以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、同一又は同様な構成要素については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。
[実施の形態]
実施の形態に係る蓄電素子100の構成を説明する。図1は、実施の形態に係る蓄電素子100の外観を模式的に示す斜視図である。図1に示されるように、蓄電素子100は、扁平な直方体状の外形を有している。蓄電素子100は、充放電可能な二次電池である。例えば、蓄電素子100は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。しかしながら、蓄電素子100は、非水電解質二次電池に限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよく、キャパシタであってもよい。
図1及び図2を参照すると、蓄電素子100は、扁平な直方体状の容器10と、容器10の中に含まれる電極体20と、正極端子30及び負極端子40とを備えている。容器10は、有底角筒状の容器本体11と、容器本体11の細長い矩形形状の開口部11aを閉鎖可能である細長い矩形板状の蓋体12とを有している。なお、図2は、図1の蓄電素子100の分解斜視図である。容器本体11は、扁平な直方体状の外形を有している。蓋体12の外面12a上に、正極端子30及び負極端子40が配置されている。容器10の内部には、電極体20と共に電解液(本実施の形態では、非水電解液)などの電解質が封入されるが、当該電解質の図示は省略する。容器10に封入される電解質としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
容器本体11と蓋体12とは、溶接等の接合方法によって、互いの接合部を気密な状態にして固定される。これにより、容器10は、内部に密閉された空間を形成する。限定するものではないが、容器本体11及び蓋体12は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等の溶接可能な金属から作製され得る。
導電性を有する正極端子30及び負極端子40はそれぞれ、蓋体12を貫通して蓋体12の外面12aと反対側に延在し、上記反対側において、導電性を有する正極集電体50及び負極集電体60と接続される。正極集電体50及び負極集電体60はさらに、電極体20と接続される。
上部絶縁部材31が、正極端子30と蓋体12との間に設けられ、これらを互いに電気的に絶縁し、下部絶縁部材32が、蓋体12と正極集電体50との間に設けられ、これらを互いに電気的に絶縁する。上部絶縁部材41が、負極端子40と蓋体12との間に設けられ、これらを互いに電気的に絶縁し、下部絶縁部材42が、蓋体12と負極集電体60との間に設けられ、これらを互いに電気的に絶縁する。絶縁部材31、32、41及び42はいずれも、樹脂等の電気的な絶縁性を有する材料から形成され、例えば、パッキン、ガスケット等を構成する。電極体20は、正極集電体50及び負極集電体60を介して、蓋体12から吊り下げられるように設けられる。そして、電極体20は、正極集電体50及び負極集電体60と共に、容器本体11に収容される。電極体20と容器本体11との間を電気的に絶縁するために、電極体20が絶縁フィルムなどで覆われる場合もある。電極体20と容器本体11との間に、スペーサ等の緩衝材が設けられる場合もある。
図2及び図3を参照して、電極体20の構成を説明する。なお、図3は、図2の電極体20一部を展開した斜視図である。電極体20は、電気を蓄積可能な発電要素である。電極体20は、長尺な矩形帯状の平面形状をしたシート状の正極板21と、長尺な矩形帯状の平面形状をしたシート状の負極板22と、長尺な矩形帯状の平面形状をしたシート状の2つのセパレータ23とを、層状に重ねるように含んでいる。ここで、正極板21及び負極板22は、極板の一例である。
そして、電極体20は、層状に重ねられた正極板21、負極板22及びセパレータ23を一緒に、巻回軸Aを中心に巻回方向Bで渦巻き状に多重に巻回されることによって、形成される。巻回軸Aは、図2及び図3において一点鎖線で示される仮想の軸であり、電極体20は、巻回軸Aに関して略対称な構成を有している。限定されるものではないが、本実施の形態では、電極体20は、巻回軸Aに垂直な断面が扁平な長円形状である扁平な外形を有している。しかしながら、電極体20の断面形状は、長円形以外であってもよく、円形、楕円形、矩形、その他の多角形であってもよい。
正極板21は、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属からなる長尺な矩形帯状の金属箔である正極基材21aと、正極基材21aの両側の幅広な主面上の略全体に塗工等の方法で積層された正極活物質層21b(図3において斜線表示)とを含む。負極板22は、銅、銅合金等の金属からなる長尺な矩形帯状の金属箔である負極基材22aと、負極基材22aの両側の幅広な主面上の略全体に塗工等の方法で積層された負極活物質層22b(図3において斜線表示)とを含む。正極活物質層21bに用いられる正極活物質又は負極活物質層22bに用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質又は負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。本実施の形態では、正極活物質層21b及び負極活物質層22bはそれぞれ、正極基材21a及び負極基材22aの両側の主面上に形成されているが、片側の主面上のみに形成されてもよい。セパレータ23は、樹脂等の電気的な絶縁性を有する材料からなる微多孔性のシートである。
