜面39eを有している。一対の第1キー傾斜面39eは、可動スクロール26の第1キー溝26dの一対の第1溝傾斜面26eと対向する。可動スクロール26が公転すると、第1キー溝26dの一方の第1溝傾斜面26eは、第1キー部39bの対向する第1キー傾斜面39eと接触する。公転する可動スクロール26は、互いに接触している第1溝傾斜面26eおよび第1キー傾斜面39eを介して、オルダム継手39の第1キー部39bに力を与える。
図9には、オルダム継手39の第1キー部39bに作用する鉛直方向の力が白抜きの矢印Fで示されている。オルダム継手39は、水平面に対して傾斜している第1キー傾斜面39eを介して、水平面内で公転する可動スクロール26から力を受ける。可動スクロール26の鉛直方向の位置は変化しないので、公転する可動スクロール26の第1溝傾斜面26eは、第1キー傾斜面39eを鉛直方向に押し下げようとする力をオルダム継手39に与える。これにより、オルダム継手39の第1キー部39bは、公転する可動スクロール26から、鉛直方向下向きの力Fを受ける。この力Fは、クランクシャフト17の回転軸に平行であり、かつ、オルダム継手39をハウジング23に向かって押し付ける力であるので、以降、力Fをスラスト押し付け力Fと呼ぶ。
スクロール圧縮機101では、オルダム継手39は、従来のオルダム継手と同様に、公転する可動スクロール26の自転を防止する効果を有する。スクロール圧縮機101では、さらに、オルダム継手39の第1キー部39bは、第1キー傾斜面39eを介して、公転する可動スクロール26からスラスト押し付け力Fを受ける。図9に示されるように、第1キー部39bの鉛直方向下方に位置するスラスト受け部23fは、オルダム継手39の第2水平面39d2と対向するスラスト受け面23gを有する。本実施形態では、スラスト受け部23fは、ハウジング23の一部であり、スラスト受け面23gは、ハウジング23の上端面の一部である。スラスト受け部23fは、スラスト受け面23gを介してスラスト押し付け力Fを主に受ける部分である。しかし、オルダム継手39およびハウジング23を全体的に見た場合、スラスト押し付け力Fは、オルダム継手39をハウジング23に向かって押し付ける鉛直方向下向きの力であり、オルダム継手39の鉛直方向の動きを制限する力である。そのため、スラスト押し付け力Fによって、オルダム継手39の鉛直方向のバタつきが抑制される。オルダム継手39のバタつきは、第1および第2キー部39b,39cのこじり、および、可動スクロール26およびハウジング23に対する第1および第2キー部39b,39cの局所的な接触を誘発し、オルダム継手39の損傷の原因となるおそれがある。また、オルダム継手39のバタつきは、スクロール圧縮機101の運転中の騒音の原因となるおそれがある。従って、スクロール圧縮機101は、第1キー傾斜面39eを有するオルダム継手39を備えることで、高い信頼性を有することができ、運転中の騒音を抑制することができる。
また、スクロール圧縮機101では、オルダム継手39の第1キー部39bは、一対の第1キー傾斜面39eを有している。可動スクロール26の第2ラップ26bは、固定スクロール24の第1ラップ24bとは非対称の形状を有する。第1ラップ24bと第2ラップ26bとが非対称である場合、第1ラップ24bと第2ラップ26bとが対称である場合と比べて、圧縮室40の容積を大きくすることができるが、公転する可動スクロール26のトルクの変動も大きくなる。そのため、第1ラップ24bと第2ラップ26bとが非対称である場合、可動スクロール26のトルクの正負が反転して、スクロール圧縮機101の通常運転時における公転方向の逆方向に可動スクロール26が公転することがある。しかし、オルダム継手39の第1キー部39bは、一対の第1キー傾斜面39eを有しているので、可動スクロール26が逆方向に公転しても、第1キー部39bは可動スクロール26からスラスト押し付け力Fを受けることができ、オルダム継手39のバタつきが抑制される。従って、オルダム継手39は、非対称形状のラップを有する圧縮機構15を備えるスクロール圧縮機101に用いることができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るスクロール圧縮機201について説明する。スクロール圧縮機201の基本的な構成および動作は、第1実施形態のスクロール圧縮機101と同じであるので、スクロール圧縮機101とスクロール圧縮機201との相違点を主に説明する。
(1)スクロール圧縮機の構成