正極板21の長手方向に沿った2つの縁のうちの一方の縁の近傍の帯状領域では、正極基材21aのいずれの主面にも、正極活物質層21bが積層されていない。上記帯状領域を形成する正極板21の縁部分を正極未塗工部21cと呼ぶ。正極未塗工部21cは、露出した正極基材21aによって形成されており、正極板21の集電領域を形成している。
さらに、負極板22の長手方向に沿った2つの縁のうちの一方の縁の近傍の帯状領域では、負極基材22aのいずれの主面にも、負極活物質層22bが積層されていない。上記帯状領域を形成する負極板22の縁部分を負極未塗工部22cと呼ぶ。負極未塗工部22cは、露出した負極基材22aによって形成されており、負極板22の集電領域を形成している。
正極板21と負極板22とは、巻回のために、それぞれの長手方向を同方向にして、重ねられる。このとき、正極未塗工部21cと負極未塗工部22cとは、正極板21及び負極板22の重なり部分を挟んで互いに反対側に位置する。巻回軸Aに沿う方向である巻回軸A方向において、正極未塗工部21cの縁21caは、縁21caと上記重なり部分の同じ側に位置する負極板22の縁よりも突出する。負極未塗工部22cの縁22caは、縁22caと上記重なり部分の同じ側に位置する正極板21の縁よりも突出する。
2つのセパレータ23が、1つの負極板22の両側の平坦な主面上にそれぞれ設けられる。このとき、負極未塗工部22cを除く負極板22全体が、セパレータ23によって覆われている。そして、負極未塗工部22cが、2つのセパレータ23の間を通ってセパレータ23よりも突出する。さらに、1つの正極板21が、巻回時に負極板22に内側で隣り合うセパレータ23のさらに内側に位置するように、セパレータ23上に重ねて設けられる。このとき、正極未塗工部21cを除く正極板21全体が、負極板22及びセパレータ23によって覆われており、負極板22に面している。そして、正極未塗工部21cが、2つのセパレータ23よりも突出している。
上述のように積層された1つの正極板21と1つの負極板22と2つのセパレータ23とが重ね合わされた状態で、巻回軸Aを中心に、巻回方向Bで渦巻き状に巻回され、それにより、電極体20が形成される。図4に示すように、巻回の際、それぞれの巻き始めの部位である正極板21、負極板22及びセパレータ23における長手方向の端縁21f、22f及び23fが、略同位置となるように揃えられ、その後、正極板21、負極板22及びセパレータ23の巻回が開始される。なお、図4は、図3の電極体20の巻回後の状態を示す斜視図である。巻回中、それぞれが巻き付けられているロールから、電極体20の巻回機へ、正極板21、負極板22及びセパレータ23が引き出される。巻回終了後、各ロールから延びる正極板21、負極板22及びセパレータ23は、切断される。このとき、それぞれの巻き終わりの部位である正極板21、負極板22及びセパレータ23における切断端縁21g、22g及び23gが、略同位置となるように揃えられる。
図3及び図4を参照すると、巻回後の電極体20では、積層された正極未塗工部21cの縁21caが、面状に並び、電極体20の端部20aを形成している。また、積層された負極未塗工部22cの縁22caが、面状に並び、電極体20の端部20bを形成している。端部20a及び20bは、巻回軸Aに略垂直に延在している。
さらに、巻回後の電極体20では、積層された正極板21、負極板22及びセパレータ23が、巻回方向Bに沿って延在する壁状体を形成している。具体的には、壁状体は、巻回軸Aを挟んで対向して位置し且つ幅広で平坦である2つの平坦壁状部20c及び20dと、巻回軸Aを挟んで対向して位置し且つ半円状に湾曲した2つの湾曲壁状部20e及び20fとから構成されている。平坦壁状部20c及び20dは、互いに略平行に延在している。湾曲壁状部20e及び20fはそれぞれ、平坦壁状部20cと平坦壁状部20dとを互いに両端で連結する。
図4及び図5を参照すると、電極体20の端部20aでは、平坦壁状部20cの複数層の正極未塗工部21cと、平坦壁状部20dの複数層の正極未塗工部21cとが、平坦壁状部20c及び20dの延在方向と略垂直な方向に分けられる。なお、図5は、図4の電極体20における正極未塗工部21c側の湾曲壁状部20eが幅方向に絞られた状態を示す電極体20の側面図であり、電極体20を一方の端部20a側から見た側面図である。湾曲壁状部20eの幅とは、平坦壁状部20cから平坦壁状部20dに向かう方向の幅のことである。さらに、2つに分けられた正極未塗工部21cがそれぞれ、集束され、2つの集束部20ga及び20gbを形成する。集束部20ga及び20gbは、正極集電体50と接続される。
同様に、図4及び図6を参照すると、電極体20の端部20bでは、平坦壁状部20cの複数層の負極未塗工部22cと、平坦壁状部20dの複数層の負極未塗工部22cとが、平坦壁状部20c及び20dの延在方向と略垂直な方向に分けられる。なお、図6は、図5の電極体20を他方の端部20b側から見た側面図である。さらに、2つに分けられた負極未塗工部22cがそれぞれ、集束され、2つの集束部20ha及び20hbを形成する。集束部20ha及び20hbは、負極集電体60と接続される。