スクロール圧縮機201は、主として、可動スクロール126と、ハウジング123と、オルダム継手139とを備える。図10は、スクロール圧縮機201のオルダム継手139近傍の拡大図である。図11は、図10の線分XI−XIにおける断面図である。図10,11において、第1実施形態と同じ構成要素には、図5,6と同じ参照符号が用いられている。可動スクロール126は、第2鏡板126aと、第2ラップ126bと、上端軸受126cと、第1キー溝126dとを有している。第1キー溝126dは、第2鏡板126aの下面に形成されている。オルダム継手139は、可動スクロール126とハウジング123との間に設置される。
図12,13は、上から下に向かって、オルダム継手139の上面図、側面図および下面図を表す。図13は、図12の矢印XIIIから視た図である。オルダム継手139は、主として、環状本体部139aと、2つの第1キー部139bと、2つの第2キー部139cとを有する環状部材である。環状本体部139aは、互いに対向する第1水平面139d1および第2水平面139d2を有する。第1水平面139d1および第2水平面139d2は、水平面に平行な面である。第1キー部139bは、第1水平面139d1から上方に向かって突出する凸部である。第2キー部139cは、第2水平面139d2から下方に向かって突出する凸部である。第1キー部139bは、可動スクロール126の第2鏡板126aの下面に形成される第1キー溝126dに嵌め込まれる。第2キー部139cは、ハウジング123の上面に形成される第2キー溝123dに嵌め込まれる。オルダム継手139を鉛直方向に沿って視た場合、2つの第1キー部139bは、2つの第2キー部139cを、環状本体部139aの中心の周りに90度回転した位置に形成されている。
第1実施形態のオルダム継手39では、第1キー部39bは、第1水平面39d1に対して傾斜している一対の第1キー傾斜面39eを有し、第2キー部39cは、第2水平面39d2と直交する一対の第2キー直交面39fを有している。一方、本実施形態のオルダム継手139では、第1キー部139bは、第1水平面139d1と直交する一対の第1キー直交面139fを有し、第2キー部139cは、第2水平面139d2に対して傾斜している第2キー傾斜面139eを有している。
図14は、オルダム継手139の第2キー部139cの近傍において、環状本体部139aの周方向に沿って可動スクロール126、ハウジング123およびオルダム継手139を切断したときの断面図である。図14に示される白抜きの矢印については後述する。図14には、環状本体部139aの周方向に沿って切断した第2キー部139cの断面を、環状本体部139aの径方向に沿って視た第2断面形状KLMNが示されている。図14に示されるように、第2断面形状KLMNは、等脚台形である。等脚台形は、一対の平行な底辺および一対の脚を有し、底辺の中点を結ぶ線分に対して線対称である台形である。第2断面形状KLMNでは、第2水平面139d2の側の底辺KLと脚LM,KNとの間の角度θが鋭角である。そのため、第2キー部139cは、第2水平面139d2に対して傾斜している一対の第2キー傾斜面139eを有している。第2キー傾斜面139eは、第2断面形状KLMNの脚LM,KNに相当する面であり、かつ、第2水平面139d2との交線が環状本体部139aの径方向に沿っている面である。なお、図14に示される第2断面形状KLMNの角度θは、45°以上かつ90°未満が好ましい。
図14に示されるように、第2キー部139cが嵌め込まれる第2キー溝123dは、第2キー部139cに対応する形状を有している。具体的には、第2キー溝123dは、第2キー部139cの一対の第2キー傾斜面139eのそれぞれと平行な一対の第2溝傾斜面123eを有している。第2キー部139cおよび第2キー溝123dの寸法は、第2キー部139cが第2キー溝123d内をスムーズに摺動可能なように設定され、かつ、第2キー部139cが第2キー溝123dに嵌め込まれた場合に第2キー部139cと第2キー溝123dとの間の隙間ができるだけ小さくなるように設定されている。
オルダム継手139の第1キー部139bは、第2キー部139cの第2キー傾斜面139eに相当する傾斜面を有さない。第1キー部139bは、第1水平面139d1と直交する一対の第1キー直交面139fを有している。第1キー直交面139fは、第1キー部139bの側面であり、かつ、第1水平面139d1との交線が環状本体部139aの径方向に沿っている面である。
第1キー部139bが嵌め込まれる第1キー溝126dは、第1キー部139bに対応する形状を有している。具体的には、第1キー溝126dは、第1キー部139bの一対の第1キー直交面139fのそれぞれと平行な一対の面を有している。第1キー部139bおよび第1キー溝126dの寸法は、第1キー部139bが第1キー溝126d内をスムーズに摺動可能なように設定され、かつ、第1キー部139bが第1キー溝126dに嵌め込まれた場合に第1キー部139bと第1キー溝126dとの間の隙間ができるだけ小さくなるように設定されている。