図4〜図6を参照すると、巻回後の電極体20では、正極板21、負極板22及びセパレータ23の巻き始めの端縁21f、22f及び23fが、平坦壁状部20cに位置すると共に、集束部20ga及び20haに位置するように構成されている。端縁21f、22f及び23fの位置は、電極体20の巻回を開始する際に調節され得る。さらに、巻回後の電極体20において、正極板21、負極板22及びセパレータ23の巻き終わりの端縁21g、22g及び23gが、平坦壁状部20dに位置すると共に、集束部20gb及び20hbに位置するように構成されている。端縁21g、22g及び23gの位置は、電極体20の巻回完了時における正極板21、負極板22及びセパレータ23の切断位置の調節によって、調節され得る。なお、端縁21f、22f及び23fと、端縁21g、22g及び23gとが共に、平坦壁状部20cの集束部20ga及び20ha又は平坦壁状部20dの集束部20gb及び20hbに位置していてもよい。
図2、図5及び図7を参照すると、正極集電体50は、1つの板状の第一固定部50aと、互いに略同方向に延びる2つの脚状の第二固定部50ba及び50bbとを一体に有し、電極体20の正極板21の正極基材21aと同様の材料から形成され得る。なお、図7は、図5の電極体20が正極集電体50に接合された状態を示す側面図である。第一固定部50aは、蓋体12を貫通して延在する正極端子30の軸部30aと、かしめ接合、溶接等の種々の接続方法で接続される。第二固定部50ba及び50bbはそれぞれ、電極体20における正極未塗工部21cの集束部20ga及び20gbと接続される。第二固定部50ba及び50bbはそれぞれ、狭持板51a及び51bと共に、集束部20ga及び20gbをそれぞれの外方の両側から挟み込み、超音波溶接、抵抗溶接などの溶接によって、狭持板51a及び51bと接合される。これにより、第二固定部50ba又は50bbと狭持板51a又は51bと正極未塗工部21cとが共に接合される。狭持板51a及び51bは、溶接可能な金属から形成されるが、正極集電体50と同様の金属から形成されるのが望ましい。狭持板51a及び51bは、第二固定部50ba又は50bbと集束部20ga又は20gbとを共にこれらの外方の両側から挟むクリップ等の狭持部材でもよい。この場合、正極集電体50の第二固定部50ba又は50bbと集束部20ga又は20gbとに対する狭持部材の取り付けが、容易である。ここで、正極集電体50の第二固定部50ba及び狭持板51aは第一固定部材の一例であり、正極集電体50の第二固定部50bb及び狭持板51bは、第二固定部材の一例であり、狭持板51a及び51bは、狭持部材の一例である。
狭持板51a及び51bは、L字状の断面形状を有している。狭持板51a及び51bは、電極体20において、巻回されている正極板21、負極板22及びセパレータ23の内側に配置される。狭持板51a及び51bはそれぞれ、集束部20ga及び20gbに内側から当接する。これにより、狭持板51aは、集束部20gaにおける最内周の正極未塗工部21cに内側から当接する。狭持板51bは、集束部20gbにおける最内周の正極未塗工部21cに内側から当接する。また、狭持板51aと接合される第二固定部50baは、集束部20gaにおける最外周の正極未塗工部21cに外側から当接する。狭持板51bと接合される第二固定部50bbは、集束部20gbにおける最外周の正極未塗工部21cに外側から当接する。
狭持板51a及び51bはそれぞれ、集束部20ga及び20gbの内側側部に当接する矩形板状の当接部52a及び52bと、電極体20の端部20aに沿って延在する細長の矩形板状の覆い部53a及び53bとを一体に有している。当接部52a及び52bはそれぞれ、集束部20ga及び20gbを挟んで、第二固定部50ba及び50bbと接合される。覆い部53a及び53bはそれぞれ、端部20a側の集束部20ga及び20gbの側部を覆う。覆い部53a及び53bはそれぞれ、第二固定部50ba及び50bbの端部20a側の側部も覆ってもよい。よって、狭持板51a及び第二固定部50baは、端部20a側から集束部20gaを覆い且つ電極体20の内側及び外側から集束部20gaを狭持するように延在する。狭持板51b及び第二固定部50bbは、端部20a側から集束部20gbを覆い且つ電極体20の内側及び外側から集束部20gbを狭持するように延在する。
互いに接合される狭持板51aの当接部52aと第二固定部50baとの間に、正極板21の巻き始めの端縁21fにおける正極未塗工部21cに位置する角部が位置する。そして、端縁21fの上記角部が、当接部52aと第二固定部50baとによって狭持されこれらの間で固定される。これにより、端縁21f、22f及び23fの角部のうちで巻回軸A方向の端部20a側に最も突出する端縁21fの角部が、固定される。そして、端縁21fの上記角部を起点とした電極体20の構成要素のめくり上がりが、抑制される。
互いに接合される狭持板51bの当接部52bと第二固定部50bbとの間に、正極板21の巻き終わりの端縁21gにおける正極未塗工部21cに位置する角部が位置する。そして、端縁21gの上記角部が、当接部52bと第二固定部50bbとによって狭持されこれらの間で固定される。これにより、端縁21g、22g及び23gの角部のうちで巻回軸A方向の端部20a側に最も突出する端縁21gの角部が、固定される。そして、端縁21gの上記角部を起点とした電極体20の構成要素のめくり上がりが、抑制される。
同様に、図2、図6及び図8を参照すると、負極集電体60は、1つの板状の第一固定部60aと、略同方向に延びる2つの脚状の第二固定部60ba及び60bbとを一体に有し、電極体20の負極板22の負極基材22aと同様の材料から形成され得る。なお、図8は、図6の電極体20が負極集電体60に接合された状態を示す側面図である。第一固定部60aは、蓋体12を貫通して延在する負極端子40の軸部40aと、かしめ接合、溶接等の種々の接続方法で接続される。第二固定部60ba及び60bbはそれぞれ、電極体20における負極未塗工部22cの集束部20ha及び20hbと接続される。第二固定部60ba及び60bbはそれぞれ、狭持板61a及び61bと共に、集束部20ha及び20hbをそれぞれの外方の両側から挟み込み、超音波溶接、抵抗溶接などの溶接によって、狭持板61a及び61bと接合される。これにより、第二固定部60ba又は60bbと狭持板61a又は61bと負極未塗工部22cとが共に接合される。狭持板61a及び61bは、溶接可能な金属から形成されるが、負極集電体60と同様の金属から形成されるのが望ましい。狭持板61a及び61bも、第二固定部60ba又は60bbと集束部20ha又は20hbとを共にこれらの外方の両側から挟むクリップ等の狭持部材でもよい。ここで、負極集電体60の第二固定部60ba及び狭持板61aは、第一固定部材の一例であり、負極集電体60の第二固定部60bb及び狭持板61bは、第二固定部材の一例であり、狭持板61a及び61bは、狭持部材の一例である。
狭持板61a及び61bも、L字状の断面形状を有している。狭持板61a及び61bは、電極体20において、巻回されている正極板21、負極板22及びセパレータ23の内側に配置される。狭持板61a及び61bはそれぞれ、集束部20ha及び20hbに内側から当接する。これにより、狭持板61aは、集束部20haにおける最内周の負極未塗工部22cに内側から当接する。狭持板61bは、集束部20hbにおける最内周の負極未塗工部22cに内側から当接する。また、狭持板61aと接合される第二固定部60baは、集束部20haにおける最外周の負極未塗工部22cに外側から当接する。狭持板61bと接合される第二固定部60bbは、集束部20hbにおける最外周の負極未塗工部22cに外側から当接する。
狭持板61a及び61bはそれぞれ、集束部20ha及び20hbの内側側部に当接する矩形板状の当接部62a及び62bと、電極体20の端部20bに沿って延在する細長の矩形板状の覆い部63a及び63bとを一体に有している。当接部62a及び62bはそれぞれ、集束部20ha及び20hbを挟んで、第二固定部60ba及び60bbと接合される。覆い部63a及び63bはそれぞれ、端部20b側の集束部20ha及び20hbの側部を覆う。覆い部63a及び63bはそれぞれ、第二固定部60ba及び60bbの端部20b側の側部も覆ってもよい。よって、狭持板61a及び第二固定部60baは、端部20b側から集束部20haを覆い且つ電極体20の内側及び外側から集束部20haを狭持するように延在する。狭持板61b及び第二固定部60bbは、端部20b側から集束部20hbを覆い且つ電極体20の内側及び外側から集束部20hbを狭持するように延在する。
互いに接合される狭持板61aの当接部62aと第二固定部60baとの間に、負極板22の巻き始めの端縁22fにおける負極未塗工部22cに位置する角部が位置する。そして、端縁22fの上記角部が、当接部62aと第二固定部60baとによって狭持されこれらの間で固定される。これにより、端縁21f、22f及び23fの角部のうちで巻回軸A方向の端部20b側に最も突出する端縁22fの角部が、固定される。そして、端縁22fの上記角部を起点とした電極体20の構成要素のめくり上がりが、抑制される。
互いに接合される狭持板61bの当接部62bと第二固定部60bbとの間に、負極板22の巻き終わりの端縁22gにおける負極未塗工部22cに位置する角部が位置する。そして、端縁22gの上記角部が、当接部62bと第二固定部60bbとによって狭持されこれらの間で固定される。これにより、端縁21g、22g及び23gの角部のうちで巻回軸A方向の端部20b側に最も突出する端縁22gの角部が、固定される。そして、端縁22gの上記角部を起点とした電極体20の構成要素のめくり上がりが、抑制される。
よって、正極板21、負極板22及びセパレータ23における巻き始めの端縁の両側の角部のうちの巻回軸A方向で最も外側に位置する両側の角部が、固定される。さらに、正極板21、負極板22及びセパレータ23における巻き終わりの端縁の両側の角部のうちの巻回軸A方向で最も外側に位置する両側の角部が、固定される。これにより、正極板21、負極板22及びセパレータ23における巻き始め及び巻き終わりの全ての端縁が、電極体20に固定されることになる。従って、正極板21、負極板22及びセパレータ23における巻き始め及び巻き終わりの端縁のめくり上がりが抑制される。