(2)スクロール圧縮機の特徴
スクロール圧縮機201では、図14に示されるように、オルダム継手139の第2キー部139cは、第2水平面139d2に対して傾斜している一対の第2キー傾斜面139eを有している。一対の第2キー傾斜面139eは、ハウジング123の第2キー溝123dの一対の第2溝傾斜面123eと対向する。可動スクロール126が公転すると、オルダム継手139は、第1キー部139bの一方の第1キー直交面139fを介して、可動スクロール126から力を受ける。これにより、オルダム継手139の第2キー部139cの一方の第2キー傾斜面139eは、ハウジング123の第2キー溝123dの一方の第2溝傾斜面123eと接触し、ハウジング123は、第2溝傾斜面123eを介して、オルダム継手139の第2キー部139cから力を受ける。同時に、オルダム継手139の第2キー部139cは、第2キー傾斜面139eを介して、ハウジング123から力を受ける。
図14には、オルダム継手139の第2キー部139cに作用する鉛直方向の力が白抜きの矢印Fで示されている。オルダム継手139は、水平面に対して傾斜している第2キー傾斜面139eを介して、ハウジング123から力を受ける。ハウジング123の鉛直方向の位置は変化しないので、ハウジング123の第2キー傾斜面139eは、第2キー傾斜面139eを鉛直方向に押し上げようとする力をオルダム継手139に与える。これにより、オルダム継手139の第2キー部139cは、ハウジング123から、鉛直方向上向きの力Fを受ける。この力Fは、クランクシャフト17の回転軸に平行であり、かつ、オルダム継手139を可動スクロール126に向かって押し付ける力であるので、以降、力Fをスラスト押し付け力Fと呼ぶ。
スクロール圧縮機201では、オルダム継手139は、従来のオルダム継手と同様に、公転する可動スクロール126の自転を防止する効果を有する。スクロール圧縮機201では、さらに、オルダム継手139の第2キー部139cは、第2キー傾斜面139eを介して、ハウジング123からスラスト押し付け力Fを受ける。図14に示されるように、第2キー部139cの鉛直方向上方に位置するスラスト受け部123fは、オルダム継手139の第1水平面139d1と対向するスラスト受け面123gを有する。本実施形態では、スラスト受け部123fは、可動スクロール126の一部であり、スラスト受け面123gは、可動スクロール126の第2鏡板126aの下面の一部である。スラスト受け部123fは、スラスト受け面123gを介してスラスト押し付け力Fを主に受ける部分である。しかし、オルダム継手139および可動スクロール126を全体的に見た場合、スラスト押し付け力Fは、オルダム継手139を可動スクロール126に向かって押し付ける鉛直方向上向きの力であり、オルダム継手139の鉛直方向の動きを制限する力である。そのため、スラスト押し付け力Fによって、オルダム継手139の鉛直方向のバタつきが抑制される。オルダム継手139のバタつきは、第1および第2キー部139b,139cのこじり、および、可動スクロール126およびハウジング123に対する第1および第2キー部139b,139cの局所的な接触を誘発し、オルダム継手139の損傷の原因となるおそれがある。また、オルダム継手139のバタつきは、スクロール圧縮機201の運転中の騒音の原因となるおそれがある。従って、スクロール圧縮機201は、第2キー傾斜面139eを有するオルダム継手139を備えることで、高い信頼性を有することができ、運転中の騒音を抑制することができる。
また、スクロール圧縮機201では、オルダム継手139の第2キー部139cは、一対の第2キー傾斜面139eを有している。可動スクロール126の第2ラップ126bは、固定スクロール24の第1ラップ24bとは非対称の形状を有する。第1ラップ24bと第2ラップ126bとが非対称である場合、第1ラップ24bと第2ラップ126bとが対称である場合と比べて、圧縮室40の容積を大きくすることができるが、公転する可動スクロール126のトルクの変動も大きくなる。そのため、第1ラップ24bと第2ラップ126bとが非対称である場合、可動スクロール126のトルクの正負が反転して、スクロール圧縮機201の通常運転時における公転方向の逆方向に可動スクロール126が公転することがある。しかし、オルダム継手139の第2キー部139cは、一対の第2キー傾斜面139eを有しているので、可動スクロール126が逆方向に公転しても、第2キー部139cはハウジング123からスラスト押し付け力Fを受けることができ、オルダム継手139のバタつきが抑制される。従って、オルダム継手139は、非対称形状のラップを有する圧縮機構15を備えるスクロール圧縮機201に用いることができる。