また、電極体20は、湾曲壁状部20eから平坦壁状部20c及び20dの一部にわたる正極未塗工部21cを、正極集電体50の第二固定部50ba及び50bbの間に位置させて、正極集電体50と接合される。このとき、第二固定部50ba及び50bbの間に電極体20を挿入できるように、湾曲壁状部20e又はその近傍の正極未塗工部21cが、その幅を狭くするように絞られる。同様に、電極体20は、湾曲壁状部20eから平坦壁状部20c及び20dの一部にわたる負極未塗工部22cを、負極集電体60の第二固定部60ba及び60bbの間に位置させて、負極集電体60と接合される。このとき、第二固定部60ba及び60bbの間に電極体20を挿入できるように、湾曲壁状部20e又はその近傍の負極未塗工部22cが、その幅を狭くするように絞られる。
上述のようにして正極集電体50及び負極集電体60それぞれを介して正極端子30及び負極端子40と電気的及び物理的に接続される電極体20は、その巻回軸Aを蓋体12に沿う方向にして蓋体12に固定される。このような電極体20は、縦巻き型の電極体と呼ばれる。
蓄電素子100の製造過程において、電極体20と正極集電体50及び負極集電体60との接合後、各接合部での集塵作業が実施される。なお、接合時、正極板21の正極基材21a及び負極板22の負極基材22aから金属粉末、金属粒子等が発生する。発生した金属粉末、金属粒子等が飛散し、これらが発生した極と異なる極に付着するのを抑えるために、金属粉末、金属粒子等の収集が実施される。本実施の形態では、電極体20の端部20a及び20bに対して、吸引、ブラシによる払い出し等が、集塵のために実施され得る。このような集塵作業が実施された場合でも、電極体20の正極板21、負極板22及びセパレータ23における巻き始め及び巻き終わりの端縁は、めくり上がって破損することが抑えられる。さらに、狭持板51a及び51bと正極集電体50の第二固定部50ba及び50bbとが、これらが固定している端縁を端部20a上で覆っている。狭持板61a及び61bと負極集電体60の第二固定部60ba及び60bbとが、これらが固定している端縁を端部20b上で覆っている。このため、端縁のめくり上がり及びそれによる破損がより確実に抑えられる。
さらに、正極集電体50及び負極集電体60を接合した電極体20を容器本体11に収容する際、容器本体11の壁部と電極体20とが接触しても、電極体20の正極板21、負極板22及びセパレータ23における巻き始め及び巻き終わりの端縁がめくり上がるのが抑えられる。
上述したように、本実施の形態に係る蓄電素子100は、巻回された正極板21及び負極板22によって形成される電極体20を備える。蓄電素子100は、正極板21における巻き始めの端縁21f及び負極板22における巻き始めの端縁22fを電極体20に固定する、狭持板51a及び61a並びに第二固定部50ba及び60baを備える。さらに、蓄電素子100は、正極板21における巻き終わりの端縁21g及び負極板22における巻き終わりの端縁22gを電極体20に固定する、狭持板51b及び61b並びに第二固定部50bb及び60bbを備える。狭持板51a及び51bはそれぞれ、電極体20の巻回軸A方向の端部20a上で巻き始めの端縁21f及び巻き終わりの端縁21gを覆うように配置される。狭持板61a及び61bはそれぞれ、電極体20の巻回軸A方向の端部20b上で巻き始めの端縁22f及び巻き終わり端縁22gを覆うように配置される。
上述の構成において、正極板21及び負極板22における巻き始めの端縁21f及び22f並びに巻き終わりの端縁21g及び22gが、狭持板51a、51b、61a及び61bによって固定されるだけでなく、電極体20の巻回軸A方向の端部20a及び20b側から狭持板51a、51b、61a及び61bによって覆われて保護される。電極体20の端部20a及び20bにおける集塵作業の際、正極板21及び負極板22の巻き始めの端縁21f及び22f並びに巻き終わりの端縁21g及び22gのめくり上がり及び損傷が抑えられる。
実施の形態に係る蓄電素子100において、狭持板51a又は61aと第二固定部50ba又は60baとは、電極体20における巻き始めの端縁21f又は22fが位置する部位の最内周及び最外周の正極板21又は負極板22を狭持する。狭持板51b又は61bと第二固定部50bb又は60bbとは、電極体20における巻き終わりの端縁21g又は22gが位置する部位の最内周及び最外周の正極板21又は負極板22を狭持する。上述の構成において、巻回された正極板21及び負極板22が最内周から最外周にわたって狭持されるため、巻回された正極板21及び負極板22の間が拡がることによって受け得る電極体20の損傷が抑えられる。
実施の形態に係る蓄電素子100は、電極体20と接続される正極集電体50及び負極集電体60を備える。電極体20は、巻回により積層された正極板21及び負極板22を積層方向に2つに分けてそれぞれを集束して形成され且つ正極集電体50及び負極集電体60が接続される集束部20ga及び20gb並びに集束部20ha及び20hbをそれぞれ、端部20a及び20bに有する。さらに、正極板21及び負極板22の端縁21f、21g、22f及び22gが、集束部20ga、20gb、20ha及び20hbに位置する。上述の構成において、正極板21及び負極板22の端縁21f、21g、22f及び22gが、集束部20ga、20gb、20ha及び20hbに位置するため、端縁21f、21g、22f及び22gの固定が容易になる。