<変形例>
本発明の実施形態に対する適用可能な変形例について説明する。
(1)変形例A
第1実施形態では、図9に示されるように、第1キー部39bの第1断面形状ABCDは、等脚台形である。第1断面形状ABCDでは、第1水平面39d1の側の底辺ABと脚BC,ADとの間の角度θが鋭角である。そのため、第1キー部39bは、第1水平面39d1に対して傾斜している一対の第1キー傾斜面39eを有している。第1キー傾斜面39eは、第1断面形状ABCDの脚BC,ADに相当する面である。
しかし、第1断面形状ABCDは、底辺ABと一方の脚BC,ADとの間の角度θが鋭角であり、かつ、底辺ABと他方の脚BC,ADとの間の角度が直角である台形であってもよい。図15は、上から下に向かって、本変形例のオルダム継手239の上面図、側面図および下面図を表す。オルダム継手239は、主として、環状本体部239aと、2つの第1キー部239bと、2つの第2キー部239cとを有する環状部材である。環状本体部239aは、互いに対向する第1水平面239d1および第2水平面239d2を有する。第1水平面239d1および第2水平面239d2は、水平面に平行な面である。第1キー部239bは、第1水平面239d1から上方に向かって突出する凸部である。第2キー部239cは、第2水平面239d2から下方に向かって突出する凸部である。
第1キー部239bは、第1水平面239d1に対して傾斜している1つの第1キー傾斜面239eと、第1水平面239d1に直交する1つの第1キー直交面239fとを有している。第1キー傾斜面239eは、公転する可動スクロール26から力を受ける面である。そのため、本変形例においても、可動スクロール26が公転すると、オルダム継手239をハウジング23に向かって押し付けるスラスト押し付け力が発生するので、オルダム継手239のバタつきが抑制される。
オルダム継手239は、固定スクロールのラップと可動スクロールのラップとが互いに対称であるスクロール圧縮機に用いることができる。両ラップが対称形状を有する場合、公転する可動スクロールのトルクの正負が反転することはない。そのため、対称形状のラップを有する圧縮機構を備えるスクロール圧縮機は、1つの第1キー傾斜面239eのみを有する第1キー部239bを有するオルダム継手239を用いることができる。
なお、第1断面形状ABCDは、底辺ABと一方の脚BC,ADとの間の角度が鋭角であり、かつ、底辺ABと他方の脚BC,ADとの間の角度が90°以下である任意の台形であってもよい。
(2)変形例B
第2実施形態では、図14に示されるように、第2キー部139cの第2断面形状KLMNは、等脚台形である。第2断面形状KLMNでは、第2水平面139d2の側の底辺KLと脚LM,KNとの間の角度θが鋭角である。そのため、第2キー部139cは、第2水平面139d2に対して傾斜している一対の第2傾斜面139eを有している。第2傾斜面139eは、第2断面形状KLMNの脚LM,KNに相当する面である。
しかし、第2断面形状KLMNは、底辺KLと一方の脚LM,KNとの間の角度θが鋭角であり、かつ、底辺KLと他方の脚LM,KNとの間の角度が直角である台形であってもよい。図16は、上から下に向かって、本変形例のオルダム継手339の上面図、側面図および下面図を表す。オルダム継手339は、主として、環状本体部339aと、2つの第1キー部339bと、2つの第2キー部339cとを有する環状部材である。環状本体部339aは、互いに対向する第1水平面339d1および第2水平面339d2を有する。第1水平面339d1および第2水平面339d2は、水平面に平行な面である。第1キー部339bは、第1水平面339d1から上方に向かって突出する凸部である。第2キー部339cは、第2水平面339d2から下方に向かって突出する凸部である。
第2キー部339cは、第2水平面339d2に対して傾斜している1つの第2キー傾斜面339eと、第2水平面339d2に直交する1つの第2キー直交面339fとを有している。第2キー傾斜面339eは、公転する可動スクロール26から力を受ける面である。そのため、本変形例においても、可動スクロール26が公転すると、オルダム継手339を可動スクロール26に向かって押し付けるスラスト押し付け力が発生するので、オルダム継手339のバタつきが抑制される。
オルダム継手339は、固定スクロールのラップと可動スクロールのラップとが互いに対称であるスクロール圧縮機に用いることができる。両ラップが対称形状を有する場合、公転する可動スクロールのトルクの正負が反転することはない。そのため、対称形状のラップを有する圧縮機構を備えるスクロール圧縮機は、1つの第2キー傾斜面339eのみを有する第2キー部339cを有するオルダム継手339を用いることができる。
なお、第2断面形状KLMNは、底辺KLと一方の脚LM,KNとの間の角度が鋭角であり、かつ、底辺KLと他方の脚LM,KNとの間の角度が90°以下である任意の台形であってもよい。
本発明に係るスクロール圧縮機は、高い信頼性を有し、運転中の騒音を抑制することができる。
23 ハウジング(静止部材)
23d 第2キー溝
23f スラスト受け部
23g スラスト受け面
26 可動スクロール
26d 第1キー溝
39 オルダム継手
39a 環状本体部
39b 第1キー部
39c 第2キー部
39d1 第1水平面
39d2 第2水平面
ABCD 第1断面形状
101 スクロール圧縮機
123 ハウジング(静止部材)
123d 第2キー溝
123f スラスト受け部
123g スラスト受け面
126 可動スクロール
126d 第1キー溝
139 オルダム継手
139a 環状本体部
139b 第1キー部
139c 第2キー部
139d1 第1水平面
139d2 第2水平面
KLMN 第2断面形状
201 スクロール圧縮機
特開平3−67080号公報

Claims (8)

  1. 第1キー溝(26d)を有する可動スクロール(26)と、
    第2キー溝(23d)を有する静止部材(23)と、
    前記可動スクロールと前記静止部材との間に設置され、前記可動スクロールの自転を防止するためのオルダム継手(39)と、
    を備え、
    前記オルダム継手は、
    互いに対向する第1水平面(39d1)および第2水平面(39d2)を有する環状本体部(39a)と、
    前記第1水平面から突出し、前記第1キー溝に嵌め込まれる第1キー部(39b)と、
    前記第2水平面から突出し、前記第2キー溝に嵌め込まれる第2キー部(39c)と、
    を有し、
    前記環状本体部の周方向に沿って切断した場合における前記第1キー部の断面形状である第1断面形状(ABCD)は、前記第1水平面の側の底辺と、少なくとも一方の脚との間の角度が鋭角である台形形状である、
    スクロール圧縮機(101)。
  2. 前記第1断面形状は、等脚台形形状である、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記第1断面形状は、前記底辺と一方の前記脚との間の角度が鋭角であり、かつ、前記底辺と他方の前記脚との間の角度が直角である台形形状である、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記環状本体部を挟んで前記第1キー部の反対側において前記第2水平面と対向するスラスト受け面(23g)を有するスラスト受け部(23f)をさらに備える、
    請求項1から3のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  5. 第1キー溝(126d)を有する可動スクロール(126)と、
    第2キー溝(123d)を有する静止部材(123)と、
    前記可動スクロールと前記静止部材との間に設置され、前記可動スクロールの自転を防止するためのオルダム継手(139)と、
    を備え、
    前記オルダム継手は、
    互いに対向する第1水平面(139d1)および第2水平面(139d2)を有する環状本体部(139a)と、
    前記第1水平面から突出し、前記第1キー溝に嵌め込まれる第1キー部(139b)と、
    前記第2水平面から突出し、前記第2キー溝に嵌め込まれる第2キー部(139c)と、
    を有し、
    前記環状本体部の周方向に沿って切断した場合における前記第2キー部の断面形状である第2断面形状(KLMN)は、前記第2水平面の側の底辺と、少なくとも一方の脚との間の角度が鋭角である台形形状である、
    スクロール圧縮機(201)。
  6. 前記第2断面形状は、等脚台形形状である、
    請求項5に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記第2断面形状は、前記底辺と一方の前記脚との間の角度が鋭角であり、かつ、前記底辺と他方の前記脚との間の角度が直角である台形形状である、
    請求項5に記載のスクロール圧縮機。
  8. 前記環状本体部を挟んで前記第2キー部の反対側において前記第1水平面と対向するスラスト受け面(123g)を有するスラスト受け部(123f)をさらに備える、
    請求項5から7のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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