実施の形態に係る蓄電素子100において、金属製の狭持板51a及び51bはそれぞれ、金属製の正極集電体50と共に、集束部20ga及び20gbと正極板21の巻き始めの端縁21f及び巻き終わりの端縁21gとを狭持し、且つ正極集電体50と接続される。金属製の狭持板61a及び61bはそれぞれ、金属製の負極集電体60と共に、集束部20ha及び20hbと負極板22の巻き始めの端縁22f及び巻き終わりの端縁22gとを狭持し、且つ負極集電体60と接続される。上述の構成において、強度を有する正極集電体50及び負極集電体60並びに狭持板51a、51b、61a及び61bを用いて、集束部20ga、20gb、20ha及び20hb並びに正極板21及び負極板22の端縁21f、21g、22f及び22gの狭持、並びに、端縁21f、21g、22f及び22gの固定がなされるため、狭持強度及び固定強度の向上が可能になる。
実施の形態に係る蓄電素子100は、正極板21及び負極板22と共に巻回されており且つ巻回されて重なる正極板21及び負極板22の間に介在するセパレータ23を備える。狭持板51a及び61a並びに第二固定部50ba及び60baは、セパレータ23における巻き始めの端縁23fを、正極板21及び負極板22における巻き始めの端縁21f及び22fと共に電極体20に固定する。狭持板51b及び61b並びに第二固定部50bb及び60bbは、セパレータ23における巻き終わりの端縁23gを、正極板21及び負極板22における巻き終わりの端縁21g及び22gと共に電極体20に固定する。上述の構成において、セパレータ23のめくり上がり、及び、めくり上がるセパレータ23により引っ張られる正極板21及び負極板22のめくり上がりが抑えられる。よって、正極板21及び負極板22並びにセパレータ23の損傷が抑えられる。
[変形例]
また、実施の形態に係る蓄電素子100の変形例として、以下のような構成が挙げられる。具体的には、図9に示されるように、変形例に係る蓄電素子の電極体20では、正極板21、負極板22及びセパレータ23の巻き始めの端縁21f、22f及び23fそれぞれにおける巻回軸A方向の両側の角部が、接着テープ70によって、電極体20に固定されている。同様に、正極板21、負極板22及びセパレータ23の巻き終わりの端縁21g、22g及び23gそれぞれにおける巻回軸A方向の両側の角部が、接着テープ70によって、電極体20に固定されている。なお、図9は、実施の形態に係る蓄電素子の変形例における電極体20の斜視図である。また、以下の変形例の説明において、前出した図における参照符号と同一の符号の構成要素は、同一又は同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
接着テープ70は、例えば、ポリプロピレン製のテープの片面に接着剤が付着された構成を有し得る。接着テープ70を構成するテープ材料及び接着剤は、いかなるものであってもよいが、蓄電素子100の容器10内に封入される電解質と反応しても電解質の性状に影響を与えないものが望ましく、電解質と反応して変質しないものがさらに望ましい。テープ材料及び接着剤は、電気的な絶縁性を有することが望ましい。テープ材料には、電気的な絶縁性を有する樹脂、繊維、紙等が採用され得る。
接着テープ70の取付場所は、本変形例では、取り付けが容易である電極体20の集束部20ga、20gb、20ha及び20hbであるが、これらの場所に限定されない。接着テープ70の取付場所は、正極板21、負極板22及びセパレータ23における巻き始め及び巻き終わりの端縁の位置に対応したものであればよく、電極体20の平坦壁状部20c及び20d並びに湾曲壁状部20e及び20fのいかなる場所であってもよい。
本変形例では、集束部20gaの接着テープ70は、電極体20における巻回方向に沿った内周側で、正極未塗工部21cに位置する正極板21の巻き始めの端縁21fの角部、負極板22の巻き始めの端縁22fの端部20a側の角部、及びセパレータ23の巻き始めの端縁23fの端部20a側の角部上と、電極体20の内周面上とにわたって貼り付けられ、各角部を電極体20に固定する。接着テープ70は、電極体20の内周面上、最も内周側の正極未塗工部21cの内周面つまり正極未塗工部21cの最内周面上、端部20a上、最も外周側の正極未塗工部21cの外周面つまり正極未塗工部21cの最外周面上、及び電極体20の外周面上にわたって連続して延在する。よって、接着テープ70は、正極未塗工部21c及びその周辺を最外側から狭持すると共に端部20a上で正極未塗工部21cを部分的に覆って延在する。
集束部20gbの接着テープ70は、電極体20の外周側で、正極未塗工部21cに位置する正極板21の巻き終わりの端縁21gの角部、負極板22の巻き終わりの端縁22gの端部20a側の角部、及びセパレータ23の巻き終わりの端縁23gの端部20a側の角部上と、電極体20の外周面上とにわたって貼り付けられ、各角部を電極体20に固定する。接着テープ70は、電極体20の外周面上、正極未塗工部21cの最外周面上、端部20a上、正極未塗工部21cの最内周面上、及び電極体20の内周面上にわたって連続して延在する。よって、接着テープ70は、正極未塗工部21c及びその周辺を最外側から狭持すると共に端部20a上で正極未塗工部21cを部分的に覆って延在する。
集束部20haの接着テープ70は、電極体20の内周側で、正極板21の端縁21fの端部20b側の角部、負極未塗工部22cに位置する負極板22の端縁22fの角部、及びセパレータ23の端縁23fの端部20b側の角部上と、電極体20の内周面上とにわたって貼り付けられ、各角部を電極体20に固定する。接着テープ70は、電極体20の内周面上、負極未塗工部22cの最内周面上、端部20b上、負極未塗工部22cの最外周面上、及び電極体20の外周面上にわたって連続して延在する。よって、接着テープ70は、負極未塗工部22c及びその周辺を最外側から狭持すると共に端部20b上で負極未塗工部22cを部分的に覆って延在する。
集束部20hbの接着テープ70は、電極体20の外周側で、正極板21の端縁21gの端部20b側の角部、負極未塗工部22cに位置する負極板22の端縁22gの角部、及びセパレータ23の端縁23gの端部20b側の角部上と、電極体20の外周面上とにわたって貼り付けられ、各角部を電極体20に固定する。接着テープ70は、電極体20の外周面上、負極未塗工部22cの最外周面上、端部20b上、負極未塗工部22cの最内周面上、及び電極体20の内周面上にわたって連続して延在する。よって、接着テープ70は、負極未塗工部22c及びその周辺を最外側から狭持すると共に端部20b上で負極未塗工部22cを部分的に覆って延在する。
なお、接着テープ70の貼り付け領域は、上記領域に限定されるものでない。例えば、平坦壁状部20cに位置する集束部20gaの接着テープ70と集束部20haの接着テープ70とが、電極体20の内周側及び外周側のうち少なくとも内周側で連続していてもよい。同様に、平坦壁状部20dに位置する集束部20gbの接着テープ70と集束部20hbの接着テープ70とが、電極体20の内周側及び外周側のうち少なくとも外周側で連続していてもよい。これにより、電極体20から接着テープ70がはがれるのが抑えられる。さらに、正極板21の巻き始めの端縁21f、負極板22の巻き始めの端縁22f及びセパレータ23の巻き始めの端縁23fの全体が共に、接着テープ70によって電極体20に留め付けられる。また、正極板21の巻き終わりの端縁21g、負極板22の巻き終わりの端縁22g及びセパレータ23の巻き始めの端縁2gfの全体が共に、接着テープ70によって電極体20に留め付けられる。
又は、実施の形態に係る蓄電素子100における正極集電体50、負極集電体60並びに狭持板51a、51b、61a及び61bのように、接着テープ70は、正極未塗工部21cに位置する端縁21fの角部、正極未塗工部21cに位置する端縁21gの角部、負極未塗工部22cに位置する端縁22fの角部、及び負極未塗工部22cに位置する端縁22gの角部並びにその周辺のみを電極体20に貼り付けるように配置されてもよい。また、接着テープ70は、正極板21、負極板22及びセパレータ23における巻き始め又は巻き終わりの端縁の角部のうちのいくつかを貼り付けてもよい。
接着テープ70は、片面接着の構成を有しているが、両面接着の構成を有してもよい。接着テープ70は、片面接着の場合、正極板21、負極板22及びセパレータ23における接着すべき角部を上から覆うように配置されていたが、両面接着の場合、正極板21、負極板22及びセパレータ23の角部と電極体20の内周面又は外周面との間に配置されてもよい。
また、変形例に係る蓄電素子におけるその他の構成は、実施の形態に係る蓄電素子100と同様であるため、その説明を省略する。さらに、変形例に係る蓄電素子によると、実施の形態に係る蓄電素子100と同様の効果が得られる。また、接着テープ70が、正極板21、負極板22及びセパレータ23における巻き始めの端縁21f、22f及び23f並びに巻き終わりの端縁21g、22g及び23gを電極体20に固定するために用いられる。上述の構成において、接着テープ70はその取り付けが容易である。さらに、接着テープ70は、固定強度及び狭持強度を確保することもできる。なお、接着テープ70を用いた正極板21、負極板22及びセパレータ23の端縁の固定は、半永久的なものでなくてもよい。接着テープ70は、巻回後の電極体20に正極集電体50及び負極集電体60等が接続され、さらに、電極体20が容器10内に封入されるまでの間、固定を維持できるものでもよい。
[その他の変形例]
以上、本発明の実施の形態及び変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、実施の形態及び変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及び変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子の電極体20では、正極板21の端縁21f、負極板22の端縁22f及びセパレータ23の端縁23fが、電極体20の巻回方向Bで略同位置に位置し、正極板21の端縁21g、負極板22の端縁22g及びセパレータ23の端縁23gが、巻回方向Bで略同位置に位置していたが、これに限定されるものでない。実施の形態に係る蓄電素子の電極体20では、正極板21の端縁21f及び21g並びに負極板22の端縁22f及び22gは、正極集電体50の第二固定部50ba若しくは50bbと狭持板51a若しくは51bとによって狭持される位置、又は、負極集電体60の第二固定部60ba若しくは60bbと狭持板61a若しくは61bとによって狭持される位置に位置していればよい。変形例に係る蓄電素子の電極体20では、端縁21f、21g、22f、22g、23f及び23gの位置に応じて、接着テープ70を設けてもよい。
実施の形態に係る蓄電素子100の電極体20では、狭持板51a、51b、61a及び61bが、集束部20ga及び20gbの端部20a側の側部、並びに集束部20ha及び20hbの端部20b側の側部を覆っていた。しかしながら、正極集電体50の第二固定部50ba及び50bb、並びに負極集電体60の第二固定部60ba及び60bbが、集束部20ga及び20gbの端部20a側の側部、並びに集束部20ha及び20hbの端部20b側の側部を覆ってもよい。
変形例に係る蓄電素子の電極体20では、正極板21、負極板22及びセパレータ23の端縁の電極体20への固定に接着テープ70が用いられていたが、これに限定されるものでない。接着剤等の接着性を有する材料が、用いられてもよい。
実施の形態に係る蓄電素子100の電極体20では、正極未塗工部21c及び負極未塗工部22cは、正極集電体50及び負極集電体60との接続のために、湾曲壁状部20eにおいて幅方向に絞られるような変形を受けていた。電極体20の上記構成は例示的なものであり、正極集電体及び負極集電体との接続構成に対応することによって、電極体20は、変形を受けなくてもよく、別のかたち又は位置での変形を受けてもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子は、1つの電極体を備えていた。しかしながら、蓄電素子は、2つ以上の電極体を備えるものであってもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子では、電極体20は、帯状の正極未塗工部21c及び負極未塗工部22cがそれぞれ正極集電体50及び負極集電体60に接続される構成であったが、これに限定されるものでない。電極体は、正極未塗工部及び負極未塗工部の位置に、正極基材及び負極基材から一体的に突出し且つ正極活物質層及び負極活物質層が形成されていないタブを有する構成であってもよい。そして、正極集電体50及び負極集電体60が、タブに接続されてよい。この場合、タブの位置に、正極板21及び負極板22の端縁が位置してもよい。これにより、正極集電体50及び負極集電体60とタブとの接合により、各端縁が固定される。また、接着テープ70は、正極板21、負極板22及びセパレータ23の端縁の位置に対応して設けられ、その結果、タブの位置に設けられてもよく、電極体におけるタブ以外の位置に設けられてもよい。
実施の形態及び変形例に係る蓄電素子は、縦巻き型の電極体を備える蓄電素子であったが、電極体の巻回軸A方向の端部を容器10の蓋体12に対向させる向きで電極体が配置される横巻き型の電極体を備える蓄電素子であってもよい。
また、実施の形態及び変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、正極集電体50又は負極集電体60と狭持板とによって、正極板21及び負極板22の端縁が狭持される構成と、接着テープ70によって正極板21、負極板22及びセパレータ23の端縁が固定される構成とが、混在してもよい。
例えば、正極板21の巻き始めの端縁21f、負極板22の巻き始めの端縁22f及びセパレータ23の巻き始めの端縁23fが、正極集電体50の第二固定部50ba及び狭持板51a並びに負極集電体60の第二固定部60ba及び狭持板61aによって、電極体20に固定され、正極板21の巻き終わりの端縁21g、負極板22の巻き終わりの端縁22g及びセパレータ23の巻き終わりの端縁23gが、接着テープ70によって電極体20に固定されてもよい。これにより、正極板21、負極板22及びセパレータ23それぞれの巻き終わりの端縁21g、22g及び23gの位置の規定が不要になり、電極体20の製造が容易になる。さらに、正極板21、負極板22及びセパレータ23それぞれにおける巻き終わりの端縁21g、22g及び23gは、電極体20における正極集電体50の第二固定部50bb及び負極集電体60の第二固定部60bbが接合される部位と異なる位置に位置するのが望ましい。電極体20と正極集電体50及び負極集電体60とが超音波溶接による接合を受ける際、第二固定部50ba、50bb、60ba及び60bbに圧力及び振動が加えられる。正極板21、負極板22及びセパレータ23それぞれの巻き終わりの端縁21g、22g及び23gが、第二固定部50bb及び60bbと異なる位置に位置することによって、これら端縁が超音波溶接時に受ける振動が低減し、それにより、振動によって正極板21及び負極板22から発生する粉末、粒子等が減少する。しかしながら、正極板21、負極板22及びセパレータ23における巻き始め及び巻き終わりの端縁を固定する構成の組み合わせは、上述の組み合わせと逆でもよい。
また、本発明は、上述のような蓄電素子として実現することができるだけでなく、1つ以上の蓄電素子を備える蓄電装置においても実現することができる。例えば、本発明は、複数の蓄電素子100を備える蓄電装置として実現することができる。蓄電装置は、並べて配置された複数の蓄電ユニットを備えている。各蓄電ユニットは、例えば一列に並べられ且つ互いに電気的に接続された複数の蓄電素子100によって、構成される。上述の構成によって、複数の蓄電素子100が、1ユニットとして使用され、蓄電装置に必要な電気容量、蓄電装置の形状及び寸法等に対応して、蓄電ユニットの数量及び配列が選択され得る。複数の蓄電素子100を備え且つ高出力である蓄電装置は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することもできる。